本発明の一態様によれば、以下を含むローラ交換装置が提供される。複合材料レイアップヘッドに取り付けるための支持部と、それぞれのローラーを取り付けるための複数のローラーマウントと、を有し、それぞれのローラーマウントは、支持部に対するそれぞれの係合位置へ選択的に移動可能である。ここで、それぞれのローラーマウントの係合位置は、サポートがヘッドに取り付けられたときに、ヘッドに対して圧縮位置に保持されているそれぞれのローラーと対応している。
ヘッドに対する圧縮位置は、複合材料をヘッドからワークピースに対して圧縮するためのローラーの位置にすることができる。
それぞれのローラーマウントは、それぞれのローラーマウントをその係合位置へ移動させるために、支持部に対して回転可能な回転可能部材に配置されてもよい。回転可能部材またはそれぞれの回転可能部材は、それぞれのローラーマウントを係合位置へ動かすために、支持部材に対して回転可能なアームであってもよい。
それぞれのローラーマウントは、支持部に対して係合位置まで独立して移動可能であり得る。コントローラは、ローラーマウントの動きを制御するために提供されてもよい。コントローラは、一度に1つのローラマウントのみがそれぞれの係合位置にあるように構成されてもよい。
2つのローラーマウントのそれぞれが回転中心の周りで支持部に対して回転可能な回転可能部材に配置されてもよい。2つのローラー量は、回転中心の両側の正反対の位置にあってもよく、一緒に回転するように拘束されてもよい。2つのローラーマウントを同じ回転可能部材に配置できる。
複数のローラーマウントは、支持部に対して一緒に移動するように拘束することができる。したがって、1つのローラーマウントがそれぞれの係合位置に移動すると、別のローラーマウントがそれぞれの係合位置から離れるように移動し得る。
それぞれのローラーマウントの係合位置は、ローラーマウント間で共通でもよい。したがって、係合位置は、共通係合位置と呼ばれる場合がある。
それぞれのローラーマウントは、複数のローラーマウントのうちの少なくとも1つの他のローラーマウントに対して移動可能であり得る。それぞれのローラーマウントは、独立して(すなわち、他のそれぞれのローラーマウントから独立して)移動可能であり得る。
それぞれのローラーマウントは、支持部に対して、直線状の経路に沿ってそれぞれの係合位置に移動可能であり得る。それぞれのローラーマウントは、それぞれの直線状の経路に沿って移動可能でもよく、直線状の経路は、焦点の周りに角度的に分配され得る。その結果、それぞれのローラーマウントの係合位置は、共通の圧縮位置に保持されるそれぞれのローラーと対応する。それぞれのローラーマウントは、支持部に対して係合位置まで独立して移動可能であり得る。
直線状の経路は、焦点軸の周りに角度を付けて分布させることができる。それぞれのローラーマウントは、焦点軸と平行なローラー軸を中心にして、回転可能なローラーを保持するように構成され得る。
ローラー交換デバイスは、それぞれのローラーを保持するように構成され、それぞれのローラーの回転のためのローラー軸を規定する複数のローラーホルダーをさらに備えてもよい。それぞれのローラーホルダーは、それぞれのローラーマウントに取り付けることができる。
ローラー交換デバイスは、共通のローラー軸の周りを回転するために複数のローラーを保持するように構成され得る。それぞれのローラーマウントおよびそれぞれのローラーホルダーは、ローラーマウントがそれぞれの係合位置にある状態で、それぞれのローラー軸がローラーホルダーの少なくとも1つの構成において共通のローラー軸と整列するように協働的に構成され得る。
少なくとも1つのローラーホルダーは、それぞれのローラー軸が並進および/または回転においてそれぞれのローラーマウントに対して移動可能であるように構成され得る。その結果、ローラーマウントがそれぞれの係合位置にあるとき、ローラーは、ヘッドに対して一定範囲の対応する圧縮位置を持つそれぞれのローラーホルダーにより保持される。
少なくとも1つのローラーホルダーは、それぞれのローラーに加わる圧縮力に応答して、ローラーホルダーが弾性的に線形に圧縮可能であるように構成された弾性構成を有することができる。線形圧縮は、ばねなどの弾性装置の圧縮であり得る。弾性線形圧縮という用語は、ローラーホルダーが作られているバルク材料の熱によるひずみや圧縮、または弾性圧縮を含むことを意図していない。言い換えれば、弾性構成は、弾性線形圧縮軸に沿ったローラーホルダーの範囲が、バルク材料の単位力あたりの弾性圧縮ひずみに対応する速度(すなわち、単位力あたりの圧縮距離)よりも大きい速度で圧縮可能であるように構成することができる。
少なくとも1つのローラーホルダーは、ローラーホルダーがローラーマウントに対して弧状経路に沿って移動可能であるように、それぞれのローラーマウントと協働するように構成され得る。例えば、ローラーホルダーおよびローラーマウントは、弧状のレールまたは溝、および対応するフィッティングが協働する構成によって結合され得る。弧状経路は、ローラー軸および圧縮軸(ローラーに沿って圧縮力がそれに沿って加えられる)に直交する傾斜軸の周りに延びることができる。したがって、マウントに対するローラーホルダーの動きは、レイアップヘッドに対するローラー軸の傾斜角の変化をもたらし得る。レイアップヘッドは、第1の長手方向軸に沿って移動可能とすることができ、ローラー交換デバイスは、圧縮軸が長手方向の軸に垂直であるか、または長手方向の軸の法線に対して傾斜するように構成され得る。圧縮軸が縦軸の法線に対して傾斜している場合、ローラー軸の傾きにより、ローラー軸の一端が縦軸に沿って前方に移動し、反対側の端が縦軸に沿って後方に移動する。したがって、縦軸の参照フレーム(適用される表面またはワークピースの接平面に対応)で見ると、傾斜運動にはヨーイング(ねじれ)とローリング(縦軸を中心とした角運動)の両方の成分がある。
第2の態様によれば、第1の態様によるローラ交換デバイスを備えるローラ交換アセンブリが提供される。そして、複数のローラーのそれぞれがローラーマウントのそれぞれ1つに取り付けられている。
少なくとも2つのローラーは、以下のグループ、軸方向の寸法、材料、およびヤング率から選択された異なるローラー特性の値を持つことができる。
少なくとも1つのローラーホルダーは、それぞれのローラー軸の並進および/または回転において、それぞれのローラーマウントに対して移動可能であるように構成され得る。その結果、ローラーマウントがそれぞれの係合位置にあるとき、ローラーは、ヘッドに対して一定範囲の対応する圧縮位置を持つそれぞれのローラーホルダーによって保持される。少なくとも2つのローラーは、それぞれのローラーマウントが係合位置にあるときに、支持部に対する並進および/または回転のそれぞれの範囲に対応する異なるローラーエンベロープを有し得る。少なくとも2つのローラーのうちの1つは、圧縮位置に限定されたローラーエンベロープを有することができる。
ローラー交換アセンブリは、複数のローラーを保持して、支持部に対する共通の係合位置でワークピースと係合するように構成され得る。それぞれのローラーマウント、それぞれのローラー、およびそれぞれのローラーホルダー(存在する場合)は、ローラーマウントがそれぞれの係合位置にある状態で、それぞれのローラーが保持されて共通の係合位置でワークピースに係合するように協働的に構成され得る。
係合位置は、ローラー軸の位置ではなく、ローラーの表面がワークピースに当接する位置と関連し得る。
第3の態様によれば、レイアップヘッドに取り付けられた第1または第2の態様によるローラー交換装置またはローラー交換アセンブリを備える複合材料レイアップ装置が提供される。
本発明は、相互に排他的であるような組み合わせを除いて、本明細書に記載される特徴の任意の組み合わせを含み得る。
次に、添付の図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
図1の側面図および正面図によりレイアップヘッド10の一例を示す。レイアップヘッド10は、ツール14に適用するために、繊維強化材12を案内して切断するように構成されている。ヘッド10がヘッド経路18に沿ってツール14に対して移動するときに、アプリケータローラ16は、先端領域に隣接する圧縮位置に保持されて、先端領域からツール14に対して繊維強化材を圧縮する。ヘッド10は、アプリケーターローラー16を介して圧縮軸Cに沿って圧縮力を加えるように構成されている。
この例では、アプリケータローラ16は、ローラ軸Rを中心に回転するように取り付けられる。ローラ16の取り付け機構は、ローラ軸R’が下側に位置するツール14の表面と一致するように傾斜軸Tを中心に傾いて配置されるように提供される。この例では、傾斜軸Tは、圧縮軸およびローラ軸に対して直交している。
レイアップヘッド10は、複数のコース20、22を含むヘッド経路18に沿ってツール14に対して移動することにより、繊維強化材12を適用するように構成される。図2に示すように、例示的なヘッド経路18は、ツール14またはコンポーネントの第1の端から第2の端に向かってレイアップヘッド10が横断して繊維強化材を配置し、後にツールの第1の端に戻ることにより完了する一方向コース20の配列を含んでいてもよい。また、ヘッド経路18は、ヘッドがコースの途中で向きを変える双方向コース22を含んでいてもよい。
図3は、繊維ガイド部および切断装置を囲むヘッド本体102を備える例示的なレイアップヘッド100を示す。この例では、レイアップヘッド100は、ツール(図示省略)に対してヘッドボディ102を動かす6自由度マニピュレータのような多軸マニピュレータに取り付けることができる。他の例では、レイアップヘッド100が静止して、ツールがヘッドに対して移動するように構成されてもよいし、ヘッドおよびツールの両方が互いに異なる自由度で相対移動できるように構成されてもよい。
レイアップヘッド100は、レイアップヘッドの後端で受け取られた繊維強化材を先端領域106に向けるように構成される。ここで、繊維強化材は、圧縮させるためにツールに向かって案内され、切断され得る。この例では、レイアップヘッド100は、並べられた繊維強化材の複数のトウ、例えば、8つのトウを案内し、切断するように構成されている。他の例では、レイアップヘッドは、繊維の束またはテープを案内するように構成し得る。
図3に示されるように、第1のアプリケーターローラー312は、先端領域106から受け取った繊維強化材をツールに対して圧縮するために、レイアップヘッド100の先端領域106に隣接する圧縮位置に提供される。
ローラー312は、先端領域106に隣接した圧縮位置に保持される第1のローラー312と第2のローラー314とを切り替えるために、レイアップヘッド100に取り付けられたローラー交換装置200によって保持される。
この例では、ローラー交換装置200は、レイアップヘッド100に取り付けられた支持部202と、スイング軸Aの軸周りで支持部に対して相対的に回転可能となるように支持部202に連結された回転可能部材204を含む。回転可能部材204は、例えば、旋回リング軸受を含む。回転アクチュエータ205は、支持部202および回転可能部材204に連結されており、回転可能部材204を選択的に回転させる。この特定の例では、回転アクチュエータ205は、コントローラに結合されたエアシリンダアクチュエータであるが、他の例では、任意の適切なアクチュエータを利用し得る。
第1のローラー312および第2のローラー314は、回転軸Aに対して半径方向の相対する位置で回転可能部材204に取り付けられている。そのため、ローラー312とローラー314とは、支持部に対する回転可能部材204の回転によって切り替えることができる。そのような切り替えは、例えば、レイアップ手順のコース間で、予め係合されたローラー312、314の一方をツールから持ち上げて離したときに行うことができる。
例示的なローラー交換デバイス200を図4にさらに詳細に示す。この例では、回転可能部材204は、スイング軸に直交し、かつ、互いに反対方向に延びる2つのアーム206を画定する。回転可能部材は、スイング軸Aに対する平面法線方向において実質的に平面をなしている。
ローラーマウント208は、ローラーを交換装置200に取り付けるために各アーム206に配置される。この例では、各ローラーマウント208は、回転可能部材の平面から突出する弧形レールの形態であり、対応するそれぞれのローラーホルダー302、304(図4に破線で示されている)のフィッティング308を受容可能に構成されている。弧形レール208とローラーホルダー302、304の対応したフィッティング308は、各ローラーホルダー302、304がそれぞれのローラーマウント208に対して弧状経路に沿って移動することにより、ホルダー302、304に保持された各ローラー312、314のローラー軸Rを傾けることができるように構成される。
図3および図4は、第1のローラー312がレイアップヘッドの先端領域106に対して圧縮位置にあり、第2のローラー314が第1のローラーに対して直径方向の反対側の非係合位置にある、ローラー交換デバイス200の第1の構成を示す。
第1の構成では、第1のローラー312に対応する第1のローラーマウント208は、支持部202に対してマウント208が係合される係合位置に配置される。この例では、スイング軸A周りにおけるローラーマウント208の最も低い位置(または「6時」位置)である。第1のローラーマウント208は、スイング軸Aに対して一定の半径方向距離を空けて回転可能部材204に配置される。
第1のローラーホルダー302は、第1のローラーマウント208に取り付けられており、かつ、その遠位端で第1のローラー312のローラー軸Rを規定するように半径方向外側に延びている。第1のローラマウント208が係合位置にある第1の構成では、第1のローラーホルダー302は、レイアップヘッド100の先端領域に対して第1のローラ312を圧縮位置に保持する。この例では、第1のローラホルダ302は、上述のように、ローラーマウント208に対して弧状経路に沿って移動可能である。したがって、ローラー312は、ローラーホルダー302の移動範囲に対応した圧縮位置のローラー対応エンベロープを有する。この特定の例では、第1のローラーマウント208は、弧状経路が、ローラー312の幅方向におけるローラー312の中間点に位置する第1のローラーホルダー302により規定されるローラー軸Rに対して直交及び交差する傾斜軸Tに対して、ローラーの動作が回転可能となる範囲を提供するように構成されている。したがって、ローラー312の中間点は、ローラー312が傾斜している間、第1のローラーマウント208に対して静的な状態を維持する。そのため、ローラーエンベロープは、傾斜軸T周りにおけるローラー312の傾斜動作に対応した所定の圧縮位置の範囲を含む。
第1および第2のローラーマウント208は、両者の同期した回転が維持されるように、回転可能部材204に静的に取り付けられている。したがって、この例では、第2のローラーマウント208は、回転可能部材204の回転に関係なく、スイング軸Aを基準にして、第1のローラーマウント208と常に正反対側で対向している。
回転可能部材204が第1の構成から180°離れるように回転すると、第1のローラーホルダー302がその係合位置から離脱位置に移動し、第2のローラマウント208がその離脱位置からその係合位置に移動する。
この例では、第1および第2のローラーマウント208は、同一の弧形レールの構造を有しており、両者の間には、スイング軸に対して180°の角度間隔で同じ半径方向の距離だけスイング軸Aから離間している。したがって、第1および第2のローラーマウント208の係合位置は、それぞれの係合解除位置と同様に、両者の間で共通である。
この例では、第1および第2のローラーホルダー302、304と、両者の各ローラ312、314は、ローラー軸に沿ったローラー312、314の幅に関して、互いに異なる。図4に示されるように、第1のローラー312およびローラーホルダー302の各々は、第2のローラー314およびローラーホルダー304の各々と比較して幅広である。したがって、この例では、ローラー交換デバイス200は、異なる幅のローラー312、314間で切り替えが可能である。
次に、レイアップ手順中に、圧縮位置で使用中のローラー312、314間の切り替えを行うことを含むレイアップ指令の例について説明する。
レイアップ装置を制御するレイアップ手順でコントローラが用いるレイアップ指令は、手動で、またはコンピュータプログラムの補助によって定義できる。レイアップ指令は、レイアップヘッドとツールの相対的な動き、およびレイアップヘッドによってガイドされ、かつ、アプリケーターローラーによりツールに対して適用された繊維強化材のアプリケーションをコントロールすることができる。
レイアップ指令は、レイアップヘッドとツールの相対的な動きに関するヘッドパスの定義を含むことができる。この例では、レイアップ指令には、ヘッドパスの定義と、配置される繊維強化材の幅に対応した可変幅パラメーターが含まれている。この特定の例では、幅パラメーターは、ヘッドパスのそれぞれのコースに沿って配置される並べられたトウの数であるが、他の例では、幅パラメーターは特定の幅のローラーのID、幅寸法、またはローラー間の切り替えを開始するための他の適切なパラメーターであってもよい。
この例では、レイアップ手順は、ガスタービンエンジンのファンブレードに適用できる。レイアップ手順は、そのスパンに沿ってプロファイルが非常に変化し、ルートに向かって曲率が比較的高い領域と、先端に向かって曲率が比較的低い領域と、を含む。
レイアップ手順は、ファンブレードの形状に適合するように定義された連続するヘッドパスの分析に基づいて繰り返し定義される。特に、適用される表面(すなわち、ツールまたはファンブレード用の部分的に敷設されたプリフォームの露出面)の曲率は、ヘッドパスに沿って分析される。この曲率によって比較的広い範囲の第1のローラー312を使用するかどうかを決定する。第2のローラー314は比較的狭い範囲を有する。
適用される表面において高い湾曲を有する領域は、適用される表面に配置された繊維強化材の圧縮を阻害する可能性がある。通常、アプリケーターローラーは、圧縮力の下で変形可能であり、凹面であろうと凸面であろうと、有限量の曲率に対応する。特に、適用される表面が凸状である場合、圧縮力は、アプリケーターローラーの中央領域を押し下げるように作用し、その結果、アプリケーターローラーの外側領域が繊維強化材に当接して、強化繊維材を圧縮させることができる。同様に、適用される表面が凹面である場合、圧縮力は、アプリケーターローラーの外側領域を押し下げるように作用することができ、その結果、アプリケーターローラーの中央領域は、繊維強化材に当接して、強化繊維材を圧縮させることができる。
ローラーの外端に向かって非圧縮性が発生するように、ローラーの適用される表面が非常に凸状に湾曲している。そのため、レイアップ指示が定義され、または調整される。したがって、それぞれのコースにおいて、アプリケーターローラーの中央領域のみを使用して繊維強化材を適用することができる。例えば、トウの数は、アプリケーターローラーの中央領域を使用して適用される数へ減らすことができる。
しかしながら、ローラーの中央領域に向かって非圧縮性が発生するように、ローラーの適用される表面が非常に凹状に湾曲している場合、繊維強化材の幅を制限したり、トウの数を制限してその制限に対応した手順を採用したりすると、ローラーの効果が十分なものとはならず、ローラーの外側領域は、ローラーの中央領域での圧縮を妨げるように適用される表面に対して衝撃を付与する。
この例では、レイアップ指令の定義中に、そのような非圧縮性が識別または予測されると、それぞれのコースに比較的狭いアプリケーターローラーが使用されるように、レイアップ命令が定義または調整される。例として、レイアップ指令は、比較的広い第1のローラー312ではなく、図3および図4の比較的狭い第2のローラー314がそれぞれのコースで使用されるように定義され得る。
非圧縮性の問題が発生しないコースの場合、レイアップ手順は、比較的幅の広いアプリケーターローラーを使用するように定義される。理解されるように、分析が実行されて非圧縮性が識別された場合、連続した定義の間でコースの幅が変化する可能性があるため、レイアップ指令を繰り返し定義することができる。
上記の例に従って、異なる幅のアプリケーターローラーを切り替えるためのレイアップ指令を定義することにより、複雑な曲率を備える構成要素のためのレイアップ手順は、非圧縮性の発生に伴う製造欠陥を防ぎながら、より効率的に実行することができる。特に、ある程度の曲率が許容される場合、比較的広いアプリケーターローラーを使用することにより、コースの長さにわたって材料を効率的にレイアップすることができる。曲率の高い領域では、比較的狭いアプリケーターローラーを使用できる。特定のレイアップ手順において、アプリケーターローラーの幅は、最適化プロセスを使用して選択することができる。
上記の例では、レイアップ指令はレイアップ装置とは別のコンピュータープログラムによって定義されている。レイアップ装置で利用できるローラーの特性は、コンピュータープログラムで取り扱うことができる。そのため、レイアップ指令は適切に定義される。他の例では、レイアップ装置は、レイアップ装置が所定のパラメータに従ってローラーを切り替えるために、レイアップ装置が受信したレイアップ指令を変更するためのコンピュータプログラム(すなわち、非一時的な機械可読媒体に格納された命令)を含むことができる。例えば、コンピュータプログラムは、ローラーの適用される表面の曲率を分析して、各コースに使用する適切な幅のローラーを決定し、それに応じてコースとヘッドパス自体を再定義することができる。
他の例では、レイアップ手順のレイアップ指令は、特定のレイアップ装置に固有のものではなく、一般的なものであってもよい。レイアップ装置のコントローラは、レイアップ指令を解釈し、ローラ交換デバイスを制御して、所定の指示に基づいて、たとえば図3および図4のローラ交換デバイス200により提供される特定の方法でアプリケータローラを切り替えることができる。切り替えは、回転式エアシリンダを制御して、支持部202に対して回転可能部材204を180°回転させることによって行われる。
上記の例示的なレイアップ指令、および図3、図4の例示的なローラー交換デバイス200では、第1のローラー312および第2のローラー314は、それらの幅(軸方向寸法)のみが異なる。他の例では、他のローラーの特性は、ローラー交換デバイスまたはアセンブリ(すなわち、ローラーを含むローラー交換デバイス)のローラー間で異なり得る。たとえば、ローラーの半径、ローラーの材質、ヤング率などのローラーの特性は、ローラー交換デバイスのローラー間で異なる場合がある。
特に、比較的大きい半径のローラーは、比較的小さい半径のローラーよりも、ヘッドパス方向を横切る局所的な高い湾曲部分に対応するために、より大きな量で変形することができる可能性がある。一方、比較的小径のローラーは、ヘッドパスに沿った曲率の領域に適している。
異なる半径のローラーが使用されている場合、それぞれのローラーマウントは、ローラー軸とローラーの表面の間における異なる距離を補正するために、オフセットするための係合位置を持ってしてもよいし、もしくは任意のローラーホルダー(提供されている場合)は、ローラーマウントとローラー軸との間で異なる長さを持っていてもよい。それ以外の場合は、それぞれのローラーマウントは、長さが異なるローラーホルダーを備えていてもよい。
第1の材料のローラーは、異なる第2の材料のローラーよりも容易に変形可能でもよい。上述のように、選択されたコース上でより容易に変形可能なローラーを使用すると、曲率が大きいことにより、非圧縮化を防ぐことができる。同様に、ヤング率が比較的低いローラーは、変形しやすい場合がある。一方で、比較的変形に強いローラーを使用すると、構成部品のプリフォームの圧縮が向上し、欠陥が形成される可能性が低くなる。
図5は、さらに別の例のローラー交換デバイス500の部分図を示す。この例のローラー交換デバイス500は、支持部と、一緒に回転するように拘束されたローラーマウント508、510を備え、直径方向の対向する位置に配置された2つの回転可能部材504と、を有する点で上述した図3および図4と同様である。図5は、スイング軸Aと交差する平面に沿って切断されたローラー交換装置の2つの対向するアーム506の二等分図を示している。そのため、各アーム506は、互いに向かい合うのではなく、別々に並べて示されている。この図により、各ローラーマウント508、510の係合位置の比較ができる。
この図に示されているように、各ローラー512、514のローラー軸とスイング軸Aの間の半径距離は、各ローラー512、514で同一である。ただし、この例では、第1のローラーマウント508は、半径方向においてスイング軸Aに比較的近く、第2のローラーマウント510は、半径方向においてスイング軸Aから比較的遠い。この例では、第1のローラーホルダー516は、比較的近いローラーマウント508を保障するために半径方向に沿って比較的長い。一方、第2のローラーホルダー518は、半径方向に沿って比較的短い。したがって、第1のローラーマウント508および第2のローラマウント510のそれぞれが半径方向に関して異なる半径方向係合位置を有するにも関わらず、それぞれのローラーマウントがそれぞれの係合位置にあるとき、それぞれのローラーを同じ圧縮位置に保持することができる。両方のローラーマウント508、510は、同じ角度の係合位置を有する。
この例では、それぞれのローラーマウント508、510の構成が異なるため、ローラーエンベロープ(つまり、ローラーがローラーマウントに対して相対的に移動できる圧縮位置の範囲)は、第1ローラー512と第2ローラー514で異なる。特に、この例では、各ローラーマウント508、510は、ローラーマウント508、510とそれぞれのローラーホルダー516、518の間の相対移動のための弧状の経路を定義する。両方のマウントは焦点軸T(傾斜軸)を中心に弧状である。ただし、第1のローラーマウントの焦点半径は、第2のローラーマウントの焦点半径よりも大きい。したがって、ローラーの動的な傾斜応答は、第1のローラ512と第2のローラー514で異なり得る。特に、第2のローラ514は、傾斜運動のためのより大きな角度範囲(傾斜に対してより大きなローラーエンベロープ)を有し得る。
図6は、さらなる例のローラー交換デバイス600を備えたレイアップヘッド100を示す。ローラー交換デバイス600は、ヘッドパス方向18に対してレイアップヘッド100から後方に延在し、所定の角度方向に離間された直線状の支持レール603のアレイを含む。支持レール603は、ローラーマウント608およびローラー612に対応するように角度的に離間されたアレイをスライド可能に支持する。
ローラーマウント608は、レイアップヘッド100の先端領域106の下流側に位置する焦点軸Fの周りに角度的に間隔を空けて配置されている。それぞれのローラーマウント608は、焦点軸Fの周りの半径方向に対して独立して直線的に移動可能である。それぞれのローラーマウント608には、焦点軸Fにおいて(すなわち、ローラー612のローラー軸が焦点軸Fと実質的に同軸になるように)、ローラー612が取り付けられる。
この例では、支持本体602は、焦点軸Fを中心に概ね弧形であり、直線状の支持レール603は、支持本体602上で角度的に離間しており、ローラーマウント608と協働する。したがって、支持レール603も角度的に離間している。支持レール603の焦点軸は平行であるが、ローラーマウント608の焦点軸Fからオフセットされていることが理解される。
各ローラーマウント608は、後退位置(図6の3つのローラーマウントについて示される)と、係合位置(レイアップヘッド100に最も近いローラーマウント608として示される)と、を有しており、それぞれの支持レール603に対して、焦点軸Fに対する半径方向に沿って直線的に相対移動可能である。例えば、ローラー交換デバイス600は、ローラーマウント608を後退位置と係合位置との間で移動させるための線形アクチュエーターのアレイを含み得る。
この例では、各ローラーマウント608は、ローラーマウント608によって保持されるローラーの回転のためのローラー軸を規定する。各ローラーマウント608は、それぞれのローラー612を共通の圧縮位置に保持することにより、それぞれのローラー軸が焦点軸Fと同軸になるように構成される。したがって、それぞれのローラーマウント608が係合位置にあるとき、ローラー612のそれぞれは、共通のローラー軸を有する。
使用に備えて、異なるローラー特性を有するローラーをそれぞれのローラーマウント608に取り付けて保持させることができる。使用時には、レイアップヘッドの先端領域106から導かれる繊維強化材を圧縮するために、ローラー612の1つが選択される。それぞれのローラーマウント608は、それぞれのローラー612が、ローラー612のローラー軸が焦点軸Fと同軸である圧縮位置に保持されるように、後退位置から係合位置に移動するように作動する。レイアップヘッド100は、ツール14に対してヘッドパス18に沿って移動する。その結果、ある長さの繊維強化材がレイアップヘッド100からアプリケーターローラー612へ案内され、アプリケーターローラー612によってツール上で圧縮される。
異なるローラー612が必要であると判断された場合、ローラーは交換される。この例では、ローラー612を介した圧縮力を軽減させるために、レイアップヘッド100をツールから持ち上げることができる。そして、既に圧縮に使用されたローラーマウント608が作動し、直線経路に沿って、その後退位置に戻る。次に、使用の決定がなされた異なるローラー612に対応するローラーマウント608は、後退位置から係合位置へ移動するように作動する。
図3および図4のローラー交換デバイス200で前述したように、ローラー交換デバイス600は、ローラー612をいつ切り替えるかを決定するために、レイアップ指令に基づいて、かつ、レイアップヘッドまたはローラー交換デバイス600のコントローラーによって、以下のように制御できる。
この例では、各ローラーマウント608は、それぞれのローラー軸がローラーマウント608に対して固定されるように、それぞれのローラー612を保持するように構成される。しかし、他の例では、各ローラー612は、ローラーマウントに取り付けられたローラーホルダーによって保持されてもよい。ローラーマウント608は、ローラーマウント608に対するローラーまたはローラー軸の並進および/または回転を可能にするように構成される。例えば、図3および図4のローラー交換デバイス200に関して上述したものと同様のローラーホルダーを、ローラーマウント608とそれぞれのローラー612との間に使用してもよい。
さらに、他の例では、ローラマウント608は、それらが共通のローラー軸を共有しないように、異なる圧縮位置でそれぞれのローラーを保持するように移動可能であってもよい。