JP7189588B2 - 輻射シールドおよびそれを利用する光格子時計 - Google Patents

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Description

本発明は輻射シールドおよびそれを利用する光格子時計に関する。さらに詳細には、本発明は、原子に作用する黒体輻射の影響を抑制した輻射シールドおよびそれを利用する光格子時計に関する。
従来、高精度な計時のために各種の原子時計、特に光原子時計(optical atomic clocks)が開発されている。特に光の定在波である光格子を魔法波長の光で実現した光格子時計においては、時計レーザーの波長に比べ十分小さい空間的領域に光格子で原子を閉じ込める手法で、時計遷移の周波数についての不確かさを10-18レベルに抑制した動作が実証されている。この不確かさを決定する主要な要因の一つが原子を束縛している光格子による光シフトである。この光シフトについては例えば本発明者の改良により抑制が可能となっている(特許文献1)。不確かさを決定するもう一つの要因が黒体輻射(Blackbody Radiation, BBR)、すなわちステファン=ボルツマン則に従う輻射場に起源を持つ黒体輻射に起因する周波数シフトである。例えば、中性ストロンチウム原子(Sr)を用いる光格子時計では、室温の黒体輻射のために時計周波数が10-14でシフトすることが知られている。この黒体輻射の影響を抑制するためには、原子の周囲環境を極低温に冷却することにより温度Tの4乗(T)に比例する輻射エネルギー自体を弱めることが有効である。原子周囲に冷却された周囲環境を実現するために、時計のための電子遷移(時計遷移)を行わせる原子を内部に配置する冷却可能な遮蔽部材(輻射シールド)が一定の成果を挙げている。例えば輻射シールドを95Kに冷却し内部に生じる黒体輻射を抑制したもので、黒体輻射起因の不確かさが0.9×10-18、総計の不確かさが7.2×10-18となるようなSr光格子時計が報告されている(非特許文献1)。
国際公開2016/122001号公報
Ichiro Ushijima, Masao Takamoto, Manoj Das, Takuya Ohkubo, and Hidetoshi Katori, "Cryogenic optical lattice clocks," Nature Photonics 9, 185-189 (2015), doi:10.1038/nphoton.2015.5 T. Middelmann, C. Lisdat, S. Falke, J. Winfred, F. Riehle, and U. Sterr, "Tackling the blackbody shift in a strontium optical lattice clock," IEEE Transactions on 60, 2550 (2011), doi:10.1109/TIM.2010.2088470
時計遷移の周波数に現われる不確かさは10-18に到達しているものの、それをさらに凌駕する10-19レベルまたはそれ以上の精度での時間計測が求められている。そのため、冷却する輻射シールドにさらなる改良の余地が残されている。
光格子時計のための輻射シールドには、導入する原子や、光格子や時計遷移のためのレーザー光を内部空間に届けるための開口が少なくとも2つ開けられている。輻射シールドとなる壁(シールド壁)の外には、典型的には室温に応じた黒体輻射が空間に充満しているため、これら開口を通じ室温の放射が輻射シールド内へ浸入する。室温の放射エネルギーはTに応じた大きさを持つため、開口自体のサイズが可能な限り小さくされていてもその影響は無視できない。シールド壁の内壁面に吸収性の材質を配置すれば浸入する黒体輻射の影響をある程度抑制できるが、現実に採用できる低反射コーティングの吸収は必ずしも完全ではなく、例えば10%程度の反射率が残存することもある。内壁面で吸収されなかった電磁波は多重反射を生じるにもかかわらず、その寄与はこれまで考慮されていない。厄介なのが、実際の低反射コーティングでは反射には拡散性が伴っており、しかもその拡散反射の特性は多くの場合不明であり、正しい反射特性を設計に反映させることに手間がかかる。
本発明は上記問題の少なくともいくつかを解決することを課題とする。本発明は新規な着想に基づいて設計した輻射シールドやそれを用いる光格子時計を提供することにより、時間計測技術の一層の発展に寄与するものである。
本発明者は、開口を通って外界から侵入する放射(主に赤外域となる電磁波)を考慮した輻射シールドの新たな設計手法を見出し、またその設計手法に基づく輻射シールドが光格子時計の時計遷移の不確かさを一層低減させうることを確認し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明のある態様においては、光格子時計のための原子を収容しうる空洞領域を囲み、外界とつながる開口が少なくとも2つ設けられているシールド壁を備えており、 前記空洞領域に向かう前記シールド壁の内壁面の幾何形状は、前記内壁面が鏡面反射性である条件と拡散反射性である条件とにおいて、前記内壁面が放つ輻射と前記開口を通じ外界から浸入する輻射とこれら輻射の前記内壁面での反射成分とが前記原子に生じさせるシュタルクシフト量を求め、両条件でのシュタルクシフト量の差分が光格子時計における時計遷移の動作をする前記原子の位置にわたって所定の値を超えないようにされている、輻射シールドが提供される。
加えて本発明では、上記態様の輻射シールドを備える光格子時計も提供される。さらに本発明では、輻射シールドの設計方法も提供される。
輻射シールドのシールド壁には、光格子時計として動作させるために一般には2つの開口を備えている。輻射シールド内の空洞領域には、シールド壁の内壁面が放つ輻射、開口を通じ外界から浸入する輻射、そしてこれらの輻射が内壁面で反射した成分の輻射が、熱に起因した輻射の成分として存在し、これらが原子の遷移周波数にシュタルクシフト(熱的光シフト)として影響を与える。本発明の上記態様では、内壁面が鏡面反射性である条件と、内壁面が拡散反射性である条件、という2つの条件における原子のシュタルクシフト量をそれぞれ求める。ここで、現実の内壁面を反映してシュタルクシフト量を求めるとしても、内壁面の反射の詳細な特性(反射時にどの程度拡散されたり、散乱されたりするか)がわかっていなくてもかまわず、例えば反射率(エネルギーとして反射される比率)だけがわかっていればよい。シュタルクシフト量を求める計算のための内壁面のモデルには、当該反射率の値をもつ完全拡散反射面と、当該反射率の値をもつ鏡面反射面、という仮想的な反射面を仮定するのである。その仮定で算出した2つのシュタルクシフト量から求まる差分を、時計遷移をする時点の原子の位置にわたって求めてそれを所定の値と比較する。この比較でシュタルクシフト量の差分が所定の値を超えていないようなシールド壁の内壁面の幾何形状が得られれば、その幾何学形状は、必ずしも反射特性の細部が判明していない現実の内壁面の場合であっても十分な性能を持っていることとなる。
本発明の上記態様において内壁面とは、シールド壁の表面のうちシールド壁が囲む空洞領域に向かう範囲のものである。この内壁面は、シールド壁に何らかの層や膜などがコーティングとして設けられていればそのコーティングの表面でありうる。シールド壁は、その材質が任意であり、例えば冷却が容易なように熱伝導率の高い金属(銅など)で作製される。また、本出願の説明において、不確かさを伴う数値を、最終の桁に含まれうる不確かさの幅を括弧書きで直後に記載する場合がある。この表記に従えば、例えば0.20(1)とは、括弧内に記載した「1」程度の不確かさが、その直前の「0.20」の値の最終の桁である1/100の位に見込まれることを意味している。つまり、当該表記は、下限および上限をもつ範囲の形式で0.19~0.21と示せることと同一の意味である。ただし、これらの数値表現において不確かさが明示されていることは、その表現対象となった量が伴う誤差やその量が本質的に統計的であるとの性質が表れていることのみを意図するものであり、対象となった量がその範囲に常に限定されることを意味するものではない。これらの用語および表記を含め、本出願においては、不明確にならない限り本発明の属する技術分野の慣用に従う用語法を採用することがある。例えば、赤外域でありうる熱に起因した輻射のビームを光線と呼んだり、必ずしも理想的な黒体輻射といえない現実の輻射に対しても黒体輻射の用語を用いることがある。
本発明のある態様では輻射による原子への影響を極力排除して不確かさを10-19程度またはそれ以上にまで抑制しうるような輻射シールドや、その輻射シールドを採用する光格子時計が提供される。
図1は本実施形態の計算にて考慮する要素を示す説明図であり、図1Aは2つの開口をもつ輻射シールドのモデル、図1Bはモンテカルロ法にて計算するパストレースモデル、図1Cは拡散反射および鏡面反射の様子を示す模式図をそれぞれ示す。 図2は、輻射シールドを用いる光格子時計のための概略構成のための説明図である。 図3は、従来の光格子時計の光格子および原子と輻射シールドの配置および構成を示す構成図である。 図4は、従来の輻射シールドについて、熱的光シフトの位置依存性を計算した条件およびその結果を示す説明図である。図4Aは例示の従来の輻射シールドを描画したものである。図4Bは、低反射コーティングを施し拡散反射および鏡面反射の二つの反射特性の内壁面を仮定して得られた熱的光シフトの計算結果を示すグラフである。図4Cは分光時の原子の想定される位置(z=10mm)からの熱的光シフトの差分を示すグラフである。 図5は、従来の輻射シールドにおいて計算により求めた熱的光シフトの反射率への依存性を示すグラフである。 図6は種々の輻射シールドの形状と輻射シールドの内部における熱的光シフトの位置依存性との関係を示す説明図である。 図7は、本実施形態における輻射シールドの設計方法のフローチャートである。 図8は、熱的光シフトの位置依存性を、種々の幾何形状で設計された輻射シールドについて、形状のメッシュモデルとともに示すグラフである。 図9は、熱的光シフトの位置依存性を、種々の幾何形状で設計された輻射シールドについて、形状のメッシュモデルとともに示すグラフである。 図10は、図10A~Cの順に、図8B、8C、8Dを拡大したグラフである。
以下図面を参照し、本発明に係る輻射シールドと光格子時計の実施形態を説明する。全図を通じ当該説明に際し特に言及がない限り、共通する部分または要素には共通する参照符号が付される。また、図中、各実施形態の要素のそれぞれは、必ずしも互いの縮尺比を保って示されてはいない。
1.輻射シールドの設計
従来のSr光格子時計において採用した輻射シールドの場合に概算値として見積もられた黒体輻射に起因する周波数シフト(BBRシフト)の不確かさは0.9×10-18であった(上述、非特許文献1)。この概算値は、開口が張る立体角と環境温度の測定とによって見積もられたものである。より精密な計算のためには、多重反射、および環境からシールドに浸入しその後にシールド壁の内壁面にて生じる散乱の両方も加えた上でのシフトを注意深く考慮しなくてはならない。非特許文献1におけるBBRシフトの見積は、輻射シールドが単純な球面モデルである場合に基づいている(非特許文献2)。本実施形態では、多重反射の効果をより精密に扱うために、光線追跡法を採用してシールドの内壁面の幾何形状、反射率、および反射特性の影響も考慮することとする。
具体的には、本実施形態にて、輻射シールドの内部で熱輻射によって誘起されるBBRシフトの光線追跡計算が説明される。当該計算モデルは、非特許文献1で採用した輻射シールドの形状設計に適用される。10-19のBBR不確かさをもつ光格子時計を実現するための輻射シールドの最適な幾何形状を説明する。光格子による光シフトの評価法の改良とも相まって、総計の不確かさが10-19となる極低温動作の光格子時計が実現することとなる。
1-1.計算モデル
図1は本実施形態の計算にて考慮する要素を示す説明図であり、図1Aは2つの開口をもつ輻射シールドのモデルであり、光線追跡アルゴリズムにおいて原子に照射される輻射の3成分を示す。内壁面が放射する放射輝度L、入射する放射輝度L、および出射する放射輝度Lである。図1Bは、モンテカルロ法にて計算するパストレースモデルである。図1Cは、完全拡散反射および鏡面反射の様子を示す模式図である。
図1Aに示すように、開口のあるシールド内の原子は、開口を通って漏れてくる光線と放射率ε(ν)=1-R(ν)にてシールドの内壁面から放射される光線とに加え、R(ν)の反射率をもつ内壁面による熱輻射の反射光線および散乱光線を考慮する必要がある。ここでνは輻射の周波数を表す。そのような多重反射による熱的光シフトによる間接的な成分が、時計の不確かさを10-19前半のために重要な寄与をもつ要因である。
BBRシフトは、原子に照射される熱輻射のエネルギーを受けて生じるシュタルクシフトが、時計遷移の基底・励起それぞれの状態で差があるために生じる周波数シフトである。温度Tの熱源から生じる黒体輻射による電界E(ν,T)は、黒体輻射の周波数νにおける単位周波数範囲dνあたり、次のように定義することができる:
Figure 0007189588000001
ここでhはプランク定数、εが真空の誘電率、kはボルツマン定数である。これを用いてBBRシフトは
Figure 0007189588000002
のように書くことができる。ここでΔα(ν)は、時計遷移の基底・励起状態の分極率の差である。ここでは、磁気双極子および高次多重極の寄与を無視している。
しかしながら、ターゲットとなる原子の位置rにおいて熱輻射の分光放射照度を式(1)により表現することは、温度の空間的不均一性のために不正確となる。mmスケールのシールドが熱輻射の波長(~μm)を大きく超えることから、真空において、直線(光線)に沿って伝播する分光放射輝度を考える。空間不均一性を説明する熱輻射のシュタルクシフト(つまり熱的光シフトνth(ra))を正しく見積もるべく、原子を取り囲む球面にわたり放射による光線を積分する目的で、光線追跡法を採用する。
図1Aに示すような開口を持つシールド内の原子にとっては、開口を通って漏れてきて入射する光線とε(ν)=1-R(ν)の放射率にて輻射シールドの内壁面から放たれる光線とに加えて、反射率R(ν)をもつ内壁面により反射と散乱した熱輻射の光線を考えなくてはならない。多重反射による熱的光シフトのそのような間接的な成分が、時計の不確かさを10-19前半にまで減少させるために重要な寄与をもつファクターとなる。
1-2.モンテカルロ光線追跡計算法
モンテカルロ光線追跡計算法は、空間での光の伝播を解くための確率論的なアプローチである。実際の環境において光は、光源からから放たれ、表面で反射され、そしてターゲットとなる原子に到達する。しかし、光源から放たれる殆どの光線は、多重反射の後に原子にヒットすることはない。このため、計算効率の観点から、光線が、ターゲットとなる原子の位置から光源に向かって追跡されるようなバックワードアプローチを光線追跡アルゴリズムとして採用する。
本発明者は、光の反射と散乱の効果の計算のためにバックワードモンテカルロ光線追跡を適用するパストレーシングアルゴリズムを使用する。そのアルゴリズムでは任意の形状、材質、および任意の周波数の光を扱うことができる。本発明者は、pbrt- a physically based ray tracerと呼ばれるオープンソースの光線追跡ソフトを実際のパストレースのために採用する(http://www.pbrt.org/index.html)。モンテカルロ光線追跡の包括的理論およびその完全な実装の詳細が成書(Matt Pharr, Wenzel Jakob, and Greg Humphreys, "Physically Based Rendering, Third Edition: From Theory to Implementation," Morgan Kaufmann (2016), ISBN-13: 978-0128006450)に述べられている。
パストレーシングアルゴリズムは大略次のとおりである。図1Bは、当該アルゴリズムの説明のために示す。まず、ターゲット原子からランダムに選んだ方向に向かい1パス当たり1つの光線が追跡される。光線が表面にヒットした時点で、反射率に基づいて当該光線が吸収されるか反射されるかが内壁の反射率に従い確率的に決定される。光線が反射される場合、当該表面の双方向反射率分布関数(bidirectional reflectance distribution function, BRDF)に基づいて新たな方向が確率的に選択される。光線は、表面で完全に吸収されるか、輻射シールドの外に到達するまで追跡される。
レンダリング方程式は、光線追跡アルゴリズムにて光の伝播を記述する積分方程式である。この積分方程式は、光線がヒットする表面の全ての位置で値が求められるものであり、次式のように記述される。
Figure 0007189588000003
ここで、Lは放出されるスペクトル放射輝度、Lは到来するスペクトル放射輝度、Lは出射するスペクトル放射輝度、fはBRDF、Ωは位置rにおける半球、eは入射光の逆を向く方向、eは出射光の方向、nは反射する表面に垂直な方向の単位ベクトルである。
このパストレースアルゴリズムは、任意のBRDFを扱いうるものの、本発明者はpbrtの実装ではいくつかのBRDFについてエネルギー保存則を確認できなかった。そこで本発明者は、本願の輻射シールドの反射モデルのために、エネルギー保存則を確認した完全拡散反射モデルおよび完全鏡面反射モデルを使用する。
図1Cは、これら2つのモデルを図示している。完全拡散反射モデルは、反射面のためにランバート則に従う面を仮定するものである。光は、入射方向に無関係に半球方向に一様に反射される。他方の完全鏡面反射モデルでは、反射角が入射角と等しくなる。
熱的光シフトνth(ra) が入射スペクトル放射輝度の積分によって計算できる:
Figure 0007189588000004
本願において2つの別々の光源(熱源)を仮定する:一つは輻射シールド外部の室温環境
で温度Textのものであり、もう一つは輻射シールドの内壁面で温度Twallのものである。
本発明者は、光源からの放射輝度を、
Figure 0007189588000005
のように定義する。本願ではε(ν, T)はε(ν, Text)=1、また、ε(ν,Twall)=ε(ν)を表している。後者ε(ν)は、輻射シールドの内壁面の放射率である。熱的光シフトは、TextとTwallの2つのスペクトル放射輝度積分値を合算することによって計算される。
本発明者は、全ての方向について光線が一様にサンプルされる全方向カメラモデルを光線追跡計算に導入した。このカメラをターゲット原子の位置に置き、モデルの輻射シールドにより囲まれるシーンを描画する(図示しない)。この輻射シールドの内壁面は、適当な数の画素(例えば球面を200×100の正方形を2つ並べた画像)に対応させることができる。出射スペクトル放射輝度L(式(3))の値が各画素値として対応する。その画素値によって表される反射した放射輝度の和をとることによって式4の積分方程式を計算する。
1-3.輻射シールドのための光線追跡計算
1-3-1. 低温動作光格子時計
図2は、輻射シールドを用いる光格子時計のための概略構成のための説明図である。また図3は、従来の光格子時計の光格子および原子と輻射シールドの配置および構成を示す構成図である。低温動作光格子時計100では、Sr原子を極低温環境下のもとで時計遷移分光を行うために、分光時の原子周辺の領域を輻射シールド10により囲むことにより実現される。Sr原子等の原子2は、原子供給部から供給されて輻射シールドの外部で三次元的に対向する冷却レーザー4の光線で冷却・捕獲される。その後、光格子レーザー6のつくる光格子にトラップされる。光格子は、輻射シールド10を貫くように例えば一次元に配列する対向する同じ波長(例えば魔法波長)の光によって作られる定在波であり、波長を変調できる変調素子62によって片方の光の波長を変調することにより、トラップした原子を輻射シールド10内部に精密に搬送することができる(移動光格子)。原子2は、輻射シールド内部に例えば10mmだけ搬送され、光格子レーザー6による光格子にトラップされたまま輻射シールド10内の適切な位置で時計レーザー8等の光学的手段によって時計遷移が観察される。なおこれらの光格子時計の動作は、適切な範囲をもつ真空槽20内で実行される。ここに説明したもの以外も含め、光格子の動作の詳細は、非特許文献1において説明される。中性のSr原子を用いる光格子時計では、87Sr原子のレーザー冷却およびトラップが行われ、当該原子の一次元光格子への投入が行われ、移動光格子によって、輻射シールドの内部10mmに搬送される。図3においては、輻射シールド内の原子の位置を、輻射シールド10の中心軸であり光軸でもあり、輻射シールド10の一つの開口を原点にもつz軸に対して、mmの単位で示している。光格子は、10mmのレイリー長、ビームウエストが50μm半径程度である。輻射シールドの幾何形状や位置は、トラップや光格子のためのレーザービームとの干渉を避けるよう設計される。輻射シールドは2つの開口を持っており、従来のSr光格子時計では、原子とレーザーが内部へ達しうるよう、それぞれ例えばφ1=0.5mm、およびφ2=1.0mmとされて、両開口の原子に対する立体角はΩAP=8.9msrである。
輻射シールドは冷却され、例えばスターリング冷凍機によって95Kにされる。この輻射シールドの内壁面には、室温(例えばText=296(5)K程度)の放射が多重反射するのを防止する目的で低反射コーティングがなされている。低反射コーティングの半球反射率R(ν)は、ν=27~150THzで約0.02であり、これはν=10~300THzで0.1未満であるため、ν<10THz、ν>300THzについて0.1(1)の反射率を想定する。ここまでの一般的な計算手法の最初の解析例として、最初に、従来の輻射シールドで得られる結果を説明する。
1-3-2.熱的光シフトの位置依存性
最初に従来の輻射シールド内での熱的光シフトの位置依存性を計算する。図4は、従来の輻射シールドについて熱的光シフトの位置依存性を計算した条件およびその結果を示す説明図である。図4Aは、例示の従来の輻射シールドを模し計算に用いた輻射シールドをメッシュで描画したものである。図4Bは、低反射コーティングを施し拡散反射および鏡面反射の二つの反射特性の内壁面を仮定して得られた熱的光シフトの計算結果を示すグラフである。図4Cは、z=10mm付近の位置における熱的光シフトのz=10mmからの差分を示すグラフである。
輻射シールドは図4Aに示すように6350個の三角メッシュにてモデル化される。輻射シールドのモデルにおいて角ができるコーナー部分に2mm半径の丸み(隅肉半径(fillet radius))を与えることにより、エネルギー保存則が、拡散反射および鏡面反射それぞれの熱的光シフトにおいて、2×10-21および4×10-20の範囲で満たされた。
輻射シールド内壁面の各部の放射輝度L(式(3))を表す200×100画素の画像において、各画素について、光線追跡のために原子から逆方向に64光線が追跡され、1本の光線の追跡において最大1000回の反射がシミュレーションされた。隅肉半径ならびにメッシュ数および光線数を変更し、その値のバラつきから、拡散反射および鏡面反射に対する計算でのシフトの不確かさは、4×10-20および2×10-19と見積もることができる。位置依存性は、図3の輻射シールドにおける光線の始点をz軸で変更することにより評価される。
図4Bは、分数周波数単位で熱的光シフトνth(ra) /νSrの計算結果を示している。ここでSrの時計周波数およびDC分極率差を、νSr~429THzおよびΔα(0)=4.07873(11)×10-39cm/Vとした。黒四角および白円は、それぞれ、拡散反射および鏡面反射の場合の熱的光シフトを示している。拡散反射においては内壁面の形状に起因する位置依存性は内壁面による一様な反射のために消失している(後述)。
しかしながら、鏡面反射の場合においては、内壁面の形状がシフトに位置依存性をもたらしている。内壁面の角度のために、熱輻射がz<9mmの領域に集中しており、これが熱的光シフトの増強をもたらしている。つまりシフトの位置依存性は鏡面反射の場合に顕著である。
位置依存性は実験的にも計測される。輻射シールドの温度を95Kに固定しながら原子の位置を変化しつつ周波数シフトを測定する。図4Cにおいて、白抜き三角が実験的に測定された熱的光シフトを示しており、採用した低反射コーティングにおいては、鏡面反射による寄与が支配的ではないことを示唆している。縦方向のエラーバーは、計測における統計的不確かさ示している。原子の位置の不確かさは1mmである。しかしながら相対的な位置の不確かさは、移動光格子の周波数離調により決まるものであることから、無視することができる。室温の黒体輻射における波長全域について、表面のBRDFを特徴付けることは容易ではないため、熱的光シフトの位置依存性と、拡散反射および鏡面反射の間における周波数シフト差とを低減するような輻射シールドの設計を検討する。
1-3-3.熱的光シフトの反射率依存性
図5は、従来の輻射シールドにおいて、その中心位置(z=10mm)で拡散反射および鏡面反射の場合について計算により求めた熱的光シフトの反射率への依存性を示すグラフである。黒四角および白円は、それぞれ拡散反射および鏡面反射についての光シフトの反射率依存性を示している。反射率R=0についてのシフトが、室温放射の反射による間接的な寄与がない場合のシフト(図5における鎖線)に対応している。
間接寄与のシフトは、多重反射のために反射率とともに増加する。その増え方は、鏡面反射について拡散反射のものよりも顕著である。反射率の0.1の増分によって、拡散反射および鏡面反射の成分の間に3×10-18の周波数差がもたらされる。すなわち、原子の位置において、拡散反射と鏡面反射の間における周波数差が小さくなるように設計できるなら、そのような設計は有用なものとなるであろう。
1-3-4.熱輻射によるシフトの総計の不確かさ
温度Textの熱輻射についての熱的光シフトは、輻射シールドの外界から原子に直接照射する放射輝度に起因する直接項νext (r)と、内壁面によって反射した放射輝度に起因する間接項νext (r)との2つの寄与に分類される。間接シフトは式(3)から求まる総シフトから、容易に計算が可能な直接シフトを差し引くことによって計算される。
低反射コーティングを持つ輻射シールドについて間接熱輻射シフトは、不確かさ6×10-20を伴う-0.28×10-18と求められた。光線追跡を利用する間接熱的光シフトの正確な計算により、総計の熱的光シフトの不確かさが0.82×10-18と求められる。
1-4.輻射シールドの形状設計における最適化例
以上の一連の説明では、従来採用されている輻射シールドを対象として、その性能を再検討したものであった。本実施形態では、輻射シールドの幾何形状を設計し最適化するために、光線追跡を用いた上記手法を採用する。特に、輻射シールドの内壁面の反射特性の細部が不明なままであっても、従来の輻射シールドで求まった上記0.82×10-18の値を凌駕する輻射シールドが設計できることについて説明する。
1-4-1.チューブ状、球面、共焦点形状の輻射シールド
本節では、最初に、幾何形状のもたらす影響を調査するために、仮想的な輻射シールドの形状に対するシフトの依存性について説明する。構造体内部での反射の基本的な性質を理解するために、本発明者は、2つの開口を持つ、チューブ状、球面、および共焦点の輻射シールドという単純な幾何形状を取り上げる。内壁面について、輻射シールドの反射率R=0.1と、Twall=95Kの極低温と、輻射シールド外のText=296Kの室温とを仮定する。両端にφ=1mmの2つの開口を持ち、長さ20mmの輻射シールドを想定する。
図6は種々の輻射シールドの形状と輻射シールドの内部における熱的光シフトの位置依存性との関係を示す説明図である。図6Aは、チューブ状の設計に対し計算したシフトの位置依存性を示す。熱的光シフトは、拡散反射(黒四角)についてz=10mmの位置で-5.7×10-17である。しかし、5.8×10-18の周波数差が拡散反射および鏡面反射(白円)の間に生じる。図6Bは、球面の設計に対し計算したシフトの位置依存性を示す。z=8mm~12mmの範囲の位置で、拡散反射および鏡面反射(白円)の間で周波数差が、1.7×10-18以下となる。鏡面反射では、中心から半径を二分した距離だけ離れたところに近い2つの位置でディップが生じた。これらのディップは、球面の内壁面からの反射による熱輻射の集積量の増加に起因するものである。これは、2つの開口の位置にある点光源の場合について予想されるものである。
熱輻射が輻射シールド中心の近くに集中するのを防ぐため、2つの球面が焦点を共有して持ち、2つの球面のそれぞれの中心が開口に位置するような、共焦点の設計を想定する。計算結果が図6Cに示されている。球面の輻射シールドの鏡面反射の場合に存在したディップは消失し、拡散反射と鏡面反射のシフトは、z=10mmの±4mmの範囲にわたって6.5×10-19の不確かさの範囲で互いに一致した。
1-4-2.現実の反射特性の下での輻射シールドの最適化指針
本実施形態における最適化指針は、輻射シールドの開口を結ぶ線上のうち原子の時計遷移分光を行う可能性のある各位置(原子をレーザーで捕獲する際の初期位置の不確かさも含む)に対し、熱的光シフトの位置依存性を拡散反射と鏡面反射とで計算し、それらの間の差をできるだけ低減するような輻射シールドを採用する、というものである。上述したように、現実の低反射のコーティングは複雑な反射特性を示し、反射特性を例えばBRDF等で輻射の全波長域で特徴付けることは容易ではない。他方、ランバート則に従う完全拡散反射面の仮定で、および鏡面反射のみの完全鏡面反射の仮定で計算を行うことは、図4、図5の結果からわかるようにいずれも十分に現実的である。完全拡散反射と完全鏡面反射は、現実の反射現象を理想化した対照的な2つの条件といえるため、仮にそれらの条件の間における性能に差がない形状設計が可能であれば、その形状設計を採用し内壁面に現実の低反射コーティングを施した輻射シールドに期待しうる熱的光シフトの値にも不確定さは残らないはずである。反射率程度だけが知られている拡散性が特徴付けできないような低反射コーティングがあったとしても、拡散反射のみおよび鏡面反射のみという理想化した2つの場合で差がないのであれば、現実の低反射コーティングを施したものもその差の少ない範囲にあることが期待できる。この指針での最適化された形状設計で輻射シールドを作製すれば、現実の低反射コーティングなどの表面に位置する材質について、必ずしも明確とはいえない拡散反射特性を持っていても、予測された十分な特性が実現されるのである。
1-4-3.軸対称設計での輻射シールドの最適化
本発明者は、図3に示したレーザービームの配置と両立可能な幾何配置にまで上述した計算を拡張し、その上で、上記指針に従って最適化を行う。図7は、本実施形態における輻射シールドの設計方法のフローチャートである。黒体輻射場の反射の影響を弱めるために低反射コーティングを施した輻射シールド10(図2)を設計するとしても、低反射コーティングを含めた内壁面の反射特性が、BRDFのような詳細なレベルで判明していることは希である。本実施形態では、そのような一般的な状況においても、高性能な輻射シールドを設計しうる手法を採用する。その設計では、図7に示すように、まず初期設計として、内壁面が何らかの幾何形状を設定する(S102)。この設定は、光線追跡の計算を行う準備であるため、コンピュータ内にて形状を定義しうる任意の手法で行われる。次に、例えば内壁面の低反射コーティングとして実際に用いる材質の反射率Rを用いて、鏡面反射での黒体輻射シフトの値を計算する(S104)。この値を第1黒体輻射シフト値と呼ぶ。同様に、例えば上記反射率Rを用いて、拡散反射での黒体輻射シフトの値を計算する(S106)。こちらは第2黒体輻射シフト値と呼ぶ。黒体輻射シフト値は、いずれも輻射シールド10内の空洞領域のどこでも計算は可能であるが、開口をつなぐ直線上など原子が時計遷移分光の際に存在しうる位置が輻射シールドの直接的な性能指標となるのでそのような位置で計算する。そして、各位置で第1黒体輻射シフト値と第2黒体輻射シフト値の差分を算出する(S108)。この差分の値が所定の値を超える場合には(S110、Yes)、再度、内壁面の幾何形状を設定する。差分の値が所定の値を超えなければ(S110、No)、その時点の幾何形状を採用する(S112)。ここでの所定の値の例として例えば0.82×10-18を採用すれば、設計された幾何形状は、従来の輻射シールド(図4)よりも改善されたものといえる。なお、上記差分を求めるために想定するべき原子の位置範囲やこの所定の値は、動作条件や設計の基準であるため任意に設定することができる。また、図示しないが、追加の条件を課して同様の設計を行うことも有用である。例えば、冷却レーザー4(図2)のためのレーザーの配置を干渉しないように設計することがこの追加条件の例の一つである。さらに、所定の値として、固定された数値の比較ではなく、直前の設計における上記差分を、次の設計では所定の値として、性能の改善を継続的に行うこともできる。
現実の輻射シールドを採用する光格子時計において、レーザー冷却された原子を光格子によりトラップしたまま、輻射シールド内に搬送する必要がある。この間において原子は光格子をなすレーザーに適切にトラップされ続けなくてはならない。したがって、輻射シールドの一方の開口は、レーザー冷却のためのレーザーの照射が可能なようにファネル形状になってある程度突出しているものが好ましい。また、レーザー冷却の位置から輻射シールド内で時計遷移分光をする原子の位置までの距離(搬送距離)は、概ねレイリー長の2倍の20mm以内に留めたい。原子を光格子にトラップするために光格子レーザーはある点でフォーカスさせてその光強度を上げているが、搬送距離を長くしフォーカスから離れると、光格子のレーザーは拡散し、トラップに十分な光強度を持たせにくくなるためである。本実施形態では、上述した計算手法をこれらの現実的な制約を持つ実の光格子時計のための輻射シールドの設計に適用する。その際輻射シールドの内壁面に反射率R=0.1、2つの開口間距離L=20mm、温度95Kが仮定されている。また、ファネル形状となっている部分(ファネル部)は、互いに円錐の開く向きが反対となっていて、二つの開口を結ぶ向きにそれぞれ長さLをもつ。Lは、二つのファネル部をつなぐ円筒面をなす中間部の、同じ向きの長さである。本実施形態の最適化では、L=L+2Lの関係を満たしながら、LおよびLを変更する。黒四角および白円は、それぞれ拡散反射と鏡面反射の熱輻射シフトを示している。
図8および図9は、熱的光シフトの位置依存性を、種々の幾何形状で設計された輻射シールドについて、形状のメッシュモデルとともに示すグラフである。図8、9における設計の殆どにおいて、球面形状の輻射シールドについて説明したのと同様に、鏡面反射において2つのディップが生じる。拡散反射および鏡面反射の間でのシフトの差は、図8Aから図8CにかけてLを増加するのに応じて減少し、輻射シールドの中心付近の間接的熱輻射の集積のために、図8Dから図9Bにかけて増加し始める。Lがさらに増加すると、鏡面反射の場合に中心にディップが現われはじめ(図9C)、曲線形状はチューブ状の輻射シールドのものに類似し始める(図9D)。
図10は、図10A~Cの順に、図8B、8C、8Dの縦軸をz=10mmの拡散反射のシフト値からの差に変更し、横軸および縦軸とも拡大したものである。シフトの位置依存性は、輻射シールドの中心近傍(z=9~11mm)にて2×10-19まで減少する(図10B)。つまり、拡散反射および鏡面反射のシフトの差分は、この範囲にて2×10-19まで減少する。図10A~10C(図8B~8D)において、zの範囲を広げた際に熱的光シフトの観点で最も有利なものは、図10B(図8C)のL=7mm、L=6.5mmの条件のものである。ただし、図10A~10Cを見る限りいずれも10-19前半というわずかな不確定さにとどまっており、L=7mm、L=6.5mmで輻射シールドを作製する際に1mm程の許容範囲があることが示唆される。
1-4-4.他の原子への適用
ここまでの計算はSr原子を対象とした計算であったが、光格子時計のための他の候補であるYb、Mg、Cd、およびHgといった他の原子種に容易に拡張できる。プランクの法則による分光放射輝度の式および式(4)から実効立体角を次式により定義する。
Figure 0007189588000006
νstat(静的項)をT0=300Kで時計遷移の基底と励起の2つの状態間での静的分極率の差から生じるBBRシフトの寄与、νdyn(動的項)をBBRスペクトルの周波数範囲に応じた分極率差の変動による温度T0でのBBRシフトの寄与とする。補正のためにνstatおよびνdynを用いることによって、
熱的光シフトは、次式のように表現される:
Figure 0007189588000007
ここで、a=νstatΩeff (Text)/4π、d=νdynΩeff (Text)/4π、c=νstatΩeff(Twall)/4π、およびd=νdynΩeff (Twall)/4πであり、図7Cの形状設計において、Ωeff (Text)=18.4msr、Ωeff (Twall) =12.548srである。
SrおよびYb原子について、νstatおよびνdynが実験と理論で調査されている。Mg、Cd、Hg原子についてνstatが理論で調査されている。表3は、温度T、Tにおいて各原子の寄与をまとめたものである。熱的光シフトは、これらの係数を利用して計算される。表1は輻射シールドについて図7Cの幾何設計を採用して光線追跡法を使用して計算された原子種についての熱的光シフト係数を示す。
Figure 0007189588000008
2.まとめ
本願発明者は、光線追跡モデルに基づいて、極低温にした輻射シールドをもつ光格子時計について、熱輻射により誘起される光シフトを計算した。多数の輻射シールドの構造に対してシフトを計算し、熱輻射の多重反射によるBBRシフトの空間的不均一性のために、2つのタイプの反射(完全拡散および鏡面)において10-17レベルの周波数差があることを見出した。
2つのタイプの異なる反射において、原子位置の不確かさが±1mmのときにシフトの不確かさが2×10-19にまで削減されるような最適で実用的な輻射シールドを設計した。このデザインは、拡散反射および鏡面反射の間においてシフトの周波数差を2×10-19未満に減少させるものである。この設計は、他の原子種を用いる極低温の光格子時計に容易に適用可能である。この新規の設計は、10-19レベルの原子時計の可能性を拓くものといえる。
以上、本発明の実施形態を具体的に説明した。上述の実施形態、変形例および実施例は、本出願において開示される発明を説明するために記載されたものであり、本出願の発明の範囲は、特許請求の範囲の記載に基づき定められるべきものである。実施形態の他の組合せを含む本発明の範囲内に存在する変形例もまた、特許請求の範囲に含まれるものである。
本発明は、計時のための光格子時計の輻射シールドとして、またそのような輻射シールドを備える任意の原子時計のために使用可能である。
100 光格子時計
2 原子
4 原子冷却用レーザー
6 光格子レーザー
62 変調素子
8 時計遷移分光用レーザー
10 輻射シールド
20 真空槽

Claims (9)

  1. 光格子時計のための原子を収容しうる空洞領域を囲み、外界とつながる開口が少なくとも2つ設けられているシールド壁を備えており、
    前記空洞領域に向かう前記シールド壁の内壁面の幾何形状は、前記内壁面が鏡面反射性である条件と拡散反射性である条件とにおいて、前記内壁面が放つ輻射と前記開口を通じ外界から浸入する輻射とこれら輻射の前記内壁面での反射成分とが前記原子に生じさせるシュタルクシフト量を求め、両条件でのシュタルクシフト量の差分が、前記原子に光格子時計のための時計遷移の動作をさせるいずれの位置においても0.82×10 -18 を超えないようにされており、
    前記幾何形状が前記開口をつなぐ直線回りの回転に対し実質的に重なる軸対称となっており、
    前記幾何形状が、
    前記2つの開口の一方を頂点とする円錐面をなす第1のファネル部と、
    前記2つの開口の他方を頂点とする円錐面をなす第2のファネル部と、
    前記第1のファネル部と前記第2のファネル部とをつなぐ円筒面をなす中間部と
    を含んでいるものであり、
    前記第1のファネル部および前記第2のファネル部の前記2つの開口を結ぶ向きの長さが、前記中間部の同じ向きの長さと概ね等しくされている、輻射シールド。
  2. 光格子時計のための原子を収容しうる空洞領域を囲み、外界とつながる開口が少なくとも2つ設けられているシールド壁を備えており、
    前記空洞領域に向かう前記シールド壁の内壁面の幾何形状は、前記内壁面が鏡面反射性である条件と拡散反射性である条件とにおいて、前記内壁面が放つ輻射と前記開口を通じ外界から浸入する輻射とこれら輻射の前記内壁面での反射成分とが前記原子に生じさせるシュタルクシフト量を求め、両条件でのシュタルクシフト量の差分が、前記原子に光格子時計のための時計遷移の動作をさせるいずれの位置においても0.82×10 -18 を超えないようにされており、
    前記幾何形状が前記開口をつなぐ直線に沿って反転させて実質的に重なる反転対称になっているものである、輻射シールド。
  3. 光格子時計のための原子を収容しうる空洞領域を囲み、外界とつながる開口が少なくとも2つ設けられているシールド壁を備えており、
    前記空洞領域に向かう前記シールド壁の内壁面の幾何形状は、前記内壁面が鏡面反射性である条件と拡散反射性である条件とにおいて、前記内壁面が放つ輻射と前記開口を通じ外界から浸入する輻射とこれら輻射の前記内壁面での反射成分とが前記原子に生じさせるシュタルクシフト量を求め、両条件でのシュタルクシフト量の差分が、前記原子に光格子時計のための時計遷移の動作をさせるいずれの位置においても0.82×10 -18 を超えないようにされており、
    前記幾何形状が、
    前記2つの開口の間の距離を半径としてもち前記2つの開口の一方を中心とする第1の部分球面と、
    前記距離を半径としてもち前記2つの開口の他方を中心とする第2の部分球面と
    を含んでいるものである、輻射シールド。
  4. 前記内壁面が0.1以下の反射率を示すものである、
    請求項1~3のいずれか1項に記載の輻射シールド。
  5. 前記光格子時計のための原子がSr、Yb、Mg、Cd、Hgからなる群から選択されるいずれかである場合において、前記シールド壁は、前記内壁面が、前記開口を通る300Kの外界からの輻射場が動作時の前記原子に与える鏡面反射黒体輻射シフトと拡散反射黒体輻射シフトとの差分が、10-18以下となるようなものである、
    請求項1~3のいずれか1項に記載の輻射シールド。
  6. 請求項1~のいずれか1項に記載の輻射シールドを備える光格子時計。
  7. 光格子時計のための原子を収容しうる空洞領域を囲み、外界とつながる開口が少なくとも2つ設けられているシールド壁を備える輻射シールドの設計方法であって、
    前記空洞領域に向かう内壁面が鏡面反射性である条件での前記内壁面が放つ輻射と前記開口を通じ外界から浸入する輻射とこれら輻射の前記内壁面での反射成分とが前記原子に生じさせるシュタルクシフト量である第1の黒体輻射シフト値を、前記空洞領域内で時計遷移分光を行う前記原子の各位置において求める鏡面反射計算ステップと、
    前記内壁面が拡散反射性である条件での前記内壁面が放つ輻射と前記開口を通じ外界から浸入する輻射とこれら輻射の前記内壁面での反射成分とが前記原子に生じさせるシュタルクシフト量である第2の黒体輻射シフト値を、前記空洞領域内で時計遷移分光を行う前記原子の各位置において求める拡散反射計算ステップと、
    前記第1の黒体輻射シフト値と前記第2の黒体輻射シフト値との差分を各位置において求めるステップと
    を含み、
    前記シールド壁の前記内壁面の幾何形状は、前記原子に光格子時計のための時計遷移分光を行わせるいずれの位置においても前記差分が所定の値を超えないよう決定される、
    輻射シールドの設計方法。
  8. 前記鏡面反射計算ステップおよび前記拡散反射計算ステップの少なくともいずれかにおいて光線追跡法によりシュタルクシフト量が算出される、
    請求項に記載の輻射シールドの設計方法。
  9. 前記所定の値が0.82×10 -18 である、
    請求項7または8に記載の輻射シールドの設計方法。
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