JP7156553B2 - 質量分析装置 - Google Patents

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Description

本発明は質量分析装置に関し、さらに詳しくは、多段差動排気系の構成を有する質量分析装置に関する。
エレクトロスプレーイオン化(ElectroSpray Ionization=ESI)法や大気圧化学イオン化(Atmospheric Pressure Chemical Ionization=APCI)法などの大気圧イオン化法によるイオン源を搭載した質量分析装置では、四重極マスフィルター等の質量分離器が配置された高真空室内の真空度を高く保つために、多段差動排気系の構成が採用されている。多段差動排気系の質量分析装置では、イオン源で生成された試料成分由来のイオンは1又は複数の中間真空室を経て高真空室まで輸送される。そのイオンの輸送経路には、電場の作用によりイオンを収束させたり、イオンを捕捉しつつ輸送したり、場合によってはイオンを加速したりするためのイオン光学素子が配置される。ここでいうイオン光学素子は、イオンガイド、イオンレンズ、スキマー(スキマーコーン)、デフレクターなどを含む。
こうした質量分析装置では、分析時に、試料由来の中性粒子やイオンなどがイオン光学素子に付着する。装置の使用時間が長くなると、それらイオン光学素子の汚染のために、検出感度や質量精度が低下する等の性能の低下が生じるおそれがある。そのため、ユーザー(作業者)又はサービス担当者が、イオン光学素子を装置本体から取り出してそれらを洗浄する、等のメンテナンス作業が、定期的に又は非定期的に実施される。従来の一般的な質量分析装置では例えば、こうしたメンテナンス作業が容易に行えるように、真空チャンバーの上部に開閉可能な蓋が設けられ、蓋を開けた状態でイオン光学素子を上方向に取り外したり上方向から装着したりすることが可能な構造が採られている(特許文献1等参照)。
ところで、上述したような質量分析装置を液体クロマトグラフ(LC)の検出器として用いた液体クロマトグラフ質量分析(LC-MS)システムは、一般に、検出器ユニットのほかに、移動相を送給するポンプなどを含む送液ユニット、送給された移動相中に試料を注入するインジェクションユニット、カラムを内装するカラムオーブンユニットなどの複数のユニットから構成される。一般的な四重極型質量分析装置は、検出器ユニット以外の上述したようなユニットに比べてかなりサイズが大きい。そのため、四重極型質量分析装置である検出器ユニットは、それ以外のユニットとは別に設置されており、その結果、LC-MSシステムは比較的大きな設置スペースを必要とする。
LC-MSシステムの使用分野が広がるのに伴って、システムの設置スペースの縮小化が強く求められるようになってきており、近年、従来の一般的な四重極型質量分析装置に比べてかなり小形化された装置が開発されている。例えば非特許文献1に開示されているLC-MSシステムでは、質量分析装置である検出器ユニットが他のユニットと同程度のサイズに抑えられており、検出器ユニットを含めてユニットを積み重ねたシステム構成が可能となっている。
国際公開第2019/155543号 特開2015-50085号公報
「ACQUITY QDa検出器-質量分析(MS)検出器」、[online]、日本ウォーターズ株式会社、[2019年10月29日検索]、インターネット<URL: http://www.waters.com/waters/ja_JP/ACQUITY-QDa-Mass-Detector-for-Chromatographic-Analysis/nav.htm?locale=ja_JP&cid=134761404>
しかしながら、上記従来の質量分析装置では次のような問題がある。
多段差動排気系の構成を有する質量分析装置では、イオン化室と高真空室との間に複数の中間真空室が配置され、各中間真空室内にイオンガイドやイオンレンズ等のイオン光学素子が配置されるほか、各室を隔てる隔壁にもスキマーコーン、レンズ電極等のイオン光学素子が配置される。イオン光学素子をメンテナンスする際には、そうしたイオン光学素子を一つ一つ装置から取り外したり装置に取り付けたりする必要があり、その作業はかなり面倒で手間が掛かる。
また、質量分析装置である検出器ユニットは、ステンレス等から成る真空チャンバーや真空ポンプなどを備えるため、LC-MSシステムを構成する他のユニットに比べて重量が大きい。そのため、複数のユニットを積み重ねる際に、検出器ユニットは最下部に設置されるのが一般的である。そうした構成のLC-MSシステムにおいてイオン光学素子のメンテナンスを行おうとすると、検出器ユニットの上部に載置されている他のユニットを移動させる必要があり、そうして点においても、メンテナンス作業が非常に煩雑で時間が掛かる。
本発明は上記課題の少なくとも一部を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、多段差動排気系の構成を有する質量分析装置において、イオン光学素子のメンテナンスに掛かる手間や時間を軽減することができる質量分析装置を提供することにある。
上記課題を解決するために成された本発明に係る質量分析装置の一態様は、大気圧下で試料成分をイオン化するイオン化室と、該イオン化室で生成されたイオンを質量分析する高真空室との間に、段階的に真空度が高くなる複数の中間真空室を有する質量分析装置であって、
前記イオン化室の次段の第1中間真空室内に配設され、電場を利用してイオンを輸送する第1イオンガイドと、
前記第1中間真空室とその次段の第2中間真空室とを隔てる隔壁の少なくとも一部を構成するものであり、イオン通過孔を有する第1隔壁部と、
前記第2中間真空室内に配設され、電場を利用してイオンを輸送する第2イオンガイドと、
前記第2中間真空室とその次段の真空室とを隔てる隔壁の少なくとも一部を構成するものであり、イオン通過孔を有する第2隔壁部と、
前記第1イオンガイドと前記第1隔壁部とを一体に保持する第1保持部と、
前記第2イオンガイドを保持する第2保持部と、
前記第1保持部と前記第2保持部とを着脱自在に連結する連結部と、
前記第1イオンガイド及び前記第1隔壁部を保持した状態の前記第1保持部と前記第2イオンガイドを保持した状態の前記第2保持部とが前記連結部で連結されてなるイオン輸送ユニットが、着脱自在に装着される真空チャンバー本体部と、
を備えるものである。
上記第1イオンガイド及び上記第2イオンガイドは、高周波電場、直流電場、又はそれらの両方を含む電場の作用によってイオンを後段へ輸送するものであれば、その形態を問わない。具体的には例えば、イオン光軸の周りに配置された複数のロッド電極や平板状電極を含むもの、イオン光軸の延伸方向に並べられた複数の平板状電極を含むもの、などとすることができる。また、第1隔壁部及び第2隔壁部は、典型的には、頂部に小径のイオン通過孔を有するスキマーコーンや、中央に小径のイオン通過孔を有する円盤状のレンズ電極などとすることができる。
本発明の上記態様による質量分析装置では、第1中間真空室に導入されたイオンを輸送するための第1イオンガイドから、第2中間真空室に導入されたイオンを輸送するための第2イオンガイドまでの複数のイオン光学素子が、イオン輸送ユニットとして実質的に一体化されている。そして、このイオン輸送ユニットが真空チャンバー本体部に取り付けられることで、各中間真空室が形成されるとともに、各中間真空室内の適切な位置に第1及び第2イオンガイドがそれぞれ配置される。
したがって、本発明の上記態様による質量分析装置によれば、中間真空室内に配設されている各種のイオン光学素子を洗浄する等のメンテナンスを実施する際に、各イオン光学素子を一つずつ装置から取り外すのではなく、ユニットとして一体に装置から取り外すことができる。また、メンテナンス終了後に各イオン光学素子を装置に取り付ける際にも、複数のイオン光学素子をユニットとして一体に装置に装着することができる。これにより、イオン光学素子のメンテナンスを行う際の作業が非常に簡便になり、作業の効率化を図ることができる。また、第1イオンガイド及び第1隔壁部を保持する第1保持部と、第2イオンガイドを保持する第2保持部とを容易に分離することができるので、それらを含むユニットを装置から取り外したあとに各イオン光学素子を洗浄する作業も簡便であり、その作業効率の向上が図れる。
本発明に係る質量分析装置の一実施形態の外観斜視図。 本実施形態の質量分析装置の概略断面構成図。 本実施形態の質量分析装置においてイオン輸送ユニットを真空チャンバーに取り付けた状態を示す概略断面図。 本実施形態の質量分析装置においてイオン輸送ユニットを真空チャンバーに着脱する際の状態を示す概略断面図。 本実施形態の質量分析装置において第1中間真空室内に配置される第1ユニットの外観斜視図。 本実施形態の質量分析装置において第2中間真空室内に配置される第2ユニットの外観斜視図。 本実施形態の質量分析装置において真空チャンバーに設けられる電気配線部の概略断面図。 本実施形態の質量分析装置においてイオン輸送ユニットを真空チャンバーに取り付けた状態での電気配線部の概略断面図。
本発明の一実施形態である質量分析装置について、添付図面を参照して説明する。
この質量分析装置は、ESIイオン源を搭載したシングルタイプの四重極型質量分析装置である。
[本実施形態の質量分析装置の全体構成]
図1は、本実施形態の質量分析装置の外観斜視図である。
図2は、本実施形態の質量分析装置の要部の概略断面構成図である。
なお、説明の便宜上、図1中に示すように、互いに直交するX軸、Y軸、Z軸の3軸を空間内に定めている。Z軸方向は装置の高さ方向であり、Y軸方向は装置の奥行方向であり、X軸方向は装置の幅方向である。
図1に示すように、本実施形態の質量分析装置はその外形が略矩形状であり、イオン化室が内部に形成されるイオン化チャンバー20が前方に、つまり作業者側に突出している。イオン化チャンバー20の後方には、奥行き方向に細長い形状の真空チャンバー1が配置されている。また、真空チャンバー1の下方には、真空チャンバー1内を真空排気するための真空ポンプユニット50が配置され、真空チャンバー1の上方と左方には、様々な電気回路が収容されている回路ユニット60が配置されている。
図2に示すように、真空チャンバー1は、前方が開口した真空チャンバー本体部10と、該開口を閉塞する真空フランジ10aと、から成る。真空チャンバー1の内部は奥行き方向(Y軸方向)に、第1中間真空室11、第2中間真空室12、及び高真空室13の三室に区画されている。また、真空チャンバー1の前方には、内部にイオン化室22を画成するイオン化チャンバー20、及び、脱溶媒管(Desolvation Line)24が取り付けられたDLフランジ21、が設けられている。第1中間真空室11、第2中間真空室12、及び高真空室13の三室は、それぞれ上記真空ポンプユニット50内の又は本装置の外側に設置された真空ポンプにより真空排気され、第1中間真空室11、第2中間真空室12、高真空室13と段階的にその真空度は高くなる。一方、イオン化室22は外部に連通しており、その内部は略大気圧である。一例として、第1中間真空室11内の真空度は約300Pa、第2中間真空室12内の真空度は約3Pa、高真空室13内の真空度は約6.0×10-3Paと、段階的にその真空度は高くなる。
イオン化室22には液体試料を帯電させつつ噴霧するイオン化プローブ23が設けられ、イオン化室22と第1中間真空室11との間は細径の脱溶媒管24を通して連通している。脱溶媒管24の周囲にはヒーター25が設けられ、このヒーター25によって脱溶媒管24は所定温度に加熱される。
第1中間真空室11の内部には第1イオンガイド14が配置され、第1中間真空室11と第2中間真空室12とはスキマー(スキマーコーン)15の頂部に形成された小孔を通して連通している。第2中間真空室12の内部には第2イオンガイド16が配置され、第2中間真空室12と高真空室13とはレンズ電極17の中心に形成された小孔を通して連通している。高真空室13の内部には、プリロッド電極とメインロッド電極とを含む四重極マスフィルター18と、イオン検出器19と、が配置されている。
図2に示すように、脱溶媒管24、第1イオンガイド14、スキマー15、第2イオンガイド16、レンズ電極17、四重極マスフィルター18、及びイオン検出器19は、概ね直線状のイオン光軸Cに沿って配置されている。
[本実施形態の質量分析装置の分析動作]
本実施形態の質量分析装置における分析動作を簡単に説明する。
イオン化プローブ23には、図示しない液体クロマトグラフ(LC)のカラムで分離された成分を含む溶出液が供給される。イオン化プローブ23の先端には直流高電圧が印加され、その電圧により形成される電場によって、溶出液は片寄った電荷を付与されつつ略大気圧であるイオン化室22内に噴霧される。噴霧された帯電液滴中の溶媒が気化する過程で、試料成分はイオン化される。なお、ESI法以外のAPCI法、APPI(Atomospheric Pressure PhotoIonization) 法等のイオン化法により試料成分をイオン化してもよい。
イオン化室22内で生成された試料成分由来のイオンは、脱溶媒管24の両端の圧力差によって生じるガス流に乗って、イオン導入口24aから脱溶媒管24中に吸い込まれる。また、溶媒が十分に気化していない帯電液滴も脱溶媒管24中に吸い込まれるが、その場合でも、高温になっている脱溶媒管24中で脱溶媒が進行しイオン化が促進される。
こうして脱溶媒管24を通して第1中間真空室11内へと送られたイオンは、第1イオンガイド14に印加されている高周波電場によって、スキマー15の頂部に形成されているオリフィス15a付近に収束される。そしてオリフィス15aを通り抜けて第2中間真空室12内へと入る。試料成分由来のイオンは、第2中間真空室12内において第2イオンガイド16に印加されている高周波電場によって捕捉されつつ輸送され、所定の直流電圧が印加されているレンズ電極17により収束されてその中心の小孔17aを経て高真空室13に導入される。そのあと、四重極マスフィルター18のロッド電極に印加されている電圧(直流電圧と高周波電圧とを合成した電圧)に対応する特定の質量電荷比を有するイオンのみが四重極マスフィルター18を通り抜け、それ以外のイオンは途中で発散する。イオン検出器19は、四重極マスフィルター18を通り抜けて入射して来たイオンを検出し、そのイオンの量に応じた検出信号を出力する。
このようにして本実施形態の質量分析装置では、作業者から見て最も手前側に位置するイオン化室22において生成された試料成分由来のイオンが、その後方にある真空チャンバー1内に導入され、全体として前方側から後方側へと向かって送られる。高真空室13まで送られたイオンは、四重極マスフィルター18で質量電荷比に応じて分離されたあと、最終段のイオン検出器19により検出される。
[中間真空室内に配置されるイオン光学素子の詳細な構成]
上述したような分析時に、第1中間真空室11内には未だ溶媒が完全には気化していない液滴が飛び込む。また、イオン化していない試料成分分子やイオンが再結合して生じた試料成分分子或いは溶媒分子などの中性粒子も、第1中間真空室11及び第2中間真空室12内に入り込む。こうした液滴や中性粒子、或いはイオンなどがイオンガイド14、16等に付着して汚れると、生成される電場に乱れが生じ、イオンの挙動が不安定になったり理想的でなくなったりする。これを回避するには、イオンガイド14、16などを装置から取り出して洗浄する必要があり、本実施形態の質量分析装置では、以下に述べるように、イオンガイド14、16などのイオン光学素子を装置から取り出し易い構造が採られている。
図1に示すように、前方に突出したイオン化チャンバー20は、垂直方向(Z軸方向)に延伸する図示しないヒンジを中心に手前右方に開放可能である。これは例えば、特許文献2に記載のような構造とすることができる。イオン化チャンバー20を開放した状態では、その内部に配置されているDLフランジ21を手前側に取り外すことが可能である。脱溶媒管24やヒーター25はDLフランジ21に固定されており、これらもDLフランジ21と同時に前方に取り外すことができる。
DLフランジ21を取り外すと、その内側には、真空チャンバー1の前壁を形成する真空フランジ10aの前面が露出する。真空フランジ10aは真空チャンバー本体部10に対し前方からネジで固定されており、ネジを弛めると、真空フランジ10aを前方に取り外すことができる。さらに、真空フランジ10aを取り外すことで形成された真空チャンバー本体部10の前面開口を通して、第1中間真空室11及び第2中間真空室12内のイオン光学素子を含むイオン輸送ユニットを前方に引き出すことで、そのイオン輸送ユニットを取り出すことができる。
図3は、本実施形態の質量分析装置において、イオン輸送ユニットを真空チャンバー1内に取り付けた状態を示す概略断面図である。図4は、本実施形態の質量分析装置において、イオン輸送ユニットを真空チャンバー1に着脱する際の状態を示す概略断面図である。図5は、本実施形態の質量分析装置において、第1中間真空室11内に配置される第1ユニット30の外観斜視図である。図6は、本実施形態の質量分析装置において、第2中間真空室12内に配置される第2ユニット40の外観斜視図である。
イオン輸送ユニットは、図5に示した第1ユニット30と図6に示した第2ユニット40の二つから成り、それらユニット30、40を一体化したものである。
第1ユニット30は、略円環状である第1ホルダー31と、第1ホルダー31に後端が固定されている4本のロッド電極14aと、第1ホルダー31に後端が固定され、その長手方向の一部が弾性体である複数本の弾性ロッド33と、弾性ロッド33の前端が固定されている円環状の押圧リング32と、第1ホルダー31に取り付けられているスキマー板34と、第1ホルダー31に固定されている回路基板36と、を含む。
4本のロッド電極14aは第1イオンガイド14を構成するものである。また、金属から成るスキマー板34には、スキマー15が形成されている。弾性ロッド33の弾性体は典型的にはバネであるが、これに限らない。弾性ロッド33はその長手方向にのみ伸縮するものであり、イオン光軸Cに平行に取り付けられている。
第2ユニット40は、略円環状である第2ホルダー41と、第2ホルダー41に後端が固定されている4本の断面台形状のロッド電極16aと、第2ホルダー41に後端が固定され、その長手方向の一部が弾性体である複数本の弾性ロッド42と、第2ホルダー41に取り付けられている金属から成るレンズ電極17と、第2ホルダー41に一端が固定されている連結金具46と、連結金具46の他端及び弾性ロッド(厳密には、弾性ロッドにおいて弾性による伸縮のない部分)42に固定されている回路基板45と、回路基板45に接続されている電気配線接続部47と、を含む。4本のロッド電極16aは第2イオンガイド16を構成するものである。弾性ロッド42は弾性ロッド33と同様に、その長手方向にのみ伸縮するものであり、イオン光軸Cに平行に取り付けられている。
弾性ロッド42と弾性ロッド33はともに、剛性を有するロッド部と伸縮する弾性部とを有する。後述する理由により、第1ユニット30における弾性ロッド33の弾性部は、第2ユニット40における弾性ロッド42の弾性部に比べて弾性力が大きくなっている。
また、弾性ロッド42の前端部には、弾性ロッド42の長手方向に突出する複数本の円柱状のピン43が設けられている。一方、第1ユニット30の第1ホルダー31の後面(第2中間真空室12側に向く面)には、上記ピン43に対応する位置に該ピン43が挿入されるピン孔31aが設けられている。このピン孔31aの内側には、挿入されたピン43を押さえ付ける板バネが配設されており、この板バネの作用によって、ピン孔31aに挿入されたピン43はピン孔31aから抜けにくくなっている。
即ち、第2ユニット40の各ピン43を第1ユニット30のピン孔31aにそれぞれ十分に挿入することで、第1ユニット30と第2ユニット40とが連結されてイオン輸送ユニットとなる。第1ユニット30と第2ユニット40との連結には、ネジなどの、着脱に際して別の工具が必要である部材は使用されておらず、単にピン43とピン孔31aとの嵌合によって第1ユニット30と第2ユニット40とは連結されている。したがって、第1ユニット30と第2ユニット40とは比較的容易に分離可能である。
真空チャンバー1内にイオン輸送ユニットを取り付ける際に、作業者は、図4に示すように、真空フランジ10aを取り外した状態で、装置の前方から水平に、第2ユニット40側からイオン輸送ユニットを真空チャンバー本体部10内に挿入してゆく。この例では、第2ユニット40において中心軸を中心として最も大きな径の部材は第2ホルダー41であり、その第2ホルダー41の外径は、真空チャンバー1の内部で第1中間真空室11と第2中間真空室12を隔てる隔壁の一部であり、その略中央に円形状の開口部10cを有する第1隔壁部10bのその開口部10cの内径よりも小さい。そのため、第2ユニット40は、第1隔壁部10bに接触することなく開口部10c中に挿入され得る。
上述したように、そのままイオン輸送ユニットを真空チャンバー本体部10内に挿入してゆくと、第2ユニット40の第2ホルダー41は、真空チャンバー1の内部で第2中間真空室12と高真空室13を隔てる隔壁の一部となり、その略中央に円形状の開口部10eを有する第2隔壁部10dに当接する。より詳しくは、第2ホルダー41にはOリング等のシール部材44が設けられており、シール部材44が第2ホルダー41と第2隔壁部10dとの間に挟まれ、第2ホルダー41が押されるとシール部材44が潰れて第2ホルダー41と第2隔壁部10dとの隙間が密封される。
第2ホルダー41が第2隔壁部10dに当接した時点では、第1ホルダー31はまだ第1隔壁部10bに当接していないが、作業者がさらにイオン輸送ユニットを押し入れると、その力によって第2弾性ロッド42の弾性部が縮む。上述したように、第1弾性ロッド33の弾性部のほうが第2弾性ロッド42の弾性部に比べて弾性力が大きいため、イオン輸送ユニットの端部(図4での左端部)が押されると、第1弾性ロッド33の弾性部は縮まずに第2弾性ロッド42の弾性部が先行して縮む。この第2弾性ロッド42の弾性部の付勢力によってシール部材44に力が加わって十分に潰れ、高い気密性が発揮される。
作業者がイオン輸送ユニットをさらに押し入れると、第1ホルダー31が第1隔壁部10bに当接する。第1ホルダー31にもOリング等のシール部材35が設けられており、シール部材35が第1ホルダー31と第1隔壁部10bとの間に挟まれ、第1ホルダー31が押されるとシール部材35が潰れて第1ホルダー31と第1隔壁部10bとの隙間が密封される。そして、作業者がさらにイオン輸送ユニットを押し入れると、その力によって第1弾性ロッド33の弾性部が縮み、押圧リング32が真空チャンバー本体部10内に収容される。
その状態で、作業者が真空フランジ10aを真空チャンバー本体部10にネジで固定すると、図3に示すように、押圧リング32は真空フランジ10aを押圧した状態となり、縮んだ状態である第1弾性ロッド33の弾性部の付勢力によってシール部材35に力が加わって十分に潰れ、高い気密性が発揮される。また、真空フランジ10aと真空チャンバー本体部10との間の隙間は、Oリング等のシール部材10fによって密封される。
イオン輸送ユニットでは、レンズ電極17の小孔17aの中心、第2イオンガイド16の中心軸、スキマー15のオリフィス15aの中心、及び、第1イオンガイド14の中心軸が、一直線上に位置している。また、第2隔壁部10dの開口部10eの周縁部に形成されている段差は第2ホルダー41に嵌合し、第1隔壁部10bの開口部10cの周縁部に形成されている段差は第1ホルダー31に嵌合する形状になっている。そのため、イオン輸送ユニットを真空チャンバー本体部10内に適切に設置し、真空フランジ10aを真空チャンバー本体部10に適切に取り付けると、図3に示すように、脱溶媒管24の中心軸もイオン輸送ユニットの中心軸と一直線上になり、さらに、高真空室13内に設置されている四重極マスフィルター18の中心軸も同じ直線上に配置される。このようにして、各真空室内の気密性を確保するように真空チャンバー1内を仕切りつつ、各イオン光学素子を適切な位置に設置することができる。
イオン輸送ユニットを真空チャンバー本体部10内から外部に取り出すためには、上記と逆の手順で装置の前方にイオン輸送ユニットを引き出せばよい。
本実施形態の質量分析装置において、分析時には通常、第1イオンガイド14を構成する4本のロッド電極14aのうち、イオン光軸Cを挟んで対向する2本のロッド電極14aに同じ高周波電圧+RF1が印加され、他の2本のロッド電極14aに高周波電圧+RF1と振幅が同じで極性が逆である高周波電圧-RF1が印加される。また、第2イオンガイド16を構成する4本のロッド電極16aのうち、イオン光軸Cを挟んで対向する2本のロッド電極16aに同じ高周波電圧+RF2が印加され、他の2本のロッド電極16aに高周波電圧+RF2と振幅が同じで極性が逆である高周波電圧-RF2が印加される。また、スキマー板34及びレンズ電極17にはそれぞれ、所定の直流電圧が印加される。
真空チャンバー1は基準電位である接地電位(0V)になっており、スキマー板34も真空チャンバー1と同電位とされる。そのために、図3に示すようにイオン輸送ユニットが適切に装着された状態で、スキマー板34と真空チャンバー1とが電気的に接続されるようになっている。それ以外の、第1イオンガイド14を構成するロッド電極14a、第2イオンガイド16を構成するロッド電極16a、及びレンズ電極17にはそれぞれ外部から所定の電圧を印加する必要があり、従来はそのための電気配線が必要であった。これに対し、本実施形態の質量分析装置では、イオン輸送ユニットを真空チャンバー本体部10内に装着すると、電気配線を別途行うことなく、イオン輸送ユニットに含まれる各イオン光学素子にそれぞれ給電が行えるようになっている。
図7は、真空チャンバー本体部10に設けられる電気配線部の概略断面図である。図8は、イオン輸送ユニットを真空チャンバー本体部10に取り付けた状態での電気配線部の概略断面図である。図7及び図8に例示しているのは、第2ホルダー41に保持されているレンズ電極17に直流電圧を印加するための電気配線の経路である。
図7に示すように、真空チャンバー本体部10にあって第1中間真空室11の壁面となる部分には、外部から真空チャンバー1の内部に給電を行うための給電ターミナル120が設けられている。給電ターミナル120は、真空チャンバー1の外側と内側とを接続する複数の電極を備える。また、第1隔壁部10bの第1中間真空室11側の面には、絶縁部材110を挟んで給電基板111が取り付けられている。給電基板111は電気配線パターンが形成されたプリント基板であり、給電基板111には金属から成る接続ポスト112が立設されている。給電ターミナル120の電極とそれに対応する給電基板111上の電極とは、ケーブル線121を介して接続されている。
第1ユニット30の第1ホルダー31に取り付けられた回路基板36には、所定の電気配線パターン362が形成されており、その一部を図8に示している。第1ホルダー31には、イオン輸送ユニットが適切に装着されたときに上記給電基板111上の接続ポスト112が挿入される孔が形成されている。その孔に挿入された接続ポスト112は、回路基板36上のポスト受け部361に接触し、両者の間の電気的接続が確保される。さらに、回路基板36から第1ホルダー31を貫通して後方側には、金属から成る通電ピン38が突出している。
一方、第2ユニット40の電気配線接続部47には、第1ユニット30と第2ユニット40とが適切に連結されたときに、通電ピン38が挿入される孔47aが穿設されている。この孔47aに挿入された通電ピン38は、ピン受け部471を介して回路基板45上の電気配線パターンに接続される。図8に示した例では、回路基板45上の電気配線パターンは連結金具46に接続されている。いま、図8において、給電ターミナル120からケーブル線121を通して給電が行われると、その電力は、ケーブル線121、給電基板111、112、接続ポスト112、ポスト受け部361、回路基板36上の電気配線パターン362、通電ピン38、ピン受け部471、及び連結金具46を経て第2ホルダー41に送られ、第2ホルダー41に固定されているレンズ電極17に供給される。
また、別の通電経路により、給電ターミナル120から回路基板36にまで送られた高周波電圧+RF1、-RF1は、回路基板36上の電気配線パターンを経て4本のロッド電極14aにそれぞれ印加される。また、さらに別の通電経路により、給電ターミナル120から回路基板45にまで送られた高周波電圧+RF2、-RF2を、4本のロッド電極16aにそれぞれ印加するようにしてもよい。もちろん、イオン輸送ユニットにおける全ての給電を上記のような構成で行うのではなく、その一部のみを上記のような構成で行ってもよい。
上述したように、イオン輸送ユニットを真空チャンバー本体部10内の所定位置に装着したときに、真空チャンバー本体部10側に設けた給電部とイオン輸送ユニット側に設けた受電部との接触により給電を行うことで、煩雑な電気配線やコネクターなどの使用を減らすことができ、また、イオン輸送ユニットを着脱する際のコネクターの挿抜の手間を軽減することができる。
[変形例]
なお、上記実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の趣旨の範囲でさらに適宜、変形、追加、修正を行っても本願特許請求の範囲に包含されることは明らかである。
例えば上記実施形態の装置では、第2イオンガイド16のロッド電極16aを保持する第2ホルダー41にレンズ電極17が取り付けられ、このレンズ電極17及び第2ホルダー41自体が第2中間真空室12と高真空室13とを区画する隔壁の一部を形成しているが、この隔壁は真空チャンバー本体部10に予め形成されていてもよい。即ち、第2中間真空室12と高真空室13とを区画する隔壁に設けられるイオン光学素子(本例の場合にはレンズ電極17)は、装置の前方に引き出し自在の構成でなくてもよい。
また、各中間真空室内に配置される、或いは、隣接する真空室を隔てる隔壁に設けられるイオン光学素子の形態は、上記記載のものに限らず、一般的に使用されている様々なイオン光学素子を利用できることは当然である。
また、上記実施形態の質量分析装置では、脱溶媒管24から四重極マスフィルター18までのイオン光軸が一直線状であるが、これに限らず、軸ずらし、軸外し等と呼ばれるイオン光学系にも本発明を適用することができる。
また、上記実施形態は本発明をシングルタイプの四重極型質量分析装置に適用した例であるが、本発明は大気圧イオン源を用いた、他のタイプの質量分析装置、具体的には、トリプル四重極型質量分析装置などにも適用することができる。
[種々の態様]
上述した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
(第1項)本発明に係る質量分析装置の一態様は、大気圧下で試料成分をイオン化するイオン化室と、該イオン化室で生成されたイオンを質量分析する高真空室との間に、段階的に真空度が高くなる複数の中間真空室を有する質量分析装置であって、
前記イオン化室の次段の第1中間真空室内に配設され、電場を利用してイオンを輸送する第1イオンガイドと、
前記第1中間真空室とその次段の第2中間真空室とを隔てる隔壁の少なくとも一部を構成するものであり、イオン通過孔を有する第1隔壁部と、
前記第2中間真空室内に配設され、電場を利用してイオンを輸送する第2イオンガイドと、
前記第2中間真空室とその次段の真空室とを隔てる隔壁の少なくとも一部を構成するものであり、イオン通過孔を有する第2隔壁部と、
前記第1イオンガイドと前記第1隔壁部とを一体に保持する第1保持部と、
前記第2イオンガイドを保持する第2保持部と、
前記第1保持部と前記第2保持部とを着脱自在に連結する連結部と、
前記第1イオンガイド及び前記第1隔壁部を保持した状態の前記第1保持部と前記第2イオンガイドを保持した状態の前記第2保持部とが前記連結部で連結されてなるイオン輸送ユニットが、着脱自在に装着される真空チャンバー本体部と、
を備えるものである。
第1項に記載の質量分析装置によれば、第1、第2中間真空室内に配設される各種のイオン光学素子を洗浄する等のメンテナンスを実施する際に、各イオン光学素子を一つずつ装置から取り外すのではなく、ユニットとして一体に装置から取り外すことができる。また、メンテナンス終了後に各イオン光学素子を装置に取り付ける際にも、複数のイオン光学素子をユニットとして一体に装置に装着することができる。これにより、イオン光学素子のメンテナンスを行う際の作業が非常に簡便になり、作業の効率化を図ることができる。また、第1イオンガイド及び第1隔壁部を保持する第1保持部と、第2イオンガイドを保持する第2保持部とを容易に分離することができるので、ユニットを装置から取り外したあとに各イオンガイドを洗浄する作業も簡便であり、作業効率の向上が図れる。
(第2項)第1項に記載の質量分析装置において、
前記第2保持部は、前記第2イオンガイドと前記第2隔壁部とを一体に保持するものであり、
前記連結部は、前記第1イオンガイド及び前記第1隔壁部を保持した状態の前記第1保持部と、前記第2イオンガイド及び前記第2隔壁部を保持した状態の前記第2保持部とを連結するものとすることができる。
第2項に記載の質量分析装置によれば、第2隔壁部も第1イオンガイドや第2イオンガイドと共に一体で装置に着脱することができるので、イオン光学素子のメンテナンス作業の効率化を一層図ることができる。
(第3項)第1項に記載の質量分析装置において、前記真空チャンバーは、前方から後方に向かって順に各室の真空度が高くなるように当該装置の前後方向に延伸するように配置され、該真空チャンバーの前壁部は着脱可能であり、且つ、該真空チャンバーは、
前記第1中間真空室と前記第2中間真空室とを隔てる隔壁の一部を構成し、その中央に該第1中間真空室の側から前記第1隔壁部によって閉塞される開口部を有する第1隔壁受け部と、
前記第2中間真空室とその次段の真空室とを隔てる隔壁の一部を構成し、その中央に該第2中間真空室の側から前記第2隔壁部によって閉塞される開口部を有する第2隔壁受け部と、
を有し、前記第1隔壁受け部の開口部の内径は、前記第2イオンガイド、前記第2隔壁部、及び前記第2保持部の中の最大の内接円の径よりも大きく定められるものとすることができる。
第3項に記載の質量分析装置によれば、第1イオンガイド及び第2イオンガイドが一体化されたイオン輸送ユニットを当該装置の前方から着脱することができる。したがって、装置の上方や側方からイオンガイド等を着脱する必要がなく、本装置の上方に別の装置を積み重ねて設置することができる。また、本装置の側方の空間が狭くてもよい。さらにまた、イオン輸送ユニットを真空チャンバー内に装着し前壁部を閉じるだけで、真空チャンバーの内部に、隔壁で隔てられた複数の真空室を形成することができる。
(第4項)第3項に記載の質量分析装置では、
前記第1隔壁部と前記第1隔壁受け部との間に配設される第1シール部と、
前記第2隔壁部と前記第2隔壁受け部との間に配設される第2シール部と、
前記真空チャンバーの前壁部と該前壁部が装着される真空チャンバー本体部との間に配設される第3シール部と、をさらに備えるものとすることができる。
第4項に記載の質量分析装置によれば、真空チャンバーの内部に形成した各真空室の気密性を確保することができる。
(第5項)第3項又は第4項に記載の質量分析装置では、
前後方向に延伸するとともに前後方向に付勢力を有し、その後端部が前記第1保持部により保持される第1弾性体と、
前後方向に延伸するとともに前後方向に付勢力を有し、その後端部が前記第2保持部により保持され、その前端部が前記第1保持部に当接する第2弾性体と、
をさらに備え、前記第1弾性体の弾性力が前記第2弾性体の弾性力よりも大きく定められているものとすることができる。
第5項に記載の質量分析装置では、装置の前方からイオン輸送ユニットを真空チャンバーの内部に挿入してゆくと、まず、第2保持部に保持されている第2隔壁部が第2隔壁受け部に当接し第2保持部が位置決めされる。そこから、イオン輸送ユニットに対し後方に力を加えると、第2弾性体が縮み、第1保持部に保持されている第2隔壁部が第2隔壁受け部に当接し、第1保持部が位置決めされる。このとき、第2弾性体の付勢力によって第2隔壁部と第2隔壁受け部との密着性が確保される。イオン輸送ユニットに対しさらに後方に力を加えると第1弾性体が縮むから、前壁部を真空チャンバー本体部に装着することが可能となる。このとき、第1弾性体の付勢力によって第1隔壁部と第1隔壁受け部との密着性が確保される。
このようにして、第5項に記載の質量分析装置によれば、真空チャンバーの奥側に位置している、つまりは相対的に高い真空度である真空室の間の高い気密性を確保することができる。
(第6項)第3項~第5項のいずれか1項に記載の質量分析装置において、
前記イオン化室は、前記真空チャンバーの前記前壁部の前方の分析位置と該前壁部の前方から外れた開放位置との間で移動可能であるものとすることができる。
第6項に記載の質量分析装置によれば、イオン化室を開放位置に移動させた状態で、真空チャンバーの前壁部を取り外し、真空チャンバー本体部の前面の開口部からイオン輸送ユニットを着脱することができる。
(第7項)第3項~第6項のいずれか1項に記載の質量分析装置では、
前記第1隔壁受け部又は前記第2隔壁受け部の少なくとも一方に設けられた電力供給部と、
前記第1隔壁部又は前記第2隔壁部の少なくとも一方に設けられ、該第1隔壁部が前記第1隔壁受け部の開口部を閉塞した状態、又は、該第2隔壁部が前記第2隔壁受け部の開口部を閉塞した状態で、前記電力供給部に接続される電力受け部と、
をさらに備え、前記電力受け部から前記第1イオンガイド、前記第1隔壁部、前記第2イオンガイド、又は、前記第2隔壁部の少なくとも一つに電力が供給されるようにすることができる。
第7項に記載の質量分析装置によれば、イオン輸送ユニットを真空チャンバーの内部に装着することで、真空チャンバー側から各イオン光学素子への給電を行うことができる。それにより、コネクター等を用いた煩雑な電気配線を無くす又は減らすことができる。
また、第1保持部と第2保持部とが連結されたときに、両者の間で電気的な接続がなされるようにしておくことで、いずれか一方の側でのみ真空チャンバーの電力供給部から給電を受けて、他の側へと給電を行うことができる。
1…真空チャンバー
10…真空チャンバー本体部
10a…真空フランジ
10b…第1隔壁部
10c、10e…開口部
10d…第2隔壁部
10f…シール部材
11…第1中間真空室
12…第2中間真空室
13…高真空室
14…第1イオンガイド
14a…ロッド電極
15…スキマー
15a…オリフィス
16…第2イオンガイド
16a…ロッド電極
17…レンズ電極
17a…小孔
18…四重極マスフィルター
19…イオン検出器
20…イオン化チャンバー
21…DLフランジ
22…イオン化室
23…イオン化プローブ
24…脱溶媒管
24a…イオン導入口
25…ヒーター
30…第1ユニット
31…第1ホルダー
31a…ピン孔
32…押圧リング
33…第1弾性ロッド
34…スキマー板
35…シール部材
36…回路基板
361…ポスト受け部
362…電気配線パターン
38…通電ピン
40…第2ユニット
41…第2ホルダー
42…第2弾性ロッド
43…ピン
44…シール部材
45…回路基板
46…連結金具
47…電気配線接続部
471…ピン受け部
47a…孔
C…イオン光軸
110…絶縁部材
111…給電基板
112…接続ポスト
120…給電ターミナル
121…ケーブル線

Claims (7)

  1. 大気圧下で試料成分をイオン化するイオン化室と、該イオン化室で生成されたイオンを質量分析する高真空室との間に、段階的に真空度が高くなる複数の中間真空室を有する質量分析装置であって、
    前記イオン化室の次段の第1中間真空室内に配設され、電場を利用してイオンを輸送する第1イオンガイドと、
    前記第1中間真空室とその次段の第2中間真空室とを隔てる隔壁の一部を構成するものであり、イオン通過孔を有する第1隔壁部と、
    前記第2中間真空室内に配設され、電場を利用してイオンを輸送する第2イオンガイドと、
    前記第2中間真空室とその次段の真空室とを隔てる隔壁の一部を構成するものであり、イオン通過孔を有する第2隔壁部と、
    前記第1イオンガイドと前記第1隔壁部とを一体に保持する第1保持部と、
    前記第2イオンガイドを保持する第2保持部と、
    前記第1保持部と前記第2保持部とを着脱自在に連結する連結部と、
    前記第1イオンガイド及び前記第1隔壁部を保持した状態の前記第1保持部と前記第2イオンガイドを保持した状態の前記第2保持部とが前記連結部で連結されてなるイオン輸送ユニットが、着脱自在に装着される真空チャンバーと、
    を備える質量分析装置。
  2. 前記第2保持部は、前記第2イオンガイドと前記第2隔壁部とを一体に保持するものであり、
    前記連結部は、前記第1イオンガイド及び前記第1隔壁部を保持した状態の前記第1保持部と、前記第2イオンガイド及び前記第2隔壁部を保持した状態の前記第2保持部とを連結するものである、請求項1に記載の質量分析装置。
  3. 前記真空チャンバーは、前方から後方に向かって順に各室の真空度が高くなるように当該装置の前後方向に延伸するように配置され、該真空チャンバーの前壁部は着脱可能であり、且つ、該真空チャンバーは、
    前記第1中間真空室と前記第2中間真空室とを隔てる隔壁の一部を構成し、その中央に該第1中間真空室の側から前記第1隔壁部によって閉塞される開口部を有する第1隔壁受け部と、
    前記第2中間真空室とその次段の真空室とを隔てる隔壁の一部を構成し、その中央に該第2中間真空室の側から前記第2隔壁部によって閉塞される開口部を有する第2隔壁受け部と、
    を有し、前記第1隔壁受け部の開口部の内径は、前記第2イオンガイド、前記第2隔壁部、及び前記第2保持部の中の最大の内接円の径よりも大きく定められている、請求項1に記載の質量分析装置。
  4. 前記第1隔壁部と前記第1隔壁受け部との間に配設される第1シール部と、
    前記第2隔壁部と前記第2隔壁受け部との間に配設される第2シール部と、
    前記真空チャンバーの前壁部と該前壁部が装着される真空チャンバー本体部との間に配設される第3シール部と、
    をさらに備える請求項3に記載の質量分析装置。
  5. 前後方向に延伸するとともに前後方向に付勢力を有し、その後端部が前記第1保持部により保持される第1弾性体と、
    前後方向に延伸するとともに前後方向に付勢力を有し、その後端部が前記第2保持部により保持され、その前端部が前記第1保持部に当接する第2弾性体と、
    をさらに備え、前記第1弾性体の弾性力が前記第2弾性体の弾性力よりも大きく定められている、請求項3に記載の質量分析装置。
  6. 前記イオン化室は、前記真空チャンバーの前記前壁部の前方の分析位置と該前壁部の前方から外れた開放位置との間で移動可能である、請求項3に記載の質量分析装置。
  7. 前記第1隔壁受け部又は前記第2隔壁受け部の少なくとも一方に設けられた電力供給部と、
    前記第1隔壁部又は前記第2隔壁部の少なくとも一方に設けられ、該第1隔壁部が前記第1隔壁受け部の開口部を閉塞した状態、又は、該第2隔壁部が前記第2隔壁受け部の開口部を閉塞した状態で、前記電力供給部に接続される電力受け部と、
    をさらに備え、前記電力受け部から、前記第1イオンガイド、前記第1隔壁部、前記第2イオンガイド、又は、前記第2隔壁部の少なくとも一つに電力が供給されるようにした、請求項3に記載の質量分析装置。
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