JP7155917B2 - エンジンの燃焼室構造 - Google Patents

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Description

本発明は、混合気の一部を火花点火によりSI燃焼させるとともにその他の混合気を自着火によりCI燃焼させる部分圧縮着火燃焼が可能なエンジンの燃焼室構造に関する。
ガソリンエンジンの燃焼態様として、火花点火をきっかけに混合気の一部を火炎伝播により強制的に燃焼(SI燃焼)させ、その他の混合気を自着火により燃焼(CI燃焼)させることを企図した部分圧縮着火燃焼(SPCCI燃焼)が知られている。
ところで、燃焼室内における混合気に対してスワール流およびタンブル流を付与することで、空気と燃料との混合性を高めることができる。特許文献1には、タンブル流の一部をインジェクタの噴口が配置された吸気口間に向けて導くために、冠面に外縁部から径方向中央部に向けて斜め上方に立ち上がる斜面が設けられたピストンが開示されている。
特許文献1に開示の燃焼室構造では、ピストンの冠面に設けられた斜面によりタンブル流を吸気口間に向けて導き、当該導かれたタンブル流に対して燃料噴射がなされることで、空気と燃料との混合性を高め、燃焼室の壁面への燃料付着が抑制される。
特開2016-223411号公報
ところで、SPCCI燃焼を行う高圧縮比エンジンでは、スワール流を圧縮行程の後期まで維持する必要があるが、この点に関して上記特許文献1に開示の構造には改善の余地がある。即ち、上記特許文献1に開示の構造では、ピストンの冠面に外縁部から径方向中央部に向けて斜め上方に立ち上がる斜面が設けられており、スワール流が冠面の径方向外側へと寄せられてしまい、圧縮行程の後期までスワール流を維持することが困難であると考えられる。
本発明の目的は、SPCCI燃焼におけるスワール流を圧縮行程の後期まで維持することで、高い燃焼効率を実現することができるエンジンの燃焼室構造を提供することにある。
本発明の一局面に係るエンジンの燃焼室構造は、ピストンの冠面と、前記ピストンが摺動可能に収容された気筒の内壁面と、ペントルーフ形の天井面とによって区画される燃焼室を有し、当該燃焼室の幾何学的圧縮比が15以上であって、混合気の一部を火花点火によりSI燃焼させるとともにその他の混合気を自着火によりCI燃焼させる部分圧縮着火燃焼を行うエンジンの燃焼室構造であって、前記天井面は、吸気口と排気口とを備え、前記冠面は、椀状に凹設されてなるキャビティと、前記吸気口と前記排気口との配列方向に対して直交する方向における、前記キャビティと前記冠面の外縁部との間の外周領域に、気筒軸方向に突設され、前記天井面のペントルーフ形状に沿った山形形状を有するとともに、前記気筒軸方向からの平面視でそれぞれが弧形状を有する一対の隆起部と、を備え、前記ピストンを、前記キャビティの最深部を含み、前記直交する方向に沿った面で断面視する場合に、前記キャビティの底面は、前記キャビティの前記最深部とその周辺を含む中央底面と、前記中央底面に対して前記直交する方向の一方側に配置された一方側底面と、前記中央底面に対して前記直交する方向の他方側に配置された他方側底面と、を有し、前記一方側底面は、前記中央底面の外周縁から前記一対の隆起部の内の一方における前記天井面側の尾根部まで延設され、且つ、前記中央底面よりも小さな曲率半径の凹曲面で構成されており、前記他方側底面は、前記中央底面の前記外周縁から前記一対の隆起部の内の他方における前記天井面側の尾根部まで延設され、且つ、前記中央底面よりも小さな曲率半径の凹曲面で構成されており、前記中央底面の曲面の曲率半径をR、前記ピストンの直径をBとするとき、0.70≦R/B≦2.42の関係を満たす。
上記のように、0.70≦R/Bとする、言い換えると中央底面を平面ではなく凹没された曲面とすることにより、燃焼室内で発生したスワール流をキャビティ内にガイドすることができる。よって、0.70≦R/Bとすることにより3.45以上のスワール比を実現することができ、SPCCI燃焼におけるスワール流を圧縮行程の後期まで維持することができる。
また、上記のように、R/B≦2.42とすることにより、15以上の幾何学的圧縮比を実現することができる。
従って、上記局面に係るエンジンの燃焼室構造では、幾何学的圧縮比が15以上の高圧縮比エンジンにおいて、SPCCI燃焼におけるスワール流を圧縮行程の後期まで維持することで、高い燃焼効率を実現することができる。
上記局面に係るエンジンの燃焼室構造において、前記中央底面の前記外周縁は、前記気筒軸方向からの平面視で円形であって、前記中央底面の外周縁の直径をDとするとき、1.19≦B/D≦2.94の関係を満たす、とすることができる。
上記のように、1.19≦B/Dとすることにより15以上の幾何学的圧縮比を実現する上で望ましい。また、上記のように、B/D≦2.94とすることにより3.45以上のスワール比を実現する上で望ましい。
本発明の一局面に係るエンジンの燃焼室構造は、ピストンの冠面と、前記ピストンが摺動可能に収容された気筒の内壁面と、ペントルーフ形の天井面とによって区画される燃焼室を有し、当該燃焼室の幾何学的圧縮比が15以上であって、混合気を火花点火により燃焼させるSI燃焼と、混合気の一部を火花点火によりSI燃焼させるとともにその他の混合気を自着火によりCI燃焼させる部分圧縮着火燃焼と、を併用して行うエンジンの燃焼室構造であって、前記天井面は、吸気口と排気口とを備え、前記冠面は、椀状に凹設されてなるキャビティと、前記吸気口と前記排気口との配列方向に対して直交する方向における、前記キャビティと前記冠面の外縁部との間の外周領域に、気筒軸方向に突設され、前記天井面のペントルーフ形状に沿った山形形状を有するとともに、前記気筒軸方向からの平面視でそれぞれが弧形状を有する一対の隆起部と、を備え、前記ピストンを、前記キャビティの最深部を含み、前記直交する方向に沿った面で断面視する場合に、前記キャビティの底面は、前記キャビティの前記最深部とその周辺を含む中央底面と、前記中央底面に対して前記直交する方向の一方側に配置された一方側底面と、前記中央底面に対して前記直交する方向の他方側に配置された他方側底面と、を有し、前記一方側底面は、前記中央底面の外周縁から前記一対の隆起部の内の一方における前記天井面側の尾根部まで延設され、且つ、前記中央底面よりも小さな曲率半径の凹曲面で構成されており、前記他方側底面は、前記中央底面の前記外周縁から前記一対の隆起部の内の他方における前記天井面側の尾根部まで延設され、且つ、前記中央底面よりも小さな曲率半径の凹曲面で構成されており、前記中央底面の曲面の曲率半径をR、前記ピストンの直径をBとするとき、1.06≦R/B≦2.42の関係を満たす。
上記のように、1.06<R/Bとすることにより、3.45以上のスワール比を実現することができるとともに、1.79以上のタンブル比も実現することができる。
また、上記のように、R/B≦2.42とすることにより、15以上の幾何学的圧縮比を実現することができる。
従って、上記局面に係るエンジンの燃焼室構造では、幾何学的圧縮比が15以上の高圧縮比エンジンにおいて、圧縮行程の後期までスワール流およびタンブル流を維持し、低回転域から高回転域までSPCCI燃焼を実現する上で必要となるスワール比およびタンブル比を確保することで、高い燃焼効率を実現することができる。
上記局面に係るエンジンの燃焼室構造において、前記中央底面の前記外周縁は、前記気筒軸方向からの平面視で円形であって、前記中央底面の外周縁の直径をDとするとき、1.19≦B/D≦2.20の関係を満たす、とすることができる。
上記のように、1.19≦B/Dとすることにより15以上の幾何学的圧縮比を実現する上で望ましい。また、上記のように、B/D≦2.20とすることにより、3.45以上のスワール比と、1.79以上のタンブル比とを実現する上で望ましい。
本発明によれば、SPCCI燃焼におけるスワール流を圧縮行程の後期まで維持することで、高い燃焼効率を実現することができる。
本発明に係る燃焼室構造が適用された部分圧縮着火式エンジンの全体構成を示すシステムズである。 前記エンジンが備える1つの気筒の模式的な斜視図である。 気筒およびその近傍の吸排気系の構造を示す概略平面図である。 エンジンの制御系統を示すブロック図である。 エンジンの運転領域を燃焼形態の相違により区分けした運転マップである。 エンジンの各運転領域で行われる燃焼制御を概略的に説明するためのタイムチャートである。 SPCCI燃焼(部分圧縮着火燃焼)時の熱発生率の波形を示すグラフである。 ピストンの斜視図である。 ピストンの冠面の平面図である。 図9のX-X線断面図である。 図9のXI-XI線断面図である。 キャビティに関連する各種パラメータを付記した、ピストンの斜視図である。 (A)~(D)は、吸気行程におけるタンブル流の流動を模式的に示す図である。 (A)~(D)は、圧縮行程におけるタンブル流の流動を模式的に示す図である。 (A)は、図14(D)の状態に相当する、燃焼室の模式的な断面図、(B)は、圧縮TDCにおける燃焼室の模式的な断面図である。 (A)~(D)は、吸気行程におけるスワール流の流動を模式的に示す図である。 (A)~(D)は、圧縮行程におけるスワール流の流動を模式的に示す図である。 (A)は、図17(D)の状態に相当する、燃焼室内におけるスワール流の発生状態を示す模式図、(B)は、圧縮TDCでの燃焼室内におけるスワール流の発生状態を示す模式図である。 (A)は、R/Bとスワール比との関係を示す効果図、(B)は、R/Bとタンブル比との関係を示す効果図である。 R/Bと幾何学的圧縮比との関係を示す効果図である。
以下では、本発明の実施形態について、図面を参酌しながら説明する。なお、以下で説明の形態は、本発明の一例であって、本発明は、その本質的な構成を除き何ら以下の形態に限定を受けるものではない。
[エンジンの全体構成]
先ず、図1に示すシステム図を参照して、本発明に係る燃焼室構造が適用された部分圧縮着火式エンジン(以下、単にエンジンという)の全体構成を説明する。
図1に示されるエンジンは、走行用の動力源として車両に搭載された4サイクルのガソリン直噴エンジンであり、エンジン本体1と、エンジン本体1に導入される吸気が流通する吸気通路30と、エンジン本体1から排出される排気ガスが流通する排気通路40と、排気通路40を流通する排気ガスの一部を吸気通路30に還流する外部EGR装置45と、エンジン本体1にガソリンを主成分とする燃料を供給するフューエルシステム150と、を備えている。
エンジン本体1は、気筒2が内部に形成されたシリンダブロック3と、気筒2を上から閉塞するようにシリンダブロック3の上面に取り付けられたシリンダヘッド4と、気筒2内に収容されたピストン5と、を有している。エンジン本体1は、典型的には複数の(例えば4つの)気筒を有する多気筒型のものであるが、図1では簡略化のため、1つの気筒2のみを図示している。図2には、1つの気筒2を模式的な斜視図にて示している。
ピストン5は、気筒2のボア径Bに対応した外径を有し、所定のストロークSで往復摺動可能に気筒2内に収容されている。ピストン5の下方には、エンジン本体1の出力軸であるクランク軸7が設けられている。クランク軸7は、ピストン5とコネクティングロッド8を介して連結され、ピストン5の往復運動に応じて中心軸回りに回転駆動される。
ピストン5の上方には燃焼室6が区画されている。燃焼室6には、後述するインジェクタ15からの噴射によって燃料が供給される。供給された燃料が燃焼室6で空気と混合されつつ燃焼し、その燃焼による膨張力で押下げられたピストン5が上下方向に往復運動する。燃焼室6を区画する燃焼室壁面は、気筒2の内壁面、ピストン5の上面である冠面50、および、シリンダヘッド4の底面である燃焼室天井面6U(吸気バルブ11および排気バルブ12の各バルブ面を含む)からなる。燃焼室天井面6Uは、上向きに凸のペントルーフ形の形状を有している。
気筒2の幾何学的圧縮比、つまりピストン5が上死点にあるときの燃焼室6の容積とピストン5が下死点にあるときの容積との比は、後述するSPCCI燃焼(部分圧縮着火燃焼)に好適な値として、15以上30以下、好ましくは15以上18以下の高圧縮比に設定される。幾何学的圧縮比を15以上の高圧縮比に設定することで、燃焼室6内において混合気に圧縮着火が発生し易い環境とすることができる。
シリンダブロック3には、クランク角センサSN1および水温センサSN2が組み付けられている。クランク角センサSN1は、クランク軸7の回転角度(クランク角)およびクランク軸7の回転速度(エンジン回転数)を検出する。水温センサSN2は、シリンダブロック3およびシリンダヘッド4の内部を流通する冷却液の温度(エンジン水温)を検出する。
シリンダヘッド4の燃焼室天井面6Uには、燃焼室6に向けて開口する吸気ポート9および排気ポート10と、吸気ポート9を開閉する吸気弁11と、排気ポート10を開閉する排気弁12と、が設けられている。本実施形態のエンジンのバルブ形式は、図2および図3に示すように、吸気2バルブ×排気2バルブの4バルブ形式である。
図3は、気筒2およびその近傍の吸排気系の構造を示す概略平面図である。吸気ポート9は、第1吸気ポート9Aおよび第2吸気ポート9Bを有し、排気ポート10は、第1排気ポート10Aおよび第2排気ポート10Bを有している。吸気弁11は、第1吸気ポート9Aおよび第2吸気ポート9Bに対しそれぞれ1つずつ設けられ、排気弁12は、第1排気ポート10Aおよび第2排気ポート10Bに対しそれぞれ1つずつ設けられている
図3に示すように、第1,第2吸気ポート9A,9Bのうち、第2吸気ポート9Bには、当該第2吸気ポート9Bを開閉可能なスワール弁17が設けられている。スワール弁17が閉方向に駆動されると、スワール弁17が設けられていない第1吸気ポート9Aから燃焼室6に流入する吸気の割合が増大する。このため、気筒軸AX(燃焼室6の中心軸)の周りを旋回する旋回流、つまりスワール流を強化することができる。逆に、スワール弁17を開方向に駆動すればスワール流を弱めることができる。なお、本実施形態の吸気ポート9は、タンブル流(縦渦)を形成可能なタンブルポートである。このため、スワール弁17の閉時に形成されるスワール流は、タンブル流とミックスされた斜めスワール流となる。
吸気弁11および排気弁12は、シリンダヘッド4に配設された一対のカム軸等を含む動弁機構13,14により、クランク軸7の回転に連動して開閉駆動される。吸気弁11用の動弁機構13には、吸気弁11の開閉時期を変更可能な吸気VVT13aが、排気弁12用の動弁機構14には、排気弁12の開閉時期を変更可能な排気VVT14aが、各々内蔵されている。吸気、排気VVT13a,14aは、いわゆる位相式の可変機構であり、吸気弁11、排気弁12の開時期および閉時期を同時に且つ同量だけ変更する。
シリンダヘッド4には、インジェクタ15および点火プラグ16が組み付けられている。インジェクタ15は、フューエルシステム150から供給される燃料を燃焼室6に噴射する。点火プラグ16は、インジェクタから燃焼室6に噴射された燃料と、吸気ポート9(9A,9B)を通して燃焼室6に導入された空気とが混合された混合気に点火する。シリンダヘッド4には、さらに、燃焼室6の圧力(筒内圧力)を検出する筒内圧センサSN3が設けられている。
図2に示されているように、インジェクタ15は、燃焼室天井面6Uの径方向中央部であって、ペントルーフの頂部付近に先端部(噴孔)が表出するように配置されている。また、点火プラグ16は、燃焼室天井面6Uにおけるペントルーフの斜面部であって、一対の吸気ポート9A,9B間において先端部(電極部)が表出するように配置されている。
インジェクタ15は、その先端部に複数の噴孔を有した多墳孔型のインジェクタであり、当該複数の墳孔から放射状に燃料を噴射することが可能である。図2中の符号Gの領域は、各墳孔から噴射された燃料の噴霧を表している。後記で詳述するが、ピストン5の冠面50には、その径方向中央領域をシリンダヘッド4とは反対側(下方)に凹没させてなるキャビティ51が形成されている。インジェクタ15の先端部はキャビティ51と対向しており、このキャビティ51に向けて墳孔から燃料が噴射される。
インジェクタ15に燃料を供給するフューエルシステム150は、フューエルタンク151、フューエルポンプ152、フューエルレール153およびパージ通路154を含む、フューエルタンク151は、燃料を貯留するタンクである。フューエルポンプ152は、インタンク式のポンプであり、燃料をフューエルタンク151からフューエルレール153へ送り出す。フューエルレール153は、各気筒2に備えられているインジェクタ15に燃料を分配する。パージ通路154は、フューエルタンク151内で気化した燃料を回収し、吸気通路30に導入して燃焼させるための通路である。
吸気通路30は、吸気ポート9と連通するように、シリンダヘッド4の一側面に接続されている。吸気通路30の上流端から取り込まれた空気(新気)は、吸気通路30および吸気ポート9を通じて燃焼室6に導入される。吸気通路30には、その上流端から順に、吸気中の異物を除去するエアクリーナ31と、吸気の流速を調整する開閉可能なスロットル弁32と、吸気を圧縮しつつ送り出す過給機33と、過給機33により圧縮された吸気を冷却するインタークーラ35と、が設けられている。
吸気通路30の適所には、吸気の流量を検出するエアフローセンサSN4と、吸気の温度を検出する第1・第2吸気温センサSN5,SN7と、吸気の圧力を検出する第1・第2吸気圧センサSN6,SN8と、が設けられている。エアフローセンサSN4および第1吸気温センサSN5は、吸気通路30におけるエアクリーナ31とスロットル弁32との間の部位に設けられ、当該部位を通過する吸気の流量および温度を検出する。第1吸気圧センサSN6は、吸気通路30におけるスロットル弁32と過給機33との間であって、後述するEGR通路451の接続口よりも下流側の部位に設けられ、当該部位を通過する吸気の圧力を検出する。第2吸気温センサSN7は、吸気通路30における過給機33とインタークーラ35との間の部位に設けられ、当該部位を通過する吸気の温度を検出する。第2吸気圧センサSN8は、吸気通路30におけるインタークーラ35と吸気ポート9との間の吸気の圧力を検出する。
過給器33は、エンジン本体1と機械的に連携された機械式の過給機(スーパーチャージャ)である。過給機33の具体的な形式は特に問わないが、例えばリショルム式、ルーツ式、または遠心式といった公知の過給機の何れかを過給機33として用いることができる。過給機33には、締結と解放を電気的に切り替えることが可能な電磁クラッチ34が付設されている。電磁クラッチ34が締結されると、エンジン本体1から過給機33に駆動力が伝達されて、過給機33による過給が行われる。一方、電磁クラッチ34が開放されると、上記駆動力の伝達が遮断されて、過給機33による過給が停止される。
吸気通路30には、過給機33をバイパスして吸気を流通させるためのバイパス通路36が付設されている。バイパス通路36には、当該バイパス通路36を開閉可能なバイパス弁37が設けられている。バイパス通路36は、過給機33よりも上流側で吸気通路30から分岐し、インタークーラ35の下流側において吸気通路30に合流する合流部38を形成している。この合流部38は、図略のサージタンクの近傍に配置される。なお、バイパス通路36は、後述するEGR通路451とサージタンクとを接続する通路でもある。
排気通路40は、各気筒2の排気ポート10と排気マニホールド41を介して連通している。各燃焼室6で生成された既燃ガスは、排気ポート10、排気マニホールド41および排気通路40を通じて外部に排出される。排気通路40には、排気ガスの流通方向における上流側、下流側に、各々上流触媒コンバータ42、下流触媒コンバータ43が設けられている。上流触媒コンバータ42には、三元触媒421およびGPF(ガソリン・パティキュレート・フィルタ)422が備えられている。三元触媒421は、排気通路40を流通する排気ガス中に含まれる有害成分(HC、CO、NO)を捕集する。GPF422は、排気ガス中に含まれる煤に代表される粒子状物質を捕集する。下流触媒コンバータ43は、三元触媒やNO触媒等の適宜の触媒を内蔵した触媒コンバータである。
排気通路40における上流触媒コンバータ42よりも上流側の部位には、排気ガス中に含まれる酸素の濃度を検出するリニアOセンサSN9が配置されている。リニアOセンサSN9は、酸素濃度の濃淡に応じて出力値がリニアに変化するセンサであり、その出力値に基づいて、混合気の空燃比を推定することが可能である。また、三元触媒421とGPF422との間には、排気ガス中のNO濃度を計測するNOセンサSN10が配置されている。
外部EGR装置45は、排気通路40と吸気通路30とを接続するEGR通路451と、EGR通路451に設けられたEGRクーラ452およびEGR弁453と、を有している。EGR通路451は、排気通路40における上流触媒コンバータ42よりも下流側の部位と、吸気通路30におけるスロットル弁32と過給機33との間の部位とを互いに接続している。EGRクーラ452は、EGR通路451を通して排気通路40から吸気通路30に還流される排気ガス(外部EGRガス)を、熱交換により冷却する。EGR弁453は、EGRクーラ452よりも下流側のEGR通路451に配置され、当該EGR通路451を流通する排気ガスの流量を調整する。
[制御系統]
続いて、上述したエンジンの制御系統について説明する。図4は、エンジンの制御系統を示すブロック図である。制御系統は、ECU20を備える。ECU20は、エンジンを統括的に制御するためのマイクロプロセッサであり、周知のCPU、ROM、RAM等から構成されている。
ECU20には、各種センサによる検出信号が入力される。ECU20には、上述したクランク角センサSN1、水温センサSN2、筒内圧センサSN3、エアフローセンサSN4、第1・第2吸気温センサSN5,SN7、第1・第2吸気圧センサSN6,SN8、リニアOセンサSN9およびNOセンサSN10と電気的に接続されている。これらのセンサによって検出された情報(つまりクランク角、エンジン回転数、エンジン水温、筒内圧力、吸気流量、吸気温、吸気圧、排気ガスの酸素濃度、NO濃度等)は、ECU20に逐次入力される。また、車両には、図略のアクセルペダルの開度を検出するアクセルセンサSN11が設けられている。このアクセルセンサSN11による検出信号も、ECU20に入力される。
ECU20には、各センサからの入力情報に基づいて種々の判定や演算等を実行しつつエンジンの各部を制御する。即ち、ECU20は、吸気VVT13a、排気VVT14a、インジェクタ15、点火プラグ16、スワール弁17、スロットル弁32、電磁クラッチ34、バイパス弁37、およびEGR弁453等と電気的に接続されており、上記演算の結果等に基づいてこれらの機器にそれぞれ制御用の信号を出力する。
ECU20は、所定のプログラムが実行されることによって、演算部21、噴射制御部22、点火制御部23、スワール制御部24、吸気制御部25、EGR制御部26および全体制御部27を機能的に具備するように動作する。
噴射制御部22は、インジェクタ15による燃料の噴射動作を制御する制御モジュールである。点火制御部23は、点火プラグ16による点火動作を制御する制御モジュールである。スワール制御部24は、スワール弁17の開度を制御する制御モジュールである。吸気制御部25は、燃焼室6に導入される吸気の流量や圧力を調整する制御モジュールであり、スロットル弁32およびバイパス弁37の各開度や電磁クラッチ34のON/OFFを制御する。EGR制御部26は、燃焼室6に導入されるEGRガスの量を調整する制御モジュールであり、吸気VVT13aおよび排気VVT14aの各動作EGR弁453の開度を制御する。
演算部21は、上記の各制御部22~26による制御目標値の決定や、エンジンの運転状態の判定のための各種演算を実行する制御モジュールである。全体制御部27は、エンジンの運転シーン等に応じて演算部21および各制御部22~26を統括的に制御し、必要な演算および制御を実行させる。
[運転状態に応じた制御]
図5は、本実施形態のエンジンの温間時に使用される運転マップであり、エンジンの回転速度/負荷に応じた制御の相違を示す図である。なお、以下の説明において、エンジンの負荷が高い(低い)とは、エンジンの要求トルクが高い(低い)ことと等価である。
エンジンが温間状態にあるとき、エンジンの運転領域は、燃焼形態の相違によって3つの運転領域A1~A3に大別される。これら運転領域A1~A3を、それぞれ第1運転領域A1、第2運転領域A2、第3運転領域A3と呼ぶ。第3運転領域A3は、回転速度が高い領域である。第1運転領域A1は、第3運転領域A3よりも低速側の領域から高負荷側の一部を除いた低・中速/低負荷の領域である。第2運転領域A2は、第1、第3運転領域A1,A3以外の残余の領域、つまり低・中速/高負荷の領域である。以下、各運転領域で選択される燃焼形態等について順に説明する。
〈第1運転領域〉
低・中速/低負荷の第1運転領域A1では、SI燃焼とCI燃焼とを組み合わせた部分圧縮着火燃焼(以下、これをSPCCI燃焼という)が実行される。SI燃焼とは、点火プラグ16から発生する火花により混合気に点火し、その点火点からその周囲へと燃焼領域を拡げて行く火炎伝播により混合気を強制的に燃焼させる燃焼形態のことである。CI燃焼とは、ピストン5の圧縮により高温・高圧化された環境下で、混合気を自着火により燃焼させる燃焼形態のことである。これらSI燃焼とCI燃焼とを組み合わせたSPCCI燃焼とは、混合気が自着火する寸前の環境下で行われる火花点火により燃焼室6内の混合気の一部をSI燃焼させ、このSI燃焼の後に(当該SI燃焼に伴うさらなる高温。高圧化によって)、燃焼室6内の他の混合気を自着火によりCI燃焼させる燃焼形態である。なお、「SPCCI」は、「Spark Controlled Compression Ignition」の略である。
SPCCI燃焼は、SI燃焼時の熱発生よりもCI燃焼時の熱発生の方が急峻になるという性質がある。図7は、SPCCI燃焼時の熱発生率の波形を示すグラフである。当該波形における点X1は、SI燃焼の開始に伴って熱発生率が立ち上がる熱発生点(クランク角θsi)である。熱発生点以降、SI燃焼に対応する燃焼初期の立ち上がりの傾きが、その後のCI燃焼に対応して生じる立ち上がりの傾きよりも小さくなっている。即ち、SPCCI燃焼時の熱発生率の波形は、SI燃焼に基づく相対的に立ち上がりの傾きが小さい第1熱発生率部R1と、CI燃焼に基づく相対的に立ち上がりの傾きが大きい第2熱発生率部R2とが、この順に連続するように形成される。また、このような熱発生率の傾向に対応して、SPCCI燃焼では、SI燃焼時に生じる燃焼室6内の圧力上昇率(dp/dθ)がCI燃焼時のそれよりも小さくなる。
SI燃焼によって、燃焼室6内の温度および圧力が高まると、これに伴い未燃混合気が自着火し、CI燃焼が開始される。このCI燃焼が開始するタイミングで、熱発生率の波形は、CI燃焼が開始するタイミングで現れる変曲点(図7の点X2=クランク角θci)を有している。
CI燃焼の開始後は、SI燃焼とCI燃焼とが並行して行われる。CI燃焼は、SI燃焼よりも混合気の燃焼速度が速いため、熱発生率は相対的に大きくなる。ただし、CI燃焼は、圧縮上死点の後の行われるため、熱発生率の波形の傾きが過大になることはない。即ち、圧縮上死点を過ぎるとピストン5の下降によりモータリング圧力が低下するので、このことが熱発生率の上昇を抑制する結果、CI燃焼時のdp/dθが過大になることが回避される。このように、SPCCI燃焼では、SI燃焼の後にCI燃焼が行われるという性質上、燃焼騒音の指標となるdp/dθが過大になり難く、単純なCI燃焼(全ての燃料をCI燃焼させた場合)に比べて燃焼騒音を抑制することができる。
CI燃焼の終了に伴いSPCCI燃焼も終了する。CI燃焼はSI燃焼に比べて燃焼速度が速いので、単純なSI燃焼(全ての燃料をSI燃焼させた場合)に比べて燃焼終了時期を早めることができる。言い換えると、SPCCI燃焼では、燃焼終了時期を膨張行程内において圧縮上死点に近付けることができる。これにより、SPCCI燃焼では、単純なSI燃焼に比べて燃費性能を向上させることができる。第1運転領域A1におけるSPCCI燃焼の実行の際、ECU20の全体制御部27は、各制御部22~26を次のような制御を実行させる。
火花点火に関し全体制御部27は、点火プラグ16から火花を2回発生させ、2回目の火花点火をきっかけにして、混合気をSPCCI燃焼させる制御を実行する。具体的には、点火プラグ16(点火制御部23)は、圧縮上死点から十分に進角された時期に火花を発生させる先行点火と、先行点火よりも圧縮上死点に近い時期に火花を発生させる主点火とを実行する。先行点火は、圧縮行程前期または中期の何れか(BTDC180~60°CA)に実行される。主点火は、SI燃焼を開始させる点火であり、圧縮行程後期から膨張行程初期までの期間内(BTDC60~ATDC60°CA)に実行される。なお、燃料噴射後であれば、吸気行程において先行点火を実行させてもよい。
図6は、エンジンの各運転領域で行われる燃焼制御を概略的に説明するためのタイムチャートである。第1運転領域A1における低負荷側の運転ポイントP1,P2において、点火制御部23は点火プラグ16を制御して、図6のチャート(a)、(b)に各々示すように、圧縮行程前期に先行点火を実行するとともに、圧縮行程後期に主点火を実行する。ただし、高負荷側の運転ポイントP2における先行点火の時期は、低負荷側の運転ポイントP1における先行点火の時期よりも進角側に設定される。これは、後述する第2噴射(1サイクル中の最後の燃料噴射)の時期に連動したものである。即ち、点火制御部23は、第2噴射の終了時期から先行点火までのクランク角期間が略一定に維持されるように、第2噴射の時期に連動して先行点火の時期が高負荷側ほど進角させる。噴射制御部22は、第2噴射の時期をエンジン負荷(運転状態)に応じて変更し、点火制御部23は、第2噴射の時期変更の前後において、第2噴射の終了時期から先行点火の時期までの期間が一定に維持されるように、先行点火の時期を変更する。
圧縮上死点から十分に進角された時期に実行される先行点火は、混合気の火炎伝播を生じさせない。この先行点火は、火花(アーク)の周囲の混合気を850K以上1140K未満という狙いの温度にまで上昇させることにより、燃料成分(炭化水素)を開裂させてOHラジカルを含む中間生成物を生成することを目的として行われる。また、火炎伝播が生じるのを確実に防止するため、先行点火のエネルギは、主点火のエネルギよりも小さくされる。従って、このようjな先行点火が行われても、混合気には実質的に火炎が形成されず、SI燃焼は開始されない。
一方、圧縮上死点に比較的近い時期に実行されるエネルギの大きな主点火は、混合気の火炎伝播を生じさせ、SI燃焼を引き起こす。SI燃焼が開始されると、燃焼室6が高温・高圧化し、そのことがCI燃焼を引き起こす。即ち、主点火をきっかけにSPCCI燃焼が開始され、燃焼室6内の一部の混合気が火炎伝播により燃焼(SI燃焼)し、その他の混合気が自着火により燃焼(CI燃焼)する。
インジェクタ15は、1サイクル中に噴射すべき燃料を2回に分けて、吸気行程中に噴射する。第1運転領域A1において噴射制御部22は、インジェクタ15を制御して、上述した先行点火よりも早い所定の期間内に、第1噴射と第2噴射との2回に分けて燃料を噴射させる。運転ポイントP1,P2において、インジェクタ15は、図6のチャート(a)、(b)に示すように、吸気行程前半に第1噴射を開始するとともに、吸気行程後半に第2噴射を開始する。ただし、高負荷側の運転ポイントP2における第2噴射の開始時期は、低負荷側の運転ポイントP1における第2噴射の開始時期よりも進角側に設定される。
第2噴射の時期は、第1運転領域A1内で負荷が増大するほど進角される。分割噴射によりインジェクタ15から噴射される燃料の総量は、要求トルクが高くなる高負荷側ほど多くなるように設定される。また、第1・第2噴射の分割比は、高負荷側ほど第1噴射の割合が小さくなるように設定される(噴射量は第1噴射>第2噴射)。例えば、第1・第2噴射の分割比は、第1運転領域A1における低負荷側から高負荷側にかけて、概ね9:1から6:4まで変化するように設定される。これにより、燃料が成層化され過ぎてエミッション性能が低下することを回避できる。
第1運転領域A1での運転時、スロットル弁32の開度は、理論空燃比相当の空気量よりも多くの空気が吸気通路30を通じて燃焼室6に導入されるような開度に設定される。即ち、吸気制御部25は、吸気通路30を通じて燃焼室6に導入される空気(新気)と、第1・第2噴射によって燃焼室6に噴射される燃料との重量比である空燃比(A/F)が、理論空燃比(14.7)よりも大きくなるように、スロットル弁32の開度を比較的高めに設定する(A/Fリーン)。これにより、理論空燃比相当の空気量よりも多くの空気が、吸気通路30を通じて燃焼室6に導入される。
全体制御部27は、過給機33を、図5に示される過給ラインTの内側領域(第1運転領域A1の低速側)ではOFF状態とし、過給ラインTの外側領域(第1運転領域A1の高速側)ではON状態とする。第1運転領域A1の低速側では、電磁クラッチ34が開放されて過給機33とエンジン本体1との連結が解除されるとともに、バイパス弁37が全開とされることにより、過給機33による過給が停止される。一方、第1運転領域A1の高速側では、電磁クラッチ34が締結されて過給機33とエンジン本体1とが連結されることにより、過給機33による過給が行われる。このとき、第2吸気圧センサSN8により検出される過給圧が、エンジンの運転条件(回転速度や負荷等の条件)ごとに予め定められた目標圧力に一致するように、吸気制御部25は、バイパス弁37の開度を制御する。
EGR制御部26は、EGR弁453を、SPCCI燃焼に適した筒内温度が実現されるように、第1運転領域A1内の多くの領域において開弁する。即ち、EGR通路451を通じて燃焼室6に排気ガスを還流する外部EGRが実現されるように、EGR弁453が開弁される。EGR弁453の開度は、所望のSPCCI燃焼の波形を得るのに適した筒内温度が実現されるように調製される。
スワール制御部24は、スワール弁17の開度を、半開(50%)よりも低い低開度に設定する。スワール弁17の開度が低減されることにより、燃焼室6に導入される吸気は、その大部分が第1吸気ポート9A(図3)からの吸気となり、燃焼室6内に強いスワール流が形成される。このスワール流は、吸気行程中に成長して圧縮行程の途中まで残存し、燃料の成層化を促進する。つまり、燃焼室6の径方向中央部の燃料濃度がその外側の領域(外周部)に比べて濃くなるという濃度差が形成される。
〈第2運転領域〉
低・中速/高負荷の第2運転領域A2では、1回の火花点火によって混合気をSPCCI燃焼させる制御が実行される。言い換えると、第2運転領域A2では、上述した第1運転領域A1における先行点火が省略されて、主点火のみが実行される。このような1回点火によるSPCCI燃焼を実現するため、第2運転領域A2では、ECU20の全体制御部27によってエンジンの各部が次のように制御される。
点火プラグ16は、圧縮行程後期から膨張行程初期までの期間内に1回の火花点火を実行する。第2運転領域A2に含まれる運転ポイントP3において、点火プラグ16は、図6のチャート(c)に示すように、圧縮行程後期に1回の火花点火を実行する。この火花点火をきっかけにSPCCI燃焼が開始され、燃焼室6内で一部の混合気が火炎伝播により燃焼(SI燃焼)し、その他の混合気が自着火により燃焼(CI燃焼)する。インジェクタ15は、運転ポイントP3において、図6のチャート(c)に示すように、1サイクル中に噴射すべき燃料の全量を供給する1回の燃料噴射を吸気行程中に実行する。
スロットル弁32の開度は、理論空燃比相当の空気量が吸気通路30を通じて燃焼室6に導入されるような開度、つまり、燃焼室6内の空気(新気)と燃料との重量比である空燃比(A/F)が理論空燃比(14.7)に略一致するような開度に設定される(λ≒1)。過給機33は、過給ラインTの内側領域と重複する低負荷かる低速側の一部においてOFF状態とされ、それ以外の領域でON状態とされる。EGR弁453は、第2運転領域A2でのSPCCI燃焼に適した量の外部EGRガスが燃焼室6に導入されるように適宜の開度まで開弁される。スワール弁17の開度は、第1運転領域A1での開度と同程度の値か、もしくはこれよりも大きい所定の中間開度に設定される。
〈第3運転領域〉
上記第1・第2運転領域A1,A2よりも高速側の第3運転領域A3では、SI燃焼が実行される。このSI燃焼の実現のために、第3運転領域A3では、全体制御部27によってエンジンの各部が次のように制御される。
点火プラグ16は、圧縮行程後期から膨張行程初期までの期間内に、1回の火花点火を実行する。例えば、第3運転領域A3に含まれる運転ポイントP4において、点火プラグ16は、図6のチャート(d)に示すように、圧縮行程後期に1回の火花点火を実行する。そして、この火花点火をきっかけにSI燃焼が開始され、燃焼室6内の混合気が全て火炎伝播により燃焼する。
インジェクタ15は、吸気行程から圧縮行程にかけた一連の期間にわたって燃料を噴射する。なお、運転ポイントP4は、かなり高速かつ高負荷の条件であるため、1サイクル中に噴射すべき燃料の量がそもそも多い上に、所要量の燃料を噴射するのに要するクランク角期間が長期化する。運転ポイントP4における燃料の噴射期間が既述の他の運転ポイント(P1~P3)の何れよりも長いのはこのためである。
過給器33はON状態とされ、過給機33による過給が行われる。このときの過給圧は、バイパス弁37によって調整される。スロットル弁32およびEGR弁453は、燃焼室6内の空燃比(A/T)が理論空燃比もしくはこれよりもややリッチな値(λ≦1)となるように、それぞれの開度が制御される。スワール弁17は全開とされる。これにより、第1吸気ポート9Aだけでなく第2吸気ポート9Bが完全に開放されて、エンジンの充填効率が高められる。
[各燃焼態様における望ましい筒内流動]
本実施形態の燃焼室6内では、筒内流動として、少なくともタンブル流とスワール流とが発生する。即ち、上記で説明した通り、本実施形態の吸気ポート9(9A,9B)は、タンブル流を形成可能なタンブルポートである。また、スワール弁17の開閉により、スワール流を形成することができる。本実施形態にエンジンは、SI燃焼とSPCCI燃焼とが併用されるが、前者の燃焼態様ではタンブル流が肝要となり、後者の燃焼態様ではスワール流が肝要となる。
SI燃焼では、専ら高回転高負荷領域での燃焼であるため、熱効率を向上させることが求められる。熱効率の向上には、タンブル流を吸気行程から圧縮行程後期(圧縮上死点付近)まで維持させ、維持されたタンブル流を圧縮上死点付近で一気に乱流に変換することが望ましい。タンブル流の可及的な維持により、SI燃焼の火炎伝播を高速化することができ、熱効率の向上を実現することができる。
一方、SPCCI燃焼では、前段のSI燃焼により発生させた点火プラグ16付近の火炎(火種)を、燃焼室6の周縁の領域へ速く運ぶことが求められる。火種の周縁領域への運搬に貢献するのは、専らスワール流である。従って、スワール流を吸気行程から圧縮上死点付近で維持させることが望ましい。スワール流による火種の運搬効果により、筒内温度が高められ、後段のCI燃焼における圧縮着火を促進させることができる。以上の観点より、SI燃焼とSPCCI燃焼とを併用する本実施形態のエンジンでは、通常のガソリンエンジンやディーゼルエンジンとは異なり、タンブル流およびスワール流を、吸気行程から圧縮上死点付近まで維持させることが望ましい。
[ピストンの詳細構造]
続いて、図8~図11を参照して、ピストン5の構造、とりわけ冠面50の構造について詳細に説明する。本実施形態では、冠面50に、上述したタンブル流およびスワール流の双方を圧縮上死点付近まで維持させることを可能とする形状的工夫が施されている。図8は、図1および図2に示されたピストン5の斜視図、図9は、冠面50の平面図、図10は、図9のX-X線断面図、図11は、図9のXI-XI線断面図である。図8~図11では、説明の明確性を担保するため、XYZの方向表示を付している。Z方向は気筒軸AX方向、X方向はクランク軸7の延伸方向であるエンジン本体1の前後方向、Y方向はZ方向およびX方向の双方と直交する方向であって、吸気口と排気口との配列方向に各々相当する。各図には、エンジン本体1の設置方向におけるフロント側、リヤ側という意味においてF側(+X側)、R側(-X側)と、吸気ポート9および排気ポート10と各々対向する側であるという意味においてIN側(+Y側)、EX側(-Y側)との表記が付されている。
ピストン5は、ピストンヘッド5Aと、ピストンヘッド5Aの下方(-Z側)に連設されたスカート部5Sとを含む。ピストンヘッド5Aは円柱体からなり、燃焼室6の壁面の一部(底面)を形成する冠面50を上面に備えるとともに、気筒2の内壁面と摺接する側周面5Cとを備える。側周面5Cには、ピストンリングが嵌め込まれるリング溝が複数備えられている。スカート部5Sは、ピストンヘッド5Aの+Y側および-Y側に配置され、ピストン5の往復運動の際の首振り揺動を抑制する。ピストンヘッド5Aの下方には、X方向に延びるピン孔を区画するピストンボス5Bが設けられている。ピストンボス5Bのピン孔には、コネクティングロッド8との連結のためのピストンピンが挿通される。
冠面50は、燃焼室天井面6UとZ方向に対向する面である。冠面50は、その径方向(X方向およびY方向)の概ね中央部分に配置された椀状のキャビティ51を含む。キャビティ51は、インジェクタ15から燃料の噴射を受ける部分であって、冠面50が下方(-Z側)に凹設された部分である。なお、ここでの「凹設」とは、ペントルーフ形の燃焼室天井面6Uに沿う冠面形状を想定した場合において、径方向中央部分が凹没している意味合いであって、必ずしも冠面50においてキャビティ51が最も低い部分を構成していなくてもよい。
+Z側からの平面視において、冠面50におけるキャビティ51を囲む外周領域には、F側凸部52F、R側凸部52R、IN側平面部53、EX側平面部54、IN側斜面部55、およびEX側斜面部56が配置されている。F側凸部52Fはキャビティ51の+X側に、R側凸部52Rは-X側に、各々隣接する凸面である。IN側平面部53はキャビティ51の+Y側に、EX側平面部54は-Y側に、各々位置する平面である。IN側斜面部55は、キャビティ51の+Y側端縁とIN側平面部53との間に配置された斜面である。EX側斜面部56は、キャビティ51の-Y側端縁とEX側平面部54との間に配置された斜面である。
F側凸部52FおよびR側凸部52Rは、冠面50におけるキャビティ51とピストン5の側周面5C(外縁部)との間の外周領域において+Z方向(気筒軸方向)に突設されている。F側凸部52FおよびR側凸部52Rは、一対の斜面部521と稜線部522とによって各々構成されている。一対の斜面部521は、燃焼室天井面6Uのペントルーフ形状に沿う山形の傾斜面を形成している。稜線部522は、一対の斜面部521の頂部において、X方向に帯状に延びる平面である。図9に示すように、+Z側からの平面視(冠面50の上面視)において、キャビティ51はX方向が長軸である楕円形状を有している。つまり、キャビティ51は稜線部522の延在方向に幅広の楕円形状を備えている。また、F側凸部52FおよびR側凸部52Rは、キャビティ51の長軸と交差する略U字形の形状を有している。F側凸部52Fの外周側およびR側凸部52Rの外周側に各々隣接して、円弧状の帯状平面からなるF側平面部523FおよびR側平面部523Rが、各々配置されている。
IN側平面部53は、冠面50の+Y側外周縁(側周面5C)を弧とし、X方向に延びる直線を弦とする弓形の平面である。IN側平面部53は、ピストン5が圧縮上死点に向かう際、スキッシュ流が形成されるスキッシュエリアである。EX側平面部54は、冠面50の-Y側外周縁を弧とし、X方向に延びる直線を弦とする弓形の平面である。本実施形態では、EX側平面部54よりもIN側平面部53の方が広面積に設定されている。この面積差に応じて、F側・R側凸部52F,52Rの-Y側斜面部521の裾野が、+Y側斜面部521よりも長くなっている。なお、IN側平面部53、EX側平面部54、F側平面部523F、およびR側平面部523Rは、ほぼ同じの高さ位置にある平面である。これら平面のうちIN側平面部53は、冠面50の加工時において各部の高さ位置を定める基準面となる。
IN側斜面部55およびEX側斜面部56は、冠面50におけるキャビティ51の外周領域において、稜線部522の延在方向(X方向)と直交する方向(+Y、-Y方向)の位置に突設されている。IN側斜面部55は、IN側平面部53の弦の位置を立ち上がり位置として、冠面50の径方向内側(-Y側)に向かって+Z側にせり上がり、キャビティ51の+Y側端縁に至る傾斜面である。EX側斜面部56は、EX側平面部54の弦の位置を立ち上がり位置として、冠面50の径方向内側(+Y側)に向かって+Z側にせり上がり、キャビティ51の-Y側端縁に至る傾斜面である。
各斜面部521の裾野部分に対して、IN側斜面部55およびEX側斜面部56は高い位置に存在しており、両者の境界には段差部524が形成されている。この段差部524の形成によって凹没した部分は、吸気弁11および排気弁12との干渉を防止するバルブリセスとなる。言い換えると、IN側斜面部55は、一対の吸気弁11用のバルブリセス間に形成された隆起部、EX側斜面部56は、一対の排気弁12用のバルブリセス間に形成された隆起部である。
図11に示されているように、IN側斜面部55およびEX側斜面部56のせり上がり高さ(最も+Z側に突出した高さ位置)よりも、F側凸部52FおよびR側凸部52Rの稜線部522の高さは高い位置にある。また、IN側斜面部55よりもEX側斜面部56の方が、Y方向の長さが長い。両斜面55,56の傾斜角度は概ね同一であり、Y方向の長さが長い分だけ、EX側斜面部56の方が+Z側への突出高さも高い。
キャビティ51は、底部(中央底面)511、F側周壁521F、R側周壁521R、IN側周壁(吸気側底面)513、およびEX側周壁(排気側底面)514を備えている。底部511は、椀状に凹設されたキャビティ51の下方領域を構成する部分である。底部511は、-Z方向に緩く凹没した曲面からなり、その外周縁は+Z側からの平面視で略円形の形状を有している。底部511の径方向中央に、キャビティ51において-Z側に最も凹没した地点である最深部51Bが位置している。最深部51Bは、ピストン5の径方向の中心に対してややEX側にシフトした位置に存在している。F側周壁512Fは、底部511の+X側周縁からF側凸部52Fに向けて立ち上がる曲面である。R側周壁512Rは、底部511の-X側周縁からR側凸部52Rに向けて立ち上がる曲面である。F側周壁512FおよびR側周壁512Rの高さは、各稜線522の位置において最も高く、斜面部521の裾野に向かうに連れて徐々に低くなっている。また、F側周壁512FおよびR側周壁521Rが有する曲面の曲率半径Rf,Rrは、底部511の曲面の曲率半径Rよりも小さい。
IN側周壁513は、底部511の+Y側周縁からIN側斜面部55に向けて立ち上がる曲面である。EX側周壁514は、底部511の-Y側周縁からEX側斜面部56に向けて立ち上がる曲面である。IN側周壁513およびEX側周壁514が有する曲面の曲率半径Rin,Rexもまた、底部511の曲面の曲率半径Rよりも小さい。IN側のバルブリセス間の間隔がEX側のバルブリセス間の間隔よりも広いことから、IN側周壁513の方がEX側周壁514よりも周方向幅が長くなっている。
なお、本実施形態では、底部511とIN側周壁513およびEX側周壁514とが接している。
[キャビティの各種パラメータ]
図12は、キャビティ51に関連する各種パラメータを示す図である。図中には、FR周壁高さH1(隆起部の高さ)、IN側周壁高さH2、キャビティ径D、FR間周壁長さL、ボア径B、およびストロークSが示されている。FR周壁高さH1は、F側凸部52FまたはR側凸部52Rの高さ、言い換えるとF側周壁512FまたはR側周壁512Rの高さである。IN側周壁高さH2は、IN側斜面部55のせり上がり高さ、言い換えるとIN側周壁513の高さである。これらの高さH1,H2は、キャビティ51の最深部51B(所定の基準高さ位置)からの高さである。
キャビティ径Dは、キャビティ51における、最深部51Bを含む一定の曲率半径を有する外周縁の直径、本実施形態では底部511の外縁の直径である。FR間周壁長さLは、F側凸部52FとR側凸部52Rとの間の間隔、言い換えるとR側周壁512Rの最上部(稜線部522の内側エッジ)とF側周壁512Fの最上部との間の間隔である。ボア径Bは、図2に示した通り気筒2の内径であって、ピストン5の直径に相当する長さである。ストロークSは、TDC(上死点)~BDC(下死点)間にピストン5がZ方向に移動する長さである。
図10および図11には、キャビティ51の曲面形状に関するパラメータも示されている。これらの図中には、半径R,Rf,Rr,Rin,Rexが示されている。半径Rは、キャビティ51の底部511を形成する曲面の半径である。この半径Rにて凹没する領域の外周縁が、底部511と他の周壁512R,512F,513,514との境界であって、上面視で円形形状(その直径=キャビティ径D)を有している。半径RfはF側周壁512F、半径RrはR側周壁512Rを各々形成する曲面の半径である。キャビティ51のX方向断面においては、半径Rの領域(底部511)の+X側および-X側端部に、各々半径Rf,Rrの領域(F側周壁512F、R側周壁512R)が連設されている。また、半径RinはIN側周壁513、半径RexはEX側周壁514を各々形成する曲面の半径である。キャビティ51のY方向断面においては、半径Rの領域(底部511)の+Y側および-Y側端部に、各々半径Rin,Rexの領域(IN側周壁513、EX側周壁514)が連設されている。
[各パラメータ同士の比と得られる効果]
〈H1/D〉
FR周壁高さH1とキャビティ径Dとの関係については、次の2つの形態に分けて範囲が設定される。
(i)SPCCI燃焼のみ
上記高さH1と直径Dとの比であるH1/Dが、専らSPCCI燃焼においてスワール流を圧縮行程の後期まで維持させるという観点からは、
H1/D=0.05~0.36
の範囲に設定される。
上記関係を満たすことで、冠面50に開口径の大きいキャビティ51を配置することができ、スワール流を維持させ易くなるとともに、F側凸部52FおよびR側凸部52Rが適度な高さH1を有することで、キャビティ51の底部511の外周縁領域においてスワール流をガイドさせることができる。
(ii)SPCCI燃焼+SI燃焼
次に、SI燃焼とSPCCI燃焼とを併用し、SPCCI燃焼においてスワール流を圧縮行程の後期まで維持させるとともに、高回転のSI燃焼においてタンブル流を圧縮行程の後期まで維持させるという観点からは、
H1/D=0.050~0.235
の範囲に設定される。
上記関係を満たすことで、タンブル流も適度な高さH1を有するF側凸部52FおよびR側凸部52Rによってガイドされ、キャビティ51内に集まり易くすることができる。
〈H1/H2〉
FR周壁高さH1とIN側周壁高さH2とは、次の2つの形態に分けて範囲が設定される。
(i)SPCCI燃焼のみ
専らSPCCI燃焼におけるスワール流の維持を考慮する場合には、
H1/H2=1.79~3.29
の範囲に設定される。
上記関係を満たすことで、F側凸部52FおよびR側凸部52RとIN側斜面部55との高さ比が適正化され、スワール流がIN側斜面部55(IN側周壁513)の領域で良好にガイドされるようになり、スワール流がキャビティ51内において維持させ易くなる。
(ii)SPCCI燃焼+SI燃焼
また、SI燃焼とSPCCI燃焼との併用においてスワール流およびタンブル流の維持を考慮する場合には
H1/H2=1.92~2.75
の範囲に設定される。
上記関係を満たすことにより、IN側斜面部55よりも高いF側凸部52FおよびR側凸部52Rによってタンブル流がキャビティ51内へガイドされるので、タンブル流の維持効果を高めることができる。
〈B/D〉
キャビティ径Dとボア径Bとの関係については、次の2つの形態に分けて範囲が設定される。
(i)SPCCI燃焼のみ
専らSPCCI燃焼におけるスワール流の維持を考慮する場合には
B/D=1.19~2.94
の範囲に設定される。
1.19≦B/Dとすることにより15以上の幾何学的圧縮比を実現することができる。また、B/D≦2.94とすることにより3.45以上のスワール比を実現することができる。
(ii)SPCCI燃焼+SI燃焼
また、SI燃焼とSPCCI燃焼との併用においてスワール流およびタンブル流の維持を考慮する場合には、
B/D=1.19~2.20
の範囲に設定される。
1.19≦B/Dとすることにより15以上の幾何学的圧縮比を実現することができる。また、B/D≦2.20とすることにより、3.45以上のスワール比と、1.79以上のタンブル比とを実現することができる。
〈B/L〉
FR間周壁長さLとボア径Bとの関係についても、次の2つの形態に分けて範囲が設定される。
(i)SPCCI燃焼のみ
専らSPCCI燃焼におけるスワール流の維持を考慮する場合には、
B/L=1.0より大きい~2.86
の範囲に設定される。
(ii)SPCCI燃焼+SI燃焼
また、SI燃焼とSPCCI燃焼との併用においてスワール流およびタンブル流の維持を考慮する場合には、
B/L=1.0より大きい~1.52
の範囲に設定される。
〈R/Rin〉
キャビティ51の底部511の曲率半径Rと、IN側周壁513の曲率半径Rinとの関係については、次の2つの形態に分けて範囲が設定される。
(i)SPCCI燃焼のみ
専らSPCCI燃焼におけるスワール流の維持を考慮する場合には、
R/Rin=1.0より大きい~78.0
の範囲に設定される。
(ii)SPCCI燃焼+SI燃焼
また、SI燃焼とSPCCI燃焼との併用においてスワール流およびタンブル流の維持を考慮する場合には、
R/Rin=1.0より大きい~14.5
の範囲に設定される。
〈R/Rf/R、R/Rr〉
キャビティ51の底部511の曲率半径Rと、F側周壁512FおよびR側周壁512Rの曲率半径Rf,Rrとの関係については、次の2つの形態に分けて範囲が設定される。
(i)SPCCI燃焼のみ
専らSPCCI燃焼におけるスワール流の維持を考慮する場合には、
R/Rf=1.0より大きい~64.0
R/Rr=1.0より大きい~64.0
の範囲に設定される。
(ii)SPCCI燃焼+SI燃焼
また、SI燃焼とSPCCI燃焼との併用においてスワール流およびタンブル流の維持を考慮する場合には、
R/Rf=1.0より大きい~12.0
R/Rr=1.0より大きい~12.0
の範囲に設定される。
〈R/B〉
キャビティ51の底部511の半径Rと、ボア径Bの関係については、次の2つの形態に分けて範囲が設定される。
(i)SPCCI燃焼のみ
専らSPCCI燃焼におけるスワール流の維持を考慮する場合には、
R/B=0.0より大きい~2.42
の範囲に設定される。
上記のように、0.0<R/Bとする、言い換えるとキャビティ51の底部511を平面ではなく凹没された曲面とすることにより、燃焼室6内で発生したスワール流をキャビティ51内にガイドすることができる。よって、0.0<R/Bとすることにより3.45以上のスワール比を実現することができ、SPCCI燃焼におけるスワール流を圧縮行程の後期まで維持することができる。
また、上記のように、R/B≦2.42とすることにより、15以上の幾何学的圧縮比を実現することができる。
従って、上記のような範囲でR/Bを設定することにより、幾何学的圧縮比が15以上の高圧縮比エンジンにおいて、SPCCI燃焼におけるスワール流を圧縮行程の後期まで維持することで、高い燃焼効率を実現することができる。
(ii)SPCCI燃焼+SI燃焼
また、SI燃焼とSPCCI燃焼との併用においてスワール流およびタンブル流の維持を考慮する場合には、
R/B=1.06~2.42
の範囲に設定される。
上記のように、1.06<R/Bとすることにより、3.45以上のスワール比を実現することができるとともに、1.79以上のタンブル比も実現することができる。
また、上記のように、R/B≦2.42とすることにより、15以上の幾何学的圧縮比を実現することができる。
従って、上記のような範囲でR/Bを設定することにより、幾何学的圧縮比が15以上の高圧縮比エンジンにおいて、圧縮行程の後期までスワール流およびタンブル流を維持し、低回転域から高回転域までSPCCI燃焼を実現する上で必要となるスワール比およびタンブル比を確保することで、高い燃焼効率を実現することができる。
なお、R/Bの設定については、後述する。
[筒内流動についての説明]
以下、本実施形態に係るキャビティ51を有するピストン5が用いられた場合の筒内流動について、図13~図18を参照して説明する。図13~図15では、図5の第3運転領域(SI燃焼)において慣用となるタンブル流が維持される状況が示されている。図16~図18では、第1・第2運転領域(SPCCI燃焼)において慣用となるスワール流が維持される状況が示されている。図13、図14、図16、図17では、気筒2が簡略的に示されているとともに、ピストン5、インジェクタ15、および点火プラグ16の位置関係が示されている。
〈タンブル流〉
図13(A)~(D)は、SI燃焼の吸気行程におけるタンブル流の流動を模式的に示す図である。ここでは、タンブル比=2(排気TDC~圧縮TDCの間にタンブル流が2回転する)である例を示す。図13(A)は、ピストン5が排気TDCの位置にある状態を示している。この状態では、吸気弁11は開いておらず、吸気ポート9から新気は気筒2(燃焼室6)に流入していない。
図13(B)は、ピストン5が排気TDCから45deg程度下降した状態を示している。この状態では吸気弁11は開かれ、ピストン5の下降に伴う圧力低下により、新気が吸気ポート9から気筒2(燃焼室6)に流入する。既述の通り吸気ポート9はタンブルポートの形状を有しているので、新気の流入によって気筒2内にはタンブル流Ftが発生する。タンブル流Ftは、中央タンブル流Ftcと外縁タンブル流Tteとを含む。中央タンブル流Ftcは、キャビティ51の径方向中央領域に向かう比較的強い流動である。外縁タンブル流Fteは、中央タンブル流Ftcの両サイドに発生する流動であって、キャビティ51の径方向周縁領域に向かう比較的弱い流動である。SI燃焼ではスワール弁17が全開とされるので、新気は2つの吸気ポート9A,9Bから気筒2に流入する。これら2つの新気流入により、径方向中央領域では比較的強い中央タンブル流Ftcが発生するものである。
図13(C)は、ピストン5が排気TDCから90deg下降した状態である。タンブル流Ftは、キャビティ51内に入り込んでいる。詳しくは、中央タンブル流Fteは径方向周縁領域に入り込んでいる。図13(D)は、ピストン5が排気TDCから135deg程度下降した状態である。中央タンブル流Ftcおよび外縁タンブル流Fteの双方とも、キャビティ51にガイドされるようにして、流動方向を上向きに反転させている。なお、インジェクタ15は、図6に例示した通り、吸気行程において運転シーンに応じたタイミングで、燃料を噴射する。
図14(A)~(D)は、圧縮行程におけるタンブル流Ftの流動を模式的に示す図である。図14(A)は、ピストン5が吸気BDCの位置にある状態を示している。吸気BDC付近で吸気弁11は閉じられ、燃焼室6内の混合気は圧縮され始める。この段階ではタンブル流Ftは、燃焼室天井面6Uに向かうように流動している。
図14(B)は、ピストン5が吸気BDCから45deg程度上昇した状態を示している。タンブル流Ftは、燃焼室天井面6Uにガイドされるようにして、流動方向を下方向に反転させている。再び、中央タンブル流Ftcはキャビティ51の径方向中央領域に、外縁タンブル流Fteは径方向周縁領域に、各々向かっている。
図14(C)は、ピストン5が吸気BDCから90deg上昇した状態である。中央タンブル流FTcはキャビティ51の径方向中央領域に、外縁タンブル流Fteは径方向周縁領域に各々入り込み、キャビティ51でガイドされている。図14(D)は、ピストン5が吸気BDCから135deg程度上昇した状態である。圧縮行程の後期に至っても、キャビティ51が広い面積および容積を具備し、且つ、上述のH1/H2の関係を満たす高さのF側凸部52FおよびR側凸部52Rを具備していることから、タンブル流Ftは維持される。ただし、燃焼室6の外縁タンブル流Fteは消失気味となり、専ら中央タンブル流Ftcが残存する。なお、点火プラグ16は、図6に例示した通り、圧縮行程において運転シーンに応じたタイミングで、混合気に点火する。
図15(A)は、図14(D)の状態に相当する、燃焼室6の模式的な断面図(気筒軸を含み、吸気口と排気口との配列方向に沿った面での断面図)である。図15(B)は、図14(D)の状態からピストン5の上昇がさらに進んだ、圧縮TDCにおける燃焼室6の模式的な断面図(気筒軸を含み、吸気口と排気口との配列方向に沿った面での断面図)である。図15(A)に示す圧縮行程の後期の状態では、上述の通り、タンブル流Ftは維持されている。
その後、図15(B)に示すように、圧縮TDCに至ると、タンブル流Ftが一気に乱流Tuに変換される。乱流Tuは、タンブル流Ftの形態で層流をなしていた混合気が、燃焼室6の空間縮小に伴って行き場を失い、混合気の各ガス成分がランダムな方向に移動することによって生じる。この時点では、ほぼタンブル流Ftは消失している。タンブル流Ftを可及的に維持して圧縮TDC付近で一気に乱流Tuに変換することで、SI燃焼の火炎伝播が高速化され、熱効率が向上する。このようなタンブル流Ftの可及的な維持に、R/Bを上述の関係を満たすように設定する本実施形態に係るキャビティ51は貢献している。
〈スワール流〉
図16(A)~(D)は、吸気行程におけるスワール流の流動を模式的に示す図である。図16(A)は、ピストン5が排気TDCの位置にある状態を示している。この状態では、吸気弁11は開いておらず、吸気ポート9から新気は気筒2(燃焼室6)に流入していない。既述の通り、SPCCI燃焼においてスワール流の形成が必要とされる際、スワール弁17の開度が制限され、新気は専ら吸気ポート9Aから導入される(図3)。
図16(B)は、ピストン5が排気TDCから45deg程度下降した状態を示している。この状態では吸気弁11は開かれ、ピストン5の下降に伴う圧力低下により、新気が吸気ポート9Aから気筒2に流入する。このため、燃焼室6内でスワール流Fsが生じる。ここで、吸気ポート9はタンブルポートであるので、スワール流Fsはタンブル流の影響を受けて斜め下方向に下降する斜めスワール流となる。
図16(C)は、ピストン5が排気TDCから90deg下降した状態である。スワール流Fsは、斜め下向きに大きく旋回しながら、キャビティ51に向かって進行している。図16(D)は、ピストン5が排気TDCから135deg程度下降した状態である。スワール流Fsの一部は、キャビティ51内に入り込み、当該キャビティ51にガイドされながら旋回している。
図17(A)~(D)は、圧縮行程におけるスワール流Fsの流動を模式的に示す図である。図17(A)は、ピストン5が吸気BDCの位置にある状態を示している。吸気BDC付近で吸気弁11は閉じられ、燃焼室6内の混合気は圧縮され始める。この段階ではスワール流Fsは、キャビティ51によるガイド効果も相俟って、旋回しながら燃焼室天井面6Uに向けて斜め上方向に流動している。
図17(B)は、ピストン5が吸気BDCから45deg程度上昇した状態を示している。スワール流Fsは、燃焼室天井面6Uにガイドされるようにして、流動方向を斜め下方向に反転させて旋回している。これにより、再びスワール流Fsはキャビティ51に向かうことになる。
図17(C)は、ピストン5が吸気BDCから90deg上昇した状態である。この圧縮行程中期まで、スワール流Fsは斜めスワール流の状態を維持している。スワール流Fsの一部は、キャビティ51に入り込み、当該キャビティ51でガイドされている。図17(D)は、ピストン5が吸気BDCから135deg程度上昇した状態である。圧縮行程の後期に至ると、燃焼室6の容積が小さくなることに伴い、スワール流Fsは斜め成分がほぼ消失した横スワール流の状態となる。
図18(A)は、図17(D)の状態に相当する、燃焼室6内におけるスワール流Fsの発生状態を示す模式図である。図18(B)は、圧縮TDCでの燃焼室6内におけるスワール流Fsの発生状態を示す模式図である。図18(A)に示す圧縮行程の後期の状態では、キャビティ51内およびキャビティ51の外周側においてスワール流Fsが維持されている。
その後、図18(B)に示すように、圧縮TDCに至ると、キャビティ51の外周側のスワール流Fsは消失するものの、キャビティ51内においてはスワール流Fsが維持される。スワール流Fsを圧縮TDC付近まで維持することで、前段のSI燃焼を企図して点火プラグ16付近で生じさせた火種を燃焼室6の周縁領域へ運搬させ、後段のCI燃焼における圧縮着火を促進させることができる。
[R/Bの好適な範囲]
キャビティ51における、底部511の曲面の曲率半径Rと、ピストン5の直径(ボア径)Dの好適な範囲について、図19および図20を用いて説明する。
図19(A)は、R/Bとスワール比との関係を示す効果図である。図19(A)に示すように、R/Bが大きくなるほどスワール比は上昇する。ここで、低回転域から高回転域までSPCCI燃焼を実現する上で3.45以上のスワール比を確保することが必要となるが、図19(A)に示す通り、R/Bを“0.0”よりも大きくすることにより、これを達成することができる。即ち、キャビティ51の底部511を平面ではなく凹没された曲面とすることにより、燃焼室6内で発生したスワール流をキャビティ51内にガイドすることができ、3.45以上のスワール比を実現することができる。
図20は、R/Bと幾何学的圧縮比との関係を示す効果図である。図20に示すように、R/Bが大きくなるほど幾何学的圧縮比は低下する。そして、15以上の幾何学的圧縮比を確保するためには、R/Bを“2.42”以下とすればよいことが分かる。
以上より、混合気の一部を火花点火によりSI燃焼させるとともに、その他の混合気を自着火によりCI燃焼させる部分圧縮着火燃焼を行う場合においては、0.0<R/B≦2.42の範囲で設定することにより、スワール流をキャビティ51内にガイドし易くなり、3.45以上のスワール比を実現することができるとともに、15以上の幾何学的圧縮比の高圧縮比エンジンにおいて、圧縮行程の後期までスワール流を維持することができる。
図19(B)は、R/Bとタンブル比との関係を示す効果図である。図19(B)に示すように、R/Bが大きくなるほどタンブル比も上昇する。ここで、低回転域から高回転域までSPCCI燃焼を実現するためには、上記のように3.45以上のスワール比を確保するとともに、1.79以上のタンブル比を確保することが必要となる。図19(B)に示すように、R/Bを“1.06”以上とすることにより、これを達成することができる。
以上より、混合気を火花点火により燃焼させるSI燃焼と、混合気の一部を火花点火によりSI燃焼させるとともにその他の混合気を自着火によりCI燃焼させる部分圧縮着火燃焼と、を併用する場合においては、1.06≦R/B≦2.42の範囲で設定することにより、スワール流およびタンブル流をキャビティ51内にガイドし易くなり、3.45以上のスワール比および1.79以上のタンブル比を実現することができるとともに、15以上の幾何学的圧縮比の高圧縮比エンジンにおいて、圧縮行程の後期までスワール流およびタンブル流を維持することができる。
[変形例]
上記実施形態では、キャビティ51における底部511について、+Z側からの平面視で略円形の形状を有することとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、楕円形や長円形などの形状や、一部に角を有する形状などを採用することもできる。
また、上記実施形態では、気筒軸AXを含みX方向に沿った断面において、キャビティ51の底面を底部511とF側周壁512FとR側周壁512Rとの3つの部位で構成することとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、底部511とF側周壁512FおよびR側周壁512Rとを含む4つ以上の部位で底面を構成することなども可能である。
また、上記実施形態では、キャビティ51の底面において、底部511とF側周壁512FおよびR側周壁512Rとがそれぞれ接することとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではなく、接しないこととしてもよい。
また、上記実施形態では、IN側平面部53の面積がEX側平面部54の面積よりも大面積であることとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、IN側平面部の面積とEX側平面部の面積とを略同じとすることや、EX側平面部の面積をIN側平面部の面積よりも大面積とすることとしてもよい。
また、上記実施形態では、IN側平面部53およびEX側平面部54をともにZ方向に直交する平面で構成することとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、斜面で構成したり、曲面で構成したりすることも可能である。
また、上記実施形態では、燃焼室天井面6Uを扁平なペントルーフ形で構成することとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、より高いレシオのペントルーフ形とするもできる。これによってより強いタンブル流を形成するのに優位となる。
また、上記実施形態では、吸気ポート9のうちの一方の吸気ポート(第2吸気ポート)9Bにだけスワール弁17を設けることとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、スワール弁を設けない構成や、両方の吸気ポートにスワール弁を設ける構成を採用してもよい。
1 エンジン本体
2 気筒
5 ピストン
5A ピストンヘッド
50 冠面
51 キャビティ
511 底部(中央底面)
6 燃焼室
6U 燃焼室天井面
9 吸気ポート
10 排気ポート
15 インジェクタ
16 点火プラグ
20 ECU
R 底部の曲面の曲率半径
B ピストンの直径(ボア径)

Claims (4)

  1. ピストンの冠面と、前記ピストンが摺動可能に収容された気筒の内壁面と、ペントルーフ形の天井面とによって区画される燃焼室を有し、当該燃焼室の幾何学的圧縮比が15以上であって、混合気の一部を火花点火によりSI燃焼させるとともにその他の混合気を自着火によりCI燃焼させる部分圧縮着火燃焼を行うエンジンの燃焼室構造であって、
    前記天井面は、吸気口と排気口とを備え、
    前記冠面は、
    椀状に凹設されてなるキャビティと、
    前記吸気口と前記排気口との配列方向に対して直交する方向における、前記キャビティと前記冠面の外縁部との間の外周領域に、気筒軸方向に突設され、前記天井面のペントルーフ形状に沿った山形形状を有するとともに、前記気筒軸方向からの平面視でそれぞれが弧形状を有する一対の隆起部と、
    を備え、
    前記ピストンを、前記キャビティの最深部を含み、前記直交する方向に沿った面で断面視する場合に、前記キャビティの底面は、前記キャビティの前記最深部とその周辺を含む中央底面と、前記中央底面に対して前記直交する方向の一方側に配置された一方側底面と、前記中央底面に対して前記直交する方向の他方側に配置された他方側底面と、を有し、
    前記一方側底面は、前記中央底面の外周縁から前記一対の隆起部の内の一方における前記天井面側の尾根部まで延設され、且つ、前記中央底面よりも小さな曲率半径の凹曲面で構成されており、
    前記他方側底面は、前記中央底面の前記外周縁から前記一対の隆起部の内の他方における前記天井面側の尾根部まで延設され、且つ、前記中央底面よりも小さな曲率半径の凹曲面で構成されており、
    前記中央底面の曲面の曲率半径をR、前記ピストンの直径をBとするとき、
    0.70≦R/B≦2.42の関係を満たす、
    エンジンの燃焼室構造。
  2. 請求項1に記載のエンジンの燃焼室構造において、
    前記中央底面の前記外周縁は、前記気筒軸方向からの平面視で円形であって、
    前記中央底面の外周縁の直径をDとするとき、
    1.19≦B/D≦2.94の関係を満たす、
    エンジンの燃焼室構造。
  3. ピストンの冠面と、前記ピストンが摺動可能に収容された気筒の内壁面と、ペントルーフ形の天井面とによって区画される燃焼室を有し、当該燃焼室の幾何学的圧縮比が15以上であって、混合気を火花点火により燃焼させるSI燃焼と、混合気の一部を火花点火によりSI燃焼させるとともにその他の混合気を自着火によりCI燃焼させる部分圧縮着火燃焼と、を併用して行うエンジンの燃焼室構造であって、
    前記天井面は、吸気口と排気口とを備え、
    前記冠面は、
    椀状に凹設されてなるキャビティと、
    前記吸気口と前記排気口との配列方向に対して直交する方向における、前記キャビティと前記冠面の外縁部との間の外周領域に、気筒軸方向に突設され、前記天井面のペントルーフ形状に沿った山形形状を有するとともに、前記気筒軸方向からの平面視でそれぞれが弧形状を有する一対の隆起部と、
    を備え、
    前記ピストンを、前記キャビティの最深部を含み、前記直交する方向に沿った面で断面視する場合に、前記キャビティの底面は、前記キャビティの前記最深部とその周辺を含む中央底面と、前記中央底面に対して前記直交する方向の一方側に配置された一方側底面と、前記中央底面に対して前記直交する方向の他方側に配置された他方側底面と、を有し、
    前記一方側底面は、前記中央底面の外周縁から前記一対の隆起部の内の一方における前記天井面側の尾根部まで延設され、且つ、前記中央底面よりも小さな曲率半径の凹曲面で構成されており、
    前記他方側底面は、前記中央底面の前記外周縁から前記一対の隆起部の内の他方における前記天井面側の尾根部まで延設され、且つ、前記中央底面よりも小さな曲率半径の凹曲面で構成されており、
    前記中央底面の曲面の曲率半径をR、前記ピストンの直径をBとするとき、
    1.06≦R/B≦2.42の関係を満たす、
    エンジンの燃焼室構造。
  4. 請求項3に記載のエンジンの燃焼室構造において、
    前記中央底面の前記外周縁は、前記気筒軸方向からの平面視で円形であって、
    前記中央底面の外周縁の直径をDとするとき、
    1.19≦B/D≦2.20の関係を満たす、
    エンジンの燃焼室構造。
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