JP7162298B2 - 付加製造方法及び付加製造装置 - Google Patents
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Description
レーザ光を照射領域に照射する照射部及び前記照射領域にキャリアガスとともに金属粉末を供給する供給部を有するヘッド部と、前記ヘッド部及び造形領域を相対的に移動させる移動機構と、を備えた付加製造装置を用いた造形物の製造方法であって、
前記金属粉末に金属水素化物の粉末を含ませることにより、前記造形領域に多孔性領域を含む造形物を形成する。
レーザ光を照射領域に照射する照射部及び前記照射領域にキャリアガスとともに金属粉末を供給する供給部を有するヘッド部と、前記ヘッド部及び造形領域を相対的に移動させる移動機構と、を備え、
前記金属粉末に金属水素化物の粉末を含ませることにより、前記造形領域に多孔性領域を含む造形物を形成する。
各図面中、同一の機能を有する部材には、同一符号を付している場合がある。要点の説明または理解の容易性を考慮して、便宜上実施形態を分けて示す場合があるが、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換または組み合わせは可能である。後述の実施形態では前述の実施形態と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については、実施形態ごとには逐次言及しないものとする。各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張して示している場合もある。
はじめに、図1を参照しながら、本発明の1つの実施形態に係る付加製造装置の説明を行う。図1は、本発明の1つの実施形態に係る付加製造装置の構成を模式的に示す図である。図1(a)は、付加製造装置2の吹出ノズル22部分を断面で示した模式的な側面図であり、図1(b)は、図1(a)の矢視A-A図である。
照射部10について更に詳細に述べれば、照射部10は、レーザ光源装置12と、レーザ光源装置12の出射側に光学的に接続された光ファイバ14と、光ファイバ14の出射側に光学的に接続された光学系16とを備える。本実施形態に係るレーザ光源装置12は、波長1060nmのレーザ光を出射するが、これに限られるものではなく、例えば、800~1080nm程度の近赤外波長のレーザ光であれば、任意の波長のレーザ光を用いることができる。レーザ光源装置12の出力としては、2kW~10kWを例示できるが、これに限られるものではない。レーザ光源装置12のタイプも、近赤外線領域のレーザ光を出射するレーザ光源であれば、YAGレーザをはじめとするその他の任意のシングルモードまたはマルチモードレーザ装置を用いることができる。
供給部20ついて更に詳細に述べれば、供給部20は、吹出ノズル22と、貯蔵領域24と、吹出ノズル22及び貯蔵領域24の間を繋ぐ供給管26とを備える。貯蔵領域24には、所定の比率で金属水素化物の粉末が含まれた金属粉が貯蔵されている。この金属粉末が、キャリアガスとともに供給管24内を流れて、供給部20の吹出ノズル22に流入する。吹出ノズル22には、供給管26と繋がったヘッダ22Bと、ヘッダ22Bに繋がった複数の流路22Aを備える。図1(a)の矢視A-A図である図1(b)に示すように、本実施形態では、略円形断面の8個の流路22Aが同心円状に配置されている。その内側の領域から、レーザ光が照射される。ただし、流路22Aの数は8に限られるものではなく、その他の任意の数の流路22Aを設けることができる。
更に、吹出ノズルとして、流路が円周状に繋がったテーパ状ノズルを用いることもできる。
移動機構40について更に詳細に述べれば、図1に示すように、造形領域60は移動しない状態で、移動機構40のアクチュエータ42により、ヘッド部30を図面水平方向(白抜き矢印参照)に移動させることができる。これにより、レーザ光Lと粉末Pを供給しながら造形領域60に対して走査してレーザ積層を行うことができる。
本実施形態に係る付加製造装置2は、単独の付加製造装置として存在する場合だけでなく、例えば、工作機械に組み込まれる場合もあり得る。工作機械に組み込まれる場合には、移動機構40として工作機械の移動機構を用いることもできる。
キャリアガスとして、ヘリウム、アルゴン、窒素等の不活性ガスを用いることが好ましい。更に、粉末材料を含むキャリアガスの外側に、不活性ガスからなるシールドガスを供給することもできる。これにより、レーザ積層における材料の酸化等を抑制することができる。また、レーザ光源装置12側に粉末等が流入することを防ぐため、同心円状に配置された流路22Aの内側の領域から、シールドガスを吹き出すようにすることもできる。
本実施形態では、金属粉末として、ステンレス鋼の粉末が用いられている。ただし、これに限られるものではなく、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル基合金(インコネル(登録商標))、タングステンカーバイド複合材料、銅合金、真鍮、コバルトクロムモリブデン合金、ステライトをはじめとする任意の金属材料を用いることができる。金属粉末の粒径としては、50~150μmを例示できるが、これに限られるものではない。
本実施形態では、金属水素化物の粉末として水素化チタン(TiH2)の粉末が用いられている。ただし、これに限られるものではなく、例えば、水素化ジルコニウム(TiZr2)をはじめとするその他の任意の金属水素化物を用いることもできる。金属水素化物の粉末の粒径としては、20~250μmを例示できるが、これに限られるものではない。
以上のように、本実施形態に係る付加製造装置2は、
[1} (i)レーザ光を照射領域Sに照射する照射部10、及び
(ii)照射領域Sにキャリアガスとともに、金属水素化物の粉末を含む金属粉末Pを供給する供給部20を
有するヘッド部30と、
[2] ヘッド部30及び造形領域60を相対的に移動させる移動機構40と
を備える。
更に詳細に述べれば、レーザ光による照射領域Sに、金属水素化物の粉末を含む金属粉末Pをキャリアガスとともに噴射することにより、照射領域Sに供給された金属水素化物を含む金属粉末Pは、レーザ光の照射により溶融し、その後速やかに冷却される。よって、溶融時に生じた水素の気泡が溶融金属内に取り込まれ、多数の微孔が効率的に形成される。これにより、付加製造装置を用いて、容易にかつ効率的に多孔性領域を含む造形物を形成することができる。
なお、本実施形態では、多孔性領域を含む金属造形物を様々な形状に形成できるので、製造した金属造形物を、軽量性が求められる構造部材、断熱部材、防音部材、電磁遮蔽部材をはじめとする様々な技術分野に適用することができる。
金属粉末の中の母材金属及び金属水素化物の比率について、水素化チタンを用いた様々な試験の結果、下記の知見を得た。
金属水素化物の母材金属に対する比率(重量比)を、ゼロから徐々に上げていくにつれて造形物における気泡率が上昇した。しかし、金属水素化物の母材金属に対する比率(重量比)が5~7%に達すると気泡率はあまり上昇しなくなり、比率(重量比)が10%を超えると気泡率の上昇は、ほとんど見られなくなった。よって、必要とされる気泡率に応じて、金属水素化物の母材金属に対する比率(重量比)を、0~10%の範囲に収めるのが好ましく、2~6%の範囲に収めるのがより好ましいことを知見した。
様々な試験の結果、金属粉末の中の母材金属の粒径及び金属水素化物の粉末の粒径について、金属水素化物の粉末の粒径が母材金属の粉末の粒径の50%から150%の範囲内にあることが好ましいことを知見した。
粒子径によって流体から受ける力が異なるので、流動性が異なる。様々な試験の結果、金属水素化物の粉末の粒径を、母材金属の粉末の粒径に対してプラスマイナス50%の範囲内に収める場合に、各粒子の流動をより良好に制御することができ、微孔が均一に分布した多孔性領域を形成することができることを知見した。
様々な試験の結果、複数の層を積層する場合において、上側の層を積層するときのレーザ光の照射出力を、下側の層を積層するときのレーザ光の照射出力より小さくすることが好ましいことを知見した。
様々な検討及び試験の結果、金属水素化物を含む金属粉末とともに、増粘材の粉末や界面活性剤の粉末を加えることにより、更に効果的に多孔性領域を含む造形物を形成できることを知見した。以下にその詳細を説明する。
様々な試験の結果、金属粉末とともに、照射領域Sに増粘材の粉末を供給することが好ましいことを知見した。増粘材を付加することにより、溶融した金属の粘度を高めることができる。溶融金属の粘度が高いほど、金属水素化物により発生した気泡が溶融した金属から放出されにくくなるので、多孔性領域を含む造形物を効果的に形成することができる。
様々な試験の結果、金属粉末とともに、照射領域Sに界面活性剤の粉末を供給することが好ましいことを知見した。照射領域Sに界面活性剤の粉末を供給することにより、溶融した金属の表面張力を低くすることができる。溶融金属の表面張力が低いほど、発生した気泡が小さいまま溶融した金属内に保持され易くなる。よって、微細な孔を有する多孔性領域を効果的に形成できる。
ヘッド部30の造形領域60に対する位置に応じて、金属粉末に含まれる金属水素化物の粉末の割合を変化させることも考えられる。ヘッド部30の位置に応じて金属粉末に含まれる金属水素化物の粉末の割合を変化させることにより、領域に応じて気孔率の異なる多孔性領域を効率的に形成することができる。
本実施形態に係る付加製造装置2’では、金属粉末の貯蔵領域24として、母材金属の粉末の貯蔵領域24Aと、金属水素化物の粉末の貯蔵領域24Bとを有する。更に、母材金属及び金属水素化物の粉末の割合を調整する流量調整弁28を備える。
このような機構により、母材金属及び金属水素化物の割合を変化させながら造形物を形成できるので、各領域で所望の気孔率を有する造形物を得ることができる。
本実施形態に係る付加製造装置2’のその他の構成については、上記の1つの実施形態に係る付加製造装置2の構成と同様なので、更なる説明は省略する。
図2に示す付加製造装置2’を用いることにより、外側の領域及び内側の領域で気孔率が異なる造形物50を容易に形成することができる。図3は、外側の領域及び内側の領域で気孔率が異なる造形物の一例を示す模式図である。
図3に示すように、造形物50の外側の領域52において、金属粉末に含まれる金属水素化物の粉末の割合が低く、造形物50の内側の領域54において、金属粉末に含まれる金属水素化物の粉末の割合が高くすることができる。これにより、造形物50の外側の領域52において気孔率が低く、造形物50の内側の領域54において気孔率が高い造形物50を得ることができる。
なお、造形物50の外側の領域52において、金属粉末に金属水素化物の粉末が含まれない場合もあり得る。この場合、基本的に、外側の領域52には気孔を有さないことになる。
一方、内側の領域54では、母材金属の量が少ないので、より少ないエネルギの投入であっても十分な母材の溶解が期待できる。内側の領域54では、気孔を多く有するので熱伝導率は比較的低くなり、冷却性を考慮して、より少ないエネルギを投入することが好ましい。
次に、図4Aから図4Cを参照しながら、上記のような外側の領域及び内側の領域で気孔率が異なる造形物を得るための、付加製造方法の一例を説明する。図4Aは、本発明に係る付加製造方法の一例を模式的に示す図であって、造形物の外側の領域を形成する工程を示す模式図である。
図4Bは、本発明に係る付加製造方法の一例を模式的に示す図であって、造形物の内側の領域を形成する工程を示す模式図である。図4Cは、本発明に係る付加製造方法の一例を模式的に示す図であって、形成された造形物を示す模式図である。
10 照射部
12 レーザ光源装置
14 光ファイバ
16 光学系
20 供給部
22 吹出ノズル
22A 流路
22B ヘッダ
24 貯蔵領域
24A 母材金属の粉末の貯蔵領域
24B 金属水素化物の粉末の貯蔵領域
26 供給管
26A 母材用供給管
26B 金属水素化物用供給管
26C 共通供給管
28 流量調整弁
30 ヘッド部
40 移動機構
42 アクチュエータ
50 造形物
52 外側の領域
54 内側の領域
60 造形領域
S 照射領域
L レーザ光
P 金属粉末
Claims (13)
- レーザ光を照射領域に照射する照射部及び前記レーザ光の周囲から前記照射領域にキャリアガスとともに金属粉末を供給する供給部を有するヘッド部と、前記ヘッド部及び造形領域を相対的に移動させる移動機構と、を備えた付加製造装置を用いる方法であって、
前記金属粉末に金属水素化物の粉末を含ませることにより、前記造形領域に多孔性領域を含む造形物を形成し、
前記金属粉末とともに、前記照射領域に増粘材の粉末及び界面活性剤の粉末を供給することを特徴とする付加製造方法。 - 前記金属水素化物のが、水素化チタンであることを特徴とする請求項1に記載の付加製造方法。
- 前記増粘材が、酸化カルシムまたは酸化マグネシウムであることを特徴とする請求項1または2に記載の付加製造方法。
- 前記界面活性剤が、テルル、セレンまたは硫黄であることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の付加製造方法。
- 前記金属粉末のうち、前記金属水素化物の粉末の粒径が母材金属の粉末の粒径の50%から150%の範囲内にあることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の付加製造方法。
- 複数の層を積層する場合において、上側の層を積層するときのレーザ光の照射出力を、下側の層を積層するときのレーザ光の照射出力より小さくすることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の付加製造方法。
- 前記ヘッド部の前記造形領域に対する位置に応じて、前記金属粉末に含まれる前記金属水素化物の粉末の割合を変化させることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の付加製造方法。
- 前記造形物の外側の領域において、前記金属粉末に含まれる前記金属水素化物の粉末の割合が低く、前記造形物の内側の領域において、前記金属粉末に含まれる前記金属水素化物の粉末の割合が高いことを特徴とする請求項7に記載の付加製造方法。
- 前記造形物の外側の領域の造形におけるレーザ光の照射出力が、前記造形物の内側の領域の造形におけるレーザ光の照射出力より大きいことを特徴とする請求項8に記載の付加製造方法。
- 前記造形物の外側の領域を造形した後、前記造形物の内側の領域を造形することを特徴とする請求項8または9に記載の付加製造方法。
- レーザ光を照射領域に照射する照射部及び前記レーザ光の周囲から前記照射領域にキャリアガスとともに金属粉末を供給する供給部を有するヘッド部と、前記ヘッド部及び造形領域を相対的に移動させる移動機構と、を備え、
前記金属粉末に金属水素化物の粉末を含ませることにより、前記造形領域に多孔性領域を含む造形物を形成し、
前記金属粉末とともに、前記照射領域に増粘材の粉末及び界面活性剤の粉末を供給することを特徴とする付加製造装置。 - 前記金属粉末の貯蔵領域として、母材金属の粉末の貯蔵領域と、前記金属水素化物の粉末の貯蔵領域を有し、
前記ヘッド部及び被加工物の相対的移動に応じて、前記照射領域に供給する前記母材金属の粉末及び前記金属水素化物の粉末の割合を変化させる機構を備えることを特徴とする請求項11に記載の付加製造装置。 - レーザ光を照射領域に照射する照射部及び前記照射領域にキャリアガスとともに金属粉末を供給する供給部を有するヘッド部と、前記ヘッド部及び造形領域を相対的に移動させる移動機構と、を備えた付加製造装置を用いる方法であって、
前記金属粉末に金属水素化物の粉末を含ませることにより、前記造形領域に多孔性領域を含む造形物を形成し、
複数の層を積層する場合において、上側の層を積層するときのレーザ光の照射出力を、下側の層を積層するときのレーザ光の照射出力より小さくすることを特徴とする付加製造方法。
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