JP7176879B2 - ヒータ - Google Patents
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Description
有機高分子でできたシート状の支持体と、
酸化インジウムを主成分として含有している多結晶体でできた透明導電膜である発熱体と、
前記発熱体に接触している少なくとも一対の給電用電極と、を備え、
前記発熱体は、1.4×10-4Ω・cm~3×10-4Ω・cmの比抵抗を有し、
前記発熱体の厚みは、20nmを超え100nm以下である、
ヒータを提供する。
ヒータ1aは、様々な観点から変更可能である。例えば、ヒータ1aは、図2~図6に示すヒータ1b~1fのように変更されてもよい。ヒータ1b~1fは、特に説明する場合を除き、ヒータ1aと同様に構成されている。ヒータ1aの構成要素と同一又は対応するヒータ1b~1fの構成要素には、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。ヒータ1aに関する説明は、技術的に矛盾しない限り、ヒータ1b~1fにも当てはまる。
X線回折装置(リガク社製、製品名:RINT2200)を用いて、X線反射率法によって、各実施例及び各比較例に係るヒータの透明導電膜(発熱体)の厚みを測定した。結果を表1に示す。また、X線回折装置を用いて、透明導電膜に対するX線回折パターンを得た。X線としてはCuKα線を用いた。得られたX線回折パターンから透明導電膜が多結晶状態であるか非晶質状態であるかを確認した。また、触針式表面形状測定器(ULVAC社製、製品名:Dektak8)を用いて、各実施例及び各比較例に係るヒータの給電用電極の端部の高さを計測して、各実施例及び各比較例に係るヒータの給電用電極の厚みを測定した。各実施例及び各比較例に係るヒータの給電用電極の厚みは、20μmであった。
非接触式抵抗測定装置(ナプソン社製、製品名:NC-80MAP)を用いて、日本工業規格(JIS)Z 2316:2014に準拠して、渦電流測定法によって各実施例及び各比較例に係るヒータの透明導電膜(発熱体)のシート抵抗を測定した。結果を表1に示す。加えて、厚み測定により得られた透明導電膜(発熱体)の厚みと、透明導電膜(発熱体)のシート抵抗との積を求めて、各実施例及び各比較例に係るヒータの透明導電膜(発熱体)の比抵抗を決定した。結果を表1に示す。
Hall効果測定装置(ナノメトリクス社製、製品名:HL5500PC)を用いて、各実施例及び各比較例に係る透明導電膜付フィルムについて、van der Pauw法に従ってHall効果測定を行った。Hall効果測定の結果から、各実施例及び各比較例に係るヒータの透明導電膜(発熱体)のキャリア密度を求めた。結果を表1に示す。
各実施例及び一部の比較例に係る透明導電膜付フィルムから観察用の試料を作製した。透過型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、製品名:H-7650)を用いて各実施例及び各比較例に係る観察用の試料を観察し、結晶グレインの輪郭が明確である画像を得た。この画像における100個以上の結晶グレインについて、各結晶グレインの投影面積と等しい面積を有する真円の直径を各結晶グレインのサイズと定めた。そのうえで、100個以上の結晶グレインに対する平均サイズを求めた。結果を表1に示す。
イオンビーム分析システム(National Electrostics Corporation製、製品名:Pelletron 3SDH)を用いて、各実施例及び一部の比較例に係る透明導電膜付フィルムから作製した試料に対し、ラザフォード後方散乱分光分析(RBS)の測定を行った。この測定結果から、透明導電膜におけるアルゴン原子の質量基準の濃度を求めた。結果を表1に示す。
X線回折装置(リガク社製、製品名:RINT2200)を用いて、40kV及び40mAの光源からCu‐Kα線(波長λ:0.1541nm)を平行ビーム光学系を通過させて試料に照射し、sin2Ψ法の原理で各実施例及び一部の比較例における透明導電膜の内部応力(圧縮応力)を評価した。sin2Ψ法は、多結晶薄膜の結晶格子歪みの角度(Ψ)に対する依存性から、薄膜の内部応力を求める手法である。上記のX線回折装置を用い、Θ/2Θスキャン測定によって、2θ=29.8°~31.2°の範囲において0.02°おきに回折強度を測定した。各測定点における積算時間は100秒に設定した。得られたX線回折(ITOの(222)面のピーク)のピーク角2θと、光源から照射されたX線の波長λとから、各測定角度(Ψ)におけるITO結晶格子面間隔dを算出し、結晶格子面間隔dから下記の式(1)及び式(2)の関係から結晶格子歪みεを算出した。λは、光源から照射されたX線(Cu‐Kα線)の波長であり、λ=0.1541nmである。d0は、無応力状態のITOの格子面間隔であり、d0=0.2910nmである。d0の値は、International Centre for Diffraction Data (ICDD)のデータベースに記載された値である。
2dsinθ=λ (1)
ε=(d-d0)/d0 (2)
ε={(1+ν)/E}σsin2Ψ-(2ν/E)σ (3)
各実施例及び各比較例に係る透明導電膜付フィルムを20mm×100mmの短冊状に切り取り試験片を作製した。この試験片を異なる直径を有する丸棒に巻きつけたうえで試験片の両端に100gの錘を固定し、錘を10秒間吊り下げた。なお、透明導電膜(発熱体)よりも支持体が丸棒の近くに位置するように透明導電膜付フィルムを丸棒に巻きつけた。その後、透明導電膜におけるクラックの発生の有無を光学顕微鏡によって確認した。各実施例及び各比較例に係る透明導電膜付フィルムについて、透明導電膜においてクラックが発生した透明導電膜付フィルムが巻きつけられていた丸棒の直径の最大値を特定した。結果を表2に示す。
各実施例及び各比較例に係る透明導電膜付フィルムを50mm×150mmの短冊状に切り取り、透明導電膜付フィルムにおける支持体の、透明導電膜の形成された面と逆側の面を、25μmの厚みを有する粘着剤層を介して1.5mm厚みのガラス板に貼り合せ、擦傷試験用の試料を作製した。10連式ペン試験機を用いて、スチールウール(製品名:ボンスター、等級:♯0000)で1kgの荷重を加えながら、ガラス板上に固定した透明導電膜の露出した面の100mmの長さの範囲を10往復擦った。更に、擦った後の試料の環境を85℃及び85%RHに100時間保ったうえで、透明導電膜の変色の有無を目視で確認した。結果を表2に示す。
菊水電子工業社製の直流定電圧電源を用いて、各実施例及び各比較例に係るヒータの一対の給電用電極に12Vの電圧を印加して、ヒータの透明導電膜(発熱体)に電流を流す通電試験を行った。通電試験の期間中に、フリアーシステムズ社製のサーモグラフィを用いて、透明導電膜(発熱体)の表面温度を測定し、昇温速度を算出した。各実施例及び各比較例に係るヒータの昇温特性を昇温速度に基づいて下記の基準に従って評価した。結果を表2に示す。
AA:昇温速度が100℃/分以上である。
A:昇温速度が30℃/分以上100℃/分未満である。
X:昇温速度が30℃/分未満である。
125μmの厚みを有するポリエチレンテレフタレート(PET)のフィルムの一方の主面上に、酸化インジウムスズ(ITO)(酸化スズの含有率:10重量%)をターゲット材として用いて、当該ターゲット材の表面での水平磁場の磁束密度が100mT(ミリテスラ)の高磁場であり、微量のアルゴンガスが存在する状態において、DCマグネトロンスパッタ法により、50nmの厚みのITO膜を形成した。ITO膜を形成した後のPETフィルムを、150℃の大気中に3時間置いて、アニール処理を行った。これにより、ITOを結晶化させ、透明導電膜(発熱体)を形成した。このようにして、実施例1に係る透明導電膜付フィルムを得た。
透明導電膜の厚みが25nmになるようにDCマグネトロンスパッタ法の条件を変更した以外は、実施例1と同様にして実施例2に係る透明導電膜付フィルムを得た。実施例1に係る透明導電膜付フィルムの代わりに実施例2に係る透明導電膜付フィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして実施例2に係るヒータを作製した。
透明導電膜の厚みが80nmになるようにDCマグネトロンスパッタ法の条件を変更した以外は、実施例1と同様にして実施例3に係る透明導電膜付フィルムを得た。実施例1に係る透明導電膜付フィルムの代わりに実施例3に係る透明導電膜付フィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして実施例3に係るヒータを作製した。
酸化インジウムスズ(ITO)(酸化スズの含有率:5重量%)をターゲット材として用いた以外は、実施例1と同様にして実施例4に係る透明導電膜付フィルムを得た。実施例1に係る透明導電膜付フィルムの代わりに実施例4に係る透明導電膜付フィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして実施例4に係るヒータを作製した。
酸化インジウムスズ(ITO)(酸化スズの含有率:15重量%)をターゲット材として用い、透明導電膜の厚みが50nmになるようにDCマグネトロンスパッタ法の条件を調整した以外は、実施例1と同様にして実施例5に係る透明導電膜付フィルムを得た。実施例1に係る透明導電膜付フィルムの代わりに実施例5に係る透明導電膜付フィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして実施例5に係るヒータを作製した。
PETフィルムの代わりに、125μmの厚みを有するポリエチレンナフタレート(PEN)のフィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして実施例6に係る透明導電膜付フィルムを得た。実施例1に係る透明導電膜付フィルムの代わりに実施例6に係る透明導電膜付フィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして実施例6に係るヒータを作製した。
PETフィルムの代わりに、125μmの厚みを有する透明なポリイミド(PI)のフィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして実施例7に係る透明導電膜付フィルムを得た。実施例1に係る透明導電膜付フィルムの代わりに実施例7に係る透明導電膜付フィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして実施例7に係るヒータを作製した。
ITO膜のアニール処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1に係る透明導電膜付フィルムを得た。実施例1に係る透明導電膜付フィルムの代わりに比較例1に係る透明導電膜付フィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして比較例1に係るヒータを作製した。
透明導電膜の厚みが17nmになるようにDCマグネトロンスパッタ法の条件を変更した以外は、実施例1と同様にして比較例2に係る透明導電膜付フィルムを得た。実施例1に係る透明導電膜付フィルムの代わりに比較例2に係る透明導電膜付フィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして比較例2に係るヒータを作製した。
透明導電膜の厚みが140nmになるようにDCマグネトロンスパッタ法の条件を変更した以外は、実施例1と同様にして比較例3に係る透明導電膜付フィルムを得た。実施例1に係る透明導電膜付フィルムの代わりに比較例3に係る透明導電膜付フィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして比較例3に係るヒータを作製した。
透明導電膜におけるアルゴン原子の濃度が質量基準で4.6ppmになるようにDCマグネトロンスパッタにおける水平磁場の磁束密度を30mTに変更した以外は、実施例1と同様にして比較例4に係る透明導電膜付フィルムを得た。実施例1に係る透明導電膜付フィルムの代わりに比較例4に係る透明導電膜付フィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして比較例4に係るヒータを作製した。
ポリエチレンテレフタレート(PET)のフィルムの一方の主面上に、酸化インジウム(IO)をターゲット材として用いて、DCマグネトロンスパッタ法により、40nmの厚みのIO膜を形成した。次に、銀(Ag)をターゲット材として用いて、DCマグネトロンスパッタ法により、IO膜の上に13nmのAg膜を形成した。次に、酸化インジウム(IO)をターゲット材として用いて、DCマグネトロンスパッタ法により、Ag膜の上に40nmのIO膜を形成した。このようにして、比較例5に係る透明導電膜付フィルムを得た。実施例1に係る透明導電膜付フィルムの代わりに比較例5に係る透明導電膜付フィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして比較例5に係るヒータを作製した。
酸化インジウムスズ(ITO)(酸化スズの含有率:5重量%)をターゲット材として用いた。加えて、透明導電膜の厚みが400nmになるように、かつ、透明導電膜におけるアルゴン原子の濃度が質量基準で5.2ppmになるようにDCマグネトロンスパッタにおける水平磁場の磁束密度を30mTに変更した以外は、実施例1と同様にして比較例6に係る透明導電膜付フィルムを得た。実施例1に係る透明導電膜付フィルムの代わりに比較例6に係る透明導電膜付フィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして比較例6に係るヒータを作製した。
10 支持体
13 第三主面
14 第四主面
20 発熱体
21 第一主面
22 第二主面
30 給電用電極
40 低屈折率層
42 保護フィルム
45 第一接着層
60 セパレータ
65 第二接着層
80 成形体
Claims (11)
- 有機高分子でできたシート状の支持体と、
酸化インジウムを主成分として含有している多結晶体でできた透明導電膜である発熱体と、
前記発熱体に接触している少なくとも一対の給電用電極と、を備え、
前記発熱体の厚みは、20nmを超え100nm以下であり、
前記発熱体は、1.4×10-4Ω・cm~3×10-4Ω・cmの比抵抗であり、
X線応力測定法によって測定される前記発熱体の内部応力は、20~650MPaである、
ヒータ。 - 前記発熱体のキャリア密度は、6×1020cm-3~16×1020cm-3である、請求項1に記載のヒータ。
- 前記発熱体におけるインジウム原子の数及びスズ原子の数の和に対するスズ原子の数の比は、0.04~0.15である、請求項1又は2に記載のヒータ。
- 前記発熱体の結晶グレインは、各結晶グレインの特定方向における投影面積と等しい面積を有する真円の直径を各結晶グレインのサイズと仮定したときに、150nm~500nmの平均サイズを有する、請求項1~3のいずれか1項に記載のヒータ。
- 前記発熱体に含まれるアルゴン原子の濃度は、質量基準で3.5ppm以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載のヒータ。
- 前記給電用電極は、1μm以上の厚みを有する、請求項1~5のいずれか1項に記載のヒータ。
- 前記支持体は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリエーテルエーテルケトン、及び芳香族ポリアミドからなる群から選ばれる少なくとも1つでできている、請求項1~6のいずれか1項に記載のヒータ。
- 前記支持体と接触している前記発熱体の主面である第一主面よりも、前記第一主面の反対側に位置する前記発熱体の主面である第二主面の近くに配置された保護フィルムと、
前記保護フィルムと前記発熱体との間で、前記保護フィルム及び前記発熱体に接触している第一接着層と、をさらに備えた、
請求項1~7のいずれか1項に記載のヒータ。 - 前記発熱体が接触している前記支持体の主面である第三主面よりも、前記第三主面の反対側に位置する前記支持体の主面である第四主面の近くに配置されたセパレータと、
前記セパレータと前記支持体との間で、前記セパレータ及び前記支持体に接触している第二接着層と、備えた、
請求項1~8のいずれか1項に記載のヒータ。 - 前記発熱体が接触している前記支持体の主面である第三主面よりも、前記第三主面の反対側に位置する前記支持体の主面である第四主面の近くに配置された成形体と、
前記成形体と前記支持体との間で、前記成形体及び前記支持体に接触している第二接着層と、を備えた、
請求項1~8のいずれか1項に記載のヒータ。 - 波長780~1500nmの範囲に含まれる近赤外線を用いた処理をなす装置において、前記近赤外線の光路上に配置される、請求項1~10のいずれか1項に記載のヒータ。
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