JP7169859B2 - 撮像装置及びその制御方法、プログラム、記憶媒体 - Google Patents

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本発明は、フリッカ光源下においてHDR動画を撮影する技術に関する。
撮像素子の電子シャッタの方式にはグローバルシャッタとスリットローリングシャッタがある。それぞれの方式でフリッカ光源下での撮影を行うと、前者では、画像全体の明るさがフリッカにより変化する所謂面フリッカが発生する。後者では、被写体を撮像することで得られた画像に明暗差が生じる所謂ラインフリッカが発生する。フリッカによる影響を軽減するため、各シャッタ方式によって発生するフリッカを検出及び補正する技術が既に知られている。例えば、特許文献1には、スリットローリングシャッタによって発生したラインフリッカの検出方法と補正方法が開示されている。
ところで、近年撮像素子のダイナミックレンジを超える階調を表現するために、複数の露光条件で撮像した画像を合成する、HDR(ハイダイナミックレンジ)合成が提案されており、合成した画像を動画として記録するHDR動画技術も提案されている。このHDR動画を生成するための1つの方法として、基準の輝度に対して所定の露出段差をつけた一つまたは複数の露光条件の組み合わせで(例えば、適正露出と2段アンダーなど)連続的に蓄積を行い、読み出された画像を合成して動画の1フレームとして記録する方法がある。特許文献2には、このようなHDR動画駆動に特化したフリッカ検出方法とその補正方法に関する技術が提案されている。
特開2009-17213号公報 特開2014-179924号公報
特許文献1に記載のフリッカ検出方法は、連続して撮像した画像を用いて時間方向に定常的な画像信号を抽出し、撮像した1フレームの画像を除算することによりフリッカの明滅成分を抽出して、フリッカを検出する方法である。ただし、HDR動画のように異なる露光条件の撮像を連続的に行う撮影モードでこのようなフリッカ検出を行うと、時間方向に定常的な画像信号が露光条件によって変化してしまう。特許文献2に記載のフリッカ検出方法では、露光条件ごと(例えば、適正露出と2段アンダーなど)にフリッカ成分を抽出する抽出器を備え、フリッカを検出する技術が提案されている。
しかしながら、露光条件ごとにフリッカの検出器を備える場合、合成する露光条件が増えるごとにハード構成やメモリの規模が増大する問題がある。
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、フリッカ光源下でHDR動画撮影を行う場合に、ハード構成やメモリの規模の増大を抑制しつつ、フリッカを検出することである。
本発明に係わる撮像装置は、被写体像を撮像して画像信号を出力する撮像素子と、れぞれの撮像ごとに蓄積時間または感度を変更して、前記撮像素子に複数回の撮像を行わせる制御手段と、前記複数回の撮像で得られる複数の画像信号のうちの基準となる画像信号に対する他の画像信号の蓄積時間または感度の差に基づいて、前記他の画像信号の信号レベルを調整する調整手段と、前記基準となる画像信号および前記調整手段による信号レベル調整後の前記他の画像信号からフリッカを検出する検出手段と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、フリッカ光源下でHDR動画撮影を行う場合に、ハード構成やメモリの規模の増大を抑制しつつ、フリッカを検出できる。
本発明の撮像装置の一実施形態であるデジタルカメラのブロック構成を示す図。 一実施形態におけるフリッカ検出部の構成を示すブロック図。 HDR動画モードでの露光条件の組み合わせを示した図。 一実施形態におけるフリッカの検出動作を示すフローチャート。
以下、本発明の撮像装置の一実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
<撮像装置の構成>
図1は、本発明の撮像装置の一実施形態であるデジタルカメラ100のブロック構成を示す図である。
絞りや減光フィルタにより露出を制御する機構、およびフォーカス動作やズーム動作を制御する機構を含むレンズ群101は、入射した光を撮像素子103上に結像させ、光学像(被写体像)を形成する。形成された光学像は撮像素子103によって電気信号へと変換され、信号処理部104に出力される。この際、レンズ群101に含まれる絞りの駆動、減光フィルタの変更、撮像素子103における蓄積時間の制御、電気信号の増幅率の制御等により、撮像画像の露出が制御される。信号処理部104は、得られた画像信号に対し、ゲイン補正などの輝度補正、ホワイトバランス補正などの色補正、その他の信号処理などを施した上で、処理された画像信号を画像合成部105に出力する。画像合成部105では時系列順に入力された複数の画像を用いて、ダイナミックレンジの拡大されたHDR(ハイダイナミックレンジ)画像を生成し、記録処理部106に出力する。
その際、画像合成部105は、時系列的に入力された入力画像の露出差に応じた非線形な階調変換処理を施すことにより輝度整合を行い、対応する画素同士の輝度値から合成比率を決定し、画素ごとに合成を行う。時系列順に入力された複数の画像から合成を行う際には、一度記憶領域に画像を記憶する必要がある。画像信号を記憶する記録領域はどこに存在してもよく、たとえば入力された画像を保持する記憶領域を画像合成部105の内部に備え、時系列順に入力された画像の合成に用いてもよい。
また、本実施形態ではHDR動画について説明を行うが、当然通常のカメラモードとして動作することも可能である。その場合は、画像合成部105で画像合成を行わずに入力された画像をそのまま出力する構成であってもよい。この場合、例えば、外部のクライアント装置などの電子機器において、デジタルカメラ100から出力された画像に基づくHDR動画の生成を行う構成であればよい。
前述した処理を経て記録処理部106から出力された記録可能な形式の画像信号は、記録媒体107に記録される。この一連の画像処理の流れは、各ブロックがカメラ制御部108によって制御されることにより実行される。カメラ制御部108は、マイクロコンピュータからなり、ROM115に格納されている制御プログラムをRAM113に展開して実行することにより、デジタルカメラ100全体を制御する。RAM113は、カメラ制御部108の作業領域としても使用される。
カメラ制御部108は操作部109を通じてユーザからの操作を受け付け、設定されている撮影のモードや被写体の明るさに応じて、ズーム、フォーカス、撮影画像の明るさに関するパラメータを設定する。設定されたパラメータはレンズ制御部102、露出制御部110に伝達され、設定値に応じた制御位置、制御状態となるように各ブロックが制御される。フリッカ検出部111は、撮像素子103で蓄積された撮像画像を入力として、時間的に連続する複数の画像データ(例えば、前後の画像データ)における明暗の変化周期からフリッカの周期(光量変化周期)を検出する。フリッカの周期の検出の詳細については後述する。
<フリッカの検出>
次に、図2は、フリッカ検出部111の構成を示すブロック図である。図2を用いて、フリッカの検知動作について説明する。
カメラ制御部108を介してフリッカ検出部111に画像信号が入力されると、評価値生成部201において、色成分の信号値を算出するための評価値枠を画像を垂直方向に分割して設定する。ローリングシャッタ形式の撮像素子で撮像された画像では、水平ラインごとに露光開始と露光終了のタイミングが異なるため、光源の明滅により発生する明るさの違いは水平ラインごとに異なる。よって、垂直方向の輝度値は環境光とフリッカ光源の明滅の影響を受け、平均輝度(信号レベル)に差が生じる。この輝度値からフリッカ成分を抽出するために、巡回型ローパスフィルタ処理部202で下記の演算を行い、時間方向の定常的な信号成分(環境光)を抽出する。
mem=ave×k+mout×(1-k) …(式1)
ここで、memは上記式の出力として評価値メモリ203に格納される値であり、aveは評価値生成部201の出力結果を表す。kは巡回型ローパスフィルタ処理部202のフィルタ係数であり、moutは1フレーム前の画像の信号値が入力された時に演算された上記式の演算結果である。上記演算を入力画像の各水平ラインについて行うことにより、時間方向の定常的な信号成分を抽出することができる。
フリッカ成分抽出部204において、新たに入力される画像の水平ラインの信号値と、巡回型ローパスフィルタ処理部202で抽出された定常的な信号成分の比や差分をとることにより、フリッカ成分(入力画像信号のレベル変動成分)を算出する。算出されたフリッカ成分から、フリッカ検出部205において垂直方向の信号のレベルの変動特性であるフリッカモデルを生成する。
フリッカモデルは、フリッカによる輝度変動を例えば垂直方向に特定の振幅w、周波数f、位相θを持つ周期的な関数として近似したモデルである。交流電源の電圧変動が三角関数の特徴を持つため、モデルとする周期的な関数としては正弦波(または余弦波)を用いるのが一般的であるが、他の周期的な理想関数でも構わない。周波数fはフレームレートと光源の電源周波数により決定される。位相θは、検出された変動成分の変動比を1としたときに、垂直方向に変動比の変化量で1をとる行を位相θ=0として、各行について算出することができる。振幅wは算出された位相のπ/2及び3π/2における変動比から算出される。
<HDR動画>
次に、図3を用いてHDR動画の駆動制御について説明する。
前述したとおり、HDR動画は基準の露出に対して所定の露出段差をつけた一つまたは複数の露光条件で複数回連続的に撮影を行い、読み出された画像信号を合成して動画の1フレームとして記録する撮影モードである。図3には、感度(以下、ISO)で露出段差をつけた場合と、蓄積時間(以下、Tv)で露出段差をつけた場合を図示している。a-1フレームとa-2フレーム、b-1フレームとb-2フレームがHDR動画を形成する1フレームを生成する際の合成のペアとなり、画像合成部105で合成され1フレームの画像として出力される。
<撮像装置の動作>
図4は、本実施形態におけるフリッカの検出動作を示すフローチャートである。図4を用いて、HDR動画においてISO(感度)によって露出段差をつけている場合のフリッカ検出方法について説明する。
HDR動画モードが開始され、フリッカ検出が開始されると、評価値生成部201は、ステップS401において、撮像した画像信号に対して各色信号の平均値を取得するための評価枠を設定する。
ステップS402において、カメラ制御部108は、現在のフレームがフリッカ検出開始1フレーム目か否かを判定し、1フレーム目であればステップS406に進んで評価値生成部201で取得した評価値を評価値メモリ203に保持する。ステップS402において現在のフレームがフリッカ検出開始の2フレーム目(2枚目)以降に対応する蓄積タイミングであった場合はステップS403に進み、カメラ制御部108は、入力された画像信号がHDR動画の基準露光条件であるか否かを判定する。図4では、基準露光条件が適正露出だった場合を示している。
ステップS403において、入力された画像信号が適正露出で得られた撮像画像(適正露出フレーム)であると判定されると、ステップS405に進む。ステップS405での処理の詳細は、図2の巡回型ローパスフィルタ処理部202の動作で説明した通りであるので、説明を省略する。
ステップS403において、適正露出フレームではなく、適正露出に対して所定露出段差をつけた撮像画像(画像信号)であった場合、評価値生成部201は、ステップS404において評価値ゲイン調整処理を行う。ここでは、基準フレームとの露出段差分、評価値に対してゲインをかける処理を行っており、例えば入力画像信号が基準フレームに対して2段アンダーな露光条件であった場合、評価値に対してその逆数である4倍のゲインをかけて信号を増幅する。評価値のゲイン調整処理が完了したら、巡回型ローパスフィルタ処理部202は、ステップS405においてローパスフィルタ処理を行う。
ステップS405の処理が完了したら、カメラ制御部108は、ステップ406において、巡回型ローパスフィルタ処理部202の出力としての評価値を評価値メモリ203に保持する。その後ステップS407に進み、フリッカ成分抽出部204は、入力画像信号の評価値とステップS406で保持した評価値の差分からフリッカ成分の抽出を行う。ステップS407の詳細も、図2のフリッカ成分抽出部204の動作で説明した通りであるので、説明を省略する。
フリッカ成分の抽出が完了したら、ステップS408に進み、フリッカ検出部205が抽出されたフリッカの周波数を決定してフリッカ検出を終了する。
以上のように、本実施形態によれば、HDR動画のように異なる露光条件を連続的に撮像する撮影モードおいて、ハード構成やメモリの増加を抑制しつつフリッカを検出することができる。また、同じ露光条件の画像のみを使用し、一つのフリッカ検出器を使用してフリッカ検出することも可能であるが、この方法では、フリッカ検出に用いるフレーム数が少なくなる。複数フレームで安定的に同じフリッカ周波数が検出されるほどその信頼度は高くなるため、本実施形態のように、撮像した全フレームを使用してフリッカ検出をすると、より早く信頼度の高いフリッカ周波数を検出することができる。
なお、本実施形態では、基準フレームを適正露出フレームとし、ステップS404では画像信号を増幅するゲイン調整処理を行った。しかし、基準フレームとして用いる露光条件はHDR合成する露光条件の組み合わせの中で任意のものでよく、ステップS404で画像信号を減衰させるような処理を行ってもよい。
また、フリッカの検出結果はフリッカを除去するためにTv(蓄積時間)や画像処理にフィードバックされ、結果としてフリッカが消えるフレームが現れるようになるが、そのフレームではフリッカ検出は行わず、フリッカが現れているフレームで検出を続ける。
(他の実施形態)
また本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現できる。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現できる。
101:レンズ群、102:レンズ制御部、103:撮像素子、104:信号処理部、105:画像合成部、108:カメラ制御部、110:露出制御部、111:フリッカ検出部、201:評価値算出部、202:巡回型ローパスフィルタ処理部、203:評価値メモリ、204:フリッカ成分抽出部、205:フリッカ検出部

Claims (8)

  1. 被写体像を撮像して画像信号を出力する撮像素子と、
    れぞれの撮像ごとに蓄積時間または感度を変更して、前記撮像素子に複数回の撮像を行わせる制御手段と、
    前記複数回の撮像で得られる複数の画像信号のうちの基準となる画像信号に対する他の画像信号の蓄積時間または感度の差に基づいて、前記他の画像信号の信号レベルを調整する調整手段と、
    前記基準となる画像信号および前記調整手段による信号レベル調整後の前記他の画像信号からフリッカを検出する検出手段と、
    を備えることを特徴とする撮像装置。
  2. 前記撮像素子から出力される画像信号を垂直方向に複数の領域に分割する分割手段をさらに備え、
    前記検出手段は、前記複数の領域のそれぞれの信号レベルに基づいて、フリッカを検出することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
  3. 前記調整手段は、前記複数回の撮像のそれぞれにおける前記基準となる画像信号に対する前記他の画像信号の蓄積時間または感度の差に基づいて、前記基準となる画像信号と前記他の画像信号の信号レベルの差を補正ることを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
  4. 前記調整手段は、前記準となる画像信号に対する前記他の画像信号の蓄積時間または感度の比の逆数を前記他の画像信号に掛けることにより、前記基準となる画像信号に対する前記他の画像信号の信号レベルの差を補正ることを特徴とする請求項に記載の撮像装置。
  5. 前記複数回の撮像により得られた蓄積時間または感度の異なる複数の画像信号を合成することによりHDR(ハイダイナミックレンジ)画像を合成する合成手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の撮像装置。
  6. 被写体像を撮像して画像信号を出力する撮像素子を備える撮像装置を制御する方法であって、
    れぞれの撮像ごとに蓄積時間または感度を変更して、前記撮像素子に複数回の撮像を行わせる制御工程と、
    前記複数回の撮像で得られる複数の画像信号のうちの基準となる画像信号に対する他の画像信号の蓄積時間または感度の差に基づいて、前記他の画像信号の信号レベルを調整する調整工程と、
    前記基準となる画像信号および前記調整工程における信号レベル調整後の前記他の画像信号からフリッカを検出する検出工程と、
    を有することを特徴とする撮像装置の制御方法。
  7. 請求項に記載の制御方法の各工程をコンピュータに実行させるためのプログラム。
  8. 請求項に記載の制御方法の各工程をコンピュータに実行させるためのプログラムを記憶したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
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