JP7186064B2 - 波動測定方法 - Google Patents
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Description
(1)受信機の設置位置を可変とすることから、多層地盤であっても各地層に受信機を配置することができ、すなわち各地層の弾性波速度や比抵抗を直接測定することができる。
(2)P波速度に加えS波速度も測定することによって、せん断弾性係数を含む種々の地盤特性を求めることができ、高い精度で液状化判定を行うこともできる。
(3)高精度かつ3次元で可視化表示することによって、地盤特性や地盤改良の程度を的確に把握することができる。
(4)発信機を地上に設置することによって、発信機用の地中孔を省略することができる。
(5)地盤特性を解析する際の収束判定を調整することによって、調査後に短時間で結果を確認することができ。その結果、地盤改良等の施工の手戻りを防止することができる。
図1は、本願発明の波動測定装置100によって弾性波測定を行っている状況を示す断面図である。この図に示すように波動測定装置100は、受信体110と発信機121を備えており、この受信体110は略鉛直(鉛直含む)方向に配列された2以上(図では6個)の受信機111を含んで構成される。なお本願発明は、発信機121が弾性波を発生してこれを受信機111が受信するケース(以下、「弾性波測定ケース」という。)と、発信機121が電磁波を発生してこれを受信機111が受信するケース(以下、「電磁波測定ケース」という。)に大別することができる。弾性波を発生させる場合、「発振」及び「受振」という語が用いられることもあるが、便宜上ここでは、「弾性波測定ケース」、「電磁波測定ケース」ともに、「発信」及び「受信」という語を用いることとする。すなわち、ここでいう「発信」には弾性波を「発振」することが含まれ、「受信」には弾性波を「受振」することが含まれる。
本願発明の波動測定装置100について、図を参照しながら詳しく説明する。なお、本願発明の波動測定方法は、本願発明の波動測定装置100を用いて弾性波を測定する方法であり、したがってまずは本願発明の波動測定装置100について説明し、その後に本願発明の波動測定方法について説明することとする。また、既述したとおり本願発明は「弾性波測定ケース」と「電磁波測定ケース」に大別することができるが、便宜上ここでは「弾性波測定ケース」の例で説明することとする。
図3は、受信体110を模式的に示す側面図である。この図に示すように受信体110は、2以上(図では4個)の受信機111が受信機用軸材112に取り付けられることで形成される。既述したとおりこれら受信機111は、3成分測定用の受信機を用いることが望ましく、略鉛直方向に配列される。一方の受信機用軸材112は、受信孔200内に垂下されるものであって、断面寸法よりも長手方向の寸法が極端に大きなものであり、断面が管状のもの(例えば、鋼管や樹脂管)やロープ状のもの(例えば、ワイヤーロープ)などを利用することができ、受信孔200内の所定位置まで届くよう相当の長さとされる。
発信機121は、弾性波を発生させるものであり、起振機や火薬発破装置など従来用いられている種々の発信手段を利用することができる。もちろん「電磁波測定ケース」における発信機121は、電磁波を発生させるものであり、従来用いられているものを利用することができる。図1に示すように、発信孔300内の発信機121から発信された弾性波(あるいは電磁波)が、測定対象である地盤内を経由して受信孔200に到達し、これをそれぞれの受信機111が受信するとともにその受信信号を解析(例えばトモグラフィー解析)することによって地盤ごとの弾性波速度(あるいは地盤ごとの比抵抗)を求めるわけである。また、3成分測定用の受信機111を利用することによって、弾性波速度としてP波速度とS波速度を得ることができる。
弾性波速度算出手段130は、受信機111が受信した波形信号からP波速度及びS波速度を求める手段である。P波速度及びS波速度を求めるための解析手法としては、弾性波トモグラフィー解析など従来用いられている種々の解析手法を採用することができる。なお、P波速度及びS波速度は、地層ごとに算出され、しかも対象地盤を複数に分割した小領域ごとに算出するとよい。例えば、任意の鉛直断面内における地盤の弾性波速度が得られる場合は、その鉛直断面内を複数に分割した平面的小領域(いわゆるメッシュ)ごとにP波速度及びS波速度を求め、空間的に(3次元で)地盤の弾性波速度が得られる場合は、対象空間を複数に分割した立体的小領域(いわゆるボクセル)ごとにP波速度及びS波速度を求めるとよい。弾性波速度算出手段130によって求められた地盤のP波速度及びS波速度は、弾性波速度記憶手段140に記憶される(図2)。一方、「電磁波測定ケース」では、弾性波速度算出手段130に代えて、受信した電磁波から地盤ごとの比抵抗を算出する比抵抗算出手段を具備することとなり、小領域(メッシュやボクセル)ごとに求められた地盤の比抵抗は、比抵抗記憶手段に記憶されることとなる。
地盤特性出力手段150は、弾性波速度記憶手段140から読み出したP波速度及びS波速度(あるいは比抵抗)に基づいて地盤特性を求めるとともに、その地盤特性を表示手段170に出力する(表示する)手段である。P波速度及びS波速度(あるいは比抵抗)が小領域(メッシュやボクセル)ごとに得られていることから、地盤特性もやはり小領域(メッシュやボクセル)ごとに算出するとよい。特に、受信孔200を取り囲む多数の発信機121(図6)によって弾性波(あるいは電磁波)を発信した場合、あるいはGNSS受信機を搭載した自走台車等で移動しながら弾性波(あるいは電磁波)を発信した場合は、多種の断面データが得られることから、これらを合成して求められる地盤特性を三次元で表現することができる。ここで地盤特性とは、透水係数や飽和度、一軸圧縮強度、せん断弾性係数を含む地盤の物性値のことである。透水係数と飽和度と一軸圧縮強度は、その地盤のP波速度から推定できることが知られており、せん断弾性係数は、その地盤のS波速度から推定できることが知られている。また、小領域(メッシュやボクセル)ごとの飽和度から、対象地盤全体の地下水面を推定することもできるし、2時期で測定した結果得られる2時期の地盤特性(一軸圧縮強度やせん断弾性係数など)から地盤改良の効果を判定することもできる。
ここまで、受信体110が受信孔200内に設置され、発信機121が地上に設置される例について説明したが、本願発明の波動測定装置100は、図8に示すように、発信機121を発信孔300内に設置し、受信機111を地上に設置することもできる。この場合、発信機用軸材122に発信機121を取り付けた発信体120を発信孔300内に挿入するとよい。
次に、本願発明の波動測定方法ついて図を参照しながら説明する。なお、本願発明の波動測定方法は、ここまで説明した波動測定装置100を使用して行う方法であり、したがって波動測定装置100で説明した内容と重複する説明は避け、本願発明の波動測定方法に特有の内容のみ説明することとする。すなわち、ここに記載されていない内容は、「2.波動測定装置」で説明したものと同様である。また、波動測定装置の説明と同様、便宜上ここでも「弾性波測定ケース」の例で説明することとする。
110 (波動測定装置の)受信体
111 (受信体の)受信機
112 (受信体の)受信機用軸材
120 (波動測定装置の)発信体
121 (発信体の)発信機
122 (発信体の)発信機用軸材
130 (波動測定装置の)弾性波速度算出手段
140 (波動測定装置の)弾性波速度記憶手段
150 (波動測定装置の)地盤特性出力手段
160 (波動測定装置の)地盤特性記憶手段
170 (波動測定装置の)表示手段
200 受信孔
300 発信孔
Ha (従来技術の)受信孔
RE (従来技術の)受信機
He (従来技術の)発信孔
EX (従来技術の)発信機
Claims (2)
- 地盤内に弾性波又は電磁波を発生させる発信機と、該発信機によって発生した弾性波又は電磁波を受信する受信機と、を用いて、地盤中を伝わる弾性波又は電磁波を測定する方法であって、
軸材と前記受信機とを有する受信体を、地中孔である受信孔の中に設置する受信体設置工程と、
地中孔である発信孔内、又は地上に設置された前記発信機によって弾性波又は電磁波を発生させるとともに、前記受信体の前記受信機が受信した弾性波に基づいて地盤の弾性波速度を、又は前記受信体の前記受信機が受信した電磁波に基づいて地盤の比抵抗を、測定する測定工程と、
前記発信孔の中に前記発信機を設置するとともに1又は2以上の前記受信機を地上に配置したうえで、該発信機によって弾性波又は電磁波を発生させるとともに、地上に配置された該受信機が受信した弾性波に基づいて地盤の弾性波速度を、又は地上に配置された該受信機が受信した電磁波に基づいて地盤の比抵抗を、測定する確認測定工程と、を備え、
前記受信体は、鉛直又は略鉛直方向に配列された2以上の前記受信機が、設置位置が可変となるように前記軸材に取り付けられて形成され、
前記受信体設置工程では、前記軸材が前記受信孔内に垂下するように、且つあらかじめ推定された地層ごとに前記受信体の前記受信機が配置されるように該受信機の設置位置を調整したうえで、該受信体を設置し、
前記測定工程によって得られた地盤の弾性波速度又は比抵抗と、前記確認測定工程によって得られた地盤の弾性波速度又は比抵抗と、を照らし合わせ、照らし合わせた結果が許容できる程度の相違であれば該測定工程による結果を表示手段に表示する、
ことを特徴とする波動測定方法。 - 前記発信機は、地盤内に弾性波を発生させ、
前記受信機は、弾性波を3方向から受信する3成分測定用受信機であり、
前記測定工程では、前記受信機が受信した弾性波に基づいて地盤のP波速度及びS波速度を測定する、
ことを特徴とする請求項1記載の波動測定方法。
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