図1は、本実施形態に係る工事現場画像取得システム10の構成概略図である。工事現場画像取得システム10は、工事現場で作業を行う現場作業者を管理する、あるいは工事現場自体を管理する管理者(現場監督や施工主など)に利用される管理端末12、工事現場において1又は複数の現場作業者に利用される現場端末14、及びサーバ16を含んで構成されている。管理端末12、現場端末14、及びサーバ16は、インターネットあるいは携帯電話回線などの通信回線18により互いに通信可能に接続されている。図1においては、管理端末12が1つのみ示されているが、工事現場画像取得システム10は、複数の管理者に利用される複数の管理端末12を含んでいてもよい。また、図1においては、現場端末14が1つのみ示されているが、工事現場画像取得システム10は、複数の工事現場で利用される複数の現場端末14を含んでいてもよい。
現場端末14はカメラ機能を有しており、現場端末14は、現場作業者の操作によって工事現場における工事状況を撮影して工事現場画像を取得し、当該工事現場画像をサーバ16に送信する。工事状況とは、工事現場の状況や様子を表すものである。一例として、工事状況は工事結果であり、工事現場画像として工事結果を示す工事対象物が撮影される。しかしながら、工事状況は工事結果に限られず工事現場における様々な状況が含まれ得る。サーバ16において当該工事現場画像が管理され、また、その解析が行われる。管理者は管理端末12からサーバ16にアクセスすることで、工事現場画像あるいはその解析結果を閲覧することができる。工事現場画像は種々の目的で利用され得るが、特に、後述する学習器の学習のための学習データとして利用される。したがって、工事現場画像取得システム10は、学習データ用工事現場画像取得システムの機能を発揮する。
管理端末12は、例えばパーソナルコンピュータあるいはタブレット端末などの携帯端末である。管理端末12は、サーバ16などと通信するための通信インターフェース、ハードディスクやRAMなどから構成されるメモリ、液晶表示器などから構成されるディスプレイ、マウスやキーボードあるいはタッチパネルなどから構成される入力インターフェース、及び、CPUやマイクロコンピュータなどから構成されるプロセッサを含む。
図2は、現場端末14の構成概略図である。現場端末14は、例えばタブレット端末などの携帯端末である。本実施形態では、現場端末14は各工事現場に常設されている。
現場端末14を利用することで、工事現場に入退場する各現場作業者の入退場管理を行うこともできる。具体的には、まず、現場作業者は、ユーザIDや生体情報などの識別情報を入力することで現場端末14に対してログイン(認証)を行う。各現場作業者に関する現場作業者情報(例えば、現場作業者の名前及び現場作業者が所属する施工業者の名前など)と各現場作業者の識別情報とが関連付けられた現場作業者DB(データベース)が現場端末14又はサーバ16に記憶されており、現場端末14は、現場作業者DBを参照しつつ、入力された識別情報に基づいて現場作業者を特定して認証する。その上で、現場作業者は、現場端末14に対して工事現場への入場時刻や退場時刻を入力する。入場時刻や退場時刻はサーバ16に送信されサーバ16に記憶される。
また、現場端末14は、現場端末14が常設されている工事現場において行うべき工事内容を示す工事内容情報をサーバ16から受信して後述のメモリ26に記憶するようにしてもよい。工事内容情報は、毎朝、その日に行う工事内容を示す工事内容情報を受信してもよいし、毎週月曜日の朝に、その週に行う工事内容を示す工事内容情報を受信してもよい。工事内容情報としては、例えば、工事現場における工事の工程(例えば基礎工事、基礎養生、外部足場など)を示すものであってよい。これにより、現場作業者は、現場端末14を閲覧することにより、その日に行うべき工事内容を把握することができる。
通信インターフェース20は、例えばネットワークアダプタなどを含んで構成される。通信インターフェース20は、通信回線18を介してサーバ16などの装置と通信する機能を発揮する。
入力インターフェース22は、例えばタッチパネルやボタンなどを含んで構成される。入力インターフェース22は、現場作業者からの各種情報の入力を受け付ける機能を発揮する。
ディスプレイ24は、例えば液晶パネルなどから構成される表示部である。ディスプレイ24には、種々の画面が表示される。
メモリ26は、例えばeMMC(embedded Multi Media Card)、ROM(Read Only Memory)、あるいはRAM(Random Access Memory)などを含んで構成されている。メモリ26には、現場端末14の各部を動作させるプログラムが記憶される。また、メモリ26には、サーバ16から受信した上述の工事内容情報が記憶され、また、現在認証している(現在現場端末14を利用している)現場作業者の現場作業者情報が一時記憶される。
カメラ28は、レンズ、CCD(Charge-Coupled Device)イメージセンサなどの撮像素子、及び各種画像処理を行うDSP(Digital Signal Processor)などを含んで構成される。カメラ28は、工事現場における工事状況を撮影して工事現場画像を取得する。特に、本実施形態では、現場作業者は、工事の1つの工程の作業が完了する度に、当該工程の工事状況を示す工事対象物を撮影する。つまり、本実施形態では、カメラ28は、工程毎に工事現場画像を取得する。さらに、カメラ28に含まれるDSPの処理により、メモリ26に記憶されている工事内容情報及び現場作業者情報に基づいて、工事現場名、工事の工程、撮影日時、工事を行った(工事現場画像を撮影した)施工担当者名、及び、当該施工担当者名が所属する施工業者名などを示す電子工事看板が工事現場画像に重畳される。これらの情報は、当該工事現場画像のメタデータ(属性データ)として付与されてもよい。繰り返しになるが、カメラ28が取得した工事現場画像は、後述する学習器を学習させるための学習データとして用いられる。
プロセッサ30は、例えばマイクロコントローラなどから構成される。プロセッサ30は、メモリ26に記憶されたプログラムに従って、現場端末14の各部の制御を行う。
図3は、工事現場画像取得装置としてのサーバ16の構成概略図である。サーバ16は、サーバコンピュータなどの装置から構成される。以下に説明するサーバ16の各機能は1つのサーバコンピュータによって実現されてもよいし、複数のサーバコンピュータの協働により実現されてもよい。
通信インターフェース40は、例えばネットワークアダプタなどを含んで構成される。通信インターフェース40は、通信回線18を介して管理端末12や現場端末14と通信する機能を発揮する。
学習データ記憶部としてのメモリ42は、例えばHDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)、eMMC、ROM、あるいはRAMなどを含んで構成されている。メモリ42には、サーバ16の各部を動作させる、工事現場画像取得プログラムが記憶される。また、メモリ42には、サーバ16が管理する複数の工事現場に関する工事内容情報が記憶される。当該工事内容情報は、各工事現場の管理者によって作成され、管理端末12からサーバ16へアップロードされてよい。さらに、図3に示すように、メモリ42には、学習器44、学習データ46、ガイド情報48、及びNG情報50が記憶される。
学習器44は、例えばCNN(Convolutional Neural Network;畳み込みニューラルネットワーク)などのモデルによって構成される。学習器44は、入力された工事現場画像に基づいて、当該工事現場画像に示された工事状況の良否を判定するものである。例えば、工事現場画像が正しい工事状況を示している場合、(学習済みの)学習器44は工事状況を優良と判定し、工事現場画像が不良な工事状況(例えば正しい部品を使っていない、あるいは間違った施工をしている)を示している場合には、学習器44は工事状況を不良と判定する。特に、上述のように本実施形態では工事の工程毎に工事現場画像が取得されるから、学習器44は、入力された工事現場画像に基づいて、選択された工程の工事状況の良否を判定する。
学習データ46は、学習器44を学習させるためのデータである。学習データ46は、現場端末14によって取得された工事現場画像と、当該工事現場画像が示す工事状況の良否を示す情報とが関連付けられて構成される。本実施形態では、現場端末14からは、工事現場画像と工程を示す情報とが関連付けられて送信されてくるから、学習データ46は、工程毎に区別されてメモリ42に記憶される。本実施形態では、学習データ46は、現場端末14から送信されてくる工事現場画像のうち、学習器44の学習データとして適正な適正画像を含んで構成される。なお、学習データ46は適正画像のみから構成されるのが望ましいが、必ずしもそうである必要はなく、学習データ46に、適正画像のみならず不適正画像が含まれていてもよい。学習データ46の詳細については後述する。
ガイド情報48は、学習器44の学習データとして適正な工事現場画像である適正画像を示す情報である。工事の工程毎に適正画像となり得る条件が異なるため、工事の工程毎にガイド情報48が用意される。ガイド情報48には、例えば、対象工程の工事状況を示すために撮影すべき工事対象物や、工事現場画像内における当該工事対象物の大きさ、あるいは、工事対象物のうち特に撮影すべき箇所(例えば部材の型番など)を示す情報などが含まれる。
本実施形態では、ガイド情報48は画像の形式で用意される。以下、ガイド情報48としての画像をガイド画像と呼ぶ。ガイド画像は静止画であってもよく動画像であってもよい。また、本実施形態では、ガイド画像は写真であるが、ガイド画像を見た現場作業者が適正画像を好適に把握できる限りにおいて、コンピュータグラフィックなどの絵であってもよい。なお、ガイド画像は、あくまで学習データとして適正な適正画像を示すものであるから、必ずしも優良な工事状況を示すものでなくてもよい。また、ガイド情報48は、工事現場画像が適正画像となるための条件が文字で表現された文字情報であってもよい。
ガイド情報48において、工事現場画像が適正画像となるための要点が示されているのが好適である。特に、ガイド情報48がガイド画像である場合、不慣れな現場作業者にとっては、ガイド画像の中のどこが適正画像となるための要点(ポイント)であるかを把握できない場合がある。したがって、ガイド画像に、適正画像となるための要点を示す情報が付加されているのが好ましい。そのような情報としては、例えば、要点に対応する画素に付された、その他の画素とは異なる画素値(輝度あるいは色)、あるいは、要点に対して付されたアノテーションなどである。また、ガイド情報48が文字情報である場合も、例えば文字数が多い場合には、不慣れな現場作業者にとっては、どこが要点(ポイント)であるかを把握できない場合がある。したがって、文字情報においても、適正画像となるための要点を示す情報が付加されているのが好ましい。そのような情報としては、例えば、要点に対応する文字の太字設定、あるいは、その他の文字とは異なるフォント(色など)などである。
また、ガイド情報48は、適正画像の構図(換言すればカメラアングル)である適正構図を示すものであるのが好適である。構図とは、工事現場画像内における各撮影対象物(工事対象物を含む)の配置や、各撮影対象物までの距離、あるいは、工事現場画像内における光源(例えば太陽)の位置などを意味するものである。ガイド情報48がガイド画像である場合、当該ガイド画像において適正画像の構図がそのまま示される。ガイド情報48が文字情報である場合は、適正構図を示す文字情報が含められる。
NG情報50は、学習器44の学習データとして不適正な工事現場画像である不適正画像を示す情報である。本実施形態におけるNG情報50は、不適正画像そのものであるが、NG情報50は文字情報であってもよい。NG情報50は管理者などによって予め用意されてもよいが、本実施形態では、NG情報50は、過去に不適正画像であると判定した、現場端末14から送信された工事現場画像(すなわち不適正画像)である。NG情報50となる不適正画像の例としては、例えば、その工程で撮影すべき工事対象物を適切に含まない画像、ピントが合っていない画像、あるいは、全体的に暗すぎる(明るすぎる)画像などであるが、これには限られない。ガイド情報48同様に、工事の工程毎に1又は複数のNG情報50が用意される。ある工程のNG情報50とは、当該工程の工事現場画像を撮影した結果それが不適正となった不適正画像を意味する。また、ガイド情報48同様に、NG情報50に、不適正画像となった要点を示す情報が付加されているのが好ましい。詳しくは後述するが、特に、本実施形態では、一般に適正画像と判断され得る工事現場画像であっても、上述のガイド情報48が示す適正構図に適合しない工事現場画像(代表的には、撮影すべき工事対象物を適切に含むが、適正構図とは異なる構図を有する工事現場画像)も、NG情報50に含まれる。
プロセッサ52は、例えばCPU(Central Processing Unit)、及び、専用の処理装置(例えばGPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)など)の少なくとも1つを含んで構成される。プロセッサ52としては、1つの処理装置によるものではなく、物理的に離れた位置に存在する複数の処理装置の協働により構成されるものであってもよい。図3に示す通り、プロセッサ52は、メモリ42に記憶された工事現場画像取得プログラムにより、表示制御部54、判定処理部56、通知処理部58、及び学習処理部60としての機能を発揮する。
表示制御部54は、種々の情報を現場端末14に送信することで、現場端末14のディスプレイ24に種々の画面を表示させる制御を行う。特に、表示制御部54は、現場作業者が工事現場画像を撮影するに先立って、現場端末14のディスプレイ24にガイド情報48を表示させる。以下、図4~8を参照しながら、表示制御部54の処理の詳細について説明する。
まず、工事現場においてある工程の作業が完了すると、現場作業者は、現場端末14にログインして工程選択画面の表示指示を入力する。現場端末14のプロセッサ30は、当該表示指示に基づいて、ディスプレイ24に図4に示すような工程選択画面を表示させる。図4に示される通り、工程選択画面には複数の工程に対応する複数の工程選択ボタン80が表示されている。工程選択画面に表示される工程の種類は、予め定められているか、あるいは、サーバ16から送信されてくる上述の工事内容情報に基づいて決定される。工事現場において作業が完了した工程に対応する工程選択ボタン80を現場作業者がタッチすると、タッチされた工程選択ボタン80に対応する工程が選択される。なお、工程の選択は、現場作業者によるものではなく、上述の工事内容情報に基づいてプロセッサ30が選択される(現場作業者から見れば自動的に選択される)ようにしてもよい。本明細書では、このように選択された工程を選択工程と記載する。ここでは、選択工程が「基礎工事」であるとする。
選択工程が選択されると、プロセッサ30は、図5に示すような撮影画面をディスプレイ24に表示させる。撮影画面には、撮影ボタン82、ガイドボタン84、及びNGボタン86が表示される。現場作業者が撮影ボタン82をタッチすると、カメラ28が撮影を行い工事現場画像が取得される。プロセッサ30は、カメラ28が取得した工事現場画像と、選択工程を示す選択工程情報とを関連付けて、サーバ16に送信する。
現場作業者は、撮影ボタン82をタッチするに先立って、すなわちカメラ28が工事現場画像を取得するに先立って、ガイドボタン84をタッチすることができる。現場作業者によりガイドボタン84がタッチされると、ガイドボタン84が操作されたことを示すガイドボタン操作信号、及び、選択工程を示す選択工程情報が現場端末14からサーバ16に送信される。
サーバ16の表示制御部54は、現場端末14からガイドボタン操作信号及び選択工程情報を受信すると、メモリ42に記憶された、工程毎に用意された複数のガイド情報48の中から、受信した選択工程情報が示す選択工程のガイド情報48(本実施形態ではガイド画像)を特定する。ここでは、工程「基礎工事」に対応するガイド画像が特定される。そして、特定したガイド画像を現場端末14に送信して、当該ガイド画像を現場端末14のディスプレイ24に表示させる。
図6に、現場端末14のディスプレイ24に表示されたガイド画像88が示されている。ディスプレイ24にガイド画像88が表示されることで、現場作業者は、学習データとしての工事現場画像として、ガイド画像88と同じような工事現場画像を取得すればよいことが分かる。ガイド画像88は、学習器44の学習データ46として適正な工事現場画像である適正画像を示すものであるから、ディスプレイ24にガイド画像88を表示させることで、現場作業者に適正画像を取得させることができる。取得された適正画像が優良な工事状況を示すものであればポジティブサンプルとなるし、取得された適正画像が不良な工事状況を示すものであればネガティブサンプルとなる。
ガイド画像88が表示された画面には戻るボタン90が設けられており、戻るボタン90をタッチすると、撮影画面(図5参照)に戻ることができる。なお、ガイド画像88が表示された画面において撮影が可能であってもよい。換言すれば、撮影画面においてガイド画像88が表示されてもよい。
また、上述のように、ガイド情報48は文字情報であってもよく、その場合は、現場作業者にガイドボタン84がタッチされると、ガイド情報48としての文字情報がディスプレイ24に表示される。
なお、本実施形態では、現場作業者にガイドボタン84が操作されることで、ディスプレイ24にガイド情報48が表示されるが、現場作業者あるいはプロセッサ30により選択工程が選択された場合に、撮影画面に先立ってディスプレイ24にガイド情報48が表示されてもよい。その場合、選択工程が選択された場合に、現場端末14からサーバ16に選択工程情報が送信され、当該選択工程情報に基づいて、表示制御部54が選択工程に対応するガイド情報48を現場端末14に送信し、現場端末14のプロセッサ30は受信したガイド情報48を直ちにディスプレイ24に表示させる。
また、ガイド情報48に適正画像となるための要点を示す情報が付加されている場合は、表示制御部54は、当該情報に基づいて、ディスプレイ24に表示されたガイド情報48において、適正画像となるための要点を強調表示させるのが好適である。図7に、要点が強調表示されたガイド画像88aが示されている。例えば、工程「基礎工事」の工事現場画像が適正画像となる要点が、工事状況(ここでは基礎工事の工事結果)である基礎が好適に撮影されることである場合、図7に示すように、ガイド画像88aにおいて、基礎に対応する画素が強調表示される。強調表示の態様としては、例えば、当該画素の画素値(輝度値や色)がその他の画素の画素値とは異なるなどの態様が考えられるが、その他の態様であってもよい。
また、ガイド情報48において、適正画像の適正構図が示されている場合には、表示制御部54は、当該情報に基づいて、ディスプレイ24に適正構図を表示するのが好適である。ガイド情報48がガイド画像88である場合には、もとよりガイド画像88において適正構図が示されているから、ガイド画像88を表示させるだけで適正構図が示されると言える。また、ガイド画像88に加え、適正構図の要点(ポイント)が文字情報などによって追加的に表示されるようにしてもよい。ガイド情報48が文字情報である場合にも、表示制御部54は、適正構図を示す文字情報をさらにディスプレイ24に表示させてもよい。
現場作業者は、撮影ボタン82をタッチするに先立って、すなわちカメラ28が工事現場画像を取得するに先立って、NGボタン86(図5参照)をタッチすることができる。現場作業者によりNGボタン86がタッチされると、NGボタン86が操作されたことを示すNGボタン操作信号、及び、選択工程を示す選択工程情報が現場端末14からサーバ16に送信される。
表示制御部54は、現場端末14からNGボタン操作信号及び選択工程情報を受信すると、メモリ42に記憶された、工程毎に用意された複数のNG情報50の中から、受信した選択工程情報が示す選択工程のNG情報50を特定する。ここでは、工程「基礎工事」に対応するNG情報50が特定される。そして、特定したNG情報50を現場端末14に送信して、当該NG情報50を現場端末14のディスプレイ24に表示させる。
図8に、現場端末14のディスプレイ24に表示されたNG情報50としての不適正画像92が示されている。NG情報50が文字情報の場合は、NG情報50として文字が表示される。ディスプレイ24にNG情報50が表示されることで、現場作業者は、学習データとしての工事現場画像としてNG情報50が示すような画像を取得してはいけないことが分かる。また、NG情報50に不適正画像となるための要点を示す情報が付加されている場合は、表示制御部54は、当該情報に基づいて、ディスプレイ24に表示されたNG情報50において、不適正画像となるための要点を強調表示させるようにしてもよい。
図3に戻り、判定処理部56は、現場端末14が取得し現場端末14からサーバ16に送信された工事現場画像が適正画像であるか不適正画像であるかを判定する。判定処理部56による判定処理には既知の画像処理方法を用いることができるが、本実施形態では、判定処理部56は、メモリ42に予め用意された適正画像のテンプレートであるテンプレート画像と、現場端末14から受信した工事現場画像とのマッチング処理(テンプレートマッチング)を行うことで、当該工事現場画像が適正画像であるか否かを判定する。上述のように、適正画像の特徴は工事の工程毎に異なるため、メモリ42には、テンプレート画像が工程毎に用意されるのが好適である。判定処理部56は、現場端末14から工事現場画像と共に受信した選択工程情報が示す工程のテンプレート画像を特定し、特定したテンプレート画像と工事現場画像のテンプレートマッチングを行う。なお、ガイド情報48がガイド画像である場合、上記テンプレート画像としてガイド画像を用いることができる。
判定処理部56は、ガイド情報48に示される適正構図に適合する工事現場画像を適正画像であると判定するようにしてもよい。換言すれば、判定処理部56は、ガイド情報48に示される適正構図に適合しない工事現場画像を不適正画像であると判定するようにしてもよい。ここで、適正構図に適合するとは、工事現場画像の構図が適正構図に完全一致している場合のみならず、ある程度(所定の類似度閾値以上)、工事現場画像の構図と適正構図とが類似している場合も含まれる。例えば、上記のテンプレート画像がガイド情報48に示される適正構図を有していれば、上述のテンプレートマッチングにより適正構図に適合する工事現場画像が適正画像であると判定される。
適正画像が図6のガイド画像88にて示される場合における、判定処理部56が適正画像と判定した工事現場画像94が図9に示されている。図6のガイド画像88と図9の工事現場画像94を比較すると分かるように、工事現場画像94では、基礎が適正に撮影されており、且つ、ガイド画像88に示される適正構図に適合する構図を有している。一方、適正画像が図6のガイド画像88にて示される場合における、判定処理部56が不適正画像と判定した工事現場画像96が図10に示されている。図6のガイド画像88と図10の工事現場画像96を比較すると分かるように、工事現場画像96では、基礎が適正に撮影されているが、ガイド画像88に示される適正構図には適合しない構図を有している。
なお、本実施形態では、現場端末14が取得した工事現場画像が適正画像であるか不適正画像であるかの判定は判定処理部56により行われていたが、当該判定は、例えば管理者などの人間による目視によって行われてもよい。
適正画像であると判定された工事現場画像が学習データ46としてメモリ42に記憶される。不適正画像であると判定された工事現場画像は、学習データ46としてメモリ42に記憶されず、NG情報50としてメモリ42に記憶される。上述のように、学習データ46においては、工事現場画像(適正画像)と、当該工事現場画像が示す工事状況の良否を示す情報が関連付けられるところ、当該工事現場画像が示す工事状況の良否を示す情報は管理者などによって付される。また、工事現場画像(適正画像)と、当該工事現場画像が示す工事状況の良否を示す情報に加え、さらに、現場端末14から送信された選択工程情報が関連付けられる。なお、上述のように、学習データ46には、適正画像のみならず、不適正画像(すなわちNG情報50)が含められてもよい。
通知処理部58は、判定処理部56による判定結果を現場作業者に通知する。本実施形態では、通知処理部58は、工事現場画像が適正画像であるか不適正画像であるかの判定結果を示す情報を当該工事現場画像の送信元である現場端末14に送信する。工事現場画像が適正画像であると判定処理部56が判定した場合、通知処理部58による通知処理により、現場端末14のディスプレイ24には、例えば、「撮影した工事現場画像は学習データとして適正な画像です」などの文字が表示される。
一方、工事現場画像が不適正画像であると判定処理部56が判定した場合、通知処理部58は、当該判定処理の前から既にメモリ42に記憶されていたNG情報50を現場端末14に送信し、当該NG情報50を現場端末14のディスプレイ24に表示させる。すなわち、通知処理部58は、今回現場端末14が取得した工事現場画像(これ自体不適正画像である)とは異なるNG情報50をディスプレイ24に表示させる。具体的には、上述のようにNG情報50は工程毎に用意されているから、通知処理部58は、現場端末14から受信した選択工程情報が示す工程のNG情報50を特定し、特定したNG情報50を現場端末14に送信し、当該NG情報50をディスプレイ24に表示させる。NG情報50の表示画面は、図8に示す画面と同様であってよい。また、複数のNG情報50がディスプレイ24に表示されてもよい。
現場端末14のディスプレイ24に上述のようなNG情報50が表示されることにより、現場作業者は、今自分が撮影した工事現場画像の他に、どのような画像が不適正画像であるのかを把握することができる。これにより、現場作業者は適正画像を取得するまで当該工程の工事現場画像の取得を試みるところ、繰り返し不適正画像を取得してしまうことが抑制される。
学習処理部60は、学習データ46を用いて学習器44を学習させる。具体的には、学習データ46に含まれる工事現場画像を学習器44に入力し、学習器44の出力である、当該工事現場画像に示された工事状況の良否の予測と、学習データ46に含まれる教師データである、当該工事現場画像に示された工事状況の良否(実績)との差分に基づいて学習器44を学習させる。当該上述のように、学習データ46には、現場端末14から送信されてくる工事現場画像のうち、学習器44の学習データとして適正であると判定された適正画像が含められる。したがって、学習データ46を用いて学習器44を学習させることで、学習器44を高効率に学習させることができる。
特に、本実施形態では、学習処理部60は、ガイド情報48に示された適正構図に適合する構図を有する適正画像を含む学習データ46を用いて学習器44を学習させる。これにより、構図が概ね統一された複数の工事現場画像が学習データ46として用いられることになる。これにより、さらに、学習器44を高効率に学習させることができる。
学習済みの学習器44は、入力された工事現場画像に示された工事状況の良否を高精度に出力することができるようになる。本実施形態においては、上述のように、工事現場画像には、電子工事看板あるいはメタデータの形で、工事現場名、工事の工程、撮影日時、施工担当者名、及び、施工担当者名が所属する施工業者名が付与されている。したがって、学習器44は、これらの属性毎に区別して工事状況の良否を判定することも可能である。例えば、管理者などは、学習器44が施工担当者毎に区別して工事状況の良否を判定した結果に基づいて、各施工担当者の工事の精度(丁寧さ)を把握することができる。また、学習器44が施工業者毎に区別して工事状況の良否を判定した結果に基づいて、各施工業者の工事の精度(丁寧さ)を把握することもできる。
さらに、学習器44が工事現場画像に示された工事状況が優良であると判定したことをもって、工事の当該工程が完了したということができる。したがって、学習器44の出力に基づいて、各工程の完了日時が示された実績工程表を作成することもできる。
以下、図11に示すフローチャートに従って、工事現場画像取得システム10における学習データ取得処理の流れを説明する。
ステップS10において、現場作業者は現場端末14にログインし、現場端末14のプロセッサ30は、ディスプレイ24に工程選択画面(図4参照)を表示させる。現場作業者は工程選択画面において選択工程を選択する。
ステップS12において、プロセッサ30は、ディスプレイ24に撮影画面(図5参照)を表示させる。現場作業者が撮影画面に含まれるガイドボタン84を操作すると、通信インターフェース20は、ガイドボタン操作信号、及び、ステップS10で現場作業者が選択した選択工程を示す選択工程情報をサーバ16に送信する。
ステップS14において、サーバ16の表示制御部54は、ステップS12で受信した選択工程情報に基づいて、メモリ42から、当該選択工程情報が示す工程に対応するガイド情報48を特定し、当該ガイド情報48を現場端末14に送信する。
ステップS16において、現場端末14のプロセッサ30は、ステップS14で受信したガイド情報48(例えばガイド画像88)をディスプレイ24に表示させる(図6参照)。ここで、ガイド情報48において要点が強調表示されてもよく(図7参照)、また、ガイド情報48は適正画像の適正構図を示すものである。
ステップS18において、現場作業者は戻るボタン90を操作して撮影画面に戻り、ステップS16で表示されたガイド情報48を参考にしながら、工事現場における工事状況を示す工事対象物を撮影し、これによりカメラ28が工事現場画像を取得する。通信インターフェース20は、カメラ28が取得した工事現場画像をサーバ16に送信する。
ステップS20において、サーバ16の判定処理部56は、ステップS18で受信した工事現場画像が適正画像であるか不適正画像であるかの判定を行う。当該工事現場画像が不適正画像であると判定処理部56が判定した場合、ステップS22からステップS24に進む。
ステップS24において、通知処理部58は、ステップS18で受信した工事現場画像が不適正画像であることを現場端末14に通知すると共に、メモリ42に記憶された、当該工程に対応するNG情報50を現場端末14に送信する。
一方、ステップS18で受信した工事現場画像が適正画像であると判定処理部56が判定した場合、ステップS22からステップS26に進む。
ステップS26において、通知処理部58は、ステップS18で受信した工事現場画像が適正画像であることを現場端末14に通知する。その後、ステップS28において、プロセッサ52は、当該工事現場画像を学習データ46としてメモリ42に記憶させる。この際、ステップS12で受信した選択工程情報と、当該工事現場画像に示された工事状況の良否とが当該工事現場画像に関連付けられて学習データ46として記憶される。
ステップS30において、現場端末14のプロセッサ30は、サーバ16から受信した通知内容を判定する。通知内容が、ステップS18で送信した工事現場画像が不適正画像であることを示す場合、ステップS32において、プロセッサ30は、サーバ16から受信したNG情報50をディスプレイ24に表示させる。その後、現場作業者の操作に基づいて、ステップS18に戻り、プロセッサ30は再度撮影画面をディスプレイ24に表示させ、現場作業者に再度工事現場画像を撮影させる。
一方、通知内容が、ステップS18で送信した工事現場画像が適正画像であることを示す場合、プロセッサ30は当該通知内容をディスプレイ34に表示させる。
以上の処理により、1つの学習データの取得処理が終了する。上記処理を繰り返すことによって、学習データ群が取得される。
以上、本発明に係る実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、本実施形態では、表示制御部54、判定処理部56、及び通知処理部58の機能はサーバ16のプロセッサ52が発揮していたが、これらの機能が現場端末14のプロセッサ30が発揮するようにしてもよい。その場合、ガイド情報48及びNG情報50が現場端末14のメモリ26に記憶されていてもよい。
また、本実施形態では、複数の工程を有する工事を行う工事現場において、工程毎に取得される工事現場画像に示された工事状況の良否を判定する学習器44を学習させるための学習データ46の取得方法について説明したが、本発明は、単一の工程しか有さない工事を行う工事現場において取得される工事現場画像に示された工事状況の良否を判定する学習器44を学習させるための学習データ46を取得する際にも好適に適用し得る。