JP7175433B1 - 加工面品位シミュレーション装置および加工面品位表示方法 - Google Patents

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Abstract

加工面品位シミュレーション装置(1a)は、加工プログラムに従って軸を駆動する工作機械について、工作機械によって加工される工作物における加工面の外観の特徴を模擬する加工面品位シミュレーション装置である。加工面品位シミュレーション装置(1a)は、軸の動作についてのデータである軸データに基づいて、外観を特徴付ける加工誤差であってあらかじめ設定された加工誤差が発生するか否かを判定する加工誤差発生判定部(11a)と、加工誤差によって生じる加工誤差形状を、工作機械が工作物を加工する際における加工条件と軸の位置とに基づいて計算する加工面形状計算部(12a)と、計算された加工誤差形状を描画する描画部(13a)と、を備える。

Description

本開示は、工作物における加工面の外観の特徴を模擬する加工面品位シミュレーション装置および加工面品位表示方法に関する。
工作機械は、加工プログラムに従って軸を駆動し、所望の形状の加工品を加工する機械装置である。高精度な加工を実現するための技術として、シミュレーションを用いて加工前に加工誤差の発生を予測する技術、または、加工中に工作機械が出力するデータを監視して加工誤差の発生を検知する技術が知られている。
特許文献1には、各計算ステップにおいて工具によって工作物から除去される部分の体積を、工具が通過する軌跡から計算し、加工後の形状を予測する3次元形状のシミュレーションについて開示されている。特許文献1の技術を用いることで、工具が通過する軌跡が既知である場合には、正確な加工形状を予測することができる。
特開2010-237843号公報
しかしながら、上記特許文献1にかかる従来の技術によると、3次元形状の高精度なシミュレーションを実現するためには多くの計算リソースが必要となり、加工後の形状の予測に時間がかかるという課題がある。また、上記特許文献1の技術では、加工後の形状を正確に予測できる一方、外観の見え方を模擬しているわけではないため、例えば数マイクロメートルの傷が生じた場合などにおいて表面の見え方の変化を確認することができない。
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、簡易な計算によって、加工面の外観の特徴を予測することができる加工面品位シミュレーション装置を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示にかかる加工面品位シミュレーション装置は、加工プログラムに従って軸を駆動する工作機械について、工作機械によって加工される工作物における加工面の外観の特徴を模擬する加工面品位シミュレーション装置である。本開示にかかる加工面品位シミュレーション装置は、軸の動作についてのデータである軸データに基づいて、軸の動作に起因する加工誤差が発生するか否かを判定する加工誤差発生判定部と、加工誤差が発生すると判定された場合に、加工誤差によって生じる加工誤差形状を、工作機械が工作物を加工する際における加工条件と軸の位置とに基づいて計算する加工面形状計算部と、計算された加工誤差形状を描画する描画部と、を備える。
本開示にかかる加工面品位シミュレーション装置は、簡易な計算によって、加工面の外観の特徴を予測することができるという効果を奏する。
実施の形態1にかかる数値制御工作機械の構成例を示す図 実施の形態1にかかる数値制御工作機械を構成するX軸駆動部の構成を説明するための模式図 実施の形態1における加工誤差のメカニズムの一例について説明するための図 実施の形態1における加工誤差の態様の一例について説明するための図 実施の形態1にかかる加工面品位シミュレーション装置の構成を示すブロック図 実施の形態1にかかる加工面品位シミュレーション装置による加工面品位シミュレーションの手順を示すフローチャート 実施の形態1における加工経路の第1の例を示す図 実施の形態1での加工時における加速度の波形の例を示す図 実施の形態1にかかる加工面品位シミュレーション装置により生成される画像の第1の例を示す図 実施の形態1にかかる加工面品位シミュレーション装置により描画される誤差軌跡の例を示す図 実施の形態1における工具と加工誤差形状との例を示す図 実施の形態1において工具を浮き上がらせる機械構造の変形について説明するための図 実施の形態1において精密加工を行う場合における加速度の波形の例を示す図 実施の形態1にかかる加工面品位シミュレーション装置により生成される画像の第2の例を示す図 実施の形態1における加工経路の第2の例を示す図 実施の形態1にかかる加工面品位シミュレーション装置により生成される画像の第3の例を示す図 実施の形態1にかかる制御回路の構成例を示す図 実施の形態1にかかる専用のハードウェア回路の構成例を示す図 実施の形態2にかかる加工面品位シミュレーション装置の構成を示すブロック図 実施の形態2にかかる加工面品位シミュレーション装置による加工面品位シミュレーションの手順を示すフローチャート 実施の形態2にかかる加工面品位シミュレーション装置により生成される画像の例を示す図 実施の形態3にかかる加工面品位シミュレーション装置の構成を示すブロック図 実施の形態3にかかる加工面品位シミュレーション装置による加工面品位シミュレーションの手順を示すフローチャート 実施の形態3にかかる加工面品位シミュレーション装置により生成される画像の例を示す図 実施の形態4において予測される工具の振動について説明するための図 実施の形態4にかかる加工面品位シミュレーション装置により生成される画像の例を示す図 実施の形態5にかかる加工面品位シミュレーション装置の構成を示すブロック図 実施の形態5にかかる加工面品位シミュレーション装置により生成される画像の例を示す図 実施の形態6にかかる加工面品位シミュレーション装置の構成を示すブロック図 実施の形態6にかかる加工面品位シミュレーション装置が有する機械学習装置の構成例を示すブロック図
以下に、実施の形態にかかる加工面品位シミュレーション装置および加工面品位表示方法を図面に基づいて詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる数値制御工作機械99の構成例を示す図である。数値制御工作機械99は、加工プログラムに従って軸を駆動する工作機械である。実施の形態1において、数値制御工作機械99は、直交3軸立形の切削加工機である。
数値制御工作機械99は、X軸を駆動するX軸駆動部93Xと、V軸を駆動するV軸駆動部93Vと、Y軸を駆動するY軸駆動部93Yと、Z軸を駆動するZ軸駆動部93Zと、主軸83とを有する。数値制御工作機械99は、タンデム駆動の工作機械であって、ガントリー構造と呼ばれる構造を備える。X軸駆動部93XおよびV軸駆動部93Vは、X方向にY軸駆動部93Yを駆動する。Y軸駆動部93Yは、Y方向にZ軸駆動部93Zを駆動する。Z軸駆動部93Zは、Z方向に主軸83を駆動する。主軸83は、工具76を回転させる。加工対象である工作物78は、ワークテーブル77に設置される。数値制御工作機械99は、X軸駆動部93X、V軸駆動部93V、Y軸駆動部93YおよびZ軸駆動部93Zによって主軸83を移動させながら工具76を回転させることで、工作物78を加工する。
数値制御工作機械99が行う作業は、加工プログラムに従って各軸を駆動し、切削加工によって工作物78の加工形状を実現することである。工作物78の加工形状が定められた基準を達成するかどうか、具体的には、予め設計されたとおりの形状精度および面精度を達成するかどうかで、数値制御工作機械99の作業の正否が判定される。
数値制御工作機械99において、各軸では、アクチュエータであるモータ71の回転運動が送りねじ73によって各軸の駆動方向への直進運動に変換される。この時、回転運動は案内機構72によって支持されるため、軸は送りねじ73の送り方向にのみ自由度を持つ。その結果、数値制御工作機械99では、各軸の直進運動が組み合わせられることによって、XYZの3次元空間内における工具76の運動、すなわち3自由度の工具76の運動が実現される。数値制御工作機械99は、主軸83を用いて工具76を回転させ、工作物78において工具76と干渉した部分の材料を除去することで、工作物78の3次元の加工形状を創成する。
つづいて、数値制御工作機械99を構成するX軸駆動部93X、V軸駆動部93V、Y軸駆動部93YおよびZ軸駆動部93Zについて説明する。ここでは、X軸駆動部93Xを例として説明するが、X軸駆動部93Xについて説明した内容は、V軸駆動部93V、Y軸駆動部93YおよびZ軸駆動部93Zの各々においても同様であるものとする。
図2は、実施の形態1にかかる数値制御工作機械99を構成するX軸駆動部93Xの構成を説明するための模式図である。図2に示すように、数値制御工作機械99は、指令値演算部9、サーボ制御部6aおよび機械装置部96を有する。機械装置部96は、駆動機構97および機械構造98を有する。指令値演算部9、サーボ制御部6aおよび駆動機構97は、X軸駆動部93Xを構成する。
駆動機構97は、X軸のモータ71の回転運動を直進運動に変換する役割と、かかる変換のための構成を支持する役割とを担う。X軸駆動部93Xにおいて、モータ71の回転運動は、カップリング74を介して送りねじ73に伝達され、ナット80および減速機79を介して直進運動に変換される。送りねじ73の直進運動は、支持軸受75a,75bにより拘束される。ナット80の直進運動によって、X軸を支持する支持体90とともに工具76がX方向に駆動する。支持体90は、工具76とナット80との間に介在するZ軸と支持のための構成とを総称したものとする。また、機械構造98の範囲は軸によって異なる。例えば、Z軸の駆動機構97は、X軸から見るとX軸のモータ71の運動を変換する役割がないため、X軸の機械構造98に含まれる。
X軸の位置指令Xcは、指令値演算部9から出力され、サーボ制御部6aに入力される。位置指令Xcは、加工プログラムに従って指令値演算部9で演算された位置を示すものであって、所望の制御状態における被駆動体の位置を示すものである。サーボ制御部6aは、検出位置Xdと位置指令Xcとの誤差が小さくなるようにフィードバック制御を行い、モータ71へモータ電流Ixを出力して駆動機構97を駆動する。検出位置Xdは、モータ71に取り付けられた回転角検出器2により検出されたモータ71の回転角度に送りねじ73のねじピッチを乗じることによって得られる。駆動機構97には、制御対象である工具76を含む機械構造98が接続されている。
サーボ制御部6aは、フィードバック制御によって、位置指令Xcで示される位置に検出位置Xdを一致させる制御を行う。ただし、フィードバック制御が行われても、加工中に工具76の先端位置と工作物78の加工点との間に誤差が生じ、工作物78において材料の削り残しまたは削りすぎなどが生じることによって、加工誤差が発生する場合がある。
図3は、実施の形態1における加工誤差のメカニズムの一例について説明するための図である。図3では、X軸駆動部93Xの運動による支持体90の変形に起因する加工誤差であって、フィードバック制御では対応できない加工誤差について示す。
X軸駆動部93Xが加減速を行う場合、モータ71の駆動力が送りねじ73を介して支持体90に伝達される。支持体90の剛性が十分でない場合は、モータ71の駆動力が支持体90に伝達されることによって、支持体90が変形する。この変形によって、工具76はZ方向に変位する。X軸駆動部93Xの回転角検出器2は、X方向に生じるX軸駆動部93Xの誤差を検出することができる一方、Z方向に生じる誤差を検出できない。また、この変形はZ軸駆動部93Zの外側で生じるため、X軸駆動部93Xの回転角検出器2でも検出できない。
結果として、かかる支持体90の変形はいずれの軸の回転角検出器2でも検出されないため、かかる変形に対してフィードバック制御は機能しない。支持体90の変形によって工具76が工作物78に食い込み、加工誤差が発生する。工具76は回転運動をしているため、工作物78と干渉したときに工作物78の表面から円形に材料を削り取る。かかる加工誤差によって、円形の加工痕である加工誤差形状が生じる。
図4は、実施の形態1における加工誤差の態様の一例について説明するための図である。図4では、ストレートエンドミルと呼ばれる円筒形の工具76を用いて、X方向に軸が移動しながら一定速で加工を行っている際に上述の変形が生じた場合の例を示す。工具76の運動方向21は、X方向である。図4では、X方向における中央付近でX軸が減速したときに生じる加工誤差形状をZ方向から見た様子を模式的に示す。また、図4では、参考として、X方向に軸を移動させている際における機械構造98の姿勢の変化を模式的に示す。
図4に示す例では、運動方向21へ工具76が移動する距離の中央付近で工具76が減速する。かかる中央付近では、機械構造98の姿勢変化によって工具76が工作物78に沈み込むことによって、工作物78の表面から必要以上に材料が除去される。このため、工作物78の表面には、工具76の外形と同じ直径の円形の加工痕が残される。このように、工作物78のうち加工が行われている加工面には、加工面の外観を特徴付ける加工誤差形状が生じる。加工誤差形状とは、加工誤差によって加工面に生じる形状とする。実施の形態1において例示する加工誤差形状20は、軸の加速または減速の際に工具76が工作物78に沈み込むことによって生じるスタンプマーク形状である。工具76は回転しながらX方向に進むため加工誤差形状20は完全な円ではないが、ここでは加工誤差形状20が円であるものとする。
なお、図3および図4では、誤差発生のメカニズムを分かり易く説明するため機械構造98の姿勢変化を強調して示した。実際の加工で生じる姿勢変化の大きさは、例えば、金属を加工する数値制御工作機械99では百マイクロメートル程度以下、高精度な数値制御工作機械99であれば数マイクロメートル程度以下であって、誤差発生の瞬間における機械構造98の姿勢変化を目視で確認することは難しい。しかしながら、金属の加工面の場合は、加工誤差が数マイクロメートル程度であっても光の反射や干渉の様子が変化するため、加工誤差は、人の目には目立つ加工面の特徴として感受される。そのため、たとえ寸法の精度が設計された公差内であっても人の目で見た加工面の品位が不十分と判断され加工不良とみなされることがある。加工面品位の不良が発生した場合、加工のやり直し、および、不良となった工作物78の廃棄などが発生するため、好ましくない。このような加工面の外観を特徴づける加工誤差の例としては、機械構造98の振動によって生じる縞模様、または、摩擦によって生じる象限突起に起因する筋状模様などが挙げられる。
図5は、実施の形態1にかかる加工面品位シミュレーション装置1aの構成を示すブロック図である。加工面品位シミュレーション装置1aは、工作機械によって加工される工作物78における加工面の外観の特徴を模擬する加工面品位シミュレーションを行う。加工面品位シミュレーション装置1aは、加工誤差によって加工面に生じる外観の特徴である加工誤差形状を模擬する。加工面品位シミュレーション装置1aは、加工面品位シミュレーションを行うことによって、加工面品位を予測する。
加工面品位シミュレーション装置1aは、加工誤差が発生するか否かを判定する加工誤差発生判定部11aと、加工誤差形状を計算する加工面形状計算部12aと、計算された加工誤差形状を描画する描画部13aとを有する。
加工誤差発生判定部11aには、数値制御工作機械99の各軸についての軸データが入力される。軸データは、軸の動作についてのデータであって、位置フィードバック、速度フィードバック、加速度フィードバック、位置指令、速度指令および加速度指令のうちの1つ以上の組み合わせ、または、それらすべてである。加工誤差発生判定部11aは、軸の動作に起因する誤差としてあらかじめ設定された誤差が発生するか否かを、軸データに基づいて判定する。加工誤差発生判定部11aは、加工面の外観を特徴付ける加工誤差ごとに、発生の有無を判定する。加工誤差発生判定部11aは、位置フィードバックと判定結果とを加工面形状計算部12aへ出力する。
加工面形状計算部12aは、加工誤差が発生すると判定された場合、各軸の位置フィードバックと加工条件情報とから、加工誤差によって生じる加工誤差形状と加工誤差形状が生じる位置とを計算する。加工条件情報は、数値制御工作機械99が工作物78を加工する際における加工条件の情報である。
描画部13aは、加工面形状計算部12aによって計算された加工誤差形状が、加工面形状計算部12aによって計算された位置に形成された状態を示す画像を生成する。描画部13aは、指定された視線方向から工作物78を見たときの加工面品位を模擬した画像を生成する。描画部13aは、生成された画像を出力する。
次に、加工面品位シミュレーション装置1aによる加工面品位シミュレーションについて説明する。図6は、実施の形態1にかかる加工面品位シミュレーション装置1aによる加工面品位シミュレーションの手順を示すフローチャートである。
ステップS1において、加工面品位シミュレーション装置1aは、時刻データを初期化する。ここでは、加工面品位シミュレーション装置1aは、計算に使用する時刻tを初期化する。ステップS2において、加工面品位シミュレーション装置1aは、計算ステップを更新する。ここでは、加工面品位シミュレーション装置1aは、計算ステップに相当するdtだけ時刻を進め、t=t+dtとする。実施の形態1において、計算ステップは、計算が行われる時間間隔である。
ステップS3において、加工面品位シミュレーション装置1aは、軸データを取得する。加工面品位シミュレーション装置1aは、数値制御工作機械99の場合は、X軸、V軸、Y軸、Z軸および主軸83の各々について、位置フィードバック、速度フィードバック、加速度フィードバック、位置指令、速度指令および加速度指令である6個の状態量を取得する。
ステップS4において、加工面品位シミュレーション装置1aは、あらかじめ設定された加工誤差が発生したか否かを判定する。ここでは、加工誤差発生判定部11aは、工作物78の表面の外観を特徴づけるあらかじめ設定された加工誤差ごとに誤差の発生の判定を行う。例えば、外観を特徴付ける誤差として、X方向における機械構造98の変形に起因して工具76が工作物78の表面に対し沈み込むことによって生じる加工誤差であるX方向誤差と、Y方向における機械構造98の変形に起因して工具76が工作物78の表面に対し沈み込むことによって生じる加工誤差であるY方向誤差とが設定されているとする。この場合、加工誤差発生判定部11aは、X方向誤差とY方向誤差との各々について、発生の有無を判定する。誤差発生の有無を判定する方法については後述する。
あらかじめ設定されたいずれの加工誤差も発生しないと判定された場合(ステップS4,No)、加工面品位シミュレーション装置1aは、ステップS2へ手順を戻す。一方、あらかじめ設定された加工誤差の少なくとも1つが発生すると判定された場合(ステップS4,Yes)、加工面品位シミュレーション装置1aは、ステップS5へ手順を進める。
ステップS5において、加工面品位シミュレーション装置1aは、加工面形状計算部12aにおいて加工誤差形状を計算する。加工面形状計算部12aは、ステップS2において設定された時刻における軸についての位置フィードバックを基に、加工誤差形状を計算する。この時、加工面形状計算部12aは、加工条件情報を用いて、加工誤差形状を計算する。すなわち、加工面形状計算部12aは、加工誤差によって生じる加工誤差形状を、加工条件情報と軸の位置を示す情報である位置フィードバックとに基づいて計算する。加工誤差形状の計算方法については後述する。加工面形状計算部12aは、加工誤差形状の計算結果を描画部13aへ出力する。また、加工面形状計算部12aは、加工誤差形状の位置を計算し、計算結果である位置情報を描画部13aへ出力する。
ステップS6において、加工面品位シミュレーション装置1aは、加工誤差形状の外観を示す画像データを計算する。描画部13aは、画像データの計算により、ステップS5において計算された加工誤差形状を描画する。加工面品位シミュレーション装置1aの操作者が希望する角度から加工面を見たときの外観を示す画像データを計算する。視認方向を示す角度は、操作者によるパラメータ等の入力によってあらかじめ設定される。または、操作者が画面を見ながらマウス等により画面を操作することによって、視認方向を示す角度が指定される。
ステップS7において、加工面品位シミュレーション装置1aは、加工が終了したか否かを判定する。加工が終了していない場合(ステップS7,No)、加工面品位シミュレーション装置1aは、ステップS2へ手順を戻す。一方、加工が終了した場合(ステップS7,Yes)、加工面品位シミュレーション装置1aは、図6に示す手順による動作を終了する。
次に、加工誤差発生判定部11aにより誤差発生の有無を判定する方法について説明する。図7は、実施の形態1における加工経路の第1の例を示す図である。図7では、加工経路を破線矢印により示す。図7には、工具76が工作物78の1つの表面を加工する場合における加工経路の例を示す。この加工では、Z方向には工具76は移動せず、XY平面内において工具76を移動させるものとする。工具76にはストレートエンドミルを用いるものとする。工具76は、工作物78の外部の加工開始位置P1から移動を開始し、工作物78の外周部から工作物78の中心に向かう渦巻状の加工経路に沿って反時計回りに工作物78のXY平面内を移動しながら工作物78の表面を加工する。工具76は、工作物78のXY平面における中心付近の加工終了位置P2に到達するまで、工作物78の表面を加工する。
図8は、実施の形態1での加工時における加速度の波形の例を示す図である。図8には、X軸およびY軸の各々の加速度の波形であって、図7に示す加工経路において工具76を移動させる場合における加速度の波形を示す。ただし、X方向の運動は、タンデム軸であるX軸およびV軸の同期運動によって生じる。一般に、タンデム軸ではマスター軸とスレーブ軸とはほぼ同じ動きをすることから、誤差発生の有無はX軸の加速度を基に判定するものとする。ただし、X軸と独立してV軸で誤差の発生を判定しても良いし、V軸を基準に加工誤差の発生を判定しても良い。
図8では、X方向への機械構造98の変形による誤差の判定基準である閾値Th1と、Y方向への機械構造98の変形による誤差の判定基準である閾値Th2とを点線により示す。各閾値Th1,Th2は、事前に実施する加工試験によって決定される。閾値Th1には、X軸加速度とZ方向の変位量との関係を事前に測定しておき、加工試験によって加工不良と判断される加速度の値を用いることができる。閾値Th1,Th2には、工作機械ごとに共通の値が使用されても良く、工具76または工作物78の組み合わせごとにあらかじめ異なる値が設定されても良い。閾値Th1,Th2には、1刃あたりの送り量または送り速度といった加工条件情報ごとに異なる値が設定されても良い。
図8では、X軸が正方向に加速する場合において、加速度が閾値Th1を超えることによって誤差が発生すると判定される箇所が5つある。これに対し、Y軸については、誤差が発生すると判定される箇所は存在していない。図1に示す数値制御工作機械99の場合、X方向において主軸83がせり出た位置に配置された構造であることによってX方向については容易に変形する一方、Y方向についてはガントリー構造によってX軸およびV軸の2つの構造物で支えられていることによって変形しにくい、という特性を持つためである。
なお、上記説明において誤差発生の判定に用いられるアルゴリズムは一例であって、適宜変更しても良い。例えば、誤差の判定基準である閾値は、速度指令と速度フィードバックとの差異である速度偏差について設定されても良い。位置を示す値が、位置について設定された閾値を超え、かつ、加速度が、加速度について設定された閾値を超えた場合に、誤差が発生したと判定しても良い。または、加速度の値にフィルタ処理を施した結果に対して閾値が設定されても良い。誤差発生の判定式は、機械構造98における誤差発生の態様に応じて適宜設定することができる。
図9は、実施の形態1にかかる加工面品位シミュレーション装置1aにより生成される画像の第1の例を示す図である。図9には、XY平面のうち誤差発生と判定された位置に、工具76の直径と同じ直径の円である加工誤差形状22を配置することによって、加工面における加工誤差形状22を描画した例を示す。この例において発生した加工誤差は、円形の加工誤差形状22によって特徴付けられる加工誤差である。加工誤差形状22は、上記の加工誤差形状20と同様に、軸の加速または減速の際に工具76が工作物78に沈み込むことによって生じるスタンプマーク形状である。
加工面形状計算部12aは、加工誤差が発生すると判定された工作物78上の範囲において、加工誤差発生位置での加工誤差を模擬するように工具76の直径と等しい直径の加工誤差形状22を計算する。加工誤差形状22は、3次元空間内における加工誤差を模擬した形状を記述したものである。描画部13aは、加工誤差形状22を任意の角度から見たときの画像データを計算することによって、加工誤差形状22を任意の角度から見た状態の画像を描画する。描画部13aは、描画した画像を出力する。図9に示す例では、描画部13aが描画する画像は、XY平面の画像、すなわち2次元画像である。図9に示す2次元画像は、Z方向のうちの正方向から工作物78を見たときの画像である。なお、描画部13aは、Z方向に対して斜めの方向、例えばZ方向に対して45度の方向から工作物78を見た状態の画像を生成する場合には、3次元座標変換などを行って2次元画像を生成する。
図9に示す例では、加工誤差形状22の計算時間を短縮させるために加工誤差形状22を単純な円形状とした。加工面形状計算部12aは、加工に使用される工具の軌跡であって加工誤差が発生するときにおける誤差軌跡を、加工誤差形状として計算しても良い。この場合、描画部13aは、加工誤差によって実際に形成される形状に沿った誤差軌跡を描画する。
図10は、実施の形態1にかかる加工面品位シミュレーション装置1aにより描画される誤差軌跡の例を示す図である。図10に示す軌跡24は、1枚刃のエンドミルの刃先が描く誤差軌跡の一例であって、工作物78を加工しながら主軸83が回転方向23へ3回転する間にエンドミルが運動方向21であるX方向へ移動した場合における刃先の軌跡である。この場合において刃先が描く軌跡24は、次に示す式(1)のように定式化される。
Figure 0007175433000001
ただし、vxはX方向への移動速度、Rは工具76の半径、ωは主軸83の角速度、δは主軸83の回転角に対する刃先位置の位相差とする。なお、2枚刃のエンドミルの場合は、位相が180度異なる2つの軌跡を重ね書きすることによって、誤差軌跡を描画できる。描画部13aは、このように、より現実の挙動に近い刃先の運動軌跡を計算して、誤差軌跡を描画しても良い。これにより、加工面品位シミュレーション装置1aは、加工誤差形状のより正確な外観をシミュレーションすることができる。
加工面の品位を重視する仕上げ加工の場合、荒加工の場合と比べてvxを小さくすることが一般的である。このため、仕上げ加工の場合は、誤差が発生する瞬間における刃先の形状は、円で近似しても差し支えない。加工面品位シミュレーション装置1aは、現実の運動軌跡を円運動で近似することにより、短時間で加工面形状を計算することが可能となる。
また、工作物78の表面の外観を特徴付ける加工誤差形状22は工具76によって異なるため、工具76ごとに適切な外観を特徴付ける加工誤差形状22を計算する必要がある。図11は、実施の形態1における工具76と加工誤差形状22との例を示す図である。ラジアスエンドミル25およびボールエンドミル26は、工具76の例である。図11には、ラジアスエンドミル25を側面から見た状態と、ラジアスエンドミル25による加工誤差形状22と、ボールエンドミル26を側面から見た状態と、ボールエンドミル26による加工誤差形状22とを示す。図11では、ラジアスエンドミル25による加工誤差形状22と併せて、ラジアスエンドミル25のうち刃先よりも根本側の部分を破線により示す。また、ボールエンドミル26による加工誤差形状22と併せて、ボールエンドミル26のうち刃先よりも根本側の部分を破線により示す。図11に示す2つの加工誤差形状22の各々は、機械構造98の変形によって生じる加工誤差形状22の例である。
ラジアスエンドミル25は、先端部に丸みがついている。ラジアスエンドミル25による加工誤差形状22は、ラジアスエンドミル25の外形よりも小さい円である。ボールエンドミル26は、ボールエンドミル26のうち先端の1点が工作物78と接触するため、加工誤差形状22は1つの点である。なお、加工誤差形状22は、工具76の刃先位置までの距離を基に求めても良い。加工誤差形状22は、加工実験等において実際に転写される形状の径を測定することによって求めても良い。
次に、上述とは異なる加工の場合における加工面品位を予測した例について述べる。ここでは、精密加工を行う場合の例を説明する。精密な加工を行う場合は、前述した工具76の工作物78に対する沈み込みだけではなく、工作物78に対する工具76の浮き上がりによって生じる削り残しによっても、加工面品位に影響する加工誤差を生じる場合がある。
図12は、実施の形態1において工具76を浮き上がらせる機械構造98の変形について説明するための図である。図12では、X軸駆動部93Xの運動により支持体90が変形して工具76が工作物78の表面よりも浮き上がっている様子を模式的に表している。このような状態においては、工作物78から工具76が浮き上がることによって工作物78には削り残しが生じる。このような場合、軸の加速度の絶対値に対して加工誤差発生の判定の閾値を設定する。
図13は、実施の形態1において精密加工を行う場合における加速度の波形の例を示す図である。図13では、図7に示す加工経路と同じ加工経路において精密加工を行う場合におけるX軸およびY軸の各々の加速度の波形の例を示す。図13には、軸の加速度フィードバックの絶対値を示す波形を示す。図13に示す破線は、誤差発生の閾値を表す。ただし、閾値は絶対値で指定されても良い。閾値としては、各軸で正方向に加速度が発生する場合における閾値と、負方向に加速度が発生する場合における閾値とが個別に設定されても良い。加工誤差発生の判定は、計算ステップごとに実施されても良く、加速度が発生した軸でのみ実施されても良い。加工誤差発生の判定は、加速度が発生した瞬間からあらかじめ設定された時間内において実施されても良い。
図13に示す例では、X軸およびY軸の各々について、加減速が行われる全ての瞬間において加速度フィードバックの絶対値が閾値を超えている。すなわち、X軸およびY軸の各々について、加減速が行われる全てのタイミングにおいて加工誤差が生じる。図14は、実施の形態1にかかる加工面品位シミュレーション装置1aにより生成される画像の第2の例を示す図である。図14には、図13に示すようにX軸およびY軸の各々について加工誤差が生じた場合に描画される画像の例を示す。
X軸の加減速の瞬間とY軸の加減速の瞬間との各々で加工誤差形状22が計算されることによって、図14に示すように、2重の円弧状の加工誤差形状22が計算される。図14において破線で示す円形状27は、加工開始直後において加速度フィードバックの絶対値が閾値を超えたことを表す。ただし、当該円形状27により表される加工誤差は工作物78の外部のものであることから、加工面形状計算部12aでは、当該円形状27は加工誤差形状22としては計算されない。加工面形状計算部12aは、加工条件情報に含まれる工作物78の設置位置の情報を基に、円形状27は工作物78の外部にあることを判断する。
次に、上述とは別の加工経路により工作物78を加工する場合における加工面品位を予測した例について述べる。図15は、実施の形態1における加工経路の第2の例を示す図である。図15では、破線矢印により加工経路を示す。図15に示す加工経路による、XY平面上における工具76の運動は、図7に示す加工経路の場合と同じである。図15に示す加工経路では、工作物78からZ方向において離れた位置に加工終了位置P2が設定されている点が、図7に示す加工経路とは異なる。加工終了位置P2は、例えば、機械の原点とする。図15に示す加工経路の場合、数値制御工作機械99は、工作物78のうちXY平面の中心付近からZ方向へ工具76を引き上げる動作によって、工具76を原点に復帰させる。
図16は、実施の形態1にかかる加工面品位シミュレーション装置1aにより生成される画像の第3の例を示す図である。図16には、図15に示す加工経路で工作物78が加工される場合に描画される画像の例を示す。図16において破線で示す円形状27は、工作物78からZ方向に工具76が引き上げられた後に、加速度フィードバックの絶対値が閾値を超えたことを表す。ただし、当該円形状27により表される加工誤差は工具76が工作物78の表面から離れた後のものであることから、加工面形状計算部12aでは、当該円形状27は加工誤差形状22としては計算されない。
実施の形態1によると、加工面品位シミュレーション装置1aは、外観を特徴付ける加工誤差であってあらかじめ設定された加工誤差が発生するか否かを軸データに基づいて判定し、加工誤差によって生じる加工誤差形状22を、加工条件情報と軸の位置とに基づいて計算する。加工面品位シミュレーション装置1aは、加工面を目視した場合に認識され得る加工誤差形状22を描画する。加工面品位シミュレーション装置1aは、3次元形状の高精度なシミュレーションが必要である場合と比べて簡易な計算によって、加工面品位の予測結果である画像を生成することができる。以上により、加工面品位シミュレーション装置1aは、簡易な計算によって、加工面の外観の特徴を予測することができるという効果を奏する。
次に、実施の形態1にかかる加工面品位シミュレーション装置1aを実現するハードウェアについて説明する。加工誤差発生判定部11a、加工面形状計算部12aおよび描画部13aは、処理回路により実現される。処理回路は、プロセッサがソフトウェアを実行する回路であっても良いし、専用の回路であっても良い。
処理回路がソフトウェアにより実現される場合、処理回路は、例えば、図17に示す制御回路である。図17は、実施の形態1にかかる制御回路200の構成例を示す図である。制御回路200は、入力部201、プロセッサ202、メモリ203および出力部204を備える。入力部201は、制御回路200の外部から入力されたデータを受信してプロセッサ202に与えるインターフェース回路である。出力部204は、プロセッサ202またはメモリ203からのデータを制御回路200の外部に送るインターフェース回路である。なお、入力部201には、操作者が加工面品位シミュレーション装置1aへ情報を入力するための入力デバイスが含まれても良い。出力部204には、描画部13aによって描画された画像を表示するための表示デバイスが含まれても良い。
処理回路が図17に示す制御回路200である場合、加工誤差発生判定部11a、加工面形状計算部12aおよび描画部13aは、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアまたはファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ203に格納される。処理回路では、メモリ203に記憶されたプログラムをプロセッサ202が読み出して実行することにより、各機能を実現する。すなわち、処理回路は、加工面品位シミュレーション装置1aの処理が結果的に実行されることになるプログラムを格納するためのメモリ203を備える。また、これらのプログラムは、加工面品位シミュレーション装置1aの手順および方法をコンピュータに実行させるものであるともいえる。
プロセッサ202は、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサ、またはDSP(Digital Signal Processor)ともいう)である。メモリ203は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスクまたはDVD(Digital Versatile Disc)等が該当する。
図17は、汎用のプロセッサ202およびメモリ203により各構成要素を実現する場合のハードウェアの例であるが、各構成要素は、専用のハードウェア回路により実現されても良い。図18は、実施の形態1にかかる専用のハードウェア回路205の構成例を示す図である。
専用のハードウェア回路205は、入力部201、出力部204および処理回路206を備える。処理回路206は、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせた回路である。加工面品位シミュレーション装置1aの各機能を機能別に処理回路206で実現しても良いし、各機能をまとめて処理回路206で実現しても良い。なお、各構成要素は、制御回路200とハードウェア回路205とが組み合わされて実現されても良い。
加工面品位シミュレーション装置1aは、ネットワークケーブルを介して数値制御工作機械99に接続されても良いし、無線ネットワークによって数値制御工作機械99に接続されても良い。または、加工面品位シミュレーション装置1aは、ネットワークに接続された数値制御工作機械99から物理的に遠隔地にあるサーバーまたはクラウド上に実装しても良い。
実施の形態2.
図19は、実施の形態2にかかる加工面品位シミュレーション装置1bの構成を示すブロック図である。実施の形態2では、上記の実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付し、実施の形態1とは異なる構成について主に説明する。加工面品位シミュレーション装置1bは、実施の形態1の加工面形状計算部12aとは異なる加工面形状計算部12bを有する。
加工誤差発生判定部11aは、加工誤差の発生についての判定結果と軸位置情報とを加工面形状計算部12bへ出力する。加工面形状計算部12bは、加工誤差が発生しないと判定された領域について、軸位置情報に基づいて包絡線を計算する。包絡線は、加工に使用されている工具76の外形が通過する軌跡を表す。描画部13aは、計算された加工誤差形状と計算された包絡線とを描画する。
図20は、実施の形態2にかかる加工面品位シミュレーション装置1bによる加工面品位シミュレーションの手順を示すフローチャートである。図20に示すステップS1からステップS4までの手順は、図6に示す実施の形態1の場合と同様である。
加工誤差が発生すると判定された場合(ステップS4,Yes)、加工面品位シミュレーション装置1bは、実施の形態1の場合と同様に、ステップS5において加工誤差形状を計算する。一方、加工誤差が発生しないと判定された場合(ステップS4,No)、加工面品位シミュレーション装置1bは、ステップS8へ手順を進める。
ステップS8において、加工面品位シミュレーション装置1bは、加工面形状計算部12bにおいて包絡線を計算する。包絡線は、加工を行う際に工具76の刃先が通過することによって生じる線形状であって、加工面品位に影響する加工誤差を模擬する加工誤差形状である。包絡線である加工誤差形状は、互いに隣接する加工経路同士の間におけるわずかな段差によって生じる。包絡線である加工誤差形状は、かかる段差において光が反射および干渉することで、目視において加工誤差として認識され得る。このため、実施の形態2では、加工面品位シミュレーション装置1bは、実施の形態1と同様に、機械構造98の変形によって生じる加工誤差形状の計算に加えて、機械構造98の変形による加工誤差が生じない領域では包絡線を計算する。加工面品位シミュレーション装置1bは、ステップS8の手順を終えると、ステップS6へ手順を進める。
ステップS5からステップS7の手順は、図6に示す実施の形態1の場合と同様である。描画部13aは、機械構造98の変形によって生じる加工誤差形状と包絡線とを含む画像を生成する。
図21は、実施の形態2にかかる加工面品位シミュレーション装置1bにより生成される画像の例を示す図である。図21には、円形の加工誤差形状22とともに包絡線30を描画した例を示す。包絡線30は、図7に示す場合と同様に工具76を移動させた場合における包絡線の例である。
実施の形態2によると、加工面品位シミュレーション装置1bは、包絡線を計算することによって、機械構造98の変形によって生じる加工誤差形状と包絡線とを含む画像を生成する。加工面品位シミュレーション装置1bは、互いに隣接する加工経路同士の間におけるわずかな段差による加工誤差を、加工面品位の要素の1つとして模擬することができる。
実施の形態3.
図22は、実施の形態3にかかる加工面品位シミュレーション装置1cの構成を示すブロック図である。実施の形態3では、上記の実施の形態1または2と同一の構成要素には同一の符号を付し、実施の形態1または2とは異なる構成について主に説明する。加工面品位シミュレーション装置1cは、実施の形態1または2の加工面形状計算部12a,12bとは異なる加工面形状計算部12cを有する。
加工誤差発生判定部11aは、加工誤差の発生についての判定結果と軸位置情報とを加工面形状計算部12cへ出力する。加工面形状計算部12cは、加工誤差が発生しないと判定された領域について、軸位置情報に基づいて包絡線を計算する。描画部13aは、計算された加工誤差形状と計算された包絡線とを描画する。
実施の形態2では、加工面品位シミュレーション装置1bは、工具76の刃先が通過するすべての軌跡の包絡線を描画した。ただし、加工条件によっては、加工経路のうち互いに隣接する部分の間隔が工具76の刃先同士の間の距離よりも短い場合がある。この場合、互いに隣接する部分のうち先に加工が行われる一方の包絡線が、他方の部分が加工されることによって消える場合がある。これとは逆に、先に加工が行われる一方の部分が深く切削されることで、他方の部分を工具76が通過したときに工具76が工作物78と接触しない場合がある。この場合、当該他方の部分では包絡線が生じないこともある。そこで、実施の形態3では、加工面形状計算部12cは、互いに隣接する包絡線である隣接包絡線が計算された領域について、隣接包絡線の1つを削除する。
図23は、実施の形態3にかかる加工面品位シミュレーション装置1cによる加工面品位シミュレーションの手順を示すフローチャートである。図23に示す手順では、図20と同様のステップS1からステップS8の手順に、ステップS9が追加されている。ステップS9において、加工面形状計算部12cは、隣接包絡線が計算された領域について、隣接包絡線の1つを削除する。
加工面形状計算部12cは、加工経路上の位置ごとにおける工具76が通過する順序を、加工経路の情報から取得する。加工面形状計算部12cは、加工経路のうち互いに隣り合う部分について、工具76が先に通過する部分と工具76が後に通過する部分とを認識する。隣接包絡線のうちどちらを削除するかは、加工条件情報から事前に設定される。包絡線の残り方は、取り付けられた工具76の傾きによって決まる場合があることから、工具76が交換される際に、隣接包絡線の削除についての設定が変更されても良い。加工面品位シミュレーション装置1cは、ステップS9の手順を終えると、ステップS6へ手順を進める。
ステップS5からステップS7の手順は、図6に示す実施の形態1の場合と同様である。描画部13aは、機械構造98の変形によって生じる加工誤差形状と包絡線とを含む画像を生成する。
なお、加工面形状計算部12cは、計算された加工誤差形状を削除する処理を、包絡線のみならず、包絡線以外の加工誤差形状に適用しても良い。例えば、加工面形状計算部12cは、機械構造98の変形によって生じる加工誤差形状同士が重なり合う領域について、一方の加工誤差形状を削除しても良い。または、加工面形状計算部12cは、機械構造98の変形によって生じる加工誤差形状と包絡線とが重なり合う領域について、加工誤差形状と包絡線との一方を削除しても良い。
図24は、実施の形態3にかかる加工面品位シミュレーション装置1cにより生成される画像の例を示す図である。図24には、円形の加工誤差形状22とともに包絡線30を描画した例を示す。包絡線30は、図7に示す場合と同様に工具76を移動させた場合における包絡線の例である。
図24に示す画像は、互いに重なり合う包絡線の一方が削除されており、かつ、互いに重なり合う包絡線と加工誤差形状22との一方が削除されている点が、図21に示す場合とは異なる。すなわち、図24に示す画像では、互いに重なり合う包絡線のうち、工具76が先に通過する一方の包絡線が削除されている。また、図24に示す画像では、互いに重なり合う包絡線と加工誤差形状22とのうち、工具76が先に通過する一方の包絡線または加工誤差形状22が削除されている。
実施の形態3によると、加工面品位シミュレーション装置1cは、隣接包絡線が計算された領域について隣接包絡線の1つを削除することで、加工によって消える包絡線、または、形成されない包絡線を描画しないようにできる。これにより、加工面品位シミュレーション装置1cは、より正確に加工面品位をシミュレーションすることが可能となる。
実施の形態4.
実施の形態4では、機械構造98の変形による加工誤差以外の加工誤差について、加工面品位シミュレーションを行う場合について説明する。実施の形態4にかかる加工面品位シミュレーション装置1cは、実施の形態3の場合と同様の構成を備える。実施の形態4では、上記の実施の形態1から3と同一の構成要素には同一の符号を付し、実施の形態1から3とは異なる構成について主に説明する。実施の形態4において、加工面品位シミュレーション装置1cは、機械構造98の振動によって加工面に生じる縞模様を模擬する。
工具76の加速度Atcp(s)は、軸の加速度Amot(s)を入力とする伝達関数G(s)で定式化される。伝達関数G(s)は、次の式(2)により表される。ただし、ζは振動の減衰、ωは振動周波数、Kは振幅比、sはラプラス演算子を表す。
Figure 0007175433000002
図25は、実施の形態4において予測される工具76の振動について説明するための図である。図25に示す波形は、機械構造98がY方向に振動することに起因する工具76の振動であって、Y方向における工具76の振動を表す。図25に示すグラフの縦軸はY軸の加速度より推測された工具振動、横軸は時刻である。閾値Th3は、誤差の判定基準である閾値であって、工具76の加速度の閾値とする。図25では、加速度が閾値Th3であるときにおける工具振動を点線により示す。閾値Th3は、事前に実施する加工試験によって決定される。
加工誤差発生判定部11aは、軸の加速度を入力とし、上記の伝達関数G(s)から工具76の加速度を判定する。工具76の加速度が閾値Th3を超えた計算ステップでは、工具76の振動による縞模様が発生する。
図26は、実施の形態4にかかる加工面品位シミュレーション装置1cにより生成される画像の例を示す図である。図26には、工具76の振動によって形成される円形の加工誤差形状22を描画した例を示す。図26に示すように、複数の加工誤差形状22がY方向において互いに重なり合って形成される。
なお、振動の発生を判定するための式と閾値Th3とは一例であって、適宜変更しても良い。振動の発生を判定するための式には、上記の伝達関数G(s)に代えて、軸の加速度Amot(s)を入力として工具76の変位Ytcp(s)を定式化した伝達関数G(s)が使用されても良い。軸の加速度Amot(s)を入力として工具76の変位Ytcp(s)を定式化した伝達関数G(s)は、次の式(3)により表される。誤差の判定基準である閾値は、工具振動の振幅により指定されても良い。変位Ytcp(s)は、Y方向の振動による変位とする。
Figure 0007175433000003
実施の形態4では、機械構造98がY方向に振動することとしたが、機械構造98がX方向に振動する場合、または、機械構造98がX方向およびY方向に振動する場合も、機械構造98がY方向に振動する場合と同様である。機械構造98がX方向に振動する場合は、X方向について加工誤差の発生が判定される。機械構造98がX方向およびY方向に振動する場合は、X方向およびY方向の各々について加工誤差の発生が判定される。
実施の形態4によると、加工面品位シミュレーション装置1cは、簡易な定式化によって、加工面品位を予測することができる。
加工誤差形状は、軸の加速または減速の際に工具76が工作物78に沈み込むことによって生じるスタンプマーク形状、または、軸の加速または減速の際に工具76または工作物78が振動することによって生じる縞模様形状に限られない。加工誤差形状は、工具76が工作物78に接触しないことによって生じるかすれ模様、または、軸の速度が不連続であることによって生じる波目模様などであっても良い。加工面品位シミュレーション装置1cは、加工誤差の態様に応じて、加工面品位に影響を及ぼす加工誤差形状の外観上の特徴を予測することができる。
実施の形態5.
図27は、実施の形態5にかかる加工面品位シミュレーション装置1dの構成を示すブロック図である。実施の形態5では、上記の実施の形態1から4と同一の構成要素には同一の符号を付し、実施の形態1から4とは異なる構成について主に説明する。加工面品位シミュレーション装置1dは、実施の形態1から4の描画部13aとは異なる描画部13bを有する。描画部13bは、加工後の工作物78の形状を表す3次元形状モデルの表面に加工誤差形状を重ね書きする描画処理を行う。
実施の形態5では、数値制御工作機械99の代わりにシミュレータ100からの軸データが加工誤差発生判定部11aへ入力される。シミュレータ100は、数値制御工作機械99の挙動を模擬するソフトウェアである。シミュレータ100は、加工プログラムを用いて、数値制御工作機械99が加工を行う際の数値制御工作機械99の挙動を模擬する。具体的には、シミュレータ100は、加工プログラムから、位置指令、速度指令および加速度指令を計算する。シミュレータ100は、加工プログラムから、位置フィードバック、速度フィードバックおよび加速度フィードバックを予測する。
シミュレータ100は、数値制御工作機械99に備えられる数値制御装置の機能を模擬したソフトウェアである。シミュレータ100は、数値制御工作機械99が有する各軸の特性を模擬する伝達関数または数式であっても良い。シミュレータ100は、位置指令、速度指令および加速度指令を入力とし、位置フィードバック、速度フィードバックおよび加速度フィードバックを学習する人工知能であっても良い。
描画部13bには、3次元形状データである3次元CAD(Computer Aided Design)情報と、加工面形状計算部12bにより計算された加工誤差形状とが入力される。3次元CAD情報は、加工後の工作物78の形状を表す。描画部13bは、3次元CAD情報を基に、加工後の工作物78の形状を表す3次元形状モデルを描画する。描画部13bは、あらかじめ設定された視点からの工作物78の見え方を模擬した3次元形状モデルを描画するとともに、加工面品位に影響を及ぼす加工誤差についての加工誤差形状を3次元形状モデルの表面に重ね合わせる。このようにして、描画部13bは、加工後の工作物78の形状を表す3次元形状モデルの表面に加工誤差形状を重ね書きする描画処理を行う。
図28は、実施の形態5にかかる加工面品位シミュレーション装置1dにより生成される画像の例を示す図である。図28には、加工後の工作物78を表すピラミッド型の3次元形状モデルに加工誤差形状22が重ね書きされた画像の例を示す。加工面品質に影響を及ぼす加工誤差が発生すると判定された位置に、加工誤差形状22の外観上の特徴を模擬した線図が重ね書きされる。
実施の形態5によると、加工面品位シミュレーション装置1dは、数値制御工作機械99の代わりにシミュレータ100に接続される場合において、数値制御工作機械99の挙動を模擬した結果を用いて加工面品位を予測することができる。また、加工面品位シミュレーション装置1dは、3次元形状モデルに加工誤差形状22を重ね書きすることによって、加工後の工作物78における加工誤差形状22の外観上の特徴をより分かり易く予測することができる。
実施の形態6.
図29は、実施の形態6にかかる加工面品位シミュレーション装置1eの構成を示すブロック図である。実施の形態6では、上記の実施の形態1から5と同一の構成要素には同一の符号を付し、実施の形態1から5とは異なる構成について主に説明する。加工面品位シミュレーション装置1eは、機械学習装置110を有する点が、実施の形態1から5にかかる加工面品位シミュレーション装置1a,1b,1c,1dとは異なる。また、加工面品位シミュレーション装置1eは、実施の形態1から5の加工誤差発生判定部11aとは異なる加工誤差発生判定部11bを有する。
機械学習装置110には、軸データと加工条件情報とを含む訓練データセットが入力される。機械学習装置110には、加工誤差発生位置の情報が入力される。加工条件情報には、工作物78の形状、工作物78の材質、工具径、工具材質、工具形状、刃数、1刃当たりの送り量、工具76の回転速度、機械構造情報、工具摩擦情報、および工具使用時間といった情報が含まれる。機械構造情報は、機械構造98の構成を特徴づける情報である。軸の位置ごとにおける、軸の位置、速度および加速度の各値に対して加減速時定数と指令速度と加工条件情報とが対応付けられた訓練データセットが構築される。
図30は、実施の形態6にかかる加工面品位シミュレーション装置1eが有する機械学習装置110の構成例を示すブロック図である。機械学習装置110は、状態観測部101と学習部102とを備える。状態観測部101は、軸データおよび加工条件情報を含む訓練データセットと、加工誤差発生位置の情報とを、状態変数として観測する。加工誤差発生位置の情報は、実際の加工誤差発生の判定結果を含む。すなわち、状態観測部101は、軸データと、加工条件情報と、実際の加工誤差発生の判定結果とを状態変数として観測する。学習部102は、訓練データセットに従って、加工誤差の発生の有無を判定するための判定値と加工条件との関係を学習する。
学習部102が用いる学習アルゴリズムはどのようなものを用いても良い。一例として、学習部102が用いる学習アルゴリズムに強化学習(Reinforcement Learning)を適用する場合について説明する。強化学習は、ある環境内におけるエージェントである行動主体が、現在の状態を観測し、取るべき行動を決定する、というものである。エージェントは行動を選択することで環境から報酬を得て、一連の行動を通じて報酬が最も多く得られるような方策を学習する。強化学習の代表的な手法として、Q学習(Q-Learning)およびTD学習(TD-Learning)などが知られている。例えば、Q学習の場合、行動価値関数Q(s,a)の一般的な更新式である行動価値テーブルは、次の式(4)で表される。行動価値関数Q(s,a)は、環境「s」のもとで行動「a」を選択する行動の価値である行動価値Qを表す。
Figure 0007175433000004
上記の式(4)において、「st+1」は、時刻「t」における環境を表す。「a」は、時刻「t」における行動を表す。行動「a」によって、環境は「st+1」に変わる。「rt+1」は、その環境の変化によってもらえる報酬を表す。「γ」は、割引率を表す。「α」は、学習係数を表す。Q学習を適用した場合、加工誤差の判定値が行動「a」となる。
上記の式(4)により表される更新式は、時刻「t+1」における最良の行動「a」の行動価値が、時刻「t」において実行された行動「a」の行動価値Qよりも大きければ、行動価値Qを大きくし、逆の場合は、行動価値Qを小さくする。換言すれば、時刻「t」における行動「a」の行動価値Qを、時刻「t+1」における最良の行動価値に近づけるように、行動価値関数Q(s,a)を更新する。それにより、ある環境における最良の行動価値が、それ以前の環境における行動価値に順次伝播する。
学習部102は、報酬計算部103および関数更新部104を有する。報酬計算部103は、状態変数に基づいて報酬を計算する。関数更新部104は、報酬計算部103によって算出される報酬に従って、加工誤差の判定値を決定するための関数を更新する。
具体的には、報酬計算部103は、加工誤差発生判定部11bから出力される加工誤差の判定値と実際に観測された加工誤差の有無に基づいて、報酬「r」を計算する。例えば、加工条件を変更した結果、加工誤差の判定値が実際の加工誤差発生の判定結果と一致する場合において、報酬計算部103は、報酬「r」を増大させる。報酬計算部103は、報酬の値である「1」を与えることによって報酬「r」を増大させる。なお、報酬の値は「1」に限られない。また、加工条件を変更した結果、加工誤差の判定値が実際の加工誤差発生の判定結果と一致しない場合において、報酬計算部103は、報酬「r」を低減させる。報酬計算部103は、報酬の値である「-1」を与えることによって報酬「r」を低減させる。なお、報酬の値は「-1」に限られない。
学習部102は、加工誤差発生位置の情報から、実際の加工誤差発生の判定結果を取得する。なお、実際の加工誤差発生の判定結果は、加工誤差発生の判定を行う作業者が目視により加工誤差の発生の有無を判定した結果であっても良い。実際の加工誤差発生の判定結果には、加工面の凹凸情報から抽出された加工誤差の大きさの情報が使用されても良い。加工面の凹凸情報は、3次元測定器(Coordinate Measuring Machine:CMM)またはマイクロスコープといった機器の使用によって取得される。
関数更新部104は、報酬計算部103によって計算される報酬に従って、加工誤差の判定値を決定するための判定モデルである関数を更新する。関数の更新は、訓練データセットに従って、例えば行動価値テーブルを更新することによって行うことができる。行動価値テーブルは、任意の行動と、その行動価値とを関連付けてテーブルの形式で記憶したデータセットである。例えばQ学習の場合、上記の式(4)により表される行動価値関数Q(s,a)を、加工誤差の判定値を決定するための関数として用いる。
ここまで、学習部102が用いる学習アルゴリズムに強化学習を適用する場合について説明したが、学習アルゴリズムには、強化学習以外の学習が適用されても良い。学習部102は、強化学習以外の公知の学習アルゴリズム、例えば、深層学習(Deep Learning)、ニューラルネットワーク、遺伝的プログラミング、帰納論理プログラミングまたはサポートベクターマシンといった学習アルゴリズムを用いて機械学習を実行しても良い。
学習部102は、数値制御工作機械99のすべての軸の情報を含めた訓練データセットを構築して、加工誤差の判定値を決定するための判定モデルを学習しても良く、数値制御工作機械99の軸ごとに訓練データセットを構築して、加工誤差の判定値を決定するための軸ごとの判定モデルを学習しても良い。
学習部102は、加工面品位シミュレーション装置1eに内蔵されるものに限られない。学習部102は、加工面品位シミュレーション装置1eの外部の装置により実現されても良い。この場合、学習部102として機能する装置は、ネットワークを介して加工面品位シミュレーション装置1eに接続可能な装置であっても良い。学習部102として機能する装置は、クラウドサーバ上に存在する装置であっても良い。機械学習装置110は、図17と同様のプロセッサ202およびメモリ203、または、図18と同様の処理回路206により実現される。
機械学習装置110は、学習部102での学習結果である判定モデルを加工誤差発生判定部11bへ出力する。加工誤差発生判定部11bは、判定モデルに基づいて判定値を計算する。加工誤差発生判定部11bは、計算された判定値に基づいて、加工面品位に影響する加工誤差が発生するか否かを判定する。
実施の形態6によると、加工面品位シミュレーション装置1eは、加工誤差の判定値と加工条件との関係を学習することによって、加工面品位に影響する加工誤差の発生条件が加工条件によって複雑に変化する場合において、加工面品位に影響する加工誤差の発生を高精度に予測することが可能となる。
以上の各実施の形態に示した構成は、本開示の内容の一例を示すものである。各実施の形態の構成は、別の公知の技術と組み合わせることが可能である。各実施の形態の構成同士が適宜組み合わせられても良い。本開示の要旨を逸脱しない範囲で、各実施の形態の構成の一部を省略または変更することが可能である。
1a,1b,1c,1d,1e 加工面品位シミュレーション装置、2 回転角検出器、6a サーボ制御部、9 指令値演算部、11a,11b 加工誤差発生判定部、12a,12b,12c 加工面形状計算部、13a,13b 描画部、20,22 加工誤差形状、21 運動方向、23 回転方向、24 軌跡、25 ラジアスエンドミル、26 ボールエンドミル、27 円形状、30 包絡線、71 モータ、72 案内機構、73 送りねじ、74 カップリング、75a,75b 支持軸受、76 工具、77 ワークテーブル、78 工作物、79 減速機、80 ナット、83 主軸、90 支持体、93V V軸駆動部、93X X軸駆動部、93Y Y軸駆動部、93Z Z軸駆動部、96 機械装置部、97 駆動機構、98 機械構造、99 数値制御工作機械、100 シミュレータ、101 状態観測部、102 学習部、103 報酬計算部、104 関数更新部、110 機械学習装置、200 制御回路、201 入力部、202 プロセッサ、203 メモリ、204 出力部、205 ハードウェア回路、206 処理回路。

Claims (10)

  1. 加工プログラムに従って軸を駆動する工作機械について、前記工作機械によって加工される工作物における加工面の外観の特徴を模擬する加工面品位シミュレーション装置であって、
    前記軸の動作についてのデータである軸データに基づいて、前記軸の動作に起因する加工誤差が発生するか否かを判定する加工誤差発生判定部と、
    前記加工誤差が発生すると判定された場合に、前記加工誤差によって生じる加工誤差形状を、前記工作機械が前記工作物を加工する際における加工条件と前記軸の位置とに基づいて計算する加工面形状計算部と、
    計算された前記加工誤差形状を描画する描画部と、
    を備えることを特徴とする加工面品位シミュレーション装置。
  2. 前記描画部が描画する画像は、2次元画像であることを特徴とする請求項1に記載の加工面品位シミュレーション装置。
  3. 前記描画部は、加工後の前記工作物の形状を表す3次元形状モデルの表面に前記加工誤差形状を重ね書きする描画処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の加工面品位シミュレーション装置。
  4. 前記加工誤差発生判定部は、前記軸の加速度または前記軸の速度偏差が、前記軸および前記加工誤差に対応付けられて設定された閾値を超えた場合に、前記加工誤差が発生すると判定することを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の加工面品位シミュレーション装置。
  5. 前記軸データと前記加工条件の情報と実際の加工誤差発生の判定結果とを状態変数として観測する状態観測部と、
    前記状態変数に基づいて作成されるデータセットに従って、前記加工誤差が発生するか否かを判定するための判定値と前記加工条件との関係を学習する学習部と、
    を備え、
    前記加工誤差発生判定部は、前記学習部での学習結果に基づいて計算された前記判定値に基づいて前記加工誤差が発生するか否かを判定することを特徴とする請求項1からのいずれか1つに記載の加工面品位シミュレーション装置。
  6. 前記加工面形状計算部は、加工に使用される工具の軌跡であって前記加工誤差が発生するときにおける誤差軌跡を、前記加工誤差形状として計算することを特徴とする請求項1からのいずれか1つに記載の加工面品位シミュレーション装置。
  7. 前記加工誤差形状は、加工に使用される工具が前記軸の加速または減速の際に前記工作物に沈み込むことによって生じるスタンプマーク形状、前記軸の加速または減速の際に前記工具または前記工作物が振動することによって生じる縞模様形状、前記工具が前記工作物に接触しないことによって生じるかすれ模様、または、前記軸の速度が不連続であることによって生じる波目模様であることを特徴とする請求項1からのいずれか1つに記載の加工面品位シミュレーション装置。
  8. 前記加工面形状計算部は、前記加工誤差が発生しないと判定された領域について、加工に使用される工具の外形が通過する軌跡を表す包絡線を計算し、
    前記描画部は、計算された前記加工誤差形状と計算された前記包絡線とを描画することを特徴とする請求項1からのいずれか1つに記載の加工面品位シミュレーション装置。
  9. 前記加工面形状計算部は、互いに隣接する前記包絡線である隣接包絡線が計算された領域について、前記隣接包絡線の1つを削除することを特徴とする請求項8に記載の加工面品位シミュレーション装置。
  10. 加工プログラムに従って軸を駆動する工作機械について、前記工作機械によって加工される工作物における加工面の外観の特徴を模擬した画像を表示する加工面品位表示方法であって、
    前記軸の動作についてのデータである軸データに基づいて、前記軸の動作に起因する加工誤差が発生するか否かを判定するステップと、
    前記加工誤差が発生すると判定された場合に、前記加工誤差によって生じる加工誤差形状を、前記工作機械が前記工作物を加工する際における加工条件と前記軸の位置とに基づいて計算するステップと、
    計算された前記加工誤差形状を描画するステップと、
    を含むことを特徴とする加工面品位表示方法。
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