以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の実施の形態における学習支援システム1の構成例を示す図である。図1において、学習支援システム1は、1以上の電子黒板20、サーバ装置10及び1以上の教員端末30等を含む。電子黒板20及び教員端末30のそれぞれは、LAN(Local Area Network)、イントラネット又はインタネット等のネットワークを介してサーバ装置10と接続される。例えば、学習支援システム1は、大学、高等学校、中学校、小学校等の教育機関における授業若しくは講義、又は塾、語学スクール、企業若しくはその他の団体における教育プログラム等において利用される。これらの教育機関又は教育プログラムにおける教授、教師又は講師等が、本実施の形態における「教員」の一例である。また、これらの教育機関の生徒又は教育プログラムへの参加者等が、本実施の形態における「学習者」の一例である。
教員端末30は、教員が利用するPC(Personal Computer)、スマートフォン又はタブレット端末等の情報処理装置である。本実施の形態において、教員端末30は、教員が学習者に実施させるグループディスカッション等のグループ活動に関する学習テーマ(課題)、及び当該学習テーマに関する議論の適切な進行を補助(支援)するための補助情報等を含む情報(以下、「テーマ情報」という。)の入力等に利用される。教員端末30は、また、学習者により実施されたグループ活動についてサーバ装置10によって生成される解析結果を示す情報をサーバ装置10から受信して表示してもよい。なお、教員端末30が利用される場所は所定の場所に限定されない。教員端末30は、グループ活動が行われる教室等において利用されもよいし、学校の職員室や教員の職場(研究室等)又は自宅等、グループ活動が行われる場所に対して遠隔地において利用されてもよい。
電子黒板20は、電子データ等を表示可能であると共に、電子ペン等を用いた書き込み等が可能な、電子的なホワイトボードである。電子黒板20は、インタラクティブ・ホワイトボード(IWB)又は電子ホワイトボードとも称される。電子黒板20は、複数人の学習者達によってグループ活動が行われる場所(教室、又は図書館等におけるラーニングコモンズ等)に、学習者達に対して(学習者達が書き込み及び参照可能なように)配置される。学習者達が複数のグループに分割される場合、グループごとに1台以上の電子黒板20が配置されてもよい。但し、グループ活動が、教室以外の施設(例えば、において行われる場合、電子黒板20は、当該施設に配置されればよい。
本実施の形態において、電子黒板20は、サーバ装置10に登録されたテーマ情報の表示装置として機能すると共に、学習者によるグループ活動における議論の音声の入力装置としても機能する。電子黒板20は、議論の音声を入力すると、当該音声が記録された音声データをサーバ装置10へ送信する。また、グループ活動における議論の進行に応じて、議論の内容が電子黒板20に書き込まれてもよい。この場合、電子黒板20は、書き込まれた内容をサーバ装置10へ送信してもよい。
サーバ装置10は、教員端末30から登録されたテーマ情報を記憶すると共に、当該テーマ情報を各電子黒板20に送信するコンピュータである。サーバ装置10は、1台以上のコンピュータ等によって構成されるコンピュータシステム(例えば、クラウドシステム)であってもよい。サーバ装置10は、学習者による議論を補助するために情報としてテーマ情報に含まれている補助情報を所定のタイミングで電子黒板20に送信する。そうすることで、サーバ装置10は、グループ活動における学習者による議論の誘導、促進、活性化等を支援する。サーバ装置10は、また、電子黒板20から送信される音声データを解析することで得られる情報を、教員端末30へ送信する。そうすることで、グループ活動における議論の内容について、教員による確認又は把握等を支援する。教員による、斯かる確認又は把握のための作業は、必ずしもグループ活動と並行して行われなくてもよい。
図2は、本発明の実施の形態におけるサーバ装置10のハードウェア構成例を示す図である。図2において、サーバ装置10は、それぞれバスBで相互に接続されているドライブ装置100、補助記憶装置102、メモリ装置103、CPU104、及びインタフェース装置105等を有する。
サーバ装置10での処理を実現するプログラムは、CD-ROM等の記録媒体101によって提供される。プログラムを記憶した記録媒体101がドライブ装置100にセットされると、プログラムが記録媒体101からドライブ装置100を介して補助記憶装置102にインストールされる。但し、プログラムのインストールは必ずしも記録媒体101より行う必要はなく、ネットワークを介して他のコンピュータよりダウンロードするようにしてもよい。補助記憶装置102は、インストールされたプログラムを格納すると共に、必要なファイルやデータ等を格納する。
メモリ装置103は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置102からプログラムを読み出して格納する。CPU104は、メモリ装置103に格納されたプログラムに従ってサーバ装置10に係る機能を実行する。インタフェース装置105は、ネットワークに接続するためのインタフェースとして用いられる。
図3は、本発明の実施の形態における電子黒板20のハードウェア構成例を示す図である。図3において、電子黒板20は、入力装置201、表示装置202、外部I/F203、通信I/F204、ROM205、RAM206、CPU207、HDD208、及び集音装置209等を有する。
入力装置201は、タッチパネル等であり、ユーザによる各種操作(例えば、電子ペンによる手書き文字の入力操作等)の入力に用いられる。表示装置202は、例えば、液晶ディスプレイである。
外部I/F203は、外部装置とのインタフェースである。外部装置の一例として、記録媒体203a等が挙げられる。例えば、電子黒板20は、外部I/F203を介して、記録媒体203a等の読み取りや書き込みを行うことができる。なお、記録媒体203aは、例えば、USBメモリやCD、DVD、SDメモリカード等である。
通信I/F204は、電子黒板20をネットワーク等に接続するためのインタフェースである。電子黒板20は、通信I/F204を介して、他の装置(例えば、サーバ装置10等)と通信を行うことができる。
HDD208は、プログラムやデータを格納している不揮発性の記憶装置である。HDD208に格納されるプログラムやデータには、電子黒板20全体を制御する基本ソフトウェアであるOS(Operating System)や、OS上において各種機能を提供するアプリケーションプログラム等がある。なお、電子黒板20は、HDD208に代えて、記録媒体としてフラッシュメモリを用いるドライブ装置(例えばソリッドステートドライブ:SSD)を有していてもよい。
ROM205は、電源を切ってもプログラムやデータを保持することができる不揮発性の半導体メモリである。ROM205には、電子黒板20の起動時に実行されるBIOS(Basic Input/Output System)、OSに関する設定情報、及びネットワーク設定等に関するプログラムやデータが格納されている。RAM206は、CPU207に処理を実行させるプログラムや、当該プログラムによって利用されるデータ等が、HDD208からロードされる揮発性の半導体メモリである。
CPU207は、ROM205やHDD208等の記憶装置からプログラムやデータをRAM206上に読み出し、当該プログラムに従った処理を実行することで、電子黒板20全体の制御や機能を実現する。
集音装置209は、例えばマイクロフォン(マイク)等であり、電子黒板20の周囲の音を集音する。
図4は、本発明の実施の形態における各装置の機能構成例を示す図である。図4において、サーバ装置10は、テーマ情報登録部11、グループ活動支援部12、音声解析部13、キーワード検出部14及び学習結果解析部15等を有する。これら各部は、サーバ装置10にインストールされた1以上のプログラムが、CPU104に実行させる処理により実現される。サーバ装置10は、また、テーマ情報記憶部121、テキスト記憶部122及び検出ログ記憶部123等を利用する。これら各記憶部は、例えば、補助記憶装置102、メモリ装置103、又はサーバ装置10にネットワークを介して接続可能な記憶装置等を用いて実現可能である。
テーマ情報登録部11は、教員端末30に対して教員によって入力され、教員端末30から送信されるテーマ情報を受信し、当該テーマ情報をテーマ情報記憶部121に登録する。テーマ情報には、グループ活動(グループディスカッション)の学習テーマのテーマ名、テーマ説明、1以上の重要キーワード、及び重要キーワードごとのアクション等が含まれる。このうち、重要キーワード及びアクションが、上記における補助情報の一例である。テーマ名は、グループ活動における議論のテーマの名称(議題)である。テーマ説明は、学習テーマの内容を詳細に説明する文章である。重要キーワードは、学習テーマに関して重要な言葉(キーワード)である。アクションは、議論において重要キーワードを含む発言が行われた場合に、実行すべき処理を示す情報である。本実施の形態では、電子黒板20への情報の表示と、当該情報を示す内容がアクションとして登録される。
グループ活動支援部12は、テーマ情報に基づくグループ活動(グループディスカッション)を支援するための処理を実行する。例えば、グループ活動支援部12は、テーマ情報記憶部121に記憶されているテーマ情報の中から、グループ活動の対象とするテーマ情報(以下「対象テーマ情報」という。)に係る学習テーマの選択を受け付ける。グループ活動支援部12は、また、グループ活動における議論の中に対象テーマ情報に含まれる重要キーワードが検出された場合に、当該重要キーワードに対応するアクションが示す処理を実行する。
音声解析部13は、電子黒板20から送信される、グループ活動における議論の音声データについて音声認識を実行してテキストデータを生成する(すなわち、音声解析部13は、当該音声データをテキストデータ(文字列データ)に変換する。)。なお、音声解析部13は、音声の特徴等から発言者が特定可能である場合は、発言者の識別情報(例えば、氏名等)をメタデータとしてテキストデータに関連付けてもよい。
キーワード検出部14は、音声解析部13によって生成されたテキストデータについて、対象テーマ情報に含まれる重要キーワードの有無を判定する。キーワード検出部14は、当該重要キーワードが当該テキストデータから検出されると(当該重要キーワードが当該テキストデータに含まれていると判定すると)、検出ログを検出ログ記憶部123に記憶する。検出ログとは、当該重要キーワード及び当該重要キーワードが検出された日時等を含むログデータをいう。当該テキストデータに発言者の識別情報が関連付けられている場合、当該識別情報も検出ログに含まれてもよい。
学習結果解析部15は、教員端末30からの要求に応じて検出ログを解析し、解析結果を当該教員端末30に応答する。
一方、電子黒板20は、表示制御部21及び音声送信部22等を有する。これら各部は、電子黒板20にインストールされた1以上のプログラムが、CPU207に実行させる処理により実現される。
表示制御部21は、サーバ装置10から送信される情報の表示の制御や、表示されている情報に対する電子ペンによる書き込みの検出等を行う。表示制御部21は、例えば、Webブラウザとしての機能を有してもよい。
音声送信部22は、集音装置209によって集音された音声を入力し、当該音声に関する電子データ(音声データ)を生成する。音声送信部22は、また、当該音声データをサーバ装置10へ送信する。なお、音声データの形式は所定のものに限定されない。
以下、学習支援システム1において実行される処理手順について説明する。図5は、テーマ情報の登録処理の処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。なお、図5において教員端末30が実行する処理は、教員端末30にインストールされたWebブラウザが教員端末30に実行させてもよい。
例えば、教員端末30に対して、テーマ情報登録画面のURLが教員によって入力されると、教員端末30は、テーマ情報登録画面の取得要求を当該URL宛てに送信する(S101)。サーバ装置10のテーマ情報登録部11は、当該取得要求を受信すると、テーマ情報登録画面に係る表示データを教員端末30へ送信する(S102)。当該表示データは、例えば、HTML(HyperText Markup Language)データであってもよいし、他の形式のデータであってもよい。教員端末30は、当該表示データを受信すると、当該表示データに基づいてテーマ情報登録画面を表示する。
図6は、テーマ情報登録画面の表示例を示す図である。図6に示されるように、テーマ情報登録画面510は、テーマ名、テーマ説明、1以上の重要キーワード、及び重要キーワードごとのアクション等、テーマ情報を構成する各項目の内容を入力させるための画面である。
教員は、学習者達に議論させたい学習テーマについて、これら各項目の内容を含むテーマ情報を、テーマ情報登録画面510に対して入力する。
教員によるテーマ情報の入力が完了すると、教員端末30は、入力されたテーマ情報をサーバ装置10へ送信する(S103)。テーマ情報登録部11は、当該テーマ情報を受信すると、当該テーマ情報をテーマ情報記憶部121に記憶する(S104)。
図7は、テーマ情報記憶部121に記憶されたテーマ情報の構成例を示す図である。図7には、(1)及び(2)の2つのテーマ情報の例が示されている。このうち、1番目の(上段の)テーマ情報が、図6のテーマ情報登録画面510に入力されたテーマ情報に対応する。
図7に示されるように、各テーマ情報には、それぞれの識別情報であるテーマIDが関連付けられる。テーマIDは、テーマ情報がテーマ情報記憶部121に記憶される際に、テーマ情報登録部11によって生成されてもよい。テーマ情報を構成する各項目(テーマID、テーマ説明、重要キーワード及びアクション)の内容は、テーマIDに関連付けられてテーマ情報記憶部121に記憶される。したがって、テーマ情報を構成する各項目の内容は、テーマIDを介して相互に関連付けられる。なお、図7とは異なる構成又は形式によって、テーマ情報が記憶されてもよい。
また、テーマ情報の登録の前に、ユーザの認証が行われ、認証に成功した場合に、テーマ情報の登録が許可されるようにしてもよい。
続いて、グループ活動が行われる際に実行される処理手順について説明する。図8は、グループ活動の際に実行される処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。図8では、一つの電子黒板20に着目して処理手順を説明するが、複数のグループに分かれてグループ活動が行われる場合、複数の電子黒板20に関して並行して図8に示す処理手順が実行されてもよい。
電子黒板20の表示制御部21は、所定の契機に応じて、学習テーマ選択画面の取得要求をサーバ装置10へ送信する(S201)。所定の契機としては、電子黒板20の起動直、又はユーザ(学習者)による所定の操作(例えば、学習テーマ選択画面のURLの入力)等が一例として挙げられる。なお、ステップS201の前に、電子黒板20のユーザについてユーザ認証が行われ、認証に成功した場合にステップS201以降が実行されるようにしてもよい。
サーバ装置10のグループ活動支援部12は、当該取得要求を受信すると、テーマ情報記憶部121に記憶されている各テーマ情報のテーマID及びテーマ名を取得する(S202、S203)。続いて、グループ活動支援部12は、取得されたテーマID及びテーマ名を選択肢として含む学習テーマ選択画面に係る表示データを生成し、当該表示データを表示制御部21へ送信する(S204)。表示制御部21は、当該表示データを受信すると、当該表示データに基づいて学習テーマ選択画面を電子黒板20の表示装置202へ表示する。
図9は、学習テーマ選択画面の表示例を示す図である。図9に示されるように、学習テーマ選択画面520には、各学習テーマのテーマ名の一覧が表示される。
例えば、グループ内のいずれかの学習者によって、当該一覧の中からいずれかのテーマ名が選択(タッチ)されると、表示制御部21は、選択されたテーマ名に関連付けられて表示データに含まれているテーマIDが指定された、学習画面の取得要求をサーバ装置10へ送信する(S205)。サーバ装置10のグループ活動支援部12は、当該取得要求を受信すると、当該取得要求に指定されているテーマIDに関連付けられているテーマ情報(以下「対象テーマ情報」という。)をテーマ情報記憶部121から取得する(S206、S207)。続いて、グループ活動支援部12は、対象テーマ情報に係る重要キーワードの検出の開始をキーワード検出部14に要求する(S208)。この際、対象テーマ情報に係る全ての重要キーワード(以下「対象キーワード」という。)がグループ活動支援部12からキーワード検出部14へ通知される。グループ活動支援部12からの要求に応じ、キーワード検出部14は、テキスト記憶部122に対するテキストデータの記憶の監視を開始する(S209)。例えば、キーワード検出部14は、一定周期で、テキスト記憶部122に新たなテキストデータが記憶されているか否かをチェックする。
グループ活動支援部12は、また、対象テーマ情報に基づいて学習画面の表示データを生成し、当該表示データを表示制御部21へ送信する(S210)。表示制御部21は、当該表示データを受信すると、当該表示データに基づいて電子黒板20の表示装置202へ学習画面を表示する。
図10は、学習画面の表示例を示す図である。図10に示される学習画面530には、対象テーマ情報のテーマ説明が吹き出し531内に含まれている。電子黒板20の前でグループ活動(グループディスカッション)を行う学習者達は、当該テーマ説明を参照して議論を開始する。
当該議論における各学習者による発言の音声は、電子黒板20の集音装置209によって集音され、音声送信部22によって電子黒板20に入力される。音声送信部22は、当該音声に関する音声データを生成し、当該音声データ、当該音声データの開始日時及び終了日時をサーバ装置10へ送信する(S211)。音声データの開始日時とは、当該音声データに含まれている音声の入力の開始日時をいい、音声データの終了日時とは、当該音声データに含まれている音声の入力の終了日時をいう。なお、音声データは、例えば、一人以上の発言が開始されてから終了するまでごとに生成されてもよい。発言の終了は、例えば、音声が入力されない状態が一定時間以上継続した場合に検出されてもよい。この場合、或る発言の開始日時及び終了日時が音声データの開始日時又は終了日時となる。または、音声データは、所定時間ごとに生成されてもよい。この場合、当該所定時間の開始日時及び終了日時が音声データの開始日時又は終了日時となる。
サーバ装置10の音声解析部13は、当該音声データを受信すると、当該音声データについて音声認識を実行してテキストデータを生成する(S212)。この際、音声解析部13は、音声データに含まれている音声の発言者を特定し、特定した結果(例えば、当該発言者の氏名)を、音声データの開始日時及び終了日時と共に当該テキストデータに関連付けてもよい。発言者の特定は、例えば、音声データから音声の特徴情報を抽出し、当該特徴情報を学習者ごとに予め登録されている声の特徴情報と照合することにより行われてもよい。又は、その他の音声解析技術が用いられて発言者が特定されてもよい。複数の発言者の音声が音声データに含まれている場合、音声解析部13は、発言者ごとにテキストデータを生成し、各テキストデータに対して発言者の氏名を関連付けてもよい。この場合、各テキストデータに関連付けられる開始日時及び終了日時は、共通の値であってもよいし、音声データにおいて各テキストデータに対応する音声が出現するタイミングに基づいて特定されてもよい。音声解析部13は、更に、テキストデータについて形態素解析等を実行してもよい。形態素解析等が実行される場合、以下における「テキストデータ」は、形態素解析等の実行結果も含むデータをいう。続いて、音声解析部13は、生成したテキストデータをテキスト記憶部122に記憶する(S213)。
ステップS207においてテキスト記憶部122の監視を開始していたキーワード検出部14は、新たに1以上のテキストデータがテキスト記憶部122に記憶されると、当該テキストデータに、いずれかの対象キーワードが含まれているか否かを判定する(S214)。テキストデータについて形態素解析等が行われている場合、単語等の単位で対象キーワードとの照合が行われてもよい。なお、ステップS211~S214は、議論の進行に応じてテキストデータが生成される度に繰り返し行われる。したがって、議論と並行して、当該議論における発言内に重要キーワードが含まれているか否かがリアルタイムで判定される。
対象キーワードが一つも検出されない場合、ステップS215以降は実行されない。一方、いずれか1以上の対象キーワードが当該テキストデータから検出されると、キーワード検出部14は、対象テーマ情報に対応する検出ログに対して、当該対象キーワードの検出を示す情報を追加することで、当該検出ログを更新する(S215)。
図11は、検出ログの構成例を示す図である。図11に示されるように、検出ログは、対象テーマ情報のテーマIDに関連付けられて、グループID、テーマID、開始日時、終了日時、及び検出結果テーブルT1を含む。
グループIDは、グループ活動を行っているグループの識別情報である。例えば、グループIDは、図8のステップS201の前の認証処理時等において特定されてもよい。テーマIDは、対象テーマ情報のテーマIDである。開始日時は、対象テーマ情報に基づくグループ活動が開始された日時である。例えば、ステップS209のタイミングが当該開始日時とされてもよい。終了日時は、対象テーマ情報に基づくグループ活動が終了した日時である。当該日時は、例えば、当該グループ活動の終了に応じて行われる電子黒板20に対する所定の操作に応じて電子黒板20から送信される終了通知に基づいて特定されてもよい。すなわち、終了日時は、ステップS215の時点では特定されておらず、検出ログには含まれていない。
検出結果テーブルT1は、重要キーワードの検出履歴を示す(検出された重要キーワードを時系列に示す)テーブルである。検出結果テーブルT1の各レコードは、検出日時、検出キーワード及び発言者名を含む。検出日時は、重要キーワードが検出された日時である。検出キーワードは、検出された重要キーワードである。発言者名は、当該重要キーワードを発言した学習者の氏名である。
したがって、ステップS215では、対象テーマ情報に基づく現在のグループ活動に対応する検出ログが検出ログ記憶部123に記憶されていない場合には、キーワード検出部14は、当該グループ活動に対応するログIDを生成し、当該ログIDにグループID、開始日時(例えば、ステップS209の日時)、及び空の検出結果テーブルT1を関連付けて検出ログ記憶部123に記憶する。その上で、キーワード検出部14は、検出された対象キーワード(検出キーワード)の個数分のレコードを検出ログ記憶部123に追加する。この際、各レコードの検出日時の値としては、ステップS215の時点の日時が採用されてもよいし、テキストデータにおける当該対象キーワードの位置に基づいて当該対象キーワードが発言されたタイミングが特定されてもよい。また、発言者名としては、当該対象キーワードを含んでいたテキストデータに関連付けられている氏名が採用されればよい。なお、現在のグループ活動に対応するログIDに係る検出ログが既に検出ログ記憶部123に記憶されている場合には、キーワード検出部14は、当該ログIDに関連付けられている検出結果テーブルT1に対して、検出された対象キーワード(検出キーワード)の個数分のレコードを追加する。
続いて、キーワード検出部14は、検出された対象キーワード(以下「検出キーワード」という。)をグループ活動支援部12に通知する(S216)。グループ活動支援部12は、検出キーワードが通知されると、対象テーマ情報において、検出キーワードに対応するアクションの内容に応じた処理を実行する(S217)。
例えば、図7の(1)における重要キーワードの一つである「RPA」が検出された場合、当該重要キーワードに対応するアクションは、「URL表示:http://xxxxxxxx」である。これは、URLの表示処理を実行すべきことを示し、表示対象とするURLが「http://xxxxxxxx」であることを示す。したがって、グループ活動支援部12は、当該URLを含む画面(以下、アクションの実行により生成される画面を「学習支援画面」という。)の表示データを当該アクションの実行結果として生成し、当該表示データを電子黒板20の表示制御部21へ送信する(S218)。表示制御部21は、当該表示データを受信すると、当該表示データに基づいて学習支援画面を電子黒板20の表示装置202へ表示する。
図12は、学習支援画面の第1の表示例を示す図である。図12に示される学習支援画面540aにおいて、吹き出し541aには、検出キーワード542a及びURL543aが含まれている。URL542aの値は、検出キーワード542aに対応するアクションに含まれているURLである。なお、アクションが「URL表示」である場合について、検出キーワード542aの部分と、URL542aの部分とがパラメータ化された表示データの雛型が予め生成されていてもよい。グループ活動支援部12は、当該雛型のこれらの部分に検出キーワード及びURLを当てはめることで、学習支援画面540aに係る表示データを生成してもよい。
学習支援画面540aが電子黒板20に表示されている状態において、いずれかの学習者がURL543aにタッチすると、表示制御部21は、URL543aにアクセスすることで得られるWebページを、表示装置202へ表示してもよい。そうすることで、学習者達は、発言された重要キーワードに関連する情報を含むWebページを参照することができる。その結果、学習者達が当該Webページに基づく議論を展開することが期待できる。
又は、図7の(1)における重要キーワードの一つである「ディープラーニング」が検出された場合、当該重要キーワードに対応するアクションは、「ファイル表示:deep.pdf」である。これは、所定の記憶場所に保存されているファイルの表示処理を実行すべきことを示し、表示対象とするファイル名が「deep.pdf」であることを示す。したがって、グループ活動支援部12は、ます、当該ファイルを取得する。グループ活動支援部12は、当該ファイルを表示対象として含む学習支援画面の表示データを当該アクションの実行結果として生成し、当該表示データを電子黒板20の表示制御部21へ送信する(S218)。表示制御部21は、当該表示データを受信すると、当該表示データに基づいて学習支援画面を電子黒板20の表示装置202へ表示する。
図13は、学習支援画面の第2の表示例を示す図である。図13に示される学習支援画面540bにおいて、吹き出し541bには、検出キーワード542b及びファイル543bが含まれている。ファイル542bは、検出キーワード542bに対応するアクションに含まれているファイル名に係るファイルである。なお、アクションが「ファイル表示」である場合について、検出キーワード542bの部分と、ファイル542bの部分とがパラメータ化された表示データの雛型が予め生成されていてもよい。グループ活動支援部12は、当該雛型のこれらの部分に検出キーワード及びファイルを当てはめることで、学習支援画面540bに係る表示データを生成してもよい。
学習支援画面540bが電子黒板20に表示されている状態において、いずれかの学習者がファイル543bにタッチすると、ファイル543bのページがめくられて、新たなページが表示されてもよい。すなわち、ファイル543bの各ページの参照が可能とされてもよい。そうすることで、学習者達が当該ファイルの内容に基づく議論を展開することが期待できる。
又は、図7の(1)における重要キーワードの一つである「仕事がなくなる」が検出された場合、当該重要キーワードに対応するアクションは、「コメント:ニュースで聞きますが本当でしょうか?」である。これは、コメントの表示処理を実行すべきことを示し、表示対象とするコメントが「ニュースで聞きますが本当でしょうか?」であることを示す。したがって、グループ活動支援部12は、当該コメントを表示対象として含む学習支援画面の表示データを当該アクションの実行結果として生成し、当該表示データを電子黒板20の表示制御部21へ送信する(S218)。表示制御部21は、当該表示データを受信すると、当該表示データに基づいて学習支援画面を電子黒板20の表示装置202へ表示する。
図14は、学習支援画面の第2の表示例を示す図である。図14に示される学習支援画面540cにおいて、吹き出し541cには、検出キーワード542c及びコメント543cが含まれている。コメント542cは、検出キーワード542cに対応するアクションに含まれているコメントである。なお、アクションが「コメント」である場合について、検出キーワード542cの部分と、コメント542cの部分とがパラメータ化された表示データの雛型が予め生成されており、グループ活動支援部12は、当該雛型のこれらの部分に検出キーワード及びコメントを当てはめることで、学習支援画面540cに係る表示データを生成してもよい。
学習支援画面540cが電子黒板20に表示されることで、学習者達が学習支援画面540bに含まれるコメントが示す教員からの質問に基づく議論を展開することが期待できる。なお、図14の例では、検出キーワード541cを含むテキストデータの一部も表示対象とされている。すなわち、「AIのせいで、人間の仕事がなくなる」の中で、「仕事がなくなる」が重要キーワードとして登録されている文字列であり、それ以外は、学習者による発言内容がテキスト化された文字列である。学習支援画面540a及び学習支援画面540bの場合(すなわち、他のアクションの場合)にも、検出キーワードの前後の発言内容が表示対象に含まれるようにしてもよい。そうすることで、予め重要キーワードを知らされていない学習者達にとって、各学習支援画面540がどの発言について言及しているのかを理解し易くすることができる。
なお、上記では、重要キーワードごとに異なるアクションが関連付けられる例を示したが、全ての重要キーワードに対して共通のアクションが関連付けられてもよい。
又は、1つの重要キーワードに対して複数のアクションが関連付けられてもよい。また、アクションは、上記したものに限られない。例えば、他のグループによる同一テーマに関する発言内容の表示を示すアクションが定義されてもよい。この場合、検出ログには、全てのテキストデータ、又は重要キーワードを含むテキストデータが関連付けられるようにしてもよい。そうすることで、グループ活動支援部12は、或る検出キーワードに対して、他のグループによる同一テーマに関する発言内容の表示を示すアクションを実行する場合に、他のグループに関する検出ログから、当該検出キーワードを含むテキストデータを抽出することができる。グループ活動支援部12は、抽出されたテキストデータを含む学習支援画面に係る表示データを、電子黒板20へ送信してもよい。そうすることで、学習者達が、他のグループの発言内容を参考にして、更に議論を発展させることを期待することができる。なお、他のグループによる同一テーマに関する発言内容は、並行して他のグループによって行われている議論での発言内容でもよいし、過去において他のグループによって行われた議論での発言内容でもよい。
また、図8では、電子黒板20に対する書き込みについては言及されていないが、電子黒板20に対していずれかの学習者に対して書き込みが行われた場合、表示制御部21は、書き込み内容をサーバ装置10へ送信してもよい。この場合、電子黒板20側において、書き込み内容に対して文字認識(OCR(Optical Character Recognition))を行うことにより、書き込み内容がテキストデータに変換され、当該テキストデータがサーバ装置10へ送信されてもよい。又は、表示制御部21は、書き込み内容を示す画像データをサーバ装置10へ送信し、サーバ装置10側で当該画像データに対して文字認識を実行することで、当該書き込み内容がテキストデータに変換されてもよい。変換後のテキストデータについては、音声データから変換されたテキストデータと同様の処理(すなわち、重要キーワードの検出等)が実行されるようにしてもよい。
続いて、検出ログ記憶部123に記憶された検出ログに基づいて実行される処理手順について説明する。
図15は、検出ログの解析処理の処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。なお、図15において教員端末30が実行する処理は、教員端末30にインストールされたWebブラウザが教員端末30に実行させてもよい。また、図15の処理手順は、学習者達によるグループ活動の終了後において、教員の任意のタイミングで実行される。
教員が学習結果を参照したいグループのグループIDと学習テーマ(以下「対象テーマ」という。)のテーマIDとを教員端末30に入力すると、教員端末30は、当該グループID及びテーマIDを含む、学習結果の解析要求をサーバ装置10へ送信する(S301)。学習結果解析部15は、当該解析要求を受信すると、当該解析要求に含まれているグループID及びテーマIDを含む検出ログを検出ログ記憶部123から取得する(S302)。
続いて、学習結果解析部15は、取得された検出ログ(以下「対象検出ログ」という。)を解析する(S303)。例えば、対象テーマのテーマ情報の重要キーワードごとの発言数が、発言者ごとにカウントされてもよい。
続いて、学習結果解析部15は、解析結果を含む解析画面の表示データを生成し、当該表示データを教員端末30へ送信する(S304)。教員端末30は、当該表示データを受信すると、当該表示データに基づいて解析画面を表示する。
図16は、解析画面の表示例を示す図である。図16において、解析画面550には、対象テーマのテーマ名、実施日時、参加メンバ、重要キーワードごとの発言数、及び一定時間単位での重要キーワード発言数等が含まれている。
このうち、実施日時は、対象検出ログの開始日時及び終了日時に基づく値である。参加メンバは、例えば、図8のステップS201の前において、予め登録され、対象検出ログに含まれてもよい。又は、グループIDに関連付けられて、当該グループIDに係るグループに属する各学習者の氏名がデータベース等に登録されており、当該データベース等から参加メンバの氏名が取得されてもよい。
重要キーワードごとの発言数は、重要キーワードごとの学習者別の発言数である。当該発言数は、対象検出ログ(例えば、図11)の検出結果テーブルT1に基づいて特定可能である。例えば、検出結果テーブルT1の発言者名別に、各検出キーワードを含むレコード数をカウントすることで当該発言数を特定することができる。
一定時間単位での重要キーワード発言数は、例えば、10分単位での、重要キーワードの発言数を時系列に示したものである。すなわち、グラフg1において、横軸は時間に対応し、縦軸は発言数に対応する。なお、グラフg1では、学習者別に発言数が示されている。グラフg1も、対象検出ログ(例えば、図11)の検出結果テーブルT1に基づいて生成可能である。例えば、検出結果テーブルT1の各レコードの検出日時に基づいて、各レコードを一定時間ごとにグループに分類し、グループごとに、発言者名別のレコード数をカウントすることで、当該グループに係る時間帯の発言数を特定することができる。
なお、図16に示される解析結果以外の情報が解析画面550に含まれるようにしてもよい。例えば、グラフg1では、発言者名別ではなく、重要キーワード別に発言数が示されてもよい。そうすることで、重要キーワードの時間的な発言分布(発言履歴)や順序等を示すことができる。
教員は、このような解析結果を参照することで、自らがグループ活動の場に居なくても、グループ活動の結果の要約を把握することができる。したがって、例えば、各グループの議論の内容を録音した音声を確認する場合等に比べて、学習者達の学習の成果等を効率的に把握することができる。
なお、本実施の形態では、サーバ装置10と電子黒板20とが分離している例を示したが、各電子黒板20がサーバ装置10の機能を有するようにしてもよい。又は、サーバ装置10は、テーマ情報登録部11、テーマ情報記憶部121、検出ログ記憶部123及び学習結果解析部15を一元的に有し、各電子黒板20は、図4に示したサーバ装置10の機能構成のうち、これら以外の機能を有するようにしてもよい。この場合、各電子黒板20のキーワード検出部14は、検出ログをサーバ装置10の検出ログ記憶部123にアップロードするようにすればよい。
また、本実施の形態では、電子黒板20が、テーマ情報の表示機能と、議論の集音機能とを具備する例を示したが、当該表示機能と当該集音機能とは、別々の装置によって実現されてもよい。例えば、電子黒板20は、集音装置209を有さず、電子黒板20とは別のマイクが集音装置209の代わりに利用されてよい。また、当該表示機能が、電子黒板20ではなく、PC(Personal Computer)に接続されたディスプレイや、プロジェクタ(画像投影装置)等の他の表示機器によって実現されてもよい。
上述したように、本実施の形態によれば、学習者達による議論の中に重要キーワードが検出された場合には、当該重要キーワードに関連付けられているアクションが実行され、当該アクションの実行結果として得られる情報が電子黒板20に表示される。したがって、教員がグループ活動の場に居なくても、教員との擬似的な対話又は教員による擬似的な補助を実現することができる。その結果、学習者達による議論を教員の意図した方向に誘導することができると共に、当該議論の発展及び活性化を期待することができる。すなわち、複数人による議論の適切な進行を支援することができる。
なお、上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
なお、本実施の形態において、電子黒板20及びサーバ装置10は、情報処理システムの一例である。音声送信部22は、入力部の一例である。音声解析部13は、変換部の一例である。キーワード検出部14は、判定部の一例である。グループ活動支援部12は、実行部の一例である。学習結果解析部15は、送信部の一例である。
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。