<実施形態1>
図1は、検体分析装置30の構成を示す斜視図である。検体分析装置30は、検体の分析を行う。検体分析装置30は、筐体30aの内部に、搬送部31と、図2~4を参照して詳述する測定部32と、図5を参照して詳述する分析部33と、を備える。図1において、XYZ軸は互いに直交しており、X軸方向およびY軸方向は水平面に平行な方向に対応する。X軸正方向は左方向に対応し、Y軸正方向は後ろ方向に対応し、Z軸正方向は鉛直下方向に対応する。
測定部32は、検体と試薬とを混合して、検体に基づく測定試料を調製する。そして、測定部32は、検体に基づく測定試料を測定する検体測定を連続的に行い、検体測定の測定結果を分析部33に送信する。また、測定部32は、精度管理物質と試薬とを混合して、精度管理物質に基づく測定試料を調製する。そして、測定部32は、精度管理物質に基づく測定試料を測定する精度管理測定を所定のタイミングで行い、精度管理測定の測定結果を分析部33に送信する。
精度管理物質は、コントロール試料とも呼ばれ、組成が既知の試料のことである。したがって、測定条件が同じであれば、精度管理物質に基づく測定結果は同じになる。なお、精度管理物質とは、動物から採取した検体から所定の成分を抽出して調製された物質や、検体に含まれる粒子を模したラテックス粒子など、人工的に生成された物質を広く含む。
分析部33は、検体測定の測定結果に基づいて検体の分析を行い、精度管理測定の測定結果に基づいて試薬が適正であるか否かの分析を行う。
ここで、実施形態1の検体分析装置30では、精度管理測定の開始条件が異なる複数の精度管理が行われる。以下、検体分析装置30で行われる複数の精度管理を、「精度管理群」と称する。精度管理群は、所定の時刻に精度管理測定を実行する第1精度管理、検体測定が所定の測定回数行われるごとに精度管理測定を実行する第2精度管理、および所定の時間間隔ごとに精度管理測定を実行する第3精度管理より選択される少なくとも二種類の精度管理を含む。分析部33は、精度管理群から、測定項目ごとに精度管理を設定し、設定した精度管理に応じて測定部32を制御する。
以上にように、実施形態1によれば、精度管理測定を実行する頻度が異なる複数の精度管理を含む精度管理群から、少なくとも1つの精度管理を設定できる。このように、複数の精度管理を含む精度管理群から精度管理を設定できると、検体測定の実行頻度や試薬情報などに応じて適切な頻度で精度管理測定を実行できる。
なお、上記の分析部33による制御は、図5を参照して後述する分析部33の制御部331によって行われるが、他の制御部によって行われてもよい。
図2は、搬送部31および測定部32を上から見た場合の構成を模式的に示す平面図である。測定部32は、搬送部31の後方に配置される。測定部32は、血液凝固検査に関する測定を行う。したがって、実施形態1では、検体容器11に収容される検体は、血漿である。
なお、検体容器11に検体として収容される液体は、血漿に限らない。すなわち、検体容器11に収容される検体は、血漿に限らず、全血、血清、尿、リンパ液、体腔液などでもよい。たとえば、検体に対して測定部32で血球検査に関する測定が行われる場合、検体は全血とされ得る。たとえば、検体に対して測定部32で血液凝固検査、免疫検査、または生化学検査に関する測定が行われる場合、検体は血漿とされ得る。たとえば、検体に対して測定部32で免疫検査または生化学検査に関する測定が行われる場合、検体は血清とされ得る。
搬送部31は、ラック貯留部111と、ラック搬送部112と、ラック回収部113と、を備える。ラック貯留部111とラック回収部113は、それぞれ、ラック搬送部112の右端および左端に繋がっている。ラック貯留部111は、前後方向に移動可能な送込部材により、検体ラック13の前面を押して検体ラック13を後方に移送する。ラック搬送部112は、左右方向に移動可能かつ検体ラック13の下面に係合するベルトにより、検体ラック13を左方向に移送する。ラック回収部113は、前後方向に移動可能な送込部材により、検体ラック13の後ろ側の面を押して検体ラック13を前方に移送する。
オペレータは、検体容器11をセットした検体ラック13を、ラック貯留部111にセットする。搬送部31は、ラック貯留部111にセットされた検体ラック13をラック貯留部111の送込部材により、ラック搬送部112の右端に送る。続いて、搬送部31は、ラック搬送部112のベルトにより、検体ラック13を左方向に搬送して、検体容器11を順次、吸引位置112aまたは吸引位置112bに位置付ける。吸引位置112aは、後述する検体分注部210が検体を吸引するための位置であり、吸引位置112bは、後述する検体分注部220が検体を吸引するための位置である。搬送部31は、検体ラック13に保持された全ての検体容器11に対する検体の吸引が終了すると、ラック搬送部112のベルトおよびラック回収部113の送込部材により、検体ラック13をラック回収部113へと搬送する。
測定部32は、検体分注部210、220と、反応容器テーブル230と、移送部240と、加温テーブル250と、試薬テーブル260と、2つの試薬分注部270と、移送部280と、検出部290と、を備える。
検体分注部210は、吸引部211と、アーム212と、機構部213と、を備える。吸引部211は、アーム212の先端に設置されている。吸引部211は、ノズルである。機構部213は、アーム212を周方向に回転させるとともに上下方向に移動させるよう構成されている。これにより、吸引部211が周方向および上下方向に移動可能となる。検体分注部210は、吸引位置112aに位置付けられた検体容器11に対して、吸引部211を上側から下降させて、検体容器11を密封する栓体を貫通させる。そして、検体分注部210は、吸引部211を介して検体容器11から検体を吸引し、吸引した検体を反応容器テーブル230の保持孔231に保持された新しい反応容器12に吐出する。
検体分注部220は、検体分注部210と同様、吸引部221と、アーム222と、機構部223と、を備える。吸引部221は、アーム222の先端に設置されている。吸引部221は、ノズルである。機構部223は、アーム222を周方向に回転させるとともに上下方向に移動させるよう構成されている。これにより、吸引部221が周方向および上下方向に移動可能となる。検体分注部220は、吸引位置112bに位置付けられた検体容器11または反応容器テーブル230に保持された反応容器12から検体を吸引し、吸引した検体を移送部240に保持された新しい反応容器12に吐出する。また、検体分注部220は、試薬テーブル260に設置された容器22から精度管理物質を吸引し、吸引した精度管理物質を移送部240に保持された新しい反応容器12に吐出する。
反応容器テーブル230は、平面視においてリング形状を有し、試薬テーブル260の外側に配置されている。反応容器テーブル230は、周方向に回転可能に構成されている。反応容器テーブル230は、反応容器12を保持するための複数の保持孔231を備える。
移送部240は、反応容器12を保持するための保持孔241と、保持孔241を前後方向に移送するための構成と、を備える。移送部240は、新しい反応容器12を保持孔241に保持し、この反応容器12を吐出位置242に位置付ける。検体分注部220は、吐出位置242に位置付けられた反応容器12に検体を吐出する。ここで、1つの検体に対して1以上の測定項目が設定されており、1つの検体容器11から吸引された検体は、吐出位置242に順次位置付けられた新しい反応容器12に、測定項目ごとに吐出される。移送部240は、検体が吐出された反応容器12を後方に移送し、加温テーブル250の左側近傍に位置付ける。
加温テーブル250は、反応容器12を移送するための移送部251と、反応容器12保持するための複数の保持孔252と、を備える。加温テーブル250の移送部251は、移送部240によって加温テーブル250の左側近傍に位置付けられた反応容器12を、加温テーブル250の保持孔252に移送する。加温テーブル250は、平面視において円形の輪郭を有し、周方向に回転可能に構成されている。加温テーブル250は、保持孔252にセットされた反応容器12を37℃に加温する。
試薬テーブル260は、血液凝固検査に関する測定に使用する試薬を収容した試薬容器21を設置可能に構成されている。試薬テーブル260は周方向に回転可能に構成されている。試薬テーブル260には、測定項目の測定において用いる試薬を収容した試薬容器21が複数設置される。すなわち、測定項目ごとに使用される試薬は決められており、試薬テーブル260には、各測定項目に対応する試薬容器21が複数設置されている。また、試薬テーブル260には、精度管理物質を収容した容器22が設置される。
試薬分注部270は、吸引部271と機構部272を備える。吸引部271には、図4に示す液面センサ271aが設けられている。液面センサ271aは、吸引部271の下降時に、吸引部271の先端が試薬容器21内の試薬の液面に接触したことを検知する。機構部272は、図4に示すステッピングモータ272a、272bを備える。ステッピングモータ272aは、試薬テーブル260を横切るように吸引部271を水平方向に移動させる。ステッピングモータ272bは、吸引部271を上下方向に移動させる。2つの試薬分注部270は、筐体30aの上面の下側に設置されている。
試薬分注部270は、加温テーブル250で加温された反応容器12に試薬を分注する。試薬の分注の際は、移送部251または移送部280が、加温テーブル250の保持孔252から反応容器12を取り出す。そして、試薬分注部270が、試薬容器21から吸引部271を介して試薬を吸引し、吸引した試薬を、保持孔252から取り出された反応容器12に吐出する。これにより、反応容器12に検体が収容されている場合は、検体に試薬が混合され検体に基づく測定試料が調製され、反応容器12に精度管理物質が収容されている場合は、精度管理物質に試薬が混合され精度管理物質に基づく測定試料が調製される。
図3(a)は、試薬容器21内の試薬を反応容器12に分注する動作を説明するための模式図である。
試薬容器21は、試薬を収容する胴部21aと、胴部21aの上端を外部に開放する開口21bと、を備える。オペレータは、未開封の試薬容器21を試薬テーブル260に設置する場合、開口21bに設けられた試薬容器21の蓋を取り外し、胴部21aの内部が開口21bを介して上方に開放された状態にして、試薬容器21を試薬テーブル260に設置する。その後、図3(a)の左端の図に示すように、試薬テーブル260に設けられた蓋部261が、試薬容器21の開口21bを覆うように、試薬容器21の上端に重ねられる。試薬テーブル260は、図4に示す開閉機構262を備える。開閉機構262は、蓋部261を移動させて、試薬容器21の開口21bを開閉させる。
試薬容器21から試薬が吸引される場合、蓋部261が開閉機構262により開口21bから退避させられ、開口21bの上方が開放される。そして、図3(a)の中央の図に示すように、試薬分注部270のステッピングモータ272a、272bにより吸引部271が胴部21a内に挿入され、吸引部271により試薬が吸引される。そして、図3(a)の右端の図に示すように、ステッピングモータ272a、272bにより吸引部271が反応容器12内に挿入され、吸引部271により吸引された試薬が、反応容器12に吐出される。試薬容器21から試薬の吸引が終わると、蓋部261が開閉機構262により開口21bを覆うように試薬容器21の上端に重ねられる。
このように測定試料の調製のたびに試薬容器21の開口21bを覆う蓋部261が開けられると、蓋部261の開閉の回数に応じて試薬容器21に収容された試薬の劣化が進み得る。これに対し、実施形態1によれば、たとえば後述する第2精度管理が設定されることにより、検体測定の回数に応じて精度管理測定が実行されるため、試薬の劣化を迅速に把握できる。
図2に戻り、試薬が反応容器12に吐出され測定試料が調製されると、移送部280は、反応容器12を検出部290の保持孔291にセットする。このとき、2つの試薬分注部270は、円滑な測定が可能となるよう使い分けられる。
検出部290の測定原理は、たとえば、凝固法、合成基質法、免疫比濁法、凝集法、などである。検出部290は、複数の保持孔291を備える。検出部290は、保持孔291にセットされた反応容器12に対して光を照射し、測定試料を透過した光または測定試料から生じる散乱光を受光して、受光強度に応じた信号を出力する。
図3(b)は、検出部290の構成を模式的に示す図である。
血液凝固検査に関する測定を行う検出部290は、光源部292と受光部293を備える。図3(b)には、1つの保持孔291の周辺が図示されている。
光源部292は、半導体レーザ光源を含み、異なる波長の光を出射する。光源部292は、各保持孔291にセットされた反応容器12に対して光を照射する。反応容器12中の測定試料に光が照射されると、測定試料を透過した光または測定試料により散乱された光が受光部293に入射する。受光部293は、保持孔291ごとに設けられた光検出器により構成される。具体的には、受光部293は、光電管や光ダイオードなどにより構成される。受光部293は、透過光または散乱光を受光して、受光量に応じた電気信号を出力する。図4に示す測定部32の制御部321は、受光部293から出力された電気信号に基づいて、血液凝固検査に関する分析で用いられる測定結果を生成する。
なお、測定部32は、生化学検査に関する測定を行ってもよい。この場合の測定部32は、生化学検査に関する測定を行い、血液凝固検査に関する測定を行う場合と同様の構成を備える。すなわち、この場合の測定部32も、光源部292により測定試料に光を照射し、受光部293により測定試料から生じた透過光または散乱光を受光する。そして、制御部321は、受光部293から出力された電気信号に基づいて、生化学検査に関する分析で用いられる測定結果を生成する。
図4は、測定部32の構成を示すブロック図である。
測定部32は、制御部321と、記憶部322と、通信部323と、図2~図3(b)に示した各種の機構部と、を備える。
制御部321は、たとえば、CPUである。記憶部322は、たとえば、ROM、RAM、ハードディスクである。制御部321は、通信部323を介して、搬送部31および分析部33と通信を行う。通信部323は、たとえば、通信用のインターフェースボードである。制御部321は、記憶部322に記憶されたプログラムやデータに従って、測定部32内の各部と、搬送部31とを制御する。制御部321は、血液凝固検査に関する検体測定および精度管理測定を行う。制御部321は、検出部290から出力される信号を測定結果として記憶部322に記憶するとともに、測定結果を分析部33に送信する。
図5は、検体分析装置30の構成を示すブロック図である。検体分析装置30は、搬送部31と、測定部32と、分析部33と、を備える。図5では、制御部321と、記憶部322と、通信部323とを除いて、測定部32の構成は、便宜上省略されている。
分析部33は、たとえば、パーソナルコンピュータにより構成される。分析部33は、制御部331と、記憶部332と、表示部333と、入力部334と、通信部335と、を備える。制御部331は、たとえば、CPUである。記憶部332は、たとえば、ROM、RAM、ハードディスクである。記憶部332は、分析部33に所定の処理を実行させるためのプログラム332aを記憶している。制御部331は、通信部335を介して、測定部32と通信を行う。通信部335は、たとえば、通信用のインターフェースボードである。制御部331は、記憶部332に記憶されたプログラム332aやデータに従って、分析部33内の各部と、測定部32とを制御する。
表示部333は、たとえば、液晶ディスプレイである。入力部334は、オペレータが指示を入力する際に用いられる。入力部334は、たとえば、マウスやキーボードである。表示部333と入力部334は、タッチパネル式のディスプレイなどにより一体的に構成されてもよい。
制御部331は、測定部32から受信した検体測定の測定結果に基づいて、検体に対して血液凝固検査に関する分析を行う。具体的には、制御部331は、PT、APTT、Fbg、外因系凝固因子、内因系凝固因子、凝固第XIII因子、HpT、TTO、FDP、Dダイマー、PIC、FM、ATIII、Plg、APL、PC、VWF:Ag、VWF:RCo、ADP、コラーゲン、エピネフリンなどの測定項目について分析を行う。
これらの測定項目において使用する試薬の種類は、あらかじめ決まっている。これらの測定項目において使用する試薬をそれぞれ収容する試薬容器21は、試薬テーブル260にセットされる。また、試薬容器21に収容された試薬がなくなった場合でも、測定を中断することなく継続させるために、あらかじめ同じ種類の試薬を収容した未使用の試薬容器21も、試薬テーブル260にセットされる。
制御部331は、測定部32から受信した精度管理測定の測定結果に基づいて、精度管理に関する分析を行う。具体的には、制御部331は、測定部32に精度管理測定の指示を送信する。測定部32の制御部321は、精度管理物質と測定項目に対応した試薬とを混合して測定試料を調製し、調製した測定試料を測定し、測定結果を分析部33に送信する。制御部321は、測定結果に基づいて測定項目について分析を行い、分析値が所望の範囲内にあるか否かを判定する。分析値が所望の範囲内にない場合、制御部331は、当該測定項目の測定で用いた試薬の精度が低下していると判断して、この測定項目の測定を停止させる。
なお、実施形態1では、測定部32と分析部33とが別体であったが、測定部32と分析部33とが1つの装置によって構成されてもよい。この場合の1つの装置は、制御部321と制御部331とを別々に備えてもよく、制御部331が、制御部321の処理を全て行って、制御部321が省略されてもよい。
図6(a)~図7(c)を参照して、実施形態1の精度管理群について説明する。
実施形態1の精度管理群は、第1~第4精度管理を含む。第1~第4精度管理は、それぞれ、精度管理測定を互いに異なる第1~第4ルールに基づくタイミングで実行する精度管理である。第1精度管理は、所定の時刻に精度管理測定が実行される精度管理である。第2精度管理は、検体測定が所定の測定回数行われるごとに精度管理測定が実行される精度管理である。第3精度管理は、所定の時間間隔ごとに精度管理測定が実行される精度管理である。第4精度管理は、第1試薬容器の試薬残量が所定量より少なくなったときに、同じ種類の試薬を収容した第2試薬容器の試薬に基づいて精度管理測定が実行される精度管理である。以下、第1精度管理を「時刻QC」と称し、第2精度管理を「テスト数QC」と称し、第3精度管理を「時間間隔QC」と称し、第4精度管理を「バイアルQC」と称する。
実施形態1では、オペレータは、分析部33の入力部334を介して、測定項目ごとに精度管理に関する情報を入力する。分析部33の制御部331は、受け付けた情報に基づいて測定項目ごとに精度管理を設定する。以下の説明では、所定の測定項目の精度管理が行われる場合について説明する。
図6(a)は、時刻QCにおける精度管理測定を説明するための模式図である。
制御部331は、時刻QCの設定時に決められた時刻に現在時刻が到達すると、現試薬について精度管理測定を実行する。ここで、現試薬とは、未使用の試薬容器21に収容された試薬ではなく、現在使用している試薬容器21に収容された試薬のことである。図6(a)に示す例では、時刻QCの設定時に時刻T1、T2、T3が決められており、時刻T1、T2、T3において精度管理測定が行われている。このように、所定の時刻に精度管理測定が実行されると、たとえば、試薬の安定性が高い場合に、不要な精度管理測定の実行を抑制できる。
図6(b)は、時間間隔QCにおける精度管理測定を説明するための模式図である。
制御部331は、時間間隔QCの経過時間のカウントを開始して、経過時間が所定の時間間隔に到達するごとに、現試薬について精度管理測定を実行する。図6(b)に示す例では、時間間隔QCの設定時に時間間隔としてΔTが設定されており、経過時間のカウントがΔTに到達するごとに、現試薬について精度管理測定が行われている。このように、所定の時間間隔ごとに精度管理測定が実行されると、たとえば、検体測定の実行頻度が低頻度である場合に、不要な精度管理測定の実行を抑制できる。
図6(c)は、テスト数QCにおける精度管理測定を説明するための模式図である。
制御部331は、対象となる測定項目の検体測定の回数すなわちテスト数のカウントを開始して、テスト数が所定の回数Ntに到達するごとに、現試薬について精度管理測定を実行する。図6(c)に示す例では、テスト数QCの設定時にテスト数Ntとして3が設定されており、対象となる測定項目についての検体測定の数すなわちテスト数のカウントがNtに到達するごとに、現試薬について精度管理測定が行われている。このように、検体測定が所定の測定回数行われるごとに精度管理測定が実行されると、たとえば、検体測定の実行頻度が高頻度である場合に、確実に精度管理測定を実行できる。
図7(a)~(c)は、バイアルQCにおける精度管理測定を説明するための模式図である。
図7(a)に示すように、制御部331は、精度管理測定に要する時間Tc内に、実行可能な検体測定の回数を推定する。詳細には、制御部331は、測定部32によって行われた検体測定の過去の実行履歴に関する履歴情報に基づいて実行可能な検体測定の回数を推定する。履歴情報は、記憶部332に記憶されている。このように、履歴情報に基づいて推定回数Ncが推定されると、推定回数Ncを精度よく推定できる。図7(a)に示す例では、精度管理測定にかかる時間Tc内に実行可能な検体測定の推定回数Ncとして3が推定されている。
続いて、制御部331は、現試薬の残量が、推定回数Ncの検体測定で必要となる試薬量より少なくなったか否かを判定する。現試薬の残量が推定回数Ncの検体測定で必要となる試薬量より少なくなると、制御部331は、新試薬を収容した試薬容器21の試薬に基づいて精度管理測定を実行する。ここで、新試薬とは、未使用の試薬容器21に収容された、現試薬と同じ種類の試薬のことである。たとえば、図7(a)の現在時点において、現試薬の残量が推定回数Ncの検体測定で必要となる試薬量より少ないと判定されると、新試薬に基づく精度管理測定が開始される。
新試薬に基づく精度管理測定が終わると、制御部331は、新試薬について精度管理に関する分析を行う。制御部331は、精度管理に関する分析において新試薬が正常であると判定すると、新試薬を用いて後続する検体測定を行う。他方、制御部331は、精度管理に関する分析において新試薬が異常であると判定すると、新試薬に基づく検体測定を中止させる。
図7(b)に示すように、精度管理測定に要する時間Tc内に、実際に回数Ncの検体測定が行われたとすると、現試薬の残量がなくなり、かつ、新試薬についての精度管理測定が終了しているため、新試薬に基づく検体測定が開始可能な状態になる。したがって、図7(c)に示すように、後続の検体があれば、直ちに検体測定を行うことができる。
このように、現試薬の残量が推定回数の検体測定で必要となる試薬量より少なくなったときに現試薬に基づく精度管理が開始されると、新試薬に基づく検体測定を迅速に開始できるとともに、新試薬に基づく精度管理が終了してから新試薬の使用が開始されるまでの待ち時間を短くできる。
なお、バイアルQCにおいて、制御部331は、精度管理測定にかかる時間Tc内に実行可能な検体測定の推定回数Ncを算出する際に、現試薬によってこれから行われることが予定されている検体測定の回数を考慮してもよい。また、制御部331は、精度管理測定にかかる時間Tc内に実行可能な検体測定で用いられる試薬量を算出する際に、使用が予約されている現試薬の試薬量を考慮してもよい。
図8(a)~(c)は、比較例に係るバイアルQCを説明するための模式図である。
図8(a)に示すように、比較例では、現試薬の残りの試薬で検体を測定可能な回数すなわち残テスト数が、所定の回数以下になると精度管理測定が開始される。図8(a)~(c)に示す例では、所定の回数は3である。図8(a)に示すように、現在時点において残テスト数が3に到達したため、新試薬に基づく精度管理測定が開始される。
図8(b)に示すように、精度管理が開始されたあと検体測定が高頻度に行われる場合、新試薬の精度管理が終わる前に、目標となる3回の検体測定が開始される。この場合、新試薬に基づく精度管理の結果が決定した後でないと新試薬に基づく検体測定を行うことができないため、現試薬の検体測定が開始されてから新試薬の検体測定を開始するまでの間に待ち時間が生じてしまう。
一方、図8(c)に示すように、精度管理が開始されたあと検体測定が低頻度に行われる場合、新試薬の精度管理が終わった後も、現試薬の試薬容器21に検体測定を可能な試薬が残っているため、現試薬の検体測定が終了するのが遅くなる。この場合、新試薬の精度管理測定が終了してから新試薬の検体測定が開始するまでの間に待ち時間が生じてしまう。このように新試薬に基づく検体測定の開始が遅くなると、新試薬の精度管理に基づく精度管理の結果が、必ずしも新試薬の検体測定の精度を反映したものではなくなる。
これに対し、実施形態1によれば、精度管理測定に要する時間Tc内に実行可能な検体測定の回数が推定され、推定された回数の検体測定で必要となる試薬量より現試薬の試薬残量が少なくなったときに、同じ種類の新試薬に基づいて精度管理測定が実行される。こうすると、図7(b)に示したように、時間Tc内に行われる現試薬を用いた検体測定を、新試薬を用いた精度管理測定が実行されている間に実行させることができる。これにより、図8(b)の比較例のように、精度管理測定が終了するまで新試薬を用いた検体測定を待機させるといった事態を回避しやすくなる。よって、実施形態1によれば、現試薬を用いた検体測定のあとで、新試薬を用いた検体測定を迅速に開始できる。また、図8(c)の比較例のように、精度管理測定が終了したあと、現試薬がなくなるまで新試薬を用いた検体測定を待機させるといった事態を回避しやすくなる。よって、実施形態1によれば、新試薬の精度管理の結果に基づいて、新試薬の精度を保証できる。
図9(a)は、記憶部332に記憶された時間間隔QCの経過時間およびテスト数QCのテスト数を示す概念図である。
分析部33の記憶部332は、測定項目ごとに、時間間隔QCの経過時間と、テスト数QCのテスト数とを記憶している。制御部331は、時間間隔QCに基づく精度管理測定が行われると、記憶部332に記憶されている経過時間をリセットして経過時間のカウントを開始し、記憶部332に記憶した経過時間を更新する。制御部331は、テスト数QCに基づく精度管理測定が行われると、記憶部332に記憶されているテスト数をリセットして検体測定が行われるたびにテスト数を1ずつ増加させ、記憶部332に記憶したテスト数を更新する。
制御部331は、時間間隔QCを実行する場合に、経過時間が図6(b)に示した時間間隔ΔTに到達すると精度管理測定を行う。これにより、時間間隔QCにおいて時間間隔ΔTごとに精度管理が行われる。また、制御部331は、テスト数QCを実行する場合に、テスト数が図6(c)に示したテスト数Ntに到達すると精度管理測定を行う。これにより、テスト数QCにおいてテスト数Ntごとに精度管理測定が行われる。
図9(b)は、記憶部332に記憶された履歴情報を示す概念図である。図9(c)は、履歴情報に基づいて生成された各曜日の各時間帯における検体測定の回数を示す概念図である。
図9(b)に示すように、分析部33の記憶部332は、検体ごとに、検体番号と、測定の開始日付と、測定の開始時刻と、測定の終了時刻と、測定項目とを含む履歴情報を記憶している。履歴情報は、たとえば、過去50週分の検体の情報を含む。履歴情報は、測定部32によって行われた検体測定の過去の実行履歴に関する情報である。
制御部331は、上述したように、バイアルQCにおいて、測定部32によって行われた検体測定の過去の実行履歴に関する履歴情報に基づいて、時間Tc内に実行可能な検体測定の回数Ncを推定する。このとき、制御部331は、図9(b)に示すような履歴情報から、たとえば、図9(c)に示すように、測定項目ごとに、各曜日の各時間帯における検体測定の回数の平均を算出する。そして、制御部331は、図9(c)に示したような集計結果に基づいて、精度管理測定に要する時間Tc内に実行可能な検体測定の回数を推定する。具体的には、制御部331は、図9(c)を参照して、現在時刻が属する時間帯において検体測定の回数の平均Naを算出し、算出した平均回数Naを、時間Tc内に実行されると予測される検体測定の推定回数Ncとして取得する。そして、制御部331は、推定回数Ncの検体測定で必要となる予測使用量を算出し、現試薬の残量が予測使用量より少なくなったときに、精度管理測定を実行する。
このように履歴情報に基づいて現在時刻が属する曜日および時間帯において実行が予測される検体測定の回数が取得されると、精度管理測定に要する時間内に実行される検体測定で必要となる試薬量を的確に推測できる。
なお、実施形態1では、制御部331は、図9(c)に示すように、各曜日の各時間帯における平均を全て算出するのではなく、現在時刻が属する曜日および時間帯における検体測定の回数の平均Naのみを算出する。
次に、図10~13を参照して、精度管理を設定する際に用いられる画面について説明する。オペレータは、検体分析装置30の設置時や精度管理の運用の見直し時などに、図10~13に示す画面を表示部333に表示させて、精度管理の設定を行う。
図10に示すように、管理測定項目選択画面401は、測定項目リスト401aと、管理測定項目リスト401bと、挿入ボタン401cと、追加ボタン401dと、削除ボタン401eと、OKボタン401fと、キャンセルボタン401gと、を備える。オペレータは、入力部334を操作して管理測定項目選択画面401を表示させる。
測定項目リスト401aは、全ての測定項目のうち、管理対象となっていない測定項目の一覧を示す。管理測定項目リスト401bは、管理対象となっている測定項目の一覧を示す。挿入ボタン401cが操作されると、制御部331は、測定項目リスト401aで選択された測定項目を、管理測定項目リスト401bで選択された測定項目の下に挿入する。追加ボタン401dが操作されると、制御部331は、測定項目リスト401aで選択された測定項目を、管理測定項目リスト401bの一番下に追加する。削除ボタン401eが操作されると、制御部331は、管理測定項目リスト401bで選択された測定項目を削除して、削除した測定項目を測定項目リスト401aに追加する。
OKボタン401fが操作されると、制御部331は、管理測定項目リスト401bの測定項目を記憶部332に記憶し、管理測定項目選択画面401を閉じる。キャンセルボタン401gが操作されると、制御部331は、管理測定項目リスト401bで設定された情報を破棄して、管理測定項目選択画面401を閉じる。
図11に示すように、編集測定項目選択画面402は、測定項目リスト402aと項目編集ボタン402bを備える。オペレータは、入力部334を操作して編集測定項目選択画面402を表示させる。
測定項目リスト402aは、あらかじめ図10の管理測定項目選択画面401を介して設定され記憶部332に記憶された管理対象の測定項目の一覧を表示する。測定項目リスト402aには、測定項目ごとに、精度管理に関する設定の一部が表示される。項目編集ボタン402bが操作されると、制御部331は、測定項目リスト402aで選択された測定項目に関する精度管理の設定情報を読み込んで、読み込んだ設定情報を反映した状態で受付画面410を表示部333に表示させる。測定項目に関する精度管理の設定情報は、あらかじめ初期値として記憶部332に記憶されるほか、受付画面410、420を介して記憶部332に記憶される。
図12に示すように、受付画面410は、測定項目表示領域411と、チェックボックス412と、設定ボタン413と、チェックボックス414と、登録ボタン415と、キャンセルボタン416と、を備える。
測定項目表示領域411は、編集測定項目選択画面402において選択され、受付画面410によって設定される測定項目を示す。チェックボックス412は、定期自動QCを実施するか否かを設定するための操作部である。定期自動QCは、時刻QCと、時間間隔QCと、テスト数QCと、からなる。オペレータは、チェックボックス412を操作することにより、後述する受付画面420で設定された定期自動QCを一括して実施するか否かを設定できる。設定ボタン413は、定期自動QCをさらに詳細に設定するためのボタンである。設定ボタン413が操作されると、制御部331は、後述する受付画面420を表示部333に表示させる。チェックボックス414は、バイアルQCを実施するか否かを設定するための操作部である。
登録ボタン415が操作されると、制御部331は、受付画面410と後述する受付画面420とにおいて設定された設定情報を記憶部332に記憶し、受付画面410を閉じる。キャンセルボタン416が操作されると、制御部331は、受付画面410、420において設定された設定情報を破棄して、受付画面410を閉じる。
図13に示すように、受付画面420は、チェックボックス421と、複数の設定領域422と、チェックボックス423と、設定領域424、425と、を備える。
チェックボックス421は、時刻QCを実施するか否かを設定するための操作部である。チェックボックス421がチェック状態になると、チェックボックス422aがチェック状態となっている設定領域422の設定が有効になる。設定領域422は、時刻QCにおいて精度管理を実行させる時刻を設定するための領域である。ボタン422cが操作されると、時刻入力領域422b内の時刻が変更される。チェックボックス422aがチェック状態になると、チェックボックス421がチェック状態となったときに、当該設定領域422の時刻が有効になる。図13に示す例では、5つある設定領域のうち、一番上の設定領域422の時刻が有効となっている。
チェックボックス423は、時間間隔QCまたはテスト数QCを実施するか否かを設定するための操作部である。チェックボックス423がチェック状態になると、設定領域424または設定領域425の設定が有効になる。設定領域424は、時間間隔QCにおいて精度管理を実行させる時間間隔を設定するための領域である。ボタン424cが操作されると、時間間隔入力領域424b内の時間が変更される。ラジオボタン424aが選択状態になると、チェックボックス423がチェック状態となったときに、時間間隔QCが有効になる。設定領域425は、テスト数QCにおいて精度管理を実行させるテスト数を設定するための領域である。ボタン425cが操作されると、テスト数入力領域425b内のテスト数が変更される。ラジオボタン425aが選択状態になると、チェックボックス423がチェック状態となったときに、テスト数QCが有効になる。
ラジオボタン424a、425aは互いに連動しており、いずれか一方が選択状態になると、他方が非選択状態となる。これにより、時間間隔QCとテスト数QCのうち、いずれか一方のみを実行対象として設定できる。
OKボタン426が操作されると、制御部331は、受付画面420の設定内容を一時的に記憶部332に記憶して、受付画面420を閉じる。キャンセルボタン427が操作されると、制御部331は、受付画面420の設定内容を破棄して、受付画面420を閉じる。
図14、15のフローチャートを参照して、受付画面410、420を表示部333に表示する処理について説明する。図14、15に示す処理は、測定項目ごとに実行される。
オペレータが、入力部334を操作して、編集測定項目選択画面402において測定項目を選択して項目編集ボタン402bを操作すると、制御部331は、図14の処理を開始する。
ステップS11において、制御部331は、記憶部332に記憶した設定情報を読み込んで、読み込んだ設定情報を反映した状態で受付画面410を表示部333に表示させる。オペレータは、入力部334を介して、図12に示した受付画面410を操作して精度管理に関する設定を入力する。また、オペレータは、入力部334を介して、図12に示した受付画面410の設定ボタン413を操作して図13に示した受付画面420を表示させ、受付画面420を操作して精度管理に関する設定を入力する。
図15は、受付画面420のラジオボタン424a、425aの操作に関する処理を示すフローチャートである。制御部331は、ステップS21において時間間隔QCのラジオボタン424aが操作されたか否かを判定し、ステップS22においてテスト数QCのラジオボタン425aが操作されたか否かを判定する。
時間間隔QCのラジオボタン424aが操作されると、ステップS23において、制御部331は、時間間隔QCを選択状態にして、時間間隔を入力可能な状態にする。具体的には、制御部331は、ラジオボタン424aを選択状態にし、時間間隔入力領域424bとボタン424cを操作可能な状態にする。また、ステップS24において、制御部331は、テスト数QCの選択状態を解除して、テスト数を入力不可の状態にする。具体的には、制御部331は、ラジオボタン425aを非選択状態にし、テスト数入力領域425bとボタン425cを操作不可の状態にする。
他方、テスト数QCのラジオボタン425aが操作されると、ステップS25において、制御部331は、テスト数QCを選択状態にして、テスト数を入力可能な状態にする。具体的には、制御部331は、ラジオボタン425aを選択状態にし、テスト数入力領域425bとボタン425cを操作可能な状態にする。また、ステップS26において、制御部331は、時間間隔QCの選択状態を解除して、時間間隔を入力不可の状態にする。具体的には、制御部331は、ラジオボタン424aを非選択状態にし、時間間隔入力領域424bとボタン424cを操作不可の状態にする。
ステップS24またはステップS26の処理が終わると、制御部331は、処理をステップS21に戻し、図15の処理を繰り返し行う。受付画面420のOKボタン426またはキャンセルボタン427が操作されると、制御部331は、図15の処理を終了させる。
このように、ラジオボタン424a、425aのいずれか一方のみが選択可能となっているため、実施形態1では、時間間隔QCとテスト数QCのいずれか一方が択一的に設定可能となる。図6(b)、(c)を参照して説明したように、時間間隔QCとテスト数QCは、いずれもほぼ一定の間隔で実行されるため、いずれか一方が実行されれば必要な精度管理を行うことができる。実施形態1によれば、時間間隔QCとテスト数QCはいずれか一方が択一的に設定可能であるため、不要な精度管理が実行されることを抑制し、精度管理物質および試薬の消費を抑制できる。また、不要な精度管理の設定を回避できるので、オペレータによる設定のための操作を簡便化できる。
図14に戻り、制御部331は、ステップS12において受付画面410の登録ボタン415が操作されたか否かを判定し、ステップS13において受付画面410のキャンセルボタン416が操作されたか否かを判定する。登録ボタン415が操作されると、制御部331は、処理をステップS14に進める。他方、キャンセルボタン416が操作されると、制御部331は、受付画面410、420を介して設定された設定内容を破棄し、図14の処理を終了させる。
ステップS14において、制御部331は、受付画面410、420を介して設定された設定内容を記憶部332に記憶する。このように、実施形態1では、制御部331が、精度管理群に含まれる各精度管理の設定を受け付けるための受付画面410、420を表示部333に表示させ、受付画面410、420を介して受け付けた精度管理を実行対象の精度管理として設定する。これにより、オペレータは、受付画面410、420を介して精度管理群に含まれる各精度管理を容易に設定できる。
また、上記のように、オペレータが編集測定項目選択画面402において測定項目を選択した上で項目編集ボタン402bを操作すると、制御部331は、入力部334を介してオペレータから受け付けた測定項目について、精度管理を設定するための受付画面410を表示する。これにより、測定項目ごとに適切な精度管理を設定できる。
ステップS15において、制御部331は、時間間隔QCが設定されているか否かを判定する。受付画面410において、チェックボックス412がチェック状態とされ、受付画面420において、チェックボックス423がチェック状態とされ、ラジオボタン424aが選択状態とされた場合、制御部331は、時間間隔QCが設定されていると判定する。時間間隔QCが設定されていると、ステップS16において、制御部331は、当該測定項目について時間間隔QCの経過時間をリセットする。時間間隔QCの経過時間は、図9(a)を参照して説明したように、測定項目ごとに記憶部332に記憶されており、時間の経過に合わせてリアルタイムで更新される。ステップS16では、対象となる測定項目についての時間間隔QCの経過時間が0に設定される。
ステップS17において、制御部331は、テスト数QCが設定されているか否かを判定する。受付画面410において、チェックボックス412がチェック状態とされ、受付画面420において、チェックボックス423がチェック状態とされ、ラジオボタン425aが選択状態とされた場合、制御部331は、テスト数QCが設定されていると判定する。テスト数QCが設定されていると、ステップS18において、制御部331は、当該測定項目についてテスト数QCのテスト数をリセットする。テスト数QCのテスト数は、図9(a)を参照して説明したように、測定項目ごとに記憶部332に記憶されており、対象となる測定項目の検体測定が行われるごとにリアルタイムでカウントアップされる。ステップS18では、対象となる測定項目についてのテスト数QCのテスト数が0に設定される。
図16(a)は、検体測定の指示の処理を示すフローチャートである。
ステップS31において、制御部331は、オペレータにより入力部334を介して検体測定の開始指示を受け付けたか否かを判定する。検体測定の開始指示を受け付けると、ステップS32において、制御部331は、測定部32の制御部321に検体測定を実行する指示を送信し、測定部32に検体測定を実行させる。ステップS33において、制御部331は、測定部32からの信号に基づいて、後続の検体があるか否かを判定する。後続の検体があると、制御部331は、処理をステップS32に戻し、後続の検体について検体測定の指示を送信する。他方、後続の検体がないと、制御部331は、図16(a)の処理を終了する。なお、図16(a)に示す検体測定の指示の処理は、繰り返し行われる。
図16(b)は、検体測定の処理を示すフローチャートである。
ステップS41において、測定部32の制御部321は、図16(a)のステップS32で分析部33から送信された検体測定の指示を受信したか否かを判定する。検体測定の指示を受信すると、ステップS42において、制御部321は、測定部32内の各部を駆動して検体測定を行う。すなわち、制御部321は、検体測定の指示に含まれる測定項目について、検体と測定項目に対応する試薬とを混合して測定試料を調製し、調製した測定試料を測定する。なお、図16(b)に示す検体測定の処理は、繰り返し行われる。
図16(c)は、試薬交換の指示の処理を示すフローチャートである。
ステップS51において、制御部331は、現試薬の残量が、この試薬に対応する測定項目についての1回の検体測定に使用する容量未満であるか否かを判定する。
ここで、上述したように、試薬分注部270は、吸引部271の吸引の際に液面を検知するための液面センサ271aと、吸引部271を上下方向に移動させるステッピングモータ272bと、を備える。制御部331は、吸引部271による試薬の吸引が行われるたびに、ステッピングモータ272bに入力されるパルス数と、液面センサ271aによる液面検知とに基づいて、試薬容器21の試薬残量を取得する。
すなわち、吸引部271の先端の初期位置をHとし、初期位置から液面検知されるまでの間にステッピングモータ272bに入力されるパルス数をPとし、ステッピングモータ272bに単位パルスが入力されるときの吸引部271の下降量をDとし、試薬容器21の内面積をSとすると、試薬容器21に収容された試薬の残量Tは、以下の式(1)により算出される。
T=(H-P×D)×S …(1)
制御部331は、現試薬の分注において吸引部271が下降される際に、上記式(1)に基づいて吸引前の試薬残量を取得する。さらに、制御部331は、吸引前の試薬残量から、1回の分注で吸引する試薬量を減算することにより、現試薬の残量を取得する。制御部331は、こうして取得した現試薬の残量を記憶部332に記憶する。ステップS51では、このように試薬の分注の度に更新される現試薬の残量が、ステップS51の実行時点において1回分未満であるか否かが判定される。
現試薬の残量が1回分未満であると、ステップS52において、制御部331は、測定部32の制御部321に、分注対象とする試薬を現試薬から新試薬へと切り替える指示を送信する。すなわち、制御部331は、現試薬を収容していた試薬容器21の使用を終了させて、現試薬と同じ種類の新試薬を用いて後続の検体測定を行わせる。なお、図16(c)に示す試薬交換の指示の処理は、繰り返し行われる。
次に、図17(a)~図19を参照して、時刻QC、時間間隔QC、テスト数QC、バイアルQCの処理について説明する。図17(a)、図18(a)、図18(b)、図19の処理は、測定項目ごとに繰り返し実行される。また、図17(a)、図18(a)、図18(b)、図19の処理は、図16(a)において検体測定が開始されると開始され、検体測定が終了するまで繰り返し実行される。すなわち、これらの処理は、ステップS31においてYESと判定されてから、ステップS33においてNOと判定されるまで繰り返し実行される。なお、図17(a)、図18(a)、図18(b)、図19の処理は、それぞれ、時刻QC、時間間隔QC、テスト数QC、バイアルQCの実行が設定されると同時に開始され、検体分析装置30が終了されるまで繰り返し実行されてもよい。
図17(a)に示すように、ステップS101において、制御部331は、記憶部332に記憶した設定情報を参照して、受付画面420の時刻入力領域422bで設定された現在時刻が、時刻QCの設定時刻に到達したか否かを判定する。現在時刻が設定時刻に到達すると、ステップS102において、制御部331は、測定部32の制御部321に精度管理測定を実行する指示を送信し、測定部32に精度管理測定を実行させる。
図17(b)は、精度管理測定の処理を示すフローチャートである。
ステップS61において、測定部32の制御部321は、図17(a)のステップS102で分析部33から送信された精度管理測定の指示を受信したか否かを判定する。精度管理測定の指示を受信すると、ステップS62において、制御部321は、測定部32内の各部を駆動して精度管理測定を行う。すなわち、制御部321は、精度管理測定の指示に含まれる測定項目について、精度管理物質と測定項目に対応する試薬とを混合して測定試料を調製し、調製した測定試料を測定する。なお、図17(b)に示す試薬交換の処理は、繰り返し行われる。また、図18(a)のステップS112、図18(b)のステップS122、および図19のステップS134において精度管理測定の指示が送信された場合も、制御部321は、図17(b)に示す処理に従って、精度管理測定を行う。
このように、精度管理物質と測定項目に対応する試薬とが混合されて測定試料が調製され、調製された測定試料が測定されると、測定項目ごとに複数の試薬がある場合でも、測定項目に対応した試薬に基づく精度管理測定を確実に行うことができる。
図17(a)に戻り、ステップS103において、制御部331は、時間間隔QCの経過時間およびテスト数QCのテスト数をリセットする。
精度管理測定は時間的な間隔をあけて実行することにより、検体測定の精度を担保するものであるため、複数の精度管理測定を近接したタイミングで実行する必要性は低い。実施形態1によれば、ステップS102において時刻QCに基づく精度管理測定が実行されると、ステップS103において時間間隔QCの時間経過のカウントおよびテスト数QCのテスト数のカウントがリセットされる。これにより、所定の時刻に精度管理測定が実行されたあと、近接したタイミングで時間間隔QCおよびテスト数QCが実行されることを抑制できる。また、不要な精度管理が実行されることを抑制されるため、精度管理物質および試薬の消費を抑制できる。
続いて、ステップS104において、制御部331は、ステップS102で実行した精度管理測定の結果が得られるまで処理を待機する。精度管理測定の結果が得られると、ステップS105において、制御部331は、精度管理測定の結果に基づいて精度管理に関する分析を行い、試薬に異常があるか否かを判定する。試薬に異常があると判定すると、ステップS106において、制御部331は、測定部32を駆動して、図16(a)のステップS31で開始した検体測定を中止する。他方、試薬に異常がないと判定すると、ステップS106はスキップされ、図17(a)の処理が終了する。
図18(a)に示すように、ステップS111において、制御部331は、図9(a)に示すように記憶部332に記憶した経過時間を参照して、時間間隔QCの経過時間のカウントが設定値に到達したか否かを判定する。経過時間のカウントが設定値に到達すると、ステップS112において、制御部331は、測定部32の制御部321に精度管理測定を実行する指示を送信し、測定部32に精度管理測定を実行させる。そして、ステップS113において、制御部331は、時間間隔QCの経過時間をリセットする。
続いて、ステップS114において、制御部331は、ステップS112で実行した精度管理測定の結果が得られるまで処理を待機する。精度管理測定の結果が得られると、ステップS115において、制御部331は、精度管理測定の結果に基づいて精度管理に関する分析を行い、試薬に異常があるか否かを判定する。試薬に異常があると判定すると、ステップS116において、制御部331は、測定部32を駆動して、図16(a)のステップS31で開始した検体測定を中止する。他方、試薬に異常がないと判定すると、ステップS116はスキップされ、図18(a)の処理が終了する。
図18(b)に示すように、ステップS121において、制御部331は、図9(a)に示すように記憶部332に記憶したテスト数を参照して、テスト数QCのテスト数のカウントが設定値に到達したか否かを判定する。テスト数のカウントが設定値に到達すると、ステップS122において、制御部331は、測定部32の制御部321に精度管理測定を実行する指示を送信し、測定部32に精度管理測定を実行させる。そして、ステップS123において、制御部331は、テスト数QCのテスト数をリセットする。
続いて、ステップS124において、制御部331は、ステップS122で実行した精度管理測定の結果が得られるまで処理を待機する。精度管理測定の結果が得られると、ステップS125において、制御部331は、精度管理測定の結果に基づいて精度管理に関する分析を行い、試薬に異常があるか否かを判定する。試薬に異常があると判定すると、ステップS126において、制御部331は、測定部32を駆動して、図16(a)のステップS31で開始した検体測定を中止する。他方、試薬に異常がないと判定すると、ステップS126はスキップされ、図18(b)の処理が終了する。
図19に示すように、ステップS131において、制御部331は、1回の精度管理測定に要する時間Tc内に、必要となる試薬の予測使用量を取得する。具体的には、図9(b)、(c)を参照して説明したように、制御部331は、記憶部332に記憶された履歴情報に基づいて、当該測定項目について、現在時刻が属する曜日および時間帯における検体測定の回数の平均Naを算出する。制御部331は、時間Tcと平均回数Naとの乗算に基づいて、1回の精度管理測定に要する時間Tc内に実行可能な検体測定の推定回数Ncを取得する。そして、制御部331は、1回の検体測定で必要な試薬量と、推定回数Ncとを乗算して、試薬の予測使用量を取得する。
続いて、ステップS132において、制御部331は、現試薬の残量がステップS131で取得した予測使用量以下であるか否かを判定する。上述したように、現試薬の残量は、記憶部332に記憶されており、試薬の分注の度に更新される。現試薬の残量が予測使用量以下であると、ステップS134において、制御部331は、測定部32の制御部321に、新試薬に基づく精度管理測定を実行する指示を送信し、測定部32に精度管理測定を実行させる。この場合、測定部32の制御部321は、図17(b)のステップS62において、現試薬ではなく新試薬に基づく精度管理測定を実行する。
現試薬の残量が予測使用量より多い場合、ステップS133において、制御部331は、現試薬の残量が1回分の検体測定で使用する試薬量以下であるか否かを判定する。現試薬の残量が1回分の検体測定で使用する試薬量以下である場合、すなわち、現試薬の残りが少ないために現試薬を用いて検体測定を行うことができなくなった場合、制御部331は、処理をステップS134に進めて、新試薬に基づく精度管理測定を実行する。他方、現試薬の残量が1回分の検体測定で使用する試薬量より多い場合、すぐに新試薬に基づく精度管理測定を開始する必要がないため、制御部331は、処理をステップS131に戻す。
続いて、ステップS135において、制御部331は、ステップS134で実行した新試薬に基づく精度管理測定の結果が得られたか否かを判定する。新試薬に基づく精度管理測定の結果が得られていない場合、ステップS136において、制御部331は、新試薬に基づく検体測定を待機させる。すなわち、新試薬の精度管理の結果が得られていない場合、新試薬が適正な状態であるか否かが判断できない。したがって、制御部331は、新試薬に基づく精度管理測定の結果が得られるまで新試薬を用いた検体測定を開始させないよう、測定部32の制御部321に、新試薬を用いた検体測定を待機させる指示を送信する。これにより、制御部321は、図16(b)のステップS42において、対象となる測定項目について新試薬を用いた検体測定を待機させる。
新試薬に基づく精度管理測定の結果が得られると、ステップS137において、制御部331は、精度管理測定の結果に基づいて精度管理に関する分析を行い、新試薬に異常があるか否かを判定する。新試薬に異常があると判定すると、ステップS138において、制御部331は、新試薬に基づく検体測定を中止する。これにより、新試薬に基づく検体測定は開始されず、現試薬がなくなった時点で、当該測定項目の検体測定が中止される。他方、新試薬に異常がないと判定すると、ステップS139において、制御部331は、新試薬を用いた検体測定の待機を解除するよう、測定部32の制御部321に、新試薬を用いた検体測定を解除させる指示を送信する。これにより、制御部321は、対象となる測定項目についての検体測定の指示を受信すると、図16(b)のステップS42において、新試薬を用いた検体測定を行う。こうして、図19の処理が終了する。
なお、図19の処理によれば、予測使用量に応じて新試薬に基づく精度管理測定が実行されるため、通常は図8(b)のような新試薬を用いた検体測定の待ち時間は発生しない。しかしながら、実際に検体測定が行われる頻度によっては、図8(b)のように、新試薬を用いた検体測定の待ち時間が発生することも起こり得る。このような場合でも、実施形態1によれば、新試薬に異常がないと判定されると、ステップS139において速やかに待機状態が解除されるため、新試薬を用いた検体測定を迅速に開始できる。
<実施形態2>
実施形態2では、測定項目ごとに、精度管理群のうちいずれの精度管理が好ましいかを示唆する推奨情報が、受付画面410に表示される。実施形態2では、実施形態1と比較して、以下に説明する図20~23の構成および処理のみが異なっている。実施形態2のその他の構成は、実施形態1と同様である。
図20に示すように、実施形態2の受付画面410は、図12に示した実施形態1の受付画面410と比較して、さらに試薬性状表示領域431と、試薬安定性表示領域432と、コメント領域433、434と、を備える。試薬性状表示領域431、試薬安定性表示領域432、およびコメント領域433、434の表示内容は、好ましい精度管理を示唆する推奨情報である。
試薬性状表示領域431は、試薬の性状を表示する。実施形態2において、試薬の性状とは、凍結乾燥品または液状品である。試薬安定性表示領域432は、試薬の安定性を表示する。実施形態2において、試薬の安定性とは、試薬の品質が良好な状態がどの程度続くかを示す情報であり、たとえば5時間や10時間といった時間によって表される。なお、試薬の安定性は、「良い」または「悪い」によって表されてもよい。
分析部33の記憶部332は、試薬テーブル260に設置された全ての試薬容器21に収容された各試薬の試薬情報を記憶している。試薬情報は、当該試薬が凍結乾燥品と液状品のいずれであるかを示す情報と、試薬の安定性を示す情報と、を含んでいる。制御部331は、受付画面410を表示部333に表示させるときに、当該測定項目で用いる試薬情報を記憶部332から読み出し、読み出した試薬情報に基づいて、試薬性状表示領域431に試薬の性状を表示し、試薬安定性表示領域432に試薬の安定性を表示する。
コメント領域433は、精度管理群のうち、いずれの精度管理が好ましいかを判断するための指針を表示する。コメント領域434は、実際に設定することが好ましい精度管理を具体的に表示する。
ここで、精度管理群のうちどのようなケースでどのような精度管理が設定されるのが好ましいかは、図21(a)、(b)に示すようにあらかじめ決められている。
図21(a)に示すように、対象となる測定項目のテスト数と試薬の安定性とに基づいて、時刻QC、時間間隔QC、テスト数QCのうち、好ましい精度管理が決まる。図21(a)において、テスト数とは、対象となる測定項目について行われる検体測定の頻度のことである。試薬の安定性が良い場合、テスト数にかかわらず時刻QCが好ましい。試薬の安定性が悪い場合、テスト数が多い場合はテスト数QCが好ましく、テスト数が少ない場合は時間間隔QCが好ましい。また、図21(b)に示すように、対象となる測定項目の試薬の性状に基づいて、バイアルQCが設定されるのが好ましいかが決まる。試薬の性状が凍結乾燥品の場合、バイアルQCが設定されるのが好ましい。
図20に戻り、コメント領域433は、図21(a)、(b)の表に示す内容をメッセージとして表示する。制御部331は、図9(b)に示すような履歴情報に基づいて、当該測定項目のテスト数が多いか否か、すなわち、当該測定項目の検体測定が高頻度に行われたか否かを判定する。また、制御部331は、記憶部332から、当該測定項目で用いる試薬の安定性を読み出し、読み出した試薬の安定性を判定する。制御部331は、判定結果と、図21(a)、(b)に示したルールとに基づいて、好ましい精度管理を決定する。そして、制御部331は、決定した精度管理をコメント領域434に表示する。
以上のように、好ましい精度管理を示唆する推奨情報が、試薬性状表示領域431と、試薬安定性表示領域432と、コメント領域433、434とに表示されると、オペレータは、推奨情報を参照することにより、精度管理群のうちいずれの精度管理を実行させるのが好ましいかを視覚的に把握できる。試薬性状表示領域431に表示される試薬の性状と、試薬安定性表示領域432に表示される試薬の安定性と、コメント領域434に表示されるコメントによれば、好ましい精度管理の判断が可能になる。したがって、これらの情報が推奨情報として表示されることにより、オペレータは、精度管理群のうち好ましい精度管理を判断できる。
なお、好ましい精度管理がコメント領域434に表示されることに限らず、好ましいと決定された精度管理を設定する操作部の近傍に、アイコンやメッセージなどの目印が表示されてもよい。たとえば、バイアルQCが好ましい場合、図20のチェックボックス414の近傍に目印が表示され、時刻QCが好ましい場合、図13のチェックボックス421の近傍に目印が表示され、時間間隔QCが好ましい場合、図13のラジオボタン424aの近傍に目印が表示され、テスト数QCが好ましい場合、図13のラジオボタン425aの近傍に目印が表示されてもよい。
図22、23を参照して、コメント領域434における推奨情報の表示処理について説明する。オペレータが、入力部334を操作して、編集測定項目選択画面402において測定項目を選択して項目編集ボタン402bを操作すると、制御部331は、図22、23の処理を開始する。
図22に示すように、ステップS201において、制御部331は、当該測定項目の検体測定の実行頻度を予測する。具体的には、制御部331は、履歴情報に基づいて、所定期間における所定時間当たりの当該測定項目の検体測定の回数を、実行頻度の予測値として取得する。この場合の所定期間は、たとえば50週であり、所定時間は、たとえば1時間である。なお、制御部331は、所定期間における当該測定項目の検体測定の回数を、実行頻度の予測値として取得してもよい。
ステップS202において、制御部331は、ステップS201で取得した実行頻度が所定の閾値未満であるか否かを判定する。ステップS202で用いられる所定の閾値は、検体測定の頻度が高頻度か否かを判定可能な実行頻度に関する閾値であり、時間間隔QCとテスト数QCのいずれが好ましいかを決定可能な閾値である。
このように、履歴情報に基づいて実行頻度が予測されると、実行頻度の大小に合わせて、後述するように時間間隔QCとテスト数QCのどちらが好ましいかを適正に判定できる。よって、好ましい精度管理を推奨情報として適正に表示できる。
実行頻度が所定の閾値未満である場合、ステップS203において、制御部331は、当該測定項目で用いる試薬の試薬情報が所定の情報を含むか否かを判定する。上述したように、試薬情報は、記憶部332に記憶されており、通常、試薬の性状や試薬の安定性を含む。ステップS203において、制御部331は、記憶部332から試薬情報を読み出し、読み出した試薬情報に、試薬の性状および試薬の安定性が含まれるか否かを判定する。
試薬情報が試薬の性状および試薬の安定性を含んでいない場合、ステップS204において、制御部331は、時刻QC、時間間隔QCおよびバイアルQCが好ましいことを、受付画面410のコメント領域434に表示する。試薬情報が試薬の性状および試薬の安定性を含んでいる場合、制御部331は、処理をステップS205に進める。
ステップS205において、制御部331は、試薬情報に含まれる試薬の性状に基づいて、当該測定項目の試薬が液状品であるか否かを判定する。試薬が凍結乾燥品の場合、ステップS206において、制御部331は、バイアルQCが好ましいことを、受付画面410のコメント領域434に表示する。試薬が液状品の場合、制御部331は、処理をステップS207に進める。
ステップS207において、制御部331は、試薬情報に含まれる試薬の安定性に基づいて、当該測定項目の試薬の安定性が所定の閾値以上であるか否かを判定する。ステップS207で用いられる所定の閾値は、試薬の安定性が高いか低いかを判定可能な閾値であり、時刻QCと時間間隔QCのいずれが好ましいかを決定可能な閾値である。試薬の安定性が、試薬の品質が良好な状態を維持する時間として定義される場合、ステップS207で用いられる所定の閾値は、たとえば5時間などの時間に設定される。
試薬の安定性が所定の閾値以上である場合、ステップS208において、制御部331は、時刻QCが好ましいことを、受付画面410のコメント領域434に表示する。他方、試薬の安定性が所定の閾値未満である場合、ステップS209において、制御部331は、時間間隔QCが好ましいことを、受付画面410のコメント領域434に表示する。
ステップS202において実行頻度が所定の閾値以上であると判定された場合、制御部331は、処理を図23のステップS211に進める。
図23のステップS211~S217では、図22のステップS203~S209と比較して、ステップS204、S209が、それぞれステップS212、S217に変更されている。ステップS211、S213~S216は、ステップS203、S205~S208と同様である。以下、ステップS212、S217について説明する。
ステップS211において試薬情報が試薬の性状および試薬の安定性を含んでいないと判定された場合、ステップS212において、制御部331は、時刻QC、テスト数QCおよびバイアルQCが好ましいことを、受付画面410のコメント領域434に表示する。ステップS215において試薬の安定性が所定の閾値未満であると判定された場合、ステップS217において、制御部331は、テスト数QCが好ましいことを、受付画面410のコメント領域434に表示する。
ステップS207、S215において試薬の安定性が所定の閾値以上であると判定されると、時刻QCが好ましいことが、受付画面410のコメント領域434に表示される。これにより、オペレータは、試薬の安定性が高い場合に、時刻QCが好ましいことを視覚的に把握できる。ステップS205、S213において試薬の性状が凍結乾燥品であると判定されると、バイアルQCが好ましいことが、受付画面410のコメント領域434に表示される。これにより、オペレータは、試薬が凍結乾燥品である場合に、バイアルQCが好ましいことを視覚的に把握できる。
<実施形態3>
実施形態3では、測定項目ごとに、精度管理群に含まれる精度管理のうち実行対象候補の精度管理が選択される。実施形態3では、実施形態1と比較して、以下に説明する図24、25の処理のみが異なっている。実施形態3のその他の構成は、実施形態1と同様である。
図24、25を参照して、実行対象候補の精度管理を選択する処理について説明する。制御部331は、試薬容器21が試薬テーブル260に設置され、設置された試薬容器21が試薬を登録するための画面を介して登録されると、この試薬容器21に収容された試薬が用いられる測定項目について、図24、25の処理を開始する。なお、図24、25の処理の開始タイミングは、試薬容器21が登録されるタイミングに限らない。たとえば、制御部331は、所定の時間間隔で、各測定項目について図24、25の処理を開始してもよい。
図24のステップS301~S303、S305、S307の処理は、図22のステップS201~S203、S205、S207の処理と同様である。したがって、以下の図24の説明では、便宜上、ステップS304、S306、S308、S309の処理について説明する。
ステップS303において試薬情報が試薬の性状および試薬の安定性を含んでいないと判定された場合、ステップS304において、制御部331は、時刻QC、時間間隔QCおよびバイアルQCを実行対象候補に設定する。ステップS305において試薬が凍結乾燥品であると判定された場合、ステップS306において、制御部331は、バイアルQCを実行対象候補に設定する。ステップS307において試薬の安定性が所定の閾値以上であると判定された場合、ステップS308において、制御部331は、時刻QCを実行対象候補に設定する。ステップS307において試薬の安定性が所定の閾値未満であると判定された場合、ステップS309において、制御部331は、時間間隔QCを実行対象候補に設定する。ステップS308、S309が終了すると、制御部331は、処理を図25のステップS318に進める。
ステップS302において実行頻度が所定の閾値以上であると判定された場合、制御部331は、処理を図25のステップS311に進める。
図25のステップS311、S313~S316の処理は、図24のステップS303、S305~S308の処理と同様である。したがって、以下の図25の説明では、便宜上、ステップS312、S317、S318の処理について説明する。
ステップS311において試薬情報が試薬の性状および試薬の安定性を含んでいないと判定された場合、ステップS312において、制御部331は、時刻QC、テスト数QCおよびバイアルQCを実行対象候補に設定する。ステップS315において試薬の安定性が所定の閾値未満であると判定された場合、ステップS317において、制御部331は、テスト数QCを実行対象候補に設定する。
ステップS318において、制御部331は、前段のステップ、すなわちステップS301~S309、S311~S317の処理において設定された実行対象候補について、実行を設定した状態で受付画面410、420を表示部333に表示させる。
具体的には、制御部331は、バイアルQCを実行対象候補に設定した場合、図12のチェックボックス414にチェックを入れた状態で受付画面410を表示させる。制御部331は、時刻QC、時間間隔QC、およびテスト数QCを実行対象候補に設定した場合、図12のチェックボックス412にチェックを入れた状態で受付画面410を表示させる。制御部331は、時刻QCを実行対象候補に設定した場合、図13のチェックボックス421にチェックを入れた状態で受付画面420を表示させる。制御部331は、時間間隔QCまたはテスト数QCを実行対象候補に設定した場合、図13のチェックボックス423にチェックを入れた状態で受付画面420を表示させる。制御部331は、時間間隔QCを実行対象候補に設定した場合、図13のラジオボタン424aを選択した状態で受付画面420を表示させる。制御部331は、テスト数QCを実行対象候補に設定した場合、図13のラジオボタン425aを選択した状態で受付画面420を表示させる。
ステップS318において、実行対象候補が設定された状態で受付画面410、420が表示された後、オペレータは、受付画面410、420を参照して実行対象候補となった精度管理を確認する。そして、オペレータは、受付画面410、420の各部を操作することにより、必要に応じて実行対象候補の精度管理や各精度管理の設定値などを修正し、受付画面410の登録ボタン415を操作して、実行対象の精度管理を確定させる。
以上のように、実施形態3によれば、実行対象候補の精度管理が選択されると、オペレータはどの精度管理を実行すべきかを判断する手間を省略できる。また、ステップS301において履歴情報に基づいて実行頻度が予測されると、実行頻度の大小に合わせて、時間間隔QCとテスト数QCのいずれかが少なくとも実行対象候補として選択される。これにより、オペレータは、実行頻度を判断した上で精度管理を選択する手間を省略できる。
また、ステップS307、S315において試薬の安定性が所定の閾値以上であると判定されると、時刻QCが実行対象候補として選択される。これにより、オペレータは、試薬の安定性が高いことを判断した上で時刻QCを選択するといった手間を省略できる。また、ステップS305、S313において試薬の性状が凍結乾燥品であると判定されると、バイアルQCが実行対象候補として選択される。これにより、オペレータは、試薬が凍結乾燥品であることを判断した上でバイアルQCを選択するといった手間を省略できる。
また、図24のステップS301~S309および図25のステップS311~S317の処理が終わった後、ステップS318において、制御部331は、選択した実行対象候補に基づいて、実行対象の精度管理の設定を受け付けるための受付画面410、420を表示部333に表示させる。これにより、オペレータは、制御部331によって実行対象候補として選択された精度管理に対して、実行の有無や詳細なパラメータなどの設定を円滑に入力できる。
なお、図25のステップS318において、制御部331は、受付画面410、420を表示させずに、選択した実行対象候補の精度管理を実行対象の精度管理として設定してもよい。こうすると、オペレータが実行対象候補の精度管理を確認し、精度管理の実行の有無や詳細なパラメータなどの設定を入力することなく、実行対象候補の精度管理が実行されるようになる。このように自動的に実行対象の精度管理が設定されると、オペレータが実行対象候補の精度管理に基づいて、実行対象の精度管理を設定するといった手間を省略できる。