JP7176168B2 - 土壌浄化システム - Google Patents

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Description

本開示は、土壌浄化システムに関する。
下記特許文献1には、汚染土壌から揚水された地下水を温水にすること及び温水となった地下水を汚染土壌に注水することを含む土壌浄化方法が開示されている。温水となった地下水を汚染土壌に注水することで、汚染土壌の汚染物質が溶出し易くなり、浄化が促進される。
特許第6163346号公報
上記特許文献1の土壌浄化方法においては、汚染土壌内の地下水の温度が徐々に上昇する。しかしながら、熱エネルギーを効率よく利用する観点からは、汚染土壌内の地下水の温度を管理し、過剰な加熱を抑制することが好ましい。
本開示は、汚染土壌内の地下水の温度を管理できる土壌浄化システムを提供することを目的とする。
本開示の第1態様の土壌浄化システムは、汚染土壌の温度より高温とされ前記汚染土壌を浄化する注入水を前記汚染土壌へ注入する注入井戸と、前記汚染土壌に前記注入井戸から離れて設けられ、前記地下水を揚水する揚水井戸と、前記汚染土壌の温度に応じて加温装置及びポンプを制御することにより前記注入水の温度及び体積を調整して、前記注入水の熱量を制御する第1制御装置と、を備えている。
第1態様の土壌浄化システムにおいては、汚染土壌へ、汚染土壌の温度より高温とされた注入水が注入される。これにより汚染土壌が効率よく浄化される。また、第1制御装置が、汚染土壌の温度に応じて、注入水の熱量を制御する。これにより汚染土壌の温度を管理し、熱エネルギーを効率よく利用できる。
本開示の第2態様の土壌浄化システムは、第1態様の土壌浄化システムにおいて、前記注入水には浄化物質が添加され、前記汚染土壌における前記浄化物質の濃度に応じて前記浄化物質の添加量を制御する第2制御装置を備えている。
第2態様の土壌浄化システムにおいては、注入水には浄化物質が添加される。これにより汚染土壌の浄化が促進される。また、第2制御装置が、汚染土壌における浄化物質の濃度に応じて、注入水への浄化物質の添加量を制御する。これにより汚染土壌における浄化物質の濃度を管理し、浄化物質を効率よく利用できる。
本開示の第3態様の土壌浄化システムは、第1態様又は第2態様の土壌浄化システムにおいて、前記汚染土壌には硫酸還元菌が存在し、前記注入水は過硫酸塩を含有する。
第3態様の土壌浄化システムにおいては、硫酸還元菌が存在する汚染土壌に対して、過硫酸塩を含む温水を注入し且つ揚水を行うことによって、比較的高温な状況下において有害物質のフラッシングと酸化分解と生物分解とを行うことができる。
本開示の第4態様の土壌浄化システムは、メモリと、前記メモリに接続されたプロセッサと、を含み、前記プロセッサは、汚染土壌の温度を測定し、前記汚染土壌の温度が所定温度以上かどうかを判定し、判定結果に基づいて、前記汚染土壌へ注入する注入水の熱量を制御する。
第4態様の土壌浄化システムは、プロセッサが地下水の温度が所定温度に達したかどうかを判定し、注入水の熱量を制御する。これにより汚染土壌内の地下水の温度を管理し、熱エネルギーを効率よく利用できる。
本開示によれば、汚染土壌内の地下水の温度を管理できる。
本開示の土壌浄化システムの一例を示す概略構成図である。 本開示の土壌浄化システムの別の一例を示す概略構成図である。 本開示の土壌浄化システムのさらに別の一例を示す概略構成図である。 本開示の土壌浄化システムのハードウェア構成を示すブロック図である。 本開示の土壌浄化システムにおける熱量制御方法の一例を示すフローチャートである。 本開示の土壌浄化システムにおける熱量制御方法の別の一例を示すフローチャートである。 本開示の土壌浄化システムにおける熱量制御方法のさらに別の一例を示すフローチャートである。 本開示の土壌浄化システムにおける過硫酸塩濃度制御方法の一例を示すフローチャートである。
以下に、本開示の土壌浄化システムについて説明する。これらの説明及び実施形態例は例示であり、本開示の土壌浄化システムの範囲は例示に制限されない。
本開示において「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本開示において組成物中の各成分の量又は濃度について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量又は合計濃度を意味する。
<土壌浄化システム>
本開示の土壌浄化システム法は、汚染土壌を浄化するシステムであって、前記汚染土壌に硫酸還元菌が存在し、過硫酸塩を含有し前記汚染土壌の温度より高温の水を、注入井戸から前記汚染土壌に注入することと、前記注入井戸から離れて前記汚染土壌に設けられた揚水井戸から揚水することと、を含む。なお、過硫酸塩は本開示における浄化物質の一例である。
本開示の土壌浄化システムにおいて「汚染土壌の温度より高温」とは、本開示の土壌浄化システムを開始する前の浄化対象域の土壌温度を基準温度にし、当該基準温度よりも高い温度を意味する。汚染土壌は、例えば、地面からの深さ5m~20mの領域に存在する。日本国内であれば、この深さの土壌温度はおよそ15℃~17℃の範囲である。したがって、前記基準温度は、日本国内においては一般的には15℃~17℃の範囲の1点である。
以下、前記基準温度より高温の水を「温水」といい、過硫酸塩を含有し前記基準温度より高温の水を「過硫酸塩を含む温水」という。
本開示の土壌浄化システムは、有害物質で汚染された汚染土壌を原位置で浄化するシステムである。
本開示の土壌浄化システムは、硫酸還元菌が存在する汚染土壌に対して、過硫酸塩を含む温水を注入し且つ揚水を行うことによって、比較的高温な状況下において有害物質のフラッシングと酸化分解と生物分解とを行う。
すなわち、本開示の土壌浄化システムにおいては下記の(1)~(3)が行われる。
(1)温水の注入と揚水とによってフラッシングが行われる。
(2)温水に含まれる過硫酸塩が過硫酸イオン(S 2-)に解離し、過硫酸イオンが有害物質の少なくとも一部を酸化分解する。
(3)有害物質の酸化分解において生成した硫酸イオン(SO 2-)が硫酸還元菌を活性化し、硫酸還元菌が有害物質の少なくとも一部を生物分解する。
本開示の土壌浄化システムにおいては、汚染土壌に注入する水が過硫酸塩を含み且つ温水であるので比較的高温な状況下において上記(1)~(3)が行われ、汚染土壌を効率的に浄化することができる。しかも、過硫酸塩に由来するイオンによって上記(2)及び(3)が連鎖するので、過硫酸塩のみの添加によって酸化分解と生物分解とが行われる。
過硫酸塩は、他の酸化剤(例えば、過マンガン酸塩、過酸化水素)に比較して反応性が低いゆえ注入箇所から遠くまで到達できる観点から有利である。過硫酸塩を温水に含有させて用いた場合、過硫酸塩の反応性を上げつつも、過硫酸塩の到達距離が大幅にそがれることはない。過硫酸塩を温水に含有させて用いる本開示の土壌浄化システムによれば、過硫酸塩を注入箇所から遠くまで届けながら、過硫酸塩の反応性を上げることができる。
[浄化対象となる有害物質]
本開示の土壌浄化システムの浄化対象となる有害物質は、特に制限されない。浄化対象となる有害物質としては、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、ジクロロエチレン、クロロエチレン(塩化ビニル)、四塩化炭素、ジクロロメタン、トリクロロエタン、ジクロロエタン、ジクロロプロペン、クロロベンゼン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の揮発性有機化合物;ガソリン、灯油、軽油、重油等の鉱油類:六価クロム及びその化合物、カドミウム及びその化合物、鉛及びその化合物、砒素及びその化合物、セレン及びその化合物等の重金属類;などが挙げられる。
[硫酸還元菌]
本開示の土壌浄化システムにおいては、浄化対象である汚染土壌に硫酸還元菌が存在することが好ましい。本開示の土壌浄化システムを開始する前において浄化対象域に硫酸還元菌が存在しない場合は、硫酸還元菌を浄化対象域に注入して、硫酸還元菌が存在する汚染土壌とすることができる。この場合、硫酸還元菌を浄化対象域に注入することは、過硫酸塩を含む温水に硫酸還元菌を添加する形態にて行われてもよく、過硫酸塩を含む温水の注入に先だって、硫酸還元菌を含む水(好ましくは温水)を汚染土壌に注入する形態にて行われてもよい。
すなわち、浄化対象域に存在する硫酸還元菌は、浄化対象域に元来いる硫酸還元菌でもよく、予め浄化対象域に注入した硫酸還元菌でもよく、過硫酸塩と共に浄化対象域に注入した硫酸還元菌でもよい。
硫酸還元菌としては、例えば、デスルホビブリオ属(Desulfovibrio)、デスルホバクター属(Desulfobacter)、デスルホバルブス属(Desulfobulbus)、デスルホコッカス属(Desulfococcus)、デスルホネマ属(Desulfonema)、デスルホサルシナ属(Desulfosarcina)、デスルホトマキュラム属(Desulfotomaculum)等の細菌が挙げられる。
[過硫酸塩を含む温水]
過硫酸塩を含む温水は、温水に過硫酸塩を添加して調製してもよく、過硫酸塩を含む水を加温して調製してもよい。過硫酸塩を含む温水を調製する水又は温水としては、例えば、原位置から採取した地下水、水道水、河川水が挙げられる。
過硫酸塩を含む温水は、人為的に加温した温水でもよいし、加温しないままの温水でもよい。例えば、水道水又は河川水が温水であれば、当該水道水又は河川水を用いて、加温を要せず、過硫酸塩を含む温水を調製することができる。
過硫酸塩を含む温水の温度は、浄化効率を向上させる観点から、前記基準温度よりも3℃以上高いことが好ましく、5℃以上高いことがより好ましく、8℃以上高いことが更に好ましい。
過硫酸塩を含む温水の温度は、浄化効率を向上させる観点から、18℃以上であることが好ましく、20℃以上であることがより好ましく、25℃以上であることが更に好ましく、硫酸還元菌の活性を抑制しない観点と加温コストの観点から、60℃以下であることが好ましく、50℃以下であることがより好ましく、40℃以下であることが更に好ましい。
詳しくは後述するが、過硫酸塩を含む温水の温度は、注入井戸から汚染土壌に注入する間、一定でもよく変動してもよく、本開示の土壌浄化システムによる土壌浄化が継続している間、一定でもよく変動してもよい。
本開示の土壌浄化システムにおいて使用される過硫酸塩としては、例えば、過硫酸リチウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸マグネシウム、過硫酸カルシウム、過硫酸アンモニウム等が挙げられる。これら過硫酸塩は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
過硫酸塩を含む温水の過硫酸塩濃度は、特に制限されないが、浄化効率の観点から、100~100,000mg/Lが好ましく、500~50,000mg/Lがより好ましく、1,000~20,000mg/Lが更に好ましい。
詳しくは後述するが、過硫酸塩を含む温水の過硫酸塩濃度は、本開示の土壌浄化システムによる土壌浄化が継続している間、一定でもよく変動してもよい。
[界面活性剤]
本開示の土壌浄化システムは、フラッシングをより効率化する観点から、注入井戸から汚染土壌に界面活性剤を注入することを含むことが好ましい。界面活性剤は、本開示における浄化物質の一例である。
界面活性剤は、例えば、過硫酸塩を含む温水に添加する形態にて用いられたり、過硫酸塩を含む温水の注入の前後に界面活性剤を含む水(好ましくは温水)を汚染土壌に注入する形態にて用いられたりする。さらに、界面活性剤は、過硫酸塩を含まない温水に添加する形態にて用いることもできる。
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリグリセリン脂肪酸エステル、アルキルグリコシド等のノニオン性界面活性剤;脂肪酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル酢酸塩、アルキル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルアミドエーテル硫酸塩、モノグリセライド硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、アシル化イセチオン酸塩、アシル化アミノ酸、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩等のアニオン性界面活性剤;が挙げられる。これら界面活性剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
[硫酸還元菌の栄養剤]
本開示の土壌浄化システムは、有害物質の生物分解をより効率化する観点から、硫酸還元菌の栄養剤を注入井戸から汚染土壌に注入してもよい。ただし、硫酸還元菌の栄養剤は、硫酸イオン(SO 2-)が硫酸還元菌を活性化することを妨げない範囲で用いる。硫酸還元菌の栄養剤は、本開示における浄化物質の一例である。
硫酸還元菌の栄養剤は、例えば、過硫酸塩を含む温水に添加する形態にて用いられたり、過硫酸塩を含む温水の注入の前後に硫酸還元菌の栄養剤を含む水(好ましくは温水)を汚染土壌に注入する形態にて用いられたりする。さらに、硫酸還元菌の栄養剤は、過硫酸塩を含まない温水に添加する形態にて用いることもできる。
硫酸還元菌の栄養剤としては、例えば、硝酸アンモニウム、第一リン酸カリウム、リン酸水素ナトリウム等が挙げられる。これら栄養剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
[土壌浄化システムの実施形態例]
次に図面を挙げて、本開示の土壌浄化システムをさらに説明する。以下に説明する実施形態は土壌浄化システムの一例であり、本開示の土壌浄化システムはこれに限定されるものではない。
図1は、水を循環しない実施形態である第一形態の構成を示す概略図である。図2、図3は、水を循環する実施形態である第二形態の構成を示す概略図である。図1、図2及び図3において矢印は水の流れを示している。
第一形態及び第二形態の浄化対象である汚染土壌6は帯水層にある。第一形態及び第二形態は帯水層を水が流れることを利用して汚染土壌6を浄化する。
第一形態及び第二形態において汚染土壌6には硫酸還元菌が存在する。
図1に示す第一形態は、過硫酸塩を含む温水を注入井戸1から汚染土壌6に注入することと、揚水井戸2から揚水することとを含む。第一形態は、さらに、揚水井戸2から揚水した地下水を水処理装置5で処理して有害物質を除くことと、有害物質を除いた地下水を排出することとを含む。なお、第一形態は、揚水井戸2から揚水した地下水を水処理装置5で処理して有害物質を除くことを含まなくてもよいが、含むことが望ましい。
第一形態において、注入井戸1から汚染土壌6に注入される過硫酸塩を含む温水は、水道水を加温装置3で加温すること、及び、加温した水道水に過硫酸塩添加槽4にて過硫酸塩を添加することにより調製される。
図2、図3に示す第二形態は、過硫酸塩を含む温水を注入井戸1から汚染土壌6に注入することと、揚水井戸2から揚水することとを含む。第二形態は、さらに、揚水井戸2から揚水した地下水を水処理装置5で処理して有害物質を除くことと、有害物質を除いた地下水から過硫酸塩を含む温水を調製することとを含む。
第二形態において、「最初に」注入井戸1から汚染土壌6に注入される過硫酸塩を含む温水は、下記の(i)又は(ii)のいずれかの態様により調製される。
(i)水道水を加温装置3で加温すること、及び、加温した水道水に過硫酸塩添加槽4にて過硫酸塩を添加すること(図2)。
(ii)揚水井戸2から揚水した地下水を水処理装置5で処理して有害物質を除くこと、有害物質を除いた地下水を加温装置3で加温すること、及び、加温した地下水に過硫酸塩添加槽4にて過硫酸塩を添加すること(図3)。
第一形態及び第二形態において、水道水の代わりに河川水を用いてもよい。
注入井戸1は、浄化対象域において、帯水層に届く深さに設置される。注入井戸1の上流側にはポンプP1が配置されており、ポンプP1の駆動により、過硫酸塩を含む温水が注入井戸1から汚染土壌6へ注入される。過硫酸塩を含む温水を注入井戸1から汚染土壌6に注入することは、連続的に行われてもよく、間欠的に行われてもよい。注入井戸1は、1本でもよく、複数本でもよい。
なお、ポンプP1は必ずしも設ける必要はない。例えば加温装置3、過硫酸塩添加槽4又は別途設けた貯留タンクと注入井戸1との水頭差による圧力で温水を汚染土壌6へ注入することができる。
揚水井戸2は、浄化対象域において、注入井戸1から離れた位置であって注入井戸1に対して地下水の流れの下流の位置に、帯水層に届く深さに設置される。揚水井戸2の上部にはポンプP2が配置されており、ポンプP2の駆動により地下水が揚水井戸2から揚水される。揚水井戸2から揚水することは、連続的に行われてもよく、間欠的に行われてもよい。揚水井戸2は、1本でもよく、複数本でもよい。
揚水井戸2の内部には温度センサー2bが配置されている。温度センサー2bは、後述する温度測定プログラムによって、揚水井戸2を流れる地下水の温度を測定する。温度センサー2bが測定する地下水の温度は、浄化対象域の土壌温度と等しい。すなわち、温度センサー2bは上述した基準温度を測定する。
また、揚水井戸2の内部には濃度センサー2cが配置されている。濃度センサー2cは、後述する濃度測定プログラムによって、揚水井戸2を流れる地下水の過硫酸塩濃度を測定する。濃度センサー2cが測定する地下水の過硫酸塩濃度は、浄化対象域の土壌における過硫酸塩濃度である。
なお、本実施形態においては温度センサー2b、濃度センサー2cは揚水井戸2に設けられているが、本発明の実施形態はこれに限らない。例えば、注入井戸1と揚水井戸2との間に観測井戸(不図示)を設け、この観測井戸の内部に設けてもよい。
第一形態及び第二形態において、浄化対象域を取り囲む遮水壁を設けてもよく、その場合、遮水壁で囲まれた領域内に注入井戸1及び揚水井戸2を設置する。
加温装置3は、注入井戸1の上流に設けられる。加温装置3の内部にはヒーター等の加熱手段が配置されている。図1、2において加温装置3に接続された水道水注入経路には、温度センサー2aが配置されている。温度センサー2aは、後述する温度測定プログラムによって、水道水注入経路を流れる水道水の温度を測定する。なお、水道水に代えて河川水を用いる場合は、以下に示す「水道水」の用語を「河川水」と読み替えるものとする。
加温装置3、ポンプP1、ポンプP2、温度センサー2a及び温度センサー2bは、制御装置7と電気的に接続されている。詳しくは後述するが、制御装置7は、温度センサー2bが測定する汚染土壌の温度(以下、「土壌温度」と称す)、又は、温度センサー2aが測定する水道水の温度及び温度センサー2bが測定する土壌温度に応じて、加温装置3、又は、加温装置3及びポンプP1を制御する。これにより制御装置7は、注入水(すなわち注入井戸1から汚染土壌6へ注入される過硫酸塩を含む温水)の熱量を制御する。
過硫酸塩添加槽4は、注入井戸1の上流に設けられる。過硫酸塩添加槽4は、加温装置3の上流に設けられてもよいが、加温された水の方が過硫酸塩を溶解しやすい観点から、加温装置3の下流に設けられることが好ましい。
過硫酸塩添加槽4において、過硫酸塩を含む温水に硫酸還元菌をさらに添加してもよい。過硫酸塩添加槽4において、過硫酸塩を含む温水に界面活性剤及び硫酸還元菌の栄養剤の少なくとも一方をさらに添加してもよい。過硫酸塩添加槽4において、過硫酸塩を含む温水にpH調製剤をさらに添加してもよい。
過硫酸塩添加槽4は、制御装置7と電気的に接続されている。詳しくは後述するが、制御装置7は、濃度センサー2cが測定する汚染土壌における過硫酸塩濃度に応じて、過硫酸塩添加槽4、又は、過硫酸塩添加槽4及びポンプP1を制御する。これにより制御装置7は、注入水(すなわち注入井戸1から汚染土壌6へ注入される過硫酸塩を含む温水)における過硫酸塩濃度を制御する。
なお、本実施形態において、制御装置7は温度センサー2a、温度センサー2b、濃度センサー2c、加温装置3及び過硫酸塩添加槽4と電気的に接続されているが、本開示の実施形態はこれに限らない。例えば制御装置7は、温度センサー2a、温度センサー2b及び加温装置3に接続された第1制御装置と、濃度センサー2c及び過硫酸塩添加槽4に接続された第2制御装置と、に分けて形成してもよい。
また、本開示の本実施形態においては、必ずしも注入水における過硫酸塩濃度を制御する必要はない。過硫酸塩濃度を制御しない場合は、揚水井戸2の内部に濃度センサー2cを設ける必要はない。
さらに、本開示の本実施形態においては、必ずしも注入水に過硫酸塩を添加する必要はない。この場合、浄化物質として界面活性剤、硫酸還元菌の栄養剤等を添加することが好適である。この場合、過硫酸塩添加槽4に代えて、界面活性剤添加槽や栄養剤添加槽を適宜設けることができる。
またさらに、浄化物質は注入水に添加しなくてもよい。浄化物質を添加しなくても、土壌温度より高温の注入水を汚染土壌へ注入することで、汚染土壌の汚染物質が溶出し易くなる。なお、浄化物質として界面活性剤、硫酸還元菌の栄養剤等を添加する場合は、以下の説明における「過硫酸塩」の用語を、適宜「界面活性剤」、「栄養剤」等と読み替えるものとする。
水処理装置5は、揚水井戸2の下流に設けられる。水処理装置5において地下水から有害物質を除去する方法としては、例えば、有害物質の沈殿、有害物質の無害化、有害物質の気化及び脱気が挙げられる。
第一形態において、水処理装置5において有害物質が除去された地下水は、水処理装置5の外部へ排水される。第二形態において、水処理装置5において有害物質が除去された地下水は、循環水として加温装置3へ送られる。
第一形態及び第二形態において、注入井戸1から注入された過硫酸塩を含む温水は、汚染土壌6を流れる間に有害物質を汚染土壌6から遊離させる。また、過硫酸塩を含む温水に含まれる過硫酸塩が過硫酸イオンに解離し、過硫酸イオンが有害物質の少なくとも一部を酸化分解する。さらに、有害物質の酸化分解において生成した硫酸イオンが汚染土壌6に存在する硫酸還元菌を活性化し、硫酸還元菌が有害物質の少なくとも一部を生物分解する。
[土壌浄化システムの実施形態例]
<システム構成>
制御装置7は、図4に示すようにCPU72(Central Processing Unit:プロセッサ)、ROM74(Read Only Memory)、RAM76(Random Access Memory)及びストレージ78を有する。制御装置7におけるこれらの各構成と、温度センサー2a、温度センサー2b、濃度センサー2c、加温装置3、過硫酸塩添加槽4、ポンプP1及びポンプP2は、バス90を介して相互に通信可能に接続されている。
CPU72は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU72は、ROM74またはストレージ78からプログラムを読み出し、RAM76を作業領域としてプログラムを実行する。CPU72は、ROM74又はストレージ78に記録されているプログラムにしたがって、上記各構成の制御および各種の演算処理を行う。本実施形態では、ROM74又はストレージ78には、以下の各プログラムが格納されている。
・温度センサー2a及び温度センサー2bに温度を測定させる温度測定プログラム
・濃度センサー2cに過硫酸塩の濃度を測定させる濃度測定プログラム
・土壌温度が所定温度以上かどうかを判定させる温度判定プログラム
・汚染土壌の過硫酸塩濃度が所定濃度以上かどうかを判定させる濃度判定プログラム
・加温装置3、又は、加温装置3及びポンプP1を制御する熱量制御プログラム
・過硫酸塩添加槽4、又は、過硫酸塩添加槽4及びポンプP1を制御する濃度制御プログラム
ROM74は、各種プログラムおよび各種データを格納する。RAM76は、作業領域として一時的にプログラムまたはデータを記憶する。ストレージ78は、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、および各種データを格納する。
上記の各種プログラムを実行する際に、制御装置7は、上記のハードウェア資源を用いて、各種の機能を実現する。具体的には、CPU72がROM74又はストレージ78から温度測定プログラムを読み出して、RAM76に展開して実行することにより、温度測定処理が行なわれる。同様に、CPU72がROM74又はストレージ78から濃度測定プログラムを読み出して、RAM76に展開して実行することにより、濃度測定処理が行なわれる。また、CPU72がROM74又はストレージ78から温度判定プログラムを読み出して、RAM76に展開して実行することにより、温度判定処理が行なわれる。また、CPU72がROM74又はストレージ78から濃度判定プログラムを読み出して、RAM76に展開して実行することにより、濃度判定処理が行なわれる。また、CPU72がROM74又はストレージ78から熱量制御プログラムを読み出して、RAM76に展開して実行することにより、熱量制御処理が行なわれる。また、CPU72がROM74又はストレージ78から濃度制御プログラムを読み出して、RAM76に展開して実行することにより、濃度制御処理が行なわれる。
<熱量制御フロー>
以下の説明においては、上述した第一形態、第二形態における各態様(i)、(ii)に係る土壌浄化システムのそれぞれについて、制御装置7による注入水の熱量制御フローを説明する。
(第一形態)
第一形態に係る土壌浄化システムにおいては、図1に示すように、注入井戸1から汚染土壌6に注入される温水は、水道水を加温装置3で加温することを含んで調製される。
図5には、第一形態に係る土壌浄化システムにおいて注入水の「熱量制御」を実行する土壌浄化システムの制御フローが示されている。
この土壌浄化システムにおいては、まず、ステップS100で、CPU72が温度測定プログラムを読み出すことで、温度センサー2aが水道水温度(A℃)を測定し、温度センサー2bが土壌温度(B℃)を測定する。これらの温度が測定されたら、ステップS102へ移行する。
ステップS102では、CPU72が温度判定プログラムを読み出すことで、ステップS100で測定された土壌温度(B℃)が所定の目標温度(E℃)より低いかどうかが判定される。
ステップS102で土壌温度(B℃)が目標温度(E℃)より低いと判定された場合、ステップS104へ移行する。一方、ステップS102で土壌温度(B℃)が目標温度(E℃)以上と判定された場合、すなわち土壌温度が既に目標温度に達している場合、汚染土壌6への注入水の注入は行なわない。
ステップS104では、水道水温度(A℃)が目標温度(E℃)より高いかどうかを判定する(ステップS104)。
ステップS104で水道水温度(A℃)が目標温度(E℃)より高いと判定された場合、ステップS106へ移行する。一方、ステップS104で水道水温度(A℃)が目標温度(E℃)以下と判定された場合、ステップS108へ移行する。
ステップS106では、CPU72が熱量制御プログラムを読み出すことでポンプP1を制御して、土壌へ加温していない水道水を注入する。すなわち、水道水温度(A℃)が目標温度(E℃)より高いため、加温していない水道水を注入しても、土壌温度を高くすることができる。ステップS106の次は、ステップS110へ移行する。
ステップS108では、CPU72が熱量制御プログラムを読み出すことで加温装置3を制御し、汚染土壌6へ加温された水道水を注入する。すなわち、加温装置3を制御することで、所定温度(C℃)に加熱された水道水が汚染土壌6へ注入される。この所定温度(C℃)は、目標温度(E℃)より高く設定する。
具体的には、熱量制御プログラムによって、単位時間毎にポンプP1が汚染土壌6へ注入する水道水の体積と、所定温度(C℃)及び水道水温度(A℃)と、に基づいて加温に必要な熱量が算出される。この算出された熱量に応じて、加温装置3が制御される。これにより、所定温度(C℃)に加温された水道水が、土壌へ注入される。ステップS108の次は、ステップS110へ移行する。
なお、ステップS108において、熱量制御プログラムは、加温装置3に加えてポンプP1を制御することもできる。例えばポンプP1を制御して単位時間毎に汚染土壌6へ注入する水道水の体積を大きくし、かつ、加温装置3を制御して当該水道水を所定温度(C℃)に加温することで、汚染土壌6の加温スピードを向上できる。
また、ポンプP2は、ポンプP1によって汚染土壌6へ注入される注入水の量と同量の地下水を揚水するように制御される。但し、地下水位を高くしたい場合や低くしたい場合等は、適宜ポンプP2による揚水量は適宜変更することができる。
ステップS110では、CPU72が温度判定プログラムを読み出すことで、温度センサー2bが土壌温度(D℃)を測定する。この温度が測定されたら、ステップS112へ移行する。
ステップS112では、CPU72が温度判定プログラムを読み出すことで、ステップS110で測定された土壌温度(D℃)が目標温度(E℃)以上かどうか(目標温度に到達したかどうか)が判定される。
ステップS112で土壌温度(D℃)が目標温度(E℃)以上と判定された場合、注入水の注入を終了する。一方、土壌温度(D℃)が目標温度(E℃)より低いと判定された場合、ステップS104へ戻り、ステップS106、S108以降のステップを繰り返す。
(第二形態:態様(i))
第二形態に係る土壌浄化システムにおいては、図2、図3に示すように、注入井戸1から汚染土壌6に注入される温水は、揚水井戸2から揚水した地下水(以下「循環水」と称す)を、加温装置3で加温することを含んで調整される。
さらに第二形態の態様(i)においては、図2に示すように、「最初に」注入井戸1から汚染土壌6に注入される温水は、水道水を加温装置3で加温して調整される。
図6には、第二形態の態様(i)に係る土壌浄化システムにおいて注入水の「熱量制御」を実行する制御フローが示されている。
この土壌浄化システムにおけるステップS100~ステップS112は、図5に示した第一形態に係る土壌浄化システムと同様である。すなわち、第二形態の態様(i)において、「最初に」注入井戸1から汚染土壌6に注入される温水における熱量制御方法は、第一形態と同様である。
第二形態の態様(i)においては、ステップS112で土壌温度(D℃)が目標温度(E℃)以上と判定された場合、注入水の注入を終了する。一方、土壌温度(D℃)が目標温度(E℃)より低いと判定された場合、ステップS114へ移行する。
ステップS114では、CPU72が熱量制御プログラムを読み出すことで加温装置3を制御し、汚染土壌6へ加温された「循環水」を注入する。すなわち、加温装置3を制御することで、所定温度(F℃)に加熱された循環水が汚染土壌6へ注入される。この所定温度(F℃)は、目標温度(E℃)より高く設定する。
具体的には、熱量制御プログラムによって、単位時間毎にポンプP1が汚染土壌6へ注入する循環水の体積と、所定温度(F℃)及び土壌温度(D℃)と、に基づいて加温に必要な熱量が算出される。この算出された熱量に応じて、加温装置3、又は、加温装置3及びポンプP1の双方が制御される。これにより、所定温度(F℃)に加温された循環水が、汚染土壌6へ注入される。ステップS114の次は、ステップS110へ戻り、以降のステップを繰り返す。
なお、第二形態の態様(i)においては、最初に汚染土壌6に注入される水道水はポンプP1を用いて注入井戸1へ送られ、揚水井戸2から揚水された循環水はポンプP2を用いて加温装置3へ送られ、その後、ポンプP1を用いて注入井戸1へ送られる。なお、注入井戸1へ送る注入水の、水道水から循環水への切替えは、図示しないバルブなどを用いて適宜CPU72が実行するものとする。
(第二形態:態様(ii))
第二形態の態様(ii)においては、図3に示すように、「最初に」注入井戸1から汚染土壌6に注入される温水は、揚水井戸2から揚水した循環水を加温装置3で加温して調整される。
図7には、第二形態の態様(ii)に係る土壌浄化システムにおいて注入水の「熱量制御」を実行する制御フローが示されている。
この土壌浄化システムにおいては、まず、ステップS120で、CPU72が温度測定プログラムを読み出すことで、温度センサー2bが土壌温度(B℃)を測定し、ステップS122へ移行する。
ステップS122では、CPU72が温度判定プログラムを読み出すことで、ステップS100で測定された土壌温度(B℃)が所定の目標温度(E℃)より低いかどうかが判定される。
ステップS122で土壌温度(B℃)が目標温度(E℃)より低いと判定された場合、ステップS128へ移行する。一方、ステップS122で土壌温度(B℃)が目標温度(E℃)以上と判定された場合、すなわち土壌温度が既に目標温度に達している場合、汚染土壌6への注入水の注入は行なわない。
ステップS128では、CPU72が熱量制御プログラムを読み出すことで加温装置3を制御し、汚染土壌6へ加温された循環水を注入する。すなわち、加温装置3を制御することで、所定温度(C℃)に加熱された循環水が汚染土壌6へ注入される。この所定温度(C℃)は、目標温度(E℃)より高く設定する。
具体的には、熱量制御プログラムによって、単位時間毎にポンプP1が汚染土壌6へ注入する循環水の体積と、所定温度(C℃)及び土壌温度(B℃)と、に基づいて加温に必要な熱量が算出される。この算出された熱量に応じて、加温装置3が制御される。これにより、所定温度(C℃)に加温された循環水が、土壌へ注入される。ステップS128の次は、ステップS130へ移行する。
なお、熱量制御プログラムでは、ステップS128において、加温装置3に加えてポンプP1を制御することもできる。例えばポンプP1を制御して単位時間毎に汚染土壌6へ注入する水道水の体積を大きくし、かつ、加温装置3を制御して当該水道水を所定温度(C℃)に加温することで、汚染土壌6の加温スピードを向上できる。
ステップS130では、CPU72が温度判定プログラムを読み出すことで、温度センサー2bが土壌温度(D℃)を測定する。この温度が測定されたら、ステップS132へ移行する。
ステップS132では、CPU72が温度判定プログラムを読み出すことで、ステップS130で測定された土壌温度(D℃)が目標温度(E℃)以上かどうか(目標温度に到達したかどうか)が判定される。
ステップS132で土壌温度(D℃)が目標温度(E℃)以上と判定された場合、注入水の注入を終了する。一方、土壌温度(D℃)が目標温度(E℃)より低いと判定された場合、ステップS134へ移行する。
ステップS134では、CPU72が熱量制御プログラムを読み出すことで加温装置3を制御し、汚染土壌6へ加温された循環水を注入する。すなわち、加温装置3を制御することで、所定温度(F℃)に加熱された循環水が汚染土壌6へ注入される。この所定温度(F℃)は、目標温度(E℃)より高く設定する。
具体的には、熱量制御プログラムによって、単位時間毎にポンプP1が汚染土壌6へ注入する循環水の体積と、所定温度(F℃)及び土壌温度(D℃)と、に基づいて加温に必要な熱量が算出される。この算出された熱量に応じて、加温装置3、又は、加温装置3及びポンプP1の双方が制御される。これにより、所定温度(F℃)に加温された循環水が、汚染土壌6へ注入される。ステップS134の次は、ステップS130へ戻り、以降のステップを繰り返す。
<過硫酸塩濃度制御フロー>
以下の説明においては、上述した第一形態、第二形態における各態様(i)、(ii)に係る土壌浄化システムに組合わせて用いられる、制御装置7による注入水の過硫酸塩濃度制御フローを説明する。
図8には、注入水の「過硫酸塩濃度制御」を実行する土壌浄化システムの制御フローが示されている。
この土壌浄化システムにおいては、まず、ステップS140で、CPU72が濃度測定プログラムを読み出すことで、濃度センサー2cが汚染土壌における過硫酸塩濃度(Bmg/L)を測定し、ステップS142へ移行する。なお、以下の説明においては、「汚染土壌における過硫酸塩濃度」を「土壌濃度」と称す。
ステップS142では、CPU72が濃度判定プログラムを読み出すことで、ステップS140で測定された土壌濃度(Bmg/L)が所定の目標濃度(Emg/L)より低いかどうかが判定される。
ステップS142で土壌濃度(Bmg/L)が目標濃度(Emg/L)より低いと判定された場合、ステップS148へ移行する。一方、ステップS142で土壌濃度(Bmg/L)が目標濃度(Emg/L)以上と判定された場合、すなわち土壌濃度が既に目標濃度に達している場合、汚染土壌6への注入水の注入は行なわない。
ステップS148では、CPU72が濃度制御プログラムを読み出すことで過硫酸塩添加槽4を制御し、汚染土壌6へ過硫酸塩が添加された注入水を注入する。すなわち、過硫酸塩添加槽4を制御することで、所定濃度(Cmg/L)に調整された注入水が汚染土壌6へ注入される。この所定濃度(Cmg/L)は、目標濃度(Emg/L)より高く設定する。
具体的には、濃度制御プログラムによって、単位時間毎にポンプP1が汚染土壌6へ注入する注入水の体積と、所定濃度(Cmg/L)及び土壌濃度(Bmg/L)と、に基づいて必要な過硫酸塩の添加量が算出される。この算出された添加量に応じて、過硫酸塩添加槽4が制御される。これにより、所定濃度(Cmg/L)の過硫酸塩を含む注入水が、土壌へ注入される。ステップS148の次は、ステップS150へ移行する。
なお、ステップS148における「注入水」とは、第一形態及び第二形態の態様(i)における「水道水」を示し、第二形態の態様(ii)における「循環水」を示している。
また、濃度制御プログラムでは、ステップS148において、過硫酸塩添加槽4に加えてポンプP1(及びポンプP2)を制御することもできる。例えばポンプP1を制御して単位時間毎に汚染土壌6へ注入する注入水の体積を大きくし、かつ、過硫酸塩添加槽4を制御して当該注入水を所定濃度(Cmg/L)とすることで、汚染土壌6の加温スピードを向上できる。
ステップS150では、CPU72が濃度判定プログラムを読み出すことで、濃度センサー2cが土壌濃度(Dmg/L)を測定する。この温度が測定されたら、ステップS152へ移行する。
ステップS152では、CPU72が濃度判定プログラムを読み出すことで、ステップS150で測定された土壌濃度(Dmg/L)が目標濃度(Emg/L)以上かどうか(目標濃度に到達したかどうか)が判定される。
ステップS152で土壌濃度(Dmg/L)が目標濃度(Emg/L)以上と判定された場合、注入水の注入を終了する。一方、土壌濃度(Dmg/L)が目標濃度(Emg/L)より低いと判定された場合、ステップS154へ移行する。
ステップS154では、CPU72が濃度制御プログラムを読み出すことで過硫酸塩添加槽4を制御し、汚染土壌6へ過硫酸塩が添加された注入水を注入する。すなわち、過硫酸塩添加槽4を制御することで、所定濃度(Fmg/L)の過硫酸塩を含む注入水が汚染土壌6へ注入される。この所定濃度(Fmg/L)は、目標濃度(Emg/L)より高く設定する。
具体的には、濃度制御プログラムによって、単位時間毎にポンプP1が汚染土壌6へ注入する注入水の体積と、所定濃度(Fmg/L)及び土壌濃度(Dmg/L)と、に基づいて必要な過硫酸塩の添加量が算出される。この算出された添加量に応じて、過硫酸塩添加槽4、又は、過硫酸塩添加槽4及びポンプP1の双方が制御される。これにより、所定濃度(Fmg/L)に加温された注入水が、汚染土壌6へ注入される。ステップS154の次は、ステップS150へ戻り、以降のステップを繰り返す。
なお、ステップS154における「注入水」とは、第一形態における「水道水」を示し、第二形態の態様(i)、(ii)における「循環水」を示している。
<熱量制御と過硫酸塩濃度制御の組み合わせ>
図5、図6、図7を用いて説明した熱量制御は、それぞれ単独で実行することができる。一方、図8を用いて説明した過硫酸塩濃度制御は、図5、図6、図7を用いて説明した熱量制御と組合わせて実行される。以下の説明においては、熱量制御と過硫酸塩濃度制御とを組合わせて実行する複数の例について説明する。
一例として、図5、図6のステップS102及び図7のステップS122において、土壌温度(B℃)が目標温度(E℃)以上と判定された場合、汚染土壌6への注入水の注入は行なわないものとしたが、本開示の実施形態はこれに限らない。例えば図8のステップS140へ移行して、過硫酸塩濃度を制御してもよい。
別の一例として、図5、図6のステップS112及び図7のステップS132において、土壌温度(D℃)が目標温度(E℃)以上と判定された場合、汚染土壌6への注入水の注入を終了するものとしたが、本開示の実施形態はこれに限らない。例えば図8のステップS140へ移行して、過硫酸塩濃度を制御してもよい。
また別の一例として、図8のステップS142で土壌濃度(Bmg/L)が目標濃度(Emg/L)以上と判定された場合、汚染土壌6への注入水の注入は行なわないものとしたが、本開示の実施形態はこれに限らない。例えば図5、図6のステップS100又は図7のステップS120へ移行して熱量制御してもよい。
同様に、図8のステップS152で土壌濃度(Dmg/L)が目標濃度(Emg/L)以上と判定された場合、汚染土壌6への注入水の注入を終了ものとしたが、本開示の実施形態はこれに限らない。例えば図5、図6のステップS100又は図7のステップS120へ移行して熱量制御してもよい。
なお、上記実施形態でCPUがソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行した温度測定処理、濃度測定処理、温度判定処理、濃度判定処理、熱量制御処理及び濃度制御処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、情報取得処理、決定処理、情報表示処理及び送信処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
また、上記各実施形態では、画像送信プログラム、画像配信プログラムおよび画像表示プログラムがROM又はストレージに予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。プログラムは、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。このように、本開示は様々な態様で実施できる。
1 注入井戸
2 揚水井戸
3 加温装置
4 過硫酸塩添加槽
5 水処理装置
6 汚染土壌
7 制御装置(第1制御装置、第2制御装置)
72 CPU(プロセッサ)
76 RAM(メモリ)

Claims (5)

  1. 汚染土壌の温度より高温とされ前記汚染土壌を浄化する注入水を前記汚染土壌へ注入する注入井戸と、
    前記汚染土壌に前記注入井戸から離れて設けられ、地下水を揚水する揚水井戸と、
    前記汚染土壌の温度に応じて加温装置及びポンプを制御することにより前記注入水の温度及び体積を調整して、前記注入水の熱量を制御する第1制御装置と、
    を備え、
    前記注入水として水道水又は河川水を用い、
    前記第1制御装置は、前記水道水又は河川水の温度と、前記汚染土壌の温度と、目標温度と、に応じて、前記加温装置及び前記ポンプを制御する、
    土壌浄化システム。
  2. 前記注入水には浄化物質が添加され、
    前記汚染土壌における前記浄化物質の濃度に応じて前記浄化物質の添加量を制御する第2制御装置を備えた、
    請求項1に記載の土壌浄化システム。
  3. 前記汚染土壌には硫酸還元菌が存在し、
    前記注入水は過硫酸塩を含有する、請求項1又は請求項2に記載の土壌浄化システム。
  4. 最初の注入水として前記水道水又は河川水を用い、最初以外の注入水として前記揚水井戸から揚水した循環水を用いる、
    請求項1~3の何れか1項に記載の土壌浄化システム。
  5. メモリと、
    前記メモリに接続されたプロセッサと、を含み、
    前記プロセッサは、
    汚染土壌の温度を測定し、
    前記汚染土壌の温度が所定温度以上かどうかを判定し、
    判定結果に基づいて、加温装置及びポンプを制御することにより前記汚染土壌へ注入する注入水の温度及び体積を調整して、前記注入水の熱量を制御すると共に
    前記注入水として水道水又は河川水を用い、
    前記水道水又は河川水の温度と、前記汚染土壌の温度と、目標温度と、に応じて、前記加温装置及び前記ポンプを制御する、
    土壌浄化システム。
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