以下、本実施例の画像形成装置、及びプロセスカートリッジについて図面を用いて説明する。なお、画像形成装置とは、例えば電子写真画像形成プロセスを用いて記録媒体に画像を形成するものである。例えば、電子写真複写機、電子写真プリンタ(例えば、LEDプリンタ、レーザービームプリンタ等)、電子写真ファクシミリ装置等が含まれる。また、カートリッジとは、画像形成装置本体(装置本体)に着脱可能であるものを指す。カートリッジのうち、とくに感光体や感光体に作用するプロセス手段が一体化したものをプロセスカ-トリッジと呼ぶ。
また、感光体ドラムとカップリング部材等を一体化したものをドラムユニットと呼ぶ。
なお、以下の実施例では4個のプロセスカートリッジが着脱可能なフルカラー画像形成装置を例示している。しかし、画像形成装置に装着するプロセスカートリッジの個数はこれに限定されるものではない。また同様に、実施例において開示する各構成について、特に限定的な記載をしない限り、材質、配置、寸法、その他の数値等を限定するものではない。また、特に明記しない限り上方とは画像形成装置を設置した際の重力方向上方を指すものとする。
<実施例1>
[電子写真画像形成装置の概略]
先ず、本実施例に係る電子写真画像形成装置(画像形成装置)の一実施例の全体構成について、図1を用いて説明する。
図1は、本実施例の画像形成装置100の概略断面図である。
図1に示すように、画像形成装置100は複数の画像形成部としてそれぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を形成するための第1、第2、第3、第4の画像形成部SY、SM、SC、SKを有する。本実施例では、第1から第4の画像形成部SY、SM、SC、SKは、略水平方向に一列に並んで配置されている。
なお、本実施例では、プロセスカートリッジ7(7Y,7M,7C,7K)の構成及び動作は、形成する画像の色が異なることを除いて実質的に同じである。従って、以下、特に区別を要しない場合は、Y、M、C、Kは省略して、総括的に説明する。
本実施例では、画像形成装置100は、複数の像担持体として、鉛直方向に対して少し傾斜した方向に並設された4個の感光層を有するシリンダ(以下、感光体ドラム)1を有する。プロセスカートリッジ7の重力方向下方にスキャナユニット(露光装置)3が配置されている。また、感光体ドラム1の周囲にはその感光層上へと作用するプロセス手段(プロセス装置、プロセス部材)としての帯電ローラ2等が配置されている。
帯電ローラ2は、感光体ドラム1の表面を均一に帯電する帯電手段(帯電装置、帯電部材)である。そして、スキャナユニット(露光装置)3は、画像情報に基づきレーザーを照射して感光体ドラム1上に静電像(静電潜像)を形成する露光手段(露光装置、露光部材)である。感光体ドラム1の周囲には、現像装置(以下、現像ユニット)4及びクリーニング手段(クリーニング装置、クリーニング部材)としてのクリーニングブレード6が配置されている。
更に、4個の感光体ドラム1に対向して、感光体ドラム1上のトナー像を記録材(シート、記録媒体)12に転写するための中間転写体としての中間転写ベルト5が配置されている。
本実施例の現像ユニット4は、現像剤として非磁性一成分現像剤(以下、トナー)を用い、現像剤担持体としての現像ローラ17を感光体ドラム1に対して接触させた接触現像方式を採用している。
上述の構成において、感光体ドラム1上に形成されたトナー像をシート(紙)12上へ転写し、シート上に転写されたトナー像を定着する。また、感光体ドラム1に作用するプロセス手段として、プロセスカートリッジは感光体ドラム1を帯電する帯電ローラ2と、感光体ドラム1上に転写されずに残留したトナーを清掃するクリーニングブレード6と、を備える。シート12上に転写されずに感光体ドラム1上に残留した転写残トナーは、クリーニングブレード6によって回収される。また、クリーニングブレード6によって回収された転写残トナーは、開口14bより除去現像剤収容部(以下廃トナー収容部と称す)14aに収容される。廃トナー収容部14aとクリーニングブレード6は一体化されクリーニングユニット(感光体ユニット、像担持体ユニット)13を構成している。
また、現像ユニット4とクリーニングユニット13を一体としてユニット化(カートリッジ化)することで、プロセスカートリッジ7を構成する。画像形成装置100は本体枠体に装着ガイド、位置決め部材(不図示)などのガイド(位置決め手段)を備える。プロセスカートリッジ7は前述のガイドによってガイドされ、画像形成装置本体(電子写真画像形成装置本体)100Aに対して着脱可能に構成されている。
各色用のプロセスカートリッジ7内には、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナーが収容されている。
中間転写ベルト5は、各プロセスカートリッジが備える感光体ドラム1に当接して、図1中の矢印B方向に向かって回転(移動)する。中間転写ベルト5は、複数の支持部材(駆動ローラ51、二次転写対向ローラ52、従動ローラ53)に掛け渡されている。中間転写ベルト5の内周面側には、各感光体ドラム1に対向するように、一次転写手段としての、4個の一次転写ローラ8が並設されている。また、中間転写ベルト5の外周面側において二次転写対向ローラ52に対向する位置には、二次転写手段としての二次転写ローラ9が配置されている。
画像形成時には、先ず、感光体ドラム1の表面が帯電ローラ2によって一様に帯電される。次いで、スキャナユニット3から発された画像情報に応じたレーザー光によって、帯電した感光体ドラム1の表面が走査露光される。これにより、感光体ドラム1上に画像情報に対応した静電潜像が形成される。感光体ドラム1上に形成された静電潜像は、現像ユニット4によってトナー像として現像される。
感光体ドラムは、その表面に現像剤(トナー)で形成された像(現像剤像、トナー像)を担持した状態で回転する回転体(像担持体)である。
感光体ドラム1上に形成されたトナー像は、一次転写ローラ8の作用によって中間転写ベルト5上に転写(一次転写)される。
例えば、フルカラー画像の形成時には、上述のプロセスが、4個のプロセスカートリッジ7(7Y,7M,7C,7K)において順次に行われる。そして、各プロセスカートリッジ7の感光体ドラム1上に形成された各色のトナー像が中間転写ベルト5上に重ね合わさるように順次に一次転写される。その後、中間転写ベルト5の移動と同期して記録材12が二次転写部へと搬送される。そして、中間転写ベルト5と二次転写ローラ9によって形成された二次転写部へ搬送された記録材12上に中間転写ベルト5上の4色トナー像が一括して転写される。
トナー像が転写された記録材12は、定着手段としての定着装置10に搬送される。定着装置10において記録材12に熱及び圧力を加えられることで、記録材12にトナー像が定着される。また、一次転写工程後に感光体ドラム1上に残留した一次転写残トナーは、クリーニングブレード6によって除去され、廃トナーとして回収される。また、二次転写工程後に中間転写ベルト5上に残留した二次転写残トナーは、中間転写ベルトクリーニング装置11によって除去される。
なお、画像形成装置100は、所望の単独またはいくつか(全てではない)の画像形成部を用いて、単色またはマルチカラーの画像を形成することもできるようになっている。
[プロセスカートリッジの概略]
次に、本実施例の画像形成装置本体100Aに装着されるプロセスカートリッジ7(カートリッジ7)の概略について図2、図3、図4、図5を用いて説明する。
なお、イエロー色のトナーを収納したカートリッジ7a、マゼンタ色のトナーを収納したカートリッジ7b、シアン色のトナーを収納したカートリッジ7c、ブラック色のトナーを収納したカートリッジ7dは同一構成である。従って、以下の説明では、各カートリッジ7a、7b、7c、7dを総称して、カートリッジ7として説明する。各カートリッジ構成部材についても同様に総称して説明する。
図2は、プロセスカートリッジ7の外観斜視図である。ここで、図2に示すように、感光体ドラム1の回転軸方向をZ方向(矢印Z1、矢印Z2)、図1における水平方向をX方向(矢印X1、矢印X2)、図1における鉛直方向をY方向(矢印Y1、矢印Y2)とする。
図3は、画像形成装置100に装着され、感光体ドラム1と現像ローラ17が当接した状態(姿勢)におけるプロセスカートリッジ7をZ方向に沿って見た概略断面図である。
プロセスカートリッジ7は、感光体ドラム1、帯電ローラ2、クリーニングブレード6をユニット化したクリーニングユニット13と、現像ローラ17などの現像部材を有する現像ユニット4との2つのユニットより構成される。
現像ユニット4は、現像ユニット4内の各種要素を支持する現像枠体18を有する。現像ユニット4には、感光体ドラム1と接触して図示矢印D方向(反時計方向)に回転する現像剤担持体としての現像ローラ17が設けられている。現像ローラ17は、その長手方向(回転軸線方向)の両端部において、現像軸受19(19R、19L)を介して、回転可能に現像枠体18に支持されている。ここで、現像軸受19(19R、19L)は、現像枠体18の両側部にそれぞれ取り付けられている。
また、現像ユニット4は、現像剤収納室(以下、トナー収納室)18aと、現像ローラ17が配設された現像室18bと、を有する。
現像室18bには、現像ローラ17に接触して矢印E方向に回転する現像剤供給部材としてのトナー供給ローラ20と現像ローラ17のトナー層を規制するための現像剤規制部材としての現像ブレード21が配置されている。現像ブレード21は、固定部材22に対し溶接等より固定、一体化されている。
また、現像枠体18のトナー収納室18aには、収容されたトナーを撹拌するとともにトナー供給ローラ20へトナーを搬送するための撹拌部材23が設けられている。
そして現像ユニット4は、軸受部材19R、19Lに設けられた、穴19Ra及び19Laに嵌合する嵌合軸24(24R、24L)を中心にしてクリーニングユニット13に回動自在に結合されている。また、現像ユニット4は、加圧バネ25(25R、25L)により、現像ローラ17が、感光体ドラム1に当接する方向に付勢されている。そのため、プロセスカートリッジ7の画像形成時においては、現像ユニット4は嵌合軸24を中心に矢印F方向に回動(回転)し、感光体ドラム1と現像ローラ17は当接する。
クリーニングユニット13は、クリーニングユニット13内の各種要素を支持する枠体としてのクリーニング枠体14を有する。
図4、図5は、プロセスカートリッジ7の感光体ドラム1の回転軸線に沿った仮想面にて切断した断面図である。
なお、図4で、画像形成装置本体からカップリングユニット(カップリング部材)28が駆動力を受ける側(Z1方向の側)をプロセスカートリッジ7の駆動側と呼ぶ。また図5で、駆動側とは反対側(Z2方向の側)をプロセスカートリッジ7の非駆動側と呼ぶ。
カートリッジ7が画像形成装置本体の装着部に挿入された際、カートリッジ7の駆動側は装着部の奥側に配置され、カートリッジ7の非駆動側は装着部の手前側に配置される。
カップリングユニット28と反対側の端部(プロセスカートリッジの非駆動側の端部)には、感光体ドラム1の内面と接触する電極(電極部)があり、この電極は画像形成装置本体と接触することでアースの役割を果たしている。
感光体ドラム1の一端にカップリングユニット28を取り付け、かつ、感光体ドラム1の他端に非駆動側フランジ部材29を取り付け、感光体ドラムユニット30を形成する。感光体ドラムユニット30は、カップリングユニット28を介し、画像形成装置本体100Aに設けられた本体駆動軸101より駆動力を得る(本体駆動軸101から駆動力が伝達される)。詳細は後述するが、装置本体100Aに対するカートリッジ7の装着に伴って、カップリングユニット28は本体駆動軸101に係合可能である。装置本体100Aからカートリッジ7を取り外すことに伴ってカップリングユニット28は、本体駆動軸101から離脱可能である。
このカップリングユニット28は本体駆動軸101に結合および離脱可能に構成されている。
カップリングユニット28は、感光体ドラム1の駆動側端部に取り付けられたフランジ部材71(駆動側フランジ部材)を有する。
図4に示すように、カップリングユニット28のZ1側は円筒形状(円筒部71a)になっている。円筒部71aは、感光体ドラム1の端部よりも、Z1側(軸線方向外側)に突出している。円筒部71aにおいて、Z1側の先端付近の部分が被軸受部71cとなっている。被軸受部71cがドラムユニット軸受部材39Rに設けられた軸受部に回転可能に支持される。つまり被軸受部71cがドラムユニット軸受部材39Rの軸受部によって支持されることで感光体ドラムユニット30は、回転可能になる。
同様に図5において、感光体ドラムユニット30の非駆動側に設けられた非駆動側フランジ部材29は、ドラムユニット軸受部材39Lに回転可能に支持される。非駆動側フランジ部材29は、感光体ドラム1の端部から突出した円筒状の部分(円筒部)を有し、この円筒部29aの外周面がドラムユニット軸受部材39Lに回転可能に支持される。
なお、ドラムユニット軸受部材39Rはプロセスカートリッジ7の駆動側に配置され、ドラムユニット軸受部材39Lはプロセスカートリッジ7の非駆動側に配置されている。
プロセスカートリッジ7が装置本体100Aに装着されると、図4に示すように、ドラムユニット軸受部材39Rが、画像形成装置本体100Aに設けられた奥側カートリッジ位置決め部108に突き当たる。また、ドラムユニット軸受部材39Lが、画像形成装置本体100Aの手前側カートリッジ位置決め部110に突き当たる。これにより、カートリッジ7は画像形成装置100Aに位置決めされる。
本実施例のZ方向において、図4に示すように、ドラムユニット軸受部材39Rが、被軸受け部71cを支持する位置を、ドラムユニット軸受部材39Rが、奥側カートリッジ位置決め部108に位置決めされる位置と近い位置に配置した。このようにすることで、プロセスカートリッジ7が装置本体100Aに装着された際に、カップリングユニット28が傾くのを抑えることができる。
軸受部材39Rが被軸受部71cを支持する位置と、軸受部材39Rが奥側カートリッジ位置決め部108に位置決めされる位置とを近づけられるように、被軸受部71cを配置している。つまり、カップリングユニット28に設けられた円筒部71aの外周面の先端側(Z1方向側)に被軸受け部71cを配置した。
同様に、図5で示すように、Z方向において、ドラムユニット軸受部材39Lが、非駆動側フランジ部材29を回転可能に支持する個所は、ドラムユニット軸受部材39Lが手前側カートリッジ位置決め部110に位置決めされる位置と近い位置に配置した。これによって非駆動側フランジ部材29が傾くのを抑えている。
ドラムユニット軸受部材39R、39Lが、クリーニング枠体14の両側にそれぞれ取り付けられていて、それぞれ感光体ドラムユニット30を支持している。このことにより、感光体ドラムユニット30はクリーニング枠体14に回転可能に支持されることになる。
また、クリーニング枠体14には帯電ローラ2及び、クリーニングブレード6が取り付けられており、これらは感光体ドラム1の表面と接触するように配置される。また、クリーニング枠体14には、帯電ローラ軸受15(15R,15L)が取り付けられている。帯電ローラ軸受15は、帯電ローラ2の軸を支持するための軸受である。
ここで、帯電ローラ軸受15(15R,15L)は、図3に示す矢印C方向に移動可能に取り付けられている。帯電ローラ2の回転軸2aは、帯電ローラ軸受15(15R,15L)に回転可能に取り付けられている。そして、帯電ローラ軸受15は、付勢手段としての加圧バネ16により感光体ドラム1に向かって付勢される。これにより帯電ローラ2は感光体ドラム1に対し当接し、感光体ドラム1に従動回転する。
クリーニング枠体14には、感光体ドラム1の表面に残ったトナーを除去するクリーニング手段としてのクリーニングブレード6が設けられる。クリーニングブレード6は、感光体ドラム1と当接して感光体ドラム1上のトナーを取り除くブレード状ゴム(弾性部材)6aと、それを支持する支持板金6bが一体化されたものである。本実施例においては、支持板金6bはクリーニング枠体14にビスで固定され取り付けられている。
前述の通り、クリーニング枠体14は、クリーニングブレード6によって回収された転写残トナーを、回収するための開口14bを有する。開口14bには、感光体ドラム1と当接し、感光体ドラム1と開口14bとの間をシールする吹き出し防止シート26が設けられており、開口14bの上部方向のトナー漏えいを抑える。
このように装置本体に着脱可能なカートリッジに画像形成に関する要素を一体化した構成を採用することにより、メンテナンス容易性が向上する。言い換えると、使用者がプロセスカートリッジを装置本体に対する着脱することで装置のメンテナンスを容易に行うことができる。そのため、メンテナンスがサービスマンだけではなく使用者でも容易に行うことが出来る装置を提供することができる。
[本体駆動軸の構成]
図6、図7、図8、図9、図10を用いて、本体駆動軸101の構成を説明する。
図6は、本体駆動軸の外形図である。
図7は、画像形成装置本体へ取り付けた状態の本体駆動軸101の回転軸(回転軸線)に沿って切断した断面図である。
図8は、本体駆動軸の斜視図である。
図9は、カップリング28と本体駆動軸101を回転軸(回転軸線)に沿って切断した断面図である。
図10は、カップリングユニット28と本体駆動軸101を回転軸線の鉛直方向に切断した断面図である。
図6に示すように、本体駆動軸101は、ギア部101e、軸部101f、ラフガイド部101gと被軸受け部101dを有する。
画像形成装置本体100Aには駆動源としてのモータ(不図示)が設けられている。このモータからギア部101eが回転駆動を得て本体駆動軸101は回転する。また、本体駆動軸101はその回転軸線に沿ってギア部101eよりもカートリッジ側に向けて突出する回転可能な突起形状の軸部101fを備える。そして、モータから受けた回転駆動力は軸部101fに設けられた溝形状の駆動伝達溝101a(凹部、駆動渡し部)を介してカートリッジ7側へと伝達される。また、軸部101fは、その先端に半球形状101cを有する。
この本体駆動伝達溝101aは、後述するカップリングユニット28の係合部65aの一部が進入可能な形状となっている。具体的には、カップリングユニット28の駆動力受け面(駆動力受け部)65bと接触して駆動力を伝達する面としての本体駆動伝達面101bを備える。
また、図6に示すように、本体駆動伝達面101bは平面ではなく、本体駆動軸101の回転軸を中心にして捻じった形状になっている。その捻り方向は、本体駆動軸101のZ1方向側がZ2方向側に対して、本体駆動軸101の回転方向上流側に配される方向である。本実施例における、係合部65aのシリンダの回転軸線方向に沿って捻り量は1mm当たり1°程度とした。本体駆動伝達面101bを捻った形状とした理由については後述する。
また、本体駆動伝達溝101aのZ2方向側の面には、本体側抜去テーパ101iが設けられている。本体側抜去テーパ101iは、プロセスカートリッジ7を装置本体100Aから取り外す際に、係合部65aが駆動伝達溝101aから抜け出すのを助けるためのテーパ(傾斜面、傾斜部)である。詳細は後述する。
ここで、駆動伝達溝101aから係合部65aに駆動を伝達する際には、本体駆動伝達面101bと駆動力受け面(駆動力受け部)65bが確実に当接することが望ましい。そこで、本体駆動伝達面101b以外の面が係合部65aと当接しないように、本体駆動伝達溝101aは、回転軸方向、周方向、径方向のそれぞれに係合部65aに対し隙間(G)を有する構成を採用している(図9、図10参照)。
また、本体駆動軸101の軸線方向において、半球形状101cの中心101hは、本体駆動伝達溝101aの範囲内に配置される(図7参照)。言い換えると、本体駆動軸101の軸線に、中心101hと本体駆動伝達溝101aを本体駆動軸101の軸線に投影すると、軸線上において、本体駆動伝達溝101aの投影領域の内部に、中心101hの投影領域が配置される。
ここで、本体駆動軸やドラムユニットの軸線(回転軸線、回転中心線)とは、軸の回転中心を通るように延びている仮想的な直線を意味する。また軸線方向(回転軸線方向)とは軸線が延びている方向を意味する。そして、ドラムユニット30の軸線方向は、ドラムユニット30の長手方向(Z方向)と同じ意味である。
さらに、「A方向においてXとYが重なる(オーバーラップする)」とは、A方向に平行に延びる直線にXとYを投影した場合に、その直線上において、Xの投影領域の少なくとも一部がYの投影領域の少なくとも一部に重なることを意味する。
なお、何かを線に投影するといった場合には、特に断りがない場合、その投影方向はその線に垂直な方向である。たとえば「Aを軸線に投影する」とは、「Aを軸線に対して軸線に垂直な方向に投影する」ことを意味する。
本体駆動軸101のラフガイド部101gは、軸線方向において、軸部101fとギア部101eの間に設けられる(図6参照)。ラフガイド部101gは、軸部101f側の先端にテーパ形状を有し、ラフガイド部101gの外径D6は、図9に示すように、後述するカップリングユニット28の円筒部71aの内周面71bの内径D2より小さい。またラフガイド部101gの外径D6は、図6に示すように、軸部101fの外径D5より大きい。このことにより、カートリッジ7を画像形成装置本体100Aへと挿入する際に、円筒部71の回転中心と軸部101fの回転中心の軸ずれを低減するように本体駆動軸101をカップリングユニット28にならうように案内する(ガイドする)ことが出来る。そのため、ラフガイド部101gは挿入ガイドと言い換えることができる。
なお、カートリッジ7の画像形成装置本体100Aへの装着が完了した後は、ラフガイド部101gは内周面71bと当接しないような寸法関係に設定してある。
本体駆動軸101の被軸受け部101dは、図7に示すように、ギア部101eを挟んでラフガイド部101gの反対側に配置されている。そして、被軸受部101dは、画像形成装置本体100Aに設けられた軸受け部材102によって回転可能に支持(軸支)される。
また、本体駆動軸101は、図7に示すように、画像形成装置本体100Aのバネ部材103によりカートリッジ7側に付勢されている。ただし、本体駆動軸101のZ方向の移動可能な量(ガタ)は、1mm程度で後述する駆動力受け面65bのZ方向の幅より十分小さい。
以上のように本体駆動軸101に本体駆動伝達溝101aを設け、カップリングユニット28に係合部65aを設けて、装置本体100Aからカートリッジ7(ドラムユニット30)に駆動を伝達させる構成としてある。
なお詳細は後述するが、係合部65aは、弾性的に伸縮が可能な圧縮バネである付勢部材によって付勢されている。そのため係合部65aは、カートリッジ7を装置本体100Aに装着する際に少なくともドラムユニット30の径方向外側に移動可能である。これにより、カートリッジ7を装置本体100Aに挿入することに伴って、係合部65aが駆動伝達溝101aに進入して、係合部65aと本体駆動伝達溝101aが係合することができる。
なお以下の説明においてドラムユニット30の径方向のことを単に径方向と呼ぶことがある。なおドラムユニット30の径方向とは、感光体ドラム1の径方向であり、カップリングユニット28の径方向でもある。
[カップリングユニットの構成]
続いて、本実施例のカップリングユニット28について図11、図12、図13、図14、図15を用いて詳しく説明する。
図11はカップリングユニット28を感光体ドラム1に取り付けたドラムユニット30の駆動側斜視図である。
図12は、ドラムユニット30の駆動側断面図である。
図13は、係合部材65の斜視図であり、図13(a)は左上から見た斜視図、図13(b)は右上から見た斜視図である。
図14は、カップリングユニット28を構成する部材の斜視図である。
図15は、カップリングユニット28の回転軸に対して鉛直方向の断面図である。
カップリングユニット28には、図11に示すように、本体駆動軸101と係合する係合部65aが、3個所設けられる。この係合部65aが図10のように本体駆動軸101の溝部101aに入り込み、係合部65aの駆動力受け面65bと本体駆動軸101の駆動伝達面101bとが当接し、本体駆動軸101からカップリングユニット28へ駆動伝達がなされる。
図12はカップリングユニット28が感光体ドラム1に取り付けられた状態の断面図である。係合部65aを有する係合部材65は、カップリングユニット28内で、カップリングユニット28の半径方向内側に向かって付勢部材66により付勢された状態で支持される。
以下にカップリングユニット28の構成について具体的に説明する。カップリングユニット28は、図12の断面図および、図14の斜視図で示すように、フランジ部材71、フランジキャップ部材72、係合部材65、付勢部材66により構成される。
フランジ部材71は、感光体ドラム1の内周に取り付けられていて、感光体ドラム1に対して固定されている。フランジ部材71は、略円筒形状であって中空部を有する。フランジ部材71はドラムユニットの軸線方向における外側に向けて開放されている。
フランジキャップ部材72は、フランジ部材71の中空部の内面に取り付けられている。フランジキャップ部材72は、ドラムユニットの軸線方向におけるフランジ部材71の内側(底側)を塞いでいる。
フランジキャップ部材72は、フランジ部材71を介して感光体ドラム1に対して固定されている。
係合部材65は、フランジキャップ部材72に移動可能(スライド可能)に保持されていて、フランジキャップ部材72に対して移動可能(スライド可能)となるように構成されている。付勢部材66が、弾性部材(ばね部材)であって、係合部材65を少なくともドラムユニットの径方向の内側に向けて付勢するように構成されている。
本実施例では、フランジ部材71、フランジキャップ部材72、係合部材65、付勢部材66は互いに別体(別部材)で構成されている。また本実施例においては、係合部材65はカップリングユニットの径方向に沿って(径方向に対して略平行に)移動可能に構成されている。また、係合部材65と付勢部材66は径方向に沿って配置されている。つまりカップリングユニットの径方向に平行な仮想線の上に係合部材65と付勢部材66の両方が配置されるように構成されている。
図11に示すように、係合部材65はカップリングユニット28の周方向に均等な間隔で3個配置(120°間隔、略等間隔)されている。また、図13で示すように、係合部材65は、半径方向の内側に突出した係合部65aと、係合部65aに形成された駆動力受け面65bを有する。また係合部材65は駆動力受け面65bに隣接して形成された、本体駆動軸の外周面101fと当接するよう円弧状に形成された駆動軸当接面(駆動軸当接部)65cを有する。駆動力受け面65bは駆動溝101aと接触することで本体駆動軸101から駆動力を受ける駆動力受け部である。また係合部65aは、係合部材65の表面から突起している(突出している)突起部(突出部)である。
係合部材65は駆動力受け部(駆動力受け面65b)が設けられた駆動力受け部材であり、駆動力受け面65bを支持するための支持部材でもある。
また係合部材65には、カップリングユニット内で半径方向に移動可能に案内される(ガイドされる)ために第1被案内面65dおよび第2被案内面65eを有する。第1被案内面65dは、係合部材65を円周方向に位置規制するための被位置規制部であって、係合部65aに対して近い側に配置されている。第2被案内面65eも係合部材65を円周方向に位置規制するための被位置規制部であって、係合部65aに対して遠い側に配置されている。
第1被案内面65dおよび第2被案内面65eは、後述するフランジキャップ部材72によってガイドされる被ガイド部である。また第1被案内面65dおよび第2被案内面65eは、フランジキャップ部材72によって、ドラムユニットの回転方向(周方向)における位置を規制される被規制部である。第1被案内面65dは、カップリングユニットの回転方向において係合部材65の下流側に位置する上流側被ガイド部(かつ、上流側被規制部)である。第2被案内面65eは、回転方向において係合部材65の上流側に位置する下流側被ガイド部(かつ、下流側被規制部)である。
第1被案内面65dと第2被案内面65eは互いに実質的に平行である。
また、係合部材65を軸方向に位置規制するための、第3被案内面65fおよび、第4案内面65gとを有する。第3被案内面65fおよび、第4案内面65gは、後述するフランジキャップ部材72によってガイドされる被ガイド部である。また第3被案内面65fおよび第2被案内面65gはフランジキャップ部材72によって、ドラムユニットの軸線方向(長手方向)における位置を規制される被規制部である。第3被案内面65fは、ドラムユニットの軸線方向において係合部材65の外側に位置する外側被ガイド部(かつ、外側被規制部)である。第4案内面65gは、軸線方向において係合部材65の下流側に位置する下流側被ガイド部(かつ、下流側被規制部)である。
第3被案内面65fと第4案内面65eは互いに実質的に平行である。
さらに係合部材65には、付勢部材66による付勢力を受けるための当接面(被付勢部、被付勢面)65h(図10)を有する。また係合部材65は付勢部材66の付勢力によって、フランジキャップ部材72と当接し、係合部材65の位置を規制するための、位置規制突起65iを有する。特に位置規制突起に形成された付勢力位置規制面(被係止部)65jがフランジキャップ部材72と接触されるようになっている。位置規制突起65iは付勢部材66との当接面65hを挟んで係合部材65の両側に設けられる。
また係合部材65はZ方向において感光体ドラムユニット30の外側(Z1方向側)に、挿入テーパ面65kを有する。挿入テーパ面65kは、軸線方向外側に面する傾斜部である。挿入テーパ面65kは、カートリッジ装着時に、半径方向に係合部材65を退避させるための力を受ける装着時力受け部である。また、係合部材65はZ方向において感光体ドラムユニット30の内側(Z2方向側)に、取り外し時力受け部としての抜去テーパ部65lを有する。抜去テーパ面65lは、カートリッジ取り外し時に、半径方向に係合部材65を退避させるための力を受ける取り外し時力受け部である。
フランジキャップ部材72には、本体駆動軸101を通すためのカップリング穴部72aと、係合部材65を半径方向に移動可能に支持するための取り付け穴部72bを有する。係合部材を本体駆動軸に係合させるため、カップリング穴部72aからは、係合部材65の係合部65aが露出する。前記取り付け穴部72bには前記係合部材65を円周方向に位置規制する面である第1被案内面65dと当接する第1案内面72dと、第2被案内面65eと当接する第2案内面72eを有する。また、取り付け穴部72bには、係合部材65を軸方向に位置規制する面である第3被案内面65fと当接する第3案内面72fと、第3被案内面に対する対向面である第4案内面65gと当接する第4案内面72gとを有する。
第1案内面72d、第2案内面72e、第3案内面72f、第4案内面72gは、それぞれ係合部材65をガイドするためのガイド部であり、係合部材の位置を規制するための規制部(位置規制部)でもある。
第1案内面72dは、ドラムユニットの回転方向における係合部材65の上流側をガイドし、かつ、位置規制をする上流側ガイド(上流規制部)である。同様に、第2案内面72eは係合部材65の下流側を下流側ガイド(下流規制部)である。
係合部材65および付勢部材66は、第1案内面72dと第2案内面72eの間の空間に配置されている。
また、第3案内面72fはドラムユニットの軸線方向における係合部材65の外側をガイドし、かつ位置規制をする外側ガイド部(外側規制部)である。同様に、第4案内面72gは、軸線方向における係合部材65の内側をガイドし、かつ位置規制を行う内側ガイド部(内側規制部)である。
フランジキャップ部材72は、これらのガイド部(第1案内面72d、第2案内面72e、第3案内面72f、第4案内面72g)によって係合部材65をガイドするガイド部材である。またフランジキャップ部材72は、係合部材65を移動可能(ガイド可能)に保持する保持部材である。
第1案内面72dと第2案内面72eは互いに実質的に平行である。第3案内面72fと第4案内面72gは互いに実質的に平行である。
また係合部材65は、フランジキャップ部材72によって移動可能に保持される移動部材であり、フランジキャップ部材72に対してスライド可能なスライド部材でもある。
また、前記付勢部材66の付勢力に抗して、係合部材65の位置を規制するために、フランジキャップ部材72は規制面(係止部)72jとを有する。
規制面(係止部)72jは、付勢力位置規制面(被径止部)65jと当接することで、係合部材65が径方向において内側に移動するのを規制する。つまり規制面(係止部)72jは、付勢部材66の付勢力に抗して係止部材65を係止する。カートリッジ7が装置本体に装着されていない状態(カートリッジ7に外部から力が加わっていない自然状態)では、係止部材65は付勢部材66の付勢力によって規制面72jに向けて付勢・押圧されていることになる。
また、フランジキャップ部材72には、フランジ部材71の内周面と嵌合する嵌合面72kと、フランジ部材71に対して回転方向の位置規制をするための、位置規制溝72lを有する。さらに、フランジキャップ部材72には、本体駆動軸101の半球形状101cと当接し、フランジキャップ部材72に対して本体駆動軸101を位置決めるための、円錐面72mを有する。
なお位置決め部は、円錐面72mのように、円錐形状の窪みである必要はない。径方向位置決め部および長手方向位置決め部は本体駆動軸101の先端(半休形状101c)に接触した際に、本体駆動軸101に対して感光体ドラムユニット30の位置を決められればその形状は問わない。たとえば、これらは底部に向かうにつれてすぼんだくぼみ(凹部)が好適である。このようなものとして角錐(四角錐等)のような円錐ではない錐体形状を用いることもできる。ただし、本実施例の円錐形状72mのように、カップリングユニット28の軸線に対して対称な円錐形状の凹部であれば、カップリングユニット28の位置を特に精度よく保つことができる。
なお円錐形状72mは本体駆動軸101と接触するための領域があればよいので、接触しない領域はどのような形状でもよい。たとえば本体駆動軸101と接触しない部分は不要円錐形状72mの底は不要であり、円錐形状72mは底が抜けた凹部であってもよい。
フランジ部材71は、感光体ドラムに対する嵌合部71dと、嵌合部の軸方向端部に形成された鍔部71eを有する。さらにフランジ部材71は、鍔部71eからさらに軸方向延びる円筒部71aを有する。円筒部71aには、本体駆動軸101を通すための内周面71bと、軸受部材によって支持される被軸受け部71cと、が形成される。鍔部71eは、図14に示すように、半径方向において嵌合部71dよりも外側に向けて突出した形状である。カップリングユニット28の感光体ドラム1へ組み付け時、鍔部71eの端面に感光体ドラム1の端面を突き当てることで、Z方向における感光体ドラム1とカップリングユニット28の位置を決める。
フランジ部材71の嵌合部71dは、図12に示すように、感光体ドラム1のシリンダの内径に圧入される。フランジ部材71を軸方向に、フランジ部材71の鍔部71eが感光体ドラムの端面に当接するまでシリンダ内部へ進入させ、嵌合部71dを感光体ドラム1に圧入することにより、カップリングユニット28を感光体ドラム1に対して正確に位置決めする。具体的には、感光体ドラム1のシリンダ内径と嵌合部71dの外形は締り嵌めの関係となるような寸法を採用している。
このようにして、フランジ部材71を感光体ドラム1に取り付けた後、フランジ部材71と感光体ドラム1は、カシメによる固定方法を用いて固定される。具体的には、フランジ部材71の嵌合部71dに形成された不図示の溝に、感光体ドラム1のシリンダ端部を塑性変形させた部位を入り込ませ、感光体ドラム1とフランジ部材71を強固に結合する。ここで、カシメとは複数の部品の一部を塑性加工して接合する動作を指す。
なお、カシメによる固定方法は、感光体ドラム1にフランジ部材71を強固に固定する手段の一例であって、シリンダ内径と嵌合部71dの間を接着で固定する等、別の固定手段を用いることもできる。
フランジ部材71の円筒部71aは前述の通り、その外周面の先端側(Z1方向側)に被軸受け部71cを有する(図4、図9図示)。言い換えると、カップリングユニットは係合部材に対してZ1方向側(軸線方向外側)に、円筒の外形形状を有する被軸受け部71cを有する。このような形状とすることで、係合部65aはカートリッジ7の外面に露出しない。このため係合部材65の係合部65aを、ドラムユニット軸受部材39Rや被軸受け部71cによって保護できる。このことにより係合部65aにユーザが意図せず触れる事を抑えたり、カートリッジ7が落下してしまったときに、直接何かが係合部65aに当たることを抑えたり出来る。また、図14に示すように、円筒部71の内周面71bは、手前側(Z1方向)先端にテーパ形状71gを有する。このテーパ形状71gは、円筒部71の内部に挿入される本体駆動軸101をガイドするための傾斜部(傾斜面)である。
付勢部材66は弾性的に伸縮可能な圧縮コイルバネであり、圧縮バネが縮む方向への外力に対して、逆に圧縮バネが伸びる方向への反力を及ぼす。なお、付勢部材66は、本実施例のような圧縮コイルバネの他に、係合部材65に半径方向内側に付勢力を及ぼすように構成されればよいため、例えば板ばねや、ねじりコイルばねのような付勢部材(弾性部材、バネ部材)を使用してもよい。
付勢部材66を係合部材65あるいはフランジキャップ部材72と一体的にすることも可能である。ただ本実施例では、付勢部材66を係合部材65やフランジキャップ部材72とは別体に構成した。そうすることによって、付勢部材66の選択の自由度が増し、付勢部材66として適切なものを選択しやすくなる。たとえば、係合部材65を付勢するのに適当な付勢力(弾性力)を有する付勢部材66を選択しやすくなる。
以上のように構成されたカップリングユニット28に関して、係合部材65の支持構成について詳しく説明する。図15はカップリングユニットの軸方向に対して垂直な断面図である。
係合部材65の第1被案内面65dおよび第2被案内面65eがそれぞれフランジキャップ部材72の第1案内面72dおよび第2案内面72eに当接し案内する。そして、図12に示すように、係合部材65の第3被案内面65fと第4案内面65gが、それぞれフランジキャップ部材72の第3案内面72fおよび第4案内面72gに当接し案内する。これらの案内面の当接によって、係合部材65はフランジキャップ部材72に対して、少なくとも半径方向に移動可能に案内され、支持される。つまり係合部材65が移動する方向に沿ったベクトルは、少なくともドラムユニットの径方向の成分を有する。本実施例では、係合部材65はほぼ径方向に平行に移動可能である。
係合部材65は付勢部材66によってカップリングユニット28の半径方向内側に向かって付勢される。付勢部材66は係合部材65の当接面65hと、フランジ部材71の内周面に挟まれた状態で圧縮されるため、付勢部材66が伸びる方向に付勢力を及ぼすことにより、係合部材65を付勢する。
係合部材65は、前記付勢力に対して、前記係合部材65の位置規制面65jとフランジキャップ部材72の規制面72jとが当接して、位置規制される。
係合部材65は、係合部材65の係合部65aが、フランジキャップ部材72の穴部72aから露出した状態でフランジキャップ部材72に支持される。また、係合部材65に円弧状に形成された駆動軸当接面65cも同様に、フランジキャップ部材72の穴部72aから露出する。係合部材65の係合部65aは、フランジキャップ部材72の穴部72aの内周面よりも半径方向内側に突出する。
係合部材65の駆動軸当接面65cに対して係合部65aが突出している突出量は、係合部65aが駆動軸の溝101aに確実に入り込む大きさである。またこの突出量は、係合部65aに形成された駆動力受け面65bが被回転部材である感光体ドラムユニット30の負荷トルクに応じた強度を有するだけの大きさである。つまり係合部65aの駆動力受け面65bが本体駆動軸101から安定して駆動力が伝達可能であればよい。本実施例の場合には、フランジキャップ部材72の内面から係合部65aの先端までの距離をカップリングユニットの径方向に沿って測ると、その距離が1mmから3mmであるように係合部65aの突出量を規定した。
また、係合部材65の駆動軸当接面65cも同様に、フランジキャップ部材72の穴部(中空部)72a内周面よりも半径方向内側に突出する。穴部72aの内周面から駆動軸当接面65cが突出している突出量(露出量)は、各部の寸法がばらついた場合においても、駆動軸当接面65cが確実に穴部72aの内周面から突出しているのが望ましい。本実施例の場合、穴部72aの内周面から駆動軸当接面65cが突出している突出量は、好ましくは、0.3mmから1mmである。つまり、フランジキャップ部材72の内面から駆動軸当接面65cまでの距離をカップリングユニットの径方向に沿って測ると、その距離が0.3mmから1mmである。
このようにして、係合部材65の係合部65aおよび駆動軸当接面65cは、穴部72aから露出され、本体駆動軸101に対して、係合および当接が可能とされる。係合部材65が本体駆動軸101に対して係合し、駆動伝達される構成については、後述する。
[カートリッジの画像形成装置本体への装着]
図16、図17、図18、図19を用いて、プロセスカートリッジ7の画像形成装置本体への着脱について説明する。
図16は画像形成装置本体100Aへのカートリッジ7の装着を説明するための斜視図である。
図17、図18、図19は画像形成装置本体100Aへのカートリッジ7の装着動作を説明するための断面図である。
本実施例の画像形成装置本体100Aは略水平方向にカートリッジを装着可能な構成を採用している。具体的には、画像形成装置本体100Aはカートリッジを装着可能な空間をその内部に備える。そして、画像形成装置本体100Aの前側(使用の際にユーザが立つ方向)にカートリッジを前述の空間へ挿入するためのカートリッジドア104(前扉)を有する。
図16に示すように、画像形成装置本体100Aのカートリッジドア104は開閉可能に設けられている。カートリッジドア104を開くと、カートリッジ7をガイドするカートリッジ下ガイドレール105が空間の底面に、カートリッジ上ガイドレール106が上面に配置されている。カートリッジ7は空間上下に設けられた上下のガイドレール(105、106)により装着位置へ案内される。カートリッジ7は感光体ドラムユニット30の軸線に略沿って、装着位置へ挿入される。
以下に、図17、図18、図19を用いて画像形成装置本体100Aへのカートリッジの着脱動作について説明する。
図17に示すように、カートリッジ7は、挿入開始時にドラムユニット軸受部材39R及び感光体ドラム1が中間転写ベルト5に接触しない。言い換えると、カートリッジ7の挿入方向奥側の端部がカートリッジ下ガイドレール105に支持された状態で、感光体ドラム1と中間転写ベルト5が接触しないような寸法関係になっている。
次に図18に示すように、画像形成装置本体100Aはカートリッジ下ガイドレール105の挿入方向奥側にカートリッジ下ガイドレール105より重力方向上方に向けて突出した奥側カートリッジ下ガイド107を備える。この奥側カートリッジ下ガイド107はカートリッジ7の挿入方向手前側にテーパ面107aを備える。挿入に伴い、カートリッジ7はテーパ面107aに乗り上がり装着位置へとガイドされる。
なお、奥側カートリッジ下ガイド107の位置や形状は、カートリッジを装置本体100Aへ挿入する際に、カートリッジの一部が中間転写ベルト5の画像形成領域5Aと摺擦しないように設ければよい。ここで、画像形成領域5Aとは中間転写ベルト5の記録材12へ転写するトナー像が担持される領域を指す。また、本実施例においては、装着姿勢を維持したカートリッジのうち、カートリッジ7の挿入方向奥側に設けられたユニット軸受部材39Rが重力方向上方へ最も突出している。そのため、ドラムユニット軸受部材39Rの最も挿入方向奥側の端部が挿入時に描く軌跡(以降、挿入軌跡と呼ぶ)と画像形成領域5Aが干渉しないように、各要素の配置と形状を適宜選択すればよい。
そして、カートリッジ7が奥側カートリッジ下ガイド107に乗り上げた状態から更に画像形成装置本体100Aの奥側に挿入される。すると、ドラムユニット軸受部材39Rが、画像形成装置本体100Aに設けられた奥側カートリッジ位置決め部108に突き当たる。このときカートリッジ7(感光体ドラムユニット30)は画像形成装置本体100Aに装着完了の状態(図17(d))よりも、0.5から2°程度傾いた状態となる。つまり、カートリッジ7の挿入方向において、カートリッジ7(感光体ドラムユニット30)の下流側が上流側よりも持ち上がった状態となる。
図19はカートリッジドア104が閉じた状態の装置本体とカートリッジの状態を示す図である。画像形成装置100Aはカートリッジ下ガイドレール105の挿入方向手前側に手前側カートリッジ下ガイド109を有する。この手前側カートリッジ下ガイド109はカートリッジドア(前扉)104の開閉に連動して上下するように構成されている。
ユーザによりカートリッジドア104が閉じられると、手前側カートリッジ下ガイド109が上昇する。そして、ドラムユニット軸受部材39Lと画像形成装置本体100Aの手前側カートリッジ位置決め部110が当接し、カートリッジ7が画像形成装置本体100Aに対して位置決めされる。
以上の動作により、カートリッジ7は画像形成装置本体100Aへの装着が完了する。
また、カートリッジ7の画像形成装置本体100Aからの抜去は、上述の挿入動作と逆順となる。
上述のように斜め装着構成を採用しているため、カートリッジ7を装置本体100Aに装着する際に、感光体ドラム1と中間転写ベルト5の摺擦を抑制することができる。そのため、感光ドラム1の表面または中間転写ベルト5の表面に微小の傷(擦り傷)が生じることを抑制することが出来る。
また、本実施例で開示した構成は装置本体100Aにカートリッジ7を水平方向に移動させて装着した後でカートリッジ全体を持ち上げる構成と比べて、画像形成装置本体100Aの構成を簡易にすることが出来る。
[カップリングユニットの本体駆動軸への係合過程]
続いて、カップリングユニット28と本体駆動軸101の係合過程を図20、図21、図22、図23、図24、図25、図26を用いて詳しく説明する。
図20、図21、図22は、本体駆動軸101へのカップリングユニット28の装着動作を説明するための断面図である。
図23、図24は、本体駆動伝達溝101aと係合部65(駆動力受け面65b)の位相が合っていない状態から本体駆動軸101が回転して、位相があった時の本体駆動軸101へカップリングユニット28の装着動作を説明するための断面図である。
図25は係合部材に働く力の関係を示した断面図である。
図26は係合部材と本体駆動軸の駆動伝達の係合面を示した、軸方向断面図である。
また、図21、図23は、本体駆動伝達溝101aと係合部65(駆動力受け面65b)の位相が合っていない状態を説明するための図である。
カートリッジ7を前述のように装置本体100A内へ装着していく。すると、そのカートリッジの装着動作に伴って、本体駆動軸101の先端に形成された半球形状101cおよび、本体駆動軸のラフガイド部101gの端部に形成された傾斜面にカップリングユニットが当接する。このことによって、本体駆動軸101がカップリングユニットのフランジ部材71の内面71bに案内される。
図20は、このようにして案内された本体駆動軸101がカップリングユニットの係合部材65に当接した状態を示す。本体駆動軸の半球形状101cは、係合部材65に形成された挿入テーパ面65kに当接する。
この状態からさらにカートリッジ7を奥に装着する方向へ力を加える。すると、カートリッジ装着方向の力が挿入テーパ面65kによって、係合部材65を半径方向の外側に退避する方向に力を及ぼす。そのため、本体駆動軸101の先端を挿入テーパ面65kに当接させた状態で、カートリッジ7をさらに装置本体の奥に移動させることが可能である。
図21、図23は、このようにしてカートリッジ7を奥に移動させ、カートリッジ7の装置本体100Aへの装着が完了した状態を示す。この状態は、本体駆動軸の半球形状101cが、カップリングユニットの円錐面72mと当接し、本体駆動軸101がカップリングユニット28に対して、軸方向および半径方向に位置決められた状態である。
係合部材65は、前述のように、フランジキャップ部材72の第1、2、3、4案内面によって、係合部材65の第1、2、3、4被案内面が案内されることによって、係合部先端が、本体駆動軸の軸部101f外周面に当接するまで半径方向に退避する。このとき、図23で示すように、係合部材65の付勢力に対する規制面65jは、フランジキャップ部材の規制面72jに対して離れている。また、付勢部材66は、本体駆動軸101がカップリングユニット28に挿入されない図15の状態よりも、さらに圧縮され縮んだ状態である。
その後、画像形成装置本体の起動時、もしくは画像形成動作の開始時において、本体駆動軸101が回転する。すると、図22、図24に示すように、係合部材の係合部65aが本体駆動軸の溝101aに入り込む。このことによって、係合部材の駆動軸当接面65cが本体駆動軸の軸部101f外周面に当接するまで、係合部材65が半径方向内側に移動する。なお、図24では、係合部材の位置規制面65jがフランジキャップ部材の規制面72jとも当接した状態が示されている。
しかしながら、より確実に係合部材の駆動軸当接面65cを本体駆動軸の軸部101f外周面に当接させるためには、位置規制面65jと規制面72jとの間には、常に所定の隙間を開けた状態になるような寸法関係に設定しておくのが望ましい。つまり寸法のばらつきが生じた場合にも、係合部材の駆動軸当接面65cが本体駆動軸の軸部101f外周面に当接した状態では確実に、位置規制面65jと規制面72jとの間に隙間が生じるようにする。
そして、さらに図24の状態から本体駆動軸101が回転していくと、図25のように、本体駆動軸の駆動伝達面101bと、係合部の駆動力受け面65bとが当接して、感光体ドラム1に駆動伝達可能な状態となる。以上のようにして、係合部材の係合部65aは、本体駆動軸101に係合する。
図22において、係合部65aを、Z方向において、円筒部71の手前側端面から係合部65aの手前側端面までの距離L1に対し、駆動力受け面65bの長さL2は、L1>L2の関係になるように配置する。
図22に示すように、半球形状101cの中心101hは、Z方向において、係合部材65の駆動力受け面65bの範囲内L2に来るように、円錐形状72mを配置する。係合部65aおよび中心101hを、ドラムユニット30の軸線に投影すると、係合部65aの駆動力受け面65bの投影領域L2の内部に、中心101hの中心が配置される。このような配置関係を成立させることで、以下の効果が得られる。
図4、図5、図19で示すように、ドラムユニット軸受部材39Rとドラムユニット軸受部材39Lが、それぞれ、奥側カートリッジ位置決め部108と手前側カートリッジ位置決め部110に突き当たる。これにより、カートリッジ7は画像形成装置本体100Aに対する位置が決まる。ここで、本体駆動軸101とカップリングユニット28の相対位置は部品公差の影響を受ける。具体的には、ドラムユニット軸受部材39Rからカップリングユニット28までの部品公差と、奥側カートリッジ位置決め部108から本体駆動軸101までの部品公差の影響を受けて位置がずれる。
図6、図22に示すように、本体駆動軸101は、半球形状101cが逆円錐形状533aに突き当たり、軸受け部101dと半球形状101cで両持ち支持の構成となる。すなわち、本体駆動軸101は、カップリングユニット28からみて、本体駆動軸101は半球形状の101cの中心101hを中心に傾く。Z軸方向において中心101hと同じ位置は、この傾く影響を最も受けない位置である。駆動力受け面65bが、Z軸方向において中心101hと同じ位置に配置されることが、位置ズレの影響を最も小さく出来る位置である。すなわち感光体ドラム1を安定して駆動出来る位置となる。
なお、本実施例では係合部材65側に駆動力を受けるための突起を設けたが、係合部材に駆動を受けるための溝を設け、本体駆動軸101側に、径方向に移動することで溝と係合可能な可動突起部を設けることも可能である。しかし、カートリッジ7に比べ、画像形成装置本体100Aはよりより高い耐久性を求められる。本実施例のように径方向に移動する可動部(係合部65)をカートリッジ7のカップリングユニット28側に設けた方が、画像形成装置本体100Aの耐久性を高める上では好ましい。
[本体駆動軸によるカップリングユニットの駆動]
図25、図26を用いて、カップリングユニット28への回転駆動力の伝達構成に関して説明する。
まず、カップリング駆動時の係合部材65の支持構成について、詳しく説明する。図25に示すように、本体駆動軸101が矢印R方向に回転駆動されると、本体駆動軸の溝101aに形成された駆動伝達面101bが係合部材の係合部65aに形成された駆動力受け面65bに当接し、駆動力受け面65bの法線方向に力Fを及ぼす。駆動力受け面に駆動力Fが働くと、この力によって、係合部材の第1被案内面65dとフランジキャップの第1案内面72dが当接する。また、より好ましくは、係合部材の駆動軸当接面65cが本体駆動軸の軸部101f外周面に当接する。これにより係合部材65は、フランジキャップ部材72と本体駆動軸101の間で強固に支持される。
次に係合部材65に生じる力と、この力を利用した係合部材65の支持構成について説明する。
駆動力受け面65bは係合部材65の移動方向Sに対して傾斜することで、少なくとも径方向の外側に面している。つまり駆動力受け面65bの法線ベクトル(駆動力受け面65bが面する側に向かって駆動力受け面65bに対して垂直に伸びているベクトル)は、カップリングユニット径方向において外向きの成分を有する。
別の言い方をすると、駆動力受け面65bの径方向内側(係合部65aの先端側)は、駆動力受け面65bの径方向外側(係合部65aの後端側)よりもドラムユニット回転方向の上流側にある。
駆動力Fが係合部の駆動力受け面65bに対して垂直に加わると、駆動力Fが生じる向きは、カップリングユニットの周方向(円周方向)に対して径方向の内側に向かうように傾斜している。つまりカップリングユニットと同心状に駆動力受け面65bを通る仮想円を描くと、駆動力Fはこの仮想円の接線に対して半径方向内側に向かうように傾斜している。
そのため、駆動力Fは、上記仮想円の接線に沿った接線方向成分(周方向成分、回転方向成分)である力F1と、半径方向の内側に向かう径方向成分としての力F2とに分けられる。
この駆動力受け面65bに働く力F2により、係合部材の駆動力受け面65bは径方向内側に向かって付勢される。駆動力受け面65bが半径方向外側に移動してしまうことを抑えることができるので、駆動力受け面65bが本体駆動軸の駆動伝達面101bとの接触状態を解消してしまうことも抑えることができる。
また、駆動力受け面の法線方向に働く力Fの方向に対して、係合部材がフランジキャップ部材に移動可能に半径方向内側に案内される移動方向Sは、角度θだけ傾斜する方向である。これにより、駆動力受け面に働く力Fには、図25(b)に示すように、係合部材の移動方向Sへ働く成分FSが生じる。この力FSにより、係合部材65の移動方向Sの逆側への移動を防止し、係合部材係合部材の駆動力受け面65bが本体駆動軸の駆動伝達面101bから外側に外れ、脱落するのを防止することができる。これを簡単に言い換えれば、駆動力受け面65bの方向が、係合部材65の移動方向に対して、駆動力受け面65bが本体駆動軸の駆動伝達面101bに食い込む方向に傾斜しているとも言うことができる。
また、より好ましくは、係合部材の駆動軸当接面65cを本体駆動軸の軸部101f外周面に当接させてもよい。
図25のように、駆動軸当接面65cは、駆動力受け面65bに対して、駆動力Fの方向とは逆側に設けられる。これにより、駆動力受け面に働く力Fによって係合部材65に生じる回転モーメントMを、駆動軸当接面65cで支えることによって、係合部材65をより強固に支持することができる。係合部材の駆動軸当接面65cは、フランジキャップ部材の穴部内周面72aよりも、半径方向内側に突出する。これにより、各部の寸法、および組み付け精度にばらつきが生じた場合においても、確実に駆動軸当接面65cを駆動軸101f外周面に当接させることができる。つまり、駆動軸当接面65cの少なくとも一部がドラムユニットの回転方向において駆動力受け面65bよりも上流側に配置されることが望ましい。
以上のようにして、係合部材65がフランジキャップ部材72と本体駆動軸101の間で強固に支持される。このことにより、係合部材65が本体駆動軸101から外れ、脱落するのを防止するとともに、本体駆動軸101からの駆動力を安定して係合部材65に伝達することが可能となる。そして、感光体ドラム1の駆動安定性を向上し、画像品質を向上させることを可能にする。
次に係合部の駆動力受け面65bの軸方向への傾斜について説明する。図26は、係合部材の係合部65aを、駆動力受け面65bの法線方向に延びる面で切り取った断面図である。つまり、図25で力Fの矢印の方向に切断した断面図である。ここで、本体駆動軸101の駆動伝達溝101aに形成された本体駆動伝達面101bと、係合部材の係合部65aに形成された駆動力受け面65bとが当接し、本体駆動軸101の駆動力が係合部材65に伝達される。
前述のように、本体駆動伝達面101bは、カップリングユニット28の軸線を中心に捻った形状であり、図26の断面図で、本体駆動伝達面101bは、本体駆動軸101の回転軸に対して傾斜している。係合部の駆動力受け面65bも、本体駆動伝達面101bと当接するために同じ捻り形状を有するため、本体駆動軸101の回転軸に対して駆動力受け面65bは傾斜している。より詳細にいうと、駆動力受け面65bは、ドラムユニットの軸線方向における外側のほうが、内側よりもドラムユニットの回転方向における上流側に配置される。
そのため、本体駆動伝達面101bから駆動力受け面65bへ働く法線方向の力Fは、回転軸方向の成分として、力F3を有する。すなわち、係合部材65およびカップリングユニット28を感光体ドラムの長手方向外側へと付勢する力F3が生じる。これにより、本体駆動軸101に対してカップリングユニット28が軸方向に離脱する方向に力が加わることを防止することができる。そして、図21に示すように、本体駆動軸の先端に形成された半球形状101cをフランジキャップ部材に形成された円錐形状72mへ突き当てる方向へと付勢する力が生じる。これによって、本体駆動軸の半球形状101cがフランジキャップ部材の円錐形状72mへ確実に突き当たるようになり、カップリングユニット28に対して、本体駆動軸101をより正確に位置決めをすることが可能となる。
駆動力受け面65bが受けた駆動力は、係合部材65からフランジキャップ部材72に伝達される。すなわち駆動力が、係合部材65の第1被案内面65dからフランジキャップ部材72の第1案内面72dに伝わる。第1案内面72dは、駆動力が伝達される被伝達部であり、フランジキャップ部材72は被伝達部材である。また、第1案内面72dは、係合部材65に駆動力が加わった際に、係合部65aがドラムユニット回転方向の下流側に移動してしまうのを抑えるバックアップ部でもある。また、第1被案内面65dは、フランジキャップ部材72に駆動力を伝達するための伝達部である。
また第1案内面72dは、駆動力受け面65bに対して傾いている。そのため、駆動力受け面65dに対して垂直に加わる駆動力Fは、第1案内面72dに沿って径方向の内側に向かう成分を有する。
この駆動力Fの成分によって、係合部65aは第1案内面72dに沿ってカップリングユニット28の径方向内側に向かって案内される。つまり、第1案内面72dは、駆動力Fが伝達される際に係合部65aや駆動力受け面65bを径方向の内側(すなわち駆動伝達溝101aの奥側)に向けて付勢するような方向に面している。
図25において、第1案内面72dの接線と、駆動受け面65dの接線とを延ばすと、これら2つの接線は、第1案内面72dや駆動受け面65dよりも径方向の外側において交わるように構成される。
また、ドラムユニットの回転方向Rにおいて、第1案内面72dは、その径方向内側がその径方向外側よりも下流側に配置されている(図25参照)。
係合部材65からフランジキャップ部材72に伝わった駆動力は、フランジ部材71を介して感光体ドラム1に伝達される。その結果、感光体ドラム1がカップリングユニット28とともに回転する。
すなわち図14に示されるように、フランジキャップ部材72は、フランジ部材71に設けられた凸部と係合するための位置規制溝72l(係合部、凹部)を有する。また、フランジ部材71の内周と嵌合する勘合面72kも有する。これら勘合面72kや位置規制溝72lを介してフランジ部材71に駆動力が伝達される。フランジ部材71は、感光体ドラム1に取り付けられていることから、フランジ部材71から最終的に感光体ドラム1に駆動力が伝達されることになる。
なお、フランジ部材71に凸部がもうけられて、フランジキャップ部材72にこれと係合するための凹部(位置規制溝72l)が設けられているが、このような構成に限られるわけではない。たとえば、フランジ部材71に凹部を設けて、フランジキャップ部材72にこれと係合する凸部を設けることで、フランジキャップ部材72からフランジ部材71に駆動力を伝達してもよい。
なお、前述したように、駆動力受け面65bに捻じれた面とすることで、駆動力受け面65bに駆動力Fが加わった際にドラムユニット30が軸線方向の外側に付勢されるようにした。すなわち駆動力受け面65bに本体駆動軸101から駆動力が加わった際に、ドラムユニット30と本体駆動軸101が互いに引き寄せ合うように構成されている。なお、駆動力受け面65bは、ねじれた面と同等の機能を有する構成であれば、必ずしも捻じれた形状でなくてもよい。駆動力受け面65bは、前述の駆動力Fに対して、付勢力Fc2を生じさせる方向へ傾斜した面であればよく、面形状は例えば平面であっても曲面であってもよい。
また、図10、図12に示すように、フランジ部材71には、係合部材65が付勢部材66から受ける半径方向内側の付勢力に対して、その反力である半径方向外側の力を受ける、付勢部材との当接面(付勢部材当接部)71fが設けられる。当接面71fは付勢部材から押圧・付勢される押圧力受け部(付勢力受け部)である。また付勢部材を支えるための付勢部材支持部である。
図12に示すように、フランジ部材71の当接面71fは、感光体ドラム1の長手方向において、当接面71fの少なくとも一部が感光体ドラム1の一部と長手方向に重なる位置に配置される。つまり、当接面71fと感光体ドラム1とを感光体ドラムの軸線に垂直に投影すると、互いの投影領域の少なくとも一部が重なるようになっている。さらに別の言い方をすると、当接面71fの少なくとも一部は感光体ドラム1の内部に配置されている。特に本実施例では、当接面71fの全体を感光体ドラム1の内部に配置した。これは以下の理由によるものである。
フランジ部材71の当接面71fは、半径方向のスペース上の都合から、フランジ部材の薄肉部に配置される。当接面71fに生じる付勢部材66からの半径方向外側への付勢力を、フランジ部材よりも高強度の一般にアルミ合金からなる感光体ドラム1で受けることにより、フランジ部材71の当接面71f周辺の変形を抑制することができる。このフランジ部材71の変形を抑制することにより、感光体ドラム1を回転可能に支持するためのフランジ部材71に形成された被軸受部71cまで変形が及ぶことを抑制し、感光体ドラム1を精度よく回転可能に支持することを可能にした。
当接面71fの少なくとも一部を感光体ドラム1の内部に配置するために、付勢部材66の少なくとも一部を感光体ドラム1の内部に配置してある。
より厳密にいうと、当接面71fと当接する付勢部材66の当接部(付勢部)の少なくとも一部を感光体ドラム1の内部に配置した。特に本実施例では、付勢部材66の全体が感光体ドラム1の内部に配置されている。
また、係合部材65や、係合部65a、駆動力受け面65bの少なくとも一部も感光体ドラム1の内部に配置されている。つまり、特に本実施例では係合部材65の全体が感光体ドラム1の内部に配置されている。
移動可能な係合部材65や弾性変形可能な付勢部材66を感光体ドラム1の内部に配置することで、ユーザの手からこれらが触れられにくくなる。係合部材65や付勢部材66を保護するにも好適である。
また、係合部材65の少なくとも一部を感光体ドラムの内部に配置することで以下のような効果もある。
すなわち、係合部材65が感光体ドラム1の内部に配置されていれば、カートリッジ7が装置本体に装着され際、駆動伝達溝101aが形成された軸部101fも、感光体ドラム1の内部に進入することになる(図8、図9参照)。そして駆動伝達軸101は被軸受け部101dと軸部101fの2か所で支持されるので、、被軸受け部101dと軸部101fの距離が長い方が、ドラムユニットに対する駆動伝達軸101の傾きを抑えるのに適当である。軸部101fを感光体ドラム1の内部に進入させるようにすれば装置本体を小型に保ちつつ、被軸受け部101dと軸部101fの距離を確保しやすい。
[カップリングユニットの本体駆動軸からの抜去]
カップリングユニット28の本体駆動軸101からの抜去動作に関して図10、図20、図21、図22を用いて説明する。
図10に示すように、本体駆動軸101の回転駆動が停止した時点で、駆動力受け面65bと本体駆動伝達面101bは当接した状態となる。この状態では、係合部65aが本体駆動伝達溝101aに進入している。
カートリッジ7を画像形成装置本体100Aより抜去開始すると、図22に示すように、係合部65aの抜去テーパ面65lが、本体側抜去テーパ101iと突き当たる。抜去テーパ面65lが、本体側抜去テーパ101iに突き当たることで、付勢部材66が縮み始め、係合部材65を本体側抜去テーパ101iに添って径方向外側に移動させる。
更にカップリングユニット28が、本体駆動軸101から抜去されると、図21と同様の状態となり、付勢部材66が縮み、係合部65aを本体駆動軸101の軸部101fの外径まで移動する。係合部65aが軸部101fの外径まで移動することで、カップリングユニット28を本体駆動軸101のより抜去可能とする。
更にカップリングユニット28が、本体駆動軸101から抜去されると、図20、図15に示すように、係合部材65の位置は、係合部材の規制部65jとフランジキャップ部材の規制部72jとが当接した、付勢方向に位置が規制された状態に戻る。
以上の動作により、カップリングユニット28を本体駆動軸101より抜去出来る。
なお前述のように、駆動力受け面65bは、フランジ部材71の回転軸を中心にして捻じった形状になっている。その捻り方向は、駆動力受け面65bの感光体ドラムユニット30の外側(Z1方向側)が内側(Z2方向側)に対して、感光体ドラム1の回転方向上流側に配した。
この状態で本体駆動軸101よりカップリングユニット28を抜去しようとすると、この抜去動作を妨げる方向に駆動力受け面65bが配されている。つまり図26に示すように、駆動力受け面65bの外側(Z1方向側)が内側(Z2方向側)に対して、回転方向上流側に配されるので、抜去動作でカップリングユニット28を本体駆動軸101より抜去ろうとすると、抜去負荷は挿入負荷に対して大きくなる。
これに対して、本体駆動軸101の回転駆動が停止し、カートリッジ7を画像形成装置本体100Aより抜去開始するまでの間に、本体駆動軸101を逆回転する構成としてもよい。このことにより、駆動力受け面65bが駆動伝達面101bに当接した状態を解除した後に、カートリッジ7を画像形成装置本体100Aより抜去するので、抜去負荷を低減出来る。
逆回転する方法としては、カートリッジドア104の開動作に連動して、リンク機構等で本体駆動軸101を逆回転しても良いし、本体駆動軸101の駆動源のモータを逆回転する構成でも良い。
以上説明した実施例において、本発明に係わる作用および効果についてまとめて述べる。
本実施例では、カップリングユニット28内で半径方向に移動可能な係合部材65を設けたため、本体駆動軸101を軸線方向に退避する機構を用いることなく、良好にカートリッジ7の着脱および、カップリングユニット28による駆動伝達を可能とする。
係合部材65に形成された係合部65aは、カップリングユニット28の穴部72aから半径方向内側に向かって突出する。これにより、装置本体100Aから着脱可能に構成されるカートリッジ7において、係合部65aの保護を可能にする。
また、係合部に形成された駆動力受け面65bは半径方向内側に向かって延びる。そのため、本体駆動軸の溝部101aに係合部が入り込んだあと、駆動力受け面65bと溝部101aに形成された駆動伝達面101bが当接して良好に駆動伝達が行われることを可能にする。
また、カップリングユニット28の駆動時に、駆動力受け面65bが法線方向に受ける駆動力Fの方向が、感光体ドラム1の回転軸を中心とする仮想円の接線方向に対して、感光体ドラム1の半径方向内側に向かって傾斜するようにした。さらにこの駆動力Fの方向を、係合部材65が移動可能に案内される方向に対して傾斜し、その成す角度が鋭角であるようにした。これにより、係合部材65に半径方向外側へ力が加わるのを防止し、駆動力受け面65bが駆動伝達面101bから脱落するのを防止するとともに、本体駆動軸101からの駆動力を安定して係合部材65に伝達することを可能とした。そして、感光体ドラム1の駆動安定性を向上し、画像品質を向上させることを可能にした。
また、係合部材65には、本体駆動軸の軸部101f外周面に当接する駆動軸当接面65cを設けた。これにより、係合部材65に生じる回転モーメントMを、駆動軸当接面65cで支えることによって、係合部材65をより強固に支持し、駆動安定性を向上させることを可能とした。
また、駆動力受け面65bが法線方向に受ける駆動力Fの方向が、感光体ドラム1の回転軸の方向に対して、感光体ドラム1の長手方向外側に向かって傾斜しているようにした。これにより、本体駆動軸101に対してカップリングユニット28が軸方向に離脱する方向に力が加わることを防止することができる。
また、係合部65aには、感光体ドラム1の長手方向外側の一端部に挿入テーパ面65kと、挿入テーパ面65kを有する一端部とは逆側の他端部に抜去テーパ面65lとを形成するようにした。これにより、カートリッジ着脱時に、挿入テーパ面65kもしくは抜去テーパ面65lを本体駆動軸の溝部101aに当接させることにより、引っ掛かりなく、円滑にカートリッジ7の着脱が行えるようにした。
また、フランジ部材71に設けられた付勢部材との当接面71fは、少なくともその一部が、感光体ドラム1と長手方向に重なった位置に配置されるよう構成した。係合部材65が付勢部材66から半径方向内側の付勢力を受ける一方、当接部71fはその付勢力の反力である半径方向外側の力を受ける。このような当接面71fを感光体ドラム1の内部に配置すれば、フランジ部材71に形成された被軸受部71cの変形を抑制し、感光体ドラム1を精度よく回転可能に支持することを可能になる。
<実施例2>
第2の実施例を図27から図47を用いて説明する。前述の実施例のものと対応している要素については同一の名称を付すことで、前述した要素と同様の点については説明を省略する場合がある。それらについては前述した要素とは異なる点を中心に説明を行う。
前述の実施例で開示されたカップリングユニットは、感光体ドラム1を回転させるための駆動力が伝達される部材であった。しかしながら感光体ドラム1以外の部材を回転するために前述のカップリングユニットを援用することも可能である。
そのような構成の一例として本実施例では、現像ローラおよび、トナー供給ローラを回転させるための駆動力が伝達されるカップリングユニット4028を開示する。
なお、感光体ドラム1、現像ローラ4017、トナー供給ローラ4020は、すべてその表面に現像剤(トナー)を担持した状態で回転するように構成された回転体である。
[電子写真画像形成装置の概略]
先ず、本実施例に係る電子写真画像形成装置(画像形成装置)の一実施例の全体構成について、図27を用いて説明する。
図27は、本実施例の画像形成装置4100Aの概略断面図である。
図27に示すように、画像形成装置4100Aは複数の画像形成部としてそれぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を形成するための第1、第2、第3、第4の画像形成部SY、SM、SC、SKを有する。本実施例では、第1から第4の画像形成部SY、SM、SC、SKは、略水平方向に一列に並んで配置されている。
なお、本実施例では、各ドラムカートリッジ4013(4013Y,4013M,4013C,4013K)の構成および動作は、形成する画像の色が異なることを除いて実質的に同じである。同様に、各現像カートリッジ4004(4004Y,4004M,4004C,4004K)の構成及び動作は、形成する画像の色が異なることを除いて実質的に同じである。従って、以下、特に区別を要しない場合は、Y、M、C、Kは省略して、ドラムカートリッジ4013と現像カートリッジ4004を総括的に説明する。
本実施例では、画像形成装置4100Aは、複数の像担持体として、鉛直方向に対して少し傾斜した方向に並設された4個の感光層を有するシリンダ(以下、感光体ドラム)1を有する。ドラムカートリッジ4013及び現像カートリッジ4004の重力方向下方にスキャナユニット(露光装置)3が配置されている。また、感光体ドラム1の周囲にはその感光層上へと作用するプロセス手段(プロセス装置、プロセス部材)としての帯電ローラ2等が配置されている。
帯電ローラ2は、感光体ドラム1の表面を均一に帯電する帯電手段(帯電装置、帯電部材)である。そして、スキャナユニット(露光装置)3は、画像情報に基づきレーザーを照射して感光体ドラム1上に静電像(静電潜像)を形成する露光手段(露光装置、露光部材)である。感光体ドラム1の周囲には、クリーニング手段(クリーニング装置、クリーニング部材)としてのクリーニングブレード6及び現像カートリッジ4004が配置されている。
更に、4個の感光体ドラム1に対向して、感光体ドラム1上のトナー像を記録材(シート、記録媒体)12に転写するための中間転写体としての中間転写ベルト5が配置されている。
本実施例の現像カートリッジ4004は、現像剤として非磁性一成分現像剤(以下、トナー)を用い、現像剤担持体としての現像ローラ4017を感光体ドラム1に対して接触させた接触現像方式を採用している。
上述の構成において、感光体ドラム1上に形成されたトナー像をシート(紙)12上へ転写し、シート上に転写されたトナー像を定着する。また、感光体ドラム1に作用するプロセス手段として、ドラムカートリッジ4013は感光体ドラム1を帯電する帯電ローラ2と、感光体ドラム1上に転写されずに残留したトナーを清掃するクリーニングブレード6と、を備える。シート12上に転写されずに感光体ドラム1上に残留した転写残トナーは、クリーニングブレード6によって回収される。また、クリーニングブレード6によって回収された転写残トナーは、開口4014bより除去現像剤収容部(以下廃トナー収容部と称す)4014aに収容される。廃トナー収容部4014aとクリーニングブレード6は一体化されドラムカートリッジ(感光体ユニット、ドラムユニット、像担持体ユニット)4013を構成している。
また、画像形成装置4100Aは本体枠体に装着ガイド、位置決め部材(不図示)などのガイド(位置決め手段)を備える。現像カートリッジ4004とドラムカートリッジ4013は前述のガイドによってガイドされ、画像形成装置本体4100Aに対して着脱可能に構成されている。
各色用の現像カートリッジ4004内には、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナーが収容されている。
中間転写ベルト5は、各ドラムカートリッジ4013が備える感光体ドラム1に当接して、図1中の矢印B方向に向かって回転(移動)する。中間転写ベルト5は、複数の支持部材(駆動ローラ51、二次転写対向ローラ52、従動ローラ53)に掛け渡されている。中間転写ベルト5の内周面側には、各感光体ドラム1に対向するように、一次転写手段としての、4個の一次転写ローラ8が並設されている。また、中間転写ベルト5の外周面側において二次転写対向ローラ52に対向する位置には、二次転写手段としての二次転写ローラ9が配置されている。
画像形成時には、先ず、感光体ドラム1の表面が帯電ローラ2によって一様に帯電される。次いで、スキャナユニット3から発された画像情報に応じたレーザー光によって、帯電した感光体ドラム1の表面が走査露光される。これにより、感光体ドラム1上に画像情報に対応した静電潜像が形成される。感光体ドラム1上に形成された静電潜像は、現像カートリッジ4004によってトナー像として現像される。感光体ドラム1上に形成されたトナー像は、一次転写ローラ8の作用によって中間転写ベルト5上に転写(一次転写)される。
例えば、フルカラー画像の形成時には、上述のプロセスが、4個のドラムカートリッジ4013(4013Y,4013M,4013C,4013K)と現像カートリッジ4004(4004Y,4004M,4004C,4004K)において順次に行われる。そして、各ドラムカートリッジ4013の感光体ドラム1上に形成された各色のトナー像が中間転写ベルト5上に重ね合わさるように順次に一次転写される。その後、中間転写ベルト5の移動と同期して記録材12が二次転写部へと搬送される。そして、中間転写ベルト5と二次転写ローラ9によって形成された二次転写部へ搬送された記録材12上に中間転写ベルト5上の4色トナー像が一括して転写される。
トナー像が転写された記録材12は、定着手段としての定着装置10に搬送される。定着装置10において記録材12に熱及び圧力を加えられることで、記録材12にトナー像が定着される。また、一次転写工程後に感光体ドラム1上に残留した一次転写残トナーは、クリーニングブレード6によって除去され、廃トナーとして回収される。また、二次転写工程後に中間転写ベルト5上に残留した二次転写残トナーは、中間転写ベルトクリーニング装置11によって除去される。
なお、画像形成装置4100Aは、所望の単独またはいくつか(全てではない)の画像形成部を用いて、単色またはマルチカラーの画像を形成することもできるようになっている。
[プロセスカートリッジの概略]
次に、本実施例の画像形成装置本体4100Aに装着されるドラムカートリッジ4013(4013Y,4013M,4013C,4013K)と現像カートリッジ4004(4004Y,4004M,4004C,4004K)の概略について図28、図29、図30、図31を用いて説明する。
なお、ドラムカートリッジ4013Y、ドラムカートリッジ4013M、ドラムカートリッジ4013C及びドラムカートリッジ4013Kは同一構成である。また、イエロー色のトナーを収納した現像カートリッジ4004Y、マゼンタ色のトナーを収納した現像カートリッジ4004M、シアン色のトナーを収納した現像カートリッジ4004C、ブラック色のトナーを収納した現像カートリッジ4004Kは同一構成である。従って、以下の説明では、各ドラムカートリッジ4013Y、4013M、4013C、4013Kを総称してドラムカートリッジ4013とし、各現像カートリッジ4004Y、4004M、4004C、4004Kを総称して、現像カートリッジ4004として説明する。各カートリッジ構成部材についても同様に総称して説明する。
図28は、ドラムカートリッジ4013の外観斜視図である。ここで、図28に示すように、感光体ドラム1の回転軸方向をZ方向(矢印Z1、矢印Z2)、図27における水平方向をX方向(矢印X1、矢印X2)、図27における鉛直方向をY方向(矢印Y1、矢印Y2)とする。
ドラムユニット軸受部材4039R、4039Lが、クリーニング枠体4014の両側にそれぞれ取り付けられていて、それぞれ感光体ドラムユニット4030を支持している。このことにより、感光体ドラムユニット4030はクリーニング枠体4014に回転可能に支持されることになる。
また、クリーニング枠体4014には帯電ローラ2及び、クリーニングブレード6が取り付けられており、これらは感光体ドラム1の表面と接触するように配置される。また、クリーニング枠体4014には、帯電ローラ軸受15が取り付けられている。帯電ローラ軸受15は、帯電ローラ2の軸を支持するための軸受である。
ここで、帯電ローラ軸受15(15R,15L)は、図29に示す矢印C方向に移動可能に取り付けられている。帯電ローラ2の回転軸2aは、帯電ローラ軸受15(15R,15L)に回転可能に取り付けられている。そして、帯電ローラ軸受15は、付勢手段としての加圧バネ16により感光体ドラム1に向かって付勢される。これにより帯電ローラ2は感光体ドラム1に対し当接し、感光体ドラム1に従動回転する。
クリーニング枠体4014には、感光体ドラム1の表面に残ったトナーを除去するクリーニング手段としてのクリーニングブレード6が設けられる。クリーニングブレード6は、感光体ドラム1と当接して感光体ドラム1上のトナーを取り除くブレード状ゴム(弾性部材)6aと、それを支持する支持板金6bが一体化されたものである。本実施例においては、支持板金6bはクリーニング枠体4014にビスで固定され取り付けられている。
前述の通り、クリーニング枠体4014は、クリーニングブレード6によって回収された転写残トナーを、回収するための開口4014bを有する。開口4014bには、感光体ドラム1と当接し、感光体ドラム1と開口4014bとの間をシールする吹き出し防止シート26が設けられており、開口4014bの上部方向のトナー漏えいを防止する。
図30は、現像カートリッジ4004の外観斜視図である。
現像カートリッジ4004は、各種要素を支持する現像枠体4018を有する。現像カートリッジ4004には、感光体ドラム1と接触して図31に示す矢印D方向(反時計方向)に回転する現像剤担持体としての現像ローラ4017が設けられている。現像ローラ4017は、その長手方向(回転軸線方向)の両端部において、現像軸受4019(4019R、4019L)を介して、回転可能に現像枠体4018に支持されている。ここで、現像軸受4019(4019R、4019L)は、現像枠体4018の両側部にそれぞれ取り付けられている。
また、現像カートリッジ4004は、図31に示すように現像剤収納室(以下、トナー収納室)4018aと、現像ローラ4017が配設された現像室4018bと、を有する。
現像室4018bには、現像ローラ4017に接触して矢印E方向に回転する現像剤供給部材としてのトナー供給ローラ4020と現像ローラ4017のトナー層を規制するための現像剤規制部材としての現像ブレード21が配置されている。現像ブレード21は、固定部材22に対し溶接等より固定、一体化されている。
また、現像枠体4018のトナー収納室4018aには、収容されたトナーを撹拌するとともにトナー供給ローラ4020へトナーを搬送するための撹拌部材23が設けられている。
[本体駆動軸の構成]
図32、図33を用いて、本体駆動軸4101の構成を説明する。
図32は、本体駆動軸4101の外形図である。
図33は、画像形成装置本体へ取り付けた状態の本体駆動軸4101の回転軸(回転軸線)に沿って切断した断面図である。
図32に示すように、本体駆動軸4101は、ギア部材4101e、中間体4101p、出力部材4101q、駆動伝達部材4101rから構成される。
画像形成装置本体4100Aには駆動源としてのモータ(不図示)が設けられている。このモータからギア部材4101eが回転駆動を得て、中間体4101p・出力部材4101q・駆動伝達部材4101rの順で駆動が伝達され本体駆動軸4101は回転する。また、ギア部材4101e・中間体4101p・出力部材4101qはオルダム継手の機構を有しており、X方向・Y方向において一定の距離を移動可能である。よって、本体駆動軸4101のカートリッジ側にオルダム継手を介して設けられた駆動伝達部材4101rもX方向・Y方向において一定の距離を移動可能である。そして、駆動伝達部材4101rは回転可能な軸部4101fを備えており、モータから受けた回転駆動力は軸部4101fに設けられた溝形状の駆動伝達溝4101a(凹部、駆動渡し部)を介して現像カートリッジ4004側へと伝達される。また、軸部4101fは、その先端に円錐形状4101cを有する。
この本体駆動伝達溝4101aは、後述する係合部4065aが進入可能な形状となっている。具体的には、カップリングユニット4028の駆動力受け面(駆動力受け部)4065bと接触して駆動力を伝達する面としての本体駆動伝達面4101bを備える。
また、図32に示すように、本体駆動伝達面4101bは平面ではなく、本体駆動軸4101の回転軸の中心に捻じった形状になっている。その捻り方向は、本体駆動軸4101のZ1方向側がZ2方向側に対して、本体駆動軸4101の回転方向上流側に配される方向である。本実施例における、係合部4065aのシリンダの回転軸線方向に沿って捻り量は1mm当たり1°程度とした。本体駆動伝達面4101bを捻った形状とした理由については後述する。
また、本体駆動伝達溝4101aのZ2方向側の面には、本体側抜去テーパ4101iが設けられている。本体側抜去テーパ4101iは、現像カートリッジ4004を装置本体4100Aから取り外す際に、係合部4065bが駆動伝達溝4101aから抜け出すのを助けるためのテーパ(傾斜面、傾斜部)である。
図33に示すように、ギア部材4101eに設けられた被軸受部4101dは、画像形成装置本体4100Aに設けられた軸受け部材4102によって回転可能に支持(軸支)される。次に、出力部材4101qはカップリングホルダー4101sによって回転可能に支持されている。また、駆動伝達部材4101rはZ方向に移動可能に出力部材4101qに支持されており、バネ部材4103によって現像カートリッジ4004側(Z2方向)に付勢されている。ただし、駆動伝達部材4101qのZ方向の移動可能な量(ガタ)は、1mm程度で後述する駆動力受け面4065aのZ方向の幅より十分小さい。
さらに、カップリングホルダー4101sは付勢バネ4101tによって、略Y2方向に付勢されている。そのため後述するように現像カートリッジ4004の装着時には、駆動伝達部材4101rはギア部材4101eの軸線に対して、略Y2方向にシフトした位置にいる。
以上のように駆動伝達部材4101rに本体駆動伝達溝4101aを設け、カップリングユニット4028に係合部(突起部、突出部)4065aを設けて、装置本体4100Aから現像カートリッジ4004に駆動を伝達させる構成としてある。カップリングユニット4028に駆動力が伝達されるkとで、現像ローラや供給ローラが回転する。
なお詳細は後述するが、係合部4065aは、付勢部材により付勢された状態で移動可能な係合部材(スライド部材、移動部材、駆動力受け部材)4065に形成されている。そのため係合部4065aは、現像カートリッジ4004を装置本体4100Aに装着する際に少なくとも径方向における外側に移動可能な構成である。これにより、現像カートリッジ4004を装置本体4100Aに挿入することに伴って、係合部4065aが駆動伝達溝4101aに進入して、係合部4065aと体駆動伝達溝4101aが係合することができる。
[カップリングユニットの構成]
続いて、本実施例のカップリングユニット4028について図34、図35、図36、図37、図38、図39を用いて詳しく説明する。
図34はカップリングユニット4028をトナー供給ローラ4020に取り付けた斜視図である。
図35は、係合部材4065の斜視図であり、図35(a)は左上から見た斜視図、図35(b)は右上から見た斜視図である。
図36は、カップリングユニット4028を構成する部材の斜視図である。
図37は、カップリングユニット4028と、トナー供給ローラ4020の斜視図である。
図38は、カップリングユニット4028が、駆動伝達部材4101rに係合した状態の断面図である。
図39は、現像カートリッジ4004の断面図である。
本実施例のカップリングユニット4028は、実施例1のカップリングユニット28に対して、駆動する部材がトナー供給ローラ4020であることが異なるが、他は類似の構成を有する。
カップリングユニット4028には、図34に示すように、駆動伝達部材4101rと係合する係合部4065aが、3個所設けられる。この係合部4065aが図38のように駆動伝達部材4101rの溝部4101aに嵌まり込み、駆動伝達がなされる。
以下にカップリングユニット(カップリング部材)4028の構成について具体的に説明する。カップリングユニット4028は、図36の斜視図や、図38の断面図で示すように、カップリングカバー部材4071、カップリングホルダ部材4072、係合部材4065、付勢部材4066により構成される。
カップリングカバー部材4071は中空部を有する円筒状の部材であり、カップリングホルダ4072は、カップリングカバー部材4071の内部空間に配置される。
カップリングホルダ4072は係合部材4065をスライド移動可能に保持する保持部材である。
図38に示すように、係合部4065aを有する係合部材4065は、カップリングユニット4028内で、カップリングユニット4028の半径方向内側に向かって付勢部材4066により付勢された状態で支持される。
図35に示すように、係合部材4065には、カップリングユニット内で半径方向に移動可能に案内されるよう、第1被案内面4065d、第2被案内面4065eを有する。また、係合部材4065を軸方向に位置規制するための、第3被案内面4065f、第4案内面4065gとを有する。
実施例1と同様に、第1~第4被案内面(4065d、4065e、4065f、4065g)はカップリングホルダ4072にガイドされる被ガイド部であり、かつ、カップリングホルダ4072によって位置を規制される被位置規制部(被規制部)でもある。カップリングホルダ4072が、第1~第4被案内面に対応する第1~第4案内面を有することも実施例1と同様である。
係合部材4065は、付勢部材4066による付勢力を受けるための当接面(被付勢部、被押圧部)4065hを有する。また係合部材4065は、付勢部材66の付勢力によってカップリングホルダ部材4072と当接し、係合部材4065の位置を規制するための、位置規制突起4065iおよび、位置規制突起に形成された付勢力位置規制面4065jを有する。実施例1と同様に、付勢力位置規制面4065jは、カップリングホルダ部材4072によって径方向の内側に向けた移動を規制され係止される被係止部である。
また係合部材4065は、挿入テーパ面4065kを有する。
カップリングホルダ部材4072には、駆動伝達部材4101rを通過させるためのカップリング穴部4072aと、係合部材4065を半径方向に移動可能に支持するための取り付け穴部4072bを有する。
カップリングカバー部材4071は、図36に示すように、円筒状の形状を有し、カップリングホルダ部材4072の外周面4072kに取り付けられる。
付勢部材4066は弾性的に伸縮可能な弾性部材(圧縮コイルバネ)であり、圧縮バネが縮む方向への外力に対して、逆に圧縮バネが伸びる方向への反力を及ぼす。
係合部材4065は付勢部材4066によってカップリングユニット4028の少なくとも内側(径方向内側)に向かって付勢される。付勢部材4066は係合部材4065の当接面4065hと、カップリングカバー部材4071の内周面に挟まれた状態で圧縮されるため、付勢部材4066が伸びる方向に付勢力を及ぼすことにより、係合部材65を付勢する。
係合部材4065は、係合部材4065の係合部4065aが、カップリングホルダ部材4072の穴部4072aから露出した状態でカップリングホルダ部材4072に支持される。また、係合部材4065に円弧状に形成された駆動軸当接面4065cも同様に、カップリングホルダ部材4072の穴部4072aから露出する。
係合部材4065の係合部4065aは、カップリングホルダ部材4072の穴部4072aの内周面よりも半径方向内側に突出する。その突出量は、係合部4065aが駆動軸の溝4101aに確実に入り込む大きさである。またこの突出量は、係合部4065aに形成された駆動力受け面4065bが被回転部材であるトナー供給ローラ4020の負荷トルクに応じた強度を有しているだけの大きさである。このような突出量を設定することによって、係合部4065aが本体駆動軸4101から安定して駆動力が伝達可能であればよい。
本実施例の場合、係合部4065aの突出量が好ましくは1mmから3mmである。つまりカップリングホルダ部材4072の内面から係合部4065aの先端までの距離をカップリング部材の径方向に沿って測ると、その距離が1mmから3mmである。
また、係合部材4065の駆動軸当接面4065cも同様に、フランジキャップ部材4072の穴部4072a内周面よりも半径方向内側に突出する。その突出量は、各部の寸法がばらついた場合においても、駆動軸当接面4065cが確実に穴部4072aの内周面から突出しているよう、本実施例の場合、好ましくは、0.3mmから1mmである。
また、カップリングホルダ部材4072には、図37に示すように、トナー供給ローラ4020の軸部(シャフト)4020aを通すための、穴部4072hが形成される。穴部4072hと軸部4020aに形成された回り止め形状により、トナー供給ローラ4020とカップリングユニット4028は、一体となって回転する。つまり本実施例においては、実施例1とは異なり、カップリングユニット4028は回転体(トナー供給ローラ)のシャフト(軸部4020a)に固定されることになる。カップリングユニット4028はトナー供給ローラ4020と同軸状に配置される。
なお、カップリングユニット4028の軸線(中心)から、駆動力受け部(駆動力受け面4065b)までの距離は、軸部4020aの半径よりも長い。このようにすることで、トナー供給ローラ4020の軸部4020aを回転させるために必要な負荷トルクに対して、駆動力受け面4065bに加わる力をより小さくすることができる。
なお、図39に示すように、トナー供給ローラ4020は、カップリングユニット4028が取り付けられた駆動側とは反対側(非駆動側)に、ギア4098を有する。このギアは現像ローラ4017のシャフトに取り付けられたギア4099と噛み合っている。
カップリングユニット4028から伝達された駆動力によってトナー供給ローラ4020が回転すると、上記2つのギアによって現像ローラ4017も回転する。
[カートリッジの画像形成装置本体への装着]
図40、図41、図42、図43を用いて、現像カートリッジ4004の画像形成装置本体への着脱について説明する。
図40は画像形成装置本体4100Aへの現像カートリッジ4004の装着を説明するための斜視図である。
図41、図42、図43は画像形成装置本体4100Aへの現像カートリッジ4004の装着動作を説明するための断面図である。
本実施例の画像形成装置本体4100Aは水平方向に現像カートリッジ4004及びドラムカートリッジ4013を装着可能な構成を採用している。具体的には、画像形成装置本体4100Aは現像カートリッジ4004及びドラムカートリッジ4013を装着可能な空間をその内部に備える。そして、画像形成装置本体4100Aの前側(使用の際にユーザが立つ方向)に現像カートリッジ4004及びドラムカートリッジ4013を前述の空間へ挿入するためのカートリッジドア4104(前扉)を有する。
図40に示すように、画像形成装置本体4100Aのカートリッジドア4104は開閉可能に設けられている。カートリッジドア4104を開くと、現像カートリッジ4004をガイドするカートリッジ下ガイドレール4105が空間の底面に、カートリッジ上ガイドレール4106が上面に配置されている。現像カートリッジ4004は空間上下に設けられた上下のガイドレール(4105、4106)により装着位置へ案内される。現像カートリッジ4004は現像ローラ4020の軸線に略沿って、装着位置へ挿入される。
以下に、図41、図42、図43を用いて画像形成装置本体4100Aへの現像カートリッジ4004の着脱動作について説明する。
図41に示すように、現像カートリッジ4004は、挿入方向奥側の端部下側がカートリッジ下ガイドレール4105に支持・ガイドされ、挿入方向奥側の端部上側がカートリッジ上ガイドレール4016(不図示)にガイドされた状態で挿入される。このとき、現像枠体4018及び現像軸受4019が中間転写ベルト5が接触しないような寸法関係になっている。
次に、図42に示すように、現像カートリッジ4004はカートリッジ下ガイドレール4105に支持された状態で水平方向に挿入され、画像形成装置本体4100Aに設けられた奥側カートリッジ位置決め部4108に突き当たるまで挿入される。
また、現像カートリッジ4004の装着時には、前述したように画像形成装置本体4100Aの駆動伝達部材4101rは、略Y2方向に付勢された状態で、カップリングユニット4028と係合する。
図43はカートリッジドア4104が閉じた状態の画像形成装置本体4100Aと現像カートリッジ4004の状態を示す図である。画像形成装置本体4100Aのカートリッジ下ガイドレール4105はカートリッジドア(前扉)4104の開閉に連動して上下するように構成されている。
ユーザによりカートリッジドア4104が閉じられると、カートリッジ下ガイドレール4105が上昇する。そして、現像カートリッジ4004の両端部が画像形成装置本体4100Aのカートリッジ位置決め部(4108・4110)に当接し、現像カートリッジ4004が画像形成装置本体4100Aに対して位置決めされる。また、画像形成装置本体4100Aの駆動伝達部材4101rも現像カートリッジ4004に追従して、上昇する。
以上の動作により、現像カートリッジ4004は画像形成装置本体4100Aへの装着が完了する。
また、現像カートリッジ4004の画像形成装置本体4100Aからの抜去は、上述の挿入動作と逆順となる。
[カップリングユニットの本体駆動軸への係合過程]
続いて、カップリングユニット4028と本体駆動軸4101の係合過程を図44、図45、図46、図47を用いて詳しく説明する。
図44、図45、図46、図47は、本体駆動軸4101へのカップリングユニット4028の装着動作を説明するための断面図である。
図44は、カップリングユニット4028が駆動伝達部材4101rと係合開始した状態を示す図である。また、図47は、現像カートリッジ4004を画像形成装置本体4100Aへ装着させた状態を示している。特に図47は、カートリッジドア4104が閉まることに伴って、カートリッジ下ガイドレール4105が上昇した状態を示しており、現像カートリッジ4004が画像形成装置本体4100Aに対して位置決めされている。
ここで、図45、図46は、図44と図47の間で、カップリングユニット4028と駆動伝達部材4101rの装着過程を説明するための図である。なお、駆動伝達部材4101rは付勢バネ4101tにより略Y2方向に付勢されており、駆動伝達部材4101rの軸線はカップリングユニット4028の軸線より略Y2方向にシフトした位置まで付勢されている。
現像カートリッジ4004は図40を用いて説明した通り、画像形成装置本体4100Aのカートリッジ下ガイドレール4105に支持された状態で、水平方向に挿入される。
図44は、駆動伝達部材4101rがカップリングユニット4028に係合する前の状態を示す図である。前述したように、この状態において、駆動伝達部材4101rの軸線とカップリングユニット4028の軸線はズレている。よって、先ずカップリングユニット4028のカップリングホルダ部材4072の穴部4072aの入口に形成されたテーパ面4072pが、駆動伝達部材4101rの円錐形状4101cと当接する。
図45に示すように、図44から更にカップリングユニット4028を駆動伝達部材4101rの奥側に向かって挿入する。すると、係合部材4065の挿入テーパ面4065kに、駆動伝達部材4101rの円錐形状4101cがガイドされ、カップリングユニット4028の軸線と駆動伝達部材4101rの軸線が略同一となる。
図46に示すように、図45から更にカップリングユニット4028を駆動伝達部材4101rの奥側に向かって挿入する。すると、係合部材4065の抜去テーパ面4065lが、駆動伝達部材4101rの本体側抜去テーパ4101iよりZ方向奥側に来るまで、カップリングユニット4028が、駆動伝達部材4101rに挿入される。
さらにカップリングユニット4028が、駆動伝達部材4101rに挿入される。するとカップリングユニット4028のカップリングホルダ部材4072に形成された位置決め部である円錐形状の凹部4072mと駆動伝達部材4101rの円錐形状4101cが当接する。
その後、前述のように、現像カートリッジ4004がカートリッジ下ガイドレール4105によって持ち上げられることで、現像カートリッジ4004は画像形成装置本体4100Aに対して位置決めされた状態となる(図43図示)。このとき、図47に示すように、現像カートリッジ4004の上昇に伴って、駆動伝達部材4101rも上昇する。
以上、説明したように現像カートリッジ4004を装置本体4100Aに装着することに伴って、本体駆動伝達溝4101aと係合部4065aとが係合可能な状態となる。そのため、本体駆動軸4101を動かして、カップリングユニット4028に係合させる必要がない。つまり本体駆動軸4101をカップリングユニット4028と係合するように動かす機構を画像形成装置の装置本体4100Aに設ける必要がない。
つまり、現像カートリッジ4004を画像形成装置本体4100Aへ装着後に、本体駆動軸4101をカップリングユニット4028に係合するように移動させる機構を設けなくてよい。
なお、現像カートリッジ4004が装置本体4100Aに装着される際に、カップリングユニット4028の係合部材4065が、本体駆動軸4101に接触することで径方向外側に退避する構成である。そして係合部材4065は径方向内側に移動することで本体駆動軸4101の溝(本体駆動伝達溝4101a)に係合する構成である。
ここで、カップリングユニット側に駆動を受けるための溝を設け、本体駆動軸4101側に、径方向に移動することで溝と係合可能な可動突起部を設けることも可能である。しかし、現像カートリッジ4004に比べ、画像形成装置本体4100Aはよりより高い耐久性を求められる。本実施例のように径方向に移動する可動部(係合部材4065)を現像カートリッジ4004のカップリングユニット4028側に設けた方が、画像形成装置本体4100Aの耐久性を高める上では好ましい。
なお本実施例のカップリングユニット4028に設けられた係合部材4065は、実施例1に記載されたカップリングユニット28に設けられたものとほぼ同等の構成を有するものであった。つまり本実施例のカップリングユニット4028は、実施例1で記載されたカップリングユニット28を、現像カートリッジ(現像装置)4004に適用すべく構成を一部変更させたものである。よって、本実施例におけるカップリングユニット4028も、実施例1に記載されたカップリングユニット28と同様の本発明に係わる作用および効果を有している。
なお本実施例で示したカップリングユニットの構成を、感光体ドラム1を回転させるためのカップリングユニットとして援用してもよい。
<実施例3>
第3の実施例を図48から図50を用いて説明する。本実施例は、前述の実施例に対して、係合部材の係合部の形状が異なっている。この係合部の形状を中心に説明する。
なお、本実施例は実施例1と同様にドラムカートリッジに設けられたカップリングユニットを例に説明を行うが、現像カートリッジに設けられたカップリングユニットにも用いることも可能である。
[係合部材の係合部]
図48(a)、図48(b)は、本実施例における係合部材5065の斜視図であり、図48(c)は正面図である。図49はカップリングユニットの断面図である。図49は、本体駆動軸101からカップリングユニット5028に、駆動力が生じた状態を示す図であって、カップリングユニット5028の断面図を一部拡大したものである。より詳細にいうと図49はカップリングユニット5028の軸線(ドラムユニットの軸線)に対して垂直な断面の図である。
図48、図49に示すように、実施例1の場合と同様に、係合部材5065には、感光体ドラム1の半径方向の内側に向かって突出した係合部5065aが設けられる。この係合部5065aの先端側は丸みを帯びていて、ドラムユニットの回転方向における上流側に向けて膨らんで(突出して)いる。
より詳細に言うと、係合部5065aには、駆動軸当接面5065cが形成される側に向かって円周方向に突き出た半円形状を有する凸部(膨らみ部)5065mと、凸部5065mに対する係合部5065aの根元部分に凹部5065nが形成される。つまり凸部5065mは凹部5065nに対してドラムユニットの回転方向の上流側に向かって突出している(膨らんでいる)部分である。逆に言うと、凹部5065nは、凸部5065mに対して回転方向の下流側に向けて窪んでいる部分である。
このような形状を有する係合部5065aに、本体駆動軸101の駆動伝達面101bから駆動力Fが生じた状態を図49に示す。係合部材5065から突出した係合部5065aの根元に凹部5065nが形成されるため、この部分に、本体駆動軸101の溝101aで、駆動伝達面101b側の入口側角部101jが凹部5065nに入り込むことが可能である。これによって、係合部5065aは、駆動伝達面101bの法線方向に働く駆動力Fを受け、駆動伝達されることが可能となる。
つまり、駆動伝達面101bから駆動力を受けるための駆動力受け部5065rは、少なくともカップリングユニットの径方向外側に面している。そのため、駆動力受け部5065rが駆動伝達面101bから受ける駆動力Fは、カップリングユニットの径方向の内側に向けて働く。係合部5065aや駆動力受け部5065rは、少なくとも径方向の内側(すなわち駆動伝達溝101aの奥側)に向けて付勢される。
その結果、係合部5065aや駆動力受け部5065rは、駆動伝達溝101aと安定して係合することが可能である。
係合部5065aの形状に関してさらに詳細に説明する。図49に示すように、前記凸部5065mに対して、係合部材5065の移動方向Sに平行な接線Tを引いた場合、接線Tと凸部5065mには、接点としての頂点5065pを有する。頂点5065pは、係合部5065aの根元5065qから、係合部材5065の移動方向Sに沿って距離L3だけ離れた位置に突出して配置される。
頂点5065pと根元5065qの間には、接線Tに対して凹んだ凹部5065nが形成される。駆動軸の角部101jが凹部5065nに入り込むことによって、係合部5065aは、凹部5065n内に配置される駆動伝達面101bとの当接部(駆動力受け部5065r)で、駆動力Fを受けることが可能である。
駆動力受け部5065rが設けられた面(頂点5065pと根元5065qの間の曲面)は、係合部材5065の移動方向に対して傾斜しており、カップリングユニットの径方向において少なくとも外側に面している。つまり駆動力受け部5065rの法線ベクトル(駆動力受け部5065rが面する方向に向かって駆動力受け部5065rと垂直に伸びるベクトル)が、径方向の外向きの成分を有する。そして図49(a)、(b)に示すように、駆動力Fは、駆動伝達面101bや駆動力受け部5065rに対して垂直に働く力である。そのため駆動力Fは、径方向の内側に向かった成分を有する。
また駆動力Fは、係合部材5065の移動方向Sに対して角度θだけ傾斜した方向に働く力である。よって、図49(b)に示すように、駆動力Fは係合部材の移動方向Sの成分として力FSを有する。この力FSにより、係合部材5065の移動方向Sの逆側への移動を防止し、係合部材の駆動力受け部5065rが本体駆動軸の駆動伝達面101bから外側に外れ、脱落するのを防止することができる。
なお図49では、凸部(膨らみ部)5065mの形状の一例として円形のもの挙げたが、凸部の形状はこれに限らず、係合部5065aに、駆動力Fに対して、力FSが生じるように形成されていればよい。すなわち、接線Tに対して、係合部の根元5065qから突出した位置に接点としての頂点5065pを有し、頂点5065pと根元5065qの間に、接線Tに対して凹んだ凹部5065nが形成されていればよい。
凸部(膨らみ部)5065mの断面形状は駆動伝達溝101aと係合するための膨らみであればよい。たとえば略円形の多角形(五角形など)も膨らみ部として用いることができる。また断面の形状が楕円形などであってもでもよい。このような例については実施例4の図55において説明する。
なお上記したように、本実施例では凸部(膨らみ部)5065mの頂点5065pと根元5065qの間に駆動伝達面101bと接触するための接触部(駆動力受け部)5065rが配置されるのが望ましい。
このように配置された接触部5065rに駆動伝達面101bが確実に接触するためには、少なくとも係合部材5065は、凸部5065mの断面における中心から表面までの距離以上は移動可能になっていることが望ましい。すなわち、凸部5065mの断面形状の半径以上は、係合部材5065は移動可能であることが望ましい。より好ましくは余裕をもって凸部5065mの幅以上(すなわち直径以上)は移動可能であることが望ましい。
なお、もし係合部材5065の移動量が小さい場合には、凸部5065mは頂点5065pよりも凸部5065mの先端側で駆動伝達溝101aと接触する。この場合には凸部5065mが駆動力を受けると、係合部材5065には駆動伝達溝101aから離れる向きの力が加わる可能性がある。したがって、係合部材5065と駆動伝達溝101aの係合状態を確実にするために、係合部材5065を付勢する付勢部材の付勢力を大きくしたり、凸部5065mと駆動伝達溝101aの間に生じる摩擦力を大きくしたりすることが望ましい。これらの対策をとることで、係合部材6065が駆動伝達溝101aから退避しにくくなる。
次に、実施例3の変形例を図50、図51に示す。図50に示すように、係合部6065a全体が略円形に形成された膨らみ部となっていてもよい。このような簡単な形状で形成されていることにより、係合部6065aの寸法精度の管理を容易に行うことができる。
係合部6065aにおいても、係合部材6065の移動方向Sに平行な接線Tとの接点としての頂点6065pを有する。また、頂点6065pは、係合部の根元6065qから移動方向Sに沿って距離L4離れた位置に、突出して配置される。そして、頂点6065pと係合部の根元6065qの間には、接線Tに対して凹んだ凹部6065nが設けられる。頂点6065pと係合部の根元6065qの間には、駆動伝達面101bと接触するための接触部(駆動力受け部6065r)も配置される。この接触部(駆動力受け部)6065rは駆動力Fに対して、係合部材の移動方向Sの逆方向に生じる成分としての力FSを生じさせるような方向に面している。その結果、係合部材6065が本体駆動軸の駆動伝達面101bから外側に外れ、脱落するのを防止することができる。
当接部(駆動力受け部)6065rが設けられた面(頂点6065pと係合部の根元6065qの間の曲面)は、係合部材6065の移動方向Sに対して傾斜している。処理詳細にいうと、駆動力受け部6065rの接線が移動方向Sに対して傾斜している。
そして駆動力受け部6065rは、少なくともカップリングユニットの径方向において外側に面している。つまり、駆動力受け部6065rが面する側に向けた駆動力受け部6065rの法線ベクトルは、カップリングユニットの径方向外側向きの成分を少なくとも有する。
なお、係合部(膨らみ部)凸6065aの断面の形状は、丸みを帯びている必要があるわけではなく、駆動伝達溝101aと係合するための膨らみであればよい。たとえば略円形の多角形(五角形など)も膨らみ部として好適である。また断面の形状が楕円形などであってもでもよい。
また頂点6065pと根元6065qの間に配置された当接部(駆動力受け部)6065rが駆動伝達面101bに確実に接触するために、係合部材6065の移動量が以下の満たすことが好ましい。つまり係合部6065aの断面における中心から表面までの距離以上は係合部材6065が移動可能になっていることが望ましい。すなわち、係合部6065aの断面形状の半径以上は、係合部材6065(係合部6065a)は移動可能であることが望ましい。
より望ましくは、係合部材係合部6065aの断面形状の幅(すなわち直径)以上は、係合部6065aが移動可能であることが望ましい。
<実施例4>
第4の実施例を図52~図57を用いて説明する。本実施例では、係合部材、付勢部材に相当する構成が樹脂で一体化している構成について説明する。なお、本実施例は実施例1や実施例3と同様にドラムカートリッジに設けられたカップリングユニットを例に説明を行うが、現像カートリッジに設けられたカップリングユニットにも用いることも可能である。
図52(a)、(b)は、ドラムユニットの断面図である。図52(a)は係合部565aが駆動伝達溝101aと係合して駆動力を受けている状態を示す。図52(b)は係合部565aと駆動伝達溝101aが係合する前の状態を示す。
実施例1や実施例3と同様に感光体ドラム1の内部にフランジ部材571が取り付けられている。このフランジ部材571が本実施例におけるカップリングユニット(カップリング部材)である。
フランジ部材571には、駆動力受け部565rを移動可能に支持するための支持部565がフランジ部材571と一体的に形成されている。この支持部565はフランジ部材571に3つ設けられている。これら支持部565の各々は、延在部565tと、延在部の先端に設けられた膨らみ部(係合部565a)と、延在部565tと係合部565aを接続するための接続部565sと、を有する。
延在部565tは、フランジ部材571の内周に接続している。つまり延在部565tの固定端565tはフランジ部材571の内周に設けられる。そして、延在部565tはその固定端565tから、フランジ部材571の中空部内部に向けて延びている部分である。詳細は後述するが延在部565tは弾性変形が可能な弾性部である。
また延在部565tの自由端側(すなわち接続部565sが設けられた側)は、延在部575tの固定端565t1よりもドラムユニット(カップリングユニット)の回転方向Rにおける下流側に位置する。つまり延在部565tはその固定端565t1からその自由端に向かって少なくとも回転方向Rの下流側に延びている部分である。また延在部575tの自由端(すなわち接続部565sや係合部565a)は、延在部575tの固定端565t1よりも径方向における内側に位置する。
また係合部565aは、延在部565tの先端に設けられた膨らんだ部分であり、本体駆動軸101の駆動伝達溝101aの内部に進入するための部分である。係合部565aは、延在部575tの先端に設けられた接続部575sによって接続されている。接続部575sは延在部565tの先端側が屈曲して形成されている部分である。また係合部565aと接続部565sは延在部565tの延びる方向から交差する向きに突出した突出部(突起部)である。
係合部565aは、駆動力受け部565rが設けられる。図52(a)に示すように、駆動力受け部565rは駆動伝達溝101aに接触して駆動力を受ける。駆動力受け部565rが駆動力を受けると、この駆動力は支持部565の固定端565t1を介してフランジ部材571に伝達される。フランジ部材571は感光体ドラム1に固定されているのでフランジ部材571と感光体ドラム1は一体的に回転することになる。
延在部575tと係合部565aは、フランジ部材570に一体的に構成されている。延在部575tと係合部565aを、駆動力受け部565rを移動可能に支持する支持部565の一部である。
前述したように延在部565tは弾性変形が可能である。すなわち図52(b)に示すように、カートリッジ7を装置本体に挿入する過程で、係合部565aが本体駆動軸101の外周面に接触する。すると、延在部565aが弾性変形することで係合部565aが少なくともカップリングユニットの径方向における外側に移動する。
ここで、延在部565tは、自身の固定端565tを支点として傾くように変形する。その結果、係合部565aは延在部565tが延びる方向に対して交差する向きに移動することになる。
カートリッジ7が装置本体に挿入されたのちに、本体駆動軸101が回転駆動すると、係合部565aと駆動伝達溝101aの位相が一致した時点で係合部565aが駆動伝達溝101aの内部に進入する。
つまり延在部565tの弾性変形が少なくとも一部解消されることで、係合部565aは駆動伝達溝101aの内部に付勢されることになる。延在部565tは、係合部565aを少なくとも径方向の内側に向けて付勢する付勢部とみなすこともできる。
つまり係合部565aは、延在部565tの弾性力(付勢力)によって、駆動伝達溝101aの内部に向けて付勢される。延在部565tは実施例1における付勢部材72に相当する役割を奏する。つまり支持部565は、実施例1の付勢部材72の役割と係合部材65の役割を兼ねる部分である。
支持部565の少なくとも一部や支持部565に設けられた駆動力受け部565rの少なくとも一部は感光体ドラム1の内部に配置される(図52参照)。これは実施例1における付勢部材72や係合部材65と同様である。
なお感光体ドラム1の内部では、フランジ部材571が感光体ドラム1に保持されるのでフランジ部材571が変形しにくい。とくに支持部565の固定端565tの少なくとも一部が感光体ドラム1の内部に配置されていれば、固定端565tを介してフランジ部材571に駆動力が伝わったとしても、フランジ部材571の変形を抑えるうえで好適である。
なお延在部は樹脂で構成されているが、延在部を構成する樹脂の内部に弾性を有する金属(たとえば板バネ)をインサートするなどして延在部の弾性力や強度を大きくしてもよい。
係合部565aが駆動伝達溝101aの内部に進入と、係合部565aに設けられた駆動力受け部565rが駆動伝達溝101aの内部から力を受けるようになる。なお、駆動伝達軸101aが駆動する際に、駆動伝達軸101aと係合部565aとの係合状態を確実にするうえでは、係合部565aの半分以上は、係合部565aが駆動伝達軸の内部に進入することが望ましい。
したがって係合部565aは、係合部565aの断面の半径(係合部の中心から表面までの距離)以上は移動可能であることが望ましい。より好ましくは、係合部565aは、係合部565aの断面の直径以上(係合部565aの断面の幅以上、係合部の中心から表面までの距離の2倍以上)は移動できることが望ましい。
なお、図53において、駆動力受け部565rが駆動力Fを受けた状態を示した。また駆動力受け部565rの法線方向に直線LN1を引いた。直線LN1は駆動力受け部565rが面する側に向かって延びていて、駆動力Fを示すベクトルに沿った直線でもある。
そして延在部565tの固定端565t1は、この直線LN1よりもさらに回転方向Rの上流側に配置される。すなわち支持部565が直線L1をまたいで配置される。
こうした場合、駆動力受け部565rが駆動力Fを受けた際に、延在部565tには固定端565tを支点としてドラムユニットの回転方向と同じ向き(図中の反時計方向)のモーメントM1が生じる。このモーメントM1は支持部565を本体駆動軸101に近づけるように働く。すなわちモーメントM1は、係合部565aを駆動伝達溝101aの奥に向けて付勢するように働く。これによって係合部565aと駆動伝達溝101aとの係合状態を安定させることができる。本実施例では支持部565をフランジ部材571の一部として型で成形できるので、支持部565を有するフランジ部材571の製造が容易になる。
以下では、実施例4の変形例について図54~図58を用いて説明する。図54~図58はカップリングユニット(フランジ部材)の断面図である。
まず図54で示す変形例は、延在部(665t、665s)が屈曲していて、延在部は互いに異なる方向に延びる第1延在部665sと第2延在部665tとを有する。第1延在部665ts第2延在部665tの境界が屈曲部となっている。本変形例における第1延在部665sは、図52に示した接続部565sに相当する。すなわち接続部565s(図52)を延長したものが第1延在部665s(図54)であり、第1延在部665sは第2延在部665tと係合部665aを接続する接続部でもある。逆に図52に示した接続部565sを第1延在部とみなし、延在部565tを第2延在部とみなすことも可能である。
図54に示す係合部665aは、延在部(第1延在部665s)の先端に設けられた膨らみ部である。第1延在部665sと係合部665aは、第2延在部665tと交差する方向に突出している突出部(突起部)とみなすこともできる。
図52で示した接続部565sに比べて本変形例の第1延在部665sは長い。そのためその分、本変形例のフランジ部材671は薄くなる(厚みが小さくなる)。
次に別の変形例を図55に示す。図55は、膨らみ部(係合部)の形状を変更したものである。これは、実施例3でも説明したように膨らみ部が多角形などであってもよいことを示すものである。図55では係合部765aの断面形状が略六角形である。このような断面形状は略円形とみなすことも可能である。なお以下で示す変形例(図56、図57参照)においても係合部(膨らみ部)の断面形状を多角形にしてもよい。
別の変形例を図56に示す。図56に示す構成は、延在部865tが屈曲せずに延在部865tに直接、膨らみ部(係合部865a)に接続されている。ただ、延在部865tの延長線に対して係合部865aの中心がずれて配置されており、係合部865aは延在部865tと交差する方向に突出した突出部となっている。本変形例では、延在部865tの固定端856t1の位置が、図52で示された構成から変更されている。つまり駆動力受け部865rの法線方向に延びる直線L1に対して、固定端865t1が回転方向Rの下流側に位置する。
このような構成では、支持部865が駆動力を受けた際に、支持部865には固定端865t1を支点として図中の時計方向のモーメントが加わる恐れがある。このモーメントは、係合部865aを駆動伝達溝101aから遠ざけるように働くものとなる。
この場合には、係合部865aと駆動伝達溝101aの係合が解除されないようにすべく、延在部865tによる弾性力を大きくする(すなわち延在部865tを変形しにくくする)ことが望ましい。あるいは係合部865aと駆動伝達溝101aの間に大きな摩擦力が生じるようにすることが望ましい。
図57ではさらに別の変形例について説明する。前述した図56の構成では、延在部の延長線からずれた位置に係合部を配置していた。これに対して図57に示す本変形例では、延在部965tの延長線上に係合部965aの中心が配置されるようにした構成である。
係合部965aは延在部965tの先端に設けられた突出部であるり、延在部965tの全周囲方向に向かって突出して(盛り上がって)いる。
この図57で示す本変形例は、図56で示した先述の構成に比べて支持部965の固定端965t1がさらに回転方向Rの下流側に配置されることになる。したがって、係合部965aの駆動力受け部が駆動力を受けた際に、支持部965には係合部965aを駆動伝達溝101aから離そうとする向きにモーメントが加わるおそれがある。
そこで係合部965aと駆動伝達溝101aの係合状態を確実にするためには、上記したように延在部965tの弾性力をより高める、あるいは係合部965aの表面の摩擦係数を高めるなどの対策をとることが好ましい。
ただし延在部965tの弾性力を強くして延在部965tが撓みにくくなると、カートリッジ7を装置本体に装着する際に必要な力が大きくなる。つまりカートリッジ7を装着するためには、延在部965tを撓ませる必要があって、そのための負荷が大きくなる。したがってカートリッジ7の装着性も勘案して、延在部965tとして必要十分な弾性力を設定することが好ましい。