JP7157268B1 - 柱上変圧器の寿命評価方法 - Google Patents

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【課題】絶縁紙の劣化に基づく柱上変圧器の寿命評価方法を提供する。【解決手段】柱上変圧器を通過する電流を測定可能なスマートメーターから前記電流を計算し、柱上変圧器の周囲の環境データを取得し、前記電流及び前記環境データを入力データとし、柱上変圧器に備わるタンク内の油温、ガスケット温度、及び巻線温度を出力する熱等価回路を用いて巻線温度を計算し、巻線温度と巻線を被覆する絶縁紙の劣化指標との関係を表す巻線熱特性に基づいて劣化指標を推定することにより前記柱上変圧器の寿命を推定する。【選択図】図2

Description

本発明は、柱上変圧器の寿命を評価する方法に関する。
柱上変圧器は、タンクの腐食、巻線の被覆である絶縁紙の劣化、漏油を防止するためのガスケットの劣化を主な要因として寿命が短くなることが知られている。しかしながら、柱上変圧器はそれらの要因に基づく寿命とは関係なしに交換されることも多い。
そこで、柱上変圧器に取り付けたスマートメーターから得られる電流を元に柱上変圧器の寿命を推定する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。このような技術によれば、柱上変圧器の推定寿命に基づいて交換や保守を行うことができる。
しかしながら、特許文献1の技術は、柱上変圧器の絶縁紙の劣化を元に寿命を判定しているが巻線の温度のみに基づいており、タンクやガスケットの温度などを考慮にいれたものではない。これらを考慮に入れ、より一層高精度に絶縁紙の劣化を評価することが求められている。
特許第6689212号公報
本発明は、上記事情に鑑み、絶縁紙の劣化に基づく柱上変圧器の寿命評価方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明の態様は、柱上変圧器を通過する電流を測定可能なスマートメーターから前記電流を計算し、前記柱上変圧器の周囲の環境データを取得し、前記電流、及び前記環境データを入力データとし、前記柱上変圧器に備わるタンク内の油温、ガスケットの温度(以下、ガスケット温度)、及び巻線の温度(以下、巻線温度)を出力する熱等価回路を用いて前記巻線温度を計算し、前記巻線温度と、前記巻線を被覆する絶縁紙の劣化指標との関係を表す巻線熱特性に基づいて前記劣化指標を推定することにより前記柱上変圧器の寿命を推定し、前記環境データは、前記柱上変圧器を含む範囲を対象として気象台により測定されたものであり、前記熱等価回路は、前記柱上変圧器の前記巻線、前記柱上変圧器のタンクの油温、前記ガスケット温度、気温とがそれぞれ熱抵抗を挟んで直列に接続され、前記気温には、前記環境データとして得られた気温を入力し、さらに、前記熱等価回路は、前記ガスケット温度に、前記環境データとして日射による熱流が入力されることを特徴とする柱上変圧器の寿命評価方法にある。
本発明によれば、絶縁紙の劣化に基づく柱上変圧器の寿命評価方法が提供される。
柱上変圧器の寿命を評価するためのシステム構成を示す図である。 柱上変圧器の寿命評価方法の流れを示す図である。 熱等価回路の一例である。 絶縁紙の温度の履歴を示す図である。 劣化指標と絶縁紙の温度との関係を表す絶縁紙熱特性である。 日射など環境データを用いずに計算したガスケットの温度と、実測のガスケットの温度とを比較した図である。 日射による熱流を用い、計算したガスケットの温度と、実測のガスケットの温度とを比較したものである。 気象台から得た日射の熱流を用いて得られたガスケットの温度を示す図である。 気象台から得た風速を用いて得られたガスケットの温度を示す図である。 風速及び日射を考慮して、又は考慮しないで計算したガスケットの温度の計算値と実測値の比較を示す図である。 風速及び日射を考慮して計算したガスケットの温度の計算値と実測値の比較を示す図である。
本発明の実施形態に係る柱上変圧器の寿命評価方法について説明する。図1は柱上変圧器の寿命を評価するためのシステム構成を示す図である。寿命の評価対象となる柱上変圧器1は、高圧線から分岐されたリード線3がブッシング4を介してタンク6の内部に導かれている。また、ブッシング4にはガスケット5が設けられており、ガスケット5によって漏油が防止されている。タンク6の内部には、巻線や鉄心、巻線を被覆する絶縁紙9などを備えた変圧器本体が格納されている。変圧器本体の二次側から各需要家10に電線7が配線されている。このような柱上変圧器1は公知のものであるので、その他の詳細な構成についての説明は省略する。
需要家10には、スマートメーター2が設置されている。スマートメーター2は電力量測定機能と通信手段を備えた装置である。電力測定機能は、電線7を介して供給される電力量を収集できる機能であり、例えば30分に1回の頻度で電力量を収集する。収集した電力量はスマートメーター情報として通信手段の一例である専用回線により寿命評価装置11に送信される。後述する寿命評価装置11は、評価対象とする1台の柱上変圧器1に接続している各需要家10のスマートメーター2の電力量を合算する。これにより、評価対象の柱上変圧器1を通過する電力量、及びこの電力量から柱上変圧器を通過する電流を把握することができる。
気象台の観測データは、温度、日射の状況、風速などに関するデータである。気象庁はこれらのデータをホームページで公開している。これらの気温、日射の状況、風速のデータをまとめて環境データと称する。環境データは、気象庁が提供するものに限らず、様々な機関が提供するものを利用できる。以後、環境データを提供する機関を気象台等と称する。
寿命評価装置11は、一般的なコンピュータであり、気象台等から得た環境データ、及びスマートメーター2から得た電流を元に、柱上変圧器1の絶縁紙の劣化を推定するための計算を実行する。
図2-図5を用いて、寿命評価装置11での処理について説明する。まず、図2に示すように、寿命評価装置11は、スマートメーター2から柱上変圧器1の電流を取得する(ステップS1)。評価対象とする1台の柱上変圧器1について、複数のスマートメーター2が接続されているので、各スマートメーター2から得た電流を合計し、この合計値を評価対象の柱上変圧器1を通過する電流とする。スマートメーター2では30分に一回の頻度で電流が測定されるから、30分ごとに柱上変圧器1を通過する電流が得られることになる。
また、寿命評価装置11は、気象台等から気温、日射、及び風速に関する環境データを取得する(ステップS2)。環境データを取得する頻度は、特に限定はないが、スマートメーター2の電流を取得するタイミングに合わせることが好ましい。
次に、電流及び環境データを入力データとして巻線温度を計算する(ステップS3)。具体的には、電流及び環境データ、並びに柱上変圧器1に関する定数を入力値とし、タンク6、タンク6内の油温、ガスケット5の温度(以下、ガスケット温度と称する)を出力とする熱等価回路を計算する。図3に熱等価回路の一例を示す。
[定数値]
巻線(同図のT1)、タンクの油温(同図のT2)、ガスケット(同図のT3)、気温(同図のT0)とが直列に接続されており、それぞれの間に挟まれた熱抵抗をR1、R2、R3とし、それらの熱容量をC1、C2、C3とする。これらの定数は、柱上変圧器1の温度上昇試験や柱上変圧器の仕様等から算定する。
[入力値]
iは、柱上変圧器1の巻線に流れる電流により発生した熱流[W]である。この熱は、スマートメーター2から取得した電流から求めることができる。isは、日射による熱流である。T0は、柱上変圧器1の周囲の温度(気温)である。日射による熱流及び柱上変圧器1の周囲の温度は、気象台等から環境データとして得られたものが用いられる。
[出力値]
T1は柱上変圧器1の巻線最高温度を表している。T2はタンク6内の油温(上部と下部との平均温度)を表している。T3は、ブッシングのガスケット温度である。
[風、雨の影響の補正]
風、雨は、熱等価回路においては、ガスケットと周囲の温度の間の熱抵抗R3に影響を及ぼすと考えられる。具体的には、気象台から得た風速が強いほど熱抵抗が小さくなるようにR3を補正する。この補正後の熱抵抗を表面放散熱抵抗R3’とする。また、雨の影響をどの程度考慮するかを表す雨係数αを0から1の範囲で設定する。雨の影響を全く考慮しない場合、雨係数αを1に設定する。雨の影響を考慮する場合、その程度に応じて0より大きく1未満で設定する。表面放散熱抵抗R3’に雨係数αを乗じた抵抗値を用いることで、雨が影響するほど熱抵抗R3が小さくなる。
以上の熱等価回路を元に温度を得る計算については公知であるので詳細な説明は省略する。この結果、T1、すなわち巻線温度を得ることができる。巻線温度は絶縁紙の温度と同一と考えられる。図4に示すように、スマートメーター2から電流を、気象台等から環境データを得るたびに巻線温度の温度を計算することで、巻線温度の温度履歴を得ることができる。
次に、上述のようにして得られた巻線温度から柱上変圧器1の寿命評価を行う(図2ステップS4)。寿命評価を行うために絶縁紙の劣化指標を用いる。劣化指標とは、絶縁紙の劣化の程度を表わす指標であり、一例として、絶縁紙を構成する素材の平均重合度を用いる。
図5(a)に、劣化指標と巻線温度との関係を表す巻線熱特性を示す。巻線熱特性の横軸は、巻線温度を表し、縦軸は、劣化指標(平均重合度)の減少量を表している。同図は巻線温度によって絶縁紙の平均重合度が減少する量を示す。
巻線温度は、熱等価回路を元に計算されたものであるが、前回と今回の計算の間における温度を表しているとみなす。この例では、30分に一回の頻度で巻線温度を計算するので、巻線は30分間に亘って計算により得られた巻線温度であったとみなすことになる。
例えば、巻線温度が30分間に亘って60℃であれば、平均重合度の減少量は、0.01%である。したがって、絶縁紙9の平均重合度からその値「0.01」を減じる。以後、巻線温度を計算するたびに、巻線温度に対応する減少量を巻線熱特性から取得し、平均重合度から減少量を減じる。減少量が符号付である場合(例えば-0.01%などの場合)は平均重合度に減少量を加算する。この結果、図5(b)に示すように、劣化指標が経時的に減少していく。
なお、このような巻線熱特性は実測やシミュレーションなどにより予め用意しておく。また、巻線熱特性は図5(a)のような一種類のみ用いる場合に限定されない。例えば、巻線(絶縁紙)を使い始めてからの累積時間ごとに異なる巻線熱特性を用意してもよい。そして、実際の巻線の累積時間に応じて、それらの複数の巻線熱特性を切り替えて使用してもよい。同じ巻線温度であっても、巻線の累積時間によっては劣化指標の減少量が異なる場合がある。累積時間に応じた複数の巻線熱特性を切り替えて使用することで、より正確に劣化指標の減少量を得ることができる。
平均重合度は、初期値から劣化により減少する。このような平均重合度に対して閾値を設ける(図5(b)の符号thを参照)。閾値は、絶縁紙の交換目安となるような値とする。劣化指標とこのように設定した閾値に基づいて絶縁紙9の寿命を推定する。その推定方法の一つは、平均重合度が閾値以下となったら、絶縁紙は交換すべきものであると評価することである。他の推定方法としては、平均重合度が閾値より高い場合、図5の熱特性から、今後の負荷および環境要因を想定し、あとどれくらいの期間で平均重合度が閾値に達するか推定する。そして絶縁紙の劣化は、柱上変圧器1の寿命に影響する要因である。よって、絶縁紙の劣化を推定することで柱上変圧器1の寿命を評価することができる。
上述した寿命評価方法によって計算した巻線温度(絶縁紙の温度)と実測値の乖離について検証する。上記熱等価回路を用いて計算した場合に、各時間ごとに巻線温度とともにガスケット温度も得ることができる。具体的には、図6から図11に示すように、上記熱等価回路を用いて計算して得たガスケット温度と、実測のガスケット温度とを比較する。各時間ごとに上記熱等価回路を用いて得られたガスケット温度において、計算と実測の温度の乖離が少なければ、同時刻の計算によって得られる巻線温度は、実測の巻線温度とも乖離が少ないと考えられる。換言すれば、熱等価回路におけるガスケット温度などの温度の乖離が大きければ、推定すべき巻線温度も乖離が大きいと考えられる。
なお、図6-図10に示す実線や点線等に付された色については、物件提出書に添付して提出した図6-図10に相当するカラーの図面を参照されたい。また、図6-図8では実測値がゼロである箇所がいくつか存在するが、これはガスケット温度の実測値がゼロであることを意味するのではなく、実測値が欠落していることを表わしている。
図6は、日射など環境データを用いずに計算したガスケット温度(計算値;青線)と、実測のガスケット温度(実測値;黒線)とを比較したものである。計算値は、実測値に対して増減傾向については追随しているが、特に晴れのときの温度に乖離が見られる。
図7は、気象台等から得た日射による熱流を用い、風の影響を考慮にいれ、雨が降っていない日について計算したガスケット温度(計算値;青線)と、実測のガスケット温度(実測値;黒線)とを比較したものである。つまり、表面放散熱抵抗R3’を用い、雨係数αは1である。この場合、計算値は、実測値に対して晴れのときについても非常によく近似していることが示されている。
表1は、風速の影響を考慮して絶縁紙の温度を計算し、その絶縁紙の温度から得た10年間の平均重合度を示すものである。実風速は、気象台等から得た風速である。0.5m/s、1.0m/s、4.0m/sは、気象台等得たものではなく、絶縁紙の温度の計算に用いる風速として適宜割り当てた数値である。
Figure 0007157268000002
実風速を考慮して得られた平均重合度は、最も確からしいものと考えられる。それに対して、0.5m/s、1.0m/s、4.0m/sの風速を用いた場合の平均重合度は、実風速の場合の平均重合度よりも乖離していることが分かる。なお、上述したように気象台等から得た風速をそのまま用いる他に、気象台等から得た風速から所定期間における平均風速を求め、その平均風速を用いてもよい。
表2は、雨係数αを1、0.4に設定して絶縁紙の温度を計算し、その絶縁紙の温度から得た平均重合度を示すものである。大きな差ではないが雨の影響が平均重合度に影響していると言える。
Figure 0007157268000003
上述した例では、気象台等から得た日射による熱流を用いたが、柱上変圧器1の設置場所で得られた環境データを用いた場合との比較を図8に示す。
同図には、ガスケット温度の実測値(青線)、計算値1(緑)、計算値2(ピンク)、計算値3(黒)が示されている。計算値1は、柱上変圧器1の設置場所において測定した日射の熱流を用いて計算したガスケット温度である。計算値2は、気象台等から柱上変圧器1の周辺の日射の熱流を得て、それを用いて計算したガスケット温度である。計算値3は、日射の熱流を用いずに計算したガスケット温度である。
計算値1が最も実測値に近い。そして計算値2が計算値3よりも実測値に近い。したがって、計算値2のように気象台の日射の熱流に関する環境データを用いた場合であっても、計算値3のように環境データを用いない場合と比較して実測値に近い値を得ることができる。
次に、図9に、風速に関して気象台等から得た場合と、柱上変圧器1の設置場所で得た場合との比較を示す。
同図には、ガスケット温度の実測値(緑)、計算値1(青)、計算値2(黒)が示されている。計算値1は、柱上変圧器1の設置場所で風速を測定し、それを用いて計算したガスケット温度である。計算値2は、気象台等から柱上変圧器1の周辺の風速を得て、それを用いて計算したガスケット温度である。
計算値1が最も実測値に近い。そして計算値2は、計算値1ほどではないが実測値に近い。したがって、計算値2のように気象台等の風速に関する環境データを用いた場合であっても、環境データを用いないで計算したガスケット温度よりも実測値に近い値を得られると考えられる。
次に、図10及び図11に、風速及び日射に対する影響を検討するために、風速、日射を考慮する場合と考慮しなかった場合におけるガスケット温度の比較した結果を示す。
図10のガスケット温度の実測値(黒)、計算値1(ピンク)、計算値2(青)、計算値3(緑)が示されている。計算値1は、風速を考慮せず、日射を考慮して計算したガスケット温度である。計算値2は、風速を考慮し、日射を考慮せずに計算したガスケット温度である。計算値3は、風速及び日射ともに考慮せずに計算したガスケット温度である。計算値1(風速未考慮、日射考慮)は、実測値に対して、温度が高くなるとともに日間温度変動において降温にかかる時間が長くなる結果となった。計算値2(風速考慮、日射未考慮)は、実測値に対して温度が低くなる結果となった。計算値3(風速、日射ともに未考慮)は、実測値に対して温度と日間温度変動の時間、降温にかかる時間がずれる結果となった。
図11に示すように、風速及び日射を考慮した計算値は、実測値との乖離が最も小さい。このような図10及び図11に示した結果から、実測値の温度と計算値の温度との乖離を少なくするためには、風速及び日射を考慮する必要がある。
上述した図6-図11の検証結果によれば、ガスケット温度の計算値は、ガスケット温度の実測値と乖離が少ないものであった。したがって、巻線温度(絶縁紙の温度)の計算値についても実測値と乖離が少ないと推定することができ、実測値に対する巻線温度の計算値は精度が担保されていると考えられる。
また、評価対象の柱上変圧器1に対して、通常、温度、日射の状況、風速などの環境データは実測されていない。一方、本発明は、上述したように気象台等から得た環境データを活用することで、ガスケット温度の推定精度があがる(図7の計算値、図8の計算値2、図9の計算値2、図10の計算値1及び計算値2、図11の計算値を参照されたい)。さらに、ガスケット温度の推定精度が上がれば、同じ熱等価回路を用いているので巻線温度の推定精度も上がる。
以上に説明した柱上変圧器の寿命評価方法によれば、気象台等から得た環境データに基づいて巻線温度を計算し、この巻線温度に基づいて絶縁紙の劣化指標(例えば平均重合度)を推定し、劣化指標に基づく柱上変圧器1の寿命を評価することができる。巻線温度の計算においては、柱上変圧器1の周辺における環境データを用いている。これにより、風速、日射、温度などの影響を考慮しない場合と比較して、実際の巻線温度を精度良く推定することができる。そして、熱等価回路では巻線温度だけでなく、柱上変圧器の油温やガスケットの温度も同時に算出するようになっている。したがって、単に電流から巻線温度を計算する場合と比較して、より精度よく巻線温度を計算することができる。この結果、絶縁紙の劣化指標をより確実に推定し、柱上変圧器1の寿命をより精度良く評価することができる。
具体的な柱上変圧器1の寿命評価方法としては、計算した巻線温度と、図5(a)に示した巻線熱特性から劣化指標の減少量を求め、図5(b)に示した劣化指標の経時変化を計算する。このような劣化指標と閾値とに基づいて巻線を被覆する絶縁紙9の劣化状況が判断でき、柱上変圧器1の寿命を評価することができる。
累積時間に応じた複数の巻線熱特性を切り替えて使用することで、より正確に劣化指標の減少量を得ることができ、この結果、より精度良く絶縁紙の劣化指標を得ることができる。
また、柱上変圧器の寿命評価方法は、環境データを柱上変圧器1の設置場所で取得しなくても、気象台等の環境データを用いて精度良く巻線温度を計算することができる。また、環境データを取得するための各種装置を柱上変圧器1の設置場所に配置しなくてよいので、それらに要するコストを発生させずにすむ。
また、熱等価回路に環境データとして気温、日射による熱流、風速を入力する。これにより、より精度良く絶縁紙の温度を計算することができる。
また、熱等価回路に与える風速として平均風速を用いる。これにより、瞬間的な突風の影響を低減することができる。
また、熱等価回路に雨係数を用いる。これにより、雨の影響を考慮して巻線温度をより精度良く計算することができる。
また、上述した説明では、気象台等から環境データを取得する場合について説明したがこのような構成に限定されない。環境データは、柱上変圧器1を含む範囲として設置場所付近に設けたセンサー等によって得てもよい。さらに、風速、温度、日射などの環境データを得ることができるセンサー等を有するスマートメーターが実現されれば、そのようなスマートメーターから環境データを取得してもよい。
スマートメーター2により30分に一回の頻度で電流が測定される場合について説明したが、本発明はそのような頻度に限定されない。本発明は任意の頻度で電流を測定可能なスマートメーターを利用することができる。
絶縁紙の劣化指標として平均重合度を用いたがこれに限定されない。例えば、絶縁紙から得られる分解生成物の濃度を絶縁紙の劣化指標として用いてもよい。当該濃度は、高いほど絶縁紙が劣化していることを表わす指標となる。また、絶縁紙が劣化するほど増大する劣化指標を用いる場合は、図5を「増加量」と読み替えればよい。そして、平均重合度を用いた場合と同様にして劣化指標と閾値に基づいて絶縁紙の劣化を推定すればよい。
柱上変圧器を保守する産業分野などで利用することができる。
1…柱上変圧器、2…スマートメーター、3…リード線、4…ブッシング、5…ガスケット、6…タンク、7…電線、9…絶縁紙、10…需要家、11…寿命評価装置

Claims (6)

  1. 柱上変圧器を通過する電流を測定可能なスマートメーターから前記電流を計算し、
    前記柱上変圧器の周囲の環境データを取得し、
    前記電流、及び前記環境データを入力データとし、前記柱上変圧器に備わるタンク内の油温、ガスケットの温度(以下、ガスケット温度)、及び巻線の温度(以下、巻線温度)を出力する熱等価回路を用いて前記巻線温度を計算し、
    前記巻線温度と、前記巻線を被覆する絶縁紙の劣化指標との関係を表す巻線熱特性に基づいて前記劣化指標を推定することにより前記柱上変圧器の寿命を推定し、
    前記環境データは、前記柱上変圧器を含む範囲を対象として気象台により測定されたものであり、
    前記熱等価回路は、
    前記柱上変圧器の前記巻線、前記柱上変圧器のタンクの油温、前記ガスケット温度、気温とがそれぞれ熱抵抗を挟んで直列に接続され、
    前記気温には、前記環境データとして得られた気温を入力し、
    さらに、前記熱等価回路は、前記ガスケット温度に、前記環境データとして日射による熱流が入力される
    ことを特徴とする柱上変圧器の寿命評価方法。
  2. 柱上変圧器を通過する電流を測定可能なスマートメーターから前記電流を計算し、
    前記柱上変圧器の周囲の環境データを取得し、
    前記電流、及び前記環境データを入力データとし、前記柱上変圧器に備わるタンク内の油温、ガスケットの温度(以下、ガスケット温度)、及び巻線の温度(以下、巻線温度)を出力する熱等価回路を用いて前記巻線温度を計算し、
    前記巻線温度と、前記巻線を被覆する絶縁紙の劣化指標との関係を表す巻線熱特性に基づいて前記劣化指標を推定することにより前記柱上変圧器の寿命を推定し、
    前記環境データは、前記柱上変圧器を含む範囲を対象として気象台により測定されたものであり、
    前記熱等価回路は、
    前記柱上変圧器の前記巻線、前記柱上変圧器のタンクの油温、前記ガスケット温度、気温とがそれぞれ熱抵抗を挟んで直列に接続され、
    前記気温には、前記環境データとして得られた気温を入力し、
    前記熱等価回路の前記巻線と前記気温との間の前記熱抵抗を、前記環境データとしての風速が強いほど小さくなるよう補正する
    ことを特徴とする柱上変圧器の寿命評価方法。
  3. 請求項に記載の柱上変圧器の寿命評価方法であって、
    前記環境データとしての風速から所定期間における平均風速を計算し、前記平均風速が強いほど小さくなるよう前記熱抵抗を補正する
    ことを特徴とする柱上変圧器の寿命評価方法。
  4. 柱上変圧器を通過する電流を測定可能なスマートメーターから前記電流を計算し、
    前記柱上変圧器の周囲の環境データを取得し、
    前記電流、及び前記環境データを入力データとし、前記柱上変圧器に備わるタンク内の油温、ガスケットの温度(以下、ガスケット温度)、及び巻線の温度(以下、巻線温度)を出力する熱等価回路を用いて前記巻線温度を計算し、
    前記巻線温度と、前記巻線を被覆する絶縁紙の劣化指標との関係を表す巻線熱特性に基づいて前記劣化指標を推定することにより前記柱上変圧器の寿命を推定し、
    前記環境データは、前記柱上変圧器を含む範囲を対象として気象台により測定されたものであり、
    前記熱等価回路は、
    前記柱上変圧器の前記巻線、前記柱上変圧器のタンクの油温、前記ガスケット温度、気温とがそれぞれ熱抵抗を挟んで直列に接続され、
    前記気温には、前記環境データとして得られた気温を入力し、
    雨の影響を考慮しない場合を1とし、雨の影響を考慮する程度に応じて0より大きく1未満の値を雨係数として設定し、
    前記熱等価回路の前記巻線と前記気温との間の前記熱抵抗に、前記雨係数を乗じる
    ことを特徴とする柱上変圧器の寿命評価方法。
  5. 請求項1から請求項4の何れか一項に記載の柱上変圧器の寿命評価方法であって、
    前記巻線熱特性は、前記巻線温度と、前記劣化指標の増加量又は減少量との関係を表し、
    前記巻線温度を計算するごとに、前記巻線温度に対応する前記増加量又は前記減少量を前記巻線熱特性から取得し、前記増加量又は前記減少量を前記劣化指標に加算し、
    前記劣化指標に対して、前記巻線を被覆する絶縁紙の交換を要することを表す閾値を設定し、
    前記劣化指標と前記閾値とに基づいて前記柱上変圧器の寿命を推定する
    ことを特徴とする柱上変圧器の寿命評価方法。
  6. 請求項に記載の柱上変圧器の寿命評価方法であって、
    前記巻線を使い始めてからの累積時間ごとに異なる前記巻線熱特性を用意し、
    前記累積時間に応じた前記巻線熱特性から前記増加量又は前記減少量を取得する
    ことを特徴とする柱上変圧器の寿命評価方法。
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