本発明の第1の態様によれば、エアロゾル発生装置のサセプタの温度を決定するための装置が提供され、このサセプタは、RLC共振回路によって誘導加熱されるためのものである。本装置は、RLC共振回路の周波数応答のピークの周波数特性を決定し、決定された周波数特性に基づいて、サセプタの温度を決定するように構成される。
周波数特性は、RLC共振回路の共振周波数とすることができる。
周波数特性は、RLC回路の周波数応答のピークのバンド幅を示すものとすることができる。
本装置は、周波数特性の関数として温度を示すデータを決定するように構成することができ、温度は、決定されたデータ及び決定された周波数特性に基づいて決定される。
データは、周波数特性の関数として温度を示す関数式の1つ又は複数のパラメータを含むことができる。
データは、温度と周波数特性との間の比例定数とすることができる。
データは、周波数特性の関数として測定された温度の一連のデータ点を含むことができる。
本装置は、決定された周波数特性に基づいて、RLC回路の抵抗を決定するように構成することができ、温度の決定は、RLC回路の決定された抵抗に基づく。
本装置は、サセプタの温度-抵抗定数を決定するように構成することができ、温度の決定は、決定された抵抗及び決定された温度-抵抗定数に基づく。
本装置は、参照温度での周波数特性を示す参照特性を決定し、決定された周波数特性を決定された参照特性と比較するように構成することができ、温度の決定は、決定された周波数特性の参照特性との比較に基づく。
本装置は、実質的にエアロゾル発生装置の起動時に、並びに/或いは、実質的に新規及び/又は交換のサセプタをエアロゾル発生装置に取り付けた時に、並びに/或いは、実質的に新規及び/又は交換のインダクタをエアロゾル発生装置に取り付けた時に、参照特性を測定するように構成することができる。
本装置は、RLC回路が駆動される駆動周波数の関数としてRLC回路の電気的特性を測定するように構成することができ、周波数特性の決定は、RLC回路が駆動される駆動周波数の関数として測定されたRLC回路の電気的特性に基づく。
電気的特性は、RLC回路のインダクタ両端間で測定された電圧とすることができ、インダクタはサセプタにエネルギーを伝達するためのものとすることができる。
電気的特性の測定は受動的な測定とすることができる。
電気的特性は、RLC回路のインダクタによってセンスコイルに誘導された電流を示すものとすることができ、このインダクタはサセプタにエネルギーを伝達するためのものである。
電気的特性は、供給電圧要素によってピックアップコイルに誘導された電流を示すものとすることができ、この供給電圧要素は駆動要素に電圧を供給するためのものであり、この駆動要素はRLC回路を駆動するためのものである。
本発明の第2の態様によれば、エアロゾル発生材料を加熱し、以て、使用時にエアロゾルを発生させるように構成されたサセプタと、使用時にサセプタを誘導加熱させるように構成されたRLC共振回路と、第1の態様による装置とを備えたエアロゾル発生装置が提供される。
サセプタは、ニッケルを含むことができる。
サセプタは、ニッケルコーティングを有する本体を備えることができる。
ニッケルコーティングの厚さは実質的に5μmより薄い、又は実質的に2μm~3μmの範囲とすることができる。
ニッケルコーティングは、本体に電気めっきすることができる。
サセプタは、鋼、鉄、及びコバルトのうちの1つ又は複数を含むことができる。
サセプタは軟鋼のシートとすることができる。
軟鋼のシートの厚さは実質的に10μm~実質的に50μmの範囲とすることができる、又は実質的に25μmとすることができる。
本発明の第3の態様によれば、エアロゾル発生装置のサセプタの温度を決定する方法が提供され、このサセプタは、RLC共振回路によって誘導加熱されるためのものである。本方法は、RLC共振回路の周波数応答のピークの周波数特性を決定するステップと、決定された周波数特性に基づいて、サセプタの温度を決定するステップとを含む。
本発明の第4の態様によれば、処理システムで実行されるとき、処理システムに第3の態様による方法を実行させるコンピュータプログラムが提供される。
本発明のさらなる特徴及び利点は、添付の図面を参照して単なる例として挙げる本発明の好ましい実施形態の以下の説明から明らかとなろう。
誘導加熱は、電磁誘導によって導電性物体(又はサセプタ)を加熱するプロセスである。誘導ヒーターは、電磁石と、この電磁石に交流電流などの変動電流を流すための装置とを備えることができる。電磁石の変動電流は変動磁場を生じさせる。変動磁場は、電磁石に対して適切に配置されたサセプタに侵入し、サセプタ内部に渦電流を発生させる。サセプタは、渦電流に対して電気抵抗を有し、したがって、この抵抗に抗する渦電流の流れは、ジュール加熱によってサセプタを加熱する。サセプタが、鉄、ニッケル、又はコバルトなどの強磁性材料を含む場合、サセプタの磁気ヒステリシス損失によっても、すなわち、磁性材料内の磁気双極子の向きが、変動磁場と向きを合わせる結果として変動することによっても、熱を発生させることができる。
誘導加熱では、例えば、伝導による加熱と比較すると、熱はサセプタ内部で発生し、それによって急速な加熱が可能になる。さらに、誘導ヒーターとサセプタとの間で何ら物理的な接触をする必要がなく、それによって、構造及び用途の自由度を大きくすることができる。
電気的共振は、回路要素のインピーダンス又はアドミタンスの虚数部が互いに打ち消し合うとき、電気回路において特定の共振周波数で起きる。電気的共振を表す回路の1つの例は、直列に接続された、抵抗器によって与えられた抵抗(R)と、インダクタによって与えられたインダクタンス(L)と、コンデンサによって与えられたキャパシタンス(C)とを備えたRLC回路である。崩壊するインダクタの磁場が、コンデンサを充電するインダクタの巻線に電流を発生させるので、RLC回路で共振が起き、一方、放電するコンデンサは、インダクタに磁場を生じさせる電流を供給する。共振周波数で回路が駆動されると、インダクタとコンデンサの直列インピーダンスは最低になり、回路電流は最大になる。RLC共振回路の共振周波数及びバンド幅は、回路のキャパシタンス、インダクタンス、及び抵抗に依存する。
図1は、サセプタ116によってエアロゾル発生材料164を誘導加熱するためのRLC共振回路100を備えた例示的なエアロゾル発生装置150を概略的に示している。いくつかの例では、サセプタ116とエアロゾル発生材料164は一体のユニットを形成し、エアロゾル発生装置150に挿入することができ、及び/又はそれから取り外すことができ、使い捨てにすることができる。エアロゾル発生装置150は携帯型である。エアロゾル発生装置150は、エアロゾル発生材料164を加熱して、使用者が吸入するためのエアロゾルを発生させるように構成される。
本書では、用語「エアロゾル発生材料」は、加熱されると、典型的には蒸気又はエアロゾルの形態の揮発成分を供する材料を含むことに留意されたい。エアロゾル発生材料は非タバコ含有材料であってもよいし、タバコ含有材料であってもよい。エアロゾル発生材料は、例えば、タバコ自体、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコ、タバコ抽出物、均質化タバコ、又はタバコ代替品のうちの1つ又は複数を含んでいてもよい。エアロゾル発生材料は、挽きタバコ、刻みラグタバコ、押出タバコ、再生タバコ、再生材料、液体、ゲル、ゲル化シート、粉末、又は塊などの形態とすることができる。エアロゾル発生材料は、他に非タバコ製品を含んでもよい。この非タバコ製品は、製品によってニコチンを含んでもよいし、含まないでもよい。エアロゾル発生材料は、グリセロール又はプロピレングリコールなどの、1つ又は複数の保湿剤を含んでもよい。
図1に戻ると、エアロゾル発生装置150は、RLC共振回路100と、サセプタ116と、エアロゾル発生材料164と、制御器114と、バッテリー162とを収容する外装体151を備える。バッテリーは、RLC共振回路100に電力を供給するように構成される。制御器114は、RLC共振回路100を制御するように、例えば、バッテリー162からRLC共振回路100に供給される電圧、及びRLC共振回路100が駆動される周波数fを制御するように構成される。RLC共振回路100は、サセプタ116を誘導加熱するように構成される。サセプタ116は、使用時にエアロゾル発生材料364を加熱してエアロゾルを発生させるように構成される。外装体151は、使用時に発生したエアロゾルが装置150から出ることができるように吸い口160を備える。
使用時、使用者は、例えば、ボタン(図示せず)又はそれ自体知られている吸煙検出器(図示せず)によって制御器114を作動させて、例えば、RLC共振回路100の共振周波数frで、RLC共振回路100を駆動させることができる。以て、共振回路100はサセプタ116を誘導加熱し、サセプタ116はエアロゾル発生材料164を加熱し、以て、エアロゾル発生材料164にエアロゾルを発生させる。エアロゾルは発生して、空気入口(図示せず)から装置150内に引き込まれた空気内に入り、以て、吸い口160に運ばれ、エアロゾルはそこで装置150から出る。
制御器114及び装置150全体は、エアロゾル発生材料を燃焼させることなく、エアロゾル発生材料をある温度範囲に加熱して、エアロゾル発生材料の少なくとも1つの成分を揮発させるように構成することができる。例えば、その温度範囲は約50℃~約350℃、例えば、約50℃~約250℃、約50℃~約150℃、約50℃~約120℃、約50℃~約100℃、約50℃~約80℃、又は約60℃~約70℃とすることができる。いくつかの例では、その温度範囲は約170℃~約220℃である。いくつかの例では、その温度範囲はこの範囲以外であってもよく、温度範囲の上限は300℃より高くてもよい。
例えば、エアロゾル発生材料164の加熱を制御するために、例えば、特定の温度を超えて加熱しないことを確実にするために、例えば、燃焼又は炭化しないように、或いは、例えば、特定の温度で、又は特定の温度プロファイルにしたがって加熱されるように、サセプタ116の温度を決定することは望ましい。例えば、サセプタ116が、エアロゾル発生材料164を燃焼又は炭化させないことを確実にするために、サセプタ116の温度が400℃を超えないことは、望ましいことがある。例えば、サセプタ116の加熱中、例えば、加熱速度が速い場合、全体として、サセプタ116の温度とエアロゾル発生材料164の温度との間に差があり得ることは認識されるであろう。したがって、いくつかの例では、制御しようとするサセプタ116の温度、又はサセプタ116が超えてはならない温度は、例えば、エアロゾル発生材料164を加熱したい温度、又はエアロゾル発生材料164が超えてはならない温度より高くなり得ることは認識されるであろう。
本発明の例によれば、装置(例えば、制御器114)は、サセプタ116の温度を決定するように構成される。大ざっぱに言うと、下記でより詳細に説明するように、制御器114は、RLC共振回路100の周波数応答のピークの周波数特性を決定するように構成される。周波数特性は、サセプタ116の温度の変化とともに変わる。周波数特性は、例えば、共振周波数又はピークのバンド幅とすることができる。制御器は、決定された周波数特性に基づいてサセプタ116の温度を決定するように構成される。RLC共振回路100の周波数応答のピークの周波数特性に基づいてサセプタ116の温度を決定することによって、サセプタ116との物理的な接触を必要とすることなくサセプタ116の温度を決定することができ、したがって、例えば、エアロゾル発生装置150の設計自由度を拡げることができる。
次に、図2aを参照すると、サセプタ116を誘導加熱するための例示的なRLC共振回路100が示されている。共振回路100は、直列に接続された、抵抗器104と、コンデンサ106と、インダクタ108とを備える。共振回路100は、抵抗Rと、インダクタンスLと、キャパシタンスCとを有する。
回路100のインダクタンスLは、サセプタ116を誘導加熱するために構成されたインダクタ108によって与えられる。サセプタ116の誘導加熱は、インダクタ108によって発生させられた交流磁場によるものであり、それは、上記のように、サセプタ116内にジュール加熱、及び/又は磁気ヒステリシス損失を引き起こす。回路100のインダクタンスLの一部分は、サセプタ116の透磁性によるものであり得る。インダクタ108によって発生させられる変動磁場は、インダクタ108を流れる交流電流によって発生させられる。インダクタ108を流れる交流電流は、RLC共振回路100を流れる交流電流である。インダクタ108は、例えば、コイル状ワイヤ、例えば、銅コイルの形態とすることができる。インダクタ108は、例えば、リッツ線、例えば、個々に絶縁されたいくつかのワイヤを撚り合わせたワイヤを備えてもよい。リッツ線は、それ自体知られているように、表皮効果による電力損失を低減することができるので、MHzの範囲の駆動周波数fを用いるとき特に有用となり得る。これらの比較的高い周波数において、インダクタンスは低い値が必要である。別の例では、インダクタ108は、プリント回路基板上のコイル状トラックであってもよい。プリント回路基板上のコイル状トラックを使用すると、剛性の高い自立型トラックとなり、リッツ線(高価になり得る)に対するいかなる要件も不要にする断面を有し、低コストで高い再生産性を有して大量生産することができるので、有用となり得る。1つのインダクタ108が示されているが、1つ又は複数のサセプタ116を誘導加熱するために構成された1つ以上のインダクタがあってもよいことは容易に認識されるであろう。
回路100のキャパシタンスCはコンデンサ106によって与えられる。コンデンサ106は、例えば、クラス1セラミックコンデンサ、例えば、C0Gコンデンサとすることができる。キャパシタンスCはまた、回路100の浮遊容量を含み得る。しかしながら、これは、コンデンサ106によって与えられるキャパシタンスCと比べると微小である、又は無視できる。
回路100の抵抗Rは、抵抗器104と、共振回路100の構成部品を接続するトラック又はワイヤの抵抗と、インダクタ108の抵抗と、インダクタ108でエネルギー伝達するために構成されたサセプタ116によって与えられる、共振回路100を流れる電流に対する抵抗とによって与えられる。回路100が抵抗器104を備えることは必ずしも必要ではなく、回路100の抵抗Rは、接続するトラック又はワイヤ、インダクタ108、及びサセプタ116の抵抗によって与えることができることは認識されるであろう。
回路100は、Hブリッジドライバ102によって駆動される。Hブリッジドライバ102は、共振回路100に交流電流を与えるための駆動要素である。Hブリッジドライバ102は、DC電圧供給部VSUPP110に接続され、アースGND112に接続される。DC電圧供給部VSUPP110は、例えば、バッテリー162からであってもよい。Hブリッジ102は、集積回路であってもよく、或いは、半導体式又は機械式の場合がある個別のスイッチング部品(図示せず)を備えてもよい。Hブリッジドライバ102は、例えば、高効率ブリッジ整流器であってもよい。それ自体知られているように、Hブリッジドライバ102は、スイッチング部品(図示せず)によって回路の両端間の電圧を逆転させる(次いで、戻す)ことによって、DC供給部VSUPP110から回路100に交流電流を与えることができる。これは、DCバッテリーによってRLC共振回路に電力を供給することができ、交流電流の周波数を制御することができるので有用となり得る。
Hブリッジドライバ104は、制御器114に接続される。制御器114は、所与の駆動周波数fでRLC共振回路100に交流電流Iを与えるようにHブリッジ102又はその構成部品(図示せず)を制御する。例えば、駆動周波数fはMHzの範囲、例えば、0.5MHz~4MHz、例えば、2MHz~3MHzの範囲とすることができる。例えば、使用される特定の共振回路100(及び/又は、その構成部品)、制御器114、サセプタ116及び/又は駆動要素102に応じて、他の周波数f又は周波数範囲を使用することができることは認識されるであろう。例えば、RLC共振回路100の共振周波数frは、回路100のインダクタンスL及びキャパシタンスCに依存し、それは、インダクタ108、コンデンサ106、及びサセプタ116に依存することは認識されるであろう。駆動周波数fの範囲は、例えば、使用される特定のRLC共振回路100及び/又はサセプタ116の共振周波数frの近くとすることができる。使用される共振回路100、並びに/或いは駆動周波数又は駆動周波数fの範囲は、所与のサセプタ116に対する他の要因に基づいて選択されてもよいことも認識されるであろう。例えば、インダクタ108からサセプタ116へのエネルギーの伝達を改善するために、表皮深さ(すなわち、インダクタ108からの交流磁場が吸収されるサセプタ116の表面からの深さ)をサセプタ116材料の厚さより浅くする、例えば、1/3~1/2にすることが有用となり得る。表皮深さは、サセプタ116の材料及び構造が異なると異なり、駆動周波数fが上がると浅くなる。したがって、いくつかの例では、比較的高い駆動周波数fを使用することが有利になり得る。他方では、例えば、電子装置内で熱として失われる、共振回路100及び/又は駆動要素102に供給される電力の割合を下げるために、低い駆動周波数fを使用することが有利になり得る。したがって、いくつかの例では、これらの要因の折衷案を、適切に、及び/又は望まれるように選ぶことができる。
上記のように、制御器114は、RLC共振回路100の周波数応答のピークの周波数特性を決定し、決定された特性に基づいてサセプタ116の温度を決定することによって、サセプタ116の温度を決定するように構成される。
図3aは、共振回路100の周波数応答300を概略的に示している。図3aの例では、共振回路100の周波数応答300は、回路がHブリッジドライバ104によって駆動される駆動周波数fの関数として、回路100を流れる電流Iの概略プロットによって示されている。
図2aの共振回路100は、インダクタ108とコンデンサ106の直列インピーダンスZが最低で、したがって、回路電流Iが最大となる共振周波数frを有する。したがって、図2aに示されているように、Hブリッジドライバ104が、共振周波数frで回路100を駆動するとき、回路100の交流電流I、したがって、インダクタ108の交流電流Iは最大Imaxとなる。したがって、インダクタ106によって発生させられた振動磁場は最大となり、したがって、インダクタ106によるサセプタ116の誘導加熱は最大となる。Hブリッジドライバ104が、共振外れである、すなわち、共振周波数frより上又は下の周波数fで回路100を駆動するとき、回路100の交流電流I、したがって、インダクタ108の交流電流Iは最大よりも少なく、したがって、インダクタ106によって発生させられる振動磁場は最大より小さく、したがって、インダクタ106によるサセプタ116の誘導加熱は最大より少ない。したがって、図3aで分かるように、共振回路100の周波数応答300は、共振周波数frを中心とするピークを有し、したがって、共振周波数frの上及び下の周波数で次第に小さくなる。
上記のように、制御器114は、RLC共振回路100の周波数応答300のピークの周波数特性を決定するように構成される。共振回路100の周波数応答300のピークの特性は、例えば、ピークの中心にある共振周波数f
rとすることができる。別の例として、共振回路100の周波数応答300のピークの特性はピークの幅とすることができる。ピークの幅は、ピークのバンド幅Bによって特徴づけることができ、図2aに示された例では、ピークのバンド幅Bは、
におけるピークの全幅である。
いくつかの例では、ピークの周波数特性を決定するために、制御器114は、RLC共振回路100の周波数応答300を測定するように構成される。例えば、制御器は、RLC回路が駆動される駆動周波数fの関数として、RLC回路100の電気的特性を測定するように構成することができる。制御器114は、RLC回路100が駆動される絶対周波数を決定するためにクロック発生器(図示せず)を備えてもよい。制御器114は、ある時間間隔にわたって駆動周波数fのある範囲を走査するようにHブリッジ104を制御するように構成することができる。RLC回路100の電気的特性は、駆動周波数の走査中に測定することができ、したがって、駆動周波数fの関数としてRLC回路100の周波数応答300を決定することができる。
この電気的特性の測定は受動的な測定、すなわち、共振回路100とのいかなる直接の電気的接触も含まない測定とすることができる。
例えば、図2aに示された例を再び参照すると、電気的特性は、RLC回路100のインダクタ108によってセンスコイル120aに誘導された電流を示すことができる。図2aに示されているように、センスコイル120aは、インダクタ108からエネルギー伝達されるように配置され、回路100に流れる電流Iを検出するように構成される。センスコイル120aは、例えば、ワイヤのコイル、又はプリント回路基板上のトラックであってもよい。例えば、インダクタ108がプリント回路基板上のトラックの場合、センスコイル120aは、プリント回路基板上のトラックとすることができ、例えば、インダクタ108の平面に平行な平面に、インダクタ108の上方又は下方に配置することができる。別の例では、2つ以上のインダクタ108がある例では、センスコイル120aは、インダクタの両方からエネルギー伝達されるように、これらのインダクタ108間に配置することができる。例えば、これらのインダクタ108がプリント回路基板上のトラックであり、互いに平行な平面にある場合、センスコイル120aは、2つのインダクタの中間で、これらのインダクタ108に平行な平面にある、プリント回路基板上のトラックとすることができる。
いずれの場合も、回路100、したがってインダクタ108に流れる交流電流Iによって、インダクタ108は交流磁場を発生する。交流磁場は、センスコイル120a内に電流を誘導する。センスコイル120a内に誘導された電流は、センスコイル120aの両端間に電圧VINDを生成する。センスコイル120aの両端間の電圧VINDは測定することができ、RLC回路100に流れる電流Iに比例する。センスコイル120aの両端間の電圧VINDは、Hブリッジドライバ104が共振回路100を駆動している駆動周波数fの関数として記録することができ、したがって、決定された回路100の周波数応答300を記録することができる。例えば、制御器114は、Hブリッジドライバ104を制御して共振回路100で交流電流を駆動している周波数fの関数としてセンスコイル120aの両端間の電圧VINDの測定値を記録することができる。次いで、制御器は、周波数応答300を分析して、周波数応答300のピークの周波数特性、例えば、ピークの中心にある共振周波数fr、又はピークのバンド幅Bを決定することができる。
図2bは、RLC回路100の電気的特性の受動的な測定の別の例を示している。図2bは、図2aのセンスコイル120aがピックアップコイル120bに取り替えられていることを除いて図2aと同じである。図2bに示されているように、ピックアップコイル120bは、RLC回路100の需要電力が変わることによってDC供給電圧ワイヤ又はトラック110を通って流れる電流が変わるときに、DC供給電圧ワイヤ又はトラック110によって生成された磁場の一部分を傍受するように配置される。DC供給電圧ワイヤ又はトラック110に流れる電流の変化によって生成される磁場は、ピックアップコイル120bに電流を誘導し、それがピックアップコイル120bの両端間の電圧VINDを生成する。例えば、理想的な場合では、DC供給電圧ワイヤ又はトラック110に流れる電流は直流のみのはずであるが、実際には、DC供給電圧ワイヤ又はトラック110に流れる電流は、例えば、Hブリッジドライバ104のスイッチングの不完全さによって、Hブリッジドライバ104によってある程度変調されることがある。したがって、これらの電流の変調は、ピックアップコイルに電流を誘導し、それは、ピックアップコイル120bの両端間の電圧VINDによって検出される。
ピックアップコイル120bの両端間の電圧VINDは、Hブリッジドライバ104が共振回路100を駆動する駆動周波数fとして測定及び記録することができ、したがって、回路100の決定された周波数応答300を測定及び記録することができる。例えば、制御器114は、Hブリッジドライバ104を制御して共振回路100の交流電流を駆動する周波数fの関数としてピックアップコイル120aの両端間の電圧VINDの測定値を記録することができる。次いで、制御器は、周波数応答300を分析して、周波数応答300のピークの周波数特性、例えば、ピークの中心にある共振周波数fr、又はピークのバンド幅Bを決定することができる。
いくつかの例では、Hブリッジドライバ104の不完全さによって引き起こされることがあるDC供給電圧ワイヤ又はトラック110の電流の変調成分を低減又は除去することが望ましいことがあることに留意されたい。これは、例えば、Hブリッジドライバ104の両端間にバイパスコンデンサ(図示せず)を実装することによって達成することができる。この場合、回路100の周波数応答300を決定するために使用されるRLC回路100の電気的特性は、ピックアップコイル120b以外の手段によって測定することができることは認識されるであろう。
図2cは、RLC回路の電気的特性の能動的な測定の例を示している。図2cは、図2aのセンスコイル120aが、インダクタ108の両端間の電圧VLを測定するように構成された要素120c、例えば、受動的な差動回路120cに取り替えられていることを除いて図2aと同じである。共振回路100の電流Iが変化すると、インダクタ108の両端間の電圧VLは変化する。インダクタ108の両端間の電圧VLは、Hブリッジドライバ104が共振回路100を駆動する駆動周波数fの関数として測定及び記録することができ、したがって、回路100の決定された周波数応答300を測定及び記録することができる。例えば、制御器114は、Hブリッジドライバ104を制御して共振回路100の交流電流を駆動する周波数fの関数としてインダクタ108の両端間の電圧VLの測定値を記録することができる。次いで、制御器114は、周波数応答300を分析して、周波数応答300のピークの周波数特性、例えば、ピークの中心にある共振周波数fr、又はピークのバンド幅Bを決定することができる。
図2a~図2cに示された例のそれぞれにおいて、又はその他において、制御器114は、周波数応答300を分析して、周波数応答300のピークの周波数特性、例えば、ピークの中心にある共振周波数f
r、又はピークのバンド幅Bを決定することができる。例えば、制御器114は、知られているデータ分析技法を使用して、ピークの周波数特性を決定することができる。例えば、制御器は、周波数応答データから直接、共振周波数f
r及び/又はバンド幅Bを推定することができる。例えば、共振周波数f
rに対しては、制御器114は、最大の応答が記録された周波数fを共振周波数f
rとして決定することができる、又は、2つの最大の応答が記録された周波数fを決定して、これらの2つの周波数fの平均を共振周波数f
rとして決定することができる。バンド幅Bに対しては、例えば、制御器114は、応答が最大の応答の
となる周波数fを決定し、これらの2つの周波数の差をバンド幅Bとして決定することができる。さらに別の例としては、制御器114は、RLC回路に対する周波数fの関数として電流I(又は、別の応答)を示す関数を周波数応答データにフィットさせ、フィットさせた関数から共振周波数f
r及び/又は周波数応答データのピークのバンド幅Bを推定又は計算することができる。
上記のように、制御器114は、共振回路100の周波数応答300のピークの決定された周波数特性に基づいて、サセプタ116の温度を決定するように構成される。
1つの例では、共振回路100の周波数応答300のピークの特性は、例えば、Hzで測定されたピークの中心にある共振周波数f
rである。回路100の共振周波数f
rは、回路100のキャパシタンスC及びインダクタンスLに依存し、次式で与えられる。
インダクタ108のインダクタンスL、したがって共振回路100のインダクタンスLは、サセプタ116の透磁率μに依存する。透磁率μは、材料がそれ自体に磁場の形成を維持する能力の尺度であり、加えられた磁場に応じて材料が得る磁化の度合いを表す。サセプタ116の透磁率μが大きければ大きいほど、インダクタンスLは大きくなる。サセプタ116を構成する材料の透磁率μは、温度とともに変わり得る。
例えば、鉄、ニッケル、コバルト、及びそれらの合金などの強磁性及びフェリ磁性の材料に対して、それらの飽和磁化(すなわち、加えられた磁場に対して得ることができる最大の磁化)は、材料の温度が、材料の永久磁石の性質が失われる温度である、それらのキュリー温度TCに近づくにつれて減少する。例えば、ニッケルのキュリー温度TCは358℃であり、358℃のニッケルと比べると、250℃のニッケルに対する飽和磁化の相対変化は50%より大きい。したがって、この場合、サセプタ116の温度が上昇してキュリー温度TCに近づくにつれて、サセプタ116の透磁率μは下がり、したがって、共振回路100のインダクタンスLは下がり、したがって、式(1)により、ピークの中心にある共振周波数frは上昇する。
図3bは、サセプタ116が2つの異なる温度T1(実線の曲線360)及びT2(破線の曲線370)のときの共振回路100の周波数応答360、370を概略的に示している。ここで、T2はT1より高い。図3bの例では、共振回路100の周波数応答360、370は、回路100が駆動される駆動周波数fの関数として回路100に流れる電流Iを概略的にプロットすることによって示されている。上記のように、サセプタ116が低い温度T1のとき、回路100のインダクタンスLはL1で、共振周波数frはfr1である。しかしながら、サセプタ116が高い温度T2(サセプタ116を構成する材料のキュリー温度TCより下であるがそれに近い)のときは、回路100のインダクタンスLはL2に下がり、したがって、回路100の共振周波数frはfr2に上がる。
したがって、回路100の共振周波数frを決定することによって、制御器114は、(下記でより詳細に説明するように)サセプタ116の温度を決定、例えば、推定又は計算することができる。
回路100の共振周波数frを使用してサセプタ116の温度を決定することは、例えば、サセプタ116の作動温度範囲(すなわち、サセプタ116がエアロゾル発生装置150において加熱される温度範囲)が、サセプタ116(又は、サセプタ116が含む材料)のキュリー温度TCより低い場合に有用となり得る。これによって、所与の周波数frが、サセプタ116の2つ以上の温度に対応することが避けられ、したがって、より正確な温度測定が可能になる。さらに、回路100の共振周波数frを使用してサセプタ116の温度を決定することは、例えば、サセプタ116の作動温度範囲が、サセプタ116(又は、サセプタ116が含む材料)のキュリー温度TCの範囲、すなわちその近くにある場合に有用となり得る。これは、強磁性又は強磁性の材料の飽和磁化が、材料のキュリー温度TCから離れた温度にあるときと比べて、材料のキュリー温度TCの範囲、すなわちその近くでは、温度の関数としてより急速に変化するためである。したがって、材料のキュリー温度TCの範囲、すなわちその近くでは、所与の温度変化は、サセプタ166の飽和磁化、したがって、共振回路100の共振周波数frがより大きく変化し、したがって、サセプタ116の温度のより高感度な測定が可能になる。
特定の例として、サセプタ116はニッケルを含んでもよい。例えば、サセプタ116は、薄いニッケルコーティングを有する本体又は基板を備えてもよい。例えば、本体は、厚さが約25μmの軟鋼のシートであってもよい。他の例では、シートは、アルミニウム又はプラスチック又はステンレス鋼又は他の非磁性材料などの異なる材料より作られてもよく、並びに/或いは、10μm~50μmなどの異なる厚さを有してもよい。本体は、ニッケルでコーティング又は電気めっきされてもよい。ニッケルは、例えば、2μm~3μmなど、5μmより薄い厚さを有してもよい。コーティング又は電気めっきは別の材料のものでもよい。サセプタ116の厚さをほんのわずか、比較的薄くすると、使用時にサセプタ116を加熱するのに必要な時間を短縮する助けになり得る。サセプタ116をシートの形態にすると、サセプタ116からエアロゾル発生材料164への熱結合の効率を高くすることができる。サセプタ116は、エアロゾル発生材料164を備える消耗品に一体化されてもよい。サセプタ116材料の薄いシートは、この目的のために特に有用になり得る。サセプタ116は使い捨てにしてもよい。このようなサセプタ116は費用効果が高くなり得る。
ニッケルは強磁性である。ニッケルのキュリー温度TCは358℃である。1つの例では、ニッケルでコーティング又はめっきされたサセプタ116は、エアロゾル発生装置350の作動範囲となることがある約200℃~約300℃の範囲の温度に加熱されることがある。250℃におけるニッケルの飽和磁化の変化は、大気温度における値に対して50%である。したがって、この場合、共振回路100の共振周波数frを測定することによって、サセプタ116の温度を正確で高感度に決定することができる。
しかしながら、サセプタ116が含むことができる、又はサセプタ116を作ることができる他の材料、例えば、鉄又はコバルト又は軟鋼は、所与のエアロゾル発生装置350のサセプタ116の作動温度範囲から比較的離れ得る、より高いキュリー温度TCを有することがある。例えば、軟鋼のサセプタ116は、ほぼ770℃のキュリー温度TCを有し得る。この場合、250℃における鋼などの材料の飽和磁化の変化は、大気温度での値に対して比較的小さい、例えば、10%より小さいことがあり、したがって、その結果生じる、例示的な作動範囲での異なる温度におけるインダクタンスLの変化、したがって、回路100の共振周波数frの変化は比較的小さいことがある。
これは、キュリー温度TC近くでの材料の飽和磁化の減少とともに生じることがある、誘導加熱の効率の低下を避ける助けとなり得るので、装置の作動温度範囲から離れ、それより高いキュリー温度TCを有するサセプタ116用の材料を使用することが有利になり得る。
共振回路100の周波数応答300のピークの別の特性はピークの幅である。ピークの幅は、ピークのバンド幅Bによって特徴づけることができる。ピークのバンド幅Bは、
におけるHzで表したピークの全幅である。ピークのバンド幅Bは、直列共振回路100のインダクタンスL及び抵抗Rに依存し、次式で与えられる。
上記のように、回路100の抵抗Rは、インダクタ108によってサセプタ116内に誘導された渦電流に対するサセプタ116の抵抗によって少なくとも部分的に与えられ、それは、サセプタ116を誘導加熱するように構成されたインダクタ108の抵抗に加わる。サセプタ116(したがって、インダクタ108、したがって回路100の)の抵抗Rは、サセプタ116の温度とともに変わり得る。
例えば、鉄、コバルト、又は鋼などの導体を含むサセプタ116では、抵抗Rは、温度の上昇とともに増大し、例えば、サセプタ116の温度の上昇とともに直線的に又はほほ直線的に、或いは少なくとも単調に増大する。したがって、サセプタ116の温度が上昇するにつれて、サセプタ116の抵抗が増大し、それがインダクタ108の抵抗を増大させ、それが共振RLC回路100の抵抗Rを増大させ、それが、式(2)により、共振回路100の応答のピークのバンド幅Bを増大させる。
図3cは、サセプタ116が2つの異なる温度T1(実線の曲線380)及びT2(破線の曲線390)のときの共振回路100の周波数応答380、390を概略的に示している。ここで、T2はT1より高い。図3cの例では、共振回路100の周波数応答は、回路100が駆動される駆動周波数fの関数として回路100に流れる電流Iを概略的にプロットすることによって示されている。サセプタ116が低い温度T1のとき、回路100の抵抗RはR1で、ピークのバンド幅BはB1である。しかしながら、上記のように、サセプタ116が高い温度T2のときは、回路100の抵抗RはR2に増え、したがって、共振回路100の応答のピークのバンド幅BはB2に広がる。
したがって、回路100の応答380、390のピークのバンド幅Bを決定することによって、制御器114は、(下記でより詳細に説明するように)サセプタ116の温度を決定、例えば、推定又は計算することができる。
回路100の応答380、390のピークのバンド幅Bを使用してサセプタ116の温度を決定することは、例えば、サセプタ116の作動温度範囲(すなわち、サセプタ116がエアロゾル発生装置350において加熱される温度範囲)が、サセプタ116(又は、サセプタ116を作る材料)のキュリー温度TCから離れている、すなわちそれに近くない場合に有用となり得る。これらの場合、回路100のインダクタンスLは、異なる温度で比較的一定のままとなり得、したがって、回路100の抵抗R、したがって、サセプタ116の温度は、決定されたバンド幅Bから直接、決定することができる。これによって、サセプタ116の温度を簡単に決定することができる。
特定の例として、サセプタ116は鋼であってもよく、又は、鋼を含んでもよい。サセプタ116は、厚さが約10μm~約50μm、例えば約25μmの軟鋼のシートであってもよい。サセプタ116の厚さをほんのわずか、比較的薄くすると、使用時にサセプタを加熱するのに必要な時間を短縮する助けになり得る。サセプタ116は、例えば、使い捨てにすることができるエアロゾル発生材料164と一体化されるのとは反対に、装置105に一体化されてもよい。それでもなお、例えば、使用後に、例えば、使用中の熱応力及び酸化ストレスによる劣化後にサセプタ116の交換を可能にするために、サセプタ116は装置115から取り外し可能としてもよい。したがって、サセプタ116は「半永久」であってもよく、その場合には、まれに交換される。サセプタ116としての軟鋼シート又は箔、或いはニッケルコーティングの鋼シート又は箔は耐久性があり、したがって、例えば、多くの使用、及び/又はエアロゾル発生材料164との多くの接触での損傷に抗することができるので、この目的に特に適していることがある。シートの形態にすると、サセプタ116からエアロゾル発生材料164への熱結合の効率を高くすることができる。
鉄のキュリー温度TCは770℃である。軟鋼のキュリー温度TCはほぼ770℃である。コバルトのキュリー温度TCは1127℃である。1つの例では、軟鋼のサセプタ116は、エアロゾル発生装置150の作動範囲となることがある約200℃~約300℃の範囲の温度に加熱することができる。250℃における軟鋼の飽和磁化の変化は、周囲温度での値に対して10%より小さくなる。したがって、温度の作動範囲における温度間のインダクタンスLの変化は比較的小さく、鋼のサセプタ116に対しては、一定であると仮定することができる。したがって、回路100の応答のピークのバンド幅Bの変化は、(式(2)により)回路100の抵抗R、したがって、鋼のサセプタ116の温度に直接、関係付けることができる。したがって、この場合、ピークのバンド幅Bを測定することによって、サセプタ116の温度を簡単及び正確に決定することができる。
いくつかの例では、制御器114は、共振周波数fr又はバンド幅Bのうちの1つだけを決定して、サセプタの温度を決定するように構成することができる。いくつかの例では、制御器114は、使用されているサセプタ116のタイプ及び/又は装置350の温度の作動範囲に応じて、共振周波数fr又はバンド幅Bのうちのどちらかを決定して、サセプタ116の温度を決定するように構成することができる。いくつかの例では、サセプタ116の温度を決定するために、制御器114が共振周波数fr又はバンド幅Bのうちのどちらを使用するかは、制御器114及び/又は装置150に予め設定、又は予め決定される。いくつかの例では、制御器114は、共振周波数fr及びはバンド幅Bの両方を決定して、両方を使用してサセプタ116の温度を決定するように構成することができる。例えば、制御器は、共振周波数fr及びはバンド幅Bを使用して決定された温度の平均を採って、これをサセプタ116の温度として決定するように構成することができる。
上記のように、制御器114は、決定された周波数特性、例えば、回路100の共振周波数fr、又は回路100の周波数応答300のピークのバンド幅Bに基づいてサセプタ116の温度を決定するように構成される。これを達成することができるようにする様々な方法がある。
1つの例では、制御器114は、周波数特性の関数として温度を示すデータを決定し、決定されたデータ及び決定された周波数特性に基づいて温度を決定するように構成される。
例えば、データな、第1の特性の関数として測定された温度の一連のデータ点を含むことができる。例えば、制御器114は、周波数特性をサセプタ116の温度に対応づける校正データをメモリ(図示せず)に記憶することができる。例えば、第1の特性の関数としての温度は単調なことがある。例えば、校正データは、装置350又は制御器114の製造中に、例えば、熱電対などの温度計を使用して決定されるように、サセプタ116の温度の関数として回路の周波数特性を測定することによって決定することができる。次いで、この校正データは、装置350又は制御器114に、例えば、装置350又は制御器114のメモリ(図示せず)にルックアップテーブルとして記憶することができる。使用時、制御器114は、共振回路100の周波数応答300のピークの周波数特性を決定し、決定された周波数特性を使用して、校正データからサセプタ116の対応する温度を調べることができる。これは、周波数特性と温度との関係が複雑な場合に有用となり得、したがって、温度を正確に決定することができる。
別の例として、制御器114又は装置350は、周波数特性の関数として温度を示す関数式の1つ又は複数のパラメータを含むデータを記憶することができる。例えば、周波数特性は、サセプタ116の温度とともに直線的に変わると仮定することができる。この場合、周波数特性の関数としてサセプタ116の温度Tを示す関数式は、T=aF+bとすることができる。ここで、a及びbはこの関数式のパラメータの定数である。これらのパラメータは、制御器114又は装置350の製造過程中に決定し、制御器又は装置350のメモリ(図示せず)に記憶することができる。使用時、制御器は、共振回路100の周波数応答300のピークの周波数特性を決定し、メモリに記憶されているパラメータa及びbを使用して、サセプタ116の温度を計算することができる。必要に応じて、他の関数式、例えば、非線形関数式、例えば、適切なパラメータの多項式関数を使用することができることは認識されるであろう。これは、例えば、周波数特性及び温度の一連のデータを記憶することに比べて、パラメータを記憶することは使用する記憶領域が少なくなるので有用となり得る。
いくつかの例では、データは、単に、温度と周波数特性との間の比例定数とすることができる。この定数は、メモリ(図示せず)に記憶され、制御器によって使用されて、周波数特性から直接、サセプタ116の温度を計算することができる。これは、計算的には簡単であり、1つのパラメータを記憶することを意味し、必要な記憶容量を削減することができるので、有用となり得る。
周波数特性が、共振回路100の周波数応答300のピークのバンド幅Bである場合、制御器114は、インダクタンスLの知られた値、例えば所定の値とともに式(2)を使用して、共振回路100の抵抗Rを決定するように構成することができる。次いで、サセプタ116の温度は、決定された抵抗Rから決定することができる。例えば、サセプタ116の寄与を除いた抵抗Rへの寄与は、知られている、又は予め決められ、一定のままと仮定することができる。次いで、サセプタ116の抵抗は、決定された抵抗Rと、サセプタ116の寄与を除いた抵抗Rへの寄与との間の差として決定することができる。別の例として、サセプタ116の寄与を除いた抵抗Rへの寄与は、微小であると仮定することができ、したがって、決定された抵抗Rは、サセプタの抵抗と等しい。次いで、サセプタ116の温度は、制御器114又は装置150のメモリ(図示せず)に記憶することができる定数、例えば、サセプタ116の温度-抵抗定数をサセプタの抵抗に掛けることによって決定することができる。異なる材料は異なる温度-抵抗定数を有する。したがって、制御器114は、異なる材料に対して複数の温度-抵抗定数を記憶して、サセプタ116の温度を決定する際に使用するために、サセプタ116が含む材料にしたがって適切な温度-抵抗定数を決定することができる。例えば、サセプタ116が含む材料は、使用者の入力によって、又は制御器114にサセプタ116を識別することができる別の入力から、制御器114が知ることができる。これは、使用されるサセプタ116に柔軟性を与えることを可能にしながら、温度を正確に決定することができるので、有用となり得る。
いくつかの例では、制御器114は、参照温度での周波数特性を示す参照特性を決定し、決定された周波数特性を決定された参照特性と比較し、決定された周波数特性の参照特性との比較に基づいてサセプタ116の温度を決定するように構成することができる。
例えば、制御器114は、サセプタ116が特定の温度であることを知る、又は推測することができるとき、周波数特性を決定するように構成することができる。例えば、制御器114は、装置150の開始時に、(例えば、上記の方法を使用して)周波数特性を決定するように構成することができる。そのとき、サセプタ116の温度は大気温度、例えば20℃であると仮定することができる。次いで、制御器114は、この決定された周波数特性を、20℃の参照温度での参照周波数特性として記憶することができる。後の段階、例えば、サセプタ116が誘導加熱されているとき、制御器114は、再び、周波数特性を決定することができる。次いで、制御器114は、この決定された周波数特性を参照周波数特性と比較することができる。例えば、制御器114は、決定された周波数特性と参照周波数特性との間の差を計算することができる。次いで、制御器114は、この差に基づいてサセプタ116の温度を決定することができる。例えば、この差は、上記と同様な方法で、例えば、予め記憶された校正データ、又は校正関数、又は比例定数により、サセプタ116の温度と対応させることができる。
決定された周波数特性の参照温度での参照特性との比較に基づいてサセプタ116の温度を決定することによって、所与の温度での共振回路の周波数特性を仮定する必要性が除去され、したがって、温度をより正確に決定することができる。さらに、この温度決定は、サセプタ116又は共振回路100又は装置全体350の変化に対してよりロバストである。例えば、サセプタ116は交換可能とすることができる。例えば、サセプタ116は使い捨て可能とすることができ、例えば、加熱するように配置されたエアロゾル発生材料164と一体化することができる。したがって、参照周波数特性の決定は、サセプタ116が交換されたとき、異なるサセプタ116間の違い、及び/又は、インダクタ108に対するサセプタ116の配置の違いを考慮することができる。さらに、インダクタ108は、又は、実際、共振回路100のいかなる構成部品も、例えば、一定の使用後、又は損傷後、交換可能とすることができる。したがって、同様に、インダクタ108が交換されたとき、参照周波数特性の決定は、異なるインダクタ108間の違い、及び/又は、サセプタ116に対するインダクタ108の配置の違いを考慮することができる。
したがって、制御器114は、実質的にエアロゾル発生装置150の起動時に、並びに/或いは、実質的に新規及び/又は交換のサセプタ116をエアロゾル発生装置150に取り付けた時に、並びに/或いは、実質的に新規及び/又は交換のインダクタ108をエアロゾル発生装置150に取り付けた時に、参照特性を測定するように構成することができる。
図4は、RLC共振回路100によって誘導加熱されるための、エアロゾル発生装置105のサセプタ116の温度を決定する方法400を概略的に示すフロー図である。ステップ402において、方法400は、RLC共振回路100の周波数応答300のピークの周波数特性を決定するステップを含む。上記のように、周波数特性は、共振回路100の共振周波数frとすることができる、又は回路100の周波数応答300のピークのバンド幅Bとすることができる。周波数特性は、例えば、上記の技法を使用して得ることができる。ステップ404において、方法400は、決定された周波数特性に基づいてサセプタ116の温度を決定するステップを含む。サセプタの温度は、決定された周波数特性から、例えば、上記の技法を使用して得ることができる。
制御器114は、プロセッサ及びメモリ(図示せず)を備えることができる。メモリは、プロセッサによって実行可能な命令を記憶することができる。例えば、メモリは命令を記憶することができ、これらの命令は、プロセッサで実行されるときにプロセッサに上記の方法400を実行させる。これらの命令は、任意の適切な記憶媒体、例えば、非一時的な記憶媒体に記憶することができる。
上記の例のいくつかは、回路が駆動される周波数fの関数としてのRLC共振回路100に流れる電流IによるRLC共振回路100の周波数応答300を参照したが、必ずしもそのようにする必要はなく、他の例では、RLC回路100の周波数応答300は、回路が駆動される周波数fの関数としてのRLC共振回路に流れる電流Iに関連し得る任意の測定値であってもよいことは認識されるであろう。例えば、周波数応答300は、周波数fに対する回路のインピーダンスの応答としてもよく、或いは、上記のように、回路が駆動される周波数fの関数としてのインダクタ両端間で測定された電圧、或いは、供給電圧線又はトラックに流れる電流の変化によってピックアップコイル内への電流の誘導から生じる電圧又は電流、或いは、RLC共振回路のインダクタ108によってセンスコイル内への電流の誘導から生じる電圧又は電流、或いは、無誘導のピックアップコイル又はホール効果デバイスなどの無誘導のフィールドセンサからの信号であってもよい。各場合において、周波数応答300のピークの周波数特性を決定することができる。
上記の例のいくつかでは、周波数特性が周波数応答300のピークのバンド幅Bであったが、必ずしもそのようにする必要はなく、周波数特性は、ピークのバンド幅を示すものであってもよいことは認識されるであろう。例えば、任意の所定の応答振幅のピーク、又は最大応答振幅の、ある比率での全幅又は半幅が使用されてもよい。ピークのバンド幅を示すこの特性は、適切なスケーリング係数を適用することが必要な場合、バンド幅の代わりに使用することができる。他の例では、共振回路100のいわゆる「Q」又は「品質」係数又は値は、Q=fr/Bによって、バンド幅Bと共振回路100の共振周波数frに関係付けることができるが、これを決定及び/又は測定して、適切な係数が適用された上記の例で説明したことと同様に、バンド幅B及び/又は共振周波数frの代わりに周波数特性として使用することができることも認識されるであろう。したがって、いくつかの例では、回路100のQ係数を測定又は決定することができ、したがって、決定されたQ係数に基づいて、回路100の共振周波数fr、回路100のバンド幅B、及び/又はサセプタ116の温度を決定することができることは認識されるであろう。
上記の例は、最大点と関連付けられたピークを参照したが、必ずしもそのようにする必要はなく、決定された周波数応答300、及び測定される方法に応じて、ピークは最低点と関連付けることができることは容易に認識されるであろう。例えば、共振時、RLC回路100のインピーダンスが最低であり、したがって、例えば、駆動周波数fの関数としてインピーダンスを周波数応答300として使用される場合、RLC回路の周波数応答300のピークは最低点と関連付けられる。
上記の例のいくつかでは、RLC共振回路の周波数応答300のピークの周波数特性を決定するために、制御器114は、RLC共振回路100の周波数応答300を測定するように構成されると説明されているが、必ずしもそのようにする必要はなく、他の例では、例えば、制御器114は、別個の測定又は制御システム(図示せず)によって伝えられた周波数応答データを分析することによって、周波数特性を決定することができる、或いは、別個の制御又は測定システムによって周波数特性を伝えられることによって直接、周波数特性を決定することができることは認識されるであろう。次いで、制御器114は、決定された周波数特性に基づいて、例えば、上記の技法を使用してサセプタ116の温度を決定することができる。
上記の例のいくつかでは、制御器114は、サセプタ116の温度を決定するように構成されると説明されているが、必ずしもそのようにする必要はなく、他の例では、必ずしも制御器114である必要のない、又は必ずしも制御器114を備える必要のない装置が、例えば、上記のように、周波数応答300自体を測定することによって、又は、周波数応答データ又は周波数特性を伝えられることによって周波数特性を決定して、決定された周波数特性に基づいてサセプタの温度を決定するように構成することができることは認識されるであろう。この装置は、決定された周波数特性から、例えば、上記の方法によって、温度を決定するように構成することができる。この装置又は制御器114は、必ずしも、エアロゾル発生装置150の一体部品である必要はなく、例えば、エアロゾル発生装置150とともに使用するための別個の装置又は制御器114であってもよいことは認識されるであろう。
上記の例では、この装置又は制御器114は、エアロゾル発生装置のサセプタの温度を決定するためのものと説明されているが、必ずしもそのようにする必要はなく、他の例では、この装置又は制御器114は、サセプタがRLC共振回路、例えば、任意の誘導加熱装置によって誘導加熱される場合に、任意の装置のサセプタの温度を決定するためのものであってもよい。
上記の例では、RLC共振回路は、Hブリッジドライバ102によって駆動されると説明されているが、必ずしもそのようにする必要はなく、他の例では、RLC共振回路100は、発振器などの、共振回路100に交流電流を与えるための任意の適切な駆動要素によって駆動されてもよい。
上記の例は、本発明を説明するための例として理解されるべきである。任意の1つの例に関して説明されたいかなる特徴も単独で使用することができ、又は、説明された他の特徴と組み合わせて使用することができ、例のうちの任意の他の例の1つ又は複数の特徴と組み合わせて使用することもでき、又は他の例のうちの任意の他の例と任意に組み合わせて使用することができることを理解されるべきである。さらに、上記で説明していない等価物及び修正物もまた、添付の特許請求の範囲に規定された本発明の範囲から逸脱せずに使用することができる。