JP7167575B2 - 水中センサの回転抑制装置、水中センサ、及び水中センサの回転抑制方法 - Google Patents
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関連する技術として、特許文献1に記載された水中センサの姿勢安定機構がある。この姿勢安定機構は、水中センサに展開可能な翼を設け、翼を展開することにより姿勢の安定を図る一方、翼を畳んだ状態とすることにより、沈降時の抵抗を軽減するものである。
この水中センサの回転のケーブルに対する影響を遮断する機構として、特許文献2に記載された歯車機構による回転規制、あるいは、特許文献3に記載された円筒の回転規制の機構があるが、これらを水中センサの回転によるケーブルの捻れ抑制にそのまま適用することができるものではない。
しかしながら、回収状態の水中センサの側面にゴム等の摩擦力を有するものを接触させ水中センサの鉛直線周りの回転を防止しようとすると、船舶または航空機の振動によって、水中センサに作用する摩擦力が変化し、水中センサの鉛直線周りの回転を防止する効果が消失する場合がある。
また、回収状態の水中センサを固定具で完全に固定しようとすると、船舶または航空機の振動が水中センサに直接影響して、測定誤差の原因となり、また、この振動が水中センサの鉛直線周りに過大な回転トルクを発生して、水中センサまたは固定具の破損の原因となることがある。
移動体から吊り下げられて水没状態とされる水中センサと、前記移動体に設けられて水中センサを収容するケースとの間に設けられる回転抑制装置であって、ケースに支持されて、前記水中センサの回転軌跡と交差する第1の位置と、前記水中センサの回転軌跡と交差しない第2の位置との間に移動可能に支持された規制部材と、この規制部材を前記第2の位置から前記第1の位置へ向けて付勢する付勢部とを有する。
水中センサを上方から吊り下げる工程と、前記水中センサの回転軌跡と交差する第1の位置と、前記水中センサの回転軌跡を交差しない第2の位置との間で移動可能に支持された規制部材を前記第1の軌跡へ向けて付勢する工程と、前記水中センサに作用するトルクによって前記規制部材を前記付勢に抗して前記第1の位置から第2の位置へ移動させることにより回転の規制を解除する工程とを有する。
符号1で示すものは、船舶、航空機等の移動体に備えられていて、前記移動体に回収された水中センサを収容するケースである。このケース1の内側には、水中センサ2が鉛直軸Cに沿って吊り下げられた状態で収容されている。前記水中センサ2は、例えば、パッシブ方式の場合は、音波を検出する受信器(図示略)により構成され、また、アクティブ方式の場合は、水中に音波を放射する発振器(図示略)とこの発振器から放射されて探査対象で反射した音波を検出する受信器(図示略)とから構成される。
前記ケース1と水中センサ2との間には、規制部材3が設けられ、この規制部材3は、前記ケース1の回転軌跡と交差する第1の位置(図1に示す位置)と、この第1の位置から外れて前記水中センサ2の回転軌跡と交差しない第2の位置との間で移動可能に支持されている。なお規制部材3が水中センサ2の回転軌跡と交差する位置は、図示例のフィンに限られるものではなく、水中センサ2の一部をなす他の部分であっても良い。
この方法では、水中センサ2を上方から吊り下げる工程と、前記水中センサ2の回転軌跡と交差する第1の位置と、前記水中センサ2の回転軌跡と交差しない第2の位置との間で移動可能に支持された規制部材3を前記第1の位置へ向けて付勢する工程と、前記水中センサに作用するトルクによって前記規制部材3を前記付勢に抗して前記第1の位置から第2の位置へ移動させることにより回転の規制を解除する工程とが実行される。
図3に符号200で示すものは、例えばパッシブ方式、またはアクティブ方式の音波センサである水中センサ本体であって、この水中センサ本体200の上部には、複数枚のフィン201が、移動体から吊り下げられたケーブル202(鉛直軸C)を中心として放射状に取り付けられている。また前記複数のフィン201の径方向の先端は、円筒状の外筒203に固定されて相互に連結されている。
前記ケース1の前記外筒203より上方の位置には、前記ケース1または前記移動体の機体に固定された支持部材107が設けられ、この支持部材107に前記回転抑制装置100が設けられている。
前記支持部材107には、支持軸105が設けられ、この支持軸105には、規制部材としてのレバー101と102との基端部が回転自在に支持されている。
前記支持軸105とレバー101との間には、付勢部材としてのコイル状のねじりバネ103が設けられており、このねじりバネ103は、支持部材107とレバー101との間で圧縮されることによって、支持軸105を中心とするレバー101の図2に矢印Aで示す反時計回りへの回転に際してコイルの巻き方向へ弾性変形することにより、レバー101を図2の位置へ復元させる図2の矢印Bで示す時計回りのトルクを発生する。またレバー102は、付勢部材としてのねじりバネ104によって、図2の時計回りの回転に際してコイルの巻き方向へ弾性変形することにより、レバー102を図2の位置へ復元させる反時計回りのトルクを発生する。すなわち、前記ねじりバネ103、104は、規制部材としてのレバー101、102にトルクを与える付勢部材としての機能を果たす。
またレバー101、102の長さ、回転範囲、およびねじりバネ103,104のばね定数は、回転しようとするフィン201から受ける力により、閾値未満の力を受けた場合には、図4に示すようにフィン201の回転軌跡(図4、5の左右方向)と交差する位置にとどまり、閾値を超える力を受けた場合には、図5に示すようにフィン201の回転軌跡から上方に退避した位置へ移動することができるように設定されている。
水中センサ本体200は、外力やケーブルの捻れに起因して生じるトルクにより、フィン201と一体に、図3の鉛直軸Cを中心として、時計回りまたは反時計回りに回転する。
この初期位置において、フィン201が回転して図2の右方向へ移動すると、レバー101に接触する。ここで、フィン201に作用する力が閾値を超えると、図4に示すように、フィン201がレバー101のねじりバネ103を縮めるように弾性変形させながら、図4に矢印Aで示す反時計方向へ回転させる。
また実施形態では、ねじりバネ103、104を用いることによってレバー101、102自体は実質的に弾性変形しない構成としたが、板バネ状のレバーを用いてレバー自体を弾性変形させるようにしても良い。
またレバーの形状。数は実施形態に限定されるものではなく、フィンの数、形状に応じて適宜変更しても良いのはもちろんである。
また実施形態では、規制部材を付勢部材によって所定方向へ付勢する構成としたが、規制部材自体を弾性変形可能な構成として、例えばケースの内側から突出させ、水中センサの一部に当接してその回転を規制し、あるいは、弾性変形して規制を解除する構成を採用しても良い。この構成により、別途付勢部材を設ける場合より部品点数を削減することができる。
また実施形態では、規制部材が水中センサのフィンに接触して回転を規制する構成としたが、水中センサのフィン以外の部位、例えば、規制部材と接触させるべく、水中センサ本体の一部の外側に突出させた部材に規制部材を接触させる構成を採用しても良い。このような構成を採用することにより、規制部材との接触によるフィンや水中センサの損傷を防止することができる。
2 水中センサ
3 規制部材
100 回転抑制装置
101、102 レバー(規制部材)
103、104 ねじりバネ
105 支持軸
107 支持部材
200 水中センサ本体
201 フィン
202 ケーブル
203 外筒
Claims (7)
- 移動体から吊り下げられて支持される水中センサと、前記移動体に設けられて前記水中センサを収容するケースとの間に設けられる回転抑制装置であって、
ケースに支持されて、前記水中センサの回転軌跡と交差する第1の位置と、前記水中センサの回転軌跡と交差しない第2の位置との間に移動可能に支持された規制部材と、
この規制部材を前記第2の位置から前記第1の位置へ向けて付勢する付勢部材と、
を有する回転抑制装置。 - 前記水中センサは、鉛直軸を中心に水中センサ本体と一体に回転する複数のフィンを備え、
前記規制部材は、前記フィンの回転軌跡と交差しない第2の位置への移動によって前記水中センサの回転の規制を解除する請求項1に記載の回転抑制装置。 - 前記規制部材は、前記フィンより上方位置に水平に配置された軸を中心として回転自在に支持されたレバーであって、
前記付勢部材は、前記軸を中心とするレバーの一の方向への回転によって弾性変形する、
請求項2に記載の回転抑制装置。 - 前記レバーは、湾曲した形状をなし、互いに湾曲方向を反対にして一対設けられた請求項3に記載の回転抑制装置。
- 移動体から吊り下げて支持される水中センサと、
前記移動体に設けられてこの水中センサを収容するケースと、
を備え、これら水中センサとケースとの間に請求項1~4のいずれか1項に記載の回転抑制装置を備えた水中センサ。 - 水中センサを上方から吊り下げる工程と、
前記水中センサの回転軌跡と交差する第1の位置と、前記水中センサの回転軌跡と交差しない第2の位置との間で移動可能に支持された規制部材を前記第1の位置へ向けて付勢する工程と、
前記水中センサに作用するトルクによって前記規制部材を前記付勢に抗して前記第1の位置から第2の位置へ移動させることにより回転の規制を解除する工程と、
を有する水中センサの回転抑制方法。 - 前記水中センサに鉛直軸を中心とする回転力を作用させる工程と、
前記回転力によって、前記規制部材であるレバーを前記第1の位置から第2の位置へ移動させる工程と、
を有する請求項6に記載の水中センサの回転抑制方法。
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