JP7191365B2 - 樹脂成形品の接合方法 - Google Patents
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Description
合成樹脂からなり接合面を有する複数の部分成形体を前記接合面で接合して所定の内圧を保持可能な樹脂成形品を製造する樹脂成形品の接合方法であって、
前記樹脂成形品が前記内圧を受けた場合の前記接合面の耐圧強度が10Mpa以上となるように、前記接合面を互いに圧接した状態で、複数の光源から出射され前記接合面の一方から単位面積(mm2)当たりの前記接合面が受ける前記複数の光源のエネルギービームを時間積分したエネルギー総量が1.0×10-3Wh以上となるエネルギービームを前記接合面に同時に照射して前記接合面を溶融固化させる、
ことを特徴とする。
合成樹脂からなり接合面を有する複数の部分成形体を前記接合面で接合して所定の内圧を保持可能な樹脂成形品を製造する樹脂成形品の接合方法であって、
前記樹脂成形品が前記内圧を受けた場合の前記接合面の耐圧強度が10Mpa以上となるように、前記接合面を互いに圧接した状態で、単一の光源から出射され前記接合面の一方から単位面積(mm2)当たりの前記接合面が受けるエネルギー総量が0.4×10-3Wh以上となるエネルギービームを前記接合面に移動しながら照射して前記接合面を溶融固化させる、
ことを特徴とする。
前記エネルギー総量Qは、
Q[Wh]=P×T×R/100/3600
である、
ことを特徴とする。
ここに、前記エネルギービームの光出力P[W]、前記エネルギービームの照射時間T[sec]、前記接合面の光透過率R[%]とする。
前記エネルギービームが、レーザビームである、
ことを特徴とする。
前記合成樹脂が、結晶性ガラス繊維強化ポリアミド樹脂である、
ことを特徴とする。
尚、以下の図面を使用した説明において、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
図1は二つの部分成形体を接合面で接合した樹脂成形品を一部断面で示す斜視図、図2は部分成形体の射出成形を示し、(a)は第1の部分成形体の射出成形時の断面図、(b)は第2の部分成形体の射出成形時の断面図、図3は第1の部分成形体と第2の部分成形体を示す断面模式図である。
以下、図面を参照しながら、本実施形態に係る樹脂成形品の接合方法により製造される樹脂成形品の構成と接合強度について説明する。
樹脂成形品1は、接合面の一例としての鍔部11を有する第1の部分成形体10と、接合面の一例としての鍔部21を有する第2の部分成形体20が、それぞれの鍔部11、21で接合された中空体である。
樹脂成形品1は、第1の部分成形体10の上部に貫通孔12aが形成された膨出部12を有し、外部から膨出部12を介して液体が注入された場合は、注入された液体による所定の内圧を保持可能となっている。
第1の部分成形体10、第2の部分成形体20は、図2(a)、(b)に示すように、PA66-G30を用いて射出成形により製造されるが、係る射出成形には既知の射出成形機であればいずれも使用可能であり、特に制限されるものではない。
成形金型30、40は、PLをパーティングライン面とする固定側型31、41と可動側型32、42とからなり、固定側型31、41と可動側型32、42との間に樹脂が充填されるキャビティC1、C2が形成されている。尚、図2(a)、(b)においては、通常の成形金型に備えられている固定側の固定側取付板、ランナーストリッパープレート、樹脂が供給されるロケートリング等、及び可動側の可動側取付板、エジェクタ機構等は省略して不図示としている。
その後、固定側型31、41と可動側型32、42との型開きを行い、エジェクタ機構(不図示)でキャビティC1、C2内の第1の部分成形体10、第2の部分成形体20を押圧して可動側型32、42上の成形体を取り出す。
本実施形態においては、溶着リブ部13の幅をA、内径をD1とした場合、溶着リブ部13の鍔部21と当接する面積S(溶着面積Sと呼ぶ)は、S=π((D1+A)2-D12)/4で表される。
一方、溶着リブ部13に外部からエネルギービームを照射して溶融固化させることにより鍔部11、12を接合する場合には、溶着リブ部13の溶融は、エネルギービームのエネルギー総量に依存し接合強度としての耐圧強度が変化する。
(2.1)接合装置
図4は本実施形態に係る接合方法を概念的に示す斜視図、図5は本実施形態に係る接合方法及びこれに用いる装置を説明する説明図である。
先ず、本実施形態に係る樹脂成形品1の接合方法及びこれに用いる装置について説明する。
本実施形態における樹脂成形品1は、図4に示すように、第1の部分成形体10と第2の部分成形体20をその鍔部11、21を互いに当接させて圧接した状態で第2の部分成形体20の鍔部21の当接面と反対側である外側面から接合面となる溶着リブ部13に複数のレーザ光源から出射されるエネルギービームの一例としてのレーザLを同時に照射して溶着リブ部13を溶融固化(溶着)させる。
上側の受け台51には、互いに突き合わされた第1の部分成形体10と第2の部分成形体20の溶着部に照射されるようにレーザLを反射させながら導く導光孔54が形成されている。
第1の部分成形体10は、光に対して透過性のない合成樹脂の一例としてのPA66-G30で成形されている。
第2の部分成形体20は、上側の受け台51に軸線方向が位置決めされた状態で鍔部21の外側(鍔部11と当接する面の反対側)を上側の受け台51で押圧されて下降し鍔部21の内側面が第1の部分成形体10の鍔部11に形成された溶着リブ部13に当接する。
第2の部分成形体20は、光に対して透過性のある合成樹脂の一例としてのPA66-G30で成形されている。ここで、本実施形態に係る第2の部分成形体20の鍔部21のレーザLに対する光透過率は46%である。
本実施形態においては、接合装置50の受け台51、52に第1の部分成形体10、第2の部分成形体20を位置決めして鍔部11、21を当接させた状態で、レーザ光源53を発光させて溶着部にレーザLを照射する。
レーザLは、樹脂成形品1が内圧を受けた場合の溶着部における接合面の耐圧強度が10Mpa以上となるように、接合面としての鍔部11、21を互いに圧接した状態で第2の部分成形体20の鍔部21の外側から単位面積(mm2)当たりのエネルギー総量が1.0×10-3Wh以上となるように照射して溶着リブ部13を溶融固化(溶着)させる。
Q[Wh]=P×T×R/100/3600・・・(1)
となり、レーザ光源53の各レーザ発光素子55を全てレーザ照射密度100%で発光させて、レーザLの照射時間Tとして10sec以上照射すると、エネルギー総量Qは0.8Whとなる。これを、溶着リブ部13が、内径D1=78mmの位置に幅A=3mmで形成されている場合(図6参照)、溶着面積Sは763.4mm2であり、単位面積(mm2)当たりのエネルギー総量は、1.0×10-3Whとなる。
これにより、複数の部分成形体10、20を接合面で接合して所定の内圧を保持可能な樹脂成形品1の必要接合強度を得て、接合強度を向上させることができる。
図6は実施例1に係る第1の部分成形体10、第2の部分成形体20の各部の寸法を示す断面図である。
本実施例においては、第1の部分成形体10を黒色の結晶性ガラス繊維強化ナイロン66(レオナ1300G(商標):旭化成)を用いて成形し、第2の部分成形体20を自然色の結晶性ガラス繊維強化ナイロン66(レオナ1300G(商標):旭化成)を用いて成形した。
それぞれの代表寸法は、図6に示すとおりであり、基本肉厚は3mm、鍔部11、21の肉厚も3mmとなるように成形した。
また、自然色の結晶性ガラス繊維強化ナイロン66(レオナ1300G(商標):旭化成)は、光吸収係数が0.33であり、レーザLを照射する第1の部分成形体10の鍔部11は、肉厚3mmで光透過率Rは46%となる。
耐圧強度は、第1の部分成形体10と第2の部分成形体20を溶着した樹脂成形品1内に水を満たした状態で、貫通孔12aが形成された膨出部12から水を加圧注入し、破壊時の圧力を測定することにより測定した。
図8は変形例に係る接合方法を概念的に示す斜視図、図9は変形例に係る接合方法及びこれに用いる装置を説明する説明図である。
変形例に係る接合方法で接合される樹脂成形品1は、図8に示すように、第1の部分成形体10と第2の部分成形体20をその鍔部11、21を互いに当接させて圧接した状態で第2の部分成形体20の鍔部21の当接面と反対側である外側面から接合面となる溶着リブ部13に単一のレーザ光源56(不図示)から出射されるエネルギービームの一例としてのレーザLを移動しながら照射して溶着リブ部13を溶融固化(溶着)させる。
上側の受け台51Aは、レーザ光源56から出射して接合部に照射されるレーザLが透過するように透明ガラスで形成されている。
これにより、複数の部分成形体を接合面で接合して所定の内圧を保持可能な樹脂成形品1の必要接合強度を得て、低コストで接合強度を向上させることができる。
耐圧強度は、第1の部分成形体10と第2の部分成形体20を溶着した樹脂成形品1内に水を満たした状態で、貫通孔12aが形成された膨出部12から水を加圧注入し、破壊時の圧力を測定することにより測定した。
10・・・第1の部分成形体
11・・・鍔部
13・・・溶着リブ部
20・・・第2の部分成形体
21・・・鍔部
50、50A・・・接合装置
51、51A・・・受け台(上側)
52・・・受け台(下側)
53、56・・・レーザ光源
57・・・ガルバノスキャニングミラー
Claims (5)
- 合成樹脂からなり接合面を有する複数の部分成形体を前記接合面で接合して所定の内圧を保持可能な樹脂成形品を製造する樹脂成形品の接合方法であって、
前記樹脂成形品が前記内圧を受けた場合の前記接合面の耐圧強度が10Mpa以上となるように、前記接合面を互いに圧接した状態で、複数の光源から出射され前記接合面の一方から単位面積(mm2)当たりの前記接合面が受ける前記複数の光源のエネルギービームを時間積分したエネルギー総量が1.0×10-3Wh以上となるエネルギービームを前記接合面に同時に照射して前記接合面を溶融固化させる、
ことを特徴とする樹脂成形品の接合方法。 - 合成樹脂からなり接合面を有する複数の部分成形体を前記接合面で接合して所定の内圧を保持可能な樹脂成形品を製造する樹脂成形品の接合方法であって、
前記樹脂成形品が前記内圧を受けた場合の前記接合面の耐圧強度が10Mpa以上となるように、前記接合面を互いに圧接した状態で、単一の光源から出射され前記接合面の一方から単位面積(mm2)当たりの前記接合面が受けるエネルギー総量が0.4×10-3Wh以上となるエネルギービームを前記接合面に移動しながら照射して前記接合面を溶融固化させる、
ことを特徴とする樹脂成形品の接合方法。 - 前記エネルギー総量Qは、
Q[Wh]=P×T×R/100/3600
である、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂成形品の接合方法。
ここに、前記エネルギービームの光出力P[W]、前記エネルギービームの照射時間T[sec]、前記接合面の光透過率R[%]とする。 - 前記エネルギービームが、レーザビームである、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の樹脂成形品の接合方法。 - 前記合成樹脂が、結晶性ガラス繊維強化ポリアミド樹脂である、
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の樹脂成形品の接合方法。
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