1)遊技機の基本構成
以下、本発明にかかる遊技機1(ぱちんこ遊技機)の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、図1および図2(a)を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。
遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置908(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する通路を構成するガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
遊技領域902には、表示装置91、始動領域904、大入賞口906、アウト口などが設けられている。表示装置91の表示領域911は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能な部分である。また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
このような遊技機1では、発射装置908を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、始動領域904や大入賞口906等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
なお、遊技機1の枠体、遊技球を貯留する下皿や上皿など、本発明に関係のない遊技機1の構成要素は説明を省略する。これらについては公知の遊技機と同様の構造のものが適用できる。
大当たりの抽選は、図示されない制御基板に設けられた当否判定手段が始動領域904への遊技球の入賞を契機として実行する。本実施形態では、始動領域904として、第一始動領域904a(いわゆる「特図1」の始動領域)と第二始動領域904b(いわゆる「特図2」の始動領域)が設けられている。始動領域904への遊技球の入賞を契機として乱数源から数値(当否判定情報)が取得され、当該数値が予め定められた大当たりの数値と同じである場合には大当たりとなり、異なる場合にははずれとなる。本実施形態では、当該数値が取得された順に当否判定結果の報知が開始される(いわゆる変動が開始される)こととなるが、未だ当否判定結果の報知が完了していない当否判定情報が存在する場合には、新たに取得された当否判定情報は保留情報として図示されない制御基板に設けられた記憶手段に記憶される。記憶手段に保留情報が記憶されていることは、保留図柄70として表示される。
本実施形態では、保留図柄70として、当否判定結果を報知する変動中演出(識別図柄80(識別図柄群80g)の変動開始から、当否判定結果を示す組み合わせで完全に停止するまでの演出、いわゆる一変動中分の演出をいう)は開始されているものの、当否判定結果の報知は完了していない情報(以下、変動中保留情報と称することもある)に対応する変動中保留図柄71(いわゆる「当該変動保留」の存在を示す図柄)と、当否判定結果を報知する報知演出が開始されていない情報(以下、変動前保留情報と称することもある)に対応する変動前保留図柄72が表示される(図2(b)参照)。本実施形態では、変動中保留図柄71と変動前保留図柄72の基本的な形態は同じであり、両者を区別するために変動中保留図柄71の方が変動前保留図柄72よりも大きく表示される。変動中保留図柄71と変動前保留図柄72の基本的な形態が全く異なるものとしてもよい。
変動前保留情報の最大の記憶数は上限が決められている。本実施形態では、第一始動領域904aに入賞することによって得られる第一変動前保留情報(特図1保留)の最大の記憶数は四つであり、第二始動領域904bに入賞することによって得られる第二変動前保留情報(特図2保留)の最大の記憶数は四つである。したがって、特図1および特図2の一方に相当する保留図柄70に関していえば、一つの変動中保留図柄71と、最大四つの変動前保留図柄72が表示されることがある(図2(b)参照)。
本実施形態では、公知の遊技機と同様に、表示装置91の表示領域911に表示される識別図柄80(図2(b)参照)の組み合わせによって当否判定結果を遊技者に報知する。具体的には、複数種の識別図柄80を含む識別図柄群80g(左識別図柄群80gL、中識別図柄群80gC、右識別図柄群80gR)が変動を開始し、最終的に各識別図柄群80gから一の識別図柄80(確定図柄)が選択されて停止する。大当たりに当選している場合には各識別図柄群80gから選択されて停止した識別図柄80(確定図柄)の組み合わせは所定の組み合わせ(例えば、同じ識別図柄80の三つ揃い)となる。はずれである場合にはそれ以外(大当たりとなる組み合わせ以外)の組み合わせとなる。識別図柄80は、数字とキャラクタ等が組み合わされたものとしてもよい。
なお、図2(b)以外の一部の図面においては、保留図柄70や識別図柄80の図示を省略する。
本実施形態では、遊技状態として、通常遊技状態と特別遊技状態が設定されている。特別遊技状態は、通常遊技状態に比して遊技者に有利な遊技状態である。通常遊技状態は、大当たりに当選する確率が低い低確率遊技状態であり、かつ、始動領域904に遊技球が入賞しにくい低ベース状態(低確率・時短無)である。特別遊技状態としては、第一特別遊技状態と第二特別遊技状態が設定されている。第一特別遊技状態は、大当たりに当選する確率が高い高確率遊技状態であり、かつ、始動領域904に遊技球が入賞しやすい高ベース状態(高確率・時短有)である。第二特別遊技状態は、大当たりに当選する確率が低い低確率遊技状態であり、かつ、始動領域904に遊技球が入賞しやすい高ベース状態(低確率・時短有)である。通常遊技状態においては、遊技者は、第一始動領域904aを狙って遊技球を発射させる。本実施形態では、いわゆる「左打ち」を行う。特別遊技状態は、第二始動領域904bを狙って遊技球を発射させる。本実施形態では、いわゆる「右打ち」を行う。特別遊技状態は、普通始動領域905に遊技球が進入することを契機とした第二始動領域904bの開放抽選に当選しやすい状態であるため、比較的容易に第二始動領域904bに遊技球が入賞する。なお、遊技状態の移行に関する設定はどのようなものであってもよいから説明を省略する。また、上記のような遊技状態が設定されていることはあくまで一例である。
2)以下、本実施形態にかかる遊技機1が実行可能な各種演出等について説明する。なお、以下で説明する事項の全部が実行可能でなくてもよい。一部が実行可能であってもよい。なお、以下の説明において単に「画像」というときは、静止画および動画の両方を含むものをいう。
2-1)ステップアップ演出
本実施形態にかかる遊技機1は、ある当否判定結果(対象当否判定結果)を報知する変動中演出を構成する演出としてステップアップ演出を実行することが可能である。ステップアップ演出は、対象当否判定結果が大当たりとなる蓋然性(以下、(大当たり)信頼度と称することもある)を示唆するものである。具体的には、ステップアップ演出は、演出が段階的に進行するものであって、その進行の程度によって大当たり信頼度を示唆する。本実施形態におけるステップアップ演出は、基本的には、演出が進行するほど大当たり信頼度が高くなるように設定されている。ステップアップ演出の段階の数を「ステップ(SP)数」とすれば、ステップ数が多くなるほど大当たり信頼度が高くなるということである。
ステップアップ演出の各段階の演出を「単位演出」とする。ステップアップ演出のステップ数は、単位演出の発生回数ということになる。本実施形態におけるステップアップ演出のステップ数は、最大四回である。つまり、最大の単位演出の発生回数は四回である。以下の説明においては、ステップ1~ステップ4の単位演出を、それぞれ第一単位演出~第四単位演出と称することもある(図3参照)。
第一単位演出~第四単位演出のうちの少なくとも一部は、特定単位演出とされている。本実施形態では、第一単位演出~第三単位演出が特定単位演出とされている。ステップアップの最終段階(ステップ4)に相当する第四単位演出は、特定単位演出とされていない。特定単位演出は、複数の要素演出が対応づけられたものである。本実施形態では、第一単位演出~第三単位演出のそれぞれに三つの要素演出が対応づけられている。以下の説明においては、第一単位演出に対応づけられた三つの要素演出を、第一要素演出A、第一要素演出B、第一要素演出Cと、第二単位演出に対応づけられた三つの要素演出を、第二要素演出A、第二要素演出B、第二要素演出Cと、第三単位演出に対応づけられた三つの要素演出を、第三要素演出A、第三要素演出B、第三要素演出Cと称することとする(図3参照)。各単位演出(特定単位演出)に対応づけられる要素演出の数は適宜増減可能である。
各単位演出や要素演出の具体的態様はどのようなものであってもよい。本実施形態におけるステップアップ演出は、一日の時間経過を示すものとされる。第一単位演出は「朝」、第二単位演出は「昼」(正午あたり)、第三単位演出は「夕」、第四単位演出は「夜」を表した(モチーフとした)かのような演出とされる(図4参照)。
要素演出は、互いに態様が異なるものであり、それぞれが対応づけられた単位演出のモチーフに沿ったものとされる。具体的な説明、図示等を省略するが、例えば、第一要素演出Aは朝起きた状態を、第一要素演出Bは朝ごはんを食べている状態を、第一要素演出Cは歯を磨いている状態を示すといったように、第一単位演出対応づけられた各第一要素演出は、「朝」を表すシーンの映像が表示領域911に表示される演出態様とされる(図5参照)。このようにして、第二要素演出A~Cは「昼」、第三要素演出A~Cは「夕」を表すシーンの画像が表示領域911に表示されるものとされている。
ステップアップ演出は、第一単位演出、第二単位演出、第三単位演出、第四単位演出の順に進行する(ステップ4まで進行する場合)。特定単位演出においては、複数の要素演出のいずれもが実行されない場合に、次段階の単位演出に移行することになる。すなわち、第一単位演出において第一要素演出A、第一要素演出B、第一要素演出Cのいずれもが実行されない場合に第二単位演出に移行し、第二単位演出において第二要素演出A、第二要素演出B、第二要素演出Cのいずれもが実行されない場合に第三単位演出に移行し、第三単位演出において第三要素演出A、第三要素演出B、第三要素演出Cのいずれもが実行されない場合に第四単位演出に移行する。ここで、「要素演出が実行される」とは、要素演出を構成する映像が最初から最後まで表示されることをいう。例えば、第一要素演出Aであれば、朝起きてベッドから抜け出すまでの映像が出力されることをいう。後述する煽り演出が実行されるに留まる場合は、「要素演出が実行されない」ケースに相当する。
本実施形態におけるステップアップ演出では、特定単位演出において、各要素演出が実行されるかもしれないことを示す煽り演出が実行される。当該煽り演出は各要素演出の冒頭部分を表す画像(冒頭画像)が表示されるものである。要素演出が実行される場合には、煽り演出(冒頭画像の表示)から連続的に各要素演出の映像が出力される状態に移行する。要素演出が実行されない場合には対応する煽り演出(冒頭画像の表示)から次の要素演出の煽り演出が実行される。
ステップアップ演出が進行する限りにおいて(ステップアップが停止しない限りにおいて)、特定単位演出では、当該特定単位演出に対応づけられた要素演出についての煽り演出が順に実行されていく。第一特定単位演出においては、第一要素演出A、第一要素演出B、第一要素演出Cの順でそれぞれの要素演出に対応する煽り演出が実行される。同様に、第二特定単位演出においては第二要素演出A、第二要素演出B、第二要素演出Cの順で、第三特定単位演出においては第三要素演出A、第三要素演出B、第三要素演出Cの順で煽り演出が実行される(図6参照)。
煽り演出に留まらずに、要素演出の全てが実行された場合には、当該要素演出にてステップアップ(の進行)が停止したということになる。単位演出基準でみれば、実行された要素演出が属する単位演出にてステップアップが停止したということになる。例えば、第一要素演出A~Cのいずれかが実行された場合には、第一単位演出(ステップ1)までステップアップ演出が進行したということになる。同様に、第二要素演出A~Cのいずれかが実行された場合には第二単位演出(ステップ2)まで、第三要素演出A~Cのいずれかが実行された場合には第三単位演出(ステップ3)までステップアップ演出が進行したということになる(図6参照)。
本実施形態では、対象当否判定結果の大当たり信頼度に影響を与えるのは、いずれのステップまで進行したかであって、特定単位演出にていずれの要素演出が実行されたかは関係がない設定とされている。例えば、第二要素演出Aが実行されたステップアップ演出と、第二要素演出Bが実行されたステップアップ演出とは、いずれもステップ2(第二単位演出)まで進行したということで、大当たり信頼度は同じになるように設定されている。
このように、本実施形態にかかる遊技機1は、ステップアップの各段階の演出である単位演出のうちの少なくとも一部を特定単位演出としている。特定単位演出には、複数の要素演出が対応づけられており、全ての要素演出が実行されないことが、次段階の単位演出への移行条件とされている(図6参照)。つまり、各段階(各ステップ)を構成する単位演出(特定単位演出)それ自体が複数段階に区分けされているという面白みのある態様である。遊技者の視点で言えば、特定単位演出となる段階においては、複数のハードル(要素演出(煽り演出))を超えなければ次段階に進行しないことになるという演出形態となる。
また、本実施形態では、ステップアップ(演出)の最終段階(ステップ4)である第四単位演出は、特定単位演出ではない(図3、図6参照)。ステップアップの最終段階ということは、それ以降の単位演出が存在しないということであるため、第四単位演出に複数の要素演出を対応づける必要はないといえる。ただし、最終段階の単位演出に複数の要素演出が対応づけられた構成することを否定するわけではない。例えば、最終段階の単位演出を含む全ての単位演出のそれぞれに複数の要素演出が対応づけられた構成とすることで、ステップアップ演出の統一感を高めることが可能となる。本実施形態に則していえば、「朝」(第一単位演出)・「昼」(第二単位演出)・「夕」(第三単位演出)・「夜」(第四単位演出)のそれぞれの状態を示す「シーンの画像」が複数設定されることになるから、演出の統一感が高まる。
以下、上記ステップアップ演出に関する事項を改良、具体化、変形等した具体例について説明する。なお、以下の具体例を用いて説明する技術を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
〇第一具体例
上記実施形態では、ステップアップ演出が特定単位演出として設定された単位演出まで進行する場合、当該特定単位演出にていずれの要素演出が実行されたかは大当たり信頼度に関係がない設定であることを説明したが、要素演出が大当たり信頼度を示唆する設定としてもよい。例えば、ステップアップ演出がステップ2(第二単位演出)まで進行する場合であっても、第二要素演出A、第二要素演出B、第二要素演出Cのいずれが実行されたかに応じ、大当たり信頼度が異なるものとする。このようにすることで、各ステップ(単位演出)におけるどの段階(要素演出の種類)まで進行したかに遊技者が注目する演出態様とすることが可能である。
ただし、要素演出よりも、単位演出(ステップ)の方が大当たり信頼度に与える影響は大きいものとすることが好ましい。例えば、第二要素演出A、第二要素演出B、第二要素演出Cのいずれが実行された場合の大当たり信頼度よりも、第三要素演出A、第三要素演出B、第三要素演出Cのいずれが実行された場合の大当たり信頼度の方が高いものとする。つまり、実行された要素演出の種類によらず、ステップN(第N単位演出)まで進行した場合よりも、ステップN+α(第N+α単位演出)まで進行した場合の方が、大当たり信頼度が高い設定とする(N、αはいずれも0を除く自然数である)。このようにすることで、単位演出の発生回数が「ステップアップ」として設定された演出の基本構成が保たれることになる。
〇第二具体例(第一具体例をより具体化した例)
上記実施形態と同様に、特定単位演出において、各要素演出が実行されるかもしれないことを示す煽り演出が実行される。各特定単位演出では、当該煽り演出が、複数の要素演出のそれぞれについて順に実行される。当該煽り演出が実行される順は、対応する要素演出の信頼度が低い順とされる。例えば、第二単位演出(ステップ2)の要素演出の大当たり信頼度は、第二要素演出A(最も低い)、第二要素演出B、第二要素演出Cの順で高くなるものとする(図7参照)。この場合には、第二単位演出にて煽り演出が実行される順は、第二要素演出Aの煽り演出、第二要素演出Bの煽り演出、第二要素演出Cの煽り演出の順ということになる(図6参照)。
このようにすることで、特定単位演出は、煽り演出が発生するに留まり、要素演出が実行されないこと(次の要素演出に対応する煽り演出に移行すること)が大当たり信頼度の上昇に繋がるという分かりやすい演出態様となる。
〇第三具体例
ステップアップ演出が実行されている最中に、進行画像10が表示領域911に表示されるものとする。進行画像10は、現在のステップアップ演出の進行の程度を示すものである。上記実施形態のように、ステップアップ演出が最大4ステップであるのであれば、ステップアップ演出が実行されている最終のある時点において、現在のステップがどれであるのか、すなわち現在実行されている単位演出が第一単位演出~第四単位演出のいずれであるのかが進行画像10により示される。また、特定単位演出が実行されている最中は、現在実行されている要素演出(煽り演出)がいずれであるのかが進行画像10により示される。つまり、進行画像10は、特定単位演出に複数の演出要素が対応づけられていることが遊技者に理解できるように示される。
このような進行画像10の態様としては種々の態様が考えられる。例えば、図8に示すように、所定の方向に沿って、各単位演出および特定単位演出を構成する要素演出(煽り演出)を示す部分(以下、進行表示部と称する)が並べられたような態様とすることが考えられる。いわゆる「タイムチャート」のような進行画像10である。第一単位演出~第四単位演出のそれぞれに対応する進行表示部を第一進行表示部11~第四進行表示部14とすると、第一進行表示部11、第二進行表示部12、第三進行表示部13、第四進行表示部14の順で所定方向に沿って並べられる。第一進行表示部11、第二進行表示部12、第三進行表示部13、第四進行表示部14の大きさは同じとされる。これにより、各進行表示部が「ステップ」を示すものであることが分かりやすくなる。各進行表示部の具体的態様はどのようなものであってもよい。例えば「ステップ1」「ステップ2」・・・といったように、ステップアップ演出における段階を直接的に示すものとすることが考えられる。また、「朝」「昼」・・・といったように、各段階のモチーフを示すものとすることも考えられる。
また、第一単位演出~第三単位演出は、複数の要素演出(煽り演出)が対応づけられたものであるため、第一進行表示部11~第三進行表示部13は要素演出の数分に区分けされている。これにより、特定単位演出に複数の演出要素が対応づけられていることを遊技者が理解できる。上記実施形態のように、第一単位演出~第三単位演出のそれぞれに三つの要素演出が対応づけられているのであれば、第一進行表示部11~第三進行表示部13はそれぞれが三つの部分(要素部)に区分けされている。第一要素演出A~Cのそれぞれに対応づけられた進行表示部を第一要素部A~C(111~113)、第二要素演出A~Cのそれぞれに対応づけられた進行表示部を第二要素部A~C(121~123)、第三要素演出A~Cのそれぞれに対応づけられた進行表示部を第三要素部A~C(131~133)とすると、第一要素部A~Cのそれぞれの大きさ、第二要素部A~Cのそれぞれの大きさ、第三要素部A~Cのそれぞれの大きさは互いに等しい、つまり、第一進行表示部11~第三進行表示部13は、演出要素の数に応じて等分に区分けされている。
所定の方向は、ステップアップの進行方向を示すものである。所定の方向は直線に沿うような方向に限られない。各単位演出(要素演出(煽り演出))を示す進行表示部の並べられる方向の少なくとも一部が屈曲したような構成としてもよい。進行画像10は、一連のステップアップにおける現在の位置を示す部分(以下、指示部15と称する)を含むものとされる。当該指示部15が、ステップアップの進行に合わせて変位することになる。指示部15は、現在の位置を指し示すような態様(「矢印」のような態様)とすることが考えられる。また、現在位置している単位演出(要素演出(煽り演出))に対応する進行表示部の態様を、その他の進行表示部の態様と異ならせる(例えば、現在位置している要素演出(煽り演出)に対応する進行表示部(要素部)の態様を他の進行表示部(要素部)よりも明るくする)といった構成とすることが考えられる。ステップアップの停止に合わせて指示部15の変位も停止することになる。
図9に示すように、進行画像10の態様を「時計」(アナログ時計)を表したかのようなものとすることも考えられる。上記実施形態における第一単位演出~第四単位演出は「朝」「昼」「夕」「夜」を表すものであり、ステップアップ演出の進行は一日の時間変化を表すものであるといえるから進行画像10を「時計」として、当該時間変化をリアルなものとして表現する。
進行画像10全体の態様を円形として、それぞれが扇形になるように進行表示部を並べる。「時計」であるから、右上、右下、左下、右上の順で、第一単位演出~第四単位演出を表す第一進行表示部11~第四進行表示部14が位置するような態様とされる。第一進行表示部11、第二進行表示部12、第三進行表示部13、第四進行表示部14の大きさは同じとされる(中心角が90度の扇形とされる)。これにより、各進行表示部が「ステップ」を示すものであることが分かりやすくなる。
特定単位演出である第一単位演出~第三単位演出に対応する進行表示部は、複数の要素演出が対応づけられていることが分かるように、要素演出の数分に区分けされている。上記実施形態のように、第一単位演出~第三単位演出のそれぞれに三つの要素演出が対応づけられているのであれば、第一進行表示部11~第三進行表示部13はそれぞれが三つの部分(要素部)に区分けされている。第一要素部A~C(111~113)のそれぞれの大きさ、第二要素部A~C(121~123)のそれぞれの大きさ、第三要素部A~C(131~133)のそれぞれの大きさは互いに等しい、つまり、第一進行表示部11~第三進行表示部13は、演出要素の数に応じて等分に区分けされている。具体的には、各要素部は、中心角が30度の扇形であるということである。
指示部15は、「時計の針」を表すようなものとされる。つまり、進行画像10の「円」の中心を回転中心として回転するものとされる。当該指示部15が、ステップアップの進行に合わせて回転することになる。具体的には、右上、右下、左下、右上の順で指し示す進行表示部(要素部)が変化するように、時計回りに回転することになる。ステップアップの停止に合わせて指示部15の回転も停止することになる。
2-2)送り演出
本実施形態にかかる遊技機1は、ある当否判定結果(対象当否判定結果)を報知する変動中演出を構成する演出として送り演出を実行することが可能である。上述したように、当否判定結果を示すための識別図柄80が表示領域911に表示される。各識別図柄群80g(左識別図柄群80gL・中識別図柄群80gC・右識別図柄群80gR)は、複数種の識別図柄80を含む。本実施形態では、各識別図柄群80gは、「1」~「9」の数字のいずれかを含む九種の識別図柄80を含む。以下の説明においては、各識別図柄80を「1」の識別図柄80、「2」の識別図柄80、・・・といったように、数字を付して表すこともある。各識別図柄群80gに含まれる複数種の識別図柄80には、所定の順番(以下、単に「所定順」と称する)が設定されている。当該所定順は、各識別図柄80が含む「数字」の順である。最後の数字を含む識別図柄80の次の順の識別図柄80は、最初の数字を含む識別図柄80である。つまり、「1」の識別図柄80、「2」の識別図柄80、「3」の識別図柄80、・・・「9」の識別図柄80、「1」の識別図柄80、「2」の識別図柄80・・・という順が、所定順となる。
送り演出は、識別図柄群80gに含まれる複数種の識別図柄80のいずれか一つを選択図柄80sとして、上記所定順で表示領域911に表示させていくものである。端的に言えば複数種の識別図柄80を所定順で図柄送り(本実施形態では「コマ送り」)させていくものである。本実施形態では、ある識別図柄80が選択図柄80sとして表示された状態から所定順で次の識別図柄80が選択図柄80sとして表示された状態に移行することが、一回の「図柄送り」であるとする。当該図柄送りの回数を「送り回数」とする。なお、複数種の識別図柄80のいずれか一つが選択図柄80sとして選択され、当該選択図柄80sとされる識別図柄80の種類が切り替えられていくことが分かる態様であれば、当該図柄送りの態様は問わない。なお、このような「図柄送り」は「変動」の下位概念にあたるものとする。つまり、ある識別図柄群80gについて「図柄送り」がなされている最中は、当該識別図柄群80gに対応する確定図柄が決まっていない状態であって、当該識別図柄群80gは変動中であるものとする。より具体的には、「図柄送り」は図柄の変化が遊技者に視認される「低速での変動」にあたるものである。
本実施形態における送り演出は、所定の演出モードにおいて実行される。例えば、所定のキャラクタをモチーフとした演出モードが設定されることがあり、当該演出モードが設定されているときに限り、送り演出が実行される。よって、比較的長い時間遊技した遊技者や、雑誌等から情報を得た遊技者は、当該所定の演出モードが設定されている状態にて送り演出が発生することを把握することが可能である。
送り演出は、以下のような法則で識別図柄80(選択図柄80s)を表示する。送り演出が発生する前の状態においては、各識別図柄群80gが高速で変動した状態(図柄の変化が遊技者ははっきりと視認できない状態)にある(図10(a)参照)。その後、送り演出が発生する。送り演出では、まず左識別図柄群80gL(第一識別図柄群)が図柄送り状態(低速で変動した状態)となる。左識別図柄群80gLから選択される選択図柄80sを左選択図柄80sL(第一選択図柄)とすると、左選択図柄80sLとなる識別図柄80の種類が、上記所定順で変化していく。かかる左識別図柄群80gLについての「送り回数」をN1(≠0)とする。例えば、低速で変動した状態に移行してから最初に表示された左選択図柄80sLが「2」の識別図柄80であり、送り回数N1=3であるとすると、左選択図柄80sLとして「5」の識別図柄80が表示された状態となるということである(図10(b)~(d)参照)。
左識別図柄群80gLについて送り回数N1の図柄送りが実行された後、右識別図柄群80gRが図柄送り状態(低速で変動した状態)となる。右識別図柄群80gRから選択される選択図柄80sを右選択図柄80sR(第二選択図柄)とすると、右選択図柄80sRとなる識別図柄80の種類が、上記所定順で変化していく。かかる右識別図柄群80gRについての「送り回数」をN2(≠0)とする。例えば、低速で変動した状態に移行してから最初に表示された右選択図柄80sRが「7」の識別図柄80であり、送り回数N1=7であるとすると、右選択図柄80sRとして「5」の識別図柄80が表示された状態となるということである(図11参照)。
右識別図柄群80gRについて送り回数N2の図柄送りが実行されることをもって送り演出が終了する。本実施形態では、当該送り演出が終了した(送り演出が実行された)時点において、送り回数N1と送り回数N2との和N(N1+N2)が一定となるように設定されている。したがって、左識別図柄群80gLについての送り回数N1が多くなるほど、右識別図柄群80gRについての送り回数N2が少なくなり、左識別図柄群80gLについての送り回数N1が少なくなるほど、右識別図柄群80gRについての送り回数N2が多くなるという関係にある。本実施形態では、N=N1+N2=10となるように設定されている(図10(b)~(d)、図11参照)。上述したように、N1=3である場合には、N2=7に設定されるということである。
送り演出が実行された時点において、左選択図柄80sLとなる識別図柄80の種類(数字)と右選択図柄80sRとなる識別図柄80の種類(数字)が一致した場合(図11(c)参照)には、周知の「リーチ」成立となる。最終的に中識別図柄群80gCから選択される識別図柄80(中選択図柄80sC)の種類がリーチを構成する識別図柄80と同じ種類の識別図柄80となれば対象当否判定結果は大当たりであり、異なる種類の識別図柄80となれば対象当否判定結果ははずれである。一方、図示しないが、送り演出が実行された時点において、リーチが成立しなければ、対象当否判定結果ははずれとなる(「リーチ」成立せずに当否判定結果がはずれとなることが確定するいわゆる「どはずれ」となる)。
以上説明したように、本実施形態における送り演出は、左識別図柄群80gL(第一識別図柄群)についての送り回数N1と、右識別図柄群80gR(第二識別図柄群)についての送り回数N2の和Nが一定となるものであり、一方の送り回数の増加・減少が、他方の送り回数の減少・増加に繋がるという面白みのある演出である。遊技者は、かかる「法則」に基づき、リーチが成立するかどうかを予測しつつ(リーチが成立することを願いつつ)楽しむことになる。
なお、上記送り演出は、左識別図柄群80gL、右識別図柄群80gRの順で選択図柄80sとなる識別図柄80の種類が決まるものであることを説明したが、これはあくまで一例である。当該順番や送り演出の対象となる識別図柄群80gはいずれであってもよい。送り演出の対象となる識別図柄80から選択された識別図柄80(選択図柄80s)が、リーチを構成する図柄となる。送り演出において最初に図柄送りがなされる識別図柄80(群)が「第一識別図柄80(群)」、それに対応する選択図柄80sが「第一選択図柄」であり、次に図柄送りがなされる識別図柄80(群)が「第二識別図柄80(群)」、それに対応する選択図柄80sが「第二選択図柄」であるとする。リーチ状態は、第一選択図柄となる識別図柄80と、第二選択図柄となる識別図柄80の種類が同じ状態である。
以下、上記送り演出に関する事項を改良、具体化、変形等した具体例について説明する。なお、以下の具体例を用いて説明する技術を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
〇第一具体例
上記実施形態では、送り回数N1と送り回数N2との和Nが一定となるように設定されていることを説明したが、当該Nの値が一定ではない(不定である)設定とする。Nの値が不定であっても、左識別図柄群80gL(第一識別図柄群)および右識別図柄群80gR(第二識別図柄群)の一方の送り回数が多くなるほど、他方の送り回数が少なくなるという関係は保たれる。不定であるNの値は、所定の範囲内に収められる(例えば、8~12の範囲内に収められる)ことが好ましい。Nの値の範囲があまりにも大きくなり過ぎると、遊技者が図柄送りの態様を予測することが困難になってしまうからである。
本例のようにN(N1+N2)の値が不定である構成とする場合、当該Nの値により、対象当否判定結果の大当たり信頼度が示唆される設定とすることもできる。例えば、Nの値が多くなるほど、大当たり信頼度が高くなるという設定とすることが考えられる。このようにすれば、左識別図柄群80gLおよび右識別図柄群80gRにてより多くの図柄送りがなされることを遊技者が願う演出形態となる。その逆の設定、すなわちNの値が少なくなるほど、大当たり信頼度が高くなる設定としてもよい。
また、送り演出の度に、「今回の(送り演出における)Nの値」(総送り回数Nt)が表示領域911に表示されるようにしてもよい。すなわち、不定値であるN1+N2の値が毎回表示領域911にて遊技者に示されるようにするということである。このようにすることで、表示されるNの値および識別図柄群80gの図柄送りの状況を見つつ、リーチが成立するかどうか等を楽しむ遊技性を実現することが可能である。
より分かりやすくするのであれば、最初の図柄送りが開始される前に総送り回数Ntの値(Nの値)が表示され(図12(b)参照)、一回の図柄送りがなされる度に、当該値が減少していくような構成とするとよい(図12(b)~(d)参照)。このようにすれば、送り演出中に、残りの図柄送り回数が何回であるのかをリアルタイムで把握することが可能となる。
〇第二具体例
上記実施形態では、左識別図柄群80gL(第一識別図柄群)について送り回数N1の図柄送りが実行された後、右識別図柄群80gR(第二識別図柄群)について送り回数N2の図柄送りが実行されることを説明したが、左識別図柄群80gLについて図柄送りがなされる期間と右識別図柄群80gRについて図柄送りがなされる期間が重複していてもよい。上記実施形態のように、先に左識別図柄群80gL(第一識別図柄群)についての図柄送りが完了した後、右識別図柄群80gR(第二識別図柄群)について図柄送りがなされるようにすると、左識別図柄群80gL(第一識別図柄群)の送り回数N1から右識別図柄群80gR(第二識別図柄群)の送り回数N2が導き出せてしまう。このような状況を解消するため、左識別図柄群80gLについて図柄送りがなされる期間と右識別図柄群80gRについて図柄送りがなされる期間が重複するようにして、一方の送り回数から他方の送り回数を予測することを困難にする。左識別図柄群80gL(第一識別図柄群)よりも、右識別図柄群80gR(第二識別図柄群)の図柄送りの方が先に終了することが発生してもよい。
例えば、左識別図柄群80gL(第一識別図柄群)についての図柄送りと、右識別図柄群80gR(第二識別図柄群)についての図柄送りが同時に開始されるのであれば、送り回数が少ない方の図柄送りが先に終了することになる(図13参照)。また、N1=N2である場合には、両識別図柄群80gの図柄送りが同時に終了することになる。
〇第三具体例
各識別図柄群80gに含まれる複数種の識別図柄80に設定される「所定順」は、識別図柄群80g毎に異なるものであってよい。例えば、左識別図柄群80gLについては識別図柄80が含む数字の「昇順」が所定順であり、右識別図柄群80gRについては識別図柄80が含む数字の「降順」が所定順である設定とする。
〇第四具体例
送り演出が完了した時点、すなわち、右識別図柄群80gRにおける最後の図柄送りが完了した時点において、右選択図柄80sR(右選択図柄80sRとして表示された識別図柄80)は、上記所定順で、左選択図柄80sL(左選択図柄80sLとして表示された識別図柄80)の一つ前の図柄となるようにする。端的に言えば、「左の識別図柄80の数字-1」=「右の識別図柄80の数字」となるようにする。例えば、左選択図柄80sLが「4」の識別図柄80であるのであれば、右選択図柄80sRは「3」の識別図柄80となるようにする(図14(a)参照)。
送り演出が実行された後、右識別図柄群80gR(第二識別図柄群)にて変化が発生するか、中識別図柄群80gC(第一識別図柄群および第二識別図柄群とは異なる識別図柄群80gである第三識別図柄群に相当する)にて変化が発生するかに応じ、その後の展開が異なる。なお、上述した図柄送り一回あたりに要する時間よりも、送り演出が実行された後、右識別図柄群80gRおよび中識別図柄群80gCのいずれかにて変化が発生する(事後事象として後述するN+1回目の図柄送りが発生する)までの時間の方が長い。つまり、送り演出にて計N(N1+N2)回の図柄送りが所定間隔でなされた後、当該所定間隔よりも長い時間をあけて事後事象が発生する。すなわち、送り演出の終了時点に到達することで一旦図柄送りが終了したかのように遊技者に見せるための「間」が設定される。
送り演出が実行された後、右識別図柄群80gRにて変化が発生した場合、すなわち右選択図柄80sRが変化した場合には、リーチ状態となる。具体的には、右選択図柄80sRとして設定される識別図柄80の種類が、上記所定順で一つ進行する(図柄送りされる)よう変化することで、左選択図柄80sLと右選択図柄80sRが同じ種類の識別図柄80となるリーチ状態が構築される(図14(b)参照)。送り演出にて実行されたN回(上記実施形態に則していえば10回)の図柄送りの後のN+1回(上記実施形態に則していえば11回)目の図柄送りが、右識別図柄群80gRにて発生すればリーチ状態が構築されるということである。例えば、送り演出が実行された時点にて、左選択図柄80sLが「4」の識別図柄80であり、右選択図柄80sRは「3」の識別図柄80であるのであれば、右選択図柄80sRである「3」の識別図柄80が「4」の識別図柄80に変化して、左選択図柄80sLとして設定された識別図柄80と同じになる。なお、このような変化が生じる際(リーチ状態となる際)には、中識別図柄群80gCは高速で変動した状態にある。
なお、送り演出が実行された後、右識別図柄群80gRにて変化が発生することに代えて、左識別図柄群80gLにて変化が発生した場合にリーチ状態となる構成とすることも可能である。左選択図柄80sLとして設定される識別図柄80の種類が、上記所定順で一つ後退するよう変化することで、左選択図柄80sLと右選択図柄80sRが同じ種類の識別図柄80となるリーチ状態が構築されるようにする。
一方、送り演出が実行された後、中識別図柄群80gCにて変化が発生した場合には、中識別図柄群80gCから選択された選択図柄80sである中選択図柄80sC(第三選択図柄)として設定される識別図柄80の種類に応じ、その後の展開(帰趨)が決まる。具体的には、送り演出にて実行されたN回(上記実施形態に則していえば10回)の図柄送りの後、高速で変動していた中識別図柄群80gCの変動速度が低下し、N+1回(上記実施形態に則していえば11回)目の図柄送り(低速での変動)が当該中識別図柄群80gCにて発生する。この際に中選択図柄80sCとして示される識別図柄80の種類が重要になる。
複数種の識別図柄80のうちの一部は、特定識別図柄80Xとされている。本例では、「7」の識別図柄80が特定識別図柄80Xとされる。中識別図柄群80gCにて発生するN+1回目の図柄送りにて表示される中選択図柄80sCが特定識別図柄80Xとなる場合、「チャンス目」が構築される(図14(c-1)参照)。すなわち、中選択図柄80sCとして表示される識別図柄80が特定識別図柄80Xとなる三つの識別図柄(選択図柄80s)の組み合わせが、いわゆる「チャンス目」として設定されている。つまり、送り演出を経て成立するチャンス目は、「4・7・3」「8・7・7」といったように、「左の数字-1」=「右の数字」の関係にあり、かつ、中央に「7」が表示される態様である。なお、このようなチャンス目は、対象当否判定結果を確定的に示すものではないため、当該チャンス目を構築する各識別図柄80(選択図柄80s)は擬似停止した状態(完全には停止していないものの遊技者には停止しているように見える状態。例えば、わずかに揺れている状態)にある。
当該「チャンス目」は、遊技者に有利な事象が発生することを示すものとして設定されている。本例では、いわゆる擬似連続演出が発生することを示すものとして設定されている。擬似連続演出自体は公知であるため詳細な説明を省略するが、変動する識別図柄80が擬似停止した後、再び変動する(再変動する)ことを一または複数回繰り返すものであり、当該再変動の回数が多くなるほど、大当たり信頼度が高くなるというものである。チャンス目が成立することは、再変動(図14(d)参照)が発生することを示すものとして設定されているため、当該チャンス目は「遊技者に有利な事象が発生すること」を示すものであるといえる。
本例では、N+1回目の図柄送りが右識別図柄群80gRにて発生しリーチが成立した場合(図14(b)のケース)よりも、N+1回目の図柄送りが中識別図柄群80gCにて発生しチャンス目が構築された場合(図14(c-1)のケース)の方が、対象当否判定結果の大当たり信頼度が高くなるように設定されている。
なお、チャンス目により擬似連続演出が発生することが示されるのはあくまで一例であり、遊技者に有利な事象が発生すること(対象当否判定結果の大当たり信頼度が高まったこと)を示すものであればよい。例えば、いわゆる先読み連続演出の発生がチャンス目により示される構成に適用することも可能である。すなわち、対象当否判定結果よりも先に報知が完了する先の当否判定結果がはずれであることがチャンス目により示されつつ、当該チャンス目の成立により対象当否判定結果の大当たり信頼度が高まったことが示されることになる。
チャンス目の組み合わせは上記特定識別図柄80Xを用いたものに限られない。例えば「3・2・2」「5・4・4」といったように、中選択図柄80sCと右選択図柄80sRが同じ種類の識別図柄80となる態様や、「3・3・2」「5・5・4」といったように、中選択図柄80sCと左選択図柄80sLが同じ種類の識別図柄80となる態様がチャンス目として設定された構成とすることも考えられる。
一方、中識別図柄群80gCにて発生するN+1回目の図柄送りが実行された後、左選択図柄80sL、中選択図柄80sC、右選択図柄80sRにて構築される組み合わせがチャンス目とならなかった場合、対象当否判定結果がはずれであることが確定する。本例に則していえば、中選択図柄80sCが特定識別図柄80Xではない場合には、対象当否判定結果がはずれであることが確定する(図14(c-2)参照)。
このように、本実施形態では、N回の図柄送りが実行される送り演出後、N+1回目の図柄送りが右識別図柄群80gR(第二識別図柄群)で発生するか、中識別図柄群80gC(第三識別図柄群)で発生するかがその後の展開を左右する分岐点として設定されているから、遊技者にとっての重要なポイントとなる箇所(注目すべき箇所)が分かりやすい。
また、N+1回目の図柄送りが中識別図柄群80gCで発生した場合には、中選択図柄80sCが特定識別図柄80Xとなるか否かにより、その後の展開が全く異なるものとなる。一方は対象当否判定結果がはずれとなることが確定する結果であり、他方は対象当否判定結果の大当たり信頼度が高まる結果となるものであるから、その差は大きなものであり、遊技者は中選択図柄80sCとして設定される識別図柄80の種類に注目することになる。
また、本例では、N+1回目の図柄送りが右識別図柄群80gRにて発生しリーチが成立した場合よりも、N+1回目の図柄送りが中識別図柄群80gCにて発生しチャンス目が構築された場合の方が、対象当否判定結果が大当たりとなる蓋然性が高くなるように設定されている。つまり、N+1回目の図柄送りが中識別図柄群80gCにて発生すること(はずれ確定orチャンス目成立)は、N+1回目の図柄送りが右識別図柄群80gRにて発生する(リーチ成立)よりも、遊技者にとって好ましくない状況(はずれ確定)となることもあれば、好ましい状況(チャンス目成立)となることもあるという設定である(「振れ幅」が大きい設定である)ため、結果(中選択図柄80sCとなる識別図柄80の種類)に対する遊技者の注目の度合は大きいといえる。
本例にて説明した構成は、送り演出にて送り回数N1と送り回数N2との和Nが一定となるように設定されていないものに対しても適用することが可能である。つまり、「左の識別図柄80の数字-1」=「右の識別図柄80の数字」となるまでの識別図柄群80gの変動態様は上記実施形態にて説明した態様に限られない。例えば、図柄送りが左識別図柄群80gL(第一識別図柄群)と右識別図柄群80gR(第二識別図柄群)において交互に発生し、最終的に「左の識別図柄の数字-1」=「右の識別図柄の数字」となるような送り演出が実行された後に発生するようにしてもよい。
〇第五具体例
上記実施形態にて説明したように、ある識別図柄80が選択図柄80sとして表示された状態から所定順で次の識別図柄80が選択図柄80sとして表示された状態に移行することが、一回の「図柄送り」であるのであれば、送り演出における当該図柄送りの態様はどのようなものであってもよい。例えば以下のような態様とすることが考えられる。
識別図柄80とは別に、図柄送りが発生することを示す画像(以下、補助画像25と称する)が表示されるようにする。当該補助画像25が所定の動作(アクション)を起こす度に、一回の図柄送りが発生するような態様とする。例えば、補助画像25として「本(書籍)」を表したかのような画像が表示され、当該本のページがめくられる(所定の動作が行われる)度に、一回の図柄送りが発生するような態様とする(図15参照)。補助画像25として表示される本の中から、新たな識別図柄80が現れてくるようなものとする。このような構成とした場合、「補助画像25が所定の動作を起こした回数=図柄送りの回数」となるから、送り演出における図柄送りの回数を把握することが容易になる。なお、本例のような構成は、上記実施形態にて説明したような送り演出が発生しないものについて適用することも可能である。
2-3)バトル演出および事前演出
本実施形態にかかる遊技機1は、ある当否判定結果(対象当否判定結果)を報知する変動中演出を構成する演出としてバトル演出を実行することが可能である。バトル演出それ自体は周知であるから詳細な説明を省略する。端的に言えば、「戦い」(バトル)の勝敗により、遊技者に有利な事象が発生するか否かが示されるものである。本実施形態におけるバトル演出(図17参照)は、味方側キャラクタと敵側キャラクタが戦い、味方側キャラクタが勝利した場合(勝利結果)(図17(b-1)参照)は対象当否判定結果が大当たりとなり、味方側キャラクタが敗北(敵側キャラクタが勝利)した場合(敗北結果)(図17(b-2)参照)は対象当否判定結果がはずれとなる設定である。
事前演出(図16参照)は、当該バトル演出の前に発生することがある演出である。事前演出にてバトル演出への移行の有無や、バトル演出にて味方側キャラクタが勝利する蓋然性(すなわち対象当否判定結果の大当たり信頼度)が示される。本実施形態における事前演出は、事前演出(バトル演出)専用の図柄として設定された装飾図柄30(図16(a)等参照)を用いた演出である。装飾図柄30は、当否判定結果を示す図柄である(識別図柄80の下位概念(識別図柄80の一種)である)。なお、上述した識別図柄80自体を(装飾図柄30として)事前演出に用いた構成としてもよい。また、装飾図柄30を、遊技者には当否判定結果を示すような図柄に見えるものの、あくまで演出上の図柄に過ぎないものとしてもよい。
本実施形態では、所定の演出モードが設定されているときにバトル演出(事前演出)が実行される。つまり、バトル演出が発生しうる条件が設定されているというものである。当該演出モードが設定されているときには、上記装飾図柄30により当否判定結果が報知される。遊技者の視点でいえば、装飾図柄30が表示されているときには、バトル演出が発生しうる状況であるということ(バトル演出が発生しうる演出モード中であること)を把握することができる。ただし、このような演出モード等は関係なく、ありとあらゆる状況においてバトル演出が発生しうる構成とすることを否定するわけではない。
装飾図柄30は、数の概念を表す数的要素を含む。本実施形態では、装飾図柄30が含む所定の図形(本実施形態では「星」のマーク)の数が数的要素として設定されている。本実施形態では、装飾図柄30として、星のマークの数が1個、2個、3個、4個、五個である五種類の図柄が設定されている(図16(a)等参照)。以下の説明においては、星のマークの数が1つである装飾図柄30を「1」の装飾図柄30、星のマークの数が2つである装飾図柄30を「2」の装飾図柄30、星のマークの数が3つである装飾図柄30を「3」の装飾図柄30、星のマークの数が4つである装飾図柄30を「4」の装飾図柄30、星のマークの数が5つである装飾図柄30を「5」の装飾図柄30と称する。このような図形の数ではなく、数字そのものにより数的要素が表された態様としてもよい。また、星2つ半(2.5個)といったような、小数点以下の概念が設定された態様としてもよい。また、「大・中・小」、「高・中・低」、「多・中・少」といったように、数(量)の相対的な多少を別の文言で表した部分が数的要素である構成としてもよい。
各種装飾図柄30は、星のマークだけでなく、敵キャラクタを表した部分を含む。装飾図柄30の種類に応じ、含まれる敵キャラクタの種類が異なる。本実施形態では、「1」の装飾図柄30は第一敵キャラクタを、「2」の装飾図柄30は第二敵キャラクタを、「3」の装飾図柄30は第三敵キャラクタを、「4」の装飾図柄30は第四敵キャラクタを、「5」の装飾図柄30は第五敵キャラクタを含む(図16(a)等参照)。図面においては、第一敵キャラクタを「敵1」、第二敵キャラクタを「敵2」・・・といったように表している。
事前演出においては、これら五種類の装飾図柄30を含む装飾図柄群が変動表示される。本実施形態では、表示領域911の左側、右側、中央側に表示される、左装飾図柄群、右装飾図柄群、中装飾図柄群が設定される(図16(a)参照)。左装飾図柄群および右装飾図柄群から選択された図柄(選択図柄80s)として示された装飾図柄30の種類が同じであることが「リーチ」の状態として設定されている(図16(b)(c-1)参照)。事前演出にて当該リーチが成立した場合、対象当否判定結果が大当たりとなる可能性がある。一方、事前演出にて当該リーチが成立しなかった場合、対象当否判定結果ははずれとなる(図16(c-2)参照)。
リーチが成立した場合には、バトル演出(図17参照)が発生する。バトル演出は、事前演出が所定条件(リーチ成立)を満たした場合に発生する事後演出とみることもできる。当該バトル演出の勝利結果となる蓋然性、すなわち、対象当否判定結果の大当たり信頼度が、リーチを構成する装飾図柄30(選択図柄80s)により示される(図17(a)参照)。本実施形態では、リーチを構成する装飾図柄30の星のマークの数が多いほど、当該信頼度が高くなるように設定されている。敵キャラクタの強さは、第五敵キャラクタ、第四敵キャラクタ、第三敵キャラクタ、第二敵キャラクタ、第一敵キャラクタ(最も強い)の順で強くなる(勝利しにくい)ということである。
その後、リーチを構成する装飾図柄30に含まれる敵キャラクタと、味方側キャラクタが戦うバトル演出が開始される。バトル演出の冒頭部分にて、リーチを構成する装飾図柄30が含む数的要素が勝利期待度として示されるようにするとよい。つまり、装飾図柄30が含む数的要素が、バトル演出の結果が遊技者に有利なものとなる期待度として表される(期待度表示39がなされる)ようにする。本実施形態では、星のマークの数がそのまま勝利期待度として示される(図17(a)参照)。これにより、遊技者は、リーチを構成する装飾図柄30の星のマークの数が多いほど、勝利に期待ができるということを把握することが可能である。バトル演出の途中の経過等の具体的態様はどのようなものであってもよい。味方側キャラクタが一旦敗北したかのように見せかけて、勝利するに至るかのような態様(いわゆる逆転演出)が発生するようにしてもよい。
なお、数的要素(星のマークの数)は、厳密な大当たり信頼度を表すものではない。すなわち、数的要素の表す数の「1」の差が、大当たり信頼度「~%」に相当するといったような厳密なものではなく、あくまで相対的な大当たり信頼度の高低を示すに過ぎない。
このように、本実施形態では、装飾図柄30が含む数的要素によってバトル演出が勝利結果となる蓋然性(対象当否判定結果の大当たり信頼度)が示唆されるという面白みのある遊技性を実現することができる。
また、本実施形態では、リーチが成立しなければ対象当否判定結果がはずれとなる(リーチの成立により大当たりの可能性が残る)ものであるから、まずはリーチの成立を願いつつ、リーチが成立する場合には当該リーチを構成する装飾図柄30の数的要素が遊技者にとって好ましいもの(本実施形態では、数的要素が表す数(星の数)多くなること)を願うという遊技性となる。
以下、上記バトル演出および事前演出に関する事項を改良、具体化、変形等した具体例について説明する。なお、以下の具体例を用いて説明する技術を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
〇第一具体例
上記実施形態では、リーチを構成する装飾図柄30(選択図柄80s)の数的要素が表す数(星のマークの数)が多いほど、バトル演出が成功結果となる蓋然性、すなわち対象当否判定結果の大当たり信頼度が高いことを説明したが、逆の設定であってもよい。つまり、リーチを構成する装飾図柄30の数的要素が表す数が少ないほど、対象当否判定結果の大当たり信頼度が高い設定としてもよい。上記実施形態に則していえば、星のマークの数が多い敵キャラクタほど「強い」(味方側キャラクタが勝ちにくい)設定であるといえる。
本例の場合、装飾図柄30の数的要素が表す数が少ないほど、対象当否判定結果の大当たり信頼度が高いという、上記実施形態と逆の設定であるから、期待度表示39は上記実施形態と同じにすることはできない。例えば、バトル演出の冒頭部分にて、数的要素(星のマークの数)が「敵キャラクタの強さ」を表したものであることが分かるような期待度表示39とされる。つまり、星のマークの数が多いほど、敵キャラクタが強く、遊技者が負けやすい(敗北結果となる蓋然性が高い)ものであることを遊技者が把握できるようにする(図18参照)。端的にいえば、上記実施形態では「数的要素の数が多いほど勝利結果(大当たり)となる蓋然性が高い」ことを、本例においては「数的要素の数が多いほど敗北結果(はずれ)となる蓋然性が高い」ことを遊技者が把握できるような期待度表示39とする。
〇第二具体例
上記実施形態では、事前演出にてリーチを構成する装飾図柄30(選択図柄80s)の数的要素により、事後演出であるバトル演出の結果が示唆されることを説明したが、事後演出として発生する演出はバトル演出に限られない。事後演出は、演出の結末(結果)により対象当否判定結果を示すものであればよい。
〇第三具体例
リーチを構成する装飾図柄30(選択図柄80s)の数的要素と、バトル演出にて示される数的要素(期待度表示39)が異なる場合がある設定としてもよい。上記実施形態に則していえば、リーチを構成する装飾図柄30の星のマークの数(以下、事前数値と称することもある)と、バトル演出における期待度表示39の星のマークの数(以下、事後数値と称することもある)が一致することが通常態様(図19(a)(b-1)参照)と、事前数値と事後数値が一致しないことが特殊態様(図19(a)(b-2)参照)として設定された構成とする。特殊態様がいわゆるチャンスアップとして発生するものとするのであれば、事前数値よりも事後数値の方が大きくなるような変化が発生するものとする。
このようにすることで、事前演出にて示された大当たり信頼度(数的要素)が事後演出にて変化することに遊技者が期待する演出形態を構築することが可能である。なお、特殊態様が発生する蓋然性は、通常態様が発生する蓋然性に比して小さくすることが好ましい。あくまで事前演出にて示された数的要素がそのまま大当たり信頼度となることを基本設定とするためである。
事前数値と事後数値が一致しないことを演出の「矛盾」として扱い、このような演出の矛盾が発生した場合には、対象当否判定結果が大当たりとなることが確定するような設定としてもよい。
〇第四具体例
装飾図柄30として、数的要素が同じであるものの種類が異なる二以上の図柄が設定されるものとする。例えば、含まれる星のマークの数が三つであることは同じであるものの、第三敵キャラクタA(「敵3A」と図示する)が含まれる「3」の装飾図柄A(図20(a)参照)と、第三敵キャラクタB(第三敵キャラクタAとは異なる種類の敵キャラクタ)(「敵3B」と図示する)が含まれる「3」の装飾図柄B(図20(b)参照)が設定されているものとする。「3」の装飾図柄Aと、「3」の装飾図柄Bは、装飾図柄30としての種類(態様)が異なるものである。つまり、一方が「3」の装飾図柄Aであり、他方が「3」の装飾図柄Bである状態は、リーチ状態ではないものとされる。
上記実施形態のように、数的要素の値の異同と装飾図柄30の種類の異同が一致する構成であると、数的要素が重要な要素となり、装飾図柄30の種類の意味が薄れてしまう。例えば、リーチが成立するか否かは、装飾図柄30(選択図柄80s)の種類が一致するかどうかということよりも、数的要素が一致するか否かという意味合いが強くなってしまう。本例のように、数的要素が同じであるものの種類が異なる二以上の装飾図柄30が設定された構成とすることで、数的要素が同じであってもリーチが成立しないことがある遊技性を実現することが可能となる。
〇第五具体例(第四具体例をさらに具体化した例)
数的要素が同じであるものの種類が異なる二以上の装飾図柄30が設定された構成であるとする。例えば、上記第四具体例にて説明した、数的要素(星のマークの数)が「3」である、「3」の装飾図柄Aおよび「3」の装飾図柄Bが設定されているとする。この場合、「3」の装飾図柄Aにてリーチが成立した場合と、「3」の装飾図柄Bにてリーチが成立した場合とでは、対象当否判定結果の大当たり信頼度(バトル演出の結果が成功結果となる蓋然性)が異なる設定とする(図20参照)。つまり、数的要素の内容は同じであるものの、装飾図柄30の種類が異なれば、大当たり信頼度が異なる設定とする。上述したように、「3」の装飾図柄Aおよび「3」の装飾図柄Bの違いが敵キャラクタの種類の違いであるとするのであれば、第三敵キャラクタAおよび第三敵キャラクタBの一方の方が、他方よりも「強い」(弱い)設定とするということである。このようにすることで、装飾図柄30に含まれる数的要素だけでなく、その他の要素を含めた装飾図柄30の全体にも注目すべき演出態様とすることが可能である。
本例は、数的要素による大当たり信頼度の示唆は、「数」という概念で遊技者に視認される明確なものである一方、装飾図柄30の種類(数的要素以外の図柄構成要素)による大当たり信頼度の示唆は、明確に遊技者に示されるものであるとはいえない。具体的には、雑誌等から情報を得なければ、第三敵キャラクタAと第三敵キャラクタBのどちらが「強い」か遊技者には分からない。つまり、本例は、数的要素による「見える化」された大当たり信頼度示唆と、数的要素以外の図柄構成要素による「見えない」大当たり信頼度示唆が複合されたものであるということができる。
ただし、数的要素以外の図柄構成要素による大当たり信頼度示唆が「見える化」されるものとすることを否定するわけではない。例えば、第三具体例にて説明した構成を適用することで、数的要素以外の図柄構成要素による大当たり信頼度示唆を「見える化」することもできる。「3」の装飾図柄Aによりリーチが構成されたときには、事前数値と事後数値が「3」で一致する通常態様が発生するものとする(図21(a)(b)参照)。一方、「3」の装飾図柄Bによりリーチが構成されたときには、事前数値は「3」であるものの事後数値が「3.5」に変化する特殊態様が発生するものとする(図21(c)(d)参照)。つまり、装飾図柄30の種類の差(数的要素以外の図柄構成要素の差)が、数的要素で「0.5」に相当する大当たり信頼度の差として表れるような設定とする。
〇第六具体例(第五具体例をさらに具体化した例)
数的要素の違いが大当たり信頼度に及ぼす影響は、装飾図柄30の種類の違い(数的要素以外の図柄構成要素の違い)が大当たり信頼度に及ぼす影響よりも大きなものとする。例えば、数的要素(星のマークの数)が「3」である装飾図柄30として「3」の装飾図柄A(図22(a)参照)および「3」の装飾図柄B(図22(b)参照)が設定されるとともに、数的要素(星のマークの数)が「4」である装飾図柄30として「4」の装飾図柄A(図22(c)参照)および「4」の装飾図柄B(図22(d)参照)が設定されるとする。「3」の装飾図柄Aおよび「3」の装飾図柄Bのいずれかがリーチを構成する装飾図柄30(選択図柄80s)とされた場合のいずれもが、「4」の装飾図柄Aおよび「4」の装飾図柄Bのいずれかがリーチを構成する装飾図柄30(選択図柄80s)とされた場合のいずれもよりも大当たり信頼度が高い設定とする(図22参照)。つまり、装飾図柄30の種類(敵キャラクタの種類)の違いは大当たり信頼度に影響を与えるものの、それよりも数的要素の方が重要である設定とする。
このようにすることで、遊技者にとっての数的要素の価値(重要性)を保ちつつ、装飾図柄30の種類(数的要素以外の図柄構成要素)にも注目すべき演出態様とすることが可能である。
第五具体例にて説明したように、数的要素以外の図柄構成要素による大当たり信頼度示唆が「見える化」されたものとしてもよい。「3」の装飾図柄Aによりリーチが構成されたときには、事前数値と事後数値が「3」で一致する通常態様が発生するものとする(図21(a)(b)参照)。「3」の装飾図柄Bによりリーチが構成されたときには、事前数値は「3」であるものの事後数値が「3.5」に変化する特殊態様が発生するものとする(図21(c)(d)参照)。「4」の装飾図柄Aによりリーチが構成されたときには、事前数値と事後数値が「4」で一致する通常態様が発生するものとする(図23(a)(b)参照)。「4」の装飾図柄Bによりリーチが構成されたときには、事前数値は「4」であるものの事後数値が「4.5」に変化する特殊態様が発生するものとする(図23(c)(d)参照)。このようにすれば、「3」の装飾図柄30によりリーチが構成された場合の大当たり信頼度は「3」または「3.5」であり、「4」の装飾図柄30によりリーチが構成された場合の大当たり信頼度は「4」または「4.5」ということになり、上記のような設定を満たすことになる。
2-4)特定演出
本実施形態にかかる遊技機1は、ある当否判定結果(対象当否判定結果)を報知する変動中演出を構成する演出として特定演出(図24、図25参照)を実行することが可能である。本実施形態における特定演出は、いわゆるバトル演出である(ただし、特定演出がいわゆる「バトル演出」であることはあくまで一例である)。上記2-3)で説明したバトル演出とは異なる種類のものであるが、基本的な構成は同じである。すなわち、味方側キャラクタと敵側キャラクタが戦い、味方側キャラクタが勝利することが遊技者にとって有利な結果(勝利結果)(図25(b-1)参照)として、味方側キャラクタが敗北する(敵側キャラクタが勝利する)ことが遊技者にとって不利な結果(敗北結果)(図25(b-2)参照)として設定されているものである。本実施形態では、勝利結果となる場合には対象当否判定結果が大当たりとなり、敗北結果となる場合には対象当否判定結果がはずれとなるものである。
特定演出は、先演出および後演出を含む。本実施形態では、特定演出の開始から所定時点まで(前半部分)が先演出に相当し、所定時点以降(後半部分)が後演出に相当する。詳細を後述するように、所定時点は特定演出の「分岐点」である。
先演出は、特定演出の共通部分であるといえる。本実施形態における先演出は、味方側キャラクタと敵側キャラクタが戦う前半部分の映像が出力されるものである(図24(a)(b)参照)。後述するように後演出として実行される演出の種類は複数種設定されている一方、先演出として実行される演出の種類は一定である。具体的に言えば、先部分として表示領域911に出力される演出用の映像(味方側キャラクタと敵側キャラクタが戦う映像)は一定(同じ)である。よって、先演出に要する時間は一定である。ここで、演出の種類が一定であるとは、遊技者から見て実行されている演出(映像)が表す内容が毎回同じであると認識されるものをいい、完全に同一となることが要求されるものではない。例えば、いわゆるチャンスアップの有無や度合において先演出の厳密な態様が異なりうる設定(例えば、キャラクタのセリフの文字の色が変化しうる)としてもよい。後述するように後演出として実行される演出の種類は複数種設定されているところ、先演出の内容から後演出として実行される演出の種類を把握することはできない。換言すれば、先演出が実行されている最中においては、後演出として実行される演出の種類は確定しない。本実施形態における先演出の結末部分(後演出に繋がる部分)においては、味方側キャラクタが敵側キャラクタに攻撃しようとする映像が出力される(図24(b)参照)。
先演出に引き続き後演出が実行される(先演出と後演出は連続している)。後演出として実行されうる演出として、複数種の演出が設定されている。本実施形態では、通常後演出(図24(c-1)、図25(a-1)参照)と特別後演出(図24(c-2)、図25(a-2)参照)が設定されている。つまり、後演出として通常後演出および特別後演出の一方が実行される。先演出と後演出の境界時点が分岐点であり、当該分岐点以降演出の態様が変化しうるということである。通常後演出が実行されることが分岐点以降の一方のルート(通常ルート)であり、特別後演出が実行されることが分岐点以降の他方のルート(特別ルート)であるということもできる。
通常後演出と特別後演出は、演出として表示領域911に出力される映像が相違する。具体的には、遊技者が全く異なる種類の演出として認識できるほど相違する(上記先演出のように、チャンスアップの有無や度合を示すために態様が異なるといったものではない)。通常後演出と特別後演出とでは、味方側キャラクタと敵側キャラクタのバトルの内容が全く異なるものである。
上述したように、先演出の結末部分は、味方側キャラクタが敵側キャラクタに攻撃しようとする映像が出力されるものである。後演出は、この「続き」の映像が出力されるものである。通常後演出は、その冒頭部分にて味方側キャラクタの攻撃が敵側キャラクタにヒットしなかった(敵側キャラクタがかわした)映像が出力されるものである(図24(c-1)参照)。一方、特別後演出は、その冒頭部分にて味方側キャラクタの攻撃が敵側キャラクタにヒットした映像が出力されるものである(図24(c-2)参照)。つまり、先演出の内容(味方側キャラクタが敵側キャラクタに攻撃しようとする状況)を踏まえた「続き」として、通常後演出は味方側キャラクタの不利な状況(遊技者が不利な状況)が示される演出であり、特別後演出は(通常後演出よりも)味方側キャラクタの有利な状況(遊技者が有利な状況)が示される演出であるといえる。このように、通常後演出と特別後演出は、演出を構成する映像の違いが明確に示されるものである。
後演出として通常後演出が実行された場合よりも、特別後演出が実行された場合の方が、特定演出の結果が勝利結果となる蓋然性(勝利期待度)が高い。つまり、味方側キャラクタの攻撃が敵側キャラクタにヒットした場合の方が、ヒットしなかった場合に比して、最終的に味方側キャラクタが勝利しやすいという設定とされている。
また、後演出は、複数種の操作手段60のうちのいずれかの操作が要求されるものである。本実施形態では、上記冒頭部分の映像が出力された後、操作手段60の操作が要求される状態(以下、操作要求部分と称する)に移行する。つまり、味方側キャラクタの有利な状況および不利な状況の一方が示された後、操作要求部分(図25(a-1)、(a-2)参照)に移行する。
本実施形態にかかる遊技機1は、操作手段60として、第一操作手段61および第二操作手段62を備える(図1参照)。本実施形態における第一操作手段61は押しボタンであり、第二操作手段62は「剣」を模した構造物である。第一操作手段61と第二操作手段62は、別個独立した構造物である。なお、第一操作手段61と第二操作手段62の具体的態様は適宜変更可能である。また、操作される対象となる構造物が同じであっても、操作態様が異なるものを異なる操作手段60と取り扱ってもよい。例えば、ある構造物を所定の操作態様で操作することを第一操作手段61の操作、当該ある構造物を別の操作態様で操作することを第二操作手段62の操作としてもよい。
第一操作手段61と第二操作手段62は以下のような関係にある。本実施形態では、遊技者に操作手段60の操作を要求する種々の操作演出を実行することが可能である。当該操作演出にて第一操作手段61の操作が要求される状況が発生する蓋然性は、第二操作手段62の操作が要求される状況が発生する蓋然性よりも高い。つまり、遊技を継続的に実行している場合、第一操作手段61の操作が要求される頻度(第一操作手段61の操作が要求される状況となる確率)が、第二操作手段62の操作が要求される頻度(第二操作手段62の操作が要求される状況となる確率)よりも高いということである。
一方、各種操作演出においては、第一操作手段61の操作が要求される場合よりも、第二操作手段62の操作が要求される場合の方が、当該操作演出の結果が遊技者に有利なものとなる蓋然性が高くなるように設定されている(第二操作手段62の操作要求がいわゆる「チャンスアップ」として設定されている)。このような観点から言えば、第一操作手段61は操作要求される頻度が高く、第二操作手段62に比して「低価値」である印象が遊技者に与えられる通常の操作手段60(通常操作手段)に相当し、第二操作手段62は操作要求される頻度が低く、第一操作手段61に比して「高価値」である印象が遊技者に与えられる特別な操作手段60(特別操作手段)に相当するといえる。なお、以下の説明においては「価値」という文言により、操作要求された場合に有利な結果となる蓋然性の高低を説明することもある。
通常後演出の操作要求部分においては、第一操作手段61の操作が要求される(図25(a-1)参照)。すなわち、第一操作手段61を表した画像(操作画像)や、操作有効期間を示す画像(期間画像)、操作態様を示す画像(操作態様画像)が表示される。要求される第一操作手段61の操作態様はどのようなものであってもよい。本実施形態では、第一操作手段61を一度操作すること(単操作)が要求される。操作有効期間中に第一操作手段61が操作されること、または操作有効期間が経過することを契機として、特定演出の結果(勝利結果または敗北結果)が示される(図25(b-1)、(b-2)参照)。
一方、特別後演出の操作要求部分においては、第二操作手段62の操作が要求される(図25(a-2)参照)。勝利結果となる蓋然性が通常後演出よりも高い特別後演出においては、より大当たり信頼度の高い(より「高価値」の)操作手段60として設定された第二操作手段62の操作が要求されるということである。特別後演出の操作要求部分においては、第二操作手段62を表した画像(操作画像)や、操作有効期間を示す画像(期間画像)、操作態様を示す画像(操作態様画像)が表示される。要求される第二操作手段62の操作態様はどのようなものであってもよい。本実施形態では、第二操作手段62を一度操作すること(単操作)が要求される。操作有効期間中に第二操作手段62が操作されること、または操作有効期間が経過することを契機として、特定演出の結果(勝利結果または敗北結果)(図25(b-1)、(b-2)参照)が示される。
このように、通常後演出と特別後演出は、出力される映像だけでなく、操作要求部分にて操作が要求される操作手段60が相違する。後演出として通常後演出が実行された場合よりも、特別後演出が実行された場合の方が、特定演出の結果が勝利結果となる蓋然性が高く、それに応じて操作が要求される操作手段60も相違するということであるともいえる。後演出の種類により、将来的に操作要求がなされる操作手段60の種類が予告される構成であるともいえる。このように、本実施形態における特定演出は、後演出として通常後演出および特別後演出のいずれが実行されるか(出力される映像)に応じ、操作が要求される操作手段60が異なることになる面白い態様を有するものである。遊技者の視点で言えば、特別後演出が実行された場合には、第二操作手段62の操作が要求されることになるから、先演出終了時に特別後演出が実行されることを願う遊技性となる。
また、本実施形態では、通常後演出よりも、特別後演出の方が、味方側キャラクタ(遊技者)が有利な状況であることを示すものであるといえる。つまり、映像にて示される(相対的に)「有利な状況」に移行した場合に、より「高価値」である第二操作手段62の操作が促されるというものであるため、演出の流れが分かりやすいといえる。
以下、上記特定演出に関する事項を改良、具体化、変形等した具体例について説明する。なお、以下の具体例を用いて説明する技術を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
〇第一具体例
上記実施形態では、通常後演出においては第一操作手段61の操作が要求されることを説明したが、通常後演出(図26参照)において第一操作手段61(通常操作手段)の操作が要求されること(図26(b-1)参照)もあれば、第二操作手段62(特別操作手段)の操作が要求されること(図26(b-2)参照)もある設定(第一操作手段61と第二操作手段62の一方の操作が要求される)とする。つまり、後演出として特別後演出が実行されることは、第二操作手段62(特別操作手段)の操作要求が確定する一方、後演出として通常後演出が実行されることは、複数種の操作手段60のいずれもが要求される可能性がある設定とする。端的に言えば、通常後演出は、操作要求される操作手段60を確定させるものではないものの、特別後演出は、操作要求される操作手段60が特別操作手段となることを確定させるものとする。
通常後演出においては、第一操作手段61の操作が要求された場合よりも、第二操作手段62の操作が要求された場合の方が、遊技者に有利な結果となる蓋然性(勝利期待度)が高いという設定とする。このようにすることで、通常後演出に移行したとき、操作要求部分にて操作要求される操作手段60の種類に注目する遊技性を実現することができる。
なお、通常後演出にて第二操作手段62の操作が要求された場合よりも、特別後演出にて第二操作手段62の操作が要求された場合の方が、勝利結果(遊技者に有利な結果)となる蓋然性が高くなるような設定とすることが好ましい。前者は「通常後演出+第二操作手段62」であり、後者は「特別後演出+第二操作手段62」であるから、通常後演出と特別後演出の差が有利な結果となる蓋然性(勝利期待度)の差として表れるようにするとよい。
本例のようにしても、特別後演出が実行されることは第二操作手段62の操作が要求されることが確定するということになるから、後演出移行時に、特別後演出が実行されることを遊技者が願う遊技性となる。
また、通常後演出が実行された場合であっても、特別な操作手段60である第二操作手段62の操作が要求されるケースが生じうるから、特別後演出が実行されなかった場合であってもその後の展開に期待することになる遊技性を実現することができる。
〇第二具体例
上記実施形態では、操作手段60として第一操作手段61および第二操作手段62の二種類が設けられていることを説明したが、三種類以上の操作手段60が設定された構成としてもよい。
三種類以上の操作手段60が設けられる場合、特別後演出にて操作要求される操作手段60が、二種類以上の操作手段60のうちのいずれかであってもよい。例えば、操作手段60として、第一操作手段~第三操作手段の三種類が設けられるものとする。第一操作手段よりも第二操作手段が、第二操作手段よりも第三操作手段が、遊技者にとって「高価値」であるとする。この場合において、特別後演出が発生したときには、第二操作手段または第三操作手段の操作が要求されることとする。つまり、最も「低価値」である第一操作手段の操作が要求されることはない設定とする。このように、特別後演出は、一または複数種の「低価値」の操作手段60の操作要求がなされる可能性がなくなることを示すものとすることもできる。
〇第三具体例
後演出として実行される演出の種類が三種類以上設定されていてもよい。このうちの一または二種類以上の演出が特別後演出とされ、当該特別後演出が実行された場合には、第二操作手段62の操作要求がなされるような設定とすればよい。
〇第四具体例
上記実施形態では、後演出の種類に応じて操作要求される操作手段60の種類が決まるものであることを説明したが、操作手段60の種類ではなく、操作画像の態様が決まるような設定としてもよい。例えば、後演出にて要求される操作手段60は、押しボタン(第一操作手段61)であるとする。ただし、操作要求部分にて表示される押しボタンを表した画像(操作画像)が、通常操作画像631(図27(b-1)参照)である場合よりも特別操作画像632(図27(b-2)参照)である場合の方が遊技者に有利な結果となる蓋然性(勝利期待度)が高いとする。通常操作画像631と特別操作画像632の態様の差を設定する手法は種々考えられる。図示されるように通常操作画像631よりも特別操作画像632の方が大きいものとすることが考えられる。また、図示しないが、通常操作画像631と特別操作画像632の色が異なる(例えば、通常操作画像631は「白」である一方、特別操作画像632は「赤」である)ものとすることが考えられる。
このような構成であることを前提とし、後演出として通常後演出(図27(a-1)参照)が実行された場合には操作要求部分にて通常操作画像631が表示される(図27(b-1)参照)一方、後演出として特別後演出(図27(a-2)参照)が実行された場合には操作要求部分にて特別操作画像632が表示される(図27(b-2)参照)設定とする。つまり、後演出の種類にて、操作要求部分にて表示される操作画像の種類が予告される態様とする。
〇第五具体例
上記実施形態では、通常後演出が実行された場合(通常操作手段の操作要求がなされる場合)よりも、特別後演出が実行された場合(特別操作手段の操作要求がなされる場合)の方が、特定演出の結果が遊技者に有利な結果となる蓋然性が高いことを説明したが、後演出の種類と遊技者に有利な結果となる蓋然性は関係がない構成としてもよい。つまり、後演出の種類は結果を示唆するものではないものの、後演出の種類は、各後演出にて操作要求がなされる操作手段60の種類を予告するものとする。
2-5)特定操作演出
上述した通り、本実施形態にかかる遊技機1は遊技者が操作可能な操作手段60を備える。また、当該操作手段60の操作を促す操作演出を実行することが可能である。以下、本実施形態にかかる遊技機1が実行可能な特定操作演出について説明する。なお、複数種の操作演出が実行可能である場合、全ての種類の操作演出を以下で説明するような特定操作演出としなければならないわけではない。少なくとも一部の操作演出が以下で説明するような特定操作演出であればよい。
特定操作演出にて操作要求される操作手段60が第一操作手段61(押しボタン)であるとする。第一操作手段61は、遊技者の力により、原位置から操作位置まで変位することで、当該第一操作手段61が操作されたと判断される。以下の説明において、単に操作手段60というときは、第一操作手段61を指すものとする。特定操作演出においては、遊技者に対して操作が促される操作手段60に対応する操作画像65が表示される(図28参照)。操作画像65は、対応する操作手段60を表したものであると遊技者が認識できる態様とされる。操作画像65は、対応する操作手段60の少なくとも一部を模したものであることが好ましい。対応する操作手段60を表したものであることを遊技者が認識できる程度に変更等が加えられたもの(デフォルメされたもの)を操作画像65としてもよい。
特定操作演出にてこのような操作画像65が表示されることで、遊技者は操作手段60を操作すべき状況(操作が促されている状況)であることを把握することが可能である。特定操作演出においては、操作画像65の他に、操作有効期間を示す期間画像(例えば、操作有効期間の経過とともに変化するメータの画像)や、操作手段60の操作態様を示す操作態様画像(例えば、「押せ」といった文言を含む画像)が表示される(図28(a)参照)。本実施形態における特定操作演出は、操作手段60を一度のみ操作すること(単操作)が促されるものである。
詳細については後述するが、特定操作演出において操作手段60の操作が検出されることを契機として操作画像65の態様が変化する。当該変化は、実物の操作手段60の変化(操作されることによる変位)に合わせたものとされる。操作画像65は、当該変化が分かるような方向から実物の操作手段60を表したものとされる。押しボタンである操作手段60は上下に動くものであるため、操作画像65は操作手段60の上下の動きを表すことができるような態様とされる。本実施形態では操作手段60を斜め上方から見たかのような操作画像65(三次元的に操作手段60を表したもの)とされる(図28(a)参照)。
特定操作演出にて操作手段60の操作が検出されることを契機として、当該特定操作演出の結果が示される(結果を示す画像が表示領域911に表示される。「特定操作演出の結果」はどのようなものであってもよいから説明を省略する)。これと併せて、操作手段60の操作が検出されることを契機として、表示領域911に表示される操作画像65の態様が変化する。具体的には、非操作状態(原位置に位置する操作手段60を表した状態)(図28(a)参照)から操作状態(操作位置に位置する操作手段60を表した状態)(図28(b)参照)に操作画像65が変化する。操作手段60が操作されるということは、操作手段60が変位するということである。操作画像65は、当該操作手段60の変位を表すかのように変化する。具体的には、操作手段60が変位した方向(原位置から操作位置に向かう方向)と同じ方向に操作画像65が変位するような表示がなされる。操作手段60である押しボタンは操作されることによって下方に向かって変位することで操作されたことが検出されるのであるから、操作画像65が同じ下方(表示領域911における操作画像65の表示態様(本実施形態では三次元的な表示態様)に置き換えた上での「下方」(同じ方向)のことをいう)に向かって変位することで、非操作状態から操作状態に変化したかのような映像が表示される。厳密には、実物の操作手段60が操作位置まで変位した後、操作状態に向かって操作画像65の変化が発生するものであって、両事象の間にはタイムラグが存在するものであるが、遊技者には操作手段60の変位と操作画像65の変化がおおよそ同時期に起こっているようにみえる。
本実施形態における特定操作演出は、操作画像65により遊技者が操作手段60の操作を行ったことが強調される(自らの行動が画像に反映される)ものであるから、遊技者の操作意欲の向上に資する。
以下、上記特定操作演出に関する事項を改良、具体化、変形等した具体例について説明する。なお、以下の具体例を用いて説明する技術を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
〇第一具体例
上記実施形態における操作画像65は、三次元的に表されたものであることを説明したが、実物の操作手段60の変位を表すことができるものであれば、二次元的に表されたものとしてもよい。上記実施形態のように操作手段60が下方に向かって押される押しボタンであるのであれば、真横から見た操作手段60を表したものを操作画像65とする。このようにすれば、操作手段60が下方に向かって変位するかのような様を、操作画像65に反映させることができる(図29参照)。
〇第二具体例
上記実施形態では、特定操作演出にて要求される操作態様は単操作であることを説明したが、操作手段60が操作された状態を維持する維持操作(操作手段60が押しボタンである場合はいわゆる「長押し」)や、操作手段60を連続的に操作する連続操作(操作手段60が押しボタンである場合はいわゆる「連打」)が要求されるものであってもよい。
維持操作が要求されるものとする場合には、操作手段60が操作位置に位置していると判断される間は操作画像65が操作状態とされ、操作手段60が操作位置に位置していないと判断される間は操作画像65が非操作状態とされる。連続操作が要求されるものとする場合も同様である。遊技者が実際に操作手段60を連続操作したとすれば、操作画像65は非操作状態および操作状態の一方から他方に変化することを繰り返すことになる。
〇第三具体例
遊技者に対して操作手段60の操作が促されるよりも前に、操作手段60が自動的に変位する操作演出が公知である。例えば、遊技者に対して操作手段60の操作(単操作)が促されるよりも前に、押しボタンである操作手段60が自動的に上昇(ポップアップ)したものが知られている。このような場合には、非操作状態にある操作画像65としてポップアップした状態にある操作手段60を表したものが表示される(図30(a)参照)。その後当該操作手段60が操作されることを契機として操作画像65は操作状態に変化する(図30(b)参照)。操作手段60が自動的に変位した状態を準備状態と称するとすれば、非操作状態にある操作画像65は、当該準備状態にある操作手段60を表したものとされる。このようにすることで、操作画像65の変化が、操作手段60の変位により近いリアルなものとなる。
〇第四具体例
特定操作演出において、操作手段60が操作されることを契機として、操作画像65が非操作状態から操作状態に変化することもあれば、このような操作画像65の変化が生じないこともある設定とする。具体的には、特定操作演出の結果が第一の結果となる場合には、操作画像65が非操作状態から操作状態に変化する(図31(b-1)参照)ものの、特定操作演出の結果が第一の結果とは異なる第二の結果となる場合には、このような操作画像65の変化が生じない(図31(b-2)参照)ものとされる。つまり、結果に応じ、操作手段60の操作が操作画像65により強調されることもあれば、強調されないこともある構成とする。なお、特定操作演出の結果が第二の結果となる場合には、操作手段60の操作が検出されることを契機として、操作画像65が消去されるようにすればよい。
第一の結果は、第二の結果よりも遊技者に有利な結果であるとよい。例えば、第一の結果は対象当否判定結果が大当たりとなる結果であり、第二の結果は対象当否判定結果がはずれとなる結果であるとする。第一の結果や第二の結果として複数の結果が設定されている場合には、第一の結果のいずれもが、第二の結果のいずれもよりも遊技者にとって有利な結果であるとする。このように、遊技者にとって有利な結果となる場合に操作手段60の操作が操作画像65により強調されることで、当該結果となったことも強調されるという作用が奏される。
〇第五具体例
上記実施形態における操作画像65(操作手段60の操作が検出されること契機として態様が変化する画像)は、操作手段60を表した画像であることを説明したが、遊技者に対して操作手段60の操作を促す画像であればよい。例えば、操作画像65として操作手段60の操作方向を示す「矢印」の画像が表示されるとする。当該矢印の画像が、操作手段60の操作が検出されることを契機として変化するものとする。例えば、操作手段60の操作が検出されることを契機として、当該「矢印」が潰れるように変化するものとする(図32参照)。操作手段60の下方への変位によって当該「矢印」があたかも潰されたかのような印象を与えることができる。また、図示しないが、操作手段60の操作が検出されることを契機として、当該「矢印」が下方に変位するかのように変化するような構成とすることも考えられる。つまり、操作手段60の変位が、あたかも(操作手段60を表したものではない)操作画像65に伝わるような演出形態とする。このように、操作手段60を表したものではない画像が、操作手段60の操作が検出されることを契機として態様変化する構成としてもよい。
〇第六具体例
上記実施形態における操作画像65の態様の変化(非操作状態から操作状態への変化)は、実物の操作手段60の変位を表すものであることを説明したが、操作手段60の変位を表すための変化ではない変化が生じるようにしてもよい。例えば、操作手段60の操作が検出されることを契機として、操作画像65の色の変化が生じるといった構成としてもよい。また、このような変化(例えば、色の変化)が、上記実施形態にて説明したような操作手段60の変位を表す変化とともに発生する構成としてもよい。
〇第七具体例
複数種の操作手段60を備えるものとする。このうち、ある種の操作手段60については特定操作演出が実行されることがあるものの、別の種類の操作手段60については特定操作演出が実行されることはない構成とする。
例えば、上記2-4)にて説明したように、第一操作手段61および第二操作手段62を備えるものとし、一方の操作手段60については特定操作演出が実行されることはなく、他方の操作手段60については特定操作演出が実行されうる構成とする。好ましくは、遊技者にとってより「高価値」である第二操作手段62(「剣」を模した操作手段)については特定操作演出が実行されうる(図33(b-1)、(b-2)参照)ものの、より「低価値」である第一操作手段61(押しボタン)については特定操作演出が実行されることがない(図33(a-1)、(a-2)参照)設定とする。第二操作手段62の操作が促される操作演出は、発生頻度が低く、かつ、遊技者に有利な結果となる蓋然性が高いものであるから、それに応えるように、第二操作手段62の操作が操作画像65の態様の変化として反映されるものとする。
2-6)示唆演出
本実施形態にかかる遊技機は、将来的に発生する操作演出の種類を予告する示唆演出(図34(a)、図35参照)を実行することが可能である。本実施形態では、示唆演出の対象となる操作演出(以下、対象操作演出と称することもある)は、遊技者に対し、第一操作手段61の操作が促されるものである(以下の示唆演出に関する説明において、単に操作手段60というときは第一操作手段61をいうものとする)。
対象操作演出(図34(c)(d)、図36参照)として、複数種の操作演出が設定されている。本実施形態では、第一種操作演出~第三種操作演出の三種が設定されている。各種操作演出は、遊技者に対して促される操作手段60の「操作態様」が異なるもの(操作が促される操作手段60(第一操作手段61)は同じであるが、操作態様が異なるもの)である。第一種操作演出(図36(a)参照)は、操作手段60を一度操作すること(単操作)が要求されるものである。第二種操作演出(図36(b)参照)は、操作手段60を連続的に操作すること(連続操作)が要求されるものである(操作手段60が押しボタンである場合にはいわゆる「連打」に相当する)。第三種操作演出(図36(c)参照)は、操作手段60が操作された状態を維持すること(維持操作)が要求されるものである(操作手段60が押しボタンである場合にはいわゆる「長押し」に相当する)。
本実施形態における各種操作演出は、上記操作態様が異なり、基本的態様は共通するものである。具体的には、各種操作演出は、操作手段60の操作によって敵キャラクタを倒すことを目的とした演出である。いずれの種類の操作演出においても、対象となる敵キャラクタが同じであり、敵キャラクタを倒すために要求される操作手段60の操作態様が異なる。操作演出の前半部分(図34(c)参照)ではいずれの種類の操作演出が実行されているか遊技者には分からない。操作演出の後半部分(前半部分の後に実行される部分)(図34(d)参照)にて操作態様が実際に表示されるから操作演出の種類が把握される。操作手段60の操作を契機として敵キャラクタに対して攻撃される(敵キャラクタが攻撃を受けているような映像が表示される)ため、各種操作演出の操作態様の違いは敵キャラクタへの攻撃方法の違いであるというような印象を遊技者は受けることになる。本実施形態では、第一種操作演出(後半部分)においては、単操作(一撃)により敵を倒すことが要求されるような表示がなされる(図36(a)参照)。第二種操作演出(後半部分)においては、連続操作により敵を倒すことが要求されるような表示がなされる(図36(b)参照)。第三種操作演出(後半部分)においては、維持操作により敵を倒すことが要求されるような表示がなされる(図36(c)参照)。各種操作演出において、敵の体力を示すようなメータが併せて表示されるようにしてもよい。
本実施形態では、示唆演出として、対応する操作演出の種類(操作態様)を示唆する画像が表示領域に表示される。第一種操作演出の発生を示唆する第一種示唆演出(図35(a)参照)は『「一撃」待機中』といった文字が表示されるものとされる。第二種操作演出の発生を示唆する第二種示唆演出(図35(b)参照)は『「連打」待機中』といった文字が表示されるものとされる。第三種操作演出の発生を示唆する第三種示唆演出(図35(c)参照)は『「長押し」待機中』といった文字が表示されるものとされる。つまり、各種示唆演出は、対応する操作演出の「操作態様」そのものを示すような文字を含むものとされる。なお、示唆演出による示唆は、このような直接的な示唆に限られるわけではない。例えば、第一種示唆演出は「一回」、第二種示唆演出は「たくさん」、第三種示唆演出は「ずっと」といったように、操作態様を間接的に示すようなものとしてもよい。
本実施形態では、ある一つの変動中演出にていずれかの種類の示唆演出が実行されている状態にて操作演出が開始された場合、当該操作演出の種類は示唆演出の種類に対応したものとされる(図34参照)。つまり、第一種示唆演出が実行されている状態であれば第一種操作演出が実行され、第二種示唆演出が実行されている状態であれば第二種操作演出が実行され、第三種示唆演出が実行されている状態であれば第三種操作演出が実行される。遊技者の視点でいえば、示唆演出によって示唆された「操作態様」が要求される操作演出が発生することになる。本実施形態では、示唆演出によって示唆された操作演出が必ず発生するようにしている。ただし、示唆演出の種類と、操作演出の種類が対応関係にないこと(予告内容とその後実行される演出の内容が「矛盾」すること)が大当たり確定演出(いわゆるプレミア演出)として設定された構成としてもよい。
一旦発生した示唆演出の種類が変化しうるような構成としてもよい。この場合には、最後(操作演出開始前の「最後」という意味である)に実行されていた示唆演出の種類に応じた種類の操作演出が実行されることになる。また、示唆演出が実行された状態から、示唆演出が実行されない状態に移行すること(一旦発生した示唆演出が終了すること)があってもよい。示唆演出が終了した後、操作演出が発生した場合には、当該操作演出にて要求される操作態様は特定の操作態様に限定されないことになる。つまり、いずれの操作態様が要求されるかが前もって分からない状態となる。なお、本実施形態では、示唆演出を経ずに操作演出が発生することもある。このような場合においても、いずれの操作態様が要求されるかは前もって分からない。
本実施形態では、示唆演出が発生した場合であっても、操作演出が発生しない場合がある設定とされている。つまり、示唆演出は、あくまで「操作演出が発生した場合」の操作態様を示唆するものであって、操作演出の発生を確定させるものではない。本実施形態では、リーチが成立した場合には操作演出が発生し(図34(b)(c)参照)、リーチが成立しなかった場合には操作演出が発生しないような設定とされている。具体的には、三つの識別図柄群80gが変動している最中に示唆演出が発生しうるものであり、その後、二つの識別図柄群80gから選択された識別図柄80が同じ種類となってリーチが成立した場合には実行された示唆演出の種類に対応する種類の操作演出が実行される。遊技者の視点でいえば、各種示唆演出が実行されている最中は、所定の「演出モード」が設定されている状況にあり、当該演出モード中に操作演出が発生した場合には、当該操作演出にて要求される操作態様が演出モードに対応したものとなるという遊技性となる。なお、本実施形態とは異なり、示唆演出が発生した場合には、必ず操作演出が発生する設定としてもよい。
このように、本実施形態における示唆演出は、将来的に発生する操作演出での操作態様を示唆するという面白みのあるものである。
なお、示唆演出の対象となる対象操作演出の種類(操作態様の種類)の数は、三つであることはあくまで例示である。二つであってもよいし、四つ以上であってもよい。
以下、上記示唆演出に関する事項を改良、具体化、変形等した具体例について説明する。なお、以下の具体例を用いて説明する技術を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
〇第一具体例
上記実施形態における示唆演出は、操作演出において遊技者に促される操作手段60の「操作態様」を示唆するものであることを説明したが、示唆演出により当該「操作態様」とは異なるものに関する示唆がなされるようにしてもよい。例えば、示唆演出により、操作演出にて遊技者に対して操作が促される操作手段60の種類が示唆されるものとすることが考えられる。
対象操作演出として、第一操作手段61の操作が促される第一種操作演出(図37(a-2)参照)と、第二操作手段62の操作が促される第二種操作演出(図37(b-2)参照)が設定されているとする。そして、第一種示唆演出(図37(a-1)参照)が実行されている状態で操作演出が発生した場合は、当該操作演出は第一種操作演出となり、第二種示唆演出(図37(b-1)参照)が実行されている状態で操作演出が発生した場合は、当該操作演出は第二種操作演出となるように設定される。各種示唆演出は、操作手段60の種類を直接的または間接的に示唆するものであればよい。例えば、第一種示唆演出は『「ボタン」待機中』といった文字が表示されるものとされ、第二種示唆演出は『「剣」待機中』といった文字が表示されるものとされる。これを見た遊技者は、第一種示唆演出の場合は押しボタンである第一操作手段61の操作が促される操作演出が発生するのではないかということを、第二種示唆演出の場合は「剣」を模した構造物である第二操作手段62の操作が促される操作演出が発生するのではないかということを感じることになる。
〇第二具体例
上記実施形態では、ある種の示唆演出が実行されている状態にて操作演出が開始された場合、必ず当該操作演出の種類は示唆演出の種類に対応するものとなることを説明したが、操作演出の種類が、示唆演出の種類に対応したものとならないケースが生じうる設定としてもよい。具体的には、ある種の示唆演出が発生することは、当該ある種の示唆演出が発生しない場合よりも、操作演出の種類が当該ある種の示唆演出に対応するものとなる蓋然性が高くなるに留まる設定(操作演出の種類が当該ある種の示唆演出に対応するものとなる確率が100%ではない設定)としてもよい。
〇第三具体例
示唆演出によって発生が示唆される各種操作演出(対象操作演出)は、遊技者に有利な結果となる蓋然性が互いに異なるものであるとする。操作演出は、遊技者に有利な結果および不利な結果の一方の結果に至るものであるとする。操作演出の具体的態様が上記実施形態のように敵キャラクタを倒すことを目的としたものであれば、敵キャラクタを倒すという結果が「有利な結果」であり、敵キャラクタを倒せないという結果が「不利な結果」ということになる。
このような構成とすれば、発生した示唆演出の種類に応じ、その後の展開に期待がもてる度合が異なるという遊技性を実現することが可能となる。例えば、対象操作演出について、遊技者に有利な結果となる蓋然性が、第三種操作演出、第二種操作演出、第一種操作演出(最も高い)の順で高くなるような構成であるとする(図38の左側参照)。また、上記実施形態のように、示唆演出が発生したとしても操作演出が発生するとは限られない構成であるとする。この場合には、有利な結果となる蓋然性が高い操作演出に対応する示唆演出が発生した場合ほど、遊技者が操作演出の発生に期待するという遊技性を実現することが可能となる。
〇第四具体例
上記第三具体例にて説明したように、各種操作演出(対象操作演出)は、遊技者に有利な結果となる蓋然性(期待度)が互いに異なるものであるとする。そして、全ての種類の操作演出について対応する示唆演出が設定されているわけではなく、一部の種類の操作演出については対応する示唆演出が設定されていないものとする。具体的には、示唆演出として、複数種の操作演出のうち遊技者に有利な結果となる蓋然性が最も低い操作演出(以下、最も低期待度の操作演出と称することもある)を除いた一または複数種の操作演出の発生を示唆するものが設定されているものとする。より具体的には、複数種の操作演出のうち、期待度が高いものから順に一または複数種の操作演出については対応する示唆演出が設定されているものの、他の操作演出については対応する示唆演出が設定されていないものとする。
例えば、第三種操作演出、第二種操作演出、第一種操作演出(最も高い)の順で期待度が高くなる設定であるとする。この場合、最も低期待度である第三種操作演出については、対応する示唆演出が設定されていない構成とする(図38参照)。そして、第二種操作演出および第一種操作演出のそれぞれに対応する第二種示唆演出および第一種示唆演出が設定された構成(図38参照)、または、第一種操作演出に対応する第一種示唆演出が設定された構成(第二種操作演出に対応する示唆演出が設定されていない構成)(図示せず)であるとする。
期待度が低い操作演出が発生することは、遊技者にとってそれほど喜ばしい事象ではないともいえる。したがって、最も低期待度である操作演出の発生が示唆される必要はない(逆効果である)と考えるのであれば、本例のように最も低期待度である操作演出に対応する示唆演出は存在しない構成とすればよい。
〇第五具体例
擬似連続演出や先読み連続演出(既述)等の連続演出に適用される構成とする。連続演出それ自体は公知であるから詳細な説明を省略するが、識別図柄80(群)が変動して停止または擬似停止するまでを単位演出とし、当該単位演出を一または複数回繰り返すものである。停止または擬似停止する識別図柄80の組み合わせが所定の法則性を持ったものとすること(いわゆる「チャンス目」を規定すること)も考えられる。一般的には、当該単位演出の回数(連続回数)が多くなるほど、対象当否判定結果が大当たりとなる蓋然性は高くなる。擬似連続演出は、一の変動中演出(一変動中)において一または複数の単位演出を実行するものである。先読み連続演出は、複数の変動中演出に跨って一または複数の単位演出を実行するものである。
このような連続演出が実行されている最中に示唆演出が発生するものとする。そして、連続演出の途中で示唆演出の種類が変化しうるものとする。例えば、ある単位演出(N回目の単位演出)中にある種の示唆演出が実行されているとする(図39(a)(b)参照)。その後、次の単位演出(N+1回目の単位演出)においては、別種の示唆演出が実行された状況に変化するものとする(図39(c)参照)。つまり、連続演出にて識別図柄80が停止または擬似停止すること(ある単位演出から次の単位演出に移行すること)で示唆演出の種類が変化するものとする。なお、ある種の示唆演出が実行された状況と、別種の示唆演出が実行された状況とは、連続するものではなくてもよい。両示唆演出の間に示唆演出が実行されていない状況が発生してもよい。連続回数が増加することを契機に、示唆演出の種類が変化したかのように遊技者に見える態様であればよい。また、ある単位演出から次の単位演出に移行しても示唆演出の種類が維持されることがあってもよい。
このように単位演出の回数が増加することを契機として示唆演出の種類が変化するようにすれば、連続回数が増加することと併せて示唆演出の種類が変化することにも注目すべき遊技性を実現することが可能である。
なお、第三具体例にて説明したように、各種操作演出(対象操作演出)について遊技者に有利な結果となる蓋然性が互いに異なるものであるとする場合には、連続回数が増加することに伴う示唆演出の種類の変化は遊技者に有利な方向への変化に限る設定とすることが好ましい。例えば、第三種操作演出、第二種操作演出、第一種操作演出(最も高い)の順で遊技者に有利な結果となる蓋然性が高くなる設定であるとするのであれば、第三種示唆演出から第二種示唆演出や第一種示唆演出の変化、第二種示唆演出から第一種示唆演出への変化(図39参照)が発生し、それ以外の変化は発生しないものとする。つまり、対応する操作演出の期待度が高まる方向への変化のみ発生しうるものとする。このようにすれば、連続演出の連続回数が増加するという遊技者にとって喜ばしい事象と、示唆演出の種類が遊技者に有利な方向に変化するという喜ばしい事象が一度に発生しうる(二つの喜ばしい事象が併せて発生しうる)という遊技性を実現することが可能である。別の見方をすれば、連続回数が増加することにより、示唆演出(操作演出)の種類が遊技者にとって喜ばしい方向に変化しうるという分かりやすい遊技性とすることが可能である。
3)以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
上記実施形態にかかる遊技機1は、いわゆるぱちんこ遊技機であるが、ぱちんこ遊技機特有の事項を除き、その他の遊技機(例えば、回胴式遊技機)等に適用することも可能である。
上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を以下に列挙する。
・手段1-1
演出が段階的に進行し、その進行の程度によって対象の当否判定結果が当たりとなる蓋然性である当たり信頼度が示唆されるステップアップ演出を実行することが可能な遊技機であって、前記ステップアップ演出の各段階の演出に相当する単位演出の少なくとも一部である特定単位演出には、複数の要素演出が対応づけられており、前記特定単位演出において複数の前記要素演出のいずれもが実行されない場合に、次段階の前記単位演出に移行することを特徴とする遊技機。
上記ステップアップ演出は、特定単位演出においては複数の要素演出のいずれもが実行されない場合に次段階の単位演出に移行するという面白みのあるものである。
・手段1-2
前記ステップアップ演出が、所定段階の前記単位演出である前記特定単位演出にて終了する場合、当該特定単位演出に対応づけられた複数の前記要素演出のうちのいずれが実行されたかに応じ、前記当たり信頼度が異なることを特徴とする手段1-1に記載の遊技機。
このようにすることで、いずれの要素演出が実行されるかにも遊技者が注目する演出形態となる。
・手段1-3
前記特定単位演出は、前記要素演出が実行されるかもしれないことを示す煽り演出が複数の前記要素演出のそれぞれについて順に実行されていくものであり、当該煽り演出が実行される順は、対応する前記要素演出の前記当たり信頼度が低い順であることを特徴とする手段1-2に記載の遊技機。
このようにすることで、後半の要素演出が実行されることを願う演出形態となる。
・手段1-4
前記ステップアップ演出の最終段階の前記単位演出は、前記特定単位演出ではないことを特徴とする手段1-1から手段1-3のいずれかに記載の遊技機。
最終段階の単位演出は、ステップアップ演出の目標となる地点(ゴールとなる地点)であるといえるため、当該単位演出を特定単位演出とせず、目標を明確にするとよい。
・手段1-5
前記ステップアップ演出が実行されている最中に、当該ステップアップ演出の進行の程度を示す進行画像が表示されることを特徴とする手段1-1から手段1-5のいずれかに記載の遊技機。
このようにすることで、現時点におけるステップアップの進行状況が分かりやすくなる。
・手段1-6
前記進行画像は、前記特定単位演出に複数の前記要素演出が対応づけられていることを示すものであることを特徴とする手段1-5に記載の遊技機。
このようにすることで、進行画像を介し、複数の要素演出が対応づけられた特定単位演出の存在を遊技者に知らせることができる。
・手段2-1
当否判定結果を示す複数種の識別図柄を含む識別図柄群を表示する表示装置と、前記識別図柄群に含まれる複数種の識別図柄のいずれか一つである選択図柄を所定順で表示させていく送り演出を実行する演出実行手段と、を備え、前記送り演出において、前記識別図柄群の一つである第一識別図柄群についての前記選択図柄である第一選択図柄を前記所定順で表示させていく際の送り回数N1、および、前記第一識別図柄群とは異なる第二識別図柄群についての前記選択図柄である第二選択図柄を前記所定順で表示させていく際の送り回数N2は、一方が多くなるほど他方が少なくなる関係にあることを特徴とする遊技機。
上記遊技機における送り演出は、送り回数N1と送り回数N2の関係から、第一選択図柄や第二選択図柄として設定される識別図柄の種類を予測しつつ楽しむという面白みのあるものである。
・手段2-2
前記送り回数N1と前記送り回数N2の和は、一定となるように設定されていることを特徴とする手段2-1に記載の遊技機。
このようにすることで、第一選択図柄や第二選択図柄として設定される識別図柄の種類の予測性が高まる演出形態となる。
・手段2-3
前記送り演出完了時点において、前記第二選択図柄となる前記識別図柄が、前記所定順で、前記第一選択図柄となる前記識別図柄の一つ前のものとなるようにされることを特徴とする手段2-1または手段2-2に記載の遊技機。
上記のような法則が設定された送り演出とすることも可能である。
・手段2-4
前記送り演出実行後、前記第一選択図柄および前記第二選択図柄の一方が変化した場合には、前記第一選択図柄と前記第二選択図柄が同じ種類の前記識別図柄となるリーチ状態となることを特徴とする手段2-3に記載の遊技機。
送り演出により、第二選択図柄となる識別図柄が、所定順で、第一選択図柄となる識別図柄の一つ前のものとなるようにされるのであるから、その後第一選択図柄および第二選択図柄の一方が変化した場合にリーチ状態となる演出の流れとすることが可能である。
・手段2-5
前記送り演出実行後、前記第一選択図柄と前記第二選択図柄が維持されて、前記第一識別図柄群および前記第二識別図柄群とは異なる第三識別図柄群についての前記選択図柄である第三選択図柄が表示された場合には、当該第三選択図柄となる前記識別図柄の種類に応じ、当否判定結果がはずれとなることが確定するかどうかが決まることを特徴とする手段2-3または手段2-4に記載の遊技機。
・手段2-6
前記第三選択図柄が複数種の前記識別図柄のうちのいずれかである特定識別図柄となることが、遊技者に有利な事象の発生を示すものとして設定されていることを特徴とする手段2-5に記載の遊技機。
・手段2-7
前記第三選択図柄が前記特定識別図柄以外の前記識別図柄となる場合には、当否判定結果がはずれとなることが確定することを特徴とする手段2-6に記載の遊技機。
このように、第三選択図柄が特定識別図柄となるかどうかに応じ、当否判定結果がはずれであることが確定するか、有利な事象が発生するかが決まるような演出態様とすることで、遊技者は第三選択図柄として示される識別図柄の種類に注目することになる。
・手段3-1
複数種の装飾図柄のうちから選択された二つの選択図柄の種類が同じとなることが、当否判定結果が当たりとなる可能性があるリーチ状態として設定された遊技機であって、前記装飾図柄は、数の概念を表す数的要素を含み、前記リーチ状態となったときにおける前記選択図柄として設定された前記装飾図柄が含む前記数的要素により、当否判定結果が当たりとなる蓋然性が示唆されることを特徴とする遊技機。
上記遊技機によれば、装飾図柄が含む数的要素によって当否判定結果が当たりとなる蓋然性が示唆されるという面白みのある遊技性を実現することができる。
・手段3-2
前記装飾図柄として、前記数的要素が同じであるものの種類が異なる二以上の図柄が設定されていることを特徴とする手段3-1に記載の遊技機。
このようにすることで、数的要素が同じとなる場合であっても、リーチが成立しないという状況を作り出すことができる。つまり、数的要素が同じとなったときには必ずリーチが成立するという単純な設定ではない。
・手段3-3
前記リーチ状態にて前記選択図柄として設定された前記装飾図柄の種類が異なる場合は、前記数的要素が同じであっても、当否判定結果が当たりとなる蓋然性が異なることを特徴とする手段3-2に記載の遊技機。
このようにすることで、装飾図柄の種類にも遊技者が注目することになる。
・手段3-4
前記リーチ状態にて前記数的要素がXである一または複数種の前記装飾図柄が前記選択図柄として設定された場合のいずれもが、前記リーチ状態にて前記数的要素がY(X≠Yであるとする)である一または複数種の前記装飾図柄が前記選択図柄として設定された場合のいずれもよりも、当否判定結果が当たりとなる蓋然性が高いことを特徴とする手段3-3に記載の遊技機。
このようにすることで、遊技者にとっての数的要素の重要性を保ちつつ、装飾図柄の種類にも注目すべき演出態様とすることが可能である。
・手段4-1
遊技者が操作可能な複数種の操作手段と、先演出および当該先演出の後に実行される後演出を含み、当該後演出にて複数種の前記操作手段のうちのいずれかの操作が要求される特定演出を実行する演出実行手段と、を備え、複数種の前記操作手段のうちのいずれかが、特別操作手段として設定されており、前記特定演出は、前記後演出として複数種の演出のうちのいずれかが実行されるものであり、当該複数種の演出のうちのいずれかである特別後演出が実行された場合には、当該特別後演出にて前記特別操作手段の操作が要求されることを特徴とする遊技機。
上記遊技機が実行可能な特定演出は、後演出として特別後演出が実行されることで、特別操作手段の操作要求がなされるという面白い態様を有するものである。
・手段4-2
前記後演出にて前記特別操作手段の操作が要求された場合の方が、当該特別操作手段以外の操作手段の操作が要求された場合よりも、特定演出の結果が遊技者に有利な結果となる蓋然性が高いことを特徴とする手段4-1に記載の遊技機。
このようにすることで、後演出として特別後演出が実行されることを遊技者が願う演出形態となる。
・手段4-3
複数種の前記操作手段として、前記特別操作手段と、当該特別操作手段とは異なる通常操作手段とが設定されており、前記後演出として実行されうる演出として、前記特別後演出と、当該特別後演出とは異なる通常後演出とが設定されており、前記後演出として前記通常後演出が実行された場合には、当該通常後演出にて前記通常操作手段の操作が要求されることを特徴とする手段4-1または手段4-2に記載の遊技機。
このような構成とすることで、後演出として通常後演出および特別後演出のいずれが実行されるかに応じ、操作が要求される操作手段が異なるという分かりやすい演出形態とすることが可能である。
・手段4-4
複数種の前記操作手段として、前記特別操作手段と、当該特別操作手段とは異なる通常操作手段とが設定されており、前記後演出として実行されうる演出として、前記特別後演出と、当該特別後演出とは異なる通常後演出が設定されており、前記後演出として前記通常後演出が実行された場合には、当該通常後演出にて前記特別操作手段および前記通常操作手段の一方の操作が要求されることを特徴とする手段4-1または手段4-2に記載の遊技機。
このようにすることで、通常後演出が実行されても特別操作手段の操作要求がなされる可能性があることになるから、操作要求がなされるまで目が離せない演出形態とすることが可能である。
・手段5-1
遊技者が操作可能な操作手段と、遊技者に対し前記操作手段の操作を促す特定操作演出を実行する演出実行手段と、を備え、前記特定操作演出においては、表示装置に前記操作手段の操作を促す操作画像が表示され、前記特定操作演出にて前記操作手段の操作が検出されることを契機として、前記操作画像の態様が変化することを特徴とする遊技機。
上記遊技機によれば、操作手段の操作が操作画像の態様変化により強調されるため、操作意欲の向上に資する。
・手段5-2
前記操作画像は、前記操作手段を表した画像であることを特徴とする手段1-1に記載の遊技機。
このようにすることで、操作手段と操作画像の結びつきが明確になる。
・手段5-3
前記操作手段の操作が検出されることを契機として、当該操作手段の変位を表すかのように操作画像の態様が変化することを特徴とする手段5-2に記載の遊技機。
このようにすることで、操作手段の変位が操作画像に反映されるという演出形態となる。
・手段6-1
遊技者が操作可能な操作手段と、前記操作手段を操作することを遊技者に対して促す複数種の操作演出を実行する操作演出実行手段と、複数種の前記操作演出のうちのいずれが実行されるかを示唆する示唆演出を実行する示唆演出実行手段と、を備えることを特徴とする遊技機。
上記遊技機によれば、操作演出の種類が予め示唆されるという面白みのある遊技性を実現することが可能である。
・手段6-2
前記示唆演出は、前記操作演出にて遊技者に対して促される前記操作手段の操作態様を示唆するものであることを特徴とする手段6-1に記載の遊技機。
示唆演出としては、「操作態様」を示唆するものを例示することができる。
・手段6-3
前記操作手段として複数種の操作手段を備え、前記示唆演出は、前記操作演出にて遊技者に対して操作が促される前記操作手段の種類を示唆するものであることを特徴とする手段6-1に記載の遊技機。
示唆演出としては、操作が促される操作手段の種類を示唆するものを例示することができる。
・手段6-4
複数種の前記操作演出のそれぞれは、遊技者に有利な結果となる蓋然性が互いに異なるものであることを特徴とする手段6-1から手段6-3のいずれかに記載の遊技機。
このようにすることで、有利な結果となる蓋然性が高い操作演出に対応する示唆演出が発生したときには、操作演出が発生することに期待する遊技性が実現される。
・手段6-5
前記示唆演出として、複数種の前記操作演出のうち遊技者に有利な結果となる蓋然性が最も低い前記操作演出を除いた一または複数種の前記操作演出の発生を示唆するものが設定されていることを特徴とする手段6-4に記載の遊技機。
有利な結果となる蓋然性が最も低い操作演出の発生は遊技者が望むものではないとして、当該操作演出に対応する示唆演出は設定されていないものとしてもよい。
・手段6-6
前記示唆演出が発生した場合であっても、前記操作演出が発生しない場合があることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の遊技機。
このようにすることで、示唆演出が発生したときであっても、それに対応した操作演出が発生するとは限らない構成となるため、遊技が単純なものではなくなり、面白みが増す。