JP7193082B2 - 血管組織機能低下リスクマーカー - Google Patents
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Description
項1.
(i)血液試料の酸化HDL量の反映値を、血液試料のHDL量の反映値で除した値を指標として、当該血液試料を採取した対象の血管組織機能を測定する方法。
項2.
(ii)血液試料の全酸化物量の反映値を、血液試料のHDL量の反映値で除した値を指標として、当該血液試料を採取した対象の血管組織機能を測定する方法。
項3.
(A1)血液試料の酸化HDL量の反映値を測定する工程、及び
(B)血液試料のHDL量の反映値を測定する工程、
を含む、項1に記載の方法。
項4.
(A2)血液試料の全酸化物量の反映値を測定する工程、及び
(B)血液試料のHDL量の反映値を測定する工程、
を含む、項2に記載の方法。
項5.
酸化HDL量の反映値、又は全酸化物量の反映値の測定が、
(1)血液試料と、遷移金属化合物及び酸性緩衝液を含む溶液とを混合する工程を含む方法により行われる、
項3又は4に記載の方法。
項6.
酸化HDL量の反映値、又は全酸化物量の反映値の測定が、
さらに、
(2)前記工程(1)により産生されたフリーラジカルを測定する工程を含む方法により行われる、
項5に記載の方法。
項7.
HDL量の反映値の測定が、HDL直接法により行われる、項3又は4に記載の方法。
項8.
(i)血液試料の酸化HDL量の反映値を、血液試料のHDL量の反映値で除した、血管組織機能の評価指標。
項9.
(ii)血液試料の全酸化物量の反映値を、血液試料のHDL量の反映値で除した、血管組織機能の評価指標。
本試験例1では、以下の手順に従って、全酸化物量の反映値、又は酸化HDL量の反映値の測定を行った。
真空採血管を用いて被検体の静脈から血液を採取し、1時間、室温に放置後、4℃、3500rpm(1100g)の条件で10分間遠心分離を行い、上清(血清)を血液試料として得た後、-80℃で保存した。具体的には、28名の糖尿病患者(28名のHbA1cの平均値は6.4)の血液を使用した。
上記(1)で得られた血清45μlに、1%デキストラン硫酸塩と0.5M塩化マグネシウムとの混合液(pH7.3)を5μl加え、室温で混合した。10分間室温で静置した後、4℃、1500gの条件で30分間遠心分離を行い、得られた上清を0.45μmのPVDFメンブレンに通し、ろ液をHDLとして得た後、-80℃で保存した。
0.1M酢酸緩衝液(pH4.8)と100μM硫酸アンモニウム鉄(II)六水和物との混合液をマイクロプレートの各wellに加え、37℃に保温した。次いで、各wellにN,N-ジエチル-p-フェニレンジアミン硫酸塩溶液(溶媒:DMSO)を加えた後、上記(1)で得られた血清、又は上記(2)で得られたHDLを加えた。37℃に設定したマイクロプレートリーダー(バイオラッド社製)を用い、波長505nmの吸光度を測定した。なお、吸光度の測定は、Kineticsに設定し、10秒毎に計30回(合計5分間)測定し、測定開始2分後から5分後の各値から単位時間あたりの吸光度変化(単位:mOD/min)を算出することにより行った。
HDL直接法により測定した(単位:mg/dL)。
上記(3)で算出した酸化HDL量の反映値(mOD/min)を、上記(4)で算出したHDL量の反映値(mg/dL)で除することによって、指標(i)(単位:(mOD/min)/(mg/dL))を算出した。
上記(3)で算出した全酸化物量の反映値(mOD/min)を、上記(4)で算出したHDL量の反映値(mg/dL)で除することによって、指標(ii)(単位:(mOD/min)/(mg/dL))を算出した。
本試験例2では、以下の手順に従って、CAVIを測定し、試験例1で算出した指標(i)、指標(ii)、酸化HDL量の反映値、全酸化物量の反映値、HDL量の反映値、又は尿中のクレアチニン量あたりの8-イソプロスタン量との相関を調べた。
ELISA法により、尿中の8-イソプロスタン量を測定し、クレアチニン量あたりの8-イソプロスタン量(単位:pg/mg・creatinine)を算出した。なお、クレアチニン量は酵素法(クレアチナーゼ-ザルオキシダーゼ-POD法)により測定した(単位:mg/dL)。クレアチナーゼ-ザルオキシダーゼ-POD法は、クレアチニンをクレアチニナーゼによってクレアチンに変換し、さらにクレアチナーゼおよびザルコシンオキシダーゼと反応させることによって生成する過酸化水素を、パーオキシダーゼ存在下で、色素および4-アミノアンチピリンと反応させることで生じる赤紫色キノン色素を吸光度測定により定量し、クレアチニン濃度を算出する方法である。
CAVIは、大動脈起始部から、下肢、足首までの動脈全体の弾性を表す指標であり、血管弾性を血圧値で補正することにより算出される。仰向けに寝た状態で両腕、両足首の血圧と脈波を測定し、CAVIを算出した。測定時間は5分間とした。
本試験例3では、以下の手順に従って、BMIを測定し、BMIの測定結果により被検体を中央値24.13で2群に分けた後に、FDRを測定し、試験例1で算出した指標(i)、指標(ii)、酸化HDL量の反映値、全酸化物量の反映値、又は試験例2で算出した尿中のクレアチニン量あたりの8-イソプロスタン量との相関を調べた。
体重(kg)を身長(m)の2乗で除することによりBMI(kg/m2)を算出した。
水銀やインジウムガリウムを満たした細いシリコーンチューブ(水銀式ストレインゲージなど)を測定部位に巻き付け、静脈還流をカフにて遮断した際に、流入し続ける動脈血流によって拡張する測定部位の周径変化を、シリコーンチューブ(ストレインゲージ)に流れる微量電流の電気抵抗の変化として測定した。周径変化と容積変化は比例するため、周径変化を測定することで容積(血流量)変化として、FDR(単位:%)を算出した。
Claims (8)
- (i)血液試料の酸化HDLの重量若しくは濃度、又は酸化HDL量を反映する吸光度若しくは蛍光強度を、血液試料のHDLの重量若しくは濃度、又は酸化HDL量を反映する吸光度若しくは蛍光強度で除した値を指標として、当該血液試料が血管内皮機能の低下した対象由来かを判別する方法。
- (ii)血液試料のヒドロペルオキシド量を反映する吸光度若しくは蛍光強度を、血液試料のHDLの重量若しくは濃度、又はHDL量を反映する吸光度若しくは蛍光強度で除した値を指標として、当該血液試料が血管内皮機能の低下した対象由来かを判別する方法。
- (A1)血液試料の酸化HDLの重量若しくは濃度、又は酸化HDL量を反映する吸光度若しくは蛍光強度を測定する工程、及び
(B)血液試料のHDLの重量若しくは濃度、又はHDL量を反映する吸光度若しくは蛍光強度を測定する工程、
を含む、請求項1に記載の方法。 - (A2)血液試料のヒドロペルオキシド量を反映する吸光度若しくは蛍光強度を測定する工程、及び
(B)血液試料のHDLの重量若しくは濃度、又はHDL量を反映する吸光度若しくは蛍光強度を測定する工程、
を含む、請求項2に記載の方法。 - 酸化HDLの重量若しくは濃度、又は酸化HDL量を反映する吸光度若しくは蛍光強度、又はヒドロペルオキシド量を反映する吸光度若しくは蛍光強度の測定が、
(1)血液試料と、遷移金属化合物及び酸性緩衝液を含む溶液とを混合する工程を含む方法により行われる、
請求項3又は4に記載の方法。 - 酸化HDLの重量若しくは濃度、又は酸化HDL量を反映する吸光度若しくは蛍光強度、又はヒドロペルオキシド量を反映する吸光度若しくは蛍光強度の測定が、
さらに、
(2)前記工程(1)により産生されたフリーラジカルを測定する工程を含む方法により行われる、
請求項5に記載の方法。 - HDLの重量若しくは濃度、又はHDL量を反映する吸光度若しくは蛍光強度の測定が、HDL直接法により行われる、請求項3又は4に記載の方法。
- 前記血管内皮機能の低下が、血管内皮細胞の働きの低下、血管の硬化、血管の詰まり、及び血管壁の厚さの増加からなる群より選択される少なくとも1つである、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
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