JP7202488B2 - 引戸装置 - Google Patents

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本発明は、扉体の下部に配置された下ローラが下レール部材に転動自在に載置されることにより、扉体が下レール部材に案内されて移動自在となっている引戸装置に係り、例えば、扉体が上レール手段から吊り下げられた上吊り式となっている玄関用引戸装置として利用できるものである。
下記の特許文献1には、開閉移動する扉体を備えている引戸装置が示されており、この引戸装置は、扉体と、この扉体を開閉移動方向に案内するための上レール手段及び下レール部材と、上レール手段である上レール部材に転動自在に係合する上ローラを有し、扉体を上レール部材から吊り下げられた上吊り式扉体とするための上吊り手段と、扉体の下部における戸尻側の部分に設けられていて下レール部材に転動自在に載置する下ローラと、を含んで構成され、上下のレール部材に案内されて扉体が移動自在となっている。
特開2007-315017号公報(図1、図2及び図6)
本発明の目的は、下ローラに掛かる扉体の荷重を分散できるようになる引戸装置を提供するところにある。
本発明に係る引戸装置は、扉体と、この扉体を開閉移動方向に案内するための上レール手段及び下レール部材と、前記扉体を前記上レール手段から吊り下げられた上吊り式扉体とするための上吊り手段と、前記扉体の下部における戸尻側の部分に設けられていて前記下レール部材に転動自在に載置する下ローラと、を含んで構成されている引戸装置において、前記下ローラは複数個あることを特徴とするものである。
上述のように、本発明に係る引戸装置では、扉体の下部における戸尻側の部分に設けられていて下レール部材に転動自在に載置する下ローラの個数は、前述した従来の引戸装置のように1個ではなく、複数個となっている。
このため、下ローラに作用する扉体の荷重は、複数個の下ローラによって分散されることになる。
このように、本発明によると、引戸装置の下ローラに掛かる扉体の荷重を分散できるようになる。
本発明において、複数個の下ローラは、例えば、扉体の開閉移動方向に小さな間隔又はこれより大きな間隔をあけて並んで配置するようにしてもよく、扉体の厚さ方向に小さな間隔又はこれより大きな間隔をあけて並んで配置するようにしてもよい。
前者の場合には、下レール部材の本数を1本とし、この1本の下レール部材に複数個の下ローラが転動自在に載置されるものとしてよい。
一方、後者の場合には、下レール部材の本数を複数本とし、それぞれの下レール部材に1個の下ローラが転動自在に載置されるものとしてよい。
また、後者の場合には、下レール部材の本数を複数本とし、それぞれの下レール部材に複数個の下ローラが転動自在に載置されるものとしてもよい。例えば、扉体の厚さ方向に小さな間隔又はこれより大きな間隔をあけて並んで配置された2本のレール部材のそれぞれに、2個の下ローラが転動自在に載置するものとし、戸先側の2個の下ローラが扉体の厚さ方向に並んで配置されるようにするとともに、戸尻側の2個の下ローラが扉体の厚さ方向に並んで配置されるようにするものとしてもよい。
本発明において、複数個の下ローラの全部は、同じ直径寸法を有していてもよく、いなくてもよい。
後者の場合によると、全閉位置まで閉じ移動したときの扉体の戸尻側の部分と、この扉体によって開閉される開口部の開口枠のうち、戸尻側の枠部分を形成する戸尻側の竪額縁部材等との重複部分の幅寸法(言い換えると、開閉移動方向である左右方向の寸法)を小さくすることができ、それだけ、扉体の幅寸法を小さくすることができる。これにより、扉体が全開位置まで開き移動したときの開口部の幅寸法をより大きくすることができるようになる。
後者の場合(複数個の下ローラの全部が同じ直径寸法を有するものとはなっていない場合)において、前述したように、複数個の下ローラは、扉体の開閉移動方向に小さな間隔又はこれより大きな間隔をあけて並んで配置するとともに、下レール部材の本数を1本とし、この1本の下レール部材に複数個の下ローラが転動自在に載置されるものとした場合には、複数個の下ローラのうち、最も戸先側に配置されている下ローラの直径寸法を他の下ローラの直径寸法よりも大きいものとすることが好ましい。
また、後者の場合(複数個の下ローラの全部が同じ直径寸法を有するものとはなっていない場合)において、前述したように、複数個の下ローラは、扉体の厚さ方向に小さな間隔又はこれより大きな間隔をあけて並んで配置するとともに、下レール部材の本数を複数本とし、それぞれの下レール部材に複数個の下ローラが転動自在に載置されるものとした場合には、それぞれの下レール部材に載置されている複数個の下ローラのうち、最も戸先側に配置されている下ローラの直径寸法を他の下ローラの直径寸法よりも大きいものとすることが好ましい。
本発明において、上述したように、複数個の下ローラの全部が同じ直径寸法を有するものとはなっていない場合には、複数個の下ローラの回転中心軸の高さ位置は同じであってもよく、なくてもよい。
前者の場合には、複数個の下ローラは、扉体の厚さ方向となっているローラ厚さ方向の両側に設けられた2個のフランジ部と、これらのフランジ部の間に形成された溝部と、を有するものとし、上述のように直径寸法の大きい最も戸先側に配置されている下ローラの溝部の深さ寸法を他の下ローラの溝部の深さ寸法よりも大きいものとすることが好ましい。
本発明において、上レール部材の戸尻側の端部よりも戸尻側の位置には、全開位置まで開き移動した扉体が当接する戸当たり部材を設けるようにしてもよく、しなくてもよい。
前者の場合において、扉体が開き移動方向への大きな外力を受けながら高速で開き移動し、全開位置まで開き移動したこの扉体が戸当たり部材に当接したときには、扉体が揺動(扉体の上部が戸当たり部材から遠ざかるとともに、扉体の下部が戸当たり部材に近づくように揺動)し、下ローラに対して下レール部材からの浮き上がり力が生じるため、下ローラが下レール部材から外れる(言い換えると、脱輪する)おそれがある。
しかし、前述したように、複数個の下ローラのうち、最も戸先側に配置されている下ローラの直径寸法を他の下ローラの直径寸法よりも大きいものとすることにより、扉体が開き移動方向への大きな外力を受けながら高速で開き移動し、全開位置まで開き移動したこの扉体が戸当たり部材に当接しても、扉体が揺動(扉体の上部が戸当たり部材から遠ざかるとともに、扉体の下部が戸当たり部材に近づくように揺動)することを抑制することができるようになる。これにより、下ローラに対して下レール部材からの浮き上がり力が生じるのを抑制することができ、下ローラが下レール部材から外れることを防止できるようになる。
このような下レールの脱輪防止効果は、複数個の下ローラの回転中心軸の高さ位置を同じとするとともに、複数個の下ローラは、扉体の厚さ方向となっているローラ厚さ方向の両側に設けられた2個のフランジ部と、これらのフランジ部の間に形成された溝部と、を有するものとし、直径寸法の大きい最も戸先側に配置されている下ローラの溝部の深さ寸法を他の下ローラの溝部の深さ寸法よりも大きいものとすることによって、より大きなものとなる。
本発明において、扉体の下部には、複数個の下ローラが下レール部材に対し扉体の厚さ方向に横ずれすることを防止するための横ずれ防止手段を設けるようにしてもよく、しなくてもよい。
前者の場合において、横ずれ防止手段の形式、構造は任意なものでよい。例えば、下ローラを回転自在に支持しているブラケットを、下ローラの配置から扉体の厚さ方向の両側に配置された2個のフランジ部を有するものとした場合には、横ずれ防止手段は、例えば、2個のフランジ部のうち、一方のフランジ部における下レール部材と対面する内面に設けられ、複数個の下ローラが下レール部材に対し扉体の厚さ方向に横ずれしようとしたときに、下レール部材に当接する当接部としてもよい。
ここで、横ずれ防止手段を形成する当接部の個数は任意であり、例えば、1個でもよく、複数個でもよい。
後者の場合において、複数個の当接部は、任意な箇所に設けるようにしてよい。
前述したように、複数個の下ローラの全部が同じ直径寸法を有するものとはなっていない場合であって、最も戸先側に配置されている下ローラの直径寸法を他の下ローラの直径寸法よりも大きいものとした場合には、一方のフランジ部における下レール部材と対面する内面において、少なくとも、最も戸尻側に配置されている直径寸法の大きい下ローラの配置位置から扉体の開閉移動方向の両側に離れた位置に設けることが好ましい。
これは、前述したように、本発明では、最も戸先側に配置されている下ローラの直径寸法を他の下ローラの直径寸法よりも大きいものとすることにより、下レールの脱輪防止効果が得られるようになっており、最も戸先側に配置されていて、脱輪防止効果が得られる直径寸法の大きい下ローラが下レール部材に対し扉体の厚さ方向に横ずれすることを防止することが最も重要だからである。
なお、本発明において、横ずれ防止手段を形成する当接部は、一方のフランジ部と一体となっているものでもよく、一方のフランジ部と別体となっているもの、すなわち、一方のフランジ部における下レール部材と対面する内面に止着具で止着された当接部材であってもよい。
以上の本発明は、扉体の上方に配置され、この扉体の開閉移動を案内するための上レール手段は、上吊り手段に設けられた上吊りローラが転動自在に載置される上レール部材でもよく、あるいは、アウター部材と、インナー部材と、これらのアウター部材とインナー部材の間に配置されたボールとを有するスライドレールでもよい。そして、上レール手段がスライドレールである場合には、上吊り手段は、インナー部材と扉体の上部とを連結する連結部材となる。
また、本発明は、任意の用途で用いられる各種の引戸装置に適用することができ、本発明に係る引戸装置は、例えば、玄関用引戸装置でもよく、あるいは、室内の廊下と部屋を仕切るために、又は隣接する部屋同士を仕切るために壁に設置される仕切用引戸装置でもよい。
本発明によると、下ローラに掛かる扉体の荷重を分散できるようになるという効果を得られる。
図1は、本発明の一実施形態に係る引戸装置の全体を示す正面図である。 図2は、図1で示されている無目から点検カバーを取り外したときであって、扉体が全閉位置に達しているときを示す図1と同様の図である。 図3は、図1で示されている無目から点検カバーを取り外したときであって、扉体が全開位置に達しているときを示す図1と同様の図である。 図4は、図1のS4-S4線断面図である。 図5は、図1のS5-S5線断面図である。 図6は、図1のS6-S6線断面図である。 図7は、図6の一部拡大図であって、下レール部材及びその周辺構造を示す図である。 図8は、扉体が全閉位置に達しているときにおける無目の内部構造と扉体の上部の内部構造とを示す正断面図である。 図9は、図1のS9-S9線断面図である。 図10は、扉体の上部に設けられている上吊り手段を示す正面図である。 図11は、上吊り手段の左側面図である。 図12は、図10及び図11で示されているロック部材を示す平面図である。 図13は、図10及び図11で示されているスペース部材を示す平面図である。 図14は、無目の内部に設けられている振れ止め手段を示す正面図である。 図15は、振れ止め手段の左側面図である。 図16は、振れ止め手段の右側面図である。 図17は、扉体の上吊り手段が振れ止め手段に設けられている戸当たり部材に当接することにより、扉体が全開位置に達したときを示す上吊り手段と戸当たり部材の部分の拡大正面図である。 図18は、扉体の下部に配置される浮き上がり防止部材の構成及び長さ寸法を示す正面図である。 図19は、扉体の下部に、下ローラが下レール部材に対し扉体の厚さ方向に横ずれすることを防止するための横ずれ防止手段を設けた実施形態を示す図7と同様の図である。 図20は、図19の横ずれ防止手段を示す背面図である。 図21は、下レール部材の取付構造を示す平面図である。 図22は、無目の正面図である。 図23は、無目の平面図である。 図24は、無目の左側面図である。 図25は、無目の右側面図である。 図26は、点検カバーの正面図である。 図27は、点検カバーの平面図である。 図28は、点検カバーの左側面図である。 図29は、点検カバーの右側面図である。 図30は、工具で回転操作される止着具となっているビスにより、無目を建物躯体である垂れ壁部に止着するための作業を示す図4と同様の図である。 図31は、上レール手段である上レール部材に、上吊り手段に設けられている上吊りローラを転動自在に載置するための作業を示す図4と同様の図である。 図32は、無目に点検カバーを取り付けるための作業を示す平面図である。 図33は、無目に点検カバーを取り付けた状態を示す平面図である。 図34は、上額縁部材に無目が取り付けられているときを示す(A)と、上額縁部材から無目を分離し、上額縁部材に別の無目を取り付け可能となることを示す(B)とを示した側断面図である。 図35は、戸先側竪枠部材を主部材に副部材を取り付けることで形成したときを示す(A)と、主部材から副部材を分離し、主部材に別の副部材を取り付け可能となることを示す(B)とを示した平断面図である。 図36は、自動閉鎖装置の配置箇所に関する別実施形態を示す図8と同様の図である。 図37は、振れ止め手段についての別実施形態を示す図8と同様の図である。 図38は、図37の実施形態の振れ止め手段を拡大して示す図6と同様の図である。 図39は、複数個である2個の下ローラを備えた実施形態に係る引戸装置の全体を示す図1と同様の図である。 図40は、図39に示されている扉体のうち、2個の下ローラが配置されている部分の拡大図である。 図41は、図40のS41-S41線断面図である。 図42は、戸先側に配置されている下ローラの直径寸法が戸尻側の下ローラの直径寸法よりも大きい実施形態を示す図40と同様の図である。 図43は、図42のS43-S43線断面図である。 図44は、戸尻側に配置されている下ローラの直径寸法が戸先側の下ローラの直径寸法よりも大きい実施形態を示す図40や図42と同様の図である。
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。図1には、本発明の一実施形態に係る引戸装置の全体の正面図が示されており、この引戸装置は、集合住宅の玄関の出入口を開閉するための玄関用引戸装置である。このため、本実施形態の引戸装置の扉体1により開閉される開口部は、玄関の出入口である。
図1では、扉体1が、建物躯体である壁2に結合された戸先側竪枠部材3に当接することにより全閉位置に達している状態が示されている。扉体1の上方には、無目4が、壁2のうち、垂れ壁部2Aに結合されて配設され、この無目4には、点検カバー5が取り外し可能に取り付けられている。図2には、扉体1が全閉位置に達し、かつ点検カバー5が無目4から取り外された状態が示され、図3には、扉体1が全開位置まで開き移動し、かつ点検カバー5が無目4から取り外された状態が示されている。なお、無目4から点検カバー5を取り外すことは、無目4の内部に収納されている扉体移動機構等についての保守、点検作業等を行うために行われる。
図3から分かるように、扉体1で開閉される開口部となっている玄関の出入口6は、戸先側竪枠部材3と、無目4と、戸先側竪枠部材3に対し扉体1の開閉移動方向に対向して壁2に結合された竪額縁部材7と、床8に敷設された沓摺部材9とにより四方が囲まれた空間であり、沓摺部材9は、出入口6の下辺部を形成する下枠部材となっている。竪額縁部材7は、図1のS4-S4線断面図である図4や、図1のS5-S5線断面図である図5、図1のS6-S6線断面図である図6にも示されている。
なお、以下の説明において、戸先側とは、扉体1の閉じ移動側のことであり、戸尻側とは、扉体1の開き移動側のことである。
図4に示されているように、壁2の垂れ壁部2Aには、上額縁部材10が結合され、また、板金の折り曲げ品である無目4には、扉体1の厚さ方向のうち、垂れ壁部2A側と同じ側の箇所において、上面部4Aから垂下した垂下部4Bが形成され、この垂下部4Bとは扉体1の厚さ方向反対側の箇所は、言い換えると、無目4の上面部4Aにおける扉体1の厚さ方向の一方の側の端部の下部は、点検カバー5により覆われる開口した箇所となっている。垂下部4Bは、それぞれが扉体1の開閉移動方向に複数個設けられたビス11,12により上額縁部材10に結合され、これらのビス11,12は、垂下部4Bを、上額縁部材10を介して建物躯体となっている垂れ壁部2Aに止着するための止着具になっている。無目4の内部には、この無目4の強度を補強するための補強部材にもなっている取付部材13が配設されており、扉体1の開閉移動方向へ延びる長さを有する板金の折り曲げ品であって、扉体1の厚さ方向への凹凸の形状を有しているこの取付部材13は、ビス12及び溶接により無目4の垂下部4Bに結合されている。また、取付部材13には、垂れ壁部2A側へ窪んだ凹部13Aが形成されている。
この凹部13Aよりも上部において、取付部材13には、アルミ又はアルミ合金の押し出し成形で形成された上レール部材14の上部14Aが、ビス15により結合され、本実施形態に係る上レール手段となっているこの上レール部材14の上部14Aの下側には、取付部材13の凹部13Aの内部に嵌合された嵌合部14Bが形成されており、この嵌合部14Bの下側は、鉛直下向きに延びる延長部14Cとなっている。そして、この延長部14Cは、取付部材13の下端部13Bを越えて下向きに延びている。また、上レール部材14には、上部14Aと嵌合部14Bとの間において、ガイド部14Dが、扉体1の厚さ方向のうち、垂れ壁部2A側とは反対側へ水平に延出形成されている。このような上部14Aと嵌合部14Bと延長部14Cとガイド部14Dとを有する上レール部材14は、扉体1が全閉位置に達しているときにおける無目4の内部構造と扉体1の上部の内部構造とを示している図8から分かるように、扉体1の開閉移動方向への長さを有している。
図4に示されているように、扉体1の上端には、扉体1の上力骨である上枠部材16が配設され、この上枠部材16は、水平部16Aと、鉛直上向きに立ち上がった立上り部16Bとからなるアングル材により形成され、立上り部16Bは、扉体1の厚さ方向である水平部16Aの幅方向の両端部のうち、垂れ壁部2A側とは反対側の端部から立ち上がっている。水平部16Aには、1個の上吊り手段17が取り付けられており、扉体1の上部に配置されているこの上吊り手段17には、上吊りローラ18が回転自在に設けられ、上レール部材14のガイド部14Dに上から転動自在に載置、係合しているこの上吊りローラ18は、図8に示されているように、扉体1の開閉移動方向に小さな間隔をあけて2個配設されている。このため、上吊りローラ18を備えた上吊り手段17は、上レール部材14が配置されている無目4の内部に収納され、この無目4の内部は、このような上吊りローラ18を備えた上吊り手段17が収納される空間部となっている。
以上の説明から分かるように、扉体1の上方には、無目4の内部に配置された上レール部材14が配設されており、扉体1は、この扉体1の上部に設けられた1個の上吊り手段17の上吊りローラ18が上レール部材14に転動自在に載置、係合することにより、上レール部材14から吊り下げられた上吊り式の扉体となっている。
なお、本実施形態の上レール部材14は、扉体1の開閉移動を案内するためのレール手段となっていて、扉体1が吊り下げられた上レール手段ともなっているが、上レール手段を上レール部材14とするのではなく、この上レール部材14の代わりに、扉体1の開閉移動方向への長さを有するアウター部材と、このアウター部材よりも長さが短いインナー部材と、これらのアウター部材とインナー部材の間に転動自在に配置されたボールとを含んで構成されたスライドレールを用いることにより、このスライドレールを上レール手段とし、アウター部材に対して扉体1の開閉移動方向にボールの転動で移動自在となっているインナー部材と、扉体1の上部とを、スライドレールから扉体1を吊り下げるための上吊り手段になっている連結部材により連結するようにしてもよい。
図8に示されているように、扉体1の上部には、上吊り手段17の配置箇所よりも戸尻側において、上ガイド部材19が固定されており、図5に示されているように、上枠部材16の水平部16Aの上面にビス46で結合されているこの上ガイド部材19は、図8に示されているように、扉体1の開閉移動方向への長さを有している。また、上ガイド部材19は、図5に示されているように、上枠部材16の水平部16Aの上面にビス46で結合された水平のベース部19Aと、扉体1の厚さ方向であるベース部19Aの幅方向の両端部から鉛直に立ち上がった一対の立上り部19B,19Cとからなる上向きに開口したチャンネル状の部材により形成されている。
図4で説明した取付部材13は、図8に示されているように、上レール部材14の戸尻側の端部を越えてさらに戸尻側へ延出した延出部13Cを有しており、この延出部13Cに振れ止め手段20が取り付けられている。この振れ止め手段20は、図6に示されているように、上ガイド部材19の一対の立上り部19B,19Cの間に挿入された振れ止め部材21を備えており、この振れ止め部材21により、扉体1が、扉体1の厚さ方向に振れることが防止されるようになっている。そして、上吊り手段17が、扉体1の上部における戸先側端部の箇所又はこの箇所の近傍に配置されているのに対して、振れ止め手段20は、扉体1が前述の全閉位置に達しているときに、扉体1の上部における戸尻側端部の箇所又はこの箇所の近傍に配置されているようになっている。
図5や図6に示されているように、扉体1の下端には、扉体1の下力骨である下枠部材22が配置され、下向きに開口したチャンネル材で形成されているこの下枠部材22の内部には、下ガイド部材23が図5のビス24で結合されて収納配置されており、この下ガイド部材23は、扉体1の開閉移動方向である図1の左右方向への長さ寸法を有している。
図3から分かるように、前述した沓摺部材9は、扉体1で開閉される出入口6を越えて扉体1の開き移動方向へ延びる延長部9Aを有しており、この延長部9Aの上面には、扉体1の開閉移動方向へ延びる長さを有している下レール部材25が固定設置され、この下レール部材25は、無目4の内部に収納されて配置されている上レール部材14の下方において、この上レール部材14から戸尻側へずれて配置されたレール部材となっている。図6に示されているように、下ガイド部材23の内部には、1個の下ローラ26を回転自在に支持したブラケット27がビス28で取り付けられ、下ローラ26は、下レール部材25に上から転動自在に載置、係合している。また、ビス28は、下ガイド部材23を下枠部材22に止着するための止着具にもなっている。そして、下ローラ26は、図1に示されているように、扉体1の下部における戸尻側端部の箇所又はこの箇所の近傍に配置されている。
前述したように、扉体1を上レール部材14から吊り下げるための上吊り手段17が、扉体1の上部における戸先側端部の箇所又はこの箇所の近傍に配置され、また、下レール部材25に載せられている下ローラ26が、扉体1の下部における戸尻側端部の箇所又はこの箇所の近傍に配置されていることにより、扉体1の重量は、扉体1が鉛直面内で回転することを阻止されながら、上レール部材14と下レール部材25とで支持されることになる。
図7は、図6の一部拡大図であって、下レール部材25と下ローラ26の箇所を示している。この図7から分かるように、下ローラ26を回転自在に支持しているブラケット27は、扉体1の厚さ方向の両側に2個のフランジ部27A,27Bを有しているものであり、これらのフランジ部27A,27Bに架け渡されている軸27Cを中心に下ローラ26が回転自在となっている。また、下レール部材25は厚板金属の折り曲げ品であり、この下レール部材25は、扉体1の厚さ方向のうち、前述の垂れ壁部2A側とは反対側へ延出し、この延出方向の寸法が幅寸法となっている板状のベース部25Aと、扉体1の開閉移動方向が長さ方向となっているこのベース部25Aの幅方向の基端部から鉛直に起立した起立部25Bと、この起立部25Bの上端から下向きに折り返されて起立部25Bの途中まで達し、起立部25Bと扉体1の厚さ方向に重ねられている折り返し部25Cと、この折り返し部25Cの下端部からベース部25Aとは反対側へ突出し、この突出方向の寸法が幅寸法となっている水平の係止部25Dとからなり、起立部25Bと折り返し部25Cとの接続部が、下ローラ26が転動自在に係合載置されるガイド部25Eとなっている。
ベース部25Aは、前述の沓摺部材9の延長部9Aの下面に接合されている裏ナット29に雄ねじ軸部30Aが螺入される止着具であるビス30により、この沓摺部材9の延長部9Aの上面に固定され、このようにベース部25Aを沓摺部材9の延長部9Aの上面にビス30で固定したとき、係止部25Dは、沓摺部材9の延長部9Aの上面から上方へ離れた高さ位置にある。また、起立部25Bには、ベース部25Aとは扉体1の厚さ方向の反対側であって、係止部25Cよりも下側において、沓摺部材9の上面に載せられた支持部材31がビス32により結合されている。
図1のS9-S9線断面図である図9には、下レール部材25を沓摺部材9の延長部9Aに取り付けているビス30が、下レール部材25の長さ方向に複数個設けられていることが示されており、支持部材31は、下レール部材25と同様に、扉体1の開閉移動方向への長さを有する長寸部材となっている。
図7に示されているように、扉体1の下力骨である下枠部材22の内部に収納結合されている下ガイド部材23は、ビス28で下枠部材22に止着されたベース部23Aと、扉体1の厚さ方向であるこのベース部23Aの幅方向の両端部から鉛直に垂下した一対の垂下部23B,23Cとからなる下向きに開口したチャンネル状の部材で形成されている。一対の垂下部23B,23Cのうち、垂れ壁部2A側の垂下部23Bの下部には、扉体1の厚さ方向への幅寸法が大きくなっている膨大部23Dが形成されており、この膨大部23Dの内部には、浮き上がり防止部材33の上部33Aが挿入された挿入部23Eが形成されている。浮き上がり防止部材33は、上部33Aから膨大部23Dの下側へ突出していて、下ローラ26側へ屈曲して水平に延びている浮き上がり防止部33Bを備えており、この浮き上がり防止部33Bは、下レール部材25の係止部25Dの下側において、この係止部25Dと隙間をあけて上下方向に対向している。
以上のように、扉体1の下部において、下ガイド部材23に配設されている浮き上がり防止部材33は、下ガイド部材23と同様に、扉体1の開閉移動方向である図1の左右方向への長さ寸法を有している。
図1には、扉体1の下部に挿入された下ガイドローラ35が沓摺部材9に配置されていることが示されている。沓摺部材9において、下レール部材25よりも少し戸先側に配置されているこの下ガイドローラ35は、図5にも示されており、下ガイドローラ35は、沓摺部材9の上面に結合されたベース部材36に立設されている支柱37の上端に、鉛直軸を中心に水平面内で回転自在に取り付けられている。また、下ガイドローラ35は、図7でも説明した下ガイド部材23の垂下部23Bの膨大部23Dと垂下部23Cとの間に挿入されている。
図1に示されているように、扉体1には、戸先側の端部近傍において、把持部40が設けられ、この把持部40は、扉体1の厚さ方向の両面、すなわち、扉体1の室外側の表面と室内側の表面に設けられている。また、扉体1の戸先側の端部近傍には施錠装置41も設けられ、この施錠装置41の扉体1の戸先側の端面から出没するデッドボルトを受けるためのストライク42は、図9に示されているように、前述の戸先側竪枠部材3に配置されている。
把持部40により扉体1を開閉操作すると、上吊り手段17の上吊りローラ18が上レール部材14のガイド部14Dに案内されて転動し、また、下ローラ26は下レール部材25のガイド部25Eに案内されて転動し、これにより、扉体1は上レール部材14と下レール部材25に案内されながら開閉移動する。
このため、上レール部材14と、この上レール部材14が取り付けられている図4の取付部材13と、この取付部材13が内部に収納結合されている無目4と、この無目4に取り外し可能に取り付けられている前述の点検カバー5と、下レール部材25と、この下レール部材25が配置されている沓摺部材9は、開閉移動する扉体1に対して開閉移動しないで不動となっている不動部材になっており、戸先側竪枠部材3や竪額縁部材7等も不動部材になっている。
扉体1が上レール部材14と下レール部材25に案内されながら開閉移動する際には、不動部材である無目4の内部の取付部材13に取り付けられた図6の振れ止め手段20の振れ止め部材21が、扉体1の上部に配設されている上ガイド部材19の一対の立上り部19B,19Cの間の空間に挿入配置されていて、この空間を移動するため、扉体1が上レール部材14と下レール部材25に案内されながら開閉移動することは、扉体1の上部が扉体1の厚さ方向に振れることが、振れ止め部材21における扉体1の厚さ方向両端部が立上り部19B,19Cに当接することによって防止されながら行われる。
また、前述したように本実施形態では、扉体1を上レール部材14から吊り下げるための上吊り手段17の個数が1個となっているが、無目4には、取付部材13を介して振れ止め手段20が取り付けられているため、扉体1の開閉移動は、扉体1の上部がこの扉体1に厚さ方向に振れることが防止しながら行われることになる。
また、扉体1の下部に配置された下ガイド部材23の垂下部23Bの膨大部23Dと垂下部23Cとの間には、不動部材となっている沓摺部材9に配設されている下ガイドローラ35が挿入されているため、扉体1が上レール部材14と下レール部材25に案内されながら開閉移動することは、扉体1の下部が扉体1の厚さ方向に振れることが下ガイドローラ35により防止されながら行われる。
なお、前述したように、上吊り手段17が、扉体1の上部における戸先側端部の箇所又はこの箇所の近傍に配置されているのに対して、振れ止め手段20は、扉体1が前述の全閉位置に達しているときに、扉体1の上部における戸尻側端部の箇所又はこの箇所の近傍に配置されているため、扉体1が全閉位置に達しているときに、上吊り手段17と振れ止め手段20は、扉体1の開閉移動方向に大きな間隔をあけて配置されていることになり、これにより、扉体1の上部が扉体1の厚さ方向に大きく振れることを防止しながら、扉体1を大きな距離を開閉移動させることができる。
また、扉体1の下ローラ26が、扉体1に作用する外力等により下レール部材25から浮き上がろうとしたときには、扉体1の下部に配置されている浮き上がり防止部材33の浮き上がり防止部33Bが、下レール部材25の係止部25Dに下側から係止することになり、これにより、下ローラ26の浮き上がりが防止され、この下ローラ26が下レール部材25から脱落することが阻止される。
このため、扉体1の下部に配置されている浮き上がり防止部材33と、下レール部材25の係止部25Dとにより、図7で示す下ローラ26の浮き上がり防止手段44が構成されている。
また、この実施形態に係る下レール部材25の係止部25Dは、下レール部材25の全長に渡って設けられ、浮き上がり防止部材33は、後述するように、扉体1の開閉移動方向の寸法である扉体1の左右寸法と同じ又はこの左右寸法よりも少し短い長さ寸法を有しており、浮き上がり防止部33Bは、この浮き上がり防止部材33の全長に渡って形成されているため、下ローラ26の下レール部材25からの浮き上がりが、扉体1が下レール部材25に沿った開閉移動方向のどの位置に達しているときに生じても、また、扉体1内での開閉移動方向のどの箇所で生じても、上記浮き上がり防止手段44により、下レール部材25から下ローラ26が浮き上がることを防止できる。
さらに、本実施形態では、図4~図6に示されているように、扉体1の上部に、立上り部16Bを備えた上枠部材16が配設されており、この立上り部16Bは、扉体1の厚さ方向において、上吊り手段17や振れ止め手段20よりも点検カバー5に近い箇所に設けられているため、立上り部16Bと点検カバー5とにより、上吊り手段17や振れ止め手段20等を外力や塵埃等から保護することができる。
また、図4で説明したように、上レール部材14の下部に鉛直下向きに形成されている延長部14Cは、無目4に上レール部材14を取り付けるためにこの無目4に結合されている取付部材13の下端部13Bを越えて下向きに延びているため、扉体1が図3で示す出入口6を開放する全開位置まで移動したときでも、取付部材13の下端部13Bは、上レール部材14の延長部14Cにより隠されて外部に露出しない。このため、この延長部14Cを塗装するなどの表面処理作業を取付部材13に行う必要がなく、金属板の折り曲げ品である取付部材13をそのまま用いることができる。
なお、図6に示されているように、前述した竪額縁部材7と扉体1の下ガイド部材23には、竪額縁部材7と扉体1との間や扉体1と沓摺部材9との間の気密性を確保するための気密部材45が配設されており、図9に示されているように、戸先側竪枠部材3にも気密部材45が配設されているとともに、竪額縁部材7の図6で示されている箇所とは異なる箇所にも気密部材45が配設されている。
図8に示されているように、扉体1の内部には、紐状部材であるワイヤー51を有していて、繰り出されたこのワイヤー51の引っ張り力により扉体1を閉じ移動させるための自動閉鎖装置50が収納配置されており、扉体1の上部における戸尻側端部の箇所又はこの箇所の近傍に配置されているこの自動閉鎖装置50は、自動閉鎖装置50の上面を、扉体1の上部に配置されている上枠部材16の水平部16Aと上ガイド部材19のベース部19Aとに形成されている開口部から上向きに露出させて扉体1の内部に収納固定されている。そして、ワイヤー51は、自動閉鎖装置50の内部に回転自在に収納されているリール52に繰り出し自在に巻き取られており、リール52から先のワイヤー51の部分は、自動閉鎖装置50の上面の近くで自動閉鎖装置50の内部に回転自在に配設されている回転ガイド部材53の回転ガイド作用により、自動閉鎖装置50の上面から導出され、ワイヤー51の先端部は、振れ止め手段20に設けられている連結部54に連結されている。また、自動閉鎖装置50の内部には、リール52からワイヤー51が繰り出されるときに、リール52にワイヤー51を巻き取るためのばね力を蓄圧するぜんまいばね等による戻しばねも収納されている。
このため、図1等で示されている把持部40を把持した手により扉体1を全開位置等まで開き移動させると、リール52からワイヤー51が繰り出されながら、戻しばねにはばね力が蓄圧され、このため、把持部40から手を離すと、蓄圧されたばね力によりリール52はワイヤー51を巻き取り、このワイヤー51に作用する引っ張り力により扉体1は全閉位置まで自動的に閉じ移動する。
以上説明したように本実施形態の自動閉鎖装置50は、扉体1に配置されており、前述した不動部材となっている上レール部材14や取付部材13、無目4に配置されていない。このため、自動閉鎖装置50を上レール部材14や取付部材13、無目4に配置した場合と異なり、これらの上レール部材14や取付部材13、無目4の高さ寸法を自動閉鎖装置50の上下寸法に対応させて大きくする必要がない。これによると、上レール部材14や取付部材13、無目4の高さ寸法を小さくできるため、扉体1で開閉される出入口6の上辺部の高さ位置を、自動閉鎖装置50に影響されることなく、天井に近づけることができるようになり、これにより、引戸装置の設置現場が天井高さの低い現場であっても、出入口6の高さ寸法を大きくできるようになる。
また、自動閉鎖装置50から繰り出されている紐状部材となっているワイヤー51は、自動閉鎖装置50の上面から導出されており、自動閉鎖装置50の側面や底面から導出されていないため、ワイヤー51を扉体1の斜め上方へ延出させて、このワイヤー51の先端部を、開閉移動する扉体1に対して開閉移動しない前述の不動部材にもなっている振れ止め手段20の連結部54に容易に連結することができる。
さらに、自動閉鎖装置50の内部には、上述したように、この自動閉鎖装置50の上面の近くにおいて、回転ガイド部材53が回転自在に配設され、この回転ガイド部材53の回転ガイド作用により、ワイヤー51が自動閉鎖装置50の上面から導出されるようになっているため、ワイヤー52を自動閉鎖装置50の上面から導出することを、回転ガイド部材53の回転ガイド作用により、円滑に行わせることができる。
図8に示されているように、無目4の内部に配置されている上レール部材14には、扉体1が全閉位置に近づいたときに、扉体1の閉じ移動速度を低下させるためのドアクローズ装置55が取り付けられており、この取り付けが行われている箇所は、図4及び図5に示されているように、上レール部材14に設けられている前述の嵌合部14Bである。図5に示されているように、扉体1の上部に配置されている上ガイド部材19の一対の立上り部19B,19Cのうち、垂れ壁部2A側の立上り部19Bには、ドアクローズ装置55を作動させるための作動部材56が取り付けられている。図8に示されているように、ドアクローズ装置55は、装置本体55Aと、この装置本体55Aに対して扉体1の開閉移動方向に往復動自在となっている係止部材55Bとを有し、扉体1が全開位置に達しているときには、係止部材55Bは、装置本体55Aから扉体1の開き移動方向に離れた開き側の移動限界位置に達している。
装置本体55Aには、係止部材55Bが装置本体55Aからこの開き側の移動限界位置に達する際に、引っ張り力が蓄圧される長寸法のコイルばねと、係止部材55Bが装置本体55Aに対し扉体1の閉じ移動方向に移動して、この移動が閉じ側の移動限界位置に近づくことにより、装置本体55Aの内部に充填されているオイル等の流体の抵抗作用で係止部材55Bの移動速度を低下させるためのダンパーと、係止部材55Bの移動を案内するための案内部材とが設けられている。そして、係止部材55Bは揺動中心軸を中心に揺動自在となっており、この揺動により、作動部材56は係止部材55Bに対して係脱できるようになっている。
このため、全開位置に達していた扉体1の把持部40から手を離し、自動閉鎖装置50により自動的に扉体1を閉じ移動させると、その途中において、作動部材56は、この作動部材56が当接することにより揺動するドアクローズ装置55の係止部材55Bに係止され、これにより、扉体1とドアクローズ装置55とが連結され、このため、これ以後の扉体1は、ドアクローズ装置55の長寸法のコイルばねの引っ張り力と、自動閉鎖装置50のワイヤー51の引っ張り力とにより閉じ移動する。係止部材55Bが上述の閉じ側の移動限界位置の近くに達すると、言い換えると、扉体1が全閉位置に近づくと、上述のダンパーの作用により係止部材55Bの移動速度が低下するため、扉体1は閉じ移動速度を低下させながら全閉位置に達することになる。
また、全閉位置に達していた扉体1を把持部40を把持した手により開き移動させたときには、扉体1と係止部材55Bは、ダンパーに設けられている逆止弁の作用により移動速度が低下せずに開き移動し、係止部材55Bが、長寸のコイルばねに引っ張り力を蓄圧しながら上述の開き側の移動限界位置に達すると、この係止部材55Bの移動を案内する前述の案内部材に形成されている案内溝の作用により、係止部材55Bは、前述とは逆方向に揺動し、このため、係止部材55Bに係止されていた作動部材56は、この係止部材55Bから離脱し、これにより、扉体1は、ドアクローズ装置55から離れて全開位置等の開き位置まで達する。
図10及び図11には、図8等で示した上吊り手段17が拡大されて示されており、図10は、上吊り手段17の正面図であり、図11は、上吊り手段17を戸先側から見た左側面図である。これらの図10及び図11から分かるように、扉体1の上部に設けられている上吊り手段17は、下側の台座部材60と、この台座部材60の上に載せられた上側のローラ支持用ブラケット部材61とを含んで構成されている。ローラ支持用ブラケット部材61は、水平の基部61Aと、この基部61Aにおける扉体1の厚さ方向の両端部のうち、垂れ壁部2A側である上レール部材14側とは反対側の端部から鉛直に起立した起立部61Bとを有し、この起立部61Bに、2個の上吊りローラ18が扉体1の開閉移動方向に小さな間隔をあけて回転自在に支持されている。
台座部材60は、上下2個の水平部60A,60Bと、これらの水平部60A,60Bにおける扉体1の厚さ方向の両端部のうち、垂れ壁部2A側である上レール部材14側とは反対側の端部同士を連結している連結部60Cとを有する扉体1の厚さ方向の横向きに開口した形状を有するものとなっており、上側の水平部60Aは、台座部材60の上位部分であり、下側の水平部60Bは、上位部分の下側に設けられた台座部材60の下位部分である。上側の水平部60Aの上にスペース部材62を介してローラ支持用ブラケット部材61の基部61Aが載せられ、これらの水平部60Aと基部61Aとが、スペース部材62を貫通するボルト63で結合されることにより、台座部材60にローラ支持用ブラケット部材61が取り付けられている。また、台座部材60の下側の水平部60Bは、図8に示されているように、扉体1の上力骨である上枠部材16の水平部16Aにビス64で結合されている。
なお、厚板金属の折り曲げ品である台座部材60には、上側の水平部60Aにおける扉体1の開閉移動方向の両端部において、この水平部60Aからの下向きの折り曲げによる面部60D,60Eが設けられている。
台座部材60の下側の水平部60Bの上面には、板状のガイド部材65がビス66で取り付けられている。扉体1の内部には、図4や図8で示されているロックバー部材67が昇降自在に収納されており、このロックバー部材67の頭部67Aは、図11に示されているように、台座部材60の下側の水平部60Bに形成されている孔60Fと、ガイド部材65に形成されている孔65Aとを下から上に貫通し、台座部材の上下の水平部60A,60Bの間に突出している。ロックバー部材67は、扉体1に設けられている図1のレバー等の操作部材68の操作により昇降動するものであり、この操作部材68は、玄関の出入口6を開閉する扉体1の厚さ方向の両面のうち、室内側の表面に配設されている。
図11に示されているように、図4でも示されている取付部材13には、ロック部材69がビス70により取り付けられ、厚板金属製のこのロック部材69は、ビス70で取付部材13に結合された基部69Aと、この基部69Aから扉体1側へ水平に延びる延出部69Bとを有しており、図10に示されているように、長さ方向が扉体1の開閉移動方向となっているこの延出部69Bには、上下に貫通した開口部71が形成されている。ロックバー部材67の頭部67Aは、軸方向が上下方向となっている丸棒状部材の上部と下部との間を、互いに対向する2か所において、平坦状に切削加工等したものであり、このため、この頭部67Aは、図11に示されているように、平面視で共に円形となっている上部67Bと下部67Cと、これらの上部67Bと下部67Cの間に形成されている2個の平坦部67D,67Eとを有するものになっている。このような頭部67Aの形状は、ロック部材69の平面形状を示している図12にも示されている。
この図12に示されているように、ロック部材69の延出部69Bに形成されている開口部71は、ロックバー部材67の頭部67Aのうち、上側半分程度が下から上に貫通することができるものとなっており、この開口部71は、頭部67Aの上部67Bが貫通する大きさを有する大形部71Aと、この大形部71Aから扉体1の開き移動方向へ細幅状に延びる細幅延出部71Bとからなり、この細幅延出部71Bの幅寸法W1は、頭部67Aの上部67Bの直径寸法(平面視寸法)よりも小さく、かつ頭部67Aの2個の平坦部67D,67Eの間隔寸法W2よりも大きくなっている。
したがって、ロックバー部材67の頭部67Aは、平面視で大形部71Aよりも小さく、細幅延出部71Bの幅寸法W1よりも大きくなっている第1部分(上部67Bの箇所)と、この第1部分の下側に設けられ、平面視で細幅延出部71Bの幅寸法W1よりも小さくなっている第2部分(2個の平坦部67D,67Eが形成されている箇所)とを有するものになっている。
扉体1を前述したように把持部40を把持した手により開閉移動させるときには、前述のレバー等の操作部材68の操作により、ロックバー部材67を下降させておき、これにより、ロックバー部材67の頭部67Aの上面を、図11の二点鎖線で示されているように、ロック部材69の下面よりも下側の位置まで下がらせておく。これにより、扉体1を開閉移動させることができる。
扉体1を閉じ移動させて全閉とした後に、扉体1を、この扉体1で開閉される玄関の出入口6の室内側からロックするときには、操作部材68の操作によりロックバー部材67を上昇させる。これにより、図11の実線で示されているように、ロックバー部材67の頭部67Aのうち、上部67Bと、平坦部67D,67Eの一部とが、ロック部材69に形成されている開口部71のうち、大形部71Aに下から上に挿入される。そして、扉体1を開き移動させると、平坦部67D,67Eが、図12の二点鎖線で示されているように、大形部71Aから細長延出部71Bへ移行し、頭部67Aが細長延出部71Bの終端部71Cに達すると、頭部67Aがこの終端部71Cに当接するため、扉体1をそれ以上開き移動させることができず、扉体1はロックされる。
これにより、玄関の出入口6の室内側に居る人は、細幅延出部71Bの長さ寸法分だけ扉体1を開き移動させて、玄関の出入口6の室外側を視認、確認することができるとともに、玄関の出入口6の室外側に居る人は、それ以上に扉体1を把持部40により開き移動させることができない。また、玄関の出入口6の室外側に居る人が、全閉位置から少し開き移動している扉体1の戸先側の隙間から手等を挿入して前述の操作部材68を操作することにより、ロックバー部材67を下降させようとしても、ロックバー部材67の頭部67Aの上部67Bが細幅延出部71Bに上から係止するため、頭部67Aの全体が細幅延出部71Bから抜け出すまでロックバー部材67を下降させることができず、これにより、扉体1を開き移動させることができないため、扉体玄関の出入口6に関する安全性が確保される。
また、玄関の出入口6の室内側に居る人が、扉体1を全閉位置まで閉じ移動させた後に、操作部材68によりロックバー部材67を下降させることにより、扉体1を全開位置まで開き移動させることができる。
本実施形態では、前述したように扉体1を上レール部材14から上吊りしている上吊り手段17は、扉体1の上部における戸先側端部の箇所又はこの箇所の近傍に配置されており、このような上吊り手段17の配置箇所は、扉体1に昇降自在に配置されているロックバー部材67についての扉体1の開閉移動方向における同じ箇所又は略同じ箇所であって、扉体1が全閉位置に達しているときには、前述の不動部材である無目4の取付部材13に取り付けられているロック部材69の配置箇所と扉体1の開閉移動方向において一致又は略一致しているため、本来は、このような配置箇所にロック部材69を配置することは、上吊り手段17との位置関係で困難又は不可能である。
しかし、本実施形態の上吊り手段17は、前述したように台座部材60を含んで構成されたものとなっており、この台座部材60は、図11に示されているように、上下の間隔をあけて配設された部分であって、前述の上位部分と下位部分となっている2個の水平部60A,60Bを有する横向きに開口した形状となっており、また、これらの水平部60A,60Bと前述の連結部60Cとで囲まれる箇所が空間部S1となっている。このため、台座部材60は、空間部S1を形成するための空間部形成部材となっており、この空間部S1にロック部材69を、無目4の取付部材13側から扉体1に厚さ方向に挿入することができ、この挿入により、このロック部材69を、全閉位置に達しているときの扉体1の上吊り手段17と干渉させることなく、無目4の取付部材13に取り付けることができる。
また、空間部S1には、ロックバー部材67の頭部67Aを突出させることができるため、この頭部67Aをロック部材69の開口部71に挿入させることもできる。さらに、空間部S1は、図11から分かるように扉体1の開閉移動方向に貫通して形成されているため、扉体1を開閉移動させても、ロック部材69が上吊り手段17を構成する部材となっている台座部材60と干渉することはない。
また、本実施形態によると、空間部S1を形成するための空間部形成部材となっている台座部材60は、1個の部品により形成されたものとなっているため、この空間部形成部材を、さらには、この空間部形成部材を含んで構成される上吊り手段17を少ない部品点数により簡単な構造で構成できる。
また、本実施形態では、前述したように、上吊り手段17の台座部材60とローラ支持用ブラケット部材61との間には、スペース部材62が介入されている。このため、台座部材60とローラ支持用ブラケット部材61との間に上下に積み重ねられて介入されるスペース部材62の個数を変更したり、スペース部材62を介入しないことにより、台座部材60に対するローラ支持用ブラケット部材61の高さ位置を調整すること、すなわち、上吊り手段17を含む扉体1全体の上下寸法を調整することができるようになり、これにより、前述した上レール部材14と下レール部材25との間の上下間隔寸法に適切に対応した寸法に、上吊り手段17を含む扉体1全体の上下寸法を調整できるようになる。
図13には、スペース部材62の平面図が示されている。スペース部材62は、戸先側の端部に設けられ、指で摘むことができる摘み部62Aと、この摘み部62Aから戸尻側へ長く延出形成された延出部62Bとからなり、この延出部62Bには、延出部62Bの戸尻側の端部から戸先側へ長く形成された切り込み部62Cが設けられている。
ところで、図4に示されているように、上吊り手段17の台座部材60とローラ支持用ブラケット部材61との間に配置されるスペース部材62を、これらの台座部材60とローラ支持用ブラケット部材61との間に挿入する際に、このスペース部材62を、図4において、無目4から点検カバー5を取り外した後に、この点検カバー5があった側から挿入しようとしても、扉体1の上部には、前述の上枠部材16が配置され、この上枠部材16は、水平部16Aの幅方向の両端部のうち、垂れ壁部2A側とは反対側の端部から立ち上がった立上り部16Bを備えているため、この立上り部16Bの影響により、スペース部材62の挿入作業を行うことは困難である。
しかし、本実施形態のスペース部材62は、上述したように摘み部62Aが戸先側の端部に設けられ、この摘み部62Aから延出部62Bが戸尻側へ長く延出形成され、この延出部62Bには、延出部62Bの戸尻側の端部から戸先側へ長く形成された切り込み部62Cが設けられているため、扉体1を全開位置等まで開き移動させた後に、上吊り手段17の台座部材60とローラ支持用ブラケット部材61とを結合している図10のボルト63を緩め、次いで、摘み部62Aで摘んだスペース部材62を、図10の二点鎖線で示されているように、戸先側から台座部材60とローラ支持用ブラケット部材61との間に、ボルト63を切り込み部62Cに嵌入しながら挿入することができ、この後に、ボルト63を締め付けることにより、スペース部材62を台座部材60とローラ支持用ブラケット部材61との間で固定することができる。
スペース部材62を台座部材60とローラ支持用ブラケット部材61との間から抜き取るときには、以上とは逆の作業を行えばよく、このため、スペース部材62を台座部材60とローラ支持用ブラケット部材61との間で挿抜するための作業を、戸先側からの作業により容易に行える。
また、本実施形態に係る上吊り手段17には、図4及び図11に示されているように、ローラ支持用ブラケット部材61において、上吊りローラ18が上レール部材14から上側に脱落することを防止するための脱落防止部材75が設けられている。上吊りローラ18よりも下側に配置されているこの脱落防止部材75は、ローラ支持用ブラケット部材61の起立部61Bにねじ込まれたボルトであって、上吊りローラ18の下側において、水平に垂れ壁部2Aへ延びる棒状部75Aを有するものとなっている。この棒状部75Aは、図4から分かるように、上吊りローラ18が上から係合した上レール部材14のガイド部14Dの下側に配設される。
このため、扉体1に作用する外力等により、上吊りローラ18が上レール部材14から上側に脱落しようとしたときには、脱落防止部材75の棒状部75Aが上レール部材14のガイド部14Dの下面に当接し、上吊りローラ18が上レール部材14から上側に脱落することが防止される。
図14~図16には、図8等で示した振れ止め手段20が拡大されて示されており、図14は、振れ止め手段20の正面図であり、図15は、振れ止め手段20を戸先側から見た左側面図であり、図16は、振れ止め手段20を戸尻側から見た右側面図である。これらの図14~図16に示されているように、振れ止め手段20の厚板金属の折り曲げ品となっている本体77は、図8で示した前述の不動部材となっている取付部材13における戸尻側へ延出した延出部13Cにビス78で取り付けられるベース部77Aと、このベース部77Aと接続され、扉体1の開閉移動方向の間隔をあけて並設されている2個の取付部77B,77Cとを有するものとなっており、これらの取付部77B,77Cの上部の間には、図14に示されているように、ビス79で取付部77B,77Cに長さ方向の両方の端面が当接結合された筒状部材による連結部材80が架け渡され、これにより、取付部77B,77C同士は、連結強度が確保されて連結されている。また、取付部77B,77Cの下部の間には、図6で説明した振れ止め部材21が挿入配置され、図14に示されているように、取付部77B,77Cにビス81で結合されているこの振れ止め部材21は、図6で既に説明し、また、図15にも示されているように、扉体1の上部に配置されている上ガイド部材19の一対の立上り部19B,19Cの間に挿入されている。
図14に示されているように、2個の取付部77B,77Cのうち、戸先側の取付部77Bには、硬質の合成樹脂やゴム等で形成された戸当たり部材82がビス83で取り付けられ、取付部77Bに戸先側へ突出した状態で取り付けられているこの戸当たり部材82に、扉体1の上吊り手段17を構成している図10の台座部材60の面部60Eが当接することにより、扉体1は開き移動限界位置、すなわち、全開位置に達する。
このため、開閉移動しているときの扉体1の上部が、この扉体1の厚さ方向に振れることを防止するための振れ止め手段20は、扉体1の全開位置を規定するために、前述の不動部材である取付部材13に配置された扉体全開位置規定手段にもなっている。
また、図14に示されているように、2個の取付部77B,77Cのうち、戸尻側の取付部77Cには、L字状部材となっている支持部材85の立上り部85Aがビス86で取り付けられ、立上り部85Aの下端部から戸尻側へ延びている水平部85Bには、筒状のピン部材87が、このピン部材87の内部に上から挿入されて水平部85Bにねじ込まれた長寸法の止着具となっているビス88により、立設固定されている。そして、支持部材85に支持されているこのピン部材87に、図8で説明した自動閉鎖装置50から繰り出し自在の紐状部材となっているワイヤー51の先端部に設けられたリング部51Aが、上からの挿入により連結されている。このため、ピン部材87は、ワイヤー51の先端部を振れ止め手段20に連結するために、この振れ止め手段20に設けられている図8の連結部54となっている。
したがって、開閉移動しているときの扉体1の上部がこの扉体1の厚さ方向に振れることを防止するための振れ止め手段20は、扉体1の内部に配置されている自動閉鎖装置50のワイヤー51の先端部を不動部材である取付部材13に連結するために、この取付部材13に配置されているワイヤー先端部連結手段にもなっている。
そして、振れ止め手段20は、取付部材13に配置されていて、この取付部材13は、開閉移動する扉体1に対して開閉移動しない不動部材であるため、この振れ止め手段20も前述したように不動部材となっており、振れ止め手段20の一部となっている連結部54も不動部材である。
図17には、上述したように扉体1の上吊り手段17を構成している台座部材60の面部60Eが、振れ止め手段20に設けられた戸当たり部材82に当接することにより、扉体1が全開位置に達したときが示されている。この当接は、台座部材60の面部60Eが上吊り手段17の上吊りローラ18よりも下側に設けられているため、前述した上レール部材14のガイド部14Dに載置、係合しているこの上吊りローラ18の配置位置よりも低い位置で行われることになる。
ところで、開き移動している扉体1の上吊り手段17が戸当たり部材82に当接したときには、扉体1全体の重心は扉体1の上下方向の中央部又は略中央部やその近辺に存在するため、本来は、開き移動していた扉体1の慣性力により、扉体1の開き側の端部の下部が上レール部材14に載置されている上吊りローラ18を中心に上向きに揺動しようとする大きな揺動力が扉体1に生じることになり、このことは、速い速度で扉体1の上吊り手段17が戸当たり部材82に当接したときに一層顕著になる。
しかし、本実施形態では、上吊り手段17が戸当たり部材82に当接することは、上吊りローラ18が配置されている位置よりも低い位置で行われるため、この戸当たり部材82から上吊り手段17に作用する反力は、上吊りローラ18を中心に上記大きな揺動力を打ち消す方向へ扉体1を揺動させようとする揺動力となり、このため、扉体1が全開位置に達したときに、扉体1の開き側の端部の下部が上吊りローラ18を中心に上向きに揺動しようとする大きな揺動力が扉体1に生じることは、抑制される。
また、台座部材60の面部60Eは、戸当たり部材82に当接する本実施形態の当接部になっているとともに、台座部材60には、面部60Eとは扉体1の開閉移動方向の反対側において、面部60Dも設けられているため、本実施形態に係る上吊り手段17を、本実施形態の扉体1とは開閉移動方向が逆となっている扉体についてもそのまま用いることができ、言い換えると、本実施形態では、戸当たり部材82に当接する当接部は、台座部材60における扉体の開閉移動方向両側に面部60D,60Eとして2個設けられているため、上吊り手段17を、扉体の開閉移動方向が左右勝手違いとなっている引戸装置に共通して用いることができるようになっている。
また、戸当たり部材82は、前述したように振れ止め手段20に設けられ、この振れ止め手段20における戸当たり部材82の配置位置は、振れ止め手段20に設けられている前述の振れ止め部材21よりも扉体1の閉じ移動側であるため、上吊り手段17を戸当たり部材82に当接させて扉体1を全開位置で停止させることを、振れ止め部材21に影響されることはなく行わせることができる。
図18には、図7で説明した浮き上がり防止手段44の扉体1側の部材となっている浮き上がり防止部材33が、二点鎖線により示されている。扉体1の開閉移動方向が長さ方向となっているこの浮き上がり防止部材33の長さ寸法L1は、扉体1の左右寸法(扉体1の開閉移動方向の寸法)L2と同じ寸法又はこのL2よりも少し短い寸法となっている。そして、これらの寸法L1,L2は、扉体1が全開位置に達しているときにおける前述の出入口6の左右寸法L3よりも大きくなっている。
このため、図18に示されているように、扉体1を全開位置まで開き移動させた後に、扉体1の下部の内部に浮き上がり防止部材33を、扉体1の戸先側の端面に形成した孔部から挿入する作業を行おうとしても、出入口6に浮き上がり防止部材33を持ち込むことができないため、この作業を行うことはできない。また、扉体1を全閉位置まで移動させ、扉体1の下部の内部に浮き上がり防止部材33を、扉体1の戸尻側の端面に形成した孔部から挿入する作業を行おうとしても、図9に示されているように、前述した壁2には、沓摺部材9の戸尻側の端部の近くまで突出形成された竪壁部2Bが設けられており、建物躯体となっているこの竪壁部2Bと、全閉位置に達している扉体1の戸尻側の端面との間の距離L4は、浮き上がり防止部材33の長さ寸法L1よりも小さくなっているため、扉体1の下部の内部に浮き上がり防止部材33を扉体1の戸尻側の端面に形成した孔部から挿入する作業も行うことができない。
このため、本実施形態に係る浮き上がり防止部材33は、図18に示されているように、長さ方向に分割された複数個、本実施形態では2個の分割部材90,91により形成されている。分割部材90の長さ寸法はL5であり、分割部材91の長さ寸法はL6であり、これらの長さ寸法L5,L6の合計寸法が、浮き上がり防止部材33の長さ寸法L1と同じになっており、また、それぞれの長さ寸法L5,L6は、上述した左右寸法L3や距離L4よりも小さくなっている。なお、長さ寸法L5と長さ寸法L6とを同じ長さ寸法とし、これにより、2個の分割部材90,91の製造の容易化を図ってもよい。
以上のように浮き上がり防止部材33を長さ方向に分割された2個の分割部材90,91により形成した本実施形態では、扉体1を全開位置まで開き移動させたときには、扉体1の下部の戸先側の端面に形成されている孔部から、また、扉体1を全閉位置まで閉じ移動させたときには、扉体1の下部の戸尻側の端面に形成されている孔部から、分割部材90,91の上部90A,91Aを、図7で説明した下ガイド部材23の膨大部23Dに形成されている挿入部23Eに順番に挿入する作業を行い、これにより、扉体1の下部に、分割部材90,91が直列に並べられたことによる長さ寸法L1の浮き上がり防止部材33を配置することができる。
なお、扉体1の下部の戸先側の端面や戸尻側の端面に形成されている孔部は、例えば、扉体1の下面から扉体1の内部に挿入されてビス等の止着具で扉体1の力骨等に止着されるストップ部材92,93により塞がれる。
また、分割部材90及び/又は91のうちの一部に、例えば、図7に示されているように、扉体1の下面から下方へ突出している分割部材90及び/又は91の浮き上がり防止部33Bに、ドライバ等の工具を係合することができる凹部等による係合部を形成し、この係合部に係合した工具により、分割部材90,91を扉体1の下部に挿入して直列に並べたり、扉体1の下部から抜き取りなどの作業を行えるようにしてもよい。
図19には、扉体1の下部に、扉体1及び下ローラ26が下レール部材25に対し扉体1の厚さ方向に横ずれすることを防止するための横ずれ防止手段96を設けた実施形態が示されている。この実施形態において、下ローラ26を回転自在に支持しているブラケット27’は、図7の実施形態のブラケット27と同様に、扉体1の厚さ方向の両側に2個のフランジ部27A’,27B’を有しており、これらのフランジ部27A’,27B’に架け渡された軸27C’を中心に下ローラ26が回転自在となっているが、2個のフランジ部27A’,27B’のうち、下レール部材25に設けられている前述の係止部25Dとは扉体1の厚さ方向反対側のフランジ部27A’は、図7のブラケット27のフランジ部27Aよりも下方への延出長さが長くなっている。そして、このフランジ部27A’における下レール部材25と対面する内面には、ビス等の止着具97により当接部材98が止着されている。
図20には、当接部材98が止着されているブラケット27’の背面図が示されている。この図20に示されているように、ブラケット27‘のフランジ部27A’の内面には、2個の当接部材98が止着具97で止着されており、これらの当接部材98は、下ローラ26の配置位置から扉体1の開閉移動方向の両側に離れた位置に設けられている。
前述したように扉体1に外部力等が作用し、これにより、下ローラ26に下レール部材25からの浮き上がり力が生じたときには、扉体1に下部に配置されている浮き上がり防止部材33の浮き上がり防止部33Bが下レール部材25の係止部25Dに下側から係止することにより、扉体1及び下ローラ26の浮き上がりが防止されるが、扉体1及び下ローラ26が下レール部材25から少し浮き上がったときに、扉体に作用する外部力等により、扉体1及び下ローラ26が、下レール部材25に対し、扉体1の厚さ方向のうち、下レール部材25に設けられている係止部25Dが突出している方向へ横ずれしようとしたときには、当接部材98が下レール部材25に当接することになる。
このため、図19及び図20の実施形態によると、扉体1及び下ローラ26が下レール部材25から浮き上がったときに下レール部材25から下ローラ26が脱輪することを防止できるだけではなく、浮き上がり防止部33Bが係止部25Dに下側から係止する前に、扉体1及び下ローラ26が、係止部25Dが突出している扉体1の厚さ方向に横ずれしようとしても、この横ずれを、下レール部材25への当接部材98の当接により防止することができるため、この横ずれにより浮き上がり防止部33Bが係止部25Dに下側から係止しないことによって生ずる下ローラ26の下レール部材25からの脱輪の発生も防止できることになる。
このため、図19及び図20の実施形態において、横ずれ防止手段96のブラケット27’に設けられている2個の当接部材98は、下レール部材25に対して扉体1及び下ローラ26が横ずれすることを防止するために、下レール部材25に当接する当接部として扉体1の下部に設けられたものとなっている。
図21には、図9で示した沓摺部材9の延長部9Aの上面に下レール部材25を固定するための構造が示されている。この下レール部材25は、図7で説明したように、この下レール部材25に扉体1の開閉移動方向に長く形成されているベース部25Aを、沓摺部材9の延長部9Aの下面に接合された裏ナット29に螺入される止着具となっているビス30によって沓摺部材9の延長部9Aの上面に結合することにより、沓摺部材9の延長部9Aの上面に固定されるものとなっており、裏ナット29とビス30のそれぞれは、扉体1の開閉移動方向である下レール部材25の長さ方向に複数個設けられている。
下レール部材25の板状となっているベース部25Aには、ビス30のうち、裏ナット29に螺入される雄ねじ軸部30Aを上下に挿入するための孔95が形成されているとともに、沓摺部材9の延長部9Aには、雄ねじ軸部30Aを上下に挿入するための丸孔が形成されており、延長部9Aの下面には、これらの丸孔の位置と一致して雄ねじ軸部30Aが螺入される裏ナット29が接合されている。そして本実施形態では、図21に示されているように、下レール部材25のベース部25Aに複数形成されている孔95のうち、沓摺部材9に配置されている前述の下ガイドローラ35に最も近い箇所に形成されている孔95Aは、通常の丸孔となっており、その他の孔95B,95Cは、扉体1の厚さ方向の長さ成分を有する長孔となっている。これらの長孔95B,95Cは、丸孔95Aを中心とする円弧状の長孔でもよく、また、雄ねじ軸部30Aの直径よりも充分大きい幅寸法を有するものであれば、扉体1の厚さ方向へ延びる直線状の長孔でもよい。
このように下レール部材25の固定構造がビス30と裏ナット29によるものとなっている本実施形態では、下レール部材25の長さ内に形成されている丸孔95Aにビス30の雄ねじ軸部30Aを挿入することにより、沓摺部材9の延長部9Aの上面における下レール部材25の配置位置を、このビス30を中心に扉体1の厚さ方向の成分を有する方向に調整することができ、この調整を行った後に、それぞれのビス30の裏ナット29への締め付け作業を行うことにより、下レール部材25を沓摺部材9の延長部9Aの上面に固定することができる。
したがって、本実施形態によると、沓摺部材9の延長部9Aの上面における下レール部材25の配置位置を、扉体1の厚さ方向の成分を有する方向に調整することができ、これにより、前述の上レール手段となっている上レール部材14に対して下レール部材25を扉体1の厚さ方向の所定の位置関係にさせて配置することができて、上吊り式の扉体1を上レール部材14と下レール部材25に案内させて円滑に開閉移動させることができるようになる。
特に、本実施形態の沓摺部材9は、図3で説明したように、扉体1で開閉される開口部となっている出入口6を越えて扉体1の開き移動方向側へ延びる延長部9Aを有する長寸法のものとなっており、この延長部9Aを図3で示した床8に固定する際に、延長部9Aを扉体1の開閉移動方向に正確に延出させて固定することは困難であり、延長部9Aが、この延長部9Aの基端部を中心に扉体1の厚さ方向へ変位し、このような誤差が生じて延長部9Aが床8に固定されてしまうことがある。
しかし、本実施形態によると、沓摺部材9の延長部9Aの上面における下レール部材25の配置位置を、丸孔95Aに雄ねじ軸部30Aが挿入されたビス30を中心に扉体1の厚さ方向に振れ変更させて調整することを、上述の長孔95B,95Cにより実施できるため、扉体1の本来の開閉移動方向と下レール部材25の延び方向とを一致又は略一致させて、言い換えると、前述の上レール手段となっている上レール部材14の延び方向と下レール部材25の延び方向とを平行又は略平行にさせて、下レール部材25を沓摺部材9の延長部9Aの上面に固定することができる。
また、沓摺部材9に配置された下ガイドローラ35は、扉体1がこの扉体1の厚さ方向へ振れることを防止するための手段になっているとともに、扉体1の下部は、この下ガイドローラ35に案内されて左右方向に開閉移動するものとなっており、本実施形態では、下レール部材25のベース部25Aに複数形成されている孔95A,95B,95Cのうち、下ガイドローラ35に最も近い箇所であって、この下ガイドローラ35よりも扉体1の開き移動方向側の箇所に形成されている孔95Aが、通常の丸孔となっていて、その他の孔95B,95Cは、扉体1の厚さ方向の長さ成分を有する長孔となっているため、下レール部材25の長さ内に設けられている丸孔95Aの箇所を中心とするこれらの長孔95B,95Cによる下レール部材25の配置位置の調整により、下ガイドローラ35を扉体1の厚さ方向の基準にさせて扉体1に行わせる開閉移動を、所定どおり有効に実現できることになる。
また、下レール部材25のベース部25Aは、扉体1の開閉移動方向を長さ方向とするとともに、扉体1の厚さ方向を幅方向とする板状のものになっているため、ベース部25Aを充分に大きい幅寸法を有するものにでき、このため、このベース部25Aに、扉体1の厚さ方向の長さ成分を有する長孔95B,95Cを有効に設けることができる。
なお、ビス30の雄ねじ軸部30Aを螺入するために沓摺部材9の延長部9Aの下面に接合される裏ナット29を省略し、沓摺部材9の延長部9Aに形成する前述の丸孔を、ビス30の雄ねじ軸部30Aが螺入される雌ねじ孔としてもよい。
図22~図25は、図1や図4で示されている無目4を示し、図22は、無目4の正面図であり、図23は、無目4の平面図であり、図24は、無目4を戸先側から見た左側面図であり、図25は、無目4を戸尻側から見た右側面図である。主要部分が板金の折り曲げで形成されている無目4は、図4でも示されているように、上面部4Aと垂下部4Bとを有し、垂下部4Bにおける無目4の内側の面には、図4でも示されている取付部材13が溶接等で結合されている。図22に示されているように、上面部4Aの下面における戸先側の端部に近い箇所には、受け部材100が溶接等により結合されており、この受け部材100は、図23に示されているように、扉体1の厚さ方向に関し、扉体1の開閉移動方向に凹凸の形状となっており、この形状は、図9で示されている前述の戸先側竪枠部材3の平面形状と対応しており、これにより、受け部材100により戸先側竪枠部材3の上端部を受けることができるようになっている。
図24に示されているように、扉体1の厚さ方向における受け部材100の取付部材13側とは反対側の端部には、下側へ突出した突出部100Aが形成されており、この突出部100Aには戸尻側へ延出した図22の取付部100Bが設けられ、ビスの軸部を貫通させることができる孔99が形成されているこの取付部100Bには、孔99と一致して裏ナット101が接合されている。図23に示されているように、取付部材13の戸尻側の端部には、点検カバー取付用ブラケット部材102がビス103で結合され、扉体1の厚さ方向にクランク状に折り曲げられて戸尻側へ延びている金属板製の点検カバー取付用ブラケット部材102の戸尻側の端部は、取付端部102Aとなっており、この取付端部102Aには、図4等で示した点検カバー5を無目4に止めるための止着具となっている止めねじ104の軸部104Bが螺入したねじ孔102Bが形成されている。
なお、このような点検カバー取付用ブラケット部材102の戸尻側の取付端部102Aが配置されている無目4の上面部4Aの戸尻側の箇所は、図23で示す切欠部4Cとなっており、このため、切欠部4Cと、図4等でも示されている前述の垂れ壁部2Aとの間に隙間S2が設けられており、この隙間S2の箇所に、図23に示されているように上から見る平面視において、止めねじ104の頭部104Aが露出状態で配置されるようになっている。
また、図24に示されているように、無目4の上面部4Aの下面における取付部材13側とは反対側の端部には、言い換えると、扉体1の厚さ方向の室外側の端部には、上向きのレ字状又はU字状となっている第1係合部105が、板金の折り曲げ品を無目4の上面部4Aの下面に溶接で接合することにより設けられ、この第1係合部105は、本実施形態では、図22及び図23に示されているように、扉体1の開閉移動方向に複数個が間隔をあけて配設されている。これらの第1係合部105は、無目4の上面部4Aにおける扉体1の厚さ方向の一方の側である前記室外側の端部において、下向きに突出して設けられた突出部となっており、第1係合部105が設けられていない箇所は、突出部欠除部S5であり、このような突出部欠除部S5は、扉体1の開閉移動方向に複数個設けられている。そして、無目4の前述した垂下部4Bは、無目4の上面部4Aにおける扉体1の厚さ方向の他方の側の端部から垂下したものとなっている。
なお、第1係合部105は、上述したように、扉体1の開閉移動方向に複数個の折り曲げ品を間隔をあけて配置することにより、扉体1の開閉移動方向に間隔をあけて複数個設けてよいが、無目4に溶接等で結合される基部が共通する部分となっている長寸法の板金の折り曲げ品に、扉体1の開閉移動方向に間隔をあけて複数個の第1係合部105を設けてもよく、すなわち、1個の長寸法の板金の折り曲げ品に複数個の第1係合部105を分断して形成してもよい。
図22に示されているように、無目4の上面部4Aの下面における戸尻側の端部には、上向きのレ字状又はU字状となっている第2係合部106が、板金の折り曲げ品を無目4の上面部4Aの下面に溶接で接合することにより設けられ、この第2係合部106は、図23に示されているように、上述の切欠部4Cを除く無目4の上面部4Aの下面における戸尻側の端部において、扉体1の厚さ方向へ延びる長さを有して設けられている。
図26~図29は、無目4に取り付けられる点検カバー5を示し、図26は、点検カバー5の正面図であり、図27は、点検カバー5の平面図であり、図28は、点検カバー5を戸先側から見た左側面図であり、図29は、点検カバー5を戸尻側から見た右側面図である。上面が開放されている点検カバー5は、図26及び図27に示されているように、無目4における取付部材13とは扉体1の厚さ方向の反対側に形成されている正面側の開口部を塞ぐための正面部5Aと、無目4における戸尻側の開口部を塞ぐための戸尻面部5Bと、無目4の下面のうち、戸尻側の箇所を塞ぐための底面部5Cとを有する。扉体1の開閉移動方向の長さ寸法が小さいこの底面部5Cは、図28及び図29に示されているように、上位の第1段部5Dと、下位の第2段部5Eとからなる上下の段差状に形成されており、第1段部5Dの下側を扉体1が開閉移動できるようになっている。
すなわち、点検カバー5は、正面部5Aと、戸尻面部5Bと、底面部5Cとを有するものとなっており、正面部5Aは、無目4の正面側に設けられている図22~図25の開口部S3を塞ぐものとなっており、戸尻面部5Bは、無目4の戸尻側に設けられている図22及び図23の戸尻側開口部S4を塞ぐものとなっている。また、戸尻面部5Bは、底面部5Cの上位の第1段部5Dと下位の第2段部5Eがそのままの形状で継続していて、戸尻側開口部S4を塞ぐ面を有するものとなっている。このため、戸尻面部5Bは、図29に示されているように、扉体1の厚さ方向に並設されていて、下端の高さ位置が上下に異なっている第1段部5Dと第2段部5Eを有するものとして形成されており、下端の高さ位置が第2段部5Eの下端の高さ位置よりも上側となっている第1段部5Dの下側を扉体1が開閉移動できるようになっている。
このため、無目4の長さ寸法が扉体1の開閉移動距離よりも短い寸法になっていて、無目4の戸尻側開口部S4が点検カバー5により塞がれていても、戸尻側開口部S4を塞いでいる点検カバー5の戸尻面部5Bのうち、第1段部5Dの下側を通過させて扉体1を開閉移動させることができる。
図28に示されているように、下位の第2段部5Eにおける扉体1の厚さ方向両側の端部は、立ち上がった立上り部107,108となっており、図27に示されているように、扉体1の開閉移動方向である点検カバー5の長さの全長に渡って形成されているこれらの立上り部107,108のうち、立上り部108により点検カバー5の正面部5Aが形成されている。また、図26及び図27示されているように、立上り部107,108のうち、立上り部107の戸先側の端部には、孔109が設けられている。さらに、図28に示されているように、底面部5Cのうち、上位の第1段部5Dにおける正面部5A側と扉体1の厚さ方向反対側の端部からも立上り部110が立ち上がり、この立上り部110には、図23及び図25の無目4に設けられている点検カバー取付用ブラケット部材102の取付端部102Aのねじ孔102Bに螺入された止めねじ104の軸部104Bを挿入させることができる凹状切欠部111が形成されており、この凹状切欠部111への止めねじ104の軸部104Bの挿入は、戸先側から行われるため、凹状切欠部111は、図26に示されているように、戸先側に向かって開口している。
図28に示されているように、扉体1の厚さ方向に間隔をあけて対向配置されている立上り部107,108のうち、点検カバー5の正面部5Aを形成している立上り部108の上端部には、下向きのレ字状又はU字状となっている第1被係合部112が形成されている。また、図26に示されているように、戸尻面部5Bの上端における戸先側の面には、下向きのレ字状又はU字状となっている第2被係合部113が、板金の折り曲げ品を戸尻面部5Bの上端における戸先側の面に溶接で接合することにより設けられている。なお、この第2被係合部113は、戸尻面部5Bの上端の折り曲げにより形成してもよい。
次に、引戸装置が設置される現場において、無目4を建物躯体となっている垂れ壁部2Aに取り付けるなどの作業により行われる引戸装置の施工作業について説明する。
前述した扉体1や無目4、点検カバー5等の引戸装置を構成するものは、工場で製造されて引戸装置の設置現場に運ばれる。この設置現場において、図30に示されているように、点検カバー5が配置されていない無目4を垂れ壁部2Aに取り付けるためには、無目4を垂れ壁部2Aに結合されている上額縁部材10の高さ位置まで持ち上げ、無目4の垂下部4Bを、手動ドライバや電動ドライバ等の工具116によって回転操作される止着具となっているビス11,12により、上額縁部材10に止着する。この作業を一層具体的に説明すると、上額縁部材10には裏ナット121,122が予め接合されており、ビス11を予め無目4に溶接で結合されている取付部材13の孔13Dに挿入するとともに、ビス11の雄ねじ軸部である軸部11Bを垂下部4Bの孔123と上額縁部材10の孔124とに挿入し、ビス11を工具116で回転操作することにより、軸部11Bを裏ナット121に螺入して締め付ける。また、ビス12の雄ねじ軸部である軸部12Bを取付部材13の孔127と垂下部4Bの孔125と上額縁部材10の孔126とに挿入し、ビス12を工具116で回転操作することにより、軸部12Bを裏ナット122に螺入して締め付ける。これにより、無目4は、ビス11,12により、上額縁部材10を介して建物躯体となっている垂れ壁部2Aに止着されることになり、これらのビス11,12は、扉体1の開閉移動方向にそれぞれ複数設けられる。
本実施形態では、ビス11及び裏ナット121が配置される高さ位置は、図30に示されているように、無目4の上面部4Aにおける扉体1の厚さ方向の一方の側の端部において、下向きに突出した突出部となって設けられている第1係合部105の高さ範囲内にある。このため、工具116によりビス11を回転操作するためには、工具116の全部又は一部を、第1係合部105の高さ範囲内の高さ位置において、無目4の上面部4Aにおける扉体1の厚さ方向の一方の側から無目4の内部に挿入しなければならないが、この一方の側の端部には、図22及び図23で説明したように、第1係合部105が設けられていない箇所となっている突出部欠除部S5が設けられ、この突出部欠除部S5は、扉体1の開閉移動方向において、ビス11及び裏ナット121の配置位置と一致又は略一致して複数設けられているため、工具116の少なくとも一部を突出部欠除部S5を通過させることにより、それぞれのビス11を、第1係合部105に影響されずに、少なくとも一部が無目4の内部に挿入された工具116によって回操作して、裏ナット121に螺合して締め付けることができる。
また、本実施形態では、図30に示されているように、上額縁部材10には、無目4の垂下部4Bを置くことができる段部10Aが設けられているため、ビス11,12により無目4の垂下部4Bを上額縁部材10に止着するための作業を、無目4の重量を上額縁部材10の段部10Aによって支持させながら行えることになり、このため、この作業を容易に行える。
また、本実施形態では、無目4の垂下部4Bにおける垂れ壁部2Aの側とは反対側の面には、前述した上レール手段である上レール部材14を取り付けるための部材である取付部材13が配置されており、垂下部4Bにおけるビス11の配置箇所は、この取付部材13により覆われる箇所になっているが、この取付部材13には、ビス11及び工具116の先部が挿入可能となっている孔13Dが形成されているため、取付部材13に影響されることなく、工具116によりビス11を回転操作して、無目4の垂下部4Bを上額縁部材10に止着することができる。
上述したように、無目4の垂下部4Bをビス11,12により垂れ壁部2Aに上額縁部材10に止着する作業を行う際には、無目4の上面部4Aの下面に設けられている前述の受け部材100と前述した戸先側竪枠部材3の上端部とを扉体1の開閉移動方向に重ね合わせることにより、この受け部材100に戸先側竪枠部材3の上端部を受けさせ、この上端部と受け部材100とをビス等による止着具で、あるいは溶接で結合する。次いで、取付部材13に前述した上レール部材14を図4で示したビス15で取り付ける作業を行い、また、上レール部材14に前述したドアクローズ装置55をビス等の止着具で取り付ける作業も行い、この後に、扉体1を鉛直方向に対して斜めにする剣呑作業により、図6及び図7に示されているように、扉体1の下部に設けられている下ローラ26を下レール部材25のガイド部25Eに転動自在に係合、載置する作業と、図5に示されているように、扉体1の下部に設けられている下ガイド部材23の垂下部23Bの膨大部23Dと垂下部23Cとの間に、沓摺部材9に配置されている下ガイドローラ35を挿入する作業とを行い、この後、上レール部材14のガイド部14Dに、扉体1の上部に設けられている上吊り手段17の上吊りローラ18を転動自在に係合、載置する作業を行う。次に、予め上吊り手段17のローラ支持用ブラケット部材61から取り外されていた脱落防止部材75をローラ支持用ブラケット部材61に取り付ける作業と、図4に示されているように、取付部材13に前述したロック部材69をビス70で取り付ける作業とを行い、さらに、取付部材13の延出部13Cに振れ止め手段20を取り付ける作業を行い、この作業を行うときに、扉体1の上部に配置されている上ガイド部材19の2個の立上り部19B,19Cの間に、振れ止め手段20の振れ止め部材21を挿入する作業も行う。
そして、この後に、扉体1の内部に収納配置されている自動閉鎖装置50のワイヤー51の先端部を振れ止め手段20の連結部54に連結するための作業と、扉体1の下部に浮き上がり防止手段44の浮き上がり防止部材33を配置する作業と、図6や図9等で示されている気密部材45を所定の各箇所に配置する作業とを行う。
これにより、扉体1を上レール部材14と下レール部材25に案内させて開閉移動させることができ、扉体1の閉じ移動は、自動閉鎖装置50のワイヤー51に作用する引っ張り力で自動的に行われる。
図31は、前述したように扉体1を鉛直方向に対して斜めにする剣呑作業を行うことにより、扉体1の上部に設けられている上吊り手段17の上吊りローラ18を上レール部材14のガイド部14Dに転動自在に係合、載置するための作業を示している。この作業は、下レール部材25のガイド部25Eに載置された下ローラ26の箇所を中心に扉体1の上部を、無目4の外部から内部へ円弧軌跡を描かせながら移動させることにより行われる。この作業を行うときに、扉体1の上部に設けられていて、上吊りローラ18を備えている上吊り手段17の一部は、無目4の上面部4Aにおける扉体1の厚さ方向の一方の側に、下向きに突出している突出部となって設けられている第1係合部105の高さ範囲内の高さ位置を通過することになるが、前述したように第1係合部105は、扉体1の開閉移動方向に間隔をあけて複数設けられ、第1係合部105が存在しない箇所は突出部欠除部S5となっているため、上吊り手段17の一部をこの突出部欠除部S5を通過させることにより、上吊り手段17を無目4の内部に挿入して、上吊りローラ18をレール部材14のガイド部14Dに転動自在に係合、載置させることができる。
次に、無目4に点検カバー5を取り付ける作業を行う。この作業は、図32に示されているように、点検カバー5を戸尻側から無目4に挿入することにより行われる。これを具体的に説明すると、図2で示されている無目4の戸尻側の端部と前述した壁2の竪壁部2Bとの間の扉体1の開閉移動方向の寸法である左右方向の寸法L7は、点検カバー5の左右方向の寸法よりも小さいため、点検カバー5を、水平方向に対し点検カバー5の戸先側の端部を高くした斜めの姿勢とすることにより、無目4の戸尻側の端部と壁2の竪壁部2Bとの間に挿入し、次いで、戸先側の端部を無目4の上面部4Aと同じ高さ位置又は略同じ高さ位置とした点検カバー5を戸先側へ移動させながら、点検カバー5の戸先側の端部を降ろすことにより、無目4の複数の第1係合部105のうち、戸尻側の第1係合部105に点検カバー5の第1被係合部112を上から係合させ、さらに、点検カバー5を水平姿勢としながら戸先側へ移動させることにより、全部の第1係合部105に第1被係合部112を係合させ、また、無目4の第2係合部106に点検カバー5の第2被係合部113を係合させる。
これにより、点検カバー5の重量は、無目4により支持される。
また、以上の作業を行うと、図33に示されているように、無目4に結合されている受け部材100の取付部100Bと点検カバー5の立上り部107とが扉体1の厚さ方向に重なるため、取付部100Bに形成されている孔99と立上り部107に形成されている孔109とに止めねじ115の軸部115Bを挿入し、次いで、止めねじ115の頭部115Aを回転させることにより、軸部115Bを、取付部100Bに接合されている裏ナット101にねじ込むための止めねじ115の締付作業を行う。また、上述の作業を行うと、無目4に結合されている点検カバー取付用ブラケット部材102の戸尻側の取付端部102Aと点検カバー5の立上り部110とが扉体1の厚さ方向に重なり、取付端部102Aのねじ孔102Bに螺入されている止めねじ104の軸部104Bが、立上り部110に形成されている凹状切欠部111に挿入されるため、止めねじ104の頭部104Aを回転させることにより、立上り部110を止めねじ104の頭部104Aと取付端部102Aとで挟着するための止めねじ104の締付作業を行う。
これにより、点検カバー5が無目4に止めねじ104,115により取り付けられたことになる。この取付状態は、点検カバー5を二点鎖線で示した図24と図25とに示されている。
また、以上とは逆の作業を行うことにより、点検カバー5を無目4から取り外すことができる。点検カバー5を無目4から取り外すと、図4で示した無目4における垂下部4B及びこの垂下部4Bに結合された取付部材13とは反対側の室外側の箇所が開放され、これにより、図22~図25で示した正面側の開口部S3が露出するため、この開口部S3から、例えば、上吊り手段17や振れ止め手段20等についての点検作業、保守作業等の各種作業を行うことができる。
また、点検カバー5を無目4に取り付けている止めねじ104,115のうち、止めねじ115は、図24に示されているように、無目4と点検カバー5とにより、上側と扉体1の厚さ方向の両側とが覆われるため、外力等の作用により止めねじ115が緩むことを防止できる。また、図33に示されているように、止めねじ104の頭部104Aの上側は、無目4の上面部4Aに形成されている切欠部4Cのために、この上面部4Aにより覆われていないが、図25に示されているように、この止めねじ104は上面部4Aよりも下側に配置され、また、図33に示されているように、止めねじ104は、前述した垂れ壁部2Aと点検カバー5の立上り部110とにより、扉体1の厚さ方向の両側が覆われるため、止めねじ104についても、外力等の作用により緩むことを防止できる。
以上のことを点検カバー5を無目4に止着するための止着具となっている止めねじ104,115のうち、止めねじ115について一層詳しく説明すると、この止めねじ115の上側は、無目4の上面部4Aより覆われており、また、止めねじ115の扉体1の厚さ方向両側は、無目4の上面部4Aにおける扉体1の厚さ方向の両端部のうち、無目4の正面側に設けられた図22~図25の開口部S3とは反対側の端部から垂下した垂下部4Bやこの垂下部4Bに結合されている取付部材13と、無目4の正面側に設けられた図22~図25の開口部S3を塞いでいる点検カバー5とにより覆われていることになる。
そして、止めねじ115の軸部115Bが挿入される孔99が形成されている受け部材100の取付部100Bに、止めねじ115の軸部115Bが挿入される孔109が形成されている点検カバー5の立上り部107が、止めねじ115により結合されるため、取付部100Bは、無目4側の上下方向の長さを有する取付部となり、立上り部107は、点検カバー5側の上下方向の長さを有する被取付部となり、これらの取付部と被取付部とが止めねじ115で結合されることにより、無目4に点検カバー5が止着されることになる。
また、止めねじ104については、この止めねじ104の一部となっている頭部104Aの上側は、無目4の上面部4Aに形成されている切欠部4Cのために、図33に示されているように上から見る平面視において、この上面部4Aにより覆われておらず、止めねじ104の頭部104Aは、垂れ壁部2Aと切欠部4Cとの間に形成された隙間S2の箇所に露出状態で配置されているが、止めねじ104の扉体1の厚さ方向両側は、前述した垂れ壁部2Aと点検カバー5の立上り部110とにより覆われている。そして、無目4の点検カバー取付用ブラケット部材102の取付端部102Aに形成されているねじ孔102Bに挿入されている止めねじ104の軸部104Bは、前述したように点検カバー5を戸尻側から無目4に挿入する作業を行うことにより、点検カバー5の立上り部110に形成された凹状切欠部111に挿入されることになり、止めねじ104の頭部104Aを回転させることにより、止めねじ104の軸部104Bを挿入させる孔となっているねじ孔102Bを無目4に形成するためにこの無目4に結合された部材となっている点検カバー取付用ブラケット部材102に、点検カバー5の立上り部110を止着することができる。
なお、無目4の上面部4Aに切欠部4Cを形成している理由は、止めねじ104の頭部104Aを回転させる作業を、無目4の上面部4Aに影響されることなく、垂れ壁部2Aと切欠部4Cとの間の隙間S2に上から挿入した作業者の手によって行えるようにするためである。このため、止めねじ104の配置位置を、図25で示されている高さ位置よりも低い位置とすることにより、無目4の上面部4Aに切欠部4Cを形成せず、これにより、止めねじ104の頭部104Aの上側を無目4の上面部4Aにより覆うようにしてもよい。
また、無目4に固定されている受け部材100の取付部100Bに裏ナット101を設けず、この取付部100Bに止めねじ115の軸部115Bを螺入するためのねじ孔を形成してもよい。
以上説明した止めねじ104,115の配置箇所は、無目4の正面側に設けられている図22~図25の開口部S3を正面とする正面視において、見えない箇所となっており、このため、これらの止めねじ104,115は、隠された止めねじとなっている。
なお、点検カバー5で塞がれている無目4の正面側の開口部S3を正面とする正面視で見える引戸装置の箇所は、扉体1が開き移動することにより、人や物等の出入りが行われて外力等の影響を受けやすい箇所となっている。このため、止めねじ104,115を、この正面視において、見えない箇所に配置されている隠された止めねじとすることによりこれらの止めねじ104,115を外力等を受けにくい箇所に配置することができて、外力等が止めねじ104,115に作用することを防止できる。
図34(A)には、図4で示した無目4が、垂れ壁部2Aに配置された上額縁部材10に止着具であるビス11,12で取り付けられている状態が示されている。垂れ壁部2Aの内部に埋設されているアンカー部材120に溶接等で結合されている上額縁部材10には、前述の図30で説明したように、裏ナット121,122が接合されており、ビス11の雄ねじ軸部である軸部11Bは、無目4の垂下部4Bに形成されている孔123と、上額縁部材10に形成されている孔124とに挿通され、ビス12の雄ねじ軸部である軸部12Bは、無目4の垂下部4Bに形成されている孔125と、上額縁部材10に形成されている孔126とに挿通されるため、ビス11,12の頭部11A,12Aを工具で回転させることにより、これらのビス11,12の軸部11B,12Bが裏ナット121,122に螺入されて、無目4は上額縁部材10に取り付けられる。なお、ビス12は、前述したように、取付部材13を無目4の垂下部4Bに取り付けるためにも利用されているため、ビス12の軸部12Bは、取付部材13に形成されている孔127にも挿通されている。
図34(B)は、ビス11,12の取り外しにより、上額縁部材10から無目4を分離したときを示している。このようにビス11,12を取り外すことにより、上額縁部材10から無目4を分離することができるため、無目4を新たな形状、構造等となっている更新型の無目に変更するときは、裏ナット121,122をそのまま利用することにより、上額縁部材10を再利用して、この上額縁部材10に更新型の無目をビスにより取り付けることができる。
また、図34に示されている実施形態では、上レール部材14が、取付部材13に接合されている裏ナット130に軸部131Bが螺入された止着具となっているビス131により、取付部材13に取り付けられており、軸部131Bは、上レール部材14に形成されている孔132と、取付部材13に形成されている孔133とに挿通されているため、ビス131の頭部131Aを回転させてこのビス131を取り外すことにより、取付部材13から上レール部材14を分離することができる。このため、上レール部材14を新たな形状、構造等となっている更新型の上レール部材に変更するときは、裏ナット130をそのまま利用することにより、取付部材13を再利用して、この取付部材13に更新型の上レール部材をビスにより取り付けることができる。
なお、裏ナット121,122,130を省略し、ビス11,12,131の軸部11B,12B,131Bを螺入するための雌ねじ孔を上額縁部材10、取付部材13に形成してもよい。
図35(A)には、図9で示した戸先側竪枠部材3が示されている。この戸先側竪枠部材3は、建物躯体である壁2の内部に埋設されているアンカー部材140に溶接等で結合されている主部材3Aと、この主部材3Aに止着具であるビス141,142で結合された副部材3Bとを有して構成され、主部材3Aには裏ナット143,144が接合されている。ビス141,142の軸部141B,142Bは、副部材3Bに形成されている孔145,146と、主部材3Aに形成されている孔147,148に挿通されて、裏ナット143,144に螺入されている。
このため、ビス141,142の頭部141A,142Aを回転させてこれらのビス141,142を取り外すことにより、図35(B)に示されているように、主部材3Aから副部材3Bを分離することができる。このため、例えば、扉体1を新たな形状、構造等となっている更新型の扉体に変更するために、戸先側竪枠部材3を、この更新型の扉体と対応した形状、構造等となっている更新型の戸先側竪枠部材に変更するときには、ビス141,142を取り外すことにより、主部材3Aの裏ナット143,144をそのまま利用することにより、この主部材3Aを再利用して、この主部材3Aに、更新型の戸先側竪枠部材のための副部材をビスにより取り付けることができる。この更新型の戸先側竪枠部材のための副部材は、例えば、副部材3Bに配置されている図9のストライク42を、更新型の扉体に用いられる施錠装置に適合したストライクに変更するために、用いられるものである。
なお、この実施形態でも、裏ナット143,144を省略し、ビス142,143の軸部142B,143Bを螺入するための雌ねじ孔を主部材3Aに形成してもよい。
図36には、扉体1の内部に配置される自動閉鎖装置50についての別実施形態に係る配置箇所を示している。前記実施形態の自動閉鎖装置50は、図8で説明したように、扉体1の上部における戸尻側端部の箇所又はこの箇所の近傍に配置されていたが、図36の実施形態の自動閉鎖装置50は、図8の実施形態の自動閉鎖装置50の配置箇所よりも戸先側であって、扉体1の戸先側端部と戸尻側端部との間の箇所に配置されている。また、自動閉鎖装置50の紐状部材であるワイヤー51の先端部は、前述した不動部材となっている取付部材13に結合されたピン等による連結部150に連結されている。
このため、この実施形態の振れ止め手段20’には、ワイヤー51の先端部を連結するための連結部54が設けられていない。また、この振れ止め手段20’の戸当たり部材82等には、ワイヤー51を通過させることができる溝や欠部等によるワイヤー通過部が形成されており、これにより、扉体1が振れ止め手段20’の戸当たり部材82で規定される全開位置に達しても、ワイヤー51が戸当たり部材82等と干渉、接触することはない。
この実施形態で明らかなように、自動閉鎖装置50を配置する扉体1の箇所は、任意の箇所でよい。
図37及び図38には、別実施形態に係る振れ止め手段220が示されている。この振れ止め手段220の本体277も、無目4に不動部材となって設けられている取付部材13の延出部13Cに取り付けられている。また、本体277には、図37に示されているように、前述の振れ止め手段20,20’と同様に、扉体1が全開位置まで達したときに、この扉体1の上吊り手段17に設けられている面部60Eが当接する戸当たり部材282が設けられているため、振れ止め手段220は、扉体1の全開位置を規定するための扉体全開位置規定手段にもなっている。さらに、本体277には、扉体1の内部に収納配置されている自動閉鎖装置50のワイヤー51の先端部を連結するための連結部254も設けられているため、振れ止め手段220は、ワイヤー先端部連結手段にもなっている。
図38に示されているように、振れ止め手段220の本体277における戸当たり部材282及び連結部254よりも下部は、扉体1の厚さ方向に分かれた二股状となっており、このため、本体277の下部には、扉体1の厚さ方向の両方の面である室外側の面と室内側の面とに対面する2個の対面部277A,277Bが設けられている。下方へ延出しているこれらの対面部277A,277Bのそれぞれには、軸方向が鉛直方向となっている軸221を中心に水平面内で回転自在の回転部材となっている回転ローラ222が設けられ、これらの回転ローラ222は、扉体1の室外側の面と室内側の面とに接触又は僅かな隙間をあけて対向している。
このため、扉体1の開閉移動は、扉体1の厚さ方向の両側において振れ止め手段220に配置されている2個の回転ローラ222が振れ止め部材となることにより、扉体1が、この扉体1の厚さ方向に振れることが防止されながら行われることになり、また、扉体1と接触する振れ止め手段220の部分は、回転自在の回転ローラ222であるため、扉体1を、振れ止め部材との間で大きな摩擦力を発生させることなく、円滑に開閉移動させることができる。
また、この実施形態の振れ止め手段220でも、図37に示されているように、戸当たり部材282は、振れ止め部材である回転ローラ222よりも扉体1の閉じ移動側において、振れ止め手段220に配置されているため、上吊り手段17を戸当たり部材282に当接させて扉体1を全開位置で停止させることを、回転ローラ222に影響されることはなく行わせることができる。
なお、図37及び図38の実施形態では、図6等で示した扉体1の上枠部材16及び上ガイド部材19が用いられておらず、扉体1の上部には、上枠部材16と形状が異なる上枠部材216が配置されているが、この上枠部材216を、上枠部材16の前述した立上り部16Bと同様の部分が設けられたものとしてもよい。
以上説明した各実施形態では、下ローラ26の個数は1個であったが、以下に説明する各実施形態は、下ローラの個数が複数個となっている実施形態である。
図39は、下ローラの個数が2個となっている実施形態に係る引戸装置の全体を示す図1と同様の図であり、図40は、図39に示されている扉体1のうち、2個の下ローラが配置されている部分の拡大図である。また、図41は、図40のS41-S41線断面図である。
図39に示す本実施形態に係る下ローラ300は、図40で示されているように、戸先側に配置されている第1下ローラ301と、戸尻側に配置されている第2下ローラ302とで構成されており、この図40から分かるように、扉体1の開閉移動方向に小さな間隔をあけて並んで配置されている第1下ローラ301と第2下ローラ302は、同じ又は略同じ形状、寸法を有するものとなっている。
図39及び図40に示されているように、第1及び第2下ローラ301,302は、前述した図1の実施形態の下ローラ26と同様に、扉体1の下部における戸尻側端部の箇所又はこの箇所の近傍に配置されている。
図41に示されているように、第1下ローラ301は、扉体1の厚さ方向(言い換えると、前後方向)となっているローラ厚さ方向の両側に設けられた2個のフランジ部301A,301Bと、これらのフランジ部301A,301Bの間に形成された溝部301Cとを有するものとなっており、図示されていないが、上述のように第1下ローラ301と同じ又は略同じ形状、寸法を有する第2下ローラ302も、上述した2個のフランジ部301A,301Bと、溝部301Cとを有するものとなっている。
図39に示されているように、第1及び第2下ローラ301,302が上から載置、係合している下レール部材310は、前述した図1の実施形態の下レール部材25と同様に、扉体1の開閉移動方向へ延びる長さを有していて、沓摺部材9が有する延長部9Aの上面に固定設置されている。
第1及び第2下ローラ301.302を回転自在に支持しているブラケット327は、前述の図19の実施形態のブラケット27’と同様に、扉体1の厚さ方向の両側に2個のフランジ部327A,327Bを有しているものであり、これらのフランジ部327A,327Bに架け渡されている軸327Cを中心に第1及び第2下ローラ301,302が回転自在となっている。
また、下レール部材310は、前述の下レール部材25と同様に、厚板金属の折り曲げ品であり、この下レール部材310は、扉体1の厚さ方向のうち、前述の図4に示す垂れ壁部2A側とは反対側へ延出し、この延出方向の寸法が幅寸法となっている板状のベース部310Aと、扉体1の開閉移動方向が長さ方向となっているこのベース部310Aの幅方向の基端部から鉛直に起立した起立部310Bと、この起立部310Bの上端から下向きに折り返されて起立部310Bの途中まで達し、起立部310Bとは扉体1の厚さ方向に隙間をあけて対向している折り返し部310Cとからなる。本実施形態では、起立部310Bと折り返し部310Cとの接続部が、第1及び第2下ローラ301,302が転動自在に載置、係合されるガイド部310Dとなっている。
なお、下レール部材310は、沓摺部材9の上面に載せられた支持部材311に支持されており、この支持部材311は、前述の図4に示す垂れ壁部2A側へ延出し、この延出方向の寸法が幅寸法となっている板状のベース部311Aと、扉体1の開閉移動方向が長さ方向となっているこのベース部311Aの幅方向の基端部から鉛直に起立した起立部311Bと、この起立部311Bの上端部から垂れ壁部2A側(言い換えると、ベース部311Aと同じ側)へ突出し、この突出方向の寸法が幅寸法となっている水平の係止部311Cとからなっている。
下レール部材310のベース部310Aは、前述の沓摺部材9の延長部9Aの下面に接合されている裏ナット29に雄ねじ軸部30Aが螺入される止着具であるビス30により、この沓摺部材9の延長部9Aの上面に固定されている。
また、下レール部材310の起立部310Bのうち、支持部材311の係止部311Cより下側の部分には、支持部材311の起立部311Bがビス32により結合されている。
なお、図41から分かるように、下レール部材310にビス32で結合されたている支持部材311の係止部311Cは、沓摺部材9の延長部9Aの上面から上方へ離れた高さ位置にある。
また、図41に示されているように、下ガイド部材23の内部には、第1及び第2下ローラ301,302を回転自在に支持している前述のブラケット327がビス28で取り付けられており、このブラケット327は、前述したように、扉体1の厚さ方向の両側に2個のフランジ部327A,327Bを有しており、これらのフランジ部327A,327Bに架け渡された軸327Cを中心に第1及び第2下ローラ301,302が回転自在となっているが、2個のフランジ部327A,327Bのうち、下レール部材310を支持している支持部材311に設けられている係止部311Cとは扉体1の厚さ方向反対側のフランジ部327Aは、フランジ部327Bよりも下方への延出長さが長くなっている。そして、このフランジ部327Aにおける下レール部材310と対面する内面327Eには、ビス等の止着具97により当接部材98が止着されている。
図40に示されているように、ブラケット327のフランジ部327Aのうち、第1及び第2下ローラ301,302のそれぞれの配置位置から扉体1の開閉移動方向の両側に離れた位置には、横ずれ防止手段96を構成する当接部材98を止着するためのビス等の止着具97が螺入される図41に示すねじ孔327Dが形成されており、このため、本実施形態では、フランジ部327Aのうち、第1及び第2下ローラ301,302の下部の高さ位置には、3個のねじ孔327Dが、扉体1の開閉移動方向に間隔をあけて形成されている。
なお、本実施形態では、図40に示されているように、当接部材98は3個あり、これらの当接部材98は、フランジ部327Aのうち、3個のねじ孔327Dが形成されている箇所に止着具97で止着されているが、当接部材98の個数を2個とし、これら2個の当接部材98は、フランジ部327Aのうち、3個のねじ孔327Dが形成されている箇所のいずれか2箇所に止着具97で止着されるものとしてもよい。
以上説明したように、本実施形態に係る下ローラ300の個数は、前述の実施形態に係る下ローラ26のように1個ではなく、複数個(本実施形態では、直径寸法が同じ第1及び第2下ローラ301,302の2個)となっている。
このため、引戸装置の下ローラ300に作用する扉体1の荷重は、2個の下ローラ301,302によって分散されることになる。
このように、本実施形態によると、引戸装置の下ローラ300に掛かる扉体1の荷重を分散できるようになる。
なお、本実施形態では、前述の図19の実施形態と同様に、扉体1の下部には、2個の301,302が下レール部材310に対し扉体1の厚さ方向に横ずれすることを防止するための図40に示す横ずれ防止手段96が設けられている。
なお、前述の図7や図19の実施形態に係る下レール部材25は、下ローラ26の浮き上がり防止手段44を構成する係止部25Dを有していたが、本実施形態では、第1及び第2下ローラ301,302の図41に示す浮き上がり防止手段44を構成する係止部は、支持部材311が有する係止部311Cとなっている。
このため、本実施形態によると、下レール部材310の形状、構造が簡単なものとなるため、それだけ、下レール部材310の施工作業の簡単化が図れるようになる。
図42及び図43は、下ローラの個数が複数個となっている以上説明した図39~図41の実施形態の別実施形態を示す図である。
すなわち、図42は、戸先側に配置されている下ローラの直径寸法が戸尻側の下ローラの直径寸法よりも大きい実施形態を示す図40と同様の図であり、図43は、図42のS43-S43線断面図である。
図42で示されているように、本実施形態に係る下ローラ320は、戸先側に配置されている図39~図41の実施形態に係る下ローラ301と、戸尻側に配置されている下ローラ321とで構成されており、この下ローラ321の直径寸法は、戸先側の下ローラ301の直径寸法よりも小さいものとなっている。
また、戸先側の下ローラ301の回転中心軸327C(図41も参照)の高さ位置は、戸尻側の下ローラ321の回転中心軸327C(図43も参照)の高さ位置と同じであり、このため、戸先側の下ローラ301の溝部301Cの深さ寸法は、戸尻側の下ローラ321の溝部321Cの深さ寸法よりも大きいものとなっている。
本実施形態では、上述したように、戸尻側に配置されている下ローラ321の直径寸法は、戸先側の下ローラ301の直径寸法よりも小さいものとなっている。
このため、本実施形態によると、前述の図39~図41の実施形態と比較して、ブラケット327の幅寸法(言い換えると、開閉移動方向である左右方向の寸法)を小さくすることができる。
これにより、全閉位置まで閉じ移動したときの扉体1の戸尻側の部分と、この扉体1によって開閉される開口部である出入口6(図39参照)の開口枠のうち、戸尻側の枠部分を形成する戸尻側の竪額縁部材7(図39及び図40参照)との重複部分の幅寸法(言い換えると、開閉移動方向である左右方向の寸法)を、前述の図39~図41の実施形態と比較して小さくすることができ(図40に示されている上記重複部分の幅寸法W3と、図42に示されている上記重複部分の幅寸法W4を比較参照)、それだけ、扉体1の幅寸法を小さくすることができる。これにより、扉体1が全開位置まで開き移動したときの出入口6の幅寸法をより大きくすることができるようになる。
前述したように、図8に示されているように、上レール部材14の戸尻側の端部よりも戸尻側の位置には、全開位置まで開き移動した扉体1が当接する戸当たり部材82(図14も参照)が設けられている。扉体1が開き移動方向への大きな外力を受けながら高速で開き移動し、全開位置まで開き移動したこの扉体1が戸当たり部材82に当接したときには、扉体1が揺動(扉体1の上部が戸当たり部材82から遠ざかるとともに、扉体1の下部が戸当たり部材82に近づくように揺動)し、前述の図39~図41の実施形態に係る2個の下ローラ301,302に対して下レール部材310からの浮き上がり力が生じるため、2個の下ローラ301,302が下レール部材310から外れる(言い換えると、脱輪する)おそれがある。
しかし、図42及び図43に示す本実施形態では、前述したように、2個の下ローラ301,321のうち、戸先側に配置されている下ローラ301の直径寸法が、戸尻側の下ローラ321の直径寸法よりも大きくなっている。
このため、本実施形態によると、扉体1が開き移動方向への大きな外力を受けながら高速で開き移動し、全開位置まで開き移動したこの扉体1が戸当たり部材82に当接しても、扉体1が揺動(上述したように、扉体1の上部が戸当たり部材82から遠ざかるとともに、扉体1の下部が戸当たり部材82に近づくように揺動)することを抑制することができるようになる。これにより、下ローラ301,321に対して下レール部材310からの浮き上がり力が生じるのを抑制することができ、下ローラ301,321が下レール部材310から外れることを防止できるようになる。
また、本実施形態では、図42に示されているように、2個の下ローラ301,321の回転中心軸327Cの高さ位置は同じとなっており、直径寸法の大きい戸先側に配置されている下ローラ301の溝部301C(図41参照)の深さ寸法は、戸尻側の下ローラ321の溝部321C(図43参照)の深さ寸法よりも大きくなっているため、2個の下ローラ301,321の脱輪防止効果は、より大きなものとなっている。
なお、本実施形態では、横ずれ防止手段96を構成する当接部材98は、少なくとも、戸尻側に配置されている直径寸法の大きい下ローラ301の配置位置から扉体1の開閉移動方向の両側に離れた位置に設けられている。
これは、本実施形態では、前述したように、戸先側に配置されている下ローラ301の直径寸法を戸尻側の下ローラ321の直径寸法よりも大きいものとすることにより、2個の下レール301,321の脱輪防止効果が得られるようになっており、戸先側に配置されていて、脱輪防止効果が得られる直径寸法の大きい下ローラ301が下レール部材310に対し扉体1の厚さ方向に横ずれすることを防止することが最も重要だからである。
図44は、戸尻側に配置されている下ローラ301の直径寸法が戸先側の下ローラ321の直径寸法よりも大きい実施形態を示す図40や図42と同様の図である。
このように、図42及び図43の実施形態とは逆に、直径寸法の大きい下ローラ301を戸尻側に配置するとともに、直径寸法の小さい下ローラ321を戸先側に配置するようにしてもよい。
なお、前述したように、ブラケット327のフランジ部327Aのうち、2個の下ローラのそれぞれの配置位置から扉体1の開閉移動方向の両側に離れた位置には、横ずれ防止手段96を構成する当接部材98を止着するためのビス等の止着具97が螺入される図41~図44に示すねじ孔327Dが形成されており、このため、本実施形態では、フランジ部327Aのうち、2個の下ローラの下部の高さ位置には、3個のねじ孔327Dが、扉体1の開閉移動方向に間隔をあけて形成されている。
このため、直径寸法の大きい下ローラと直径寸法の小さい下ローラを扉体1の開閉移動方向に並んで配置し、ブラケット327のフランジ部327Aのうち、直径寸法の大きい下ローラの配置位置から扉体1の開閉移動方向の両側に離れた位置にのみ、横ずれ防止手段96を構成する当接部材98をビス等の止着具97で止着する場合には、フランジ部327Aに形成されている3個のねじ孔327Dのうち、最も戸先側のねじ孔327D又は最も戸尻側のねじ孔327Dは、未使用のねじ孔となる。
しかし、このように、ブラケット327のフランジ部327Aに、3個のねじ孔327Dが、扉体1の開閉移動方向に間隔をあけて形成されていることにより、このブラケット327を、引戸装置の扉体1が左勝手となっている場合でも、右勝手となっている場合でも使用することができる。
なお、前述した図42~図44の実施形態において、横ずれ防止手段96を構成する当接部材98は、ブラケット327のフランジ部327Aの3個のねじ孔327Dのそれぞれにビス等の止着具97で止着するようしてもよい。すなわち、図42~図44の実施形態において、ブラケット327のフランジ部327Aには、横ずれ防止手段96を構成する3個の当接部材98を配置するようにしてもよい。
なお、以上説明した図39~図44で示されている各実施形態では、下レール部材の本数は1本であったが、下レール部材の本数を複数本とし、それぞれの下レール部材に、1個又は複数個の下ローラが転動自在に載置、係合されるものでもよい。
本発明は、移動自在となっている扉体により、例えば、玄関の出入口を開閉するための玄関用引戸装置等として利用することができる。
1 扉体
14 上レール手段である上レール部材
17 上吊り手段
82 戸当たり部材
96 横ずれ防止手段
97 止着具
98 当接部となっている当接部材
301,321 下ローラ
301A、301B フランジ部
301C,321C 溝部
310 下レール部材
327 ブラケット
327A フランジ部
327C 回転中心軸
327D ねじ孔
327E 内面

Claims (13)

  1. 扉体と、この扉体を開閉移動方向に案内するための上レール手段及び下レール部材と、前記扉体を前記上レール手段から吊り下げられた上吊り式扉体とするための上吊り手段と、前記扉体の下部における戸尻側の部分に設けられていて前記下レール部材に転動自在に載置する下ローラと、を含んで構成されている引戸装置において、
    前記下ローラは複数個あり、
    前記複数個の下ローラは、前記扉体の前記開閉移動方向に間隔をあけて並んで配置されており、前記下レール部材の本数は1本であり、この1本の下レール部材に前記複数個の下ローラが転動自在に載置され、
    前記扉体の上方に配置されている前記上レール手段は、前記上吊り手段に設けられた上吊りローラが転動自在に載置される上レール部材となっており、
    前記複数個の下ローラは、前記上吊りローラよりも戸尻側に配置されており、
    前記扉体が全開位置まで開き移動したときに前記上吊り手段が当接する戸当たり部材が、不動部材に設けられており、
    前記複数個の下ローラは、前記扉体の厚さ方向となっているローラ厚さ方向の両側に設けられた2個のフランジ部と、これらのフランジ部の間に形成された溝部と、を有し、最も戸尻側に配置されている前記下ローラの前記溝部の深さ寸法が、他の前記下ローラの前記溝部の深さ寸法よりも大きくなっていることを特徴とする引戸装置。
  2. 請求項1に記載の引戸装置において、前記複数個の下ローラのうち、最も戸尻側に配置されている前記下ローラの直径寸法は、他の前記下ローラの直径寸法よりも大きいことを特徴とする引戸装置。
  3. 請求項2に記載の引戸装置において、前記複数個の下ローラの回転中心軸の高さ位置は同じであることを特徴とする引戸装置。
  4. 請求項1~3のいずれかに記載の引戸装置において、前記複数個の下ローラは、前記扉体の下部における戸尻側端部の箇所又はこの箇所の近傍に配置されていることを特徴とする引戸装置。
  5. 請求項1~4のいずれかに記載の引戸装置において、前記扉体の前記下部には、前記複数個の下ローラが前記下レール部材に対し前記扉体の厚さ方向に横ずれすることを防止するための横ずれ防止手段が設けられていることを特徴とする引戸装置。
  6. 請求項5に記載の引戸装置において、前記下ローラを回転自在に支持しているブラケットは、前記下ローラの配置から前記扉体の厚さ方向の両側に配置された2個のフランジ部を有しており、前記横ずれ防止手段は、前記2個のフランジ部のうち、一方のフランジ部における前記下レール部材と対面する内面に設けられ、前記複数個の下ローラが前記下レール部材に対し前記扉体の厚さ方向に横ずれしようとしたときに、前記下レール部材に当接する当接部であることを特徴とする引戸装置。
  7. 請求項6に記載の引戸装置において、前記当接部は複数個あり、これらの当接部は、前記一方のフランジ部における前記下レール部材と対面する前記内面において、少なくとも、最も戸尻側に配置されている前記下ローラの配置位置から前記扉体の開閉移動方向の両側に離れた位置に設けられていることを特徴とする引戸装置。
  8. 請求項6又は7に記載の引戸装置において、前記当接部は、前記一方のフランジ部における前記下レール部材と対面する前記内面に止着具で止着された当接部材であることを特徴とする引戸装置。
  9. 請求項8に記載の引戸装置において、前記止着具は、前記一方のフランジ部に形成されているねじ孔に螺入されており、前記一方のフランジ部には、前記止着具が螺入されていない前記ねじ孔を含めて、前記複数個の下ローラの個数に1を加えた個数のねじ孔が、前記扉体の開閉移動方向に間隔をあけて形成されていることを特徴とする引戸装置。
  10. 請求項6又は7に記載の引戸装置において、前記当接部は、前記一方のフランジ部における前記下レール部材と対面する前記内面にこのフランジ部と一体となって形成されていることを特徴とする引戸装置。
  11. 請求項1~10のいずれかに記載の引戸装置において、前記複数個の下ローラは、1個のブラケットにより回転自在に支持されていることを特徴とする引戸装置。
  12. 請求項1~11のいずれかに記載の引戸装置において、前記下レール部材から前記複数個の下ローラが浮き上がることを防止するための浮き上がり防止手段を備えていることを特徴とする引戸装置。
  13. 請求項12に記載の引戸装置において、前記浮き上がり防止手段は、前記下レール部材を支持するための支持部材に設けられていて前記扉体の厚さ方向に突出している係止部と、前記扉体の下部に設けられていて、前記係止部よりも下側において、この係止部と隙間をあけて上下方向に対向し、前記複数個の下ローラが前記下レール部材から浮き上がるときに前記係止部に下側から係止する浮き上がり防止部材と、を含んで構成されていることを特徴とする引戸装置。
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