(実施形態)
本発明の実施形態の一例を、図面を参照して説明する。本発明は各種用途に適用することができるが、ここでは、車椅子(着座具)Xを利用する人(以下「車椅子利用者」という)の褥瘡を防止するシステム(以下「褥瘡防止システム」という)に適用する場合を一例とする。
[褥瘡防止システムの概要]
図1に本実施形態の褥瘡防止システムの全体構成を示す。図1に示すように、この実施形態の褥瘡防止システムは、シーティングデバイス10と、管理サーバ30と、各利用者が使用する利用者端末50を備えている。シーティングデバイス10及び各利用者端末50は、通信ネットワークNを介して管理サーバ30と通信可能に接続されている。
本実施形態では、利用者として、車椅子利用者や理学療法士、介護士(ヘルパー)、家族、医療関係者(医師や看護師)、保険関係者、ケアマネージャー、福祉用具相談員、自治体などが想定される。説明の便宜上、以下では、車椅子利用者が利用する利用者端末50を着座具利用者端末又は車椅子利用者端末と、アドバイスを提供する人が利用する利用者端末50をアドバイス提供者端末ということがある。
[シーティングデバイス]
はじめに、本実施形態の褥瘡防止システムにおけるシーティングデバイス10について、図面を参照して説明する。この実施形態のシーティングデバイス10は、車椅子Xに設置して使用する設置型のセンシングデバイス100(以下「設置型デバイス」という)である。一例として図2に示すシーティングデバイス10は、センサユニット11とコントロールユニット12を備えている。センサユニット11は車椅子Xの座面X1と背凭れ(バックサポート)X2の前面側に配置され、コントロールユニット12は車椅子Xの任意の場所、たとえば、背凭れX2の背面側や側面、座面裏、下ネット等に装着される。コントロールユニット12のサイズは装着位置に合わせて調整することができる。
一例として図2及び図3(a)(b)に示すセンサユニット11は、センサシート13と、センサ14と、シートカバー15を備えている。この実施形態のセンサユニット11は、車椅子Xの座面X1の上に配置されて当該座面X1にかかる圧力を検知する座面部11aと、車椅子Xの背凭れX2の前面に配置されて当該背凭れX2にかかる圧力を検知する背面部11bを備えている。
前記センサシート13はセンサ14を貼付するためのシートである。この実施形態のセンサシート13は、座面シート13aと背面シート13bを備えている。センサシート13には各種材質のものを用いることができるが、この実施形態では、可撓性及び防水性を有する材質からなるシートを用いている。この実施形態では、座面シート13aと背面シート13bを別体として構成しているが、両者は一体物として構成することもできる。
前記センサ14は着座した車椅子利用者の臀部と背面にかかる圧力を検知して電気信号に変換するものである。センサ14には圧力センサや荷重ベクトルセンサなどを用いることができる。この実施形態では、センサ14として、有効センサ領域39.6mm×39.6mm、厚さ0.20~1.25mm、感圧範囲0.2~20N、最小感度20~100gの圧力センサを用いている。この圧力センサは高分子厚膜フィルムの一種で、センサ部に圧力(荷重)が加わったときに抵抗値が減少する。この圧力センサの抵抗特性をグラフで示すと、荷重の増加に伴って抵抗値が漸次的に減少する曲線となる。
センサ14は、個々の計測点に独立したセンサとして配置されている。コントロールユニット12では、センサ14毎に計測された電気抵抗から逆算して各センサ14にかかる荷重(圧力)が算出される。センサ14としてこのような圧力センサを用いることで、他のセンサ14の計測値とは関係なく、個々のセンサ14にかかる圧力を絶対値として特定することができる。
図2~図4に示すように、この実施形態では、座面シート13aに32個のセンサ(以下「座面センサ」という)14aが、背面シート13bに16個のセンサ(以下「背面センサ」という)14bが設けられている。
座面シート13aに設けられた32個の座面センサ14aは、車椅子利用者の左右の大腿部が位置する部分(大腿部領域)と臀部が位置する部分(臀部領域)に、平面視略U字状となるように配置されている。U字状形状の2本の腕部に相当する箇所の各々が大腿部領域を構成し、このU字状形状の連結部(2本の腕部を連結する部分)に相当する箇所が臀部領域を構成する。座面シート13aには、座面センサ14aが設置されていない非設置領域14cが設けられている。
ここでいう非設置領域14cは、後述する座面ヒートマップ81の表示において補間処理の対象となる領域である。また、非設置領域14cは当該非設置領域14cに座面センサ14aと同様のセンサを配置したと仮定した場合に、その八方(図3(a)及び図4でいう上・下・左・右・右上・右下・左上・左下をいう。)のうち、(ア)上・下・左・右の四方のうちの二方向以上、(イ)上・下・左・右の四方のうちの一方向と右上・右下・左上・左下のうちの二方向以上、又は(ウ)右上・右下・左上・左下のうちの三方向以上を、現に設置された座面センサ14aにより取り囲まれる領域を含むものである。
座面シート13a(座面部11a)に座面センサ14aが配置されない非設置領域14cを設けることで、座面センサ14aの数を最小限に抑えることができる。この結果、データを管理サーバ30(外部機器)に送信する時間を短縮することができ、車椅子利用者にリアルタイムに情報を伝えられるシステムを構築することができる。
本願における「リアルタイム」とは、厳密な意味で同時の場合に限らず、データ通信や解析、記録等の各種処理を行うために生じる時間を含む概念であり、データを取得してから数秒(たとえば、4~6秒)程度後を含む概念である。
具体的には、各大腿部領域には、前側から後ろ側に向けて、3個、1個、3個、1個と並ぶように配置され、臀部領域には、前側から後ろ側に向けて、7個、5個、4個と並ぶように配置されている。
大腿部領域は、3個、1個、3個乃至1個、3個、1個のように、座面センサ14aが左右方向に多く配置された箇所(図の例では3個)及び少なく配置された箇所(図の例では1個)を前後方向に沿って互い違いに設けることで、座面センサ14aが魚骨形に配置された箇所を有している。
また、臀部領域は、前方において7個、後方において4個のように座面センサ14aが配置されることで、前方では非設置領域14cを有さず、後方では非設置領域14cを有するように配置された箇所を有している。
ここで示す座面センサ14aの配置は一例であり、座面センサ14aはこれ以外の配置とすることもできる。
図2~図4に示すように、背面シート13bに設けられた16個の背面センサ14bは、上方から下方に向けて、均等間隔で4個、4個、4個、4個と配置されている。ここで示す背面センサ14bの配置は一例であり、背面センサ14bはこれ以外の配置とすることもできる。
なお、以下の説明では、座面シート13aを図3(a)のように前後に均等に分ける前後分割線L1と左右に均等に分ける左右分割線L2によって区画された四つの領域に分け、右上の領域を第一象限A1、右下の領域を第二象限A2、左下の領域を第三象限A3、左上の領域を第四象限A4という。
また、図3(a)の左右分割線L2の左側(第三象限A3及び第四象限A4)の領域を左側領域B1と、同右側(第一象限A1及び第二象限A2)の領域を右側領域B2と、前後分割線L1の上側(第一象限A1及び第四象限A4)の領域を前側領域B3と、同下側(第二象限A2及び第三象限A3)の領域を後側領域B4という。
前記シートカバー15はセンサシート13とセンサシート13に貼付されたセンサ14を被覆するものである。この実施形態のシートカバー15は、座面シート13aと座面センサ14aを被覆する座面カバー15aと、背面シート13bと背面センサ14bを被覆する背面カバー15bを備えている。シートカバー15には各種材質のものを用いることができるが、この実施形態では、可撓性及び防水性を有する材質からなるシートを用いている。
前記コントロールユニット12は、センサユニット11を制御するためのユニットである。図4に示すように、この実施形態のコントロールユニット12は、マイコン16と、バッテリ17と、通信モジュール18を備えている。マイコン16、バッテリ17及び通信モジュール18は、収納ボックス19に収納されている。
前記マイコン16は、座面センサ14a及び背面センサ14bで取得された信号を処理して、その信号を通信モジュール18を介して管理サーバ30に送信するものである。マイコン16は、マイコンボード16aと当該マイコンボード16aに実装された各種電子部品16bで構成されている。マイコンボード16aには、たとえば、Arduino等を用いることができる。
マイコン16には、センサ14によって取得されたデータを管理サーバ30に送信するための通信モジュール18が接続されている。通信モジュール18には、たとえば、3GIM(3GIoT Module)等を用いることができる。
通信モジュール18には、GPS(Global Positioning System)機能を備えたものを用いることもできる。GPS機能を備えた通信モジュール18を用いる場合、車椅子利用者の位置情報データを取得できるほか、その位置情報と移動時間から移動スピードに関するデータなどを取得することができる。GPSモジュールは通信モジュール18とは別に設けることもできる。
図4に示すように、この実施形態では、16個のセンサ14につき一台のマイコンボード16aが接続されている。各マイコンボード16aにはセンサ14が有線接続され、各マイコンボード16aは割り当てられた16個のセンサ14からデータを取得する。各マイコンボード16a間ではシリアル通信が行われ、各マイコンボード16aで取得されたデータが共通の通信モジュール18を介して管理サーバ30に送信される。なお、ここでは、複数のマイコンボード16aを用いる場合を一例としているが、一台のマイコンボード16aにすべてのセンサ14を接続するように構成することもできる。
各マイコンボード16aには共通のバッテリ17が接続され、そのバッテリ17から各マイコンボード16aに電源が供給されるようにしてある。バッテリ17には既存のリチウムイオン二次電池などを用いることができる。バッテリ17と各マイコンボード16aは、収納ボックス19内で接続されている。
この実施形態の褥瘡防止システムでは、車椅子利用者に対してリアルタイムに情報を伝える観点から、取得したデータが数秒ごとに管理サーバ30に送信されるようにしてある。データはこれより短い間隔で送信されるようにすることもできるし、長い間隔で送信されるようにすることもできる。送信されたデータは、管理サーバ30において処理される。管理サーバ30での処理については後述する。
以上説明したシーティングデバイス10の構成は一例であり、所期の目的を達成できる限り、シーティングデバイス10はこれ以外の構成とすることもできる。
[管理サーバ]
次に、本実施形態の褥瘡防止システムにおける管理サーバ30について、図面を参照して説明する。管理サーバ30は、シーティングデバイス10から送信されるデータの取得や処理、集計、記録、更新、各利用者端末50からの要求に対する応答等を行う、いわゆるクラウドサーバ(クラウドシステム)である。
図5に示すように、この実施形態の管理サーバ30は、プロセッサ31、メモリ32、ストレージ33、通信部34、入力部35、出力部36を主要構成として備えている。これら各要素は、バス37を通じて電気的に接続されている。図示は省略しているが、複数の利用者端末50に対して安定的にサービスを提供できるよう、管理サーバ30は、電源や記憶装置、無停電電源、バックアップ装置などを備えた構成とするのが好ましい。
前記プロセッサ31は、バス37で接続された各構成を統括的に制御するものであり、たとえば、CPU(CentralProcessing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などで構成される。プロセッサ31は、処理の実行に必要なアプリケーションプログラムをストレージ33からメモリ32にロードし、各処理を実行する。
前記メモリ32は、データや命令を記憶する主記憶装置であり、たとえば、ROM(Read Only Memory)やRAM(RandomAccess Memory)などで構成される。
前記ストレージ33は、プログラムやデータを保存する補助記憶装置であり、たとえば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(SolidState Drive)、フラッシュメモリなどで構成される。ストレージ33には、本実施形態の褥瘡防止システムのアプリケーションプログラムが格納されている。
前記通信部34は、通信ネットワークNを介してシーティングデバイス10や各利用者端末50と無線通信(データ通信)を行うための通信インターフェースであり、TCP/IPをはじめ、BluetoothLow Energy(登録商標)やBluetooth(登録商標)、3G(3rd Generation)、4G(4th Generation)、LTE(LongTerm Evolution)等の各種通信規格に従って通信が行われる。
通信部34は、受信部34aと送信部34bを備えている。受信部34aは、各利用者端末50からの信号を受信し、受信した信号を復号してプロセッサ31に伝達する。送信部34bは、プロセッサ31から伝達された情報を各利用者端末50に送信する。
前記入力部35は、情報を入力するためのデバイスであり、たとえば、キーボードやタッチスクリーン、マウス、音声入力装置などで構成される。前記出力部36は、情報を出力するためのデバイスであり、ディスプレイやプリンタなどで構成される。
管理サーバ30は二以上のサーバ群で構成することができる。図6に示すように、この実施形態の管理サーバ30は、LANで相互に通信可能に接続されたウェブサーバ(以下「Webサーバ」という)300、アプリケーションサーバ(以下「APサーバ」という)320及びデータベースサーバ(以下「DBサーバ」という)340を備えている。
前記Webサーバ300は、利用者端末50からの要求に応じて、ウェブサービスを提供するサーバである。この実施形態のWebサーバ300は、要求受付部301、処理要求部302、結果受付部303及び応答画面生成部304を主要構成として備えている。
前記要求受付部301は利用者端末50からの要求を受け付ける機能部、処理要求部302はAPサーバ320に処理を要求する機能部、結果受付部303はAPサーバ320から送信される処理結果を受け付ける機能部、応答画面生成部304は利用者端末50に対して送信する画面を生成する機能部である。
前記APサーバ320は、Webサーバ300からの要求に基づいてアプリケーションプログラムを実行するサーバである。この実施形態のAPサーバ320は、前処理部321、要求受付部322、ユーザ登録部323、図表生成部324、アラート判定部325、行動判定部326、アドバイス受付部327、予約受付部328を主要構成として備えている。
前記前処理部321はシーティングデバイス10から送信されるデータを整形する機能部、要求受付部322はWebサーバ300からの要求を受け付ける機能部、ユーザ登録部323はユーザ登録の処理を実行する機能部、図表生成部324はWebサーバ300からの要求に応じてヒートマップ81、82やずれ力マップ83、各種一覧、グラフ等を生成する機能部、アラート判定部325はデータに基づいてアラート条件を満たすか否かを判定する機能部、アドバイス受付部327は新規アドバイス登録を受け付ける機能部、予約受付部328は遠隔リハビリの予約を受ける機能部である。
前記前処理部321は、シーティングデバイス10で取得された生データ(4秒の測定データがまとまった数字の羅列)を1秒毎のデータに整形し、整形により得られたデータ(以下「整形データ」という)をもとに1分間隔で動作回数の集計を行う。整形データや集計により得られたデータ(以下「集計データ」という)は、DBサーバ340のセンサ情報記憶部342に記憶される。
前記図表生成部324は、ヒートマップ81、82やずれ力マップ83、各種一覧、グラフ等を生成する。この実施形態では、ヒートマップとして、座面ヒートマップ81と背面ヒートマップ82が生成される。
座面ヒートマップ81は、シーティングデバイス10の座面センサ14aによって検知された座面部11aの圧力値と、当該圧力値から算出される非設置領域14cの補間値とを座面部11a(座面X1)にかかる圧力(座圧)として、その値の大きさに応じて色分け表示したものである。座面ヒートマップ81は、後述するデータ参照画面63やアドバイス照会画面67(図24参照)、新規アドバイス入力画面68(図29(a)参照)、アラート照会画面70(図31(b)参照)に表示される。この実施形態では、座面ヒートマップ81上の任意の領域にカーソルを合わせると、当該領域の座圧が表示されるようにしてある。
背面ヒートマップ82は、シーティングデバイス10の背面センサ14bによって検知された背面部11bの圧力値を背面部11b(背凭れX2)にかかる圧力として、その値の大きさに応じて色分け表示したものである。背面ヒートマップ82は、後述するデータ参照画面63(図14(a)(b)及び図16(a)(b)参照)やアドバイス照会画面67(図24参照)、新規アドバイス入力画面68(図29(a)参照)、アラート照会画面70(図31(b)参照)に表示される。この実施形態では、背面ヒートマップ82上の任意の領域にカーソルを合わせると、当該領域の座圧が表示されるようにしてある。
前記ずれ力マップ83は、車椅子利用者の臀部にかかるせん断力(ずれ力)を示す図表である。この実施形態では、座面センサ14aによって取得される座面部11aの圧力値と背面センサ14bによって取得される背面部11bの圧力値とからずれ力が算出されるようにしてある。ずれ力はこれ以外の方法で算出することもできる。
なお、背面センサ14bを設けることで、背中の褥瘡予防を図ることができる。車椅子利用者が体を後方に倒して除圧する動作を繰り返すと、背中が擦れて傷や褥瘡につながることがある。この場合、背面センサ14bで取得される背面部11bの圧力値から、背中に過剰に圧力がかかっていると判断される場合にアラートが発せられるようにすることで、背中の褥瘡を予防することができる。
ずれ力は様々な方法で表示することができるが、この実施形態では、図14(b)のように、ずれ力が働いている部分に大きさと向きを持った矢印(ベクトル)が表示され、ずれ力が働いていない部分にはベクトルが表示されないようにしてある。この実施形態では、ずれ力がベクトル表示されるほか、表示された矢印にカーソルを合わせることで、当該矢印が表示された部分のずれ力の数値が表示されるようにしてある。
この実施形態では、座面ヒートマップ81の下側に表示される「ずれ力表示」のチェックボックス81bにチェックを入れることで、座面ヒートマップ81上にずれ力マップ83が重ねて表示され、このチェックを外すことでずれ力マップ83が表示されないようにしてある(図14(b)参照)。ずれ力マップ83は、後述するデータ参照画面63(図14(a)(b)及び図16(a)(b)参照)やアドバイス照会画面67(図24参照)、新規アドバイス入力画面68(図29(a)参照)、アラート照会画面70(図31(b)参照)に表示される。
なお、ずれ力マップ83は、座面ヒートマップ81に重ねずに単独で表示することもできる。具体的には、座面ヒートマップ81が表示される領域に、座面ヒートマップ81は表示されず、ずれ力マップ83だけが表示されるようにすることができる。
この実施形態では、前記図表生成部324において、ヒートマップ81、82やずれ力マップ83のほか、アドバイスがリスト表示されたアドバイス一覧92やアラートがリスト表示されたアラート一覧93、過去に記録したデータがリスト表示されたレコード一覧94、各動作項目に関する情報がリスト表示された動作項目一覧91などが生成される。
前記アドバイス一覧92には、たとえば、「照会欄」「No欄」「カテゴリ欄」「日付欄」「フラグ欄」「アドバイス欄」「アラートNo./カテゴリ欄」「アラート詳細欄」「削除欄」が含まれる。アドバイス一覧92は、後述するアドバイス一覧画面66(図22参照)に表示される。
前記アラート一覧93には、たとえば、「照会欄」「No欄」「カテゴリ欄」「日付欄」「フラグ欄」「アラート内容欄」「関連アドバイス欄」が含まれる。アラート一覧93は、後述するアラート一覧画面69に表示される(図31(a)参照)。
前記動作項目一覧91には、本日の動作回数、期間平均での動作回数及び目標値の動作回数の一覧が表示される。動作項目としては、たとえば、車椅子乗車時間、乗車回数、プッシュアップ(ロング・ショート)、ウェイトシフト左(ロング・ショート)、ウェイトシフト右(ロング・ショート)、アクティブなどが含まれる。動作項目一覧91は、後述する「期間指定」モードのデータ参照画面63(図16(a)(b)参照)やアドバイス照会画面67(図24参照)、新規アドバイス入力画面68(図29(a)参照)やアラート照会画面70(図31(b)参照)に表示される。
このほか、前記図表生成部324では、ずれ力グラフ84や座圧グラフ85、行動グラフ86が生成される。ずれ力グラフ84は指定した3点(右座骨、左座骨、仙骨)のずれ力変化を表示するもの、座圧グラフ85は、指定した3点(右座骨、左座骨、仙骨)の座圧変化を表示するもの、行動グラフ86は指定期間における行動の回数や時間を示したものである。
ここで示した図表は一例であり、図表生成部324では、これら以外の図表が生成されるようにすることもできる。
前記アラート判定部325は、所定時間内のデータが、予め設定されたアラート条件を満たすか否かを判定し、アラート条件を満たすときにアラートを生成して、Webサーバ300に送信する。この実施形態では、次の各条件を満たすときに、通信部34を介して車椅子利用者端末50にアラートが送信されるようにしてある。
一つ目のアラートは高圧アラートである。高圧アラートは、第一象限A1から第四象限A4の各象限における30分間の圧力平均が予め設定された基準値を超えたときに発せられる。
たとえば、アラート判定部325において、第一象限A1の30分間の圧力平均が予め設定された基準値を超えたと判定された場合、アラート判定部325は「右前の座圧の高圧状態を検知しました。」との高圧アラートを生成し、当該高圧アラートをWebサーバ300に送信する。高圧アラートを受信したWebサーバ300は、当該高圧アラートを通信部34を介して利用者端末50に送信する。
二つ目のアラートは除圧不足アラートである。除圧不足アラートは、過去1時間の除圧のイベントログ(プッシュアップやウェイトシフト)を30分毎に検索し、除圧が予め設定された目標値に達していない場合に発せられる。
たとえば、アラート判定部325は、過去1時間における右側のプッシュアップ(ロング)の回数が予め設定された目標値に達していないと判定すると、「右の除圧が不足しています。」との除圧不足アラートを生成し、当該除圧不足アラートをWebサーバ300に送信する。除圧不足アラートを受信したWebサーバ300は、当該除圧不足アラートを通信部34を介して利用者端末50に送信する。
三つ目のアラートは高ずれ力アラートである。高ずれ力アラートは、座面センサ14aにかかるずれ力が予め設定された基準値よりも高い状態のまま30分が経過したときに発せられる。この実施形態では、ずれ力が基準値よりも高い状態が一点でもある場合に高ずれ力アラートが発せられるようにしてある。
たとえば、アラート判定部325において、第一象限A1の圧力平均が予め設定された基準値を超えたまま30分間が経過したと判定された場合、アラート判定部325は高ずれ力アラートを生成し、当該高ずれ力アラートをWebサーバ300に送信する。高ずれ力アラートを受信したWebサーバ300は、当該高ずれ力アラートを通信部34を介して利用者端末50に送信する。
なお、この実施形態では、アラートは利用者端末50にインストールされた(利用者端末50で閲覧可能な)SNSに送信されるようにしてある。スマートフォンが普及した昨今は連絡手段としてSNSを利用する人が多いため、アラートがSNSに送信されるようにすることで、車椅子利用者が気づきやすく、迅速な対応(行動)をとりやすくなるとメリットがある。ただし、アラートは利用者端末50で閲覧可能な電子メールやSMS(ShortMessage Service)等、車椅子利用者が即時に(タイムリーに)確認しやすい各種方法で送信されるようにすることもできる。
前記行動判定部326は、シーティングデバイス10から送信される信号に基づいて利用者の行動を判定する。ここでいう行動には、「車椅子乗車時間」「乗車回数」「プッシュアップ(ロング・ショート)」「ウェイトシフト左(ロング・ショート)」「ウェイトシフト右(ロング・ショート)」「アクティブ」等が含まれる。なお、ここに示す行動は一例であり、これら以外の行動が含まれる場合もある。
前記動作項目のうち、「車椅子乗車時間」は車椅子Xへの乗車時間を表すもの、「乗車回数」は車椅子Xへの乗車回数の総数を表すものである。行動判定部326は、座圧の平均値が10mmHg以上の状態が1分間以上続いた場合に「乗車」と判定してカウントを開始し、座圧の平均値が10mmHg未満の状態が1分間以上続いた場合に「降車」と判定してカウントを停止する。この際に得られる乗車から降車までの時間を乗車時間として、乗車と降車の回数を乗車回数としてカウントする。
前記プッシュアップとは、手を支えにして臀部を浮かして除圧する動作のことを指す。行動判定部326は、すべての象限A1~A4の値が10mmHg以下の状態が3~15秒未満続いた場合をショートとしてカウントし、すべての象限A1~A4の値が10mmHg以下の状態が15~60秒未満続いた場合をロングとしてカウントする。
前記ウェイトシフトとは、身体を左右に傾け、片方ずつ臀部の除圧を行う動作のことを指す。行動判定部326は、左右半分のいずれか一方の座面X1にかかる圧力が一定値を下回る状態が3~15秒続いた場合をショートとしてカウントし、左右半分のいずれか一方の座面X1にかかる圧力が一定値を下回る状態が15~60秒続いた場合をロングとカウントする。
前記アクティブとは、車椅子Xの駆動動作や車椅子X上で運動をしている状態を指す。行動判定部326は、重心(COP)の移動距離が5秒間で10cm以上動いた場合にアクティブと判定する。信号待ちや車椅子駆動の動作上動きが少ない時間もあるため、この実施形態では、1分間のうちに31秒以上重心の移動がある場合には1分間のアクティブとカウントされ、1分間における重心の移動時間が30秒以下の場合には非アクティブ(アクティブの終了)と判定されるようにしてある。
前記アドバイス受付部327は、アドバイス提供者端末50から、新規のアドバイスの登録要求があったときに当該アドバイス登録を受け付け、当該新規アドバイスをDBサーバ340のアドバイス情報記憶部344に格納する。
前記予約受付部328は、車椅子利用者端末50から、遠隔リハビリの予約要求があったときに、当該予約を受け付ける機能部である。
前記DBサーバ340は、ユーザに関する情報やセンサ14に関する情報、アラートに関する情報、アドバイスに関する情報など、各種データを格納するためのサーバであり、図示しないデータベース管理システム(DBMS:Database Management System)で統合的に管理されている。
図6に示すように、この実施形態のDBサーバ340は、ユーザ情報記憶部341、センサ情報記憶部342、アラート情報記憶部343、アドバイス情報記憶部344及び設定条件記憶部345を主要構成として備えている。アラート情報記憶部343はAPサーバ320で生成されたアラートに関する情報を記憶する領域、アドバイス情報記憶部344はアドバイスに関する情報を記憶する領域である。
前記ユーザ情報記憶部341は、本褥瘡防止システムを利用するユーザに関する情報を記憶する領域である。ユーザ情報記憶部341には、図7(a)に示すようなテーブルが用意され、「ユーザID」「要介護度」「障害タイプ」などの情報が記憶される。
前記センサ情報記憶部342は、シーティングデバイス10で取得されて管理サーバ30側に送信された情報や当該情報の整形データ、当該整形データを集計した集計データ等を記憶する領域である。センサ情報記憶部342には、図7(b)に示すようなテーブルが用意され、「生成時刻」「生データ」「内挿補間データ」などの情報が記憶される。
前記アラート情報記憶部343は、アラート判定部325で生成されたアラートに関する情報を記憶する領域である。アラート情報記憶部343には、図7(c)に示すようなテーブルが用意され、「アラートID」「生成日時」「カテゴリ」などの情報が記憶される。
前記アドバイス情報記憶部344は、アドバイス提供者端末50から入力された新規アドバイスに関する情報を記憶する領域である。アドバイス情報記憶部344には図示しないテーブルが用意され、「アドバイス内容」「アドバイス作成日」「作成者」などの情報が記憶される。
前記設定条件記憶部345は、車椅子利用者端末50から入力された設定条件に関する情報を記憶する領域である。図示は省略しているが、設定条件記憶部345には図示しないテーブルが用意され、「左座骨位置」「右座骨位置」「仙骨位置」「動作目標値」「行動検知基準値」「アラート基準値」などの情報が記憶される。
以上説明した管理サーバ30の構成は一例であり、所期の目的を達成できる限り、管理サーバ30はこれ以外の構成とすることもできる。
[利用者端末]
次に、本実施形態の褥瘡防止システムにおける利用者端末50について、図面を参照して説明する。前記利用者端末50は、車椅子利用者や理学療法士、介護士、家族、医療関係者、保険関係者などが使用する情報通信機器である。
図8に示すように、この実施形態の利用者端末50は、プロセッサ51、メモリ52、ストレージ53、通信部54、入力部55、出力部56を主要構成として備え、各構成がバス57を通じて電気的に接続されている。利用者端末50には、たとえば、PCやスマートフォン、タブレットなどを用いることができる。
プロセッサ51、メモリ52、ストレージ53、通信部54、入力部55、出力部56は、前記プロセッサ31、メモリ32、ストレージ33、通信部34、入力部35、出力部36と同様であるため、共通する部分については説明を省略する。
各利用者は、自己の利用者端末50のブラウザから本褥瘡防止システムを利用することができる。本褥瘡防止システムは、専用のアプリケーションをインストールして、当該アプリケーションを用いて利用できるようにしてもよい。
以上説明した利用者端末50の構成は一例であり、所期の目的を達成できる限り、利用者端末50はこれ以外の構成とすることもできる。
(管理サーバでの処理)
次に、この実施形態の褥瘡防止システムの管理サーバ30で実行される各処理について説明する。この実施形態の褥瘡防止システムの管理サーバ30には、管理サーバ30を、次のような処理を行うサーバとして機能させるためのプログラム(アプリケーションプログラム)が格納されており、管理サーバ30は、利用者端末50からの要求に応じて、次の各処理を実行する。
(処理1:ログイン処理)
図9は利用者端末50を用いてログインする際のシーケンス図である。図9に示すように、利用者端末50は、当該利用者端末50のブラウザ上でURLが入力されると(S001)、管理サーバ30に対してログイン画面60を要求する(S002)。
ログイン画面60の要求を受け付けた管理サーバ30は、データを読み出して(S003)ログイン画面60を生成し(S004)、当該利用者端末50にログイン画面60を送信する(S005)。ログイン画面60を受信した利用者端末50のブラウザには、図10(a)に示すようなログイン画面60が表示される。
利用者端末50は、当該利用者端末50のブラウザに表示されたログイン画面60のID入力欄60a及びパスワード入力欄60bにID及びパスワード(PW)が入力され(S006)、パスワード入力欄60bの下に表示された「ログイン」ボタン60cが選択されると(S007)、管理サーバ30に対してログイン認証を要求する(S008)。なお、選択の方法には、マウスのクリックやキーボードでのエンターボタンの押下げ、タッチパネル上でのタッチなど、あらゆる選択方法が含まれる(以下同様)。
ログイン方法は、ログイン画面60でのID及びパスワード入力以外の方法とすることもできる。たとえば、他のSNSサービスの認証によるログイン方法や、外部システムと連動したログイン方法、指紋認証や顔認証、虹彩認証等の生体認証によるログイン方法などを用いることもできる。いずれの場合も、セキュリティを考慮して安全性の高い方法とするのが好ましい。
利用者端末50からのログイン認証の要求を受け付けた管理サーバ30は、ユーザの認証を行うとともに(S009)、当該利用者端末50を利用する利用者向けのメイン画面61を生成し(S010)、当該利用者端末50にメイン画面61を送信する(S011)。メイン画面61を受信した利用者端末50のブラウザには、図10(b)に示すように、左上にメインメニュー61aを備えたメイン画面61が表示される。図10(b)に示すメインメニュー61aには、「ユーザ情報登録」ボタン61b、「データ参照」ボタン61c、「アドバイス」ボタン61d、「アラート」ボタン61eが含まれる。
(処理2:ユーザ登録処理)
図11は利用者端末50を用いてユーザ登録する際のシーケンス図である。図11に示すように、利用者端末50は、当該利用者端末50のブラウザ上で、メインメニュー61a(図10(b))の「ユーザ情報登録」ボタン61bが選択されると(S101)、管理サーバ30に対してユーザ情報登録画面62を要求する(S102)。
利用者端末50からのユーザ情報登録画面62の要求を受け付けた管理サーバ30は、データを読み出して(S103)ユーザ情報登録画面62を生成し(S104)、当該利用者端末50に送信する(S105)。ユーザ情報登録画面62を受信した利用者端末50のブラウザには、図12に示すようなユーザ情報登録画面62が表示される。
図12に示すユーザ情報登録画面62には、ユーザ情報入力部62aと「登録」ボタン62bが含まれる。ユーザ情報入力部62aには、「氏名」「性別」「生年月日」「身長」「要介護度」「車椅子タイプ」「シーティングデバイスID」「体重」「保険タイプ」「障害タイプ」「30分以上の運動頻度」などの入力ボックスが含まれる。なお、ここに示す登録項目は一例であり、これ以外の項目、たとえば、「年齢(年代)」や「職業」「住まい(住所)」「歩行の可否」「障害部位」といった項目を含めることもできる。
利用者端末50は、当該利用者端末50のブラウザに表示されたユーザ情報登録画面62のユーザ情報入力部62aにユーザ情報が入力され(S106)、「登録」ボタン62bが選択されると(S107)、管理サーバ30に対してユーザ登録を要求する(S108)。
利用者端末50からのユーザ登録の要求を受け付けた管理サーバ30は、当該ユーザ情報をDBサーバ340のユーザ情報記憶部341に記憶(登録)する(S109)とともに、図示しない登録完了画面を生成して(S110)当該利用者端末50に送信する(S111)。
(処理3:データ参照処理)
図13は利用者端末50を用いてデータ参照をする際のシーケンス図である。図13に示すように、利用者端末50は、当該利用者端末50に表示されるメインメニュー61a(図10(b))から「データ参照」ボタン61cが選択されると(S201)、管理サーバ30に対してデータ参照画面63を要求する(S202)。
利用者端末50からデータ参照画面63の要求を受け付けた管理サーバ30は、データを読み出して(S203)当該利用者向けのデータ参照画面63を生成し(S204)、当該利用者端末50に送信する(S205)。データ参照画面63を受信した利用者端末50のブラウザには、図14(a)に示すようなデータ参照画面63が表示される。
図14(a)に示すように、この実施形態のデータ参照画面63は、「リアルタイム」タブ63aと「期間指定」タブ63bの切り替えによって、「リアルタイム」モードと「期間指定」モードを選択できるように構成されている。「リアルタイム」モードでは、リアルタイムデータを参照することができ、「期間指定」モードでは任意の期間中のデータの平均値を参照することができる。
図13に示すように、利用者端末50は、当該利用者端末50のブラウザに表示されたデータ参照画面63で「リアルタイム」タブ63aが選択されると(S206)、管理サーバ30に対してリアルタイム情報の表示を要求する(S207)。
利用者端末50からリアルタイム情報の要求を受け付けた管理サーバ30は、データを読み出して(S208)リアルタイム情報を生成し(S209)、当該利用者端末50に送信する(S210)。リアルタイム情報を受信した利用者端末50のブラウザには、図14(a)に示すようなリアルタイム情報を含む画面が表示される。
この実施形態の「リアルタイム」モードのデータ参照画面63には、座面X1(座面センサ14a)にかかる圧力を圧力値に応じて色分け表示した座面ヒートマップ81と、背凭れX2(背面センサ14b)にかかる圧力を圧力値に応じて色分け表示した背面ヒートマップ82が表示される。この実施形態では、座面ヒートマップ81上に、重心位置を示す点(重心点)81aが表示されるようにしてある。
図14(a)(b)に示すように、この実施形態では、座面ヒートマップ81の下側に「ずれ力表示」のチェックボックス81bが表示されるようにしてある。図13に示すように、利用者端末50は、当該利用者端末50のブラウザ上で「ずれ力表示」のチェックボックス81bにチェックが入れられると(S211)、管理サーバ30に対してずれ力マップ83の表示を要求する(S212)。
利用者端末50からずれ力マップ83の要求を受け付けた管理サーバ30は、データを読み出して(S213)ずれ力マップ83を生成し(S214)、当該利用者端末50に送信する(S215)。図14(b)に示すように、ずれ力マップ83を受信した利用者端末50のブラウザには、座面ヒートマップ81上にずれ力マップ83が重ねて表示される。管理サーバ30は、利用者端末50のブラウザ上で「ずれ力表示」のチェックボックス81bのチェックが外されると、表示中のずれ力マップ83を非表示に切り替える。
「リアルタイム」モードのデータ参照画面63に表示される座面ヒートマップ81や背面ヒートマップ82、ずれ力マップ83は、管理サーバ30にリアルタイムで送られるデータに基づいて生成されるものである。
図14(a)に示すように、この実施形態の「リアルタイム」モードのデータ参照画面63には、座面ヒートマップ81や背面ヒートマップ82のほか、「記録開始」ボタン63c、「記録終了」ボタン63d、「保存」ボタン63e、オフセット入力部63f、レコード一覧表示部63g、「再生」ボタン63h、「停止」ボタン63i等が表示される。
前記「記録開始」ボタン63cは、座面ヒートマップ81や背面ヒートマップ82の変化の記録を開始するためのボタン、「記録終了」ボタン63dはその記録を停止するためのボタンである。管理サーバ30は、利用者端末50のブラウザ上で「記録開始」ボタン63cが選択されると、座面ヒートマップ81や背面ヒートマップ82の変化の記録を開始し、「記録終了」ボタン63dが選択されるとその記録を停止する。
前記オフセット入力部63fは録画開始のタイミングを設定するための数値を入力する部分である。オフセット入力部63fには、正の数、0(ゼロ)又は負の数を入力することができる。管理サーバ30は、利用者端末50のブラウザ上でオフセット入力部63fに正の数(たとえば「2」)が入力されると、「記録開始」ボタン63cのクリック後2秒経ったところから記録を開始し、ゼロが入力されると「記録開始」ボタン63cのクリックと同時に記録を開始し、負の数(たとえば「-2」)が入力されると「記録開始」ボタン63cのクリック2秒前に遡って記録を開始する。
前記「保存」ボタン63eは記録した座面ヒートマップ81や背面ヒートマップ82の変化を保存するためのボタンである。管理サーバ30は、利用者端末50のブラウザ上で「保存」ボタン63eが選択されると、座面ヒートマップ81や背面ヒートマップ82の変化の記録を保存する。
前記レコード一覧表示部63gは、過去に記録したデータの一覧を表示する部分である。レコード一覧表示部63gに表示されるレコード一覧94には、「開始日時」「終了日時」「オフセット」が含まれる。
前記「再生」ボタン63hは、レコード一覧94の中から選択された記録のヒートマップ81、82を再生するためのボタン、「停止」ボタン63iは、再生中のヒートマップ81、82を停止するためのボタンである。
利用者端末50のブラウザ上でレコード一覧94の中から任意の記録が選択され、「再生」ボタン63hが選択されると、当該記録のヒートマップ81、82が再生される。ヒートマップ81、82の再生中に「停止」ボタン63iがクリックされると、当該ヒートマップ81、82の再生が停止される。
図15に示すように、利用者端末50のブラウザに表示されたデータ参照画面63で「期間指定」タブが選択される(S221)と、当該利用者端末50は管理サーバ30に対して指定期間におけるデータの表示を要求する(S222)。指定期間画面の要求を受け付けた管理サーバ30は、データを読み出して(S223)指定期間画面を生成し(S224)、当該利用者端末50に送信する(S225)。
図16(a)に示すように、「期間指定」モードのデータ参照画面63には、期間を簡易的に指定する簡易指定部63jと、期間を詳細に指定する詳細指定部63kと、「更新」ボタン63mが含まれる。簡易指定部63jには、「本日」「昨日」「今月」「過去1週間」「過去1ヶ月」のボタンが用意され、任意のボタンをクリックすることで、期間を指定できるようにしてある。
詳細指定部63kには、年月日入力部及び時間入力部が含まれる。年月日入力部は年月日を入力するボックス、時間入力部は時間を入力するボックスである。「更新」ボタン63mは情報を更新するボタンである。
利用者端末50は、当該利用者端末50のブラウザ上で、年月日入力部及び時間入力部が入力され(S226)、「更新」ボタン63mが選択されると(S227)、管理サーバ30に対して指定期間情報の表示を要求する(S228)。
利用者端末50から指定期間情報の要求を受け付けた管理サーバ30は、データを読み出して(S229)指定期間情報を生成し(S230)、当該利用者端末50に送信する(S231)。指定期間情報を受信した利用者端末50のブラウザには、図16(a)に示すような指定期間情報を含む画面が表示される。
この実施形態の指定期間情報には、動作項目一覧91、座面ヒートマップ81、背面ヒートマップ82、ずれ力マップ83、ずれ力グラフ84、座圧グラフ85が含まれる。
前記動作項目一覧91には、各動作項目について、本日の動作回数、期間平均での動作回数及び目標値の動作回数の一覧が表示される。動作項目としては、「車椅子乗車時間」「乗車回数」「プッシュアップ(ロング・ショート)」「ウェイトシフト左(ロング・ショート)」「ウェイトシフト右(ロング・ショート)」「アクティブ」などが含まれる。
前記座面ヒートマップ81は指定された期間の平均座圧を圧力値に応じて色分け表示したもの、背面ヒートマップ82は指定された期間の平均背圧を圧力値に応じて色分け表示したものである。座面ヒートマップ81上には「リアルタイム」モードのデータ参照画面63に表示される座面ヒートマップ81と同様の重心点81aが表示されるようにしてある。
前記座面ヒートマップ81の下側には「ずれ力表示」のチェックボックス81bが表示されている。図15に示すように、管理サーバ30は、利用者端末50のブラウザ上で「ずれ力表示」のチェックボックス81bにチェックが入れられると(S232)、管理サーバ30に対して、ずれ力マップ83の表示を要求する(S233)。
利用者端末50からずれ力マップ83の要求を受け付けた管理サーバ30は、データを読み出して(S234)ずれ力マップ83を生成し(S235)、当該利用者端末50に送信する(S236)。ずれ力マップ83を受信した利用者端末50のブラウザには、図14(b)に示すように、座面ヒートマップ81上にずれ力マップ83が重ねて表示される。
管理サーバ30は、利用者端末50のブラウザ上で「ずれ力表示」のチェックボックス81bのチェックが外されると、表示中のずれ力マップ83を非表示に切り替える。
前記ずれ力グラフ84は、指定された期間における右座骨、左座骨及び仙骨のずれ力の変化を表すものであり、前記座圧グラフ85は指定された期間における右座骨、左座骨及び仙骨の座圧の変化を表すものである。
「期間指定」モードのデータ参照画面63に表示される座面ヒートマップ81や背面ヒートマップ82、ずれ力マップ83は、指定された期間における座圧の平均値等に基づいて生成されるものである。
なお、「期間指定」モードのデータ参照画面63の右上に表示される「設定」ボタン63n(図16(a))は、行動の目標値の設定や測定する右座骨、左座骨及び仙骨の設定をする画面に移動するためのボタンである。「設定」ボタン63nが選択された場合の処理については後述する。
(処理4:行動照会処理)
図17は利用者端末50を用いて行動照会をする際のシーケンス図である。図17に示すように、利用者端末50は、当該利用者端末50のブラウザ上で、「期間指定」モードのデータ参照画面63の動作項目一覧91から任意の行動が選択される(S241)と、管理サーバ30に対して行動照会画面64を要求する(S242)。
利用者端末50から行動照会画面64の要求を受け付けた管理サーバ30は、データを読み出して(S243)、選択された行動に係る行動照会画面64を生成し(S244)、当該利用者端末50に送信する(S245)。行動照会画面64を受信した利用者端末50のブラウザには、図18に示すような行動照会画面64が表示される。
この実施形態の行動照会画面64には、行動グラフ表示部64a、照会条件入力部64b及び「更新」ボタン64cが含まれ、照会条件入力部64bには、期間指定部64d、単位選択部64e、表示項目選択部64fが含まれる。
行動グラフ表示部64aは選択された行動に関する行動グラフ86を表示する部分、期間指定部64dは行動照会をしたい期間を入力する部分、単位選択部64eは時間単位での行動照会と日単位での行動照会を選択する部分、表示項目選択部64fは参照したい行動を選択する部分であり、「更新」ボタン64cは決定した表示条件に合致する行動グラフ86を表示するためのボタンである。
図17に示すように、利用者端末50は、当該利用者端末50のブラウザに表示された照会条件入力部64bに照会条件が入力され(S246)、「更新」ボタン64cが選択されると(S247)、管理サーバ30に対して当該照会条件に合致する行動グラフ86を要求する(S248)。
利用者端末50から行動グラフ86の要求を受け付けた管理サーバ30は、データを読み出して(S249)行動グラフ86を生成し(S250)、当該利用者端末50に送信する(S251)。行動グラフ86を受信した利用者端末50のブラウザには、図18に示すような行動グラフ86が表示される。図18に示す行動グラフ86は、乗車回数を表すものであり、縦軸が回数、横軸が時間である。行動グラフ86の縦軸及び横軸は、設定された照会条件によって異なる。
(処理5:設定処理)
図19は利用者端末50を用いて測定する座骨や仙骨の位置、各行動の目標値、行動検知の基準値、アラート基準値を設定する際のシーケンス図である。図19に示すように、利用者端末50は、当該利用者端末50のブラウザ上で、図16(a)の「期間指定」モードのデータ参照画面63の右上に表示される「設定」ボタン63nが選択されると(S301)、管理サーバ30に対して設定画面65を要求する(S302)。
利用者端末50から設定画面65の要求を受け付けた管理サーバ30は、データを読み出して(S303)当該利用者向けの設定画面65を生成し(S304)、当該利用者端末50に送信する(S305)。設定画面65を受信した利用者端末50のブラウザには、図20に示すような設定画面65が表示される。
この実施形態の設定画面65には、部位設定部65a、行動目標設定部65b、行動検知基準設定部65c、アラート基準設定部65d、「決定」ボタン65eが含まれる。
前記部位設定部65aは設定する部位を決定する部分である。この実施形態では、部位設定部65aで左座骨、右座骨、仙骨の3つの中から部位を選択できるようにしてある。部位設定部65aに表示された設定マップ87には縦軸及び横軸が表示され、マップ上の任意位置をクリックすることで測定箇所を設定することができる。設定マップ87の右に表示された行表示ブロック65f及び列表示ブロック65gには、設定した測定箇所の座標が数値で表示される。
前記行動目標設定部65bは、「車椅子乗車時間」「乗車回数」「プッシュアップ(ロング・ショート)」「ウェイトシフト左(ロング・ショート)」「ウェイトシフト右(ロング・ショート)」「アクティブ時間」「アクティブ回数」の目標値を設定する部分である。この実施形態では、「車椅子乗車時間」と各行動の目標時間や目標回数を入力すると、1時間あたりの行動時間や行動回数が算出されるようにしてある。
前記行動検知基準設定部65cは、左右のウェイトシフトの荷重軽減率の設定や、アクティブ検知の重心移動距離の設定を行う部分である。左ウェイトシフト荷重軽減は、左へウェイトシフトしたときの右座面の荷重軽減率を表し、右ウェイトシフト荷重軽減は、右へウェイトシフトしたときの左座面の荷重軽減率を表す。
前記アラート基準設定部65dは、アラートを発する基準値を設定する部分である。この実施形態では、高圧力(mmHg)及び高ずれ力(N)を設定できるようにしてある。前記「決定」ボタン65eは、各項目に入力した設定条件を確定するためのボタンである。
なお、アラートは高圧力及び高ずれ力以外の項目で発するようにすることもできる。たとえば、プッシュアップ回数やウェイトシフト回数が行動目標値に達していない場合や、乗車回数が行動目標値に達していない場合などにアラートが発せられるようにすることができる。
アラートは高圧力や高ずれ力、行動目標値からの異常だけでなく、症状や障害、要介護度、日々の体調等の要因によって設定できるようにしてもよい。アラートを発する基準値については、たとえば、管理サーバ30において典型的な基準値を設定し、それが予め設定されるようにしてもよい。
また、管理サーバ30が設定する典型的な基準値に関しては、たとえば、ユーザ情報記憶部341(図6)に記憶した「要介護度」や「障害タイプ」(図7(a))に応じて設定されるようにしてもよい。一例を挙げると、「要介護度」が重度である場合や障害タイプが下肢の障害だけでなく他の部分の麻痺を伴う場合、姿勢の変更を行うこと自体が困難な場合もあるため、通常の基準値を用いるとアラートを発生し続ける状態となってしまう場合もある。
このような状態を回避するために、一部の設定項目については、アラートを発生しにくく(アラートを発生させないようにすることを含む。)するように、上記ユーザ情報記憶部341の「要介護度」や「障害タイプ」に応じて、上記管理サーバ30による典型的な基準値が設定されるようにしてもよい。
図19に示すように、利用者端末50は、当該利用者端末50のブラウザ上で、各設定情報が入力され(S306)、「決定」ボタン65eが選択されると(S307)、管理サーバ30に対して当該設定情報の登録を要求する(S308)。
利用者端末50からの設定情報の登録の要求を受け付けた管理サーバ30は、当該設定情報をデータベースサーバ340の設定条件記憶部345(図6)に記憶(登録)するとともに(S309)、図示しない登録完了画面を生成し(S310)、生成した登録完了画面(図示しない)を当該利用者端末50に送信する(S311)。
(処理6:アドバイス一覧参照処理)
図21は利用者端末50を用いてアドバイス一覧92を参照する際のシーケンス図である。図21に示すように、利用者端末50は、当該利用者端末50のブラウザ上に表示されるメインメニュー61a(図10(b))の「アドバイス」ボタン61dが選択されると(S401)、管理サーバ30に対してアドバイス一覧画面66を要求する(S402)。
利用者端末50からアドバイス一覧画面66の要求を受け付けた管理サーバ30は、データを読み出して(S403)アドバイス一覧画面66を生成し(S404)、当該利用者端末50に送信する(S405)。アドバイス一覧画面66を受信した利用者端末50のブラウザには、図22に示すようなアドバイス一覧画面66が表示される。
この実施形態のアドバイス一覧画面66には、検索条件を入力する検索条件入力部66a、アドバイスを新規作成する「新規」ボタン66b、検索条件に適合するアドバイス一覧92が表示されるアドバイス一覧表示部66c、「検索」ボタン66dが含まれる。
検索条件入力部66aには、「No欄」「カテゴリ欄」「日付欄」「フラグ欄」「アラート欄」の設定欄が、アドバイス一覧表示部66cに表示されるアドバイス一覧92には、「照会欄」「No欄」「カテゴリ欄」「日付欄」「フラグ欄」「アドバイス欄」「アラートNo./カテゴリ欄」「アラート詳細欄」「削除欄」が含まれる。
利用者端末50は、当該利用者端末50のブラウザ上で、検索条件入力部66aの「No」「カテゴリ」「日付」「フラグ」「アラート」のいずれかが設定され(S406)、「検索」ボタン66dが選択されると(S407)、管理サーバ30に対して、アドバイス一覧92を要求する(S408)。
利用者端末50からアドバイス一覧92の要求を受け付けた管理サーバ30は、データを読み出して(S409)検索条件に合致するアドバイス一覧92を生成し(S410)、当該利用者端末50に送信する(S411)。アドバイス一覧92を受信した利用者端末50のブラウザのアドバイス一覧表示部66cには、図22のようなアドバイス一覧92が表示される。
(処理7:アドバイス照会処理)
図23は利用者端末50を用いて特定のアドバイスを照会する際のシーケンス図である。図23に示すように、利用者端末50は、当該利用者端末50のブラウザ上に表示されたアドバイス一覧92の任意の「照会」ボタンが選択されると(S501)、管理サーバ30に対して指定されたアドバイスの詳細を示すアドバイス照会画面67の表示を要求する(S502)。
利用者端末50からアドバイス照会画面67の要求を受け付けた管理サーバ30は、データを読み出して(S503)アドバイス照会画面67を生成し(S504)、当該利用者端末50に送信する(S505)。利用者端末50のブラウザには、図24に示すようなアドバイス照会画面67が表示される。
このアドバイス照会画面67には、基本情報表示部67a、動作項目一覧91、座面ヒートマップ81、背面ヒートマップ82、ずれ力マップ83(図14(a)(b)参照)、ずれ力グラフ84、座圧グラフ85が含まれ、基本情報表示部67aには、「No欄」「期間指定欄」「カテゴリ欄」「フラグ欄」「アラート欄」「アドバイス欄」が含まれる。
(処理8:アラート照会処理1)
図25は利用者端末50のブラウザに表示されたアドバイス照会画面67から、特定のアラートの詳細を照会する際のシーケンス図である。図25に示すように、利用者端末50は、当該利用者端末50のブラウザ上でアラート欄の横の「照会」ボタンが選択されると(S601)、管理サーバ30に対して指定されたアラートの詳細を示すアラート照会画面70を要求する(S602)。
利用者端末50からアラート照会画面70の要求を受け付けた管理サーバ30は、データを読み出して(S603)アラート照会画面70を生成し(S604)、当該利用者端末50に送信する(S605)。アラート照会画面70を受信した利用者端末50のブラウザには、図31(b)に示すようなアラート照会画面70が表示される。アラート照会画面70の詳細については後述する。
(処理9:アラート照会処理2)
図26は利用者端末50のブラウザに表示されたアドバイス一覧画面66から、特定のアラートの詳細を照会する際のシーケンス図である。この処理は前記処理8と同様である。具体的には、図26に示すように、利用者端末50は、当該利用者端末50のブラウザ上でアドバイス一覧92のアラート詳細の中から任意の「参照」ボタンが選択されると(S701)、管理サーバ30に対して指定されたアラートに関するアラート照会画面70を要求する(S702)。
利用者端末50からアラート照会画面70の要求を受け付けた管理サーバ30は、データを読み出して(S703)アラート照会画面70を生成し(S704)、当該利用者端末50に送信する(S705)。アラート照会画面70を受信した利用者端末50のブラウザには、図31(b)に示すようなアラート照会画面70が表示される。アラート照会画面70の詳細については後述する。
(処理10:アドバイス削除処理)
図27は利用者端末50に表示されたアドバイス一覧画面66から、特定のアドバイスを削除する際のシーケンス図である。図27に示すように、利用者端末50は、当該利用者端末50のブラウザに表示されたアドバイス一覧92の削除欄の中から任意の「削除」ボタンが選択されると(S711)、管理サーバ30に対して指定されたアドバイスの削除を要求する(S712)。
利用者端末50からアドバイス削除の要求を受け付けた管理サーバ30は、ポップアップ表示される削除確認画面(図示しない)を生成し(S713)、当該利用者端末50に送信する(S714)。
利用者端末50は、当該利用者端末50のブラウザにポップアップ表示された削除確認画面で「確認」ボタンが選択されると(S715)、管理サーバ30に対して当該アドバイスの削除(確定)を要求する(S716)。
利用者端末50からアドバイス削除(確定)の要求を受け付けた管理サーバ30は、当該アドバイスをDBサーバ340のアドバイス情報記憶部344から削除する(S717)とともに、図示しない削除完了画面を生成し(S718)、生成した削除完了画面を当該利用者端末50に送信する(S719)。
(処理11:アドバイス新規登録処理)
図28は理学療法士が利用者端末50を通じてアドバイスを新規に登録する際のシーケンス図である。図28に示すように、利用者端末50は、当該利用者端末50のブラウザに表示されるアドバイス一覧画面66の「新規」ボタンが選択されると(S721)、管理サーバ30に対して新規アドバイス入力画面68を要求する(S722)。
利用者端末50から新規アドバイス入力画面68の要求を受け付けた管理サーバ30は、データを読み出して(S723)新規アドバイス入力画面68を生成し(S724)、当該利用者端末50に送信する(S725)。新規アドバイス入力画面68を受信した利用者端末50のブラウザには、図29(a)に示すような新規アドバイス入力画面68が表示される。
この新規アドバイス入力画面68には、条件設定部68a、アドバイス入力部68b、「決定」ボタン68cのほか、一覧表示部68d、座面ヒートマップ81、背面ヒートマップ82、ずれ力マップ83(図示しない)、ずれ力グラフ84、座圧グラフ85が含まれ、条件設定部68aには、「期間指定欄」「カテゴリ欄」「フラグ欄」「アラート欄」が含まれる。
利用者端末50は、当該利用者端末50のブラウザに表示された新規アドバイス入力画面68で条件やアドバイスが入力され(S726)、「決定」ボタン68cが選択されると(S727)、管理サーバ30に対して新規アドバイスの登録を要求する(S728)。
利用者端末50から新規アドバイスの登録要求を受け付けた管理サーバ30は、図29(b)のようにポップアップ表示される登録確認画面68eを生成し(S729)、当該利用者端末50に送信する(S730)。利用者端末50のブラウザには、図29(b)に示すような登録確認画面68eがポップアップ表示される。
利用者端末50は、当該利用者端末50のブラウザ上にポップアップ表示された登録確認画面68eで「登録」ボタン68fが選択されると(S731)、管理サーバ30に対して新規アドバイスの登録(確定)を要求する(S732)。
利用者端末50から新規アドバイス登録(確定)の要求を受け付けた管理サーバ30は、当該アドバイスをDBサーバ340のアドバイス情報記憶部344に登録する(S733)とともに、車椅子利用者端末50に対してはアドバイスを送信し(S735)、アドバイス提供者端末50に対しては図示しない登録完了画面を生成して(S734)送信する(S736)。アラートと同様、この実施形態では、アドバイスも利用者端末50にインストールされた(利用者端末50で閲覧可能な)SNSに送信されるようにしてある。これにより、車椅子利用者が気づきやすくなり、迅速な対応(行動)が可能となる。ただし、アドバイスは利用者端末50で閲覧可能な電子メールで送信されるようにすることもできる。
(処理12:アラート一覧参照処理)
図30は利用者端末50に表示されたメイン画面61から、アラート一覧93を参照する際のシーケンス図である。図30に示すように、利用者端末50は、当該利用者端末50のブラウザ上でメインメニュー61a(図10(b))の「アラート」ボタン61eが選択されると(S801)、管理サーバ30に対してアラート一覧画面69を要求する(S802)。
利用者端末50からアラート一覧画面69の要求を受け付けた管理サーバ30は、データを読み出して(S803)アラート一覧画面69を生成し(S804)、当該利用者端末50に送信する(S805)。アラート一覧画面69を受信した利用者端末50のブラウザには、図31(a)に示すようなアラート一覧画面69が表示される。
この実施形態のアラート一覧画面69には、検索条件を入力する検索条件入力部69a、検索条件に適合するアラート一覧93が表示されるアラート一覧表示部69b、「検索」ボタン69cが含まれる。検索条件入力部69aには、「No欄」「カテゴリ欄」「日付欄」「フラグ欄」の設定欄が、アラート一覧表示部69bに表示されるアラート一覧93には、「照会欄」「No欄」「カテゴリ欄」「日付欄」「フラグ欄」「アラート内容欄」「関連アドバイス欄」が含まれる。
利用者端末50は、利用者端末50のブラウザに表示されたアラート一覧画面69において、検索条件入力部69aの「No欄」「カテゴリ欄」「日付欄」「フラグ欄」「アラート欄」のいずれかが設定され(S806)、「検索」ボタン69cが選択されると(S807)、管理サーバ30に対して、アラート一覧93を要求する(S808)。
利用者端末50からアラート一覧93の要求を受け付けた管理サーバ30は、データを読み出して(S809)検索条件に合致するアラート一覧93を生成し(S810)、当該利用者端末50に送信する(S811)。アラート一覧93を受信した利用者端末50のブラウザのアラート一覧表示部69bには、図31(a)のようなアラート一覧93が表示される。
(処理13:アラート照会処理3)
図32は利用者端末50に表示されたアラート一覧画面69から、特定のアラートの詳細を照会する際のシーケンス図である。図32に示すように、利用者端末50は、当該利用者端末50のブラウザ上でアラート一覧93の中から任意の「照会」ボタンが選択されると(S821)、管理サーバ30に対して指定されたアラートに関するアラート照会画面70を要求する(S822)。
利用者端末50からアラート照会画面70の要求を受け付けた管理サーバ30は、データを読み出して(S823)アラート照会画面70を生成し(S824)、当該利用者端末50に送信する(S825)。アラート照会画面70を受信した利用者端末50のブラウザには、図31(b)に示すようなアラート照会画面70が表示される。
この実施形態のアラート照会画面70には、基本情報表示部70a、「アドバイス入力」ボタン70b、「戻る」ボタン70c、一覧表示部70d、座面ヒートマップ81、背面ヒートマップ82、ずれ力マップ83(図示しない)、ずれ力グラフ84、座圧グラフ85が含まれ、基本情報表示部70aには「No欄」「発生期間欄」「カテゴリ欄」「フラグ欄」「アラート欄」「アドバイス欄」「照会」ボタンが含まれる。利用者端末50の利用者は、アラート照会画面70からアラートの内容やアラートに紐づく各種データ(一覧やマップ、グラフなど)を閲覧することができる。
(処理14:関連アドバイス照会処理)
図33は利用者端末50に表示されたアラート照会画面70から、当該アラートに関連するアドバイスを参照する際のシーケンス図である。図33に示すように、利用者端末50は、当該利用者端末50のブラウザに表示されたアラート照会画面70(図31(b))で、アドバイス欄の右側に表示された「照会」ボタンが選択されると(S901)、管理サーバ30に対して、当該アラートに関連する関連アドバイス一覧(図示しない)を要求する(S902)。
利用者端末50から関連アドバイス一覧の要求を受け付けた管理サーバ30は、データを読み出して(S903)関連アドバイス一覧を生成し(S904)、当該利用者端末50に送信する(S905)。関連アドバイス一覧を受信した利用者端末50のブラウザには、図22のアドバイス一覧92と同様の関連アドバイス一覧が表示される。
本実施形態の褥瘡防止システムによれば、車椅子利用者はリアルタイムでアラートやアドバイスを受けられるため、その都度体勢を変えるなどすることで、褥瘡リスクを抑えることができる。また、自身の座り癖や姿勢のずれなどを、座面ヒートマップ81や背面ヒートマップ82をはじめ、ずれ力マップ83やずれ力グラフ84、座圧グラフ85、行動グラフ86など、視覚的に理解しやすい図表で確認することができる。
本実施形態の褥瘡防止システムによれば、車椅子利用者に限らず、理学療法士や介護士、家族、医療関係者、保険関係者などが、自身の利用者端末50を用いて管理サーバ30から提供される情報を閲覧することができ、車椅子利用者を含む関係者間で情報を共有することができるため、車椅子利用者に対して、共通認識を持って適切なサポートを行うことができる。
(その他の実施形態)
前記実施形態では、車椅子利用者の褥瘡を防止する褥瘡防止システムに適用する場合を一例としているが、本願におけるシーティングデバイス10は、自動車を長時間運転する人やデスクワークを長時間行う人に対してリアルタイムに情報を伝える肩こり防止システムや腰痛防止システムなどを構築するにあたり利用することもできる。
前記実施形態の管理サーバ30で生成される一覧やマップ、グラフは一例であり、管理サーバ30でこれら以外の図表が作成されるようにすることもできる。
前記実施形態では、高圧アラート、除圧不足アラート及び高ずれ力アラートが発せられる場合を一例としているが、これら以外のアラートが発せられるようにすることもできる。
前記実施形態では説明を省略しているが、シーティングデバイス10は座面X1に置くクッション材を含む構成とすることもできる。この場合、クッション材には、エアの吸排気によって部分的に空気圧を変えることのできる機構を備えたものを用いることができる。このようなクッション材を用いる場合、センサ14で検知した座圧に応じて空気圧が自動で調整され、車椅子利用者自身が除圧動作を行わなくても除圧を行えるようにすることができる。
前記実施形態ではセンサユニット11として、センサ14が貼付されたセンサシート13をシートカバー15で被覆したものを一例としているが、センサシート13としてポリイミド等の薄膜フィルムを使用し、その薄膜フィルムに所定数のセンサ14を実装したものをウレタンフォームなどのシートカバー15で被覆したもの(一枚物センサ)を用いることもできる。この場合、センサ14に接続されたコネクタやコードもウレタンフォームの内側に収まるようにする。一枚物センサは、3~5mm程度の厚さとなるように構成するのが好ましい。
薄膜フィルムは、厚さ0.1~1.0mm、好ましくは厚さ0.1~0.5mm程度とすることができる。センサシート13には、ポリイミド薄膜フィルムなどのベースフィルムに銅箔などの導体箔を貼り合わせたフレキシブルプリント回路基板(FPC)などを用いることもできる。
車椅子Xのクッション(座面X1に載せるものを含む)には、空気圧によって形が変わるものや内部にジェル状材料が含まれたもの、内部がハニカム構造のもの、ウレタンフォーム製のもの、表面に凹凸を備えたものなど様々なものがあり、表面に凹凸が並ぶようなクッションに特許文献1のような織物状のセンサを載せると、検知部が凹凸の間に落ち込んだときに、座圧を正確に検知できないことがある。これに対し、上述したシート状のセンサユニット11であれば、座面センサ14aがクッションの凹凸の間に落ち込むことがなく、座圧を正確に検知することができる。
なお、一枚物センサとすると場合、座面X1に置く部分と背凭れX2の手前に置く部分の双方をまとめて一枚物センサとすることも、双方のそれぞれを別々に一枚物センサとすることもできる。センサユニット11を一枚物センサとする場合、車椅子Xの折り畳み方向を考慮して、たとえば左右半分に折りたためるような構成とすることもできる。
前記実施形態では、管理サーバ30に前述あるいは後述する各処理を実行させる(コンピュータを、各処理を行うサーバとして機能させる)ためのプログラム(アプリケーションプログラム)が、管理サーバ30に格納されている場合を一例としているが、このプログラムは管理サーバ30で読み取り可能な記憶媒体に格納しておくこともできる。なお、ここでいうコンピュータとはいわゆる電子計算機のことであり、PCのほか、スマートフォンやタブレット端末などの各種電子計算機を含む広い概念である。
前記実施形態では、座面部11aと背面部11bの双方を備えたセンサユニット11を一例としているが、座圧データのみを取得できればよい場合には、背面部11b(背面シート13bや背面カバー15bを含む)は省略することもできる。また、背圧データのみを取得できればよい場合には、座面部11a(座面シート13aや座面カバー15aを含む)は省略することもできる。
前記実施形態では、理学療法士が新規アドバイスを登録する場合を一例としているが、医師や看護師、介護士などが、自身の利用する利用者端末50を用いてアドバイスを登録することもできる。この場合も、管理サーバ30において理学療法士が新規アドバイスを登録する場合と同様の処理が行われる。
前記実施形態では、管理サーバ30においてすべての処理が行われる場合を一例として説明したが、管理サーバ30は常にすべての処理を行うように構成する必要はなく、必要な処理のみが実行されるように構成することができる。また、前記実施形態で示した各種処理は一例であり、管理サーバ30において前述した処理以外の処理が実行されるようにすることもできる。前記実施形態に示した各種処理は、ハードウェアによって実行させるほか、ソフトウェアによって実行させることもできる。
前記褥瘡防止システムでは、重心位置や背面圧力から着座者の姿勢を測定する機能を実装することができる。具体的には、重心位置と、座面X1や背凭れX2の圧力の関係から、正中、左寄り、右寄り、左ひねり、右ひねり、左足クロス、右足クロス、左背凭れ寄り掛かり、右背凭れ寄り掛かりといった姿勢予測をすることができる。車椅子利用者をはじめ、本褥瘡防止システムの利用者は、自己の利用者端末50から姿勢情報を閲覧することができる。
前記姿勢測定機能を実装する場合、管理サーバ30では次のような処理が行われる。たとえば、利用者端末50に表示される姿勢情報閲覧ページから姿勢情報の閲覧が要求されると、管理サーバ30は、データを読み出して着座者姿勢画面を生成し、生成された着座者姿勢画面を当該利用者端末50に送信する。着座者姿勢画面には、たとえば、正中、左寄り、右寄り、左ひねり、右ひねり、左足クロス、右足クロス、左背凭れ寄り掛かり、右背凭れ寄り掛かり等の姿勢ラベルが表示される。
着座者の姿勢が正中、左寄り、右寄り、左ひねり、右ひねり、左足クロス、右足クロス、左背凭れ寄り掛かり、右背凭れ寄り掛かり等のいずれに該当するかは、たとえば、次の方法で判定することができる。すなわち、座圧、背圧、重心位置データの組み合わせから複数の条件を設定するとともに、条件Aの場合には「正中」、条件Bの場合には「左寄り」、条件Cの場合には「右寄り」というように設定しておき、取得データと設定した条件とを比較して、着座者の姿勢がどの条件を満たすかによって、姿勢を判定することができる。ここで示す姿勢の判定方法は一例であり、姿勢の判定はこれ以外の方法で行うこともできる。
車椅子利用者は、自己の利用する利用者端末50に表示された着座者姿勢画面を閲覧することで、自身の生活目標や行動目標を設定しやすくなるとともに、モチベーションの維持や向上、行動変容につなげることができる。
また、車椅子利用者の主治医や担当理学療法士は、着座者姿勢画面に表示される姿勢情報に基づいて、どのような点を改善すべきか、どのような運動を増やすべきかといったことをアドバイスすることができる。アドバイスは、たとえば、前記処理11(アドバイス新規登録処理)に示す手順で登録することができ、車椅子利用者は前記処理6(アドバイス一覧参照処理)に示す手順でアドバイス一覧92を参照し、前記処理7(アドバイス照会処理)に示す手順でアドバイスを閲覧することができる。
前記褥瘡防止システムでは、車椅子利用者が自主的にトレーニングを行えるような機能を実装することもできる。ここでいうトレーニングには、腹筋や背筋、側屈、回旋などが含まれる。なお、腹筋や背筋、側屈、回旋などの各種トレーニングは、車椅子利用者が車椅子X上で行うことができるものである。
たとえば、座位や座圧データなどに基づいて必要なトレーニングパターンを予め管理サーバ30に設定しておき、実際に取得されたデータと設定されたトレーニングパターンの座位や座圧データなどを比較してトレーニングパターンを特定する。車椅子利用者は、利用者端末50に表示されるトレーニングパターンを閲覧し、当該トレーニングを実行することができる。
前記トレーニング機能を実装する場合、管理サーバ30では次のような処理が行われる。たとえば、利用者端末50に表示されるトレーニングページからトレーニング情報の閲覧が要求されると、管理サーバ30は、データを読み出してトレーニング情報画面を生成し、生成されたトレーニング情報画面を当該利用者端末50に送信する。トレーニング情報画面には、具体的に行うべきトレーニングの内容が表示される。
トレーニング機能を実装する場合、たとえば、トレーニングモードを設定ができるようにし、指定されたトレーニングができているか否かを、重心位置の動きなどから判定できるようにしてもよい。担当理学療法士などは、その判定結果に基づいて、トレーニングが適切に行われているか否かを判定したり、その後のトレーニング内容を決定したりすることができる。トレーニング機能は、遠隔リハビリの際に利用することもできる。
前記褥瘡防止システムでは、利用者端末50上で比較情報を閲覧できる機能を実装することもできる。たとえば、任意の二つの時点(日単位、週単位、月単位など)における自身の行動履歴の比較のほか、自身と同一年代の他者や自身と同一地域在住の他者、自身と障害タイプが同一の他者、自身と職業が同一の他者など、共通事項を有する他者との比較情報を閲覧することができる。比較情報としては、ある期間の平均値のほか、ある期間の最大値や最小値といった情報を用いることができる。
この機能を実装する場合、管理サーバ30では次のような処理が行われる。たとえば、利用者端末50に表示される比較情報の閲覧ページから比較情報の閲覧が要求されると、管理サーバ30は、データを読み出して比較画面を生成し、生成された比較画面を当該利用者端末50に送信する。利用者端末50に表示された比較画面を閲覧することで、車椅子利用者は自身の生活目標や行動目標を設定しやすくなるとともに、モチベーションの維持や向上、行動変容につなげることができる。
また、比較情報は遠隔リハビリを担当する理学療法士が遠隔リハビリを実施する際に、自身の利用する利用者端末50で閲覧することもできる。遠隔リハビリを担当する理学療法士が、たとえば、任意の二つの時点における車椅子利用者の行動履歴情報を閲覧することで、的確なリハビリプランを考え、車椅子利用者に提案することができる。
前記褥瘡防止システムでは、生活動作を点数化し、数値としての指標を示す機能を実装することもできる。たとえば、乗車時間や座圧、ずれ力、各動作等について時間や回数等に応じて点数を設定した点数換算表を予め管理サーバ30に登録しておき、実際に取得されたデータを点数換算表と比較して点数を算出し、当該点数を利用者端末50で閲覧できるようにすることができる。
この機能を実装する場合、管理サーバ30では次のような処理が行われる。たとえば、利用者端末50に表示される生活スコア閲覧ページから生活スコアの閲覧が要求されると、管理サーバ30は、データを読み出して生活スコア画面を生成し、生成された生活スコア画面を当該利用者端末50に送信する。利用者端末50に表示された生活スコア画面を閲覧することで、利用者は自身の生活目標や行動目標を設定しやすくなるとともに、モチベーションの維持や向上、行動変容につなげることができる。
また、医療関係者やケアマネージャー、福祉用具相談員などは、自身が利用する利用者端末50に表示される生活スコア画面を閲覧することで、処理やケアプランの最適化などを図ることができる。
前記褥瘡防止システムでは、位置情報や移動スピード、路面状況等を算出し、これら情報を利用者端末50で閲覧できるような機能を実装することもできる。
たとえば、シーティングデバイス10にGPSモジュール(GPS機能を備えた通信モジュール等を含む)を実装し、そのGPSモジュールで位置情報データを取得することができる。この場合、管理サーバ30において、取得した位置情報データに座圧や背圧、重心位置、アクティブ等の情報を組み合わせることで、移動手段(車や電車を利用しているか、自分で車椅子Xを漕いでいるかなど)が判定されたり、車椅子Xでの移動距離や移動速度などが算出されるようにすることもできる。
また、管理サーバ30において、取得した位置情報や移動スピード、座面X1及び背凭れX2のデータ等から、車椅子利用者が移動する路面の状況(傾斜や悪路、段差など)や移動状況(モビリティ使用の有無など)、介助の有無といった移動環境が測定されるようにすることもできる。
このような機能を実装することで、車椅子利用者の生活状況のほか、車椅子利用者が抱える生活環境の問題点を詳細に把握することができるため、いわゆるスマートウェルネスシティ構想に生かすことができる。
これらの情報を閲覧したい自治体は、たとえば、自治体が利用する利用者端末50に表示される車椅子利用者の生活情報閲覧ページから生活情報の閲覧が要求されると、管理サーバ30は、データを読み出して生活情報画面を生成し、生成された生活情報画面を当該利用者端末50に送信する。利用者端末50に表示された生活情報画面を閲覧することで、自治体は当該生活情報を踏まえたうえで、車椅子利用者をその対象に含むスマートウェルネスシティを構築することができ、車椅子利用者やその家族、介助者等の生活が大きく改善することが期待できる。
(その他の実施形態)
前記実施形態の褥瘡防止システムでは、センサ14として高分子厚膜フィルムの一種である圧力センサ(図3(a)(b)参照)を用いる場合を一例としているが、センサ14にはこれ以外のものを用いることができる。たとえば、センサ14として、図34に示すような導電性を備えた糸(以下「導電糸」という)114を用いて構成された圧力センサを用いることができる。
図34に示すセンサ14は、縫い糸115を用いてベース布116に縫い付けられた抵抗布117に、正極側と負極側の二本の導電糸114が渦巻き状に縫いつけられている。各導電糸114は図示しない下糸に通されている。導電糸114の縫い付け形状は渦巻き状に限らず、それ以外の形状とすることもできる。
ベース布116のうち抵抗布117のない部分は導線部領域となり、抵抗布117に渦巻き状に縫い付けられた各導電糸114の一端は当該抵抗布117をはみ出して導線部領域に縫い付けられ、電極118が形成されている。下衣側着用具111や上衣側着用具112には、電極118を介してコントロールユニット12が接続される。
この実施形態では、導電糸114としてポリアミド性の導電糸、縫い糸115としてポリエステル製の糸、ベース布116としてフェルト製の布材、抵抗布117としてカーボンメッシュクロス製の布材を用いている。導電糸114や縫い糸115、ベース布116、抵抗布117には、これら以外のものを用いることもできる。
正極側と負極側の二本の導電糸114が縫い付けられた領域のそれぞれがセンシング領域となり、前述の座面センサ14aや背面センサ14bと同様、導電糸114を用いて構成されるセンサでも、個々のセンサ14にかかる圧力を絶対値として特定することができる。ここで説明したセンシングデバイス100は一例であり、センシングデバイス100には、前記以外の設置型デバイスや車椅子利用者が着用する着用型のデバイス(以下「着用型デバイス」という)を用いることができる。
前記褥瘡防止システムでは、センシングデバイス100として設置型デバイス(シーティングデバイス10)を用いる場合を一例としているが、センシングデバイス100には着用型デバイスを用いることもできる。
着用型デバイスとしては、たとえば、図35(a)(b)に示すような車椅子利用者が着用可能な下衣(かい)や上衣(じょうい)等にセンサを搭載したものを用いることができる。上衣とは上半身に着る衣服のことであり、いわゆるトップスに相当する。また、下衣とは下半身に着る衣服のことであり、いわゆるボトムスに相当する。
一例として図35(a)(b)に示す着用型デバイスは、下半身に着用する下衣側着用具111(図35(a))と、上半身に着用する上衣側着用具112(図35(b))を備えている。この実施形態の下衣側着用具111は長ズボンのような形態であり、着用者の脚部が収まる二本の脚部被覆部111aと、脚部の付け根から腰部付近が収まる股上側被覆部111bを備えている。
両脚部被覆部111aの大腿部の背面側の領域(大腿部領域)と股上側被覆部111bの臀部の背面側の領域(臀部領域)には、前記シーティングデバイス10の座面センサ14aに相当するセンサ113(以下「下衣側センサ113a」という)が設けられており、下衣側着用具111を構成する布材が存在する領域において、前記シーティングデバイス10の非設置領域14cに相当する非設置領域が設けられている。
下衣側着用具111を構成する布材が存在する領域においても下衣側センサ113aが配置されない非設置領域を設けることで、前記シーティングデバイス10の場合と同様に、下衣側センサ113aの数を最小限に抑えることができ、この結果、データを管理サーバ30(外部機器)に送信する時間を短縮することができ、車椅子利用者にリアルタイムに情報を伝えられるシステムを構築することができる。
なお、下衣側着用具111の大腿部領域と臀部領域以外の部分も、センサ113が設けられていない非設置領域として扱うことができ、この場合でいう非設置領域には、両脚部被覆部111aの間の下衣側着用具111を構成する布材が存在しない空間部分も含む。
また、この実施形態の上衣側着用具112はTシャツのような形態であり、胴体部112aと両袖部112bを備えている。胴体部112aの背面側(背面領域)には、前記シーティングデバイス10の背面センサ14bに相当するセンサ113(以下「上衣側センサ113b」という)が設けられている。
下衣側センサ113a及び上衣側センサ113bには、図3(a)(b)に示すような高分子厚膜フィルムの一種である圧力センサや、図34に示すような導電糸114を用いて構成された圧力センサ等を用いることができる。下衣側センサ113a及び上衣側センサ113bとして、導電糸114を用いて構成された圧力センサを用いる場合、下衣側着用具111や上衣側着用具112を構成する布材をベース布116として用いることができる。
本発明は、前記実施形態の構造及び形状のものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない限りにおいて種々の変形、変更が可能である。たとえば、本発明は前記褥瘡防止システム以外の情報処理システムに適用することもできる。この場合、情報処理システムを構成する要素は前記褥瘡防止システムの構成と異なる構成とすることができる。また、管理サーバ30の構成も構築する情報処理システムに合わせて設計すればよく、管理サーバ30に実装された機能を複数のサーバに分散することも、単一のサーバに集約することもできる。また、情報処理システムは全体として機能すればよく、いずれの機能をいずれの装置に実装するかは、構築する情報処理システムに合わせて設計することができる。また、表示される各画面の構成は一例であり、各画面の構成は前記実施形態とは異なる構成とすることができる。