実施の形態1.
図2は、3GPPにおいて議論されているLTE方式の通信システム200の全体的な構成を示すブロック図である。図2について説明する。無線アクセスネットワークは、E-UTRAN(Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network)201と称される。通信端末装置である移動端末装置(以下「移動端末(User Equipment:UE)」という)202は、基地局装置(以下「基地局(E-UTRAN NodeB:eNB)」という)203と無線通信可能であり、無線通信で信号の送受信を行う。
ここで、「通信端末装置」とは、移動可能な携帯電話端末装置などの移動端末装置だけでなく、センサなどの移動しないデバイスも含んでいる。以下の説明では、「通信端末装置」を、単に「通信端末」という場合がある。
移動端末202に対する制御プロトコル、例えばRRC(Radio Resource Control)と、ユーザプレイン、例えばPDCP(Packet Data Convergence Protocol)、RLC(Radio Link Control)、MAC(Medium Access Control)、PHY(Physical layer)とが基地局203で終端するならば、E-UTRANは1つあるいは複数の基地局203によって構成される。
移動端末202と基地局203との間の制御プロトコルRRC(Radio Resource Control)は、報知(Broadcast)、ページング(paging)、RRC接続マネージメント(RRC connection management)などを行う。RRCにおける基地局203と移動端末202との状態として、RRC_IDLEと、RRC_CONNECTEDとがある。
RRC_IDLEでは、PLMN(Public Land Mobile Network)選択、システム情報(System Information:SI)の報知、ページング(paging)、セル再選択(cell re-selection)、モビリティなどが行われる。RRC_CONNECTEDでは、移動端末はRRC接続(connection)を有し、ネットワークとのデータの送受信を行うことができる。またRRC_CONNECTEDでは、ハンドオーバ(Handover:HO)、隣接セル(Neighbour cell)の測定(メジャメント(measurement))などが行われる。
基地局203は、eNB207と、Home-eNB206とに分類される。通信システム200は、複数のeNB207を含むeNB群203-1と、複数のHome-eNB206を含むHome-eNB群203-2とを備える。またコアネットワークであるEPC(Evolved Packet Core)と、無線アクセスネットワークであるE-UTRAN201とで構成されるシステムは、EPS(Evolved Packet System)と称される。コアネットワークであるEPCと、無線アクセスネットワークであるE-UTRAN201とを合わせて、「ネットワーク」という場合がある。
eNB207は、移動管理エンティティ(Mobility Management Entity:MME)、あるいはS-GW(Serving Gateway)、あるいはMMEおよびS-GWを含むMME/S-GW部(以下「MME部」という場合がある)204とS1インタフェースにより接続され、eNB207とMME部204との間で制御情報が通信される。一つのeNB207に対して、複数のMME部204が接続されてもよい。eNB207間は、X2インタフェースにより接続され、eNB207間で制御情報が通信される。
Home-eNB206は、MME部204とS1インタフェースにより接続され、Home-eNB206とMME部204との間で制御情報が通信される。一つのMME部204に対して、複数のHome-eNB206が接続される。あるいは、Home-eNB206は、HeNBGW(Home-eNB GateWay)205を介してMME部204と接続される。Home-eNB206とHeNBGW205とは、S1インタフェースにより接続され、HeNBGW205とMME部204とはS1インタフェースを介して接続される。
一つまたは複数のHome-eNB206が一つのHeNBGW205と接続され、S1インタフェースを通して情報が通信される。HeNBGW205は、一つまたは複数のMME部204と接続され、S1インタフェースを通して情報が通信される。
MME部204およびHeNBGW205は、上位装置、具体的には上位ノードであり、基地局であるeNB207およびHome-eNB206と、移動端末(UE)202との接続を制御する。MME部204は、コアネットワークであるEPCを構成する。基地局203およびHeNBGW205は、E-UTRAN201を構成する。
さらに3GPPでは、以下のような構成が検討されている。Home-eNB206間のX2インタフェースはサポートされる。すなわち、Home-eNB206間は、X2インタフェースにより接続され、Home-eNB206間で制御情報が通信される。MME部204からは、HeNBGW205はHome-eNB206として見える。Home-eNB206からは、HeNBGW205はMME部204として見える。
Home-eNB206が、HeNBGW205を介してMME部204に接続される場合および直接MME部204に接続される場合のいずれの場合も、Home-eNB206とMME部204との間のインタフェースは、S1インタフェースで同じである。
基地局203は、1つのセルを構成してもよいし、複数のセルを構成してもよい。各セルは、移動端末202と通信可能な範囲であるカバレッジとして予め定める範囲を有し、カバレッジ内で移動端末202と無線通信を行う。1つの基地局203が複数のセルを構成する場合、1つ1つのセルが、移動端末202と通信可能に構成される。
図3は、本発明に係る通信端末である図2に示す移動端末202の構成を示すブロック図である。図3に示す移動端末202の送信処理を説明する。まず、プロトコル処理部301からの制御データ、およびアプリケーション部302からのユーザデータが、送信データバッファ部303へ保存される。送信データバッファ部303に保存されたデータは、エンコーダー部304へ渡され、誤り訂正などのエンコード処理が施される。エンコード処理を施さずに、送信データバッファ部303から変調部305へ直接出力されるデータが存在してもよい。エンコーダー部304でエンコード処理されたデータは、変調部305にて変調処理が行われる。変調されたデータは、ベースバンド信号に変換された後、周波数変換部306へ出力され、無線送信周波数に変換される。その後、アンテナ307から基地局203に送信信号が送信される。
また、移動端末202の受信処理は、以下のように実行される。基地局203からの無線信号がアンテナ307により受信される。受信信号は、周波数変換部306にて無線受信周波数からベースバンド信号に変換され、復調部308において復調処理が行われる。復調後のデータは、デコーダー部309へ渡され、誤り訂正などのデコード処理が行われる。デコードされたデータのうち、制御データはプロトコル処理部301へ渡され、ユーザデータはアプリケーション部302へ渡される。移動端末202の一連の処理は、制御部310によって制御される。よって制御部310は、図3では省略しているが、各部301~309と接続している。
図4は、本発明に係る基地局である図2に示す基地局203の構成を示すブロック図である。図4に示す基地局203の送信処理を説明する。EPC通信部401は、基地局203とEPC(MME部204など)、HeNBGW205などとの間のデータの送受信を行う。他基地局通信部402は、他の基地局との間のデータの送受信を行う。EPC通信部401および他基地局通信部402は、それぞれプロトコル処理部403と情報の受け渡しを行う。プロトコル処理部403からの制御データ、ならびにEPC通信部401および他基地局通信部402からのユーザデータおよび制御データは、送信データバッファ部404へ保存される。
送信データバッファ部404に保存されたデータは、エンコーダー部405へ渡され、誤り訂正などのエンコード処理が施される。エンコード処理を施さずに、送信データバッファ部404から変調部406へ直接出力されるデータが存在してもよい。エンコードされたデータは、変調部406にて変調処理が行われる。変調されたデータは、ベースバンド信号に変換された後、周波数変換部407へ出力され、無線送信周波数に変換される。その後、アンテナ408より一つもしくは複数の移動端末202に対して送信信号が送信される。
また、基地局203の受信処理は以下のように実行される。一つもしくは複数の移動端末202からの無線信号が、アンテナ408により受信される。受信信号は、周波数変換部407にて無線受信周波数からベースバンド信号に変換され、復調部409で復調処理が行われる。復調されたデータは、デコーダー部410へ渡され、誤り訂正などのデコード処理が行われる。デコードされたデータのうち、制御データはプロトコル処理部403あるいはEPC通信部401、他基地局通信部402へ渡され、ユーザデータはEPC通信部401および他基地局通信部402へ渡される。基地局203の一連の処理は、制御部411によって制御される。よって制御部411は、図4では省略しているが、各部401~410と接続している。
図5は、本発明に係るMMEの構成を示すブロック図である。図5では、前述の図2に示すMME部204に含まれるMME204aの構成を示す。PDN GW通信部501は、MME204aとPDN GWとの間のデータの送受信を行う。基地局通信部502は、MME204aと基地局203との間のS1インタフェースによるデータの送受信を行う。PDN GWから受信したデータがユーザデータであった場合、ユーザデータは、PDN GW通信部501から、ユーザプレイン通信部503経由で基地局通信部502に渡され、1つあるいは複数の基地局203へ送信される。基地局203から受信したデータがユーザデータであった場合、ユーザデータは、基地局通信部502から、ユーザプレイン通信部503経由でPDN GW通信部501に渡され、PDN GWへ送信される。
PDN GWから受信したデータが制御データであった場合、制御データは、PDN GW通信部501から制御プレイン制御部505へ渡される。基地局203から受信したデータが制御データであった場合、制御データは、基地局通信部502から制御プレイン制御部505へ渡される。
HeNBGW通信部504は、HeNBGW205が存在する場合に設けられ、情報種別によって、MME204aとHeNBGW205との間のインタフェース(IF)によるデータの送受信を行う。HeNBGW通信部504から受信した制御データは、HeNBGW通信部504から制御プレイン制御部505へ渡される。制御プレイン制御部505での処理の結果は、PDN GW通信部501経由でPDN GWへ送信される。また、制御プレイン制御部505で処理された結果は、基地局通信部502経由でS1インタフェースにより1つあるいは複数の基地局203へ送信され、またHeNBGW通信部504経由で1つあるいは複数のHeNBGW205へ送信される。
制御プレイン制御部505には、NASセキュリティ部505-1、SAEベアラコントロール部505-2、アイドルステート(Idle State)モビリティ管理部505-3などが含まれ、制御プレインに対する処理全般を行う。NASセキュリティ部505-1は、NAS(Non-Access Stratum)メッセージのセキュリティなどを行う。SAEベアラコントロール部505-2は、SAE(System Architecture Evolution)のベアラの管理などを行う。アイドルステートモビリティ管理部505-3は、待受け状態(アイドルステート(Idle State);LTE-IDLE状態、または、単にアイドルとも称される)のモビリティ管理、待受け状態時のページング信号の生成および制御、傘下の1つあるいは複数の移動端末202のトラッキングエリアの追加、削除、更新、検索、トラッキングエリアリスト管理などを行う。
MME204aは、1つまたは複数の基地局203に対して、ページング信号の分配を行う。また、MME204aは、待受け状態(Idle State)のモビリティ制御(Mobility control)を行う。MME204aは、移動端末が待ち受け状態のとき、および、アクティブ状態(Active State)のときに、トラッキングエリア(Tracking Area)リストの管理を行う。MME204aは、UEが登録されている(registered)追跡領域(トラッキングエリア:Tracking Area)に属するセルへ、ページングメッセージを送信することで、ページングプロトコルに着手する。MME204aに接続されるHome-eNB206のCSGの管理、CSG-IDの管理、およびホワイトリストの管理は、アイドルステートモビリティ管理部505-3で行われてもよい。
次に通信システムにおけるセルサーチ方法の一例を示す。図6は、LTE方式の通信システムにおいて通信端末(UE)が行うセルサーチから待ち受け動作までの概略を示すフローチャートである。通信端末は、セルサーチを開始すると、ステップST601で、周辺の基地局から送信される第一同期信号(P-SS)、および第二同期信号(S-SS)を用いて、スロットタイミング、フレームタイミングの同期をとる。
P-SSとS-SSとを合わせて、同期信号(Synchronization Signal:SS)という。同期信号(SS)には、セル毎に割り当てられたPCIに1対1に対応するシンクロナイゼーションコードが割り当てられている。PCIの数は504通りが検討されている。この504通りのPCIを用いて同期をとるとともに、同期がとれたセルのPCIを検出(特定)する。
次に同期がとれたセルに対して、ステップST602で、基地局からセル毎に送信される参照信号(リファレンスシグナル:RS)であるセル固有参照信号(Cell-specific Reference Signal:CRS)を検出し、RSの受信電力(Reference Signal Received Power:RSRP)の測定を行う。参照信号(RS)には、PCIと1対1に対応したコードが用いられている。そのコードで相関をとることによって他セルと分離できる。ステップST1で特定したPCIから、該セルのRS用のコードを導出することによって、RSを検出し、RSの受信電力を測定することが可能となる。
次にステップST603で、ステップST602までで検出された一つ以上のセルの中から、RSの受信品質が最もよいセル、例えば、RSの受信電力が最も高いセル、つまりベストセルを選択する。
次にステップST604で、ベストセルのPBCHを受信して、報知情報であるBCCHを得る。PBCH上のBCCHには、セル構成情報が含まれるMIB(Master Information Block)がマッピングされる。したがってPBCHを受信してBCCHを得ることで、MIBが得られる。MIBの情報としては、例えば、DL(ダウンリンク)システム帯域幅(送信帯域幅設定(transmission bandwidth configuration:dl-bandwidth)とも呼ばれる)、送信アンテナ数、SFN(System Frame Number)などがある。
次にステップST605で、MIBのセル構成情報をもとに該セルのDL-SCHを受信して、報知情報BCCHの中のSIB(System Information Block)1を得る。SIB1には、該セルへのアクセスに関する情報、セルセレクションに関する情報、他のSIB(SIBk;k≧2の整数)のスケジューリング情報が含まれる。また、SIB1には、トラッキングエリアコード(Tracking Area Code:TAC)が含まれる。
次にステップST606で、通信端末は、ステップST605で受信したSIB1のTACと、通信端末が既に保有しているトラッキングエリアリスト内のトラッキングエリア識別子(Tracking Area Identity:TAI)のTAC部分とを比較する。トラッキングエリアリストは、TAIリスト(TAI list)とも称される。TAIはトラッキングエリアを識別するための識別情報であり、MCC(Mobile Country Code)と、MNC(Mobile Network Code)と、TAC(Tracking Area Code)とによって構成される。MCCは国コードである。MNCはネットワークコードである。TACはトラッキングエリアのコード番号である。
通信端末は、ステップST606で比較した結果、ステップST605で受信したTACがトラッキングエリアリスト内に含まれるTACと同じならば、該セルで待ち受け動作に入る。比較して、ステップST605で受信したTACがトラッキングエリアリスト内に含まれなければ、通信端末は、該セルを通して、MMEなどが含まれるコアネットワーク(Core Network,EPC)へ、TAU(Tracking Area Update)を行うためにトラッキングエリアの変更を要求する。
コアネットワークを構成する装置(以下「コアネットワーク側装置」という場合がある)は、TAU要求信号とともに通信端末から送られてくる該通信端末の識別番号(UE-IDなど)をもとに、トラッキングエリアリストの更新を行う。コアネットワーク側装置は、通信端末に更新後のトラッキングエリアリストを送信する。通信端末は、受信したトラッキングエリアリストに基づいて、通信端末が保有するTACリストを書き換える(更新する)。その後、通信端末は、該セルで待ち受け動作に入る。
スマートフォンおよびタブレット型端末装置の普及によって、セルラー系無線通信によるトラフィックが爆発的に増大しており、世界中で無線リソースの不足が懸念されている。これに対応して周波数利用効率を高めるために、小セル化し、空間分離を進めることが検討されている。
従来のセルの構成では、eNBによって構成されるセルは、比較的広い範囲のカバレッジを有する。従来は、複数のeNBによって構成される複数のセルの比較的広い範囲のカバレッジによって、あるエリアを覆うように、セルが構成されている。
小セル化された場合、eNBによって構成されるセルは、従来のeNBによって構成されるセルのカバレッジに比べて範囲が狭いカバレッジを有する。したがって、従来と同様に、あるエリアを覆うためには、従来のeNBに比べて、多数の小セル化されたeNBが必要となる。
以下の説明では、従来のeNBによって構成されるセルのように、カバレッジが比較的大きいセルを「マクロセル」といい、マクロセルを構成するeNBを「マクロeNB」(以下「大規模基地局装置」という場合がある)という。また、小セル化されたセルのように、カバレッジが比較的小さいセルを「スモールセル」といい、スモールセルを構成するeNBを「スモールeNB」(以下「小規模基地局装置」という場合がある)という。
マクロeNBは、例えば、非特許文献7に記載される「ワイドエリア基地局(Wide Area Base Station)」であってもよい。
スモールeNBは、例えば、ローパワーノード、ローカルエリアノード、ホットスポットなどであってもよい。また、スモールeNBは、ピコセルを構成するピコeNB、フェムトセルを構成するフェムトeNB、HeNB、RRH(Remote Radio Head)、RRU(Remote Radio Unit)、RRE(Remote Radio Equipment)またはRN(Relay Node)であってもよい。また、スモールeNBは、非特許文献7に記載される「ローカルエリア基地局(Local Area Base Station)」または「ホーム基地局(Home Base Station)」であってもよい。
図7は、マクロeNBとスモールeNBとが混在する場合のセルの構成の概念を示す図である。マクロeNBによって構成されるマクロセルは、比較的広い範囲のカバレッジ701を有する。スモールeNBによって構成されるスモールセルは、マクロeNB(マクロセル)のカバレッジ701に比べて範囲が小さいカバレッジ702を有する。
複数のeNBが混在する場合、あるeNBによって構成されるセルのカバレッジが、他のeNBによって構成されるセルのカバレッジ内に含まれる場合がある。図7に示すセルの構成では、参照符号「704」または「705」で示されるように、スモールeNBによって構成されるスモールセルのカバレッジ702が、マクロeNBによって構成されるマクロセルのカバレッジ701内に含まれる場合がある。
また、参照符号「705」で示されるように、複数、例えば2つのスモールセルのカバレッジ702が、1つのマクロセルのカバレッジ701内に含まれる場合もある。移動端末(UE)703は、例えばスモールセルのカバレッジ702内に含まれ、スモールセルを介して通信を行う。
また図7に示すセルの構成では、参照符号「706」で示されるように、マクロeNBによって構成されるマクロセルのカバレッジ701と、スモールeNBによって構成されるスモールセルのカバレッジ702とが複雑に重複する場合が生じる。
また、参照符号「707」で示されるように、マクロeNBによって構成されるマクロセルのカバレッジ701と、スモールeNBによって構成されるスモールセルのカバレッジ702とが重複しない場合も生じる。
さらには、参照符号「708」で示されるように、多数のスモールeNBによって構成される多数のスモールセルのカバレッジ702が、1つのマクロeNBによって構成される1つのマクロセルのカバレッジ701内に構成される場合も生じる。
以下の説明では、デュアルコネクティビティ(DC)を行うeNBのうち、一方を「マスターeNB(略称:MeNB)」といい、他方を「セカンダリeNB(略称:SeNB)」という場合がある。また、HO元のMeNBを「ソースMeNB(略称:S-MeNB)」といい、HO先のMeNBを「ターゲットMeNB(略称:T-MeNB)」という場合がある。
デュアルコネクティビティ(DC)を実行中のMeNB間のHOでは、SeNBを解放することが決められている。すなわち、DCを終了し、MeNBだけの通信に戻り、MeNB間のHOを行うことになっている。
ただし、MeNB間のHOのときに、HO対象であるUEに接続されたSeNBがHO前後で変更されない場合、あるいは変更しないほうがよい場合が存在する。
MeNB間のHOにおいてSeNBの変更が無い場合、HO中にUEがSeNBと通信することによって、早期にデータ通信を行うことが可能となり、遅延を低減することが可能となる。
3GPPでは、MeNB間のHOにおいてSeNBの変更が無い場合について検討されている。例えば、非特許文献8の図4.3.2.3-1には、SeNBの変更が無い場合のMeNB間のHO処理のシーケンスが開示されている。しかし、非特許文献8には、例えば上りデータおよび下りデータの送信をどのタイミングで始めるかなど、特にユーザプレインデータについての詳細な開示は無い。また、スプリットベアラを維持したままのSeNBの変更が無い場合のMeNB間のHOについての開示も無い。ここで、「スプリットベアラ」とは、MeNBとUEとの間の直接のパスと、SeNBを介したMeNBとUEとの間のパスとにスプリットされたベアラをいう。
本実施の形態では、スプリットベアラを維持したままのMeNB間のHO中に、UEとSeNBとの間でデータの送信を可能とする方法を開示する。
本実施の形態では、MeNBは、MeNB間のHOを行う場合、HO対象のUE(以下「対象UE」という場合がある)に対して、スプリットベアラを維持する。
図8および図9は、実施の形態1の通信システムにおけるハンドオーバ処理のシーケンスの一例を示す図である。図8と図9とは、境界線BL1で接続されている。図8および図9では、ハンドオーバ処理として、SeNBの変更が無い場合のMeNB間HOにおける上りデータおよび下りデータの送信に関するシーケンスの一例を示す。
図8では、ステップST1011において、HO対象のUEがS-MeNBとSeNBとにDCを実行している状態であることを示している。ステップST1012において、UEは、DCを実行している状態でS-MeNBとの接続状態を測定した結果をS-MeNBに通知する。この接続状態の測定結果は、例えば、非特許文献1に開示される測定報告(Measurement report)メッセージを用いて通知される。
ステップST1012で通知される、接続状態の測定結果に応じて、ステップST1013において、S-MeNBは、HOを実行することを決定する。
ステップST1014において、S-MeNBは、T-MeNBに対して、UEのHO先となることを要求する。このHO先となることの要求は、例えば、非特許文献8の図4.3.2.3-1に開示されるHO要求(HO request)メッセージを用いて行われる。またS-MeNBは、ステップST1014において、T-MeNBに、S-MeNBが構成しているSeNBに関する情報であるSeNB構成情報を通知する。
ステップST1014のHO要求を受けたT-MeNBは、ステップST1015において、HO対象のUEが既に接続しているSeNBを変更しないことを決定する。また、T-MeNBは、ステップST1015において、スプリットベアラを維持することを決定する。
ステップST1015において、T-MeNBは、SeNBを変更しないこと、およびスプリットベアラを維持することを、S-MeNBから通知されるSeNB構成情報に基づいて決定する。
SeNB構成情報には、SeNBのeNB ID、SeNBを用いているベアラ情報(E-RAB ID)、スプリットベアラに設定しているベアラ情報、およびスプリットベアラの設定情報が含まれてもよい。
ステップST1016において、T-MeNBは、スプリットベアラを維持したままのSeNBの変更が無いことを設定するようにSeNBに指示する。この指示は、例えば、非特許文献8の図4.3.2.3-1に開示されるSeNB追加要求(SeNB addition request)メッセージを用いて行われる。
ステップST1016において指示されたSeNBは、ステップST1017において、スプリットベアラを維持したままのSeNBの変更が無いことを設定し、T-MeNBに設定完了を応答する。この応答は、例えば、非特許文献8の図4.3.2.3-1に開示されるSeNB追加要求応答(SeNB addition request ack)メッセージを用いて行われる。
ステップST1017の応答を受けたT-MeNBは、ステップST1014のHO先となることの要求に対して、ステップST1018において、S-MeNBに応答する。この応答は、例えば、非特許文献8の図4.3.2.3-1に開示されるHO要求応答(HO request Ack)メッセージを用いて行われる。
ここで、ステップST1016のSeNB追加要求に含まれるスプリットベアラ構成情報は、一部または全部を省略してもよい。もしくは、スプリットベアラ構成情報が変わらない部分のみを省略するようにしてもよい。
ステップST1018の応答を受けたS-MeNBは、ステップST1019において、SeNBにSeNBの解放を要求する。この要求は、例えば、非特許文献8の図4.3.2.3-1に開示されるSeNB解放要求(SeNB release request)メッセージを用いて行われる。
ステップST1019のSeNB解放要求は、S-MeNBが構成したSeNBのベアラ構成に対しての解放要求となる。
ステップST1019のSeNB解放要求を受けたSeNBは、S-MeNBが構成したベアラ構成を解放する。このとき、T-MeNBが設定したスプリットベアラ構成は、省略した設定も含めて解放しない。
ステップST1020において、S-MeNBは、対象UEに対して、同じSeNBを用いたスプリットベアラの維持を通知する。対象UEは、通知された情報に従い、一旦MeNBベアラ構成に設定変更してから再度スプリットベアラ構成に変更するという処理を経ずに、既に設定されているスプリットベアラ構成を維持する。
対象UEへの、同じSeNBを用いたスプリットベアラの維持の通知の方法を開示する。スプリットベアラを維持することを示す情報を設けてもよい。また、同じSeNBを用いることを示す情報を設けてもよい。
対象UEへの、同じSeNBを用いたスプリットベアラの維持の通知は、S-MeNBから対象UEへ通知してもよい。またはT-MeNBからS-MeNBに設定情報を通知して、S-MeNBから対象UEへ通知してもよい。
同じSeNBを用いることを示す情報として、1ビットの情報のサイズとしてもよい。スプリットベアラの維持を示す情報として、1ビットの情報のサイズとしてもよい。同じSeNBを用いたスプリットベアラの維持を示す情報として、合わせて1ビットの情報のサイズとしてもよい。
同じSeNBを用いたスプリットベアラの維持を示す情報は、ステップST1020において、例えば、非特許文献8の図4.3.2.3-1に開示されるRRC接続再設定(RRC Connection Reconfiguration)メッセージに追加して通知される。またRRC接続再設定(RRC Connection Reconfiguration)メッセージのモビリティ制御情報(Mobility Control Information:MCI)とともに通知されてもよい。
ステップST1020において、スプリットベアラの維持を示す情報を通知するときには、スプリットベアラの詳細構成は変更してもよい。またスプリットベアラの詳細構成についての情報を通知してもよい。
対象UEへの、同じSeNBを用いたスプリットベアラの維持の通知の他の方法を開示する。T-MeNBは、対象UEへのスプリットベアラの再設定を通知する。
対象UEへの通知は、T-MeNBからS-MeNBにSeNB構成情報を通知して、S-MeNBから対象UEへ通知することによって行われる。通知する情報は、SeNBの追加およびスプリットベアラ構成とする。この通知は、ステップST1020において、非特許文献8の図4.3.2.3-1に開示されるRRC接続再設定(RRC Connection Reconfiguration)メッセージに追加して通知されてもよい。またRRC接続再設定(RRC Connection Reconfiguration)メッセージのMCIとともに通知されてもよい。
T-MeNBが対象UEへ通知する情報は、S-MeNBが設定していたSeNBのベアラ構成情報と同じ設定とする。また、その場合、SeNBの設定およびスプリットベアラ構成情報の一部または全部を省略してもよい。または変わらないものだけを省略してもよい。
SeNBの設定およびスプリットベアラ構成情報の一部または全部を省略する場合、省略する情報は、S-MeNBがT-MeNBからの情報を用いて判断してもよい。またはT-MeNBがS-MeNBからの情報を用いて判断してもよい。
ステップST1021において、対象UEは、通知されたSeNBに対するスプリットベアラ構成の設定が可能か否かを判断する。設定が可能であると判断された場合は、ステップST1022に移行する。設定が可能でないと判断された場合は、スプリットベアラを維持したままのSeNBの変更が無い場合のMeNB間のHO処理はできないので、他のHO処理として、非特許文献8の図4.3.2.3-1に開示された処理を行う。
ステップST1021においてSeNBに対するスプリットベアラ構成の設定が可能であると判断されてステップST1022に移行した場合、ステップST1022において、対象UEは、該当するSeNBおよびT-MeNBに対するスプリットベアラ構成を設定する。
特にSeNBに対する設定について開示する。対象UEは、同じSeNBを用いたスプリットベアラの維持の設定である場合、SeNB(非特許文献1のSCG(Secondary Cell Group))のMACをリセットしなくてもよく、MACを再設定する。SeNB(SCG)のRLCを再設定する。SeNB(SCG)のPDCPを再設定する。
ステップST1023において、対象UEは、T-MeNBとの間でRA処理を行い、T-MeNBに同期する。
RA処理を行った対象UEは、ステップST1024において、T-MeNBに対して、T-MeNB構成およびSeNB構成の設定完了の通知を行う。この通知は、例えば、非特許文献8の図4.3.2.3-1に開示されるRRC接続再設定完了(RRC Connection Reconfiguration Complete)メッセージを用いて行われる。
接続完了した対象UEは、図9に示すステップST1025において、T-MeNBに対して、上りデータの送信を行う。ステップST1025の上りデータの送信は、図8および図9に示すように、例えば、接続完了となる、ステップST1024の設定完了の通知後に行われる。
ステップST1025において上りデータを受信したT-MeNBは、受信した上りデータを、ステップST1026において、S-GWに送信する。
図8に示すステップST1024においてT-MeNB構成およびSeNB構成の設定完了通知を受けたT-MeNBは、図9に示すステップST1027において、UEにおけるSeNBの設定が完了したことをSeNBに通知する。この通知は、例えば、非特許文献8の図4.3.2.3-1に開示されるSeNB再設定完了(SeNB reconfiguration complete)メッセージを用いて行われる。
ステップST1027においてUEにおけるSeNBの設定が完了したことを通知されたSeNBは、ステップST1028において、対象UEとの間でRA処理を行う。これによって、対象UEは、SeNBに同期する。
RA処理を行った対象UEは、ステップST1029において、SeNBに対して、上りデータの送信を行う。
ステップST1029において上りデータを受信したSeNBは、受信した上りデータを、ステップST1030において、T-MeNBに対して送信する。
ステップST1030において上りデータを受信したT-MeNBは、受信した上りデータを、ステップST1031において、S-GWに対して送信する。本処理によって、上りデータに関しては、DC実行中となる。
対象UEと接続完了したT-MeNBは、ステップST1032において、S-GWからの下りデータの送信先をS-MeNBからT-MeNBに変更するためのパススイッチ要求をMMEに対して行う。この要求は、例えば、非特許文献8の図4.3.2.3-1に開示されるパススイッチ要求(Path switch request)メッセージを用いて行われる。
パススイッチ要求を受けたMMEは、ステップST1033において、S-GWにベアラ変更を要求する。この要求は、例えば、非特許文献8の図4.3.2.3-1に開示されるベアラ変更要求(Modify bearer request)メッセージを用いて行われる。
ベアラ変更要求を受けたS-GWは、ステップST1034において、パススイッチを行う。パススイッチは、UEとMeNBとの通信経路であるパスを、S-MeNBとUEとによって形成される経路(パス)から、T-MeNBとUEとによって形成される経路(パス)に変更する処理である。
具体的には、ステップST1034において、S-GWは、下りデータの送信先をT-MeNBに変更する。ステップST1035において、S-GWは、下りデータをT-MeNBに対して送信する。
下りデータを受信したT-MeNBは、SeNBとのスプリットベアラによる送信を開始する。ステップST1036において、T-MeNBは、対象UEに下りデータを送信する。
また、ステップST1037において、T-MeNBは、SeNBに下りデータを送信する。ステップST1037において下りデータを受信したSeNBは、ステップST1038において、対象UEに下りデータを送信する。
下りデータの送信先をT-MeNBに変更したS-GWは、ステップST1039において、ベアラ変更要求を受けたことをMMEに応答する。この応答は、例えば、非特許文献8の図4.3.2.3-1に開示されるベアラ変更要求応答(Modify bearer request ack)メッセージを用いて行われる。
ステップST1039においてベアラ変更要求応答を受けたMMEは、ステップST1040において、パススイッチ要求応答をT-MeNBに送信する。この応答は、例えば、非特許文献8の図4.3.2.3-1に開示されるパススイッチ要求応答(Path switch request Ack)メッセージを用いて行われる。
ステップST1040においてパススイッチ要求応答を受信したT-MeNBは、ステップST1041において、UEコンテキストの解放をS-MeNBに通知する。この通知は、例えば、非特許文献8の図4.3.2.3-1に開示されるUEコンテキスト解放(UE context release)メッセージを用いて行われる。
UEコンテキストの解放通知を受信したS-MeNBは、ステップST1042において、UEコンテキストの解放をSeNBに要求する。この通知は、例えば、非特許文献8の図4.3.2.3-1に開示されるUEコンテキスト解放(UE context release)メッセージを用いて行われる。UEコンテキストの解放要求を受けたSeNBは、UEコンテキストを解放する。
以上のように本実施の形態では、スプリットベアラを維持したままのMeNB間のHO中に、UEとSeNBとの間でデータの送信を可能とする方法を開示した。具体的には、本実施の形態では、上りデータの送信を、S-GWによるパススイッチ処理の前に開始する。すなわち、本実施の形態では、UEは、HO処理の間、SeNBとの接続を維持し、ステップST1034のパススイッチが行われる前に、ステップST1029において、SeNBへのデータの送信を開始する。
これによって、UEとの間で直接の通信と、SeNBを介した通信との双方を行うMeNB間でHOが行われるときに、UEからデータを送信することができる。したがって、上りデータの送信の遅延を削減することが可能となる。
実施の形態1 変形例1.
実施の形態1のSeNBとの間のRA処理および上りデータの送信の他の例として、実施の形態1の変形例1を開示する。
図10および図11は、実施の形態1の変形例1の通信システムにおけるハンドオーバ処理のシーケンスの一例を示す図である。図10と図11とは、境界線BL2で接続されている。図10および図11では、ハンドオーバ処理として、SeNBの変更が無い場合のMeNB間HOにおける上りデータおよび下りデータの送信に関するシーケンスの一例を示す。本変形例におけるハンドオーバ処理は、前述の図9および図10に示す実施の形態1のハンドオーバ処理と類似するので、同一のステップについては同一のステップ番号を付して、共通する説明を省略する。
前述の実施の形態1と同様にして、ステップST1011~ステップST1026およびステップST1051~ステップST1053の処理が行われる。ステップST1024においてT-MeNB構成およびSeNB構成の設定完了の通知を受けたT-MeNBは、ステップST1027において、UEにおけるSeNBの設定が完了したことをSeNBに通知する。この通知は、例えば、非特許文献8の図4.3.2.3-1に開示されるSeNB再設定完了(SeNB reconfiguration complete)メッセージを用いて行われる。
ステップST1025において上りデータの送信を行った対象UEは、ステップST1028B1において、SeNBとの間でRA処理を行い、SeNBに同期する。SeNBに同期した対象UEは、ステップST1029B1において、SeNBに対して、上りデータの送信を行う。上りデータを受信したSeNBは、受信した上りデータ用のバッファを設けるとよい。これによって、受信したデータをバッファリングしてもよい。
本変形例では、図11に示すように、ステップST1027においてUEにおけるSeNBの設定が完了した通知をSeNBが受け取る前に、ステップST1028B1のRA処理、およびステップST1029B1の上りデータの送信が行われる。
その後、前述の実施の形態1と同様にして、ステップST1030~ステップST1042の処理が行われる。このようにすることによって、UEは、ステップST1027の処理を待たずに、SeNBへの上りデータの送信を早期に行うことが可能となる。また、SeNBからT-MeNBへの上りデータの送信が可能となった場合に、直ちに上りデータが送信されるので、HOのときの上りデータの送信の遅延を削減することが可能となる。
図12および図13は、実施の形態1の変形例1の通信システムにおけるハンドオーバ処理のシーケンスの他の例を示す図である。図12と図13とは、境界線BL3で接続されている。図12および図13では、ハンドオーバ処理として、SeNBの変更が無い場合のMeNB間HOにおける上りデータの送信に関するシーケンスの一例を示す。本変形例におけるハンドオーバ処理は、前述の図9および図10に示す実施の形態1のハンドオーバ処理と類似するので、同一のステップについては同一のステップ番号を付して、共通する説明を省略する。
前述の実施の形態1と同様にして、ステップST1011~ステップST1022およびステップST1051~ステップST1053の処理が行われる。次いで、ステップST1023において、対象UEは、T-MeNBとの間でRA処理を行い、T-MeNBに同期する。
ステップST1023におけるRA処理でT-MeNBに同期した対象UEは、ステップST1028C1において、SeNBとの間でRA処理を行い、SeNBに同期する。
SeNBに同期した対象UEは、ステップST1029C1において、SeNBに対して上りデータの送信を行う。上りデータを受信したSeNBは、受信した上りデータ用のバッファを設けるとよい。これによって、受信したデータをバッファリングしてもよい。
上りデータの送信を行った対象UEは、ステップST1024において、T-MeNBに対して、T-MeNB構成およびSeNB構成の設定完了の通知を行う。この通知は、例えば、非特許文献8の図4.3.2.3-1に開示されるRRC接続再設定完了(RRC Connection Reconfiguration Complete)メッセージを用いて行われる。
接続完了した対象UEは、ステップST1025において、T-MeNBに対して、上りデータの送信を行う。このように、ステップST1025の上りデータの送信は、例えば、接続完了となるステップST1024の設定完了の通知後に行われる。
ステップST1025において上りデータを受信したT-MeNBは、受信した上りデータを、ステップST1026において、S-GWに送信する。
ステップST1024においてT-MeNB構成およびSeNB構成の設定完了通知を受けたT-MeNBは、ステップST1027において、UEにおけるSeNBの設定が完了したことをSeNBに通知する。この通知は、例えば、非特許文献8の図4.3.2.3-1に開示されるSeNB再設定完了(SeNB reconfiguration complete)メッセージを用いて行われる。
その後、前述の実施の形態1と同様にして、ステップST1030~ステップST1042の処理が行われる。このようにすることによって、UEは、ステップST1024の処理を待たずに、SeNBへの上りデータの送信を早期に行うことが可能となる。また、SeNBからT-MeNBへの上りデータの送信が可能となった場合に、直ちに上りデータが送信されるので、HOのときの上りデータの送信の遅延を削減することが可能となる。
図14および図15は、実施の形態1の変形例1の通信システムにおけるハンドオーバ処理のシーケンスの他の例を示す図である。図14と図15とは、境界線BL4で接続されている。図14および図15では、ハンドオーバ処理として、SeNBの変更が無い場合のMeNB上り間HOにおける上りデータの送信に関するシーケンスの他の例を示す。本変形例におけるハンドオーバ処理は、前述の図9および図10に示す実施の形態1のハンドオーバ処理と類似するので、同一のステップについては同一のステップ番号を付して、共通する説明を省略する。
前述の実施の形態1と同様にして、ステップST1011~ステップST1020およびステップST1051~ステップST1053の処理が行われる。ステップST1021において、対象UEは、通知されたSeNBに対するスプリットベアラ構成の設定が可能か否かを判断する。設定が可能であると判断された場合は、ステップST1022に移行する。設定が可能でないと判断された場合は、スプリットベアラを維持したままのSeNBの変更が無い場合のMeNB間のHO処理はできないので、他のHO処理として、非特許文献8の図4.3.2.3-1に開示された処理を行う。
ステップST1022において、対象UEは、該当するSeNBおよびT-MeNBに対するスプリットベアラ構成を設定する。
特にSeNBに対する設定について開示する。対象UEは、同じSeNBを用いたスプリットベアラの維持の設定である場合、SeNB(SCG)のMACをリセットしなくてもよく、MACを再設定する。SeNB(SCG)のRLCを再設定する。SeNB(SCG)のPDCPを再設定する。
ST1022において該当するSeNBおよびT-MeNBに対するスプリットベアラ構成を設定した対象UEは、ステップST1028D1において、SeNBとの間でRA処理を行う。これによって、対象UEは、SeNBに同期する。
SeNBに同期した対象UEは、ステップST1029D1において、SeNBに対して上りデータの送信を行う。上りデータを受信したSeNBは、受信した上りデータ用のバッファを設けるとよい。これによって、受信したデータをバッファリングしてもよい。
ステップST1029D1において上りデータを送信した対象UEは、ステップST1023において、T-MeNBとの間でRA処理を行い、T-MeNBに同期する。
RA処理を行った対象UEは、ステップST1024において、T-MeNBに対してT-MeNB構成およびSeNB構成の設定完了の通知を行う。この通知は、例えば、非特許文献8の図4.3.2.3-1に開示されるRRC接続再設定完了(RRC Connection Reconfiguration Complete)メッセージを用いて行われる。
接続完了した対象UEは、ステップST1025において、T-MeNBに対して上りデータの送信を行う。このように、ステップST1025の上りデータの送信は、例えば、接続完了となるステップST1024の設定完了の通知後に行われる。
ステップST1025において上りデータを受信したT-MeNBは、受信した上りデータを、ステップST1026において、S-GWに送信する。
ステップST1024においてT-MeNB構成およびSeNB構成の設定完了通知を受けたT-MeNBは、ステップST1027において、UEにおけるSeNBの設定が完了したことをSeNBに通知する。この通知は、例えば、非特許文献8の図4.3.2.3-1に開示されるSeNB再設定完了(SeNB reconfiguration complete)メッセージを用いて行われる。
ステップST1029D1において上りデータを受信したSeNBは、受信した上りデータを、ステップST1030において、T-MeNBに対して送信する。その後、前述の実施の形態1と同様にして、ステップST1031~ステップST1042の処理が行われる。このようにすることによって、UEは、ステップST1023の処理を待たずに、SeNBへの上りデータの送信を早期に行うことが可能となる。また、SeNBからT-MeNBへの上りデータの送信が可能となった場合に、直ちに上りデータが送信されるので、HOのときの上りデータの送信の遅延を削減することが可能となる。
以上のように本変形例では、図10~図15に示すいずれの例においても、ステップST1029B1、ST1029C1、ST1029D1の対象UEからSeNBへの上りデータの送信は、ステップST1028B1、ステップST1028C1、ステップST1028D1の対象UEとSeNBとの間のRA処理の完了後に行われる。
ステップST1028B1、ステップST1028C1、ステップST1028D1の対象UEとSeNBとの間のRA処理のタイミングは、実施の形態1よりもシーケンス上、早いタイミングとなる。ステップST1029B1、ステップST1029C1、ステップST1029D1のSeNBからT-MeNBへの上りデータの送信のタイミングは、実施の形態1よりもシーケンス上、早いタイミングとなる。
このようにすることによって、MeNBのHO中、対象UEは、SeNBへの上りデータの送信を早期に行うことが可能となる。またSeNBからT-MeNBへの上りデータの送信が可能となった場合に、直ちに上りデータが送信されるので、HOのときの上りデータの送信の遅延を削減することが可能となる。
実施の形態1 変形例2.
実施の形態1のSeNBとの間のRA処理後におけるSeNBとT-MeNBとの間の上りデータの送信についての他の例として、実施の形態1の変形例2を開示する。
図16および図17は、実施の形態1の変形例2の通信システムにおけるハンドオーバ処理のシーケンスの一例を示す図である。図16と図17とは、境界線BL5で接続されている。図16および図17では、ハンドオーバ処理として、本変形例におけるSeNBの変更が無い場合のMeNB上り間HOにおける上りデータおよび下りデータの送信に関するシーケンスの一例を示す。本変形例におけるハンドオーバ処理は、前述の図11および図12に示す実施の形態1の変形例1のハンドオーバ処理と類似するので、同一のステップについては同一のステップ番号を付して、共通する説明を省略する。
前述の実施の形態1の変形例1における図10および図11に示す例と同様にして、ステップST1011~ステップST1026、ステップST1028B1、ステップST1029B1およびステップST1051~ステップST1053の処理が行われる。ステップST1029B1において上りデータを受信したSeNBは、ステップST1027においてUEにおけるSeNBの設定が完了したことを通知される前に、ステップST1029B1の直後のステップST1030B2において、ステップST1029B1で受信した上りデータをT-MeNBに送信する。
ステップST1030B2において送信された上りデータを受信したT-MeNBは、ステップST1030B2の直後のステップST1031において、ステップST1030B2で受信した上りデータをS-GWに送信する。または上りデータ用のバッファを設けるとよい。これによって、受信したデータのバッファリングを行ってもよい。
次いで、ステップST1027において、T-MeNBは、SeNBに対して、UEにおけるSeNBの設定が完了したことを通知する。その後、前述の実施の形態1の変形例1と同様にして、ステップST1032~ステップST1042の処理が行われる。このようにすることによって、S-eNBは、ステップST1027の処理を待たずに、T-MeNBへの上りデータの送信、およびT-MeNBからS-WGへの上りデータの送信を早期に行うことが可能となる。これによって、HOのときの上りデータの送信の遅延を削減することが可能となる。
図18および図19は、実施の形態1の変形例2の通信システムにおけるハンドオーバ処理のシーケンスの他の例を示す図である。図18と図19とは、境界線BL6で接続されている。図18および図19では、ハンドオーバ処理として、は、本変形例におけるSeNBの変更が無い場合のMeNB上り間HOにおける上りデータの送信に関するシーケンスの他の例を示す。図18および図19に示すハンドオーバ処理は、前述の図12および図13に示す実施の形態1の変形例1のハンドオーバ処理と類似するので、同一のステップについては同一のステップ番号を付して、共通する説明を省略する。
前述の実施の形態1の変形例1における図12および図13に示す例と同様にして、ステップST1011~ステップST1023、ステップST1028C1、ステップST1029C1およびステップST1051~ステップST1053の処理が行われる。本変形例では、ステップST1029C1において送信された上りデータを受信したSeNBは、ステップST1029C1の直後のステップST1030C2において、T-MeNBに対して、ステップST1029C1で受信した上りデータを送信する。
すなわち、T-MeNBは、ステップST1024においてT-MeNB構成およびSeNB構成の設定完了通知を受ける前のステップST1030C2において、SeNBから上りデータを受信する。T-MeNBは、受信した上りデータ用のバッファを設けるとよい。これによって、受信したデータをバッファリングしてもよい。
次いで、ステップST1024において、対象UEは、T-MeNBに対して、T-MeNB構成およびSeNB構成の設定完了の通知を行う。また対象UEは、ステップST1025において、T-MeNBに対して、上りデータを送信する。上りデータを受信したT-MeNBは、ステップST1026において、S-GWに対して上りデータを送信する。
T-MeNBは、ステップST1024においてT-MeNB構成およびSeNB構成の設定完了の通知を受けた後、ステップST1026において、ステップST1030C2およびステップST1025で受信した上りデータをS-GWに送信する。
その後、前述の実施の形態1の変形例1と同様にして、ステップST1027~ステップST1042の処理が行われる。このようにすることによって、S-eNBは、ステップST1024の処理を待たずに、T-MeNBへの上りデータの送信を早期に行うことが可能となる。また、T-MeNBからS-GWへの上りデータの送信が可能となった場合に、直ちに上りデータを送信することが可能となり、HOのときの上りデータの送信の遅延を削減することが可能となる。
図20および図21は、実施の形態1の変形例2の通信システムにおけるハンドオーバ処理のシーケンスの他の例を示す図である。図20と図21とは、境界線BL7で接続されている。図20および図21では、ハンドオーバ処理として、本変形例におけるSeNBの変更が無い場合のMeNB上り間HOにおける上りデータの送信に関するシーケンスの他の例を示す。図20および図21に示すハンドオーバ処理は、前述の図14および図15に示す実施の形態1の変形例1のハンドオーバ処理と類似するので、同一のステップについては同一のステップ番号を付して、共通する説明を省略する。
前述の実施の形態1の変形例1における図14および図15に示す例と同様にして、ステップST1011~ステップST1022およびステップST1051~ステップST1053の処理が行われる。ステップST1022において該当するSeNBおよびT-MeNBに対するスプリットベアラ構成を設定した対象UEは、ステップST1028D1において、SeNBとの間でRA処理を行う。これによって、対象UEは、SeNBに同期する。
対象UEは、ステップST1029D1において、SeNBに上りデータを送信する。SeNBは、ステップST1029D1において対象UEから送信された上りデータを受信すると、ステップST1029D1の直後のステップST1030D2において、T-MeNBに対して、ステップST1029D1で受信した上りデータを送信する。
すなわち、T-MeNBは、ステップST1023のRA処理の前に、ステップST1030D2において、SeNBから上りデータを受信する。T-MeNBは、受信した上りデータ用のバッファを設けるとよい。これによって、受信したデータをバッファリングしてもよい。
次いで、ステップST1023において、対象UEは、T-MeNBとの間でRA処理を行う。これによって、対象UEは、T-MeNBに同期する。
次いで、ステップST1024において、対象UEは、T-MeNBに対して、T-MeNB構成およびSeNB構成の設定完了の通知を行う。また対象UEは、ステップST1025において、T-MeNBに対して、上りデータを送信する。上りデータを受信したT-MeNBは、ステップST1026において、S-GWに対して上りデータを送信する。
T-MeNBは、ステップST1024においてT-MeNB構成およびSeNB構成の設定完了の通知を受けた後、ステップST1026において、ステップST1030D2およびステップST1025で受信した上りデータをS-GWに送信する。
その後、前述の実施の形態1の変形例1と同様にして、ステップST1027~ステップST1042の処理が行われる。
以上のように本変形例では、SeNBは、ステップST1029B1、ステップST1029C1およびステップST1029D1において対象UEから送信された上りデータを受信すると、受信した上りデータを、直後のステップST1030B2、ステップST1030C2およびステップST1030D2において、直ちにT-MeNBに送信する。これによって、MeNBのHO中、SeNBを介したT-MeNBへの上りデータの送信を早期に行うことが可能となる。また、T-MeNBからS-GWへ上りデータの送信が可能となった場合に、直ちに上りデータが送信されるので、HOのときの上りデータの送信の遅延を削減することが可能となる。
実施の形態1 変形例3.
実施の形態1のT-MeNBとS-GWとの間のSeNBから受信した上りデータの送信についての他の例として、実施の形態1の変形例3を開示する。
図22および図23は、実施の形態1の変形例3の通信システムにおけるハンドオーバ処理のシーケンスの一例を示す図である。図22と図23とは、境界線BL8で接続されている。図22および図23では、ハンドオーバ処理として、本変形例におけるSeNBの変更が無い場合のMeNB上り間HOにおける上りデータの送信に関するシーケンスの一例を示す。本変形例におけるハンドオーバ処理は、前述の図18および図19に示す実施の形態1の変形例2のハンドオーバ処理と類似するので、同一のステップについては同一のステップ番号を付して、共通する説明を省略する。
前述の図18および図19に示す実施の形態1の変形例2と同様にして、ステップST1011~ステップST1023、ステップST1028C1、ステップST1029C1、ステップST1030C2およびステップST1051~ステップST1053の処理が行われる。
T-MeNBは、ステップST1030C2において対象UEから送信された上りデータを受信すると、ステップST1024においてT-MeNB構成およびSeNB構成の設定完了通知を受ける前に、ステップST1031C3において直ちに、S-GWに対して、該上りデータを送信する。その後、前述の実施の形態1と同様にして、ステップST1024~ステップST1042の処理が行われる。
図24および図25は、実施の形態1の変形例3の通信システムにおけるハンドオーバ処理のシーケンスの他の例を示す図である。図24と図25とは、境界線BL9で接続されている。図24および図25では、ハンドオーバ処理として、本変形例におけるSeNBの変更が無い場合のMeNB上り間HOにおける上りデータの送信に関するシーケンスの一例を示す。本変形例におけるハンドオーバ処理は、前述の図20および図21に示す実施の形態1の変形例2のハンドオーバ処理と類似するので、同一のステップについては同一のステップ番号を付して、共通する説明を省略する。
前述の図20および図21に示す実施の形態1の変形例2と同様にして、ステップST1011~ステップST1022、ステップST1028D1、ステップST1029D1、ステップST1030D2およびステップST1051~ステップST1053の処理が行われる。
T-MeNBは、ステップST1030D2において対象UEから送信された上りデータを受信すると、ステップST1023におけるRA処理の前に、ステップST1031D3において直ちに、S-GWに対して、該上りデータを送信する。また、T-MeNBは、該上りデータを送信したことを、SeNBを介して対象UEに通知する。
通知を受けたUEは、ステップST1029D1において送信した上りデータ用のバッファを破棄する。その後、前述の実施の形態1の変形例1と同様にして、ステップST1032~ステップST1042の処理が行われる。
以上のように本変形例では、T-MeNBは、ステップST1030C2およびステップST1030D2においてSeNBから送信された上りデータを受信すると、受信した上りデータを、直後のステップST1031C3およびステップST1031D3において、直ちにS-GWに送信する。これによって、MeNBのHO中、SeNBを介してT-MeNBに送信されたデータをS-GWに早期に送信を行うことが可能となる。
このようにMeNBのHO中も、SeNBを介してデータを送信することで上りデータの送信が可能となるので、HOのときの上りデータの送達の遅延を削減することが可能となる。また、対象UEは、上りデータを早期にS-GWまで送信することが可能となるので、上りデータ用のバッファを削減することが可能となる。
実施の形態1 変形例4.
MeNB間のHO中、対象UEとSeNBとの間で同期が取れている場合についての他の例として、実施の形態1の変形例4を開示する。
図26および図27は、実施の形態1の変形例4の通信システムにおけるハンドオーバ処理のシーケンスの一例を示す図である。図26と図27とは、境界線BL10で接続されている。図26および図27では、ハンドオーバ処理として、本変形例におけるSeNBの変更が無い場合のMeNB上り間HOにおける上りデータの送信に関するシーケンスの一例を示す。図26および図27に示すハンドオーバ処理は、前述の図24および図25に示す実施の形態1の変形例3のハンドオーバ処理と類似するので、同一のステップについては同一のステップ番号を付して、共通する説明を省略する。
前述の図24および図25に示す実施の形態1の変形例3と同様にして、ステップST1011~ステップST1022およびステップST1051~ステップST1053の処理が行われる。
MeNB間のHO中、SeNBは変更されないので、対象UEとSeNBとは同期が取れていると考えられる。このように対象UEとSeNBとの間で同期が取れている場合、前述の図24に示すステップST1028D1のRA処理を省略してもよい。
したがって、本実施の形態では、図26に示すように、対象UEは、ステップST1022において、該当するSeNBおよびT-MeNBに対するスプリットベアラ構成を設定した後、続くステップST1029D1において、SeNBに対して、上りデータを送信する。ステップST1029D1では、対象UEは、SeNBに対して、スケジューリングリクエスト(SR)を送信してもよい。SRを送信した後、UEは、SeNBからの上りスケジューリングに従って上りデータを送信する。
ステップST1029D1においてUEからの上りデータを受信したSeNBは、ステップST1030D2において、上りデータをT-MeNBに送信する。その後、前述の実施の形態1の変形例3と同様にして、ステップST1023~ステップST1042の処理が行われる。
以上のように本変形例では、MeNBのHO中、対象UEがSeNBと同期が取れている場合、対象UEは、ステップST1022において、該当するSeNBおよびT-MeNBに対するスプリットベアラ構成を設定した後、直ちにステップST1029D1において、SeNBに対して、ステップST1029D1で受信した上りデータを送信する。これによって、SeNBへの上りデータの送信を更に早期に行うことが可能となる。
実施の形態1 変形例5.
本変形例では、DCにおけるスプリットベアラ実行中にSeNB変更無しのMeNB間のHOのときに、ハンドオーバ失敗(Handover Failure;略称:HOF)が発生した場合の処理の一例を開示する。
従来の方式、例えば、非特許文献8の図4.3.2.3-1に記載のシーケンスでは、MeNB間のHOFが発生すると、T-MeNBからSeNBに送信したSeNB追加要求(SeNB addition Request)メッセージに対してSeNBが確保したリソースを解放することができないという問題がある。例えば、SeNB UE X2AP ID、ベアラ設定、UEコンテキストなどを解放することができないという問題がある。リソースが解放できないと、HOFを繰り返すうちに、リソースが枯渇し、通信ができなくなる。
そこで、本変形例では、HOFを検出したときに、T-MeNBがSeNBに送信したSeNB追加要求(SeNB addition Request)メッセージに対応した処理で、SeNBに設定された、これらのリソースを解放するメッセージを通知する。
HOFを検出する方法としては、T-MeNBにおいてHOを許可してからタイマを開始させ、UEとSeNBとが同期したことが判明した時点でタイマを停止する方法が望ましい。
図28は、実施の形態1の変形例5の通信システムにおけるハンドオーバ処理のシーケンスの一例を示す図である。本変形例におけるハンドオーバ処理は、前述の図9および図10に示す実施の形態1のハンドオーバ処理と類似するので、同一のステップについては同一のステップ番号を付して、共通する説明を省略する。
前述の図9および図10に示す実施の形態1と同様にして、ステップST1011~ステップST1017の処理が行われる。本実施の形態では、ステップST1017の処理が終了すると、ステップST1061およびステップST1062に移行する。
ステップST1062において、T-MeNBは、S-MeNBにHO要求応答(HO request ack)を送信する。またT-MeNBは、このようにHO要求応答を送信したことを、UEへのHO許可と判断し、ステップST1061において、タイマを開始させる。UEからRRC接続再設定完了(RRC Connection Reconfiguration Complete)メッセージを受信すると、UEとSeNBとが同期したと判断し、タイマを停止することが望ましい。
ステップ1063のようにRA処理でUEとSeNBとの同期が失敗し、HOFが検出されたとき、例えば、T-MeNBがUEからRRC接続再設定完了(RRC Connection Reconfiguration Complete)メッセージを受信できなかったときは、T-MeNBは、ステップ1064において、タイマを満了(Timer expire)とする。そのとき、T-MeNBは、ステップST1065において、SeNBにリソース解放のためのメッセージを送信する。
リソース解放のメッセージを受信したSeNBは、ステップST1066において、SeNB追加要求(SeNB addition Request)メッセージに対して、SeNBが確保したリソースを解放する。例えば、SeNB UE X2AP ID、ベアラ設定、UEコンテキストなどを解放する。また、S-MeNBから設定されたT-MeNBとSeNB間接続に関するリソース確保があれば、それらの設定も解放するのが望ましい。
T-MeNBからSeNBにリソース解放するためのメッセージは、例えばSeNB設定解放(SeNB configuration Release)メッセージのような新たなメッセージを設けてもよい。あるいは、SeNB再設定完了(SeNB reconfiguration Complete)メッセージの情報として拒絶(Reject)情報を設け、理由(cause)として、HOFを追加してもよい。
以上のように本変形例によれば、SeNBで確保したリソースを解放することができるので、HOFを繰り返すときでも、リソースの枯渇の発生を防止することができる。
次に、図29および図30を用いてT-MeNBにおける上りデータの取り扱いに関する機能について言及する。図29および図30は、実施の形態1の変形例5の通信システムにおけるハンドオーバ処理のシーケンスの他の例を示す図である。図29と図30とは、境界線BL11で接続されている。図29および図30では、ハンドオーバ処理として、本変形例におけるSeNBの変更が無い場合のMeNB上り間HOにおける上りデータの送信に関するシーケンスの一例を示す。本変形例におけるハンドオーバ処理は、前述の図9および図10に示す実施の形態1、ならびに図28に示す実施の形態1の変形例5のハンドオーバ処理と類似するので、同一のステップについては同一のステップ番号を付して、共通する説明を省略する。
前述の図8および図9に示す実施の形態1と同様にして、ステップST1011~ステップST1022およびステップST1051~ステップST1053の処理が行われる。本変形例では、ステップST1022の処理が終了すると、ステップST1028~ステップST1030の処理が行われる。
実施の形態1で述べたように、SeNBは、UEと同期が確立でき次第、T-MeNBに上りデータを送信する機能を有するのも有効である。T-MeNBは、データを蓄積しておき、例えばS-GWでのパススイッチのようなS-GWが受信可能な状態になるのを待つ機能を有するようにすることも有効である。
その場合、UEとT-MeNBとの間で同期が確立できず、ステップST1028のUEとSeNBとの間のRA処理がタイマ満了よりも早く行われ、UEとT-MeNBとの間で同期が確立できないまま、ステップST1063において、T-MeNBでHOFが検出されることがある。この場合、SeNBは、いくつかのPDCPパケットをT-MeNBに送信済みとなる。
このような場合のために、T-MeNBは、ステップST1064でタイマが満了したとき、すなわちHOFを検出したときに、HOFの検出前にSeNBから受信した上りデータを破棄する機能を有するとよい。これによって、リソースを解放することができるので、HOFを繰り返すうちにT-MeNBのデータバッファ用のリソースが枯渇することを回避することが可能となる。
その後は、前述の図28に示す場合と同様にして、ステップST1065およびステップST1066の処理が行われる。
次に、図31および図32を用いてT-MeNBにおける上りデータの取り扱いに関する機能について述べる。図31および図32は、実施の形態1の変形例5の通信システムにおけるハンドオーバ処理のシーケンスの他の例を示す図である。図31と図32とは、境界線BL12で接続されている。図31および図32では、ハンドオーバ処理として、本変形例におけるSeNBの変更が無い場合のMeNB上り間HOにおける上りデータの送信に関するシーケンスの一例を示す。本変形例におけるハンドオーバ処理は、前述の図9および図10に示す実施の形態1、ならびに図28に示す実施の形態1の変形例5のハンドオーバ処理と類似するので、同一のステップについては同一のステップ番号を付して、共通する説明を省略する。
実施の形態1で述べたように、SeNBは、UEと同期確立でき次第、T-MeNBに上りデータを送信し、例えば、S-GWが常時T-MeNBからでもS-MeNBからでもデータの受信が可能な場合、T-MeNBは受信した上りデータを速やかにS-GWに送信する機能を有するのも有効である。その場合、UEとT-MeNBとの間で同期が確立できず、UEとSeNBとの間のRA処理がタイマの満了より早いときに、HOF検出前に、SeNBはいくつかのPDCPパケットをT-MeNBに送信済みとなる。同様に、T-MeNBは、データ、例えばGTP(GPRS(General Packet Radio Service) Tunneling Protocol)パケットのいくつかをS-GWに送信済みとなる。
このような場合のために、T-MeNBは、タイマが満了したとき、すなわちHOFを検出したときに、HOFの検出前にSeNBから受信した上りデータをS-GWに送信する機能を有するとよい。これによって、SeNBで受信できた上りデータの破棄がなくなり、UEからの再送も不要となるので、効率的な伝送が可能となる。
また、実施の形態1の変形例3で述べたように、T-MeNBは、UEに対して、UEからの上りデータ受信成功応答を、SeNBを介して、送信してもよい。T-MeNBからの上りデータ受信成功応答を受信したUEは、該上りデータを廃棄してもよい。以上により、UEは、送信が成功した上りデータを早期に廃棄することが可能となり、上りデータのバッファ容量を小さくすることができる。
次に、図33~図36を用いてSeNBにも同期確立を判定するタイマを設けた3つの例について説明する。
図33では、SeNBのタイマの計測時間(Ts)が、T-MeNBのタイマの計測時間(Tm)よりも小さい場合(Ts<Tm)の一例を示す。図34では、SeNBのタイマの計測時間(Ts)が、T-MeNBのタイマの計測時間(Tm)以上である場合(Ts≧Tm)の一例を示す。図35および図36では、SeNBのタイマの計測時間(Ts)が、T-MeNBのタイマの計測時間(Tm)以上である場合(Ts≧Tm)の上りデータの送信の取り扱いの一例を示す。
図33は、実施の形態1の変形例5の通信システムにおけるハンドオーバ処理のシーケンスの他の例を示す図である。図33では、ハンドオーバ処理として、本変形例におけるSeNBの変更が無い場合のMeNB上り間HOにおける上りデータの送信に関するシーケンスの一例を示す。本変形例におけるハンドオーバ処理は、前述の図9および図10に示す実施の形態1、ならびに図28に示す実施の形態1の変形例5のハンドオーバ処理と類似するので、同一のステップについては同一のステップ番号を付して、共通する説明を省略する。
図34は、実施の形態1の変形例5の通信システムにおけるハンドオーバ処理のシーケンスの他の例を示す図である。図34では、ハンドオーバ処理として、本変形例におけるSeNBの変更が無い場合のMeNB上り間HOにおける上りデータの送信に関するシーケンスの一例を示す。本変形例におけるハンドオーバ処理は、前述の図9および図10に示す実施の形態1、ならびに図28に示す実施の形態1の変形例5のハンドオーバ処理と類似するので、同一のステップについては同一のステップ番号を付して、共通する説明を省略する。
図35および図36は、実施の形態1の変形例5の通信システムにおけるハンドオーバ処理のシーケンスの他の例を示す図である。図35と図36とは、境界線BL13で接続されている。図35および図36では、ハンドオーバ処理として、本変形例におけるSeNBの変更が無い場合のMeNB上り間HOにおける上りデータの送信に関するシーケンスの一例を示す。本変形例におけるハンドオーバ処理は、前述の図9および図10に示す実施の形態1、ならびに図28に示す実施の形態1の変形例5のハンドオーバ処理と類似するので、同一のステップについては同一のステップ番号を付して、共通する説明を省略する。
まず、図33に示すように、SeNBのタイマの計測時間(Ts)が、T-MeNBのタイマの計測時間(Tm)未満(Ts<Tm)となるようにSeNBのタイマが設定されている場合、SeNBは、ステップST1071でT-MeNBに対してSeNB追加要求応答(SeNB addition request Ack)メッセージを送信したときに、ステップST1072のようにタイマを開始するとよい。同様に、SeNBは、SeNB再設定完了(SeNB reconfiguration Complete)メッセージをT-MeNBから受信したときにタイマを停止するとよい。
ステップST1072においてタイマが満了すると、SeNBは、SeNB追加要求(SeNB addition Request)メッセージに対してSeNBが確保したリソース、例えば、SeNB UE X2AP ID、ベアラ設定、UE コンテキストなどを解放する。また、S-MeNBから設定されたT-MeNBとSeNB間接続に関するリソース確保があれば、それらの設定も解放するのが望ましい。
また、ステップST1072でタイマが満了したとき、SeNBは、T-MeNBに対してSeNB設定を解放するように通知する機能を設けることが有効である。例えばステップST1072でタイマが満了したときに、ステップST1073において、T-MeNBにSeNB解放要求(SeNB release required)メッセージを送信するのが有効である。このメッセージにより、T-MeNBは、速やかに対象となるUEに対してSeNB設定を停止および終了することが可能となる。
また、ステップST1073でSeNB解放要求(SeNB release required)メッセージを受信したT-MeNBは、ステップST1074において、SeNBに対して、SeNB解放承認(SeNB release confirm)メッセージを通知してもよい。この場合、SeNBは、ステップST1072でタイマが満了したときはSeNB設定を解放せず、ステップST1074でSeNB解放承認(SeNB release confirm)メッセージを受信した後、SeNB設定を解放することが有効である。これによって、SeNBとT-MeNBとの状態が不一致、すなわちSeNBではHOF、T-MeNBではHO確立待ちになることを回避することができ、安定した動作が可能となる。
SeNB設定の解放を通知されたT-MeNBは、ステップST1075において、HOFのタイマ(Tm)をリセットする。また、対象となるUEに対してSeNB設定を終了する。タイマがリセットされないとき、ステップST1076において、T-MeNBのHOFのタイマが満了となる。
次に、図34に示すように、SeNBのタイマの計測時間(Ts)が、T-MeNBのタイマの計測時間(Tm)以上(Ts≧Tm)となるように設定される場合を説明する。
ステップST1064においてT-MeNBのタイマが満了したとき、ステップST1065において、T-MeNBがSeNBに対して、リソース解放を通知する。T-MeNBからSeNBにリソース解放するためのメッセージは、例えばSeNB設定解放(SeNB configuration Release)メッセージのような新たなメッセージを設けてもよい。また、あるいは、SeNB再設定完了(SeNB reconfiguration Complete)の情報として拒絶(Reject)情報を設け、理由(cause)として、HOFを追加してもよい。SeNBは、ステップST1066において、SeNB追加要求(SeNB addition Request)メッセージに対してSeNBが確保したリソース、例えば、SeNB UE X2AP ID、ベアラ設定、UE コンテキストなどを解放する。
T-MeNBからリソース解放を受信したSeNBは、ステップST1081において、SeNBが設定したタイマ(Ts)をリセットする。タイマがリセットされないとき、ステップST1082において、SeNBのタイマが満了となる。
前述の図33に示す例で述べたように、SeNBタイマ(Ts)<T-MeNBタイマ(Tm)で有効となるSeNBからのSeNB解放要求(SeNB release required)メッセージがなくても状態不一致が起きないことから、SeNBタイマ(Ts)≧T-MeNBタイマ(Tm)とすることがより望ましい。そのため、OAM(Operation Administration and Maintenance)でタイマ値をSeNBタイマ(Ts)≧T-MeNBタイマ(Tm)とすると有効である。
また、SeNB装置およびT-MeNB装置の不揮発性メモリなどでオペレータが予め定めた値として、SeNBタイマ(Ts)≧T-MeNBタイマ(Tm)とすることが有効である。
また、タイマ値をSeNBからT-MeNBに通知し、T-MeNBによってSeNBタイマ(Ts)≧T-MeNBタイマ(Tm)を設定するのも有効である。SeNBからT-MeNBへのタイマ値の通知には、例えば、SeNB追加要求応答(SeNB addition request Ack)メッセージを用いる。
また、HO元のS-MeNBからT-MeNBに、SeNBタイマ(Ts)≧T-MeNBタイマ(Tm)を満たす設定値を通知するのもの有効である。SeNBタイマ(Ts)≧T-MeNBタイマ(Tm)を満たす設定値の通知には、HO要求(HO request)メッセージまたはSN状態伝達(SN status transfer)メッセージを用いる。
最後に、SeNBタイマ(Ts)≧T-MeNBタイマ(Tm)のときの上りデータの送信の取り扱いについて、図35および図36を用いて説明する。
図31および図32の場合と同様に、HOF検出前にT-MeNBは、S-GWに上りデータを送信してもよい。T-MeNBは、UEに対して、UEからの上りデータ受信成功応答を、SeNBを介して、送信してもよい。T-MeNBからの上りデータ受信成功応答を受信したUEは、該上りデータを廃棄してもよい。以上により、UEは、送信が成功した上りデータを早期に廃棄することが可能となり、上りデータのバッファ容量を小さくすることができる。
T-MeNBからリソース解放を受信したSeNBは、ステップST1081において、SeNBが設定したタイマ(Ts)をリセットする。タイマがリセットされないとき、ステップST1082において、SeNBのタイマが満了となる。
なお、図の記載は省略するが、Ts、Tmの大小関係によらず、T-MeNBにおいて、SeNB用のタイマ満了時間を決定するとともに、SeNBに通知し、SeNBがその値でタイマを起動するようにしてもよい。
あるいは、T-MeNBにおいて設定したタイマ値をSeNBに通知して、SeNBがSeNBのタイマ値を設定してもよい。
実施の形態1 変形例6.
前述の実施の形態および変形例では、上りデータ(ULのU-planeデータ)の処理について開示した。本変形例では、前述の実施の形態および変形例に加えて、下りデータ(DLのU-planeデータ)の処理について追加開示する。
従来の方式、例えば、非特許文献8の図4.3.2.3-1に記載のシーケンスでは、下りデータのフォワーディングの開始タイミングの規定がなくS-MeNBからT-MeNBにパススイッチが行われないと送信が開始できなかった。また、下りデータのフォワーディングの開始タイミングの規定がないため、T-MeNBの作りに依存し、SeNBが様々なT-MeNBと接続する際、接続試験ケースが増えて開発費が増えるという問題があった。また、複数のT-MeNBと同時接続しているSeNBでは、例えば、T-MeNBからの送信データバッファのリソースなど、早め、多めの制御となり無駄が発生していた。
この課題を解決するため、適切なタイミングで下りデータフォワーディングを実行する方法を図37および図38を用いて説明する。図37および図38は、実施の形態1の変形例6の通信システムにおけるハンドオーバ処理のシーケンスの一例を示す図である。図37と図38とは、境界線BL14で接続されている。図37および図38では、ハンドオーバ処理として、本変形例におけるSeNBの変更が無い場合のMeNB上り間HOにおける上りデータの送信に関するシーケンスの一例を示す。本変形例におけるハンドオーバ処理は、前述の図9および図10に示す実施の形態1のハンドオーバ処理と類似するので、同一のステップについては同一のステップ番号を付して、共通する説明を省略する。
実施の形態1と異なる箇所のみ説明する。本変形例では、T-MeNBにおいて、SeNB再設定完了(SeNB reconfiguration complete)メッセージの送信を検出し、ステップST1092において、SeNBに対して、下りデータフォワーディング(DL data forwarding)を行うとよい。また、ステップST1092の下りデータフォワーディングの前に、ステップST1091において、T-MeNBからSeNBに対して、SN状態伝達(SN status transfer)メッセージを送信することが望ましい。
また、あるいは、T-MeNBは、UEからRRC接続再設定完了(RRC Connection Reconfiguration Complete)メッセージの受信を検出したとき、SeNBに対して下りデータフォワーディングを行うのも有効である。
SeNBは、T-MeNBから転送されてきた下りデータを、ステップST1028のUEとの間のRA処理完了後に、ステップST1029Aにおいて、UEに対して下りデータの送信を行う。ステップST1029Aでは、前述の実施の形態1におけるステップST1029と同様に、UEからSeNBへの上りデータの送信も行われる。SeNBは、下りデータをバッファする機能を有することが望ましい。これによって、RA処理を完了するまでの間のデータを蓄積することが可能になる。
また、例えば、SeNBは、下りデータフォワーディングされる経路が長くなる分のバッファを設けることが望ましい。例えば、S-GWからS-MeNB、SeNBへの経路が、S-GWからS-MeNB、T-MeNB、SeNBへの経路へと長くなる分のバッファを設けることが望ましい。これによって、再度経路変更したとき、例えばS-GWからS-MeNB、T-MeNB、SeNBへの経路を再度、S-GWからT-MeNB、SeNBへの経路に変更したとき、古いものから順番にデータを送信することが可能となる。
以上のように、下りデータフォワーディングを行うことによって、MeNB間のHO中に、S-GWのパススイッチが行われる前にS-MeNBから転送された下りデータを送信できる。
図39および図40に、UEとSeNBとの間のRA処理が、UEとT-MeNBとの間のRA処理よりも先に行われる場合の例を示す。図39および図40は、実施の形態1の変形例6の通信システムにおけるハンドオーバ処理のシーケンスの他の例を示す図である。図39と図40とは、境界線BL15で接続されている。図39および図40では、ハンドオーバ処理として、本変形例におけるSeNBの変更が無い場合のMeNB上り間HOにおける上りデータの送信に関するシーケンスの一例を示す。本変形例におけるハンドオーバ処理は、前述の図9および図10に示す実施の形態1、および図37および図38に示す実施の形態1の変形例6のハンドオーバ処理と類似するので、同一のステップについては同一のステップ番号を付して、共通する説明を省略する。
図39および図40に示す例では、ステップST1092で下りデータフォワーディング(DL data forwarding)が行われた後に、ステップST1030において、SeNBは、T-MeNBに対して、上りデータの送信を行う。次いで、SeNBは、ステップST1093において、UEに対して、下りデータの送信を行う。
このように、図39および図40に示す例では、ステップST1024においてT-MeNBがUEからRRC接続再設定完了(RRC Connection Reconfiguration Complete)メッセージを受信でき次第、ステップST1025およびステップST1026において、上りデータもS-GWに送信することが可能となる。これによって、上りおよび下りともに、MeNB間のHO中に、ステップST1034においてS-GWのパススイッチが行われる前に、ステップST1092およびステップST1093において、S-MeNBから転送された下りデータを送信することができる。
実施の形態1 変形例7.
実施の形態1の変形例6では、SeNB再設定完了(SeNB reconfiguration complete)メッセージを送信した後、あるいは、RRC接続再設定完了(RRC Connection Reconfiguration Complete)メッセージの受信に下りデータフォワーディングを行う例を示したが、本変形例では、より早く下りデータフォワーディングを行うことができる方法を開示する。
図41および図42は、実施の形態1の変形例7の通信システムにおけるハンドオーバ処理のシーケンスの一例を示す図である。図41と図42とは、境界線BL16で接続されている。図41および図42では、ハンドオーバ処理として、本変形例におけるSeNBの変更が無い場合のMeNB上り間HOにおける上りデータの送信に関するシーケンスの一例を示す。本変形例におけるハンドオーバ処理は、前述の図9および図10に示す実施の形態1のハンドオーバ処理と類似するので、同一のステップについては同一のステップ番号を付して、共通する説明を省略する。
図41および図42に示すように、本変形例では、T-MeNBは、ステップST1024においてSeNB再設定完了(SeNB reconfiguration Complete)メッセージを受信する前に、下りデータフォワーディングを行う機能を有する。例えば、T-MeNBは、SeNBとUEとの間の接続完了を検知する機能を有し、ステップST1101において、SeNBとUEとの間の接続完了を検知すると、ステップST1092において、SeNBに下りデータフォワーディングを行うとよい。具体的には、T-MeNBは、ステップST1030におけるSeNBからの上りデータ受信を判断する機能を有し、ステップST1030で上りデータを受信した後、ステップST1092において、SeNBに下りデータフォワーディングを行うのが有効である。
また、T-MeNBは、ステップST1092において下りデータフォワーディングを行う前に、ステップST1091において、SeNBに対して、SN状態伝達(SN status transfer)メッセージを送信するのが望ましい。
T-MeNBから下りデータを受信したSeNBは、ステップST1028におけるUEとの間のRA処理の完了後、ステップST1093において、UEに対して、下りデータを送信する。その後は、実施の形態1と同様にして、ステップST1023~ステップST1042の処理が行われる。
以上の機能を有することによって、SeNB再設定完了(SeNB reconfiguration complete)メッセージの送信を待たずに、S-MeNBから転送された下りデータをUEに送信できる。すなわち、上りおよび下りともに、UE、SeNB、T-MeNBおよびS-GW間の通信を行うことができる。
図43および図44は、実施の形態1の変形例7の通信システムにおけるハンドオーバ処理のシーケンスの他の例を示す図である。図43と図44とは、境界線BL17で接続されている。図43および図44では、ハンドオーバ処理として、本変形例におけるSeNBの変更が無い場合のMeNB上り間HOにおける上りデータの送信に関するシーケンスの一例を示す。本変形例におけるハンドオーバ処理は、前述の図9および図10に示す実施の形態1、ならびに図37および図38の実施の形態1の変形例6のハンドオーバ処理と類似するので、同一のステップについては同一のステップ番号を付して、共通する説明を省略する。
図43および図44に示すように、T-MeNBは、SeNB再設定完了(SeNB reconfiguration Complete)前に下りデータフォワーディングを行う機能の代わりに、S-MeNBから下りでフォワーディングされたデータを受信でき次第、SeNBに対して下りデータフォワーディングを行う機能を有するとよい。
この機能は、特に、SeNBが、UEと下り同期が継続しているとき、あるいは、瞬時に同期確立できるときに有効である。例えば、ステップST1017でSeNBからT-MeNBに送信されるSeNB追加要求応答(SeNB addition request Ack)メッセージに、SeNBでUEとの同期が継続可能かどうかを示す情報を送信する機能を有するとよい。T-MeNBは、SeNBで同期継続可能なとき、ステップST1052およびステップST1053において、S-MeNBから下りでフォワーディングされたデータを受信でき次第、ステップST1092において、SeNBに対して下りデータフォワーディングを行うことが望ましい。
ステップST1092において下りデータフォワーディングを行う前に、ステップST1091において、SN状態伝達(SN status transfer)を行うのが有効である。
ステップST1092においてT-MeNBから下りデータを受信したSeNBは、ステップST1028におけるUEとの間のRA処理の完了後、ステップST1029Aにおいて、UEに対して、下りデータを送信する。
以上により、図41および図42の場合よりもさらに早く、SeNB再設定完了(SeNB reconfiguration complete)メッセージの送信を待たずに、S-MeNBから転送された下りデータをUEに送信できる。すなわち、上りおよび下りともに、UE、SeNB、T-MeNBおよびS-GW間の通信を行うことができる。
実施の形態2.
実施の形態1およびその変形例では、スプリットベアラを実行している状態でSeNBの変更が無いときのMeNB間にHOが生じた場合に、UEとネットワーク側ノードとの上りデータおよび下りデータの送受信の方法について開示した。
SeNBの変更が無い場合のHOの場合、UEは、T-MeNBと接続する前に、既にSeNBと接続してもよいことを開示した。該HO中、UEは、SeNBと接続した後に、SeNBに対して上りデータを送信する。該HO中、UEは、T-MeNBに対して上りデータを送信しない。該HO中、UEは、SeNBに対してRA処理を完了すると、SeNBに対して上りデータを送信する。該HO中、UEは、SeNBと同期が取れている場合、SeNB構成を設定した後、SeNBに対して上りデータを送信してもよい。また、該HO中、UEは、T-MeNBに対してRA処理を完了するまで、T-MeNBに対して上りデータを送信しない。該HO中、UEは、SeNBに対してRA処理を完了した後、T-MeNBに対してRA処理を完了するまで、SeNBに対してのみ上りデータを送信する。
このようにすることによって、SeNBの変更が無い場合のHO中に、UEがT-MeNBと接続する前に、UEとSeNBとの間で上りデータの送受信が可能となる。したがって、より早期にUEとSeNBとの間で上りデータの送受信が可能となる。これによって、HOによるデータの送受信の遅延を削減することが可能となる。
スプリットベアラを維持したままのSeNBの変更が無い場合のHO中、UEがT-MeNBと接続する前に、UEとSeNBとの間で上りデータの送受信を実行しようとすると、以下に記載するような問題が生じる場合がある。
3GPPでは、上りスプリットベアラを実行しているときのバッファ状態報告(Buffer Status Report:BSR)の送信方法について、二重報告および閾値(Double Reporting And Threshold;略称:DRAT)による方法とすることが提案されている(非特許文献9参照)。DRATでは、PDCPのデータ量が予め定める閾値以下である場合、一つのeNB、すなわちMeNBまたはSeNBにバッファ状態(Buffer Status;略称:BS)を報告する。PDCPのデータ量が予め定める閾値よりも大きい場合、両方のeNB、すなわち、MeNBおよびSeNBに同じPDCPのデータ量のBSを報告する。PDCPのデータ量が予め定める閾値よりも小さい場合に、MeNBおよびSeNBのどちらのeNBにBSを報告するかは、RRCシグナリングによって示される。予め定める閾値は、リソースブロック(Resource Block:RB)毎に設定される。
このように、DRATでは、両方のeNB、すなわち、MeNBにもSeNBにも同じPDCPのデータ量でBSRをトリガし、BSRを送信する。この状態でHOが生じた場合、UEは、MeNBにもSeNBにも同じPDCPのデータ量でBSRをトリガしてしまう。しかし、HO中であるので、実際は、UEがT-MeNBと同期を取って接続するまでは、UEは、T-MeNBにBSRを送ることはできない。さらには、UEは、T-MeNBにデータを送信することもできない。したがって、HO中、UEがT-MeNBと同期を取る前に、T-MeNBにBSRをトリガするのは無駄であり、誤動作を生じさせる可能性がある。例えば、T-MeNB側へBSRがトリガされた場合、UEは、まだT-MeNBと接続していないにも拘わらず、BSRの送信を試みようとする。UEは、どのように動作して良いかが不明となり、誤動作を生じる。
また、他の問題も生じる。3GPPでは、BSRのトリガとデータを送信するeNBとは一致させることが提案されている。これに従うと、HO中でも、UEは、BSRをトリガすると、該BSRを無視できず、T-MeNBに対してデータを送信することになる。UEは、HO中、T-MeNBと接続する前に、T-MeNB側にBSRをトリガしても、T-MeNBに対してデータを送信することができない。したがって、UEは、T-MeNBと接続した後に、該BSRをT-MeNBに対して送信し、データを送信することになる。これによって、UEがT-MeNBにデータを送信する場合、送信の遅延が生じることになる。本実施の形態では、このような問題を解決する方法を開示する。
UEは、MeNB間のHO中、T-MeNBと接続する前に、MeNB側へBSRがトリガされた場合、該BSRのトリガを無視する。UEは、T-MeNBと接続したかどうかの判断は、T-MeNBとの間のRA処理が行われたかどうかで行ってもよい。UEは、T-MeNBと接続したかどうかの判断は、RRC接続再設定完了(RRC Connection Reconfiguration Complete)メッセージを通知したかどうかで行ってもよい。
ここで開示した方法の場合、UEにおけるT-MeNBへのBSRのトリガが無駄となってしまう。以下に、他の方法を開示する。UEは、MeNB間のHO中、SeNBに対してBSRをトリガする。UEは、MeNB間のHO中、MeNBに対してBSRをトリガしない。MeNB間のHO中として、UEがSeNBと接続した後、またはT-MeNBと接続する前としてもよい。UEは、SeNBと接続したかどうかの判断は、SeNBとの間のRA処理が行われたかどうかで行ってもよい。UEは、SeNBと接続したかどうかの判断は、SeNBと同期が取れているかどうかで行ってもよい。UEは、BSRがトリガされたeNBに対して、BSRを送信する。
UEは、SeNBの変更が無いときのMeNB間のHOを行う場合に、前記方法を行うようにしてもよい。UEは、スプリットベアラを維持したままのSeNBの変更が無いときのMeNB間のHOを行う場合に、前記方法を行うようにしてもよい。UEは、仮に、DRATが設定された場合でも、それをリセットして、前記方法を行うようにしてもよい。UEは、DRATが設定された場合、仮に、閾値以下で上りデータを送信するeNBがMeNBに設定された場合でも、それをリセットして前記方法を行うようにしてもよい。
このようにすることによって、PDCPのデータ量が閾値以下の場合でも、PDCPのデータ量が閾値以上の場合でも、前記方法を行うことになる。
前記方法を行うとしたが、前記方法に切り替えるようにしてもよい。BSRのトリガ方法およびBSRの送信方法で、前記の方法以外の方法が設定されていた場合でも、前記方法に切り替えるようにする。
SeNBの変更が無いときのMeNB間のHOを行う場合、UEは、HO前にSeNBと既に接続しているので、HO中、UEは、SeNBと同期が取れている場合がある。
UEは、HO前にSeNBに送信した上りデータについて、ARQ(Automatic Repeat reQuest)処理によってRLC再送が行われている場合がある。SeNBの変更が無いときのMeNB間のHOでは、HO中、UEがSeNBと同期が取れている場合、SeNBに引き続き上りデータを送信するとよく、上りRLC再送データも引き続き送信してもよい。このように、SeNBへの上りデータのRLC再送が行われているデータを考慮に入れて、該BSRにPDCPのデータのみならず、該RLC再送データも含めるようにしてもよい。
図45および図46は、従来のDRATが設定された場合のBSRの送信方法を説明するための図である。図45は、PDCPのデータ量が閾値以下である場合について示している。図46は、PDCPのデータ量が閾値よりも大きい場合について示している。UE2013は、MeNB2011とSeNB2012との両方に接続し、上りスプリットベアラが行われている。PDCP2014は、UE2013のPDCP処理を行うプロトコルスタックである。MeNB向けRLC2015は、MeNB2011向けのRLC処理を行うプロトコルスタックである。MeNB向けMAC2016は、MeNB2011向けのMAC処理を行うプロトコルスタックである。SeNB向けRLC2017は、SeNB2012向けのRLC処理を行うプロトコルスタックである。SeNB向けMAC2018は、SeNB2012向けのMAC処理を行うプロトコルスタックである。
図45および図46では、PDCPのデータ量が閾値以下の場合、BSRをMeNB2011に送信するように設定されている。閾値は、MeNB2011からUE2013に通知される。MeNB2011は、UE2013に対して、RRCシグナリングで、閾値以下の場合に、MeNB2011およびSeNB2012のどちらのeNBに通知するかを設定するパラメータとともに閾値を通知してもよい。
PDCPのデータ量が閾値以下の場合、図45に示すように、UE2013は、MeNB2011に対してBSRをトリガし、図45の矢符2019で示すように、MeNB2011に対してBSRを送信する。PDCPのデータ量が閾値よりも大きい場合は、図46に示すように、UE2013は、MeNB2011とSeNB2012との両方に対してBSRをトリガし、図46の矢符2020,2021で示すように、MeNB2011とSeNB2012との両方に対してBSRを送信する。非特許文献9では、同じPDCPのデータ量をMeNB2011とSeNB2012との両方に対して通知することが開示されているが、各eNB2011,2012に対して異なる値が通知されていてもかまわない。
図47は、実施の形態2におけるBSRの送信方法を説明するための図である。図47は、前述の図45および図46と類似しているので、同一の構成については同一の参照符号を付して、共通する説明を省略する。
UE2013は、MeNB2011間のHOにおいてSeNB2012と接続した後で、かつT-MeNBと接続する前には、SeNB2012に対してBSRをトリガするようにし、MeNB2011に対してBSRをトリガしないようにする。図47の矢符2022で示すように、UE2013は、BSRがトリガされたeNB、すなわちここではSeNB2012のみに対して、BSRを送信する。UE2013は、MeNB2011間のHOにおいてSeNB2012と接続した後で、かつT-MeNBと接続する前には、前述の方法を行うことによって、PDCPのデータ量が閾値以下の場合も、PDCPのデータ量が閾値以上の場合も、SeNB2012に対してのみにBSRを送信する。
このようにすることによって、MeNB2011間のHOにおいて、たとえ上りベアラスプリットが維持されてDRATが設定されたとしても、SeNB2012と接続した後で、かつT-MeNBと接続する前には、MeNB2011にBSRがトリガされず、BSRが送信されない。したがって、MeNB2011からUE2013に対してPDCPのデータ用の上りスケジューリングが送信されないことになり、UE2013は、MeNB2011に対してPDCPのデータを送信しなくなる。したがって、UE2013は、接続されていないT-MeNBに対する無駄なデータの送信を無くすことができ、送信の遅延の削減、UE2013の低消費電力化を図ることが可能となる。なお、MeNB2011は、S-MeNBであってもT-MeNBであってもよい。
UEが、本実施の形態で開示した方法に移行する方法を開示する。SeNBの変更が無い場合のMeNB間のHOの指示を受信したUEは、本実施の形態で開示した方法を行う。また、HOの指示において、上りスプリットベアラを設定された、あるいは上りスプリットベアラの維持を設定されたUEは、本実施の形態で開示した方法を行うとしてもよい。MCI(Mobility Control Information)に、SeNBの変更が無い場合のMeNB間のHOであることを示す情報、上りスプリットベアラ設定を示す情報、あるいは上りスプリットベアラの維持の設定を示す情報を含めてもよい。HO指示として、UEが、これらの情報を含めたMCIを受信した場合に、本実施の形態で開示した方法を行うとしてもよい。
このようにすることによって、新たな情報を設けてUEに通知することなく、UEは本実施の形態で開示した方法を行うことが可能となる。これによって、シグナリング量の削減を図ることができる。
MeNB間のHOにおいて、たとえデュアルコネクティビティ(DC)が設定されており、あるいは、たとえ上りスプリットベアラが設定されていたとしても、MeNBに対してBSRをトリガしないようにすることが可能となる。
UEが、本実施の形態で開示した方法に移行する他の方法を開示する。本実施の形態で開示した方法への移行を示す情報を新たに設ける。T-MeNBは、UEを上りスプリットベアラを維持したままのHOをさせると判断した場合、該情報をUEに通知する。S-MeNB経由で通知してもよい。例えば、T-MeNBは、S-MeNBに対して、HO要求応答に該情報を含めて通知する。この通知には、X2シグナリングを用いるとよい。あるいはMME経由でS1シグナリングを用いてもよい。該情報を受信したS-MeNBは、HOの対象となるUEに対して該情報を通知する。この通知には、RRCシグナリングを用いるとよい。該情報を受信したUEは、本実施の形態で開示した方法を行う。該情報は、MCIに含めてもよいし、MCIに含めずに別途通知してもよい。
このようにすることによって、HO要求とは別にUEに通知することが可能となる。これによって、状況に応じて柔軟な通知が可能となる。
UEが、本実施の形態で開示した方法に移行する他の方法を開示する。MeNBは、DRATで設定する閾値を、設定可能な最大の値に設定してUEに通知する。さらに、DRATで設定するBSRをトリガあるいは送信するeNBをSeNBに設定してUEに通知する。設定可能な最大の値は、UEが取り扱うことが可能なPDCPのデータ量以上の値としておくとよい。このようにすることによって、上りペアラスプリットが設定された場合、UEで発生するPDCPのデータ量は、常に該閾値以下となる。該閾値以下の場合に、SeNBにBSRをトリガあるいは送信することが設定されているので、UEは、SeNBのみにBSRをトリガあるいは送信することが可能となる。
設定の変更は、DRATの設定を用いて行うとよい。例えば、SeNBのみへの通知を通常のDRATに戻すような場合に、再度閾値を設定し、必要に応じて閾値以下にBSRをトリガあるいは送信するeNBを設定することによって、UEは、通常のDRATを行うことが可能となる。このようにすることによって、新たな情報を設けてUEに通知することなく、UEは、本実施の形態で開示した方法を行うことが可能となる。これによって、シグナリング量の削減を図ることができる。
あるいは、一つのeNBにのみにBSRをトリガあるいは送信することを示す閾値を設けておいてもよい。MeNBは、DRATで設定する閾値を、該閾値に設定してUEに通知する。さらに、DRATで設定するBSRをトリガあるいは送信するeNBをSeNBに設定してUEに通知する。UEで発生するPDCPのデータ量が不明な場合に有効である。例えば、閾値を0と設定する。MeNBは、UEに対して本実施の形態で開示した方法を行わせたい場合に、DRATで設定する閾値を0と設定してUEに通知する。閾値「0」は、一つのeNBにのみにBSRをトリガあるいは送信することを示すので、UEは、PDCPのデータ量にかかわらず、一つのeNBにのみにBSRをトリガあるいは送信する。MeNBおよびSeNBのどちらのeNBに通知するかは、BSRをトリガあるいは送信するeNBの情報を受信することによって、認識することができる。
SeNBにのみにBSRをトリガあるいは送信することを示す閾値を設けておいてもよい。これによって、BSRをトリガあるいは送信するeNBの情報を省略することが可能となる。同様に、MeNBにのみにBSRをトリガあるいは送信することを示す閾値を設けておいてもよい。これによって、MeNBにのみにBSRをトリガあるいは送信するように設定したい場合に有効となる。該情報は、MCIに含めてもよいし、MCIに含めずに別途通知してもよい。
SeNBの変更が無い場合のMeNB間のHOを完了した後の処理について開示する。SeNBの変更が無い場合のMeNB間のHOを完了した後、UEは、SeNBのみへのBSRのトリガあるいはBSRの送信から、通常のDRATに戻す。HOを完了した後として、UEとT-MeNBとの間の接続完了後としてもよい。あるいはUEとT-MeNBとの間の同期完了後、あるいはUEとT-MeNBとの間のRA処理完了後、あるいは、UEがT-MeNBに対してRRC接続再設定完了(RRC Connection Reconfiguration Complete)メッセージを送信した後としてもよい。
SeNBの変更が無い場合のHOを完了した後、UEは、T-MeNBとSeNBとの両方に接続できることになる。したがって、このようにすることによって、UEは、T-MeNBとSeNBとの両方のeNBに対して、BSRをトリガし、BSRを送信することが可能となる。該HOを完了した後、SeNBだけでなく、MeNBに対しても上りPDCPデータを送信することが可能となるので、送信の遅延を削減することが可能となる。
本実施の形態で開示した方法を用いることによって、SeNBの変更が無い場合のMeNB間のHO中、SeNBに対して上りデータを送信することが可能となる。また、MeNBにBSRをトリガあるいは送信しなくなるので、MeNBから上りスケジューリング(上りグラント)が送信されず、MeNBへPDCPのデータを送信しなくなる。これによって、UEは、MeNBに対して無駄な送信を行うことが無くなり、送信の遅延の削減、UEの消費電力の削減を図ることができる。また、UEは、SeNBにBSRをトリガあるいは送信するので、SeNBからUEに対して上りスケジューリングが送信され、UEは、SeNBへPDCPのデータを送信することになる。したがって、HO中も、UEは、SeNBにのみデータを送信することが可能となり、HOによるデータの送信の遅延を削減することが可能となる。
本実施の形態で開示した方法は、スプリットベアラを維持したSeNBの変更が無い場合のMeNB間のHO中、UEからT-MeNBの上りデータの送信が行われず、UEからSeNBへの上りデータの送信が行われるような処理を行う場合に適用することが可能である。例えば、実施の形態1の変形例1,4で開示した、図12および図13、図14および図15、図26および図27などである。
実施の形態3.
スプリットベアラを維持したままのSeNBの変更が無い場合のHO中、UEがT-MeNBと接続する前に、UEとSeNBとの間で上りデータの送受信を実行しようとすると、以下に記載するような問題が生じる場合がある。
上りスプリットベアラを行う場合、UEは、PDCPのデータをMeNB向けのRLCに送るか、SeNB向けのRLCに送るかを判断しなければならない。例えば、PDCPのデータ量が予め定める閾値よりも大きい場合は、PDCPのデータを、BSRを報告する両方のeNB向けのRLCに送る。例えば、非特許文献10には、MeNB向けとSeNB向けの配分率を予め決めておき、その配分率に応じて、PDCPで生じたデータをMeNB向けRLCとSeNB向けRLCとに送ることが開示されている。
この状態でHOが生じた場合、HO中、UEは、MeNB向けRLCにもSeNB向けRLCにも、PDCPで生じたデータを送ってしまうことになる。しかし、HO中であるので、実際は、UEがT-MeNBと同期を取って接続するまでは、UEは、T-MeNBにBSRを送ることはできず、さらには、T-MeNBにデータを送信することもできない。したがって、HO中、UEがT-MeNBと同期を取る前に、T-MeNB向けRLCにPDCPのデータを送るのは無駄となる。また、T-MeNB向けのRLCおよびMACの少なくともいずれか一方のバッファにデータが溜まってしまい、オーバフローが生じるなどの問題が発生する場合がある。本実施の形態では、このような問題を解決する方法を開示する。
UEは、MeNB間のHO中、SeNB向けRLCに対して上りPDCPのデータを送る。UEは、MeNB間のHO中、MeNB向けRLCに対して上りPDCPのデータを送らない。PDCPのデータとしては、PDCP PDUであってもよい。
MeNB間のHO中として、UEがSeNBと接続した後で、かつT-MeNBと接続する前としてもよい。UEは、SeNBと接続したかどうかの判断は、SeNBとの間のRA処理が行われたかどうかで行ってもよい。UEは、SeNBと接続したかどうかの判断は、SeNBと同期が取れているかどうかで行ってもよい。
UEは、SeNBの変更が無いときのMeNB間のHOを行う場合に、前記方法を行うとしてもよい。UEは、スプリットベアラを維持したままのSeNBの変更が無いときのMeNB間のHOを行う場合に、前記方法を行うとしてもよい。UEは、仮に、DRATが設定された場合でも、それをリセットして前記方法を行うとしてもよい。UEは、DRATが設定された場合、仮に、閾値以下で上りデータを送信するeNBがMeNBに設定された場合でも、それをリセットして前記方法を行うとしてもよい。
このようにすることによって、PDCPのデータ量が閾値以下の場合も、PDCPのデータ量が閾値以上の場合も、前記方法を行うことになる。
前記方法を行うとしたが、前記方法に切り替えるようにしてもよい。PDCPのデータの配分方法で、前記の方法以外の方法が設定されていた場合でも、前記方法に切り替えるようにする。
図48は、従来のDRATが設定された場合のPDCPのデータの配分方法を説明するための図である。図48では、PDCPのデータ量が閾値より大きい場合について示している。図48は、前述の図45および図46と類似しているので、同一の構成については同一の参照符号を付して、共通する説明を省略する。
PDCPのデータ量が閾値よりも大きい場合、図48の矢符2031,2032で示すように、UE2013は、PDCP2014のデータを、MeNB2011向けRLC2015とSeNB2012向けRLC2017との両方に対して送る。MeNB2011向けとSeNB向けのPDCPのデータの配分率は、MeNB2011からUE2013に予め通知される。MeNB2011は、UE2013に対してRRCシグナリングで通知するとよい。MeNB2011は、UE2013に対してDRATの設定とともに通知してもよい。
図49は、実施の形態3におけるPDCPのデータの送信方法を説明するための図である。図49は、前述の図45および図46と類似しているので、同一の構成については同一の参照符号を付して、共通する説明を省略する。
UE2013は、MeNB2011間のHOにおいて、SeNB2012と接続した後で、かつT-MeNB2011と接続する前には、図49の矢符2041で示すように、SeNB向けRLC2017に対して上りPDCPのデータを送る。UE2013は、MeNB向けRLC2015に対しては上りPDCPのデータを送らない。すなわち、UE2013は、上りPDCPのデータをSeNB向けRLC2017に対してのみに送る。
本実施の形態で開示した方法は、PDCPのデータ量が閾値よりも大きい場合のみならず、PDCPのデータ量が閾値以下の場合にも適用してもよい。PDCPのデータ量が閾値以下の場合に上りデータを送信するeNBがMeNB2011である場合に、本実施の形態で開示した方法を適用することによって、UE2013は、MeNB2011間のHOにおいてSeNB2012と接続した後で、かつT-MeNBと接続する前には、上りPDCPのデータをSeNB向けRLC2017に対してのみに送ることになる。このようにすることによって、PDCPのデータ量が閾値以下の場合も、PDCPのデータ量が閾値以上の場合も、SeNB2012に対してのみに上りPDCPのデータを送ることになる。
UEが、本実施の形態で開示した方法に移行する方法を開示する。MeNB2011は、MeNB2011間のHO中、SeNB向けRLC2017に対してのみに上りPDCPのデータを送信することをUE2013に通知する。該通知は、T-MeNBあるいはS-MeNBからUE2013に対して通知するとよい。T-MeNBからUE2013に通知する場合、S-MeNBを介して通知してもよい。
通知方法として、実施の形態2で開示した方法を適用することができる。HOの対象となるUEへのHO指示に基づいて、本実施の形態で開示した方法への移行指示とする方法を適用してもよい。また、本実施の形態で開示した方法への移行を示す情報を新たに設けて、UEに通知する方法を適用してもよい。
また、MeNBが、DRATで設定する閾値を、設定可能な最大の値に設定して、UEに通知する方法を適用してもよい。
これを適用する場合、DRATにおいて、PDCPのデータ量が予め定める閾値以下の場合、BSRを送信するeNB向けのRLCに対してのみPDCPのデータを送るようにする。このことを予め規格などで決めておいてもよいし、DCを行う場合に予めUEに通知してもよい。DRATの設定パラメータとして、予めUEに通知してもよい。
DRATで設定する閾値を設定可能な最大の値に設定することによって、UEで発生するPDCPのデータ量は、常に閾値以下となる。MeNBは、閾値以下の場合にSeNBにBSRをトリガあるいは送信することを設定する。これによって、UEは、SeNB向けのRLCに対してのみに、PDCPのデータを送るようにすることが可能となる。
SeNBの変更が無い場合のMeNB間のHOを完了した後の処理について開示する。SeNBの変更が無い場合のMeNB間のHOを完了した後、UEは、PDCPのデータを、SeNB向けRLCに対してのみから、T-MeNB向けRLCとSeNB向けRLCとの両方に対して送る。HO完了後として、UEとT-MeNBとの間の接続完了後としてもよい。あるいはUEとT-MeNBとの間の同期完了後、あるいはUEとT-MeNBとの間のRA処理完了後、あるいは、UEがT-MeNBに対してRRC接続再設定完了(RRC Connection Reconfiguration Complete)メッセージを送信した後としてもよい。
このようにすることによって、UEは、T-MeNBとSeNBとの両方のeNB向けのRLCに対してPDCPのデータを送ることが可能となる。SeNBの変更が無い場合のHOを完了した後、UEは、T-MeNBとSeNBとの両方に接続できることになる。したがって、該HOを完了した後は、SeNBだけでなくMeNBに対しても上りPDCPのデータを送信することが可能となるので、送信の遅延を削減することが可能となる。
本実施の形態で開示した方法を用いることによって、SeNBの変更が無い場合のMeNB間のHO中、MeNB向けのRLCに上りPDCPのデータが送られなくなるので、全ての上りPDCPのデータがSeNB向けのRLCに対してのみに送られることになる。したがって、SeNBに対してのみ上りPDCPのデータを送信することが可能となる。
また、HO中、UEがT-MeNBと接続していない間に、UEのMeNB向けのRLCおよびMACの少なくともいずれか一方のバッファに上りデータを溜めることが無くなる。したがって、それらのバッファのオーバフローの発生を抑制することができる。また、UEのMeNB向けのRLCおよびMACバッファの少なくともいずれか一方の容量を小さくすることができる。
実施の形態4.
スプリットベアラを維持したままのSeNBの変更が無い場合のHO中、UEがT-MeNBと接続する前に、UEとSeNBとの間で上りデータの送受信を実行しようとすると、以下に記載するような問題が生じる場合がある。
3GPPでは、上りスプリットベアラを実行しているときのUEに対するMeNBとSeNBからの上りスケジューリング(上りグラント)は、単にUEからのBSRの値だけ上りスケジューリングをする方法とは異なる方法が提案されている(非特許文献11参照)。これは、MeNBとSeNBからUEへのオーバスケジューリング、およびアンダスケジューリングを回避するために行われる。
例えば、DRATにおいてPDCPのデータが予め定める閾値よりも大きくなった場合に、UEは、MeNBとSeNBとの両方に同じPDCPのデータ量を含むBSRを送信する。UEから送信されたBSRに対してMeNBとSeNBとが、それぞれ、該BSRの値の分だけスケジューリングすると、そのスケジューリングで確保したリソース量は、UEが送信するPDCPのデータ量に対して2倍となってしまう。すなわち、オーバスケジューリングが生じる。
このようなオーバスケジューリングを低減するために、例えば、MeNB、SeNBともに、UEから受信したBSRに対して予め定める割合(1も含む)を乗じた量の上りスケジューリングを行う方法がある。予め定める割合を0.7とすると、MeNBは、MeNBが受信したBSRの値に0.7を乗算した量をUEに対してスケジューリングする。また、SeNBも、SeNBが受信したBSRの値に0.7を乗算した量をUEに対してスケジューリングする。このようにすることによって、オーバスケジューリングを低減することが可能となる。
この他、MeNBとSeNBとの間で予め比率を決めておき、その比率に応じて上りスケジューリングを行う方法がある。例えば、MeNBとSeNBとの比率を4対6とする。MeNBは、UEから受信したBSRの値に0.4を乗算した量をUEに対してスケジューリングし、SeNBは、UEから受信したBSRの値に0.6を乗算した量をUEに対してスケジューリングする方法である。
この他、DRATにおいて、MeNBは、UEから通知されたBSRの値に対して閾値以上の量だけ上りスケジューリングを行い、SeNBは、閾値の量の上りスケジューリングを行う方法がある。
このように、上りスプリットベアラを実行しているときのUEに対するMeNBとSeNBからの上りスケジューリングは、単にUEからのBSRの値だけ上りスケジューリングをする方法とは異なる方法が提案されている。
このような方法に対して何ら工夫がなされないと、スプリットベアラを維持したままのSeNBの変更が無い場合のHO中、UEがT-MeNBと接続する前でも、T-MeNBからスケジューリングがなされることが想定されたままとなり、SeNBからのスケジューリングが制限されるので、スケジューリングの効率が劣化することになる。本実施の形態では、このような問題を解決する方法を開示する。
MeNB間のHO中、SeNBは、UEから受信したBSRに対して、最大限割当てが可能な上りスケジューリング(上りグラント)を行う。また、MeNB間のHO中、MeNBからの上りスケジューリングを行わないとしてもよい。
MeNB間のHO中として、UEがSeNBと接続した後で、かつT-MeNBと接続する前としてもよい。SeNBが、UEがT-MeNBと接続したことを判断する方法として、T-MeNBからSeNB再設定完了メッセージを受信したか否かで判断するとよい。SeNBは、T-MeNBからSeNB再設定完了メッセージを受信した場合に、UEがT-MeNBと接続したと判断する。このようにすることによって、SeNBが、UEがT-MeNBと接続したことを判断することが可能となる。
SeNBのスケジューリングの方法について開示する。HO中、SeNBとUEとの間でRA処理が行われる場合について適用することができる。
SeNBは、T-MeNBとUEに対するSeNB追加設定処理を行ってから該UEと接続する前は、UEに対して上りスケジューリングを行わない。前述の「SeNB追加設定処理を行ってから」の代わりに、「SeNB追加要求(SeNB addition request)メッセージを受信してから」、あるいは、「SeNB追加要求応答(SeNB addition request ack)メッセージを送信してから」としてもよい。SeNBは、UEと接続したかどうかの判断は、UEとの間でRA処理が行われたかどうかで行ってもよい。SeNBは、UEと接続したかどうかの判断は、UEと同期が取れているかどうかで行ってもよい。
SeNBがUEに対して上りスケジューリングを行わないようにする方法として、UEからBSRを受信しない場合は、上りスケジューリングを行わないようにしてもよい。
あるいは、SeNBは、GR(grant ratio)を0(0%)にするとしてもよい。GRは、BSRに対する上りスケジューリングの割合とする。GRを0にすることによって、たとえUEからBSRを受信できずに、BSRの値が不定である場合、または何らかのBSRの値が存在するような場合であっても、SeNBの内部の処理において、上りスケジューリング量は0となり、上りスケジューリングを行わないようにすることができる。
SeNBは、UEと接続以降、T-MeNBからSeNBの再設定が完了した旨のメッセージを受信するまで、該UEに対して最大限のスケジューリングを行う。UEと接続以降としたが、UEと接続以降BSRを受信した場合、としてもよい。
SeNBの再設定が完了した旨のメッセージとしては、SeNB再設定完了(SeNB Reconfiguration Complete)メッセージとしてもよい。
SeNBがUEに対して最大限のスケジューリングを行う方法として、UEからのBSRに対して、GRを1(100%)として、上りスケジューリングを行うとしてもよい。
SeNBは、T-MeNBからSeNBの再設定が完了した旨のメッセージを受信した後、UEからのBSRに対して通常の上りスケジューリングの方法で上りスケジューリングを行う。DRATで閾値以上の場合は、予め設定された上りスケジューリングの方法で上りスケジューリングを行う。あるいは、DRATで閾値以上の場合に設定されるGRで上りスケジューリングを行うとしてもよい。
このようにすることによって、MeNB間のHO中、SeNBは、UEから受信したBSRに対して、最大限割当てが可能な上りスケジューリング(上りグラント)を行うことが可能となる。
T-MeNBのスケジューリングの方法について開示する。T-MeNBは、S-MeNBに対してHO要求応答を送信した後で、かつUEと接続する前は、UEに対して上りスケジューリングを行わない。
T-MeNBがUEと接続したかどうかの判断は、UEからRRC接続再設定完了(RRC Connection Reconfiguration Complete)メッセージを受信したかどうかで行ってもよい。あるいは、T-MeNBがUEと接続したかどうかの判断は、UEとの間でRA処理が行われたかどうかで行ってもよい。あるいは、T-MeNBがUEと接続したかどうかの判断は、UEと同期が取れているかどうかで行ってもよい。
T-MeNBがUEに対して上りスケジューリングを行わないようにする方法として、UEからBSRを受信しない場合は上りスケジューリングを行わないようにしてもよい。あるいは、T-MeNBは、GRを0(0%)にするとしてもよい。GRを0にすることによって、たとえUEからBSRを受信することができずに、BSRの値が不定である場合、または何らかのBSRの値が存在するような場合であっても、T-MeNBの内部の処理において上りスケジューリング量は0となり、上りスケジューリングを行わないようにすることができる。
T-MeNBは、UEと接続以降、SeNBに対して再設定が完了した旨のメッセージを通知するまで、該UEからのBSRに対して上りスケジューリングを行う。UEと接続以降としたが、UEと接続以降BSRを受信した場合、としてもよい。
該UEからのBSRに対して上りスケジューリングを行うとしたが、該UEからのBSRに対して最大限のスケジューリングを行うとしてもよい。T-MeNBがUEに対して最大限のスケジューリングを行う方法として、UEからのBSRに対してGRを1(100%)として、上りスケジューリングを行うとしてもよい。
あるいは、T-MeNBは、UEからのBSRに対して、通常の上りスケジューリングの方法で上りスケジューリングを行ってもよい。
DRATで閾値以上の場合、T-MeNBは、UEからのBSRに対して、設定されたGRあるいは設定されたGRよりも大きい値のGRで上りスケジューリングを行ってもよい。
あるいは、T-MeNBは、UEからのBSRに対して、UEが少なくとも0より大きい量の上りデータを送信できるように上りスケジューリングを行ってもよい。
T-MeNBは、SeNBに対して再設定が完了した旨のメッセージを送信した後、UEからのBSRに対して通常の上りスケジューリングの方法で上りスケジューリングを行う。DRATで閾値以上の場合は、予め設定された上りスケジューリングの方法で上りスケジューリングを行う。あるいは、DRATで閾値以上の場合に設定されるGRで上りスケジューリングを行うとしてもよい。
このようにすることによって、MeNB間のHO中はMeNBからの上りスケジューリングが行われず、UEとT-MeNBとが接続した後にT-MeNBからの上りスケジューリングが行われるようにすることができる。
また、このようにしておくことで、UEがSeNBよりも先にT-MeNBと接続した場合も、T-MeNBを介して上りデータを送信することが可能となる。
上りスケジューリングにおいて、例えば、MeNBおよびSeNBともに、UEから受信したBSRに対して予め定める割合を乗じた量の上りスケジューリングを行う方法、およびMeNBとSeNBとの間で予め決められた比率に応じて上りスケジューリングを行う方法があることを示したが、このような場合、MeNBとSeNBとの間でどのようなスケジューリングの方法にするのかの調整が必要となる。ここでは、該調整方法を開示する。
該調整はMeNBが行う。MeNB間のHOの場合、T-MeNBが行うとよい。MeNBは、SeNBに対して、上りスケジューリングの方法に関する情報を通知する。MeNBは、SeNBにGRを設定する場合、該GRをSeNBに通知してもよい。
MeNBからSeNBへの通知方法として、SeNB追加処理において通知してもよい。SeNB追加要求(SeNB addition request)メッセージに含めて通知してもよい。また、SeNBの修正処理において通知してもよい。SeNB変更要求(SeNB modification request)メッセージに含めて通知してもよい。SeNBは、該通知に対して、MeNBに対して設定可能を示す応答信号であるAckを通知してもよい。
また、SeNB再設定完了(SeNB reconfiguration complete)メッセージとあわせて通知してもよい。SeNB再設定完了(SeNB reconfiguration complete)メッセージに含めて通知してもよい。
このようにすることによって、MeNBとSeNBとの間でどのようなスケジューリングの方法にするのかの調整が可能となる。
図50は、従来のDRATが設定された場合の上りスケジューリングの方法を説明するための図である。図50では、PDCPのデータ量が閾値よりも大きい場合について示している。図50は、前述の図45および図46と類似しているので、同一の構成については同一の参照符号を付して、共通する説明を省略する。
PDCPのデータ量が閾値よりも大きい場合、MeNB2011とSeNB2012とは、UE2013に対して、図50の矢符2051,2052で示すように、上りスケジューリング(上りグラント)を通知する。通常、上りスプリットベアラを実行しているときのUE2013に対するMeNB2011とSeNB2012からの上りスケジューリングは、UE20113からのBSRの値に応じて行われる。
上りスケジューリングに関して、MeNB2011とSeNB2012との間の調整については、前述の非特許文献1~11には開示がなされていない。該調整には、前述の方法を適用するとよい。例えば、DRATにおいて閾値以上の場合、MeNB2011はGRを設定し、矢符2053で示すように、該GRをSeNB2012に通知する。このようにすることによって、DRATが設定された場合のMeNB2011とSeNB2012との間のスケジューリングの調整が可能となる。
この方法を用いることによって、上りスケジューリングが可能となり、UE2013は、受信した上りスケジューリングに従って、上りデータをMeNB2011およびSeNB2012に送信することが可能となる。
図51は、実施の形態4における上りスケジューリングの方法を説明するための図である。図51は、前述の図45および図46と類似しているので、同一の構成については同一の参照符号を付して、共通する説明を省略する。
MeNB2011間のHO中、図51の矢符2061で示すように、SeNB2012は、UE2013から受信したBSRに対して、最大限割当てが可能な上りスケジューリング(上りグラント)を行う。また、MeNB2011間のHO中、MeNB2011からの上りスケジューリングを行わない。
このようにすることによって、MeNB2011間のHO中、SeNB2012は、UE2013が送信したBSRに対して最大限割当てが可能な上りスケジューリングを行うことが可能となる。UE2013は、SeNB2012に対して送信したBSRに対して最大限割当てが可能な上りスケジューリングが行われることになるので、MeNB2011間のHO中、SeNB2012と接続しているときに上りデータを最大限送信することが可能となる。DRATにおいて設定されるGRに制限されることなく、上りデータを送信することが可能となる。したがって、MeNB2011間のHO中、たとえMeNB2011とUE2013とが接続していなくても、UE2013は、SeNB2012に対して上りデータを送信することが可能となる。
MeNB2011とSeNB2012との間の上りスケジューリングに関する情報の調整についは、前述の方法を適用することができる。
本実施の形態で開示した方法を用いることによって、SeNBからのスケジューリングが制限されなくなり、スケジューリングの効率の劣化を抑制することができる。
前述したように、上りスプリットベアラを実行しているときのUEに対して、MeNBとSeNBとから通常と異なる上りスケジューリングが行われるような場合も、SeNBからのスケジューリングが制限されなくなり、スケジューリングの効率の劣化を抑制することができる。
SeNBの変更が無い場合のMeNB間のHO中、UEは、SeNB対して早期に上りデータを送信することが可能となるので、上りデータの送信の遅延を削減することが可能となる。
SeNBのスケジューリングの方法について他の方法を開示する。HO中、SeNBとUEとの間で既に同期が取れている場合について適用することができる。
SeNBは、T-MeNBとUEに対するSeNB追加設定処理を行ってから該UEからSR(scheduling request)を受信するまでは、UEに対して上りスケジューリングを行わない。
SeNBは、UEからのSRを受信した後、T-MeNBからSeNBの再設定が完了した旨のメッセージを受信するまで、該UEに対して最大限のスケジューリングを行う。UEからのSRを受信した後としたが、UEからのSRを受信した後で、かつBSRを受信した場合、としてもよい。
SeNBは、T-MeNBからSeNBの再設定が完了した旨のメッセージを受信した後、UEからのBSRに対して、通常の上りスケジューリングの方法で上りスケジューリングを行う。DRATで閾値以上の場合は、予め設定された上りスケジューリングの方法で上りスケジューリングを行う。あるいは、DRATで閾値以上の場合に設定されるGRで上りスケジューリングを行うとしてもよい。
このようにすることによって、MeNB間のHO中、SeNBがUEとの間で既に同期が取れている場合に、SeNBは、UEから受信したBSRに対して、最大限割当てが可能な上りスケジューリング(上りグラント)を行うことが可能となる。
SeNBの変更が無い場合のMeNB間のHOにおいて、SeNBとUEとの接続を継続してもよく、そのような場合に適用するとよい。HO中、UEは早期にSeNBに対して上りデータを送信することが可能となる。
SeNBのスケジューリングの方法について他の方法を開示する。HO中、SeNBがUEと接続する前あるいはSRを受信する前に、T-MeNBからSeNBの再設定が完了した旨のメッセージを受信する場合に適用することができる。
SeNBは、UEと接続する前あるいはSRを受信する前に、T-MeNBからSeNBの再設定が完了した旨のメッセージを受信した場合、SeNBの再設定が完了した旨のメッセージを受信した後、UEからのBSRに対して、通常の上りスケジューリングの方法で上りスケジューリングを行う。DRATで閾値以上の場合は、予め設定された上りスケジューリングの方法で上りスケジューリングを行う。あるいは、DRATで閾値以上の場合に設定されるGRで上りスケジューリングを行うとしてもよい。
このようにすることによって、HO中、SeNBがUEと接続する前あるいはSRを受信する前に、T-MeNBからSeNBの再設定が完了した旨のメッセージを受信する場合にも、制御を明確にすることが可能となり、誤動作を削減することが可能となる。
3GPPにおいて、プレスケジューリング(以下「PS」と称する)が検討されている。PSは、UEに対して上りデータ用のリソースを、UEからのBSRを受信すること無しに、予めスケジューリングする方法である。
ここでは、DCにおいてSeNBに対してPSを行う方法を開示する。MeNBからUEに対して、SeNBにおけるPSを行う。MeNBは、UEに対して、SeNBにおけるPSを行う。
MeNBとSeNBとの間でSeNBのPS構成の設定を行う。PS構成として、スケジューリング情報、スケジューリング周期などがある。設定方法を開示する。MeNBからSeNBに対してSeNBのPS設定要求を行う。該設定要求に、対象となるUEのID、対象となるベアラの設定、QoS(Quality of Service)に関する情報などを含めてもよい。PS設定要求を受信したSeNBは、対象となるUEに対して、PS構成を設定する。SeNBは、MeNBに対して、対象となるUEに対して設定したPS構成を通知する。このようにすることによって、MeNBとSeNBとの間でSeNBのPS構成が設定される。
MeNBとSeNBとの間でSeNB追加処理において、PS構成の設定を行ってもよい。MeNBからSeNBに対して、SeNB追加要求(SeNB addition request)メッセージで、SeNBのPS設定要求を行う。該要求に応じてPS構成を設定したSeNBは、MeNBに対して、SeNB追加要求応答(SeNB addition request Ack)メッセージで、PS構成を通知する。
あるいは、MeNBとSeNBとの間でのSeNB修正処理において、PS構成の設定を行ってもよい。MeNBからSeNBに対して、SeNB変更要求(SeNB modification request)メッセージで、SeNBのPS設定要求を行う。該要求に応じてPS構成を設定したSeNBは、MeNBに対して、SeNB変更要求応答(SeNB modification request Ack)メッセージで、SeNBのPS構成を通知する。
このようにすることによって、MeNBとSeNBとの間でPS設定用の新たなメッセージを設ける必要がなく、既存のメッセージを用いて設定を行うことが可能となる。これによって、PS設定制御を簡易にすることが可能となる。
MeNBとUEとの間でSeNBのPS構成が設定される。MeNBは、SeNBとの間で設定したPS構成を、UEに対して通知する。UEは、MeNBから通知されたSeNBのPS構成を設定する。MeNBからUEへの通知には、RRCシグナリングを用いてもよい。MeNBからUEに対して、SeNBの設定に用いるRRCシグナリングに含めて通知してもよい。これによって、シグナリング量を削減することができる。また、SeNBの設定とともに通知することによって、UEにおけるSeNB設定の制御を簡易にすることができる。
あるいは、該通知にMACシグナリングを用いてもよい。MACでスケジューリングを行う場合に有効となる。
あるいは、該通知にPDCCHを用いてもよい。UEに対するスケジューリング情報は、PDCCHで送信される。PS構成についてもPDCCHに含めて通知することによって、UEにおけるスケジューリング構成の設定制御が容易になる。
あるいは、前記3つの通知方法を組み合わせて用いてもよい。例えば、PS構成の一部を前記3つの通知方法のいずれかで行い、PS構成の他の部分を他の通知方法で行う。例えば、スケジューリングの情報に関してはPDCCHで行い、スケジューリングの周期に関してはRRCシグナリングで行う。このようにすることによって、PS構成の情報毎に、最適な通知方法をとることが可能となる。
このようにすることによよって、DCにおいて、SeNBに対してPSを行うことが可能になる。
ここでは、MeNB間のHOにおいて、SeNBに対してPSを行う方法を開示する。T-MeNBからUEに対して、SeNBにおけるPSを行う。T-MeNBは、UEに対して、SeNBにおけるPSを行う。T-MeNBとSeNBとの間でSeNBのPS構成の設定を行う。設定方法は、前述の方法を適用することができる。
T-MeNBは、SeNBとの間で設定したPS構成を、UEに対して通知する。T-MeNBは、UEに対してS-MeNB経由で通知してもよい。T-MeNBからS-MeNBへの通知には、X2シグナリングを用いるとよい。例えば、HO要求応答(HO request ack)メッセージに含めて通知してもよい。S-MeNBからUEには、RRCシグナリングで通知するとよい。例えば、RRC接続再設定(RRC Connection Reconfiguration)メッセージに含めて通知してもよい。また例えば、MCIとともに、RRC接続再設定メッセージに含めて通知してもよい。UEは、T-MeNBから受信したSeNBのPS構成を設定する。
HOのとき、UEは、SeNBと接続した後、受信したSeNB構成によって設定されたリソースで、上りデータを送信する。該リソースを用いてBSRを送信してもよい。
このようにすることによって、SeNBに対してPSを行うことが可能となる。UEは、SeNBに対してPS構成を用いて上りデータの送信を行うことが可能となる。
スプリットベアラを維持したままのSeNBの変更が無い場合のMeNB間のHOにおいて、SeNBに対してPSが設定された場合の上りスケジューリングの方法について開示する。
SeNBは、T-MeNBとUEに対するSeNB追加設定処理を行ってから、該UEからSRを受信するまでは、UEに対する上りスケジューリングにおいて、設定されたPSに従う。SeNBは、UEからのSRを受信した後、T-MeNBからSeNBの再設定が完了した旨のメッセージを受信するまで、該UEに対して最大限のスケジューリングを行う。UEからのSRを受信した後としたが、UEからのSRを受信した後BSRを受信した場合、としてもよい。
SeNBは、T-MeNBからSeNBの再設定が完了した旨のメッセージを受信した後、UEからのBSRに対して、通常の上りスケジューリングの方法で上りスケジューリングを行う。DRATで閾値以上の場合は、予め設定された上りスケジューリング方法で上りスケジューリングを行う。あるいは、DRATで閾値以上の場合に設定されるGRで上りスケジューリングを行うとしてもよい。
このように、スプリットベアラを維持したままのSeNBの変更が無い場合のMeNB間のHOにおいて、SeNBに対してPSが設定された場合、該PSに従うことによって、UEは、SeNBに対して上りデータを早期に送信することが可能となる。あるいは、UEは、SeNBに対してBSRを早期に送信することが可能となり、その後上りデータを送信することが可能となる。これによって、上りデータの送信の遅延を削減することが可能となる。
前述の各実施の形態およびその変形例は、本発明の例示に過ぎず、本発明の範囲内において、各実施の形態およびその変形例を自由に組合せることができる。また各実施の形態およびその変形例の任意の構成要素を適宜変更または省略することができる。
本発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、本発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、本発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。