JP7190148B1 - 遊星式回転-直動運動変換装置 - Google Patents
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Abstract
Description
下記の特許文献1及び2に開示された遊星式回転-直動運動変換装置は、課せられた制約の範囲で、微細な直動運動を提供できる諸元を見出して、開示したものである。
具体例で説明すると、走行軸である太陽軸に回転を与えると想定すれば、螺旋溝を施した遊星軸は、自転によってリング軸の螺旋溝を手繰って軸線に移動するが、他方でリング軸の多条螺旋溝には、遊星軸の公転を利用して、遊星軸を引き戻す捩じりを螺旋溝に施すことによって、遊星軸の自転直動を公転直動で相殺されて、遊星軸の軸線移動を不動とすることが出来る。この軸線位置不動の条件他を満たすために、3軸各々の螺旋溝諸元の選定にはさまざまな制約が課せられている。
遊星式回転-直動運動変換装置の主たる役割は、特許文献1及び2でも開示されているように、直動変換の微細化であって、微細化を妨げる制約こそが最大の障壁であり、打ち破るべき課題である。
2系列の遊星機構が両立する諸元が前提であって、諸元の選択は容易ではない。課題は、構成の簡素化と諸元採択の自由度を増やすことである。
前記太陽軸と係合する前記遊星軸の係合溝は、単一諸元の係合溝であり、前記リング軸と係合する前記遊星軸の係合溝は、前記太陽軸と係合する前記遊星軸の係合溝と同一の係合溝であり、前記太陽軸と前記リング軸との内の一方に設けた係合溝が環状溝である、遊星式回転-直動運動変換装置によって達成される。
前記遊星軸には、前記螺旋溝と前記平歯車とが、異なった基準径で設けられ、前記太陽軸と前記リング軸には、公転軸、走行軸何れかの役目が振分けられ、前記公転軸は、前記遊星軸との軸線位置を不動にするために、前記平歯車の噛合により主動する回転比と、前記遊星軸に施した螺旋溝の条数との積が、自身の螺旋溝の条数と同値に矯正され、前記走行軸は、前記遊星軸と係合し、任意の直動変換に誘導するために、採択される螺旋溝の基準径比と前記遊星軸に施した螺旋溝の条数との積と、自身の螺旋溝の条数との差異により、直動変換が改変される、遊星式回転-直動運動変換装置によって達成される。
前記太陽軸と前記リング軸との内の一方である駆動軸の回転運動が、前記太陽軸と前記リング軸との内の他方である従動軸の直動運動に変換され、前記従動軸とは、同軸にかつ間隙を置いて配置され、自身と前記遊星軸とが、それぞれの係合溝により係合する支持軸を備え、それにより、前記駆動軸の前記回転運動が、前記従動軸と前記支持軸との差動に変換される、遊星式回転-直動運動変換装置によって達成される。
高精度の螺旋溝を得る手段は、研削加工であって、螺旋溝研削を目的とした、専用研削盤が使われる。螺旋溝に沿って1溝毎に研削する点で、高精度に徹した手段だが、高能率とは言い難い。これに対し環状溝、即ち多溝面の研削には、円筒研削盤や心なし研削盤を使った総形研削が適しており、高精度と高能率を両立させる手段が適応できる。
これに対して、本発明の第一の態様の如く、太陽軸またはリング軸と遊星軸の係合溝を環状溝にすれば、無条件で軸線位置不動となり、係合溝諸元に課された制限は回避される。
これによって、基準径選定の自由度が増し、直動変換を微細化するために有利な係合溝の基準径比が採択できる。
これによって、特許文献1及び2ほどの制限を受けず、より微細な直動変換を得ることが出来る。係合溝の諸元は、小数の中間値の選択も許容するので、必要とする直動変換に設定することも可能である。
また特許文献3は、回転伝動を併設した遊星歯車機構を併設しているが、本特許の第二の態様は、第2の遊星歯車機構に頼らず、簡素な構成を提供している。
遊星式回転-直動運動変換装置は、微細な直動、即ち少ない駆動力によって、大きな軸線方向の荷重を生み出す機構であるので、小さい駆動力である駆動軸によって、大きな軸線方向の反力を支持することには困難を伴う。本発明では、駆動軸には負担を掛けない構成を提供している。
〔従来技術の基本構成〕
遊星式回転-直動運動変換装置の基本構成は、太陽軸とリング軸の螺旋溝が、遊星軸の螺旋溝と係合することにより、回転運動と直動運動との間で運動形態を変換する。
従動軸の直動は、各々の螺旋溝の基準径(有効径の意)、螺旋溝の条数、螺旋溝の捩じり方向及びピッチの係合の組み合わせで決まるが、公転軸は、遊星軸に対して軸線位置を不動にすることが原則であり、このことが、諸元選定に様々な制約を与えている。
尚係合溝の内外径の呼称は、螺旋溝などの係合溝なら「有効径」、螺条歯車や平歯車なら「基準円直径」と呼称するが、以下の説明に於いては「基準円直径」を略して、「基準径」を総称として使用するものとする。
1) 各螺旋溝の基準径は、|d1-d2|=2dpの関係にある。
2) 遊星軸に対し、公転軸の係合溝の基準径は倍数である。
螺旋溝の条数は整数値なので、公転軸と遊星軸とは、整数倍となる。
遊星軸と公転軸とは、軸線位置を不動にするために、遊星軸が自転によって、軸線に移動する自転直動を、遊星軸が公転によって軸線に移動する、公転直動により相殺する必要がある。
数式では Z2=d2/dp・Zp=n(nは整数値)
3) 遊星軸に対し、走行軸の係合溝の基準径は倍数である。
1)、2)項から走行軸の螺旋溝の基準径は、d1=(2±n)dpで表される。
4) 遊星軸個数は、太陽軸とリング軸の螺旋溝条数の合算値の約数である。
5) 太陽軸またはリング軸1回転当たりの直動運動量(直動変換率)は、次式で表される。
走行軸駆動 =d1/(d1+d2)・(d1/dp・Zp±Z1)・P または
公転軸駆動 =d2/(d1+d2)・(d1/dp・Zp±Z1)・Pで表される。
遊星式回転-直動運動変換装置の走行軸、公転軸及び遊星軸に施された係合溝の種類と構成を表2に示す。配列0は従来技術に基づく構成であり、配列1及び2が本発明の第一の態様の構成である。
直動への運動変換を小さくするには、公転軸と遊星軸の螺旋溝の基準径の差を少なくすることである。
1) 各係合溝の基準径は、|d1-d2|=2dpの関係にある。
2) 遊星軸と公転軸の係合溝、公転軸条数と基準径比は整数値である。
d2/dp・Zp=Z2=n(nは整数値)
d2/dp・Zp:遊星軸の自転直動、Z2:遊星軸の公転直動でもある。
3) 遊星軸に対し、走行軸の螺旋溝の基準径は倍数である。
4) 遊星軸個数は、公転軸に設けた螺旋溝条数の約数である。
5) 駆動軸1回転当たりの直動運動量、即ち直動変換率を下記に示す。
走行軸駆動 =d1/(d1+d2)・d1/dp・Zp・Pまたは
公転軸駆動 =d2/(d1+d2)・d1/dp・Zp・Pで表される。
環状溝の採用で、公転軸と遊星軸の係合溝・基準径の比率の制約が解除されることによって直動変換率に有利な諸元が選定できる。
1) 各係合溝の基準径は、|d1-d2|=2dpの関係にある。
2) 走行軸の螺旋溝条数は、遊星軸数の倍数である。
3) 直動変換率は、次式で表される。
走行軸駆動 =d1/(d1+d2)・Z1・P または
公転軸駆動 =d2/(d1+d2)・Z1・P
本発明の第二の態様の構成は、簡便でかつ微細な直動運動変換を提供する方策を示したものである。
先ず遊星軸には、係合溝と平歯車が併設されていて、異なった基準径で構成されている。公転軸と遊星軸は、平歯車の噛合により、走行軸と遊星軸は係合溝の係合とする分別伝動である。
遊星軸と公転軸とは、螺旋溝によって係合しているが、回転伝動は平歯車の噛合が主動する。一方で遊星軸と走行軸は、螺旋溝の係合によって回転が伝わり、走行軸と遊星軸の基準径比と遊星軸の螺旋溝条数の積と走行軸の螺旋溝条数の差によって、直動が改変される。
即ち、遊星軸が自転によって軸線に移動する自転直動と、遊星軸が公転することによって軸線に移動する公転直動の差によって、直動が改変されることを意味している。走行軸と遊星軸との螺旋溝諸元を採択する際に、基準径比の値によって、自転直動を公転直動に近づけると直動運動変換は微細化し、遠ざけると粗くなる。
特許文献3では、2系列の遊星歯車機構を施しているが、本発明の第二の態様では、簡便な構造で、自在に直動を調整することが出来る。
1) 各螺旋溝及び平歯車の諸元は、次の関係にある。
● d1/dp及びd2/dpは非整数値も許容する
● dg/dpg・Zp=Z2 は整数値
dg/dpg・Zpは、遊星軸の自転直動であり、
Z2は、公転軸の螺旋溝の条数であり、遊星軸の公転直動でもある。
● 公転軸がリング軸の時: d1+dp=dg-dpg、d2-d1=2dp
公転軸が太陽軸の時 : d1-dp=dg+dpg、d1-d2=2dp
2) 直動変換率は、次式で表される。
走行軸駆動 =d1・dpg/(d1・dpg+dg・dp)・(d1/dp・Zp±Z1)・P
公転軸駆動 =dg・dp /(d1・dpg+dg・dp)・(d1/dp・Zp±Z1)・P
3) 走行軸と遊星軸の係合溝の基準径比(d1/dp)と遊星軸の螺旋溝、条数の積と走行軸の条数Z1の差を少なくすると直動は微細化し、大きく設定すれば粗くなる。係合溝の基準径比を任意に設定することが出来る。
実施の基本構成3は、係合溝の諸元とその配列を示したものではなく、直動運動変換の反力を支持する仕組みに関するものである。
実施の基本構成1の配列0、1及び2を基本にして、直動運動の反力を支持するための支持軸を遊星軸に追加し、従動軸と支持軸とを間隔を置いて係合させることで差動を引き出すことが出来る。
これによって、反力は従動軸-遊星軸-支持軸と伝達されるので、駆動軸に強大な負荷を掛けることなく支持軸が反力を受け止めることが出来る。直動の微細化のために、太陽軸に対するリング軸基準径比を大きくし、太陽軸を駆動する構成においては、反力を受けきれない太陽軸であっても、大きな影響を与えずに、反力を支持することが出来る。
実施の形態4は、配列2に支持軸を加えた構成である。
直動変換率は、 d2/(d1+d2)・Z1・Pで表される。
実施の形態5は、本発明の第二の態様の遊星式回転-直動運動変換装置に、環状溝の係合によって、軸線位置不動とされた支持軸を加えた構成である。遊星軸には、基準径の異なる係合溝と平歯車とを併設していて、
一方の公転軸との回転伝動は、平歯車による噛合とし、
他方の走行軸との回転伝動は、係合溝による係合による分別伝動によって、微細な直動変換を生み出す構成である。
即ち直動運動変換の仕組みは、本発明の第二の態様によるものである。
支持軸が関わる係合は、支持軸及び遊星軸の係合溝を環状溝で構成し、従動軸であるリング軸に関わる係合は、リング軸自身、太陽軸及び遊星軸の係合溝の全てを螺旋溝で構成して、支持軸とリング軸の間で差動を発生させている。直動変換率は、下記で表される。
dg・dp /(d1・dpg+dg・dp)・(d1/dp・Zp±Z1)・P
図1は表2の配列1であって、本発明の第一の態様による遊星式回転-直動運動変換装置の一例である。
● 列と行の交点にある〇印は、係合関係にある軸を示している。
● 〇印列の上方向は、遊星軸2を表し、係合溝2tの諸元
(即ち、溝形式・条数、基準径比、総数)が順に記載されている。
● 〇印行の左方向は、上段の太陽軸1の係合溝1t及び下段のリング軸3係合溝3tの(溝形式・条数、基準径比、総数)が順に記載されている。
尚「係合溝諸元と係合関係」は以降の説明にも使用されている。
1) 〇印の個数が示すように、遊星軸2の単一緒元による係合溝2tが、太陽軸1の係合溝1t及びリング軸3の係合溝3tと係合している。
2) 〇印を上へなぞると、遊星軸2には1条の螺旋溝2tが施されている。
3) 上段の〇印を左になぞると、太陽軸1の係合溝1tには環状の溝が施されており、遊星軸2の係合溝2tに対し、3倍の基準径である。
4) 下段の〇印を左になぞると、リング軸3の係合溝3tには5条螺旋溝が施されていて、遊星軸2の螺旋溝に対し、5倍の基準径である。
5) 遊星軸2の総数は5個であって、リング軸3の条数と同数である。
6) 遊星軸2とリング軸3の係合溝(2t,3t)の基準径比《5/1》と遊星軸2の螺旋溝2tの条数《1》との積、即ち遊星軸2の自転による直動は、リング軸3の係合溝3tの条数《5》、即ち遊星軸2の公転による直動と同じであり、遊星軸2とリング軸3との軸線位置は不動である。
7) 遊星軸2は、太陽軸1の環状溝1tを軌道にして軸線位置は変位する。
これによって、太陽軸1の回転が、リング軸3の直動に変換される。
参考までに、直動変換率は≒1.1 (溝ピッチは1とする。)
8) 複数の遊星軸2が円周に分配されていて、遊星軸2の両端の軸部5が保持器4に差し込まれ、回転自在に、止輪6によってリング軸3に回転自在に止められている。
図2は表2の配列2であって、本発明の第一の態様による、遊星式回転-直動運動変換装置の別の例である。
本実施の形態が意図するところは、遊星軸とリング軸を環状の溝と係合とすることによって、遊星軸と公転軸との軸線位置不動を確実にすること及び基準径比は倍数以外でも許容されることである。
1) 遊星軸2の係合溝2tは、単一諸元の環状溝であって、太陽軸1の係合溝1tとリング軸3の係合溝3tに係合している。
2) 太陽軸1の係合溝1tは3条螺旋溝であり、遊星軸2の係合溝2tは環状溝であって、係合によって軸線位置が変位する。
3) リング軸3には、係合溝3tが施されて、遊星軸2の係合溝2tと係合していて、基準径比は《31:13》と非整数倍であるが、互いが環状溝同士の係合であるので、軸線位置は不動である。
4) 公転軸であるリング軸3と遊星軸2に、平歯車(8,7)が設けられていて、回転伝動を補完している。
5) 平歯車8は、リング軸3の両端に固定ネジ10によってリング軸3に固定されている。遊星軸2の両端の平歯車7は、遊星軸2の係合溝2tに歯切りを施したものである。太陽軸1の回転運動が、遊星軸2を介してリング軸3の直動運動に変換している。
参考までに、直動変換率は≒ 0.42(溝ピッチは1とする)
6) 遊星軸2は、軸部5が保持器4に嵌合し、保持器4によって、太陽軸1の円周に分配されている。
尚 平歯車(7,8)ははすば歯車でも置き換えが可能である。係合溝形状はネジ溝、ネジ状歯車、球面溝等でも置き換えが出来る。
図3は、本発明の第二の態様による、遊星式回転-直動運動変換装置の一例である。簡便な構成で、微細な直動を発生させる構成である。
△印は、係合溝の係合を示す。
☆印は、歯車の噛合による回転主動を示す。
図3と表6によって具体例で説明すると、
1) 遊星軸2には、基準径の異なる螺旋溝2t《13》と平歯車7《12》が設けられている。
2) 〇印をなぞると、太陽軸1と遊星軸2の螺旋溝(1t,2t)が係合している。その基準径比《23:13》と遊星軸2の螺旋溝2t条数《1》の積、即ち遊星軸2の自転直動は《1.77》で、太陽軸1の螺旋溝1tの条数《2》即ち遊星軸2の公転直動を僅かに外した値である。
3) △印をなぞると、リング軸3の螺旋溝3tと遊星軸2の螺旋溝2tとが係合している。係合による伝動回転比は、本来《49:13》である。
4) ☆印をなぞれば、リング軸3の平歯車8と遊星軸2の平歯車7とが噛合して、回転比は《4:1》であって、遊星軸2の螺旋溝2tの条数《1》との積《4》とリング軸3の条数《4》とが同じであって、リング軸3と遊星軸2との軸線位置は不動である。即ち平歯車(7,8)の噛合で遊星軸2の自転直動が矯正され、公転直動によって相殺される。
5) このようにして、リング軸3を駆動すると、その回転運動が太陽軸1の直動運動に運動変換される。
6) 太陽軸1と遊星軸2の係合溝の基準径比《23/13》を採択した時の、直動運動変換率は、係合溝ピッチが1に対して約0.16である。
7) 表6の( )内諸元を採択すれば、基準径比と遊星軸2の条数の積が《1.77》から《1.88》と太陽軸2の螺旋溝の条数《2》に近づき、直動運動変換率は約0.08と半減する。即ち遊星軸2の自転直動が公転直動に近づけると、直動変換率は微細に改変され、逆だと粗くなる。
8) 本実施の形態では、太陽軸1とリング軸3間の軸線方向の間隙を調整するために、リング軸3が分割されている。
螺旋溝3tを設けた一対のリング軸3が、平歯車8と隙間調整用の間座13を挟んで締め込み、キー14によって、逆戻を止めている。
9) 遊星軸2は、軸部5が保持器4に嵌合し、保持器4によって、太陽軸1の円周に分配されている。止輪6は保持器4がリング軸3から外れることを防止している。
尚 平歯車(7,8)ははすば歯車でも置き換えが可能である。係合溝形状はネジ溝、ネジ状歯車、球面溝等でも置き換えが出来る。
図4は表2の配列2に支持軸を加えた構成であって、本発明の第三の態様による、遊星式回転-直動運動変換装置の一例である。
従来技術が、太陽軸1とリング軸3の間で、直動を取り出しているのに対し、本実施の形態は、従動軸であるリング軸3が受ける反力を、遊星軸2を介して、支持軸12が受けるので、太陽軸1に大きな負担を掛けない特徴がある。
1) 〇印が示すように、遊星軸2の係合溝2tが、太陽軸1の係合溝1t、リング軸3の係合溝3t及び支持軸12の係合溝12tに係合している。
2) リング軸3を除く係合溝(1t,2t,12t)は、環状溝であって、遊星軸2は、太陽軸1及び支持軸12に対して軸線位置は不動である。
3) 遊星軸2には、支持軸12と同軸でかつ間隔を置いて、リング軸3が係合している。リング軸3には係合溝3tとして、6条螺旋溝が設けられ、遊星軸2の回転によって、リング軸3は遊星軸2に対し軸線位置が変位する。参考までに、直動変換率は=2(溝ピッチは1とする)。
4) 太陽軸1を駆動すると支持軸12とリング軸3の間で差動が起きる。
5) 外輪11は、支持軸12内径に嵌合し、固定ネジ10によって支持軸12に固定されている。支持軸12の係合溝12tを外輪11に設けて分離しているのは、組み立てを容易にすることが目的である。
係合溝部分を薄肉の外輪11として分けることによって、弾性変形を 利用して遊星軸2を組み立てる、或いは2分割した外輪11を使うことも可能である。
6) 遊星軸2は、軸部5が保持器4に嵌合し、保持器4によって、太陽軸1の円周に分配されている。止輪6は保持器4が太陽軸1から外れることを防止している。
図5は、本発明の第三の態様による、支持軸を備えた遊星式回転-直動運動変換装置で、図4とは別の実施の形態である。
本特許第二の態様の微細直動の仕組みと第一の態様として述べた、環状溝の係合による軸線位置不動とされた支持軸を備えた構成である。
☆印は、歯車の噛合による回転主動を示す。
△印は、係合溝の係合を示す。
図5と表8によって具体的に説明すると、
1) 表8の☆印をなぞれば、 太陽軸1の平歯車8と遊星軸2の平歯車7とが噛合して、回転を主動している。
2) △印をなぞれば、太陽軸1の螺旋溝1tと遊星軸2の螺旋溝2t1とが係合している。
平歯車(8,7)の噛合による回転比《2:1》と、遊星軸2の螺旋溝2tの条数《1》の積は、太陽軸1の螺旋溝1tの条数《2》と同じであって、遊星軸2と太陽軸1とは、軸線位置が不動である。
即ち 遊星軸2の自転直動を公転直動によって相殺されている。
3) 上段の〇印をなぞれば、リング軸3の螺旋溝12tと遊星軸2の螺旋溝2t2とが係合している。遊星軸2の螺旋溝2t2と平歯車7との基準径に、意図した直径差を設けている。リング軸3の螺旋溝3tと遊星軸2の螺旋溝2t2との基準径比《49:13》に遊星軸2の螺旋溝2tの条数《1》の積《3.77》は、リング軸3の条数《4》を外した値である。
即ち遊星軸2の自転直動と公転直動とに差を設けている。
4) 下段の〇印をなぞれば、支持軸12の環状溝12tと遊星軸2の環状溝2t1が係合し、支持軸12と遊星軸2とは軸線位置が不動である。
5) それらによって、太陽軸1を駆動して、支持軸12とリング軸3の間で差動に変換する構成である。
参考までに、直動変換率は≒0.08(溝ピッチは1とする)。
6) 平歯車8は、平歯車固定具9によって太陽軸1に固定されている。
遊星軸2は、軸部5が保持器4に嵌合し、保持器4によって、太陽軸1の円周に分配されている。
尚 平歯車(7,8)は、はすば歯車でも置き換えが可能である。係合溝形状はネジ溝、ネジ状歯車、球面溝等でも置き換えが出来る。
1t 太陽軸の係合溝
2 遊星軸
2t 遊星軸の係合溝
2t1 遊星軸の係合溝
2t2 遊星軸の係合溝
3 リング軸
3t リング軸の係合溝
4 保持器
5 遊星軸々部
6 止輪
7 遊星軸の平歯車
8 公転軸の平歯車
9 平歯車固定具
10 固定ネジ
11 外輪
12 支持軸
12t 支持軸の係合溝
13 間座
14 キー
Claims (3)
- 互いに平行な回転軸を有する太陽軸(1)、遊星軸(2)、リング軸(3)、支持軸(12)を有し、公転軸(3または1)、走行軸(1または3)何れかの役目に振分けられる前記太陽軸(1)と前記リング軸(3)、及び前記遊星軸(2)がそれぞれ互いに共働して構成する第一の遊星式回転-直動運動変換機構と
前記公転軸(3または1)、前記遊星軸(2)、前記支持軸(12)がそれぞれ互いに協働して構成する第二の遊星式回転-直動運動変換機構とが同軸かつ間隔を置いて配置され、
前記公転軸(3または1)と前記遊星軸(2)とは、前記第一及び第二の遊星式回転-直動機構の双方おいて、それぞれに設けられる環状溝(3tまたは1t、2t)により係合し、
前記走行軸(3)は、自身に設けられる螺旋溝(3t)と前記遊星軸(2)に設けられる環状溝(2t)とが係合し、
前記支持軸(12)は、自身に設けられる環状溝(12t)と前記遊星軸(2)に設けられる環状溝(2t)とが係合し、
これにより前記公転軸(3または1)、前記走行軸(1または3)及び前記支持軸(12)の内の何れかに加えた回転運動が前記走行軸(1または3)と前記支持軸(12)との差動に変換される遊星式回転-直動運動変換装置。 - 前記支持軸(12)内径に係合溝(12t)を備え、前記支持軸(12)の内径に固定される外輪(11)が、弾性変形可能な部材或いは分割可能な構成である、
請求項1に記載の遊星式回転-直動運動変換装置。 - 互いに平行な回転軸を有する太陽軸(1)、遊星軸(2)、リング軸(3)、支持軸(12)を有し、公転軸(3または1)、走行軸(1または3)何れかの役目に振分けられる前記太陽軸(1)と前記リング軸(3)、及び前記遊星軸(2)がそれぞれ互いに共働して構成する第一の遊星式回転-直動運動変換機構と
前記公転軸(3または1)、前記遊星軸(2)、前記支持軸(12)がそれぞれ互いに協働して構成する第二の遊星式回転-直動運動変換機構とが同軸かつ間隔を置いて配置され、
前記公転軸(3または1)及び前記遊星軸(2)はそれぞれが、前記第一、第二の遊星式回転-直動運動変換機構それぞれを構成する個別の平歯車(8、7)と個別の係合溝(3tまたは1t、2t1、2t2)とを備え、
これらを連接する同一軸であって、それぞれが前記平歯車(8、7)により噛合し、
前記走行軸(1または3)及び前記支持軸(12)はそれぞれが備える係合溝(1tまたは3t、12t)と前記遊星軸(2)の前記係合溝(2t1、2t2)とにより係合し、
これにより前記公転軸(3または1)、前記走行軸(1または3)、及び前記支持軸(12)の内の何れかに加えた回転運動が前記走行軸(1または3)と前記支持軸(12)との差動に変換される遊星式回転-直動運動変換装置。
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