JP7184726B2 - 静電チャックの製造方法、および、複合部材の製造方法 - Google Patents
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Description
図1は、第1実施形態の静電チャック1の外観を示す斜視図である。第1実施形態の複合部材としての静電チャック1は、例えば、ウェハWなどの対象物を静電引力により吸着することで保持しつつ加熱する装置であり、例えば、半導体製造装置の真空チャンバー内で使用される。静電チャック1は、セラミック部材10と、金属部材20と、第1シート部材30を備える。セラミック部材10と、金属部材20と、第1シート部材30のそれぞれは、特許請求の範囲に記載の「第1部材」と、「第2部材」と、「シート部材」のそれぞれに該当する。静電チャック1では、z軸方向(上下方向)に、セラミック部材10、第1シート部材30、金属部材20の順に積層されている。なお、後述する静電チャック1の製造方法は、セラミック部材10と金属部材20とを接合した複合部材に限定されず、熱膨張率差が異なるものを接合する必要がある分野に適用できる。例えば、サーマルインターフェースマテリアルを介した放熱部材(ヒートシンク)と、半導体デバイスならびに半導体デバイス用パッケージとを接合した複合部材や、半導体デバイス用封止材における光デバイス用封止材とパッケージとを接合した複合部材、アンダーフィル材料を介した半導体デバイスと半導体デバイス用パッケージとを接合した複合部材などにも適用することができる。
ただし、tは、第1シート部材30の厚み(mm)、dは、第1シート部材30の半径(mm)、Trは、室温(℃)、Tcはセラミック部材10と金属部材20との接合温度(℃)、α1は、セラミック部材10の熱膨張係数(1/℃)、α2は、金属部材20の熱膨張係数(1/℃)である。本実施形態では、式(1)を用いて算出される室温における第1シート部材30の伸びΔ(%)は、100%以上となる。
第1シート部材30の粘度の測定は、室温(23℃)の環境下において、次のように行われる。最初に、測定部分の直径が8mmの平行平板の一方に、第1シート部材30を貼り、動的粘弾性測定装置(ARESレオメータ)にセットする。次に、上方から徐々に他方の平行平板を下ろし、10gの荷重になったところで平行平板の移動を停止する。その後、所定の歪み(0.1)、および、所定の角速度ω(=6.28rad/s)にて、周期的に一方の平行平板を回転することで、貯蔵剛性率G1(Pa)と損失剛性率G2(Pa)を測定する。測定した貯蔵剛性率G1(Pa)と損失剛性率G2(Pa)を上記の式(2)に代入し、第1シート部材30の粘度η(Pa・s)を算出する。
ε=端部のずれ/第1シート部材30の厚さ×100=|d1-d2|/t×100
・・・(3)
ただし、dは、第1シート部材30の半径(mm)、Trは、室温(℃)、Tcはセラミック部材10と金属部材20との接合温度(℃)、α1は、セラミック部材10の熱膨張係数(1/℃)、α2は、金属部材20の熱膨張係数(1/℃)、tは、第1シート部材30の厚み(mm)である。ここで、室温は、例えば、22±5℃(17~27℃)である。また、セラミック部材10と金属部材20との接合温度Tc(℃)は、セラミック部材10を構成する材料、および、金属部材20を構成する材料により決まる。本実施形態では、セラミック部材10と金属部材20に接合している第1シート部材30のせん断歪みε(%)が40%以上となることで、セラミック部材10と金属部材20の熱膨張係数の違いによって静電チャック1において発生する熱応力を十分に緩和できる。
室温における伸び:100%以上
ヤング率:10MPa以下
ショアA硬度:70以下
剛性率:4MPa以下
粘度:2000Pa・s以上
表面の粘着力(傾斜式ボールタック試験におけるボールの転がり距離):20mm以上
セラミック部材10と金属部材20を接合しているときのせん断歪み:40%以上
装置:日本プラズマトリート製大気圧プラズマ装置(ユニットは、プラズマジェットノズルRD1004と、ジェネレーターFG5001からなる。)
ドライエアー流量:50NL/分
放電電圧:20kV
処理対象とヘッドとの距離:10mm
掃引速度:10m/分
◎:端部を手で引っ張っても剥離せず接合しており、無理に剥離すると被着体Aが破断した。その後、被着体Aを金属製の平板で擦り取ろうとしても、接合面全体において被着体Aが削れるだけで接合界面から剥離できなかった。
○:端部を手で引っ張っても剥離せず接合しており、無理に剥離すると被着体Aが破断した。その後、被着体Aを金属製の平板で擦り取ろうとしたところ、部分的に接合界面から剥離した。
△:端部を手で引っ張っても剥離せず接合していたが、部分的にばらつきがあり、部分的には、接合界面で剥離した。
×:まったく接合しておらず容易に剥がれた。
図11は、第2実施形態の静電チャック2の断面図である。第2実施形態の静電チャック2は、第1実施形態の静電チャック1(図2)と比較すると、セラミック部材10と第1シート部材30との間に断熱層18が配置されている。
図13は、第3実施形態の静電チャック3の断面図である。第3実施形態の静電チャック3は、第1実施形態の静電チャック1(図2)と比較すると、第1シート部材30と第2シート部材40の2つのシート部材を用いて、セラミック部材10と金属部材20とを接合している点が、第1実施形態と異なる。
室温における伸び:100%以上
ヤング率:10MPa以下
ショアA硬度:70以下
剛性率:4MPa以下
粘度:2000Pa・s以上
表面の粘着力(傾斜式ボールタック試験におけるボールの転がり距離):20mm以上
セラミック部材10と金属部材20を接合しているときのせん断歪み:40%以上
本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
上述の実施形態では、第1シート部材30、または、第1シート部材30および第2シート部材40は、アルミナや窒化アルミニウムなどにより形成されているセラミック部材10と、金属により形成されている金属部材20とを接合するとした。しかしながら、シート部材が接合する部材は、これに限定されない。シート部材は、エラストマーにより形成されているため、熱膨張係数が異なっている部材どうしでも、シート部材によって熱応力が緩和することができる。
上述の実施形態では、第1シート部材30および第2シート部材40は、付加硬化型のシリコーン系材料により形成されるとした。しかしながら、第1シート部材30および第2シート部材40を形成する材料はこれに限定されず、エラストマーであればよい。例えば、天然ゴム、NBRゴム、EPDMゴム、シリコーンゴムなど各種のゴムシートであってもよい。また、ペースト材料から第1シート部材30および第2シート部材40として耐熱性、耐寒性、柔軟性(応力緩和性)に優れるシリコーンゴムを作製する場合、以下のような材料が挙げられる。
KE-1830、KE-1884,KE-1820、KE-1831、KE-1833、KE-1885、KE-1056,KE-1151、KE-1842、KE-1886、KE-1854、KE-1867、KE-1031、KE-1285、KE-1861(以上、信越化学株式会社製 付加硬化型シリコーン材料)
SILASTICRBL-9694-45M、SILASTIC3-8186、(以上、ダウ・東レ株式会社製 付加硬化型シリコーン材料)
KE-347、KE-3495、KE-4895、KE-4896、KE-3497、KE-4897、KE-3494、KE-3490、KE-3497,KE-3498、KE-3466、KE-3491、KE-3417、KEー3427、KE-3428、KE-200、KE-118(以上、信越化学株式会社製 縮合硬化型シリコーン材料)
DOWSIL736、DOWSIL748、DOWSIL7091、DOWSIL HM-2510、DOWSIL EA-2626、DOWSIL 730FS、SILASTIC HV1551-55P、XIAMETER RBC-1660-65(以上、ダウ・東レ株式会社製 縮合硬化型シリコーン材料)
Silopren LSR2003、LSR2010、LSR2020、lSR2040、LSR2060、LSR2080、LSR2620、LSR2640、LSR2660、LSR2641、LSR2740、LIM8040、FSL7641、FSL7661、LSR4739、CLS3060、CLS5000、Electro242-1、Electro242-2、Silopren 2345/06(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)
上述の実施形態では、静電チャック1~3には、「有底孔」としての電極孔15と、「貫通孔」としてのリフトピン孔16が形成されるとした。しかしながら、静電チャック1~3に形成される「孔」は、いずれかであってもよい。
上述の実施形態では、静電チャック1の製造方法において、貫通孔33、34は、プラズマ処理工程の前に、第1シート部材30に形成するとした。しかしながら、プラズマ処理工程の後に、貫通孔33、34を形成してもよい。また、準備工程において、準備されるセラミック部材10には、電極孔15とリフトピン孔16が形成されており、金属部材20には、2つの貫通孔22、23が形成されているとした。しかしながら、セラミック部材10、および、金属部材20への「孔」の形成は、第1シート部材30に貫通孔33,34を形成する貫通孔形成工程、および、第1シート部材30の表面にプラズマ処理を行うプラズマ処理工程の後に、行ってもよい。
第1実施形態では、セラミック部材10および金属部材20に、シラン化合物のコーティング層が設けられ、シリコーン系材料により形成されるシート部材との接合強度を向上するとした。しかしながら、コーティング層の材料はこれに限定されない。シート部材の材料との親和性がよい材料であればよい。また、コーティング層は、セラミック部材10または金属部材20のいずれか一方に形成されていてもよいし、第2実施形態のように、コーティング層は、なくてもよい。なお、第2実施形態において、第1シート部材30との接合強度を向上するコーティング層を断熱層18や金属部材20に形成してもよい。
上述の実施形態では、第1シート部材30に接合するセラミック部材10のコーティング層17の表面、および、金属部材20のコーティング層24の表面の算術平均粗さRaは、0.4μm以下となっているとした。しかしながら、コーティング層を形成しない場合、セラミック部材10のシート部材30と接合する表面、および、金属部材20のシート部材30と接合する表面の算術平均粗さRaが、0.4μm以下となっていればよい。また、表面の算術平均粗さRaが、0.4μmより大きくてもよい。
上述の実施形態では、第1シート部材30および第2シート部材40を大気圧プラズマ処理したのち、表面の変色を確認する確認工程を行うとした。確認工程はなくてもよい。
上述の実施形態では、第1シート部材30および第2シート部材40は、下記の特性を満たすとした。
室温における伸び:100%以上
ヤング率:10MPa以下
ショアA硬度:70以下
剛性率:4MPa以下
粘度:2000Pa・s以上
表面の粘着力(傾斜式ボールタック試験におけるボールの転がり距離):20mm以上
セラミック部材10と金属部材20を接合しているときのせん断歪み:40%以上
しかしながら、第1シート部材30および第2シート部材40は、上記の特性を全て満たさなくてもよく、少なくとも1つの特性を満たせばよい。また、1つも満たしていなくてもよい。これは、セラミック部材10および金属部材20の材質、厚み、大きさ、第1シート部材30および第2シート部材40の厚み、複合部材が使用される温度など、各種の条件によって必要な特性が変化するためである。
第1実施形態では、第1シート部材30と「第2部材」とは、第1シート部材30のプラズマ処理を用いて接合するとした。また、第3実施形態では、第1シート部材30と第2シート部材40とは、プラズマ処理工程として、金属部材20に接合している第2シート部材40の表面42に大気圧プラズマ処理を行い、シート接合工程として、第1シート部材30と第2シート部材40とを接合するとした。しかしながら、これらの接合において、プラズマ処理を用いなくてもよく、他の接合剤を用いて接合してもよい。
第3実施形態では、プラズマ処理工程として、金属部材20に接合している第2シート部材40の表面42に大気圧プラズマ処理を行うとした。しかしながら、セラミック部材10に接合している第1シート部材30の表面31に大気圧プラズマ処理を行ってもよいし、第1シート部材30の表面31と第2シート部材40の表面42との両方に、大気圧プラズマ処理を行ってもよい。
10…セラミック部材
11…チャック電極
12…ヒータ電極
13…載置面
14…電極端子
15…電極孔
16…リフトピン孔
17…コーティング層
18…断熱層
19…面
20…金属部材
21…冷媒流路
22,23…貫通孔
24…コーティング層
30…第1シート部材
31,32,41,42…表面
33,34,43,44…貫通孔
35,36,45,46…カバーフィルム
40…第2シート部材
100…大気圧プラズマ装置
Claims (12)
- 貫通孔および有底孔の少なくとも1つの孔を有し、発熱体を含み、セラミックにより形成されている第1部材と、前記孔と連通する貫通孔を有し、エラストマーにより形成されているシート部材と、金属により形成されており、前記シート部材を介して前記第1部材と接合される第2部材と、を有する静電チャックの製造方法であって、
前記孔を有する前記第1部材と、前記シート部材と、前記第2部材を準備する準備工程と、
前記シート部材に前記貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、
前記シート部材の一方の面をプラズマ処理する第1プラズマ処理工程と、
前記貫通孔形成工程および前記第1プラズマ処理工程の後、前記第1部材の前記孔と、前記シート部材の前記貫通孔とが連通し、かつ、前記第1部材と前記シート部材の一方の面とが接触するように、前記第1部材と前記シート部材とを接合する第1接合工程と、
前記第2部材と前記シート部材とを接合する第2接合工程と、を備える、
静電チャックの製造方法。 - 請求項1に記載の静電チャックの製造方法であって、
前記シート部材は、シリコーン系材料によって形成されており、
前記静電チャックの製造方法は、さらに、
前記第1接合工程の前に、前記第1部材のうち、前記シート部材と接合される面に対して、プラズマを用いて、シラン化合物のコーティング層を形成するコーティング工程を備える、
静電チャックの製造方法。 - 請求項1または請求項2に記載の静電チャックの製造方法であって、
前記準備工程において、前記第1部材として、前記シート部材と接合される面の算術平均粗さRaが0.4μm以下の前記第1部材を準備する、
静電チャックの製造方法。 - 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の静電チャックの製造方法であって、
前記準備工程において、前記シート部材として、プラズマ処理されると変色する前記シート部材を準備し、
前記静電チャックの製造方法は、さらに、
前記第1プラズマ処理工程の後であって前記第1接合工程の前に、前記シート部材の変色の状態を確認する確認工程を備える、
静電チャックの製造方法。 - 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の静電チャックの製造方法であって、
前記準備工程において、前記シート部材として、粘度が2000Pa・s以上の前記シート部材を準備する、
静電チャックの製造方法。 - 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の静電チャックの製造方法であって、
前記準備工程において、前記シート部材として、傾斜式ボールタック試験におけるボールの転がり距離が20mm以上の前記シート部材を準備する、
静電チャックの製造方法。 - 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の静電チャックの製造方法であって、
前記準備工程において、一方の面側に断熱層が形成されている前記第1部材を準備し、
前記第1接合工程において、前記第1部材の前記断熱層の面と前記シート部材の一方の面とが接触するように、前記第1部材と前記シート部材とを接合する、
静電チャックの製造方法。 - 請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の静電チャックの製造方法は、さらに、
前記第2接合工程の前に、前記シート部材の他方の面をプラズマ処理する第2プラズマ処理工程を備える、
静電チャックの製造方法。 - 請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の静電チャックの製造方法であって、
前記準備工程において、前記シート部材として、第1シート部材と第2シート部材を準備し、
前記貫通孔形成工程において、前記第1シート部材に前記貫通孔としての第1貫通孔を形成するとともに、前記第2シート部材に前記貫通孔としての第2貫通孔を形成し、
前記第1プラズマ処理工程において、前記シート部材の一方の面としての前記第1シート部材の一方の面をプラズマ処理するとともに、前記第2シート部材の一方の面をプラズマ処理し、
前記第1接合工程において、前記第1部材と前記第1シート部材とを接合し、
前記第2接合工程において、前記第2部材と前記第2シート部材の一方の面とが接触するように、前記第2部材と前記第2シート部材とを接合し、
前記静電チャックの製造方法は、さらに、
前記第1シート部材の前記第1貫通孔と前記第2シート部材の前記第2貫通孔とが連通し、かつ、前記第1シート部材の他方の面と前記第2シート部材の他方の面とが接触するように、前記第1シート部材と前記第2シート部材とを接合する第3接合工程を備える、
静電チャックの製造方法。 - 貫通孔および有底孔の少なくとも1つの孔を有する第1部材と、前記孔と連通する貫通孔を有し、エラストマーにより形成されたシート部材と、前記シート部材を介して前記第1部材と接合される第2部材と、を有する複合部材の製造方法であって、
前記孔を有する前記第1部材と、プラズマ処理されると変色する前記シート部材と、前記第2部材を準備する準備工程と、
前記シート部材に前記貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、
前記シート部材の一方の面をプラズマ処理する第1プラズマ処理工程と、
前記第1プラズマ処理工程の後に、前記シート部材の変色の状態を確認する確認工程と、
前記貫通孔形成工程および前記第1プラズマ処理工程の後、前記第1部材の前記孔と、前記シート部材の前記貫通孔とが連通し、かつ、前記第1部材と前記シート部材の一方の面とが接触するように、前記第1部材と前記シート部材とを接合する第1接合工程と、
前記第2部材と前記シート部材とを接合する第2接合工程と、を備える、
複合部材の製造方法。
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