JP7168047B1 - 鋼管の真円度予測モデルの生成方法、鋼管の真円度予測方法、鋼管の真円度制御方法、鋼管の製造方法、及び鋼管の真円度予測装置 - Google Patents

鋼管の真円度予測モデルの生成方法、鋼管の真円度予測方法、鋼管の真円度制御方法、鋼管の製造方法、及び鋼管の真円度予測装置 Download PDF

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Abstract

【課題】複数の工程から構成される鋼管の製造工程における拡管工程後の鋼管の真円度を精度よく、且つ、迅速に予測可能な鋼管の真円度予測方法を提供すること。【解決手段】本発明に係る鋼管の真円度予測モデルの生成方法は、操業条件データセットを入力データに含み、拡管工程後の鋼管の真円度を出力データとする数値計算を、操業条件データセットを変更しながら複数回実行することにより、操業条件データセットと対応する拡管工程後の鋼管の真円度のデータの組を学習用データとしてオフラインで複数生成し、複数の学習用データを用いて、操業条件データセットを入力データ、拡管工程後の鋼管の真円度を出力データとする真円度予測モデルをオフラインで機械学習により生成する。【選択図】図12

Description

本発明は、プレスベンド法を用いた鋼管の製造工程における拡管工程後の鋼管の真円度を予測する真円度予測モデルを生成する鋼管の真円度予測モデルの生成方法、鋼管の真円度予測方法、鋼管の真円度制御方法、鋼管の製造方法、及び鋼管の真円度予測装置に関するものである。
ラインパイプ等に使用される大径、且つ、厚肉の鋼管の製造技術として、所定の長さ、幅、及び板厚を有する鋼板をU字状にプレス加工した後、O字状にプレス成形して突合せ部を溶接して鋼管とし、さらにその直径を拡大(いわゆる拡管)して真円度を高めた鋼管(いわゆるUOE鋼管)の製造技術が広く普及している。ところが、UOE鋼管の製造工程では、鋼板をプレス加工してU字状及びO字状に成形する工程で多大なプレス圧力が必要となるので、大規模なプレス機械を用いる必要がある。
これに対して、大径、且つ、厚肉の鋼管を製造するにあたって、プレス圧力を軽減して成形する技術が提案されている。具体的には、鋼板の幅方向端部に曲げ(いわゆる端曲げ)を付与した後、パンチによる複数回の3点曲げプレスを行うプレスベンド工程によりU字状断面の成形体(以下では、U字状成形体と呼ぶことがある)とし、さらにU字状断面の成形体のシームギャップ部を減少させるシームギャップ低減工程によりオープン管とした後、突合せ部を溶接して鋼管とし、最後にその鋼管の内部に拡管装置を挿入して鋼管の内径を拡管する技術が実用化されている。なお、拡管装置としては、円弧を複数に分割した曲面を有する複数個の拡管工具を備え、拡管工具の曲面を鋼管内面に当接させることにより、鋼管を拡管すると共に鋼管の形状を整えるものが用いられる。
プレスベンド工程では、3点曲げプレスの回数を多くすれば、拡管工程後の鋼管の真円度は向上するが、鋼管をU字状断面に成形するのに長時間を要する。一方で、3点曲げプレスの回数を減らすと、鋼管の断面形状が多角形形状に近くなり、円形になり難いという問題がある。そのため、鋼管の寸法に応じて、3点曲げプレスの回数(例えば直径1200mmの鋼管では5~13回)を経験的に定めて操業している。このような拡管工程後の鋼管の真円度を向上させるためのプレスベンド工程の操業条件については、その設定方法に関して従来から多くの提案がなされている。
例えば特許文献1には、3点曲げプレスの回数をできるだけ少ない回数で行うための方法であり、拡管装置の周方向に配設された複数個の拡管工具を3点曲げプレスによる変形が生じていない未変形部に当接させて拡管する方法が記載されている。
また、特許文献2には、3点曲げプレスに用いるパンチの外周面の曲率半径と拡管工具の外周面の曲率半径とが所定の関係式を満たすようにすることにより、拡管工程後の鋼管の真円度を向上させる方法が記載されている。
さらに、特許文献3には、プレスベンド工程において過大な押圧力を要することなしに真円度の高い鋼管を効率的に製造できる製造方法として、3点曲げプレスを行う際に、鋼板の少なくとも一部分には、他の領域に比較して極僅かな曲率を付与した軽加工部を設けるか、もしくは、曲げ加工を省略した未加工部を設ける方法が記載されている。また、特許文献3には、シームギャップ低減工程においては、軽加工部もしくは未加工部を拘束することなしに、軽加工部もしくは未加工部の中心から所定距離だけ離れた部位に押圧力を負荷することが記載されている。なお、通常、プレスベンド工程の後に行うシームギャップ低減工程ではOプレス装置が用いられる。
一方、非特許文献1には、拡管工程の操業条件が拡管工程後の鋼管の真円度に与える影響について、有限要素法を用いた計算によって解析する方法が記載されている。
特開2012-170977号公報 特許5541432号公報 特許6015997号公報
塑性と加工、第59巻694号(2018)、p.203-208
特許文献1に記載の方法は、3点曲げプレスの押圧位置と拡管工具の押圧位置とを対応付けて、拡管工程後の鋼管の真円度を向上させる方法である。しかしながら、鋼管の製造工程は、端曲げ工程、プレスベンド工程、シームギャップ低減工程、溶接工程、拡管工程等の複数の工程を含む。このため、特許文献1に記載の方法では、その他の工程の操業条件が拡管工程後の鋼管の真円度に与える影響を考慮していないため、拡管工程後の鋼管の真円度を必ずしも向上させることができない場合がある。
特許文献2に記載の方法は、特許文献1に記載の方法と同様、プレスベンド工程の操業条件である3点曲げプレスに用いるパンチの外周面の曲率半径と、拡管工程の操業条件である拡管工具の外周面の曲率半径とが所定の関係式を満たすようにすることにより、拡管工程後の鋼管の真円度を向上させる方法である。しかしながら、特許文献2に記載の方法では、特許文献1に記載の方法と同様、シームギャップ低減工程等のプレスベンド工程以外の工程の影響を考慮できないという問題点がある。
特許文献3に記載の方法は、プレスベンド工程における3点曲げプレスの加工条件を、鋼板の位置に応じて変更すると共にシームギャップ低減工程での成形条件と関連付けた条件とすることにより、拡管工程後の鋼管の真円度を向上させる方法である。しかしながら、特許文献3に記載の方法では、素材となる鋼板の板厚や材質のばらつきが生じると、同じ成形条件であっても拡管工程後の鋼管の真円度がばらつくという問題点がある。
一方、鋼管の製造工程は上記の通り複数の工程を含むため、鋼板が製造されるまでのリードタイムが長く、製造コストが増加するという問題がある。これに対して、一部の工程を省略することによって鋼管の製造工程を効率化しようとする動きがある。具体的には、上記シームギャップ低減工程を省略し、鋼管の製造工程を端曲げ工程、プレスベンド工程、溶接工程、及び拡管工程とする場合がある。しかしながら、シームギャップ低減工程を省略した場合、拡管工程後の鋼管の真円度が悪化することが想定され、このような場合には、複数の工程の操業条件を適正に組み合わせて拡管工程後の鋼管の真円度をよくすることが必要となる。
一方、非特許文献1に記載の方法のように、オフラインの計算として、有限要素法を用いた拡管工程の解析を行うことにより、拡管工程の操業パラメータが真円度に与える影響を定量的に予測することができる。しかしながら、非特許文献1に記載の方法にも、他の工程の操業条件が真円度に与える影響を考慮することができないという問題点がある。さらに、このような数値解析を行う場合には、計算に要する時間が長いため、オンラインで真円度を予測することが困難であるという問題点もある。
本発明は、以上の問題を解決すべくなされたものであり、複数の工程から構成される鋼管の製造工程における拡管工程後の鋼管の真円度を精度よく、且つ、迅速に予測する真円度予測モデルを生成可能な鋼管の真円度予測モデルの生成方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、複数の工程から構成される鋼管の製造工程における拡管工程後の鋼管の真円度を精度よく、且つ、迅速に予測可能な鋼管の真円度予測方法及び真円度予測装置を提供することにある。また、本発明の他の目的は、複数の工程から構成される鋼管の製造工程における拡管工程後の鋼管の真円度を精度よく制御可能な鋼管の真円度制御方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、所望の真円度を有する鋼管を歩留まりよく製造可能な鋼管の製造方法を提供することにある。
本発明に係る鋼管の真円度予測モデルの生成方法は、鋼板の幅方向端部に端曲げ加工を施す端曲げ工程と、パンチによる複数回の押圧により端曲げ加工が施された鋼板をオープン管に成形加工するプレスベンド工程、及び前記オープン管の端部同士を接合した鋼管に対して拡管による成形加工を行う拡管工程を含む鋼管の製造工程における、前記拡管工程後の鋼管の真円度を予測する真円度予測モデルを生成する鋼管の真円度予測モデルの生成方法であって、前記端曲げ工程の操業パラメータから選択した1又は2以上の操業パラメータ及び前記プレスベンド工程の操業パラメータから選択した1又は2以上の操業パラメータを含む操業条件データセットを入力データに含み、前記拡管工程後の鋼管の真円度を出力データとする数値計算を、前記操業条件データセットを変更しながら複数回実行することにより、前記操業条件データセットと対応する前記拡管工程後の鋼管の真円度のデータの組を学習用データとしてオフラインで複数生成する基礎データ取得ステップと、前記基礎データ取得ステップにおいて生成された複数の学習用データを用いて、前記操業条件データセットを入力データ、拡管工程後の鋼管の真円度を出力データとする真円度予測モデルをオフラインで機械学習により生成する真円度予測モデル生成ステップと、を含む。
前記基礎データ取得ステップは、有限要素法を利用して前記操業条件データセットから前記拡管工程後の鋼管の真円度を算出するステップを含むとよい。
前記真円度予測モデルは、前記入力データとして、前記鋼板の属性情報から選択した1又は2以上のパラメータを含むとよい。
前記真円度予測モデルは、前記入力データとして、前記拡管工程の操業パラメータの中から選択した拡管率を含むとよい。
前記端曲げ工程の操業パラメータは、端曲げ加工幅、Cプレス力、及びクランプ把持力のうちの1又は2以上のパラメータを含むとよい。
前記プレスベンド工程の操業パラメータは、前記プレスベンド工程に用いるパンチが鋼板を押圧するプレス位置情報及びプレス圧下量と共に、前記プレスベンド工程を通じて行うプレス回数を含むとよい。
前記機械学習として、ニューラルネットワーク、決定木学習、ランダムフォレスト、ガウシアン過程回帰、及びサポートベクター回帰から選択した機械学習を用いるとよい。
本発明に係る鋼管の真円度予測方法は、本発明に係る鋼管の真円度予測モデルの生成方法により生成された鋼管の真円度予測モデルの入力として、前記鋼管の製造工程の操業条件として設定される操業条件データセットをオンラインで取得する操業パラメータ取得ステップと、前記操業パラメータ取得ステップにおいて取得した前記操業条件データセットを前記真円度予測モデルに入力することにより、拡管工程後の鋼管の真円度情報を予測する真円度予測ステップと、を含む。
本発明に係る鋼管の真円度制御方法は、本発明に係る鋼管の真円度予測方法を用いて、前記鋼管の製造工程を構成する端曲げ工程、プレスベンド工程、及び拡管工程の中から選択した再設定対象工程の開始前に、前記拡管工程後の鋼管の真円度情報を予測し、予測された鋼管の真円度情報に基づいて、少なくとも前記再設定対象工程の操業パラメータの中から選択した1又は2以上の操業パラメータ、又は、前記再設定対象工程よりも下流側の成形加工工程の操業パラメータの中から選択した1又は2以上の操業パラメータを再設定するステップを含む。
本発明に係る鋼管の製造方法は、本発明に係る鋼管の真円度制御方法を用いて鋼管を製造するステップを含む。
本発明に係る鋼管の真円度予測装置は、鋼板の幅方向端部に端曲げ加工を施す端曲げ工程と、パンチによる複数回の押圧により端曲げ加工が施された鋼板をオープン管に成形加工するプレスベンド工程、及び前記オープン管の端部同士を接合した鋼管に対して拡管による成形加工を行う拡管工程を含む鋼管の製造工程における、前記拡管工程後の鋼管の真円度を予測する鋼管の真円度予測装置であって、前記端曲げ工程の操業パラメータから選択した1又は2以上の操業パラメータ及び前記プレスベンド工程の操業パラメータから選択した1又は2以上の操業パラメータを含む操業条件データセットを入力データとして含み、前記拡管工程後の鋼管の真円度情報を出力データとする数値計算を、前記操業条件データセットを変更しながら複数回実行することにより、前記操業条件データセットと対応する前記拡管工程後の鋼管の真円度情報のデータの組を学習用データとして複数生成する基礎データ取得部と、前記基礎データ取得部において生成された複数の学習用データを用いて、前記操業条件データセットを入力データ、拡管工程後の鋼管の真円度情報を出力データとする真円度予測モデルを機械学習により生成する真円度予測モデル生成部と、前記鋼管の製造工程の操業条件として設定される操業条件データセットをオンラインで取得する操業パラメータ取得部と、前記真円度予測モデル生成部において生成された真円度予測モデルを用いて、前記操業パラメータ取得部により取得した前記操業条件データセットに対応する拡管工程後の鋼管の真円度情報をオンラインで予測する真円度予測部と、を備える。
ユーザの操作に基づく入力情報を取得する入力部と、前記真円度情報を表示する表示部と、を有する端末装置を備え、前記操業パラメータ取得部は、前記入力部が取得した入力情報に基づいて、前記鋼管の製造工程における操業条件データセットの一部又は全部を更新し、前記表示部は、前記更新された操業条件データセットを用いて前記真円度予測部が予測した前記鋼管の真円度情報を表示するとよい。
本発明に係る鋼管の真円度予測モデルの生成方法によれば、複数の工程から構成される鋼管の製造工程における拡管工程後の鋼管の真円度を精度よく、且つ、迅速に予測する真円度予測モデルを生成することができる。また、本発明に係る鋼管の真円度予測方法及び真円度予測装置によれば、複数の工程から構成される鋼管の製造工程における拡管工程後の鋼管の真円度を精度よく、且つ、迅速に予測することができる。また、本発明に係る鋼管の真円度制御方法によれば、複数の工程から構成される鋼管の製造工程における拡管工程後の鋼管の真円度を精度よく制御することができる。また、本発明に係る鋼管の製造方法によれば、所望の真円度を有する鋼管を歩留まりよく製造することができる。
図1は、本発明の一実施形態である鋼管の製造工程を示す図である。 図2は、Cプレス装置の全体構成を示す斜視図である。 図3は、プレス機構の構成を示す断面図である。 図4は、プレスベンド装置を用いてU字状断面の成形体を成形する工程の一例を示す図である。 図5は、プレスベンド装置を用いてU字状断面の成形体を成形する工程の一例を示す図である。 図6は、拡管装置の構成例を示す図である。 図7は、鋼管の外径形状の測定装置の構成例を示す図である。 図8は、本発明の一実施形態である鋼管の真円度予測装置の構成を示すブロック図である。 図9は、図7に示す真円度オフライン計算部の構成を示すブロック図である。 図10は、プレスベンド工程の操業条件の変更に伴うプレス加工量と拡管工程後の鋼管の真円度との関係の変化の一例を示す図である。 図11は、圧下回数毎のプレス圧下位置及びプレス圧下量の一例を示す図である。 図12は、本発明の一実施形態である鋼管の真円度制御方法を説明するための図である。 図13は、本発明の一実施形態である鋼管の真円度予測装置の構成を示す図である。 図14は、有限要素モデルの一例を示す図である。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
〔鋼管の製造工程〕
図1は、本発明の一実施形態である鋼管の製造工程を示す図である。図1に示すように、本発明の一実施形態である鋼管の製造工程では、素材となる鋼板として、鋼管の製造工程の前工程である厚板圧延工程によって製造される厚鋼板が用いられる。ここで、厚鋼板は、降伏応力245~1050MPa、引張強度415~1145MPa、板厚6.4~50.8mm、板幅1200~4500mm、及び長さ10~18mのものが代表的である。また、厚鋼板の幅方向端部は開先と呼ばれる面取り状の形状に予め研削される。これは、後の溶接工程において、幅方向端部の外面コーナー部の過加熱を防止して溶接強度を安定化させるためである。また、厚鋼板の幅は、鋼管に成形された後の外径に影響するため、後の工程における変形履歴を考慮して所定範囲に調整される。
鋼管の製造工程では、鋼板の幅方向端部に曲げを付与する端曲げ工程が行われる。端曲げ工程は、Cプレス装置によって行われ、鋼板の幅方向端部に端曲げ加工(クリンピング加工とも称される)を施すものである。Cプレス装置は、上下一対の金型と、鋼板の幅方向中央部を保持する上下一対のクランプと、を備えている。金型の長さは鋼板の長さに比べて短いため、鋼板を長手方向に順次送りながら端曲げ加工が繰り返される。このような端曲げ加工を鋼板の幅方向両端部に対して行う。端曲げ工程は、3点曲げプレスでは幅方向端部に曲げモーメントを付与することが難しいため、予め金型により曲げ変形を付与するものである。これにより、最終製品となる鋼管の真円度を向上させることができる。このとき、加工条件を特定するための操業パラメータとなるのは、金型が鋼板の幅方向端部から幅方向中央方向に向かって接触する長さである端曲げ加工幅、クランプの把持力、端曲げ加工を鋼板の長手方向に繰り返す際の金型の送り量、送り方向、及び送り回数等が挙げられる。
その後のプレスベンド工程は、プレスベンド装置によってパンチによる3点曲げプレスを複数回行うことにより鋼板をU字状断面の成形体に加工する工程である。なお、プレスベンド工程の後には、Oプレス装置を用いてU字状断面の成形体のシームギャップを低減させるシームギャップ低減工程を経てオープン管とする製造工程が取られる場合が多い。しかしながら、本実施形態ではシームギャップ低減工程を省略し、プレスベンド工程が完了したU字状断面の成形体に対して溶接工程を実行する。以降では、プレスベンド工程によって得られたU字状断面の成形体をオープン管とも称する。その後の溶接工程は、オープン管の端部に形成されたシームギャップ部について、端部同士が接触するように拘束して端部同士を接合する工程である。これにより、成形体は端部同士が接合された鋼管となる。その後の拡管工程は、円弧を複数に分割した曲面を有する複数個の拡管工具を備えた拡管装置を用いて、拡管工具の曲面を鋼管の内面に当接させることにより鋼管を拡管する工程である。このようにして製造された鋼管は、検査工程において、材質、外観、寸法等の品質が所定の仕様を満足するか否かが判定され、その後製品として出荷される。検査工程には、鋼管の真円度を測定する真円度測定工程が含まれる。
本実施形態では、鋼板をオープン管に成形し、さらに溶接後に拡管工程を行う一連の製造工程の中で、端曲げ工程、プレスベンド工程、シームギャップ低減工程、及び拡管工程を「成形加工工程」と呼ぶ。これらの工程は鋼板に塑性変形を付与して鋼管の寸法及び形状を制御する工程として共通する。以下、図面を参照して、鋼管の製造工程の各工程について詳しく説明する。
<端曲げ工程>
端曲げ加工を行うCプレス装置について、図2、図3を用いて詳細に説明する。図2は、Cプレス装置の全体構成を示す斜視図である。図2に示すように、Cプレス装置30は、鋼板Sをその長手方向に沿う方向を搬送方向として搬送する搬送機構31と、鋼板Sの搬送方向下流側を前方として、一方の幅方向端部Scを所定の曲率に曲げ加工するプレス機構32Aと、他方の幅方向端部Sdを所定の曲率に曲げ加工するプレス機構32Bと、端曲げ加工を施す鋼板Sの幅に応じて、左右のプレス機構32A,32B間の間隔を調整する図示しない間隔調整機構と、を備えている。搬送機構31は、プレス機構32A、32Bの前後にそれぞれ配置された複数の回転駆動される搬送ロール31aからなる。なお、図中の符号Saは鋼板Sの先端部(長手方向前方端部)を示している。
図3(a)に、鋼板Sの一方の幅方向端部Scを曲げ加工するプレス機構32Aを、鋼板Sの搬送方向上流側から搬送方向下流側へ向かう方向からみた幅方向断面を示す。なお、プレス機構32Aとプレス機構32Bは、左右対称であり、同一の構成を有する。プレス機構32A,32Bは、上下方向に対向配置された一対の金型としての上金型33及び下金型34と、下金型34をツールホルダ35と共に押し上げ(上金型33に近接する方向へ移動させ)、所定のプレス力(Cプレス力)で型締めする金型移動手段としての油圧シリンダ36と、を備えている。なお、プレス機構32A,32Bは、上金型33及び下金型34の幅方向内側で鋼板Sを把持するクランプ機構37を備える場合がある。上金型33及び下金型34の鋼板Sの長手方向の長さは通常は鋼板Sの長さよりも短い。その場合には搬送機構31(図2参照)により鋼板Sを長手方向に間欠的に送りながら複数回の端曲げ加工を行う。
端曲げ工程において、端曲げ加工が施される鋼板Sの幅方向端部Sc,Sdの曲げ方向外側となる面に接する下金型34は、上金型33に対向する押圧面34aを有する。上金型33は、押圧面34aに対向し、製造する鋼管の内径に対応した曲率半径を有する凸曲面状の成形面33aを有する。押圧面34aは、幅方向外側に向かうに連れて上金型33に近づくような凹曲面状を有している。但し、下金型34の押圧面34aは凹曲面状としたが、幅方向外側に向かうにつれ上金型33に近づくような面であればよく、傾斜した平面であってもよい。上金型33及び下金型34の曲面形状としては、鋼板Sの厚さや外径等に応じて適切な形状のものが設計され、処理対象材に応じて適宜選択して使用される場合がある。
図3(b)は、図3(a)と同じ位置におけるプレス機構32Aの幅方向断面であるが、下金型34を油圧シリンダ36により押し上げて型締めした状態を示している。下金型34は油圧シリンダ36により押し上げられ、鋼板Sの幅方向端部Scは上金型33の円弧状の成形面33aに沿った形状に曲げ加工されている。端曲げ成形を施す幅(端曲げ加工幅)は、鋼板Sの幅によって異なるが、100~400mm程度となるのが一般的である。
<プレスベンド工程>
図4は、プレスベンド装置を用いてU字状断面の成形体を成形する工程の一例を示す図である。図中、符号1は、鋼板Sの搬送経路内に配置されたダイを示している。ダイ1は、鋼板Sをその搬送方向に沿って2箇所で支持する左右一対の棒状部材1a,1bから構成されており、成形すべき鋼管のサイズに応じてその間隔ΔDが変更できるようになっている。また、符号2は、ダイ1に近接及び離隔する向きに移動可能なパンチを示している。パンチ2は、鋼板Sに直接接して鋼板Sを凹形状に押圧する下向き凸状の加工面を有するパンチ先端部2aと、パンチ先端部2aの背面に繋がり、パンチ先端部2aを支持するパンチ支持体2bと、を備えている。なお、通常、パンチ先端部2aの最大幅とパンチ支持体2bの幅(厚さ)とは等しくなっている。
上述した構成からなるプレスベンド装置を用いて鋼板Sに曲げ加工を施す際には、鋼板Sをダイ1の上に載置し、鋼板Sを所定の送り量で間欠的に送給しながら、図5に示す要領で、鋼板Sの幅方向両端部から中央部に向けてパンチ2により逐次3点曲げプレスを行う。なお、図5は、予め端曲げ加工を施した鋼板Sに対して、左列の上から下へ(加工前半(a)~(e))、次いで、中央列の上から下へ(加工後半(f)~(i))と曲げ加工及び鋼板Sの送給を実施することにより右列図((j))に示す如き成形体Sを成形する工程を示した図である。なお、図5において、鋼板S及びパンチ2に付されている矢印はそれぞれの工程における鋼板S及びパンチ2の移動方向を示している。また、本工程による加工後のU字状断面の成形体Sにおいて、端部同士のすき間を「シームギャップ」と呼ぶ。
ここで、プレスベンド工程の操業条件を決定する操業パラメータとしては、プレス回数、プレス位置情報、プレス圧下量、下ダイ間隔、及びパンチ曲率等が挙げられる。
プレス回数とは、3点曲げプレスで鋼板を幅方向で押圧する総回数をいう。プレス回数が多いほど、U字状断面の成形体が滑らかな曲線形状となり、拡管工程後の鋼管の真円度が向上する。
プレス位置情報とは、パンチによる押圧を行う鋼板の幅方向の位置をいう。具体的には、鋼板の一方の幅方向端部からの距離や鋼板の幅方向中央部を基準とした距離により特定することができる。プレス位置情報は、押圧の回数(プレス回数1回目からN回目の順番)に紐付けされたデータとして扱うことが好ましい。
プレス圧下量とは、それぞれの押圧位置におけるパンチの押し込み量をいう。プレス圧下量は、図4に示すダイ1の最上面の点を結ぶ線を基準として、そこから下方向にパンチ先端部2aの下端面が突き出す量で定義される。このとき、パンチ先端部2aの押し込み量は押圧毎に異なる値に設定できるため、押圧の回数とプレス圧下量とは紐付けされたデータとして扱うことが好ましい。従って、プレスベンド工程の操業条件は、プレス回数をNとすると、押圧の回数、プレス位置情報、及びプレス圧下量を一組のデータセットとして、1~N個のデータセットにより特定される。
これらのデータセットを用いるのは、プレスベンド工程ではプレス位置やパンチの押し込み量を部分的に変更することにより、オープン管となった状態で全体の断面形状が変化し、拡管工程後の鋼管の真円度にも影響を与えるからである。但し、N個のデータセット全てを後述する真円度予測モデルの入力変数とする必要はない。拡管工程後の鋼管の真円度に対して影響が大きい条件を選択し、例えば、プレスベンド工程の最初(1回目)又は最後(N回目)のプレス位置情報とプレス圧下量を用いて、真円度予測モデルを生成してもよい。
下ダイ間隔とは、図4に示す左右一対の棒状部材1a,1bの間隔であり、図中のΔDで表されるパラメータである。下ダイ間隔が大きくなると、同じプレス圧下量に対しても局所的な鋼板の曲率が変化することから拡管工程後の鋼管の真円度にも影響を与える。従って、成形すべき鋼管のサイズに応じて設定される下ダイ間隔をプレスベンド工程の操業パラメータに用いることが好ましい。また、パンチの押し込み毎に下ダイ間隔を変更するような場合には、プレス回数と紐づけされたデータとして操業パラメータに用いてもよい。
パンチ曲率とは、押圧を行うパンチ先端部の曲率をいう。パンチ曲率が大きくなるほど、3点曲げプレス時に鋼板に付与される局所的な曲率が増加して、拡管工程後の鋼管の真円度に影響を与える。但し、パンチ曲率は1枚の鋼板を成形する際に押圧毎に変更するのは困難であり、成形すべき鋼管のサイズに応じて設定されるパンチ曲率をプレスベンド工程の操業パラメータに用いるのが好ましい。
本実施形態のように、プレスベンド工程を行った後にOプレス装置等によるシームギャップ低減工程を省略する場合には、成形体のシームギャップが大きくなりやすく、これにより拡管工程後の真円度が悪化しやすい傾向にある。そのため、シームギャップ低減工程を用いる場合に比べて、鋼板Sの幅方向中央部のプレス圧下量を大きく設定することが多い。但し、鋼板Sの幅方向中央部のプレス圧下量が大き過ぎると、成形体の幅方向端部がパンチ支持体2bに接触してしまうため、プレス圧下量の上限が生じることがある。
<溶接工程>
プレスベンド工程により成形加工されたU字状断面の成形体Sは、その後、シームギャップ部の端面を相互に突合せ、溶接機(接合手段)により溶接して鋼管とする。溶接機(接合手段)としては、例えば仮付溶接機、内面溶接機、及び外面溶接機という3種類の溶接機で構成されるものを適用する。これらの溶接機において、仮付け溶接機は、ケージロールにより突き合せた面を適切な位置関係で連続的に密着させ、密着部をその管軸方向全長にわたって溶接する。次に、仮付けされた管は、内面溶接機により突き合せ部の内面から溶接(サブマージアーク溶接)され、さらに、外面溶接機により突き合せ部の外面から溶接(サブマージアーク溶接)される。
<拡管工程>
シームギャップ部を溶接された鋼管については、鋼管の内部に拡管装置を挿入して鋼管の直径を拡大(いわゆる拡管)する。図6(a)~(c)は、拡管装置の構成例を示す図である。図6(a)に示すように、拡管装置は、円弧を複数に分割した曲面を有する複数個の拡管ダイス16をテーパー外周面17の周方向に沿って備えている。拡管装置を利用して鋼管を拡管する際には、図6(b),(c)に示すように、まず、鋼管移動装置を用いて鋼管Pを移動することにより拡管ダイス16を拡管開始位置に合わせ、プルロッド18を拡管開始位置から後退させることによって1回目の拡管処理を行う。
これにより、楔作用によってテーパー外周面17に摺接した拡管ダイス16のそれぞれが放射方向に変位し、鋼管Pが拡管される。そして、鋼管Pの断面形状の凹凸が小さくなり、鋼管Pの断面形状は真円形状に近くなる。次に、プルロッド18を拡管開始位置まで前進させ、リリース機構によって拡管ダイス16を軸垂直方向の内側に復帰させてから、拡管ダイス16のピッチ(軸方向の長さ)に応じた量だけ鋼管Pを更に移動させる。そして、拡管ダイス16を新たな拡管位置に合わせてから前記の動作を繰り返し行う。これにより、拡管ダイス16のピッチ分ずつ1回目の拡管処理を鋼管Pの全長にわたって行うことができる。
このとき拡管工程の操業条件を決定する操業パラメータとしては、拡管率、拡管ダイス枚数、及び拡管ダイス径等が挙げられる。拡管率とは、拡管後の外径と拡管前の外径との差の、拡管前の外径に対する割合をいう。拡管前後の外径は、鋼管の周長を計測することにより算出することができる。拡管率は、拡管ダイスを半径方向に押し広げる際のストローク量により調整することができる。拡管ダイス枚数とは、拡管を行う際に、周方向に配設された鋼管と当接する部分の枚数をいう。拡管ダイス径とは、各拡管ダイスにおける鋼管と当接する部分の曲率をいう。
これらの中で、拡管工程後の真円度を容易に調整できる操業パラメータは拡管率である。拡管率が増加すると、全周にわたって拡管ダイスに接した領域の曲率が、拡管ダイスRに応じて均等に付与されることで真円度が改善する。このとき、拡管ダイス枚数が多いほど、鋼管の周方向における局所的な曲率の変動を抑制することができるため、拡管工程後の鋼管の真円度が良好になる。しかしながら、拡管率が大きすぎるとバウシンガー効果に起因して、鋼管製品の圧縮降伏強度が低下する場合がある。鋼管をラインパイプ等に用いる場合に、管周方向に高い圧縮応力が作用するため、鋼管の材質としても高い圧縮降伏強度が必要となり、必要以上に拡管率を大きくすることは適当でない。従って、実際の操業では、予め設定される拡管率の上限値よりも小さい拡管率で鋼管の真円度が所定の値に収まるように拡管率が設定される。
<真円度測定工程>
鋼管の製造工程の最後となる検査工程では、鋼管の品質検査が行われ、鋼管の真円度が測定される。真円度測定工程において測定される真円度とは、鋼管の外径形状について、真円からのズレの程度を表す指標である。通常は、真円度がゼロに近いほど、鋼管の断面形状が完全な円に近い形状であることを示す。真円度は、真円度測定機によって計測された鋼管の外直径情報に基づいて算出される。例えば任意の管長位置で管を周方向に等分して対向する位置での外直径を計測し、それらのうちの最大径と最少径をそれぞれDmax、Dminとした場合、真円度はDmax-Dminで定義することができる。このとき、等分する数が多いほど、拡管工程後の鋼管における小さな凹凸も数値化した指標となり好ましい。具体的には4~36000等分した情報を用いるのが良い。より好ましくは360等分以上である。
但し、真円度としては、必ずしも最大径と最小径の差によるものでなくてもよい。鋼管の外径形状を連続的な線図で表した図形からその曲線の内側の面積と同じ面積を有する等価な仮の真円(直径)を算出し、その仮の真円を基準として鋼管の外径形状とズレた領域を画像として表したものとして定義してもよい。なお、本実施形態における拡管工程後の鋼管の真円度としては、このような画像により表すものを含めて、真円度情報と呼ぶことがある。鋼管の外径形状の測定手段としては、例えば以下の方法を用いることができる。
(a)図7(a)に示すように、鋼管Pの略中心軸線を中心として360度回転可能なアーム20と、アーム20の先端に取り付けられた変位計21a,21bと、アーム20の回転軸の回転角度を検出する回転角度検出器22と、を有する装置を用いて、アーム20の回転の微小な角度単位毎に変位計21a,21bによってアーム20の回転中心と鋼管Pの外周上の測定点との間の距離を測定し、この測定値に基づいて鋼管Pの外径形状を特定する。
(b)図7(b)に示すように、鋼管Pの中心軸回りに回転する回転アーム25と、回転アーム25の端部側に鋼管Pの半径方向に移動可能に設けられた図示しない架台と、鋼管Pの端部外面及び内面にそれぞれ当接して回転アーム25の回転に伴って自転する一対の押圧ローラ26a,26bと、押圧ローラ26a,26bを鋼管Pの外面及び内面に押圧させる架台に対して固定された一対の押圧用エアシリンダと、を備える装置を用いて、架台の半径方向の移動量及び各押圧用エアシリンダによる押圧ローラ26a,26bの押圧位置に基づいて鋼管Pの外径形状を特定する。
ここで、本実施形態においては、後述する真円度予測モデルによる真円度の予測結果について、上記の検査工程で得られる真円度の測定値と比較することにより、その予測精度を検証することができる。従って、後述する真円度予測モデルの予測結果に対して、その予測誤差の実績値を真円度予測モデルによる予測結果に加えて予測精度の向上を図ることも可能である。
〔鋼管の真円度予測装置〕
図8は、本発明の一実施形態である鋼管の真円度予測装置の構成を示すブロック図である。図9は、図8に示す真円度オフライン計算部112の構成を示すブロック図である。
図8に示すように、本発明の一実施形態である鋼管の真円度予測装置100は、ワークステーション等の情報処理装置によって構成され、基礎データ取得部110、データベース120、及び真円度予測モデル生成部130を備えている。
基礎データ取得部110は、端曲げ工程、プレスベンド工程、溶接工程、及び拡管工程を経て鋼管の真円度に影響を与える要因を数値化した操業条件データセット111と、操業条件データセット111を入力条件として拡管工程後の真円度を出力する真円度オフライン計算部112と、を備えている。
本実施形態では、操業条件データセット111には、端曲げ工程の操業パラメータ及びプレスベンド工程の操業パラメータを少なくとも含む。これらは、拡管工程後の鋼管の真円度に与える影響が大きく、真円度のばらつき対して影響を与える因子だからである。また、素材となる鋼板の属性情報や拡管工程における操業パラメータを含めるのが好ましい。その他にも溶接工程の操業パラメータを含めてもよい。操業条件データセット111に用いるデータについては後述する。
基礎データ取得部110は、操業条件データセット111に含まれるパラメータを種々変更して真円度オフライン計算部112による数値計算を実行することにより、複数の操業条件データセット111に対応する拡管工程後の鋼管の真円度を計算する。操業条件データセット111に含まれるパラメータを変更する範囲としては、製造する鋼管のサイズや各工程の設備の仕様等に応じて、通常の操業条件として変更しうる範囲に基づいて決定する。
真円度オフライン計算部112は、端曲げ工程から拡管工程に至る一連の製造工程を通じた数値解析による拡管工程後の鋼管の形状を算出し、拡管工程後の形状から鋼管の真円度を求める。ここで、一連の製造工程には、端曲げ工程、プレスベンド工程、及び拡管工程が含まれる。図9に示すように、真円度オフライン計算部112は、それぞれの工程に対応した有限要素モデル生成部112a~112cと、有限要素解析ソルバー112dと、を備えている。
端曲げ工程の有限要素モデル生成部は、鋼板の属性情報に基づいて鋼板内部の要素分割を行う。要素分割は予め設定された要素分割条件に基づいて自動で行われる。要素分割された端曲げ工程の有限要素モデルは、端曲げ工程における計算条件と共に有限要素解析ソルバー112dに送られる。端曲げ工程における計算条件とは、端曲げ工程の操業パラメータを含み、その他にも被加工材や工具等の物性値、幾何学的境界条件や力学的境界条件等の全ての境界条件を特定した、有限要素解析を実行するために必要な全ての情報を含む。端曲げ工程の有限要素解析により得られる鋼板の形状や応力・ひずみ分布は、プレスベンド工程の被加工材に関する初期条件として、プレスベンド工程の有限要素モデル生成部112aに送られる。
有限要素解析ソルバー112dとしては、市販の汎用解析ソフトが多数存在するので、これらを適宜選択して組み込むことにより活用が可能である。また、真円度オフライン計算部112とは別個のコンピュータに有限要素解析ソルバー112dを搭載し、有限要素モデルを含む入力データと計算結果である出力データとを真円度オフライン計算部112との間で送受信する形態であってもよい。各工程に対応する有限要素モデルが生成されれば、単一の有限要素解析ソルバーにより数値解析が可能だからである。
有限要素法は連続体を有限個の要素に分割した近似解法の一種である。近似解法ではあっても、有限要素法は、要素の節点における力のつり合いと変位の連続性を満足する解を求めるものであり、変形が不均一である場合にも精度の高い解を得ることができる。有限要素法では、要素内の応力、ひずみ、変位は要素毎に独立に定義され、節点の変位(速度)と関連付けられることにより、連立方程式を解く問題として定式化される。その際、要素の節点における変位(速度)を未知数として、それによりひずみ(増分)や応力を評価する方法が広く用いられている。
また、有限要素法は、要素内の応力のつり合い条件に対して、積分形で表した仮想仕事の原理に基づいて計算を行うのが特徴である。解析結果の精度は、要素分割等の条件によって変化する。また、解析に要する計算時間は長いのが通常である。しかしながら、有限要素法は、塑性力学の基礎式を節点又は要素内で満足する解として、他の方法では解くことが難しい問題に対しても解が得られるのが特徴である。従って、鋼管の製造工程における複雑な加工履歴に対しても、実現象に近い被加工材の変位、応力場、及びひずみ場の解を得ることができる。
なお、有限要素解析ソルバーの一部を、すべり線場法やエネルギー法等の各種数値解析法や近似解法に置き換えてもよい。これにより、全体の計算時間を短くすることができる。また、本実施形態で使用する有限要素解析は、弾塑性解析を実行するものであり、熱伝導解析等の温度場の解析は含まない。但し、加工速度が速く、加工発熱により被加工材の温度上昇が大きい場合には、熱伝導解析と弾塑性解析とを連成させた解析を行ってもよい。また、本実施形態の弾塑性解析は、端曲げ工程、プレスベンド工程、及び拡管工程のいずれについても断面2次元解析であり、鋼板から端曲げ形状断面、オープン管、鋼管に成形される際の長手方向定常部の断面について数値解析を行えば十分である。但し、鋼管の先端部や尾端部等の非定常部の形状を高精度に予測する場合には、先端部や尾端部を含む3次元解析を行うような有限要素モデル生成部を備えればよい。
プレスベンド工程における被加工材である端曲げ加工後の鋼板については、その属性情報が入力データとして与えられている。このとき、端曲げ工程の有限要素解析を行った結果、得られる鋼板の形状や応力・ひずみ分布がプレスベンド工程の被加工材に対する初期条件となる。ここで、プレスベンド工程の有限要素モデル生成部112bは、プレスベンド工程前の鋼板の寸法や形状に基づいて、鋼板内部の要素分割を行う。要素分割は予め設定された要素分割条件に基づいて自動で行われる。このとき、前工程で鋼板に付与された製造履歴に基づいて、内部に残留している応力やひずみの分布を各要素に割り当ててもよい。曲げ加工が主体となるプレスベンド工程では、初期の残留応力も加工後の鋼板のU字状成形体の形状に影響を与えるからである。
このようにして生成されたプレスベンド工程の有限要素モデルと共に、プレスベンド工程における計算条件が入力データとして、有限要素解析ソルバー112dに送られる。このとき、プレスベンド工程における計算条件とは、プレスベンド工程における操業パラメータを含み、その他にも被加工材や工具等の物性値、幾何学的境界条件や力学的境界条件等の全ての境界条件を特定した、有限要素解析を実行するために必要な全ての情報を含むものとする。
有限要素解析ソルバー112dでは、前記で与えられた計算条件の下で数値解析を実行し、プレスベンド工程後のオープン管の形状と内部に残留する応力やひずみの分布を求める。このようにして計算された結果は、次の拡管工程の有限要素モデル生成部112cでの入力データに使用される。このとき、オープン管のシームギャップ部を溶接する溶接工程についても、溶接過程の数値解析により溶接後の鋼管に発生する残留応力やひずみを求めてもよい。
但し、溶接時の鋼板の溶融に伴う熱伝導挙動や、熱影響部の機械的性質への影響等、溶接工程については厳密な数値解析が困難である場合が多い。また、溶接による熱影響部は、鋼管の一部の形状に影響するだけであり、鋼管全体の形状に対しての影響は小さい。従って、溶接による熱影響部が拡管工程後の鋼管の真円度に与える影響は無視してもよい。
溶接工程では、オープン管のシームギャップが縮小するようにオープン管を外側から拘束しながら溶接を行うため、シームギャップ部近傍以外の部分では弾性変形による応力とひずみ分布が変化する。従って、有限要素解析ソルバー112dを用いて、オープン管のシームギャップをゼロにするように周囲から拘束する挙動を有限要素法によって数値解析を行い、その結果を溶接工程後の応力・ひずみ状態とすることができる。
一方、このような溶接工程におけるシームギャップの縮小過程が弾性変形である場合には、梁理論による曲がり梁に対する応力とひずみの解析解を、有限要素解析により算出されたオープン管内部の応力とひずみの分布に重ね合わせて、溶接工程後の応力・ひずみ分布を求めてもよい。これにより計算時間を短縮することができる。
以上のようにして得られた溶接工程後の鋼管の形状に基づいて、拡管工程の有限要素モデル生成部112cは、鋼管内部の要素分割を行う。要素分割は予め設定された要素分割条件に基づいて自動で行われる。このとき、上記のようにして計算された応力やひずみの分布を各要素に割り当てるのが好ましい。生成された拡管工程の有限要素モデルは、拡管工程における計算条件と共に、有限要素解析ソルバー112dに送られる。拡管工程における計算条件とは、本実施形態の拡管工程の操業パラメータを含み、その他にも被加工材や工具等の物性値、幾何学的境界条件や力学的境界条件等の全ての境界条件を特定した、有限要素解析を実行するために必要な全ての情報を含むものとする。
有限要素解析ソルバー112dでは、上記で与えられた計算条件の下で数値解析を実行し、拡管工程後の鋼管の形状と内部の応力やひずみの分布を求める。計算される鋼管の形状は、周方向に不均一な曲率分布を有するものであり、真円度測定工程における真円度の定義に従って、鋼管の真円度が求められる。なお、真円度オフライン計算部112による有限要素法を用いた数値解析には、1つの操業条件データセット(1ケース)に対して約1~10時間程度の計算時間を要する場合がある。
しかしながら、オフラインで処理を実行するため、計算時間の制約は発生しない。但し、多数の操業条件データセットに対する計算時間を短縮するために、複数の計算機を用いて複数の操業条件データセットに対応した数値計算を並行して実行してもよい。これにより、短期間で真円度予測モデルを生成するためのデータベースを構築することができる。さらに、近年ではGPGPU(General-Purpose computing on Graphics Processing Units)を用いた計算により、1ケース当たりの計算時間は従来に比べて1/2~1/10程度となっており、このような計算機ツールを用いてもよい。
図8に戻る。データベース120は、操業条件データセット111とそれに対応する拡管工程後の鋼管の真円度に関するデータを格納する。データベース120に格納されるデータは、オフラインで取得することができる。これは、実操業の実績値として蓄積されるデータベースとは異なり、操業条件データセットを任意に設定できるため、操業条件データセットの操業条件には統計的な偏りが生じにくく、機械学習に適したデータベースとなる。また、厳密な数値解析による計算結果を蓄積するものであり、経時的に変動するような学習用データではないため、データを蓄積するほど有益なデータベースが得られる。
真円度予測モデル生成部130は、データベース120に格納されている複数組の操業条件データセット111と鋼管の真円度の関係に基づいて、入力する操業条件データセット111に対する拡管工程後の鋼管の真円度を求める、機械学習により学習された真円度予測モデルMを生成する。なお、各工程における操業条件と拡管工程後の鋼管の真円度の関係は、複雑な非線形性を示す場合があり、1次線形を仮定したモデル化では精度が低く、ニューラルネットワーク等の非線形性を有する関数を用いた機械学習手法によって高精度な予測が可能となる。ここで、モデル化とは、数値計算での入出力の関係を等価な関数形に置き換えることを意味する。
真円度予測モデルMの生成に必要なデータベースの数は、製造する鋼管のサイズ等によって変わるものの、500個以上のデータがあればよい。好ましくは2000個以上、より好ましくは5000個以上のデータを用いる。機械学習の方法は、公知の学習方法を適用すればよい。機械学習は、例えばニューラルネットワーク等の公知の機械学習手法を用いればよい。他の手法としては、決定木学習、ランダムフォレスト、ガウシアン過程回帰、サポートベクター回帰、k近傍法等が例示できる。なお、真円度予測モデルMはオフラインで生成することになるが、真円度予測モデル生成部130をオンラインの制御システムに組み込んで、随時オフラインで計算され蓄積されるデータベースを用いて、定期的に真円度予測モデルの更新を行ってもよい。
以上のようにして生成した拡管工程後の鋼管の真円度予測モデルMは、以下のような特徴を有する。
まず、端曲げ工程は、素材となる鋼板の幅方向端部に金型による曲げ変形を付与するものであり、鋼管の溶接部近傍における拡管工程後の鋼管の真円度に影響を与える。これは、プレスベンド工程のように3点曲げプレスによって鋼板に曲げ変形を付与する場合には、幅方向端部に曲げモーメントを付与することが難しいため、鋼板の幅方向端部近傍で曲率を低減するのが難しいからである。一方、プレスベンド工程は、鋼板の幅方向に沿って曲げ変形を複数回付与する工程であるため、オープン管に生じる周方向の曲率分布に影響を与える。これにより、拡管工程後の鋼管の真円度として、鋼管の周方向全体に対して影響を与える。このように端曲げ工程とプレスベンド工程では、鋼板の幅方向において曲げ変形を付与する位置が異なるため、両者の操業条件を組み合わせて拡管工程後の鋼管の真円度を予測するのがよい。
一方、端曲げ工程において鋼板に付与する曲率が小さい場合には、幅方向端部の変形が小さいため、プレスベンド工程において比較的大きな曲げ変形を付与しないとオープン管のシームギャップが低減せず、拡管工程後の鋼管の真円度も悪化する傾向にある。逆に、端曲げ工程において鋼板に付与する曲率が大きい場合には、プレスベンド工程における曲げ変形を抑制しないと、オープン管のシームギャップが小さすぎて、この場合にも拡管工程後の鋼管の真円度も悪化する傾向にある。従って、端曲げ工程における操業条件とプレスベンド工程における操業条件とを組み合わせることで、拡管工程後の鋼管の真円度をはじめて良好にすることができ、上記真円度予測モデルMはこのような因子を考慮したものとなる。
さらに、素材となる鋼板の属性情報として、例えば降伏応力や板厚等は、鋼板を製造する際に一定のばらつきが生じるものであり、端曲げ工程におけるCプレス装置の除荷後の鋼板の曲率やプレスベンド工程の3点曲げプレスにおけるパンチ押し込み時に鋼板の曲率や除荷後の曲率に対して影響を与える。そのため、これらの鋼板の属性情報をオフラインで生成する真円度予測モデルMの入力パラメータとして選択しておくことにより、素材の降伏応力や板厚等の属性情報が拡管工程後の鋼管の真円度に与える影響を予測することができる。
例えば図10は、外径30インチ、管厚44.5mmの鋼管を製造する際に、プレスベンド工程においてプレス回数を9回とする条件で、端曲げ工程における端曲げ加工幅を180mm、200mm、220mmとした場合に、プレスベンド工程における第1パスのプレス圧下時のプレス圧下量を変更して、拡管工程(拡管工程の操業条件は同一)後の鋼管の真円度を測定した結果である。図10では、プレスベンド工程における他の操業条件を一定として、最初(1回目)の押圧時の圧下量(第1パス圧下量)を変更した結果を示したものである。
図10に示すように、端曲げ加工における操業パラメータである端曲げ加工幅や、プレスベンド工程の操業パラメータである第1パス圧下量によって、拡管工程後の鋼管の真円度が異なる。このとき、拡管工程後の鋼管の真円度を同一に制御しようとする(例えば真円度0.68%を目標値とする)と、端曲げ工程における端曲げ加工幅によって、プレスベンド工程の第1パス圧下量を適宜変更する必要がある。このことは、鋼板の属性情報にばらつきが生じ、端曲げ工程の操業条件が同一であっても端曲げ工程後の鋼板の変形状態(曲率)が異なる場合があり、これに対してプレスベンド工程の操業条件を適切に制御しなければ、結果として拡管工程後の鋼管の真円度がばらつくことを意味する。このように、拡管工程後の鋼管の真円度を適切に制御するためには、端曲げ工程の操業条件に応じて、プレスベンド工程の操業条件を変更する必要があり、端曲げ工程とプレスベンド工程のそれぞれの操業条件を独立のパラメータとして扱っただけでは適正な操業条件を設定し得ないことがわかる。
これに対して、本実施形態の真円度予測モデルは、このような複数の製造工程の操業パラメータが拡管工程後の鋼管の真円度に与える影響を考慮できるものであり、高精度な真円度の予測が可能となる。また、機械学習により学習した真円度予測モデルを生成しておくので、入力条件となる変数を変更しても、即座に出力となる真円度を算出することができるため、オンラインで使用する場合でも、操業条件の設定や修正を即座に行うことができるという特徴がある。以下、真円度予測モデルの入力に用いる各パラメータについて説明する。
<鋼板の属性情報>
素材となる鋼板の属性情報を真円度予測モデルの入力に用いる場合には、鋼板の降伏応力、引張強度、縦弾性係数、板厚、板面内の板厚分布、鋼板の板厚方向の降伏応力の分布、バウシンガー効果の程度、表面粗さ等、拡管工程後の鋼管の真円度に影響を及ぼす任意のパラメータを用いることができる。特に、端曲げ工程における鋼板の幅方向端部でのスプリングバックに影響を与える因子や、プレスベンド工程における3点曲げプレスによる鋼板の変形状態やスプリングバックに影響を与える因子を指標とするのが好適である。
鋼板の降伏応力、鋼板の板厚方向の降伏応力の分布や板厚は3点曲げプレスにおける応力やひずみの状態に直接的に影響する。引張強度は曲げ加工における加工硬化の状態を反映するパラメータとして、曲げ変形時の応力状態に影響を与える。バウシンガー効果は、曲げ変形による負荷が反転した場合の降伏応力や後続の加工硬化挙動に影響を与え、曲げ変形時の応力状態に影響を与える。また、鋼板の縦弾性係数は、曲げ加工後のスプリングバック挙動に影響を与える。さらに、板面内の板厚分布はプレスベンド工程の曲げ曲率の分布を発生させることで、拡管工程後の鋼管の真円度に影響を与える。
これらの属性情報の中から、特に、降伏応力、代表板厚、板厚分布情報、代表板幅を用いるのが好ましい。これらは、素材となる鋼板の製造工程である厚板圧延工程の品質検査工程において計測される情報であり、端曲げ工程やプレスベンド工程における変形挙動に影響を与え、拡管工程後の鋼管の真円度に影響するため、基礎データ取得部110における鋼板の属性情報として用いるのが好ましい。
降伏応力は、素材となる厚鋼板から採取した品質確性用の小試験片の引張試験から得ることができる情報であり、素材となる鋼板の面内の代表値を用いればよい。また、代表板厚とは、素材となる鋼板の面内の板厚を代表する板厚であり、鋼板の長手方向の任意位置における鋼板の幅方向中央部の板厚を用いる場合や、長手方向の板厚の平均値を用いてもよい。さらに、鋼板の面内全体での板厚の平均値を求め、これを代表板厚としてもよい。
また、板厚分布情報とは、鋼板の幅方向の板厚分布を代表する情報を指す。代表的なものとして鋼板のクラウンが挙げられる。クラウンとは、鋼板の幅方向中央部と鋼板の幅方向端部から所定距離(例えば、100mm、150mm等が用いられる)離れた位置における板厚との差を表すものである。また、代表板幅とは、素材となる鋼板の幅についての代表値である。素材となる厚鋼板の幅にばらつきがある場合や鋼板の幅方向端部を開先加工により研削する際に、鋼板の幅が変動する場合があり、製品となる鋼管の外径精度のばらつきに影響する。
以上の鋼板の属性情報は、オンラインの操業においては、上位計算機で収集される情報として、鋼管の製造工程における操業条件を設定するために用いられる情報である。基礎データ取得部110は、このようにオンラインの上位計算機で収集される鋼板の属性情報に合致するようにそれらの中から選択するのがよい。
<端曲げ工程の操業パラメータ>
端曲げ工程の操業パラメータには、Cプレス装置30で使用する上金型33の成形面33aがなす形状や下金型34の押圧面34aがなす形状を特定するパラメータを操業パラメータとして用いることができる。また、端曲げ工程における端曲げ加工幅(端曲げ成形を施す幅)、押し上げ力(Cプレス力)、及びクランプ機構37による把持力を操業パラメータとして用いてもよい。これらは、端曲げ工程における鋼板の幅方向端部の変形に影響を与え得る因子だからである。また、端曲げ工程について3次元変形解析を実行する場合には、鋼板の送り量、送り方向、及び送り回数を端曲げ工程の操業パラメータとしてもよい。
ここで、上金型33の成形面33aがなす形状については、複数の曲率半径を有する円弧が連続した形状で付与される場合やインボリュート曲線等により付与される場合があり、幾何学的な断面形状を特定するためのパラメータを用いることができる。例えば放物線形状により断面形状を構成する場合には、原点を通る放物線を表す2次式の1次項及び2次項の係数を用いることにより断面形状を特定することができるため、そのような係数を端曲げ工程の操業パラメータとすることができる。
一方、製造する鋼管の外径、肉厚、鋼種等の条件に応じて、上金型33の成形面33aがなす形状として、複数の金型を保有してそれらを適宜交換して使用する場合には、端曲げ工程に使用する金型を特定するための金型管理番号を端曲げ工程の操業パラメータとしてもよい。
<プレスベンド工程の操業パラメータ>
本実施形態では、プレスベンド工程の操業パラメータを真円度予測モデルの入力に用いる。プレスベンド工程の操業パラメータとしては、上記に記載した3点曲げプレスのプレス回数、プレス位置情報、プレス圧下量、下ダイ間隔、パンチ曲率等、鋼板の局所的な曲げ曲率と、それらの板幅方向の分布に影響を与える各種パラメータを用いることができる。特に、パンチが鋼板を押圧するプレス位置情報とプレス圧下量、プレスベンド工程を通じて行うプレス回数の全てを含む情報を用いるのが好ましい。これらの情報を全て含むとは、図11に示す方法が例示できる。
図11(a),(b)はそれぞれ、同一の板幅の鋼板に対してプレス回数16回と10回でパンチの押圧行った場合のプレス圧下位置とプレス圧下量の例を示している。このとき、プレス圧下位置は、鋼板の基準とする幅方向端部からの距離を表す情報であり、これをプレス圧下位置情報として用いる。一方、各プレス圧下位置に対応して、プレス圧下量が記載されており、このような「圧下回数」、「プレス圧下位置」、「プレス圧下量」を一組のデータとすることができる。図11(a),(b)に示す例では、プレス回数16回と10回でそれぞれ16組及び10組のデータにより、プレスベンド工程の操業パラメータが特定される。
本実施形態では、このようなデータセットを真円度予測モデルの入力として、以下のような形で用いる。例えば、真円度予測モデルの入力として、鋼板の一方の端部で、最も端部に近い位置でプレス圧下を行う際のプレス圧下位置とプレス圧下量、及び鋼板の他方の端部で、最も端部に近い位置でプレス圧下を行う際のプレス圧下位置とプレス圧下量を用いることができる。
3点曲げプレスにおいて、鋼板の一方の端部におけるプレス圧下量を増加させた場合は、図4に示す鋼管におけるおおむね1時に相当する部分と、おおむね11時に相当する部分における曲率が大きくなり、U字状断面の成形体としては全体的に横長の形状となる。また、それらのプレス圧下位置が、鋼板の端部に近いほど、シームギャップ部の位置が低くなり、U字状断面の成形体としては全体的に横長の形状となる。その結果として、オープン管に成形され、溶接工程及び拡管工程を経た後の鋼管も、全体としては横長形状が残留し、真円度に影響を与えることになる。さらには、プレス圧下する際のパンチ曲率、全体のプレス圧下回数、及びプレス圧下時の下ダイの間隔も真円度に影響を与える。
一方、真円度予測モデルの入力として、全てのプレス圧下位置情報とプレス圧下量のデータをプレス回数と共に使うことにより、真円度予測モデルの予測精度をさらに向上させることができる。例えば、想定される最大のプレス回数を基準とし、圧下を行う場合は圧下回数に応じてプレス圧下位置及びプレス圧下量のデータを格納する。そして、圧下を行わないそれ以降のプレス加工におけるプレス圧下位置及びプレス圧下量はゼロとする。例えば図11(a),(b)に示した例では、想定される最大のプレス回数を16回と仮定した場合において、プレス回数10回の場合には圧下回数11~16回目のデータはゼロとして、真円度予測モデルの入力となる。
以上のプレスベンド工程の操業パラメータは、オンラインの操業においては上位計算機で設定される操業条件として用いられる情報である。基礎データ取得部110は、このようにオンラインの上位計算機で収集されるプレスベンド工程の操業パラメータの中から真円度予測モデルの入力に用いるパラメータを選択するのがよい。
<拡管工程の操業パラメータ>
上述した操業パラメータの他、拡管工程の操業パラメータを真円度予測モデルの入力に用いる場合には、拡管率を拡管工程の操業パラメータとして用いることができる。拡管率が大きいほど、拡管工程後の鋼管の真円度は向上するが、鋼管製品としての圧縮降伏強度の観点から拡管率の上限値が制限されるため、その範囲内での値を用いて基礎データ取得部110の計算条件を決定する。このとき、拡管率は、拡管装置を制御するために必要な情報であるため、上位計算値で設定された設定値により特定することができる。なお、拡管工程の操業パラメータとしては、拡管率の他、拡管ダイス枚数や拡管ダイス径を用いてもよい。
〔真円度予測方法〕
本実施形態では、上記のようにして真円度予測モデル生成部130によってオフラインで生成された真円度予測モデルMを用いて、オンラインで拡管工程後の鋼管の真円度を予測する。拡管工程後の鋼管の真円度予測にあたっては、まず、鋼管の製造工程の操業条件として設定される操業条件データセットをオンラインで取得する(操業パラメータ取得ステップ)。これは、上記のようにして生成した真円度予測モデルの入力となる操業条件データセットとして、鋼管の製造工程を統括する上位計算機又は各成形加工工程の制御用計算機から必要なデータを取得するステップである。ここで、「オンライン」とは、鋼管の製造工程の開始前から拡管工程が完了するまでの一連の製造工程の間を意味する。従って、必ずしもいずれかの成形加工工程で加工を実行中でなくてもよい。各成形加工工程の間で鋼板を次の工程に搬送するために待機している間も「オンライン」に含まれる。また、鋼管の製造工程の開始前であって素材となる鋼板を製造する厚板圧延工程が完了した後も「オンライン」に含めることができる。素材となる鋼板を製造する厚板圧延工程が完了すると、本実施形態の真円度予測モデルの入力となる操業条件データセットを取得できる状態になるからである。オンラインで使用するのは機械学習により学習した真円度予測モデルMであり、入力条件となる操業パラメータを設定すれば、即座に出力となる真円度を算出し、操業条件の再設定等を迅速に行うことができる。
拡管工程後の鋼管の真円度予測は、鋼板の製造工程の開始前又は途中のいずれかのタイミングで実施することができる。予測を行うタイミングに応じて、真円度予測モデルMの入力となる操業条件データセットを適宜生成する。すなわち、端曲げ工程前に拡管工程後の鋼管の真円度予測を行う場合、素材となる鋼板の属性情報についての実績値(実測値)を用いることができ、端曲げ工程を含む以降の製造工程の操業パラメータとしては、上位計算機で予め設定されている操業条件の設定値を用いる。
また、端曲げ工程を終了して、プレスベンド工程の開始前に拡管工程後の鋼管の真円度予測を行う場合には、素材となる鋼板の属性情報についての実績値(実測値)と、端曲げ工程の操業パラメータの実績値を用いると共に、プレスベンド工程を含む以降の製造工程の操業パラメータとして、上位計算機で予め設定されている操業条件の設定値を用いる。なお、予め設定されている操業条件の設定値とは、過去の操業実績に基づいて設定された設定値であり、予め上位計算機に記憶されているものをいう。
本実施形態では、以上のように拡管工程後の鋼管の真円度を予測するタイミングに応じて取得される一組の操業条件データセットを真円度予測モデルの入力に用い、出力である拡管工程後の鋼管の真円度をオンラインで予測する。これにより、予測された鋼管の真円度に応じて、以降の製造工程の操業条件を再設定できるため、拡管工程後の鋼管の真円度をより小さくすることができる。
〔真円度制御方法〕
表1及び図12を参照して、本発明の実施形態である真円度制御方法について説明する。
本実施形態では、まず、鋼管の製造工程を構成する複数の成形加工工程の中から再設定対象工程を選択する。そして、再設定対象工程の開始前に真円度予測モデルMを用いて拡管工程後の鋼管の真円度を予測する。続いて、拡管工程後の鋼管の真円度が小さくなるように、少なくとも再設定対象工程の操業パラメータの中から選択した1つ以上の操業パラメータ、又は、再設定対象工程よりも下流側の成形加工工程の操業パラメータの中から選択した1つ以上の操業パラメータを再設定する。
ここで、鋼管の製造工程を構成する複数の成形加工工程とは、鋼板に塑性変形を付与して鋼管を所定の形状に加工する、端曲げ工程、プレスベンド工程、及び拡管工程を指す。再設定対象工程は、これらの成形加工工程の中から任意の工程を選択する。そして、選択した再設定対象工程における成形加工を実行する前に、鋼管の真円度予測モデルMを用いて拡管工程後の鋼管の真円度を予測する。このとき、再設定対象工程よりも上流側の成形工程については、鋼板の成形加工が終了しているので、上流側の成形加工工程の操業パラメータを用いる場合には、その実績データを真円度予測モデルMの入力に用いることができる。一方、再設定対象工程を含む下流側の成形加工工程については、操業実績データを採取できないので、予め上位計算機等において設定されている設定値を鋼管の真円度予測モデルMの入力に用いる。このようにして対象材についての拡管工程後の鋼管の真円度を予測できる。
そして、拡管工程後の鋼管の真円度として予測された真円度が、製品として許容される真円度に収まるか否かを判断する。これにより、拡管工程後の鋼管の真円度を予測された値よりも小さくする場合に、再設定対象工程及び再設定対象工程よりも下流側の成形加工工程における操業条件を再設定することができる。ここで、再設定する操業パラメータは、再設定対象工程における操業パラメータであっても、再設定対象工程よりも下流側の成形加工工程における操業パラメータであってもよい。予測された真円度と製品として許容される真円度との差異に応じて、拡管工程後の鋼管の真円度を変更するのに適した成形加工工程の操業パラメータを選択すればよい。また、再設定対象工程における操業パラメータと、再設定対象工程よりも下流側の任意の成形加工工程における操業パラメータの両方の操業パラメータを再設定してもよい。予測された真円度と製品として許容される真円度との差異が大きい場合、拡管工程後の鋼管の真円度を効果的に変更できるからである。
表1に再設定対象工程として選択される成形加工工程とそれに対応して操業パラメータの再設定が可能な成形加工工程のケースを具体的に示す。ケース1は、端曲げ工程を含む鋼管の製造工程において、端曲げ工程を再設定対象工程に選択するものである。このとき、端曲げ工程の開始前に、プレスベンド工程を含む成形加工工程における操業パラメータの設定値を用いて、拡管工程後の鋼管の真円度を予測する。予測された真円度が大きい場合には、端曲げ工程、プレスベンド工程、及び拡管工程の各成形加工工程における任意の操業パラメータを再設定することができる。再設定する操業パラメータとしては、端曲げ工程の操業パラメータだけでなく、他の成形加工工程の操業パラメータであってもよい。なお、真円度予測モデルMの入力として鋼板の属性情報が含まれている場合には、再設定対象工程である端曲げ工程の開始前に、鋼板の属性情報に関する測定値等を含む実績データを入力に用いることができる。
ケース2もケース1と同様の考え方により再設定対象工程の選択と再設定する操業パラメータを選択することができる。一方、ケース3は拡管工程を再設定対象工程とする場合である。このとき、拡管工程の開始前に真円度予測モデルMを用いて拡管工程後の鋼管の真円度を予測する。その場合、真円度予測モデルMの入力として、少なくとも端曲げ工程及びプレスベンド工程における操業実績データを用いることができる。また、鋼板の属性情報の実績データを用いてもよい。このようにして、予測される拡管工程後の鋼管の真円度と製品として許容される真円度とを比較し、真円度を小さくしようとする場合には、拡管工程における操業パラメータを再設定する。再設定する拡管工程の操業パラメータとしては、拡管率を用いることが好ましい。なお、再設定する拡管率の初期設定値からの変更量は、経験による知見に基づいて設定されてよい。但し、真円度予測モデルMの入力に拡管工程の拡管率が含まれている場合には、再設定した拡管率の値を真円度予測モデルMの入力として、改めて拡管工程後の鋼管の真円度を予測し、再設定する条件の適否を判断してもよい。
Figure 0007168047000002
ここで、図12を参照して、本発明の一実施形態である鋼管の真円度制御方法について説明する。図12に示す例は、再設定対象工程としてプレスベンド工程を選択し、端曲げ工程が終了して端部C字状成形体がプレスベンド工程のために移送されたケースである。このとき、端曲げ工程における操業実績データが操業条件再設定部150に送られる。操業実績データは、各成形加工工程を制御する各工程に備えられた制御用計算機からネットワーク経由で送られてよい。但し、各成形加工工程の制御用計算機から鋼管の製造工程を統括する上位計算機140に一旦送られた後に、上位計算機140から操業条件再設定部150に送られてもよい。また、操業条件再設定部150には、必要に応じて、鋼板の属性情報についての実績データが上位計算機140から送られる。また、再設定対象工程及び再設定対象工程よりも下流側の成形加工工程であるプレスベンド工程と拡管工程の操業パラメータについては、それらの設定値が各工程の制御用計算機から操業条件再設定部150に送られる。但し、プレスベンド工程と拡管工程の操業パラメータの設定値が上位計算機140に記憶されている場合には、上位計算機140から操業条件再設定部150に送られてもよい。なお、上位計算機140からは製品となる鋼管の仕様に応じて決定される真円度目標値が操業条件再設定部150に送られる。
操業条件再設定部150は、真円度予測モデルMをオンラインで用いてこれらの情報から拡管工程後の鋼管の真円度を予測し、予測された真円度(真円度予測値)と目標とする真円度(真円度目標値)とを比較する。そして、真円度予測値が真円度目標値よりも小さい場合には、操業条件再設定部150は、プレスベンド工程、及び拡管工程の操業条件の設定値を変更せずに残りの成形加工工程の操業条件を決定し、鋼管を製造する。一方、予測された真円度が真円度目標値よりも大きい場合には、操業条件再設定部150は、プレスベンド工程の操業条件又は拡管工程の操業条件を再設定する。具体的には、プレスベンド工程のプレス圧下量やプレス回数等を再設定することができる。プレスベンド工程のプレス回数を1回又は2回以上増加させると共に、下ダイ間隔ΔDを再設定してもよい。また、拡管工程の拡管率を再設定することができる。さらには、プレスベンド工程のプレス圧下量と拡管率のいずれも再設定することができる。
なお、操業条件再設定部150は、このようにして再設定された操業パラメータを改めて真円度予測モデルMの入力データに用いて再度真円度予測を行い、予測される真円度が真円度目標値よりも小さくなるか否かを確認して、プレスベンド工程及び拡管工程の操業条件の再設定値を確定してもよい。再設定されたプレスベンド工程と拡管工程の操業条件はそれぞれの制御用計算機に送られ、プレスベンド工程と拡管工程の操業条件となる。操業条件再設定部150における真円度判定を複数回繰り返し行うことにより、真円度目標値が小さく設定してあっても、適切なプレスベンド工程及び拡管工程の操業条件を設定することができるため、より真円度の良好な鋼管を製造できる。さらに、このようにしてプレスベンド工程を再設定対象工程とした拡管工程後の鋼管の真円度制御を実行してから、オープン管に成形加工され溶接された鋼管に対して、改めて拡管工程を再設定対象工程とした拡管工程後の鋼管の真円度制御を実行してもよい。プレスベンド工程の操業実績データが得られた状態となって、鋼管の真円度予測精度がより向上するからである。
以上のように、本発明の一実施形態である鋼管の真円度制御方法によれば、端曲げ工程とプレスベンド工程との相互作用による真円度への影響が考慮された真円度予測モデルMを用いるので、拡管工程後の鋼管の真円度を良好にするための適切な操業条件を設定でき、真円度の高い鋼管を製造することができる。また、素材となる鋼板の属性情報のばらつきを反映した高精度な真円度制御を実現できる。
<鋼管の真円度予測装置>
次に、図13を参照して、本発明の一実施形態である鋼管の真円度予測装置について説明する。
図13は、本発明の一実施形態である鋼管の真円度予測装置の構成を示す図である。図13に示すように、本発明の一実施形態である鋼管の真円度予測装置160は、操業パラメータ取得部161、記憶部162、真円度予測部163、及び出力部164を備えている。
操業パラメータ取得部161は、例えば機械学習部によって生成された真円度予測モデルMを真円度予測モデル生成部130から取得可能な任意のインタフェースを備えている。例えば、操業パラメータ取得部161は、真円度予測モデルMを真円度予測モデル生成部130から取得するための通信インタフェースを備えるとよい。この場合、操業パラメータ取得部161は、機械学習部100bから所定の通信プロトコルで真円度予測モデルMを受信してもよい。また、操業パラメータ取得部161は、例えば各成形加工工程に用いられる設備が備えている制御用計算機又は上位計算機から成形加工設備(成形加工工程を実行する設備)の操業条件を取得する。例えば、操業パラメータ取得部161は、操業条件を取得するための通信インタフェースを備えるとよい。また、操業パラメータ取得部161は、ユーザの操作に基づく入力情報を取得してよい。この場合、鋼管の真円度予測装置160は、ユーザ入力を検出して、ユーザの操作に基づく入力情報を取得する1つ以上の入力インタフェースを含む入力部をさらに有する。入力部としては、物理キー、静電容量キー、出力部のディスプレイと一体的に設けられたタッチスクリーン、音声入力を受け付けるマイクロフォン等を例示できるが、これらに限定されない。例えば入力部は、操業パラメータ取得部161により真円度予測モデル生成部130から取得された真円度予測モデルMに対する操業条件の入力を受け付ける。
記憶部162には、少なくとも1つの半導体メモリ、少なくとも1つの磁気メモリ、少なくとも1つの光メモリ、又はこれらのうち少なくとも2種類の組み合わせが含まれる。記憶部162は、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能する。記憶部162は、鋼管の真円度予測装置160の動作に用いられる任意の情報を記憶する。記憶部162は、例えば操業パラメータ取得部161により真円度予測モデル生成部130から取得された真円度予測モデルM、操業パラメータ取得部161により上位コンピュータから取得された操業条件、及び鋼管の真円度予測装置160により予測された真円度情報を記憶する。記憶部162は、システムプログラム及びアプリケーションプログラム等を記憶してもよい。
真円度予測部163は、1つ以上のプロセッサを含む。本実施形態では、プロセッサは、汎用のプロセッサ、又は特定の処理に特化した専用のプロセッサであるが、これらに限定されない。真円度予測部163は、鋼管の真円度予測装置160を構成する各構成部と通信可能に接続され、鋼管の真円度予測装置160全体の動作を制御する。真円度予測部163は、例えばPC(Personal Computer)又はスマートフォン等の任意の汎用の電子機器であり得る。真円度予測部163は、これらに限定されず、1つ又は互いに通信可能な複数のサーバ装置であってもよいし、鋼管の真円度予測装置160専用の他の電子機器であってもよい。真円度予測部163は、操業パラメータ取得部161を介して取得した操業条件及び真円度予測モデル生成部130から取得した真円度予測モデルMを用いて鋼管の真円度情報の予測値を算出する。
出力部164は、真円度予測部163によって算出された鋼管の真円度情報の予測値を成形加工設備の操業条件を設定するための装置に出力する。出力部164は、情報を出力してユーザに通知する1つ以上の出力インタフェースを含んでいてよい。出力用インタフェースは、例えばディスプレイである。ディスプレイは、例えばLCD又は有機ELディスプレイである。出力部164は、鋼管の真円度予測装置160の動作によって得られるデータを出力する。出力部164は、鋼管の真円度予測装置160に備えられる代わりに、外部の出力機器として鋼管の真円度予測装置160に接続されてよい。接続方式としては、例えばUSB、HDMI(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)等の任意の方式を用いることができる。例えば出力部164としては、情報を映像で出力するディスプレイや情報を音声で出力するスピーカ等を例示できるが、これらに限定されない。例えば出力部164は、真円度予測部163によって算出された真円度情報の予測値をユーザに提示する。ユーザは、出力部164により提示された真円度の予測値に基づいて、成形加工設備の操業条件を適切に設定できる。
以上のような拡管工程後の鋼管の真円度予測装置160のより好ましい形態は、ユーザの操作に基づく入力情報を取得する入力部165と、真円度予測部163によって算出された真円度情報の予測値を表示する表示部166を有するタブレット端末等の端末装置である。これは、入力部165からユーザの操作に基づく入力情報を取得し、取得した入力情報により、既に鋼管の真円度予測装置160に入力された成形加工設備の操業パラメータの一部又は全部を更新するものである。すなわち、成形加工設備において処理を行っている鋼板について、真円度予測部163によって鋼管の真円度情報が予測されている場合に、操業担当者が端末装置を用いて、既に操業パラメータ取得部161に入力されている成形加工設備の操業パラメータの一部を修正入力する操作を受け付けるものである。このとき、操業パラメータ取得部161は、成形加工設備の操業パラメータの中で端末装置から修正入力がされない操業パラメータについては、当初の入力データを保持して、修正入力がされた操業パラメータのみを変更する。これにより、操業パラメータ取得部161では真円度予測モデルMの新たな入力データが生成され、真円度予測部163によってその入力データに基づく真円度情報の予測値が算出される。さらに、算出された真円度情報の予測値は、出力部164を通じて端末装置の表示部166に表示される。これにより、成形加工設備の操業担当者又は工場責任者等が、成形加工設備の操業パラメータを変更した場合の真円度情報の予測値を即座に確認し、適切な操業条件への変更を迅速に行うことができる。
〔実施例1〕
本実施例では、板厚38.0~38.4mm、板幅2700~2720mmのラインパイプ用鋼板(API グレード X60)を用い、拡管工程後の直径が36インチの鋼管を端曲げ工程、プレスベンド工程、溶接工程、及び拡管工程を経て製造する製造条件に対応して、オフラインの拡管工程後の真円度予測モデルを生成した。本実施例に用いた端曲げ工程の有限要素モデル生成部により生成された有限要素モデルの例を図14に例示する。使用した有限要素解析ソルバーはAbaqus2019であり、1ケース当たりの計算時間は概ね3時間であった。データベースに蓄積したデータセットの数は300、機械学習モデルとして基底関数に動径基底関数を用いたガウシアン過程回帰を用いた。
また、鋼板の属性情報としては、鋼板の代表板厚(面内の平均板厚)、板幅、及び降伏応力を選択し、製造実績から操業条件として変動する範囲を特定し、その範囲で計算の入力データを変更した。端曲げ工程の操業パラメータには、端曲げ加工幅を選択した。端曲げ工程における操業条件は、上金型として成形面の曲率半径がR300mm、下金型として押圧面の曲率半径がR300mmの上下金型を用いた。操業条件データセットにおける端曲げ工程の操業パラメータとしては、端曲げ加工幅を180~240mmの範囲で変更した。プレスベンド工程の操業パラメータには、プレス圧下回数及びプレス圧下位置を選択した。このとき、プレス圧下回数は、11回を基準条件として、7~15回の範囲で条件を変更した。プレス圧下位置については、プレス圧下回数に応じて板幅方向で等間隔にプレス圧下を行うようにして、プレス圧下回数に応じてプレス圧下位置が決定されるようにした。プレス圧下量はパンチ先端部が棒状部材の最上部を結ぶ線から15.8mmの位置に到達する量として、1回当たり30°の曲げとした。
そして、棒状部材の間隔を450mmに設定したダイの上に鋼板を載置し、半径308mmになる加工面を有するパンチにより、鋼板の幅方向中央部から1120mm離れた位置を基準としてプレス圧下を開始した。プレス圧下回数が11回の場合には、図4の紙面の右側から幅方向中央部に向けて5回のプレス圧下を板材送りピッチ224mmの条件で行い、その後、図4の紙面左側の端部を棒状部材の近傍に移動させ、端部から1120mmの位置から鋼板の左側半分について、6回のプレス圧下を板材送りピッチ224mmの条件で行った。また、拡管工程の操業パラメータである拡管率は1.0%と一定値を用いた。
本実施例では、以上のような解析条件を真円度オフライン計算部に設定し、上記の操業条件の範囲内で解析条件を変更し、解析によって得られた拡管工程後の真円度の計算結果をデータベースに蓄積した。そして、蓄積されたデータベースをもとに真円度予測モデルを生成した。本実施例では、このようにして生成した真円度予測モデルをオンラインに適用した。本実施例における真円度は、管を周方向に3600等分して対向する位置での外直径を選択し、それらのうちの最大径と最少径をそれぞれDmax、Dminとした場合に、真円度=Dmax-Dminとして定義した。
オンライン工程では、端曲げ工程の開始前に、上位計算機から素材となる鋼板の属性情報の実績データとして、鋼板の代表板厚及び板幅を取得した。また、厚板圧延工程の検査工程において得られた降伏応力の試験データを取得した。一方、上位計算機からは、端曲げ工程及びプレスベンド工程の操業条件の設定値を取得した。本実施例で対象とする鋼管の製造工程において、上位計算機で予め設定されていた操業条件の設定値は、端曲げ工程における端曲げ加工幅は200mmであった。一方、プレスベンド工程のプレス回数が11回であり、鋼板の幅方向中央部から1120mm離れた位置を第1回の押圧位置として、鋼板の幅方向に224mmピッチでプレス圧下位置を設定するものであった。また、各プレス圧下位置でのプレス圧下量は15.8mmという条件が予め設定された値である。
本実施例では、端曲げ工程の開始前に、これらの設定値と、鋼板の属性情報の実績データである代表板厚及び板幅を真円度予測モデルの入力として、拡管工程後の鋼管の真円度を予測した。一方、上位計算機では、真円度目標値が10mmに設定されており、予測された鋼管の真円度(真円度予測値)と真円度目標値とが比較され、予測された真円度が真円度目標値を超える場合には、プレスベンド工程の操業条件が再設定された。再設定する操業条件としてはプレス回数を選択した。その結果、発明例では、真円度の平均値が4.0mmであり、合格率は100%となることが確認された。これに対して、比較例として、プレスベンド工程の操業条件を上位計算機で予め設定されていた設定値のまま製造した場合、真円度の平均値が11.2mmで、合格率は80%であった。
1 ダイ
1a,1b 棒状部材
2 パンチ
2a パンチ先端部
2b パンチ支持体
16 拡管ダイス
17 テーパー外周面
18 プルロッド
20 アーム
21a,21b 変位計
22 回転角度検出器
25 回転アーム
26a,26b 押圧ローラ
30 Cプレス装置
31 搬送機構
31a 搬送ロール
32A,32B プレス機構
33 上金型
33a 成形面
34 下金型
34a 押圧面
36 油圧シリンダ
37 クランプ機構
110 基礎データ取得部
111 操業条件データセット
112 真円度オフライン計算部
112a 端曲げ工程の有限要素モデル生成部
112b プレスベンド工程の有限要素モデル生成部
112c 拡管工程の有限要素モデル生成部
112d 有限要素解析ソルバー
120 データベース
130 真円度予測モデル生成部
140 上位計算機
150 操業条件再設定部
160 鋼管の真円度予測装置
161 操業パラメータ取得部
162 記憶部
163 真円度予測部
164 出力部
165 入力部
166 表示部
G シームギャップ部
M 真円度予測モデル
P 鋼管
R1,R2 領域
S 鋼板
成形体

Claims (12)

  1. 鋼板の幅方向端部に端曲げ加工を施す端曲げ工程と、パンチによる複数回の押圧により端曲げ加工が施された鋼板をオープン管に成形加工するプレスベンド工程、及び前記オープン管の端部同士を接合した鋼管に対して拡管による成形加工を行う拡管工程を含む鋼管の製造工程における、前記拡管工程後の鋼管の真円度を予測する真円度予測モデルを生成する鋼管の真円度予測モデルの生成方法であって、
    前記端曲げ工程の操業パラメータから選択した1又は2以上の操業パラメータ及び前記プレスベンド工程の操業パラメータから選択した1又は2以上の操業パラメータを含む操業条件データセットを入力データに含み、前記拡管工程後の鋼管の真円度を出力データとする数値計算を、前記操業条件データセットを変更しながら複数回実行することにより、前記操業条件データセットと対応する前記拡管工程後の鋼管の真円度のデータの組を学習用データとしてオフラインで複数生成する基礎データ取得ステップと、
    前記基礎データ取得ステップにおいて生成された複数の学習用データを用いて、前記操業条件データセットを入力データ、拡管工程後の鋼管の真円度を出力データとする真円度予測モデルをオフラインで機械学習により生成する真円度予測モデル生成ステップと、
    を含む、鋼管の真円度予測モデルの生成方法。
  2. 前記基礎データ取得ステップは、有限要素法を利用して前記操業条件データセットから前記拡管工程後の鋼管の真円度を算出するステップを含む、請求項1に記載の鋼管の真円度予測モデルの生成方法。
  3. 前記真円度予測モデルは、前記入力データとして、前記鋼板の属性情報から選択した1又は2以上のパラメータを含む、請求項1又は2に記載の鋼管の真円度予測モデルの生成方法。
  4. 前記真円度予測モデルは、前記入力データとして、前記拡管工程の操業パラメータの中から選択した拡管率を含む、請求項1~3のうち、いずれか1項に記載の鋼管の真円度予測モデルの生成方法。
  5. 前記端曲げ工程の操業パラメータは、端曲げ加工幅、Cプレス力、及びクランプ把持力のうちの1又は2以上のパラメータを含む、請求項1~4のうち、いずれか1項に記載の鋼管の真円度予測モデルの生成方法。
  6. 前記プレスベンド工程の操業パラメータは、前記プレスベンド工程に用いるパンチが鋼板を押圧するプレス位置情報及びプレス圧下量と共に、前記プレスベンド工程を通じて行うプレス回数を含む、請求項1~5のうち、いずれか1項に記載の鋼管の真円度予測モデルの生成方法。
  7. 前記機械学習として、ニューラルネットワーク、決定木学習、ランダムフォレスト、ガウシアン過程回帰、及びサポートベクター回帰から選択した機械学習を用いる、請求項1~6のうち、いずれか1項に記載の鋼管の真円度予測モデルの生成方法。
  8. 請求項1~7のうち、いずれか1項に記載の鋼管の真円度予測モデルの生成方法により生成された鋼管の真円度予測モデルの入力として、前記鋼管の製造工程の操業条件として設定される操業条件データセットをオンラインで取得する操業パラメータ取得ステップと、
    前記操業パラメータ取得ステップにおいて取得した前記操業条件データセットを前記真円度予測モデルに入力することにより、拡管工程後の鋼管の真円度情報を予測する真円度予測ステップと、
    を含む、鋼管の真円度予測方法。
  9. 請求項8に記載の鋼管の真円度予測方法を用いて、前記鋼管の製造工程を構成する端曲げ工程、プレスベンド工程、及び拡管工程の中から選択した再設定対象工程の開始前に、前記拡管工程後の鋼管の真円度情報を予測し、予測された鋼管の真円度情報に基づいて、少なくとも前記再設定対象工程の操業パラメータの中から選択した1又は2以上の操業パラメータ、又は、前記再設定対象工程よりも下流側の成形加工工程の操業パラメータの中から選択した1又は2以上の操業パラメータを再設定するステップを含む、鋼管の真円度制御方法。
  10. 請求項9に記載の鋼管の真円度制御方法を用いて鋼管を製造するステップを含む、鋼管の製造方法。
  11. 鋼板の幅方向端部に端曲げ加工を施す端曲げ工程と、パンチによる複数回の押圧により端曲げ加工が施された鋼板をオープン管に成形加工するプレスベンド工程、及び前記オープン管の端部同士を接合した鋼管に対して拡管による成形加工を行う拡管工程を含む鋼管の製造工程における、前記拡管工程後の鋼管の真円度を予測する鋼管の真円度予測装置であって、
    前記端曲げ工程の操業パラメータから選択した1又は2以上の操業パラメータ及び前記プレスベンド工程の操業パラメータから選択した1又は2以上の操業パラメータを含む操業条件データセットを入力データとして含み、前記拡管工程後の鋼管の真円度情報を出力データとする数値計算を、前記操業条件データセットを変更しながら複数回実行することにより、前記操業条件データセットと対応する前記拡管工程後の鋼管の真円度情報のデータの組を学習用データとして複数生成する基礎データ取得部と、
    前記基礎データ取得部において生成された複数の学習用データを用いて、前記操業条件データセットを入力データ、拡管工程後の鋼管の真円度情報を出力データとする真円度予測モデルを機械学習により生成する真円度予測モデル生成部と、
    前記鋼管の製造工程の操業条件として設定される操業条件データセットをオンラインで取得する操業パラメータ取得部と、
    前記真円度予測モデル生成部において生成された真円度予測モデルを用いて、前記操業パラメータ取得部により取得した前記操業条件データセットに対応する拡管工程後の鋼管の真円度情報をオンラインで予測する真円度予測部と、
    を備える、鋼管の真円度予測装置。
  12. ユーザの操作に基づく入力情報を取得する入力部と、前記真円度情報を表示する表示部と、を有する端末装置を備え、
    前記操業パラメータ取得部は、前記入力部が取得した入力情報に基づいて、前記鋼管の製造工程における操業条件データセットの一部又は全部を更新し、
    前記表示部は、前記更新された操業条件データセットを用いて前記真円度予測部が予測した前記鋼管の真円度情報を表示する、請求項11に記載の鋼管の真円度予測装置。
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