JP7202841B2 - 電力調整システム - Google Patents

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Description

本発明は電力調整システムに関し、例えば調整可能量を試算可能な電力調整システムに適用して好適なものである。
近年、中小規模の分散した負荷を調整力として積極的に活用する持続可能なエネルギシステムへの転換が求められ、エネルギ需要の調整に係る技術の必要性が高まっている。この点、エネルギ需要の調整を最適化し、バランシングまたはエネルギ管理の要求に対処する技術が開示されている(特許文献1参照)。
また、電力消費率に基づいて、系統にぶら下がる多くの可制御負荷の消費電力調節を負荷の利用者の利便性を損なわずに行い、系統の負荷平準化および需給バランスの適正化を図る技術が開示されている(特許文献2参照)。
特開2016-167300号公報 特開2010-068704号公報
特許文献1では、制御対象となる設備に関するモデルが、自己学習を用いたブラックボックスモデルとして生成されるか、負荷の基礎物理式から手動で構築し、フィッティングを行って生成されるかのいずれかであることが示されている。
前者の場合、通常の運用の範囲で得られるデータのみがモデル学習に利用される。例えば、単純に倒立振り子に関して、線形なモデルを構築するような場合を考えると、うまく制御されている状態のデータだけでは、線形性が期待できないほど大振幅な領域まで傾いた状態にも適したモデルは得られない可能性が高い。同様に、エネルギ需要の調整のために、対象設備の利用方法を変更するような場合まで適用可能なモデルが生成できるかどうかは、対象設備の構成、学習の入力として使えるデータを収集した際の設備の運用方法および運用条件、機械学習に用いるニューラルネットワークの応答関数などのモデル構造に依存する。
後者の場合、基礎物理に基づくモデル構築について専門的な知識が必要であり、パラメータフィッティングに関しても、必要なデータがすべて計測されていない限り、適切にフィッティングできるとは限らない。
また、逆モデル構築に関しては、ルート解決を用いた方法に関する言及があるが、対象に応じた具体的な記載はなく、当業者ならだれでも容易に実現できるとは言えない。特に、機械学習で得たモデルの場合、ニューラルネットワークなどで用いる関数の非線形性等もあり、逆問題が解けるとは限らない。物理式に関しても、すべてを厳密に物理式で表現できるわけではなく、実験式などを含まざるを得ない場合が多い。このような式は、多くの場合、利用可能な条件の範囲などが規定されていたり、逆問題にすると、解が複数生じるような関数になっていたりする場合もあるため、特許文献1に記載されているほど、容易に得られるものではない。
さらに、価値関数の目的となるエネルギ範囲の最大化に関しても、上げ代と下げ代とを同時に最大化するような目的関数となっている。このような最適化の例としては、例えば、風車、太陽光発電などに併設の蓄電池の運用等がある。このような事例では、一般にSoC(State Of Charge)としては50%を基本とするが、これは、リソース(風車、太陽光発電など)側の出力がどのように変動してもできるだけ対応できるようにすることを狙って、蓄電池の上げ代と下げ代とを最大化する運用である。一方で、上げ方向の調整(負荷視点の概念であり、負荷を増やすのを上げ方向と呼ぶ。このため発電の場合は、発電量を減らす方向となる。)が必要なことが分かっている場合は、SoCを30%、20%といった小さい値にし、リソースの発電電力を吸収できるようにする。下げ(発電量を増やす方向)方向の調整が必要な場合には、SoCを70%、80%と大きめの値にし、リソースの発電量より多めに発電できるようにしておいた方がよい。上げ下げの両側への調整可能範囲を最大化する前述の数式で示されるような価値関数を用いる方法は、エネルギ調整の需要予測ができない場合、期待値として調整量を最大化できるが、需要がある程度でも予測できる場合には、有限なリソースから調整量を獲得するという点で効率的とはいえない。
また、特許文献2には、電力消費率γを用いた制御が示されている。本制御では、ある時点での将来の電力消費PfutがPminに比べて大きいものを上げ調整に優先的に使用し、小さいものは下げ調整に優先的に使用するような方式となっている。将来電気を使うなら今使うようにしてもよく、将来電気を使わないなら、今使わなくてしてもよいという観点での制御であり、制御の確実性を高める効果は期待できる。
しかしながら、特許文献1と同様、個々の設備に関して、どのように制御するのかであるとか、将来電気を使わないからといって、個々の設備に関して、今電気を使わないようにして問題がないかといった点に関しては言及されていない。また、過去の実績に基づいて電力消費上げ代Pmax-Pおよび電力消費下げ代Pmin-Pを計算するため、運用、制御などの方法を変更した場合、電力消費上げ代および電力消費下げ代を求めることはできない。このことは、特許文献1と同様、有限なリソースから効率的に調整量を獲得することにはつながらない。
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、調整可能量を適切に試算し得る電力調整システムを提案しようとするものである。
かかる課題を解決するため本発明においては、需要家が有する設備で運用されたエネルギに係る情報を示す運用情報を管理する運用情報管理部と、電力需要に関する複数の制御方式の各々に対応する調整可能量を前記設備の運用情報から試算するためのプログラムを管理するプログラム管理部と、前記プログラムを実行することで前記設備の運用の変更における調整可能量を試算する試算処理部と、を設けるようにした。
上記構成によれば、複数の制御方式の各々に対応する調整可能量を設備の運用情報から試算することができるので、例えば、エネルギ調整のための設備の運用変更を行った場合の調整可能量(電力消費の上げ代および/または電力消費の下げ代)を、設備の運用変更なしに見積もることができる。
本発明によれば、調整力を適切に供給可能な電力調整システムを実現することができる。
第1の実施の形態による電力調整システムに係る構成の一例を示す図である。 第1の実施の形態によるメイン処理に係るフローチャートの一例を示す図である。 第1の実施の形態による試算処理に係るフローチャートの一例を示す図である。 第1の実施の形態による試算処理に係る説明図である。 第1の実施の形態による試算処理に係るフローチャートの一例を示す図である。 第1の実施の形態による試算処理に係る説明図である。 第1の実施の形態による試算処理に係るフローチャートの一例を示す図である。 第1の実施の形態による試算処理に係るフローチャートの一例を示す図である。 第1の実施の形態による試算処理に係る説明図である。 第1の実施の形態による試算処理に係るフローチャートの一例を示す図である。 第1の実施の形態による試算処理に係る説明図である。 第1の実施の形態による試算処理に係るフローチャートの一例を示す図である。 第1の実施の形態による試算処理に係る説明図である。 第1の実施の形態による試算処理に係るフローチャートの一例を示す図である。 第1の実施の形態による試算処理に係るフローチャートの一例を示す図である。 第1の実施の形態による試算処理に係る説明図である。 第1の実施の形態による発電電力と蓄電量とを示すイメージ図である。 第1の実施の形態による試算結果の一例を示す図である。 第1の実施の形態による試算処理に係るフローチャートの一例を示す図である。 第1の実施の形態による消費電力と蓄エネ指標値とを示すイメージ図である。 第1の実施の形態による試算結果の一例を示す図である。 第1の実施の形態による試算処理に係るフローチャートの一例を示す図である。 第1の実施の形態による試算処理に係るフローチャートの一例を示す図である。 第1の実施の形態による電力消費を示すイメージ図である。 第1の実施の形態による試算処理に係るフローチャートの一例を示す図である。 第1の実施の形態による試算処理に係るフローチャートの一例を示す図である。 第1の実施の形態による消費電力を示すイメージ図である。 第1の実施の形態による試算処理に係るフローチャートの一例を示す図である。 第1の実施の形態による試算処理に係るフローチャートの一例を示す図である。 第1の実施の形態による試算処理に係るフローチャートの一例を示す図である。 第2の実施の形態による電力調整システムに係る構成の一例を示す図である。 第2の実施の形態によるインデックス生成紐付処理に係るフローチャートの一例を示す図である。 第2の実施の形態によるインデックス化処理に係るフローチャートの一例を示す図である。 第2の実施の形態によるインデックス化処理に係るフローチャートの一例を示す図である。 第2の実施の形態によるインデックス化処理に係るフローチャートの一例を示す図である。 第3の実施の形態による電力調整システムに係る構成の一例を示す図である。 第3の実施の形態による試算処理に係るフローチャートの一例を示す図である。 第3の実施の形態による試算処理に係るフローチャートの一例を示す図である。 第3の実施の形態による事前制御処理に係るフローチャートの一例を示す図である。 第3の実施の形態による調整制御処理に係るフローチャートの一例を示す図である。 第3の実施の形態による指令配分処理に係るフローチャートの一例を示す図である。 第3の実施の形態による制御結果管理処理に係るフローチャートの一例を示す図である。 第3の実施の形態による指令情報の一例を示す図である。 第3の実施の形態による実績情報の一例を示す図である。 第3の実施の形態による事前制御処理に係るフローチャートの一例を示す図である。 第3の実施の形態による事前制御処理に係るフローチャートの一例を示す図である。 第3の実施の形態による調整制御処理に係るフローチャートの一例を示す図である。 第3の実施の形態による調整制御処理に係るフローチャートの一例を示す図である。 第3の実施の形態による調整制御処理に係るフローチャートの一例を示す図である。 第3の実施の形態による調整制御処理に係るフローチャートの一例を示す図である。 第3の実施の形態による調整制御処理に係るフローチャートの一例を示す図である。 第3の実施の形態による調整制御処理に係るフローチャートの一例を示す図である。 第3の実施の形態による調整制御処理に係るフローチャートの一例を示す図である。 第3の実施の形態による調整制御処理に係るフローチャートの一例を示す図である。 第3の実施の形態による調整制御処理に係るフローチャートの一例を示す図である。 第3の実施の形態による調整制御処理に係るフローチャートの一例を示す図である。 第3の実施の形態による調整制御処理に係るフローチャートの一例を示す図である。 第3の実施の形態による調整制御処理に係るフローチャートの一例を示す図である。 第3の実施の形態による調整制御処理に係るフローチャートの一例を示す図である。
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。本実施の形態では、系統の安定化に資する電力の調整を行うことができる電力調整システムについて説明する。
本実施の形態では、系統から需要家への電力の供給が増える調整を「上げ調整」と称称する。例えば、使用していない需要家の負荷設備を動かすことは上げ調整である。また、例えば、需要家が蓄電池を有している場合、蓄電することは上げ調整である。他方、系統から需要家への電力の供給が減る調整を「下げ調整」と称する。例えば、使用している需要家の負荷設備を止めることは下げ調整である。また、例えば、需要家が蓄電池を有し、蓄電運転している場合、蓄電を止めることは下げ調整である。また、例えば、需要家が発電機(ジェネレータ)を有している場合、発電機の発電量を上げることは下げ調整である。
また、事前に対策してから行う上げ調整または下げ調整を「事前対策型の調整」と称する。例えば、需要家が蓄電池を有し、夜間に蓄電運転がされている場合、翌日の昼に上げ調整が行われることが試算されているときに、夜間の蓄電を抑え、昼に蓄電することは事前対策型の上げ調整である。他方、現状に応じて行われる上げ調整または下げ調整を「成り行き型の調整」と称する。例えば、例えば、需要家が蓄電池を有し、蓄電池における蓄電可能な範囲において蓄電することは成り行き型の上げ調整である。
また、エネルギ(電気エネルギ、熱エネルギ等)を貯め、必要に応じて取り出して利用できるエネルギを「蓄エネルギ(蓄エネ)」と称する。
本実施の形態では、調整力の制御方式として、下記の10個のパターンを例に挙げて説明する。
(i)事前対策型の上げ調整
(ii)事前対策型の放エネによる下げ調整
(iii)事前対策型の蓄エネ抑止による下げ調整
(iv)成り行き型の上げ調整
(v)成り行き型の放エネによる下げ調整
(vi)成り行き型の蓄エネ抑止による下げ調整
(vii)再エネ併設蓄電池による調整(上げ調整または下げ調整)
(viii)非電力での蓄エネによる調整(上げ調整または下げ調整)
(ix)負荷設備の計画変更による調整(上げ調整または下げ調整)
(x)電力以外のエネルギ利用発電機器の運転変更による調整(上げ調整または下げ調整)
ただし、例として挙げた上述の制御方式に限られるものではない。また、例として挙げた全ての制御方式が設けられていなくてもよいし、他の制御方式が採用されてもよいし、他の制御方式と入れ替えられてもよい。任意の制御方式を追加、削除することができる。
(1)第1の実施の形態
図1において、1は全体として第1の実施の形態による電力調整システムを示す。電力調整システム1は、試算処理部100、運用情報管理部110、プログラム管理部120、および試算結果管理部130を備える。電力調整システム1は、WAN(Wide Area Network)などのネットワーク140を介して需要家150から設備151の運用データ(運用情報)を取得する。なお、ネットワーク140には、複数の需要家150が接続される。
試算処理部100、運用情報管理部110、プログラム管理部120、および試算結果管理部130は、一のコンピュータにより実現されてもよいし、別々のコンピュータにより実現されてもよい。以下では、試算処理部100、運用情報管理部110、プログラム管理部120、および試算結果管理部130が一のコンピュータ(運用情報変換装置)により実現される場合を例に挙げて説明する。
例えば、運用情報変換装置は、ノートパソコン、サーバ装置等であり、図示は省略するCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、通信部などを含んで構成される。
運用情報変換装置の機能(試算処理部100、運用情報管理部110、プログラム管理部120、試算結果管理部130など)は、例えば、CPUがROMに格納されたプログラムをRAMに読み出して実行すること(ソフトウェア)により実現されてもよいし、専用の回路などのハードウェアにより実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとが組み合わされて実現されてもよい。また、運用情報変換装置の機能の一部は、運用情報変換装置と通信可能な他のコンピュータにより実現されてもよい。
運用情報管理部110は、需要家150が有する設備151で運用されたエネルギに係る情報を示す運用情報(運用データ)を管理する。
例えば、設備151には、エネルギを貯蔵可能なエネルギ貯蔵設備、太陽光、風力、地熱などの地球資源のエネルギに基づいて発電可能な再生可能エネルギ発電装置、熱容量を持つ設備、電力以外のエネルギに基づいて発電可能な発電設備、電力を使用して稼働する複数の設備などが含まれる。
また、例えば、図1に示すように、設備151の運用データ111には、時刻(年月日時分秒)、蓄エネ量(Wh)、蓄エネ電力(W)のデータが含まれる。運用データは、HDDなどの記憶装置に記憶されている。
プログラム管理部120は、変換定義データを管理する。例えば、図1に示すように、変換定義データ121には、蓄エネ定格容量、運転シナリオ、変換ルールのデータが含まれる。
蓄エネ定格容量は、例えば、蓄エネ量がSoC「%」で記憶されている場合に電力量「Wh」に変換する際に用いられる。
運転シナリオは、制御方式を示すラベル(需要家150に提示されるラベルであって、需要家150がインタフェース部152を介して選択可能なラベル)である。運転シナリオとしては、例えば、下記に示すように分類されてラベルが設けられる。なお、制御方式が1つ以上選択可能であるならば、必ずしもこのような分類には限定されない。
1.時分割蓄エネ運用
a)前DR(Demand Response)-事後対策型:パターン(iv)~(vi)のラベル
b)事前対策-後DR型:パターン(i)~(iii)のラベル
2.しわ付け運用
a)しわ付けby蓄エネ型:パターン(vii)のラベル
b)しわ付けof蓄エネ型:パターン(viii)のラベル
3.負荷レイアウト運用
a)順序変更型:パターン(ix)のラベル
b)代替設備運用型:パターン(x)のラベル
変換ルールは、運用データを変換するルール(例えば、各制御方式での調整可能量を運用データに基づいて算出するための調整可能量試算用のプログラム)であり、ラベルに対応付けられて設けられる。
かかる変換定義データの情報がプログラム管理部120により追加、削除などされることにより、所望の制御方式に対応する調整可能量を算出できるようになる。
このように、プログラム管理部120は、電力需要に関する複数の制御方式の各々に対応する調整可能量を設備151の運用データから試算するためのプログラムを管理する。
試算結果管理部130は、調整可能量試算用のプログラムを実行することで設備151の運用の変更における調整可能量を試算する。また、試算結果管理部130は、試算した調整可能量を含む試算結果を管理する。例えば、図1に示すように、試算結果131は、制御方式、制御の開始時刻、制御の終了時刻、および調整可能量の情報を含んで構成される。
電力調整システム1は、上述した構成を備え、例えば、分類された制御方式のラベルを需要家150が選択可能なように、ネットワーク140経由で需要家150のインタフェース部152に操作入力画面(図示は省略。)を提示する。インタフェース部152では、需要家150が調整可能量の試算を所望する制御方式を一または複数選択可能である。電力調整システム1は、需要家150により選択されたラベル(選択結果)に対応する調整可能量試算用のプログラムを実行して調整可能量を試算し、調整可能量を含む試算結果を記憶する。
なお、電力調整システム1は、需要家150による選択結果を記憶装置に記録してもよい。また、図示は省略するが、電力調整システム1は、結果表示データ生成部を有し、試算処理部100による試算結果(例えば、調整可能量)を需要家150に提示(需要家150のインタフェース部152に表示)する構成としてもよい。
図2は、蓄エネ量の運用データ(実績データ)に基づいて調整可能量等を計算するメイン処理に係るフローチャートの一例(ステップS200~ステップS211)を示す図である。本実施の形態では、需要家150の運用データをネットワーク140経由で記憶装置に格納してから、図2に示すフローチャートに従って、調整可能量の試算を行う。ただし、需要家150側にプログラムを流し込んで実施してもよいし、需要家150側のデータを受信し、記憶装置に蓄積することなく、オンメモリで処理するように構成してもよい。本処理で使用する運用データには、データのタイムスタンプ(時刻)と、蓄エネ量(またはそれに相当する量)、蓄エネ電力が含まれる。
ステップS201では、試算処理部100は、蓄エネ量の運用データ(時系列データ)を用いて、蓄エネ運用の周期性に基づいて基本周期を決定する。基本周期の決定には、FFT(Fast Fourier Transform)のような周波数分析アルゴリズムを用いてもよいし、予め設定した周期(1日、1週間など)を用いてもよい。
ステップS202では、試算処理部100は、需要家150から受信した運用データが、ステップS201で決定した周期に対して何周期分あるかを計算する。例えば、試算処理部100は、運用データの時間断面数を基本周期で割ることで得た値について小数点以下を切り捨てる計算を行う。
ステップS203では、試算処理部100は、繰り返しカウンタiを「1」に初期化する。
続いて、試算処理部100は、ループ処理(ステップS204~ステップS210)を行う。ステップS205~ステップS209では、第i周期目のデータ(運用データ)に対する処理を表す。
ステップS205では、試算処理部100は、最も早い時間断面の運用データ(実績)からi番目の基本周期分のデータを取り出す。
ステップS206では、試算処理部100は、取り出したデータについて、蓄エネ運転または放エネ運転に伴う蓄エネ量の上ピーク値と下ピーク値とを探索する。
ステップS207では、試算処理部100は、下ピーク値の発生時刻を下至時刻として記録し、上ピーク値の発生時刻を上至時刻として記録する。
ステップS208では、試算処理部100は、インタフェース部152を介して需要家150から得た蓄エネ設備の蓄エネ量の運用上値および運用下限値を用いて、運用上限値と上ピーク最大値との差と、運用下限値と下ピーク最小値との差とを計算する。
ステップS209では、試算処理部100は、上述した処理を行った上で、需要家150が予め選択した制御方式に対応した調整可能量試算用のプログラムを実行することで、試算処理が行われる。以下では、試算処理の主体を試算処理部100として説明するが、試算処理の主体については試算処理部100に限られるものではない。
なお、変換定義データ121で定義された制御方式の全てに対して実施するようにしてもよい。
このように、試算処理部100は、実際の電力調整のための設備151の制御を行わない場合でも、需要家150が予め選択した制御方式に対応して設備151の運用データから調整可能量(供給可能な調整力)を試算することができる。また、設備151の運用データの周期性に基づいて設備151の運用データを分割し、分割したデータごとに設備151の運用の変更における調整可能量を試算するので、運用データの周期ごとに調整可能量を得ることができる。
次に、試算処理について、図3~図24Cを用いて説明する。
図3は、事前対策型で上げ調整を行う制御方式に関する試算処理に係るフローチャートの一例を示す図である。図4は、ステップS205で取得したデータのうち、蓄エネ量の時間変化(イメージ図)と、図3で示す処理の過程における参照ポイント、変更結果などを示す図(試算処理に係る説明図)である。図4において、実線は、試算処理において解析(試算)の対象となる運用データを示す。破線は、事前対策をしたときの蓄エネ量の推移データを示す。二点鎖線は、上げ調整を行ったときの蓄エネ量の推移データを示す。
ステップS301では、試算処理部100は、下ピーク最小値と運用下限値との差を計算して事前制御量(d)とする。事前制御量は、事前対策を行うことにより、調整可能となる蓄エネ量を示す。付言するならば、運用データでは、下ピーク最小値が運用下限値にまで達していないので、例えば、下ピーク下限値が運用下限値と一致するように、蓄エネ運転を制御(事前対策)することで、事前制御量を最大限に確保できる。
ステップS302では、試算処理部100は、事前制御量(d)を超える蓄エネ量の減少が生じている最も早い時間帯(または、一定の上限を持たす蓄エネ量の減少が生じている最も早い時間帯)を探索し、探索した時間帯(期間)の開始時刻(a)を抽出する。
ステップS303では、試算処理部100は、上至時刻(b)より前で、蓄エネ電力の絶対値が所定値を上回る期間での蓄エネ電力の平均値から、単位蓄エネ量当たりの蓄エネ電力を計算する。
ステップS304では、試算処理部100は、運用上限値と上至時刻での蓄エネ量(e)との差(事前対策を実施しなくても調整可能となる蓄エネ量)と、事前制御量(d)との和(調整可能蓄エネ量)を計算し、単位蓄エネ量当たりの蓄エネ電力を用いて、計算した調整可能蓄エネ量を蓄エネ電力に換算して調整可能量(c)とする。
ステップS305では、試算処理部100は、試算結果として、開始時刻(第1要素)、上至時刻(第2要素)、調整可能量(第3要素)、事前制御量(第4要素)、上至蓄エネ量(第5要素)、単位蓄エネ量当たりの蓄エネ電力(第6要素)をセットで、事前対策型で上げ調整を行う制御方式に関する結果として記録する。
なお、図4では、事前対策を行った場合、調整が最大となる上げ調整の指令があったときの推移データ401と、運用データと同じ推移になる上げ調整の指令があったときの推移データ402とが例示されているが、これらに限られるものではなく、需要家150では、調整可能量の範囲における任意の調整量の上げ調整の指令を受けることができる。
図5は、事前対策型で放エネによる下げ調整を行う制御方式に関する試算処理に係るフローチャートの一例を示す図である。図6は、ステップS205で取得したデータのうち、蓄エネ量の時間変化(イメージ図)と、図5で示す処理の過程における参照ポイント、変更結果などを示す図(試算処理に係る説明図)である。実線は、試算処理において解析(試算)の対象となる運用データを示す。破線は、事前対策をしたときの蓄エネ量の推移データを示す。二点鎖線は、下げ調整を行ったときの蓄エネ量の推移データを示す。
ステップS501では、試算処理部100は、上ピーク最大値と運用上限値との差を計算して事前制御量(d)とする。
ステップS502では、試算処理部100は、事前制御量(d)分(または一定量以上)の蓄エネ量の減少が生じている最も早い時間帯を基本周期の期間内で探索し、探索した期間の開始時刻(a)を抽出する。
ステップS503では、試算処理部100は、下至時刻より前で、放エネ電力の絶対値が所定値を上回る期間での放エネ電力の平均値から、単位蓄(放)エネ量当たりの放エネ電力を計算する。
ステップS504では、試算処理部100は、下至時刻での蓄エネ量と運用下限値との差(事前対策を実施しなくても調整可能となる蓄エネ量)と、事前制御量(d)との和(調整可能蓄エネ量)を計算する。
ステップS505では、試算処理部100は、運用上限値と運用下限値との差から調整可能蓄エネ量を引いた値を運用放エネ量(e)とする。
ステップS506では、試算処理部100は、単位蓄(放)エネ量当たりの放エネ電力を用いて、調整可能蓄エネ量を放エネ電力に換算して調整可能量(c)とする。
ステップS507では、試算処理部100は、試算結果として、開始時刻(第1要素)、上至時刻(第2要素)、調整可能量(第3要素)、事前制御量(第4要素)、運用放エネ量(第5要素)、単位蓄(放)エネ量当たりの放エネ電力(第6要素)をセットで、事前対策型で放エネによる下げ調整を行う制御方式に関する結果として記録する。
このような制御方式は、蓄電池、V2G(Vehicle To Grid)、V2H(Vehicle To Home)が可能なEV(Electric Vehicle)、双方向運用が可能な電力とガスとの変換装置、小水力発電と屋上貯水槽など組み合わせも含む揚水発電設備、圧縮空気蓄電設備など、蓄えたエネルギを再度電力に戻すことが可能な蓄エネ設備を需要家150が有している場合に適用が可能な制御方式となる。
図7Aおよび図7Bは、事前対策型で蓄エネ抑止による下げ調整を行う制御方式に関する試算処理に係るフローチャートの一例を示す図である。図8は、ステップS205で取得したデータのうち、蓄エネ量の時間変化(イメージ図)と、図7Aおよび図7Bで示した処理の過程における参照ポイント、変更結果などを示す図(試算処理に係る説明図)である。
ステップS701では、試算処理部100は、基本周期内での最初の蓄エネ量のピークの発生時刻(第1の上至時刻)求める。
ステップS702では、試算処理部100は、第1の上至時刻以降の蓄エネ量の時間差分を求め、差分値が所定期間連続して正となる期間、または一定量以上の増加を示す期間を候補期間として抽出し、候補期間の開始時刻(b)と終了時刻(c)とを求める。
ステップS703では、試算処理部100は、第1の上至時刻より後で、放エネ電力の絶対値が所定値を上回る期間での蓄エネ電力の平均値から、単位蓄エネ量当たりの蓄エネ電力を計算する。
ステップS704では、試算処理部100は、ステップS701で求めたピークの蓄エネ量(蓄エネ量ピーク値)と運用上限値との差を計算し、第1の上至時刻以降の運用データ(実績データ801)に対して、ステップS702で求めた候補期間の開始時刻(b)までは、この差を上乗せした補正後データを作成する。また、試算処理部100は、候補期間の開始時刻(b)以降、候補期間の終了時刻(c)までは、直前の値(抑止時蓄エネ量(k))をキープし、候補期間の終了時刻(c)以降は、候補期間の終了時刻(c)での補正後データと運用データとの差(d)を維持した補正後データを作成する。試算処理部100は、これらの補正後データを繋ぎ合わせて推移データ802とする。
ステップS705では、試算処理部100は、ステップS704で作成した推移データ802と、候補期間における実績データ801との交点(第1の限界抑制時刻(e),第1の抑制時蓄エネ量(k))を求める。なお、交点の時刻を第1の限界抑制時刻(e)とし、交点の蓄エネ量を第1の抑制時蓄エネ量(k)とする。
ステップS706では、試算処理部100は、ステップS702で求めた候補期間の開始時刻(b)と第1の限界抑制時刻(e)との差を計算して第1の期間(f)とする。
ステップS707では、試算処理部100は、ステップS704で構築した推移データ802の下ピーク値を求め、下ピーク値と運用下限値とを比較する。試算処理部100は、下ピーク値が運用下限値以下であると判定した場合、ステップS708に処理を移し、下ピーク値が運用下限値より大きいと判定した場合、ステップS712に処理を移す。
ステップS708では、試算処理部100は、推移データ802の下ピーク値と運用下限値との差を、推移データ802に加えた新たな推移データ803を作成し、推移データ803と、開始時刻(b)と終了時刻(c)との間における推移データ802との交点(第2の限界抑制時刻(g),事後制御量(i))を求める。なお、交点の時刻を第2の限界抑制時刻(g)とし、交点の蓄エネ量を事後制御量(i)とする。
ステップS709では、試算処理部100は、第2の限界抑制時刻(g)と終了時刻(c)との差を計算して第2の期間(j)とする。
ステップS710では、試算処理部100は、事前制御量(i)を運用上限値とし、抑制可能期間を第1の期間(f)と第2の期間(j)の和として求める。
ステップS711では、試算処理部100は、事後制御量(i)から開始時点(b)での蓄エネ量(蓄エネ量x)を減算した値を、調整可能蓄エネ量(下げ可能量相当の蓄エネ量)とする。
ステップS712では、試算処理部100は、推移データ802の下ピーク値と運用下限値の差(m)を推移データ802から減算した新たな推移データ804を作成し、推移データ804の第1の上至時刻での値を求め、これを事前制御量(h)とする。また、試算処理部100は、抑止時蓄エネ量(k)から推移データ802の下ピーク値と運用下限値との差(m)を減算した値を事後制御量とする。
ステップS713では、試算処理部100は、候補期間の開始時刻(b)から終了時刻(c)までを抑制可能期間とする。
ステップS714では、試算処理部100は、候補期間の終了時刻(c)での蓄エネ量(L)から候補期間の開始時刻(b)の蓄エネ量(蓄エネ量x)を差し引いた値を調整可能蓄エネ量とする。
ステップS715では、試算処理部100は、調整可能蓄エネ量を蓄エネ電力に換算して調整可能量とする。換算には、ステップS703で計算した単位蓄エネ量当たりの蓄エネ電力を使用する。
ステップS716では、試算処理部100は、試算結果として、ステップS710またはステップS713で計算した抑制可能期間(第1要素)と、候補期間の開始時刻(第2要素)、調整可能量(第3要素)、事前制御量(第4要素)、事後制御量(第5要素)、ステップS703で計算した単位蓄エネ量当たりの蓄エネ電力(第6要素)をセットで、事前対策型で蓄エネ抑止による下げ調整を行う制御方式に関する結果として記録する。
本制御方式は、図5、図6で示した放エネによる下げ調整を行う制御方式が前提とする設備のみならず、ヒートポンプ式給湯器、水道配水設備のように、熱エネルギ、位置エネルギなど電力以外のエネルギ形態でエネルギを貯蔵した後に、再度、電力に戻す手段を持たないような蓄エネ設備に関しても適用できる。
図9は、成り行き型で上げ調整を行う制御方式に関する試算処理に係るフローチャートの一例を示す図である。図10は、ステップS205で取得したデータのうち、蓄エネ量の時間変化(イメージ図)と、図9で示した処理の過程における参照ポイント、変更結果などを示す図(試算処理に係る説明図)である。
ステップS901では、試算処理部100は、上至時刻より前で、蓄エネ電力の絶対値が所定値を上回る期間での蓄エネ電力の平均値を、単位蓄エネ量当たりの蓄エネ電力として計算する。
ステップS902では、試算処理部100は、上至時刻の蓄エネ量と運用上限値との差(調整可能蓄エネ量)を、蓄エネ電力に換算して調整可能量とする。換算には、ステップS901で計算した単位蓄エネ量あたりの蓄エネ電力を用いる。
ステップS903では、試算処理部100は、上至時刻の蓄エネ量と運用上限値との差と、下ピーク値と運用下限値との差とを計算し、これらの差の和を事後制御量とする。
ステップS904では、試算処理部100は、例えば、ヒートポンプ式給湯器などのように蓄エネ運転と放エネ運転とを同時に実行できるか否かで、運用条件が異なるため、蓄エネ運転と放エネ運転とを同時に実行可能であるか否かを判定する。試算処理部100は、同時に実行できると判定した場合、ステップS905に処理を移し、同時に実行できないと判定した場合、ステップS906に処理を移す。
ステップS905では、試算処理部100は、蓄エネ運転と放エネ運転とを同時に実施できる設備である場合、基本周期の期間(対象期間)の間、いつでも上げ調整が可能であるので、対象期間の終了時刻(第1要素)、上至時刻(第2要素)、ステップS902で求めた調整可能量(第3要素)、ステップS903で求めた事後制御量(第4要素)、上至蓄エネ量(第5要素)、単位蓄エネ量あたりの蓄エネ電力(第6要素)をセットで、成り行き型で上げ調整を行う制御方式に関する結果として記録する。
ステップS906では、試算処理部100は、蓄エネ運転と放エネ運転とを同時に実施できない設備である場合、上至時刻以降で、蓄エネ量の減少が所定値以下の時間帯を求める。
ステップS907では、試算処理部100は、ステップS906で求めた時間帯の開始時刻(第1要素)、上至時刻(第2要素)、調整可能量(第3要素)、事後制御量(第4要素)、上至蓄エネ量(第5要素)、単位蓄エネ量当たりの蓄エネ電力(第6要素)をセットで、成り行き型で上げ調整を行う制御方式に関する結果として記録する。
図11は、成り行き型で放エネによる下げ調整を行う制御方式に関する試算処理に係るフローチャートの一例を示す図である。図12は、ステップS205で取得したデータのうち、蓄エネ量の時間変化(イメージ図)と、図11で示した処理の過程における参照ポイント、変更結果などを示す図(試算処理に係る説明図)である。
ステップS1101では、試算処理部100は、基本周期の期間(当該期間)の最後の下ピークの蓄エネ量(下ピーク蓄エネ量)を求める。
ステップS1102では、試算処理部100は、上至時刻(b)以降の蓄エネ量の変化が所定値以下の期間(安定期間)を求める。
ステップS1103では、試算処理部100は、ステップS1101で求めた下ピーク蓄エネ量の発生時刻より前で、放エネ電力の絶対値が所定値を上回る期間での放エネ電力の平均値を、単位蓄(放)エネ量当たりの放エネ電力として計算する。
ステップS1104では、試算処理部100は、ステップS1101で求めた下ピーク蓄エネ量と運用下限値との差(調整可能蓄エネ量)を放エネ電力に換算して調整可能量(c)とする。換算には、ステップS1103で計算した単位蓄(放)エネ量あたりの放エネ電力を用いる。
ステップS1105では、試算処理部100は、ステップS1102で求めた期間の終了時刻(a)での蓄エネ量とステップS1101で求めた下ピーク蓄エネ量との差を運用放エネ量とする。
ステップS1105では、ステップS1102で求めた期間の終了時刻(第1要素)、上至時刻(第2要素)、調整可能量(第3要素)、事後制御量(第4要素)、運用放エネ量(第5要素)、ステップS1103で計算した単位放エネ量あたりの放エネ電力(第6要素)をセットで、成り行き型で放エネによる下げ調整を行う制御方式に関する結果として記録する。
本制御方式も、図5、図6の場合と同様、蓄えたエネルギを再度電力に戻すことが可能な蓄エネ設備を需要家150が有している場合に適用可能な方法である。
図13Aおよび図13Bは、成り行き型で蓄エネ抑止による下げ調整を行う制御方式に関する試算処理に係るフローチャートの一例を示す図である。図14は、ステップS205で取得したデータのうち、蓄エネ量の時間変化(イメージ図)と、図13Aおよび図13Bで示した処理の過程における参照ポイント、変更結果などを示す図(試算処理に係る説明図)である。
ステップS1301では、試算処理部100は、基本周期の期間(当該期間)における下ピークの蓄エネ量(下ピーク蓄エネ量)のうち、最小の値を求める。
ステップS1302では、試算処理部100は、最小の下ピーク蓄エネ量と運用下限値との差を調整代とする。
ステップS1303では、試算処理部100は、図示を省略する蓄エネ電力の消費量(蓄エネ電力消費量データ)が一定以上の期間(蓄エネ期間)の開始時刻を、時刻の昇順に、第1の蓄エネ開始時刻(b1)、第2の蓄エネ開始時刻(b2)、第3の蓄エネ開始時刻(b3)、・・・とし、終了時刻を、時刻の昇順に、第1の上至時刻(a1)、第2の上至時刻(a2)、第3の上至時刻(a3)、・・・とする。
ステップS1304では、試算処理部100は、第1の上至時刻以降の運用データ1401(蓄エネ量データ)をステップS1302で求めた調整代の大きさだけ下方にシフトした補正データ1402を生成する。
ステップS1305では、試算処理部100は、補正データ1402の各上至時刻での値を各上至時刻以前に延長し、蓄エネ量の運用データ1401との交点の時刻(第1の時刻(c1),第2の時刻(c2),・・・)を求める。
ステップS1306では、試算処理部100は、各上至時刻と交点の時刻との時間差(第1の時間差(d1)、第2の時間差(d2),・・・)を計算する。
続いて、試算処理部100は、ステップS1303で探索した蓄エネ期間の数だけ、以下のループ処理(ステップS1307~ステップS1316)を実施して、調整可能量の試算結果を記録する。なお、ループ処理のインデックスをiで示す。
ステップS1308では、試算処理部100は、第iの蓄エネ開始時刻から第iの蓄エネ終了時刻までの蓄エネ電力を蓄エネ電力消費量データから取得する。
ステップS1309では、試算処理部100は、第iの蓄エネ開始時刻から第iの蓄エネ終了時刻までの蓄エネ量を運用データ1401から取得する。
ステップS1310では、試算処理部100は、ステップS1308で取得した蓄エネ電力と、ステップS1309で取得した蓄エネ量とを用いて、単位蓄エネ量当たりの蓄エネ電力を計算する。
ステップS1311では、試算処理部100は、ステップS1305で算出した第iの時刻(ci)から第iの上至時刻(ai)までの間の蓄エネ量の増加量を運用データ1401から取得する。
ステップS1312では、試算処理部100は、蓄エネ量の増加量にステップS1310で計算した単位蓄エネ量当たりの蓄エネ電力を掛けて調整可能量に換算する。
ステップS1313では、試算処理部100は、第iの時刻(ci)での蓄エネ量を運用データ1401から取得して事後制御量とする。
ステップS1314では、試算処理部100は、運用データ1401における第iの上至時刻(ai)での蓄エネ量と第i+1の蓄エネ開始時刻(bi+1)での蓄エネ量との差を運用放エネ量とする。
ステップS1315では、試算処理部100は、第iの上至時刻(第1要素)、第iの蓄エネ開始時刻(第2要素)、ステップS1312で計算した調整可能量(第3要素)、ステップS1313で計算した事後制御量(第4要素)、ステップS1314で計算した運用放エネ量(第5要素)、ステップS1310で計算した単位蓄エネ量当たりの蓄エネ電力(第6要素)をi番目の結果としてセットで、成り行き型で蓄エネ抑止による下げ調整を行う制御方式に関する結果として記録する。
本制御方式は、図7A、図7B、図8の場合と同様、蓄えたエネルギを再度電力に戻すことができない蓄エネ設備を需要家150が有している場合にも適用可能な方法である。
図3~図14に示したように、需要家150の設備151として、エネルギを貯蔵可能なエネルギ貯蔵設備(蓄電池、蓄熱槽、フライホイール、圧縮空気エネルギ貯蔵装置など)が含まれる場合、運用情報管理部110は、エネルギ貯蔵設備のエネルギの貯蔵量(例えば、蓄エネ量)を示す貯蔵量情報(運用データ)を管理する。また、プログラム管理部120は、エネルギ貯蔵設備に係るプログラムを管理する。また、試算処理部100は、エネルギ貯蔵設備に係るプログラムを実行することで、エネルギ貯蔵設備の貯蔵量情報から、エネルギ貯蔵設備の運用の変更における調整可能量を試算する。
次に、図15~図17を用いて、再生可能エネルギ発電設備と併設する蓄電池を用いた制御方式に関する試算方法について説明する。ここで示す制御方式は、系統連系要件として蓄電池の設置を義務付けられた再エネ発電設備の場合だけではなく、蓄電池と太陽光発電設備を併設する工場、家庭などにおいても実施可能である。
図15は、再生可能エネルギによる発電電力(系統への潮流変化)と蓄電池の蓄電量の変化とを示す図(イメージ図)である。時間方向の補助線を3区画毎に長く示しているのは、発電電力の管理単位を意図しており、各区画の発電量を破線で、連系点からの電力の当該管理期間における平均値を棒グラフで、蓄電量は、折れ線で示している。
図16は、図15で示すような発電(逆潮流の実績)に対して制御方式を適用した場合の試算結果を示している。左から数えて4番目の管理期間で示したように、再生可能エネルギ設備の発電量よりも多めの電力を系統に逆潮流し、5番目と6番目の管理期間で再生可能エネルギ設備の発電量よりも少なめの電力を逆潮流することで、第7番目の管理期間の開始時点における蓄エネ量が、図15に示す試算前の値と同じになるようにした例を示している。
以下、このような試算を行う試算処理を、図17を用いて説明する。
図17は、再エネ併設蓄電池による調整を行う制御方式に関する試算処理に係るフローチャートの一例を示す図である。
試算処理部100は、前述の管理対象の時間帯を時刻の昇順でループ処理(ステップS1701~ステップS1711)を行い、調整可能量の試算を行う。
ステップS1702では、試算処理部100は、時間幅の設定を行う。これは、図15の下側(蓄電量の変化)に示したように、ステップS1701で決めた時間帯の開始時刻(b)を起点とした期間の幅を設定するものであり、図15の例では、2管理期間を示している。これにより調整力供給制御の当該時間帯の開始時刻(b)と終了時刻(a)とが決まる。
ステップS1703では、試算処理部100は、当該時間帯の終了時刻(時刻(a))での蓄エネ量を取得し、取得した蓄エネ量と運用下限値との差を計算するとともに、時刻(a)以降の所定期間(c)における発電量を計算する。図15に示す例では、時刻(a)から時刻(d)までの発電量であり、所定期間(c)における上側グラフにおける棒グラフの面積となる。図15で所定期間(c)として示した期間は、調整力供給制御の実施以降、もとの状態に戻すまでの最大限許容する期間(事後制御期間長)に相当する。
ステップS1704では、試算処理部100は、ステップS1703で取得した当該時間帯の終了時刻(a)の蓄エネ量と、時刻(a)以降の所定期間(c)での発電量と、蓄エネ装置の電力変換装置の最大放電能力で、ステップS1702で設定した所定期間(c)の間で放電可能な電力量のうち、最も小さい値を取得し、これを当該時間帯の下げ(負荷として見た時の逆潮流増加)方向の調整可能量(放電可能量)として記録する。
ステップS1705では、試算処理部100は、当該時間帯の終了時刻(a)以降の所定期間(c)での蓄エネ量と運用上限値との差の最小値を計算する。これは、時点(a)以降で追加充電しても運用上問題のない量を計算していることになる。
ステップS1706では、試算処理部100は、最小値から、時刻(b)から時刻(a)での蓄電量を差し引いた量と、ゼロとのうち、大きい方の値を時刻(b)以降の充電余力とする。
ステップS1707では、試算処理部100は、ステップS1706で計算した充電余力と、蓄エネ装置の電力変換装置の最大蓄電能力で、ステップS1702で設定した所定期間(c)の間で充電可能な電力量との比較を行い、小さい方の量を当該時間帯の上げ(負荷として見た時の順潮流増加)方向の調整可能量(充電可能量)として記録する。
ステップS1708では、試算処理部100は、当該時間帯の開始時刻(b)からステップS1702で指定した当該時間幅経過した時刻(a)(第1要素)、当該時間帯の開始時刻(b)(第2要素)、ステップS1704で計算した下げ方向調整可能量(第3要素)、時刻(b)での蓄電量(第5要素)、回復までに許容する所定期間(c)(第6要素)をセットで、再エネ併設蓄電池による下げ調整を行う制御方式に関する結果として記録する。
ステップS1709では、試算処理部100は、ステップS1708で記録した要素のうち、第3要素をステップS1707で計算した上げ方向調整可能量とし、再エネ併設蓄電池による上げ調整を行う制御方式に関する結果として記録する。
図15~図17に示したように、需要家150の設備151として、再生可能エネルギ発電装置に併設して系統への電力の出力の平滑化に利用するエネルギ貯蔵設備が含まれる場合、運用情報管理部110は、エネルギ貯蔵設備のエネルギの貯蔵量(例えば、蓄電量)を示す貯蔵量情報(運用データ)と、再生可能エネルギ発電装置の発電量を示す発電量情報と、を管理する。また、プログラム管理部120は、エネルギ貯蔵設備に係るプログラムを管理する。また、試算処理部100は、エネルギ貯蔵設備に係るプログラムを実行することで、エネルギ貯蔵設備の貯蔵量情報と再生可能エネルギ発電装置の発電量情報とから、エネルギ貯蔵設備の運用の変更における調整可能量を試算する。
次に、図18~図20Bを用いて、非電力での蓄エネによる調整を行う制御方式に関する試算方法について説明する。ここで示す制御方式は、ビルの熱源設備、躯体蓄熱などの蓄エネ方法を行う負荷設備について適用可能な制御方式である。
図18は、電力を一次エネルギとして稼働する空調設備などの消費電力(蓄エネ電力)と、それによって得られる居室の気温などの蓄エネ指標値との時間変化を示す図(イメージ図)である。図18は、実績を示し、図19は、試算結果を示す。図19では、左から10番目の時間帯で蓄エネ電力を抑制することで、蓄エネ指標値の低下が生じ、11番目および12番目の時間帯で蓄エネ電力を増加させて蓄エネ指標値の回復を行っている様子を示している。
以下、このような試算を行う試算処理を、図20Aおよび図20Bを用いて説明する。
図20Aおよび図20Bは、非電力での蓄エネによる調整を行う制御方式に関する試算処理に係るフローチャートの一例を示す図である。なお、図19の例では、1管理時間幅に関する蓄エネ電力の抑制と復帰との様子を示したが、必ずしも1管理時間区間での調整力供給に限定する必要はないため、ステップS2001~ステップS2014のループ処理で、1管理時間区間を含む複数の時間区間に関して試算を行うようにしている。
ステップS2001では、試算処理部100は、所定の時間区間(所定時間帯)を処理対象として設定する。
ステップS2002では、試算処理部100は、設定した時間帯での蓄エネ指標値の変化量(時間差分)を計算し、増加、減少となる時間帯ついて、それぞれ、変化量の絶対値の降順でソートし、絶対値が大きい時間帯を抽出する(事例を集める)。
ステップS2003では、試算処理部100は、それぞれに関して、蓄エネ指標値の変化量と蓄エネ電力との関係を近似する多項式などのパラメータを決定(正負の蓄エネ指標値差の各々のケースに関して、そのときの蓄エネ電力との関係を近似する式を計算)する。
ステップS2004では、試算処理部100は、例えば時間幅が5分の場合と1時間の場合とでは、空調を停止した際に許容できる室温は異なるため、許容される蓄エネ指標値の上下限をステップS2001で設定した時間帯に応じて設定する。
続いて、試算処理部100は、ステップS2002で抽出した時間帯以外の時間帯に関して、ループ処理(ステップS2005~ステップS2013)で調整可能量の試算を実施する。なお、ステップS2002で抽出した時間帯を対象としないのは、それらの時間帯が、朝の起動、夜の停止などに対応している可能性が高いためであるが、変化量が小さい時間帯に関しては、ステップS2006からステップS2012の対象としてもよい。
ステップS2006では、試算処理部100は、当該時間帯での蓄エネ指標値と蓄エネ指標値の上限値との差を計算し、その差を得るための蓄エネ電力(上げ調整可能量)をステップS2003で求めた正の蓄エネ指標値差に対する近似式から計算する。
ステップS2007では、試算処理部100は、当該時間帯での蓄エネ指標値と蓄エネ指標値の上限値との差に相当する蓄エネ指標値をもとに戻すための蓄エネ電力をステップS2003で求めた負の蓄エネ指標値差に対する近似式から計算する。
ステップS2008では、試算処理部100は、同様に、当該時間帯での蓄エネ指標値と蓄エネ指標値の下限値との差を計算し、その差を得るための蓄エネ電力(下げ調整可能量)をステップS2003で求めた負の蓄エネ指標値差に対する近似式から計算する。
ステップS2009では、試算処理部100は、当該時間帯での蓄エネ指標値と蓄エネ指標値の下限値との差に相当する蓄エネ指標値をもとに戻すための蓄エネ電力をステップS2003で求めた正の蓄エネ指標値差に対する近似式から計算する。
ここで、空調などの場合、室温を1度下げるのと上げるのではコストが大きく異なるため、ステップS2006で算出した上げ調整に必要な蓄エネ電力と、その分を戻すためにステップS2007で算出した蓄エネ電力とをペアにし、ステップS2008で算出した下げ調整に必要な蓄エネ電力と、その分を戻すためにステップS2009で算出した蓄エネ電力とをペアにしてコスト管理を行う必要がある。
ステップS2010では、試算処理部100は、ステップS2006で求めた上げ調整可能量のコストは、ステップS2007で求めた上げ分を戻す電力に対応するコストとし、ステップS2008で求めた下げ調整可能量のコストは、ステップS2009で求めた下げた分を戻す電力に対応するコストとする。
ステップS2011では、試算処理部100は、上げ調整に関する結果について、当該時間帯の終了時刻(第1要素)、開始時刻(第2要素)、ステップS2006で求めた上げ調整可能量(第3要素)、制御前の蓄エネ指標値(第4要素)、ステップS2006で求めた蓄エネ電力を蓄エネ指標値に換算した値(第5要素)、ステップS2007で求めた蓄エネ電力を蓄エネ指標値に換算した値(第6要素)をセットで、非電力での蓄エネによる上げ調整を行う制御方式に関する結果として記録する。
ステップS2010では、試算処理部100は、第1要素、第2要素、および第4要素は、上げ調整の場合と同様であり、第3要素をステップS2008で求めた下げ調整可能量とし、第5要素をステップS2008で求めた蓄エネ電力を蓄エネ指標値に換算した値とし、第6要素をステップS2009で求めた蓄エネ電力を蓄エネ指標値に換算した値とする。
図18~図20Bに示したように、需要家150の設備151として、設備(居室、恒温槽など)の熱容量を管理する管理設備(空調設備、放熱器など)が含まれる場合、運用情報管理部110は、管理設備の電力の使用量(消費電力、蓄エネ電力など)を示す電力使用量情報と、設備の熱容量に係る指標を示す指標情報とを管理する。また、プログラム管理部120は、管理設備に係るプログラムを管理する。試算処理部100は、管理設備に係るプログラムを実行することで、管理設備の電力使用量情報および設備の指標情報から、管理設備の運用の変更における調整可能量を試算する。
次に、図21~図22Bを用いて、負荷設備の計画変更による調整を行う制御方式に関する試算方法について説明する。ここで示す制御方式は、生産計画に基づいて生産を行う工場、データセンターなど、何らかの処理を行う施設において稼働する電力利用設備について適用可能な制御方式である。
図21は、生産実績に伴う電力消費の時間変化を示す図(イメージ図)である。本実施の形態では、生産設備または生産ラインと製品(製品コードなどで一位に識別できる)の組み合わせを生産プロセスと呼ぶことにする。図21では、このような生産プロセス毎の消費電力のブロックを積み上げる形で消費電力を示している。実際の計測データに関しては、必ずしも生産プロセス毎に電力消費を個別に計測する必要はないが、生産プロセスの稼働期間に関する情報は得られていることを前提とする。図21の上側の図は、実績そのものを示し、下側の図は、生産計画の変更によって、左から12番目と13番目との時刻で下げ調整を行う試算の例を示している。
以下、このような試算を行う試算処理を、図22Aおよび図22Bを用いて説明する。
図22Aおよび図22Bは、負荷設備の計画変更による調整を行う制御方式に関する試算処理に係るフローチャートの一例を示す図である。
ステップS2201では、試算処理部100は、図21に関して説明した生産プロセス毎の電力消費に関する分析を実施する。このような分析手法には、ディスアグリゲーションと呼ばれる技術を用いることができる。なお、個々の電力消費設備に電力量計を設置し、生産計画とその実施に関する記録とを突き合わせることで直接的に、図21で示したような生産プロセス毎の消費電力データを構築してもよい。
続いて、試算処理部100は、各時間帯について、ループ処理(ステップS2202~ステップS2214)を行い、上げ調整可能量および下げ調整可能量の試算を実施する。
ステップS2203では、試算処理部100は、生産計画の変更対象となる生産プロセスの探索を実施する。生産計画の変更対象となる生産プロセスは、ステップS2202で決定した時間帯に関して、当該時間帯に開始し、それ以降1時間帯幅以上の時間帯で実施している生産プロセスのうち、所定の条件(例えば、下記の3つの条件)を満足するものとなる。
・第1の条件:当該生産プロセスで使用する生産ラインまたは生産設備が利用されていない対象時間帯とは重なりがない時間帯がある
・第2の条件:第1の条件で検出した時間帯の電力消費の合計と、当該生産プロセスの電力消費の合計とが所定の電力(例えば、契約電力)を超えない
・第3の条件:当該生産プロセスの対象製品の納期が所定値以上
ステップS2204では、試算処理部100は、ステップS2203の条件を満たす生産プロセスの電力消費の合計を当該時間帯の下げ調整可能量とする。なお、ステップS2203の条件を満たす生産プロセスが複数見つかった場合、個々の生産プロセスの消費電力、任意の2つの生産プロセスの消費電力の合計、任意の3つの消費電力の合計、・・・、すべての生産プロセスの消費電力合計といった形で、下げ調整可能量を複数計算し、これらを別々に試算結果として記録するようにしてもよい。
ステップS2205では、試算処理部100は、当該時間帯で実施する生産プロセスの消費電力の合計と所定の電力(契約電力)との差である上げ代を計算する。
ステップS2206では、試算処理部100は、ステップS2201で予め求めた各生産プロセスを消費電力の昇順でソートし、ステップS2205で計算した上げ代よりも小さい生産プロセスをリストアップし、生産プロセス候補リストを生成する。
ステップS2207では、試算処理部100は、当該時間帯に実施する生産プロセスで使用していない生産ラインまたは生産設備をリストアップし、設備リストを生成する。
ステップS2208では、試算処理部100は、生産プロセス候補リストに含まれる個々の生産プロセスについて、それぞれが使用する生産ラインまたは生産設備がすべて設備リストに含まれるものを選択し、新たにリストアップし、設備条件満足生産プロセス候補を生成する。
ステップS2209では、試算処理部100は、分析対象となる期間で実施される生産プロセスの中で、当該時間帯にかからない生産プロセスの中から、第3の条件を満たす生産プロセスを最終的な移動対象の生産プロセス候補とする。
ステップS2210では、試算処理部100は、最終的な移動対象の生産プロセス候補の中で、同一の生産ラインまたは生産設備を使用しない生産プロセスの組み合わせに関して、消費電力の合計を計算し、ステップS2205で計算した上げ代を超えない組み合わせを選択する。
ステップS2211では、試算処理部100は、ステップS2210で選択した組み合わせの中で電力消費が最も大きい組み合わせを当該時間帯での上げ調整可能量とする。なお、ステップS2211のように1つを選ぶのではなく、個別に試算結果として記録するようにしてもよい。
ステップS2212では、試算処理部100は、当該時間帯の終了時刻(第1要素)、開始時刻(第2要素)、ステップS2211で計算した上げ調整可能量(第3要素)、移動対象の生産プロセス(リスト)(第4要素)、移動対象の生産プロセス毎の消費電力(リスト)(第5要素)をセットで、負荷設備の計画変更による上げ調整を行う制御方式に関する結果として記録する。
ステップS2213では、試算処理部100は、第1要素、第2要素、第4要素、および第5要素は、上げ調整の場合と同様であり、第3要素をステップS2204で求めた下げ調整可能量とする。
図21~図22Bに示したように、需要家150の設備151として、電力を使用して稼働する複数の設備(工場の製造装置、コンピュータ等)が含まれる場合、運用情報管理部110は、設備の電力の使用量(例えば、電力消費)を示す電力使用量情報を管理する。また、プログラム管理部120は、設備に係るプログラムを管理する。試算処理部100は、設備に係るプログラムを実行することで、設備の電力使用量情報から、設備の運用の変更における調整可能量を試算する。
次に、図23~図24Cを用いて、電力以外のエネルギ利用発電機器の運転変更による調整を行う制御方式に関する試算方法について説明する。この制御方式は、電力モノジェネレーション設備、電力と熱や水などとのコジェネレーション設備について適用可能な制御方式である。
図23は、消費電力の時間変化を示す図(イメージ図)である。上側が実績を示し、下側が試算の結果を示す。電力以外の一次エネルギを用いて発電を行う設備の発電実績2301を斜線で示し、系統からの受電電力2302を網掛けで示す。この例では、左から12番目と13番目との時間帯の運転を変更し、受電電力を下げる試算を示している。
以下、このような試算を行う試算処理を、図24A~図24Cを用いて説明する。
図24A、図24B、および図24Cは、電力以外のエネルギ利用発電機器の運転変更による調整を行う制御方式に関する試算処理に係るフローチャートの一例を示す図である。
ステップS2401では、試算処理部100は、電力モノジェネレーション設備の運用データ(稼働実績)があるか否かを判定する。試算処理部100は、あると判定した場合、ステップS2402に処理を移し、ないと判定した場合、ステップS2404に処理を移す。なお、本処理では、ステップS2401およびステップS2404において、電力モノジェネレーション設備の場合の処理と、電気と熱とのコジェネレーション設備の場合の処理とを分離して説明する。
(電力モノジェネレーション設備の場合)
試算処理部100は、各時間帯について、ループ処理(ステップS2402~ステップS2403)を行い、電力モノジェネレーション設備の上げ調整可能量および下げ調整可能量の試算を実施する。
ステップS2411では、試算処理部100は、電力モノジェネレーション設備の発電実績値を当該時刻での上げ調整理可能量とする。
ステップS2412では、試算処理部100は、電力モノジェネレーション設備の定格電気出力と発電実績値との差を計算し、この差と受電電力との比較で小さい方を下げ調整可能量とする。
ステップS2413では、試算処理部100は、当該時間帯の終了時刻(第1要素)、開始時刻(第2要素)、上げ調整可能量(第3要素)、調整前の発電機出力(第4要素)をセットで、電力以外のエネルギ利用発電機器の運転変更による上げ調整を行う制御方式に関する結果として記録する。
ステップS2414では、試算処理部100は、第1要素、第2要素、および第4要素は、上げ調整の場合と同様であり、第3要素をステップS2412で求めた下げ調整可能量とする。
ステップS2404では、試算処理部100は、電気と熱とのコジェネレーション設備の運用データ(稼働実績)があるか否かを判定する。試算処理部100は、あると判定した場合、ステップS2421に処理を移し、ないと判定した場合、試算処理を終了する。
(コジェネレーション設備の場合)
ステップS2421では、試算処理部100は、各時間帯の電気出力および熱出力から電気と熱との関係式を多項式フィッティグなどでモデル化する。
続いて、試算処理部100は、各時間帯について、ループ処理(ステップS2405~ステップS2406)を行い、コジェネレーション設備の上げ調整可能量および下げ調整可能量の試算を実施する。
ステップS2422では、試算処理部100は、コジェネレーション設備の最大熱出量から当該時間帯における熱需要を減算する。
ステップS2423では、試算処理部100は、減算の結果が「0」より大きいか否か(熱需要をコジェネレーション設備単独で賄うことができるか否か)を判定する。試算処理部100は、「0」より大きいと判定した場合、ステップS2424に処理を移し、「0」以下であると判定した場合、ステップS2425に処理を移す。
ステップS2424では(コジェネレーション設備単独で熱需要を賄える場合)、試算処理部100は、コジェネレーション設備で熱需要分の熱出力を出すとしたときの電気出力(コジェネ想定電気出力)をステップS2421で定めた関係式で計算し、コジェネ想定電気出力から電気出力(実績)を減算した値を下げ調整可能量とする。この場合、コジェネレーション設備の不足を補う装置(サブ)として用いられるボイラの出力(ボイラ出力)についてはゼロとする。
ステップS2425では(コジェネレーション設備単独では熱需要を賄えない場合)、試算処理部100は、コジェネレーション設備で最大限熱需要を賄おうとしたときの不足分の熱需要(ステップS2422の減算の結果の絶対値)からボイラの最小熱出力を減算する。
ステップS2426では、試算処理部100は、減算の結果が「0」より小さいか否か(ボイラの最小熱出量の方が不足分より大きいか否か)を判定する。試算処理部100は、「0」より小さいと判定した場合、ステップS2427に処理を移し、「0」以上であると判定した場合、ステップS2428に処理を移す。
ステップS2427では(ボイラの最小熱出量の方が不足分より大きい場合、コジェネレーション設備の出力を抑制する必要があり、)、試算処理部100は、熱需要からボイラ最小熱出力を減産した分の熱出力(コジェネ想定熱出力)を出すとしたときのコジェネレーション設備の電気出力をステップS2421で計算した関係式から計算したもの(コジェネ想定電気出力)から、電気出力(実績)を減算した値を、熱需要を最小熱出量のボイラとコジェネレーション設備とで賄う場合の下げ調整可能量とする。この場合、ボイラ出力については、最小熱出力とする。
ステップS2428では(熱需要がコジェネレーション設備の最大熱出力とボイラの最小熱出力の合計を上回る場合、コジェネレーション設備の所要熱出力は最大値とし)、試算処理部100は、コジェネレーション設備の最大熱出力(コジェネ想定熱出力)を出すとしたときのコジェネレーション設備の電気出力をステップS2421で計算した関係式から計算したもの(コジェネ想定電気出力)から、電気出力(実績)を減算した値を、下げ調整可能量とする。この場合、ボイラ出力については、ステップS2425で算出した減算の結果とする。
ステップS2429では、試算処理部100は、当該時間帯の終了時刻(第1要素)、開始時刻(第2要素)、下げ調整可能量(第3要素)、ボイラ出力(第4要素)、コジェネレーション設備の想定電気出力(第5要素)、コジェネレーション設備の想定熱出力(第6要素)をセットで、電力以外のエネルギ利用発電機器の運転変更による下げ調整を行う制御方式に関する結果として記録する。
ステップS2431では、試算処理部100は、ボイラの最大熱出力から熱需要を減算する。
ステップS2432では、試算処理部100は、減算の結果が「0」より大きいか否か(熱需要をボイラ単独で賄うことができるか否か)を判定する。試算処理部100は、「0」より大きいと判定した場合、ステップS2433に処理を移し、「0」以下であると判定した場合、ステップS2434に処理を移す。
ステップS2433では(ボイラ単独で熱需要を賄える場合、熱需要はボイラで賄い、発電を止めることで、電力需要を高めることとし)、試算処理部100は、電気出力(実績)を上げ調整可能量とし、コジェネレーション設備のコジェネ想定電気出力とコジェネ想定熱出力とをゼロにする。ボイラ出力については、熱需要とする。
ステップS2434では(ボイラ単独で熱需要を賄えない場合)、試算処理部100は、ボイラが最大熱出力を出したときの熱需要の不足分(ステップS2435の減算の絶対値)からコジェネレーション設備の最小熱出力を減算する。
ステップS2435では、試算処理部100は、減算の結果が「0」より小さいか否か(不足分がコジェネレーション設備の最小熱出力より小さいか否か)を判定する。試算処理部100は、「0」より小さいと判定した場合、ステップS2436に処理を移し、「0」以上であると判定した場合、ステップS2437に処理を移す。
ステップS2436では(コジェネレーション設備の最小熱出力の運転が必要な場合)、試算処理部100は、熱需要からコジェネレーション設備の最小熱出力を減算した分の熱出力をボイラ出力とする。また、試算処理部100は、熱需要からコジェネレーション設備の最小熱出力をコジェネ想定熱出力とし、電気出力(実績)から、コジェネ想定熱出力をステップS2421で得た関係式に基づいて電気出力に換算したもの(コジェネ想定電気出力)を減算した値を上げ調整可能量とする。
ステップS2437では(不足分がコジェネレーション設備の最小熱出力を超える場合)、試算処理部100は、電気出力(実績)から、ステップS2431で算出した減算の結果の絶対値の熱出力(コジェネ想定熱出力)をステップS2421で取得した関係式で電気出力に換算したもの(コジェネ想定電気出力)を減算した値を上げ調整可能量とする。ボイラ出力については最大熱出力とする。
ステップS2438では、試算処理部100は、当該時間帯の終了時刻(第1要素)、開始時刻(第2要素)、上げ調整可能量(第3要素)、ボイラ出力(第4要素)、コジェネレーション設備のコジェネ想定電気出力(第5要素)、コジェネレーション設備のコジェネ想定熱出力(第6要素)をセットで、電力以外のエネルギ利用発電機器の運転変更による上げ調整を行う制御方式に関する結果として記録する。
図23~図24Cに示したように、需要家150の設備151として、電力以外のエネルギに基づいて発電可能な発電設備(電力モノジェネレーション設備、電力コジェネレーション設備等)が含まれる場合、運用情報管理部110は、発電設備の発電量(例えば、発電実績)を示す発電量情報と、前記需要家が系統から受け取った電力(例えば、受電電力)を示す受電電力情報とを管理する。また、プログラム管理部120は、発電設備に係るプログラムを管理する。また、試算処理部100は、発電設備に係るプログラムを実行することで、発電設備の発電量情報および需要家の受電電力情報から、発電設備の運用の変更における調整可能量を試算する。
本実施の形態によれば、実際の電力調整のための制御を行わない場合でも、設備の運用の実績から供給可能な調整力を、多様な制御方法を前提に試算することができる。
また、電力調整のための制御の実績がない場合でも、設備の通常運用に影響がない範囲で供給可能な調整力(上げ調整可能量および/または下げ調整可能量)を試算することができる。
(2)第2の実施の形態
本実施の形態に関して、図25~図27Cを用いて説明する。本実施の形態においては、第1の実施の形態と共通の構成については、同じ符号を用いてその説明を適宜省略する。
図25は、本実施の形態の電力調整システム2500に係る構成の一例を示す図である。電力調整システム2500は、試算処理部100、運用情報管理部110、プログラム管理部120、および試算結果管理部130に加え、環境条件管理部2510、インデックス化ルール管理部2520、インデックス処理部2530、およびインデックス管理部2540を備える。
環境条件管理部2510は、日種、気温などのデータを含む環境条件データの要素に対して、運用データの要素を一対一で紐付けて管理(記憶)する。インデックス化ルール管理部2520は、環境条件データをインデックス化するためのルールデータ(環境条件データインデックス化ルール2521)を管理(記憶)する。インデックス処理部2530は、ルールデータに基づいて、環境条件データからインデックスデータを生成する。より具体的には、インデックス処理部2530は、試算処理部100による試算の対象日の日種を示す日種情報と、当該対象日の環境(例えば、気象)に係る環境情報とから、当該対象日の特徴量を抽出してインデックスデータを生成する。インデックス管理部2540は、インデックスデータ(インデックスクラス)の要素に、インデックスデータが同じまたは類似するインデックスデータの試算結果の要素を一または複数(制御方式、対象時間帯、時間間隔など)紐付けて管理(記憶)する。
環境条件データからインデックスデータを生成し、生成したインデックスデータと試算結果のデータとを紐付ける処理(インデックス生成紐付処理)について、図26を用いて説明する。なお、ステップS201~ステップS204、ステップS210、およびステップS211は、図2に示す処理と同じであるので、その説明を省略する。
図26は、インデックス生成紐付処理に係るフローチャートの一例を示す図である。
ステップS2601では、インデックス処理部2530は、最も早い時間断面から、i番目の基本周期分の運用データ(実績)に対応する環境条件データを取り出す。例えば、インデックス処理部2530は、調整可能量の試算に用いた運用データ(実績値)に対応する、時間に関する情報(年月日、時刻など)、気象に関する情報(気温、湿度など)等を環境条件データとして取得する。
ステップS2602では、インデックス処理部2530は、取り出した環境条件データについて、時間をキーとして、日種(平日、休日、休日明け初日等)をインターネット、適用先サイトのカレンダー情報を格納したデータベース等から取得する。例えば、インデックス処理部2530は、年月日の情報を元に、運用データに係る需要家150が立地する地域の一般的なカレンダー情報、当該需要家150が所属する組織のカレンダー情報などにアクセスし、平日、休日、休日明け初日など取った日種情報を取得する。
ステップS2603では、インデックス処理部2530は、環境条件データインデックス化ルールに基づいて、気温、湿度などの時系列の環境条件データをインデックス化する。また、インデックス処理部2530は、日種、時系列の環境条件データのインデックス等を対象日の特徴量としてインデックスデータ(日種、時系列の環境条件データのインデックス、時刻など)を生成する。
なお、時系列の環境条件データ(時系列データ)をインデックス化する方法(インデックス化処理)については複数の方法があり、インデックス処理部2530は、環境条件データインデックス化ルールが第1のルールである場合、図27Aに示すインデックス化処理を行い、第2のルールである場合、図27Bに示すインデックス化処理を行い、第3のルールである場合、図27Cに示すインデックス化処理を行う。
ステップS2604では、インデックス管理部2540は、インデックスデータと、対応する試算結果のデータとを紐付けた形で記憶装置に格納する。
図27Aは、インデックス化処理に係るフローチャートの一例(ステップS2700~ステップS2703)を示す図である。
ステップS2701では、インデックス処理部2530は、環境条件データのうち、気温などの時系列データを周波数解析し、各周波数成分の強度および位相を計算する。
ステップS2702では、インデックス処理部2530は、実施した周波数解析でN個の基本周期の運用データに対応する環境条件データの強度が上位2/3など、予め定めた周波数成分のデータをインデックスとして抽出(強度の強い情報のみを残してインデックス化)する。
図27Bは、インデックス化処理に係るフローチャートの一例(ステップS2710~ステップS2712)を示す図である。
ステップS2711では、インデックス処理部2530は、環境条件データのうち、気温などの時系列データの最大値、最小値、平均値、4分位数などを計算し、インデックスとして抽出(一般的な統計量でインデックス化)する。
図27Cは、インデックス化処理に係るフローチャートの一例(ステップS2720~ステップS2724)を示す図である。本インデックス化処理では、ステップS2601で予め定め切り出した時系列データだけではなく、運用データに係る需要家150から取得できた全ての環境条件データ中の時系列データに関して、予め周波数分析を行い、特定の周波数成分を定めた上で、その周波数成分のみを抽出する方法を示している。
ステップS2721では、インデックス処理部2530は、環境条件データのうち、気温などの時系列データの最大値、最小値、平均値などを計算する。
ステップS2722では、インデックス処理部2530は、計算した最大値、最小値、および平均値を用いて時系列データを正規化した上で周波数解析を行い、各周波数成分の相対強度および位相を計算する。
ステップS2723では、インデックス処理部2530は、予め実施した周波数解析でN個の基本周期の運用データに対応する環境条件データの強度が上位2/3など、予め定めた周波数成分のデータをインデックスとして抽出(相対的に強度の強い情報のみを残してインデックス化)する。
本実施の形態によれば、運用データ(実績)と紐付けて、かかる実績が発生したときの気象情報などもインデックス化して保持しておくことによって、調整可能量を試算する日を示す対象日の特徴量(気象条件の予報値、その日種等)を算出し、特徴量が類似する過去の実績としての試算結果(例えば、調整可能量)を取得したり、インタフェース部152に出力したりすることができる。
(3)第3の実施の形態
本実施の形態に関して、図28~図48を用いて説明する。本実施の形態においては、図1~図27Cに示す構成と共通の構成については、同じ符号を用いてその説明を適宜省略する。
図28は、本実施の形態の電力調整システム2800に係る構成の一例を示す図である。電力調整システム2800は、試算処理部100、運用情報管理部110、プログラム管理部120、試算結果管理部130、環境条件管理部2510、インデックス化ルール管理部2520、インデックス処理部2530、およびインデックス管理部2540に加え、調整制御部2810を備える。
調整制御部2810は、試算処理部100により試算された調整可能量に基づく指令(指令値)に従って、設備151における調整制御を行い、指令に係る指令情報および調整制御を行った結果を示す実績値を含む実績情報(制御結果)を試算結果と紐付けて管理(記憶)する。例えば、図28に示すように、制御結果2811は、指令時刻、指令値、開始時刻、蓄エネ量、蓄(放)エネ電力などの情報を含んで構成される。なお、指令値は、調整可能量であってもよいし、需要家150、発電事業者、送電事業者、系統の運用者、その他の者などが調整可能量をもとに計画した調整量であってもよい。
また、本実施の形態においては、後述の図29Aおよび図29Bに示す方法で生成した調整可能量の試算結果についても試算結果管理部130が管理する。
次に、制御結果に基づく調整可能量の試算方法に関して図29Aおよび図29Bを用いて説明する。
図29Aおよび図29Bは、制御結果に基づく試算処理に係るフローチャートの一例(ステップS2900~ステップS2915)を示す図である。
ステップS2901では、試算処理部100は、制御の対象日の気象予報値(例えば、気温)と、月日との入力(入力データ)を受け付ける。
ステップS2902では、試算処理部100は、入力データに対して、図26のステップS2602およびステップS2603の処理を行い、日種を確定させるとともに、気象予報値(環境条件データ)をインデックス化し、インデックスデータを生成する。
ステップS2903では、試算処理部100は、制御方式が負荷の計画変更による方式(需要家150で供給できる調整力が、図21~図22Bを用いて説明したような負荷設備の稼働計画の変更による方式)であるか否かを判定する。試算処理部100は、負荷の計画変更による方式であると判定した場合、ステップS2904に処理を移し、負荷の計画変更による方式でないと判定した場合、ステップS2907に処理を移す。
ステップS2904では、試算処理部100は、制御の対象日の生産計画の入力を受け付ける。
ステップS2905では、試算処理部100は、当該日での生産対象となる製品の生産プロセス(製品コードと生産ラインまたは生産設備との組み合わせ)を過去の実績の生産プロセスと比較し、所定の割合が一致している実績を選択する。
ステップS2906では、試算処理部100は、インデックス管理部2540を介して、ステップS2905で選択した実績が発生した日のインデックスデータを取得する。
ステップS2907では、試算処理部100は、インデックス管理部2540を介して、過去のインデックスデータを探索し、ステップS2902で計算したインデックスデータとのユークリッド距離またはマハラノビス距離が近い順に過去のインデックスデータを所定個取得する。
以上のように、過去の類似日のインデックスデータを取得した後、試算処理部100は、選択済(登録済であってもよい。)の制御方式の数だけループ処理(ステップS2908~ステップS2913)を行い、対象日の調整可能量の推定を行う。
ステップS2909では、試算処理部100は、ループ処理対象の制御方式(当該制御方式)に関して、ステップS2906またはステップS2907で取得したインデックスデータに紐付く試算結果を取得する。
ステップS2910では、試算処理部100は、これらの試算結果に含まれる各要素に関して、ステップS2902で計算したインデックスデータと、ステップS2906またはステップS2907で取得したインデクスデータとの距離(ユークリッド距離またはマハラノビス距離)の逆数を重み係数として加重平均をとる。
ステップS2911では、試算処理部100は、当該制御方式の実績が調整制御部2810により登録されている場合、当該実績と紐づく試算結果の中の調整可能量(例えば、ステップS2910のようにして計算されたもの)を検索し、指令値と実績値との関係の多項式近似に基づいて、ステップS2910の結果を補正する。他方、当該制御方式の実績が調整制御部2810により登録されていない場合、試算処理部100は、ステップS2910の結果をそのまま使用する。
ステップS2912では、試算処理部100は、ステップS2911での補正後の試算結果と補正係数とを制御方式毎に記録する。
ステップS2914では、試算処理部100は、全ての制御方式に関して、調整可能量(調整力)の予測を行い、その中から、補正後の調整可能量が最も大きいものを調整可能量候補として選択する。なお、調整可能量の選択に関して、本実施の形態では、補正後の調整可能量が最も大きいものを選択する例を示したが、図32を用いて後述するように、調整可能量の配分を計画する処理に任せるように、可能な全ての試算結果を調整力供給制御の対象とするようにしてもよい。
図29Aおよび図29Bに示したように、試算処理部100は、調整可能量を試算する日を示す対象日の日種情報(例えば、対象日の月日)と環境情報(例えば、気象予報値)とから特徴量(例えば、インデックスデータ)を算出し、算出した特徴量と類似する特徴量を持つ日の調整可能量から、対象日の調整可能量を試算することを特徴とする。かかる試算では、対象日の調整可能量を類似する日の調整可能量から試算することができるようになる。また、試算処理部100は、調整制御部2810により記録された指令値と実績値との関係を評価して、試算した調整可能量を補正することを特徴とする。かかる補正により、試算の精度を高めることができるようになる。
次に、調整力制御方式が選定された後の制御について、図30および図31を用いて説明する。ここで説明する事例は、事前対策型で上げ調整の例である。例えば、前日の段階で、図29Aおよび図29Bのような調整可能量の評価を実施し、想定される調整量に基づいて、当該制御方式が選定されている場合の説明となる。これ以外の運用としては、需要家150側の選択と、事前にこのような制御方式とを選定し、図29Aおよび図29Bで説明した調整可能量の算出処理において、ステップS2908からステップS2913で選択可能な制御方式を事前制御型の上げ調整に限定し、ステップS2914、または前述したその他の方法での選択の結果として、当該需要家150の事前対策による上げ調整が選択された場合に関する説明となる。
図30は、上げ調整のための事前制御処理に係るフローチャートの一例(ステップS3000~ステップS3003)を示す図である。
ステップS3001では、調整制御部2810は、指令を受けた需要家150(当該需要家150)に関して選定された制御方式(例えば、調整可能量候補の制御方式)の補正後の試算結果および補正係数(なお、補正がされていないケースもあるが、説明の便宜上、補正されているケースを例に挙げて説明を行う。)を参照する。
ステップS3002では、調整制御部2810は、補正後の試算結果に含まれる補正後の上至時刻を取得し、補正後の上至時刻以前の蓄エネ運転の目標値を、補正後の上至蓄エネ量から事前制御量を引いた値に設定し、蓄エネ運転を制御する(蓄エネ装置の制御装置に指令を行う)。
なお、図3を用いて前述したように、試算段階では、対象期間の終了時刻(第1要素)、開始時刻(第2要素)、調整可能量(第3要素)、それを実現するために必要な事前制御量(第4要素)、事前制御の前提となる上至蓄エネ量(第5要素)、単位蓄エネ量当たりの蓄エネ電力(第6要素)を試算結果として記録しており、これらに基づいて(制御の対象日のインデックスデータに近い試算結果の加重平均として)、事前制御を実施する。
図31は、事前対策型の上げ調整が実際に発動された場合の事前対策型の上げ調整制御処理に係るフローチャートの一例(ステップS3100~ステップS3109)を示す図である。
ステップS3101では、調整制御部2810は、ステップS3001で参照した補正後の試算結果を参照し、第6要素として記録された、単位蓄エネ量当たりの蓄エネ電力の補正後の値を取得する。
ステップS3102では、調整制御部2810は、指令値(上げ指令)に応じるために蓄エネすべき電力量を、補正後の単位蓄エネ量当たりの蓄エネ電力の逆数を、指令値(上げ要求電力)に掛けて蓄エネ量に換算することで求める。
ステップS3103では、調整制御部2810は、現時点(指令受信時点であってもよいし、指令発動時点であってもよい。)での蓄エネ量を取得する。
ステップS3104では、調整制御部2810は、現時点での蓄エネ量と、ステップS3102で求めた指令値に対応(相当)する蓄エネ量とを加算し、上げ指令に応じた場合の蓄エネ量(目標蓄エネ量)を計算する。
ステップS3105では、調整制御部2810は、目標蓄エネ量が蓄エネ装置の運用上限値以下であるか否かを判定する。調整制御部2810は、運用上限値以下であると判定した場合、ステップS3106に処理を移し、運用上限値を超えると判定した場合、ステップS3107に処理を移す。
ステップS3106では、調整制御部2810は、ステップS3102で得た蓄エネ量分の蓄エネ運転を、指令値の指令時刻から開始(調整力要求のあった時間帯で実施)するように、蓄エネ装置の制御装置に指令を行う。
ステップS3107では、調整制御部2810は、運用上限値までの蓄エネ運転を、指令値の指令時刻から開始(調整力要求のあった時間帯で実施)するように、蓄エネ装置の制御装置に指令を行う。
ステップS3108では、調整制御部2810は、蓄エネ装置の運用上限値から目標蓄エネ量を差し引いた値に、補正後の単位蓄エネ量当たりの蓄エネ電力を掛けて蓄放エネ電力に換算した値を記録する。この値が正の場合は、指令値に対する余力を示し、負の場合は、指令値に対する不足を示す。
ここで、ステップS3108は、後述の図32に示すような処理に基づいて、複数の需要家150からの調整力供給制御を組み合わせて、調整力を必要とする需要家150(調整力需要家150。アグリゲータ等を含む。)からの調整力要求に応答する場合の過不足を把握するための処理である。このような記録結果を利用して、不足分を調整するような処理を実施してもよい。また、図47の説明の最後で後述するように、余剰分に関しては、実際には発動していないので、余剰のある需要家150について、追加の要求を行うようにしてもよい。
次に、調整力需要家150からの調整力要求に対する指令配分に関して、図32を用いて説明する。
図32は、指令配分処理に係るフローチャートの一例(ステップS3200~ステップS3211)を示す図である。
ステップS3201では、調整制御部2810は、調整力需要家150からの調整力要求を受信する。
ステップS3202では、調整制御部2810は、調整力要求に含まれる要求内容を取得する。要求内容には、調整実施日、調整開始時刻、調整終了時刻、要求調整力などが含まれる。
続いて、調整制御部2810は、登録済の全需要家150に対して、ループ処理(ステップS3203~ステップS3207)を行い、図29Aおよび図29Bに示すように調整可能量を試算する。
ステップS3204では、調整制御部2810は、調整力要求が上げ調整の指令(上げ指令)であるか否かを判定する。調整制御部2810は、上げ指令であると判定した場合、ステップS3205に処理を移し、上げ指令でない(下げ指令である)と判定した場合、ステップS3206に処理を移す。
ステップS3205では、調整制御部2810は、調整実施日(対象となる日)に関して、図29Aおよび図29Bに示す制御結果に基づく試算処理を上げ調整の制御方式に対して実施する。
ステップS3206では、調整制御部2810は、調整実施日(対象となる日)に関して、図29Aおよび図29Bに示す制御結果に基づく試算処理を下げ調整の制御方式に対して実施する。
ステップS3208では、調整制御部2810は、全需要家に関する調整可能量候補を用いて、受信した調整力要求で指定された調整量を実現できる組合せを決定(調整力の配分を実施)する。調整力配分に関しては、例えば、米国特許出願公開第2016/0328809号明細書のような方法がある。このような指令配分処理においては、コストが必要な場合もある。本実施の形態においては、図20A(図20B)のステップS2010において、制御に関するコストについて述べたが、その他の制御方法に関しても、コストを設定することで、配分を行うことができる。蓄エネ設備として蓄電池を利用する場合、充放電の効率、電力のコスト、蓄電池の劣化をコスト換算した値を用いることで対応できる。電力以外の一次エネルギを用いる場合も、その単価をもとにコストを設定することができる。
なお、調整可能量候補は、図3のステップS305、図5のステップS507、図7BのステップS716、図9のステップS907、図11のステップS1106、図13BのステップS1315、・・・で示す異なる時期の複数データの各要素を、図29BのステップS2910で示すように重み付き平均した結果を、さらにステップS2911で示すように補正したものである。
また、試算結果の第1要素は、調整可能期間の終了時刻、第2要素は、調整可能期間の開始時刻を示しており、調整力要求の調整開始時刻と調整終了時刻とがこれらの間にあるものが調整力配分の対象となる。
続いて、調整制御部2810は、登録済の全需要家に対して、ループ処理(ステップS3209~ステップS3211)を行い、ステップS3210では、各リソースへの調整力配分の結果に基づいて、制御の指令を需要家150(設備151)に通知する。
かかる指令配分処理によれば、各需要家150の調整力が小さい場合であっても、調整力を適切に組み合せることができるので、大きな調整力を提供可能となる。
次に、各需要家への指令と、指令に基づく実績(実績値)とを管理する制御結果管理処理について図33に示し、指令について図34に示し、実績について図35に示して説明する。
図33は、制御結果管理処理に係るフローチャートの一例(ステップS3300~ステップS3303)を示す図である。
ステップS3301では、調整制御部2810は、ステップS3208に基づく指令を、指令時間帯数分、指令時間帯全体を過不足なくカバーする指令時間帯および指令値の組のような形式で記録する。例えば、指令に対しては、当該需要家150に関して要求された指令値を、指令が要求する時間帯毎に、図34に示すテーブル(実施日、指令開始時刻、指令終了時刻、および指令値)の形式で記録する。
ステップS3302では、調整制御部2810は、当該時間周期の各時刻における蓄エネ量の実績値および蓄放エネ電力の実績値と、指令と、制御方式とに基づいて、指令値に対する実績値を所定の形式(例えば、図35のようなテーブルの形式)で記録する。
なお、指令、実績とも、制御方式に関する情報は示していないが、これは、ある時間に関して、事前に申告する調整可能量が高々1つで、申告段階の処理の結果に基づいて、どの需要家150で利用できる制御方式が一意に決まる場合を想定している。制御方式に応じて複数の試算結果を申告できるようにした場合は、図34、図35のテーブルに、調整可能量の制御方式に関する識別コードを記録する列を追加してもよい。なお、図29BのステップS2914では、各リソースの制御方式のうち、調整力が最も大きいものを候補とする方式を示しているが、上げ調整と下げ調整とで、それぞれで候補を登録するようにしてもよい。
本実施の形態では、非電力での蓄エネによる調整力供給制御の場合に関してのみ、コストについて言及したが(ステップS2010)、これは、利用する蓄エネが、蓄電池、電気式給湯器(ヒートポンプ式を含む)のような蓄エネ専用設備ではないため、上げ方向と下げ方向とでコストに大きな差が生じる可能性があることから、取り上げて記載したものである。蓄電池、給湯設備のような専用蓄エネ手段でも、例えば、蓄電池の場合、その効率、充放電に伴う設備劣化を考慮したコストを考慮することができる。蓄熱槽においても、蓄熱から使用までの時間で生じる熱の放散を考慮した効率するようにしてもよいが、基本的には電力の使用量と単価とから計算した蓄エネコストを考慮するようにしてもよい。電力以外の一次エネルギを利用した発電設備の運転変更による調整力供給制御の場合も、発電出力の変更に応じた燃料コストを考慮することができる。このようなコストと調整可能量とに基づいて、候補を1つまたは複数選択するようにしてもよい。
また、事前対応を行う制御方式の場合、図32に示した指令配分が前日などのように、事前対応に十分な余裕があることが前提となる。図32では、調整力需要家150から調整力要求を受けた(市場などでの取引約定も含む。)後で、図29Aおよび図29Bに示した調整可能量の算出処理を実施するように示している(ステップS3205、ステップS3206)が、これらの処理は、対象となる日と、その日の環境条件データがある場合、計算できるため、例えば、気象予報などの発表をトリガーに実施するようにしてもよい。
次に、図30で示した上げ調整の場合に替えて、放エネによる下げ調整のための事前制御処理と、蓄エネ抑止による下げ調整のための事前制御処理とに関して、図36および図37を用いて説明する。
図36は、放エネによる下げ調整のための事前制御処理に係るフローチャートの一例(ステップS3600~ステップS3603)を示す図である。
ステップS3601では、調整制御部2810は、図30の場合と同様、当該需要家150に関して選定された制御方式(例えば、調整可能量候補の制御方式)の補正後の試算結果および補正係数を参照する。
ステップS3602では、調整制御部2810は、試算結果に含まれる補正後の上至時刻を取得し、補正後の上至時刻以前の蓄エネ運転の目標値を運用上限値に設定し、蓄エネ運転を制御する(蓄エネ装置の制御装置に指令を行う)。
図37は、蓄エネ抑止による下げ調整のための事前制御処理に係るフローチャートの一例(ステップS3700~ステップS3703)を示す図である。
ステップS3701では、調整制御部2810は、図30の場合と同様、当該需要家150に関して選定された制御方式(例えば、調整可能量候補の制御方式)の補正後の試算結果および補正係数を参照する。
ステップS3702では、調整制御部2810は、試算結果に含まれる補正後の第1の上至時刻を取得し、補正後の第1の上至時刻以前の蓄エネ運転の目標値を補正後の事前制御量に設定し、蓄エネ運転を制御する(蓄エネ装置の制御装置に指令を行う)。
図38は、事前対策型の放エネによる下げ調整が実際に発動された場合の放エネによる下げ調整制御処理に係るフローチャートの一例(ステップS3800~ステップS3810)を示す図である。ここで示す下げ調整制御処理については、事前対策として図36に示す放エネによる下げ調整のための事前制御処理を実施することになる。
ステップS3801では、調整制御部2810は、ステップS3601で参照した補正後の試算結果のうち、第6要素として格納してある単位蓄(放)エネ量当たりの放エネ電力の補正後の値を取得する。
ステップS3802では、調整制御部2810は、当該需要家150に対する指令値(例えば、ステップS3210で実施される。本ケースでは下げ指令。)に対して、ステップS3801で取得した補正後の単位蓄(放)エネ量当たりの放エネ電力の逆数を掛けて、電力量を放エネ量に換算する。
ステップS3803では、調整制御部2810は、現時点(指令受信時点であってもよいし、指令発動時点であってもよい。)での蓄エネ量を取得する。
ステップS3804では、調整制御部2810は、ステップS3601で参照した補正後の試算結果のうち、第5要素である補正後の運用放エネ量を取得する。
ステップS3805では、調整制御部2810は、ステップS3803で取得した現在時点の蓄エネ量から、ステップS3804で取得した運用放エネ量とステップS3802で計算した指令値に対応する放エネ量とを差し引いた値を計算し、放エネ後の蓄エネ量(目標蓄エネ量)を推定する。
ステップS3806では、調整制御部2810は、放エネ後の蓄エネ量が蓄エネ装置の運用下限値以上であるか否かを判定する。調整制御部2810は、以上であると判定した場合、ステップS3807に処理を移し、未満であると判定した場合、ステップS3808に処理を移す。
ステップS3807では、調整制御部2810は、ステップS3802で計算した指令値に対応する放エネ量分の放エネ運転を指令値の指定時刻から開始するように、蓄エネ装置の制御装置に指令を行う。
ステップS3808では、調整制御部2810は、ステップS3803で取得した現時点の蓄エネ量から、運用放エネ量と運用下限値とを差し引いた値を計算し、この値までの放エネ運転を指令値の指定時刻から開始するように、蓄エネ装置の制御装置に指令を行う。
ステップS3809では、調整制御部2810は、ステップS3805の計算結果(目標蓄エネ量)から蓄エネ装置の運用下限値を差し引いた値を計算し、これにステップS3801で取得した補正後の単位蓄(放)エネ量当たりの放エネ電力を掛けて放エネ電力に換算した値を記録する。この結果が正の場合は、指令値に対して、対象需要家150の設備が持つ余力(指令値に対する余力)を示し、負の場合は、対象需要家150での放エネ量の不足分(指令値に対する不足)を示す。
図39は、事前対策型の蓄エネ抑止による調整が実際に発動された場合の蓄エネ抑止による下げ調整制御処理に係るフローチャートの一例(ステップS3900~ステップS3910)を示す図である。ここで示す調整制御処理については、事前対策として図37に示す処理を実施することになる。
ステップS3901では、調整制御部2810は、ステップS3701で参照した補正後の試算結果のうち、第6要素である単位蓄エネ量当たりの放エネ電力の補正後の値を取得する。
ステップS3902では、調整制御部2810は、当該需要家150に対する指令値(例えば、ステップS3210で実施される。本ケースでは下げ指令)に対して、ステップS3901で取得した補正後の単位蓄エネ量当たりの放エネ電力の逆数を掛けて、電力量を蓄エネ抑止量に換算する。
ステップS3903では、調整制御部2810は、現時点(指令受信時点であってもよいし、指令発動時点であってもよい。)での蓄エネ量を取得する。
ステップS3904では、調整制御部2810は、ステップS3701で参照した補正後の試算結果から、第5要素である補正後の事後制御量を取得する。
ステップS3905では、調整制御部2810は、ステップS3701で参照した補正後の試算結果から、第3要素である補正後の調整可能量を取得し、補正後の調整可能量から指令値を減算した値にステップS3901で取得した補正後の単位蓄エネ量当たりの放エネ電力の逆数を掛けて、蓄エネ量に換算した目標の補正量を計算する。
ステップS3906では、調整制御部2810は、ステップS3904で取得した事後制御量と、ステップS3905で計算した目標の補正量とを加算することで、制御対象期間の終了時点での蓄エネ量の補正後目標値を計算する。
ステップS3907では、調整制御部2810は、制御対象期間の終了時点での蓄エネ量の補正後目標値が現時点の蓄エネ量以上であるか否かを判定する。調整制御部2810は、以上であると判定した場合、ステップS3908に処理を移し、以上でないと判定した場合、ステップS3909に処理を移す(ステップS3910の結果が現時点の蓄エネ量を下回っているときは、蓄電を回避してよいということであり、蓄エネ運転指令を実施しない。)。
ステップS3908では、調整制御部2810は、蓄エネ運転が必要ということであるため、制御対象期間の終了時点での蓄エネ量の補正後目標値とする蓄エネ運転を、指令値の指定時刻から開始するように、蓄エネ装置の制御装置に指令を行う。
ステップS3909では、調整制御部2810は、現時点での蓄エネ量からステップS3906の計算結果を減算し、減算した結果にステップS3901の補正後の単位蓄エネ量当たりの放エネ電力を掛けて蓄エネ(抑制)電力に換算した値を記録する。この結果が正の場合は、指令値に対して、対象需要家150の設備が持つ余力(指令値に対する余力)を示し、負の場合は、対象需要家150での蓄エネ抑制量の不足分(指令値に対する不足)を示す。
図40は、成り行き型で上げ調整が実際に発動された場合の成り行き型で上げ調整制御処理に係るフローチャートの一例(ステップS4000~ステップS40010)を示す図である。
ステップS4001では、調整制御部2810は、当該需要家150に対する指令値(例えば、ステップS3210で実施される。本ケースでは上げ指令)に対して、選定された制御方式(例えば、調整可能量候補の計算で使用された制御方式)の補正後の試算結果および補正係数を参照する。
ステップS4002では、調整制御部2810は、試算結果のうち、第6要素である単位蓄エネ量当たりの蓄エネ電力の補正後の値を取得する。
ステップS4003では、調整制御部2810は、指令値(上げ指令)に対して、ステップS4002で取得した補正後の単位蓄エネ量当たりの蓄エネ電力の逆数を掛けて補正後の蓄エネ量に換算する。
ステップS4004では、調整制御部2810は、現時点(指令受信時点であってもよいし、指令発動時点であってもよい。)での蓄エネ量を取得する。
ステップS4005では、調整制御部2810は、現時点の蓄エネ量と指令値に対応する蓄エネ量とを加算して目標蓄エネ量とする。
ステップS4006では、調整制御部2810は、目標蓄エネ量が蓄エネ装置の運用上限値以下であるか否かを判定する。調整制御部2810は、以下であると判定した場合、ステップS4007に処理を移し、以下でないと判定した場合、ステップS4008に処理を移す。
ステップS4007では、調整制御部2810は、ステップS4003で得た指令値に対応する蓄エネ量分の蓄エネ運転を指令値の指定時刻から開始するように、蓄エネ装置の制御装置に指令を行う。
ステップS4008では、調整制御部2810は、運用上限値までの蓄エネ運転を指令値の指定時刻から開始するように、蓄エネ装置の制御装置に指令を行う。
ステップS4009では、調整制御部2810は、蓄エネ装置の運用上限値から、ステップS4005で計算した目標蓄エネ量を減算し、減算した値にステップS4002の補正後の単位蓄エネ量当たりの蓄エネ電力を掛けて蓄エネ電力に換算した値を記録する。この値が正の場合は、指令値に対する余力を示し、負の場合は、指令値に対する不足を示す。
図41は、成り行き型で放エネによる下げ調整が発動された場合の成り行き型で放エネによる下げ調整制御処理に係るフローチャートの一例(ステップS4100~ステップS4111)を示す図である。
ステップS4101では、調整制御部2810は、当該需要家150に対する指令値(例えば、ステップS3210で実施される。本ケースでは下げ指令)に対して、選定された制御方式(例えば、調整可能量候補の計算で使用された制御方式)の補正後の試算結果および補正係数を参照する。
ステップS4102では、調整制御部2810は、試算結果のうち、第6要素である単位蓄エネ量当たりの蓄エネ電力の補正後の値を取得する。
ステップS4103では、調整制御部2810は、指令値(下げ指令)に対して、ステップS4102の補正後の単位蓄エネ量当たりの蓄エネ電力の逆数を掛けて補正後の放エネ量に換算する。
ステップS4104では、調整制御部2810は、現時点(指令受信時点であってもよいし、指令発動時点であってもよい。)での蓄エネ量を取得する。
ステップS4105では、調整制御部2810は、第5要素である補正後の運用放エネ量を取得する。
ステップS4106では、調整制御部2810は、現時点の蓄エネ量から、ステップS4105で取得した補正後の運用放エネ量とステップS4103で換算した指令値に対応する放エネ分とを減算した値を計算し、放エネ後の蓄エネ量(目標蓄エネ量)を推定する。
ステップS4107では、調整制御部2810は、放エネ後の蓄エネ量が蓄エネ装置の運用下限値以上であるか否かを判定する。調整制御部2810は、以上であると判定した場合、ステップS4108に処理を移し、以上でないと判定した場合、ステップS4109に処理を移す。
ステップS4108では、調整制御部2810は、ステップS4103で得た指令値に対応する放エネ量分の放エネ運転を、指令値の指定時刻から開始するように、蓄エネ装置の制御装置に指令を行う。
ステップS4109では、調整制御部2810は、現時点の蓄エネ量から補正後の運用放エネ量と運用下限値とを差し引いた量までの放エネ運転を、指令値の指定時刻から開始するように、蓄エネ装置の制御装置に指令を行う。
ステップS4110では、ステップS4106の目標蓄エネ量から、蓄エネ装置の運用下限値を差し引いた値を計算し、これにステップS4102の補正後の単位蓄エネ量当たりの蓄エネ電力を掛けて放エネ電力に換算した値を記録する。この値が正の場合は、指令値に対する余力を示し、負の場合は、指令値に対する不足を示す。
図42は、成り行き型で蓄エネ抑止による下げ調整が発動された場合の成り行き型で蓄エネ抑止による下げ調整制御処理に係るフローチャートの一例(ステップS4200~ステップS4211)を示す図である。
ステップS4201では、調整制御部2810は、当該需要家150に対する指令値(例えば、ステップS3210で実施される。本ケースでは下げ指令)に対して、選定された制御方式(例えば、調整可能量候補の計算で使用された制御方式)の補正後の試算結果および補正係数を参照する。
ステップS4202では、調整制御部2810は、試算結果のうち、第6要素である単位蓄エネ量当たりの蓄エネ電力の補正後の値を取得する。
ステップS4203では、調整制御部2810は、指令値(下げ指令)に対して、ステップS4202の補正後の単位蓄エネ量当たりの蓄エネ電力を掛けて補正後の蓄エネ抑止量に換算する。
ステップS4204では、調整制御部2810は、現時点(指令受信時点であってもよいし、指令発動時点であってもよい。)での蓄エネ量を取得する。
ステップS4205では、調整制御部2810は、試算結果のうち、第5要素である補正後の事後制御量を取得する。
ステップS4206では、調整制御部2810は、試算結果のうち、第3要素である補正後の調整可能量を取得し、補正後の調整可能量から指令値に対応する蓄エネ抑止量を減算した値にステップS4202で取得した補正後の単位蓄エネ量当たりの蓄エネ電力の逆数を掛けて、蓄エネ量に換算した目標の補正量を計算する。
ステップS4207では、調整制御部2810は、ステップS4205で取得した補正後の事後制御量とステップS4206計算した目標の補正量とを加算することで、制御対象期間の終了時点での蓄エネ量の補正後目標値を計算する。
ステップS4208では、調整制御部2810は、制御対象期間の終了時点での蓄エネ量の補正後目標値が現時点の蓄エネ量以上であるか否かを判定する。調整制御部2810は、以上であると判定した場合、ステップS4209に処理を移し、以上でないと判定した場合、蓄エネ運転を行うことなく、ステップS4210に処理を移す。
ステップS4209では、調整制御部2810は、制御対象期間の終了時点での蓄エネ量の補正後目標値とする蓄エネ運転を指令値の指定時刻から開始するように、蓄エネ装置の制御装置に指令を行う。
ステップS4210では、調整制御部2810は、現時点での蓄エネ量からステップS4207で計算した補正後目標値を減算し、減算した値にステップS4202の補正後の単位蓄エネ量当たりの蓄エネ電力を掛けて蓄エネ(抑制)電力に換算した値を記録する。この値が正の場合は、指令値に対する余力を示し、負の場合は、指令値に対する不足を示す。
図43Aおよび図43Bは、再エネ併設蓄電池による上げ調整または下げ調整が発動された場合の再エネ併設蓄電池による調整制御処理に係るフローチャートの一例(ステップS4300~ステップS4316)を示す図である。
ステップS4301では、調整制御部2810は、当該需要家150(再エネ発電事業者を含む。)に対する指令値(例えば、ステップS3210で実施される。)に対して、選定された制御方式(例えば、調整可能量候補の計算で使用された制御方式)の補正後の試算結果および補正係数を参照する。
ステップS4302では、調整制御部2810は、現時点(指令受信時点であってもよいし、指令発動時点であってもよい。)での蓄エネ量を取得する。
ステップS4303では、調整制御部2810は、ステップS4301で取得した試算結果から第3要素である補正後の調整可能量を取得し、調整可能量と指令値との差の絶対値を調整量補正量とし、指令値の絶対値を調整量とする。
ステップS4304では、調整制御部2810は、ステップS4301で取得した試算結果の第5要素である補正後の蓄電量(想定蓄電量)を取得する。
ステップS4305では、調整制御部2810は、制御方式が下げ方向(放電)の調整であるか、上げ方向(充電)の調整であるかを判定する。調整制御部2810は、下げ方向の調整であると判定した場合、ステップS4306に処理を移し、上げ方向の調整であると判定した場合、ステップS4307に処理を移す。
ステップS4306では、調整制御部2810は、ステップS4304で取得した想定蓄電量に、ステップS4303で計算した調整量を加えた値から、現時点の蓄電量を引いた値を計算する。放電後の想定蓄電量からみた放電前の蓄電量が現在の蓄電量より多い場合、指令に応じることができることになる。
ステップS4307では、調整制御部2810は、ステップS4304で取得した想定蓄電量から、ステップS4303で計算した調整量を減算し、減算した値を、現時点の蓄電量から引いた値を計算する。現時点の蓄電量より、想定蓄電量が少ない場合、指令に応じることができることになる。
ステップS4308では、調整制御部2810は、ステップS4306またはステップS4307で計算した結果(計算結果)がゼロ「0」よりも大きいか否かを判定する。調整制御部2810は、「0」よりも大きいと判定した場合、ステップS4309に処理を移し、「0」よりも大きくないと判定した場合、ステップS4310に処理を移す。
ステップS4309では(指令に応じることができない場合)、調整制御部2810は、指令値からステップS4306またはステップS4307の計算結果を差し引いた値を新たに調整量とする。
ステップS4310では(指令に応じることができる場合)、ステップS4306またはステップS4307の計算結果の符号を反転する(余剰量は正、不足分は負)ことで、指令対する余剰分、不足分を計算し、記録する。
ステップS4311では、調整制御部2810は、ステップS4301で取得した試算結果の第4要素に、ステップS4303で設定した調整量またはステップS4309で更新した調整量を事後制御量として記録する。
以上の処理を行った上で、調整制御部2810は、ステップS4312~ステップS4315で、蓄電池の制御を実施する。
ステップS4312では、調整制御部2810は、再エネで発電した電気を系統に流すことに対するオフセット分として、ステップS4301で取得した試算結果の第2要素である補正後の開始時刻と第1要素である補正後の終了時間との期間に関して、ステップS4303またはステップS4309で計算した調整量に対する放電(下げ調整の場合)または充電(上げ調整の場合)をオフセット分としてオフセット指令する。
ステップS4313では、調整制御部2810は、ステップS4311で更新した事後制御量と、試算結果の第6要素である補正後の事後制御期間長とを取得する。
ステップS4314では、調整制御部2810は、試算結果の第1要素である補正後の終了時刻と補正後の事後制御期間長との和を求める。
ステップS4315では、調整制御部2810は、制御対象期間の終了時点(試算結果の第1要素)から、ステップS4314で計算した時点までの期間に関して、ステップS4311で記録した事後制御量(試算結果の第4要素として格納)分の充電(下げ調整の場合)または放電(上げ調整の場合)をオフセット分として指令(オフセット指令)する。
図44Aおよび図44Bは、非電力(電力以外の手段)による蓄エネでの上げ調整または下げ調整が発動された場合の非電力での蓄エネによる調整制御処理に係るフローチャートの一例(ステップS4400~ステップS4414)を示す図である。
ステップS4401では、調整制御部2810は、当該需要家150に対する指令値(例えば、ステップS3210で実施される。)に対して、選定された制御方式(例えば、調整可能量候補の計算で使用された制御方式)の補正後の試算結果および補正係数を参照する。
ステップS4402では、調整制御部2810は、現時点(指令受信時点であってもよいし、指令発動時点であってもよい。)での蓄エネ指標値(温度、湿度など)を取得する。
ステップS4403では、調整制御部2810は、ステップS4401で取得した試算結果から第3要素である補正後の蓄エネ電力(調整可能量)と第5要素である補正後の蓄エネ電力を蓄エネ指標値に換算した値とを取得し、電力として指定される指令値を、蓄エネ指標値に換算する。
ステップS4404では、調整制御部2810は、試算結果の第4要素である補正後の制御前の蓄エネ指標値(想定蓄エネ指標値)を取得する。
ステップS4405では、調整制御部2810は、制御方式が下げ方向(蓄エネ指標値を減らす)の調整であるか、上げ方向(蓄エネ指標を増やす)の調整であるかを判定する。調整制御部2810は、下げ方向の調整であると判定した場合、ステップS4406に処理を移し、上げ方向の調整であると判定した場合、ステップS4407に処理を移す。
ステップS4406では、調整制御部2810は、ステップS4404で取得した想定蓄エネ指標値から、試算結果の第5要素である補正後の蓄エネ電力の蓄エネ指標値への換算結果を差し引き、ステップS4403で指令値を蓄エネ指標値に換算した値を加算し、ステップS4402で取得した現時点の蓄エネ指標値を引いた値を算する。
ステップS4407では、調整制御部2810は、ステップS4404で取得した想定蓄エネ指標値に、試算結果の第5要素である補正後の蓄エネ電力の換算結果を加算し、ステップS4403で指令値を蓄エネ指標値に換算した値を差し引いた値を求め、これをステップS4402で取得した現時点の蓄エネ指標値から引いた値を計算する。
ステップS4408では、調整制御部2810は、ステップS4406またはステップS4407で計算した結果(計算結果)がゼロ「0」よりも大きいか否かを判定する。調整制御部2810は、「0」よりも大きいと判定した場合、ステップS4409に処理を移し、「0」よりも大きくないと判定した場合、ステップS4410に処理を移す。計算結果は、図43AにおけるステップS4306またはステップS4307の計算結果と同様の意味を持ち、これが正の場合は、指令値で指定された調整力を供給した場合に、蓄エネ指標値の上下限を逸脱することに対応する。
ステップS4409では、調整制御部2810は、ステップS4403で計算した指令値を蓄エネ指標値に換算した値から、ステップS4406またはステップS4407の計算結果を差し引いた値を計算し、これを試算結果の第3要素である補正後の蓄エネ電力と第5要素である補正後の蓄エネ電力を蓄エネ指標値に換算した値とを用いて電力に換算した値を調整量とする。
ステップS4410では、調整制御部2810は、ステップS4401で取得した試算結果の第3要素である補正後の蓄エネ電力と第5要素である補正後の蓄エネ電力を蓄エネ指標値に換算した値とを用いて、ステップS4406またはステップS4407の計算結果を換算し、符号を反転させて、調整力の過不足分として記録する。
以上の処理を行った上で、調整制御部2810は、ステップS4411~ステップS4414で、蓄エネ設備の制御を実施する。
ステップS4411では、調整制御部2810は、ステップS4401で取得した試算結果の第2要素である補正後の制御対象期間の開始時刻から第1要素である補正後の終了時刻に対して、ステップS4403またはステップS4409で計算した調整量を、ステップS4401で取得した試算結果の第3要素である補正後の蓄エネ電力と第5要素である補正後の蓄エネ電力を蓄エネ指標値に換算した値とを用いて蓄エネ指標値に換算した値に、ステップS4402で取得した現時点の蓄エネ指標値を加算した値を計算し、負荷に対する蓄エネ指標値として設定し、蓄エネ設備の熱容量を管理する負荷設備の制御を実施する。
ステップS4412では、調整制御部2810は、試算結果の第1要素である補正後の終了時刻と第2要素である補正後の開始時刻との差を終了時刻に加算した値を求める。
ステップS4413では、調整制御部2810は、調整力供給制御の対象期間の終了時点(試算結果の第1要素)から、ステップS4412で計算した時点まで、ステップS4402で取得した現時点の蓄エネ指標値を負荷の蓄エネ指標値として設定し、蓄エネ設備の熱容量を管理する負荷設備の制御を実施する。
図45は、負荷の計画変更による下げ調整制御処理に係るフローチャートの一例(ステップS4500~ステップS4511)を示す図である。
ステップS4501では、調整制御部2810は、当該需要家150に対する指令値(例えば、ステップS3210で実施される。)に対して、選定された制御方式(例えば、調整可能量候補の計算で使用された制御方式)の補正後の試算結果および補正係数を参照する。
ステップS4502では、調整制御部2810は、当日(当該日)の生産スケジュールを取得する。
ステップS4503では、調整制御部2810は、割付済み調整力をゼロに初期化する。
ここで、試算段階の処理を、図22Bを用いて説明した際にステップS2213で示したように、負荷の計画変更による下げ調整の試算結果には、第4要素に移動対象の生産プロセス(リスト)が含まれる。調整制御部2810は、このリストの各要素に関して、ループ処理(ステップS4504~ステップS4509)を行う。
ステップS4505では、調整制御部2810は、当日の生産スケジュールを構成する生産プロセスの中で、ステップS4504でリストから選択した生産プロセスと同じ生産プロセスがあって、その当日の実施時刻が、指令値で指示された当該制御対象の時間帯であるか否か(当否)を判定する。調整制御部2810は、当該制御対象の時間帯であると判定した場合、ステップS4506に処理を移し、当該制御対象の時間帯でないと判定した場合、リストの次の要素に処理を移す。
ステップS4506では、調整制御部2810は、所定の条件を満足する時間帯があるか否かを判定する。調整制御部2810は、満足する時間帯があると判定した場合、ステップS4507に処理を移し、満足する時間帯がないと判定した場合、リストの次の要素に処理を移す。
所定の条件としては、例えば、次の3つが挙げられる。第1の条件は、当該調整制御対象の時間帯以降であること、第2の条件は、ステップS4505で選んだ生産プロセスが使用する生産ラインまたは生産設備が、その時間帯に使用されていないこと、第3の条件は、その時間帯で実施される生産スケジュールを前提に、生産プロセス全体の消費電力が所定値(契約電力から、指令に含まれる下げ調整量を差し引いた値)よりも小さいことである。なお、この3つの条件は、対象となる生産プロセスを、下げ指令があった時間帯より後ろにずらしても、生産設備の制約、契約電力の制約などを受けずに実施できることを意味している。
ステップS4507では、調整制御部2810は、ステップS4501で参照した試算結果の第5要素に含まれる補正後の移動対象の生産プロセス毎の消費電力(リスト)から、処理対象の生産プロセスの消費電力を取得し、ステップS4503で初期化した割付済みの調整力に加算する。なお、指令値を超えない場合に加算は行われる。
ステップS4508では、調整制御部2810は、加算対象となる生産プロセスをステップS4506で探索した時間帯(所定の条件を満足する時間帯)に計画変更する。
ステップS4510では、調整制御部2810は、ステップS4503で初期化し、ステップS4507で更新した割付済み調整力を指令値から差し引いた値を不足分として記録する。
なお、ステップS4507では、図に示したように、割付済み調整力が指令値を超えない範囲に限定したが、この限定をステップS4508の生産計画の変更対象のみとしてもよい。このようにすれば、ステップS4510で前述の処理をすることで、不足分のみならず過剰分も記録することができる。
図46は、負荷の計画変更による上げ調整制御処理に係るフローチャートの一例(ステップS4600~ステップS4612)を示す図である。
ステップS4601では、調整制御部2810は、当該需要家150に対する指令値(例えば、ステップS3210で実施される。)に対して、選定された制御方式(例えば、調整可能量候補の計算で使用された制御方式)の補正後の試算結果および補正係数を参照する。
ステップS4602では、調整制御部2810は、当日(当該日)の生産スケジュールを取得する。
ステップS4603では、調整制御部2810は、割付済み調整力をゼロに初期化する。
ステップS4604では、調整制御部2810は、指令値に含まれる当該制御対象の時間帯での生産計画上の生産プロセスの消費電力の合計が所定値(例えば、契約電力を基準にした値)より小さいか否かを判定する。調整制御部2810は、小さいと判定した場合、上げ調整の余地があることに対応するので、ステップS4605に処理を移し、小さくないと判定した場合、ステップS4611に処理を移す。なお、生産計画が初めから契約電力をオーバーするような計画になっていることはないが、この段階で十分な余地がない場合は、以下の繰り返し処理を実施せずに、ステップS4611にて不足分を記録して終了する。
以下、調整制御部2810は、負荷の計画変更による上げ調整の試算結果に第4要素として含まれる補正後の移動対象の生産プロセス(リスト)の各要素に関して、ループ処理(ステップS4605~ステップS4610)を行う。
ステップS4606では、調整制御部2810は、当日の生産スケジュールを構成する生産プロセスの中で、ステップS4605で選択した生産プロセスと同じ生産プロセスが、当該制御対象の時間帯より後であるか否かを判定する。調整制御部2810は、後であると判定した場合、ステップS4607に処理を移し、後でないと判定した場合、リストの次の要素に処理を移す。
ステップS4607では、調整制御部2810は、移動対象の生産プロセスが使用する生産ラインまたは生産設備が、当該制御対象の時間帯に利用されていないか否かを判定する。調整制御部2810は、利用されていないと判定した場合、ステップS4608に処理を移し、利用されていると判定した場合、リストの次の要素に処理を移す。
ステップS4608では、調整制御部2810は、ステップS4601で参照した試算結果の第5要素に含まれる補正後の移動対象の生産プロセス毎の消費電力(リスト)から、移動対象の生産プロセスの消費電力を取得し、ステップS4603で初期化した割付済みの調整力に加算する。なお、指令値を超えない場合に加算は行われる。
ステップS4609では、調整制御部2810は、加算対象となる生産プロセスを当該調整対象の時間帯に計画変更する。
ステップS4611では、調整制御部2810は、ステップS4603で初期化し、ステップS4608で更新した割付済み調整力を指令値から差し引いた値を不足分として記録する。
なお、ステップS4608では、図に示したように、割付済み調整力が指令値を超えない範囲に限定したが、この限定をステップS4609の生産計画の変更対象のみとしてもよい。このようにすれば、ステップS4611で前述の処理をすることで、不足分のみならず過剰分も記録することができる。
図47は、電力以外のエネルギ利用発電機器の運転変更による調整制御処理(電力モノジェネレーション設備による電力供給を用いた上げ調整または下げの調整制御処理)に係るフローチャートの一例(ステップS4700~ステップS4711)を示す図である。
ステップS4701では、調整制御部2810は、当該需要家150に対する指令値(例えば、ステップS3210で実施される。)に対して、選定された制御方式(例えば、調整可能量候補の計算で使用された制御方式)の補正後の試算結果および補正係数を参照する。
ステップS4702では、調整制御部2810は、現時点(指令受信時点であってもよいし、指令発動時点であってもよい。)での発電出力を取得する。
ステップS4703では、調整制御部2810は、指令が上げ指令であるか否かを判定する。調整制御部2810は、上げ指令であると判定した場合、ステップS4704に処理を移し、上げ指令でないと判定した場合、ステップS4707に処理を移す。
ステップS4704では、調整制御部2810は、ステップS4701で参照した試算結果から補正後の調整前の発電機出力と調整可能量とを取得し、調整前の発電機出力と調整可能量とを加算した値から、ステップS4701に含まれる指令値を減算した値を計算する。なお、図24AのステップS2413およびステップS2414に示したように、電力モノジェネレーション設備の運転変更による調整力の試算では、第3要素として調整可能量が記録され、第4要素として調整前の発電出力の想定値が記録されている。
ステップS4705では、調整制御部2810は、ステップS4704で計算した値からステップS4702で取得した現時点の発電機出力を減算する。
ステップS4706では、調整制御部2810は、ステップS4705の結果とゼロとを比較して大きい方の値を取得した上で、これを指令値の絶対値から減算した値を現時点の発電機出力から減算して発電機(電力モノジェネレーション設備)への指令(出力指令)とする。
ステップS4707では、調整制御部2810は、ステップS4701で参照した試算結果から補正後の調整前の発電機出力と調整可能量とを取得し、調整前の発電機出力と調整可能量とを減算した値に、ステップS4701に含まれる指令値を加算した値を計算する。
ステップS4708では、調整制御部2810は、ステップS4702で取得した現時点の発電機出力からステップS4707で計算した値を減算する。
ステップS4709では、調整制御部2810は、ステップS4708の結果とゼロとを比較して大きい方の値を取得した上で、これを指令値の絶対値から減算した値を現時点の発電機出力に加算して発電機(電力モノジェネレーション設備)への指令(出力指令)とする。
ステップS4710では、調整制御部2810は、ステップS4705またはステップS4708で計算した値の符号を反転させて記録する。これが負の場合は、指令に対する不足分を示し、正の場合は、指令に対する余剰分を示す。
なお、ここまで説明していないが、指令値に対する不足分は、実際に不足する量を示す一方、余剰分については、それだけの能力を当該需要家150が持っていることを示すだけで、実際には、指令値通りの出力を行っている。
図48は、電力以外のエネルギ利用発電機器の運転変更による調整制御処理(電力と熱のコジェネレーション設備による電力供給を用いた上げ調整または下げの調整制御処理)に係るフローチャートの一例(ステップS4800~ステップS4811)を示す図である。
ステップS4801では、調整制御部2810は、当該需要家150に対する指令値(例えば、ステップS3210で実施される。)に対して、選定された制御方式(例えば、調整可能量候補の計算で使用された制御方式)の補正後の試算結果および補正係数を参照する。
ステップS4802では、調整制御部2810は、現時点(指令受信時点であってもよいし、指令発動時点であってもよい。)でのコジェネレーション設備の発電出力を取得する。
ステップS4803では、調整制御部2810は、指令が上げ指令であるか否かを判定する。調整制御部2810は、上げ指令であると判定した場合、ステップS4804に処理を移し、上げ指令でないと判定した場合、ステップS4807に処理を移す。
ステップS4804では、調整制御部2810は、ステップS4801で参照した試算結果から補正後の調整可能量とコジェネ想定電気出力とを取得し、コジェネ想定電気出力から、ステップS4701に含まれる指令値を減算した値を計算する。なお、図24BのステップS2429および図24CのステップS2438に示したように、電力と熱のコジェネレーション設備の運転変更による調整力試算では、第5要素として、コジェネ想定電気出力(調整後の発電出力の想定値)が記録されている。
ステップS4805では、調整制御部2810は、ステップS4804で計算した値からステップS4802で取得した現時点の発電出力を減算する。
ステップS4806では、調整制御部2810は、ステップS4805で減算した値とゼロのうち、大きい値を取得し、指令値の絶対値から減算した値を現時点の発電出力から減算してコジェネレーション設備への指令(発電指令)とする。
ステップS4807では、調整制御部2810は、ステップS4801で参照した試算結果から補正後の調整可能量とコジェネ想定電気出力とを取得し、コジェネ想定電気出力に、ステップS4701に含まれる指令値を加算した値を計算する。
ステップS4808では、調整制御部2810は、ステップS4802で取得した現時点の発電出力から、ステップS4807で計算した値を減算する。
ステップS4809では、調整制御部2810は、ステップS4808で減算した値とゼロとのうち、大きい値を取得し、指令値の絶対値から減算した値を現時点の発電出力に加算してコジェネレーション設備への指令(発電指令)とする。
ステップS4810では、調整制御部2810は、ステップS4805またはステップS4808で計算した値の符号を反転させて(指令値に対する誤差として)記録する。これが負の場合は、指令に対する不足分を示し、正の場合は、指令に対する余剰分を示す。
本実施の形態では、試算に対応する調整力の供給制御を行うことができる。また、試算結果に対応した制御による制御結果と試算結果とを紐付けて管理できるため、過去の実績に基づいて制御に伴う調整可能量の試算結果を補正することもできる。
(4)他の実施の形態
なお上述の実施の形態においては、本発明を電力調整システムに適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、この他種々のシステム、装置、方法、プログラムに広く適用することができる。
また上述の実施の形態においては、ステップS2911では制御結果に基づく試算処理で算出された調整可能量を補正する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、運用データに基づく試算処理で算出された調整可能量を補正するようにしてもよい。
また上述の実施の形態においては、データ構造は限定されるものではない。
また、上記の説明において各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
また上述した構成については、本発明の要旨を超えない範囲において、適宜に、変更したり、組み替えたり、組み合わせたり、省略したりしてもよい。
上述した構成によれば、調整力を適切に供給可能な電力調整システムを実現することができる。
1……電力調整システム、100……試算処理部、110……運用情報管理部、120……プログラム管理部、130……試算結果管理部。

Claims (11)

  1. 需要家が有する設備で運用されたエネルギに係る情報を示す運用情報を管理する運用情報管理部と、
    電力需要に関する複数の制御方式の各々に対応する調整可能量を前記設備の運用情報から試算するためのプログラムを管理するプログラム管理部と、
    前記プログラムを実行することで前記設備の運用の変更における調整可能量を試算する試算処理部と、
    前記試算処理部による試算の対象日の日種を示す日種情報と、前記対象日の環境に係る環境情報とから、前記対象日の特徴量を抽出してインデックスデータを生成するインデックス処理部と、
    前記試算処理部により試算された調整可能量と前記試算の対象日のインデックスデータとを紐付けて記録するインデックス管理部と、
    前記試算処理部により試算された調整可能量に基づく指令値に従って、前記設備における調整制御を行う調整制御部と、
    を備え
    前記調整制御部は、前記試算処理部により試算された調整可能量に基づく指令値に従って、前記設備における調整制御を行った結果を示す実績値を含む実績情報と前記指令値に係る指令情報とを紐付けて記録し、
    前記試算処理部は、前記調整制御部により記録された指令値と実績値との関係を評価して、試算した調整可能量を補正する、
    ことを特徴とする電力調整システム。
  2. 前記需要家の設備には、エネルギを貯蔵可能なエネルギ貯蔵設備が含まれ、
    前記運用情報管理部は、前記エネルギ貯蔵設備の運用情報として、前記エネルギ貯蔵設備のエネルギの貯蔵量を示す貯蔵量情報を管理し、
    前記プログラム管理部は、前記エネルギ貯蔵設備に係るプログラムを管理し、
    前記試算処理部は、前記エネルギ貯蔵設備に係るプログラムを実行することで、前記エネルギ貯蔵設備の貯蔵量情報から、前記エネルギ貯蔵設備の運用の変更における調整可能量を試算する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の電力調整システム。
  3. 前記需要家の設備には、再生可能エネルギ発電装置に併設して系統への電力の出力の平滑化に利用するエネルギ貯蔵設備が含まれ、
    前記運用情報管理部は、前記エネルギ貯蔵設備の運用情報として、前記エネルギ貯蔵設備のエネルギの貯蔵量を示す貯蔵量情報と、前記再生可能エネルギ発電装置の発電量を示す発電量情報と、を管理し、
    前記プログラム管理部は、前記エネルギ貯蔵設備に係るプログラムを管理し、
    前記試算処理部は、前記エネルギ貯蔵設備に係るプログラムを実行することで、前記エネルギ貯蔵設備の貯蔵量情報と前記再生可能エネルギ発電装置の発電量情報とから、前記エネルギ貯蔵設備の運用の変更における調整可能量を試算する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の電力調整システム。
  4. 前記需要家の設備には、設備の気温を管理する管理設備が含まれ、
    前記運用情報管理部は、前記管理設備の運用情報として、前記管理設備の電力の使用量を示す電力使用量情報と、前記設備の気温に係る指標を示す指標情報とを管理し、
    前記プログラム管理部は、前記管理設備に係るプログラムを管理し、
    前記試算処理部は、前記管理設備に係るプログラムを実行することで、前記管理設備の電力使用量情報および前記設備の指標情報から、前記管理設備の運用の変更における調整可能量を試算する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の電力調整システム。
  5. 前記需要家の設備には、電力以外のエネルギに基づいて発電可能な発電設備が含まれ、
    前記運用情報管理部は、前記発電設備の運用情報として、前記発電設備の発電量を示す発電量情報と、前記需要家が系統から受け取った電力を示す受電電力情報とを管理し、
    前記プログラム管理部は、前記発電設備に係るプログラムを管理し、
    前記試算処理部は、前記発電設備に係るプログラムを実行することで、前記発電設備の発電量情報および前記需要家の受電電力情報から、前記発電設備の運用の変更における調整可能量を試算する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の電力調整システム。
  6. 前記需要家の設備には、電力を使用して稼働する複数の設備が含まれ、
    前記運用情報管理部は、前記設備の運用情報として、前記設備の電力の使用量を示す電力使用量情報を管理し、
    前記プログラム管理部は、前記設備に係るプログラムを管理し、
    前記試算処理部は、前記設備に係るプログラムを実行することで、前記設備の電力使用量情報から、前記設備の運用の変更における調整可能量を試算する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の電力調整システム。
  7. 前記試算処理部は、前記需要家が調整可能量の試算を所望する制御方式を一または複数選択可能なインタフェース部により選択された制御方式のプログラムを実行することで調整可能量を試算する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の電力調整システム。
  8. 前記試算処理部は、前記設備の運用情報の周期性に基づいて前記設備の運用情報を分割し、分割した情報ごとに前記設備の運用の変更における調整可能量を試算する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の電力調整システム。
  9. 前記試算処理部は、調整可能量を試算する日を示す対象日の特徴量を算出し、算出した特徴量と類似する特徴量を持つ日の調整可能量を取得する、
    ことを特徴とする請求項に記載の電力調整システム。
  10. 前記試算処理部は、調整可能量を試算する日を示す対象日の日種情報と環境情報とから特徴量を算出し、算出した特徴量と類似する特徴量を持つ日の調整可能量から、前記対象日の調整可能量を試算する、
    ことを特徴とする請求項に記載の電力調整システム。
  11. 前記試算処理部は、前記調整制御部により記録された指令値と実績値との関係の多項式近似に基づいて、試算した調整可能量を補正する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の電力調整システム。
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