JP7182172B2 - Iii族窒化物半導体装置 - Google Patents

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Description

本発明はIII族窒化物半導体装置に関するものである。
III族窒化物半導体はIII族元素(Ga、Al、In等)を組み合わせることにより、広いバンドギャップを実現できることから、光半導体デバイスであるLED、LDや、高周波、高出力用電子デバイス等に広く応用されている。III族窒化物半導体デバイスは、一般的にはサファイア基板上にIII族窒化物半導体層をエピタキシャル成長させて作製されている。しかしながら、サファイア基板とIII族窒化物半導体(GaN)との、{(GaNの格子定数-サファイアの格子定数)/GaNの格子定数}にて表記される格子不整合は13.8%と大きい。そのため、III族窒化物半導体エピタキシャル層内の欠陥密度が高くなってしまう、という課題が生じる。
当該課題に対し、III族窒化物半導体との格子不整合を低減させる新規基板として、ScAlMgO基板が提案されており、ScAlMgO基板を用いたGaNエピタキシャル技術が開示されている(特許文献1)。ScAlMgOとGaNとの格子不整合は-1.8%と小さい。したがって、ScAlMgO基板上に作製したIII族窒化物半導体は、高品質・高性能半導体デバイスへの展開が期待されている。
特開2015-178448号公報
特許文献1に開示されている、III族窒化物半導体のエピタキシャル成長に用いるScAlMgO基板は、ScAlMgO単結晶体を(0001)面にて壁開することで得られる。(0001)面にて壁開されたScAlMgO基板には、理想的には表面に凹凸(ステップ)が存在しないことが望まれる。しかしながら、実際には壁開の精度により、表面にステップを有してしまい、数百nm以上の大きな凹凸を有する箇所も存在してしまう。これらのScAlMgO基板表面に存在するステップは、III族窒化物半導体のエピタキシャル成長において、欠陥形成などの不具合を生じさせてしまう。特に、ScAlMgO基板のステップ高さは、少なくとも8.387Åであり、比較的大きい。そのため、従来のステップを有するサファイア基板やGaN基板上にIII族窒化物半導体を成長させる場合とは異なり、ステップ端部において、III族窒化物半導体膜に欠陥が生じやすい、という課題がある。
本開示は、以上の課題を解決すべくなされたものであり、ScAlMgO基板上に高品質なIII族窒化物半導体層を有するIII族窒化物半導体装置の提供を目的とする。
上記課題を解決するために、本開示は、ScAlMgO基板上に、厚さ方向に第1Sc濃度勾配を有する第1III族窒化物層、厚さ方向に第2Sc濃度勾配を有する第2III族窒化物層、および厚さ方向に第3Sc濃度勾配を有する第3III族窒化物層、がこの順に配されたIII族窒化物半導体層を有し、第2Sc濃度勾配>第1Sc濃度勾配、かつ第2Sc濃度勾配>第3Sc濃度勾配である、III族窒化物半導体装置を提供する。
本開示のIII族窒化物半導体装置は、高品質なIII族窒化物半導体層を有し、より高性能なデバイスを供給することが可能となる。
ScAlMgO結晶の構造図 ScAlMgO基板表面のステップ端での欠陥生成イメージ図 本開示の実施の形態1におけるIII族窒化物半導体装置の概略断面図 本開示の実施の形態1におけるIII族窒化物半導体装置中のSc濃度分布を示した図 本開示の実施の形態1におけるIII族窒化物半導体層表面のAFM図 本開示の実施の形態1における欠陥抑制メカニズムを示した図 本発明の実施の形態2におけるIII族窒化物半導体装置中のSc濃度分布を示した図 本発明の実施の形態3におけるIII族窒化物半導体装置の概略断面図 本発明の実施の形態3におけるIII族窒化物半導体装置中のSc濃度分布を示した図 従来例におけるIII族窒化物半導体装置中のSc濃度分布を示した図 従来例におけるIII族窒化物半導体層表面のAFM図
(実施の形態1)
ScAlMgO基板の結晶構造を図1に示す。ScAlMgO結晶は六方晶であるAlMgO層とロックソルト構造であるScO層とが[0001]方向に積層された構造を取っている。壁開にて形成される(0001)面はAlMgO層である。ScAlMgO結晶の[0001]方向の結晶格子は25.16Åであり、劈開によって出現するステップ高さは(25.16÷3)Åの倍数、すなわち8.387Åの倍数となる。
ScAlMgO基板に生じるステップ高さは、III族窒化物であるGaNに生じるステップ高さ(2.593Å)や、c面サファイアに生じるステップ高さ(2.165Å)と比較すると大きな値である。そのため、ScAlMgO基板では、ステップ端にてIII族窒化物結晶が欠陥を生成しやすい。図2に、ステップを有するScAlMgO基板上にGaNを成長させた場合の、ScAlMgO基板とGaN結晶との界面におけるステップ端近傍での欠陥生成イメージを示す。
ScAlMgO基板のステップ高さは前述したように、8.387Åの倍数である。GaN結晶はScAlMgO基板のステップ端にて格子不整合(GaN結晶が3原子層の場合-7.8%、4原子層の場合19.1%)が大きく、この領域に結晶格子のc軸差による欠陥が発生しやすい。その結果、GaN結晶表面にピットが生じる。本開示ではこのような課題に対し、ScをIII族窒化物半導体層中に混入させることでIII族窒化物半導体層の結晶性が向上することを見出した。
本開示の実施の形態1におけるIII族窒化物半導体装置は、図3に示すように、ScAlMgO基板101と、当該ScAlMgO基板101上に形成されたIII族窒化物半導体層110と、を有する。III族窒化物半導体層110は、厚さ方向に第1のSc濃度勾配を持つ第1III族窒化物層102と、厚さ方向に第2のSc濃度勾配を持つ第2III族窒化物層103と、厚さ方向に第3のSc濃度勾配を持つ第3III族窒化物層104と、をこの順に有する。なお、ScAlMgO基板101上にIII族窒化物半導体層110(第1III族窒化物層102等)を直接配置してもよいが、両者の間にバッファ層などの他の層を配置してもよい。さらに、第1III族窒化物層102、第2III族窒化物層103、および第3III族窒化物層104はそれぞれ、直接接していてもよいが、これらの間に、他の層を配置してもよい。
本実施の形態のIII族窒化物半導体装置を実際に作製した方法を以下説明する。本実施の形態では、ScAlMgO基板101上にMOCVD法(MetalOrganic Chemical Vapor Deposition:有機金属気相成長法)を用いて、III族窒化物半導体のエピタキシャル成長を行った。III族原料としてはトリメチルガリウム(TMG)を用い、V族原料としてはアンモニア(NH)ガスを用いた。キャリアガスとしては水素または窒素を用いた。
当該方法では、まず、MOCVD炉内に導入されたScAlMgO基板101に対し、1100℃にて10分間、水素雰囲気中にて熱クリーニングを行った。この熱クリーニングによりScAlMgO基板101表面に付着しているカーボン系の汚れ等を取り除いた。その後、基板表面温度を425℃へと下げ、低温にてバッファ層(図示せず)を堆積させた。バッファ層の膜厚、組成は成長時間、及び供給するIII族原料の比率にて調整した。
バッファ層成長後、ScAlMgO基板101の温度を1125℃へと昇温させ、III族窒化物半導体層110をエピタキシャル成長させた。本実施の形態ではバッファ層(図示せず)にGaNを用い、その膜厚は30nmとした。また、バッファ層上のエピタキシャル成長させたIII族窒化物半導体層110もGaNとした。バッファ層形成後にIII族窒化物半導体層110をエピタキシャル成長させる際、基板101界面に近い初期の成長速度は1.5μm/時間とし、0.3μm成長させた。その後、供給原料を調整し、成長速度3μm/時間にてさらに2.7μm成長させた。
本実施の形態では、バッファ層側、すなわちScAlMgO基板101とIII族窒化物半導体層110との界面近傍において、III族窒化物半導体層110をエピタキシャル成長させる際の速度を、1.5μm/時間と比較的遅くしている。これは、ScAlMgO基板101の構成元素であるSc、をScAlMgOとGaNとの界面近傍で、GaN中に有効的に拡散させるためである。
図4に本実施の形態のIII族窒化物半導体装置に対し、二次イオン質量分析法(Secondary Ion Mass Spectrometry:SIMS)により、Sc濃度を分析したときのScの濃度分布を示す。本実施の形態では、ScAlMgO基板やバッファ層の近傍に、Sc濃度が高く維持されている領域が存在する。つまり、厚さ方向に第1のSc濃度勾配を有する第1III族窒化物層102を有していることが分かる(図4中の(1))。当該第1III族窒化物層102における最大Sc濃度は4.0×1019cm-3程度である。第1のSc濃度勾配を有する第1III族窒化物層102は、結晶の成長速度を遅くすることで得られる。
また、本実施の形態のIII族窒化物半導体装置では、第1III族窒化物層102上に、急激にSc濃度が変化する領域、すなわち厚さ方向に第2のSc濃度勾配を有する第2III族窒化物層103が存在する(図4中の(2))。そしてさらに、第2III族窒化物半導体層103上に、厚さ方向にSc濃度が緩やかに変化する領域、すなわち第3のSc濃度勾配を有する第3III族窒化物半導体層104が存在している(図4中の(3))。
第3のSc濃度勾配を有する第3III族窒化物半導体層104での最大Sc濃度は2.0×1017cm-3程度である。濃度勾配の大小としては第2III族窒化物半導体層103における濃度勾配が一番急激であり、図4から見積もられるSc濃度は(2.1×10-4)exp(56.1×深さ)である。同様に自然対数のべき乗値で表される傾き値は、第1III族窒化物半導体層102にて11.7であり、第3III族窒化物半導体層104にて6.4である。
本実施の形態のIII族窒化物半導体装置におけるエピタキシャル膜(GaN膜)表面の原子間力顕微鏡(AFM)評価結果を図5に示す。図5より、1原子層分に対応した高さが等高線のように観測されており、原子レベルで平坦な、1原子層分以上の凹凸を持つピットのようなものが存在していない、良好なGaN表面が得られていることが分かる。
一方、従来例のIII族窒化物半導体装置、具体的には成長温度1050℃、成長速度3μm/時間にてScAlMgO基板上にGaN膜を成長させた場合の表面AFM結果を図11に示す。従来例ではGaN膜の成長温度が低い。Scの熱拡散は、成長温度に影響されやすく、従来例のような成長温度では、Scの熱拡散が十分に生じない。また、成長レートも3μm/時間と比較的速いレートである。そのため、所望の窒化物膜厚を得るための時間が短く、Scの拡散時間が短い。したがって、Scが十分に拡散しない。
図11においては、GaN膜表面に1原子層レベル以上の凹凸を持つピットのようなものが散見された。これは、ScAlMgO基板の持つステップにより、GaN膜中に欠陥が発生し、欠陥が表面まで伝播していると考えられる。また、欠陥部において成長が阻害され、原子層レベル以上の凹凸を持つピットとして現れてしまっていると考えられる。
従来例のIII族窒化物半導体装置のSc濃度分布(SIMS分析結果)を図10に示す。従来例では、図10に示すように、ScAlMgOとGaNとの界面側から、Sc濃度が急激に変化する領域、および熱拡散の影響により緩やかにSc濃度が変化する領域、のみが存在している。つまり、ScAlMgOとGaNとの界面側では、Sc拡散が抑制された状態であることが分かる。一方、図10に示す従来例のGaN膜のSc濃度分布と図5に示す本実施の形態のGaN膜のSc濃度分布とを比較すると、GaN膜の表面近傍でのSc濃度(図中の深さ2μmにおけるSc濃度)は本実施の形態(図5)のほうが低い。これは、従来例ではGaN膜中の欠陥濃度が表面側で依然として高いことを表す。つまり、GaN膜の表面側でもGaN膜が欠陥を有しており、ScAlMgO基板側から当該欠陥を通してScが拡散されていることを示している。
本実施の形態のIII族窒化物半導体装置におけるIII族窒化物半導体層110のSc濃度勾配の効果は以下の様に考えることが出来る。III族窒化物半導体層110中に存在するScはScN構造にてIII族窒化物半導体中に入ると考えられる。ScNはロックソルト構造をしており、(111)面の格子定数は0.45nmとGaNに対し、格子不整合が0.24%と小さい。
また、本実施の形態では界面近傍の初期成長速度を0.5μm/時間と遅くすることで、基板であるScAlMgOからIII族窒化物半導体層中へのScの拡散を促進させている。促進されたScはScAlMgO基板/III族窒化物半導体界面にて発生した欠陥を通してIII族窒化物半導体層110の表面側へと拡散される。そして、III族窒化物半導体の欠陥位置にてScN結晶となる。その結果、第1のSc濃度勾配を有する第1III族窒化物半導体層102では欠陥位置にてScN結晶形成が促進される。ここで、III族窒化物半導体中の欠陥位置にて形成されたScN結晶は、III族窒化物半導体内の欠陥が上部へ伝播することを抑制する(図6にイメージ図を示す)。また、III族窒化物半導体中にて界面から伝播していた欠陥が低減することによってSc自体の表面への拡散自体も抑制される。
一方、ScN結晶はロックソルト構造を有し、当該結晶構造は、III族窒化物半導体結晶の結晶構造(六方晶構造)と異なる。そのため、III族窒化物半導体中のScN結晶は結晶粒界面にて結晶欠陥を伴う側面も持っている。よって、高品質化したIII族窒化物半導体中でのScN結晶はIII族窒化物半導体の更なる高品質化を阻害する要因ともなりうる。そのため、本実施の形態では、第2のSc濃度勾配を有する第2III族窒化物層103にて、急激にSc濃度を下げる。これにより、III族窒化物半導体層110の更なる高品質化が促進される。そして、第3のSc濃度勾配を有する第3III族窒化物層104は、十分にSc濃度を下げた状態であり、エピタキシャル成長が進むにつれ結晶性が向上する。この様に、ScAlMgO基板101上に形成するIII族窒化物半導体層110に、所定のSc濃度勾配を設けることで良好な結晶性を有するIII族窒化物半導体層110を得ることが出来る。
実施の形態1ではSc濃度勾配が第2の領域103にて最も高い。これにより、第3III族窒化物層中へのScの拡散が抑制されている。また、Sc濃度勾配は、第1III族窒化物層102>第3III族窒化物層104である。当該構成によれば、ScAlMgO基板101側で、Sc濃度が速く低減するため、III族窒化物半導体層110が薄くても、III族窒化物半導体層110表面でのSc濃度が十分に低くなる。
(実施の形態2)
実施の形態2のIII族窒化物半導体装置は、実施の形態1のIII族窒化物半導体装置と同様の構成を有する。ただし、III族窒化物半導体層110を作製する際の条件が異なり、III族窒化物半導体層110内における厚さ方向のScの濃度勾配が異なる。
本実施の形態では、バッファ層の形成後、第1III族窒化物層102の成長温度を1145℃とした。第1III族窒化物層102の成長速度は0.5μm/時間であり、その膜厚は0.6μmとした。その後、第2III族窒化物層103および第3III族窒化物層104の成長温度を1110℃とし、成長速度3μm/時間として合計2.4μm成長させた。
図7に、本実施の形態のIII族窒化物半導体装置について、SIMS分析によりSc濃度を分析した結果を示す。本実施の形態では第1のSc濃度勾配を有する第1III族窒化物層102(図7中の(1))の最大Sc濃度が1.7×1020cm-3である。本実施の形態では、実施の形態1と比較して、第1のSc濃度勾配を有する第1III族窒化物層102の成長速度を遅くした事に加え、成長温度を1145℃へと上昇させている。そのため、III族窒化物半導体(GaN)内へのScの拡散がより促進されている。また、第3のSc濃度勾配を有する第3III族窒化物層104(図7中の(3))の最大Sc濃度は3.0×1016cm-3である。これは、成長温度を1110℃と下げた効果であり、第2のSc濃度勾配を有する第2III族窒化物層103(図7中の(2))にて大きくSc濃度を変化させたためである。第2III族窒化物層103の自然対数のべき乗値は74.1である。
本実施の形態においても、第2のSc濃度勾配を有する第2III族窒化物層103の濃度勾配が最も大きく、第1のSc濃度勾配を有する第1III族窒化物層102では自然対数のべき乗値が5.4であり、第3のSc濃度勾配を有する第3III族窒化物層104では5.5である。本実施の形態においても、結晶性の高いIII族窒化物半導体層110をScAlMgO基板上に有するIII族窒化物半導体装置を得ることが出来る。
実施の形態2では、第1III族窒化物層102<第3III族窒化物層104である。本実施の形態の構成によれば、ScAlMgO基板101とIII族窒化物半導体層110との界面近傍でのSc濃度を高く保ち、ScAlMgO基板101とIII族窒化物半導体層110との界面にて発生した欠陥を、界面近傍にて効率良く低減することが可能である。
(実施の形態3)
本開示の実施の形態3のIII族窒化物半導体装置は、図8に示すように、ScAlMgO基板101と、当該ScAlMgO基板101上に形成されたIII族窒化物半導体層110を有する。III族窒化物半導体層110は、厚さ方向に第1のSc濃度勾配を持つ第1III族窒化物層102と、厚さ方向に第2のSc濃度勾配を持つ第2III族窒化物層103と、厚さ方向に第3のSc濃度勾配を持つ第3III族窒化物層104と、厚さ方向に第4のSc濃度勾配を持つ第4III族窒化物層105と、厚さ方向に第5のSc濃度勾配を持つ第5III族窒化物層106と、をこの順に有する。
本実施の形態のIII族窒化物半導体装置を実際に作製した方法を以下説明する。本実施の形態では、実施の形態1と同様の条件で、第1III族窒化物層102および第2III族窒化物層103を形成した後、成長温度を1145℃へと上昇させてIII族窒化物半導体(第3III族窒化物半導体層104、第4III族窒化物半導体層105、第5III族窒化物半導体層106)を成長させている。
より具体的には、ScAlMgO基板101上に第1のSc濃度勾配を持つ第1III族窒化物層102を成長温度1125℃、成長速度0.5μm/時間にて0.3μm形成した。その後、第2のSc濃度勾配を持つ第2III族窒化物層103を成長速度3μm/時間にて0.1μm形成した。更に、成長温度を1145℃へと上昇させて第3のSc濃度勾配を持つ第3III族窒化物層104、第4のSc濃度勾配を持つ第4III族窒化物層105、および第5のSc濃度勾配を持つ第5III族窒化物層106を成長速度3.5μm/時間にて合計2.6μm形成した。
本実施の形態のIII族窒化物半導体装置は、成長温度を段階的に上昇させることによって、第3のSc濃度勾配を持つ第3III族窒化物層104にてSc拡散を促進させ、欠陥位置でのScNの形成を狙った構造である。更に第4のSc濃度勾配を持つ第4III族窒化物半導体層105にて表面でのSc濃度を低減すべく、成長速度を上昇させることでSc拡散を抑制している。
図9に本実施の形態のIII族窒化物半導体装置に対し、SIMS分析によりSc濃度分布を分析した結果を示す。第1のSc濃度勾配を有する第1III族窒化物層102(図9中の(1))の最大Sc濃度は6.0×1019cm-3程度である。第1III族窒化物層102、および第2III族窒化物層103(図9中の(2))の形成後に成長温度を1145℃へと上昇させているため、Scの拡散がより促進され、第3のSc濃度勾配を持つ第3III族窒化物層104(図9中の(3))にて、最大Sc濃度1.3×1018cm-3程度となる。つまり、第1のSc濃度勾配を有する第1III族窒化物層102、第2のSc濃度勾配を有する第2III族窒化物層103と同様のSc濃度分布が、第3のSc濃度勾配を有する第3III族窒化物層104(図9中の(3))および第4のSc濃度勾配を有する第4III族窒化物層105(図9中の(4))にて繰り返された構造を有している。そしてさらに、第5のSc濃度勾配を有する第5III族窒化物半導体層106が存在している(図9中の(5))。
これは、実施の形態1に示した第1III族窒化物層102、第2III族窒化物層103の欠陥の伝播抑制効果を、第3III族窒化物層104および第4III族窒化物層105でも担うことを意味する。つまり、更なる欠陥の伝播抑制効果が得られる。本実施の形態によれば、これまでの実施の形態と同様に、ScAlMgO基板上に結晶性の高いIII族窒化物半導体層を有するIII族窒化物半導体装置が得られる。
(まとめ)
以上の結果のように、ScAlMgO基板上にIII族窒化物半導体層を形成する際、これらの界面近傍に第1のSc濃度勾配を有する第1III族窒化物層102、第2のSc濃度勾配を有する第2III族窒化物層103、および第3のSc濃度勾配を有する第3III族窒化物層104等を設けることで、結晶性の良いIII族窒化物半導体層を有するIII族窒化物半導体装置を得ることが出来る。また、Sc濃度勾配領域は実施の形態3で示したように多段構成でも良く、ScAlMgO基板およびIII族窒化物半導体層の界面から、III族窒化物半導体層の表面に向かってSc濃度を下げていく構成であればよい。
なお、上述のいずれの実施の形態においても、ScAlMgO基板とIII族窒化物半導体層との界面側に位置する第1III族窒化物層102の最大Sc濃度を4.0×1019cm-3~1.7×1020cm-3の範囲内としている。ただし、ScAlMgO基板上に形成されるIII族窒化物半導体の界面欠陥密度が最大でも1.0×1011cm-3程度であることを考慮すると、第1III族窒化物層中のSc濃度を4.0×1017cm-3程度とすれば、Sc濃度が欠陥数と同等となる。そして、その10倍程度の4.0×1018cm-3以上の最大Sc濃度が実現できれば、効果は十分にあると考えられる。
また、ScN単結晶では十分な結晶性を得られていないのが現状であり、Sc濃度を1.7×1020cm-3程度以下にすれば、結晶性を損なわずにIII族窒化物半導体内の欠陥を低減することが可能である。また、上述の実施の形態では、III族窒化物半導体層の合計膜厚を3μmとしているが、III族窒化物半導体層表面のSc濃度を1.0×1016cm-3以下にすることが可能な膜厚であればよく、例えば1μm以上であれば問題ない。
さらに、上述の実施の形態ではMOCVD法を用いてIII族窒化物半導体装置を得ることを説明したが、エピタキシャル成長方法としてはHVPE法、OVPE法、スパッタ法、MBE法などを単独及び複数組み合わせてもよく、これらの方法によっても同様の効果を得ることが出来る。また、上述の実施の形態では、Sc濃度は、成長速度および成長温度の調整により制御したが、膜中にScCl、ScBr、ScF、ScH、ScO、Sc(OH)等を用いてScを意図的にドーピングしても同様の効果が得られる。
なお、本実施例ではGaNを用いているがIII族窒化物であれば同様の効果を得ることが可能である。III族窒化物を構成するIII族元素金属は、ガリウム(Ga)が最もよいが、例えば、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、タリウム(Tl)等であってもよく、これらは1種類のみ用いてもよく、2種類以上併用してもよい。例えば、III族元素金属として、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、およびインジウム(In)からなる群から選択される少なくとも一つを用いてもよい。この場合、製造されるIII族窒化物半導体層の組成は、AlGaIn{1-(s+t)}N(ただし、0≦s≦1、0≦t≦1、s+t≦1)で表される。また、III族元素金属には、例えば、ドーパント材等を共存させて反応させても良い。前記ドーパントとしては、特に限定されないが、モノシラン(SiH)、酸化ゲルマニウム(例えばGe、GeO等)、シクロペンタジエニルマグネシウム(CP2Mg)等が挙げられる。
本開示のIII族窒化物半導体装置は、高品質なIII族窒化物半導体層を有する。そのため、高性能なデバイスを供給することが可能となる。更に、窒化物半導体用の良好なテンプレート基板としても供給することを可能とする。
101 ScAlMgO基板
102 第1III族窒化物層
103 第2III族窒化物層
104 第3III族窒化物層
105 第4III族窒化物層
106 第5III族窒化物層
110 III族窒化物半導体層

Claims (8)

  1. ScAlMgO基板上に、
    厚さ方向に第1Sc濃度勾配を有する第1III族窒化物層、
    厚さ方向に第2Sc濃度勾配を有する第2III族窒化物層、および
    厚さ方向に第3Sc濃度勾配を有する第3III族窒化物層、がこの順に配されたIII族窒化物半導体層を有し、
    第2Sc濃度勾配>第1Sc濃度勾配、且つ第2Sc濃度勾配>第3Sc濃度勾配である、
    III族窒化物半導体装置。
  2. 前記第1III族窒化物層の最大Sc濃度が1.7×1020cm-3以下である、
    請求項1に記載のIII族窒化物半導体装置。
  3. 前記第1III族窒化物層の最大Sc濃度が4.0×1018cm-3以上である、
    請求項1または2に記載のIII族窒化物半導体装置。
  4. 前記III族窒化物半導体層の厚さが1μm以上である、
    請求項1~3のいずれか一項に記載のIII族窒化物半導体装置。
  5. 前記III族窒化物半導体層の表面でのSc濃度が1.0×1016cm-3以下である、
    請求項1~4のいずれか一項に記載のIII族窒化物半導体装置。
  6. 第1Sc濃度勾配>第3Sc濃度勾配の関係を満たす、
    請求項1~5のいずれか一項に記載のIII族窒化物半導体装置。
  7. 第1Sc濃度勾配<第3Sc濃度勾配の関係を満たす、
    請求項1~5のいずれか一項に記載のIII族窒化物半導体装置。
  8. 前記III族窒化物半導体層がGaNで構成される、
    請求項1~7のいずれか一項に記載のIII族窒化物半導体装置。
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