JP7205316B2 - レール結束部材およびレール結束方法 - Google Patents
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Description
また、前述のように図9に示すような梱包が行われている。この梱包では、結束用木材により帯状結束部材がレール頭部に直接接触することが防止されている。また、ダンネージ(第二の緩衝材)が、段積みしたレールの安定性を高め、結束に使用した帯状結束部材が上段のレールに当たらないように用いられている。しかしながら、この方法では貨車などからレールを降ろすとき、ダンネージを外す作業も必要となり、作業効率が低下する。また、使用後のダンネージを破棄するため、廃材が発生し環境に負荷を与える懸念がある。このため、ダンネージを使用することなくレールを段積みしても安定し、帯状結束部材によってレールをキズつけない結束・梱包方法が求められていた。
<1> 並置された複数本のレールを結束するためのレール結束部材であり、
上段部と下段部とを有し、
前記上段部と前記下段部とが、長さ方向に平行であり、前記上段部と前記下段部の幅方向の角度の差が10度以下であり、かつ、前記並置された複数本のレールの頭部接線と略水平であり、
前記下段部の幅が、前記レールの結束に用いられる帯状部材の幅の2倍以上であり、
前記上段部の幅が、100mm以上であり、
前記上段部と前記下段部の高さの差が、15mm以上であり、
結束されるレールの本数をn、レール頭部幅をd1、レール底部幅をd2、レール結束部材の長さをL1としたとき下記式(1)を満足するレール結束部材。
n×d2≧L1≧(n-1)×d2+d1 式(1)
<2> 前記下段部の下に、前記並置された複数本のレールの頭部間の幅よりも狭い長さであり、高さが60mm以下であり、前記下段部の長さ方向よりも内側に配置された突起部を有する前記<1>記載のレール結束部材。
<3> 前記下段部の幅が、150mm以下である前記<1>または<2>に記載のレール結束部材。
<4> 前記上段部の幅が、300mm以下である前記<1>~<3>のいずれかに記載のレール結束部材。
<5> 前記上段部と前記下段部の高さの差が、50mm以下であり、前記<1>~<4>のいずれかに記載のレール結束部材。
<6> 前記<1>~<5>のいずれかに記載のレール結束部材を用いたレール結束方法。
n×d2≧L1≧(n-1)×d2+d1 式(1)
このようなレール結束部材を用いて並置された複数本のレールを結束し梱包することで、搬送時の荷崩れやずれを防止しレールにキズがつきにくい。
図1は、本発明の第一の実施形態に係るレール結束部材110の正面図である。
レール結束部材110は、上段部1101と下段部1102を有し、上段部1101と下段部1102は隣り合う位置関係である。このレール結束部材110は、上段部1101側の図1の左側から側面視すると、所定の長さ(L1)の長方形状の面となる。また、レール結束部材110は、下段部1102側の図1の右側から側面視すると、所定の長さ(L1)を有し、下段部1102の高さh2に相当する長方形状の面と、上段部1101の段差に相当する高さh1の長方形状の面とが上下に並んだものとなる。
図2は、本発明の第2の実施形態に係るレール結束部材120の正面図である。
レール結束部材120は、上段部1201と下段部1202を有し、上段部1201と下段部1202は隣接する位置関係である。
さらに、レール結束部材120は、突起部1203を有する。突起部1203は、下段部の下方に存在する。このレール結束部材120は、第一の実施形態に係るレール結束部材110に所定の間隔で所定の大きさの突起部1203が一体に取り付けられたものである。
図3は、第二の実施形態に係るレール結束部材120を用いて、レールを結束した一例を説明する側面図である。図3は、図2のレール結束部材120を下段部1202側の右側から側面視したものである。図4は、図3の結束状態を説明するための図であり、結束状態を図2と同様にレール結束部材120に対して正面視したものである。
図3では、レール2を3本並置した状態で結束する。レール2は互いの足部が隣り合うように並べられた状態で配置されている。レール2の頭部と足部との間であり、レール2の柱部間の空間には、第一の緩衝部材(コマ)4が配置されている。さらに、レール2の頭部間にレール結束部材120の突起部1203が挟まれるように配置されている。これにより、並置されたレール2の頭部にレール結束部材120の底面が接した状態となる。そして、レール結束部材120の下段部1202上と、並置されているレール2の底部とを包むように帯状部材31を配置し、帯状部材留め具32により帯状部材31を締め付けて、レール2を並置した状態で結束する。これにより図3、4では、3本のレールが結束された結束レール51が得られる。
図5は、図3、4により説明したような並置したレール2を3本を1組として結束した結束レール51を2列3段積みあげて梱包した状態の梱包レール52を側面視したものである。図6は、図5の梱包状態を説明するための図であり、梱包状態を図2と同様にレール結束部材120に対して正面視したものである。
レール結束部材の構造例について、第一の実施形態に係るレール結束部材110および第二の実施形態に係るレール結束部材120に基づいてより詳しく説明する。なお、レール結束部材110とレール結束部材120とは、突起部1203の有無のほかにおいて共通する点が多いため、以下において、共通する構造については合わせて説明する。
レール結束部材110(120)は、上段部と下段部とを有する。
上段部とは、レール結束部材を使用してレールを結束したとき、上段となる部分であり、その結束された結束レール51の上にさらにレールを積み上げるとき、積み上げて配置されるレールの底部等と接する面を有する部分である。
下段部とは、レール結束部材を使用してレールを結束したとき、下段となる部分であり、その結束された結束レール51の上にさらにレールを積み上げるとき、積み上げて配置されるレールの底部等と直接接触しない面を有する部分である。この下段部は、レールを結束するとき、帯状部材が取り付けられる部分である。
上段部と下段部は、レール結束部材において、隣り合うように隣接して設けられたり、レール結束部材として一体となり近接して設けられたりする。上段部と下段部との段差の部分は、下段部に取り付ける帯状部材31の一方向の位置決めとしても機能する。
レール結束部材110(120)は、上段部1101(1201)と下段部1102(1202)とが、長さ方向に平行である。レール結束部材の長さ方向とは、レール結束部材110(120)を側面視したときの横方向である。これは、図3におけるレール結束部材120のL1の方向である。この平行とは、上段部1201の上面C2-C2線と、下段部1202の上面B2-B2とがなす角度の鋭角が5度以下であり、好ましくは3度以下、より好ましくは1度以下であることをいう。この角度は、0度、すなわち平行であることが好ましい。
これらが平行であることで、レールの結束と、結束された結束レールの積み上げを安定して行うことができる。これらが大きく角度が異なる場合、帯状部材が外れて結束が困難となったり、積みあげるレールが傾き梱包が困難となったりする。
レール結束部材110(120)において、上段部1101(1201)と下段部1102(1202)とは、上段部1101(1201)と下段部の幅方向の角度の差が10度以下である。レール結束部材の幅方向とは、レール結束部材110(120)を側面視したときの横方向である。これは、図1におけるレール結束部材110のW0~W2の方向である。上段部と下段部の幅方向の角度の差が10度以下とは、レール結束部材を正面視したとき、上段部の幅方向の上面の接線と、下段部の幅方向の上面の接線とのなす角度の鋭角が10度以下であることをいう。この角度は、5度以下や、3度以下とより小さいほど好ましい。この角度は、下段部の上面が上段部のほうに向かって下向きの傾きのほうが好ましい。下段部には帯状部材を取り付けるが、この下段部の上面が上段部から離れる方向に向かって下向きの傾きの場合、帯状部材が上段部との段差により位置決めや移動時に上段部と反対側の結束部材が無い方向に移動しやすくなり外れやすい場合がある。
レール結束部材110(120)において、上段部1101(1201)と下段部1102(1202)とは、前記並置された複数本のレールの頭部接線と略水平である。レール結束部材110(120)は、その下面に、レールを結束するときにレール頭部の頂部と接する部分を有する。図3において、A2-A2線で示す線上に、レール頭部と接する下面となる。そして、このA2-A2線は並置された複数本のレールの頭部接線でもある。なお、突起部1203は並置されたレールの頭部間の隙間d1にはめ込まれるように設けられている。
このA2-A2線で示すレールの頭部接線と、上段部の上面であるC2-C2線および、下段部の上面であるB2-B2線とが略水平である。この略水平とは、上段部1201の上面C2-C2線とA2-A2線がなす角度の鋭角および、下段部1202の上面B2-B2とA2-A2線がなす角度の鋭角が、いずれも5度以下であり、好ましくは3度以下、より好ましくは1度以下であることをいう。この角度は、0度、すなわち水平であることが好ましい。
これらが略水平であることで、レールの結束と、結束された結束レールの積み上げを安定して行うことができる。これらが大きく角度が異なる場合、帯状部材が外れて結束が困難となったり、積みあげるレールが傾き梱包が困難となったりする。
レール結束部材110(120)の下段部1102(1202)の幅は、レールの結束に用いられる帯状部材31の幅の2倍以上である。この幅は、図1や図2におけるw2である。幅がこの範囲よりも狭い場合、帯状部材が下段部に十分に掛からず脱落し結束が解けるおそれがある。この幅は、2.2倍以上が好ましく、2.5倍以上が好ましい。一方、この幅は、大きくてもかまわないが、大きすぎても帯状部材の脱落防止効果はある程度飽和し、この幅が大きいほど、重くなったり、取り扱いしにくい場合があるため、上限を設定してもよい。具体的な上限としては、200mm以下や、180mm以下、150mm以下とすることができる。
帯状部材31の幅は、20mm以上であることが好ましく、より好ましくは30mm以上、さらに好ましくは40mm以上である。その上限は、結束時の操作性等を鑑み、80mm以下や、70mm以下、60mm以下のより狭い幅のものが好ましい。なお、結束に適した柔軟性を有し、結束時に移動しにくく、上段部との段差よりも十分に厚みが小さく、積みあげるレール底部と接触しにくいように、薄い帯状のものが用いられる。
レール結束部材110(120)の上段部1101(1201)の幅は、100mm以上である。この幅は、図1や図2におけるw1である。幅がこの範囲よりも狭い場合、上段部の上に積みあげられるレールの面荷重を受けるのに十分ではない場合がある。この幅は、105mm以上が好ましく、110mm以上がより好ましい。一方、この幅は、大きくてもかまわないが、上記範囲の幅でも積み上げるレールの面荷重として十分な強度を有し、この幅が大きいほど、重くなったり、取り扱いしにくい場合があるため、上限を設定してもよい。具体的な上限としては、500mm以下や、300mm以下、200mm以下とすることができる。
レール結束部材110(120)の、上段部1101(1201)高さh0と下段部1102(1202)の高さh2の段差(高さh1)は、15mm以上である。この上段部と下段部の段差に相当する高さh1がこれより小さい場合、下段部に取り付けられてレールの結束を行っている帯状部材がレール結束部材の上に積まれるレールの底部に接触しやすくなり、レール底部にキズがつきやすくなる。この高さh1は好ましくは17mm以上であり、より好ましくは20mm以上である。この高さh1は、大きすぎても、帯状部材の接触防止の効果は飽和し、過剰に大きな差とする理由はないため、上限を設定してもよい。具体的な上限としては、50mm以下や、40mm以下、30mm以下とすることができる。
レール結束部材120の長さL1は、結束するレールの本数や大きさに応じて設定される。図3を例にすると、レール結束部材120の長さL1は、結束されるレールの本数をn、レール頭部幅をd1、レール底部幅をd2、レール結束部材の長さL1が下記式(1)を満足する。
レール結束部材120は、下段部1202の下に、並置された複数本のレールの頭部間の幅d3よりも狭い長さであり、高さが60mm以下であり、下段部1202の長さ方向の内側に配置された突起部1203を有する。このような突起部を有することで、レール頭部間に、この突起部がはめ込まれて、結束部材の長さ方向への移動も抑制され、レールに対する位置決めがより安定する。そして、よりキズが発生しにくい結束が可能となる。
レール結束部材は、図7に示すレール結束部材110の変形例であるレール結束部材111~115のような形状としてもよい。また、図8に示すレール結束部材120の変形例であるレール結束部材121~125のような形状としてもよい。レール結束部材121~125は突起部を有する。
136REレール3本(25m)を6本×3段積みするもの(図5相当)として、試験を行った。レール結束部材の材質に杉を用いて、レール結束部材を作製した。杉を用いた理由としては高硬度であるためである。
帯状部材(フープ)は、幅2inchのものを使用し、帯状部材の留め具の高さは15mmとした。
結束し、梱包した状態で、100km陸送して、各種結束・梱包の効果を評価した。
n×d2=3×152(mm)=456(mm)
(n-1)×d2+d1=(3-1)×152(mm)+74(mm)=378mm
456mm≧L1≧378mm
陸送時等の荷崩れと表面キズは以下の方法で評価を行った。
・(結束作業):結束作業中に帯状部材が外れたりして結束ができない状態が発生した場合をNGとする。
・(荷崩れ):試験を実施し、フープが切れなかった実験例100例について、一回でもレールの位置(高さ方向)が隣接したレールと50mm以上の差が発生した場合NGとした。
(表面キズ):試験を実施し、レール底部にあるフープの接触キズについて評価を行った。この際0.2mm以上のキズが1か所でも発生した場合NGとした。
各水準に対して、結束作業、荷崩れ、表面キズの3つの観点で評価を行った。
一方、本発明に係る結束部材の要件を満足しない結束部材を用いたり、結束回数が少ないものは、結束作業に問題があったり、レールにキズがついたり、荷崩れが生じるなどの問題が発生した。
試験番号Aは、下段部の幅が狭いため、結束作業中に、帯状部材が外れる場合があった。
試験番号Bは、段差が低く、帯状部材や、帯状部材の留め具が上の段に積むレール底部にあたり、表面キズがついた。
試験番号Cは、上段部の幅が小さく、上段に積む結束レールに対する耐荷重が不足し荷崩れが生じたり、レールや帯状部材等に接触して表面キズがついた。
試験番号Dは、結束部材の長さが短く、帯状部材を締めるとき、端に配置されているレール頭部に帯状部材が直接接触しやすくなり、表面キズがついた。
試験番号Eは、結束部材を取り付ける数が少なかったため、荷崩れが生じた。
1101~1151、1201~1251 上段部
1102~1152、1154、1202~1252、1254 下段部
1203 突起部
2 レール
31 帯状部材
32 帯状部材留め具
4 第一の緩衝部材
51 結束レール
52 梱包レール
Claims (6)
- 並置された複数本のレールを結束するためのレール結束部材であり、
上段部と下段部とを有し、
前記上段部と前記下段部とが、長さ方向に平行であり、前記上段部と前記下段部の幅方向の角度の差が10度以下であり、かつ、前記並置された複数本のレールの頭部接線と略水平であり、
前記下段部の幅が、前記レールの結束に用いられる帯状部材の幅の2倍以上であり、
前記上段部の幅が、100mm以上であり、
前記上段部と前記下段部の高さの差が、15mm以上であり、
結束されるレールの本数をn、レール頭部幅をd1、レール底部幅をd2、レール結束部材の長さをL1としたとき下記式(1)を満足し、
並置された複数本の前記レールの頭部に前記レール結束部材の底面が接した状態とし、
前記レール結束部材の前記下段部上と、並置されている前記レールの底部とを包むように前記帯状部材を配置し、
前記帯状部材を締め付けて、前記レールを並置した状態で結束するレール結束部材。
n×d2≧L1≧(n-1)×d2+d1 式(1) - 前記下段部の下に、前記並置された複数本のレールの頭部間の幅よりも狭い長さであり、高さが60mm以下であり、前記下段部の長さ方向の内側に配置された突起部を有する 請求項1記載のレール結束部材。
- 前記下段部の幅が、150mm以下である請求項1または2に記載のレール結束部材。
- 前記上段部の幅が、300mm以下である請求項1~3のいずれかに記載のレール結束部材。
- 前記上段部と前記下段部の高さの差が、50mm以下であり、請求項1~4のいずれかに記載のレール結束部材。
- 請求項1~5のいずれかに記載のレール結束部材を用いたレール結束方法。
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