1.遊技機の構造
本発明の一実施形態であるパチンコ遊技機について、図面に基づいて説明する。図1に示すように、実施形態のパチンコ遊技機1は、遊技機枠50と、遊技機枠50内に取り付けられた遊技盤2とを備えている。遊技機枠50のうちの前面枠51には、回転角度に応じた発射強度で遊技球を発射させるためのハンドル60、遊技球を貯留する打球供給皿(上皿)61、及び打球供給皿61に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿(下皿)62が設けられている。また前面枠51には、遊技の進行に伴って実行される演出時などに遊技者が操作し得る演出ボタン63が設けられている。また前面枠51には、装飾用の枠ランプ66およびスピーカ67が設けられている。
遊技盤2には、ハンドル60の操作により発射された遊技球が流下する遊技領域3が、レール部材4で囲まれて形成されている。また遊技盤2には、装飾用の盤ランプ5(図5参照)が設けられている。遊技領域3には、遊技球を誘導する複数の遊技くぎ(図示せず)が突設されている。
また遊技領域3の中央付近には、液晶表示装置である画像表示装置(演出手段の一例)7が設けられている。画像表示装置7の表示画面(表示部)7aには、後述の第1特別図柄および第2特別図柄の変動表示(可変表示)に同期した演出図柄(装飾図柄)8L,8C,8Rの変動表示を行う演出図柄表示領域がある。演出図柄表示領域は、例えば「左」「中」「右」の3つの図柄表示エリアからなる。左の図柄表示エリアには左演出図柄8Lが表示され、中の図柄表示エリアには中演出図柄8Cが表示され、右の図柄表示エリアには右演出図柄8Rが表示される。演出図柄はそれぞれ、例えば「1」~「9」までの数字をあらわした複数の図柄からなる。画像表示装置7は、左、中、右の演出図柄の組み合わせによって、後述の第1特別図柄表示器41aおよび第2特別図柄表示器41b(図3参照)にて表示される第1特別図柄および第2特別図柄の変動表示の結果(つまりは大当たり抽選の結果)を、わかりやすく表示する。
例えば大当たりに当選した場合には「777」などのゾロ目で演出図柄を停止表示する。また小当たりに当選した場合には「135」などの予め定めたチャンス目で演出図柄を停止表示する。また、はずれであった場合には「637」などのバラケ目で演出図柄を停止表示する。これにより、遊技者にとっては遊技の進行状況の把握が容易となる。つまり遊技者は、一般的には大当たり抽選の結果を第1特別図柄表示器41aや第2特別図柄表示器41bにより把握するのではなく、画像表示装置7にて把握する。なお、図柄表示エリアの位置は固定的でなくてもよい。また、演出図柄の変動表示の態様としては、例えば上下方向にスクロールする態様がある。また、各抽選結果に応じてどのような演出図柄の組み合わせを停止表示するかは任意に変更可能であり、小当たり当選時にバラケ目で演出図柄を停止表示するようにしてもよい。
画像表示装置7は、上記のような演出図柄を用いた演出図柄変動演出(「演出図柄可変表示演出」や単に「変動演出」ともいう)のほか、大当たり遊技(特別遊技の一例)に並行して行われる大当たり演出や、客待ち用のデモ演出などを表示画面7aに表示する。なお演出図柄可変表示演出では、数字等の演出図柄のほか、背景画像やキャラクタ画像などの演出図柄以外の演出画像も表示される。
また画像表示装置7の表示画面7aには、後述の第1特図保留の記憶数に応じて演出保留9Aを表示する第1演出保留表示エリアと、後述の第2特図保留の記憶数に応じて演出保留9Bを表示する第2演出保留表示エリアとがある。演出保留の表示により、後述の第1特図保留表示器43a(図3参照)にて表示される第1特図保留の記憶数および第2特図保留表示器43bにて表示される第2特図保留の記憶数を、遊技者にわかりやすく示すことが可能となっている。
遊技領域3の中央付近であって画像表示装置7の前方には、センター装飾体10が配されている。センター装飾体10の下部には、上面を転動する遊技球を、後述の第1始動口20へと誘導可能なステージ部11が形成されている。またセンター装飾体10の左部には、入口から遊技球を流入させ、出口からステージ部11へ遊技球を流出させるワープ部12が設けられている。さらにセンター装飾体10の上部には、文字や図形等を表した装飾部材13が配されている。
遊技領域3における画像表示装置7の下方には、遊技球の入球し易さが常に変わらない第1始動口(第1始動入賞口、第1入球口、固定入球口)20を備える固定入賞装置19が設けられている。第1始動口20への遊技球の入賞は、第1特別図柄の抽選(大当たり抽選、すなわち大当たり乱数等の取得と判定)の契機となっている。
また第1始動口20の右上方には、第2始動口(第2始動入賞口、第2入球口、可変入球口)21を備える普通可変入賞装置(いわゆる電チュー)22が設けられている。第2始動口21への遊技球の入賞は、第2特別図柄の抽選(大当たり抽選、すなわち大当たり乱数等の取得と判定)の契機となっている。
電チュー22は、前後に進退可能な可動部材(入球口開閉部材)23を備え、可動部材23の作動によって第2始動口21を開閉するものである。可動部材23は、電チューソレノイド24(図4参照)により駆動される。第2始動口21は、可動部材23が開いているとき(つまり可動部材23が開状態をとっているとき)だけ遊技球が入球可能となる。すなわち、可動部材23が閉じているとき(つまり可動部材23が閉状態をとっているとき)には遊技球が入球不可能となっている。なお、第2始動口21は、可動部材23が閉じているときには開いているときよりも遊技球が入球困難となるものであれば、可動部材23が閉じているときに完全に入球不可能となるものでなくてもよい。
また、遊技領域3における第1始動口20の下方には、第1大入賞口(他の特別入賞口の一例)30を備えた第1大入賞装置(第1特別可変入賞装置、他の特別入賞手段)31が設けられている。第1大入賞装置31は、開状態と閉状態とをとる開閉部材(他の特別入賞口開閉部材)32を備え、開閉部材32の作動により第1大入賞口30を開閉するものである。開閉部材32は、第1大入賞口ソレノイド33(図4参照)により駆動される。第1大入賞口30は、開閉部材32が開いているとき(つまり開状態のとき)だけ遊技球が入球可能となる。
また、遊技領域3における第1大入賞口30の右方には、第2大入賞口(特別入賞口の一例)35を備えた第2大入賞装置(第2特別可変入賞装置、特別入賞手段)36が設けられている。第2大入賞装置36は、開状態と閉状態とをとる開閉部材(特別入賞口開閉部材)37を備え、開閉部材37の作動により第2大入賞口35を開閉するものである。開閉部材37は、前後に進退する進退式のものであり、第2大入賞口ソレノイド38(図4参照)により駆動される。第2大入賞口35は、開閉部材37が開いているとき(つまり開状態のとき)だけ遊技球が入球可能となる。
より詳細には、図2に示すように、第2大入賞装置36の内部には、第2大入賞口35を通過した遊技球が通過可能な特定領域(V領域)39および非特定領域70が形成されている。なお、第2大入賞装置36において、特定領域39および非特定領域70の上流には、第2大入賞口35への遊技球の入賞を検知する第2大入賞口センサ35aが配されている。また、特定領域39には、特定領域39への遊技球の通過を検知する特定領域センサ39aが配されている。また、非特定領域70には、非特定領域70への遊技球の通過を検知する非特定領域センサ70aが配されている。また、第2大入賞装置36は、第2大入賞口35を通過した遊技球を特定領域39または非特定領域70のいずれかに振り分ける振分部材71と、振分部材71を駆動する振分部材ソレノイド73とを備えている。なお、振分部材71は、振分部材ソレノイド73の通電時には、遊技球を特定領域39に振り分ける第1の状態(通過許容状態)をとり、振分部材ソレノイド73の非通電時には、遊技球を非特定領域70に振り分ける第2の状態(通過阻止状態)をとる。
振分部材71は、図2に二点鎖線で示すように、振分部材ソレノイド73の通電時には、特定領域39への遊技球の通過を許容する通過許容状態にある。振分部材71が通過許容状態にあるときは、第2大入賞口35に入賞した遊技球は、第2大入賞口センサ35aを通過したあと特定領域39を通過する。この遊技球のルートを第1のルートという。
また振分部材71は、図2に破線で示すように、振分部材ソレノイド73の非通電時には、特定領域39への遊技球の通過を妨げる通過阻止状態にある。振分部材71が通過阻止状態にあるときは、第2大入賞口35に入賞した遊技球は、第2大入賞口センサ35aを通過したあと振分部材71上を転動して非特定領域70を通過する。この遊技球のルートを第2のルートという。
なお本パチンコ遊技機1では、特定領域39への遊技球の通過は、後述の大当たり遊技の実行契機となっている。つまり本形態では、特定領域39への遊技球の通過の有無によっても大当たり抽選を行っている。上述の第1特別図柄の抽選又は第2特別図柄の抽選により当選する大当たりを1種大当たりといい、特定領域39への遊技球の通過によって当選する大当たりを2種大当たりという。
また図1に示すように、遊技領域3における第2始動口21の上方には、遊技球が通過可能なゲート28が設けられている。ゲート28への遊技球の通過は、電チュー22を開放するか否かを決める普通図柄抽選(すなわち普通図柄乱数(当たり乱数)の取得と判定)の実行契機となっている。
さらに遊技領域3の左下部には、普通入賞口27が設けられている。また遊技領域3の最下部には、遊技領域3へ打ち込まれたもののいずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球を遊技領域3外へ排出するアウト口9が設けられている。
このように各種の入賞口等が配されている遊技領域3には、左右方向の中央より左側の左遊技領域(第1遊技領域)3Aと、右側の右遊技領域(第2遊技領域)3Bとがある。左遊技領域3Aを遊技球が流下するように遊技球を発射する打方を、左打ちという。一方、右遊技領域3Bを遊技球が流下するように遊技球を発射する打方を、右打ちという。本形態のパチンコ遊技機1では、左打ちにて遊技したときに遊技球が流下する流路を、第1流路R1といい、右打ちにて遊技したときに遊技球が流下する流路を、第2流路R2という。
第1流路R1上には、第1始動口20と、第1大入賞装置31と、アウト口9とが設けられている。遊技者は第1流路R1を流下するように遊技球を打ち込むことで、第1始動口20への入賞を狙う。
一方、第2流路R2上には、ゲート28と、電チュー22と、第2大入賞装置36と、第1大入賞装置31と、アウト口9とが設けられている。遊技者は第2流路R2を流下するように遊技球を打ち込むことで、ゲート28への通過、電チュー22に係る第2始動口21、第1大入賞口30、又は第2大入賞口35への入賞を狙う。第2流路R2を転動した遊技球が第1始動口20へ入賞することはない。
なお本形態では、ゲート28と、電チュー22と、第2大入賞装置36とはユニット化されており、1つの構造体として遊技盤2に対して着脱可能となっている。また、固定入賞装置19と第1大入賞装置31とはユニット化されており、1つの構造体として遊技盤2に対して着脱可能となっている。
また図1および図3に示すように、遊技盤2の右下部には表示器類40が配置されている。表示器類40は、後述する遊技制御用マイコン81によって点灯を制御される表示器類である。表示器類40には、第1特別図柄(第1図柄)を可変表示する第1特別図柄表示器41a、第2特別図柄(第2図柄)を可変表示する第2特別図柄表示器41b、及び、普通図柄を可変表示する普通図柄表示器42が含まれている。また表示器類40には、第1特別図柄表示器41aの作動保留(第1特図保留)の記憶数を表示する第1特図保留表示器43a、第2特別図柄表示器41bの作動保留(第2特図保留)の記憶数を表示する第2特図保留表示器43b、および普通図柄表示器42の作動保留(普図保留)の記憶数を表示する普図保留表示器44が含まれている。
また表示器類40には、右打ちを行った方が高い出玉率で遊技を進行することが可能であることを示す右打ち表示器45が含まれている。出玉率とは、遊技領域3に打ち込んだ遊技球の数に対する払出賞球数の割合である。具体的には右打ち表示器45は、例えば1つのLEDから構成されており、右打ちを行った方が高い出玉率で遊技を進行することが可能であるときにはLEDを点灯させ、そうでないときにはLEDを消灯させる。
第1特別図柄の可変表示は、第1始動口20への遊技球の入賞を契機として行われる。第2特別図柄の可変表示は、第2始動口21への遊技球の入賞を契機として行われる。なお以下の説明では、第1特別図柄および第2特別図柄を総称して特別図柄ということがある。また、第1特別図柄表示器41aおよび第2特別図柄表示器41bを総称して特別図柄表示器41ということがある。また、第1特図保留表示器43aおよび第2特図保留表示器43bを総称して特図保留表示器43ということがある。
特別図柄表示器41では、特別図柄(識別情報)を可変表示(変動表示)したあと停止表示することにより、第1始動口20又は第2始動口21への入賞に基づく抽選(特別図柄抽選、大当たり抽選)の結果を報知する。停止表示される特別図柄(停止図柄、可変表示の表示結果として導出表示される特別図柄)は、特別図柄抽選によって複数種類の特別図柄の中から選択された一つの特別図柄である。停止図柄が予め定めた大当たり停止態様の特別図柄(大当たり図柄)である場合には、停止表示された大当たり図柄の種類(つまり当選した大当たりの種類)に応じた開放パターンにて第1大入賞口30を開放させる大当たり遊技(特別遊技の一例)が行われる。また、停止図柄が予め定めた小当たり停止態様の特別図柄(小当たり図柄)である場合には、停止表示された小当たり図柄の種類(つまり当選した小当たりの種類)に応じた開放パターンにて第2大入賞口35を開放させる小当たり遊技(開放遊技の一例)が行われる。なお、特別遊技や開放遊技における大入賞口(第1大入賞口30及び第2大入賞口35)の開放パターンについては後述する。また、小当たり遊技を第1特別遊技とも言い、大当たり遊技を第2特別遊技とも言う。この場合、第1特別遊技と第2特別遊技とを総称して特別遊技と言う。
具体的には特別図柄表示器41は、例えば横並びに配された8個のLEDから構成されており、その点灯態様によって大当たり抽選の結果に応じた特別図柄を表示するものである。例えば大当たり(後述の複数種類の大当たりのうちの一つ)に当選した場合には、「○○●●○○●●」(○:点灯、●:消灯)というように左から1,2,5,6番目にあるLEDが点灯した大当たり図柄を表示する。また、小当たり(後述の複数種類の小当たりのうちの一つ)に当選した場合には、「●●●●○○●●」というように左から5,6番目にあるLEDが点灯した小当たり図柄を表示する。また、ハズレである場合には、「●●●●●●●○」というように一番右にあるLEDのみが点灯したハズレ図柄を表示する。ハズレ図柄として全てのLEDを消灯させる態様を採用してもよい。また、特別図柄が停止表示される前には所定の変動時間にわたって特別図柄の変動表示(可変表示)がなされるが、その変動表示の態様は、例えば左から右へ光が繰り返し流れるように各LEDが点灯するという態様である。なお変動表示の態様は、各LEDが停止表示(特定の態様での点灯表示)されていなければ、全LEDが一斉に点滅するなどなんでもよい。
本パチンコ遊技機1では、第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入賞があると、その入賞に対して取得した大当たり乱数等の各種乱数の値(数値情報、判定情報)は、特図保留記憶部85(図4参照)に一旦記憶される。詳細には、第1始動口20への入賞であれば第1特図保留として第1特図保留記憶部85a(図4参照)に記憶され、第2始動口21への入賞であれば第2特図保留として第2特図保留記憶部85b(図4参照)に記憶される。各々の特図保留記憶部85に記憶可能な特図保留の数には上限があり、本形態における上限値(上限記憶数)は第1特図保留記憶部85aが「4」、第2特図保留記憶部85bが「2」となっている。
特図保留記憶部85に記憶された特図保留は、その特図保留に基づく特別図柄の可変表示が可能となったときに消化される。特図保留の消化とは、その特図保留に対応する大当たり乱数等を判定して、その判定結果を示すための特別図柄の可変表示を実行することをいう。従って本パチンコ遊技機1では、第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入賞に基づく特別図柄の可変表示がその入賞後にすぐに行えない場合、すなわち特別図柄の可変表示の実行中や特別遊技(大当たり遊技又は小当たり遊技)の実行中に入賞があった場合であっても、所定数を上限として、その入賞に対する大当たり抽選の権利を留保することができるようになっている。
そしてこのような特図保留の数は、特図保留表示器43に表示される。具体的には第1特図保留表示器43aは、例えば4個のLEDで構成されており、第2特図保留表示器43bは、例えば2個のLEDで構成されている。各特図保留表示器43は、特図保留の数だけLEDを点灯させることにより特図保留の数を表示する。
普通図柄の可変表示は、ゲート28への遊技球の通過を契機として行われる。普通図柄表示器42では、普通図柄を可変表示(変動表示)したあと停止表示することにより、ゲート28への遊技球の通過に基づく普通図柄抽選の結果を報知する。停止表示される普通図柄(普図停止図柄、可変表示の表示結果として導出表示される普通図柄)は、普通図柄抽選によって複数種類の普通図柄の中から選択された一つの普通図柄である。停止表示された普通図柄が予め定めた特定普通図柄(所定の停止態様の普通図柄すなわち普通当たり図柄)である場合には、現在の遊技状態に応じた開放パターンにて第2始動口21を開放させる補助遊技が行われる。なお、第2始動口21の開放パターンについては後述する。
具体的には普通図柄表示器42は、例えば2個のLEDから構成されており(図3参照)、その点灯態様によって普通図柄抽選の結果に応じた普通図柄を表示するものである。例えば抽選結果が当たりである場合には、「○○」(○:点灯、●:消灯)というように両LEDが点灯した普通当たり図柄を表示する。また抽選結果がハズレである場合には、「●○」というように右のLEDのみが点灯した普通ハズレ図柄を表示する。普通ハズレ図柄として全てのLEDを消灯させる態様を採用してもよい。普通図柄が停止表示される前には所定の変動時間にわたって普通図柄の変動表示(可変表示)がなされるが、その変動表示の態様は、例えば両LEDが交互に点灯するという態様である。なお変動表示の態様は、各LEDが停止表示(特定の態様での点灯表示)されていなければ、全LEDが一斉に点滅するなどなんでもよい。
本パチンコ遊技機1では、ゲート28への遊技球の通過があると、その通過に対して取得した普通図柄乱数(当たり乱数)の値は、普図保留記憶部86(図4参照)に普図保留として一旦記憶される。普図保留記憶部86に記憶可能な普図保留の数には上限があり、本形態における上限値は「4」となっている。
普図保留記憶部86に記憶された普図保留は、その普図保留に基づく普通図柄の可変表示が可能となったときに消化される。普図保留の消化とは、その普図保留に対応する普通図柄乱数(当たり乱数)を判定して、その判定結果を示すための普通図柄の可変表示を実行することをいう。従って本パチンコ遊技機1では、ゲート28への遊技球の通過に基づく普通図柄の可変表示がその通過後にすぐに行えない場合、すなわち普通図柄の可変表示の実行中や補助遊技の実行中に入賞があった場合であっても、所定数を上限として、その通過に対する普通図柄抽選の権利を留保することができるようになっている。
そしてこのような普図保留の数は、普図保留表示器44に表示される。具体的には普図保留表示器44は、例えば4個のLEDで構成されており、普図保留の数だけLEDを点灯させることにより普図保留の数を表示するものである。
2.遊技機の電気的構成
次に図4及び図5に基づいて、本パチンコ遊技機1における電気的な構成を説明する。図4及び図5に示すようにパチンコ遊技機1は、大当たり抽選や遊技状態の移行などの遊技利益に関する制御を行う主制御基板(遊技制御基板)80、遊技の進行に伴って実行する演出に関する制御を行うサブ制御基板(演出制御基板)90、遊技球の払い出しに関する制御を行う払出制御基板110等を備えている。主制御基板80は、メイン制御部を構成し、サブ制御基板90は、後述する画像制御基板100、ランプ制御基板107、および音声制御基板106とともにサブ制御部を構成する。なお、サブ制御部は、少なくともサブ制御基板90を備え、演出手段(画像表示装置7や盤ランプ5、枠ランプ66、スピーカ67、装飾可動体15等)を用いた遊技演出を制御可能であればよい。
主制御基板80には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1の遊技の進行を制御する遊技制御用ワンチップマイコン(以下「遊技制御用マイコン」)81が実装されている。遊技制御用マイコン81には、遊技の進行を制御するためのプログラム等を記憶したROM83、ワークメモリとして使用されるRAM84、ROM83に記憶されたプログラムを実行するCPU82が含まれている。遊技制御用マイコン81は、入出力回路(I/Oポート部)87を介して他の基板等とデータの送受信を行う。入出力回路87は、遊技制御用マイコン81に内蔵されていてもよい。また、ROM83は外付けであってもよい。RAM84には、上述した特図保留記憶部85(第1特図保留記憶部85aおよび第2特図保留記憶部85b)と普図保留記憶部86とが設けられている。第1特図保留記憶部85aを第1入球口用記憶手段とも言い、第2特図保留記憶部85bを第2入球口用記憶手段とも言う。
主制御基板80には、中継基板88を介して各種センサやソレノイドが接続されている。そのため、主制御基板80には各センサから信号が入力され、各ソレノイドには主制御基板80から信号が出力される。具体的にはセンサ類としては、第1始動口センサ20a、第2始動口センサ21a、ゲートセンサ28a、第1大入賞口センサ30a、第2大入賞口センサ35a、特定領域センサ39a、非特定領域センサ70a、および普通入賞口センサ27aが接続されている。
第1始動口センサ20aは、第1始動口20内に設けられて第1始動口20に入賞した遊技球を検出するものである。第2始動口センサ21aは、第2始動口21内に設けられて第2始動口21に入賞した遊技球を検出するものである。ゲートセンサ28aは、ゲート28内に設けられてゲート28を通過した遊技球を検出するものである。第1大入賞口センサ30aは、第1大入賞口30内に設けられて第1大入賞口30に入賞した遊技球を検出するものである。第2大入賞口センサ35aは、第2大入賞口35内に設けられて第2大入賞口35に入賞した遊技球を検出するものである。特定領域センサ39aは、第2大入賞口35内の特定領域39に設けられて特定領域39を通過した遊技球を検出するものである。非特定領域センサ70aは、第2大入賞口35内の非特定領域70に設けられて非特定領域70を通過した遊技球を検出するものである。普通入賞口センサ27aは、各普通入賞口27内にそれぞれ設けられて普通入賞口27に入賞した遊技球を検出するものである。
またソレノイド類としては、電チューソレノイド24、第1大入賞口ソレノイド33、第2大入賞口ソレノイド38、および振分部材ソレノイド73が接続されている。電チューソレノイド24は、電チュー22の可動部材23を駆動するものである。第1大入賞口ソレノイド33は、第1大入賞装置31の開閉部材32を駆動するものである。第2大入賞口ソレノイド38は、第2大入賞装置36の開閉部材37を駆動するものである。振分部材ソレノイド73は、第2大入賞装置36の振分部材71を駆動するものである。
さらに主制御基板80には、第1特別図柄表示器41a、第2特別図柄表示器41b、普通図柄表示器42、第1特図保留表示器43a、第2特図保留表示器43b、普図保留表示器44、および右打ち表示器45が接続されている。すなわち、これらの表示器類40の表示制御は、遊技制御用マイコン81によりなされる。
また主制御基板80は、払出制御基板110に各種コマンドを送信するとともに、払い出し監視のために払出制御基板110から信号を受信する。払出制御基板110には、賞球払出装置120、貸球払出装置130およびカードユニット135(パチンコ遊技機1に隣接して設置され、挿入されたプリペイドカード等の情報に基づいて球貸しを可能にするもの)が接続されているとともに、発射制御回路111を介して発射装置112が接続されている。発射装置112には、ハンドル60(図1参照)が含まれる。
払出制御基板110は、遊技制御用マイコン81からの信号や、パチンコ遊技機1に接続されたカードユニット135からの信号に基づいて、賞球払出装置120の賞球モータ121を駆動して賞球の払い出しを行ったり、貸球払出装置130の球貸モータ131を駆動して貸球の払い出しを行ったりする。払い出される賞球は、その計数のため賞球センサ122により検知される。また払い出される貸球は、その計数のため球貸センサ132により検知される。なお遊技者による発射装置112のハンドル60(図1参照)の操作があった場合には、タッチスイッチ114がハンドル60への接触を検知し、発射ボリューム115がハンドル60の回転量を検知する。そして、発射ボリューム115の検知信号の大きさに応じた強さで遊技球が発射されるよう発射モータ113が駆動されることとなる。なお本パチンコ遊技機1においては、0.6秒程度で一発の遊技球が発射されるようになっている。
また主制御基板80は、サブ制御基板90に対し各種コマンドを送信する。主制御基板80とサブ制御基板90との接続は、主制御基板80からサブ制御基板90への信号の送信のみが可能な単方向通信接続となっている。すなわち、主制御基板80とサブ制御基板90との間には、通信方向規制手段としての図示しない単方向性回路(例えばダイオードを用いた回路)が介在している。
図5に示すように、サブ制御基板90には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1の演出を制御する演出制御用ワンチップマイコン(以下「演出制御用マイコン」)91が実装されている。演出制御用マイコン91には、遊技の進行に伴って演出を制御するためのプログラム等を記憶したROM93、ワークメモリとして使用されるRAM94、ROM93に記憶されたプログラムを実行するCPU92が含まれている。演出制御用マイコン91は、入出力回路(I/Oポート部)97を介して他の基板等とデータの送受信を行う。入出力回路97は、演出制御用マイコン91に内蔵されていてもよい。また、ROM93は外付けであってもよい。
サブ制御基板90には、画像制御基板100、音声制御基板106、ランプ制御基板107が接続されている。サブ制御基板90の演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、画像制御基板100のCPU102に画像表示装置7の表示制御を行わせる。画像制御基板100のRAM104は、画像データを展開するためのメモリである。画像制御基板100のROM103には、画像表示装置7に表示される静止画データや動画データ、具体的にはキャラクタ、アイテム、図形、文字、数字および記号等(演出図柄を含む)や背景画像等の画像データが格納されている。画像制御基板100のCPU102は、演出制御用マイコン91からの指令に基づいてROM103から画像データを読み出す。そして、読み出した画像データに基づいて表示制御を実行する。
また演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、音声制御基板106を介してスピーカ67から音声、楽曲、効果音等を出力する。スピーカ67から出力する音声等の音響データは、サブ制御基板90のROM93に格納されている。なお、音声制御基板106にCPUを実装してもよく、その場合、そのCPUに音声制御を実行させてもよい。さらにこの場合、音声制御基板106にROMを実装してもよく、そのROMに音響データを格納してもよい。また、スピーカ67を画像制御基板100に接続し、画像制御基板100のCPU102に音声制御を実行させてもよい。さらにこの場合、画像制御基板100のROM103に音響データを格納してもよい。
また演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、ランプ制御基板107を介して枠ランプ66や盤ランプ5の点灯制御を行う。詳細には演出制御用マイコン91は、枠ランプ66や盤ランプ5といった各種ランプの発光態様を決める発光パターンデータ(点灯/消灯や発光色等を決めるデータ、ランプデータともいう)を作成し、発光パターンデータに従って各種ランプの発光を制御する。なお、発光パターンデータの作成にはサブ制御基板90のROM93に格納されているデータを用いる。
さらに演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、ランプ制御基板107に中継基板108を介して接続された装飾可動体15を動作させる。なお装飾可動体15は、図1では図示を省略したが、センター装飾体10に設けられた可動式のいわゆるギミックのことである。詳細には演出制御用マイコン91は、装飾可動体15の動作態様を決める動作パターンデータ(駆動データともいう)を作成し、動作パターンデータに従って装飾可動体15の動作を制御する。動作パターンデータの作成にはサブ制御基板90のROM93に格納されているデータを用いる。なお、ランプ制御基板107にCPUを実装してもよく、その場合、そのCPUにランプの点灯制御や装飾可動体15の動作制御を実行させてもよい。さらにこの場合、ランプ制御基板107にROMを実装してもよく、そのROMに発光パターンや動作パターンに関するデータを格納してもよい。
またサブ制御基板90には、演出ボタン63(図1参照)が押下操作されたことを検出する演出ボタン検出SW(スイッチ)63aが接続されている。従って、演出ボタン63が押下されると、演出ボタン検出SW63aからサブ制御基板90に対して信号が出力される。
3.大当たり等の説明
本形態のパチンコ遊技機1では、大当たり抽選(特別図柄抽選)の結果として、「大当たり」、「小当たり」、「はずれ」がある。「大当たり」のときには、特別図柄表示器41に「大当たり図柄」が停止表示される。「小当たり」のときには、特別図柄表示器41に「小当たり図柄」が停止表示される。「はずれ」のときには、特別図柄表示器41に「ハズレ図柄」が停止表示される。
特別図柄抽選にて大当たりに当選すると、停止表示された特別図柄の種類(大当たりの種類)に応じた開放パターンにて第1大入賞口30を開放させる「大当たり遊技」が実行される。小当たりに当選すると、停止表示された特別図柄の種類(小当たりの種類)に応じた開放パターンにて第2大入賞口35を開放させる「小当たり遊技」が実行される。そして、小当たり遊技の実行中に第2大入賞口35内の特定領域39に遊技球が進入すると、当選している小当たりの種類に応じた開放パターンにて第1大入賞口30を開放させる「大当たり遊技」が実行される。なお、特別図柄抽選の結果が大当たり当選であることに基づいて実行される大当たり遊技を1種大当たり遊技と称する。また、特定領域39への通過に基づいて実行される大当たり遊技を2種大当たり遊技と称する。
大当たり遊技は、本形態では、複数回のラウンド遊技(大入賞口を開放させる遊技)と、初回のラウンド遊技が開始される前のオープニング(OPとも表記する)と、最終回のラウンド遊技が終了した後のエンディング(EDとも表記する)とを含んでいる。各ラウンド遊技は、OPの終了又は前のラウンド遊技の終了によって開始し、次のラウンド遊技の開始又はEDの開始によって終了する。ラウンド遊技間の大入賞口の閉鎖の時間(インターバル時間)は、その閉鎖前の開放のラウンド遊技に含まれる。
また小当たり遊技は、本形態では、第2大入賞口35を開放する小当たり開放遊技と、小当たり開放遊技が開始される前のオープニング(開放前インターバル)と、小当たり開放遊技が終了した後のエンディング(閉鎖後インターバル)とを含んでいる。
特別図柄抽選の結果、大当たりに当選すると(つまり1種大当たりに当選すると)、第1大入賞口30を開放させる大当たり遊技(1種大当たり遊技)が実行される。より詳細には本形態では、図6に示すように、大当たりの種別として「15R(ラウンド)通常大当たり」と「4R時短大当たり」と「15R時短大当たり」とがある。「15R通常大当たり」は、15Rにわたって第1大入賞口30を開放させた後、遊技状態を後述の「非時短状態且つ低ベース状態」に制御する大当たりである。「4R時短大当たり」は、4Rにわたって第1大入賞口30を開放させた後、遊技状態を後述の「時短状態且つ高ベース状態」に制御する大当たりである。「15R時短大当たり」は、15Rにわたって第1大入賞口30を開放させた後、遊技状態を後述の「時短状態且つ高ベース状態」に制御する大当たりである。なお、いずれの大当たりも、1Rあたりの第1大入賞口30の開放回数は1回であり、その最大開放時間は29.5秒である。
また、「15R通常大当たり」及び「4R時短大当たり」は第1特別図柄の抽選でのみ当選する可能性がある。これに対して「15R時短大当たり」は第2特別図柄の抽選でのみ当選する可能性がある。なお、第1特別図柄の抽選によって「15R通常大当たり」に当選した場合には、第1特別図柄表示器41aに「特図1_通常図柄」が停止表示される。また、第1特別図柄の抽選によって「4R時短大当たり」に当選した場合には、第1特別図柄表示器41aに「特図1_時短図柄1」が停止表示される。また、第2特別図柄の抽選によって「15R時短大当たり」に当選した場合には、第2特別図柄表示器41bに「特図2_時短図柄2」が停止表示される。
一方特別図柄抽選の結果、小当たりに当選すると、第2大入賞口35を1回開放させる小当たり遊技が実行される。小当たり遊技によって開放された第2大入賞口35へ遊技球が入賞し、その遊技球が第2大入賞装置36内の特定領域39を通過した場合には、大当たり当選となり、続けて15Rにわたって第1大入賞口30を開放させる大当たり遊技(2種大当たり)が実行される。この大当たり遊技(特定領域39への通過を契機とする大当たり遊技)が実行された場合には、小当たり遊技としての第2大入賞口35の開放が1R目に相当することになる。従ってこのときの総ラウンド数は16Rとなる。
より詳細には本形態では、図6に示すように、小当たりの種別として「16R小当たりA」と「16R小当たりB」とがある。各種別の小当たりは、小当たり遊技を行って、その小当たり遊技において特定領域39への遊技球の通過があれば大当たり遊技(2種大当たり遊技)を行うものである。小当たり遊技において特定領域39への遊技球の通過がなければ、大当たり遊技は実行されない。「16R小当たりA」は、特定領域39への通過(V通過やV入賞ともいう)が実質的に不可能な小当たりである。これに対して、「16R小当たりB」は、V通過が必ず可能な小当たりである。小当たり遊技の実行中にV通過可能か否かは、振分部材71の作動パターンおよび開閉部材37の開放パターンによって決まる。この点については後に詳述する。
各種別の小当たり遊技では、第2大入賞口35の1.6秒開放が1回行われる。但し、各小当たり遊技におけるオープニングの時間は、小当たりの種別に応じて異なっている。具体的には図6に示すように、「16R小当たりA」ではおよそ4.6秒(4.568秒)、「16R小当たりB」では0.008秒である。このように小当たりの種別に応じて小当たり遊技のオープニングの時間が異なっているのは、このオープニングの開始から一定の動作で動いている振分部材71に対する第2大入賞口35の開放タイミングを変えるためである。これにより、小当たり遊技の実行中にV通過が可能な通過用開放パターンと、小当たり遊技の実行中にV通過が不可能(実質的を含む)な非通過用開放パターンとをつくり出している。通過用開放パターンおよび非通過用開放パターンの詳細については後述する。
また特定領域39への遊技球の通過に基づいて実行される大当たり遊技(2種大当たり遊技)では、小当たりの種別に応じて定められている開放パターンで第1大入賞口30を開放する。具体的には、「16R小当たりA」は、1R当たりの最大開放時間を29.5秒として15Rにわたって第1大入賞口30を開放させる2種大当たり遊技の実行後、遊技状態を後述の「非時短状態且つ低ベース状態」に制御する当たりである。但し、「16R小当たりA」は、V通過が実質的に不可能な小当たりであるため、このような2種大当たり遊技が実行されることはほとんどない。
また、「16R小当たりB」は、1R当たりの最大開放時間を29.5秒として15Rにわたって第1大入賞口30を開放させる2種大当たり遊技の実行後、遊技状態を後述の「時短状態且つ高ベース状態」に制御する当たりである。なお、2種大当たり遊技における1Rあたりの第1大入賞口30の開放回数は1回である。
また、「16R小当たりA」は第1特別図柄(特図1)の抽選でのみ当選する可能性がある。これに対して「16R小当たりB」は第2特別図柄(特図2)の抽選でのみ当選する可能性がある。なお、第1特別図柄の抽選によって「16R小当たりA」に当選した場合には、第1特別図柄表示器41aに「特図1_小当たり図柄1」が停止表示される。また、第2特別図柄の抽選によって「16R小当たりB」に当選した場合には、第2特別図柄表示器41bに「特図2_小当たり図柄2」が停止表示される。
なお、第1特別図柄の抽選における各大当たりへの振分確率は、15R通常大当たりが50%、4R時短大当たりが50%となっている。これに対して、第2特別図柄の抽選において当選した大当たりは、全て15R時短大当たりとなっている。また、第1特別図柄の抽選において当選可能な小当たりは、16R小当たりA(V通過実質不可の小当たり)だけであり、第2特別図柄の抽選において当選可能な小当たりは、16R小当たりB(V通過可能な時短付き小当たり)だけである。よって、本パチンコ遊技機1では、特図1の抽選よりも特図2の抽選の方が遊技者に有利であると言える。
次に、図7に基づいて、当たりの種別と時短回数の関係について説明する。時短回数とは、時短状態(高ベース状態)における特別図柄の変動表示の上限実行回数である。本形態では、時短回数には、特図1(第1特別図柄)の変動回数と特図2(第2特別図柄)の変動回数との合計回数を対象とする時短回数(合計時短回数)と、特図2の変動回数だけを対象とする時短回数(特2時短回数)とがある。時短状態(高ベース状態)に制御される場合には、これらの2種類の時短回数(合計時短回数、特2時短回数)の両方が設定される。そして、時短状態における特別図柄の変動回数が、2種類の時短回数のうちのいずれかを満たすこととなった場合に、時短状態は終了する。なお、上記した2種類の時短回数に加えて、特図1の変動回数だけを対象とする時短回数(特1時短回数)を、合計時短回数とは異なる値で設定してもよい。合計時短回数を第1規定回数とも言い、特2時短回数を第2規定回数とも言う。
図7に示すように、本形態では時短状態に制御される場合必ず、合計時短回数が「5」に設定され、特2時短回数が「1」に設定される。すなわち、当選時の遊技状態が非時短状態であっても時短状態であっても、また、当選した図柄が「特図1_時短図柄1」、「特図2_時短図柄2」、「特図2_小当たり図柄2」のいずれであっても、合計時短回数が「5」に設定され、特2時短回数が「1」に設定される。
なお、当たりの種類や時短回数については適宜変更可能である。例えば、時短回数として特2時短回数および合計時短回数が「100」に設定される小当たりや大当たりを設けてもよい。このような時短回数であれば、正しく遊技している限り時短状態(高ベース状態)に制御されている間に、ほぼ必ず次の大当たり(2種大当たり又は1種大当たり)に当選することが可能である。すなわち、特2時短回数および合計時短回数が「100」に設定される当たりは、大当たりの連荘が確定する当たりとなる。このような当たりを設けることにより、遊技興趣の更なる向上が見込める。
また例えば、時短状態における特図1の抽選にて大当たりに当選した場合には、当選した図柄がどの図柄であっても、時短状態に制御することとしてもよい。この場合の時短回数は、他の図柄に基づいて時短状態に制御された場合と同じ値(例えば合計時短回数が「5」、特2時短回数が「1」)に設定すればよい。
また例えば、非時短状態において「特図1_時短図柄1」に当選した場合と、それ以外の場合とで、合計時短回数の値や特2時短回数の値を変更してもよい。
なお、時短回数をどのような値にするにせよ、本形態のように合計時短回数は、特2時短回数に第1特図保留の上限記憶数(本形態では「4」)を加えた値とすることが望ましい。時短状態に制御される前に生じた第1特図保留(特図1保留)に基づく変動表示が時短状態において実行された場合でも、特2時短回数分の特図2の変動表示が実行される余地を残すことができるからである。なお後述するが、本形態では特図2の抽選よりも特図1の抽選の方が優先して実行されるようになっている(図17参照)。
ここで本パチンコ遊技機1では、大当たり又は小当たりか否かの抽選は「大当たり乱数」に基づいて行われ、当選した当たりの種別の抽選は「当たり種別乱数」に基づいて行われる。図8(A)に示すように、大当たり乱数は0~65535までの範囲で値をとる。当たり種別乱数は、0~99までの範囲で値をとる。なお、第1始動口20又は第2始動口21への入賞に基づいて取得される乱数には、大当たり乱数および当たり種別乱数の他に、「リーチ乱数」および「変動パターン乱数」がある。
リーチ乱数は、大当たり判定の結果がはずれである場合に、その結果を示す演出図柄変動演出においてリーチを発生させるか否かを決める乱数である。リーチとは、複数の演出図柄のうち変動表示されている演出図柄が残り一つとなっている状態であって、変動表示されている演出図柄がどの図柄で停止表示されるか次第で大当たり当選を示す演出図柄の組み合わせとなる状態(例えば「7↓7」の状態)のことである。なお、リーチ状態において停止表示されている演出図柄は、表示画面7a内で多少揺れているように表示されていたり、拡大と縮小を繰り返すように表示されていたりしてもよい。このリーチ乱数は、0~127までの範囲で値をとる。
また、変動パターン乱数は、変動時間を含む変動パターンを決めるための乱数である。変動パターン乱数は、0~99までの範囲で値をとる。また、ゲート28への通過に基づいて取得される乱数には、図8(B)に示す普通図柄乱数(当たり乱数)がある。普通図柄乱数は、電チュー22を開放させる補助遊技を行うか否かの抽選(普通図柄抽選)のための乱数である。普通図柄乱数は、0~65535までの範囲で値をとる。
4.遊技状態の説明
次に、本形態のパチンコ遊技機1の遊技状態に関して説明する。遊技状態には、通常遊技状態(非時短状態)と、時短状態とがある。時短状態では、普通図柄表示器42の変動時間短縮機能が作動する。普通図柄表示器42の変動時間短縮機能とは、普通図柄の変動時間が非時短状態のときよりも短くなる機能である。具体的には図9(D)に示すように、非時短状態においては変動時間が30秒に設定される。これに対して、時短状態においては変動時間が1秒に設定される。
また時短状態では、電チュー22の開放時間延長機能が作動する。電チュー22の開放時間延長機能とは、補助遊技における電チュー22の平均開放時間が非時短状態のときよりも長くなる機能である。具体的には図11に示すように、非時短状態においては開放時間が0.2秒に設定される。これに対して、時短状態においては開放時間が5.5秒に設定される。
普通図柄表示器42の変動時間短縮機能、及び、電チュー22の開放時間延長機能が作動している状況下では、これらの機能が作動していない場合に比して、電チュー22が頻繁に開放され、第2始動口21へ遊技球が頻繁に入賞することとなる。その結果、発射球数に対する賞球数の割合であるベースが高くなる。従って、これらの機能が作動している状態(つまり時短状態)を「高ベース状態」ともいい、作動していない状態(つまり非時短状態)を「低ベース状態」ともいう。高ベース状態では、手持ちの遊技球を大きく減らすことなく大当たりを狙うことができる。なお、高ベース状態とは、いわゆる電サポ制御(電チュー22により第2始動口21への入賞をサポートする制御)が実行されている状態である。そのため、高ベース状態を電サポ制御状態ともいう。また低ベース状態を非電サポ制御状態ともいう。低ベース状態(非電サポ制御状態)は、「第1遊技状態」に相当し、高ベース状態(電サポ制御状態)は、「第2遊技状態」に相当する。高ベース状態は、低ベース状態よりも遊技者に有利な遊技状態であると言える。
なお、時短状態(高ベース状態)において、普通図柄表示器42の確率変動機能が作動するようにしてもよい。すなわち、非時短状態(低ベース状態)における普通図柄抽選の当選確率を相対的に低く設定し、時短状態における普通図柄抽選の当選確率を相対的に高く設定してもよい。また、時短状態において、電チュー22の開放回数増加機能が作動するようにしてもよい。すなわち、非時短状態での補助遊技における電チュー22の開放回数を相対的に少なく設定し、時短状態での補助遊技における電チュー22の開放回数を相対的に多く設定してもよい。
また、時短状態(高ベース状態)は、上記の全ての機能が作動するものでなくてもよい。すなわち、普通図柄表示器42の変動時間短縮機能、電チュー22の開放時間延長機能、普通図柄表示器42の確率変動機能、および電チュー22の開放回数増加機能のうち一つ以上の機能の作動によって、その機能が作動していないときよりも電チュー22に係る第2始動口21に遊技球が入賞し易くなっていればよい。
本形態のパチンコ遊技機1では、大当たり遊技後の遊技状態は、「特図1_小当たり図柄1」に基づくイレギュラーなケースと、「特図1_通常図柄」に当選した場合とを除いて、時短状態(高ベース状態)に制御される(図6参照)。そして、時短状態は、当選した特別図柄の種別および当選時の遊技状態に応じて設定される上限実行回数(時短回数)の特別図柄の可変表示が実行されるか、又は、大当たりに当選してその大当たり遊技が実行されることにより終了する(図7参照)。
時短状態(高ベース状態)では、右打ちにより右遊技領域3B(図1参照)へ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。電サポ制御により非時短状態(低ベース状態)と比べて電チュー22が開放されやすくなっており、第1始動口20への入賞よりも第2始動口21への入賞の方が容易となっているからである。そのため、普通図柄抽選の契機となるゲート28へ遊技球を通過させつつ、第2始動口21へ遊技球を入賞させるべく右打ちを行う。これにより左打ちをするよりも、多数の始動入賞(始動口への入賞)を得ることができる。なお本パチンコ遊技機1では、大当たり遊技中も右打ちにて遊技を行う。
これに対して、非時短状態(低ベース状態)では、左打ちにより左遊技領域3A(図1参照)へ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。電サポ制御が実行されていないため、時短状態(高ベース状態)と比べて電チュー22が開放されにくくなっており、第2始動口21への入賞よりも第1始動口20への入賞の方が容易となっているからである。そのため、第1始動口20へ遊技球を入賞させるべく左打ちを行う。これにより右打ちするよりも、多数の始動入賞を得ることができる。なお、パチンコ遊技機1を初めて遊技する場合において電源投入後の遊技状態は、通常遊技状態(非時短状態)である。また、大当たり遊技の実行中の状態を大当たり遊技状態といい、小当たり遊技の実行中の状態を小当たり遊技状態と言う。大当たり遊技状態と小当たり遊技状態とはともに、特別遊技状態の一例である。
5.遊技制御用マイコン81の動作
[主制御メイン処理]次に図12~図29に基づいて遊技制御用マイコン81の動作について説明する。なお、遊技制御用マイコン81の動作説明にて登場するカウンタ、タイマ、フラグ、ステータス、バッファ等は、RAM84に設けられている。主制御基板80に備えられた遊技制御用マイコン81は、パチンコ遊技機1の電源がオンされると、ROM83から図12に示した主制御メイン処理のプログラムを読み出して実行する。同図に示すように、主制御メイン処理では、まず初期設定を行う(ステップS001)。初期設定では例えば、スタックの設定、定数設定、割り込み時間の設定、CPU82の設定、SIO、PIO、CTC(割り込み時間の管理のための回路)の設定や、各種のフラグ、ステータス及びカウンタ等のリセット等を行う。フラグの初期値は「0」つまり「OFF」であり、ステータスの初期値は「1」であり、カウンタの初期値は「0」である。なお初期設定(S001)は、電源投入後に一度だけ実行され、それ以降は実行されない。
初期設定(S001)に次いで、割り込みを禁止し(S002)、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)を実行する。この普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)では、図8に示した種々の乱数カウンタ値を1加算して更新する。各乱数カウンタ値は上限値に至ると「0」に戻って再び加算される。なお各乱数カウンタの周期初期値は「0」以外の値であってもよく、ランダムに変更されるものであってもよい。また各乱数は、カウンタIC等からなる公知の乱数生成回路を利用して生成される所謂ハードウェア乱数であってもよい。
普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)が終了すると、割り込みを許可する(S004)。割り込み許可中は、メイン側タイマ割り込み処理(S005)の実行が可能となる。メイン側タイマ割り込み処理(S005)は、例えば4msec周期でCPU82に繰り返し入力される割り込みパルスに基づいて実行される。すなわち、例えば4msec周期で実行される。そして、メイン側タイマ割り込み処理(S005)が終了してから、次にメイン側タイマ割り込み処理(S005)が開始されるまでの間に、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)による各種カウンタ値の更新処理が繰り返し実行される。なお、割り込み禁止状態のときにCPU82に割り込みパルスが入力された場合は、メイン側タイマ割り込み処理(S005)はすぐには開始されず、割り込み許可(S004)がされてから開始される。
[メイン側タイマ割り込み処理]次に、メイン側タイマ割り込み処理(S005)について説明する。図13に示すように、メイン側タイマ割り込み処理(S005)では、まず出力処理(S101)を実行する。出力処理(S101)では、以下に説明する各処理において主制御基板80のRAM84に設けられた出力バッファにセットされたコマンド等を、サブ制御基板90や払出制御基板110等に出力する。
出力処理(S101)に次いで行われる入力処理(S102)では、主にパチンコ遊技機1に取り付けられている各種センサ(第1始動口センサ20a、第2始動口センサ21a、第1大入賞口センサ30a、第2大入賞口センサ35a、普通入賞口センサ27a等(図4参照))の検知による検出信号を読み込み、賞球情報としてRAM84の出力バッファに記憶する。また、下皿62の満杯を検出する下皿満杯スイッチからの検出信号も取り込み、下皿満杯データとしてRAM84の出力バッファに記憶する。
次に行われる普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)は、図12の主制御メイン処理で行う普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)と同じである。即ち、図8に示した各種乱数カウンタ値(普通図柄乱数カウンタ値も含む)の更新処理は、メイン側タイマ割り込み処理(S005)の実行期間と、それ以外の期間(メイン側タイマ割り込み処理(S005)の終了後、次のメイン側タイマ割り込み処理(S005)が開始されるまでの期間)との両方で行われている。
普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)に次いで、後述するセンサ検出処理(S104)、普通動作処理(S105)、特別動作処理(S106)、振分部材制御処理(S107)、および特定領域センサ検出処理(S108)を実行する。その後、その他の処理(S110)を実行して、メイン側タイマ割り込み処理(S005)を終了する。その他の処理(S110)としては、後述の特図2保留球数に基づいて第2特図保留表示器43bをその数を示す表示態様に制御したり、後述の特図1保留球数に基づいて第1特図保留表示器43aをその数を示す表示態様に制御したりする。そして、次にCPU82に割り込みパルスが入力されるまでは主制御メイン処理のステップS002~S004の処理が繰り返し実行され(図12参照)、割り込みパルスが入力されると(約4msec後)、再びメイン側タイマ割り込み処理(S005)が実行される。再び実行されたメイン側タイマ割り込み処理(S005)の出力処理(S101)においては、前回のメイン側タイマ割り込み処理(S005)にてRAM84の出力バッファにセットされたコマンド等が出力される。
[センサ検出処理]図14に示すように、センサ検出処理(S104)ではまず、ゲート28に遊技球が通過したか否か、即ち、ゲートセンサ28aによって遊技球が検出されたか否か判定する(S201)。ゲート28を遊技球が通過していなければ(S201でNO)、ステップS205に進む。遊技球が通過していれば(S201でYES)、普通図柄保留球数(普図保留の数、具体的にはRAM84に設けた普図保留の数をカウントするカウンタの値)が「4」以上であるか否か判定する(S202)。そして、普通図柄保留球数が「4」以上であれば(S202でYES)、ステップS205に進む。一方、普通図柄保留球数が「4」以上でなければ(S202でNO)、普通図柄保留球数に「1」を加算し(S203)、普通図柄乱数取得処理(S204)を行う。普通図柄乱数取得処理(S204)では、普通図柄乱数カウンタの値(ラベル-TRND-Hの値、図8(B))を取得し、その取得乱数値をRAM84の普図保留記憶部86のうち現在の普通図柄保留球数に応じた記憶領域に格納する。
ステップS205では、第1始動口20に遊技球が入賞したか否か、即ち、第1始動口センサ20aによって遊技球が検出されたか否か判定する(S205)。第1始動口20に遊技球が入賞していない場合(S205でNO)にはステップS211に進むが、第1始動口20に遊技球が入賞した場合には(S205でYES)、特図1保留球数(第1特図保留の数、具体的にはRAM84に設けた第1特図保留の数をカウントするカウンタの値)が「4」(上限記憶数)に達しているか否か判定する(S206)。そして、特図1保留球数が「4」に達している場合(S206でYES)には、ステップS211に進むが、特図1保留球数が「4」未満である場合には(S206でNO)、特図1保留球数に「1」を加算する(S207)。
続いて特図1関係乱数取得処理(S208)を行う。特図1関係乱数取得処理(S208)では、大当たり乱数カウンタの値(ラベル-TRND-Aの値)、当たり種別乱数カウンタの値(ラベル-TRND-ASの値)、リーチ乱数カウンタの値(ラベル-TRND-RCの値)及び変動パターン乱数カウンタの値(ラベル-TRND-T1の値)を取得し(つまり図8(A)に示す乱数値群を取得し)、それら取得乱数値を第1特図保留記憶部85aのうち現在の特図1保留球数に応じた記憶領域に格納する。そして、特図1保留球数が増加したことを示す特図1保留増加コマンドを所定の出力バッファにセットする(S209)。
続いてセンサ検出処理(S104)では、第2始動口21に遊技球が入賞したか否か、即ち、第2始動口センサ21aによって遊技球が検出されたか否かを判定する(S211)。第2始動口21に遊技球が入賞していない場合(S211でNO)には本処理を終えるが、第2始動口21に遊技球が入賞した場合には(S211でYES)、特図2保留球数(第2特図保留の数、具体的にはRAM84に設けた第2特図保留の数をカウントするカウンタの値)が「2」(上限記憶数)に達しているか否か判定する(S212)。そして、特図2保留球数が「2」に達している場合(S212でYES)には本処理を終えるが、特図2保留球数が「2」未満である場合(つまりない場合)には(S212でNO)、特図2保留球数に「2」を加算する(S213)。
続いて特図2関係乱数取得処理(S214)を行う。特図2関係乱数取得処理(S214)では、特図1関係乱数取得処理(S208)と同様に、大当たり乱数カウンタの値(ラベル-TRND-Aの値)、当たり種別乱数カウンタの値(ラベル-TRND-ASの値)、リーチ乱数カウンタの値(ラベル-TRND-RCの値)及び変動パターン乱数カウンタの値(ラベル-TRND-T1の値)を取得し(つまり図8(A)に示す乱数値群を取得し)、それら取得乱数値を第2特図保留記憶部85bのうち現在の特図2保留球数に応じた記憶領域に格納する。そして、特図2保留球数が増加したことを示す特図2保留増加コマンドを所定の出力バッファにセットする(S215)。
[普通動作処理]遊技制御用マイコン81は、センサ検出処理(S104)に次いで、図15に示す普通動作処理(S105)を行う。普通動作処理(S105)ではまず、電チュー22の作動中か否かを判定する(S301)。電チューの作動中でなければ(S301でNO)、続いて、普通図柄の停止表示中か否かを判定する(S302)。普通図柄の停止表示中でなければ(S302でNO)、続いて、普通図柄の変動表示中か否かを判定する(S303)。普通図柄の変動表示中でなければ(S303でNO)、続いて、普通図柄の保留球数が「0」であるか否かを判定する(S304)。普通図柄の保留球数が「0」であれば(S304でYES)、本処理を終える。
ステップS304において普通図柄の保留球数が「0」でなければ(S304でNO)、当たり判定処理(S305)を行う。当たり判定処理(S305)では、普図保留記憶部86に格納されている普通図柄乱数カウンタ値(ラベル-TRND-Hの値)を読み出し、図9(C)に示す普通図柄当たり判定テーブル(当たり判定値が「1」~「65535」)に基づいて当たりか否か判定する。そして、当たり判定の結果に応じた普図停止図柄データをRAM84の所定の記憶領域にセットする図柄決定処理を行う(S306)。つまり図柄決定処理(S306)では、「ハズレ」であれば「普通ハズレ図柄」に応じたデータをセットし、「当たり」であれば「普通当たり図柄」に応じたデータをセットする。
続いて遊技制御用マイコン81は、普通図柄変動時間決定処理(S307)を行う。普通図柄変動時間決定処理(S307)では、図9(D)に示す普通図柄変動パターン選択テーブルを参照して、遊技状態が時短状態であれば、普通図柄の変動時間が1秒の普通図柄変動パターンを選択する。一方、遊技状態が非時短状態であれば、普通図柄の変動時間が30秒の普通図柄変動パターンを選択する。
次いで遊技制御用マイコン81は、普通図柄保留球数を1ディクリメントする(S308)。そして、普図保留記憶部86における各普図保留の格納場所(記憶領域)を現在の位置から読み出される側に一つシフトするとともに、普図保留記憶部86における保留4個目に対応する記憶領域(読み出される側から最も遠い記憶領域)をクリアする(S309)。このようにして、普図保留が保留された順に消化されるようにしている。その後、遊技制御用マイコン81は、ステップS307で選択した普通図柄変動パターンにて普通図柄の変動表示を開始する(S310)。なおこれに伴い、サブ制御基板90に普通図柄の変動開始を知らせるため、普図変動開始コマンドをセットする。
上述のステップS303にて普通図柄の変動表示中であれば(S303でYES)、続いて、普通図柄の変動時間が経過したか否か判定し(S311)、経過していなければ処理を終える。一方、経過していれば(S311でYES)、普通図柄の変動表示を、普通図柄乱数の判定結果に応じた表示結果(普通当たり図柄又は普通ハズレ図柄)で停止させる(S312)。そして、サブ制御基板90に普通図柄の変動停止を知らせるための普図変動停止コマンドをセットするとともに(S313)、普通図柄の停止時間をセットして(S314)本処理を終える。
また、上述のステップS302にて普通図柄の停止表示中であれば(S302でYES)、続いて、ステップS314でセットした普通図柄の停止時間が経過したか否か判定し(S315)、経過していなければ処理を終える。一方、経過していれば(S315でYES)、普通当たり図柄の普図停止図柄データがセットされているか否かを判定し(S316)、普通当たり図柄のデータでなければ(つまり当たりでなければ(S316でNO))、本処理を終える。一方、普通当たり図柄のデータであれば(つまり当たりであれば(S316でYES))、電チュー22の開放パターンをセットする(S317)。詳細には、時短状態中であれば、電チュー22の開放パターンとして時短状態中の開放パターン(図11の電チュー開放TBL2参照)をセットする。これに対して、非時短状態中であれば、電チュー22の開放パターンとして非時短状態中の開放パターン(図11の電チュー開放TBL1参照)をセットする。そして、ステップS317でセットした開放パターンに従って、電チュー22を作動させる(S318)。
また、上述のステップS301にて電チュー22の作動中であれば(S301でYES)、続いて、電チュー22の作動時間が経過したか否かを判定し(S319)、経過していなければ処理を終える。一方、経過していれば(S319でYES)、電チュー22の作動を終了させる(S320)。
[特別動作処理]遊技制御用マイコン81は、普通動作処理(S105)に次いで、図16に示す特別動作処理(S106)を行う。特別動作処理(S106)では、特別図柄表示器41および大入賞口装置(第1大入賞装置31および第2大入賞装置36)に関する処理を5つの段階に分け、それらの各段階に「特別動作ステータス1,2,3,4,5」を割り当てている。そして、「特別動作ステータス」が「1」である場合には(S901でYES)、特別図柄待機処理(S902)を行い、「特別動作ステータス」が「2」である場合には(S901でNO、S903でYES)、特別図柄変動中処理(S904)を行い、「特別動作ステータス」が「3」である場合には(S901,S903で共にNO、S905でYES)、特別図柄確定処理(S906)を行い、「特別動作ステータス」が「4」である場合には(S901,S903,S905で共にNO、S907でYES)、大当たり遊技としての特別電動役物処理1(S908)を行い、「特別動作ステータス」が「5」である場合には(S901,S903,S905,S907の全てがNO)、小当たり遊技としての特別電動役物処理2(S909)を行う。なお特別動作ステータスは、初期設定では「1」である。
[特別図柄待機処理]図17に示すように、特別図柄待機処理(S902)ではまず、第1始動口20の保留球数(即ち特図1保留球数)が「0」であるか否かを判定する(S1001)。特図1保留球数が「0」である場合(S1001でYES)、即ち、第1始動口20への入賞に起因して取得した乱数カウンタ値群の記憶がない場合には、第2始動口21の保留球数(即ち特図2保留球数)が「0」であるか否かを判定する(S1007)。そして、特図2保留球数も「0」である場合(S1007でYES)、即ち、第2始動口21への入賞に起因して取得した乱数カウンタ値群の記憶もない場合には、既に画像表示装置7の表示画面7aを待機画面(客待ち用のデモ画面)としたか否かを判定し(S1013)、そうであれば(S1013でYES)処理を終え、そうでなければ(S1013でNO)、待機画面設定処理(S1014)を行う。待機画面設定処理(S1014)では、所定の待機時間の経過を待って、待機画面を表示させるための客待ち待機コマンドをセットする。
ステップS1001において特図1保留球数が「0」でない場合(S1001でNO)、即ち、第1始動口20への入賞に起因して取得した乱数カウンタ値群の記憶(特図1の保留情報)が1つ以上ある場合には、後述の特図1大当たり判定処理(S1002)及び特図1変動パターン選択処理(S1003)を行う。その後、遊技制御用マイコン81は、特図1保留球数を1ディクリメントする(S1004)。そして、第1特図保留記憶部85aにおける各種カウンタ値の格納場所(記憶領域)を、現在の位置から読み出される側に一つシフトするとともに、第1特図保留記憶部85aにおける保留1個目に対応する記憶領域(読み出される側から最も遠い記憶領域)をクリアする(S1005)。このようにして、第1特図保留が保留された順に消化されるようにしている。続いて遊技制御用マイコン81は、特図1変動開始処理(S1006)を実行する。特図1変動開始処理(S1006)では、特別動作ステータスを「2」にセットするとともに変動開始コマンドをRAM84の出力バッファにセットして、第1特別図柄の変動表示を開始する。なお、特図1変動開始処理(S1006)でセットされる変動開始コマンド(特図1変動開始コマンドともいう)には、特図1大当たり判定処理(S1002)でセットされた特図停止図柄データの情報や特図1変動パターン選択処理(S1003)でセットされた変動パターンの情報(変動時間の情報を含む情報)が含まれている。
また、特図1保留球数が「0」であるが特図2保留球数が「0」でない場合(S1001でYES且つS1007でNO)、即ち、特図1の保留情報はないが、第2始動口21への入賞に起因して取得した乱数カウンタ値群の記憶(特図2の保留情報)が1つ以上ある場合には、後述の特図2大当たり判定処理(S1008)及び特図2変動パターン選択処理(S1009)を行う。その後、遊技制御用マイコン81は、特図2保留球数を1ディクリメントする(S1010)。そして、第2特図保留記憶部85bにおける各種カウンタ値の格納場所(記憶領域)を、現在の位置から読み出される側に一つシフトするとともに、第2特図保留記憶部85bにおける保留1個目に対応する記憶領域(読み出される側から最も遠い記憶領域)をクリアする(S1011)。このようにして、第2特図保留が保留された順に消化されるようにしている。続いて遊技制御用マイコン81は、特図2変動開始処理(S1012)を実行する。特図2変動開始処理(S1012)では、特別動作ステータスを「2」にセットするとともに変動開始コマンドをRAM84の出力バッファにセットして、第2特別図柄の変動表示を開始する。なお、特図2変動開始処理(S1012)でセットされる変動開始コマンド(特図2変動開始コマンドともいう)には、特図2大当たり判定処理(S1008)でセットされた特図停止図柄データの情報や特図2変動パターン選択処理(S1009)でセットされた変動パターンの情報(変動時間の情報を含む情報)が含まれている。
上記のように本形態では、第2特図保留に基づく特別図柄の変動表示は、第1特図保留が「0」の場合(S1001でYESの場合)に限って行われる。すなわち第1特図保留の消化は、第2特図保留の消化に優先して実行される。
[特図1大当たり判定処理(特図2大当たり判定処理)]特図1大当たり判定処理(S1002)と特図2大当たり判定処理(S1008)とは、処理の流れが同じであるため図18に基づいてまとめて説明する。図18に示すように、特図1大当たり判定処理(S1002)又は特図2大当たり判定処理(S1008)ではまず、判定値として、大当たり乱数カウンタ値(ラベル-TRND-Aの値)を読み出す(S1101)。詳細には、特図1大当たり判定処理(S1002)では、RAM84の第1特図保留記憶部85a(詳しくは第1特図保留の1個目に対応する記憶領域)に記憶されている大当たり乱数カウンタ値を読み出す。また特図2大当たり判定処理(S1008)では、RAM84の第2特図保留記憶部85bに記憶されている大当たり乱数カウンタ値を読み出す。
次に、大当たり判定テーブル(図9(A))をセットする(S1102)。次いで、セットした大当たり判定テーブルに基づいて大当たりか否かを判定する(S1103)。すなわち、大当たり乱数カウンタ値(ラベル-TRND-A)が、大当たり判定値である「65300」~「65535」の何れかと一致するか否か判定する(図9(A)参照)。大当たり判定(S1103)の結果が「大当たり」であれば、大当たりフラグをONするとともに(S1104)、当たり種別乱数カウンタ値(ラベル-TRND-ASの値)を読み出して、図6に示す当たり種別判定テーブルに基づいて大当たり種別を判定する(S1105)。大当たり種別を判定(S1105)した後は、大当たり種別(大当たり図柄の種類)に応じた特図停止図柄データ(図6参照)をRAM84に設けた当たり種別バッファにセットして(S1106)処理を終える。
一方、大当たり判定(S1103)の結果が「大当たり」でなければ、小当たりか否かを判定する(S1107)。詳細には、特図1大当たり判定処理(S1002)では、大当たり乱数カウンタ値が、小当たり判定値である「0」~「3500」の何れかと一致するか否か判定する(図9(A)の特図1の欄参照)。また特図2大当たり判定処理(S1008)では、大当たり乱数カウンタ値が、小当たり判定値である「0」~「16399」の何れかと一致するか否か判定する(図9(A)の特図2の欄参照)。なお小当たり当選確率は、特図1の抽選よりも特図2の抽選の方が高くなっている。特図2の小当たり当選確率は、およそ1/4程度である。
小当たり判定(S1107)の結果が「小当たり」であれば、小当たりフラグをONするとともに(S1108)、当たり種別乱数カウンタ値(ラベル-TRND-ASの値)を読み出して、図6に示す当たり種別判定テーブルに基づいて小当たり種別を判定する(S1109)。小当たり種別を判定(S1109)した後は、小当たり種別(小当たり図柄の種類)に応じた特図停止図柄データ(図6参照)をRAM84に設けた当たり種別バッファにセットして(S1110)処理を終える。なお、小当たりか否かを決める乱数を、大当たり乱数とは別に設けてもよい。
また、大当たりでなく(S1103でNO)、小当たりでもなければ(S1107でNO)、「ハズレ」であるので、ハズレ図柄に応じた特図停止図柄データ(01H)をセットして(S1111)、本処理を終える。
[特図1変動パターン選択処理(特図2変動パターン選択処理)]特図1変動パターン選択処理(S1003)と特図2変動パターン選択処理(S1009)とは、処理の流れが同じであるため図19及び図20に基づいてまとめて説明する。図19に示すように、特図1変動パターン選択処理(S1003)又は特図2変動パターン選択処理(S1009)ではまず、遊技状態が時短状態か否か(時短フラグがONか否か)を判定する(S1301)。
時短状態でなければ(S1301でNO)、すなわち非時短状態であれば、続いて大当たりフラグがONか否かを判定する(S1302)。ONであれば(S1302でYES)、非時短状態中大当たりテーブル(図10に示す変動パターン判定テーブルのうち非時短状態且つ大当たりに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値(ラベル-TRND-T1の値)に基づいて変動パターンを選択する(S1303)。
但し遊技制御用マイコン81は、特図1変動パターン選択処理(S1003)のステップS1303では、これから開始する特図変動(特別図柄の変動表示)が時短状態の終了後15G(ゲーム)以内(特殊期間内)の変動であるのか、それ以外の遊技期間(通常期間)の変動であるのかに応じて、異なる変動パターンを選択する(図10参照)。前者の場合、つまり時短終了後15G以内の変動である場合には、時短終了後15G以内用の特図変動パターン判定テーブル(特殊テーブル)に基づいて、変動時間が35秒である変動パターンP8を選択する。これに対して、後者の場合、つまり通常期間の変動である場合には、通常期間用の特図変動パターン判定テーブル(通常テーブル)に基づいて、変動パターンP1又はP2を選択する。このように遊技期間によってテーブルを分けている理由については後述する。
なお図10に示すように、変動パターンが決まれば変動時間も決まる。また、変動パターンが決まれば、変動演出の演出内容の一部が決まる(図10に示す表の備考欄参照)。例えば、変動パターンP1が選択された場合には、変動演出においてSPリーチが行われ、変動パターンP2が選択された場合には、変動演出においてノーマルリーチが行われる。ここでSPリーチ(スーパーリーチ)とは、ノーマルリーチよりもリーチ後の変動時間が長いリーチであり、当選期待度(大当たり当選に対する期待度)がノーマルリーチよりも高くなるようにテーブルの振分率が設定されている。本形態では、スーパーリーチはノーマルリーチを経て発展的に実行される。
またステップS1302において、大当たりフラグがONでなければ(S1302でNO)、小当たりフラグがONか否かを判定する(S1304)。ONであれば(S1304でYES)、非時短状態中小当たりテーブル(図10に示す変動パターン判定テーブルのうち非時短状態且つ小当たりに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1305)。
この場合も遊技制御用マイコン81は、特図1変動パターン選択処理(S1003)のステップS1305では、これから開始する特図変動が時短状態の終了後15G以内(特殊期間内)の変動であるのか、それ以外の遊技期間(通常期間)の変動であるのかに応じて、異なる変動パターンを選択する(図10参照)。前者の場合、時短終了後15G以内用の特図変動パターン判定テーブルに基づいて、変動時間が35秒である変動パターンP9を選択する。これに対して、後者の場合、通常期間用の特図変動パターン判定テーブルに基づいて、変動パターンP3を選択する。
またステップS1304において、小当たりフラグがONでなければ(S1304でNO)、リーチ乱数カウンタ値(ラベル-TRND-RCの値)がリーチ成立乱数値か否かを判定する(S1306)。図9(B)に示すように、リーチ成立乱数値は時短状態であれば「0」~「5」であり、非時短状態であれば「0」~「13」である。すなわち、時短状態の方が非時短状態よりもハズレ時のリーチがかかりにくくなっている。リーチ乱数カウンタ値がリーチ成立乱数値である場合(S1306でYES)、即ち、リーチ有りハズレの場合には、非時短状態中リーチ有りハズレテーブル(図10に示す変動パターン判定テーブルのうち非時短状態且つリーチ有りハズレに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1307)。
一方、リーチ乱数カウンタ値がリーチ成立乱数値でない場合(S1306でNO)、即ち、リーチ無しハズレの場合には、非時短状態中リーチ無しハズレテーブル(図10に示す変動パターン判定テーブルのうち非時短状態且つリーチ無しハズレに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1308)。
この場合も遊技制御用マイコン81は、特図1変動パターン選択処理(S1003)のステップS1307やS1308では、これから開始する特図変動が時短状態の終了後15G以内(特殊期間内)の変動であるのか、それ以外の遊技期間(通常期間)の変動であるのかに応じて、異なる変動パターンを選択する(図10参照)。前者の場合、時短終了後15G以内用の特図変動パターン判定テーブルに基づいて、変動時間が35秒である変動パターンP10を選択する。
これに対して、後者の場合、通常期間用の特図変動パターン判定テーブルに基づいて、変動パターンを選択する。具体的には、「リーチ有りハズレ」であれば、変動パターンP4又はP5を選択する。また、「リーチ無しハズレ」であれば、変動パターンP6又はP7を選択する。なお、特図1変動パターン選択処理(S1003)における通常期間中のリーチ無しハズレ時には、保留球数に応じた短縮変動の機能が働くようになっている。すなわち、特別図柄の保留球数が「3」又は「4」であるときは、特別図柄の保留球数が「0」~「2」であるときに比して変動時間の短い変動パターンが選択されるようになっている。
また遊技制御用マイコン81は、特図2変動パターン選択処理(S1009)では、ステップS1307が実行されてもステップS1308が実行されても同じ変動パターン(変動パターンP23)を選択する(図10の特図2且つ非時短状態の欄参照)。これは、非時短状態における特図2のハズレ変動時には、後述するラストチャレンジ演出が実行されるためである。
またステップS1301において、遊技状態が時短状態であると判定した場合(S1301でYES)には、図20に示すように、参照する変動パターン判定テーブルを時短状態中のテーブル(図10に示す変動パターン判定テーブルのうち時短状態に該当する部分)にする事以外は上記ステップS1302~S1308と同様の流れで処理(S1309~S1315)を行う。
すなわち、大当たりフラグがONであれば(S1309でYES)、時短状態中大当たりテーブル(図10に示す変動パターン判定テーブルのうち時短状態且つ大当たりに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1310)。
また小当たりフラグがONであれば(S1311でYES)、時短状態中小当たりテーブル(図10に示す変動パターン判定テーブルのうち時短状態且つ小当たりに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1312)。
またリーチ乱数カウンタ値がリーチ成立乱数値であれば(S1313でYES)、時短状態中リーチ有りハズレテーブル(図10に示す変動パターン判定テーブルのうち時短状態且つリーチ有りハズレに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1314)。またリーチ乱数カウンタ値がリーチ成立乱数値でなければ(S1313でNO)、時短状態中リーチ無しハズレテーブル(図10に示す変動パターン判定テーブルのうち時短状態且つリーチ無しハズレに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1315)。
なお、特図1変動パターン選択処理(S1003)では、ステップS1314が実行されてもステップS1315が実行されても同じ変動パターン(変動パターンP13)を選択する(図10の特図1且つ時短状態の欄参照)。
また、特図2変動パターン選択処理(S1009)では、ステップS1314が実行されてもステップS1315が実行されても同じ変動パターン(変動パターンP33)を選択する(図10の特図2且つ時短状態の欄参照)。これは、時短状態における特図2のハズレ変動時には、後述するチャレンジ演出が実行されるためである。
上記のようにして変動パターンの選択を行った後は、図19に示すように、選択した変動パターンをセットして(S1316)、本処理を終える。ステップS1316でセットした変動パターンの情報は、特別図柄待機処理(S902)におけるステップS1006又はS1012でセットされる変動開始コマンドに含められる。
[特別図柄変動中処理]図21に示すように、特別図柄変動中処理(S904)ではまず、特別図柄の変動時間(ステップS1003又はS1009で選択された変動パターンに応じて決まる変動時間、図10参照)が経過したか否かを判定する(S1501)。経過していなければ(S1501でNO)、直ちにこの処理を終える。これにより特別図柄の変動表示が継続される。
一方、変動時間が経過していれば(S1501でYES)、変動停止コマンドをセットするとともに(S1502)、特別動作ステータスを「3」にセットする(S1503)。そして、特別図柄の変動表示を、セットされている特図停止図柄データに応じた図柄(大当たり図柄、小当たり図柄又はハズレ図柄)で停止させる等のその他の処理を行ってから(S1504)、この処理を終える。
[特別図柄確定処理]図22に示すように、特別図柄確定処理(S906)ではまず、特別図柄の停止時間(図10参照)が経過したか否かを判定する(S1601)。なお非時短状態における特図2の抽選に基づく小当たり当選時の停止時間は、15秒と比較的長く設定されている。これは、この期間に、後述するV打込指示演出(第2大入賞装置36(Vアタッカー)を狙って遊技球を打ち込む旨を報知する演出、図42参照)を実行するためである。ステップS1601において特別図柄の停止時間が経過していない場合は(S1601でNO)、直ちにこの処理を終える。一方、停止時間が経過している場合は(S1601でYES)、後述の遊技状態管理処理(S1602)を行う。
次に、大当たりフラグがONであるか否かを判定する(S1603)。大当たりフラグがONであれば(S1603でYES)、特別動作ステータスを「4」にセットする(S1604)。そして、遊技制御用マイコン81は、時短フラグがONか否かを判定し(S1605)、ONでなければステップS1607に進むが、ONであれば時短フラグをOFFして(S1606)ステップS1607に進む。これにより、大当たり遊技の実行中は非時短状態(低ベース状態)に制御される。なお、本形態における低ベース状態とは、電チュー22が頻繁に開放されることによる入賞サポートがないという意味での低ベース状態であり、大入賞装置の作動に基づくベースアップを考慮したものではない。
次いで遊技制御用マイコン81は、右打ちの報知をサブ制御基板90に行わせるための右打ち指定コマンド(第1打方指定コマンド)を所定の出力バッファにセットするとともに、右打ち表示器45を点灯させる(S1607)。このようにするのは、大当たり遊技の実行により第2流路R2上に設けられた第1大入賞口30が開放されるからである。その後、遊技制御用マイコン81は、大当たり遊技を開始するべく、大当たりのオープニングコマンド(図7参照)をセットして(S1608)、大当たり遊技のオープニングを開始する(S1609)。ステップS1609に続いて、遊技制御用マイコン81は、当選した大当たりの種類に応じた開放パターン(詳しくは図6を参照)をセットする(S1610)。このときに、特別遊技中の大入賞口の開放回数をカウントする大入賞口開放カウンタの値を、当選した大当たりの種類に応じた値にセットする。なお、開放パターンのセット(開放パターンに応じたデータのセット)は、ラウンド毎に行うようにしてもよい。
一方、ステップS1603において大当たりフラグがONでなければ(S1603でNO)、続いて小当たりフラグがONであるか否かを判定する(S1611)。小当たりフラグがONであれば(S1611でYES)、特別動作ステータスを「5」にセットする(S1612)。なお小当たりフラグがONである場合には、時短フラグがONであってもOFFにはしない。
次いで遊技制御用マイコン81は、右打ちの報知をサブ制御基板90に行わせるための右打ち指定コマンドを所定の出力バッファにセットするとともに、右打ち表示器45を点灯させる(S1613)。このようにするのは、小当たり遊技の実行により第2流路R2上に設けられた第2大入賞口35が開放されるからである。その後、遊技制御用マイコン81は、小当たり遊技を開始するべく、小当たりのオープニングコマンド(図7参照)をセットして(S1614)、小当たり遊技のオープニングを開始する(S1615)。
ステップS1615に続いて、遊技制御用マイコン81は、当選した小当たりの種類に応じた開放パターン(詳しくは図6を参照)をセットする(S1616)。なおこのときに、大入賞口開放カウンタの値を、当選した小当たりの種類に応じた値にセットする。その後遊技制御用マイコン81は、振分部材作動フラグをONにして(S1617)、本処理を終える。振分部材作動フラグは、振分部材71を作動させる期間であることを示すフラグである。つまり本形態では、振分部材71の作動は小当たり遊技のオープニングとともに開始される。なお、振分部材の作動パターンについては後に詳述する。
ステップS1611において小当たりフラグがONでなければ(S1611でNO)、大当たり遊技も小当たり遊技も開始しないため、特別動作ステータスを「1」にセットして(S1618)、本処理を終える。
[遊技状態管理処理]図23に示すように、遊技状態管理処理(S1602)ではまず、時短フラグがONか否か判定し(S1701)、ONでなければ、本処理を終える。一方、ONであれば、時短状態中に実行した特別図柄変動(特図変動)の回数をカウントする時短カウンタの値を1ディクリメントするとともに(S1702)、時短カウンタの値が「0」であるか否か判定する(S1703)。
本形態では、時短カウンタとして、特図1の変動回数と特図2の変動回数との合計回数をカウントする合計時短カウンタ(合計時短回数をカウントするカウンタ)と、特図2の変動回数のみをカウントする特2時短カウンタ(特2時短回数をカウントするカウンタ)とがある。ステップS1702では、特図1の変動停止時であれば合計時短カウンタの値だけを1ディクリメントし、特図2の変動停止時であれば合計時短カウンタおよび特2時短カウンタの値をそれぞれ1ディクリメントする。そして、ステップS1703では、特2時短カウンタ又は合計時短カウンタのいずれか1つでも「0」となっていないかを判定する。
ステップS1703において、2つの時短カウンタのうち1つでも「0」となっているものがあれば(S1703でYES)、時短フラグをOFFするとともに(S1704)、右打ちの報知をサブ制御基板90に終了させるための左打ち指定コマンド(第2打方指定コマンド)を所定の出力バッファにセットするとともに、右打ち表示器45を消灯させ(S1705)、本処理を終える。このようにするのは、時短状態の終了とともに右打ちでの遊技を終了させるためである。なお左打ち指定コマンドのセット後にステップS1613の処理を行って右打ち指定コマンドをセットした場合には、左打ち指定コマンドを送信せず、右打ち指定コマンドを送信するものとする。
一方、ステップS1703において、2つの時短カウンタのうち1つも「0」となっているものがなければ(S1703でNO)、ステップS1704及びS1705の処理を行うことなく、本処理を終える。なお、本形態において時短状態への移行時に各時短カウンタにセットされる値は、図7の表の「時短回数(回)」の欄に示す通りである。
[特別電動役物処理1(大当たり遊技)]特別電動役物処理1は、1種大当たり遊技や2種大当たり遊技といった大当たり遊技の実行のための処理である。図24に示すように、特別電動役物処理1(S908)ではまず、大当たり終了フラグがONであるか否かを判定する(S2001)。大当たり終了フラグは、当選した大当たり遊技において第1大入賞装置31の開放が全て終了したことを示すフラグである。
大当たり終了フラグがONでなければ(S2001でNO)、第1大入賞口30の開放中か否か(すなわち第1大入賞装置31の開放中か否か)を判定する(S2002)。開放中でなければ(S2002でNO)、第1大入賞口30を開放させる時間に至ったか否か、すなわち大当たりのオープニングの時間が経過して第1大入賞口30の開放を開始する時間に至ったか、又は、開放間のインターバルの時間が経過して次の開放を開始する時間に至ったか否かを判定する(S2003)。
ステップS2003の判定結果がNOであれば、そのまま処理を終える。一方、ステップS2003の判定結果がYESであれば、セットされている開放パターンに従って第1大入賞口30を開放させる(S2004)。
ステップS2002において第1大入賞口30の開放中であれば(S2002でYES)、そのラウンド遊技における第1大入賞口30への入賞個数が規定の最大入賞個数(本形態では8個)に達しているか否かを判定する(S2006)。規定入賞個数に達していなければ(S2006でNO)、第1大入賞口30を閉鎖させる時間に至ったか否か(すなわち第1大入賞口30を開放してから所定の開放時間(図6参照)が経過したか否か)を判定する(S2007)。そして、第1大入賞口30の開放時間が経過していなければ(S2007でNO)、本処理を終える。
これに対して、規定入賞個数に達している場合(S2006でYES)又は第1大入賞口30の開放時間が経過した場合(S2007でYES)、すなわち2つの開放終了条件のうちのいずれかが満たされている場合には、第1大入賞口30を閉鎖(閉塞)する(S2008)。そして、大入賞口開放カウンタの値を1ディクリメントし(S2009)、大入賞口開放カウンタの値が「0」であるか否か判定する(S2010)。「0」でなければ(S2010でNO)、次の開放を開始するためにそのまま処理を終える。
一方「0」であれば(S2010でYES)、大当たり遊技を終了させるべく、大当たりのエンディングコマンドをセットするとともに(S2011)、大当たりのエンディングを開始する(S2012)。そして、大当たり終了フラグをセットして処理を終える(S2013)。
またステップS2001において大当たり終了フラグがONであれば(S2001でYES)、大当たり遊技における第1大入賞口30の開放が全て終了しているので、大当たりのエンディングの時間が経過したか否かを判定し(S2014)、エンディング時間が経過していなければ(S2014でNO)処理を終える。一方、エンディング時間が経過していれば(S2014でYES)、大当たり終了フラグをOFFするとともに(S2015)、大当たりフラグをOFFする(S2016)。そして、特別動作ステータスを「1」にセットした後(S2017)、後述の遊技状態設定処理(S2018)を行って、本処理を終える。
[遊技状態設定処理]図25に示すように、遊技状態設定処理(S2018)ではまず、今回実行した大当たり遊技が時短付き当たり(すなわち図6に示す「4R時短大当たり」、「15R時短大当たり」、「16R小当たりB」)への当選を契機として実行された大当たり遊技であるか否か判定する(S2101)。ステップS2101の判定結果がYESであれば、時短フラグをONするとともに(S2102)、時短カウンタのセットを行って(S2103)、本処理を終える。
より詳細には、ステップS2103では、遊技制御用マイコン81は、当選時の遊技状態と、今回の大当たり遊技の実行契機となった特別図柄の種別とに応じて、時短カウンタ(合計時短カウンタ及び特2時短カウンタ)の値をセットする。セットする時短カウンタの値の詳細は、図7に示す通りである。なお、図7において、「時短回数(回)」の「特図1,2合計」の欄に示す値が、合計時短カウンタにセットされる時短回数であり、「時短回数(回)」の「特図2のみ」の欄に示す値が、特2時短カウンタにセットされる時短回数である。
ステップS2102及びS2103が実行されることにより、今回の大当たり遊技後の遊技状態が時短状態(高ベース状態)になる。この遊技状態は、特別図柄の変動表示の実行回数が既定の時短回数に至ること(回数終了条件)、又は次の大当たり遊技が実行されること(当選終了条件)のいずれかの条件の成立により終了する。なお、合計時短カウンタの値が「0」になることである回数終了条件を合計回数終了条件といい、特2時短カウンタの値が「0」になることである回数終了条件を特2回数終了条件という。
これに対して、ステップS2101の判定結果がNOであれば、ステップS2102及びS2103を行わず、ステップS2104を行って、本処理を終える。これにより、今回の大当たり遊技後の遊技状態が非時短状態且つ低ベース状態(通常遊技状態)になる。ステップS2104では、右打ちの報知をサブ制御基板90に終了させるための左打ち指定コマンドを所定の出力バッファにセットするとともに、右打ち表示器45を消灯させる。このようにするのは、大当たり遊技の終了とともに遊技者に対して左打ちでの遊技を促すためである。
[特別電動役物処理2(小当たり遊技)]特別電動役物処理2は、特定領域39を備えた第2大入賞装置36を開放させる小当たり遊技の実行のための処理である。図26及び図27に示すように、特別電動役物処理2(S909)ではまず、小当たり終了フラグがONであるか否かを判定する(S2301)。小当たり終了フラグは、小当たり遊技において第2大入賞装置36の開放が終了したことを示すフラグである。
小当たり終了フラグがONでなければ(S2301でNO)、第2大入賞口35の開放中か否か(すなわち第2大入賞装置36の開放中か否か)を判定する(S2302)。開放中でなければ(S2302でNO)、第2大入賞口35を開放させる時間に至ったか否か、すなわち所定の開放前インターバル(小当たりのオープニング)の時間が経過して第2大入賞口35の開放を開始する時間に至ったか否かを判定する(S2303)。
ステップS2303の判定結果がNOであれば、そのまま処理を終える。一方、ステップS2303の判定結果がYESであれば、当選している小当たりの種類に応じた開放パターン(図6参照)に従って第2大入賞口35を開放させる(S2304)。
ステップS2302において第2大入賞口35の開放中であれば(S2302でYES)、第2大入賞口35への入賞個数が規定の最大入賞個数(本形態では8個)に達しているか否かを判定する(S2305)。規定入賞個数に達していなければ(S2305でNO)、第2大入賞口35を閉鎖させる時間に至ったか否か(すなわち第2大入賞口35を開放してから所定の開放時間(図6に示すように本形態では1.6秒)が経過したか否か)を判定する(S2306)。そして、第2大入賞口35の開放時間が経過していなければ(S2306でNO)、本処理を終える。
これに対して、規定入賞個数に達している場合(S2305でYES)又は第2大入賞口35の開放時間が経過した場合(S2306でYES)、すなわち2つの開放終了条件のうちのいずれかが満たされている場合には、第2大入賞口35を閉鎖(閉塞)する(S2307)。そして、大入賞口開放カウンタの値を1ディクリメントするとともに(S2308)、小当たり終了フラグをセットして(S2309)、本処理を終える。
またステップS2301において小当たり終了フラグがONであれば(S2301でYES)、図27に示すように、小当たり遊技における第2大入賞口35の閉鎖後の所定時間(閉鎖後インターバルの時間)が経過したか否かを判定し(S2310)、閉鎖後インターバルの時間が経過していなければ(S2310でNO)処理を終える。なお、小当たり遊技の閉鎖後インターバルの時間については後述する。一方、閉鎖後インターバルの時間が経過していれば(S2310でYES)、小当たり終了フラグをOFFするとともに(S2311)、小当たりフラグをOFFして(S2312)、ステップS2313に進む。
ステップS2313では、VフラグがONか否かを判定する。Vフラグは、小当たり遊技の実行中に特定領域39への遊技球の通過があったことを示すフラグであり、後述するステップS2603(図29参照)でONされるフラグである。このVフラグがONでなければ(S2313でNO)、2種大当たり遊技を実行しないため、大入賞口開放カウンタの値を「0」にクリアするとともに(S2314)、特別動作ステータスを「1」にセットして(S2315)、ステップS2316に進む。
そしてステップS2316では、時短フラグがONであるか否かを判定する。ONであれば、本処理を終えるが、ONでなければ、右打ちの報知をサブ制御基板90に終了させるための左打ち指定コマンドを所定の出力バッファにセットするとともに、右打ち表示器45を消灯させて(S2317)、本処理を終える。
一方ステップS2313においてVフラグがONであれば(S2313でYES)、2種大当たり遊技を実行するため、遊技制御用マイコン81は、VフラグをOFFするとともに(S2319)、大当たりフラグをONして(S2320)、特別動作ステータスを「4」にセットする(S2321)。続いて、時短フラグがONであれば(S2322でYES)時短フラグをOFFする(S2323)。そして、大当たりのオープニングコマンドをセットするとともに(S2324)、大当たりのオープニングを開始する(S2325)。これにより、第2大入賞口35を短時間にわたって開放する小当たり遊技から2種大当たり遊技に移行する。
[振分部材制御処理]遊技制御用マイコン81は、特別動作処理(S106)に次いで振分部材制御処理(S107)を行う(図13参照)。振分部材制御処理(S107)では図28に示すように、まず、振分部材作動フラグがONか否かを判定する(S2501)。振分部材作動フラグがONでなければ本処理を終える。一方、振分部材作動フラグがONであれば、小当たり遊技のオープニングが開始しているため(図22参照)、振分部材71を所定の作動パターンにて作動させるべく振分部材作動処理(S2502)を行うとともに、V有効期間設定処理(S2503)を行う。
振分部材作動処理(S2502)では、振分部材71の作動時間を計測するためのタイマをセットし、そのタイマを用いた計時に基づいて、振分部材71の開放タイミングになったら振分部材ソレノイド73をONし、振分部材71の閉鎖タイミングになったら振分部材ソレノイド73をOFFする。これにより、振分部材71は、小当たり遊技のオープニングの開始から一定の動作で動くこととなる。
具体的には図40(c)に示すように、振分部材71をまず、小当たり遊技のオープニングの開始から8msにわたって通過阻止状態(図2に破線で示す状態)に制御する。これを開放前インターバルという。続いて、4600msにわたって通過許容状態(図2に二点鎖線で示す状態)に制御する。これを、V開放という。次いで、3000msにわたって通過阻止状態に制御する。これを、閉鎖後インターバルという。このような、「開放前インターバル⇒V開放⇒閉鎖後インターバル」からなる一連の動作が振分部材71の一定動作である。
また、V有効期間設定処理(S2503)では、上記のような振分部材71の一定動作に対してV有効期間を設定する。V有効期間とは、特定領域センサ39aによる検知があった場合にその検知を有効なものとみてVフラグをONにする期間である。図40(d)に示すように、V有効期間は、特定領域39の開放開始(振分部材71を通過許容状態に制御した時点)から所定の時間が経過するまでである。所定の時間は、特定領域39の開放時間(振分部材71を通過許容状態に制御している時間)よりも長い時間に設定されている。これは、振分部材71の配置位置を通過した遊技球が特定領域39に至るまでのタイムラグを考慮してのことである。
具体的にはV有効期間設定処理(S2503)では、V有効期間を計測するためのタイマをセットし、そのタイマを用いた計時に基づいて、特定領域39を有効にするタイミングになったらV有効フラグをONし、特定領域39を無効にするタイミングになったらV有効フラグをOFFする。なお、後述する特定領域センサ検出処理(S108)のステップS2602では、このV有効フラグがONか否かを判断することにより、V有効期間中か否かを判定する。
V有効期間設定処理(S2503)に続いて遊技制御用マイコン81は、振分部材71の動作が終了したか否かを判定する(S2504)。具体的には、ステップS2502でセットした振分部材71の作動時間を計測するためのタイマに基づいて、振分部材71が一定動作を開始してから終了するまでの総作動時間(7608ms(図40(c)参照))が経過したか否かを判定する。そして、振分部材71の動作が終了していなければそのまま本処理を終える。これに対して、振分部材71の動作が終了していれば、振分部材作動フラグをOFFしてから(S2505)本処理を終える。
ここで図40に基づいて、上記のような振分部材71の一定動作と、小当たり遊技における第2大入賞口35(開閉部材37)の開放パターンとの関係について説明する。本形態では、小当たり遊技における第2大入賞口35の開放パターンとして、図40(b)及び(e)に示す2つの開放パターンがある。なお、図40(a)は、小当たり遊技の開始のタイミングをわかりやすくするために、特別図柄の変動表示および停止表示のタイミングを示したものである。
図40(b)に示す開放パターンは、特図2の抽選にて小当たりに当選した場合に選択される開放パターンである。つまり、「特図2_小当たり図柄2」(図6参照)に当選した場合に選択される開放パターンである。この開放パターンは、特定領域39への通過が可能な通過用開放パターンである。
より詳細には、この通過用開放パターンは、8msにわたって第2大入賞口35を閉塞した後に1600msにわたって第2大入賞口35を開放し、その後、6000msにわたって第2大入賞口35を閉塞する開放パターンである。言い換えれば、この開放パターンにて実行される小当たり遊技は、8msにわたって第2大入賞口35が閉塞されるオープニングと、1600msにわたって第2大入賞口35が開放される小当たり開放遊技と、6000msにわたって第2大入賞口35が閉塞される閉鎖後インターバルとを含んでいる。
このような開放パターンで第2大入賞口35が開放された場合、1600msにわたる第2大入賞口35の開放期間中および第2大入賞口35の閉鎖後の3000msの期間中は、振分部材71のV開放にあたり、振分部材71が通過許容状態をとっている(図40(b)及び(c)参照)。従って、どのような入賞タイミングで第2大入賞口35へ遊技球が入賞したとしても、その遊技球は特定領域39を通過することが可能である。なお本形態では、右打ちにて遊技球を連続的に発射し続けていれば、1.6秒にわたる開放期間中に必ず第2大入賞口35へ遊技球が入賞するように、第2大入賞装置36等の各装置が配されている。また、第2大入賞口35を通過した遊技球が振分部材71の配置位置に至るまでの所要時間は3000msよりも短い。
図40(e)に示す開放パターンは、特図1の抽選にて「特図1_小当たり図柄1」(図6参照)に当選した場合に選択される開放パターンである。この開放パターンは、特定領域39への通過が実質的に不可能な非通過用開放パターンである。
より詳細には、この非通過用開放パターンは、4568msにわたって第2大入賞口35を閉塞した後に1600msにわたって第2大入賞口35を開放し、その後、1440msにわたって第2大入賞口35を閉塞する開放パターンである。言い換えれば、この開放パターンにて実行される小当たり遊技は、4568msにわたって第2大入賞口35が閉塞されるオープニングと、1600msにわたって第2大入賞口35が開放される小当たり開放遊技と、1440msにわたって第2大入賞口35が閉塞される閉鎖後インターバルとを含んでいる。
このような開放パターンで第2大入賞口35が開放された場合、オープニング中に振分部材71のV開放がほぼ終了する(図40(e)及び(c)参照)。振分部材71のV開放と、第2大入賞口35の開放とが一致している期間は、第2大入賞口35の開放開始直後のわずか40msだけである。従って、仮に第2大入賞口35の開放開始とともに遊技球が入球しても、その遊技球が振分部材71の位置に到達する頃には振分部材71は通過阻止状態に制御されている。よって、この開放パターンが選択された場合には、遊技球が特定領域39を通過することはほぼない。つまり、遊技球が特定領域39を通過することは実質的に不可能となっている。
以上、図40に基づいて説明したように、本形態では小当たり遊技のオープニングの開始に伴って振分部材71の動作を開始するようにしている。そして、小当たり図柄の種別に応じた2つの開放パターンのいずれかにて小当たり遊技が実行される。各開放パターンは、オープニングの時間が異なっている。従って、それぞれの開放パターンでは、振分部材71の変位タイミングに対する第2大入賞口35の開放タイミングが異なることとなる。かくして、第2大入賞口35への入賞タイミングにかかわらず特定領域39を通過可能な小当たり遊技(図40(b)の特2V通過小当たり)と、どのようなタイミングで第2大入賞口35に入賞しても特定領域39を通過することができない小当たり遊技(図40(e)の特1V非通過小当たり)とを実行することが可能となっている。
なお本形態では、小当たり遊技中は、第2大入賞装置36内に入球した遊技球の数を第2大入賞口センサ35aによる検知に基づいてカウントしているとともに、第2大入賞装置36外へ排出された遊技球の数を特定領域センサ39a又は非特定領域センサ70aによる検知に基づいてカウントしている。つまり本形態では、特定領域センサ39a及び非特定領域センサ70aは、第2大入賞装置36外へ排出された遊技球の数をカウントする排出口センサとしても機能している。そして、振分部材71の一定動作の終了時点で、両カウント値が一致していないときにはエラー報知を行うようにしている。なお第2大入賞口35の閉鎖後、両カウント値が一致したときに振分部材71の作動を停止するようにしてもよい。このようにすれば、第2大入賞口35の閉鎖後に特別図柄の変動表示をスムーズに開始することが可能となる。
[特定領域センサ検出処理]遊技制御用マイコン81の動作の説明に戻る。遊技制御用マイコン81は、振分部材制御処理(S107)に次いで特定領域センサ検出処理(S108)を行う(図13参照)。特定領域センサ検出処理(S108)では図29に示すように、まず、特定領域センサ39aによる遊技球の検知があったか否かを判定する(S2601)。検知がなければ(S2601でNO)処理を終了するが、検知があれば(S2601でYES)V有効期間中か否かを判定する(S2602)。V有効期間は、前述の振分部材制御処理(図28)におけるV有効期間設定処理(S2503)にて設定される期間である。具体的にはV有効期間は、図40(d)に示す期間である。
ステップS2602でV有効期間中であると判定した場合には(S2602でYES)、VフラグをONするとともに(S2603)、V通過コマンドをセットして(S2604)処理を終える。一方、ステップS2602でV有効期間中でないと判定した場合には(S2602でNO)、ステップS2603及びS2604の処理を行うことなく、特定領域センサ検出処理を終える。なお、V通過コマンドは、サブ制御基板90にV通過(特定領域39の通過)の報知を行わせるためのコマンドである。
6.演出制御用マイコン91の動作
[サブ制御メイン処理]次に図30~図39に基づいて演出制御用マイコン91の動作について説明する。なお、演出制御用マイコン91の動作説明にて登場するカウンタ、タイマ、フラグ、ステータス、バッファ等は、RAM94に設けられている。サブ制御基板90に備えられた演出制御用マイコン91は、パチンコ遊技機1の電源がオンされると、ROM93から図30に示したサブ制御メイン処理のプログラムを読み出して実行する。同図に示すように、サブ制御メイン処理では、まずCPU初期化処理を行う(S4001)。CPU初期化処理(S4001)では、スタックの設定、定数設定、CPU92の設定、SIO、PIO、CTC(割り込み時間の管理のための回路)等の設定等を行う。
続いて、電源断信号がONで且つRAM94の内容が正常であるか否かを判定する(S4002)。そしてこの判定結果がNOであれば、RAM94の初期化をして(S4003)、ステップS4004に進む。一方、判定結果がYESであれば(S4002でYES)、RAM94の初期化をせずにステップS4004に進む。すなわち、電源断信号がONでない場合、又は電源断信号がONであってもRAM94内容が正常でない場合には(S4002でNO)、RAM94を初期化するが、停電などで電源断信号がONとなったがRAM94内容が正常に保たれている場合には(S4002でYES)、RAM94を初期化しない。なお、RAM94を初期化すれば、各種のフラグ、ステータス及びカウンタ等の値はリセットされる。また、このステップS4001~S4003は、電源投入後に一度だけ実行され、それ以降は実行されない。
ステップS4004では、割り込みを禁止する。次いで、乱数更新処理を実行する(S4005)。乱数更新処理(S4005)では、種々の演出決定用乱数カウンタの値を更新する。なお、演出決定用乱数には、演出図柄を決定するための演出図柄決定用乱数、変動演出パターンを決定するための変動演出パターン決定用乱数、種々の予告演出を決定するための予告演出決定用乱数等がある。乱数の更新方法は、前述の主制御基板80が行う乱数更新処理と同様の方法をとることができる。更新に際して乱数値を1ずつ加算するのではなく、2ずつ加算するなどしてもよい。これは、前述の主制御基板80が行う乱数更新処理においても同様である。
乱数更新処理(S4005)が終了すると、コマンド送信処理を実行する(S4006)。コマンド送信処理では、サブ制御基板90のRAM94内の出力バッファに格納されている各種のコマンドを、画像制御基板100に送信する。コマンドを受信した画像制御基板100は、コマンドに従い画像表示装置7を用いて各種の演出(演出図柄変動演出や、大当たり遊技に伴うオープニング演出、ラウンド演出、エンディング演出や、小当たり演出等)を実行する。なお、画像制御基板100による各種の演出の実行に伴ってサブ制御基板90は、音声制御基板106を介してスピーカ67から音声を出力したり、ランプ制御基板107を介して盤ランプ5や枠ランプ66を発光させたり、装飾可動体15を駆動させたりする。演出制御用マイコン91は続いて、割り込みを許可する(S4007)。以降、ステップS4004~S4007をループさせる。割り込み許可中においては、受信割り込み処理(S4008)、1msタイマ割り込み処理(S4009)、および10msタイマ割り込み処理(S4010)の実行が可能となる。
[受信割り込み処理]受信割り込み処理(S4008)は、ストローブ信号(STB信号)がONになると、すなわち主制御基板80から送られたストローブ信号が演出制御用マイコン91の外部INT入力部に入力されると、他の割り込み処理(S4009、S4010)に優先して実行される処理である。受信割り込み処理(S4008)では、主制御基板80から送信されてきた各種のコマンドをRAM94の受信バッファに格納する。
[1msタイマ割り込み処理]1msタイマ割り込み処理(S4009)は、サブ制御基板90に1msec周期の割り込みパルスが入力される度に実行される。図31に示すように、1msタイマ割り込み処理(S4009)ではまず、入力処理(S4201)を行う。入力処理(S4201)では、演出ボタン検出スイッチ63a(図5参照)からの検知信号に基づいてスイッチデータ(エッジデータ及びレベルデータ)を作成する。
続いて、ランプデータ出力処理(S4202)を行う。ランプデータ出力処理(S4202)では、演出に合うタイミングで盤ランプ5や枠ランプ66を発光させるべく、後述の10msタイマ割り込み処理にて作成したランプデータをランプ制御基板107に出力する。つまり、ランプデータに従って盤ランプ5や枠ランプ66を所定の発光態様で発光させる。
次いで、駆動制御処理(S4203)を行う。駆動制御処理(S4203)では、演出に合うタイミングで装飾可動体15を駆動させるべく、駆動データ(装飾可動体15の駆動のためのデータ)を作成したり、出力したりする。つまり、駆動データに従って、装飾可動体15を所定の動作態様で駆動させる。
そして、ウォッチドッグタイマのリセット設定を行うウォッチドッグタイマ処理(S4204)を行って、本処理を終える。
[10msタイマ割り込み処理]10msタイマ割り込み処理(S4010)は、サブ制御基板90に10msec周期の割り込みパルスが入力される度に実行される。図32に示すように、10msタイマ割り込み処理(S4010)ではまず、後述する受信コマンド解析処理を行う(S4301)。次いで、1msタイマ割り込み処理で作成したスイッチデータを10msタイマ割り込み処理用のスイッチデータとしてRAM94に格納するスイッチ状態取得処理を行う(S4302)。続いて、スイッチ状態取得処理にて格納したスイッチデータに基づいて表示画面7aの表示内容等を設定するスイッチ処理を行う(S4303)。
その後、演出制御用マイコン91は、ランプデータ(盤ランプ5や枠ランプ66の点灯を制御するデータ)を作成したり(S4304)、音声データ(スピーカ67からの音声の出力を制御するデータ)の作成及び音声制御基板106への出力をしたりする(S4305)。そして、各種の演出決定用乱数を更新するなどのその他の処理を実行して(S4306)、本処理を終える。
[受信コマンド解析処理]図33に示すように、受信コマンド解析処理(S4301)ではまず、演出制御用マイコン91は、主制御基板80から保留増加コマンド(特図1保留増加コマンド又は特図2保留増加コマンド)を受信したか否か判定し(S4401)、受信していれば保留球数増加処理を行う(S4402)。保留球数増加処理(S4402)では、受信したコマンドが特図1保留増加コマンドであれば、RAM94に設けられた第1特図保留演出カウンタの値を1インクリメントする。また、受信したコマンドが特図2保留増加コマンドであれば、RAM94に設けられた第2特図保留演出カウンタの値を1インクリメントする。この処理と後述する保留球数減算処理(S4405)とにより、主制御基板80側だけでなく、サブ制御基板90側でも特図1保留球数及び特図2保留球数の情報を保持するようにしている。
なお、第1特図保留演出カウンタは、RAM84の第1特図保留記憶部85aに記憶されている乱数値群(数値情報)の個数である第1特図保留(特図1保留)の数を計数するカウンタである。また、第2特図保留演出カウンタは、RAM84の第2特図保留記憶部85bに記憶されている乱数値群(数値情報)の個数である第2特図保留(特図2保留)の数を計数するカウンタである。
続いて、演出制御用マイコン91は、主制御基板80から変動開始コマンド(特図1変動開始コマンド又は特図2変動開始コマンド)を受信したか否か判定し(S4403)、受信していれば後述する変動演出開始処理を行うとともに(S4404)、保留球数減算処理を行う(S4405)。保留球数減算処理(S4405)では、受信したコマンドが特図1変動開始コマンドであれば、RAM94に設けられた第1特図保留演出カウンタの値を1ディクリメントする。また、受信したコマンドが特図2変動開始コマンドであれば、RAM94に設けられた第2特図保留演出カウンタの値を1ディクリメントする。
続いて、演出制御用マイコン91は、主制御基板80から変動停止コマンドを受信したか否か判定し(S4406)、受信していれば後述する変動演出終了処理を行う(S4407)。
続いて、演出制御用マイコン91は、主制御基板80からオープニングコマンドを受信したか否か判定し(S4408)、受信していれば後述するオープニング演出選択処理を行う(S4409)。
続いて、演出制御用マイコン91は、主制御基板80からエンディングコマンドを受信したか否か判定し(S4410)、受信していれば後述するエンディング演出選択処理を行う(S4411)。
続いて、演出制御用マイコン91は、主制御基板80からV通過コマンドを受信したか否か判定し(S4412)、受信していればV通過報知演出開始処理(S4413)を行う。V通過報知演出開始処理(S4413)では、V通過報知演出を開始するためのV通過報知演出開始コマンドをRAM94の出力バッファにセットする。V通過報知演出とは、V通過(特定領域39への通過)があったことを遊技者に報知するための演出である。本形態では、所定のV通過報知画像(例えば「V」の文字を示す文字画像)を表示画面7aに表示する演出である。このV通過報知演出としての「V」の文字画像の表示は、特定領域39への通過に基づいて大当たり遊技を実行する本パチンコ遊技機1では、大当たり当選報知としての意味をもつ。なお、V通過報知演出は、特別の効果音をスピーカ67から出力するなど、他の態様であってもよい。
続いて、演出制御用マイコン91は、主制御基板80から右打ち指定コマンドを受信したか否か判定し(S4414)、受信していれば右矢印画像表示処理(S4415)を行う。右矢印画像表示処理(S4415)では、所定の右矢印画像RI(図42参照)を表示画面7aに表示するための右矢印画像表示コマンドを、RAM94の出力バッファにセットする。但し、特1小当たり(特1V非通過小当たり)の小当たり遊技の開始時であれば、右矢印画像表示コマンドをセットしない。特1V非通過小当たりの当選時には右矢印画像RIの表示を行わないためである。
ステップS4415でセットされた右矢印画像表示コマンドがコマンド送信処理(S4006)により画像制御基板100に送信されると、画像制御基板100のCPU102は、右向きの矢印と「右打ち」の文字からなる右矢印画像RI(図42参照)を、画像表示装置7の表示画面7aに表示する。右矢印画像RIの表示は、右打ちの報知の例である。
続いて、演出制御用マイコン91は、主制御基板80から左打ち指定コマンドを受信したか否か判定し(S4416)、受信していれば右矢印画像非表示処理(S4417)を行う。右矢印画像非表示処理(S4417)では、右矢印画像RIの表示を終了させるための右矢印画像非表示コマンドを、RAM94の出力バッファにセットする。
ステップS4417でセットされた右矢印画像非表示コマンドがコマンド送信処理(S4006)により画像制御基板100に送信されると、画像制御基板100のCPU102は、表示画面7aに右矢印画像RIを表示していれば、その右矢印画像RIの表示を終了する。
このように本形態では、右矢印画像RIの表示は、右打ち指定コマンドの受信時に開始され、左打ち指定コマンドの受信時に終了する。つまり、大当たり遊技中や特図2の抽選に基づく小当たり遊技中、時短状態(高ベース状態)中には、右矢印画像RIが表示され、非時短状態(低ベース状態)中は、右矢印画像RIが表示されないこととなる。なお、大当たり遊技中の一部の期間(例えばエンディング中)は表示しない構成としてもよい。
続いて、演出制御用マイコン91は、その他の処理(S4418)として上記のコマンド以外の受信コマンド(例えば普図変動開始コマンドや普図変動停止コマンド)に基づく処理を行って、受信コマンド解析処理を終える。
[変動演出開始処理]図34に示すように、変動演出開始処理(S4404)では、演出制御用マイコン91は、後述する背景処理(S4801)および変動演出パターン選択処理(S4802)を行う。
[背景処理]図35に示すように、背景処理(S4801)ではまず、演出制御用マイコン91は、背景データを参照する(S4901)。背景データとは、表示画面7aに表示する背景画像を示すデータである。本形態では、背景画像として、「通常背景」と「特別背景」とを表示することが可能となっている。「通常背景」は、図41(a)に示す昼の背景である。また、「特別背景」は、図41(b)に示す夜の背景である。
なお、「通常背景」を表示する演出モードを「昼背景モード」という。また、「特別背景」を表示する演出モードを「夜背景モード」という。「夜背景モード」は、大当たり遊技を獲得し易い有利状態(言い換えれば大当たり遊技の実行され易さの点で遊技者に有利な有利状態)であることを示唆する演出モードである。この演出モードを「有利演出態様」とも言う。これに対して、「昼背景モード」は、有利状態よりも大当たり遊技を獲得し難い非有利状態であることを示唆する演出モードである。この演出モードを「非有利演出態様」とも言う。また、有利演出態様において表示画面7aに表示される背景画像を「有利背景画像」とも称し、非有利演出態様において表示画面7aに表示される背景画像を「非有利背景画像」とも称する。なお演出モードとは、本形態では画像表示装置7における演出の態様であり、演出モードが異なると、上述の通り背景画像が異なる等、画像表示装置7に表示される画像が異なり、変動演出も演出モードに応じた態様で実行される。
図35の背景処理では、ステップS4901で参照した背景データが通常背景の背景データであるか否か、すなわち現在の滞在背景が通常背景であるか否かを判定する(S4902)。通常背景であれば、本処理を終える。これに対して、通常背景でなければ、続いてRAM94に設けた背景カウンタの値が「0」であるか否かを判定する(S4903)。
背景カウンタは、時短状態にて実行した特別図柄の変動表示の回数をカウントするためのカウンタである。詳細には、背景カウンタには、時短状態にて実行した特図1の変動回数と特図2の変動回数との合計回数をカウントするための第1背景カウンタMaと、時短状態にて実行した特図2の変動回数をカウントするための第2背景カウンタMbとがある(図39中の表参照)。後述するが、大当たり遊技のエンディングに際して、第1背景カウンタMaには、合計時短回数(合計時短カウンタの値)に対応する値がセットされ、第2背景カウンタMbには、特2時短回数(特2時短カウンタの値)に対応する値がセットされる(図39参照)。本形態では、背景カウンタを用いたカウントにより、夜背景への滞在期間を管理している。
背景処理(図35)におけるステップS4903では、第1背景カウンタMaおよび第2背景カウンタMbのいずれか一方でも値が「0」となっていないかを判定する。ステップS4903の判定結果がNOであれば、本処理を終える。これに対して、ステップS4903の判定結果がYESであれば、続いて特2保留(第2特図保留)があるか否かを判定する(S4904)。特2保留の有無の判定は、RAM94の第2特図保留演出カウンタの値に基づいて行う。なお以降の処理においても、演出制御用マイコン91が特2保留の有無を確認する際には、第2特図保留演出カウンタの値が参照される。特2保留がなければ(S4904でYES)、滞在背景を通常背景にセットする、すなわち、背景データの値を通常背景の背景データの値にセットする(S4905)。これは、遊技者に対して有利状態が終了したことを示すためである。
これに対して、特2保留があれば(S4904でNO)、滞在背景を通常背景に戻すことなく、本処理を終える。つまり、滞在背景を特別背景のままとする。これは、設定された時短回数分の特図変動の実行によって時短状態(高ベース状態)は終了したがまだ第2特図保留が残っているためである。
[変動演出パターン選択処理]図36に示すように、変動演出パターン選択処理(S4802)ではまず、演出制御用マイコン91は、変動開始コマンドを解析する(S5001)。変動開始コマンドには、特図1変動パターン選択処理(S1003)又は特図2変動パターン選択処理(S1009)でセットされた変動パターンの情報が含まれている。次に演出制御用マイコン91は、背景データを参照する(S5002)。
続いて演出制御用マイコン91は、背景データ及び変動パターンに応じて設けられている複数の変動演出パターンテーブルの中から、ステップS5002で参照した背景データ及びステップS5001で解析した変動開始コマンドが示す変動パターンに対応する変動演出パターンテーブルを選択してセットする(S5003)。そして、このテーブルに基づいて変動演出パターンを選択する(S5004)。
このとき演出決定用乱数の取得および判定も行う。これにより、いわゆるステップアップ予告演出やチャンスアップ予告演出などの予告演出の内容や、停止表示する演出図柄8L,8C,8Rの組み合わせなどを含めて、変動演出としてどのような演出を行うかが決定される。そして、選択した変動演出パターンにて変動演出を開始するための変動演出開始コマンドをRAM94の出力バッファにセットする(S5005)。
ステップS5005でセットされた変動演出開始コマンドがコマンド送信処理(S4006)により画像制御基板100に送信されると、画像制御基板100のCPU102は、所定の演出画像をROM103から読み出して、画像表示装置7の表示画面7aにて変動演出を行う。
本形態では、背景データに応じた背景画像で変動演出が実行される。具体的には、背景データが通常背景に対応する値であれば、図41(a)に示すように、背景画像として昼背景の画像を表示画面7aに表示した上で変動演出を実行する。また、背景データが特別背景に対応する値であれば、図41(b)に示すように、背景画像として夜背景の画像を表示画面7aに表示した上で変動演出を実行する。
夜背景の画像は、大当たりを獲得し易い状態であることを遊技者に対して報知する画像である。詳しく述べれば、夜背景の画像は、現在の遊技状態が時短状態且つ高ベース状態であるとき、及び、通常遊技状態(非時短状態且つ低ベース状態)であるがその通常遊技状態への移行時点で第2特図保留があったときに表示される。これらの場合は、第2特図保留に基づく小当たり当選から、V通過(V入賞)を経て大当たり遊技を実行させることが可能である。つまり、大当たりを獲得し易い状態といえる。
これに対して昼背景の画像は、大当たりを獲得し易い状態ではないことを遊技者に対して報知する画像である。詳しく述べれば、これらの画像は、現在の遊技状態が通常遊技状態(非時短状態且つ低ベース状態)であり第2特図保留もないときに表示される。大当たり遊技の終了後に通常遊技状態に制御された場合や、通常遊技状態において第2特図保留がなくなった場合には、特図1の抽選にて大当たりを獲得しなければならない。そのため、特図2の抽選のように容易に大当たりを獲得することはできない。つまり、第2特図保留のない通常遊技状態は、大当たりを獲得し易い状態ではない。
また、変動演出パターン選択処理(図36)において、変動開始コマンドが示す変動パターンがP31~P33(図10参照)である場合、演出制御用マイコン91は、チャレンジ演出の演出パターンを選択する。チャレンジ演出には、成功態様と失敗態様とがある。成功態様のチャレンジ演出は、所定のキャラクタがファーストミッションにチャレンジし、そのミッションをクリアする様子を表示画面7aに表示する演出であり、変動パターンがP31である場合、若しくは変動パターンがP32である場合に実行される。すなわち、大当たりあるいは小当たりに当選している場合に実行される。一方、失敗態様のチャレンジ演出は、所定のキャラクタがファーストミッションにチャレンジし、そのミッションをクリアできない様子を表示画面7aに表示する演出であり、変動パターンがP33である場合に実行される。
また、変動演出パターン選択処理(図36)において、変動開始コマンドが示す変動パターンがP21~P23(図10参照)である場合、演出制御用マイコン91は、ラストチャレンジ演出の演出パターンを選択する。ラストチャレンジ演出には、成功態様と失敗態様とがある。成功態様のラストチャレンジ演出は、所定のキャラクタがファイナルミッションにチャレンジし、そのミッションをクリアする様子を表示画面7aに表示する演出であり、変動パターンがP21である場合、若しくは変動パターンがP22である場合に実行される。すなわち、大当たりあるいは小当たりに当選している場合に実行される。一方、失敗態様のラストチャレンジ演出は、所定のキャラクタがファイナルミッションにチャレンジし、そのミッションをクリアできない様子を表示画面7aに表示する演出であり、変動パターンがP23である場合に実行される。なお、ラストチャレンジ演出が行われる特図変動の変動時間は、90秒と比較的長い。
また、変動演出パターン選択処理(図36)において、変動開始コマンドが示す変動パターンがP8~P10(図10参照)である場合、演出制御用マイコン91は、チャンス変動待機演出の演出パターンを選択する。チャンス変動待機演出は、「待機中」の文字画像を含む演出画像を表示画面7aに表示する演出である。変動パターンP8~P10が選択されるのは、時短状態が終了して非時短状態に戻ったときの特図2保留に基づく1回目の変動後、2回目の変動前の期間であると考えられ、この期間の特図1の変動表示(1回の変動時間が35秒)は、後述する「特図2変動待機期間」にあたるため、このような演出を実行することとしている。なお、各変動パターンに基づく変動演出の内容については適宜変更可能である。
[変動演出終了処理]図37に示すように、変動演出終了処理(S4407)ではまず、演出制御用マイコン91は、変動停止コマンドを解析するとともに(S5201)、背景データを参照する(S5202)。次に、滞在背景が通常背景(昼背景)であるか否かを判定する(S5203)。そして、滞在背景が通常背景であれば、ステップS5205に進む。
一方、滞在背景が通常背景でなければ(S5203でNO)、背景カウンタの値を1ディクリメントしてから(S5204)、ステップS5205に進む。詳細には、特図2の変動停止時であれば、ステップS5204では第1背景カウンタMaおよび第2背景カウンタMbの値をそれぞれ1ディクリメントする。これに対して、特図1の変動停止時であれば、ステップS5204では第1背景カウンタMaの値だけを1ディクリメントする。
ステップS5205では、演出制御用マイコン91は、変動演出を終了させるための変動演出終了コマンドをセットする。
ステップS5205に続いて、演出制御用マイコン91は、今回終了させる変動演出が、通常遊技状態(非時短状態且つ低ベース状態)における特図2の小当たり変動(小当たり当選の判定結果に基づく変動)に伴う変動演出であるか否かを判定する(S5206)。本形態では、通常遊技状態における特図2の小当たり変動の際の停止時間は、15秒と他の場合の停止時間よりも長い時間に設定されている(図10参照)。ステップS5206の判定結果がNOであれば本処理を終える。これに対して、ステップS5206の判定結果がYESであれば、図42に示すV打込指示演出(Vアタッカー打込報知演出)の演出開始コマンドをRAM94の出力バッファにセットする(S5207)。
このコマンドを受信した画像制御基板100は、15秒と長めの停止時間を利用して、図42に示すV打込指示演出の演出画像を表示画面7aに表示する。なお、図42に示す演出画像は、特定領域39を備える第2大入賞装置36(Vアタッカー)を狙って右打ちにて遊技球を発射すべき旨を示唆する演出画像である。つまり、第2大入賞口35への入賞(特定領域39への通過)を狙って右打ちにて遊技球を発射すべき旨を示唆する演出画像である。なお、V打込指示演出の演出画像には、右矢印画像RIも含まれる。このように本形態では、小当たり遊技の実行前から遊技者に第2大入賞口35への入賞を促している。従って、小当たり遊技において余裕をもって遊技球を第2大入賞口35へ入賞させることが可能となっている。
[オープニング演出選択処理]図38に示すオープニング演出選択処理(S4409)は、大当たり遊技のオープニング中に実行するオープニング演出、又は小当たり遊技中に実行する小当たり演出の演出パターン(内容)を選択する処理である。図38に示すように、オープニング演出選択処理(S4409)ではまず、オープニングコマンドを解析する(S5501)。なお本形態では、オープニングコマンドには、特別図柄の種別(当たりの種別)の情報および当選時の遊技状態の情報が含まれている(図7参照)。
続いて演出制御用マイコン91は、解析したオープニングコマンドが小当たり遊技の開始を示すコマンドであるか否かを判定する(S5502)。小当たり遊技の開始を示すコマンドでなければ(S5502でNO)、大当たり遊技の開始時であるため、当選した大当たりの種別に応じた大当たりのオープニング演出(OP演出)を選択して(S5503)、ステップS5507に進む。
これに対して、小当たり遊技の開始を示すコマンドであれば(S5502でYES)、続いて、特図1の抽選に基づいて当選した小当たり(すなわち「16R小当たりA」、図7参照)であるか否かを判定する(S5504)。特図1の抽選に基づく小当たり当選でなければ(S5504でNO)、特図2の抽選に基づいて当選した小当たり(すなわち「16R小当たりB」、図7参照)であるため、その小当たり用の演出(特2小当たり用演出)を選択して(S5505)、ステップS5507に進む。
一方、ステップS5504において特図1の抽選に基づく小当たり当選であれば(S5504でYES)、特1小当たり用演出を選択して(S5506)、ステップS5507に進む。特1小当たり用演出としては例えば、演出制御用マイコン91は、同一演出モード内で異なるステージに変更するステージチェンジ演出が挙げられる。なお、ステージが変更されると、表示画面7aに表示される背景画像等の演出態様が異なる演出態様に変更される。
ステップS5507では、上述した各処理にて選択した演出を開始するためのオープニング演出開始コマンドを、RAM94の出力バッファにセットする。
ステップS5507でセットされたオープニング演出開始コマンドが、コマンド送信処理(S4006)により画像制御基板100に送信されると、画像制御基板100のCPU102は、オープニング演出開始コマンドに応じた演出画像をROM103から読み出して、画像表示装置7の表示画面7aに表示する。
[エンディング演出選択処理]図39に示すエンディング演出選択処理(S4411)は、大当たり遊技のエンディング中に実行するエンディング演出の演出パターン(内容)を選択する処理である。図39に示すように、エンディング演出選択処理(S4411)ではまず、エンディングコマンドを解析する(S5701)。なお本形態では、エンディングコマンドには、特別図柄の種別(当たりの種別)の情報および当選時の遊技状態の情報が含まれている(図7参照)。
続いて演出制御用マイコン91は、ステップS5701で解析したエンディングコマンドが示す当たりの種別が「時短付き当たり」であるか否かを判定する(S5702)。時短付き当たりは、大当たり遊技の終了後の遊技状態が時短状態に制御される当たりであり、本形態では、図7に示す「4R時短大当たり」、「15R時短大当たり」、「16R小当たりB」がこれに該当する。
ステップS5702で時短付き当たりでないと判定した場合には(S5702でNO)、「15R通常大当たり」に基づく大当たり遊技のエンディングであるため、図43(a)に示す「またね!」の文字画像を含む演出画像を表示画面7aに表示するエンディング演出の演出パターンを選択する(S5403)。このようなエンディング演出により、遊技者には時短状態に制御されないこと(すなわち非時短状態に制御されること)が示される。そして、演出制御用マイコン91は、滞在背景を「通常背景」にセットして(S5704)、ステップS5713に進む。
これに対して、ステップS5702で時短付き当たりであると判定した場合には(S5702でYES)、続いて、その時短付き当たりへの当選時の滞在背景が通常背景であるか否かを判定する(S5705)。当選時の滞在背景が通常背景であれば(S5705でYES)、続いて、特図1の抽選に基づいて当選した大当たりであるか否かを判定する(S5706)。特図1の抽選に基づく大当たりであれば(S5706でYES)、所謂「初当たり」としての「4R時短大当たり」であるため、図43(b)に示す「夜背景モード突入!」の文字画像を含む演出画像を表示画面7aに表示するエンディング演出の演出パターンを選択する(S5707)。このようなエンディング演出により、遊技者には時短状態(高ベース状態)に制御されることが示される。そして、演出制御用マイコン91は、滞在背景を「特別背景」にセットするとともに(S5708)、第1背景カウンタMaの値を「5」(合計時短回数に対応する値)にセットし、第2背景カウンタMbの値を「1」(特2時短回数に対応する値)にセットして(S5709)、ステップS5713に進む。
一方、ステップS5705において当選時の滞在背景が通常背景でなければ(S5705でNO)、所謂「初当たり」ではなく「継続当たり」であるため、図43(c)に示す「夜背景モード継続!」の文字画像を含む演出画像を表示画面7aに表示するエンディング演出の演出パターンを選択する(S5710)。このようなエンディング演出により、遊技者には時短状態(高ベース状態)に制御されることが示される。そして、演出制御用マイコン91は、滞在背景を「特別背景」にセットするとともに(S5711)、第1背景カウンタMaの値を「5」にセットし、第2背景カウンタMbの値を「1」にセットして(S5712)、ステップS5713に進む。なお、ステップS5706の判定結果がNOである場合もステップS5710~S5712を実行して、ステップS5713に進む。
このように本形態では、時短付き当たりに当選した場合には、合計時短回数(第1背景カウンタMaの値)が、特2時短回数(第2背景カウンタの値)「1」よりも第1特図保留の上限記憶数(本形態では「4」)分大きい値「5」にセットされる。これにより、第1特図保留が4つ溜まっている状態で時短状態に移行した場合でも、その4つの保留に基づく特図変動の実行によって時短状態が終了することなく、特2時短回数分の特図2の変動表示が行われる余地が残るようになっている。
ステップS5713では、演出制御用マイコン91は、選択した演出パターンにてエンディング演出を開始するためのエンディング演出開始コマンドを、RAM94の出力バッファにセットする。ステップS5713でセットされたエンディング演出開始コマンドが、コマンド送信処理(S4006)により画像制御基板100に送信されると、画像制御基板100のCPU102は、エンディング演出開始コマンドに応じたエンディング演出画像をROM103から読み出して、画像表示装置7の表示画面7aに表示する。つまり、図43に示す各演出画像のいずれかが表示画面7aに表示されることとなる。
なお本形態では、エンディング演出開始コマンドには、上記の処理により設定した滞在背景に関する情報が含まれており、エンディング演出開始コマンドを受信した画像制御基板100は、エンディング演出の終了とともに、そのコマンドが示す滞在背景を表示画面7aに表示する。
7.本形態における遊技の流れ
次に、本形態のパチンコ遊技機1における遊技の進行の流れについて、図44に基づいて説明する。図44に示すように、まず、通常遊技状態においては左打ちにて遊技を進行する。これにより、特図1の抽選に基づく大当たりの当選を狙う。この遊技開始時点の通常遊技状態では昼背景モードに設定されている。従って、表示画面7aには、図41(a)に示す昼の背景画像が表示される。なお、この昼の背景画像は、変動演出を実行していないときにも表示される。
特図1の抽選にて大当たりに当選した場合、その大当たりが「15R通常大当たり」であれば、大当たり遊技の終了後の遊技状態は通常遊技状態に制御される。一方、「4R時短大当たり」であれば、大当たり遊技の終了後の遊技状態は時短状態に制御される。この振分率は各50%である。なお本明細書においては、V通過を経ないで当選する大当たりを、「直撃大当たり」と記載することがある。当選した大当たりが「15R通常大当たり」であった場合には、再び通常遊技状態において特図1の抽選に基づく大当たりの当選を狙って遊技を進行する。
これに対して、「4R時短大当たり」であった場合には、時短状態且つ高ベース状態に制御される。この時短状態且つ高ベース状態では、遊技者は右打ちにて遊技を進行する。これにより、特図2の抽選に基づく大当たりの当選を狙う。本形態では、時短状態且つ高ベース状態は、基本的には、特図2の変動表示が1回実行されることにより終了する。また、この時短状態中には、第2特図保留を2つ貯めることができる。よって本形態では、一旦時短状態に制御されると、時短状態における1回の特図2の変動表示と、その時短状態で保留された第2特図保留に基づく2回の特図2の変動表示との、合計3回の特図2の変動表示が実行され得る。言い換えれば、本形態では一旦時短状態に制御されると、特図2の抽選を3回受けることが可能となっている。
なお、この期間は、夜背景モードに設定される(図44の破線による囲み部分参照)。従って、表示画面7aには、図41(b)に示す夜の背景画像が表示される。このように本形態では、時短状態中の演出モードと、時短状態ではなく通遊技状態ではあるが第2特図保留が残っているときの演出モードを同じ演出モードとしている。これにより、両方の遊技期間に遊技者にとって有利な状態である遊技期間としての統一感をもたせるようにしている。
そして、特図2の抽選では、特図1の抽選よりも著しく高い1/4程度の確率で小当たり当選となる(図9(A)参照)。しかも、特図2の抽選にて当選する小当たりは、その小当たり遊技における開放パターンを通過用開放パターン(第2大入賞口35への入賞タイミングにかかわらず特定領域39を通過可能な開放パターン)とする小当たりである(図40(b)(c)参照)。従って、遊技者が正しく遊技を実行している限り(つまり右打ちの報知に従って遊技をしている限り)、特図2の抽選にて小当たりに当選すれば必ず、大当たり遊技が実行されることとなる。そのため、特図2の抽選の機会が3回しかなくても十分に大当たりを獲得することが可能となっている。なお、このように大当たりを獲得し易い最大で3回に及ぶ特図2の変動を、チャンス変動と称する。
また、特図2の抽選にて当選する小当たりは、「時短付き当たり」である。よって、特図2の抽選にて小当たりに当選した場合、V通過に基づく2種大当たり遊技の終了後の遊技状態は、再び時短状態且つ高ベース状態に制御される。なお、特図2の抽選における直撃大当たりも「時短付き当たり」である(図7参照)。よって、特図2の抽選にて大当たりに当選した場合も、再び時短状態且つ高ベース状態に制御される。よって本形態では、チャンス変動にて大当たりに当選し続ける限り大当たりの連チャンが続く遊技機となっている。
これに対して、3回のチャンス変動にて大当たりに当選しなかった場合には、第2特図保留のない通常遊技状態となる。よって、大当たり遊技の実行され易さの点で遊技者にとって有利な状態は終了したこととなる。つまり、大当たりの連チャンが終了したこととなる。なお、この状態では昼背景モードに設定される。よって、表示画面7aには図41(a)に示す昼の背景画像が表示される。この昼の背景画像の表示により、遊技者に対して有利な状態が終了したことが示唆される。
ここで図45に示すように、初当たり後の時短状態において1回目の特図2の変動表示が終了して非時短状態に戻ると、1つ目の「残保留」(時短状態中に生じた特図2保留)に基づく特図2の変動表示が開始される(図45中のタイミングTa参照)。このときには、右打ち表示器45は、点灯状態から消灯状態に切り替わる(つまり右打ち期間から左打ち期間に切り替わる)。非時短状態では左打ちの方がベースが高いためである。よって、遊技球の発射が継続される場合には、「左打ち」がなされると考えられる。
「左打ち」が行われれば、第1始動口20への入賞が生じ得る。特に本形態では、非時短状態における特図2の変動表示の変動時間は90秒と比較的長い(図10参照)。よって、第1始動口20への入賞が、特図1保留の上限記憶数である「4」回以上は十分に生じると考えられる。すなわち、1つ目の残保留に基づく特図2変動中に、特図1保留が4つ発生すると考えられる(図45中のタイミングTa~Tb参照)。
そして、この1つ目の残保留に基づく特図2変動が「ハズレ変動」(ハズレの判定結果に基づく変動)であった場合には、その次の変動は、2つ目の残保留に基づく特図2変動ではなく、特図1保留に基づく特図1変動となる。特図1の変動表示は、特図2の変動表示に優先して実行されるからである(図17参照)
この特図1変動の変動時間は35秒と比較的長い(図10に示す特図1に係る時短終了後15G以内用のテーブル参照)。よって、4回の特図1変動が全て終わるまでにはおよそ140秒(35秒×4回)を要する。そして、これら4回の特図1変動の実行終了までの期間も、左打ちが継続されていれば、新たな特図1保留が適宜発生していくと考えられる。
つまり本形態では、時短状態から非時短状態に戻り「左打ち」による遊技が続けられた場合、非時短状態に戻ってからの期間は「特図1保留の発生期間」となるが、この期間のうち特に「1つ目の残保留に基づく特図2変動の実行期間」は、特図1保留の「初期発生期間」となり(図45中のタイミングTaからTbまでの期間)、「その後の特図1変動の実行期間」は、特図1保留の「追加発生期間」となる(図45中のタイミングTbからTcまでの期間)。このため本形態では、非時短状態において1つ目の残保留に基づく特図2変動が行われてから、2つ目の残保留に基づく特図2変動が行われるまでの間には、特図1変動がn回(nは、初期発生期間において発生した特図1保留の数と追加発生期間において発生した特図1保留の数の合計数)実行されることとなる。
このように本形態では、非時短状態において1つ目の残保留に基づく特図2変動が終わっても、特図1保留が「0」にならない限り、2つ目の残保留に基づく特図2変動は開始されない。すなわち本形態では、1つ目の残保留に基づく特図2変動の終了後、2つ目の残保留に基づく特図2変動の開始までの間に、n回の特図1変動による「特図2変動待機期間」(チャンス変動である特図2変動を待つ期間)が生じることとなる(図45中のタイミングTbからTc参照)。よって、短期間に大当たりが連続し過ぎること(言い換えれば短期間に多くの賞球が払い出され過ぎること)を抑制することが可能となっている。
なお、本形態のパチンコ遊技機1では、大当たり遊技後に時短状態に制御された場合には(図46(A)(B)参照)、大当たり遊技の終了時点で特図1保留が4つ貯まっていたとしても、特図1の変動時間はそれぞれ3秒と短いため(図10参照)、特図2の変動表示が開始されるまでにかかる時間はおよそ12秒(3秒×4回)とそれほど長くはない(図46(B)(C)(D)参照)。つまり本形態では、時短状態において上記のような「特図2変動待機期間」が生じることはないため、スムーズに特図2の変動表示が開始されるようになっている。そのため、短期間に大当たりが連続し過ぎないこと(言い換えれば短期間に払い出される賞球が少なすぎること)を抑制することが可能となっている。
8.本形態の効果
以上詳細に説明したように本形態のパチンコ遊技機1によれば、時短状態(高ベース状態)が終了して非時短状態(低ベース状態)となり、時短状態中に生じた2つの第2特図保留(所謂「残保留」)のうちの1つ目に基づく特図2の変動表示が実行された場合、第2流路R2への打込を示す打方報知(右打ち表示器45の点灯)は終了しているため(図45参照)、第1流路R1への打込が行われることに期待できる。第1流路R1への打込が行われれば、第1特図保留が最大で4つ生じる可能性がある。
そして、特図1保留が生じており、実行中の特図2変動がハズレ変動であれば、2つ目の残保留に基づく特図2変動よりも優先して、特図1変動が実行される。このような状態は、特図1保留がなくなるまで続く。つまり、特図1保留がなくなるまで特図2変動は保留され続ける(図45参照)。よって、時短状態が終了して非時短状態に戻った場合に、保留されている全ての特図2変動が実行され終わるまでの期間が長くなる。よって、特図2変動が行われ難くなり、その結果、大当たり遊技が頻繁に行われ過ぎてしまうのを抑制することが可能である。
また本形態のパチンコ遊技機1によれば、時短状態から非時短状態に戻った後は、特図1変動の変動時間が35秒と比較的長いため(図10参照)、特図1変動の実行にある程度時間がかかるとともに、追加的な特図1保留を発生させ易くなっている。よって、保留されている特図2変動が全て実行され終わるまでの期間を、ある程度長くすることが可能である。よって、大当たり遊技が頻繁に行われるのを効果的に抑制することが可能である。
また本形態のパチンコ遊技機1によれば、特図1の抽選に基づいて大当たり遊技が実行された後で時短状態に制御された場合(すなわち所謂「初当たり」に基づいて時短状態に制御された場合)には、第1特図保留があっても、特図1の変動時間は比較的短いため(1変動3秒)、スムーズにチャンス変動(特図2の変動表示)を行わせることが可能である(図46参照)。
また本形態のパチンコ遊技機1によれば、時短状態が終了して非時短状態となり、時短状態中に生じた第2特図保留に基づく特図2の変動表示が実行された場合、その変動表示の変動時間は90秒と比較的長い(図10参照)。そのため、非時短状態における特図2の変動表示中に左打ちがなされた場合に、第1特図保留が上限記憶数である「4」まで貯まり易い。よって、非時短状態に復帰してから、保留されている特図2変動が全て実行され終わるまでの期間を長引かせ易くなっており、大当たり遊技が頻繁に行われ過ぎるのを抑制し易くなっている。なお本形態では、非時短状態における特図2の変動表示の変動時間は、時短状態における特図2の変動表示の変動時間よりも長くなっている(図10参照)。
また本形態のパチンコ遊技機1によれば、時短状態が終了しても第2特図保留が無くなるまでは夜背景が表示されるため、まだ大当たりを獲得し易い有利状態であることを遊技者に認識させることが可能である。そして、非時短状態での第2特図保留に基づく特図変動は、90秒と変動時間が長いため、遊技を盛り上げるのに効果的な演出(本形態ではラストチャレンジ演出)を十分に実行することが可能である。
また本形態のパチンコ遊技機1によれば、非時短状態で第2特図保留に基づく特図変動が実行されて、小当たりに当選した場合、小当たり変動の停止時間が15秒と長く(図10参照)、また、右打ちを促すV打込指示演出(図42参照)が実行される。よって、非時短状態に戻っており、右打ち表示器45が消灯し、右矢印画像RIが非表示になっているために左打ちを行っていたとしても、特定領域39への通過の機会を逃さずに遊技することが可能である。
9.変更例
以下、パチンコ遊技機1の変更例について説明する。勿論、変更例に係る構成同士を適宜組み合わせて構成しても良い。また、上記形態および下記変更例中の技術的特徴は、本明細書において必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
上記形態では、時短状態における特図1の変動時間が必ず3秒に設定されるように構成した(図10参照)。これに対して、現在の時短状態の移行契機となった特別図柄(時短契機図柄)が「特図1_時短図柄1」であるのか(つまり特図1の抽選で当選した当たり図柄であるのか)、「特図2_時短図柄2」又は「特図2_小当たり図柄2」のいずれかであるのか(つまり特図2の抽選で当選した当たり図柄であるのか)に応じて、異なる変動パターンを選択する構成としてもよい。具体的には例えば、前者の場合(すなわち所謂「初当たり」に基づいて時短状態に制御されている場合)には、上記形態と同様、3秒等の短い変動時間の変動パターンを選択するが、後者の場合(すなわち所謂「継続当たり」に基づいて時短状態に制御されている場合)には、70秒等の長い変動時間の変動パターンを選択する構成としてもよい。このような構成とすれば、次のような効果が見込める。
すなわち、上記形態において仮に残保留(非時短状態に戻った際に貯まっている特図2保留)に基づく1回目の変動表示が、小当たり変動(小当たり当選の判定結果に基づく変動)又は大当たり変動(大当たり当選の判定結果に基づく変動)であった場合には、非時短状態において特図1変動による特図2変動待機期間が生じることなく、大当たり遊技が行われて時短状態に制御される。そして、この時短状態の開始時点では、残保留に基づく変動表示中に貯まった4つの特図1保留があると考えられる。よってこの時短状態では、4つの特図1保留が全て消化されてからでないと、特図2の変動表示(チャンス変動)が実行されない。ここで、この時短状態で実行される4回の特図1の変動表示がそれぞれ70秒の変動時間で行われれば、時短状態への制御が開始されてから、およそ280秒(70秒×4回)が経過するまでは、特図2の変動表示(チャンス変動)の実行が待機された期間となる。よってこの構成によれば、所謂「引き戻し」(非時短状態に戻ってからの残保留での大当たり)後の時短状態において、およそ280秒間にわたる特図2の変動を待機する期間を生じさせることが可能となる。よって、短期間に大当たりが連続し過ぎること(言い換えれば短期間に多くの賞球が払い出され過ぎること)を、より抑制することが可能となる。なお、この具体例では、引き戻し後の時短状態における特図1の変動時間を70秒としたが、異なる時間に変更してもよい。但し、特図2の変動を待機する期間の長さをある程度の長さにするため、引き戻し後の時短状態における特図1の変動時間は、20秒以上に設定されることが好ましく、1分以上に設定されることがより好ましい。
また上記形態では、非時短状態における特図1の変動パターンの判定基準(判定テーブル)を、時短終了後15ゲーム以内とそれ以外(通常期間)とで分けたが(図10参照)、分けなくてもよい。この場合、非時短状態では、例えば上記形態における通常期間用の変動パターン判定テーブルを用いればよい。
また上記形態では、時短終了後15ゲーム以内を特殊テーブル(時短終了後15G以内用テーブル、図10参照)を用いて変動パターンを判定する期間としたが、時短終了後の所定期間(所定ゲーム数)をどのくらいにするかは適宜変更可能である。但し、このゲーム数が多すぎると、全ての第2特図保留の消化が一向に終わらないケースが発生したり、第2特図保留を全て消化したにもかかわらず特図1の変動時間が長すぎるケースが発生したりする等、遊技に支障をきたす可能性があるため、長くても30G以内程度が好ましく、20G以内程度がより好ましい。なお上記形態では、時短終了後15G以内を、特図1の変動時間が35秒に設定される期間としているため、残保留(非時短状態に戻った際に貯まっている特図2保留)に基づく1回目の変動表示と2回目の変動表示との間に、特図1に係る35秒の変動を最大14回実行できるが、この程度であれば、特図2変動待機期間を適度な長さとすることが可能である。
また上記形態では、特殊テーブル(時短終了後15G以内用テーブル、図10参照)に基づいて選択される変動パターンの変動時間(特定変動時間)を35秒としたが、この変動時間は適宜変更可能である。具体的には例えば、1分以上としてもよい。また、30秒以下としてもよい。但し、特図2変動待機期間の長さをある程度の長さにするためには、特殊テーブルに基づいて選択される変動パターンの変動時間は、所定のハズレ変動(例えば図10に示す変動パターンP6、通常ハズレ変動)の変動時間(13秒)よりも長い時間が好ましい。
また、特図1及び特図2の変動表示の変動時間は、遊技に支障をきたさない範囲で適宜変更可能である。但し、非時短状態に制御された場合の特図2の変動時間は、30秒以上に設定されることが好ましく、60秒以上に設定されることがより好ましい。特図2の変動表示中に第1特図保留を上限記憶数まで貯めることを可能にするためである。また、時短状態に制御された場合の特図1の変動時間(非特定変動時間)は、15秒以下に設定されることが好ましく、10秒以下に設定されることがより好ましい。初当たりに基づく時短状態において、第1特図保留の消化にあまり時間をかけないためである。
また上記形態では、当選時の遊技状態に関わらず時短状態に制御された場合には、特図1の変動時間を3秒(非特定変動時間)に設定した。これに対して、非時短状態における「特図1_時短図柄1」への当選に基づいて時短状態に制御された場合(すなわち非時短状態における特図1の抽選に基づいて時短状態に制御された場合)に限って、特図1の変動時間を3秒(非特定変動時間)に設定してもよい。
また上記形態では、時短状態に制御された場合には、特図1の変動パターンが、大当たり変動、小当たり変動、リーチ有りハズレ変動、リーチ無しハズレ変動のいずれであっても、変動時間が3秒(非特定変動時間)に設定される構成としたが(図10参照)、小当たり変動やリーチ無しハズレ変動の場合だけ、変動時間を3秒(非特定変動時間)に設定し、大当たり変動やリーチ有り変動の場合には、変動時間を非特定変動時間よりも長い変動時間(例えば30秒など)に設定してもよい。
また上記形態において、特図変動に伴う変動演出の演出内容は適宜変更可能である。
また上記形態では、第1特図保留の上限記憶数を「4」としたが、第1特図保留の上限記憶数は適宜変更可能である。また上記形態では、第2特図保留の上限記憶数を「2」としたが、2以上の値であれば、第2特図保留の上限記憶数は適宜変更可能である。第2特図保留の上限記憶数が多いほど、非時短状態に復帰してから全ての第2特図保留を消化し終わるまでに多くの特図1変動が実行されることとなるため、短期間に大当たりが連続し過ぎること(言い換えれば短期間に多くの賞球が払い出され過ぎること)を抑制し易くすることが可能となる。
また上記形態では、普図保留の上限記憶数を「4」としたが、普図保留のない構成としてもよい。この場合、ゲート28への遊技球の通過検知時に、普通図柄の変動表示の実行中でなく、補助遊技の実行中(電チュー22の作動中)でもなければ、普通図柄乱数を取得するように構成すればよい。
また上記形態では、特図1の抽選で当選可能な小当たりは、V通過が実質不可能な小当たりのみであったが、特図1の抽選で当選可能な小当たりに、V通過可能な小当たりを設けてもよい。
また上記形態において、大当たりの当選確率、特図1の抽選における小当たりの当選確率、特図2の抽選における小当たりの当選確率は、遊技に支障をきたさない範囲で適宜変更可能である。
また上記形態において、大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)の開放パターンや振分部材71の作動パターンは、遊技に支障をきたさない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記形態では、特図2の抽選に基づく小当たり遊技の開放パターンを、第2大入賞口35に入賞した遊技球がその入賞タイミングにかかわらず特定領域39を通過する開放パターン(図40(b)及び(c)参照)とした。しかしながら、正しく遊技している限り(右打ちを継続している限り)小当たり遊技中に必ず特定領域39への通過を生じさせることができるのであれば、第2大入賞口35に入賞した遊技球の全てが特定領域39を通過することができる開放パターンでなくてもよい。具体的には例えば、0.1秒開放を12回繰り返す開放パターンとし、1回~9回までの開放時に入賞した遊技球は特定領域39を通過するが、10回~12回までの開放時に入賞した遊技球は非特定領域70を通過するように構成してもよい。つまり通過用開放パターン(V通過可能な小当たりにおける第2大入賞口35の開放パターン)は、第2大入賞口35への入賞が可能であって第2大入賞口35へ入賞した遊技球の少なくとも1球が特定領域39を通過する開放パターンであればよい。なお、この変更例のような開放パターンとする場合には、各開放時に第2大入賞口35に遊技球が入賞し易くなるように、第2大入賞装置の開閉部材を次のようなものにするとよい。即ち、前後に進退可能であり、前方に出ているときには第2大入賞口を閉塞し、後方に退いているときには第2大入賞口を開放する進退式のものとするとよい。そして第2流路R2を流下する遊技球が開閉部材の上面を転動するように配置するとよい。すなわち上記形態の第1大入賞装置31のようなものとすればよい。その上で、開閉部材の上面の摩擦係数を高くして(例えばゴムのような弾性力の高い部材を利用した面として)、遊技球が開閉部材の上面をゆっくりと転動するようにしておくとよい。
また上記形態では、小当たり遊技の開始時点を基準に、時間で管理された所定の作動パターンに従って、特定領域39が開放されるように構成した。これに対して、第2大入賞口35への入賞球数が予め定められた作動契機入賞球数(例えば1球)になったときに、特定領域39を開放させる構成としてもよい。この場合、特2V通過小当たりでは、作動契機入賞球数を例えば「1」とし、特1V非通過小当たりでは、作動契機入賞球数を例えば「7」とするとよい。このようにすれば、特2V通過小当たり時には、第2大入賞口35への入賞球を特定領域39に通過させることができる。一方、特1V非通過小当たりでは、1.6秒の開放期間中に第2大入賞口35への入賞球数が7球になることはないため、特定領域39への通過が生じないようにすることができる。この場合も、特2V通過小当たり時の開放パターンを、通過用開放パターンと称し、特1V非通過小当たり時の開放パターンを、非通過用開放パターンと称する。また、作動契機入賞球数に基づいて振分部材71が作動する構成であっても、特定領域39が予め定められたタイミングで通過の可否が切り替えられていることにかわりはない。
また上記形態では、小当たり遊技における第2大入賞口35の総開放時間を1.6秒としたが、この時間は適宜変更可能である。但し意図しない量の賞球がなされないように、1.8秒以下としておくことが望ましい。
また上記形態では、大当たり遊技においては第1大入賞口30を開放し、小当たり遊技においては第2大入賞口35を開放するように構成した。これに対して、大当たり遊技の少なくとも一部のラウンドに、第2大入賞口35を開放するラウンドがある構成としてもよい。この場合には、大当たり遊技の実行中のV通過によってさらに大当たり遊技が実行されることがないように構成する。
また上記形態では、演出制御用マイコン91による第2流路R2への打込報知(右打ちの報知)を、右矢印画像RIを表示画面7aに表示することにより行ったが、演出制御用マイコン91による打込報知の報知態様は適宜変更可能である。例えば、遊技盤2に設けた盤ランプや、遊技機枠50に設けた枠ランプを使って打込報知を行ってもよいし、スピーカ67からの音声出力により打込報知を行ってもよい。
また上記形態では、画像を表示する各種の表示演出を行う表示部を、1つの表示装置の表示画面(画像表示装置7の表示画面7a)によって構成したが、2つ以上の表示装置の各表示画面によって構成してもよい。例えば、メイン表示装置としての画像表示装置7の他に、サブ表示装置を備えている構成では、メイン表示装置の表示画面にて演出図柄8L,8C,8Rの変動演出を行い、サブ表示装置の表示画面にて小図柄(演出図柄8L,8C,8Rよりも小さく表示される演出図柄)の変動演出を行うように構成してもよい。なお、タッチセンサと液晶表示装置からなるタッチパネルを遊技機枠50に搭載し、このタッチパネルにおける液晶表示装置をサブ表示装置としてもよい。
10.本明細書に開示されている発明
この[発明を実施するための形態]における前段落までには、以下の発明が開示されている。以下の説明では、実施形態における対応する構成の名称や表現、図面に使用した符号を参考のためにかっこ書きで付記している。但し、各発明の構成要素はこの付記に限定されるものではない。なお、発明Aは、以下の発明A1~A4の総称である。
発明A1:
第1流路(R1)に配された第1入球口(第1始動口20)への入球に基づいて所定の第1判定(特図1に係る判定)を行う第1判定手段(遊技制御用マイコン81によるステップS1002の処理)と、
前記第1流路とは異なる第2流路(R2)に配されていて遊技球の入球し易さが変化可能な第2入球口(第2始動口21)への入球に基づいて、特別入賞口(第2大入賞口35)を開放する開放遊技(小当たり遊技)を行うかの判定(小当たりか否かの判定)を含む第2判定(特図2に係る判定)を行う第2判定手段(遊技制御用マイコン81によるステップS1008の処理)と、
前記第1判定において所定の判定結果(大当たり)となった場合、又は、前記開放遊技において前記特別入賞口に入賞した遊技球が特定領域(39)を通過した場合に、遊技者に有利な特別遊技(大当たり遊技)を行う特別遊技実行手段(遊技制御用マイコン81によるステップS908の処理)と、
前記特別遊技の終了後の遊技状態を、第1遊技状態(低ベース状態)よりも前記第2入球口に遊技球が入球し易い第2遊技状態(高ベース状態)に制御可能な遊技状態制御手段(遊技制御用マイコン81によるステップS2102等の処理)と、
前記第2流路を遊技球が流下するように遊技球を発射させることを示す打方報知(右打ち表示器45の点灯)を、前記第1遊技状態では行わず、前記第2遊技状態では行う打方報知手段(遊技制御用マイコン81による右打ち表示器45の点灯消灯に関する処理)と、
前記第1判定の結果を示す第1図柄(特図1)の変動表示の実行を第1上限数(例えば「4」)まで保留可能な第1保留手段(遊技制御用マイコン81による特図1の保留に関する処理)と、
前記第2判定の結果を示す第2図柄(特図2)の変動表示の実行を、2以上の値である第2上限数(例えば「2」)まで保留可能な第2保留手段(遊技制御用マイコン81による特図2の保留に関する処理)と、を備え、
前記遊技状態制御手段は、前記第2遊技状態において、前記第2図柄の変動表示が所定回数(実施形態では1回)行われた場合には、前記第1遊技状態に制御する遊技機(パチンコ遊技機1)であって、
前記第1図柄の変動表示が前記第2図柄の変動表示よりも優先して実行されるよう構成されている(図17参照)ことを特徴とする遊技機。
この構成の遊技機によれば、第2遊技状態が終了して第1遊技状態となり、第2保留手段によって保留されていた1つ目の第2図柄の変動表示が実行された場合、第2流路への打込を示す打方報知は終了しているため、第1流路への打込が行われることに期待できる。第1流路への打込が行われれば、第1図柄の変動表示の保留が最大で第1上限数分生じる可能性がある。
そして、第1図柄の変動表示の保留が生じており、実行中の第2図柄の変動表示が開放遊技を行わない旨の第2判定結果を示すものであれば、保留中の第2図柄の変動表示よりも優先して、第1図柄の変動表示が実行される。このような状態は、第1図柄の変動表示の保留がなくなるまで続く。つまり、第1図柄の変動表示の保留がなくなるまで第2図柄の変動表示は保留され続ける。
よって、第2遊技状態が終了して第1遊技状態に戻った場合に、保留されている全ての第2図柄の変動表示(第2判定)が実行され終わるまでの期間が長くなる。よって、第2図柄の変動表示が行われ難くなり、その結果、特別遊技が頻繁に行われ過ぎてしまうのを抑制することが可能となる。
発明A2:
発明A1に記載の遊技機であって、
前記第2遊技状態から第1遊技状態に移行した後の所定回数の前記第1図柄の変動表示の変動時間は、前記所定回数後の所定の変動パターン(例えばノーマルリーチ大当たり変動である変動パターンP2、図10参照)の前記第1図柄の変動表示の変動時間(30秒)よりも長い特定変動時間(例えば35秒、図10の変動パターンP8~P10参照)に設定されることを特徴とする遊技機。
この構成の遊技機によれば、第2遊技状態から第1遊技状態に戻った後は、第1図柄の変動表示の変動時間が比較的長いため、保留されている第2図柄の変動表示が全て実行され終わるまでの期間を、ある程度長くすることが可能となり、特別遊技が頻繁に行われるのを効果的に抑制することが可能となる。
発明A3:
発明A2に記載の遊技機であって、
前記第1判定の結果に基づいて実行された前記特別遊技の終了後に前記第2遊技状態に制御された場合には、当該第2遊技状態における前記第1図柄の変動表示の変動時間は、前記特定変動時間よりも短い非特定変動時間(例えば3秒、図10の変動パターンP11~P13参照)に設定されることを特徴とする遊技機。
この構成の遊技機によれば、第1図柄の変動表示(第1判定)を第2図柄の変動表示(第2判定)に優先させる構成としても、第1入球口への入球に基づいて特別遊技が実行された後で第2遊技状態に制御された場合に、その第2遊技状態においてスムーズに第2図柄の変動表示(第2判定)を行わせることが可能となる。
発明A4:
発明A1から発明A3までのいずれかに記載の遊技機であって、
前記第2遊技状態から前記第1遊技状態への移行時に前記第2保留手段に保留されている前記第2図柄の変動表示は、前記第1遊技状態において、前記第1上限数分の第1入球口への入賞が生じ得る変動時間(例えば90秒、図10の変動パターンP21~P23参照)で行われることを特徴とする遊技機。
この構成の遊技機によれば、第2遊技状態が終了して第1遊技状態となり、第2保留手段によって保留されていた第2図柄の変動表示が実行された場合、その変動表示の変動時間は比較的長いものとなる。そのため、この間に第1図柄の変動表示の保留が第1上限数まで貯まり易くなる。よって、第1遊技状態に復帰してから、保留されている第2図柄の変動表示が全て実行され終わるまでの期間を長引かせ易くなり、特別遊技が頻繁に行われ過ぎるのを抑制し易くなる。
ところで、特開2013-236851号公報に記載の遊技機は、次のような仕様のパチンコ遊技機である。すなわち、所定の入球口への入球に基づいて遊技者に有利な特別遊技が実行された後、他の入球口への入球が容易な遊技状態に制御される。その遊技状態においては、他の入球口への入球に基づいて、内部に特定領域を有する特別入賞口が開放される。そして、その特定領域への入球に基づいて新たな特別遊技が実行される。しかしながら、このような仕様の遊技機では、特別遊技が行われた後で他の入球口への入球が容易な遊技状態に制御されると、それほど長い遊技期間を経ることなく、次の特別遊技が行われることが多い。そのため、特別遊技が頻発する可能性を秘めている。上記した発明Aは、特開2013-236851号公報に記載の遊技機に対して、「特別入賞口に入賞した遊技球が特定領域を通過した場合に、遊技者に有利な特別遊技を行い、特別遊技の終了後の遊技状態を、第1遊技状態よりも第2入球口に遊技球が入球し易い第2遊技状態に制御可能であり、第2遊技状態において、第2入球口への入球に基づく第2判定の結果を示す第2図柄の変動表示が所定回数行われた場合には、第1遊技状態に制御する遊技機であって、第1入球口への入球に基づく第1判定の結果を示す第1図柄の変動表示の実行を第1上限数まで保留可能な第1保留手段と、第2図柄の変動表示の実行を、2以上の値である第2上限数まで保留可能な第2保留手段と、を備え、第1図柄の変動表示が第2図柄の変動表示よりも優先して実行される」という点で相違している。これにより、「遊技者に有利な特別遊技が頻繁に行われるのを抑制可能な遊技機を提供する」という課題を解決する(作用効果を奏する)ことが可能である。