JP7169601B1 - 焼却灰の無害化方法及び再生肥料の生産方法 - Google Patents

焼却灰の無害化方法及び再生肥料の生産方法 Download PDF

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Abstract

【課題】バイオマス燃料を使用するバイオマス発電設備において発生する焼却灰の無害化方法及び無害化した焼却灰を原料とする再生肥料の生産方法を提供する。【解決手段】焼却灰3に養鶏場等4から供給される鶏糞等の有機性廃棄物5及び水分6を混合して無害化する焼却灰の無害化方法及び無害化した焼却灰から再生肥料を生産する方法であって、焼却灰3と有機性廃棄物5の重量比を1:0.1~10、焼却灰3及び有機性廃棄物5の混合物と水分6の重量比を1:0.1~1.0とし、かつ、焼却灰3のORP及びpH≧有機性廃棄物5のORP及びpHという関係とすることによって、焼却灰3等に含まれる六価クロムを短期間で還元し無害な三価クロムに変化させることができる。さらに、混合期間を経ることでハイドロタルサイト又はエトリンガイトを生成し、焼却灰3のセレン、フッ素、鉛を低減できる。【選択図】図2

Description

本発明は、バイオマス燃料を使用するバイオマス発電設備において発生する焼却灰の無害化方法及び無害化した焼却灰を原料とする再生肥料の生産方法に関する。
近年、再生可能エネルギーの一つとしてバイオマス発電が普及してきている。
バイオマス発電で使用される燃料としては、国内間伐材、未利用材、製材端材、海外からの輸入バイオマス燃料(主として、木質系チップ、ホワイトペレット、PKS等)、建築廃材、食品残渣、糞尿などの下水汚泥等がある。特に、国内間伐材、未利用材、製材端材、海外からの輸入バイオマス燃料を使用するバイオマス発電設備が増加し、それに伴って同設備から発生する焼却灰が急増しており、その有効利用が喫緊の課題となっている。
しかし、その焼却灰には、人体に極めて有害な六価クロムが含まれており、セレン、フッ素、鉛等が環境基準値を超過して含まれる場合もあるため、バイオマス発電設備において発生する焼却灰の有効利用に際しては、これらの有害物質を低減させる必要がある。
そして、有害物質を低減させる方法も種々提案されている。
例えば、特許文献1(特開2005-253313号公報、特許第4610912号公報)には、30~80重量%のSiO2を含有する廃棄物(バイオマス燃焼灰を含む)に、石灰原料、苦土原料、炭酸原料及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される添加材料を加えて、換算CaO含有量が5~50重量%、換算MgO含有量が1~10重量%、及び換算CO3含有量が0.5~10重量%となるように組成を調整した混合材料と、該混合材料をスラリ化するための水とを含有するスラリに対して水熱処理を行い、更に固液分離を行って得られる湿潤状態のケーキに、該ケーキの乾燥物と同じ組成の乾粉を加えて乾燥させて得られる肥料等に適用可能な緑化資材組成物が記載されている(特に、請求項1、16及び段落0001等を参照)。しかし、この方法は、水熱処理により有害重金属を難溶化することで無害化を行っている。
特許文献2(特開2007-196214号公報)には、樹木、竹、草などのバイオマスを燃焼し、生成したガスの比を調整することにより、六価クロムの含有量を低減させる方法や、バイオマスを燃焼し発生する灰を、水あるいは気流を用いて選別を行うなどによって灰の成分を調整し、また、バイオマスの一部を加熱前に水で処理して有機物成分の抽出などを行い、得られた灰と抽出液などを組み合わせて成形して、土壌改質材などを製造する方法が記載されている(特に、要約、請求項8、14等を参照)。
しかし、この方法は、燃料や発電設備に関する工夫であり、また、燃焼中の生成ガスの比を調整することが困難なため、簡便に実施することができないという課題がある。
特許文献3(特開2020-78790号公報)には、バイオマス資源の焼却灰と有機性廃棄物とを混合し、有機性廃棄物に含まれる微生物による発酵又は有機物との接触による還元反応により、焼却灰に含まれる有害な六価クロムを無害な三価クロムに還元して焼却灰を無害化する方法及び焼却灰再生肥料を得ることが記載されている(特に、請求項1~6及び段落0008を参照)。
しかし、この方法では、焼却灰に含まれる六価クロムとフッ素以外の有害物質であるセレンや鉛等の低減について考慮されていないという課題がある。
また、この発明における六価クロムの低減メカニズムは主に植物由来微生物による発酵過程によるものであり、低減に要する期間は長くなることが予想され、低減メカニズム自体についても明確に解明されていない。
特許文献4(特開2003-211145号公報)には、籾殻炭及び籾殻酢液又は鶏糞から成る基本浄化資材を用いる浄化方法であって、浄化対象となる有毒有害成分含有土壌等汚染物質は、生態系に有毒有害な成分を含有する有機質系及び無機質系の一切の廃棄物を意味する点、鶏糞が有毒有害成分を吸着すると同時に還元する能力を有する点及び籾殻酢液、鶏糞、硫酸第1鉄、又はシュウ酸ナトリウムのような還元剤を共存させて、六価クロムを三価クロムに還元する点等が記載されている(特に、段落0008、0009、0012及び0020を参照)。
しかし、この方法は、バイオマス資源の焼却灰を無害化した後に特殊肥料として有効利用を行うことを目的としたものではない。
そして、この方法は、鶏糞のみではなく、籾殻炭及び籾殻酢液又は鶏糞から成る基本浄化資材に多孔質資材を調合する浄化方法である。
また、この方法は、土壌や汚泥に対する効果を示しているが、焼却灰への有効性については明らかでない。
さらに、従来は有害物質の低減という場合、主に六価クロムの低減を重視してきたが、焼却灰には六価クロム以外にセレン、フッ素、鉛等の有害物質も環境基準値以上含まれていることがあるので、これらも必要に応じて低減しなければならない。
特開2005-253313号公報(特許第4610912号公報) 特開2007-196214号公報 特開2020-78790号公報 特開2003-211145号公報
本発明は、上記の問題を解決し、バイオマス資源の焼却灰に含まれる有害物質を、簡便かつ確実に低減するために有機性廃棄物の持つ酸化還元電位及びpHで六価クロムを無害化できるようにすることを第1の課題としている。
また、本発明は、六価クロム以外にバイオマス資源の焼却灰に含まれるセレン、フッ素及び鉛等の有害物質を封じ込め、水脈等の外部環境へ溶出しないようにすることを第2の課題としている。
さらに、本発明は、バイオマス資源の焼却灰を無害化して、急増するバイオマス発電設備から発生する焼却灰を有効に活用することを第3の課題としている。
なお、本発明における無害化とは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に記載されている無害化処理(廃棄物を人の健康又は生活環境に係る被害が生ずるおそれがない性状にすること)と同じ意味を指す。
請求項1に係る発明は、バイオマス資源の焼却灰、有機性廃棄物及び水分を混合し、
化学反応によって、前記焼却灰を無害化する焼却灰の無害化方法であって、
前記バイオマス資源は、国内間伐材、未利用材、製材端材、木質系チップ、木質ペレット又はPKSであり、
前記焼却灰と前記有機性廃棄物の重量比は、1:0.1~10であり、
前記焼却灰及び前記有機性廃棄物の混合物と前記水分の重量比は、1:0.20.4であり、
前記有機性廃棄物の酸化還元電位は、前記焼却灰の酸化還元電位と同じ又は前記焼却灰の酸化還元電位より還元側であり、
前記有機性廃棄物のpHは、前記焼却灰のpHと同じ又は前記焼却灰のpHより酸性側であることを特徴とする。
請求項に係る発明は、バイオマス資源の焼却灰、有機性廃棄物及び水分を混合し、
化学反応によって、前記焼却灰を無害化する焼却灰の無害化方法であって、
前記焼却灰と前記有機性廃棄物の重量比は、1:0.1~10であり、
前記焼却灰及び前記有機性廃棄物の混合物と前記水分の重量比は、1:0.1~1.0であり、
前記有機性廃棄物の酸化還元電位は、前記焼却灰の酸化還元電位と同じ又は前記焼却灰の酸化還元電位より還元側であり、
前記有機性廃棄物のpHは、前記焼却灰のpHと同じ又は前記焼却灰のpHより酸性側であり、
前記焼却灰は、マグネシウムを含む化合物及びアルミニウムを含む化合物を含有しており、
前記焼却灰、前記有機性廃棄物及び前記水分の混合期間は、7日以上であり、
前記焼却灰及び前記有機性廃棄物の混合物と前記水分の重量比を混合時に1:0.1~1.0とし、前記混合期間を経ることでハイドロタルサイト又はエトリンガイトを生成し、有害物質を封じ込めることを特徴とする。
請求項に係る発明は、請求項1又は2に記載されている焼却灰の無害化方法を用いて、バイオマス資源の焼却灰による肥料を生産することを特徴とする焼却灰再生肥料の生産方法である。
請求項1に係る発明の焼却灰の無害化方法によれば、バイオマス資源である国内間伐材、未利用材、製材端材、木質系チップ、木質ペレット又はPKSの焼却灰、有機性廃棄物及び水分を混合するだけで、化学反応を起こしバイオマス資源の焼却灰に含まれる有害物質を簡便かつ確実に低減できる。
請求項に係る発明によれば、請求項1に係る発明による効果に加えて、ハイドロタルサイト又はエトリンガイトを生成し、ハイドロタルサイト又はエトリンガイトにて有害物質を封じ込めることができるので、バイオマス資源の焼却灰に含まれる有害物質(例えば、セレン、フッ素、鉛等)が、水脈等の外部環境へ溶出しない。
請求項に係る発明によれば、請求項1又は2に記載されている焼却灰の無害化方法を用いた混合物は、肥料原料の組み合わせとなり、肥料の品質の確保等に関する法律で認められる肥料として生産することができるので、急増するバイオマス発電設備から発生する焼却灰を再生肥料として有効に活用できる。
バイオマス資源の発電への利用、バイオマス発電所で発生する焼却灰を無害化した再生肥料の生産及び再生肥料の利用に関する概念図。 実施形態に係る焼却灰再生肥料の生産方法についての説明図。 実施例2における焼却灰、鶏糞及び無害化後の混合物の酸化還元電位及びpHを測定した結果を示す図。 ハイドロタルサイトの層状体の間に負の電荷を有する有害物質(フッ素、セレン、ヒ素、鉛)が封じ込められている状態を示すイメージ図。
本発明の実施形態に係る焼却灰の無害化方法と焼却灰再生肥料について説明する。
図1は、バイオマス資源の発電への利用、バイオマス発電所で発生する焼却灰を無害化した再生肥料の生産及び再生肥料の利用に関する概念図である。
バイオマス資源は、国内の農地や林地にある樹木の間伐材等及び海外にあるバイオマス燃料用植林地等で生育した樹木から加工されるウッドペレット等であり、これらを船舶やトラック等でバイオマス発電所に運んで燃やし、タービンを回転させて発電する。
バイオマス発電所においてバイオマス資源を燃焼させることによって発生する焼却灰を、直接又はトラック等で現地又は近隣にある再生工場に運び、この焼却灰に養鶏場や採卵事業者等から供給される鶏糞等の有機性廃棄物と混ぜ合わせるとともに水分調整を行って、焼却灰に含まれる六価クロム等の有害物質を無害化して再生肥料を製造する。
製造した再生肥料は、国内の農地や林地向けの販売や、輸出して海外のバイオマス燃料用植林地や農場向けの販売が可能であるため、ループ状の燃料サイクルが完成する。
図2は実施形態に係る焼却灰再生肥料の生産方法についての説明図である。
バイオマス資源1は、バイオマス発電所2で電力を得るために燃やされると焼却灰3となる。この焼却灰3に、養鶏場等4から供給される鶏糞等の有機性廃棄物5及び水分6を混合して無害化すると、焼却灰再生肥料7を生産することができる。
ここで、焼却灰3と有機性廃棄物5の重量比は1:0.1~10が好ましく、焼却灰3及び有機性廃棄物5の混合物と水分6の重量比は1:0.1~1.0が好ましい。
ただし、焼却灰3を有効利用しつつ確実に無害化するためには、焼却灰3と有機性廃棄物5の重量比を1:0.1~3.0とするのがより好ましく、焼却灰3及び有機性廃棄物5の混合物と水分6の重量比を1:0.2~0.5とするのがより好ましく、自然乾燥による水分量低下に伴い適時加水をして重量比を保持する方が良い。
そして、前者の重量比が1:0.1未満の場合は、無害化が不完全になり有害物質の量が環境基準値以下とならないおそれがあり、逆に同重量比が1:3.0を超える場合は、焼却灰3の有効利用量が減ることとなり、その輸送コスト及び保管コストが過大となって不経済であり、有機性廃棄物5に多く含まれる有害物質の問題も生じる。
また、有機性廃棄物5の酸化還元電位(以下「ORP」という。)は、焼却灰3のORPと同じ又は焼却灰3のORPより還元側、かつ、有機性廃棄物5のpHは、焼却灰3のpHと同じ又は焼却灰3のpHより酸性側(すなわち、焼却灰3のORP及びpH≧有機性廃棄物5のORP及びpH)とする必要がある。
上記の焼却灰再生肥料7の生産方法における焼却灰3の無害化方法によれば、焼却灰3のORP及びpH≧有機性廃棄物5のORP及びpHという関係を有する有機性廃棄物5が還元剤として機能し、適量の水分が導電材として機能するため、短期間で焼却灰3に含まれる六価クロムを還元し無害な三価クロムとすることができる。
また、焼却灰3、有機性廃棄物5及び水分6の混合物を数日以上保管し、焼却灰3及び有機性廃棄物5の混合物と水分6の重量比を、自然乾燥による水分量低下で1:0.1未満にならないようにすれば、通常焼却灰3に含まれているマグネシウムを含む化合物及びアルミニウムを含む化合物が水分6等と反応し、層状のハイドロタルサイトが生成される。
そして、その層状体の間に、焼却灰3に含まれる負の電荷を有する有害物質を封じ込めることができるので、負の電荷を有する有害物質が水脈等の外部環境へ溶出することを防止できる。また、上記工程でエトリンガイトが生成される場合もあり、エトリンガイトはフッ素、セレン、鉛、カドミウム 等の有害物質を封じ込めることができる。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。
以下の実施例全てでは、バイオマス資源として木質ペレットとPKSを燃焼させているバイオマス発電所から排出された焼却灰を使用し、有機性廃棄物として養鶏事業者より入手した鶏糞を使用した。
そして、表1に、実施例1で使用する焼却灰と鶏糞のORP及びpH、並びに六価クロムの分析値を示す。
Figure 0007169601000002
表1から、焼却灰のORP及びpHは高く、逆に鶏糞のORP及びPHは低く、焼却灰のORP及びpH≧鶏糞のORP及びpHという関係にある。すなわち、鶏糞のORPは焼却灰のORPより還元側にあり、鶏糞のpHは焼却灰のpHより酸性側にあるので、鶏糞は焼却灰を還元する能力が高いことが分かる。また、焼却灰及び鶏糞には六価クロムが環境基準値を超える量含まれていることが分かる。
表2は、実施例1で利用する焼却灰に対する鶏糞の量並びに同焼却灰及び鶏糞の混合物に対する水分の量を変化させた5つの場合における、六価クロムの量を分析した結果を示している。
Figure 0007169601000003
表2から、六価クロム低減には水だけでなく鶏糞が必要なことが分かった。また、焼却灰に対する鶏糞の量が20重量%以上、かつ、焼却灰及び鶏糞の混合物に対する水分の量が30~35重量%であれば混合後14日で、40重量%であれば混合後1日で、六価クロムの量が環境基準値を満足するレベルまで低下することが分かった。
なお、表2には記載しなかったが、焼却灰、鶏糞及び水分の混合物のORPは、いずれの場合でも混合して間もなく-62mg/l程度となっており、pHは12.9から13.1となった。
従来の微生物発酵で発生する硫化水素による還元反応では、六価クロムから三価クロムに変化するのに少なくとも1か月程度を要していたことを考えると、実施例1の無害化方法による六価クロムから三価クロムへの変化は非常に短期間で生じているといえる。
実施例1は、焼却灰等に含まれる六価クロムを短時間で三価クロムに変化させる方法であったが、実施例2は、六価クロムを無害な三価クロムに変化させるだけでなく、焼却灰に含まれるセレン、フッ素及び鉛等の有害物質を封じ込められるようにする無害化方法である。
表3は、実施例2で使用する焼却灰中に含まれるマグネシウムとアルミニウムの含有量及び結晶形を、それぞれ蛍光X線分析法及びX線回折分析法で分析した結果である。
Figure 0007169601000004
表3に示すように、実施例2で使用する焼却灰中には、マグネシウム(Mg)が2.84%、アルミニウム(Al)が2.48%含まれており、同焼却灰中には、CaCO3、Ca2MgSi2O7、CaSO4、CaAl2O4、SiO2、KClが含まれていることが分かった。
このようなMgを含む化合物及びAlを含む化合物を含有している焼却灰からは層状のハイドロタルサイトを生成させることができ、ハイドロタルサイトの層状体の間には、図4のイメージ図に示すように、負の電荷を有する有害物質を封じ込めることができる。
実施例2の無害化方法では、焼却灰と鶏糞の重量比を4:1(焼却灰に対する鶏糞の量を20重量%)として混合し、焼却灰及び鶏糞の混合物に対する水分の量を35重量%となるように調整して数日間その状態を保持した。
表4には、実施例2で焼却灰、鶏糞及び水分を混合した混合物に含まれる結晶形をX線回折分析法で分析した結果と、ハイドロタルサイトの生成状況を記載した。
Figure 0007169601000005
実施例2の無害化方法実施後にはハイドロタルサイトMg6Al2CO3(OH)16・4H2Oの生成が確認されている。
実施例3では、生成されたハイドロタルサイトにより焼却灰に含まれるセレン、フッ素及び鉛等の有害物質を封じ込められることを説明する。
表5に、実施例3で使用する焼却灰と鶏糞に含まれる有害成分のうち環境基準値を超過するものの分析値を示す。また、同焼却灰と同鶏糞の重量比を4:1(焼却灰に対する鶏糞の量を20重量%)として混合し、混合時の焼却灰及び鶏糞の混合物に対する水分の量を40重量%として1か月間養生した混合物の分析値を示す。比較のため同焼却灰及び同鶏糞の前記混合割合に基づく加重平均計算値も示す。
Figure 0007169601000006
表6に同混合物に含まれる結晶形をX線回折分析法で分析した結果を示す。
Figure 0007169601000007
表5及び表6より、ハイドロタルサイトにより鉛、セレン、フッ素の有害成分が環境基準値以下に無害化できていることが分かる。
実施例4の無害化方法では、焼却灰と鶏糞の重量比を1:1(焼却灰に対する鶏糞の量を50重量%)として混合し、混合時の焼却灰及び鶏糞の混合物に対する水分の量を30重量%として密閉容器にて1か月間養生した。
表7に、実施例4に係る焼却灰及び鶏糞の混合割合に基づく加重平均計算値並びに同無害化方法実施後(無害化後)における混合物の分析値について、pHと主な肥料成分及び有害成分のうち表1及び表5に示した成分を示す。また、参考のため、各有害成分の環境基準値も合わせて示してある。
Figure 0007169601000008
表7から、混合物に含まれる主な肥料成分は、いずれも含有量がそれほど変化していないことが分かる。
また、混合物に含まれる有害成分は、六価クロム、セレン、フッ素及び鉛のいずれも、環境基準値程度又は未満まで低減できている。
図3は、実施例4の無害化方法を実施した後の混合物についてORP及びpHを分析し、その分析値を各種クロム化合物のORP及びpHの分布図上に正方形でプロットするとともに、実施例4に使用した焼却灰のORP及びpHの分析値並びに鶏糞のORP及びpHの分析値を、同分布図上に、それぞれ円形及び正三角形でプロットしたものである。
図3から、焼却灰のORP及びpHの分析値は-122mV及び12.5(六価クロム域内)であり、鶏糞のORP及びpHの分析値は-109mV及び8.75(三価クロム域内)であるところ、実施例4の無害化方法実施後の混合物においては、ORP及びpHの分析値が-56mV及び10.46(三価クロム域内)となっており、主として焼却灰に含まれていた六価クロムが還元され、無害な三価クロムに変化したことが分かる。
また、焼却灰に対してORP及びpHの小さい物質を水分とともに混合することで、六価クロムを還元し無害な三価クロムにすることができ、かつ、焼却灰の場合pHよりORPの方が下がり易いと推測されるので、焼却灰を短期間で無害化する際は、よりORPの小さい有機性廃棄物を用いた方が良く、鶏糞等の有機性廃棄物を入手しにくい場合には、硫酸第1鉄やシュウ酸ナトリウム等の還元剤を有機性廃棄物に添加すると良い。
実施形態及び実施例1~4に係る焼却灰の無害化方法及び再生肥料の生産方法に関する変形例を列記する。
(1)実施形態においては、焼却灰再生肥料の形態を限定していなかったが、施肥に際しての取り扱い上の利便性を考慮すると、粒状又はペレット状とすればより良い。
(2)実施例1においては、焼却灰に対する鶏糞量と焼却灰及び鶏糞の混合物に対する水分量を最適化すれば、混合後1日以内に六価クロムの量を環境基準値以下にできるので、保持期間は20時間まで短縮することが可能である。
(3)ハイドロタルサイト又はエトリンガイト等の生成においては、マグネシウムを含む化合物とアルミニウムを含む化合物の含有量が多い焼却灰を利用したり、マグネシウム化合物やアルミニウム化合物を添加したりすることによって、ハイドロタルサイト又はエトリンガイトの生成期間を短縮できるので、保持期間は7日まで短縮することが可能である。
1 バイオマス資源 2 バイオマス発電所 3 焼却灰
4 養鶏場等 5 有機性廃棄物 6 水分 7 焼却灰再生肥料

Claims (3)

  1. バイオマス資源の焼却灰、有機性廃棄物及び水分を混合し、
    化学反応によって、前記焼却灰を無害化する焼却灰の無害化方法であって、
    前記バイオマス資源は、国内間伐材、未利用材、製材端材、木質系チップ、木質ペレット又はPKSであり、
    前記焼却灰と前記有機性廃棄物の重量比は、1:0.1~10であり、
    前記焼却灰及び前記有機性廃棄物の混合物と前記水分の重量比は、1:0.20.4であり、
    前記有機性廃棄物の酸化還元電位は、前記焼却灰の酸化還元電位と同じ又は前記焼却灰の酸化還元電位より還元側であり、
    前記有機性廃棄物のpHは、前記焼却灰のpHと同じ又は前記焼却灰のpHより酸性側である
    ことを特徴とする焼却灰の無害化方法。
  2. バイオマス資源の焼却灰、有機性廃棄物及び水分を混合し、
    化学反応によって、前記焼却灰を無害化する焼却灰の無害化方法であって、
    前記焼却灰と前記有機性廃棄物の重量比は、1:0.1~10であり、
    前記焼却灰及び前記有機性廃棄物の混合物と前記水分の重量比は、1:0.1~1.0であり、
    前記有機性廃棄物の酸化還元電位は、前記焼却灰の酸化還元電位と同じ又は前記焼却灰の酸化還元電位より還元側であり、
    前記有機性廃棄物のpHは、前記焼却灰のpHと同じ又は前記焼却灰のpHより酸性側であり、
    前記焼却灰は、マグネシウムを含む化合物及びアルミニウムを含む化合物を含有しており、
    前記焼却灰、前記有機性廃棄物及び前記水分の混合期間は、7日以上であり、
    前記焼却灰及び前記有機性廃棄物の混合物と前記水分の重量比を混合時に1:0.1~1.0とし、前記混合期間を経ることでハイドロタルサイト又はエトリンガイトを生成し、有害物質を封じ込める
    ことを特徴とする焼却灰の無害化方法。
  3. 請求項1又は2に記載されている焼却灰の無害化方法を用いて、バイオマス資源の焼却灰による肥料を生産する
    ことを特徴とする焼却灰再生肥料の生産方法。
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