(実施形態1)
まず、図1を参照して、本発明の実施形態1に係る沸き上げ制御システム1000の構成について説明する。沸き上げ制御システム1000は、基本的に、1つの電力契約単位である1つの需要家の電気料金がなるべく安くなるように、この需要家の複数の電気機器のうち複数の給湯装置400により沸き上げが実行される時間帯を調整するシステムである。沸き上げ制御システム1000は、基本的に、給湯装置400以外の電気機器(以下、適宜「他の電気機器」という。)の合計消費電力が少ない時間帯に沸き上げを実行させる機能と、電力の単価が安い夜間になるべく沸き上げを実行させる機能と、湯切れがないように沸き上げの順序を調整する機能とを有する。
電気料金は、基本的に、契約電力に基づいて課金される基本料金と、使用した電力量に応じて課金される電力量料金との和である。ここで、使用電力が契約電力の上限値を超過すると、契約電力は超過した量に応じた契約電力に引き上げられる。以降、予め定められた期間は、引き上げられた契約電力が維持される。このため、基本料金を抑えるためには、需要家の複数の電気機器の総消費電力のピーク値が契約電力の上限値を超えないようにすることが好適である。なお、上記契約電力は、例えば、50kW以上500kW未満であり、上記期間は、例えば、11ヶ月間である。
また、電力量料金には、夜間割引が適用される場合が多い。つまり、夜間における電力の単価は、昼間における電力の単価よりも安い電力契約が多い。このため、電力量料金を抑えるためには、沸き上げによる電力の消費がなるべく夜間に実行されることが好適である。夜間は、例えば、夜間料金が適用される時間帯(例えば、23:00から翌日の07:00の時間帯)であり、以下、適宜、第1時間帯と呼ぶ。昼間は、例えば、夜間料金よりも高い昼間料金が適用される時間帯(例えば、07:00から23:00の時間帯)であり、以下、適宜、第2時間帯と呼ぶ。
沸き上げ制御システム1000は、基本料金と電力量料金との双方が安くなるように、沸き上げが実行される時間帯を調整する。具体的には、沸き上げ制御システム1000は、総消費電力のピーク値がなるべく小さくなるように沸き上げが実行される時間帯を分散させつつ、電力量料金がなるべく安くなるように沸き上げが実行される時間帯を夜間に集約する。ただし、電気料金の低減のために、湯切れが発生してユーザの利便性が低下することは好ましくない。そこで、沸き上げ制御システム1000は、湯切れを発生させないことを前提条件として、総消費電力のピーク値の抑制と沸き上げ時間帯の夜間への集約を実行する。
沸き上げ制御システム1000は、サーバ100と、中継装置200Aと、中継装置200Bと、電力計測装置300Aと、電力計測装置300Bと、給湯装置400Aと、給湯装置400Bと、空調機500Aと、空調機500Bと、照明機器600Aと、照明機器600Bとを備える。中継装置200Aと電力計測装置300Aと給湯装置400Aと空調機500Aと照明機器600Aとは、住居800Aに設けられた電気機器である。中継装置200Bと電力計測装置300Bと給湯装置400Bと空調機500Bと照明機器600Bとは、住居800Bに設けられた電気機器である。以下、適宜、住居800Aを住居Aと呼び、住居800Bを住居Bと呼ぶ。
集合住宅800は、住居Aと住居Bとを含む多数の住居の集合体である。集合住宅800は、例えば、数戸から数百戸の住居の集合体である。なお、住居A及び住居B以外の住居は図示を省略している。集合住宅800は、電力会社との間で高圧一括受電契約を締結した大口需要家である。住居Aと住居Bとは、大口需要家である集合住宅800と受電契約を締結した小口需要家である。沸き上げ制御システム1000は、集合住宅800が締結した高圧一括受電契約における電気料金をなるべく小さくするために、集合住宅800に設けられた複数の給湯装置400により沸き上げが実行される時間帯を調整するシステムである。つまり、本実施形態では、基本的に、複数の電気機器とは、集合住宅800に設けられた複数の電気機器であり、需要家とは、大口需要家である集合住宅800を意味する。
商用電源10は、高圧一括受電契約に応じて集合住宅800に設けられた受電設備20に電力を供給する。商用電源10は、例えば、電力会社が有する変電設備であり、6600Vの交流電力を供給する電源である。受電設備20は、商用電源10から供給された6600Vの交流電力を100V又は200Vの交流電力に降圧し、住居Aに設けられた分電盤30Aと住居Bに設けられた分電盤30Bとに供給する。分電盤30Aは、受電設備20から供給された交流電力を、住居Aに設けられた電気機器に供給する。分電盤30Bは、受電設備20から供給された交流電力を、住居Bに設けられた電気機器に供給する。
中継装置200Aと電力計測装置300Aと給湯装置400Aと空調機500Aと照明機器600Aとは、住居800Aに設けられた宅内ネットワーク710Aを介して相互に接続される。中継装置200Bと電力計測装置300Bと給湯装置400Bと空調機500Bと照明機器600Bとは、住居800Bに設けられた宅内ネットワーク710Bを介して相互に接続される。宅内ネットワーク710Aと宅内ネットワーク710Bとは、例えば、無線LAN(Local Area Network)である。サーバ100と中継装置200Aと中継装置200Bとは、宅外ネットワーク720を介して相互に接続される。宅外ネットワーク720は、広域ネットワークであり、例えば、インターネットである。
サーバ100は、後述するように、電力履歴情報、給湯履歴情報、装置情報などに基づいて、複数の給湯装置400により沸き上げが実行される時間帯を決定する。サーバ100は、沸き上げが実行される時間帯に対応する沸き上げ開始時刻を示す開始時刻情報を、給湯装置400に送信する。以下、図2を参照して、サーバ100の物理的な構成について説明する。
サーバ100は、プロセッサ11と、ハードディスク12と、キーボード13と、液晶ディスプレイ14と、通信インターフェース15とを備える。プロセッサ11は、サーバ100の全体の動作を制御する。プロセッサ11は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び、RTC(Real Time Clock)などを内蔵したCPU(Central Processing Unit)である。なお、CPUは、例えば、ROMに格納されている基本プログラムに従って動作し、RAMをワークエリアとして使用する。ハードディスク12は、各種の情報を記憶する装置である。ハードディスク12は、例えば、プロセッサ11が実行するアプリケーションプログラムと、沸き上げ制御処理に関する各種のデータと、を記憶する。
キーボード13は、サーバ100に対するユーザ操作を受け付け、操作内容を示す情報をプロセッサ11に供給する装置である。液晶ディスプレイ14は、ユーザに各種の情報を表示する装置である。つまり、キーボード13と液晶ディスプレイ14とは、サーバ100のユーザインターフェースである。通信インターフェース15は、サーバ100を宅外ネットワーク720に接続するためのインターフェースである。通信インターフェース15は、例えば、NIC(Network Interface Card)を備える。
中継装置200Aは、住居Aに設けられた電気機器とサーバ100との通信を中継する装置である。中継装置200Aは、宅内ネットワーク710Aと宅外ネットワーク720との双方に接続する機能と、宅内ネットワーク710Aの通信プロトコルと宅外ネットワーク720の通信プロトコルとを相互に変換するゲートウェイ機能とを有する。中継装置200Aは、例えば、住居Aに構築されたHEMS(Home Energy Management System)におけるHEMSコントローラである。
中継装置200Bは、基本的に、中継装置200Aと同様の機能を有する。中継装置200Bは、宅内ネットワーク710Bと宅外ネットワーク720との双方に接続する機能と、ゲートウェイ機能とを有し、住居Bに設けられた電気機器とサーバ100との通信を中継する装置である。中継装置200Bは、例えば、住居Bに構築されたHEMSにおけるHEMSコントローラである。以下、適宜、中継装置200Aと中継装置200Bとを総称して、中継装置200と呼ぶ。図3を参照して、中継装置200の物理的な構成について説明する。
中継装置200は、プロセッサ21と、フラッシュメモリ22と、タッチスクリーン23と、第1通信インターフェース24と、第2通信インターフェース25とを備える。プロセッサ21は、中継装置200の全体の動作を制御する。プロセッサ21は、例えば、ROM、RAM、及び、RTCなどを内蔵したCPUである。なお、CPUは、例えば、ROMに格納されている基本プログラムに従って動作し、RAMをワークエリアとして使用する。フラッシュメモリ22は、各種の情報を記憶する揮発性のメモリである。フラッシュメモリ22は、例えば、プロセッサ21が実行するアプリケーションプログラムと、沸き上げ制御処理に関する各種のデータと、を記憶する。
タッチスクリーン23は、中継装置200のユーザインターフェースである。つまり、タッチスクリーン23は、ユーザ操作を受け付け、また、ユーザに各種の情報を表示する。第1通信インターフェース24は、中継装置200を宅内ネットワーク710A又は宅内ネットワーク710Bに接続するためのインターフェースである。第2通信インターフェース25は、中継装置200を宅外ネットワーク720に接続するためのインターフェースである。第1通信インターフェース24と第2通信インターフェース25とは、例えば、NICを備える。
電力計測装置300Aは、住居Aに設けられた電気機器のうち給湯装置400A以外の電気機器により消費される電力を計測する。電力計測装置300Aは、カレントトランス310Aとカレントトランス320Aとを備える。カレントトランス310Aは、住居Aで消費される電力、つまり、住居Aに設けられた全ての電気機器が消費する電力の合計値を計測し、計測結果を示す情報を電力計測装置300Aに供給する。カレントトランス320Aは、給湯装置400Aが消費する電力を計測し、計測結果を示す情報を電力計測装置300Aに供給する。電力計測装置300Aは、住居Aで消費される電力から給湯装置400Aが消費する電力を減じた電力を求める。電力計測装置300Aは、宅内ネットワーク710Aに接続する機能を有し、求めた電力を示す電力情報を中継装置200Aを介してサーバ100に供給する。
本実施形態では、理解を容易にするため、単位時間毎に電力及び電力量が管理され、1つの単位時間内では電力が変化せず、電力と電力量とが実質的に同義であるものとする。例えば、単位時間が1時間である場合、10:00から11:00の期間における消費電力量が100Whであることは、10:00から11:00の期間に亘って100Wの消費電力が維持されることを意味する。以下、「電力量」のことを単に「電力」と呼ぶことがある。
電力計測装置300Bは、住居Bに設けられた電気機器のうち給湯装置400B以外の電気機器により消費される電力を計測する。電力計測装置300Bは、カレントトランス310Bとカレントトランス320Bとを備える。カレントトランス310Bは、住居Bで消費される電力、つまり、住居Bに設けられた全ての電気機器が消費する電力の合計値を計測し、計測結果を示す情報を電力計測装置300Bに供給する。カレントトランス320Bは、給湯装置400Bが消費する電力を計測し、計測結果を示す情報を電力計測装置300Bに供給する。電力計測装置300Bは、住居Bで消費される電力から給湯装置400Bが消費する電力を減じた電力を求める。電力計測装置300Bは、宅内ネットワーク710Bに接続する機能を有し、求めた電力を示す電力情報を中継装置200Bを介してサーバ100に供給する。以下、適宜、電力計測装置300Aと電力計測装置300Bとを総称して、電力計測装置300と呼ぶ。
給湯装置400Aは、沸き上げた湯を貯める貯湯タンク420Aを備え、沸き上げと給湯とを実行する。給湯装置400Aは、沸き上げ設定値に従って沸き上げを実行する。沸き上げ設定値は、沸き上げ開始時刻と沸き上げ閾値とを含む。給湯装置400Aは、現在時刻が沸き上げ開始時刻になると、貯湯タンク420Aの現在の残湯量が沸き上げ閾値以下であるか否かを判別する。給湯装置400Aは、貯湯タンク420Aの現在の残湯量が沸き上げ閾値以下であると判別したことに応答して、沸き上げを開始する。
沸き上げ開始時刻は、1日のうちのいずれかの1つの時刻に設定される。沸き上げ開始時刻は、基本的に、毎日、22:00に、サーバ100により更新される。沸き上げ開始時刻は、沸き上げを実行するか否かを判別する時刻であるため、沸き上げ判別時刻でもある。沸き上げ閾値は、ユーザ、サーバ100、中継装置200Aなどにより設定される。沸き上げ閾値は、貯湯タンク420の容量に対する割合(例えば、80%)により指定されてもよいし、湯量(例えば、350L)により指定されてもよい。なお、本実施形態では、基本的に、沸き上げ閾値は、貯湯タンク420の容量の80%であり、不変であるものとする。
給湯装置400Aは、ユーザ又は中継装置200Aによる指示に従って、給湯を実行する。つまり、給湯装置400Aは、ユーザ又は中継装置200Aにより給湯が指示された場合、貯湯タンク420Aに貯められた湯を、浴槽、シャワーなどに供給する。使用された湯の量、つまり、給湯量は、例えば、貯湯タンク420に貯められた湯の残湯量の変化から算出される。給湯装置400Aは、宅内ネットワーク710Aに接続する機能を有し、残湯量を示す残湯量情報を中継装置200Aを介してサーバ100に供給し、開始時刻情報を中継装置200Aを介してサーバ100から受信する。
給湯装置400Bは、基本的に、給湯装置400Aと同様の機能を有する。給湯装置400Bは、沸き上げた湯を貯める貯湯タンク420Bを備え、沸き上げと給湯とを実行する。給湯装置400Bは、宅内ネットワーク710Bに接続する機能を有し、残湯量を示す残湯量情報を中継装置200Bを介してサーバ100に供給し、開始時刻情報を中継装置200Bを介してサーバ100から受信する。以下、適宜、給湯装置400Aと給湯装置400Bとを総称して、給湯装置400と呼び、貯湯タンク420Aと貯湯タンク420Bとを総称して、貯湯タンク420と呼ぶ。図4を参照して、給湯装置400の物理的な構成について説明する。
給湯装置400は、プロセッサ41と、フラッシュメモリ42と、タッチスクリーン43と、通信インターフェース44と、制御回路45と、残湯量センサ46とを備える。プロセッサ41は、給湯装置400の全体の動作を制御する。プロセッサ41は、例えば、ROM、RAM、及び、RTCなどを内蔵したCPUである。なお、CPUは、例えば、ROMに格納されている基本プログラムに従って動作し、RAMをワークエリアとして使用する。フラッシュメモリ42は、各種の情報を記憶する揮発性のメモリである。フラッシュメモリ42は、例えば、プロセッサ41が実行するアプリケーションプログラムと、沸き上げ制御処理に関する各種のデータと、を記憶する。
タッチスクリーン43は、給湯装置400のユーザインターフェースである。つまり、タッチスクリーン43は、ユーザ操作を受け付け、また、ユーザに各種の情報を表示する。通信インターフェース44は、給湯装置400を宅内ネットワーク710A又は宅内ネットワーク710Bに接続するためのインターフェースである。通信インターフェース44は、例えば、NICを備える。
制御回路45は、プロセッサ41による制御に従って、給湯装置400が備える冷凍サイクルの動作を制御する回路である。冷凍サイクルは、例えば、圧縮機、熱交換器、膨張弁を備える。制御回路45は、給水口から供給された水を冷凍サイクルにより加熱し、加熱により沸き上げられた湯を貯湯タンク420に貯める。また、制御回路45は、プロセッサ41による制御に従って、貯湯タンク420に貯められた湯を、排水口から浴槽又はシャワーに供給する。
残湯量センサ46は、貯湯タンク420に貯められた湯の量、つまり、残湯量を検出する。残湯量センサ46は、例えば、貯湯タンク420の側面に鉛直方向に配置された複数の温度センサの計測温度に基づいて、残湯量を検出する。例えば、残湯量センサ46は、計測温度が基準温度以上である温度センサのうち最も上部に配置された温度センサの位置から残湯量を算出する。残湯量センサ46は、予め定められた周期(例えば、10分)で、検出した残湯量を示す残湯量情報を、プロセッサ41に供給する。
空調機500Aは、受電設備20と分電盤30Aとを介して商用電源10から供給された電力を消費して、住居A内の空調を実行する。照明機器600Aは、受電設備20と分電盤30Aとを介して商用電源10から供給された電力を消費して、住居A内の照明を実行する。空調機500Aと照明機器600Aとは、宅内ネットワーク710Aに接続する機能を有し、中継装置200Aに状態情報を送信し、中継装置200Aから制御情報を受信してもよい。空調機500Aと照明機器600Aとは、住居Aにおいて電力を消費する電気機器の一例として挙げたものに過ぎない。つまり、住居Aに設けられる電気機器は、空調又は照明以外の動作を実行する電気機器であってもよいことは勿論である。
空調機500Bは、受電設備20と分電盤30Bとを介して商用電源10から供給された電力を消費して、住居B内の空調を実行する。照明機器600Bは、受電設備20と分電盤30Bとを介して商用電源10から供給された電力を消費して、住居B内の照明を実行する。空調機500Bと照明機器600Bとは、宅内ネットワーク710Bに接続する機能を有し、中継装置200Bに状態情報を送信し、中継装置200Bから制御情報を受信してもよい。空調機500Bと照明機器600Bとは、住居Bにおいて電力を消費する電気機器の一例として挙げたものに過ぎない。つまり、住居Bに設けられる電気機器は、空調又は照明以外の動作を実行する電気機器であってもよいことは勿論である。
次に、図5を参照して、沸き上げ制御システム1000の機能について説明する。サーバ100は、機能的には、電力情報受信部101と、電力履歴記憶部102と、残湯量受信部103と、給湯履歴記憶部104と、装置情報記憶部105と、基準電力設定部106と、開始時刻決定部107と、開始時刻送信部108とを備える。給湯装置400は、機能的には、残湯量取得部401と、開始時刻受信部402と、開始時刻記憶部403と、沸き上げ判別部404と、沸き上げ実行部405とを備える。なお、中継装置200と電力計測装置300と給湯装置400とは住居の個数分存在するが、図5には、1つの住居分の装置のみを示している。
基準電力設定手段は、例えば、基準電力設定部106に対応する。開始時刻決定手段は、例えば、開始時刻決定部107に対応する。開始時刻送信手段は、例えば、開始時刻送信部108に対応する。開始時刻受信手段は、例えば、開始時刻受信部402に対応する。開始時刻記憶手段は、例えば、開始時刻記憶部403に対応する。沸き上げ判別手段は、例えば、沸き上げ判別部404に対応する。沸き上げ実行手段は、例えば、沸き上げ実行部405に対応する。
電力情報受信部101は、中継装置200を介して電力計測装置300から電力情報を受信する。電力情報は、住居毎及び時間帯毎に取得される情報であり、少なくとも、給湯装置400以外の電気機器の合計消費電力を特定可能な情報である。例えば、住居Aから取得される電力情報は、00:00から01:00の時間帯における住居Aの給湯装置400A以外の電気機器の合計消費電力が350Wであることを示す情報である。或いは、電力情報は、1つの住居の全電気機器の合計消費電力と、この住居の給湯装置400の消費電力とを示す情報でもよい。
例えば、住居Aから取得される電力情報は、00:00から01:00の時間帯における住居Aの全電気機器の合計消費電力が500Wであり、00:00から01:00の時間帯における住居Aの給湯装置400Aの消費電力が150Wであることを示す情報であってもよい。この電力情報から、00:00から01:00の時間帯における住居Aの給湯装置400A以外の電気機器の合計消費電力が、500W-150W=350Wであることを特定可能である。
なお、各時間帯の消費電力が、各時間帯の消費電力量に対応することは、上述の通りである。また、中継装置200は、電力計測装置300から受信した電力情報を単にサーバ100に供給してもよいし、電力計測装置300から受信した電力情報を、適宜、蓄積又は加工してから、サーバ100に供給してもよい。電力情報受信部101の機能は、例えば、通信インターフェース15の機能により実現される。
電力履歴記憶部102は、電力情報受信部101により受信された電力情報から生成される電力履歴情報を記憶する。図6に、電力履歴情報の例を示す。電力履歴情報は、少なくとも、全住居における給湯装置400以外の全ての電気機器の合計消費電力の履歴を特定可能な情報である。例えば、電力履歴情報は、2018年11月16日の00:00から01:00の時間帯における全住居における給湯装置400以外の全ての電気機器の合計消費電力が30000Wであること、2018年11月16日の01:00から02:00の時間帯における全住居における給湯装置400以外の全ての電気機器の合計消費電力が20000Wであること、2018年11月16日の23:00から翌日の00:00の時間帯における全住居における給湯装置400以外の全ての電気機器の合計消費電力が40000Wであることを示す情報である。
或いは、電力履歴情報は、全住居における全ての電気機器の合計消費電力の履歴と、全住居における全ての給湯装置400の合計消費電力の履歴とを示す情報であってもよい。或いは、電力履歴情報は、住居毎に、給湯装置400以外の全ての電気機器の合計消費電力の履歴を示す情報であってもよい。これらの情報であっても、全住居における給湯装置400以外の全ての電気機器の合計消費電力の履歴を特定可能である。電力履歴情報は、例えば、過去2週間分以上の消費電力の履歴を示すことが好適である。電力履歴記憶部102の機能は、例えば、プロセッサ11とハードディスク12とが協働することにより実現される。
残湯量受信部103は、中継装置200を介して給湯装置400から残湯量情報を受信する。残湯量情報は、貯湯タンク420の残湯量を示す情報である。なお、中継装置200は、給湯装置400から受信した残湯量情報を単にサーバ100に供給してもよいし、給湯装置400から受信した残湯量情報を、適宜、蓄積又は加工してから、サーバ100に供給してもよい。残湯量受信部103の機能は、例えば、通信インターフェース15の機能により実現される。
給湯履歴記憶部104は、残湯量受信部103により受信された残湯量情報から生成される給湯履歴情報を記憶する。図7に、給湯履歴情報の例を示す。給湯履歴情報は、給湯装置400毎に、給湯量の履歴を示す情報である。なお、給湯履歴記憶部104は、残湯量受信部103により定期的に受信される残湯量情報に基づいて、給湯量の履歴を特定することができる。給湯履歴情報は、例えば、過去2週間分以上の給湯量の履歴を示すことが好適である。給湯履歴記憶部104の機能は、例えば、プロセッサ11とハードディスク12とが協働することにより実現される。
装置情報記憶部105は、装置情報を記憶する。図8に装置情報の例を示す。装置情報は、給湯装置400に関する情報であり、例えば、貯湯タンク420の容量と、沸き上げにおける定格消費電力と、沸き上げに要する沸き上げ時間とを示す情報である。図8に示す装置情報は、給湯装置400Aが備える貯湯タンク420Aの容量が600Lであり、給湯装置400Aによる沸き上げ実行中に150Wの電力が消費され、給湯装置400Aが600Lの水を沸き上げて湯にするのに120分要することを示している。サーバ100は、サーバ100又は中継装置200に対するユーザ操作に従って装置情報を生成してもよいし、中継装置200又は給湯装置400から装置情報を取得してもよい。装置情報記憶部105の機能は、例えば、ハードディスク12の機能により実現される。
基準電力設定部106は、基準電力を設定する。基準電力は、全住居における全ての電気機器の総消費電力の上限の目安である。つまり、総消費電力のピーク値が基準電力を超えないように、各給湯装置400の沸き上げ開始時刻が設定される。ただし、基準電力設定部106は、開始時刻決定部107による沸き上げ開始時刻の決定結果に応じて、基準電力を調整する。つまり、基準電力は可変である。基準電力設定部106の機能は、例えば、プロセッサ11の機能により実現される。
開始時刻決定部107は、沸き上げ開始時刻に沸き上げを開始する複数の給湯装置400を含む複数の電気機器のうち複数の給湯装置400以外の電気機器である他の電気機器の合計消費電力の履歴に基づいて、複数の給湯装置400のそれぞれについて沸き上げ開始時刻を決定する。沸き上げ開始時刻は、沸き上げを実行するか否かが判別される沸き上げ判別時刻であり、沸き上げを実行すると判別された場合に沸き上げが開始される時刻である。他の電気機器の合計消費電力の履歴は、例えば、電力履歴情報から特定可能である。
複数の給湯装置400の時間帯毎の合計消費電力は、基本的に、沸き上げ開始時刻の設定により決定される。このため、複数の給湯装置400の合計消費電力の履歴は、基本的に、沸き上げ開始時刻の決定の際に考慮しなくてもよい。ただし、複数の給湯装置400のそれぞれの消費電力の履歴は、沸き上げ開始時刻の決定の際に考慮されてもよい。例えば、装置情報により示される定格消費電力に代えて、電力履歴情報により示される給湯装置400の消費電力の実績値を、給湯装置400の消費電力として推定し、沸き上げ開始時刻を決定してもよい。
ここで、開始時刻決定部107は、複数の電気機器の推定総消費電力のピーク値が基準電力を超えないように、複数の給湯装置400のそれぞれについて沸き上げ開始時刻を決定する。複数の電気機器の推定総消費電力は、複数の電気機器の総消費電力の推定値である。自動で実行される沸き上げは、基本的に、沸き上げ開始時刻から沸き上げ終了時刻までの沸き上げ期間に実行される可能性があり、この期間外では実行されない。なお、沸き上げ終了時刻は、沸き上げ開始時刻から沸き上げ時間が経過した時刻である。
ここで、保温及び給湯で消費される電力は沸き上げで消費される電力に比べて極めて小さく、給湯装置400による電力の消費の大部分は沸き上げに要する消費であるものとする。この場合、給湯装置400により電力が消費されるのは、基本的に、沸き上げ期間である。開始時刻決定部107は、沸き上げ期間に給湯装置400により電力が消費されることを考慮して、沸き上げ開始時刻を決定する。開始時刻決定部107の機能は、例えば、プロセッサ11の機能により実現される。
開始時刻送信部108は、開始時刻決定部107により決定された沸き上げ開始時刻を示す開始時刻情報を、複数の給湯装置400のうち対応する給湯装置400に送信する。例えば、開始時刻送信部108は、給湯装置400Aについて決定された沸き上げ開始時刻を示す開始時刻情報を給湯装置400Aに送信し、給湯装置400Bについて決定された沸き上げ開始時刻を示す開始時刻情報を給湯装置400Bに送信する。開始時刻送信部108は、例えば、中継装置200を介して開始時刻情報を給湯装置400に送信する。開始時刻送信部108の機能は、例えば、プロセッサ11と通信インターフェース15とが協働することにより実現される。
ここで、開始時刻決定部107は、他の電気機器の合計消費電力の履歴に基づいて、他の電気機器の推定合計消費電力を時間帯毎に推定する。他の電気機器の推定合計消費電力は、複数の給湯装置400以外の電気機器の合計消費電力の推定値である。そして、開始時刻決定部107は、いずれの時間帯においても複数の給湯装置400の推定合計消費電力が基準電力と他の電気機器の推定合計消費電力との差を超えないように、複数の給湯装置400のそれぞれについて沸き上げ開始時刻を決定する。複数の給湯装置400の推定合計消費電力は、複数の給湯装置400の合計消費電力の推定値である。
より詳細には、開始時刻決定部107は、複数の給湯装置400による給湯の履歴と複数の給湯装置400が備える貯湯タンク420の残湯量の現在値とに基づいて、複数の給湯装置400のそれぞれについて、最先湯切れ時刻を推定する。なお、複数の給湯装置400による給湯の履歴は、給湯履歴情報から特定可能である。また、貯湯タンク420の残湯量の現在値は、残湯量受信部103から供給される残湯量情報から特定可能である。
最先湯切れ時刻は、沸き上げを実行しない場合に残湯量が湯切れ閾値以下になる最先の時刻である。例えば、開始時刻決定部107は、給湯装置400Aの過去2週間分の給湯の履歴を参照し、給湯装置400のユーザの湯の使用傾向を示す使用パターンを特定する。この使用パターンは、どの時間帯にどの程度の量の湯を使用した実績があるのかを示すパターンである。そして、開始時刻決定部107は、残湯量の現在値を考慮して、2週間分の使用パターンのうち、残湯量が湯切れ閾値以下になる時刻が最も早い使用パターンを特定する。そして、開始時刻決定部107は、特定した使用パターンを採用したときに残湯量が湯切れ閾値以下になる時刻を、最先湯切れ時刻として推定する。湯切れ閾値は、湯切れの目安となる残湯量である。残湯量の現在値が湯切れ閾値以下である場合、湯切れのおそれがあると推定される。
そして、開始時刻決定部107は、最先湯切れ時刻が早い給湯装置400ほど沸き上げ開始時刻が早くなるように、複数の給湯装置400のそれぞれについて沸き上げ開始時刻を決定する。つまり、湯切れの可能性がある最先の時刻が早い給湯装置400から順に沸き上げが実行されるように沸き上げ開始時刻が決定される。かかる構成によれば、湯切れのリスクが低減される。
基準電力設定部106は、開始時刻決定部107が、複数の給湯装置400のそれぞれについて、残湯量が湯切れ閾値以下にならないように沸き上げ開始時刻を決定できない場合、基準電力を増加させる。つまり、基準電力設定部106は、いずれの給湯装置400についても湯切れを起こさずに、全ての給湯装置400について沸き上げ開始時刻を割り当てることが困難である場合、基準電力を引き上げる。
ここで、基準電力設定部106は、基準電力の初期値として、時間帯毎に推定される他の電気機器の推定合計消費電力のうち最大値を設定することが好適である。他の電気機器の推定合計消費電力は、電力履歴情報に基づいて、時間帯毎に推定される。例えば、過去2週間分の対象時間帯(例えば、00:00から01:00)における給湯装置400以外の電気機器の合計消費電力の平均値が、この対象時間帯における他の電気機器の推定合計消費電力として推定される。そして、時間帯毎に推定された他の電気機器の推定合計消費電力のうち最大値、つまり、給湯装置400以外の電気機器の合計消費電力の過去2週間分の平均値が最も大きい時間帯について推定された他の電気機器の推定合計消費電力が、基準電力の初期値として設定される。
基準電力が大きい程、湯切れのリスクが低くなり、沸き上げ開始時間の割り当てが容易になる。しかしながら、基準電力が大きい程、総消費電力が契約電力の上限値を超えるリスクが高くなる。このため、湯切れのリスクがなく、沸き上げ開始時間の割り当てが可能である限りにおいては、基準電力は小さい方が好ましい。しかしながら、基準電力を他の電気機器の推定合計消費電力の最大値よりも小さくしたとしても、総消費電力のピーク値は低下しない可能性が高い。そこで、基準電力の初期値としては、他の電気機器の推定合計消費電力の最大値であることが好適である。
また、基準電力設定部106は、電力の単価が異なる時間帯に対しては、異なる基準電力を設定してもよい。例えば、基準電力設定部106は、第1時間帯に対しては、基準電力として第1基準電力を設定する。一方、基準電力設定部106は、電力の単価が第1時間帯よりも高い第2時間帯に対しては、基準として第2基準電力を設定する。このように、第1時間帯の基準電力を第2時間帯の基準電力以上にすることで、沸き上げによる消費電力の単価の低減が期待できる。
また、基準電力設定部106は、開始時刻決定部107が、複数の給湯装置400のそれぞれについて、残湯量が湯切れ閾値以下にならないように沸き上げ開始時刻を決定できない場合、以下の手順に従って、基準電力を引き上げることが好適である。具体的には、第1基準電力が閾値電力に到達するまでは第1基準電力を引き上げることが好適である。また、第1基準電力が閾値電力に到達した後、第2基準電力が閾値電力に到達するまでは第2基準電力を引き上げることが好適である。そして、第1基準電力と第2基準電力とが閾値電力に到達した後は、第1基準電力と第2基準電力とを同量で引き上げることが好適である。
ここで、閾値電力は、例えば、契約電力に基づく値である。典型的には、閾値電力は、契約電力の上限値であることが好適である。ただし、総消費電力量の変動量に応じて、契約電力は、契約電力の上限値よりも少し小さい値に設定されてもよい。かかる構成によれば、基本料金が変わらない範囲では電力量料金が抑制され、基本料金が上がる場合には、基本料金の増大がなるべく抑制されることが期待できる。
残湯量取得部401は、給湯装置400が備える貯湯タンク420の残湯量を取得する。残湯量取得部401は、例えば、予め定められた周期で、残湯量を取得する。残湯量取得部401は、予め定められた周期で、取得した残湯量を示す残湯量情報を、サーバ100と沸き上げ判別部404とに供給する。残湯量取得部401の機能は、例えば、プロセッサ41と通信インターフェース44と残湯量センサ46とが協働することにより実現される。
開始時刻受信部402は、サーバ100から開始時刻情報を受信する。開始時刻受信部402の機能は、例えば、通信インターフェース44の機能により実現される。開始時刻記憶部403は、開始時刻受信部402により受信された開始時刻情報を記憶する。開始時刻記憶部403の機能は、例えば、フラッシュメモリ42の機能により実現される。
沸き上げ判別部404は、開始時刻記憶部403に記憶された開始時刻情報により示される沸き上げ開始時刻において、貯湯タンク420の残湯量が沸き上げ閾値以下であるか否かを判別する。貯湯タンク420の残湯量は、残湯量取得部401から供給された残湯量情報から特定可能である。なお、本実施形態では、沸き上げ閾値は、貯湯タンク420の容量の80%であるものとする。沸き上げ判別部404の機能は、例えば、プロセッサ41の機能により実現される。
沸き上げ実行部405は、沸き上げ判別部404により貯湯タンク420の残湯量が沸き上げ閾値以下であると判別されたことに応答して、沸き上げを実行する。なお、沸き上げは、沸き上げ開始時刻に開始され、沸き上げ終了時刻が到来する前に完了する。沸き上げ実行部405の機能は、プロセッサ41と制御回路45とが協働することにより実現される。
次に、図9に示すフローチャートを参照して、サーバ100が実行する沸き上げ制御処理について説明する。この沸き上げ制御処理は、沸き上げ制御方法を実現するための処理の一部である。この沸き上げ制御処理は、例えば、サーバ100の電源が投入されると開始される。
まず、プロセッサ11は、電力情報を収集する(ステップS101)。例えば、プロセッサ11は、通信インターフェース15を制御して、中継装置200を介して電力計測装置300に電力情報の送信要求を送信する。そして、プロセッサ11は、電力計測装置300により送信され、通信インターフェース15により受信された電力情報を取得する。なお、電力計測装置300から定期的に電力情報が送信される場合、上記送信要求の送信は不要である。プロセッサ11は、全ての住居から電力情報を収集する。
プロセッサ11は、ステップS101の処理を完了した場合、電力履歴情報を更新する(ステップS102)。つまり、プロセッサ11は、通信インターフェース15により受信された電力情報で、ハードディスク12に記憶されている電力履歴情報を最新の情報に更新する。
プロセッサ11は、ステップS102の処理を完了した場合、残湯量情報を収集する(ステップS103)。例えば、プロセッサ11は、通信インターフェース15を制御して、中継装置200を介して給湯装置400に残湯量情報の送信要求を送信する。そして、プロセッサ11は、給湯装置400により送信され、通信インターフェース15により受信された残湯量情報を取得する。なお、給湯装置400から定期的に残湯量情報が送信される場合、上記送信要求の送信は不要である。プロセッサ11は、全ての住居から残湯量情報を収集する。
プロセッサ11は、ステップS103の処理を完了した場合、給湯履歴情報を更新する(ステップS104)。つまり、プロセッサ11は、通信インターフェース15により受信された残湯量情報で、ハードディスク12に記憶されている給湯履歴情報を最新の情報に更新する。
プロセッサ11は、ステップS104の処理を完了した場合、沸き上げ開始時刻の更新タイミングであるか否かを判別する(ステップS105)。この更新タイミングは、夜間割引が適用される夜間の先頭時刻よりも少し前の時刻であることが好適である。例えば、夜間の先頭時刻が23:00である場合、更新タイミングは22:00から23:00までの間のいずれかの時刻であることが好適である。本実施形態では、更新タイミングは、毎日到来する22:00であるものとする。
プロセッサ11は、沸き上げ開始時刻の更新タイミングでないと判別すると(ステップS105:NO)、ステップS101に処理を戻す。一方、プロセッサ11は、沸き上げ開始時刻の更新タイミングであると判別すると(ステップS105:YES)、開始時刻決定処理を実行する(ステップS106)。開始時刻決定処理については、後述する。
プロセッサ11は、ステップS106の処理を完了すると、開始時刻情報を給湯装置400に送信する(ステップS107)。具体的には、プロセッサ11は、通信インターフェース15を制御して、中継装置200を介して、開始時刻決定処理により決定された沸き上げ開始時刻を示す開始時刻情報をこの沸き上げ開始時刻が適用される給湯装置400に送信する。プロセッサ11は、全ての給湯装置400に開始時刻情報を送信する。プロセッサ11は、ステップS107の処理を完了すると、ステップS101に処理を戻す。
次に、図10を参照して、ステップS106で実行される開始時刻決定処理について詳細に説明する。
まず、プロセッサ11は、他の電気機器の推定合計消費電力を時間帯毎に推定する(ステップS201)。例えば、プロセッサ11は、電力履歴情報に基づいて、時間帯毎に、過去2週間における他の電気機器の合計消費電力の平均値を他の電気機器の推定合計消費電力として推定する。例えば、プロセッサ11は、00:00から01:00の時間帯については他の電気機器の推定合計消費電力として30000Wを推定し、01:00から02:00の時間帯については他の電気機器の推定合計消費電力として20000Wを推定し、・・・、23:00から00:00の時間帯については他の電気機器の推定合計消費電力として40000Wを推定する。
プロセッサ11は、ステップS201の処理を完了すると、他の電気機器の推定合計消費電力の最大値を基準電力として設定する(ステップS202)。例えば、時間帯毎に推定された他の電気機器の推定合計消費電力の最大値が、20:00から21:00の時間帯について推定された50000Wである場合、50000Wが基準電力として設定される。なお、本実施形態では、夜間と昼間とでは異なる基準電力を設けるものとする。この例では、50000Wが、夜間の基準電力である第1基準電力、及び、昼間の基準電力である第2基準電力として設定される。
プロセッサ11は、ステップS202の処理を完了すると、対象時間帯を先頭の時間帯に設定する(ステップS203)。対象時間帯は、沸き上げ開始時刻の割り当て対象となる時間帯である。つまり、ある対象時間帯を対象として沸き上げ開始時刻が割り当てられる場合、この対象時間帯の先頭時刻が沸き上げ開始時刻として割り当てられる。先頭の時間帯は、夜間割引が適用される最初の時間帯であり、例えば、23:00から00:00の時間帯である。
プロセッサ11は、ステップS203の処理を完了すると、沸き上げ開始時刻を設定する給湯装置400の個数を算出する(ステップS204)。例えば、プロセッサ11は、N=(A-B-C)/Dという式により個数を求めることができる。Nは、この対象時間帯において沸き上げ開始時刻を設定する給湯装置400の個数である。ただし、Nは、小数点以下を切り捨てることにより得られる0又は自然数である。Aは、基準電力である。Bは、対象時間帯について推定された他の電気機器の推定合計消費電力である。Cは、対象時間帯の前の時間帯から継続して対象時間帯においても実行される沸き上げに要する合計消費電力である。
例えば、対象時間帯が23:00から00:00であるときに、3つの給湯装置400(給湯装置A、給湯装置B、給湯装置C)に対して沸き上げ開始時刻が設定されたものとする。ここで、給湯装置Aの定格消費電力は100Wであり、給湯装置Aの沸き上げ時間は120分であるものとする。また、給湯装置Bの定格消費電力は100Wであり、給湯装置Bの沸き上げ時間は120分であるものとする。給湯装置Cの定格消費電力は100Wであり、給湯装置Cの沸き上げ時間は60分であるものとする。この場合、給湯装置A及び給湯装置Bによる沸き上げは23:00から01:00にかけて実行され、給湯装置Cによる沸き上げは23:00から00:00にかけて実行される。この場合、対象時間帯が00:00から01:00であるとき、C=100W×2=200Wとなる。
Dは、全ての給湯装置400の消費電力の平均値である。この消費電力は、装置情報から特定される定格消費電力であってもよいし、電力履歴情報から特定される消費電力の実測値であってもよい。このアルゴリズムでは、他の電気機器の推定合計消費電力が小さく、前の時間帯から継続して実行される沸き上げの合計消費電力が小さい時間帯ほど、沸き上げ開始時刻が割り当てられる給湯装置400の個数が多くなる。つまり、新たな沸き上げに割り当てる消費電力の余裕が大きい時間帯ほど、沸き上げ開始時刻が割り当てられる給湯装置400の個数が多くなる。
プロセッサ11は、ステップS204の処理を完了すると、沸き上げ開始時刻を設定する給湯装置400を選定する(ステップS205)。例えば、プロセッサ11は、全ての給湯装置400について最先湯切れ時刻を推定し、選択済みでない給湯装置400から、最先湯切れ時刻が早い順に、算出された個数の給湯装置400を選定する。なお、最先湯切れ時刻は、上述したように、残湯量の現在値と給湯履歴情報とから推定される。
プロセッサ11は、ステップS205の処理を完了すると、沸き上げ開始時刻を決定する(ステップS206)。つまり、プロセッサ11は、対象時間帯の先頭時刻を、ステップS205で選定された給湯装置400の沸き上げ開始時刻として決定する。
プロセッサ11は、ステップS206の処理を完了すると、湯切れのおそれがあるか否かを判別する(ステップS207)。例えば、プロセッサ11は、選定した給湯装置400に、推定された最先湯切れ時刻が対象時間帯の末尾時刻よりも早い給湯装置400が含まれているか否かを判別する。プロセッサ11は、最先湯切れ時刻が対象時間帯の末尾時刻よりも早い給湯装置400がある場合、湯切れのおそれがあると判別する。プロセッサ11は、湯切れのおそれがあると判別すると(ステップS207:YES)、基準電力調整処理を実行する(ステップS211)。基準電力調整処理については後述する。
プロセッサ11は、湯切れのおそれがないと判別すると(ステップS207:NO)、全ての給湯装置400が選定済みであるか否かを判別する(ステップS208)。プロセッサ11は、全ての給湯装置400が選定済みであると判別すると(ステップS208:YES)、開始時刻決定処理を完了する。プロセッサ11は、いずれかの給湯装置400が選定済みでないと判別すると(ステップS208:NO)、対象時間帯をシフトする(ステップS209)。対象時間帯は、1つ後ろの時間帯、つまり、1時間後の時間帯にシフトされる。
プロセッサ11は、ステップS209の処理を完了すると、シフト時間が24時間に到達したか否かを判別する(ステップS210)。プロセッサ11は、シフト時間が24時間に到達していないと判別すると(ステップS210:NO)、ステップS204に処理を戻す。プロセッサ11は、シフト時間が24時間に到達したと判別すると(ステップS210:YES)、基準電力調整処理を実行する(ステップS211)。なお、シフト時間が24時間に到達することは、現在の基準電力では、全ての給湯装置400について、沸き上げ開始時刻を設定できないことを意味する。
次に、図11を参照して、基準電力調整処理について詳細に説明する。基準電力調整処理は、基準電力を調整する処理であり、実質的に、基準電力を引き上げる処理である。
まず、プロセッサ11は、調整後の第1基準電力が電力閾値を超えるか否かを判別する(ステップS301)。つまり、プロセッサ11は、第1基準電力を引き上げた場合に、引き上げた後の第1基準電力が電力閾値を超えるか否かを判別する。電力閾値は、例えば、契約電力の上限値である。
プロセッサ11は、調整後の第1基準電力が電力閾値を超えないと判別すると(ステップS301:NO)、第1基準電力を引き上げる(ステップS302)。引き上げ幅は、一定量(例えば、1kW)でもよいし、一定割合(例えば、10%)であってもよい。
プロセッサ11は、調整後の第1基準電力が電力閾値を超えると判別すると(ステップS301:YES)、調整後の第2基準電力が電力閾値を超えるか否かを判別する(ステップS303)。つまり、プロセッサ11は、第2基準電力を引き上げた場合に、引き上げた後の第2基準電力が電力閾値を超えるか否かを判別する。
プロセッサ11は、調整後の第2基準電力が電力閾値を超えないと判別すると(ステップS303:NO)、第2基準電力を引き上げる(ステップS304)。引き上げ幅は、一定量(例えば、1kW)でもよいし、一定割合(例えば、10%)であってもよい。
プロセッサ11は、調整後の第2基準電力が電力閾値を超えると判別すると(ステップS303:YES)、第1基準電力と第2基準電力とを同量で引き上げる(ステップS305)。引き上げ幅は、電力契約において基本料金が上がる単位に合わせて設定されることが好適である。例えば、電力契約において、1kW単位で基本料金が上がる場合、引き上げ幅は、1kWであることが好適である。プロセッサ11は、ステップS302、ステップS304、又は、ステップS305の処理を完了すると、基準電力調整処理を完了する。
基準電力調整処理では、まず、基準電力が契約電力の上限値を超えるまでは、電力の単価が安い夜間の基準電力である第1基準電力が、電力の単価が高い昼間の基準電力である第2基準電力よりも優先して引き上げられる。これにより、基本料金の増大が抑制されつつ、電力量料金が低減される。そして、基準電力が契約電力の上限値を超えた後は、第1基準電力と第2基準電力とが同量で引き上げられる。これにより、基本料金の増加量の低減が期待できる。
次に、図12を参照して、給湯装置400が実行する沸き上げ制御処理について詳細に説明する。この沸き上げ制御処理は、沸き上げ制御方法を実現するための処理の一部である。この沸き上げ制御処理は、例えば、給湯装置400の電源が投入されると開始される。
まず、プロセッサ41は、開始時刻情報を受信したか否かを判別する(ステップS401)。例えば、プロセッサ41は、通信インターフェース44が、中継装置200を介してサーバ100から、開始時刻情報を受信したか否かを判別する。本実施形態では、基本的に、毎日22時に開始時刻情報が受信されるものとする。
プロセッサ41は、開始時刻情報を受信したと判別すると(ステップS401:YES)、開始時刻情報を保存する(ステップS402)。例えば、プロセッサ41は、フラッシュメモリ42に記憶されている設定値のうち沸き上げ開始時刻を、受信された開始時刻情報により示される沸き上げ開始時刻で更新する。
プロセッサ41は、ステップS402の処理を完了すると、設定値をユーザに通知する(ステップS403)。例えば、プロセッサ41は、フラッシュメモリ42に記憶されている設定値を提示する画面を、タッチスクリーン43に表示させる。なお、この設定値には、沸き上げ開始時刻と、沸き上げ閾値とが含まれる。
プロセッサ41は、ステップS403の処理を完了すると、ユーザによる設定変更指示があるか否かを判別する(ステップS404)。例えば、プロセッサ41は、提示された設定値を確認したユーザによる設定変更指示が、タッチスクリーン43に対してなされたか否かを判別する。プロセッサ41は、ユーザによる設定変更指示があると判別すると(ステップS404:YES)、設定値を変更する(ステップS405)。例えば、プロセッサ41は、ユーザによる設定変更指示に従って、フラッシュメモリ42に記憶されている設定値を変更する。
プロセッサ41は、開始時刻情報を受信していないと判別した場合(ステップS401:NO)、ユーザによる設定変更指示がないと判別した場合(ステップS404:NO)、又は、ステップS405の処理を完了した場合、沸き上げ開始時刻であるか否かを判別する(ステップS406)。例えば、プロセッサ41は、内蔵するRTCから供給される時刻情報から求められる現在時刻がフラッシュメモリ42に記憶された設定値のうち沸き上げ開始時刻と一致するか否かを判別する。
プロセッサ41は、沸き上げ開始時刻であると判別すると(ステップS406:YES)、残湯量情報を取得する(ステップS407)。例えば、プロセッサ41は、残湯量センサ46から残湯量情報を取得する。プロセッサ41は、ステップS407の処理を完了すると、残湯量が沸き上げ閾値以下であるか否かを判別する(ステップS408)。例えば、プロセッサ41は、取得された残湯量情報により示される残湯量が、フラッシュメモリ42に記憶された設定値のうち沸き上げ閾値以下であるか否かを判別する。
プロセッサ41は、沸き上げ開始時刻でないと判別した場合(ステップS406:NO)、又は、残湯量が沸き上げ閾値以下でないと判別した場合(ステップS408:NO)、ステップS401に処理を戻す。一方、プロセッサ41は、残湯量が沸き上げ閾値以下であると判別すると(ステップS408:YES)、沸き上げを実行する(ステップS409)。例えば、プロセッサ41は、制御回路45を制御して、湯を沸き上げて貯湯タンク420に貯める処理を実行する。プロセッサ41は、ステップS409の処理を完了すると、ステップS401に処理を戻す。
本実施形態では、推定総消費電力のピーク値が基準電力を超えないように複数の給湯装置400のそれぞれについて沸き上げ開始時刻が決定され、沸き上げ開始時刻を示す開始時刻情報がサーバ100から対応する給湯装置400に送信され、複数の給湯装置400による沸き上げが対応する沸き上げ開始時刻に実行される。このため、本実施形態では、サーバ100と複数の給湯装置400との通信が途絶している場合においても、複数の給湯装置400による沸き上げが可能となる。つまり、本実施形態によれば、総消費電力のピーク値の上昇を抑制する沸き上げを適切に実現することができる。
また、本実施形態では、時間帯毎に推定された他の電気機器の推定合計消費電力に基づいて、複数の給湯装置400のそれぞれについて沸き上げ開始時刻が決定される。このため、本実施形態によれば、総消費電力のピーク値の上昇を抑制する精度の向上が期待できる。
また、本実施形態では、給湯の履歴と残湯量の現在値とに基づいて推定された最先湯切れ時刻が早い給湯装置400ほど、早い沸き上げ開始時刻が設定される。このため、本実施形態によれば、湯切れのリスクの低減が期待できる。
また、本実施形態では、湯切れしないように沸き上げ開始時刻を決定することができない場合、基準電力が引き上げられる。このため、本実施形態によれば、沸き上げの実行と湯切れの抑制とを担保した上で、総消費電力のピーク値の上昇を抑制することができる。
また、本実施形態では、基準電力の初期値として、時間帯毎に推定される他の電気機器の推定合計消費電力のうち最大値が設定される。このため、本実施形態によれば、沸き上げ開始時刻が速やかに決定されることが期待できる。
また、本実施形態では、電力の単価が第1時間帯よりも高い第2時間帯に対しては、基準電力として第1時間帯に対して設定された第1基準電力以下である第2基準電力が設定される。このため、本実施形態によれば、電力量料金の低減が期待できる。
また、本実施形態では、第1基準電力が契約電力に基づく閾値電力に到達するまでは第1基準電力が引き上げられ、第1基準電力が閾値電力に到達した後、第2基準電力が閾値電力に到達するまでは第2基準電力が引き上げられ、第1基準電力と第2基準電力とが閾値電力に到達した後は第1基準電力と第2基準電力とが同量で引き上げられる。このため、本実施形態によれば、基本料金の増大の抑制を優先しつつ、電力量料金の増大も抑制することができる。
(実施形態2)
実施形態1では、基準電力調整処理において、第1基準電力が契約電力に基づく閾値電力に到達するまでは第1基準電力が優先的に引き上げられる例について説明した。本実施形態では、基準電力調整処理において、第1基準電力と第2基準電力とが順に交互に引き上げられる例について説明する。以下、図13を参照して、本実施形態に係るサーバ100が実行する基準電力調整処理について説明する。なお、本実施形態に係る沸き上げ制御システム1000の構成及び機能は、基準電力調整処理に関する機能を除き、基本的に、実施形態1と同様であるため、説明を省略する。
基準電力調整処理において、プロセッサ11は、まず、最初の調整であるか否かを判別する(ステップS501)。例えば、プロセッサ11は、第1基準電力と第2基準電力とのいずれも一度も調整済みでないか否かを判別する。プロセッサ11は、最初の調整であると判別すると(ステップS501:YES)、第1基準電力を引き上げる(ステップS502)。引き上げ幅は、例えば、契約電力を考慮して設定される。なお、本実施形態では、第1基準電力の引き上げ幅と第2基準電力の引き上げ幅とは同じである。
プロセッサ11は、最初の調整でないと判別すると(ステップS501:NO)、前回の調整が第1基準電力の調整であるか否かを判別する(ステップS503)。プロセッサ11は、前回の調整が第1基準電力の調整であると判別すると(ステップS503:YES)、第2基準電力を引き上げる(ステップS504)。プロセッサ11は、前回の調整が第1基準電力の調整でないと判別すると(ステップS503:NO)、第1基準電力を引き上げる(ステップS505)。プロセッサ11は、ステップS505の処理を完了すると、基準電力調整処理を完了する。
本実施形態では、基準電力の引き上げが必要な場合、第1基準電力と第2基準電力とが順に交互に同量ずつ引き上げられる。従って、本実施形態によれば、電力の単価が第2時間帯よりも安い第1時間帯における沸き上げ開始時刻の割り当てを優先しつつ、第1時間帯において総消費電力のピーク値が契約電力の上限値を超えるリスクを低減することができる。なお、他の電気機器の推定合計消費電力、又は、沸き上げに要する消費電力が、精度良く推定できない場合、総消費電力のピーク値を適切に抑制できない可能性がある。このような場合であっても、本実施形態によれば、第1基準電力が第2基準電力に対してあまり大きくないため、第1時間帯において総消費電力のピーク値が契約電力の上限値を超えるリスクの低減が期待できる。
(実施形態3)
実施形態1では、需要家が高圧一括受電契約を締結した大口需要家であり、沸き上げ制御システム1000に複数の給湯装置400が含まれる例について説明した。本実施形態では、需要家が低圧受電契約を締結した小口需要家であり、沸き上げ制御システム1100に1つの給湯装置400が含まれる例について説明する。図14に示すように、本実施形態は、住居810が受電設備20Aを備える点と、受電設備20Aに電力を供給する商用電源10Aの構成とが、実施形態1と異なる。
商用電源10Aは、低圧受電契約に応じて住居810に設けられた受電設備20Aに電力を供給する。商用電源10Aは、例えば、100V又は200Vの交流電力を供給する電源である。受電設備20Aは、商用電源10から供給された100V又は200Vの交流電力を、分電盤30Aに供給する。
本実施形態では、1つの住居810に対応する電力履歴情報と、1つの給湯装置400Aに対応する給湯履歴情報と、1つの給湯装置400Aに対応する装置情報とが用いられる。そして、本実施形態では、図10に示す開始時刻決定処理に代えて、図15に示す開始時刻決定処理が実行される。以下、図15を参照して、本実施形態に係るサーバ100が実行する開始時刻決定処理について説明する。
開始時刻決定処理において、プロセッサ11は、まず、他の電気機器の推定合計消費電力を時間帯毎に推定する(ステップS601)。例えば、プロセッサ11は、電力履歴情報に基づいて、時間帯毎に、他の電気機器の合計消費電力の2週間分の平均値を他の電気機器の推定合計消費電力として推定する。プロセッサ11は、ステップS601の処理を完了すると、他の電気機器の推定合計消費電力の最大値を基準電力として設定する(ステップS602)。本実施形態では、第1時間帯に設定する基準電力と第2時間帯に設定する基準電力とが同じであるものとする。
プロセッサ11は、ステップS602の処理を完了すると、湯切れのおそれがない候補時刻を特定する(ステップS603)。候補時刻は、沸き上げ開始時刻の候補となる時刻であり、例えば、24個である。プロセッサは、24個の候補時刻のうち、候補時刻を沸き上げ開始時刻として設定した場合に湯切れのおそれがない候補時刻を特定する。例えば、給湯装置400の残湯量が、沸き上げ終了時刻までに湯切れ閾値以下になる場合、湯切れのおそれがあると判別される。
プロセッサ11は、ステップS603の処理を完了すると、第1時間帯に沸き上げが実行される第1候補時刻を特定する(ステップS604)。例えば、プロセッサ11は、特定した候補時刻のうち、第1時間帯の末尾時刻よりも早い時刻である候補時刻を、第1候補時刻として特定する。
プロセッサ11は、ステップS604の処理を完了すると、総消費電力のピーク値が最小となる第1候補時刻を選択する(ステップS605)。例えば、沸き上げが1時間で完了する場合、プロセッサ11は、特定した第1候補時刻のうち、第1候補時刻を先頭時刻とする時間帯の他の電気機器の推定合計消費電力が最小である第1候補時刻を選択する。
プロセッサ11は、ステップS605の処理を完了すると、総消費電力のピーク値が基準電力以下であるか否かを判別する(ステップS606)。プロセッサ11は、総消費電力のピーク値が基準電力以下であると判別すると(ステップS606:YES)、選択した第1候補時刻を沸き上げ開始時刻に決定する(ステップS607)。
つまり、プロセッサ11は、湯切れのおそれがなく、総消費電力のピーク値が基準電力以下に収まり、電力の単価が安い第1時間帯に沸き上げが実行される1つ以上の第1候補時刻が存在するならば、1つ以上の第1候補時刻のうち総消費電力のピーク値が最小となる第1候補時刻を沸き上げ開始時刻に決定する。かかる構成によれば、基本料金の増大を抑制しつつ、電力量料金の低減が期待できる。
プロセッサ11は、総消費電力のピーク値が基準電力以下でないと判別すると(ステップS606:NO)、総消費電力のピーク値が最小となる候補時刻を選択する(ステップS608)。プロセッサ11は、ステップS608の処理を完了すると、選択した候補時刻を沸き上げ開始時刻に決定する(ステップS609)。
つまり、プロセッサ11は、湯切れのおそれがなく、総消費電力のピーク値が基準電力以下に収まり、電力の単価が安い第1時間帯に沸き上げが実行される1つ以上の第1候補時刻が存在しないならば、湯切れのおそれがない1つ以上の候補時刻のうち総消費電力のピーク値が最小となる候補時刻を沸き上げ開始時刻に決定する。かかる構成によれば、基本料金の増大を最低限度に抑制することが期待できる。プロセッサ11は、ステップS607又はステップS609の処理を完了すると、開始時刻決定処理を完了する。
本実施形態では、総消費電力のピーク値が基準電力を超えないように決定された沸き上げ開始時刻を示す開始時刻情報がサーバ100から給湯装置400に送信され、給湯装置400による沸き上げが沸き上げ開始時刻に実行される。このため、本実施形態では、サーバ100と給湯装置400との通信が途絶している場合においても、給湯装置400による沸き上げが可能となる。つまり、本実施形態によれば、総消費電力のピーク値の上昇を抑制する沸き上げを適切に実現することができる。
(変形例)
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明を実施するにあたっては、種々の形態による変形及び応用が可能である。
本発明において、上記実施形態において説明した構成、機能、動作のどの部分を採用するのかは任意である。また、本発明において、上述した構成、機能、動作のほか、更なる構成、機能、動作が採用されてもよい。
例えば、実施形態1では、給湯装置400は、沸き上げ開始時刻において、貯湯タンク420の残湯量が沸き上げ閾値以下であるか否かを判別し、貯湯タンク420の残湯量が沸き上げ閾値以下である場合に沸き上げを開始する例について説明した。給湯装置400は、例えば、沸き上げ開始時刻において、貯湯タンク420の残湯量にかかわらずに沸き上げを開始してもよい。つまり、沸き上げ開始時刻以外の時刻では自動での沸き上げが開始されない構成であれば、どのような構成であってもよい。なお、例えば、給湯装置400の個数が多ければ、手動での沸き上げを許容しても、基本料金の増大のリスクは低いと考えられる。そこで、利便性を考慮して、ユーザの指示による手動での沸き上げは、いつでも実行可能であることが好適である。
実施形態1では、消費電力を管理する単位が1時間である例について説明した。例えば、30分単位の消費電力量のピーク値に応じて基本料金が決定される電力契約の場合、消費電力を管理する単位が30分であることが好適である。ただし、消費電力を管理する単位は、この例に限定されず、例えば、10分、5分、1分などであってもよい。
実施形態1では、1つの給湯装置400に割り当てられる沸き上げ開始時刻が1つである例について説明した。1つの給湯装置400に割り当てられる沸き上げ開始時刻が2つ以上であってもよい。また、給湯装置400毎に異なる個数の沸き上げ開始時刻が割り当てられてもよい。
実施形態1では、湯切れが早く発生する可能性が高い給湯装置400、つまり、最先湯切れ時刻が早い給湯装置400から順に、早い沸き上げ開始時刻が割り当てられる例について説明した。例えば、湯切れの可能性が低い場合、最先湯切れ時刻にかかわらず、給湯装置400に沸き上げ開始時刻を割り当ててもよい。
実施形態1では、第1時間帯に対しては第1基準電力が設定され、第1時間帯よりも電力の単価が高い第2時間帯に対しては第1基準電力以下である第2基準電力が設定される例について説明した。第1時間帯と第2時間帯との双方に対して共通の基準電力が設定されてもよい。かかる構成によれば、総消費電力のピーク値が契約電力の上限値を超えることにより基本料金が上がるリスクが減ることが期待できる。
実施形態1では、サーバ100と給湯装置400とが中継装置200を介して通信し、サーバ100と電力計測装置300とが中継装置200を介して通信する例について説明した。サーバ100と給湯装置400とが中継装置200を介さずに通信し、サーバ100と電力計測装置300とが中継装置200を介さずに通信してもよい。
実施形態1では、複数の給湯装置400の定格消費電力の平均値に基づいて、沸き上げ開始時刻を割り当てる個数を決定し、決定した個数に応じた給湯装置400を選択した後、総消費電力のピーク値の推定値が基準電力を超えるか否かをチェックしない例について説明した。例えば、複数の給湯装置400の定格消費電力に大きな差異がある場合、給湯装置400を選択した後、総消費電力のピーク値の推定値が基準電力を超えるか否かをチェックすることが好適である。総消費電力のピーク値の推定値が基準電力を超える場合、沸き上げ開始時刻を割り当てる個数を減らすことが好適である。
実施形態1では、図9に示す沸き上げ制御処理を実行するサーバ100が、1つの装置である例について説明した。この沸き上げ制御処理は、例えば、複数の装置を含むクラウド上で実行されてもよい。つまり、このサーバ100は、互いに協働してこの沸き上げ制御処理を実行する複数の装置を含むクラウドと考えてもよい。
本発明に係るサーバの動作を規定する動作プログラムを既存のパーソナルコンピュータ又は情報端末装置に適用することで、当該パーソナルコンピュータ又は情報端末装置を本発明に係るサーバとして機能させることも可能である。また、このようなプログラムの配布方法は任意であり、例えば、CD-ROM(Compact Disk Read-Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、メモリカードなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布してもよいし、インターネットなどの通信ネットワークを介して配布してもよい。
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。つまり、本発明の範囲は、実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。