(詳細な説明)
本明細書では、患者の血管系内、特に患者の脳血管系内での最小侵襲展開に好適である、血管欠陥の処置のためのデバイスおよび方法が述べられる。望ましい処置部位へ安全で効率的に送達し、かつ効果的に展開するためのそのような実施形態に関して、いくつかのデバイスの実施形態は、マイクロカテーテルの内側管腔を通した送達、およびその遠位端からの展開に好適な横寸法を伴う、低プロフィール拘束状態への折り畳みのために構成されてもよい。これらのデバイスの実施形態はまた、一旦、患者の血管系内で経時的に動的な力に耐えるように展開されると、そうでなければ展開されたデバイスの圧縮という結果になり得る、十分な機械的一体性を伴う臨床的に有効な構成を維持し得る。処置する医師に処置の成功に関して、より即時的なフィードバックを提供するために、いくつかのデバイスの実施形態が、手技の経過の間に患者の血管欠陥を急性的に閉塞させることが望ましい場合もある。
別様に記述されない限り、種々の実施形態の特徴のうちの1つまたはそれを上回るものは、他の実施形態で使用され得ることが、当業者によって理解されるはずである。
いくつかの実施形態は、患者の血流から血管欠陥を完全または部分的に隔離するように、血管壁の再構築による脳動脈瘤の処置に特に有用である。いくつかの実施形態は、血管欠陥を処置するために、血管欠陥内に展開され、血管壁の再構築、架橋、または両方を促進するように構成されてもよい。これらの実施形態のうちのいくつかに対しては、デバイスの透過シェルは、臨床上有益な位置で、透過シェルを係留または固定するように構成されてもよい。いくつかの実施形態に関して、デバイスは、血管構造または血管に対して、デバイスを係留もしくは固定するために、血管欠陥内に完全または部分的に配置されてもよい。透過シェルは、欠陥が治癒するか、そうでなければ患者の健康への欠陥の危険性を最小限化することを可能にするために、血管欠陥またはその一部分を患者の名目血管系から隔離するために、血管欠陥の開口部、頸部、または他の部分に及ぶように構成されてもよい。
本明細書で議論される患者の血管系の処置のためのデバイスの実施形態のうちのいくつかまたは全てに対して、透過シェルは、透過シェルを通る血液のある最初の灌流を可能にするように構成されてもよい。透過シェルの空隙率は、欠陥の治癒および隔離を助長するように血管欠陥を十分に隔離するが、デバイスに対して血管系内の血液または他の液体の動的な流れによって、膜上に行使される機械力を低減するか、そうでなければ最小限化するように、透過シェルを通る十分な最初の流れを可能とするように構成されてもよい。患者の血管系の処置のためのデバイスのいくつかの実施形態に関して、時には欠陥範囲部分と呼ばれる、血管欠陥の開口部または頸部に及ぶ透過シェルの一部分のみが、患者の血流における血栓形成に対して透過性であり、そして/または貢献する必要がある。そのような実施形態に関しては、血管欠陥の開口部または頸部に及ばないデバイスのその部分は、細孔もしくは大きすぎて血栓形成を効果的に助長できない開口部構成を伴い、実質的に非透過性または完全に透過性であってもよい。
概して、場合によっては、患者内への送達のために低プロフィールに拘束されてもよい、弾性材料の透過シェルを伴う、中空の薄壁のデバイスを使用することが望ましい場合がある。そのようなデバイスはまた、デバイスのシェルが、より大きい容積となって充填するか、そうでなければ内部にシェルが展開される血管欠陥を閉塞するように、拘束を除去すると、半径方向に外向きに拡張するように構成されてもよい。シェルの外向きの半径方向への拡張は、血管欠陥の内面の一部または全体に係合する働きをしてもよく、それによって、デバイスの透過シェルの外面と、血管欠陥の内側表面との間の機械的摩擦が、デバイスを血管欠陥内で効率的に係留する。そのようなデバイスのいくつかの実施形態はまた、特に、欠陥がより大きな内部容量を伴う狭い頸部部分を有する、血管欠陥の空洞内で、部分的または完全に機械的に捕捉されてもよい。送達用の低プロフィールおよび低容量を達成し、容量による高い拡張率を可能にするために、いくつかのデバイスの実施形態は、依然として一致および容量制約を可能としながら、実質的に規則的に離間し安定しているフィラメントの連結または交差間の細孔もしくは開口部パターンを有する、自己拡張型透過シェルを形成するように、織り合わされた構造によってともに連結される、織物または編組フィラメントのマトリクスを含む。
本明細書で使用されるように、織物および編組という用語は、メッシュ構造を形成するフィラメントの織り合わせの任意の形態を意味するように、互換的に使用される。繊維産業または他の産業では、これらの用語は、物品がシートもしくは円筒形態で作られるかどうか等、製品または用途によって異なる意味もしくはより具体的な意味を有してもよい。本開示の目的のために、これらの用語は、互換的に使用される。
いくつかの実施形態に関して、脳動脈瘤の血管内処置において、所望の臨床転帰を達成することができる、患者の血管系の処置のための織物または編組ワイヤ閉塞デバイスにとって、3つの要因が非常に重要であり得る。本発明者らは、いくつかの用途における効果的使用にとって、インプラントデバイスが、安定性のための十分な半径方向剛性と、ほぼ完全な急性(手順内)閉塞のための限定された細孔サイズと、マイクロカテーテルの内側管腔を通る挿入を可能にするのに十分小さい折り畳みプロフィールとを有することが、望ましくあり得ることを見出した。ある閾値を下回る半径方向剛性を伴うデバイスは、不安定である場合があり、場合によっては、塞栓の危険性がより高くなる場合がある。編組または織物構造におけるフィラメント交差間のより大きい細孔は、急性設定において血栓を生成せずに血管欠陥を閉塞しない場合があり、従って、流れの途絶が、処置されている血管欠陥の完全で持続的な閉塞に至るという、そのような臨床上のフィードバックを、処置する医師または医療従事者に与えない場合がある。処置する医師が慣れている様式で、曲がりくねった脳血管系を通るアクセスを可能にするように、標準マイクロカテーテルを通した患者の血管系の処置のためのデバイスの送達が、極めて望ましくあり得る。
いくつかの実施形態に関して、以下でより詳細に議論されるように、所望の構成を生成するために、透過シェルを形成する2つまたはそれを上回る異なる直径もしくは横寸法を有するフィラメントを使用することが、望ましくあり得る。2つのフィラメント(2つの異なる直径)の織物デバイスの半径方向剛性は、以下の通り、フィラメントの数およびそれらの直径の関数として表されてもよい。
Sradial=(1.2×106lbf/D4)(Nldl
4+Nsds
4)
式中、Sradialは、重量ポンド(lbf)単位の半径方向剛性であり、
Dは、デバイスの直径(横寸法)であり、
Nlは、大きなフィラメントの数であり、
Nsは、小さなフィラメントの数であり、
dlは、インチ単位の大きなフィラメントの直径であり、
dsは、インチ単位の小さなフィラメントの直径である。
この式を使用して、特定の臨床値のいくつかの実施形態に関して、半径方向剛性Sradialは、約0.014~約0.284lbfの力であってもよい。いくつかの実施形態では、半径方向剛性Sradialは、約0.015~約0.065lbfであってもよい。いくつかの実施形態では、半径方向剛性Sradialは、約50%の変形において測定されてもよい。
患者の血管系の処置のための織物ワイヤデバイスのいくつかの有用な実施形態について望ましい、血管欠陥の頸部または開口部に及ぶデバイスの一部分における最大細孔サイズは、全フィラメントの総数、フィラメントの直径、およびデバイスの直径の関数として表されてもよい。2つまたはそれを上回るフィラメントの直径もしくは横寸法が使用される、フィラメントのサイズ間の差は、場合によっては、フィラメントのサイズがデバイスの寸法と比較して非常に小さいデバイスに対しては、無視されてもよい。2つのフィラメントのデバイスに対して、最小のフィラメント直径が計算に使用されてもよい。従って、そのような実施形態に対する最大細孔サイズは、以下の通り表されてもよい。
Pmax=(1.7/NT)(πD-(NTdW/2))
式中、Pmaxは、平均細孔サイズであり、
Dは、デバイスの直径(横寸法)であり、
NTは、全フィラメントの総数であり、
dwは、インチ単位のフィラメント(最小)の直径である。
この式を使用して、いくつかの実施形態に関して、血管欠陥の開口部または頸部、もしくはデバイスの任意の他の好適な部分に及ぶデバイスの一部分の最大細孔サイズPmaxは、約0.016インチまたは約400ミクロン未満であってもよい。いくつかの実施形態では、欠陥範囲部分またはデバイスの任意の他の好適な部分に対する最大細孔サイズは、約0.012インチまたは約300ミクロン未満であってもよい。いくつかの実施形態では、血管範囲部分またはデバイスの任意の他の好適な部分に対する最大細孔サイズは、約0.008インチまたは約200ミクロン未満であってもよい。
2つのフィラメント(2つの異なるフィラメントの直径を有するプロフィール)の織物フィラメントデバイスの折り畳みプロフィールは、以下の関数として表されてもよい。
Pc=1.48((Nldl
2+Nsds
2))1/2
式中、Pcは、デバイスの折り畳みプロフィールであり、
Nlは、大きなフィラメントの数であり、
Nsは、小さなフィラメントの数であり、
dlは、インチ単位の大きなフィラメントの直径であり、
dsは、インチ単位の小さなフィラメントの直径である。
この式を使用して、特定の臨床値のいくつかの実施形態に関して、折り畳みプロフィールPcは、約1.0mm未満であってもよい。特定の臨床値のいくつかの実施形態では、デバイスは、上記で議論される範囲内の上記の3つの全ての因数(Sradial、Pmax、およびPc)、すなわち、約0.014lbf~約0.284lbfまたは約0.015lbf~約0.065lbfのSradial、300ミクロン未満のPmax、および約1.0mm未満のPCを同時に有するように構築されてもよい。いくつかのそのような実施形態では、デバイスは、約70本のフィラメント~約300本のフィラメントを含むように作製されてもよい。ある場合には、これらのフィラメントは、約0.0004インチ~約0.002インチの外側横寸法または直径を有してもよい。ある場合には、これらのフィラメントは、約0.0005インチ~約0.0015インチ、代替として、約0.00075インチ~約0.00125インチの外側横寸法または直径を有してもよい。
議論されてきたように、患者の血管系の処置のためのデバイスのいくつかの実施形態は、血管部位を充填するように、血管部位の寸法に近似する(またはある過剰サイズを伴って)デバイスのサイズに合わせることを要求する。より大きな寸法へのデバイスのスケーリングおよびより大きなフィラメントの使用は、デバイスのそのようなより大きな実施形態には十分であろうと推定され得る。しかしながら、脳動脈瘤の処置に対して、半径方向に折り畳まれたデバイスの直径またはプロフィールは、脳の小さく曲がりくねった血管内で効率的に進むことができるカテーテルのサイズによって制限される。さらに、デバイスは、所定のサイズまたは厚さを有する、所定の数もしくは固定数の弾性フィラメントを伴って、より大きく作製されるため、フィラメントの接合部間の細孔または開口部は、対応してより大きくなる。加えて、所定のフィラメントのサイズに対して、フィラメントの曲げ弾性率または剛性、そしてそれ故、構造は、デバイスの寸法が増加するにつれて減少する。曲げ弾性率は、歪みに対する応力の比として定義されてもよい。従って、歪み(偏向)が所定の力を下回って低い場合、デバイスは、高い曲げ弾性率を有するか、または剛性があると考えられ得る。剛性デバイスはまた、低伸展性を有すると言われ得る。
患者の血管系の処置のためのより大きなサイズのデバイスを適切に構成するために、デバイスが、弛緩した非拘束状態にあるデバイスの名目直径または横寸法より小さい直径もしくは横寸法を有する、血管または動脈瘤等の血管部位もしくは欠陥の中へ展開されるときに、デバイスに対する力をモデル化することが有用であり得る。議論されるように、場合によっては、デバイスの外面と血管壁の内面との間に残留力があるように、デバイスを「過剰サイズにする」ことが賢明であり得る。過剰サイズに起因するデバイス10に対する内方への半径方向力は、図1に図式的に図示され、図中の矢印12は内方への半径方向力を表す。図2に示されるように、図1のデバイスのフィラメント14へのこれらの圧縮力は、図中の矢印18によって示されるように、分配された荷重または力を伴う単純に支持されるビーム16として、モデル化することができる。2つの単純な支持部20を伴うビームの偏向および分配された荷重についての以下の式から、偏向は、4乗に対する長さLの関数であることが分かる。
ビームの偏向=5FL4/384EI
式中、F=力、
L=ビームの長さ、
E=ヤング率、
I=慣性モーメントである。
従って、デバイスのサイズが増加し、Lが増加すると、伸展性が実質的に増加する。従って、血管または動脈瘤等の血管部位の中へ挿入されるときの、拘束力に対する、デバイス10のフィラメント14の外面によって及ぼされる外方への半径方向力は、所定の量のデバイスの圧縮または過剰サイジングに対してはより低い。いくつかの用途において、この力は、デバイスの安定性を保証するため、デバイスの遊走の危険性および遠位塞栓形成の可能性を低減するために重要であり得る。
いくつかの実施形態では、望ましい半径方向伸展性を伴うデバイスを作製し、かつ一般に使用されるマイクロカテーテルの内側管腔を通って適合するように構成される折り畳みプロフィールを有するように、小さい、および大きい、フィラメントのサイズの併用が利用されてもよい。なお少数であって比較的大きなフィラメント14を伴って製造されるデバイスでさえ、全て小さなフィラメントを伴って作製されたデバイスと比較して、低減した半径方向伸展性(または増加した剛性)を提供することができる。比較的少数のより大きなフィラメントさえも、フィラメントの総断面積を増加させることなく、直径の増加に起因する慣性モーメントの変化により、曲げ剛性の実質的な増加を提供してもよい。円形ワイヤまたはフィラメントの慣性モーメント(I)は、以下の方程式によって定義されてもよい。
I=πd4/64
式中、dは、ワイヤまたはフィラメントの直径である。
慣性モーメントはフィラメント直径の4乗の関数であるため、直径の小さな変化は、慣性モーメントを大きく増加させる。従って、フィラメントサイズの小さな変化は、所定の荷重での偏向、従って、デバイスの伸展性に多大な影響を及ぼすことができる。
従って、剛性は、デバイス10の折り畳みプロフィールの断面積の大きな増加を伴わずに、有意量で増加させることができる。これは、デバイスの実施形態が大きな動脈瘤を処置するように大きく作られているときに特に重要であり得る。大きな脳動脈瘤は、比較的珍しい場合があるが、医師が現在利用可能であるいくつかの閉塞デバイスが、より小さな動脈瘤と比べて比較的不良な結果を有するため、それらは重要な処置課題を提示している。
従って、患者の血管系の処置のためのデバイスのいくつかの実施形態は、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれを上回る異なる直径もしくは横寸法等のいくつかの異なる直径を伴うフィラメント14の組み合わせを使用して、形成されてもよい。2つの異なる直径を伴うフィラメントが使用されるデバイスの実施形態では、いくつかのより大きなフィラメントの実施形態は、約0.001インチ~約0.004インチの横寸法を有してもよく、いくつかの小さなフィラメントの実施形態は、約0.0004インチおよび約0.0015インチ、より具体的には、約0.0004インチ~約0.001インチの横寸法または直径を有してもよい。小さなフィラメントの数に対する大きなフィラメントの数の比は、約2~12であってもよく、また、約4~8であってもよい。いくつかの実施形態では、より大きなおよびより小さなフィラメント間の直径または横寸法の差は、約0.004インチ未満、より具体的には、約0.0035インチ未満、さらにより具体的には、約0.002インチ未満であってもよい。概して上記で議論されるように、常に全てのワイヤまたはフィラメントが本明細書で議論される種々の関係に対するパラメータを満たす必要はなくてもよい。これは、比較的多数のフィラメントが明確に異なる構造に使用されている場合に特に当てはまり得る。場合によっては、フィラメント状構造は、透過シェルまたは内部構造のフィラメントの優位性がサイズ制約を満たす、本明細書で議論される関係制約を満たし得る。
上記で議論されるように、患者の血管系の処置のためのデバイス10の実施形態は、透過シェルとしての機能を果たす構造を形成する、複数のワイヤ、繊維、糸、管、または他のフィラメント状要素を含んでもよい。いくつかの実施形態に関して、球形は、管状編組構造の端部を接続または固定することによって、そのようなフィラメントから形成されてもよい。そのような実施形態に関して、編組または織物構造の密度は、内在的に、ワイヤもしくはフィラメント14がともに引き寄せられる端部で、またはその近傍で増加し、透過シェル40の近位端32と遠位端34との間に配置される中間部分30で、またはその近傍で減少してもよい。いくつかの実施形態に関して、透過シェル40の端部または任意の他の好適な部分は、処置のために動脈瘤等の血管欠陥の開口部または頸部の中に位置付けられてもよい。従って、透過シェルを伴う編組または織物フィラメントデバイスは、血管欠陥の止血および閉塞を達成するために、透過シェルの名目部分とは異なる特性を有する、別個の欠陥範囲構造の追加を必要としなくてもよい。そのようなフィラメントデバイスは、編組、製織、または他の好適なフィラメント製造技術によって製造されてもよい。そのようなデバイスの実施形態は、本明細書で議論されるような種々の3次元形状に形状設定されてもよい。例えば、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる、「Braiding Mechanism and Methods of Use」と題される、2013年4月18日に公開された共に所有の米国特許公開第2013/0092013号で議論されるもの等の任意の好適な編組機構の実施形態または編組方法の実施形態が、本明細書に開示されるデバイスの実施形態を構築するために使用されてもよい。
図3-10を参照すると、患者の血管系の処置のためのデバイス10の実施形態が示されている。デバイス10は、近位端32、遠位端34、長手軸46を有し、図5、7、および18でより詳細に示されるように、少なくとも2つの異なる横寸法の大きなフィラメント48および小さなフィラメント50を含む、複数の伸長弾性フィラメント14をさらに備える、自己拡張型弾性透過シェル40を含む。フィラメント14は、織物構造を有し、その近位端60および遠位端62において相互に対して固定される。デバイスの透過シェル40は、フィラメントの長さに沿って相互に半径方向に隣接して、近位端42から遠位端44まで長手方向に延在する薄い織物フィラメント14を伴い、図11に示されるように、マイクロカテーテル61内への送達のために構成される半径方向に拘束された伸長状態を有する。
図3-6に示されるように、透過シェル40はまた、半径方向に拘束された状態に対して、球状であり長手方向に短縮された構成を伴う、拡張した弛緩状態を有する。拡張状態では、織物フィラメント14は、近位端32と遠位端34との間のデバイスの長手軸46から半径方向に拡張される平滑経路の中で、自己拡張型弾性透過シェル40を形成する。フィラメント14の織物構造は、織物フィラメントの間に形成される透過シェル40の複数の開口部64を含む。いくつかの実施形態に関して、該開口部64のうちの最大のものは、血栓臨界速度を下回る速度で、開口部のみを通る血流を可能にするように構成されてもよい。血栓臨界速度は、患者の血管系内に展開されるときに、血管グラフト表面の50%より多くが血栓によって被覆される時間平均速度として、少なくとも数人によって、定義されている。動脈瘤閉塞との関連で、わずかに異なる閾値が適切であってもよい。従って、本明細書で使用されるような血栓臨界速度は、デバイスによって処置される血管欠陥の中への血流が、約1時間未満で、そうでなければ処置手技中に実質的に遮断されるように、患者の血管系内に展開される、デバイス10等のデバイス内またはデバイス上で、血餅が生じる速度を含むものとする。場合によっては、血管欠陥の中への血流の遮断は、十分な量の造影剤が患者の埋め込み部位の血管系上流の中に注入され、その部位から消散するにつれ可視化された後に、血管欠陥に進入する最低限の造影剤によって示されてもよい。埋め込み手技の約1時間未満内または埋め込み手技中の、流れのそのような持続的遮断はまた、血管欠陥の急性閉塞と呼ばれ得る。
従って、一旦、デバイス10が展開されると、透過シェルを通って流れる血液は、血栓臨界速度を下回る速度まで減速されてもよく、血栓が透過シェル40の中の開口部上およびその周囲で形成し始める。最終的に、このプロセスは、その内側でデバイス10が展開される、血管欠陥の急性閉塞を生じるように構成されてもよい。いくつかの実施形態に関して、透過シェル40の少なくとも遠位端は、フィラメント14の固定された遠位端62が、拡張状態にある名目透過シェル構造または輪郭内で軸方向に引き抜かれるように、裏返された構成で逆屈曲を有してもよい。いくつかの実施形態に関して、透過シェルの近位端はさらに、フィラメント14の固定された近位端60が、拡張状態にある名目透過シェル構造40内で軸方向に引き抜かれるように、裏返された構成で逆屈曲を含む。本明細書で使用されるように、裏返されたという用語は、図3-6のデバイスの実施形態で示されるように、裏返された、部分的に裏返された、および/または逆屈曲を伴って陥凹した構造を含んでもよい。そのような実施形態に関して、透過シェルのフィラメント14の端部60および62、または端部の周囲に配置されるハブ構造は、デバイスの透過シェルの球形周囲内に、またはそれより下側に引き抜かれてもよい。
透過シェル40の伸長弾性フィラメント14は、溶接、はんだ付け、接着結合、エポキシ接着、または同等物を含む、1つもしくはそれを上回る方法によって、その近位端60および遠位端62で相互に対して固定されてもよい。フィラメントの端がともに固定されることに加えて、遠位ハブ66はまた、透過シェル40の細いフィラメント14の遠位端62に固定されてもよく、近位ハブ68は、透過シェル40の細いフィラメント14の近位端60に固定されてもよい。近位ハブ68は、近位ハブ68の近位部分内に空洞70を形成するよう、細いフィラメントの近位端60を超えて近位に延在する円筒形部材を含んでもよい。近位空洞70は、図11-15に示されるような送達装置に順に着脱可能に固定され得る、伸長着脱テザー72を固定するためのエポキシ、はんだ、または任意の他の好適な結合剤等の接着剤を保持するために使用されてもよい。
いくつかの実施形態に関して、透過シェル40の伸長弾性フィラメント14は、実質的に円形状である横断面を有してもよく、また、形状記憶金属であり得る超弾性材料から作製されてもよい。透過シェル40のフィラメントの形状記憶金属は、図3-6に示されるように、弛緩した拡張状態の球状構成に熱硬化されてもよい。好適な弾性形状記憶金属は、NiTi合金および同等物等の合金を含んでもよい。そのような合金の超弾性特性は、合金を示された球状形態に熱硬化し、マイクロカテーテルの内側管腔内への送達のために完全に拘束し、次いで患者の身体内に展開されると、球状構成の元来の熱硬化形状へ実質的に戻って自己拡張するように解放することができるように、伸長フィラメント14に弾性特性を提供するのに有用であり得る。
デバイス10は、拡張した弛緩状態で近位端32および遠位端34を有する透過シェル40を伴う、裏返されたフィラメント状構造を有してもよい。透過シェル40は、示された実施形態に関して、実質的に閉鎖された構成を有する。デバイス10の透過シェル40のいくつかまたは全ては、デバイスが拡張状態に展開された後のある期間にわたって、血管欠陥の中への液体の流れまたは圧力を実質的に遮断するか、もしくは妨げ、そうでなければ血管欠陥を隔離するように構成されてもよい。透過シェル40およびデバイス10はまた、概して、近位端32、遠位端34、および長手軸46を含む伸長管状または円筒形構成を伴って、図11に示されるような低プロフィールの半径方向に拘束された状態も有する。半径方向に拘束された状態にある間、透過シェル40の伸長可撓性フィラメント14は、近位端と遠位端との間で相互と実質的に平行かつ側方で近接して配置され、実質的に管状または圧縮円筒形構成を形成してもよい。
透過シェル40の少なくともいくつかのフィラメント14の近位端60は、近位ハブ68に固定されてもよく、透過シェル40の少なくともいくつかのフィラメント14の遠位端62は、遠位ハブ66に固定され、近位ハブ68および遠位ハブ66は、図4に示されるように長手軸46に対して実質的に同心円状に配置されている。フィラメント14の端部は、接着剤、はんだ、溶接、および同等物の使用を含む、相互へのフィラメント端部の固定に関する上記で議論される方法のうちのいずれかによって、それぞれのハブ66および68に固定されてもよい。ある場合には、ハブは、白金、白金合金(例えば、90%白金/10%イリジウム)、または金等の高度に放射線不透過性の材料から作製されてもよい。透過シェル40の中間部分30は、図11に示されるように、マイクロカテーテルからの送達に好適な低プロフィールプロフィールを伴う、第1の横寸法を有してもよい。デバイス10上の半径方向の拘束は、示されたマイクロカテーテル61の遠位端部分等のマイクロカテーテルの内側管腔の内面によって印加されてもよく、またはカテーテルの遠位端からデバイス10が駆出されると制御可能な様式で解放され得る、任意の他の好適な機構によって印加されてもよい。図11では、デバイス10の近位端またはハブ68は、デバイス10の近位ハブ68に配置される、送達システム112の伸長送達装置110の遠位端に固定される。
編組または織物フィラメント状構造を有する、いくつかのデバイス10の実施形態は、約10本のフィラメント~約300本のフィラメント14、より具体的には、約10本のフィラメント~約100本のフィラメント14、さらにより具体的には、約60本のフィラメント~約80本のフィラメント14を使用して形成されてもよい。透過シェル40のいくつかの実施形態は、近位端32から遠位端34まで延在する約70本のフィラメント~約300本のフィラメント、より具体的には、近位端32から遠位端34まで延在する約100本のフィラメント~約200本のフィラメントを含んでもよい。いくつかの実施形態に関して、フィラメント14は、約0.0008インチ~約0.004インチの横寸法または直径を有してもよい。場合によっては、伸長弾性フィラメント14は、約0.0005インチ~約0.005インチ、より具体的には、約0.001インチ~約0.003インチ、およびある場合には、約0.0004インチ~約0.002インチの外側横寸法または直径を有してもよい。異なるサイズのフィラメント14を含む、いくつかのデバイス10の実施形態に対して、透過シェル40の大きなフィラメント48は、約0.001インチ~約0.004インチである横寸法または直径を有してもよく、小さなフィラメント50は、約0.0004インチ~約0.0015インチ、より具体的には、約0.0004インチ~約0.001インチの横寸法または直径を有してもよい。加えて、小さなフィラメント50と大きなフィラメント48との間の横寸法または直径の差は、約0.004インチ未満、より具体的には、約0.0035インチ未満、さらにより具体的には、約0.002インチ未満であってもよい。異なるサイズのフィラメント14を含む透過シェル40の実施形態に関して、透過シェル40の大きなフィラメント48の数に対する透過シェル40の小さなフィラメント50の数は、約2対1~約15対1、より具体的には、約2対1~約12対1、さらにより具体的には、約4対1~約8対1であってもよい。
図4に示されるように、透過シェル40の拡張した弛緩状態は、近位ハブ68が拘束状態にあるよりも遠位ハブ66の近くに配置されるように、拘束状態に対して軸方向に短縮された構成を有する。ハブ66および68の両方は、デバイスの長手軸46に対して実質的に同軸に配置され、各フィラメント要素14は、各端部に逆屈曲を伴う、近位および遠位ハブ66および68の間に滑らかな弧を形成する。いくつかの実施形態に関して、展開された弛緩状態にある透過シェル40の近位および遠位ハブ66および68の間の長手方向間隔は、拘束された円筒状態にある近位および遠位ハブ66および68の間の長手方向間隔の約25%~約75%であってもよい。近位および遠位端32および34の間にあるフィラメント14の弧は、各フィラメント14の中間部分が、第1の横寸法より実質的に大きい第2の横寸法を有するように、構成されてもよい。
いくつかの実施形態に関して、透過シェル40は、約0.2mm~約2mmの折り畳んだ半径方向に拘束した状態での第1の横寸法、および約4mm~約30mmの弛緩した拡張状態での第2の横寸法を有してもよい。いくつかの実施形態に関して、拡張状態にある透過シェル40の第2の横寸法は、第1の横寸法の約2倍~約150倍、より具体的には、第1または拘束横寸法の約10倍~約25倍であってもよい。弛緩した拡張状態にある透過シェル40の近位端32と遠位端34との間の長手方向間隔は、拘束された円筒状態である近位端32と遠位端34との間の間隔の約25%~約75%であってもよい。いくつかの実施形態に関して、弛緩した拡張状態にある透過シェル40の主要横寸法は、約4mm~約30mm、より具体的には、約9mm~約15mm、さらにより具体的には、約4mm~約8mmであってもよい。
透過シェル40のフィラメント14の弧形部分は、図6に示されるように、透過シェル40の端部の近傍に、第1のまたは外半径88、および第2のまたは内半径90を伴う、正弦様形状を有してもよい。この正弦様または多曲線形状は、血管欠陥に隣接する親血管の中の流れの閉鎖を低減してもよい、近位端32の中に陥凹部を提供してもよい。いくつかの実施形態に関して、透過シェル40の第1の半径88および第2の半径90は、約0.12mm~約3mmであってもよい。いくつかの実施形態に関して、近位端32と遠位端34との間の距離は、いくつかの実施形態に関する透過シェル40の全体的長さの約60%未満であってもよい。そのような構成により、デバイス10が遠位端34で抵抗を受けるときに、遠位端34が近位端32に向かって下方に曲がることが可能になってもよく、従って、長手方向の順応が提供されてもよい。フィラメント14は、いくつかの実施形態では、約2mmよりも大きい距離にわたる湾曲を伴わない部分がないように成形されてもよい。従って、いくつかの実施形態に関して、各フィラメント14は、実質的に連続的な湾曲を有してもよい。この実質的に連続的な湾曲は、平滑展開を提供してもよく、血管穿孔の危険性を低減してもよい。いくつかの実施形態に関して、端部32または34のうちの1つは、他方の端部より長手方向もしくは軸方向に順応であるように、他方より大きい程度まで後退させられるか、または裏返されてもよい。
いくつかの実施形態に関して、透過シェル40の第1の半径88および第2の半径90は、約0.12mm~約3mmであってもよい。いくつかの実施形態に関して、近位端32と遠位端34との間の距離は、拡張した透過シェル40の全体的長さの約60%より大きくてもよい。従って、内面間の最大長手方向距離は、外面の長手方向長さまたはデバイス10の全体的長さの約60%~約90%あってもよい。近位端32および遠位端34におけるハブ66ならびに68の間の間隙は、デバイス10が遠位端で抵抗を受けるときに、遠位ハブ66が近位ハブ68に向かって下向きに曲がることを可能にしてもよく、従って、長手方向の順応を提供する。フィラメント14は、約2mmよりも大きい距離にわたる湾曲を伴わない部分がないように成形されてもよい。従って、いくつかの実施形態に関して、各フィラメント14は、実質的に連続的な湾曲を有してもよい。この実質的に継続する湾曲は、平滑展開を提供してもよく、血管穿孔の危険性を低減してもよい。遠位端34は、透過シェル40の遠位端部分が、近位端部分より半径方向に順応性であってもよいように、近位端32より大きい程度まで後退させられるか、または裏返されてもよい。遠位端部分の順応性は、不規則形状の動脈瘤または他の血管欠陥へのより優れたデバイスの一致を提供してもよい。デバイスの凸面は、血管部位の湾曲に一致するように、凹面を形成して内方に曲がってもよい。
図10は、近位ハブ68の外側リングによって拘束され、緊密に詰められた、2つの異なるサイズのフィラメント14を伴うデバイス10の近位ハブ68内に配置されたフィラメント14の拡大図を示す。テザー部材72は、随意に、フィラメント14の中間部分内に、または図6に示されるようにフィラメント14の近位端60の近位にある近位ハブ68の空洞70内に配置されてもよい。テザー72の遠位端は、近位ハブ68の近位肩部分94によって形成される近位ハブ68の空洞70の中で機械的に捕捉される、その遠位端に形成される結び目92で固定されてもよい。テザー72の結び目遠位端92はまた、空洞70内でのテザー72の遠位端の接着またはポッティングによって、随意に、機械的圧縮、接着結合、溶接、はんだ付け、ろう付け、または同等物を用いてフィラメント14の近位端60の間で固定されてもよい。図6に示されるテザー72の実施形態は、接着剤で近位ハブ68の空洞にポッティングされた、結び目遠位端92を有する。そのようなテザー72は、図11および図23-26に示されるように、デバイス10を展開するために使用される送達装置110の一部であり得る、溶解可能、切断可能、または解放可能なテザーであってもよい。図10はまた、近位ハブ68の外側リング内で相互に対して定位置に大きなおよび小さなフィラメント48および50を固定するように構成され得る、近位ハブ68内に配置され、それによって拘束された、大きなフィラメント48および小さなフィラメント50も示す。
図7および8は、患者の血管系の処置のためのデバイス10の透過シェル40の編組フィラメント14のいくつかの構成実施形態を図示する。各実施形態の編組構造は、各隣接フィラメントセグメントに接触する円形形状100を伴い、織物または編組構造の細孔64内に配置される円形形状100とともに示されている。細孔開口部サイズは、編組のフィラメント要素14のサイズ、相互に対する角度重複フィラメントの作り、および編組構造の1インチあたりの打ち込み本数によって、少なくとも部分的に決定されてもよい。いくつかの実施形態に関して、セルまたは開口部64は、図7に示されるように、伸長した実質的に菱形の形状を有してもよく、透過シェル40の細孔または開口部64は、図8に示されるように、デバイス10の中間部分30に向かって実質的により正方形の形状を有してもよい。菱形の細孔または開口部64は、特にハブ66および68の近傍の幅よりも実質的に大きい長さを有してもよい。いくつかの実施形態では、幅に対する菱形の細孔または開口部の長さの比は、いくつかのセルについては、3対1の比を超えてもよい。菱形開口部64は、幅よりも大きい長さを有してもよく、従って、1より大きい長さ/幅として定義されるアスペクト比を有する。ハブ66および68の近傍の開口部64は、図7に示されるようなハブからさらに遠いものよりも実質的に大きいアスペクト比を有してもよい。ハブに隣接する開口部64のアスペクト比は、約4対1よりも大きくてもよい。最大直径付近の開口部64のアスペクト比は、いくつかの実施形態に関して、約0.75対1~約2対1であってもよい。いくつかの実施形態に関しては、透過シェル40の中の開口部64のアスペクト比は、約0.5対1~約2対1であってもよい。
開口部64を囲むフィラメント14を変位させるかまたは歪めることなく、透過シェル40の編組構造の開口部64内に配置され得る、最大円形形状100によって画定される細孔サイズは、いくつかの実施形態に関して、約0.005インチ~約0.01インチ、より具体的には、約0.006インチ~約0.009インチ、さらにより具体的には、約0.007インチ~約0.008インチまでのサイズに及んでもよい。加えて、デバイス10の透過シェル40の隣接するフィラメント14の間に形成される、開口部64のうちの少なくともいくつかは、血栓臨界速度を下回る速度でのみ、開口部64のみを通る血流を可能にするように構成されてもよい。いくつかの実施形態に関して、透過シェル構造40の中の最大開口部64は、血栓臨界速度を下回る速度でのみ、開口部64のみを通る血流を可能にするように構成されてもよい。上記で議論されるように、細孔サイズは、いくつかの実施形態に関して、約0.016インチ未満、より具体的には、約0.012インチ未満であってもよい。いくつかの実施形態に関して、隣接するフィラメント14の間に形成される開口部64は、約0.005インチ~約0.04インチであってもよい。
図12-15を参照すると、図11の送達システム112の送達装置110の実施形態が、より詳細に示されている。装置110は、図12に示されるように、装置110の近位端116から装置110の遠位部118まで延在する、伸長コアワイヤ114を含む。コアワイヤ114は、図11に示されるように、送達システム112のマイクロカテーテル61の内側管腔120を通して、患者の血管系の処置のための拘束されたデバイス10を押すのに十分な支柱強度を提供するように構成される。コアワイヤ114はまた、マイクロカテーテル61の外側の位置から、およびマイクロカテーテル61の内側管腔120内で軸方向に、デバイス10を引き抜くか、または近位に後退させるのに十分な引張強度も有する。近位ハブ68から近位に延在するテザー72は、テザー72の一部分およびコアワイヤ114の遠位区分上に配置され、図13に示されるように両者上で収縮される長さの収縮可能管類122を用いてコアワイヤ114の遠位端に固定されるが、任意の他の好適な固定手段が使用されてもよい。
第1の導体126および第2の導体128に電気的に連結される加熱コイル124は、テザー72の最遠位部分上に配置される。加熱コイル124はまた、熱遮蔽としての役割を果たす働きをし、加熱コイル124から送達装置110の周囲にある患者の血流等の環境の中への熱の漏出を最小限化する、熱収縮管類122の遠位にある加熱コイル124上に配置される、所定長さのポリマー管類130で覆われてもよい。一旦、熱収縮管類122および絶縁ポリマー管類130が、装置110の遠位部118に固定されると、熱収縮管類122の近位に配置されたテザー72の近位部分は、図13に示されるように切り取られてもよい。次いで、送達装置110の遠位端134から装置110の近位区分136まで延在するオーバーコイル132が、加熱コイル124、コアワイヤ114、テザー72、第1の導体126、および第2の導体128上に配置されてもよく、これらの要素をともに保持し、低摩擦外面を生成し、送達装置110の望ましい可撓性を維持する。装置110の近位区分136は、それぞれ図15に示されるように、コアワイヤ114の近位区分136の周囲で円周方向に配置され、そこから絶縁され、第1の導体126および第2の導体128に電気的に連結される、第1の接点138および第2の接点140の遠位に配置されるオーバーコイル132の近位末端を含む。
加熱コイル124は、装置110の近位区分136で第1の接点138および第2の接点140に連結される電気エネルギー源142から、第1の導体126および第2の導体128を通して供給される電流を受容するように構成されてもよい。加熱コイル124を通過させられる電流は、テザー72を融解させ、デバイス10の展開時にそれを切断するよう、テザー材料72の融点以上の温度までヒータコイルを加熱する。
送達装置110の実施形態は、概して、送達システム112に使用されるマイクロカテーテル61の全体的長さよりも大きい長さを有してもよい。この関係により、医師によってその操作が可能となるように、以下で議論される図17に示されるように、マイクロカテーテル61の近位端150から延在する十分な長さを有する一方で、送達装置110がその遠位端に固定されるデバイス10に沿って、マイクロカテーテル61の内側管腔120の遠位ポートから延在することが可能となる。いくつかの実施形態に関して、送達装置110の長さは、約170cm~約200cmであってもよい。コアワイヤ114は、ステンレス鋼、NiTi合金、または同等物等の任意の好適な高強度材料から作られてもよい。コアワイヤ114の実施形態は、約0.010インチ~約0.015インチの外径または横寸法を有してもよい。オーバーコイル132は、約0.018インチ~約0.03インチの外径または横寸法を有してもよい。図12-15に示された装置110の実施形態は、導体対を通過させられる電気エネルギーによって起動されるが、加熱コイル124等の遠位加熱部材または要素を遠隔で加熱して、テザー72の遠位部分を切断するために、光ファイバを通過させられる光エネルギーを利用する同様の構成または任意の他の好適な配置を使用することができる。加えて、本明細書で議論される患者の血管系の処置のためのデバイスの実施形態10のうちのいずれかにも使用され得る、他の送達装置の実施形態が議論され、本明細書に組み込まれる。
他の送達および位置決めシステムの実施形態は、送達装置の全長に沿ってトルクを伝達させることなく、患者の血管系の体内での処置のためのデバイスを回転させる能力を提供してもよい。デバイス10の送達および位置決めのためのいくつかの実施形態は、参照することによってその全体として組み込まれる、共に所有の所有国際出願第PCT/US2008/065694号で説明される。送達および位置決め装置は、デバイスの回転位置決めを可能にする、遠位回転部材を含んでもよい。送達および位置決め装置は、装置の全長に沿ったトルクの伝達なしに、体内でインプラントを回転させる遠位回転部材を含んでもよい。随意に、送達システムはまた、近位端と遠位回転可能端部との間の中間部分の中でのトルクの伝達なしに、インプラントを回転させてもよい。送達および位置決め装置は、患者の血管系の処置のためのデバイスの任意の好適な部分に、解放可能に固定されてもよい。
本明細書で議論されるデバイスの実施形態は、ガイドワイヤまたはガイドワイヤ様構造等の、任意の好適な可撓性の伸長送達装置またはアクチュエータから解放可能であってもよい。そのような送達装置からのデバイスの実施形態の解放は、上記で議論されるような熱機構、電解機構、水圧機構、形状記憶材料機構、または血管内インプラント展開の技術で公知である任意の他の機構によって起動されてもよい。
患者の血管系内の塞栓デバイスまたはステントの展開等の処置デバイスの展開および解放のための実施形態は、押込器または他の送達装置部材の遠位部分への解放可能な接続を介して、そのようなデバイスを接続するステップを含んでもよい。処置デバイス10は、上記でテザーと呼ばれてもよい、フィラメントテザー72、紐、糸、ワイヤ、縫合糸、繊維、または同等物によって、装置の遠位部分に着脱可能に載置されてもよい。テザー72は、モノフィラメント、桿、リボン、中空管、または同等物等の形態であってもよい。テザーのいくつかの実施形態は、約0.05mm~0.2mmの直径または最大厚さを有してもよい。テザー72は、約0.5kg~5kgの最大引張荷重に耐えることができるように構成されてもよい。いくつかの実施形態に関して、いくつかの塞栓デバイスよりも実質的に大きくあり得る、展開されているデバイス10の質量に起因して、いくつかの公知の着脱デバイスは、本明細書で議論されるいくつかの実施形態に使用されるのに十分な引張強度が不足している場合がある。従って、約15ニュートンより大きい「破断時の荷重」を有する、いくつかのテザーの実施形態のための小さな超高強度繊維を使用することが望ましくあり得る。いくつかの実施形態に関して、Royal DSM(Heerlen,Netherlands)から市販されているDyneema Purityとして知られる材料から作られるテザーが、使用されてもよい。
テザー72は、処置デバイスの解放を引き起こす加熱要素への電流等のエネルギーの入力によって切断されてもよい。いくつかの実施形態に関して、加熱要素は、白金-タングステン合金等の高い電気抵抗率を伴うワイヤのコイルであってもよい。テザー部材は、加熱要素を通過するか、または加熱要素に隣接して位置付けられてもよい。加熱器は、着脱の間、周囲組織への熱損傷の可能性を低減するために断熱を提供するように、送達装置の遠位部分内に実質的に拘束されてもよい。別の実施形態では、電流は加熱要素として機能もするテザーを通過してもよい。
多くの材料が、ポリマー、金属、およびそれらの複合材料を含む、テザー72の実施形態を作製するために使用されてもよい。テザーに有用であり得る材料の1つのクラスは、ポリオレフィン、ポリエチレン等のポリオレフィンエラストマー、ポリエステル(PET)、ポリアミド(ナイロン)、ポリウレタン、ポリプロピレン、PEBAXまたはHytrel等のブロック共重合体、およびエチレンビニルアルコール(EVA)等のポリマー、もしくは、シリコーン、ラテックス、およびKraton等のゴム状物質を含む。場合によっては、ポリマーはまた、その引張強度および溶融温度を操作するように、放射線を用いて架橋結合されてもよい。テザーの実施形態に使用されてもよい材料の別のクラスは、ニッケル-チタン合金(ニチノール)、金、白金、タンタル、および鋼等の金属を含んでもよい。テザー構築に有用であり得る他の材料は、高い性能特性を提供してもよく、高度に不活性の液晶高分子(LCP)である全芳香族ポリエステルポリマーを含む。市販されているLCPポリマーは、株式会社クラレ(Tokyo, Japan)により生成されているVectranである。材料の選択は、溶融温度または軟化温度、着脱に使用される電力、および体の処置部位に依存してもよい。テザーは、圧着、溶接、糸結び、はんだ付け、接着結合、または当技術分野で公知である他の手段によって、インプラントおよび/または押込器に接合されてもよい。
また、図10に関して上記で詳述されるようなフィラメントおよび近位ハブの構築の多くの変化例が、患者の血管系の処置のためのデバイス10の有用な実施形態に使用されてもよいことにも留意されたい。図16は、近位ハブ構成の横断面における拡大図を示す。示された実施形態では、フィラメント14は、近位ハブ68の外側リングによって拘束され、緊密に詰められたフィラメント14を伴うデバイス10の近位ハブ68または端部分内に配置される。テザー部材72は、フィラメント14の中間部分内、またはフィラメント14の近位端60の近位にある近位ハブ68の空洞内に配置されてもよい。そのようなテザー72は、デバイスを展開するために使用される、上記で議論されるような解放装置の一部であり得る、溶解可能、切断可能、または解放可能なテザーであってもよい。
図16は、近位ハブ68の内面によって緊密に詰められ、半径方向に拘束され得るフィラメントの構成を示す、近位ハブ68の実施形態を横断面で図示している。いくつかの実施形態では、そのようなフィラメント14から形成される透過シェル40の編組または織物構造は、多数の小さなフィラメントを使用して構築されてもよい。フィラメント14の数は、125より大きくてもよく、また、約80本のフィラメント~約180本のフィラメントであってもよい。上記で議論されるように、いくつかの実施形態に関するフィラメント14の総数は、約70本のフィラメント~約300本のフィラメント、より具体的には、約100本のフィラメント~約200本のフィラメントであってもよい。いくつかの実施形態では、透過シェル40の編組構造は、フィラメント14の2つまたはそれを上回るサイズで構築されてもよい。例えば、構造は、構造的な支持を提供するいくつかのより大きなフィラメントと、望ましい細孔サイズおよび密度を提供し、するいくつかのより小さなフィラメントとを有し、従って、場合によっては、血栓臨界速度を達成する流れ抵抗を有してもよい。いくつかの実施形態に関して、透過シェル40の小さなフィラメント50は、いくつかの実施形態に関しては約0.0006インチ~約0.002インチ、他の実施形態では約0.0004インチ~約0.001インチの横寸法または直径を有してもよい。大きなフィラメント48は、いくつかの実施形態では約0.0015インチ~約0.004インチ、他の実施形態では約0.001インチ~約0.004インチの横寸法または直径を有してもよい。フィラメント14は、1本ずつ上下交互の構造(図7および8に示される)または補助的な織り方、すなわち、1本を上回る縦糸が1本もしくはそれを上回る横糸と織り合わさる、平織りで編組されてもよい。ピックカウントは、1インチあたり約25ピック~200ピック(PPI)の間で変化してもよい。
いくつかの実施形態に関して、透過シェル40またはその部分は、多孔性であってもよく、液体に対して高度に透過性であってもよい。120mmHgの圧力で測定されるときに、典型的には2,000ml/分/cm2を下回る水浸透率を有する、大部分の血管補綴ファブリックまたはグラフトとは対照的に、本明細書で議論されるいくつかの実施形態の透過シェル40は、約2,000ml/分/cm2よりも大きい、場合によっては約2,500ml/分/cm2よりも大きい、水浸透率を有してもよい。いくつかの実施形態に関して、透過シェル40またはその部分の水浸透率は、120mmHgの圧力で測定されるときに、約2,000ml/分/cm2~10,000ml/分/cm2、より具体的には、約2,000ml/分/cm2~約15,000ml/分/cm2であってもよい。
デバイスの実施形態およびその構成要素は、金属、ポリマー、生物材料、ならびにその複合材料を含んでもよい。好適な金属は、ジルコニウムベースの合金、コバルト-クロム合金、ニッケル-チタン合金、白金、タンタル、ステンレス鋼、チタン、金、およびタングステンを含む。潜在的に好適なポリマーは、アクリル樹脂、絹、シリコーン、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリエステル(例えば、テレフタル酸ポリエチレンまたはPET)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリカーボネートポリウレタン(PCU)、およびポリウレタン(PU)を含むが、それらに限定されない。デバイスの実施形態は、身体によって分解するか、もしくは吸収または侵食される材料を含んでもよい。生体再吸収性(例えば、分解し、細胞、組織、または体内の他の機構によって吸収される)もしくは生体吸収性(生体再吸収性に類似)材料が使用されてもよい。代替として、生体侵食性(例えば、細胞活性または他の生理的分解機構によって、周囲組織液との接触によって経時的に侵食されるか、または分解する)、生体分解性(例えば、体内の酵素または加水分解作用、もしくは他の機構によって、経時的に分解する)、または溶解性材料が採用されてもよい。これらの用語のそれぞれは、交換可能であると解釈される。生体吸収性ポリマー。潜在的に好適な生体吸収性材料は、ポリ乳酸(PLA)、ポリ-L-ラクチド(PLLA)等のポリ(α-ヒドロキシ酸)、ポリ-D-ラクチド(PDLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリジオキサノン、ポリカプロラクトン、ポリグルコネート、ポリ乳酸-ポリエチレンオキシド共重合体、変性セルロース、コラーゲン、ポリ(ヒドロキシ酪酸)、ポリ酸無水物、ポリリン酸エステル、ポリ(アミノ酸)、または関連共重合体材料を含む。吸収性複合繊維は、約20%のポリカプロラクトン(PCL)を伴う上記共重合体の混合物から成るマトリクス材料を伴う、約18%グリコール酸および約82%乳酸の共重合体から作製される強化繊維を組み合わせることによって、作製されてもよい。
本明細書で議論される好適なデバイス10の実施形態のうちのいずれかにおいて、透過シェル構造40は、血管または他の脈管部位内でデバイスの固定化を促進するように、1つまたはそれを上回る固定化要素もしくは表面を含んでもよい。固定化要素は、フック、鉤部、突起、細孔、微細特徴、模様付け、生体接着剤、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。支持構造の実施形態は、複数部分が除去される金属の管から製造されてもよい。材料の除去は、レーザ、放電加工機(EDM)、光化学エッチング、および従来の機械技術によって成されてもよい。説明した実施形態のうちのいずれかにおいて、支持構造は、血管ステント製造の技術にある通り、複数のワイヤで構築され、1枚の材料から切られるか、またはエッチングされ、管から切られるか、またはエッチングされ、もしくはそれらの組み合わせであってもよい。
透過シェル40の実施形態は、少なくとも一部において、ワイヤ、リボン、または他のフィラメント要素14から形成されてもよい。これらのフィラメント状要素14は、円形、楕円形、卵形、正方形、長方形、または三角形の断面を有してもよい。透過シェル40の実施形態はまた、従来の機械加工、レーザ切断、放電加工機(EDM)、または光化学加工(PCM)を使用して形成されてもよい。金属からできている場合、これは金属管またはシート材料のいずれかから形成されてもよい。
本明細書で議論されるデバイスの実施形態10は、神経血管の進行決定および処置の技術において公知である種類のマイクロカテーテル61等のマイクロカテーテル61を含む、送達および位置決めシステム112から送達され、展開されてもよい。患者の血管系の処置のためのデバイスの実施形態10は、送達および展開のために、マイクロカテーテル61の内側管腔120等の管または他の半径方向の拘束によって、弾性的に折り畳まれ拘束されてもよい。マイクロカテーテル61は、概して、大腿動脈または上腕動脈等の末梢血管にアクセスする小切開152を通して挿入されてもよい。マイクロカテーテル61は、蛍光透視法下で、または他の好適な先導方法によって、ガイドワイヤ159上を、患者の身体156の外側の位置から所望の処置部位154へ送達されるか、または別様に進められてもよい。ガイドワイヤ159は、場合によっては、マイクロカテーテル61の内側管腔120を通して送達システム112の送達装置110に固定される、デバイス10の挿入を可能にするように、そのような手技の間に除去されてもよい。図17は、図18に示されるような血管欠陥160の処置を受ける患者158の概略図を図示する。アクセスシース162は、アクセスシース162内に配置されたマイクロカテーテル61および送達装置110を含む送達システム112を伴って、患者158の橈骨動脈164内または大腿動脈166内のいずれかに配置されて示されている。送達システム112は、患者の脳の中の血管欠陥160に隣接して、患者の脳の血管系の中へ遠位に延在して示されている。
血管欠陥160への経皮アクセスを達成するために、大腿動脈166、橈骨動脈164、および同等物等の動脈を含む、患者の種々の血管へのアクセスが確立されてもよい。概して、患者158は、手術のために準備され、アクセス動脈は、小さい外科的切開152を経由して露出され、管腔へのアクセスは、拡張器または一連の拡張器が、その上で血管を拡張し、導入シース162が血管の中に挿入されることを可能にするワイヤを配置するために導入針が使用される、Seldingerを使用して獲得される。これにより、デバイスを経皮的に使用することが可能となる。定位置にある導入シース162とともに、ガイドカテーテル168は、次いで、進入部位から処置される標的部位154近傍の領域までの、安全な通路を提供するために使用される。例えば、人間の脳の中の部位を処置する際には、大腿動脈の進入部位152から大動脈弓を通って心臓の周囲に延在する大動脈を通って上へ、および頸動脈170等の大動脈の上側から延在する動脈のうちの1つを通って下流へ延在し得る、ガイドカテーテル168が選択され得る。典型的には、ガイドワイヤ159および神経血管マイクロカテーテル61は、次いで、誘導カテーテル168を通して配置され、マイクロカテーテル61の遠位端151が動脈瘤等の標的血管欠陥160に隣接して、またはその中に配置されるまで、患者の血管系を通して前進させられる。神経血管使用のための例示的ガイドワイヤ159は、Boston Scientificによって製作されるSynchro2(登録商標)、およびMicroVention
Terumoによって製作されるGlidewire Gold Neuro(登録商標)を含む。典型的なガイドワイヤサイズは、0.014インチおよび0.018インチを含んでもよい。一旦、カテーテル61の遠位端151が、大抵、放射線性不透過性マーカー材料および蛍光透視法の使用を通して、その遠位端を設置することによって、上記部位に位置付けられると、カテーテルはクリアされる。例えば、ガイドワイヤ159は、マイクロカテーテル61を位置付けるために使用されている場合、カテーテル61から引き抜かれ、次いで、インプラント送達装置110がマイクロカテーテル61を通して前進させられる。
本明細書で議論されるデバイス10の実施形態の送達および展開は、図11に示されるように、半径方向に拘束された長手方向に柔軟な状態に、デバイス10を最初に圧縮することによって実行されてもよい。デバイス10は、次いで、マイクロカテーテル61内に配置されている間に、所望の処置部位154へ送達され、次いで、マイクロカテーテル61の遠位端151から駆出されるか、そうでなければ展開されてもよい。他の方法の実施形態では、マイクロカテーテル61は、最初に、ガイドワイヤ159上で、または他の好適な進行決定技術によって、所望の処置部位154へと進行させられてもよい。マイクロカテーテル61の遠位端は、マイクロカテーテル61の遠位ポートが、処置される血管欠陥160に向かって指向されるか、またはその内側に配置され、ガイドワイヤ159が引き抜かれるように位置付けられてもよい。好適な送達装置110に固定されるデバイス10は、次いで、半径方向に拘束され、マイクロカテーテル61の内側管腔120の近位部分の中へ挿入され、内側管腔120を通して血管欠陥160へと遠位に前進させられてもよい。
一旦、血管欠陥160内に配置されると、デバイス10は、次いで、血管欠陥160の一部分または血管欠陥160全体に及ぶか、もしくは一部に及ぶデバイスの透過シェル40を伴う、拡張した弛緩状態または部分的弛緩状態を成すことを許可されてもよい。デバイス10は、いくつかの実施形態に関して、一旦、マイクロカテーテル61の遠位区分から駆出されると拡張した展開構成を成すように、エネルギー源の印加によって起動されてもよい。一旦、デバイス10が所望の処置部位154で展開されると、次いで、マイクロカテーテル61が引き抜かれてもよい。
本明細書で議論される患者の血管系の処置のためのデバイス10のいくつかの実施形態は、特定の種類の患者の血管系の欠陥の処置を対象としてもよい。例えば、図18を参照すると、通常は末端動脈瘤と呼ばれる動脈瘤160が、断面で示されている。末端動脈瘤は、典型的には、矢印172によって示される供給血管からの血流が、相互から離れて指向された2つまたはそれを上回る分枝血管に分かれる、患者の血管系の中の分岐で発生する。脳底動脈等の供給血管174からの血液の主流は、時々、血管が分岐する場所で血管に衝突し、動脈瘤嚢を形成する。末端動脈瘤は、動脈瘤160のプロフィールが、名目血管プロフィールに隣接して狭くなる、明確に画定された頸部構造を有してもよいが、他の末端動脈瘤の実施形態は、あまり画定されていない頸部構造を有してもよく、または頸部構造がなくてもよい。図19は、名目血管区分の壁の一部が弱まり、名目血管の表面およびプロフィールから離れて膨張する嚢状構造の中に拡張する、典型的な漿果状動脈瘤160を断面で図示する。いくつかの漿果状動脈瘤は、図19に示されるように、明確に画定された頸部構造を有してもよいが、その他は、あまり画定されていない頸部構造を有してもよく、またはいずれの構造もなくてもよい。図19はまた、いくつかの随意的な手技を示し、ステント173または他の種類の支持部が、動脈瘤に隣接する親血管174の中に配置されている。また、マイクロカテーテル61を通して動脈瘤160の中へ配置されている、塞栓材料176が示されている。ステント173および閉塞材料176の一方または両方は、患者の血管系の処置のためのデバイス10の展開の前または後のいずれかに、そのように展開されてもよい。
患者の血管系の処置のためのデバイス10の送達および展開の前に、処置する医師が、処置結果を最適化するように、適切なサイズのデバイス10を選択することが望ましくあり得る。処置のいくつかの実施形態は、処置される血管部位または欠陥160の容量を推定するステップ、および血管部位または欠陥160の容量に対して、実質的に同一容量かもしくはわずかに大きいサイズの容量を伴う、デバイス10を選択するステップを含んでもよい。閉塞される血管欠陥160の容量は、選択された領域の容量を計算するソフトウェアとともに、3次元血管造影法または他の同様の撮像技術を使用して決定されてもよい。過剰サイズの量は、測定された容量の約2%~15%であってもよい。非常に不規則な形状の動脈瘤等のいくつかの実施形態では、デバイス10の容量を標準より小さくすることが望ましくあり得る。小葉または「娘動脈瘤」が容量から除外されてもよく、転帰に影響を及ぼすことなくデバイスによって部分的のみ充填され得る、切頂容量を画定する。そのような不規則形状の動脈瘤160内に展開されたデバイス10が、以下で議論される図28に示されている。そのような方法の実施形態はまた、血管欠陥160が、デバイスおよびその中に含まれる血液の組み合わせによって、容量的に実質的に充填されるように、デバイス10を埋め込むステップまたは展開するステップを含んでもよい。デバイス10は、血管欠陥容量の少なくとも約75%、場合によっては約80%が、デバイス10およびその中に含まれる血液の組み合わせによって閉塞されるように、不規則形状の血管欠陥160に適応するに十分従順であるように構成されてもよい。
具体的には、いくつかの処置実施形態に関して、デバイス10の展開後に、所望の順応度、半径方向力、および嵌合を達成するよう、横寸法が適正に過剰サイズであるデバイス10を選択することが望ましくあり得る。図20-22は、血管欠陥160の最大横寸法の少なくとも約10%、時には最大横寸法の最大約100%だけ横寸法が最初に過剰サイズにされる、展開後の適正な嵌合のために、デバイス10がどのように選択されてもよいかという概略図を図示する。いくつかの実施形態に関して、デバイス10は、血管欠陥160の幅、高さ、または頸部直径に対して測定された寸法との関連で、少量(例えば、約1.5mm未満)過剰サイズとされてもよい。
図20では、欠陥160のほぼ最大の内部寸法を示す水平矢印180および垂直矢印182を伴う、脳動脈瘤の形態の血管欠陥160が示されている。水平に延在する矢印180は、欠陥160の最大横寸法を示す。図21では、血管欠陥10の処置のためのデバイスの破線の輪郭184が、図20の血管欠陥160に重ね合わせられて示されており、横寸法が約20%過剰サイズとされるように選択されたデバイス10が、その拘束されていない弛緩状態でどのように見えるかを図示する。図22は、図21の破線184によって示されるデバイス10が、展開後にどのように血管欠陥160の内面に一致し得るかを図示し、それにより、弛緩した非拘束状態にあるデバイス10の名目の横寸法は、血管欠陥160によってデバイス10に及ぼされた内側半径方向力185によってわずかに拘束されている。それに応じて、デバイス10のフィラメント14、従って、それからできている透過シェル40が一定の長さを有するため、デバイス10は、図22の下向きの矢印186によって示されるように、伸長し、欠陥160の内部容量をより良好に充填するよう、デバイス10の軸または長手軸においてわずかに伸長形状を成している。
適切なサイズのデバイス10が選択されると、次いで、送達および展開プロセスが進行してもよい。また、本明細書で議論されるデバイス10の実施形態および送達システム112の実施形態の特性は、概して、欠陥160の中への初期展開後であるが、デバイス10の着脱前に、デバイス10の後退を可能にすることも留意されたい。従って、た障害160欠陥160内に嵌合した後に、異なるサイズのデバイス10が好ましいと評価され、最初に展開されたデバイス10を引き抜くか、または回収することも可能であって、望ましくあり得る。末端動脈瘤160の例が、断面で図23に示されている。マイクロカテーテル61等のカテーテルの先端151は、図24に示されるように、血管部位または欠陥160(例えば、動脈瘤)の中へ、もしくはそれに隣接して前進させられてもよい。いくつかの実施形態に関して、塞栓コイルまたは他の血管閉塞性デバイスもしくは材料176(例えば、図19に示されるような)が、随意に、デバイス10を受容するための枠組を提供するように動脈瘤160内に配置されてもよい。加えて、ステント173が、本明細書で議論される患者の血管系の処置のためのデバイス(例えば、同様に図19に示されるような)の送達前または送達中に、動脈瘤頸部を実質的に横断して、いくつかの動脈瘤の親血管174内に配置されてもよい。約0.020インチ~約0.022インチの内側管腔直径を有する、好適なマイクロカテーテル61の例は、Cordis Corporationによって製造されるRapid Transit(登録商標)である。いくつかの好適なマイクロカテーテル61の例は、Ev3 CompanyのReber(登録商標)、Boston Scientific CorporationのRenegade Hi-Flow(登録商標)、およびCordis CorporationのMass Transit(登録商標)等の、約0.026インチ~約0.028インチの内側管腔直径を有するマイクロカテーテルを含んでもよい。約0.031インチ~約0.033インチの内側管腔直径を有する好適なマイクロカテーテルは、Chestnut Medical Technologies,Inc.のMarksmen(登録商標)、およびBait ExtrusionのVasco(登録商標)を含んでもよい。約0.039インチ~約0.041インチの内側管腔直径を有する、好適なマイクロカテーテル61は、Balt ExtrusionのVasco35を含む。これらのマイクロカテーテル61は、例示的実施形態としてのみ挙げられており、他の好適なマイクロカテーテルもまた、本明細書で議論される実施形態のうちのいずれかとともに使用されてもよい。
送達装置110からのデバイス10の着脱は、デバイス10の近位ハブ68を送達装置110に固定するテザー72を切断する、同様にエネルギー源142に連結されてもよい、送達システム112の近位端に配置される制御スイッチ188によって制御されてもよい。図11に示されるように、マイクロカテーテル61または他の好適な送達システム112内に配置されている間、透過シェル40のフィラメント14は、相互およびカテーテル61の長手軸と実質的に平行な伸長非反転構成を成してもよい。一旦、デバイス10がマイクロカテーテル61の遠位ポートから押し出されるか、または半径方向拘束が別様に除去されると、次いで、フィラメント14の遠位端62が、図25に示されるように、血管欠陥160内で球状反転構成を成すよう、相互に向かって軸方向に接触してもよい。
デバイス10は、カテーテル管腔120が、送達中にデバイス10の半径方向の拡張を拘束するように、マイクロカテーテル61を通して挿入されてもよい。一旦、送達システム112の遠位先端または展開ポートが、血管欠陥160に隣接するか、もしくは血管欠陥160内の望ましい場所に位置付けられると、デバイス10は、カテーテル61の遠位端の外へ展開されてもよく、従って、デバイスが、図25に示されるように半径方向に拡張し始めることを可能にする。デバイス10が送達システム112の遠位端から出現すると、デバイス10は、血管欠陥160内で拡張状態まで拡張するが、血管欠陥160の内面によって少なくとも部分的に拘束されてもよい。
完全展開時に、デバイス10の半径方向の拡張は、図26に示されるように、血管欠陥160に隣接する患者の血管系の流れ、圧力、または両方から血管欠陥160を少なくとも部分的に隔離するように、デバイス10を血管欠陥160内で固定し、また、開口部190(例えば、動脈瘤頸部)の少なくとも一部分を横断して透過シェル40を展開する働きをしてもよい。特に頸部領域190の中でのデバイス10の一致は、向上した密封を提供してもよい。いくつかの実施形態に関して、一旦、展開されると、透過シェル40は、流体の流れを大幅に減速し、血管部位の中への流れを妨げ、従って、血管欠陥160内の圧力を低減してもよい。いくつかの実施形態に関して、デバイス10は、実質的に血管欠陥160内に埋め込まれてもよいが、いくつかの実施形態では、デバイス10の一部分が、欠陥の開口部または頸部190の中へ、もしくは血管枝の中へ延在してもよい。
行われた1つの例示的ケーススタディは、動脈瘤が対象のイヌで外科的に作成された、雌イヌに行われた手技を含む。処置前の標的動脈瘤には、約8mmの最大横寸法、約10mmの長さ、および約5.6mmの頸部測定値があった。展開されたデバイス10は、弛緩した拡張状態で、約10mmの横寸法および約7mmの長手方向長さを有する球状構造に編組された、約0.0015インチの横径を有する144本の弾性フィラメントで形成された透過シェル40を含んだ。拡張し展開された透過シェル40の細孔64の最大サイズ100は、約0.013インチであった。デバイスは、Boston Scientificによって作製された5Fr.Guider Softip XFガイドカテーテルを使用して、標的動脈瘤へ送達された。再度、動脈瘤の頸部に及んだ、拡張し展開された透過シェル40の部分の細孔64の最大サイズ100は、約0.013インチであった。送達システムから着脱して5分後には、デバイス10は、動脈瘤の急性閉塞を生成していた。
行われた別の例示的ケーススタディは、ニュージーランド白ウサギでの外科的に作成された動脈瘤の処置を伴った。処置前の標的動脈瘤には、約3.6mmの最大横寸法、約5.8mmの長さ、および約3.4mmの頸部測定値があった。展開されたデバイス10は、弛緩した拡張状態で、約4mmの横寸法および約5mmの長手方向長さを有する球状構造に編組された、約0.001インチの横径を有する144本の弾性フィラメントで形成された透過シェルを含んだ。血管欠陥の頸部に及ぶように構成された、拡張し展開された透過シェル40の編組メッシュの部分の細孔サイズ100は、約0.005インチであった。デバイスは、Cordis Neurovascularによって製造された5Fr.Envoy(登録商標) STRガイドカテーテルを用いて、外科的に作成された動脈瘤へ送達された。次いで、約0.027インチの内側管腔直径を有する、Boston Scientificによって製造されたRenegade Hi-Flowマイクロカテーテルが、ガイドカテーテルを通して挿入され、送達装置の遠位端に固定されたデバイス10を送達するための導管としての機能を果たした。デバイス10が血管欠陥160内に展開されると、血管欠陥160は、埋め込みから5分で少なくとも部分的な閉塞を達成した。しかしながら、血管造影注入および測定に対する対象動物の感度のため、手技中にさらなるデータは取られなかった。完全な閉塞は、手技から3週間後に調べたときに、デバイスに対して観察された。
いくつかの実施形態に関して、上記で議論されるように、デバイス10は、展開中または後であるが着脱前に、デバイス10を血管部位もしくは欠陥160内に位置決めするように、ユーザによって操作されてもよい。いくつかの実施形態に関して、デバイス10は、デバイス10の展開前または展開の間に、デバイス10の所望の位置、より具体的には、透過シェル40の所望の位置を達成するために、回転させられてもよい。いくつかの実施形態に関して、デバイス10は、送達に使用されている送達カテーテルの中間部分に沿って示されているトルクの伝達または発現を伴って、もしくは伴わずに、送達システム112の長手軸の周囲で回転させられてもよい。状況によっては、送達システム112の送達装置110からのデバイス10の着脱前に血管欠陥160の急性閉塞が発生したかどうかを判定することが望ましくあり得る。これらの送達および展開方法は、漿果状動脈瘤、末端動脈瘤、または任意の他の好適な血管欠陥実施形態160内での展開に使用されてもよい。いくつかの方法の実施形態は、デバイス10の透過シェル40が末端動脈瘤の頸部を実質的に覆うように、分岐部を形成する患者の血管系の3本の血管の合流点でデバイス10を展開するステップを含む。医師がデバイス10の展開、サイズおよび位置に満足すると、次いで、デバイス10は、上記で説明され、図26に示される方法による制御スイッチ188の作動によって、着脱されてもよい。その後、デバイス10は、その処置をもたらすように、血管欠陥160内で埋め込まれた状態となる。
図27は、患者の血管欠陥160の中の展開されて埋め込まれたデバイスの別の構成を図示する。図26に示される埋め込み構成が、これによってデバイス10の長手軸46が、欠陥160の長手軸と実質的に整合される構成を示す一方で、他の好適で臨床上効果的な埋め込みの実施形態が使用されてもよい。例えば、図27は、これによって埋め込まれたデバイス10の長手軸46が、標的血管欠陥160の長手軸に対して約10度~約90度の角度で傾く、埋め込みの実施形態を示す。そのような代替的な埋め込み構成は、場合によっては、血管欠陥160の急性閉塞、および処置された血管欠陥に隣接する正常血流の修復を伴う所望の臨床転帰を達成するのに有用であり得る。図28は、不規則形状の血管欠陥160に埋め込まれたデバイス10を図示する。示される動脈瘤160は、主要動脈瘤の空洞から延在する、少なくとも2つの明確に異なる葉部192を示す。示される2つの葉部192は、展開された血管デバイス10によっては未充填であるが、葉部192は、依然として、動脈瘤頸部部分190の閉塞のため、患者の身体の親血管から隔離されている。
デバイス10または送達システム112上の、放射線不透過性マーカー等のマーカーは、展開中にデバイスまたは送達システムの位置決めを促進するように、外部画像機器(例えば、X線)と連動して使用されてもよい。デバイスが適切に位置付けられると、デバイス10はユーザによって着脱されてもよい。いくつかの実施形態に関して、送達システム112の送達装置110からのデバイス10の着脱は、デバイス10と送達装置110との間の接合または解放機構へのエネルギー(例えば、熱、無線周波数、超音波、振動、またはレーザ)の送達の影響を受けてもよい。一旦、デバイス10が着脱されると、送達システム112は、患者の血管系または患者の身体158から引き抜かれてもよい。いくつかの実施形態に関して、ステント173は、図示のために図19に図示されるように、デバイス10の送達後に、動脈瘤頸部190を実質的に横断して親血管内に配置されてもよい。
いくつかの実施形態に関して、生物学的活性剤または受動処置剤が、デバイス10の応答性材料構成要素から放出されてもよい。薬剤放出は、身体の環境パラメータのうちの1つまたはそれを上回るものの影響を受けてもよく、もしくはエネルギーが(内部または外部源から)デバイス10に送達されてもよい。止血が血管欠陥160の隔離の結果として血管欠陥160内で発生してもよく、最終的に、血栓物質およびデバイス10の組み合わせによって、凝固および血管欠陥160の大幅な閉塞につながる。いくつかの実施形態に関して、血管欠陥160内の血栓症は、デバイス10から放出される薬剤、および/または患者に送達される薬物もしくは他の治療剤によって促進されてもよい。
いくつかの実施形態に関して、一旦、デバイス10が展開されると、透過シェル40への血小板の付着は阻害されてもよく、血管欠陥160、デバイス、または両方の内部空間内での血塊の形成は、フィラメント14またはハブ66および68の外面を含む、いくつかの実施形態に関するデバイス10の任意の部分に配置され得る、血栓形成コーティング、抗血栓性コーティング、または任意の他の好適なコーティング(図示せず)という好適な選択で助長もしくは別様に促進されてもよい。そのような1つまたは複数の被覆は、透過シェル40の任意の好適な部分に適用されてもよい。エネルギー形態もまた、いくつかの実施形態に関して、血管欠陥160に隣接するデバイス10の固定および/または治癒を促進するように、送達装置110および/または別個のカテーテルを通して適用される。1つまたはそれを上回る塞栓デバイスもしくは塞栓材料176もまた、随意に、デバイス10が展開された後に、血管欠陥160の頸部または開口部190に及ぶ、透過シェル部分に隣接する血管欠陥160の中へ送達されてもよい。いくつかの実施形態に関して、ステントまたはステント様支持デバイス173は、血管欠陥処置デバイス10の展開前または後に、血管欠陥160に渡って及ぶように、欠陥160に隣接する親血管の中に埋め込まれるか、または展開されてもよい。
上記の実施形態のうちのいずれかでは、デバイス10は、典型的なマイクロカテーテル61の中へ容易に回収可能または後退可能となるよう、十分な半径方向伸展性を有してもよい。デバイス10の近位部分、またはいくつかの実施形態に関して全体としてのデバイスは、約2.7ニュートン(0.6lbf)の力未満の後退力を使用して、デバイス10が約0.7mm未満の内径を有する管の中へ後退可能であるように、低減した直径のフィラメント、先細のフィラメント、または半径方向弯曲のために配向されるフィラメントの使用によって、設計または修正されてもよい。マイクロカテーテル61の中へデバイス10を回収する力は、約0.8ニュートン(0.18lbf)~約2.25ニュートン(0.5lbf)であってもよい。
血管欠陥160の内面の組織と透過シェル40の係合は、拡張した弛緩状態にあるときに、図29に示されるように、患者の血管欠陥160の空洞の内面の組織に対する外方への半径方向力の行使によって、達成されてもよい。同様の外方への半径方向力はまた、透過シェル40を血管欠陥160の内面または隣接組織と係合させるよう、デバイス10の近位端部分および透過シェル40によって印加されてもよい。そのような力がいくつかの実施形態で及ぼされてもよく、弛緩した非拘束状態にある透過シェル40の名目外側横寸法または直径は、その内側でデバイス10が展開されている血管欠陥160の名目内側横寸法よりも大きく、すなわち、上記で議論されるように過剰サイズとされている。透過シェル40およびそのフィラメント14の弾性復元力は、ニッケル-チタン合金、またはいくつかの実施形態に関しては任意の他の好適な材料を含む、超弾性合金等の材料の適切な選択によって、達成されてもよい。デバイス10の透過シェル40の近位部分の一致能力は、図20-22に示されるように、近位部分が容易に楕円形になって動脈瘤頸部190の形状およびサイズに適応するようなものであってもよく、従って、デバイスの周囲の流れに対する良好な密封および障壁を提供する。このように、デバイス10は、親血管の中へ突出する固定化部材を必要とすることなく、デバイスの周囲の流れを実質的に妨害して、良好な密封を達成してもよい。
いくつかの埋め込みデバイス10の実施形態は、端部に隣接して均一に配置されるフィラメントの尖部によって形成される平面を伴って、またはまさにその平面内に配置される、透過シェル40のフィラメント14の端部を有する。デバイス10のいくつかの実施形態はまた、透過シェル40の周辺ゾーン198または他の好適な部分内、もしくはその周辺に配置される密封部材を含んでもよく、流れの途絶、線維性組織反応を促進するか、または透過シェル40と患者の血管系の表面との間の密封を物理的に形成するように構成されてもよい。密封部材は、本明細書で説明されるように、コーティング、繊維、または表面処理を含んでもよい。密閉部材は、図29および30に示されるように、デバイスが動脈瘤頸部近傍の動脈瘤の壁(密閉ゾーン198)に接触する場所に隣接する、デバイスの周囲の領域の一部または全体の中にあってもよい。ゾーンは、拡張したデバイス10の高さの最大約20%の距離にわたって、外側近位端半径88の尖部の周囲から延在してもよい。密閉ゾーン198は、デバイス10の表面積の約5%~30%を含んでもよい。動脈瘤160の中への血流は、概して、開口部の片側を支持するため、密封部材は、図30に示されるように、周辺領域(密封ゾーン198)の全体を通して透過シェル40の構造に組み込まれるか、または取り付けられてもよい。密閉部材のいくつかの実施形態は、膨潤性ポリマーを含んでもよい。いくつかの実施形態では、密封部材は、生物材料、または生分解性、生体再吸収性、もしくは他の生物活性ポリマー、もしくはその共重合体等の、生物活性材料または生物活性剤を含んでもよい。
本明細書で議論される患者の血管系の処置のためのデバイス10、そのようなデバイス10のための送達システム112、または両方の任意の実施形態は、デバイス10の固定化、デバイスに隣接する組織の治癒、または両方を促進する目的で、埋め込み部位で患者の血管系の処置のためのデバイスまたはデバイス10を囲む組織にエネルギーを送達するように適合されてもよい。いくつかの実施形態では、エネルギーは、デバイス10が加熱されるように、送達システム112を通して患者の血管系の処置のためのデバイス10へ送達されてもよい。いくつかの実施形態では、エネルギーは、別個の伸長器具(例えば、カテーテル、図示せず)を介して、患者の血管系の処置のためのデバイス10および/またはインプラント154の部位にある周囲組織へ送達されてもよい。送達されてもよいエネルギー実施形態の実施例は、光エネルギー、熱または振動エネルギー、電磁エネルギー、無線周波数エネルギー、および超音波エネルギーを含むが、それらに限定されない。いくつかの実施形態に関して、デバイス10へ送達されるエネルギーは、患者の組織への患者の血管系の処置のためのデバイス10の固定化、そのようなデバイス10に隣接して配置される組織の治癒、または両方を推進するように、化学剤もしくは生物剤の放出を誘発してもよい。
いくつかのデバイス10の実施形態の透過シェル40はまた、機械または構造上の特徴の変化をもたらすか、薬剤または他の生物活性剤を送達するか、もしくは周囲組織へ熱を伝達するように、エネルギーの送達に反応するように構成されてもよい。例えば、いくつかのデバイス10の実施形態は、電磁エネルギー(例えば、熱、光、または高周波エネルギー)に暴露されたときに特性を変化させる材料の使用から、より軟質または剛性になってもよい。場合によっては、透過シェル40は、拡張によって生理学的流体に応じて反応するポリマーを含んでもよい。例示的材料は、その全体で参照することにより本明細書に組み込まれる、「Aneurysm Treatment Device and Method of Use」と題された、2004年1月22日に出願された米国特許公開第2004/0186562号でCoxによって説明されている。
本明細書で議論されるデバイス10の実施形態およびその構成要素は、特異的または概して望ましい臨床上の結果を達成するように、多種多様の構成を呈してもよい。いくつかのデバイス10の実施形態では、透過シェル40の編組構造の開始は、フィラメント1が、図31のデバイスの近位端面図に示されるように、スポーク様の半径方向の様式で近位ハブ68から出るように、近位ハブ68から遅延されてもよい。図31の編組パターンの扁平な類似版もまた、図33に示されている。この構成は、完全編組構成に対して近位ハブ68から所定の半径方向距離にある、フィラメント14間のより小さい幅の間隙をもたらしてもよく、その扁平な類似版は図34に示されている。これは、より良好な流れの途絶を提供し、最高流速を受けてもよいデバイス10の領域中での止血を助長してもよい。図32は、参考のために、非編組フィラメント構造の扁平な類似表現を図示する。
織物構造は、フィラメント14の織物または編組が図35の扁平パターンの類似パターンに示されるように中断される、一部分を含んでもよい。中断領域中で、フィラメント14は、相互に実質的に平行であってもよい。中断領域は、半径方向剛性および/または伸展性等の異なる機械的特性を伴う領域を提供してもよい。さらに、中断領域は、本明細書で議論されるような非構造性繊維または密封部材200、もしくは固定化、治癒、線維症、または血栓を促進する他の要素の追加を可能にしてもよい。中断領域は、図29および30に示されるように、密閉部材ゾーン198内にあってもよく、その一部であってもよく、またはそれに隣接してもよい。中断領域は、表面領域の約50%未満であってもよく、表面領域の約5%~25%であってもよい。
いくつかの実施形態では、透過シェル構造40を通る血流への抵抗を増加させるように、実質的に非構造性であってもよい、フィラメント状または繊維状部材が、透過シェルの一部分の構造性フィラメントの中へ取り付けられるか、または織り合わせられてもよい。いくつかの実施形態では、複数の繊維200が、図36に示されるように、近位ハブ68の近傍の透過シェル40の内面上に取り付けられてもよい。繊維状部材200は、いくつかの実施形態に関する着脱システムのテザーを形成する、繊維であってもよい。いくつかの実施形態では、1つまたはそれを上回る繊維200が、図37に示されるように、透過シェルフィラメント14の中へ織り合わせられてもよい。超極細繊維または任意の他の好適な繊維であってもよい、非構造性繊維200は、ポリマーであってもよい。非構造性繊維200は、本明細書で議論されるか、または組み込まれる繊維もしくは超極細繊維のうちのいずれかを含んでもよいが、それらに限定されるものでない。
場合によっては、患者の血管系の処置のためのデバイス10の実施形態は、概して、フィラメント状要素14を伴う実質的に管状の編組構造を編組し、編組管状構造を所望の形状に形成し、編組形成フィラメントを所望の形状に熱硬化することによって、製造されてもよい。そのように形成されると、次いで、伸長弾性フィラメント14の端部は、上記で議論される方法のうちのいずれか、ならびに追加される近位および遠位ハブ66ならびに68によって、相互に対してともに固定されてもよい。
そのような編組プロセスは、自動機械製造によって実行されてもよく、または手動で行われてもよい。手動プロセスによる管状編組構造の編組のためのプロセスの実施形態は、図38に示されている。複数の伸長弾性フィラメント14は、拘束バンド204によって伸長円筒形の編組マンドレル202の一端で固定される。バンド204は、接着テープのバンド、ゴムバンド、環状クランプ、または同等物等の、マンドレル202に対してフィラメント14の端部を固定した、任意の好適な構造を含んでもよい。固定された端部の反対側にあるフィラメント14の緩い端部は、編組管状部材208の生成のための1本ずつ上下交互の編組パターンを達成するように、矢印206によって示されるような編組または織物パターンで操作されている。上記で議論されるように、1本ずつ上下交互の単純な編組パターンが示され、議論されているが、他の編組または織物パターンも使用されてもよい。別の編組構成の1つのそのような実施例は、2本が上で1本が下であるパターンを含んでもよい。図39は、図39の矢印206によって示されるように、編組プロセスが継続するにつれて、形状を成して長くなる、編組管状部材208を図示する。編組管状部材208が十分な長さを達成すると、編組マンドレル202から除去され、図40および41に示される成形固定具の実施形態等の成形固定具内に位置付けられてもよい。
図40は、内部ボールマンドレル212の中央管腔および一対の対向陥凹端形部成端部形成マンドレル214を通って延在する内部桿マンドレル210上に配置された管状編組部材208とを示す。管状編組部材208はまた、内部ボールマンドレル212の外側表面上に、および端部形成マンドレル214のそれぞれの内側管腔内でも配置される。その陥凹端216を含んで、内部ボールマンドレル212の外側表面輪郭上に編組管状部材208を保持するために、編組管状部材208の内側表面が内部ボールマンドレル212の外側輪郭に対して保持され、定位置で固定されるように、端部形成マンドレル214は、内部ボールマンドレル212の陥凹端216に押し付けられ、かつそれに押し込まれるように構成される。内部ボールマンドレル212の外側表面に対して保持される編組管状構造208の内側表面を伴うこの固定具220全体は、次いで、編組管状部材208の弾性フィラメント14が、中央ボールマンドレル212の外側輪郭を成すか、または別様に外側輪郭へと形状設定されるように、適切な熱処理を受けてもよい。いくつかの実施形態では、透過シェル40のフィラメント状要素14は、所望の形状で透過シェル40を保持するように構成される固定具によって保持され、構造を形状設定するように約5~10分にわたって約475~525℃まで加熱されてもよい。
中央ボールマンドレル212は、上記図3-6のデバイス10の球状構成、または任意の他の好適な構成等の所望の形状およびサイズを有する、透過シェル40を形成する、形状設定管状編組部材208を生成するよう、任意の所望の形状を有するように構成されてもよい。従って、中央ボールマンドレル212は、管状編組208の内側に配置されるハブ66および68の対向する側に陥凹を伴う球状のボールであってもよい。所望のデバイス形状を伴う空洞を形成するように組み立てられる、1つまたはそれを上回る部品を有する1つもしくは複数の金型が、端部形成マンドレル214と併せて、またはその代わりに使用されてもよい。一旦、熱硬化プロセスが完了すると、繊維、コーティング、表面処理が、結果として生じる透過シェル40の構造のあるフィラメント、フィラメントの複数部分、またはその全てに加えられてもよい。さらに、デバイス処理のいくつかの実施形態に関して、透過シェル40は、伸長フィラメント状要素14の近位端60および遠位端62、またはそれぞれの近位ならびに遠位ハブ66および68を固定することによって、上記で議論されるように形成されてもよい。
図41は、患者の血管系の処置のためのデバイスの透過シェル40を形状設定するための固定具の別の実施形態を示す。図41の固定具の実施形態230は、中央ボールマンドレル212の代わりに、内部管マンドレル232が、熱硬化プロセス中に編組管状部材208の形状を保つために外部管拘束具234と併せて使用される以外は、図40の固定具の実施形態220と本質的に同じ様式で使用されてもよい。より具体的には、管状編組部材208は、内部管マンドレル232および一対の対向陥する凹端部形成マンドレル214の中央管腔を通って延在する内部桿マンドレル210上に配置される。管状編組部材208はまた、内部管マンドレル232の外面状に、および端部形成マンドレル214のそれぞれの内側管腔内でも配置される。
その陥凹端を含む、編組管状部材208を所望の形状に保つために、編組管状部材208の内側表面が内部管マンドレル232の外側輪郭に対して保持され、管マンドレル232の端部において定位置で固定されるように、端部形成マンドレル214は、内部管マンドレル232の陥凹端238に押し付けられ、かつそれに押し込まれるように構成される。管マンドレル232の端部の間で、編組管状部材208は、外部管マンドレル234の内側表面に触れ、それによって半径方向に拘束されるまで、半径方向外向きに拡張する。その近位端および遠位端の間に配置される編組管状部材208の外側表面上の内側半径方向拘束と併せた、内部管マンドレル232の端部における編組管状部材208の軸方向拘束および固定の組み合わせは、デバイス10の透過シェル40に好適な所望の球状構成を生成するように構成されてもよい。
ここで再び、内部管マンドレル232の端部の外側表面に対して保持される編組管状構造208の端部の内側表面、および外部管部材234の内側表面233によって半径方向に拘束される編組管状部材208の外側表面を伴うこの固定具230全体は、次いで、適切な熱処理に供されてもよい。熱処理は、編組管状部材208の弾性フィラメント14が、固定具230によって生成されるフィラメント14の球状輪郭を成すか、もしくはそれに形状設定されるように、構成されてもよい。いくつかの実施形態では、透過シェル40のフィラメント状要素14は、所望の形状で編組管状部材208を保つように構成される固定具によって保持され、構造を形状設定するように約5~10分にわたって約475~525℃まで加熱されてもよい。内部管マンドレル232および外部管部材234の内側表面233は、上記の図3-6のデバイスの球状構成、または任意の他の好適な構成等の所望の形状およびサイズを有する、透過シェル40を形成する、形状設定環状編組部材208を生成するよう、任意の所望の形状を有するように構成されてもよい。
いくつかの実施形態に関して、材料が、フィラメント14間の開窓、セル、または細孔64のサイズを実質的に低減し、従って、その領域の空隙率を低減するように、デバイス10の透過シェル40のフィラメント14に取り付けられてもよい。例えば、コーティングの実施形態は、小さい開窓またはセル、従って、透過シェル40のより高い密度を生成するように、フィラメント14の複数部分上で配置されてもよい。応答性ヒドロゲル等の活性材料が、液体と接触すると経時的に膨潤し、透過シェル40の空隙率を低減するように、いくつかの実施形態の透過シェル40の中へ取り付けられるか、もしくは組み込まれてもよい。
本明細書で議論されるデバイス10の実施形態は、その性能、固定化、および/または生体適合性を強化する種々のポリマーでコーティングされてもよい。加えて、デバイス10の実施形態は、ポリマー、金属、生物材料、およびそれらの複合材料を含むが、それらに限定されない、インプラントデバイスの分野で公知である種々の生体材料からできていてもよい。本明細書で議論されるデバイスの実施形態は、治癒を助長する細胞および/または他の生物材料を含んでもよい。本明細書で議論されるデバイスの実施形態はまた、1つまたはそれを上回る有益な薬剤、他の生物活性物質、もしくはその両方の、血液または周囲組織の中への溶出もしくは送達を提供するように構築されてもよい。
患者の血管系の処置のためのデバイス10の透過シェル40の実施形態は、複数の層を含んでもよい。第1のまたは外層は、血小板の凝集もしくは付着、従って、血塊および血栓を形成する傾向を最小限にするように、生物活性ならびに血液適合性の低い材料から構築されてもよい。随意に、外層は、コーティングされてもよく、または、ヘパリン等の抗血栓性剤、もしくは本明細書で説明されるか、または当技術分野で公知である他の抗血栓性剤を組み込んでもよい。第1の層に対して展開状態で血管欠陥に向かって配置される1つまたはそれを上回る内層は、より優れた生物活性を有し、および/または凝血を助長し、従って血管欠陥内の血塊およびデバイスの閉塞質量の形成を強化する、材料から構築されてもよい。生物活性を有し、および/または凝血を助長することが示されている、いくつかの材料は、絹、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、コラーゲン、アルギン酸、フィブリン、フィブリノゲン、フィブロネクチン、メチルセルロース、ゼラチン、小腸粘膜下組織(SIS)、ポリ-N-アセチルグルコサミン、およびそれらの共重合体または複合材料を含む。
本明細書で議論される実施形態で使用するために好適な生物活性剤は、体内で特定の作用を有するものだけでなく、非特異的作用を有するものも含んでもよい。特定の作用薬剤は、典型的には、血栓形成型および/またはコラーゲン、トロンビン、およびフィブロゲン(それぞれが、活性および費用の最適な組み合わせを提供してもよい)の形態だけでなく、エラスチンおよびvon Willebrand因子(より活性の低いおよび/またはより安価な薬剤である傾向にあってもよい)、ならびにこれらの薬剤のそれぞれの活性部分および領域を含む、タンパク質である。血管形成タンパク質は、典型的には、最終的に血塊形成へと至る事象のカスケードに関与する、血小板または酵素のいずれかとの特異的相互作用を用いて作用する。非特異的血栓形成作用を有する薬剤は、概して、正電荷を持つ分子、例えば、キトサン、ポリリジン、ポリ(エチレンイミン)、または1級、2級、または3級アミン、もしくは第4塩の形態の正電荷を持つ基を組み込むアクリミドまたはメタクリルアミドから重合したアクリル等の重合体分子、もしくは(トリドデシルメチルアンモニウムクロライド)等の非重合体薬剤である。正電荷を持つ止血薬は、血小板の表面上の負電荷と薬剤自身の正電荷との間のイオン相互作用を介した血小板の物理吸着を含む、非特異的機構によって血塊形成を助長する。
本明細書のデバイス10の実施形態は、血栓、凝血、治癒、または他の塞栓形成性能の手法を助長もしくは阻害する、一部分、側面、または全表面上の表面処理もしくはコーティングを含んでもよい。表面処理またはコーティングは、合成的、生物的、もしくはそれらの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態に関して、透過シェル40の内面の少なくとも一部分は、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、またはそれらの共重合体等の生分解性または生体再吸収性材料から作製される、表面処理もしくはコーティングを有してもよい。デバイスの塞栓形成性能を強化し得る、別の表面処理またはコーティング材料は、アルギン酸ベースの材料等の多糖類を含む。いくつかのコーティングの実施形態は、ECMタンパク質等の細胞外マトリックスタンパク質を含んでもよい。そのようなコーティングの一例は、Surmodics Inc.(Eden Prairie,MN.)から市販されているFinaleTM Prohealingコーティングであってもよい。別の例示的なコーティングは、CeloNovo BioSciences,Inc.(Newnan,GA)から市販されているPolyzene-Fであってもよい。いくつかの実施形態では、コーティングは、フィラメント14の横寸法の約25%未満の厚さで塗布されてもよい。
抗血小板剤は、アスピリン、糖タンパク質IIb/IIIa受容体阻害剤(アブシキシマブ、エプチフィバチド、チロフィバン、ラミフィバン、フラダフィバン、クロマフィバン、トキシフィバン、XV454、レフラダフィバン、クレルバル、ロトラフィバン、オルボフィバン、およびゼミロフィバンを含む)、ジピリダモール、アポ-ジピリダモール、ペルサンチン、プロスタサイクリン、チクロピジン、クロピドグレル、クロマフィバン、シロスタゾール、および一酸化窒素を含んでもよい。一酸化窒素を送達するために、デバイスの実施形態は、一酸化窒素を放出するポリマーを含んでもよい。デバイス10の実施形態はまた、ヘパリン、低分子量ヘパリン、ヒルジン、ワルファリン、ビバリルジン、ヒルジン、アルガトロバン、フォルスコリン、キシメラガトラン、バピプロスト、プロスタサイクリンおよびプロスタサイクリン類似体、デキストラン、合成抗トロンビン、Vasoflux、アルガトロバン、エフェガトラン、ダニ抗凝固ペプチド、Ppack、HMG-CoA還元酵素阻害剤、ならびにトロンボキサンA2受容体阻害剤等の、抗凝血剤を送達するか、または含んでもよい。
いくつかの実施形態では、デバイス10の透過シェル40は、ナノスケール構造の材料またはその前駆物質(例えば、自己集合性ペプチド)を含み得る組成物でコーティングされてもよい。ペプチドは、ペプチドが生理条件下で自己集合することを可能にする、交互する親水性および疎水性モノマーを有してもよい。組成物は、一連のアミノ酸残基を含んでもよい。いくつかの実施形態では、透過シェルは、薄い金属膜材料を含んでもよい。薄膜金属は、スパッタ蒸着によって製造されてもよく、複数の層に形成されてもよい。薄膜は、ニチノールとしても知られるニッケル-チタン合金であってもよい。
場合によっては、嚢状動脈瘤は、図42に示されるような血液の略循環的流体力学302を有してもよい。シェルが、動脈瘤300の中への血流を減速する一方で、血栓症および塞栓が内部多孔質構造によってさらに増進されてもよい。具体的には、循環的流れ302、特に、最高速度領域が、1つまたはそれを上回る多孔質層を通過することを強いられるように形成される構造は、相乗的処置効果を有し、急速な血栓症を助長し得る。
いくつかの実施形態では、内層(または構造)310の遠位端308は、図43に示されるような接続またはハブ304で終端してもよい。内部構造310の内部終端を用いると、長さの合致および座屈の潜在的な問題が、外層312に影響を及ぼすことなく、または最小限に影響を及ぼして、内層310の折り畳む能力により、最小限にされ得る。いくつかの実施形態では、内層または構造310の折り畳んだ長さは、外層または構造312の折り畳んだ長さの約80%未満であってもよい。近位ハブ314もまた、外層312の近位端316および内層310の近位端318を終端させるために示されている。
その特徴が図44に示される、いくつかの実施形態では、外部構造320は、切頂球体または略ハート状の断面形状を有してもよい。近位部分322は、略凸状または半円形であってもよい。これらの特徴は、図45に示されるように、デバイスが、動脈瘤の軸326に対する角度をなす配向で脳動脈瘤等の嚢状血管部位の中へ配置されることを可能にする。半円形の近位表面は、デバイス軸324の角度形成に関係なく、親血管に比較的一定の形状を提示する。
いくつかの実施形態では、内部構造は、内部構造328の容積の少なくとも約80%が、外部構造またはシェル容積の下半分もしくはより近位の半分内に含まれるように、形成されてもよい。いくつかの実施形態に関して、内部構造のメッシュ密度は、外部シェルまたは構造のメッシュ構造の密度より高くてもよい。いくつかの実施形態では、内部構造は、実質的に、図46に示されるような外部シェルの内部容積の近位または下80%330内に含まれてもよい。
内部構造328は、シェルの形成に使用される技法と同様である、本明細書で説明される編組、製織、または他のフィラメント交絡技法、もしくは医療用繊維製品および血管内インプラントの技術分野で公知である技法によって形成されてもよい。代替として、それは、単にねじられてもよく、またはフィラメントのランダムなメッシュを形成することを許可されてもよい。それは、本明細書で説明されるように、またはシェルを形成するために使用される方法と同様に熱硬化されてもよく、もしくはフィラメントが形成されるときに行われる熱硬化を超えて熱処理されなくてもよい。内部構造フィラメントは、金属、ポリマー、またはそれらの複合物であってもよい。いくつかの実施形態では、フィラメントは、少なくとも約450℃の熱処理に耐えることができる材料で形成される。いくつかの実施形態では、フィラメントのうちのいくつかは、Kevlarという商標の下で入手可能なポリパラフェニレンテレフタルアミド等のアラミド繊維で形成されてもよい。いくつかの実施形態では、内部構造フィラメント状部材は、約10ミクロン(0.0004インチ)~約30ミクロン(0.0012インチ)の直径を伴うワイヤであってもよい。内部構造は、血栓症および血栓形成を推進する要素または化学物質を放出する材料、被覆を備えてもよく、もしくはそのような粒子または分子で含浸されてもよい。
外部シェルの下部分を占領する内部構造は、特に動脈瘤の遠位部分内で、血栓症の急速な進行を提供し得る。いくつかの実施形態では、本構成は、概して、最も弱く、最も破裂しやすいと考えられる、動脈瘤の遠位「ドーム」部分の保護を提供してもよい。従って、近位内部構造を伴う実施形態は、血管造影法の下で可視的である動脈瘤の遠位部分を急速に閉塞する方法を提供してもよい。本プロセスの実施形態は、デバイスの実施形態を評価する目的で動物において生成されるモデル動脈瘤の図47および48に示される、血管造影画像で例証される。図47は、図43に示されるデバイスの実施形態と構造がある程度類似性がある、患者の血管系の処置のためのデバイスの実施形態を用いた処置に先立って動物モデルにおいて生成された動脈瘤の処置前の血管造影図である。図48は、動脈瘤の遠位部分の急速閉塞を示す、患者の血管系の処置のためのデバイスを用いた処置後10分の血管造影図を表す。
一般的に言えば、本明細書で議論される種々のデバイスの実施形態の特徴、寸法、もしくは材料のうちの1つまたはそれを上回るものは、本明細書で議論される他の類似デバイスの実施形態で、ならびに他のデバイスの実施形態とともに使用されてもよい。例えば、本明細書で議論される任意の好適な特徴、寸法、または材料はまた、全て参照することによってそれらの全体として本明細書に組み込まれる、「Methods and Devices for Treatment of Vascular Defects」と題される、2011年1月27日に公開された共に所有の米国特許公開第2011/0022149号、「Filamentary Devices for Treatment of Vascular Defects」と題される、2009年11月5日に公開された米国特許公開第2009/0275974号、「Multiple Layer
Filamentary Devices for Treatment of Vascular Defects」と題される、2011年6月23日に公開された米国特許公開第2011/0152993号、および「Method and Apparatus for the Treatment of Large and Giant Vascular Defects」と題される、2012年11月8日に公開された米国公開第2012/0283768号で議論されるもの等のデバイスの実施形態に適用されてもよい。
患者の血管欠陥または動脈瘤の処置のための本明細書で議論されるか、もしくは組み込まれるデバイスの実施形態のいずれかでは、デバイスは、1つまたはそれを上回る複合フィラメントを含んでもよい。複合フィラメント(例えば、ワイヤ)は、混合物または合金のいずれかにおいて、もしくは2つの材料が物理的に1つに組み込まれる複合構造において、複数の材料を含むフィラメントとして画定されてもよい。デバイスの中への少なくともいくつかの複合ワイヤの追加は、X線、蛍光透視法、磁気共鳴映像法、および同等物等の外部撮像下でデバイスの向上した可視性を提供してもよい。いくつかの実施形態では、複合ワイヤは、向上した機械的特性を提供してもよい。
いくつかの複合フィラメントの実施形態に関して、複合フィラメントは、図49に示されるように、一方の材料を他方の材料の実質的に内側に伴って、同軸配列で配置されてもよい。そのような同軸複合ワイヤの1つの公知の加工方法は、延伸充填管の材料が組み合わせられ、それらの個々の機械的性質を保持する、延伸充填管ワイヤがある。延伸充填管ワイヤは、Ft.Wayne Metals(Ft.Wayne,Indiana)から市販されている。ある場合には、延伸充填管フィラメントを生産するためのプロセスは、内部充填ワイヤ332の外面334と外部管336の内面338との間の機械的結合が冶金学的に堅固であるように、極端な圧縮力を含んでもよい。場合によっては、それぞれ異なる材料の複数の外部管が、複数の材料の機械的性質を組み合わせるために、内部ワイヤおよび相互を覆って層状にされてもよい。そのような実施形態に関して、延伸充填管フィラメントは、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれを上回る外部管層を含んでもよい。いくつかの実施形態では、延伸充填管ワイヤは、外部管内で同心円状に配置され得る、外部ニチノール(NiTi)管および高度に放射線不透過性の充填ワイヤの組み合わせで形成される。充填ワイヤとして使用され得る当技術分野で公知の種々の放射線不透過性材料および金属は、金、白金、タンタル、ならびに同等物を含むが、それらに限定されない。NiTiの外部および内部の高度に放射線不透過性の充填ワイヤを伴う複合材料の1つの利点は、デバイスが、その高度弾性または超弾性挙動を実質的に維持することができ、血液接触表面の大部分がニチノールのままとなることである。これは、機械的特性の適切な範囲を維持しながら、X線撮像下で実質的に向上した可視性を伴うデバイスを可能にする。
ある場合には、延伸充填管ワイヤまたはフィラメントの具体的構造は、血管欠陥の処置のためのデバイスの所望の性能特性を維持するために重要であり得る。より具体的には、組成の剛性、弾性、および放射線不透過性の平衡を保つことが重要であり得る。具体的には、白金等の延性放射線不透過性材料の内部ワイヤ332と、NiTi等の弾性または超弾性材料の外部管336とを含む、延伸充填管フィラメントの実施形態に関して、フィラメントの総断面積に対する内部ワイヤの断面積率の比の平衡を慎重に保つことが必要であり得る。そのような比は、充填比と称されてもよい。実施形態が外部管材料に対して過剰に少ない放射線不透過性または高度に放射線不透過性の内部管材料を含む場合、十分な放射線不透過性および可視性がない場合がある。一方で、実施形態が弾性外部管に対して過剰に多い内部ワイヤ材料を含む場合、延性放射線不透過性材料の機械的性質が、外部管材料の弾性性質を圧倒し得、フィラメントが、圧縮等の後に硬化しやすく、恒久的変形をもたらし得る。いくつかの実施形態に関して、所望の複合または延伸充填管ワイヤは、約10%~約50%、より具体的には、約20%~約40%、さらに具体的には、約25%~約35%の複合フィラメント全体の断面積に対する内部充填ワイヤの断面積の充填比を伴って構築されてもよい。
いくつかの実施形態では、複合ワイヤの数は、約40~190、他の実施形態では、約50~190、他の実施形態では、約70~150であってもよい。いくつかの実施形態では、患者の血管系の処置のためのデバイスは、ワイヤの総数に対して少なくとも約25%の複合ワイヤを有してもよく、いくつかの実施形態では、そのようなデバイスは、デバイス内のワイヤの総数に対して少なくとも約40%の複合ワイヤを有してもよい。例えば、伸長弾性フィラメントの第1のサブセットは、それぞれ、高度に放射線不透過性の材料および高強度材料の複合材料を有する、フィラメントを備えてもよく、伸長弾性フィラメントの第2のサブセットは、本質的に高強度材料から成ってもよい。例えば、高度に放射線不透過性の材料は、白金、90%白金/10%イリジウム等の白金合金、または金、もしくはタンタルを含んでもよい。高強度材料は、NiTiを含んでもよい。複合ワイヤは、増進した視覚化および/または機械的特性を提供してもよいが、いくつかの構成では、類似直径のNiTiワイヤと比較して、低減した引張強度を有する。いくつかの構成では、それらの直径に応じて、複合ワイヤは、デバイスの折り畳みプロフィールを増大させてもよい。従って、数を最小限にすることが有益であり得る。より低い割合の複合ワイヤは、具体的には、撮像が頭蓋骨を通して行われる神経血管用途において、現在の撮像機器では十分に可視的ではない場合がある。加えて、過剰に多くの複合ワイヤ(または極めて高い充填比を伴う複合ワイヤ)は、CTまたはMRI撮像で過剰なアーチファクトを伴うデバイスをもたらし得る。高度に放射線不透過性の材料の説明される比および量は、デバイスの周辺が経頭蓋蛍光透視法下ではまさに可視的であるが、デバイス撮像領域が、白金または白金合金から実質的に作製される従来の塞栓コイルと同様に(すなわち、アーチファクトにより)完全には取り除かれない、神経血管インプラントにとって特有の状況を提供する。
所望の程度の放射線不透過性を達成する1つの様式は、複合ワイヤの充填比およびワイヤの総数に関する複合ワイヤの割合の特定の組み合わせを選択することによる。単層編組(織物)構造を有する実施形態によるデバイスが構築された。例えば、0.00075インチの直径および30%の白金充填比を有する、72本の複合白金/NiTi延伸充填管ワイヤと、0.00075インチの直径を有する、72本のNiTiワイヤとを備える、編組構造の実施形態が構築された。編組構造内の(全断面積%による)白金の全割合は、約15%であった。0.001インチの直径および30%の白金充填比を有する、108本の複合白金/NiTi延伸充填管ワイヤと、0.00075インチの直径を有する、72本のNiTiワイヤとを備える、編組構造の別の実施形態が構築された。編組構造内の白金の全割合は、約22%であった。0.00125インチの直径および30%の白金充填比を有する、72本の複合白金/NiTi延伸充填管ワイヤと、0.00075インチの直径を有する、108本のNiTiワイヤとを備える、編組構造のなおも別の実施形態が構築された。編組構造内の白金の全割合は、約19.5%であった。0.00125インチの直径および30%の白金充填比を有する、108本の複合白金/NiTi延伸充填管ワイヤと、0.00075インチの直径を有する、108本のNiTiワイヤとを備える、編組構造のさらに別の実施形態が構築された。編組構造内の白金の全割合は、約22%であった。これらの実施形態のそれぞれに従って構築されたデバイスはそれぞれ、生体内に埋め込まれ、蛍光透視法を使用して撮像された。それぞれの場合において、デバイスの周辺は、経頭蓋蛍光透視法下で可視的であったが、デバイス撮像領域は、(すなわち、アーチファクトにより)完全には判読できなかった。
加えて、(図43-46のような)外部編組(織物)構造および内部編組(織物)構造を有する実施形態による、デバイスが構築された。例えば、0.001インチの直径および30%の白金充填比を有する、54本の複合白金/NiTi延伸充填管ワイヤと、0.00075インチの直径を有する54本のNiTiワイヤとを備える、編組外部構造を有し、0.00075インチの直径を有する、108本のNiTiワイヤを備える、編組内部構造を有する、実施形態が構築された。編組外部構造内の白金の全割合は、約19%であった。複合外部構造および内部構造内の白金の全割合は、約11%であった。0.001インチの直径および30%の白金充填比を有する、48本の複合白金/NiTi延伸充填管ワイヤと、0.0015インチの直径および30%の白金充填比を有する、96本の複合白金/NiTi延伸充填管ワイヤとを備える、編組外部構造を有し、0.00075インチの直径を有する132本のNiTiワイヤと、0.001インチの直径を有する12本のNiTiワイヤとを備える、編組内部構造を有する、なおも別の実施形態が構築された。編組外部構造内の白金の全割合は、約30%であった。複合外部構造および内部構造内の白金の全割合は、約18.5%であった。これらの実施形態のそれぞれに従って構築されたデバイスはそれぞれ、生体内に埋め込まれ、蛍光透視法を使用して撮像された。それぞれの場合において、デバイスの周辺は、経頭蓋蛍光透視法下で可視的であったが、デバイス撮像領域は、(すなわち、アーチファクトにより)完全には判読できなかった。
いくつかの実施形態では、高度に放射線不透過性の材料の全断面積は、複数の伸長要素の全断面積の約11%~約30%である。いくつかの実施形態では、高度に放射線不透過性の材料の全断面積は、複数の伸長要素の全断面積の約15%~約30%である。いくつかの実施形態では、高度に放射線不透過性の材料の全断面積は、複数の伸長要素の全断面積の約15%~約22%である。いくつかの実施形態では、高度に放射線不透過性の材料の全断面積は、複数の伸長要素の全断面積の約19%~約30%である。いくつかの実施形態では、高度に放射線不透過性の材料の全断面積は、複数の伸長要素の全断面積の約11%~約18.5%である。
高度に放射線不透過性の材料を含む、複合フィラメントの放射線不透過性が、(例えば、蛍光透視法で)十分なデバイス視覚化を可能にすることができるため、あまり放射線不透過性ではない、もしくは非放射線不透過性材料から、ハブ304、306、314のうちの1つまたはそれを上回るものを作製することが所望され得る。いくつかの実施形態では、白金、白金合金(例えば、90%白金/10%イリジウム)は、それらの放射線不透過性が複合フィラメントの放射線不透過性を圧倒し、従って、それらの描写を困難にするであろう場合は、所望されなくてもよい。従って、ハブ304、306、314を作製するためのあまり放射線不透過性ではない、または非放射線不透過性材料の使用は、これらの実施形態で所望されてもよいが、他の実施形態のハブ66、68上で使用されることもできる。1つまたはそれを上回るチタンもしくはチタン合金ハブまたはNiTiハブが、高度に放射線不透過性のハブの代わりに使用されてもよい。チタン、チタン合金、またはNiTiハブの使用はまた、例えば、白金、白金合金、または金ハブが使用されていた場合よりも、それらの溶融温度が密接に合致させられると、NiTiフィラメントに溶接することに役立ち得る。結果は、フィラメントとより高い引張破壊力を有するハブとの間の接合部であり得る。本種類の接合部が構築され、引張力の約48%向上を実証した。
いくつかの実施形態では、複合フィラメントまたはワイヤが、少なくとも部分的に、種々の単および多層、コイル状、または編組構成から作製されてもよい。1つの潜在的に好適な構成要素は、Helical Hollow StrandTMと呼ばれ、Ft.Wayne Metals(Ft.Wayne,Indiana)から市販されている。別の潜在的構造は、Heraeus Medical Componentsから市販されている。
患者の血管系の処置のためのデバイスの一実施形態は、近位端と、遠位端と、長手軸と、カテーテル管腔内の送達のために構成される、半径方向に拘束された伸長状態と、近位端と遠位端との間で長手軸から延在し、半径方向に拘束された状態に対して球状の長手方向に短縮された構成を伴う拡張状態と、近位端または遠位端のうちの少なくとも1つにおいて相互に対して固着される、複数の伸長弾性フィラメントとを有する、自己拡張型弾性透過構造を含んでもよく、伸長弾性フィラメントは、伸長弾性フィラメントの第1のサブセットを含み、フィラメントの第1のサブセットのそれぞれは、高度に放射線不透過性の材料および高強度材料の複合材料を含み、伸長弾性フィラメントの第2のサブセットのそれぞれは、本質的に、高強度材料であり、フィラメントの第1のサブセットは、複数の伸長弾性フィラメントの総数の約25%~約40%である。特定の実施形態では、フィラメントの第1のサブセットの伸長弾性フィラメントの高強度材料、およびフィラメントの第2のサブセットの伸長弾性フィラメントの高強度材料は、超弾性材料、例えば、NiTiを備える。一実施形態では、伸長弾性フィラメントの第1のサブセットは、約50~約190本のフィラメントを含んでもよい。一実施形態では、伸長弾性フィラメントの第1のサブセットは、約70~約150本のフィラメントを含んでもよい。一実施形態では、伸長弾性フィラメントは、延伸充填管ワイヤを含んでもよい。一実施形態では、延伸充填管ワイヤは、約10%~約50%の断面充填面積比を有してもよい。一実施形態では、延伸充填管ワイヤは、約20%~約40%の断面充填面積比を有してもよい。一実施形態では、延伸充填管ワイヤは、約25%~約35%の断面充填面積比を有してもよい。一実施形態では、高度に放射線不透過性の材料は、タンタルを含んでもよい。一実施形態では、高度に放射線不透過性の材料は、白金を含んでもよい。一実施形態では、高度に放射線不透過性の材料は、金を含んでもよい。
患者の血管系の処置のためのデバイスの一実施形態は、近位端と、遠位端と、長手軸と、カテーテル管腔内の送達のために構成される、半径方向に拘束された伸長状態と、近位端と遠位端との間で長手軸から延在し、半径方向に拘束された状態に対して球状の長手方向に短縮された構成を伴う拡張状態と、近位端または遠位端のうちの少なくとも1つにおいて相互に対して固着される、複数の伸長弾性フィラメントとを有する、自己拡張型弾性透過構造を含んでもよく、伸長弾性フィラメントは、伸長弾性フィラメントの第1のサブセットを含み、フィラメントの第1のサブセットのそれぞれは、高度に放射線不透過性の材料および高強度材料の複合材料を含み、伸長弾性フィラメントの第2のサブセットのそれぞれは、本質的に、高強度材料であり、フィラメントの第1のサブセットは、複数の伸長弾性フィラメントの総数の少なくとも25%である。特定の実施形態では、フィラメントの第1のサブセットの伸長弾性フィラメントの高強度材料、およびフィラメントの第2のサブセットの伸長弾性フィラメントの高強度材料は、超弾性材料、例えば、NiTiを備える。一実施形態では、フィラメントの第1のサブセットは、複数の伸長弾性フィラメントの総数の少なくとも40%である。一実施形態では、伸長弾性フィラメントの第1のサブセットは、約50~約190本のフィラメントを含んでもよい。一実施形態では、伸長弾性フィラメントの第1のサブセットは、約70~約150本のフィラメントを含んでもよい。一実施形態では、伸長弾性フィラメントは、延伸充填管ワイヤを含んでもよい。一実施形態では、延伸充填管ワイヤは、約10%~約50%の断面充填面積比を有してもよい。一実施形態では、延伸充填管ワイヤは、約20%~約40%の断面充填面積比を有してもよい。一実施形態では、延伸充填管ワイヤは、約25%~約35%の断面充填面積比を有してもよい。一実施形態では、高度に放射線不透過性の材料は、タンタルを含んでもよい。一実施形態では、高度に放射線不透過性の材料は、白金を含んでもよい。一実施形態では、高度に放射線不透過性の材料は、金を含んでもよい。
患者の血管系の処置のためのデバイスの一実施形態は、カテーテル管腔内の送達のために構成される、半径方向に拘束された伸長状態と、半径方向に拘束された状態に対して球状の長手方向に短縮された構成を伴う拡張状態と、ともに織られ、透過シェルの空洞を画定し、フィラメントの総数に対して少なくとも約40%の複合フィラメントを含む、複数の伸長フィラメントとを有する、自己拡張型弾性透過シェルを含んでもよく、複合フィラメントは、高強度材料と、高度に放射線不透過性の材料とを含む。一実施形態では、複数の伸長フィラメントは、透過シェルの遠位端において相互に対して固着されてもよい。一実施形態では、複数の伸長フィラメントは、透過シェルの近位端において相互に対して固着されてもよい。一実施形態では、複数の伸長フィラメントは、約50~約190本の複合フィラメントを含んでもよい。一実施形態では、複数の伸長フィラメントは、約70~約150本の複合フィラメントを含んでもよい。一実施形態では、複合フィラメントは、延伸充填管であってもよい。一実施形態では、延伸充填管ワイヤは、約10%~約50%の断面積の充填比を有してもよい。一実施形態では、延伸充填管ワイヤは、約20%~約40%の断面積の充填比を有してもよい。一実施形態では、延伸充填管ワイヤは、約25%~約35%の断面積の充填比を有してもよい。一実施形態では、高度に放射線不透過性の材料は、タンタルを含んでもよい。一実施形態では、高度に放射線不透過性の材料は、白金を含んでもよい。一実施形態では、高度に放射線不透過性の材料は、金を含んでもよい。
患者の血管系の処置のためのデバイスの一実施形態は、カテーテル管腔内の送達のために構成される、半径方向に拘束された伸長状態と、半径方向に拘束された状態に対して球状の長手方向に短縮された構成を伴う拡張状態と、ともに織られる複数の伸長フィラメントであって、全断面積を有し、さらに透過シェルの空洞を画定し、少なくともいくつかの複合フィラメントを含む、複数のフィラメントとを有する、自己拡張型弾性透過シェルを含んでもよく、複合フィラメントは、高強度材料と、高度に放射線不透過性の材料とを含み、高度に放射線不透過性の材料の全断面積は、複数の伸長フィラメントの全断面積の約11%~約30%である。一実施形態では、高度に放射線不透過性の材料の全断面積は、複数の伸長フィラメントの全断面積の約15%~約30%である。一実施形態では、高度に放射線不透過性の材料の全断面積は、複数の伸長フィラメントの全断面積の約15%~約22%である。一実施形態では、高度に放射線不透過性の材料の全断面積は、複数の伸長フィラメントの全断面積の約19%~約30%である。一実施形態では、高度に放射線不透過性の材料の全断面積は、複数の伸長フィラメントの全断面積の約11%~約18.5%である。一実施形態では、複数の伸長フィラメントは、透過シェルの遠位端において相互に対して固着されてもよい。一実施形態では、複数の伸長フィラメントは、透過シェルの近位端において相互に対して固着されてもよい。一実施形態では、複数の伸長フィラメントは、約50~約190本の複合フィラメントを含んでもよい。一実施形態では、複数の伸長フィラメントは、約70~約150本の複合フィラメントを含んでもよい。一実施形態では、複合フィラメントは、延伸充填管であってもよい。一実施形態では、延伸充填管ワイヤは、約10%~約50%の断面積の充填比を有してもよい。一実施形態では、延伸充填管ワイヤは、約20%~約40%の断面積の充填比を有してもよい。一実施形態では、延伸充填管ワイヤは、約25%~約35%の断面積の充填比を有してもよい。一実施形態では、高度に放射線不透過性の材料は、タンタルを含んでもよい。一実施形態では、高度に放射線不透過性の材料は、白金を含んでもよい。一実施形態では、高度に放射線不透過性の材料は、金を含んでもよい。
図50Aおよび50Bは、少なくとも2つの明確に異なる編組部分、すなわち、第1の編組密度(BD1)を有する第1の編組部分1002および第2の編組密度(BD2)を有する第2の編組部分1004を伴う単層を有する、メッシュデバイスを生産するための編組管状部材1000を図示する。編組管状部材は、長手軸ZLに沿って延在する。遷移編組密度(BDT)を有する遷移部分1003は、第1の編組部分1002と第2の編組部分1004との間に位置する。図50Cおよび50Dに図示されるように、モジュール編組密度(BDM)は、編組内の実質的に菱形のモジュール1008の中のフィラメントの面積被覆率の2次元表現である。本明細書に説明されるような編組密度(BD)は、打ち込み数(ピック)/インチ(PPI)またはピック/センチメートルで表される従来の「編組ワイヤ密度」とは異なる。「編組ワイヤ密度」は、面積の比ではなく、むしろ管状区分の特定の長さ内のワイヤ交差の数である。「編組ワイヤ密度」は、1つまたは複数のワイヤ直径を考慮しないため、ある面積内の材料被覆の量に左右されない。編組密度(BD)は、一方で、ある面積内の材料被覆率に特異的である。実質的に菱形のモジュール1008は、図50Dの菱形の破線の内側の2次元面積AMである。実質的に菱形のモジュール1008は、4本のフィラメント、すなわち、第1のフィラメント1013、第2のフィラメント1015、第3のフィラメント1017、および第4のフィラメント1019によって取り囲まれる、面積AOを有する実質的に菱形の開口部1011を含む。さらに説明されるように、4本のフィラメント1013、1015、1017、1019は、4本の個々のワイヤを備えてもよく、もしくは代替として、2本またはそれを上回るフィラメントは、同一のワイヤから作製されてもよい。4本のフィラメント1013、1015、1017、1019は、第1のフィラメント1013と第2のフィラメント1015との間の第1の交差1023、第2のフィラメント1015と第3のフィラメント1017との間の第2の交差1025、第3のフィラメント1017と第4のフィラメント1019との間の第3の交差1027、および第4のフィラメント1019と第1のフィラメント1013との間の第4の交差1029において、菱形の開口部1011の周囲で相互に交差する。菱形のモジュール1008内の面積AMおよび菱形の開口部1011内の面積AOはそれぞれ、平行四辺形の面積の式(高さが底辺と垂直である、高さで乗算された底辺)によって概算されることができる。図50Dの4本の破線はそれぞれ、フィラメントの横断厚さ(例えば、フィラメント幅または円形フィラメント直径)の2つの外側範囲の間を中心とする。従って、菱形のモジュール1008の面積AMは、菱形の開口部1011の面積AOと、菱形の開口部1011を取り囲む4本のフィラメント1013、1015、1017、1019のそれぞれの厚さの半分の面積とを含む。記述されるように、フィラメントのうちの2本またはそれを上回るものは、相互と異なる厚さを有してもよく、もしくは全てが同一の厚さであってもよい。単一のモジュールにおいて計算されるモジュール編組密度(BDM)は、以下の通りである:
BDM=(AM-AO)/AM
式中、AMは、菱形のモジュールの面積であり、
AOは、菱形の開口部の面積である。
フィラメントの固定直径、固定円周、および固定数を有する、編組管状部材1000の実施形態では、固定円周内に嵌合する菱形のモジュール1008の数は、どれだけ疎または密に編組が形成されるかにかかわらず、変化しない。従って、モジュール幅1084は、どれだけ疎または密に編組が形成されるかにかかわらず、同一の寸法のままである。しかしながら、モジュール長さ1086は、編組がより密に形成されるとより短くなり、モジュール長さ1086は、編組がより疎に形成されるとより長くなる。編組の間に、モジュール幅1084の変化を伴わずにモジュール長さ1086の本変化に適応するために、角度1082および角度1082の真向かいの角度が変化する一方で、フィラメント1015およびフィラメント1017は、交差1025において相互を覆って摺動し、フィラメント1013およびフィラメント1019は、交差1029において相互を覆って摺動する。これと併せて、角度1078および角度1078の真向かいの角度が変化する一方で、フィラメント1013およびフィラメント1015は、交差1023において相互に関して旋回し、フィラメント1017およびフィラメント1019は、交差1027において相互に関して旋回する。例えば、編組がより密に巻装されると、角度1082および角度1082の真向かいの角度が両方とも増加する一方で、角度1078および角度1078の真向かいの角度は両方とも減少する。さらに、編組がより疎に巻装されると、角度1082および角度1082の真向かいの角度が両方とも減少する一方で、角度1078および角度1078の真向かいの角度は両方とも増加する。編組の用語における角度1082は、「編組角度」の2倍になるであろうことに留意されたい。
一定のモジュール幅1084と併用される、編組「密度」変化を伴うモジュール長さ1086の増加または減少は、ある円周方向「行」内のモジュールの数が角度1078、1082の変化とともに変化しないが、ある軸方向「列」内のモジュールの数が変化することを意味する。円筒編組密度(BDC)を計算するために、k個のモジュールを有する円筒面積内のモジュール編組密度の全ての分子および分母を両方とも合計し、次いで、次の比を得なければならない。
BDC=Σ(AMk-AOk)/Σ(AMk)
k=1,2,3,….,n
式中、AMは、菱形のモジュールの面積であり、
AOは、菱形の開口部の面積である。
編組管状部材1000の具体的部分、または編組管状部材1000から作製されたメッシュデバイスにわたって、モジュール編組密度(BDM)にある程度の変動がある場合、円筒編組密度(BDC)が計算されてもよい。変動するモジュール編組密度(BDM)の第1の例は、モジュール編組密度(BDM)が長手軸ZLに沿って増加または減少する、遷移部分1003である。変動するモジュール編組密度(BDM)の第2の例は、モジュール編組密度(BDM)がメッシュデバイスの外側半径に向かって減少し、メッシュデバイスの中心または長手軸ZLに向かって増加する、球体もしくは球状の形状を有するメッシュデバイスである。動脈瘤等の血管欠陥の中への最大流れ近傍に位置する編組部分内の主要編組密度(BD)は、最も拡張した直径における編組密度(BD)であると仮定される。有効直径(従って、円周)が減少し、従って、同数のフィラメント1005のためにより少ない空間を残し、従って、各モジュールのモジュール幅1084を減少させるため、編組密度(BD)は、本質的に、メッシュデバイスの中心軸に向かってより大きくなる。
メッシュデバイスのいくつかの実施形態では、メッシュデバイスは、メッシュデバイス自体が少なくとも2つの明確に異なる編組部分を有し得るように、少なくとも2つの明確に異なる編組部分1002、1004を有する、編組管状部材1000から形成される。少なくとも2つの編組部分を有することの主要な目的のうちの1つは、より疎に編組された部分が、マイクロカテーテル61の小管腔内の送達のために直径方向に拘束し、曲がりくねった経路を通して送達するためにより可撓性のデバイスを提供することが、機械的に容易であり得る一方で、より密に編組された部分は、例えば、密に編組された部分が動脈瘤または他の血管欠陥の頸部もしくは開口部に配置されるときに、血流を妨害することにおいてより効果的であり得ることである。第2の編組部分1004がより密に(すなわち、増加した角度1082および減少した角度1078を伴って)編組されると、菱形の開口部1011を通した流れに対する抵抗が増加する。菱形の開口部1011を通した流れは、菱形の開口部1011と同一の流れ特性を表す理論的円形直径である、水力直径(DH)1033によって特徴付けられることができる。水力直径(DH)は、典型的には、菱形開口部1011のような種々の非円形管腔または開口部を通した流れを表すために使用される。これは、非円形開口部が菱形の開口部1011内の低流量ゾーン1088のような低流量ゾーンを有し得るためである。水力直径(DH)の式は、以下のようである。DH=(4XAO)/PO
式中、AOは、菱形の開口部の面積であり、
POは、菱形の開口部の周辺である。
編組密度(BD)は、編組管状部材1000の1つの部分を編組管状部材1000の別部分と比較するために使用されてもよい。編組密度(BD)はまた、編組管状部材1000の長手軸ZLに隣接する部分を編組管状部材の同一部分内の最も拡張した区分と比較するために使用されてもよい。編組密度(BD)は、編組管状部材1000から構築されたメッシュデバイスの1つの部分を編組管状部材から構築されたメッシュデバイスの別の部分と、例えば、第1の部分の最も拡張した区分を第2の部分の最も拡張した区分と比較するために使用されてもよい。記述されるように、(例えば、動脈瘤の頸部において)流れを妨害することを意図している部分の最も拡張した区分は、最悪の場合の高流量場所で流れを妨害することの有効性を予測することに関連する。編組密度はまた、編組管状部材1000から作製されたメッシュデバイスの編組管状部材1000のいくつかの異なる部分の平均(すなわち、平均値、中央値)として表されてもよい。編組密度はまた、いくつかの編組管状部材1000または編組管状部材1000から構築されたメッシュデバイスの同一部分の測定の平均として表されてもよい。
説明される実施形態のうちのいくつかのメッシュデバイスは、編組機械1050、1100のうちの少なくとも1つによって最初に編組される、編組管状部材1000から形成される。それぞれ、図51の実施形態および図52の実施形態に示される、編組機械1050、1100は、垂直型であり、すなわち、その周囲で管状編組1055(図54A参照)が形成される、円筒編組マンドレル1010の編組軸(Z)は、垂直方向に延在する。垂直型編組装置は、編組が水平軸の周囲に形成される水平型装置よりも、オペレータによる装置の種々の部品へのより利便的な垂直に延在するアクセスを提供する。垂直型編組装置はまた、例えば、滑車、重量、または他の機構の使用を通して、有意な複雑性を必要とすることなく、重力の助けも利用する。編組機械1050、1100は、そこからマンドレル1010が垂直に延在する、円形の円盤1020を含む。マンドレル1010の外径は、その上に形成された編組の内径を決定する。いくつかの実施形態では、マンドレルは、約2mmから約50mmに及んでもよい。同様に、マンドレル1010の長さは、形成されることができる編組の長さを決定する。マンドレル1010の最上端は、マンドレル1010の先端上に複数のフィラメントを装填するための陥凹または切り欠き1014(図54A)を形成する、マンドレル1010より小さい直径を有する先端1012を有する。使用時に、複数のフィラメント1005a-nは、各フィラメントが円盤1020の円周縁1022に向かって半径方向に延在するように、マンドレル先端1012上に装填される。
フィラメント1005は、ループが先端1012およびマンドレル1010の接合点において形成される切り欠き1014に引っ掛かるように、マンドレル1010上でループ状にされてもよい。例えば、単一のワイヤ1007が、2つの個々の編組フィラメント1005a、bを作成するように、マンドレル1010を覆ってループ状にされ、それに添着されることができる。これは、マンドレル1010の先端1012におけるフィラメント1005の取付が単純化され得るため、より良好な装填効率を提供する。代替として、フィラメント1005は、粘着テープのバンド、弾性バンド、環状クランプ、または同等物等の拘束バンドによって、マンドレル先端1012において一時的に固着されてもよい。フィラメント1005a-nは、円盤1020の円周縁1022の周囲で離間され、それぞれ、直接隣接するフィラメントによって係合される点から円周距離d(図53)で離間される点において縁1022に係合するように、配列される。
いくつかの実施形態では、マンドレルは、約10~1500本のフィラメント、代替として、約10~1000本のフィラメント、代替として、約10~500本のフィラメント、代替として、約18~288本のフィラメント、代替として、104、108、144、162、180、216、288、360、または800本のフィラメントを装填されてもよい。ワイヤ1007がマンドレル1010を覆っている場合、各ワイヤ1007が2本の編組フィラメント1005をもたらすため、ワイヤ1007の数の1/2があろう。フィラメント1005a-nは、約0.0005~0.005インチ(1/2~5ミル)、代替として、約0.0075~0.002インチ(3/4~2ミル)の横寸法または直径を有してもよい。いくつかの実施形態では、編組は、複数のサイズのフィラメント1005で形成されてもよい。例えば、フィラメント1005a-nは、約0.001~0.005インチ(1~5ミル)である横寸法または直径を有する、大きなフィラメントと、約0.0004~0.0015インチ(1/2~1.5ミル)、より具体的には、約0.0004インチ~約0.001インチである横寸法または直径を有する、小さなフィラメントとを含んでもよい。加えて、小さなフィラメントと大きなフィラメントとの間の横寸法または直径の差は、約0.005インチ未満、代替として、約0.0035インチ未満、代替として、約0.002インチ未満であってもよい。異なるサイズのフィラメントを含む実施形態に関して、大きなフィラメントの数に対する小さなフィラメントの数は、約2~1対約15~1、代替として、約2~1対約12~1、代替として、約4~1対約8~1であってもよい。
円形の円盤1020は、平面1021および円周縁1022を画定する。ステッピングモータ等のモータ1018(図54A)が、離散ステップで円盤を回転させるように、円盤1020に取り付けられる。モータ1018および制御システムは、円盤1020の底側に接続された円筒ドラム1060の中に収納されてもよく、またはドラム1060から分離して位置し、歯車装置、滑車、もしくはチェーン駆動によって、ドラム1060および円盤1020の上部または底部に連結されてもよい。いくつかの実施形態では、ドラム1060は、ドラム1060長手方向側面が物理的機構の役割を果たし、円盤1020の縁を覆って延在するフィラメント1005を安定させることができるように、円盤1020とほぼ等しい直径を有してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、ドラム1060の側面は、フィラメント1005が円盤1020の縁を覆って延在するときに、フィラメント1005が実質的に垂直であり、絡まないように、ドラム1060の側面に寄り掛かるように、エネルギーを吸収するわずかにテクスチャ加工された溝付き表面、または突起を有する表面で作製されてもよい。
複数の捕捉機構1030(図53参照)が、円盤1020の円周の周囲に位置付けられ、各捕捉機構1030が、円盤1020の円周縁1022に向かって延在し、円盤1020の縁を覆って延在する個々のフィラメント1005を選択的に捕捉するように配列される。捕捉機構1030は、フック、返し、磁石、もしくは1本またはそれを上回るフィラメント1005を選択的に捕捉および解放することが可能である、当技術分野で公知である任意の他の磁気、吸引、または機械的構成要素を含んでもよい。例えば、図53に示されるように、一実施形態では、捕捉機構1030は、捕捉機構1030の両側に位置するフィラメント1005に係合するための双頭フック1036を遠位端に含んでもよい。フックの曲線は、フック内のフィラメント1005の保持を促すように、示されるようにわずかにJ字形であり得る。代替として、フックは、フックがフィラメント1005から離れて回転させられるときに、係合したフィラメントの解放を促進するように、よりL字形であり得る。
捕捉機構1030の数は、編組機械1050、1100上に装填されることができるフィラメント1005の最大数、従って、その上に作製された編組1055の中のフィラメント1005の最大数を決定する。捕捉機構1030の数は、概して、フィラメント1005の最大数の1/2であろう。各捕捉機構1030は、2本(またはそれを上回る)糸を取り扱い、従って、例えば、円盤1020の周囲で円周方向に延在する144の双頭捕捉機構1030を有する、編組機械1050、1100は、最大288本のフィラメントを装填されることができる。しかしながら、それぞれの捕捉機構1030が個別に起動されるため、機械はまた、フィラメント1005の範囲を有する編組1055を作成するように、任意の偶数のフィラメント1005を装填された部分的装填構成で操作されることもできる。
各捕捉機構1030は、フィラメント1005を1つずつ交互に係合および解放するように、円盤1020の円周縁1022に向かった、およびそこから離れた捕捉機構1030の移動を制御する、アクチュエータ1040に接続される。アクチュエータ1040は、電気、電気機械、機械、油圧、または空気圧アクチュエータ等の当技術分野で公知である任意のタイプのリニアアクチュエータ、もしくは円盤1020から離れるとともに、そこに向かって、設定された距離で捕捉機構1030および係合したフィラメント1005を移動させることが可能である、当技術分野で公知である任意の他のアクチュエータであってもよい。捕捉機構1030およびアクチュエータ1040は、アクチュエータ1040の運動が、円盤1020の円周縁1022から離れて、およびそこに向かって、略半径方向に捕捉機構1030を移動させるように、円盤1020の円周の周囲に位置付けられる。捕捉機構1030はさらに、選択されたフィラメント1005が円盤1020の円周縁1022を覆って延在すると、捕捉機構1030がそれに係合するように位置付けられる。例えば、いくつかの実施形態では、捕捉機構1030は、水平面内で、円盤1020によって画定される平面のわずかに下に位置する。代替として、捕捉機構1030は、円盤1020に向かって移動させられるときに、円盤1020によって画定される平面1021の下方の点においてフィラメント1005を遮断するように、角度を付けられてもよい。図51-54Aに示されるように、複数の捕捉機構1030およびアクチュエータ1040は、円形の円盤1020を囲繞する静止トラック1042に取り付けられてもよく、円形の円盤1020は、回転するように構成されてもよい。回転可能円盤1020の代替として、複数の捕捉機構1030およびアクチュエータ1040が、静止円盤の周囲で回転するように構成される、回転可能円形トラック(図示せず)に取り付けられてもよい。ステッピングモータ等のモータが、円盤1020に対して離散ステップで捕捉機構1030を回転させるように、円形トラックに取り付けられてもよい。静止トラックおよび静止円盤1020を両方とも有する、代替実施形態も可能である。本特定の実施形態では、複数の捕捉機構1030およびアクチュエータ1040が、静止トラックの内径の周囲で列車の車両の様式で駆動されてもよい。
使用時に、図53に示されるように、マンドレル1010は、円形の円盤1020の円周縁1022を覆って半径方向に延在する、複数のフィラメント1005a-jを装填される。それぞれのフィラメント1005a-jは、各直接隣接フィラメント1005によって係合される点から距離dで離散点において円盤1020の円周縁1022に係合する。いくつかの実施形態では、係合点は、例えば、物理的マーカーによって特異的に識別される、事前に印付けられた一連の場所から成ってもよい。他の実施形態では、係合点はさらに、マイクロ特徴、テクスチャ加工、溝、切り欠き、または他の突起等の物理的特徴を含んでもよい。溝1066は、図51のドラム1060の外周上で軸方向に延在して図示される。図53に示されるように、捕捉機構1030a-eは、最初に、隣接フィラメント1005a-jの間で等距離に位置付けられ、すなわち、捕捉機構1030aは、フィラメント1005aおよび1005bの間に位置付けられ、捕捉機構1030bは、フィラメント1005cおよび1005dの間に位置付けられ、捕捉機構1030cは、フィラメント1005eおよび1005fの間に位置付けられ、捕捉機構1030dは、フィラメント1005gおよび1005hの間に位置付けられ、捕捉機構1030eは、フィラメント1005iおよび1005jの間に位置付けられる。各捕捉機構1030はさらに、円盤1020の円周を超えて位置するフックを伴って位置付けられる。
フィラメント1005a、c、e、g、およびiの第1のセットに係合するために、捕捉機構1030a、b、c、d、eに取り付けられたアクチュエータ1040a、b、c、d、eは、円盤1020に向かって略半径方向に離散距離で各捕捉機構1030を移動させるように作動させられる。各捕捉機構1030a-eの遠位端は、好ましくは、フィラメントが円盤1020の縁1022を覆って延在すると、円形の円盤1020の平面の下の点において、フィラメント1005a、c、e、g、およびiに係合する。例えば、各フック1036a-eの先端が、懸垂フィラメント1005a、c、e、g、およびiを通り過ぎて延在するように、一旦、フック1036a-eが(フック1036eおよびアクチュエータ1040eに関して特異的に示される)方向C2に円盤1020に向かって移動させられると、円盤1020は、フック1036a-eをフィラメント1005a、c、e、g、およびiに接触させるように、矢印C3の方向へ時計回りに回転させられる。
一旦、フィラメント1005a、c、e、g、およびiが捕捉機構1030a-eのフック1036a-eによって接触されると、捕捉機構1030a-eに取り付けられたアクチュエータ1040a-eは、再度、(フック1036eおよびアクチュエータ1040eに関して特異的に示される)矢印C4の方向に捕捉機構1030a-eを後退させるように作動させられ、フック1036a-eの中でフィラメント1005a、c、e、g、およびiを係合させ、円盤1020の縁1022を超えた点まで、略円周方向に円盤1020の円周縁1022から離れて係合したフィラメント1005a、c、e、g、およびiを移動させる。
次に、円盤1020は、係合したフィラメント1005a、c、e、g、およびiに係合していないフィラメント1005b、d、f、h、およびjを超えて交差させるように、矢印C1の方向へ2dの距離で反時計回りに回転させられる。代替として、上記で議論されるように、同一の相対運動が、C1の方向に円盤1020を回転させる代わりに、矢印C3の方向にアクチュエータ1040a-eおよび捕捉機構1030a-eを回転させることによって、生成されることができる。
次に、捕捉機構1030a-eに取り付けられたアクチュエータ1040a-eは、再度、矢印C2によって示されるように、円盤1020に向かって略半径方向に離散距離で捕捉機構を移動させるように作動させられる。それによって、フック1036a-eは、各フック1036a-eの先端が懸垂フィラメント1005a-jによって形成される円周の内側に延在するように、円盤1020に向かって移動させられる。これは、再度、フィラメント1005a、c、e、g、およびiを円盤1020の縁1022と接触させ、フィラメント1005a、c、e、g、およびiを解放し、加えて、円盤1020が反時計回り方向に回転させられるときに、フィラメント1005b、d、f、h、およびjは、捕捉機構1030a-d上の二重フック1036a-dによって係合させられる。次いで、同一のステップが、フィラメント1005d、f、h、およびjに係合していないフィラメント1005a、c、e、g、およびiを超えて交差させ、上下交互のパターンでフィラメントを編み込むように、反対方向に繰り返されることができる。
図54Aに示されるように、従って、フィラメント1005a-nは、最上先端1012から、円形の円盤1020から延在するマンドレル1010の下端1016に向かって、マンドレル1010の周囲で編組1055に次第に織り込まれる。説明されるステップは、上下交互のパターン、すなわち、菱形パターンで、編組1055を生成するが、係合させられるフィラメント1005のサブセット、回転の距離、および/または反復のパターンを変動させることによって、任意の数の編組パターンが作成されてもよい。
図54Aに示されるように、フィラメント1005a-nが編組を形成するように収束する点、すなわち、落下または編組点において、フォロワ重量1070が、(フィラメントの数、フィラメントの横寸法、および編組パターン等の他の重要な要因とともに)管状編組の寸法および形状に影響を及ぼすために、マンドレル1010と組み合わせて使用される。フォロワ重量1070、例えば、調節可能成形リングは、編組1055の外径を制御することに役立つことができ、マンドレル1010は、内径を制御することに役立つことができる。理想的には、フォロワ重量1070内径は、編組1055の直径に接近するマンドレル1010の外側断面よりわずかに大きい。例えば、約2分の1ミリメートルから4分3ミリメートル大きい。このように、フォロワ重量1070は、編組1055が緊密にマンドレル1010に引き寄せられ、それによって、高い構造完全性を伴う一様な編組1055を生産するように、短い進行経路を用いてマンドレル1010まで短い距離で編組フィラメント1005a-nを押動する。調節可能内径1072を有するフォロワ重量1070は、選択されたマンドレル1010の外径に密接に合致するように調節され、編組1055を緊密にマンドレル1010に引き寄せるために使用されることができる。調節可能フォロワ重量1070は、例えば、内径の範囲を提供するように調節されることができる、絞りの形態の複数の重複葉(図示せず)によって作成される、調節可能内径1072を提供することによって作製される。そのような調節可能成形リングは、当技術分野で公知であり、そのような調節可能リングの構造に関するさらなる詳細は、2004年1月20日に発行された、「Forming Ring with Adjustable Diameter for Braid Production and Methods of Braid Production」と題される米国特許第6,679,152号で見出されることができる。
代替として、マンドレル1010の外径に密接に合致する所定の非調節可能内径を有する、固定フォロワ重量は、編組1055を緊密にマンドレル1010に引き寄せるために使用されることができる。いくつかの実施形態では、フォロワ重量は、有意に加重されなくてもよい。他の実施形態では、フォロワ重量は、編組1055を形成するようにマンドレル1010に引き寄せられると、フィラメント1005a-nを押し下げる付加的な力を提供するように、具体的な量で有意に加重されてもよい。例えば、フォロワ重量1070は、フォロワ重量1070を通して引かれるフィラメント1005a-n上に付加的な下向きの力を提供し、マンドレル1010に押し付けられると編組1055を作成するように、使用されるフィラメント1055のタイプおよびサイズに応じて、約100グラム~1000グラム、代替として、約150グラム~500グラムの重量を含んでもよい。
図52の編組機械1100では、双頭フック1036を有する捕捉機構1030が、各アクチュエータ1040の可動表面1031に固着される一方で、図51の編組機械1050は、可動レーキ1032を有するアクチュエータ1040を備え、各レーキ1032は、複数の双頭フック1036、例えば、4つの双頭フック1036を有する。
図51および54Aは、編組プロセス中に各フィラメント1005における張力を制御するために、各フィラメント1005a-nの端部に連結される複数の張力要素1006a-nを図示する。張力要素1006a-nは、各フィラメント1005の端部に取り付けられた重量を備えてもよく、または約2~20グラムの重量、もしくは代替として、約8~16グラムの重量をそれぞれの個々のフィラメント1005に印加するために、当技術分野で公知である任意の他の張力要素を含んでもよい。張力要素1006a-nは、ドラム1060上の複数の溝1066の中に嵌合するようなサイズにされる。例えば、各張力要素1006は、図51および54Aに図示されるように、伸長円筒重量を含んでもよい。張力要素1006a-nは、各フィラメント1005a-xのために別個であり、各フィラメント1005a-xに個別に接続される。従って、印加される張力の量は、各フィラメント1005a-xについて変動させられることができる。例えば、より大きい直径のワイヤ1007に対してより小さい直径のワイヤ1007により多くの張力を印加するように、より大きな張力要素1006が、より小さい直径のフィラメント1005に取り付けられることができる。各フィラメント1005に個別に張力を加える能力は、編組1055の一様性および完全性を向上させ、編組機械1050、1010が複数の直径ワイヤ1007とともに動作することを可能にする、正確な張力システムを作成する。いくつかの実施形態では、フィラメント1005は、ニッケル-チタン-タングステン(Ni-Ti-W)等の高強度ニッケルチタン合金を含んでもよい。
編組機械1050、1010上で製造され得る編組デバイスの種々の実施形態により、管状編組1055の寸法は、有意に変動し得る。所望のデバイスまたはデバイスのための構成要素を生産するために変動させられ得る、いくつかのパラメータは、マンドレル1010直径、フィラメント1005直径、フィラメント1005の数、長さあたりの全交差の数(すなわち、ピック/インチまたはピック/cm)、および編組される全長を含む。図54A-54Cは、これらのパラメータを変動させることによって影響を受け得る、主要な編組機械寸法を図示する。例えば、円周の周囲でアクチュエータ1040および捕捉機構1030の全てを嵌合する要件により、フィラメント1005の数が増加すると、フック1036がフィラメント1005に係合する直径DBが増加する。加えて、内包角(θ)が増加する。内包角(θ)の本増加はまた、はるかに少ない程度であるが、マンドレル1010の直径DMの減少による影響も受ける。編組1055が作製されると、マンドレル1010は、方向Zに編組機械1050から伸縮自在に延在するように構成され、例えば、光学センサ1093(図54A)等の電子センサが、例えば、フォロワ重量1070、1075の場所によって、編組の進行を感知すると、送り出しまたは寸動させる。例えば、光学センサ1093は、編組機械1050から延在する支柱1095の上に位置してもよく、その照準線1097は、フォロワ重量1070の側面1077に向けられてもよい。フォロワ重量1070の側面1077が光学センサ1093によって感知される限り、マンドレル1010は、軸方向に拡張するコマンドを(例えば、コントローラから)与えられない。しかしながら、フォロワ重量1070の上縁1071が照準線1097の下方に下降するように、編組が十分に進行したとき、コントローラは、フォロワ重量1070の側面1077が、再度、照準線1097内に来るまで、マンドレル1010を上向きに拡張するか、または送り出すコマンドを与える。実際には、フォロワ重量1070による影響を受ける有効内包角(θ)は、種々のパラメータ、すなわち、フォロワ重量1070によって付与される有効重量、方向Zへのマンドレル1010の線形拡張率、およびそれほど重要ではないが、張力要素1006によってフィラメントにおいて生成される有効張力を制御することによって、変動させられてもよい。これらのパラメータのうちの1つまたはそれを上回るものは、図50A-50Dに図示される編組管状部材1000等の可変編組密度を有する構成要素を作成するために、編組プロセス中に意図的に操作されてもよい。
円錐角(CA)αは、多くの場合、内包角(θ)(図54A)の代わりに、編組機械1050、1100の監視および操作と併せて記録される角度である。円錐角(α)は、以下の方程式によって内包角(θ)に関係付けられる。
CA=α=90°-θ/2
αは、フィラメント1005の係合点における(円盤1020の円周縁1022における)水平(円盤1020の面)と拡張フィラメント1005との間の角度である。
角度αは、例えば、拡張フィラメント1005の一部に沿って押圧される機械または電子水準器を用いて、測定されてもよい。
図50Aで見られるように、少なくとも2つの明確に異なる編組部分、すなわち、第1の編組密度(BD1)を有する第1の編組部分1002、および第2の編組密度(BD2)を有する第2の編組部分1004を有し、第2の編組密度(BD2)が第1の編組密度(BD1)と異なる、編組管状部材1000が、例えば、以下の様式で構築されてもよい。複数のフィラメント1005が、マンドレル1010上に装填され、初期張力Ti1が、フィラメント1005の第1のサブセットおよびフィラメント1005の第2のサブセットのそれぞれに印加される。例えば、重量は、約2~約20グラム、またはより具体的には、約8~約16グラム、もしくは約12グラムの重量を有する。次いで、フォロワ重量1070または別の類似加重構造が、フィラメント1005およびマンドレル1010を覆って配置される。フォロワ重量1070は、マンドレル上の複数のフィラメントのプロフィールに密接に合致する内径を有し、重量W1を有する。複数のアクチュエータ1040は、フィラメント1005の第1のサブセットに係合するように、および円形の円盤1020の円周縁を超えた半径方向位置まで略半径方向に係合したフィラメント1005を移動させるように、操作される。次いで、円形の円盤1020または複数のアクチュエータ1040のいずれか一方(もしくは両方)が回転させられ、それによって、相互に関してフィラメント1005の第2のサブセットおよびフィラメント1005の第1のサブセットを離散距離で回転変位させ、第1のサブセットのフィラメント1005に第2のサブセットのフィラメント1005を超えて交差させる。次いで、複数のアクチュエータ1040は、円形の円盤1020の円周縁に向かって略半径方向にフィラメント1005の第1のサブセットを移動させるように操作され、第1のサブセットの中の各フィラメント1005は、その前の係合点からの円周方向距離である係合点において円形の円盤1020の円周縁1022に係合する。次いで、複数のアクチュエータ1040は、フィラメント1005の第2のサブセットに係合するように、および円形の円盤1020の円周縁を超えた半径方向位置まで略半径方向に係合されたフィラメント1005を移動させるように、操作される。次いで、円形の円盤1020または複数のアクチュエータ1040のいずれか一方(もしくは両方)が回転させられ、それによって、相互に関してフィラメント1005の第2のサブセットおよびフィラメント1005の第1のサブセットを離散距離で回転変位させ、第2のサブセットのフィラメント1005に第1のサブセットのフィラメント1005を超えて交差させる。次いで、複数のアクチュエータ1040は、円形の円盤1020の円周縁に向かって略半径方向にフィラメント1005の第2のサブセットを移動させるように操作され、第2のサブセットの中の各フィラメント1005は、その前の係合点からの円周方向距離である係合点において円形の円盤1020の円周縁に係合する。上記のステップは、第1の編組密度BD1を有する管状編組を形成するように繰り返される。次いで、フォロワ重量1070は、異なる重量を有する異なるフォロワ重量と交換され、または異なる重量W2を有するという点で、もしくは管状編組から延在するフィラメント1005へのフォロワ重量1070の影響が変化させられ、例えば、有効円錐角(CA)および内包角(θ)を変化させるように、任意の同等様式で修正される。上記のステップは、第1の編組密度BD1と異なる第2の編組密度BD2であるが、管状編組を形成し続けるように繰り返される。
上下交互のパターンで編組される、144 0.001インチのニチノールフィラメントを有する、編組管状部材1000に関して、第1の編組密度BD1および第2の編組密度BD2、263グラムの重量W1および175グラムの重量W2を有する、2つの明確に異なる部分を有する5mm内径の可変編組が、使用されてもよく、または重量W1は、重量W2より約50%高い(図54B-54C)。263グラムの重量W1を使用して編組される部分は、比較的大きい内包角(θ1)および比較的小さい円錐角(α1)を伴って編組され、従って、175グラムの重量W2を使用して編組される部分よりも低い編組密度BDを有するであろう。従って、175グラムの重量W2を使用して編組される部分は、比較的小さい内包角(θ2)および比較的大きい円錐角(α2)を伴って編組されるであろう。重量W1はまた、重量W2より約50%以上高くあり得る。重量W1から重量W2への変化とともに、フィラメント上の初期張力Ti1は、二次張力Ts1に変化させられてもよい。例えば、付加的重量(張力要素1006)をフィラメント1005のうちの1つまたはそれを上回るものに取り付けることによる、もしくはフィラメント1005のうちの1つまたはそれを上回るものに取り付けられる重量(張力要素1006)の少なくとも一部を除去することによる。第1の編組密度BD1を有する第1の編組部分1002は、マンドレル1010が正のZ方向(図54A)に送り出されると、定位置に重量W1を伴って形成されて図54Bに示される。重量W1は、図54Cでより軽い重量W2に交換され、第2の編組密度BD2を有する第2の編組部分1004が形成され、第2の編組密度BD2は、第1の編組密度BD1より高い。
図54Dに図示される管状編組1055は、軸ZLに沿って第1の端部と第2の端部との間に配向される。管状編組1055は、複数の菱形1061を有する。第1の編組部分1002内で3時の位置に配向される角度β1は、第2の編組部分1004内で3時の位置に配向される角度β2より大きい。いくつかの実施形態では、角度β2は、約25°~約45°、または約30°~約40°、もしくは約35°であってもよい。いくつかの実施形態では、角度β1は、約35°~約65°、または約45°~約55°、もしくは約50°であってもよい。
編組管状部材1000から作製され、実質的に球形の拡張構成を有する、メッシュデバイス1200が、その拡張構成において図55に図示される。メッシュデバイス1200は、第1の平均編組密度BDavg1を有する第1の編組部分1202と、第2の平均編組密度BDavg2を有する第2の編組部分1204とを有する。第2の平均編組密度BDavg2は、第1の平均編組密度BDavg1より大きい。編組密度BDは、遷移ゾーンTZ1206にわたって第1の編組部分1202から第2の編組部分1204まで遷移する。いくつかの実施形態では、遷移ゾーンTZ1206は、長さ(または高さ)が約2ミリメートル未満、もしくは長さが約1ミリメートル未満であってもよい。いくつかの実施形態では、遷移ゾーンTZ1206は、長さが約300ミクロンほども小さく、またはさらに長さが約100ミクロンほども小さくあり得る。いくつかの実施形態では、遷移ゾーンTZ1206の長さ(高さ)とメッシュデバイス1200の全長(高)との間の比は、約0.5%~約20%、または約1%~約15%、または約1%~約10%、または約3%~約8%であってもよい。
編組管状部材1000から作製され、第1の編組部分1202および第2の編組部分1204を有する、メッシュデバイス1200では、約0.10~約0.20、またはより具体的には、約0.10~約0.15の範囲内の第1の編組部分1202の編組密度BD1を有することが望ましくあり得る。さらに、約0.15~約0.40、またはより具体的には、約0.17~約0.30の範囲内の第2の編組部分1204の編組密度BD2を有することが望ましくあり得る。第2の編組部分1204はさらに、200μmまたはそれ未満の平均水力直径DHを有する、複数の開口部を有してもよい。第2の編組部分1204編組密度BD2対第1の編組部分1202編組密度BD1の比、またはBD2/BD1は、望ましくは、約1.25~約5.0、またはより具体的には、約1.25~約2.5、もしくはさらに具体的には、約1.50~約2.0の範囲内であってもよい。図7および8を参照すると、いくつかの実施形態では、第2の編組部分1204内の複数の開口部または細孔64の大部分は、約0.005インチ~約0.010インチの円形(100)直径を有する。いくつかの実施形態では、第2の編組部分1204内の複数の開口部または細孔64の大部分は、約0.006インチ~約0.009インチの円形(100)直径を有する。いくつかの実施形態では、第2の編組部分1204内の複数の開口部または細孔64の大部分は、約0.007インチ~約0.008インチの円形(100)直径を有する。いくつかの実施形態では、第1の編組部分1202内の細孔の直径は、約300μm~約900μm、または約300μm~約700μm、もしくは約300μm~約500μmであってもよい。いくつかの実施形態では、第2の編組部分1204内の細孔の直径は、約50μm~約200μm、または約100μm~約200μmであってもよい。
メッシュデバイス1200は、近位端1208および遠位端1210と、遠位端1210に隣接する第1の編組部分1202と、近位端1208に隣接する第2の編組部分1204とを有する。メッシュデバイス1200が作製される編組管状部材1000を構成する、個々のフィラメント1212は、マーカーバンド1214、例えば、白金または白金合金等の放射線不透過性材料を含む、マーカーバンドによって、近位端1208においてともに固着される。代替として、個々のフィラメント1212は、溶接、接着剤、エポキシ、または任意の他の接合方法によって、ともに保持されてもよい。接着剤またはエポキシは、視覚化を増加させるために、タンタル等の放射線不透過性材料でドープされてもよい。メッシュデバイス1200は、脳動脈瘤等の血管欠陥を処置する目的で使用されるときに、第2の編組部分1204が動脈瘤の頸部を覆うように動脈瘤の中へ配置される。第2の編組部分1204の第2の平均編組密度BDavg2は、メッシュデバイス1200が動脈瘤内で拡張されるときに、動脈瘤の中への血流を効果的に停滞させる範囲内である平均編組密度BDavgを上回る。加えて、第2の編組部分1204の最も拡張した領域1205におけるそれぞれの菱形の開口部1011の平均水力直径DHは、200μmまたはそれ未満である。第1の編組部分1202の最も拡張した領域1203におけるそれぞれの菱形の開口部1011の平均水力直径DHは、300μmより大きく、またさらに500μmより大きくあり得、メッシュデバイス1200は、半径方向強度等のその機械的特性を保持する。
メッシュデバイス1200の遠位端1210におけるフィラメント1212は、近位端1208と同様にともに集合させられず、むしろ自由な接続されていない端部1216である。各端部1216は、単純に、特定のフィラメント1212の裸の終端であってもよく、または代替として、それを比較的鈍的にするために、接着剤もしくはエポキシでコーティングもしくは冠着されてもよい。
編組管状部材1000から作製され、図55のメッシュデバイス1200よりも伸長拡張構成を有する、メッシュデバイス1300が、その拡張構成において図56に図示される。メッシュデバイス1300は、第1の平均編組密度BDavg1を有する第1の編組部分1302と、第2の平均編組密度BDavg2を有する第2の編組部分1304とを有する。第2の平均編組密度BDavg2は、第1の平均編組密度BDavg1より大きい。編組密度BDは、遷移ゾーンTZ1306にわたって第1の編組部分1302から第2の編組部分1304まで遷移する。メッシュデバイス1300は、近位端1308および遠位端1310と、遠位端1310に隣接する第1の編組部分1302と、近位端1308に隣接する第2の編組部分1304とを有する。メッシュデバイス1300が作製される編組管状部材1000を構成する、個々のフィラメント1312は、マーカーバンド1314によって、近位端1308においてともに固着される。メッシュデバイス1300の遠位端1310におけるフィラメント1312は、近位端1308と同様にともに集合させられず、むしろ自由な接続されていない端部1316である。各端部1316は、単純に、特定のフィラメント1312の裸の終端であってもよく、または代替として、それを比較的鈍的にするために、接着剤またはエポキシでコーティングもしくは冠着されてもよい。メッシュデバイス1300は、脳動脈瘤等の血管欠陥を処置する目的で使用されるときに、第2の編組部分1304が動脈瘤の頸部を覆うように動脈瘤の中へ配置される。第2の編組部分1304の最も拡張した領域1305における密度BDavg2は、メッシュデバイス1300が動脈瘤内で拡張されるときに、動脈瘤の中への血流を効果的に停滞させる範囲内である平均編組密度BDavgを上回る。図55のメッシュデバイス1200と併せて議論される編組密度範囲および編組密度比も、ここで適用される。加えて、第2の編組部分1304の最も拡張した領域1305におけるそれぞれの菱形の開口部1011の平均水力直径DHは、200μmまたはそれ未満である。第1の編組部分1302の最も拡張した領域1303におけるそれぞれの菱形の開口部1011の平均水力直径DHは、300μmより大きく、またさらに500μmより大きくあり得、メッシュデバイス1300は、半径方向強度等のその機械的特性を保持する。
図57および58に図示されるように、メッシュデバイス1200ならびにメッシュデバイス1300は両方とも、脳動脈瘤の塞栓のために使用されるときに、遠位端1210、1310が動脈瘤160のドーム161に触れる手前で停止し、触れることを回避するように展開される。これは、メッシュデバイス1200、1300が、図57で描写されるように、治癒した破裂部位163に沿って擦れる可能性が低いであろうため、ドーム161が最近破裂した動脈瘤160の塞栓中に特に有用であり得る。治癒した破裂部位163とのインプラントの直接接触は、線維性の治癒したキャップ165を削ぎ取り、またはこじ開け得る。
動脈瘤160の頸部167に隣接して配置されるように構成される、第2の編組部分1204、1304に比較的高い編組密度BDを有する、メッシュデバイス1200、1300を編組することの利点が説明されている。加えて、メッシュデバイス1200、1300の半径方向に拘束された伸長状態が、可能な限り小さい外径、従って、可能な限り小さい内側管腔直径を有する、マイクロカテーテル内での送達のために構成されることが有利である。0.033インチ未満、もしくは0.020インチ未満、および0.017インチまたはそれ未満ほどの小さい内側管腔直径を有する、マイクロカテーテルは、非常に遠位かつ非常に曲がりくねった血管系の中へ追跡されることができる。単層編組管状部材1000から作製されるメッシュデバイス1200、1300は、二重層編組管状部材から作製されるメッシュデバイスより小さい直径の中へ半径方向に拘束されることができる。第2の編組部分1204、1304のより高い平均編組密度BDavg2は、二重層メッシュデバイスにより小さい有効開口部サイズを含有するが、拘束される必要がある2つの層を有していない。加えて、第1の編組部分1202、1302の比較的低い編組密度BDavg1は、メッシュデバイス1200、1300が、より小さい直径の中へ半径方向に拘束され、全長がより高い平均編組密度を有する、単層編組部分を有するメッシュデバイスよりも小さいマイクロカテーテル管腔を通して、嵌合することを可能にし得る。可変編組を有する編組管状部材1000から作製される、単層メッシュデバイス1200、1300を形成する能力はさらに、フィラメントの総数が削減されることを可能にし、従って、メッシュデバイスの拘束された直径をさらに縮小し、それがより小さいマイクロカテーテル管腔の中に配置されることを可能にする。それぞれ、約0.0005インチ~約0.001インチの横寸法を有し、第1の編組部分および第2の編組部分を有する、可変編組構造を有し、第2の編組部分が、第1の編組部分の編組密度BD1より大きい編組密度BD2を有するような様式で編組される、108本またはそれより少ないフィラメント1005を有する、単一の編組管状部材1000から作製されるメッシュデバイス1200、1300が、構築され、0.017インチの内側管腔直径を有するマイクロカテーテルを通過させられることができる。
特に図57を参照すると、軸rは、動脈瘤160の頸部167における半径方向場所を表す。頸部の中心において、r=0であり、頸部の外側範囲において、rは、最大値である。図示されるように、メッシュデバイス1200の典型的配向は、第2の編組部分1204のあまり拡張していない部分1207が、頸部の中心により近く(すなわち、r=0により近く)、第2の編組部分1204の最も拡張した部分1205が、rが最大値である外側範囲にある、または図57の場合、頸部167の外側範囲を超えるようなものである。第2の編組部分1204の最も拡張した部分1205における編組密度は、本質的に、第2の編組部分1204のあまり拡張していない部分1207における編組密度より高い。また、高流量の脳底動脈先端部動脈瘤では、頸部167の中心に向かった部分における(すなわち、r=0により近い)血流衝突速度V1は、頸部の外側範囲に向かった(すなわち、r=最大値により近い)血流衝突速度V2より高いことが一般的である。従って、第2の編組部分1204の最も拡張した部分1205における開口部1011の水力直径DHが200μmまたはそれ未満であるように、メッシュデバイス1200を形成することが所望される。このように、第2の編組部分1204内の開口部1011の全てまたは事実上全ては、200μmもしくはそれ未満の水力直径DHを有するであろう。血管の蛇行、疾患、または他の理由による、ある異常では、血流衝突速度V2は、血流衝突速度V1より高くあり得る。これらの場合において、水力直径DHは、依然として最大衝突速度場所において200μmまたはそれ未満であろう。
メッシュデバイス1200、1300は、異なるフィラメント材料またはフィラメント横寸法を含む、1つ、2つ、3つ、またはさらにそれを上回る異なるタイプのフィラメント1005から作製されてもよい。1つの特定の3本フィラメント組み合わせの実施形態では、より大きい直径のワイヤ(例えば、0.001インチ~0.002インチ)が、機械的支持を供給するように含まれてもよい。より小さい直径のワイヤ(0.0005インチ~0.001インチ)が、より高い編組密度の部分、例えば、動脈瘤160の頸部167に隣接して配置されるように構成される部分が作製され得ることを確実にするように、含まれてもよい。また、放射線不透過性を供給するように、約0.00075インチ~0.00125インチの直径を伴う「中型」フィラメントがあってもよい。例えば、これらのフィラメントは、白金または白金合金から作製されてもよく、もしくはニッケルチタンの外部シェルと、白金または白金合金の内側コアとを備える、延伸充填管(DFT)であってもよい。「中型」フィラメントは、具体的剛性特性を達成するために、(フィラメントの総数に関して)可変割合で含まれてもよい。「中型」フィラメントはまた、所望の最小引張強度を付与するように、特定の割合で含まれてもよい。コバルトクロム(CoCr)を含む、複合ワイヤ技術が使用されてもよい。例えば、白金または白金合金コアを伴う外部シェル内にコバルトクロム(CoCr)を備える、DFTフィラメントは、強度、剛性、および放射線不透過性を供給する。コバルトクロムコアを伴うニッケルチタンシェルは、成形性および強度を供給する。
実質的に球形の拡張構成と、実質的に閉鎖された遠位頂点1415とを有する、メッシュデバイス1400が、その拡張構成において図59に図示される。メッシュデバイス1400は、第1の平均編組密度BDavg1を有する第1の編組部分1402と、第2の平均編組密度BDavg2を有する第2の編組部分1404とを有する。第2の平均編組密度BDavg2は、第1の平均編組密度BDavg1より大きい。編組密度BDは、遷移ゾーンTZ1406にわたって第1の編組部分1402から第2の編組部分1404まで遷移する。
メッシュデバイス1400は、近位端1408および遠位端1410と、遠位端1410に隣接する第1の編組部分1402と、近位端1408に隣接する第2の編組部分1404とを有する。メッシュデバイス1400が作製される代替的な編組部材を構成する、個々のフィラメント1412は、マーカーバンド1414、例えば、白金または白金合金等の放射線不透過性材料を含む、マーカーバンドによって、近位端1408においてともに固着される。代替として、個々のフィラメント1412は、溶接、接着剤、エポキシ、または任意の他の接合方法によって、ともに保持されてもよい。接着剤またはエポキシは、視覚化を増加させるために、タンタル等の放射線不透過性材料でドープされてもよい。メッシュデバイス1400は、脳動脈瘤等の血管欠陥を処置する目的で使用されるときに、第2の編組部分1404が動脈瘤の頸部を覆うように動脈瘤の中へ配置される。第2の編組部分1404の第2の平均編組密度BDavg2は、メッシュデバイス1400が動脈瘤内で拡張されるときに、動脈瘤の中への血流を効果的に停滞させる範囲内である平均編組密度BDavgを上回る。図55のメッシュデバイス1200と併せて議論される編組密度範囲および編組密度比も、ここで適用される。加えて、第2の編組部分1404の最も拡張した領域1405におけるそれぞれの菱形の開口部1011の平均水力直径DHは、200μmまたはそれ未満である。第1の編組部分1402の最も拡張した領域1403におけるそれぞれの菱形の開口部1011の平均水力直径DHは、300μmより大きく、またさらに500μmより大きくあり得、メッシュデバイス1400は、半径方向強度等のその機械的特性を保持する。
ここで図61および62を参照すると、溝付(城郭風)マンドレルアセンブリ1038が図示され、その中心空洞1046内に半径状キャップ1044を有する、溝付マンドレル1034を備える。溝付マンドレル1034は、複数の支柱または凸壁1054によって分離される、複数のスロットまたは狭間1052を有する、円筒狭間胸壁様構造1048を含む。図61および62に図示される実施形態は、18個の狭間1052と、18個の凸壁1054とを備えるが、代替実施形態は、27個の狭間1052および27個の凸壁1054、または他の数量を含んでもよい。半径状キャップ1044は、表面1058が、好ましくは、狭間胸壁様構造1048によって取り囲まれる中心空洞1046の部分内に含有される、凸状半径1056を有する。ピン1064は、半径状キャップ1044から延在し、溝付マンドレル1034内の孔1066の中へ延在する。半径状キャップ1044は、ねじ山付きのねじ、接着剤、エポキシ、溶接、または類似方法を使用して、ピン1064を孔1066に取り付けることによって、溝付マンドレル1034に固着されてもよい。半径状キャップ1044および溝付マンドレル1034は、ステンレス鋼等の剛性の耐久性材料から作製されてもよい。
図59のメッシュデバイス1400を構築するプロセスのための溝付マンドレルアセンブリ1038の装填が、図63A-63Cに図示される。支柱または凸壁1054a-rは、それぞれの凸壁1054a-rの間にスロットまたは狭間1052a-rを伴って、狭間胸壁様構造1048の周囲で円周方向に配列される。図63Aでは、第1のフィラメント1412aが、(凸壁1054rおよび1054aの間の)狭間1052aならびに(凸壁1054iおよび1054jの間の)狭間1052jの中へ下向きの方向に装填され、溝付マンドレルアセンブリ1038に固着される。第1のフィラメント1412aは、例えば、第1のフィラメント1412aの中心部分1068aが半径状キャップ1044の凸状半径1056の表面1058を横断してしっかりと保持されるように、固着されてもよい。溝付マンドレルアセンブリ1038の18狭間実施形態では、狭間1052aおよび1052jの場所は、例えば、時計の文字盤上の12時ならびに6時の場所に接近して、相互から180°にある。しかしながら、図63Dの構成等の他の非180°構成が、フィラメント1412aまたは後続のフィラメント1412が装填されるために選択されてもよい。図63Bでは、第2のフィラメント1412bが、(凸壁1054aおよび1054bの間の)狭間1052bならびに(凸壁1054jおよび1054kの間の)狭間1052kの中へ下向きの方向に装填され、溝付マンドレルアセンブリ1038に固着される。フィラメント1412bの中心部分1068bが、第1のフィラメント1412aの中心部分1068aを超えて交差させられ、半径状キャップ1044の凸状半径1056を横断してしっかりと保持される。本装填は、全てのフィラメント1412が装填され、溝付マンドレルアセンブリ1038に固着されるまで継続される。複数のフィラメント1412が、それぞれの狭間1052、またはある選択された狭間1052のみの中へ装填されてもよい。狭間1052の中へフィラメント1412の全てを装填し、フィラメント1412を溝付マンドレルアセンブリ1038に固着した後、フィラメント1412は、図51-54のフィラメント1005のように、順序付けられて半径方向に拡張され、編組プロセスは、これらの図に関して以前に説明されたように行われる。フィラメント1412が半径状キャップ1044において相互を覆って層状にされる様式により、図59の結果として生じるメッシュデバイス1400は、実質的に閉鎖された遠位頂点1415を有する。図59のメッシュデバイス1400は、例えば、72~216本のフィラメント1412で作製されてもよいが、マンドレルの装填が、1本のワイヤから2本のフィラメント1412の均等物を生産するため、36~108本のワイヤのみが必要とされる。メッシュデバイス1400は、ワイヤの固着が遠位端1410において必要とされないため、単一のマーカーバンド1414のみを有してもよい。特に、マーカーバンド1414がない遠位端1410において、放射線不透過性をメッシュデバイス1400に追加するように、ニッケルチタンフィラメントとの白金または白金合金フィラメントの混合物が選択されてもよい。代替として、放射線不透過性(例えば、白金または白金合金)コアを有する、延伸充填管(DFT)が使用されてもよい。図59のメッシュデバイス1400および図60のメッシュデバイス1500の両方では、フィラメント直径は、約0.0005インチ~約0.002インチ、または約0.00075インチ~0.00125インチに及んでもよい。
図63Cは、図63A-63Bで説明される方法と併せて作製される、メッシュデバイス1400の装填された溝付マンドレルアセンブリ1038の上面図を図示する。それぞれのフィラメント1412が中心交差点1073に交差するため、メッシュデバイス1400の実質的に閉鎖された遠位頂点1415は、本中心交差点1073にフィラメント1412の多くの層を含む。しかしながら、メッシュデバイス1400の成形および加熱成形が、中心交差点1073においてフィラメント1412のうちのいくつかまたは全てを少なくとも部分的に再形成し、中心交差点における体積を減少させるために、それらを広げる。
代替的なフィラメント装填方法が、図63Dに図示される。フィラメント1115は、交互様式で装填される。フィラメント1115aは、狭間1052aおよび1052fの中へ装填され、従って、凸壁1054a、1054b、1054c、1054d、および1054eの内側に延在し、半径状キャップ1044の凸状半径1056の一部を横断してしっかりと保持される。フィラメント1115bは、狭間1052bおよび1052gの中へ装填され、従って、凸壁1054b、1054c、1054d、1054e、および1054fの内側に延在し、フィラメント1115aの上で交差する。これは、フィラメント1115の全てが装填され、図63Dの構成が可視的になるまで、継続される。本実施形態では、中心開口部1091が、メッシュデバイス1400の閉鎖遠位頂点1415と対照的に形成される。中心開口部1091のサイズは、狭間胸壁様構造1048における溝付マンドレル1034の直径、および各フィラメント1115を装填するときに飛ばされる狭間1052の総数の両方に応じて、変動させられることができる。
開放遠位端1510を有するメッシュデバイス1500が、その拡張構成において図60に図示される。メッシュデバイス1500は、第1の平均編組密度BDavg1を有する第1の編組部分1502と、第2の平均編組密度BDavg2を有する第2の編組部分1504とを有する、単層編組管状部材を備える。第2の平均編組密度BDavg2は、第1の平均編組密度BDavg1より大きい。編組密度BDは、遷移ゾーンTZ1506にわたって第1の編組部分1502から第2の編組部分1504まで遷移する。図55のメッシュデバイス1200と併せて議論される編組密度範囲および編組密度比も、ここで適用される。
メッシュデバイス1500は、近位端1508および遠位端1510と、遠位端1510に隣接する第1の編組部分1502と、近位端1508に隣接する第2の編組部分1504とを有する。メッシュデバイス1500が作製される代替的な編組部材を構成する、個々のフィラメント1512は、マーカーバンド1514、例えば、白金または白金合金等の放射線不透過性材料を含む、マーカーバンドによって、近位端1508においてともに固着される。代替として、個々のフィラメント1512は、溶接、接着剤、エポキシ、または任意の他の接合方法によって、ともに保持されてもよい。接着剤またはエポキシは、視覚化を増加させるために、タンタル等の放射線不透過性材料でドープされてもよい。メッシュデバイス1500は、脳動脈瘤等の血管欠陥を処置する目的で使用されるときに、第2の編組部分1504が動脈瘤の頸部を覆うように動脈瘤の中へ配置される。第2の編組部分1504の第2の平均編組密度BDavg2は、メッシュデバイス1500が動脈瘤内で拡張されるときに、動脈瘤の中への血流を効果的に停滞させる範囲内である平均編組密度BDavgを上回る。加えて、第2の編組部分1504の最も拡張した領域1505におけるそれぞれの菱形の開口部1011の平均水力直径DHは、200μmまたはそれ未満である。第1の編組部分1502の最も拡張した領域1503におけるそれぞれの菱形の開口部1011の平均水力直径DHは、300μmより大きく、またさらに500μmより大きくあり得、メッシュデバイス1500は、半径方向強度等のその機械的特性を保持する。
メッシュデバイス1500の遠位端1510における開放部分1518は、溝付マンドレルアセンブリ1038上へのフィラメント1512の初期装填に起因する、複数のループ1516によって取り囲まれる。メッシュデバイス1500(図60)を構築する目的での溝付マンドレルアセンブリ1038の装填が、図64A-64Bに図示される。図64Aでは、第1のフィラメント1512aが、(凸壁1054rおよび1054aの間の)狭間1052aならびに(凸壁1054aおよび1054bの間の)狭間1052bの中へ下向きの方向に装填される。第1のフィラメント1512aの中心部分1168aは、凸壁1054aの周囲でしっかりと保持され、フィラメント1512aの第1の部分1170aおよび第2の部分1172aは、溝付マンドレルアセンブリ1038に固着される。図64Bでは、第2のフィラメント1512bが、(凸壁1054aおよび1054bの間の)狭間1052bならびに(凸壁1054bおよび1054cの間の)狭間1052cの中へ下向きの方向に装填される。第2のフィラメント1512bの中心部分1168bは、凸壁1054bの周囲でしっかりと保持され、第1の部分1170bおよび第2の部分1172bは、溝付マンドレルアセンブリ1038に固着される。本装填は、全てのフィラメント1512が装填され、溝付マンドレルアセンブリ1038に固着されるまで継続される。複数のフィラメント1512が、それぞれの凸壁1054、またはある選択された凸壁1054のみの周囲に装填されてもよい。狭間1052の中へフィラメント1512の全てを装填し、フィラメント1512を溝付マンドレルアセンブリ1038に固着した後、フィラメント1512は、図51-54のフィラメント1005のように、順序付けられて半径方向に拡張され、編組プロセスは、これらの図に関して以前に説明されたように行われる。図60に示されるような複数のループ1516は、溝付マンドレルアセンブリ1038の凸壁1054の周囲で最初に曲線状であるフィラメント1512の中心部分1168に起因する。狭間胸壁様構造1048における溝付マンドレル1034の直径は、開放部分1518の直径を制御するために変動させられてもよい。凸壁1054の数およびサイズは、ループ1516の数ならびにサイズを制御するために変動させられてもよい。ループ1516は、メッシュデバイス1500が血管欠陥内で拡張されると、鈍的先端部分としての機能を果たし、その使用の安全性を増加させ得る。
メッシュデバイス1800の上(遠位)端1810が、図59のメッシュデバイス1400および図60のメッシュデバイス1500の特性を組み合わせる、図63Eに図示される。メッシュデバイス1800は、図63Aおよび63Bに関して説明されるプロセス、ならびに図64Aおよび64Bに関して説明されるプロセスの両方の要素を使用して、構築される。フィラメント1812aの第1のサブセットは、図63Aおよび63Bのプロセスで編組され、閉鎖遠位頂点1815を形成する。フィラメント1812bの第2のサブセットは、図64Aおよび64Bのプロセスで編組され、それぞれオリフィス1893を有する、複数のループ1816を形成する。フィラメント1812a、1812bのそれぞれのサブセットは、それぞれ、図63Aおよび63Bならびに図64Aおよび64Bに関して説明される様式で、編組プロセスの開始時に溝付マンドレルアセンブリ1038に固着される。フィラメント1812aは、別様に開放部分であろうものを覆うが、フィラメント1812の総数のより小さいサブセットを表すため、中心交差点1873は、重複する、より少ないフィラメント1812aを有し、従って、マイクロカテーテルを通した折り畳みおよび配置を容易にするために縮小遠位プロフィール(厚さ)を可能にする。いくつかの実施形態では、中心交差点1873においてフィラメント1812aの合計35個の交差があってもよいが、メッシュデバイス1800は、約76本またはそれを上回るフィラメントを組み込んでもよい。いくつかの実施形態では、フィラメント1812の総数に対する中心交差点1073における交差の数の比は、約3%から約46%、または約8%から約19%に及んでもよい。いくつかの実施形態では、中心交差点1873は、それぞれ180°未満離れている、2対またはそれを上回る狭間1052の間にフィラメント1812aを拡張しながら、図63Aおよび63Bの方法を行うことによって達成され得る、複数の交差点1873a、1873bを含んでもよい。複数の交差点1873a、1873b等の形成は、マイクロカテーテルを通した折り畳みおよび配置を容易にするために縮小遠位プロフィール(厚さ)を可能にしてもよく、または閉鎖遠位頂点1815の異なる部分において複数の閉鎖領域を作成してもよい。
メッシュデバイス2400の上(遠位)端2410が、図63Fに図示される。メッシュデバイス2400は、図59のメッシュデバイス1400に類似し、図61-62の溝付マンドレルアセンブリ1038を使用して、図63A-63Cに関して説明される方法で構築されてもよい。フィラメント2412は、中心交差点2473を有する閉鎖遠位頂点2415を形成するように、半径状キャップ1044の凸状半径1056を覆って拡張される。いくつかの実施形態では、メッシュデバイス2400は、図50A-54Dの可変編組密度方法を使用することなく構築されてもよく、他の実施形態では、メッシュデバイス2400は、図50A-54Dの可変編組密度方法を使用して構築されてもよい。閉鎖遠位頂点2415は、フィラメント2412を保持するハブを遠位端2410に有しておらず、従って、動脈瘤ドームに提示される平滑表面のみがあるため、再破裂(治癒または部分的に治癒した破裂部位における反復破裂)の少ない危険性を伴って、以前に破裂した動脈瘤の中に配置されてもよい。加えて、破裂が新しい部位で起こる危険性が少ないであろう。
メッシュデバイス2500の上(遠位)端2517が、図63Gに図示される。メッシュデバイス2500は、図60のメッシュデバイス1500に類似し、図61-62の溝付マンドレルアセンブリ1038を使用して、図63Dに関して説明される方法で構築されてもよい。フィラメント2512は、オリフィス2593を有するループ2516に形成される。従って、開放部分2510が、メッシュデバイス2500の遠位端2517において中心に位置する。いくつかの実施形態では、メッシュデバイス2500は、図50A-54Dの可変編組密度方法を使用することなく構築されてもよく、他の実施形態では、メッシュデバイス2500は、図50A-54Dの可変編組密度方法を使用して構築されてもよい。開放部分2510は、動脈瘤ドームに接触する材料がないため、破裂または再破裂の少ない危険性を伴って破裂した動脈瘤の中に位置してもよい。
図65に図示されるメッシュデバイス1600は、図60のメッシュデバイス1500と同様に、フィラメント1612と編組される。しかしながら、フィラメント1612を固着するマーカーバンド1615を有する、メッシュデバイス1600の遠位端1610は、メッシュデバイス1500の近位端1508により類似し、メッシュデバイス1600の近位端1608は、メッシュデバイス1500の遠位端1510と同様に(溝付マンドレルアセンブリを用いて)編組される。狭間胸壁様構造1048における比較的小さい溝付マンドレル1034直径が使用され、または代替として、小直径開放部分1618を作成するために、図63Dに説明される装填技法が使用される。例えば、直径が約1mmの開放部分1618内の円形開口部が選択されてもよい。開放部分1618の1つの目的は、メッシュデバイス1600が、血管欠陥、例えば、動脈瘤の内側に展開された後に、マイクロカテーテル1161(図67-71)の挿入を可能にすることである。図66は、ループ1616a-rを図示し、1616a、1616j、および1616rが標識され、中心に開放部分1618を伴って、メッシュデバイス1600の近位端1608の周囲で円周方向に配列される。
メッシュデバイス1700が、その拡張構成において図75に図示される。メッシュデバイス1700は、第1の平均編組密度BDavg1を有する第1の編組部分1702と、第2の平均編組密度BDavg2を有する第2の編組部分1704とを有する、単層編組管状部材を備える。第2の平均編組密度BDavg2は、第1の平均編組密度BDavg1より大きい。編組密度BDは、遷移ゾーンTZ1706にわたって第1の編組部分1702から第2の編組部分1704まで遷移する。図55のメッシュデバイス1200と併せて議論される編組密度範囲および編組密度比も、ここで適用される。
メッシュデバイス1700は、近位端1708および遠位端1710と、遠位端1710に隣接する第1の編組部分1702と、近位端1708に隣接する第2の編組部分1704とを有する。メッシュデバイス1700が作製される代替的な編組部材を構成する、個々のフィラメント1712は、マーカーバンド1714、例えば、白金または白金合金等の放射線不透過性材料を含む、マーカーバンドによって、近位端1708においてともに固着される。メッシュデバイス1700が作製される代替的な編組部材を構成する、個々のフィラメント1712もまた、マーカーバンド1701によって、遠位端1710においてともに固着される。代替として、個々のフィラメント1712は、溶接、接着剤、エポキシ、または任意の他の接合方法によって、ともに保持されてもよい。接着剤またはエポキシは、視覚化を増加させるために、タンタル等の放射線不透過性材料でドープされてもよい。いくつかの実施形態では、マーカーバンド1714、1701の一方または両方は、陥凹部分1707、1709内にある。メッシュデバイス1700は、脳動脈瘤等の血管欠陥を処置する目的で使用されるときに、第2の編組部分1704が動脈瘤の頸部を覆うように動脈瘤の中へ配置される。第2の編組部分1704の第2の平均編組密度BDavg2は、メッシュデバイス1700が動脈瘤内で拡張されるときに、動脈瘤の中への血流を効果的に停滞させる範囲内である平均編組密度BDavgを上回る。加えて、第2の編組部分1704の最も拡張した領域1705におけるそれぞれの菱形の開口部1011の平均水力直径DHは、200μmまたはそれ未満である。第1の編組部分1702の最も拡張した領域1703におけるそれぞれの菱形の開口部1011の平均水力直径DHは、300μmより大きく、またさらに500μmより大きくあり得、メッシュデバイス1700は、半径方向強度等のその機械的特性を保持する。
メッシュデバイス1600および1つまたはそれを上回る補助デバイスを用いて、頸部167ならびにドーム161を伴う動脈瘤160等の血管欠陥を閉塞するための方法が、図67-71に図示される。図67では、マイクロカテーテル1161は、動脈瘤160の中へナビゲートされ、拘束されたメッシュデバイス1600は、遠位端1610がマイクロカテーテル1161の管腔1162から退出し始めるまで、マイクロカテーテル1161の管腔1162を通して送達される。図68では、マイクロカテーテル1161は、メッシュデバイス1600に連結される送達装置1164の近位端上で力を維持し、従って、メッシュデバイス1600が拡張することを可能にしながら、慎重に引き戻される。メッシュデバイス1600は、動脈瘤160にいかなる損傷も引き起こすことなく、動脈瘤160内で固着されるように、動脈瘤106よりわずかに大きいサイズで選択されてもよい。図69に示されるように、マイクロカテーテル1161はここで、メッシュデバイス1600の開放部分1618を通して、送達装置1164を経由して前方に追跡される。ここで、例えば、図12-15と併せて説明される実施形態を使用して、または代替として、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる、「Delivery and Detachment Systems and Methods for
Vascular Implants」と題される、2013年12月3日に発行された米国特許第8,597,323号でPlazaらによって説明される実施形態によって、送達装置1164からのメッシュデバイス1600の着脱が行われる。1つの違いは、熱的に切断されるテザー1166がメッシュデバイス1600の遠位端1610内に取り付けられることである。着脱後、図70に図示されるように、着脱された送達装置1164は、マイクロカテーテル1161から完全に除去され、マイクロカテーテル1161は、メッシュデバイス1600内のより近位の場所まで慎重に後退させられる。ここで、動脈瘤160の塞栓を促す、または完成させるために、補助デバイスが使用される。例えば、図71のように、塞栓材料1176が、メッシュデバイス1600の少なくとも近位部分を充填するように、マイクロカテーテル1161の管腔1162を通して注入される。従って、メッシュデバイス1600は、塞栓材料1176を含有された状態で保ち、それが血管1167等の天然血管のうちの1つまたはそれを上回るものの中へ閉塞することを阻止するための拘束としての機能を果たす。塞栓材料1176は、メッシュデバイス1600の近位端1608における開口部1174(図65)のうちのいくつかを覆う役割を果たしてもよい。メッシュデバイス1600はまた、前の実施形態のうちのいくつかで説明される可変編組密度を組み込んでもよいが、これは必要特徴ではない。
血管欠陥が不規則な非一様または非対称形状である、臨床症例がある。図72-73は、カスタム形状のメッシュデバイスおよびそれを生産するための方法の実施形態を図示する。ステップ1250では、血管欠陥の3次元画像、例えば、CTスキャンまたはMRIが得られる。ステップ1252では、3次元画像からの情報を使用することによって、血管欠陥に嵌合する適切な未形成メッシュデバイス1220のサイズが判定される。これは、フィラメント材料と、フィラメント横寸法と、フィラメントの数と、メッシュデバイス1220を形成する編組管状部材1000の長さと、メッシュデバイス1220の長さと、メッシュデバイス1220の直径と、メッシュデバイス1220を形成する編組方法とを含む。これは、上下フィラメントの数と、編組の密度と、編組機械のサイズ(すなわち、円盤直径)と、フォロワ重量および張力部材の重量とを含む。ステップ1254では、第1の形成ツール1226と、第2の形成ツール1228とを備える、カスタム工具が作成される。3次元画像は、工具の3次元コンピュータモデルを作成するために使用される。2つの形成ツール1226、1228が、ともに進むことができ、かつ分離することができるように、工具の分割線整合1234が選択される。3D印刷、ステレオリソグラフィ、ステレオリソグラフィ形態からの鋳造等の高速プロトタイピングプロセスが、高温材料から形成ツール1226、1228を作成するために使用される。ステップ1256では、メッシュデバイス1220が、フィラメント1222から編組され、フィラメント端部1232がマーカーバンド1230内で固着される。ステップ1258では、それぞれの形成ツール1226、1228の内側でメッシュデバイス1220を押進させ、メッシュデバイス1220を高温に暴露し、後に、メッシュデバイスを冷却することによって、メッシュデバイス1220において形状を形成するために、端部形成マンドレル1224および2つの形成ツール1226、1228が使用される。次いで、端部形成マンドレル1224および形成ツール1226、1228は、除去され、非一様な血管欠陥内で嵌合するように構成されるカスタム形状を有する、メッシュデバイス1220を残す。例えば、ニチノールフィラメントから形成されるメッシュデバイス1220が、約500℃の温度で形成されてもよい。
図74は、そのドーム161に治癒した(または新鮮な治癒していない)破裂部位163を有する血管欠陥160(動脈瘤)内に埋め込まれたメッシュデバイス2200を図示する。いくつかの実施形態では、メッシュデバイス2200は、近位ハブ2202を有するが、遠位ハブがない。いくつかの実施形態では、メッシュデバイス2200の遠位部分2204は、フィラメント2210内の開口部2208の間に第1の可撓性充填材区分2206を含有する。可撓性充填材区分2206は、可撓性充填材2209を備える。いくつかの実施形態では、可撓性充填材2209は、シリコーンまたはポリウレタン浸漬材料を含んでもよい。図74で見られるように、使用時に、可撓性充填材区分2206を有するメッシュデバイス2200の遠位部分2204は、破裂部位163に隣接して配置される。図74で埋め込まれると、メッシュデバイス2200は、破裂部位163の閉鎖を補助するか、または再破裂を防ぐかのいずれかで、破裂部位163を保護することができる。同時に、いくつかの実施形態では、近位部分2212は、その開口部2214を覆う可撓性充填材区分2206を備えなくてもよく、従って、動脈瘤160が閉塞プロセスを通して進行するまで、動脈瘤160の中へのある程度の初期血流BFIおよび動脈瘤160から外への血流BFOを可能にする。他の実施形態では、近位部分2212は、第2の可撓性充填材区分2211を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第2の可撓性充填材区分2211は、第1の可撓性充填材区分2206と同一の可撓性充填材2209を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第2の可撓性充填材区分2211は、外側リング部分2213が、動脈瘤160の壁に対して着座し、内側リング部分2215が、動脈瘤160の中への血流BFIおよび動脈瘤160から外への血流BFOの少なくとも一部を妨害するように、リング形状を有してもよい。充填材を有していない開放区分2217は、中心部分に含まれてもよく、そこで、開口部2214が比較的小さいサイズを有し、従って、動脈瘤160の中および/外への少なくともある程度の流れを妨害する。
描写されているかどうかにかかわらず、描写されるメッシュデバイスの実施形態の全ては、可変編組密度を組み込んでもよい。これは、2つまたはそれを上回る層を有する、メッシュデバイスを含む。例えば、フィラメント状部材の内部構造は、それぞれ異なる編組密度を伴う少なくとも2つの明確に異なる部分を有する、編組構造を有してもよく、フィラメント状部材の外部構造は、あまり可変ではない、または非可変編組密度を有してもよい。代替として、フィラメント状部材の外部構造は、それぞれ異なる編組密度を伴う少なくとも2つの明確に異なる部分を有する、編組構造を有してもよく、フィラメント状部材の内部構造は、あまり可変ではない、または非可変編組密度を有してもよい。しかし依然として、外部および内部構造は両方とも、それぞれ明確に異なる部分の可変編組密度を有してもよい。また、実施形態のうちのいずれかでは、生体再吸収性フィラメント、例えば、(PGLA)、(PGA)、または(PLLA)を備える、フィラメントを含むことが可能である。いくつかの実施形態では、編組PGLAフィラメントの外部シェルは、ニチノールまたはDFTフィラメントの内部シェルを囲繞する。外部シェルは、メッシュデバイスを着脱するために溶解可能であり得る。完全生体再吸収性メッシュデバイスを作製することさえも可能である。マグネシウム、マグネシウム合金、鉄、または鉄合金等の生体再吸収性金属もまた、生体再吸収性フィラメントを作製するために使用されてもよい。実施形態のうちのいずれかでは、閉塞動脈瘤上に治癒キャップを形成するように、内皮細胞の成長を促すために、成長因子、例えば、CE34抗体で、透過シェルまたはフィラメントの少なくとも一部をコーティングすることが可能である。CE34抗体の作用は、内皮由来の成長因子に結合することである。
一実施形態では、近位端と、遠位端と、長手軸とを有する、自己拡張型弾性透過シェルを有する、患者の血管系の動脈瘤の処置のためのデバイスが提供され、シェルは、可変編組構造を有する複数の伸長弾性フィラメントを有し、複数のフィラメントは、その近位端または遠位端のうちの少なくとも1つにおいて固着され、透過シェルは、マイクロカテーテル内での送達のために構成される、半径方向に拘束された伸長状態と、半径方向に拘束された状態に対して球状の軸方向に短縮された構成を伴う拡張した弛緩状態とを有し、透過シェルは、編組フィラメントの間に形成される複数の開口部を有し、可変編組構造は、遠位端に隣接し、第1の編組密度を有する、第1の編組部分と、近位端に隣接し、第2の編組密度を有する、第2の編組部分とを含み、第2の編組密度は、第1の編組密度より大きく、複数のフィラメントは、連続単層内で第1の編組部分および第2の編組部分に跨架する。いくつかの実施形態では、フィラメントは、0.0005インチ~0.002インチの横寸法を有する。いくつかの実施形態では、第2の編組密度は、第1の編組密度の約1.25~約5.0倍の範囲内である。いくつかの実施形態では、第2の編組密度は、第1の編組密度の約1.25~約2.5倍の範囲内である。いくつかの実施形態では、第2の編組密度は、第1の編組密度の約1.50~約2.0倍の範囲内である。いくつかの実施形態では、第2の編組密度は、約0.15~約0.40である。いくつかの実施形態では、第2の編組密度は、約0.17~約0.30である。いくつかの実施形態では、第1の編組密度は、約0.10~約0.20である。いくつかの実施形態では、第1の編組密度は、約0.10~約0.15である。いくつかの実施形態では、第2の編組部分は、各開口部が水力直径を有する、複数の開口部を含み、第2の編組部分内の複数の開口部の平均水力直径は、200μmまたはそれ未満である。いくつかの実施形態では、第1の編組部分は、各開口部が水力直径を有する、複数の開口部を含み、第1の編組部分内の複数の開口部の平均水力直径は、200μmまたはそれ未満である。いくつかの実施形態では、第1の編組部分内の複数の開口部の平均水力直径は、300μmより大きい。いくつかの実施形態では、複数のフィラメントは、少なくとも2つの異なる横寸法のフィラメントを含む。いくつかの実施形態では、複数のフィラメントは、それぞれ、第1の端部と、第2の端部と、中心区分とを有する、構造フィラメントを含み、中心区分は、それ自体が後方に湾曲し、第1および第2の端部は、透過シェルの近位端において固着される。いくつかの実施形態では、透過シェルの遠位端は、単一フィラメントから形成される複数のループを含む。いくつかの実施形態では、透過シェルの近位端は、単一フィラメントから形成される複数のループを含む。いくつかの実施形態では、透過シェルの遠位端は、複数の固着されていないフィラメント端を含む。いくつかの実施形態では、複数の固着されていないフィラメント端は、保護カバーを有する複数の端部を含む。いくつかの実施形態では、デバイスはさらに、近位端と、遠位端と、長手軸とを有する、透過層を含み、透過層は、編組構造を有する、複数の伸長弾性フィラメントを含み、透過層は、透過シェルの内側または外側に配置される。いくつかの実施形態では、透過シェルの少なくとも一部は、成長因子でコーティングされる。いくつかの実施形態では、成長因子は、CE34抗体である。いくつかの実施形態では、フィラメントのうちの少なくともいくつかは、生体再吸収性フィラメントを含む。いくつかの実施形態では、生体再吸収性フィラメントは、PGLA、PGA、およびPLLAフィラメントのうちの少なくとも1つを含む。
別の実施形態では、近位端と、遠位端と、長手軸とを有する、自己拡張型弾性透過シェルを有する、患者の血管系の動脈瘤の処置のためのデバイスが提供され、シェルは、編組構造を有する複数の伸長弾性フィラメントを含み、複数のフィラメントは、その近位端または遠位端のうちの少なくとも1つにおいて固着され、透過シェルは、マイクロカテーテル内での送達のために構成される、半径方向に拘束された伸長状態を有し、透過シェルは、半径方向に拘束された状態に対して球状の軸方向に短縮された構成を伴う拡張した弛緩状態を有し、透過シェルは、編組フィラメントの間に形成される複数の開口部を有し、複数のフィラメントは、それぞれ、第1の端部と、第2の端部と、中心区分とを有する、構造フィラメントを含み、中心区分は、それ自体が後方に湾曲し、第1および第2の端部は、透過シェルの近位端において固着される。いくつかの実施形態では、複数のフィラメントは、少なくとも2つの異なる横寸法のフィラメントを含む。いくつかの実施形態では、フィラメントのうちの少なくともいくつかは、白金を含む。いくつかの実施形態では、透過シェルの遠位端は、単一フィラメントから形成される複数のループを含む。いくつかの実施形態では、透過シェルの近位端は、単一フィラメントから形成される複数のループを含む。いくつかの実施形態では、透過シェルの遠位端は、複数の固着されていないフィラメント端を含む。いくつかの実施形態では、複数の固着されていないフィラメント端は、保護カバーを有する複数の端部を含む。いくつかの実施形態では、デバイスはさらに、近位端と、遠位端と、長手軸とを有する、透過層を含み、透過層は、編組構造を有する、複数の伸長弾性フィラメントを含み、透過層は、透過シェルの内側または外側に配置される。いくつかの実施形態では、透過シェルの少なくとも一部は、成長因子でコーティングされる。いくつかの実施形態では、成長因子は、CE34抗体である。いくつかの実施形態では、フィラメントのうちの少なくともいくつかは、生体再吸収性フィラメントを含む。いくつかの実施形態では、生体再吸収性フィラメントは、PGLA、PGA、およびPLLAフィラメントのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、透過シェルの遠位端は、閉鎖構造を含む。
別の実施形態では、近位端と、遠位端と、長手軸とを有する、自己拡張型弾性透過シェルを有する、患者の血管系の動脈瘤の処置のためのデバイスが提供され、シェルは、編組構造を有する複数の伸長弾性フィラメントを含み、複数のフィラメントは、その近位端または遠位端のうちの少なくとも1つにおいて固着され、透過シェルは、マイクロカテーテル内での送達のために構成される、半径方向に拘束された伸長状態を有し、透過シェルは、半径方向に拘束された状態に対して球状の軸方向に短縮された構成を伴う拡張した弛緩状態を有し、透過シェルは、編組フィラメントの間に形成される複数の開口部を有し、複数のフィラメントは、それぞれ、第1の端部と、第2の端部と、中心区分とを有する、構造フィラメントを含み、中心区分は、それ自体が後方に湾曲し、第1および第2の端部は、透過シェルの遠位端において固着される。いくつかの実施形態では、複数のフィラメントは、少なくとも2つの異なる横寸法のフィラメントを含む。いくつかの実施形態では、フィラメントのうちの少なくともいくつかは、白金を含む。いくつかの実施形態では、透過シェルの遠位端は、単一フィラメントから形成される複数のループを含む。いくつかの実施形態では、透過シェルの近位端は、単一フィラメントから形成される複数のループを含む。いくつかの実施形態では、デバイスはさらに、近位端と、遠位端と、長手軸とを有する、透過層を含み、透過層は、編組構造を有する、複数の伸長弾性フィラメントを含み、透過層は、透過シェルの内側または外側に配置される。いくつかの実施形態では、透過シェルの少なくとも一部は、成長因子でコーティングされる。いくつかの実施形態では、成長因子は、CE34抗体である。いくつかの実施形態では、フィラメントのうちの少なくともいくつかは、生体再吸収性フィラメントを含む。いくつかの実施形態では、生体再吸収性フィラメントは、PGLA、PGA、およびPLLAフィラメントのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、デバイスはさらに、近位端に開口部を含む。いくつかの実施形態では、開口部は、少なくとも1ミリメートルの直径を有する。いくつかの実施形態では、開口部は、マイクロカテーテルの通過を可能にするように構成される。いくつかの実施形態では、透過シェルの少なくとも一部は、塞栓材料を含むように構成される。
別の実施形態では、近位端と、遠位端と、長手軸とを有する、自己拡張型弾性透過シェルを有する、患者の血管系の動脈瘤の処置のためのデバイスが提供され、シェルは、可変編組構造を有する複数の伸長弾性フィラメントを含み、複数のフィラメントは、その近位端または遠位端のうちの少なくとも1つにおいて固着され、透過シェルは、マイクロカテーテル内での送達のために構成される、半径方向に拘束された伸長状態を有し、透過シェルは、半径方向に拘束された状態に対して球状の軸方向に短縮された構成を伴う拡張状態を有し、透過シェルは、編組フィラメントの間に形成される複数の開口部を有し、可変編組構造は、遠位端に隣接し、第1の編組密度を有する、第1の編組部分と、近位端に隣接し、第1の編組密度より大きい第2の編組密度を有する、第2の編組部分とを含み、複数のフィラメントは、連続単層内で第1の編組部分および第2の編組部分に跨架し、第2の編組部分内の編組フィラメントの間に形成される複数の開口部の大部分は、約0.005インチ~約0.01インチの直径を有する。いくつかの実施形態では、第2の編組部分内の編組フィラメントの間に形成される複数の開口部の大部分は、約0.006インチ~約0.009インチの直径を有する。いくつかの実施形態では、第2の編組部分内の編組フィラメントの間に形成される複数の開口部の大部分は、約0.007インチ~約0.008インチの直径を有する。
別の実施形態では、近位端と、遠位端と、長手軸とを有する、第1の自己拡張型弾性透過シェルであって、第1の透過シェルは、編組構造を有する複数の伸長弾性フィラメントを含み、複数のフィラメントは、少なくともその近位端において固着され、第1の透過シェルは、マイクロカテーテル内での送達のために構成される、半径方向に拘束された伸長状態を有し、第1の透過シェルは、半径方向に拘束された状態に対して軸方向に短縮された構成を伴う拡張状態を有し、編組フィラメントの間に形成される複数の開口部を有する、第1の透過シェルと、近位端と、遠位端と、長手軸とを有する、第2の自己拡張型弾性透過シェルであって、第2の透過シェルは、編組構造を有する複数の伸長弾性フィラメントを含み、複数のフィラメントは、少なくともその遠位端において固着され、第2の透過シェルは、マイクロカテーテル内での送達のために構成される、半径方向に拘束された伸長状態を有し、第2の透過シェルは、半径方向に拘束された状態に対して軸方向に短縮された構成を伴う拡張状態を有し、編組フィラメントの間に形成される複数の開口部を有する、第2の透過シェルとを有する、患者の血管系の動脈瘤の処置のためのデバイスが提供され、第1の透過シェルの編組構造は、第1の編組密度を有し、第2の透過シェルの編組構造は、第1の編組密度より大きい第2の編組密度を有し、第1の透過シェルの複数のフィラメントの近位端は、第2の透過シェルの複数のフィラメントの遠位端に固着される。いくつかの実施形態では、第1の透過シェルの複数のフィラメントの近位端および第2の透過シェルの複数のフィラメントの遠位端はそれぞれ、バンドに固着される。いくつかの実施形態では、デバイスはさらに、近位端と、遠位端と、長手軸とを有する、第3の自己拡張型弾性透過シェルを含み、第3の透過シェルは、編組構造を有する複数の伸長弾性フィラメントを含み、複数のフィラメントは、少なくともその近位端において固着され、第3の透過シェルは、マイクロカテーテル内での送達のために構成される、半径方向に拘束された伸長状態を有し、第3の透過シェルは、半径方向に拘束された状態に対して軸方向に短縮された構成を伴う拡張状態を有し、第3の透過シェルは、編組フィラメントの間に形成される複数の開口部を有し、第3の透過シェルの編組構造は、第1の編組密度より大きい第3の編組密度を有し、第1の透過シェルの複数のフィラメントの遠位端は、第3の透過シェルの複数のフィラメントの近位端に固着される。いくつかの実施形態では、第3の編組密度は、第2の編組密度と異なる。
別の実施形態では、近位端と、遠位端と、長手軸とを有する、自己拡張型弾性透過シェルを有する、患者の血管系の動脈瘤の処置のためのデバイスが提供され、シェルは、可変編組構造を有する複数の伸長弾性フィラメントを含み、複数のフィラメントは、その近位端または遠位端のうちの少なくとも1つにおいて固着され、透過シェルは、マイクロカテーテル内での送達のために構成される、半径方向に拘束された伸長状態と、半径方向に拘束された状態に対して球状の軸方向に短縮された構成を伴う拡張した弛緩状態とを有し、透過シェルは、編組フィラメントの間に形成される複数の開口部を有し、可変編組構造は、遠位端に隣接し、第1の多孔率P1を有する、第1の編組部分と、近位端に隣接し、第2の多孔率P2を有する、第2の編組部分とを含み、第1の多孔率P1は、第2の多孔率P2より大きく、複数のフィラメントは、連続単層内で第1の編組部分および第2の編組部分に跨架する。
上記の詳細な説明に関して、その中で使用される類似数字は、同一または類似寸法、材料、および構成を有し得る、類似要素を指す。実施形態の特定の形態が図示および説明されているが、本発明の実施形態の精神ならびに範囲から逸脱することなく、種々の修正が行われ得ることが明白となるであろう。従って、本発明が先述の詳細な説明によって限定されることは意図されない。