JP7155542B2 - 水中油型乳化組成物、及び該水中油型乳化組成物の製造方法 - Google Patents

水中油型乳化組成物、及び該水中油型乳化組成物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、水中油型乳化組成物、及び該水中油型乳化組成物の製造方法に関する。
食品分野の乳化には、従来から乳化剤・界面活性剤を用いた乳化が利用されている。乳化剤・界面活性剤による乳化は、熱力学的に不安定であるために、高温での殺菌工程に対する安定性や長期保存安定性を確保するためには、例えば、水中油型乳化組成物(O/W型)の油滴粒子径をサブミクロンレベルまで下げる必要があった。
しかし、近年食品分野においては、食欲に通じる見た目、風味(味覚、嗅覚による感覚を刺激するもの)、食感、疾患や健康志向による成分へのこだわり等のニーズが増加している。そこで、従来の乳化剤・界面活性剤を用いた乳化組成物とは異なるエマルションサイズや構造を有する乳化組成物を調製し得る乳化手法が求められている。乳化剤・界面活性剤による乳化以外の手法として、近年、微粒子安定化エマルション(ピッカリングエマルション)や三相乳化法の研究が活発に行われている。
微粒子安定化エマルションとして、食品や化粧品分野では特許文献1に記載された方法や特許文献2に記載された方法、特許文献3に記載された方法が開示されている。三相乳化法として、特許文献4に記載された方法が開示されている。
しかし、例えば、乳化組成物を食品用途に使用する際には、殺菌時の高温加熱に耐え得る耐熱性の付与が必要とされる。また、食感や見た目、触感、粘度、安定性等に影響を及ぼす粒子径の制御は、食品及び医薬品等の経口材料においては重要な項目である。それにも関わらず、加熱前後でのエマルションの粒子径分布の変化の有無について、特許文献1にも特許文献2にも触れられていない。
特許文献2の方法では、コーヒー豆由来の味や匂いが食品に対し影響することが容易に想像でき、特に使用するコーヒー豆が焙煎されている場合は、濃く暗い色を呈していることも影響し、使用する用途に制限が生じる。食品を所望の味、色、匂いに調整しようとすると、多くの調味素材や、着色料及び香料を添加することとなり、製造時の工程数増加と添加物量増加が予想でき、製造の煩雑性やコスト増加に繋がる。また、焙煎コーヒー豆を使用した場合は、焙煎時に生じる有害な化学物質である、アクリルアミドを摂食することに対する懸念もあった。また、特許文献4の方法では、油滴の安定化に使用するバイオポリマーに対して単粒子化させる工程を必要としていた。
さらに、パラフィン等の工業用途に使用する油相成分と比べて、エステル系の油相成分や食用油脂は極性が高く、組成分布や純度等の問題からも、適切な濡れ性の粒子を選定することが難しく、微粒子安定化技術を用いた乳化組成物の安定化が難しかった。また、食用油脂以外の油相成分を用いた場合は、人体にとって有害であるか、あるいは有害でなくても、味質の面で充分な水中油型乳化組成物を調製することが困難であった。
また、食物でアレルギーを発症する食物アレルギーの患者が低年齢層を中心に増加してきている。食物アレルギーの症状は、皮膚の痒みや炎症、アナフィラキシーショックのような死に至る重篤な症状を引き起こす可能性もあり、危険性が高い。そのため、食品素材として極力アレルゲン物質を含まない素材が求められている。特に、乳アレルギー対応では、食品原材料として乳由来タンパク質、特にアレルゲン性が強いカゼインや乳清タンパク質であるβ-ラクトグロブリンを避ける必要があった。
特表2014-505673号公報 特表2016-501548号公報 特開2004-002275号公報 特開2006-239666号公報
油脂 Vol.65, No4 (2012), 94-102
不飽和結合及び/又は酸素原子を有する油相成分を用いた水中油型乳化物、例えば食用油脂を用いた水中油型乳化物において、油滴同士の合一の抑制や、合一に繋がるクリーミングの抑制、針状結晶成長による界面破壊の結果生じる乳化不安定性は大きな課題である(非特許文献1)。
本発明では、殺菌等の高温工程を経ても乳化安定性を保持し(耐熱性)、加熱前後での粒子径分布の変化が小さい乳化組成物を提供することを第1の課題とする。また、殺菌等の高温工程を経ても乳化組成物の部分構造が、糊化によって変化せず、乳化安定性を保持し(耐熱性)、加熱前後での粒子径分布の変化が小さい乳化組成物を提供することを第2の課題とする。また、油相成分が状態変化する場合であっても(例えば、降温により油相成分の凝固、結晶化、表面張力変化がおこる。昇温により油相成分の融解、表面張力変化がおこる。)、乳化安定性が保持(降温耐性)される組成物を提供することを第3の課題とする。さらにその組成物を飲食した際に、人体への有害性がなく、味質としても好適で、特に同量の油脂含有量でも油感(オイル感、ファット感)が強く、飲食品の油脂含有量低減に寄与できる組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究をすすめ、固体粒子を含有する乳化組成物であって、該固体粒子は、水相成分との特定の接触角を有し、かつ、油相成分との特定の接触角を有する固体粒子であることで、上記課題を解決できることに想到し、本発明を見出した。
すなわち、本発明は以下を要旨とする。
[1]固体粒子、油相成分、及び水相成分を有し、前記固体粒子に対する前記水相成分の接触角が90.0度以下であり、前記固体粒子に対する前記油相成分の接触角が8.0度以上であり、乳化組成物中の油相の平均径が100μm以下であり、前記油相成分と前記水相成分との界面に前記固体粒子が存在する、水中油型乳化組成物。
[2]固体粒子が、澱粉を主たる固体粒子として含有しないことを特徴とする、[1]に記載の水中油型乳化組成物。
[3]前記固体粒子の色の明度を示すL値が31以上であることを特徴とする、[1]又は[2]に記載の水中油型乳化組成物。
[4]前記固体粒子の平均粒子径が0.01μm以上10μm以下である、[1]から[3]のいずれかに記載の水中油型乳化組成物。
[5]水相と油相の界面に存在する固体粒子の平均粒子径が0.01μm以上5μm以下である、[1]から[4]のいずれかに記載の水中油型乳化組成物。
[6]121℃加熱前後における水中油型乳化組成物のメジアン径(D50)の変化が、加熱前の水中油型乳化組成物のメジアン径(D50)を100%として、加熱後のメジアン径(D50)が±30%以下である、[1]から[5]のいずれかに記載の水中油型乳化組成物。
[7]前記乳化組成物中の油相に、中鎖脂肪酸、色素、香料のうちの少なくとも1種を含
む[1]から[6]のいずれかに記載の水中油型乳化組成物。
[8]前記油相成分が食用油脂を含む[1]から[7]のいずれかに記載の水中油型乳化組成物。
[9]経口摂取用であることを特徴とする[1]から[8]のいずれかに記載の水中油型乳化組成物。
[10]食品用であることを特徴とする[1]から[9]のいずれかに記載の水中油型乳化組成物。
[11]水相成分に固体粒子を分散し、水相を得る第1ステップ、第1ステップで得られた水相と、油相成分と、を混合し、得られた混合物を撹拌する第2ステップ、を含むことを特徴とする[1]から[10]のいずれかに記載の水中油型乳化組成物の製造方法。
[12]油相成分に固体粒子を分散し、油相を得る第1’ステップ、第1’ステップで得られた油相と、水相成分と、を混合し、得られた混合物を撹拌する第2’ステップ、を含むことを特徴とする[1]から[10]のいずれかに記載の水中油型乳化組成物の製造方法。
[13]水相成分及び油相成分のそれぞれに、固体粒子を分散し、水相及び油相を得る第1”ステップ、第1”ステップで得られた水相と油相とを混合し、得られた混合物を攪拌する第2”ステップ、を含むことを特徴とする[1]から[10]のいずれかに記載の水中油型乳化組成物の製造方法。
本発明によれば、殺菌等の高温工程を経ても乳化安定性を保持し(耐熱性)、加熱前後での粒子径分布の変化が小さい乳化組成物を提供できる。また、殺菌等の高温工程を経ても乳化組成物の部分構造が、糊化によって変化せず、乳化安定性を保持し(耐熱性)、加熱前後での粒子径分布の変化が小さい乳化組成物を提供できる。また、油相成分が状態変化する場合であっても(例えば、降温により油相成分の凝固、結晶化、表面張力変化がおこる。昇温により油相成分の融解、表面張力変化がおこる。)、乳化安定性が保持(降温耐性)される組成物を提供できる。さらにその組成物を飲食した際に、人体への有害性がなく、味質としても好適で、特に同量の油脂含有量でも油感(オイル感、ファット感)が強く、飲食品の油脂含有量低減に寄与できる組成物を提供できる。
また、本発明の水中油型乳化組成物を用いた、飲料・液状食品等の食品、液状の経口組成物等の医薬品、化粧品、造影剤やPOCTに有効な検査キット等の診断用組成物、医療用材料、及び、微粒子作製用組成物、並びに、それらを製造する中間組成物を提供できる。
実施例で使用した固体粒子サンシールSS-03のSEM画像である(図面代用写真)。 実施例で使用した疎水化処理した固体粒子サンシールSS-03のSEM画像である(図面代用写真)。 実施例で使用した固体粒子サンシールSSP-03MのSEM画像である(図面代用写真)。 実施例で調製した加熱前の乳化組成物Cの、顕微鏡写真である(図面代用写真)。 実施例で調製した乳化組成物Cを、121℃30分加熱した後の、顕微鏡写真である(図面代用写真)。 実施例で調製した乳化組成物Hの偏光顕微鏡画像である(図面代用写真)。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施形態の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容
に限定されない。
本発明の実施形態に係る水中油型乳化組成物は、固体粒子、油相成分、及び水相成分を含有する。そして、前記油相成分と前記水相成分との界面に前記固体粒子が存在する構造を有する水中油型乳化組成物である。
具体的には、固体粒子、油相成分、及び水相成分を有し、
前記固体粒子に対する前記水相成分の接触角が90.0度以下であり、
前記固体粒子に対する前記油相成分の接触角が8.0度以上であり、
乳化組成物中の油相の平均径が100μm以下であり、
前記油相成分と前記水相成分との界面に前記固体粒子が存在する、水中油型乳化組成物である。
本明細書において水中油型乳化組成物とは、連続相を水相とするいわゆるO/W型の水中油型乳化組成物に加え、W/O/W型乳化物等の多層乳化物も含む。また、油相成分と水相成分との界面に固体粒子が存在することは、クライオ走査型電子顕微鏡(Cryo-SEM)等による水中油型乳化組成物の断面観察で確認できる。断面を観察する方法としては、通常用いられる方法であれば特に限定されないが、例えば、水中油型乳化組成物をメタルコンタクト法等の急速凍結法により急速凍結させた後、光学顕微鏡用ダイヤモンドナイフを用いてクライオミクロトームで断面を作製し、Cryo-SEMで試料断面の観察を行い、観察することができる。
本実施形態の水中油型乳化組成物に含有される固体粒子は、使用する水相成分及び油相成分に溶解せずに分散可能であり、水相成分及び/又は油相成分に該固体粒子を添加した後にも、水相及び/又は油相を撹拌することができるものであれば任意の固体粒子を用いることができる。ここで、分散可能とは、顕微鏡で観察した際に極端に大きな凝集塊(数百μm~数mmオーダーの塊)がない状態、且つ攪拌した場合に流動性のある状態を指す。固体粒子の例としては無機物、有機物、有機-無機複合体、等があげられる。
本実施形態において用いられる固体粒子は、固体粒子に対する水相成分の接触角が90.0度以下である。好ましくは水相成分の接触角が80.0度以下、特に好ましくは40.0度以下である。水相成分の接触角が上記上限以下の固体粒子を用いることで、油相成分と水相成分との界面に固体粒子が存在する構造を形成しやすい。固体粒子に対する水相成分の接触角の下限に制限は無いが、通常0度以上であり、好ましくは5.0度以上、より好ましくは10.0度以上である。
さらに固体粒子は、固体粒子に対する後述する油相成分の接触角が8.0度以上のものが用いられる。好ましくは油相成分の接触角が9.0度以上、より好ましくは10.0度以上である。油相成分の接触角が上記下限以上の固体粒子を用いることで、油相成分と水相成分との界面に固体粒子が存在する構造を形成しやすい。固体粒子に対する油相成分の接触角の上限値は、通常180.0度未満であり、好ましくは120.0度以下、より好ましくは90.0度以下、さらに好ましくは60.0度以下、特に好ましくは30.0度以下である。
本実施形態に係る水中油型乳化組成物では、油相成分と水相成分との界面に固体粒子が存在する構造を有するが、乳化構造を形成する水相成分および油相成分と特定の接触角の関係を有する固体粒子を用いることで、加熱前後であっても粒子径が制御された、耐熱性及び降温耐性のある水中油型乳化組成物の提供をすることができる。
なお、油相成分と水相成分との界面に固体粒子が存在する構造とは、固体粒子が油相成分と水相成分との界面に吸着している構造を指す。それによって、油相を水相中に分散せしめることが可能であり、いわゆるピッカリングエマルションを形成する。具体的には水相中に分散されている油相表面に固体粒子の少なくとも一部が吸着している構造であることを言う。
上記接触角の測定方法は、固体粒子をタブレット化し、水相成分又は油相成分を自重で滴下し、接触角測定装置を用いて測定する。より具体的には、実施例に記載の測定方法により測定することができる。なお、水中油型乳化組成物を構成する水相成分及び油相成分の接触角は、原料に用いた水相成分及び油相成分により測定されるが、原料が明らかでない場合は、水中油型乳化組成物から、水相および油相を分離し、夾雑物を除去したものをそれぞれ水相成分、油相成分として測定する。また、水相もしくは油相を構成する主成分をそれぞれ水相成分もしくは油相成分として測定してもよい。特に、水相を構成する主成分としては、水が好ましい。
また、固体粒子の表面を疎水化処理したり親水化処理することで、水相成分や油相成分と、固体粒子との接触角を調整することができる。固体粒子表面の疎水化もしくは親水化の方法に制限はなく、化学的処理でも物理的処理でも構わない。化学的処理では、例えば、表面修飾用物質を固体粒子に対して共有結合で導入することによって表面性を変更する方法や、固体粒子が本来保持している官能基の電荷や配向状態を変化させる方法が挙げられる。物理的処理では、例えば、表面修飾用物質を静電相互作用、疎水性相互作用、分子間力相互作用、水素結合、配位結合、キレート結合、抗原抗体反応等のリガンド―レセプター相互作用、等で導入することができる。ここで、表面修飾用物質としては前記固体粒子に対して修飾が可能なものであれば特に制限はない。例えば、固体粒子以外の両親媒性物質、界面活性剤、抗原、抗体、酵素、核酸、蛋白質、蛋白質分解物、ペプチド、アミノ酸、糖鎖、多糖類などの有機物;固体粒子以外のシリカ粒子、タルク、酸化チタン等の無機物;固体粒子以外の無機有機複合物等が挙げられる。表面修飾用物質は、天然由来物質でも合成された物質でもどちらでも構わない。
固体粒子として用いられる無機物の例としては、球状シリカやヒュームドシリカ等のシリカ粒子、タルク、酸化チタン、ヒドロキシアパタイト等のセラミック、炭酸カルシウム等が挙げられる。固体粒子として用いられる有機物の例としては、キチン、キトサン、セルロース、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシセルロース、メチルセルロース、発酵セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ジェランガム、ネイティブジェランガム、キサンタンガム、カラギーナン、デキストリン、難消化性デキストリン、大豆多糖類、ペクチン、アルギン酸、アルギン酸プロピレングリコールエステル、タマリンドシードガム、タラガム、カラヤガム、グアガム、ローカストビーンガム、トラガントガム、ガディガム、プルラン、アラビアガム、寒天、ファーセラン、イヌリン、コンニャクマンナン等の多糖類、ポリ乳酸、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等のポリマー、オリゴマー、ヤヌス粒子、シクロデキストリン、ホエーやカゼイン等の動物性蛋白質、大豆蛋白、ゼイン等の植物性蛋白質、ハイドロフォビン等の微生物由来蛋白質、酵素、蛋白質分解物、ペプチド、微生物、芽胞、細胞、フラボノイド等の植物抽出物、ゲル粉砕物、蛋白ゲル粉砕物や穀物粉末等の食品粉砕物、それらの複合体、誘導体、等が挙げられる。固体粒子は、合成物であっても天然物であっても構わない。特に、多糖及びポリマーの場合、直鎖状(セルロース)、分岐状(グルコマンナン等)、側鎖状(ガラクトマンナン類)、球状(アラビアガム、大豆多糖類)のいずれであってもよい。酸性多糖類でも中性多糖類でも、塩基性多糖類でもよい。固体粒子として用いられる有機-無機複合体としては、Feを保持したフェリチン、アルギン酸Naとカルシウム塩等から調製したゲル微粒子、等が挙げられる。特に、固体粒子が蛋白質の場合には、アレルゲン除去の観点から、アレルゲン性が強いカゼインやβ-ラクトグロブリンを
含まないことが好ましく、乳由来蛋白質を含まないことがさらに好ましい。また、カゼインやβ-ラクトグロブリンを、酵素や酸などによる加水分解により、アレルゲン性を示さ
ない充分な分子量まで低分子化した上で用いることが好ましい。また、固体粒子としては、焙煎コーヒー豆に由来する成分を含まないことが、コーヒー焙煎時に生じるアクリルアミドを摂食することがなく、かつ濃く暗い色の影響を抑えることができ、水中油型乳化組成物自体やそれを添加した飲食品の用途を制限することがないため好ましく、さらにコー
ヒー豆に由来する成分を含まないことが、水中油型乳化組成物自体やそれを添加した飲食品に対するコーヒーの味や匂いの影響を抑え、用途に制限が生じないためさらに好ましい。水相成分もしくは油相成分に分散する前の固体粒子の形態としては、粉末状であってもよいし、ペースト状、ペレット状であってもよい。
なお、固体粒子として澱粉を単独で用いる場合、加熱殺菌時に、組成物全体の粘度を一定に設定することが難しくなり、また、一回糊化した澱粉が、老化し結晶化することで、沈殿分離する可能性があるため、本実施形態では澱粉を主たる固体粒子として使用しないことが好ましい。主たる固体粒子とは、固体粒子全量において、最も含有量の多い固体粒子をいう。固体粒子の全重量のうち、澱粉含有量は50重量%未満とすることが好ましく、40重量%以下がより好ましく、25重量%以下がさらに好ましく、1重量%以下が特に好ましく、澱粉を全く含有しないことが最も好ましい。
なお固体とは、組成物調製時から消費時に至るまでに経る温度履歴において流動性を有しない状態である。
固体粒子の形状に制限はないが、球状、ロッド状、キュービック状、紐状、ゲル状、網目状、多孔状、針状、フレーク状、凝集塊、等が挙げられる。固体粒子は、単体でも凝集体でも会合体でも構わない。高分子体の単体構造の場合には、絡み合い構造もしくは、水素結合やイオン結合もしくは分子間力による架橋構造を有することが好ましい。固体粒子は、単一の成分でも、種類の異なる複数種の成分からなる混合物、凝集体、会合体でも構わない。固体粒子が、ゲル状の場合には、収縮していても、膨潤していてもよい。固体粒子の内部もしくは表層に有効成分を含有していてもよい。
シリカを用いる場合、親水性シリカ、疎水性シリカのいずれを使用してもよいが食品や医薬品分野での使用を考えた場合の安全性やコストの観点から親水性シリカが好ましい。シリカに親水性や疎水性を付与する方法は既知の方法を用いてよく、例えばシランカップリング剤などによる表面処理があげられる。
食品分野で使用する場合には、固体粒子は可食性であればよく、食品添加物であっても食品原料であってもよい。固体粒子は、1種の固体粒子を用いてもよいし、2種以上の複数の固体粒子を組み合わせて使用してもよい。
固体粒子の一次粒子径に特に規定はないが、通常0.001μm以上、好ましくは0.01μm以上であり、より好ましくは0.04μm以上であり、通常50μm以下、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm未満、特に好ましくは1μm未満である。固体粒子の一次粒子径は、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)測定により得られた粒子画像を拡大し、画像上で観察できる粒子の平均粒子径を示す。観察する粒子数は5以上であってよく、30以上であってよく、40以上であってよく、100以上であってよく、200以上であってよい。固体粒子の一次粒子径は、カタログ値を用いても構わない。
固体粒子の平均粒子径に特に規定はないが、液中に希薄状態で分散した固体粒子の平均粒子径が、通常0.01μm以上、好ましくは0.05μm以上、さらに好ましくは0.1μm以上、特に好ましくは0.2μm以上であり、通常50μm以下、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm未満、さらに好ましくは3μm未満、特に好ましくは1μm未満である。
固体粒子のメジアン径に特に規定はないが、液中に希薄状態で分散した固体粒子のメジアン径が、通常0.01μm以上、好ましくは0.05μm以上、さらに好ましくは0.1μm以上、特に好ましくは0.2μm以上であり、通常50μm以下、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm未満、さらに好ましくは3μm未満、特に好ましくは1μm未満である。液中での固体粒子のサイズは、例えば、レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置を用いて、粉体もしくは液中に分散された状態での固体粒子の粒子径分布、平均径、メジアン径を測定することができる。ここで、希薄状態とは、任意の濃度であるが、レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置を用いて、フロー式等で測定可能な濃度を指
す。測定に供する濃度としては、通常20重量%以下、好ましくは5重量%以下、より好ましくは1重量%以下、さらに好ましくは0.1重量%以下、特に好ましくは0.02重量%以下である。散乱光の強度が不足するなどして、レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置での測定が難しい場合には、動的光散乱法による測定で、液中に分散された状態での固体粒子の粒子径分布、平均径、メジアン径を測定することができる。動的光散乱法による測定結果の解析は、例えばキュムラント法により解析することができる。
また、水中油型乳化組成物中の、水相-油相界面に存在する固体粒子のサイズに特に規定はないが、通常0.01μm以上、好ましくは0.05μm以上、さらに好ましくは0.1μm以上、特に好ましくは0.5μm以上であり、通常50μm以下、好ましくは5μm以下、より好ましくは3μm以下、さらに好ましくは1μm以下、特に好ましくは0.9μm以下である。水相-油相界面に存在する固体粒子のサイズは、例えば、光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡(SEM)測定により得られた粒子画像を拡大し、画像上で観察できる粒子の平均粒子径を示す。走査型電子顕微鏡を用いて観察することが好ましい。観察する粒子数は5以上であってよく、40以上であってよく、100以上であってよく、200以上であってよい。
本実施形態に係る水中油型乳化組成物中における固体粒子の割合は、通常乳化組成物に含有し得る量であれば特段限定されないが、組成物全量に対し通常0.01重量%以上、好ましくは0.05重量%以上、さらに好ましくは0.1重量%以上、最も好ましくは0.5重量%以上であり、また通常50重量%以下、好ましくは40重量%以下、より好ましくは30重量%以下、さらに好ましくは20重量%以下、特に好ましくは15重量%以下である。
本実施形態で用いられる固体粒子は、そのL値が通常31以上であり、好ましくは40以上であり、より好ましくは50以上、さらに好ましくは62以上、より更に好ましくは70以上、殊更に好ましくは75以上、特に好ましくは80以上、最も好ましくは90以上である。上限は限定されないが通常100以下である。固体粒子がこのような大きなL値を有することで、水中油型乳化組成物の外観が良好となる。一方、上記範囲外の小さなL値の固体粒子としては、例えば、暗く濃い色を呈する焙煎コーヒー豆由来成分等があげられ、焙煎度が高くなるほどL値が小さくなる傾向にあり、水中油型乳化組成物の外観に悪影響を及ぼす虞がある。(参考データ:インドネシア産ロブスタ種生豆 L値57、コロンビア産アラビカ種生豆 L値55、コロンビア産アラビカ種焙煎豆(浅煎)L値32、(中煎)L値20、(深煎)L値16)。
固体粒子のL値は色度計を用いて測定できる。L値は色の明度を表し、0~100の数値で表される。L値が100の場合には最も明るい状態(完全な白色)を示し、L値が0である場合には最も暗い状態(完全な黒色)を示す。色度計を用いた測定方法は、既知の方法により測定できる。
本実施形態の水中油型乳化組成物に含有される油相成分は特段限定されず、乳化組成物に用いられるものであればよい。不飽和結合及び/又は酸素原子を含む油相成分であってよい。
不飽和結合を含む油相成分としては、不飽和高級脂肪酸炭化水素類、不飽和高級脂肪酸、動植物性油脂類、スクアレンやトコフェロールを含むイソプレノイド、などがあげられる。酸素原子を含む油相成分としては、高級アルコール、合成エステル油、グリコール高級脂肪酸エステル、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、などがあげられる。
油相成分は、食用油脂を含有することが好ましい。食用油脂は、食用品に用いられるものであれば特に限定されず、いずれの食用油脂も使用することができるが、例えば、ナタネ油、コメ油、大豆油、コーン油、サフラワー油、ヒマワリ油、綿実油、ゴマ油、オリー
ブ油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、リンシード油、マカデミア種子油、ツバキ種子油、茶実油、米糠油、ココアバターなどの植物油、乳脂、牛脂、豚脂、鶏脂、羊脂、魚油などの動物油、これら植物性油脂又は動物性油脂の液状又は固体状物を精製や脱臭、分別、硬化、エステル交換といった油脂加工した、硬化ヤシ油、硬化パーム核油などの硬化油脂や加工油脂、更にこれらの油脂を分別して得られる液体油、固体脂等を、1つ、または2つ以上混合した食用油脂などを用いることができる。この他に、生理機能性を有する油脂も使用可能であり、その具体例としては、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、アラキドン酸、αリノレン酸、γリノレン酸、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)が挙げられる。
より好ましい油相成分は、パーム油、パームステアリン、パーム核油、ヤシ油、ココアバター、乳脂、牛脂、豚脂、鶏脂、羊脂、硬化ヤシ油や硬化パーム核油といった植物性油脂又は動物性油脂の硬化油脂、植物性油脂又は動物性油脂の硬化油脂や加工油脂を分別して得られる固体脂、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)である。さらに好ましい油相成分は、パーム核油、ヤシ油、乳脂、硬化ヤシ油、硬化パーム核油、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)である。最も好ましい油相成分は、パーム核油、ヤシ油、硬化ヤシ油、硬化パーム核油である。
これらの油脂は、1種で使用してもよく、混合物としても使用してもよい。
特に、食用油脂について、主成分であるトリグリセリド分子に結合している全脂肪酸に占める、飽和脂肪酸以外、すなわちトランス脂肪酸を含む不飽和脂肪酸の割合が、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下、特に好ましくは10質量%以下、最も好ましくは5質量%以下であるものが、より良好な味質とするうえで好適である。
また、食用油脂は、トリグリセリド分子に結合している全脂肪酸に占める、炭素数が12以下の脂肪酸の割合が1質量%以上であるものが好ましく、3質量%以上であるものがより好ましく、5質量%以上であるものがさらに好ましく、10質量%以上であるものが特に好ましく、30質量%以上であるものが最も好ましい。
また、食用油脂は、沃素価が通常60.0以下、好ましくは50.0以下、より好ましくは30.0以下、さらに好ましくは20.0以下、特に好ましくは10.0以下、最も好ましくは5.0以下であることが、加熱時の酸化臭がなく、良好な風味となるため好適である。
また、食用油脂は、10℃におけるSFC(固形脂含量)が通常0質量%以上、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらにより好ましくは40質量%以上、最も好ましくは50質量%以上であることが、風味のよい組成物を作るため好適である。
ここで、固体脂量(SFC)の測定は、通常のパルスNMRによる方法が一般的であり、熱分析から得られる固体脂指数(SFI)を使用しても大差は生じない。
また、食用油脂の上昇融点が、通常-20℃以上、好ましくは-10℃以上、より好ましくは10℃以上、さらに好ましくは15℃以上、特に好ましくは20℃以上、最も好ましくは25℃以上であることが、風味のよい組成物を作るため好適である。この上昇融点の上限は好ましくは70℃以下、より好ましくは60℃以下、さらに好ましくは50℃以下、最も好ましくは45℃以下であることが、良好な乳化安定性を得るために好適である。
本実施形態に係る水中油型乳化組成物中における油相成分の割合は、水中油型乳化組成物を形成し得る量であれば特段限定されないが、組成物全量に対し通常5重量%以上、好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上、さらに好ましくは30重量%以上、特に好ましくは50重量%以上であり、また通常95重量%以下、好ましくは90重量%以下、より好ましくは80重量%以下、さらに好ましくは70重量%以下である。
本実施形態の水中油型乳化組成物は水で希釈した際にも、水中油型乳化物としての構造を保持することが可能であるから、最終製品を製造する原料として使用することができる。油相成分含率が高い乳化組成物(高内相含率の組成物)は、例えば製品製造時の中間組成物として輸送時の重量及び体積を抑制することができ、輸送効率を上げることで最終的な製造コスト低減につながるという利点を有する。また、油相含率が高い場合には、油滴同士が近接し、一般的には水中油型乳化物の油滴同士の合一が進行して不安定化に向かうが、本実施形態の水中油型乳化組成物は特定の固体粒子が水相成分及び油相成分の界面に存在するために、油滴同士が近接した場合にも安定な水中油型乳化組成物が得られる。
本実施形態の水中油型乳化組成物に含有される水相成分は、通常乳化組成物に配合され、水相を形成する成分であればよい。水のほか、低級アルコール、多価アルコールなどを含んでもよい。
本実施形態に係る水中油型乳化組成物中における水相成分の割合は、水中油型乳化組成物を形成し得る量であれば特段限定されないが、組成物全量に対し通常20重量%以上、好ましくは25重量%以上、また通常95重量%未満、好ましくは90重量%以下、より好ましくは80重量%以下、さらに好ましくは70重量%以下である。
本実施形態に係る水中油型乳化組成物は、従来の界面活性剤の添加を必要とせず、優れた安定性を有する。そのため界面活性剤は、組成物全量に対して0重量%でよいが、必要に応じて界面活性剤を含有してもよい。特に、界面活性剤を含有する場合は、固体粒子に対する表面修飾用物質として用いることが好ましい。界面活性剤の種類は特に限定されないが、低分子量で、かつ両親媒性で界面活性を持つ物質であり、分子量が5000以下の物質である低分子界面活性剤が挙げられる。低分子界面活性剤にはタンパク質や多糖類、合成ポリマーなどの高分子は含まれない。
低分子界面活性剤は、粉体、固体、液体、ペーストなど、いずれの形態でもよい。また、低分子界面活性剤の分子量は3000以下が好ましく、2000以下がより好ましい。低分子界面活性剤の分子量が小さいほど、重量あたりのモル数が大きく、より固体粒子との反応に寄与する分子数が増えるため、好ましい。低分子界面活性剤の分子量の下限としては特に制限はないが、分子構造内に親水性部分と親油性部分を含むために通常その分子量は200以上である。
界面活性剤の種類としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及び非イオン性界面活性剤が挙げられる。
食品用途に使用する場合には、飲食品に使用可能な食品用界面活性剤が好ましく、例えば、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウムやステアロイル乳酸ナトリウム等の乳酸脂肪酸エステル類、ステアリン酸ナトリウムやオレイン酸ナトリウム等の脂肪酸塩類、酵素分解レシチン、酢酸モノグリセリド、クエン酸モノグリセリド、乳酸モノグリセリド、コハク酸モノグリセリド、ジアシル酒石酸モノグリセリド等の有機酸モノグリセリド、等が挙げられる。
具体的には、デカグリセリンミリスチン酸エステル、デカグリセリンパルミチン酸エステル、デカグリセリンステアリン酸エステル、デカグリセリンオレイン酸エステルなどのグリセリンの重合度が4以上、好ましくは4~12のポリグリセリン脂肪酸エステル;
グリセリンジミリステート、グリセリンジパルミテート、グリセリンジステアレート、グリセリンジオレエートなどのグリセリンジ脂肪酸エステル;
アルキル基を2つ以上有する、ジグリセリンミリスチン酸エステル、ジグリセリンパルミチン酸エステル、ジグリセリンステアリン酸エステル、ジグリセリンオレイン酸エステルなどのジグリセリン脂肪酸エステル;
トリグリセリンミリスチン酸エステル、トリグリセリンパルミチン酸エステル、トリグリセリンステアリン酸エステル、トリグリセリンオレイン酸エステルなどのトリグリセリン脂肪酸エステル;
炭素数12~22の飽和若しくは不飽和脂肪酸のジグリセリドとコハク酸、クエン酸又はジアセチル酒石酸とのエステルなどのジグリセリド有機酸エステル;
テトラグリセリンリシノレイン酸エステルなどのポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル;
ソルビタンミリスチン酸エステル、ソルビタンパルミチン酸エステル、ソルビタンステアリン酸エステル、ソルビタンオレイン酸エステルなどのソルビタン脂肪酸エステル;
アルキル基を2つ以上有する、プロピレングリコールミリスチン酸エステル、プロピレングリコールパリミチン酸エステル、プロピレングリコールステアリン酸エステル、プロピレングリコールオレイン酸エステルなどのプロピレングリコール脂肪酸エステル;
アルキル基を2つ以上有する、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステルなどのショ糖脂肪酸エステル;
レシチンなどのリン脂質、酵素処理レシチン;糖脂質;サポニン;があげられる。
上記のショ糖脂肪酸エステルの市販品としては、「リョートーシュガーエステル S-1670」、「リョートーシュガーエステルS-1570」、「リョートーシュガーエステルS-1170」、「リョートーシュガーエステルS-970」、「リョートーシュガーエステルP-1670」、「リョートーシュガーエステルP-1570」、「リョートーシュガーエステルM-1695」、「リョートーシュガーエステルO-1570」、「リョートーシュガーエステルL-1695」、「リョートーシュガーエステルLWA-1570」「リョートーモノエステル-P」(以上、三菱ケミカルフーズ社製、商品名);「DKエステルSS」、「DKエステルF-160」、「DKエステルF-140」、「DKエステルF-110」(以上、第一工業製薬社製、商品名)等が挙げられる。
上記のポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、中でも、グリセリンの平均重合度が2~20のポリグリセリン脂肪酸エステルが好ましく、より好ましくは平均重合度が2~10である。
ポリグリセリン脂肪酸エステルの市販品としては、「リョートーポリグリエステルS-10D」、「リョートーポリグリエステルSWA-10D」、「リョートーポリグリエステルSWA-15D」、「リョートーポリグリエステルSWA-20D」、「リョートーポリグリエステルP-8D」、「リョートーポリグリエステルM-7D」、「リョートーポリグリエステルM-10D」、「リョートーポリグリエステルO-15D」、「リョートーポリグリエステルL-7D」、「リョートーポリグリエステルL-10D」(以上、三菱ケミカルフーズ社製、商品名);「SYグリスターMSW-7S」、「SYグリスターMS-5S」、「SYグリスターMO-7S」、「SYグリスターMO-5S」、「SYグリスターML-750」、「SYグリスターML-500」(以上、阪本薬品工業社製、商品名);「サンソフトQ-14F」、「サンソフトQ-12F」、「サンソフトQ-18S」、「サンソフトQ-182S」、「サンソフトQ-17S」、「サンソフトQ-14S」、「サンソフトQ-12S」、「サンソフトA-121C」、「サンソフトA-141C」、「サンソフトA-121E」、「サンソフトA-141E」、「サンソフトA-171E」、「サンソフトA-181E」(以上、太陽化学社製、商品名);「ポエムTRP-97RF」、「ポエムJ-0021」、「ポエムJ-0081HV」、「ポエムJ-0381V」(以上、理研ビタミン社製、商品名);「NIKKOL Hexaglyn 1-M」、「NIKKOL Hexaglyn 1-L」、「NIKKOL
Decaglyn 1-SV」、「NIKKOL Decaglyn 1-OV」、「NIKKOL Decaglyn 1-M」、「NIKKOL Decaglyn 1-L」(以上、日光ケミカルズ社製、商品名)等が挙げられる。
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの市販品としては、「エマゾールS-120V」、「エマゾールL-120V」、「エマゾールO-120V」、「レオドールTW-S120V」、「レオドールTW-L120」、「レオドールTW-O120V」、「レオドールTW-L106」、「レオドールTW-P120」、「レオドールTW-O320V」、「レオドールスーパーTW-L120」、「レオドール440V」、「レオドール460V」(以上、花王社製、商品名);「ソルゲンTW-60F」、「ソルゲンTW-20F」、「ソルゲンTW-80F」(以上、第一工業製薬社製、商品名);「アドムルT60K」、「アドムルT80K」(以上、Kerry社製、商品名);「T-Maz60K」、「T-Maz80K」(以上、BASF社製、商品名);「ウィルサーフTF-60」、「ウィルサーフTF-80」(以上、日油社製、商品名);「Glycosperse S-20K FG」、「Glycosperse O-20K FG」(以上、Lonza社製、商品名)等が挙げられる。
上記ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルにおいて、耐熱性菌に対して静菌効果を持つ食品用乳化剤(すなわち、静菌性乳化剤)を用いることもできる。アルキル基の炭素数が14~22のショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルがより好ましく、構成する脂肪酸の炭素数が16~18のショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルがさらに好ましく、これらは耐熱性菌に対する静菌効果の有効性が高いため好適である。使用するショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、モノエステル含量が50質量%以上、好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上であることが、耐熱性菌に対する有効性が高いため好適である。ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、ポリグリセリンの平均重合度が2~5であることが好ましく、さらに2~3であることが、菌に対する有効性が高いため最も好ましい。
本実施形態に係る水中油型乳化組成物中において界面活性剤を用いる場合の割合は、特段限定されないが、組成物全量に対して通常0重量%より多く、通常5重量%以下、好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.1重量%以下、さらに好ましくは0.05重量%以下、特に好ましくは0.01重量%以下、最も好ましくは0.005重量%以下である。
本実施形態において、水中油型乳化組成物には、上記固体粒子、必要に応じ界面活性剤、油相成分、及び水相成分以外に、甘味料、安定化剤、乳成分、タンパク質、着香料、着色料、塩類、有機酸などを含んでいてもよい。
甘味料としては、以下のものがあげられる。
糖:ぶどう糖、果糖、木糖、ソルボース、ガラクトース、異性化糖などの単糖類、蔗糖、麦芽糖、乳糖、異性化乳糖、パラチノースなどの二糖類、フラクトオリゴ糖、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、カップリングシュガー、パラチノースなどのオリゴ糖類
糖アルコール:エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マンニトール等の単糖アルコール類、マルチトール、イソマルチトール、ラクチトール等の2糖アルコール類、マルトトリイトール、イソマルトトリイトール、パニトール等の3糖アルコール類、オリゴ糖アルコール等の4糖以上アルコール類、粉末還元麦芽糖水飴など
高甘味度甘味料:アスパルテーム、ネオテーム、スクラロース、ステビアなど
安定化剤としては、ガラクトマンナン、キサンタンガム、カラギーナン、アラビアガム
、タマリンドガム、ジェランガム、グルコマンナン、セルロースなどが挙げられる。
乳成分としては、牛乳、加工乳、脱脂乳、生クリーム、ホエー、バターミルク、加糖練乳、無糖練乳などの液状物、全脂粉乳、脱脂粉乳、調製粉乳、粉末クリーム、粉末ホエー、バターミルクパウダーなどの粉末乳製品が挙げられる。特にバターミルク、バターミルクパウダーが好ましい。バターミルクとは、牛乳から遠心分離等で製造されたクリームから、チャーニング等により乳脂肪部分をバターとして取り出した際に分離されるバターミルク、バターセーラムと呼ばれる液体分のことで、それを濃縮した液状の濃縮バターミルクと、さらに噴霧乾燥を行った粉末状のバターミルクパウダーがある。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。別途、牛乳からクリームやバターを分離する過程で、酸を生成する菌による発酵や、有機酸等の酸を添加する場合があるが、本発明で用いるバターミルクは、そのような発酵や酸添加を行っていないバターミルクが好ましい。
バターミルク類としては、よつ葉乳業社製「バターミルクパウダー」等の市販品を用いることができる。
なお、前述の通り、アレルゲン除去の観点から、乳成分としては、アレルゲン性が強いカゼインやβ-ラクトグロブリンを含まないことが好ましく、乳由来タンパク質を含まな
いことがさらに好ましい。また、カゼインやβ-ラクトグロブリンを、酵素や酸などによる加水分解により、アレルゲン性を示さない充分な分子量まで低分子化した上で用いることが好ましい。
タンパク質は、動物性タンパク質であっても植物性タンパク質であってもよく、動物性タンパク質としては、卵由来の卵黄、卵白、全卵、及びこれらより分離されたオボアルブミン、コンアルブミン、オボムコイド、オボグロブリンなどや牛乳由来の乳清タンパク、カゼイン及びカゼインナトリウム、カゼインカリウム、カゼインマグネシウム、カゼインカルシウムなどのカゼイン塩、β-ラクトグロブリン、α-ラクトアルブミン、血清アルブミン、免疫グロブリンなどを挙げることができる。植物性タンパク質としては、大豆由来の脱脂大豆粉、濃縮大豆タンパク、分離大豆タンパク、抽出大豆タンパクなどや、これらから分離された7Sグロブリン、11Sグロブリンなどを挙げることができる。
なお、前述の通り、アレルゲン除去の観点から、牛乳由来のタンパク質としては、アレルゲン性が強いカゼインやβ-ラクトグロブリンを含まないことが好ましく、乳由来タンパク質を含まないことがさらに好ましい。また、カゼインやβ-ラクトグロブリンを、酵素や酸などによる加水分解により、アレルゲン性を示さない充分な分子量まで低分子化した上で用いることが好ましい。
着香料としては、任意のものを用いることができる。例えば、バニラエッセンス等のバニラ香料、ミルクフレーバー、バターフレーバー等のミルク香料が挙げられる。特に、ミルク香料が好ましく、ミルク香料としては、ミルクの芳香成分を有する香料であり、乳に特徴的な香気成分を含んだ香料であれば特に制限はなく、化学合成されたものでもよいし、乳より抽出、精製されたものでもよいし、それらの混合物であってもよいが、乳を原料としたものがより好ましく、乳成分に酵素を反応させて製造されたミルク香料が、自然な乳の風味を再現できるため、さらに好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
着色料としては、任意のものを用いることができる。例えば、カカオ色素、β-カロチ
ン、アナトー色素、トウガラシ色素、ウコン色素、オイルレッド色素、パプリカ色素、ナフトールイエロー色素、リボフラビン酪酸エステル(VB2)、等が挙げられる。
塩類としては、例えば、食塩、塩化カリウム、塩化マグネシウム等の塩化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム等の炭酸塩、重炭酸ナトリウム等の重炭酸塩、リン酸2ナトリウム、リン酸3ナトリウム、リン酸2カリウム、リン酸3カリウム等のリン
酸塩、ポリリン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等のクエン酸塩、乳酸ナトリウムなどが挙げられる。特にマグネシウムを含む塩類が好ましく、食品用途して使用できるものとして、乳清ミネラル、塩化マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、苦汁(粗製海水塩化マグネシウム)、ドロマイト、粗塩、ステアリン酸マグネシウム、リン酸一水素マグネシウム、リン酸三マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酢酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、リンゴ酸マグネシウム、安息香酸マグネシウム、グルコン酸マグネシウム、L-グルタミン酸マグネシウム、セピオライト、タルク、フィチンなどが挙げられる。
有機酸としては、例えば、フマル酸、コハク酸、クエン酸、酒石酸、ジアセチル酒石酸、リンゴ酸、アジピン酸、グルタル酸、マレイン酸などが挙げられる。
本実施形態の水中油型乳化組成物は、前記油相成分と前記水相成分との界面に前記固体粒子が存在する乳化構造を有する。また、好ましくは前記固体粒子が連続相と不連続相の界面に存在する乳化構造を有する。このような構造を有することで、加熱前後であっても粒子径が制御された、降温耐性及び耐熱性のある水中油型乳化組成物とすることができる。
上記水中油型乳化組成物の構造において、不連続相のサイズ、即ちO/Wにおける油相径や、W/O/Wにおける油相径が、安定性や食感、触感の観点から0.5μm以上1000μm以下であることが好ましく、0.7μm以上500μm以下であることがより好ましく、1μm以上100μm以下であることがさらに好ましく、1μm以上50μm以下であることが特に好ましい。油相の径は、乳化組成物を乳化させる際の撹拌速度、撹拌時間を適宜調整することで、所望の値とすることができる。
このような乳化構造は、偏光顕微鏡による観察により確認することができる。また、油相のサイズは、偏光顕微鏡による観察により確認できる油相の長径の平均である。確認する油相は、10以上であってよく、50以上であってよく、100以上であってよく、200以上であってよい。
その他に、レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置や動的光散乱法による測定装置を用いて上記水中油型乳化組成物の油相のサイズ、即ちO/Wにおける油相の粒子径分布、メジアン径、平均径を測定することもできる。
本実施形態の水中油型乳化組成物は、121℃加熱前後において、エマルションの径、すなわち上記不連続相の径の変化が小さいことが好ましい。加熱前後における径の変化は、加熱前の水中油型乳化組成物のメジアン径(D50)を100%として、加熱後の水中油型乳化組成物のメジアン径(D50)との差が何%であるか計算した際、加熱後のメジアン径(D50)が±30%以下であってよく、±25%以下であってよく、±20%以下であってよい。
本実施形態の水中油型乳化組成物は、油相中もしくは固体粒子中に、生体において所望の生理学的作用の発揮が期待され得る有効成分を含んでいてもよい。これにより、安定性に優れた機能性食品とすることができる。機能性食品の形態としては、栄養ドリンク、滋養強壮剤、嗜好性飲料、冷菓などの一般的な食品類の他に、レトルト状の栄養補助食品、流動食等もあげることができるが、これに限定されるものではない。生理学的作用が期待され得る有効成分の例としては、脂肪、微量元素、ビタミン類、アミノ酸、ミネラル類、天然由来もしくは合成化合物に由来する薬効成分、等が挙げられる。
また、油相中に中鎖脂肪酸、色素、香料のうちの少なくとも1種以上を含んでもよい。油相に上記成分を含有させることで、高エネルギー食品としたり、食欲を増進する見た目や香りを食品に付与することが可能であり好ましい。この場合、中鎖脂肪酸、色素、香料のうちの少なくとも1種以上の割合は、水中油型乳化組成物全量に対し好ましくは0重量
%より多く、より好ましくは1重量%以上、さらに好ましくは10重量%以上、また好ましくは90重量%以下、より好ましくは80重量%以下である。
本実施形態におけるこのような乳化構造は、典型的には以下の方法により調製することで得られる。
前記水相成分に前記固体粒子を分散し、水相を得る第1ステップ、第1ステップで得られた水相と、前記油相成分と、を混合し、得られた混合物を撹拌する第2ステップ、を含む製造方法。
または、前記油相成分に前記固体粒子を分散し、油相を得る第1’ステップ、第1’ステップで得られた油相と、前記水相成分と、を混合し、得られた混合物を撹拌する第2’ステップ、を含む製造方法。
または、前記水相成分及び前記油相成分のそれぞれに、前記固体粒子を分散し、水相及び油相を得る第1”ステップ、第1”ステップで得られた水相と油相とを混合し、該混合物を攪拌する第2”ステップ、を含む製造方法。
第1ステップは水相を調製するステップである。このように、固体粒子を、水相成分に予め添加して水相を調製することで、本実施形態における油相成分と水相成分との界面に固体粒子が存在する乳化構造を形成し易くなる。
また、第1’ステップは油相を調製するステップである。このように、固体粒子を、油相成分に添加して油相を調製することで、本実施形態における油相成分と水相成分との界面に固体粒子が存在する乳化構造を形成し易くなる。
また、第1”ステップは水相及び油相を調製するステップである。このように、固体粒子を、水相成分及び油相成分に予め添加して水相及び油相を調製することで、本実施形態における油相成分と水相成分との界面に固体粒子が存在する乳化構造を形成し易くなる。
第1ステップ、第1’ステップ及び第1”ステップにおける水相成分又は油相成分と固体粒子の撹拌(分散)は、常温常圧で行ってもよいし、加温状態及び/または高圧状態で
行ってもよい。常温常圧化で行う場合は、撹拌速度は通常10rpm以上20000rpm以下とすればよく、撹拌時間は通常10秒以上60分以下である。
撹拌装置としては、高圧乳化機、パドルミキサー、ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミル、ニーダー、インラインミキサー、スタティックミキサー、オンレーター等が挙げられるが、低エネルギー、低コストで充分な撹拌を行うことができるパドルミキサーやホモジナイザーが好ましい。
第2ステップ、第2’ステップ及び第2”ステップは、水中油型乳化組成物を調製するステップである。第2ステップ、第2’ステップ及び第2”ステップにおける混合物の撹拌は、常温常圧で行ってもよいし、加温状態及び/または高圧状態で行ってもよい。撹拌速度は通常10rpm以上20000rpm以下とすればよく、撹拌時間は通常10秒以上60分以下である。
その他、本実施形態では、通常の乳化組成物の調製方法に準じて適宜調製することができる。
また、水中油型乳化組成物を調製した後には、通常80℃以上、好ましくは100℃以上、通常160℃以下、好ましくは150℃以下で、通常0.01分以上、好ましくは0.03分以上、通常60分以下、好ましくは30分以下程度の殺菌処理を行ってもよい。殺菌方法は特に制限はないが、UHT殺菌、レトルト殺菌、ジュール式殺菌法などが挙げられる。UHT殺菌は組成物に直接水蒸気を吹き込むスチームインジェクション式や組成物を水蒸気中に噴射して加熱するスチームインフュージョン式などの直接加熱方式、プレートやチューブなど表面熱交換器を用いる間接加熱方式など公知の方法で行うことができ、例えばプレート式殺菌装置を用いることができる。
本実施形態の水中油型乳化組成物の用途としては、医薬品、化粧品、食品が挙げられ、
例えば経口摂取用に使用することができる。経口摂取するものであれば、製品、用途、性状等に制限は無い。具体的な用途としては、飲料・液状食品等の食品、レトルト状の栄養補助食品、流動食等の機能性食品、パンや麺などの小麦粉加工品、ファットスプレッドやフラワーペーストなどの油脂加工品、カレー、パスタソース、シチュー、デミグラスソース、ホワイトソース、トマトソース等の各種ソース・スープ類、中華食品の素、どんぶりの素等などのレトルト食品や複合調味料、ヨーグルト類、チーズ、アイスクリーム類、クリーム類、キャラメル、キャンディ、チューインガム、チョコレート、クッキー・ビスケット、ケーキ、パイ、スナック、クラッカー、和菓子、米菓子、豆菓子、ゼリー、プリン等の菓子・デザート、ハンバーグ、ミートボール、味付け畜肉缶詰等の畜産加工品、冷凍食品、冷蔵食品、パック入りや店頭販売用惣菜等の調理済み・半調理済み食品の他、即席麺、カップ麺、即席スープ・シチュー類等の即席食品、栄養強化食品、流動食、高カロリー食、等の飲食品、経管栄養製剤が挙げられる。特に飲料・液状食品等の食品が好ましく、飲料としては、乳飲料、スープ飲料、コーヒー飲料、ココア飲料、茶飲料(紅茶、緑茶、中国茶など)、豆類・穀物飲料、酸性飲料、等が挙げられ、中でも、乳飲料、コーヒー飲料、茶飲料が好ましい。また、本実施形態の食品用水中油型乳化組成物は、例えば、缶飲料、ペットボトル飲料、紙パック飲料、ビン詰飲料等の容器詰め飲料に好適に使用できる。
実施例で行った物性の測定方法は以下のとおりである。
<固体粒子に対する水相成分もしくは油相成分の接触角測定>
固体粒子をタブレット化し、水相成分もしくは油相成分(スコレー64G、日清オイリオグループ株式会社製もしくは硬化ヤシ油)を自重で滴下して接触角を経時測定した。表面凹凸やタブレットの多孔部への吸液の影響を最小限にするために、着滴後の時間(t)に対して接触角の変化がほぼ直線状になる測定値を用いて線形近似することで、着滴時(t=0)の接触角を算出し、これを固体粒子に対する水相成分もしくは油相成分の接触角とした。
固体粒子のタブレット作製(錠剤成型)は、錠剤成型機(20φ用)を使用した。固体粒子を内筒に入れた後に、5トンまで加圧した後に真空ポンプを用いて減圧し、その後段階的に8トン、10トンまで加圧することで成型した。固体粒子としてシリカ粒子を使用する場合には、0.5gを使用して接触角測定用試料を作製した。固体粒子として、でんぷん(とうもろこし由来)、α-シクロデキストリン及びβ-シクロデキストリンを使用する場合には、0.23gを使用して接触角測定用試料を作製した。これは、シリカ粒子
を用いた場合と添加する固体粒子の体積が同等となるように、固体粒子の比重を加味したものである。
接触角の測定は、FTÅ(First Ten Ångstroms(USA))を使用した。水相成分の接触角を測定する場合には、上述のように成型したタブレットに対して、水中油型乳化組成物を構成する水相成分(具体的には水)約12~13μLを自重で滴下し、着滴後の接触角を経時測定した。油相成分の接触角を測定する場合には、水中油型乳化組成物を構成する油相成分(具体的には中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)もしくは硬化ヤシ油)約3~4μLを自重で滴下することで測定を行った。
さらに油相成分として、常温で固体の油脂(具体的には硬化ヤシ油)の接触角を測定する場合には予め60℃以上に加温することで溶解処理を行ったものを液状状態で測定に供するとともに、タブレットに着滴した際に油相成分が固体化しないようにタブレット自体もホットプレートで55℃~60℃に加温した。また、水相成分の接触角を加温測定する場合にも予め60℃以上に加熱した水相成分(具体的には水)を測定に用いるとともに、タブレット自体もホットプレートで55℃~60℃に加温した。具体的には、実施例7、8及び9において、このような加温測定を行った。
尚、接触角の測定は23℃、湿度32~40%の環境で実施した。測定結果を表1に示す。
<固体粒子のSEM観察>
表面性の異なる粒子として、サンシールSS-03、SSP-03M(株式会社トクヤマ製)、疎水化処理したシリカ微粒子(疎水化処理したSS-03)の形状観察は以下の手順で実施した。各シリカ微粒子をイソプロピルアルコール中に0.1重量%になるように分取し、ホモジナイザーで17000rpmにて2~4分間、2000rpmにて2分間、24000rpmにて6分間撹拌することでシリカ微粒子分散液を得た。予めSEM台にカットして貼付したメンブレンフィルター(東洋濾紙(株)ADVANTECポリカーボネートタイプメンブレンフィルター、PORE SIZE:0.1μm)に対して、前述のシリカ微粒子分散液5μlを滴下し、イソプロピルアルコールを風乾させた。蒸着粒子としてAu-Pdを使用し、2分間蒸着をした。加速電圧15kVにてSEM観察を実施した。SS-03の観察像を図1に、疎水化処理したSS-03の観察像を図2に、SSP-03Mの観察像を図3に示す。
<液中に分散した固体粒子の平均粒子径測定>
固体粒子濃度が20wt%となるように水及びシリカ粒子を準備し、ホモジナイザーで17000rpmにて2分間撹拌することで、シリカ微粒子分散液を得た。固体粒子として、サンシールSS-03、SS-07(株式会社トクヤマ製)、疎水化処理したSS-03、OX50(日本アエロジル社製)のいずれかを使用した。水中に分散したシリカ微粒子の測定は、このシリカ微粒子分散液をサンプルとして、堀場製作所製レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置LA-920を用いてフロー式測定法にて粒子径分布測定を実施した。体積換算による結果(固体粒子の水中での平均粒子径及びメジアン径)を表1に示す。
また、固体粒子として、α-シクロデキストリン及びβ-シクロデキストリンを用いた場合には4重量%の水分散液を用いてレーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置での測定が散乱光強度不足で測定困難であったために、大塚電子社製FPAR-1000(動的光散乱法)の希薄用プローブを用いて測定を実施した。α-シクロデキストリンは20℃設定で測定を行い、β-シクロデキストリンについては60℃設定で測定を行った。結果を表1に示す。データの解析は、キュムラント法にて行った。
<固体粒子のL値測定>
固体粒子を試料用セルに充填した後、日本電色工業製色差計SE-2000を用いて実施した。
<水中油型乳化組成物の調製>
以下に示す方法で、乳化組成物A~D及びG~I、I’、K、Lをそれぞれ実施例1乃至10として準備し、水相成分もしくは油相成分に乳化組成物を滴下し、どちらの相に濡れ広がるかで乳化組成物の乳化型を判定した。また、乳化組成物E、F、及びJをそれぞれ比較例1乃至3として準備し、同様に乳化型の判定をした。結果を表1に示す。表1から、水相成分の接触角が135度である固体粒子を用いて作製した乳化組成物Eは、水中油型乳化組成物の調製ができなかった。
なお、水相成分として、水、油相成分として、スコレー64G(日清オイリオグループ株式会社製、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT))を使用した。
(乳化組成物A)
固体粒子としてシリカ微粒子(サンシールSS-03、株式会社トクヤマ製、平均粒子径0.3μm)を使用した。シリカ微粒子の含率が20重量%となるようにシリカ微粒子3.0重量部と水相成分として水12重量部とを容器に分取し、ホモジナイザー(IKA
T25 digital ULTRA TURRAX)を用いて17000rpmにて
2分間処理することで水相を得た。油相として油相成分:スコレー64G(日清オイリオグループ株式会社製)のみを使用した。油相成分の含率が30重量%となるように、前記の水相10.5重量部と油相成分4.5重量部とをそれぞれ容器に分取し、ホモジナイザーを用いて17000rpmにて2分間撹拌することで、乳化組成物Aを得た。
(乳化組成物B)
固体粒子として疎水化処理したシリカ微粒子を使用したこと以外は、乳化組成物Aと同様にして乳化組成物Bを得た。
尚、疎水化処理したシリカ微粒子は、以下の方法で得た。
シリカ微粒子(サンシールSS-03、株式会社トクヤマ製、平均粒子径0.3μm)10重量部とpH4.2に調整した水198.5重量部とを分取し、ホモジナイザーを用いて17000rpmにて5分間撹拌した。これに、トリメトキシメチルシラン 0.21重量部を添加し、スターラーを用いて5~10分程度撹拌した。その後、80℃にて2時間15分攪拌した。エバポレーターを用いて、70℃に加温しながら濃縮することで水を除去し、オーブンで120℃3時間25分加熱することで乾燥させた。その後、乳鉢で粉砕することによって、疎水化処理したシリカ微粒子を得た。
(乳化組成物C)
固体粒子としてシリカ微粒子(サンシールSS-07株式会社トクヤマ製、平均粒子径0.7μm)を使用したこと以外は、乳化組成物Aと同様にして乳化組成物Cを得た。
(乳化組成物D)
固体粒子としてシリカ微粒子(AEROSIL OX50、日本アエロジル社、1次粒子の平均粒子径 約0.04μm)を使用したこと以外は、乳化組成物Aと同様にして乳化組成物Dを得た。
(乳化組成物E)
固体粒子として疎水性シリカ微粒子(サンシールSSP-03M、株式会社トクヤマ製、平均粒子径0.3μm)を用いたところ、疎水性が高く水に分散することができなかったため、油相側に疎水性シリカ微粒子を分散させた。疎水性シリカ微粒子5.2重量部と油相成分:スコレー64G(日清オイリオグループ株式会社製)11.2重量部とを容器に分取し、ホモジナイザー(IKA T25 digital ULTRA TURRA
X)を用いて17000rpmにて2分間処理することで油相を得た。容器に前記の油相6.6重量部及び水相成分として水8.4重量部を分取し、ホモジナイザーを用いて17000rpmにて2分間撹拌することで乳化組成物Eを得た。
(乳化組成物F)
固体粒子としてでんぷん(とうもろこし由来、和光純薬工業株式会社、試薬特級)を使用したことを以外は、乳化組成物Aと同様にして乳化組成物Fを得た。
(乳化組成物G)
固体粒子としてシリカ微粒子(サンシールSS-03、株式会社トクヤマ製、平均粒子径0.3μm)を使用した。シリカ微粒子2.5重量部と水相成分として水12.5重量部とを容器に分取し、ホモジナイザー(IKA T25 digital ULTRA
TURRAX)を用いて17000rpmにて2分間処理することで水相を得た。油相として油相成分:スコレー64G(日清オイリオグループ株式会社製)のみを使用した。油相成分の含率が70重量%となるように、水相2.4重量部と油相成分12.6重量部とをそれぞれ容器に分取し、ホモジナイザーを用いて17000rpmにて2分間撹拌することで、乳化組成物Gを得た。乳化組成物Gは、チキソ性を有していた。
(乳化組成物H)
固体粒子としてα-シクロデキストリン(シクロケム社製)を使用した。水中のα-シ
クロデキストリンの含率が4重量%となるように水とα‐シクロデキストリンを混合し、水相を得た。油相として油相成分:スコレー64G(日清オイリオグループ株式会社製)のみを使用した。PRIMIX社ホモミキサー(TKロボミックス)を用いて組成物Hの作製を行った。60℃に加温した水相10.5重量部を8000rpmで撹拌しながら、予め60℃に加温しておいた油相4.5重量部を投入した(油相成分:30重量%)。さらに10000rpmで10分攪拌することで、乳化組成物Hを得た。
(乳化組成物I)
固体粒子としてα-シクロデキストリン(シクロケム社製)を使用した。水相中のα-
シクロデキストリンの含率が4重量%となるように調製し、水相を得た。尚、水相は、5mMリン酸緩衝物質を含むpH7に調整した緩衝液を用いて作製した(水相成分として水を含む)。油相として油相成分:硬化ヤシ油のみを使用した。油相成分の含率が30重量%となるように、前記の水相10.5重量部と油相成分4.5重量部とをそれぞれ容器に分取し、ホモジナイザー(IKA T25 digital ULTRA TURRAX
)を用いて10000rpmにて10分間撹拌することで、乳化組成物Iを得た。
(乳化組成物I’)
5mMリン酸緩衝物質を含まない以外は、水中油型乳化組成物Iと同様の組成割合で、PRIMIX社ホモミキサー(TKロボミックス)を用いて組成物I’の作製を行った。60℃に加温した水相を8000rpmで撹拌しながら、予め60℃に加温しておいた油相を投入した。さらに10000rpmで10分攪拌することで、乳化組成物I’を得た。
(乳化組成物J)
ショ糖脂肪酸エステル(リョートーシュガーエステルS-770、三菱ケミカルフーズ社製)を1.33重量%、ショ糖脂肪酸エステル(リョートーシュガーエステルS-370、三菱ケミカルフーズ社製)0.133質量%、モノグリセリンコハク酸脂肪酸エステル0.133質量%含み、油相成分として硬化ヤシ油を30重量%含む組成物を乳化組成物Jとした。
(乳化組成物K)
固体粒子としてβ-シクロデキストリン(シクロケム社製)を使用した。水相中のβ-
シクロデキストリンの含率が4.67重量%となるように調製し、水相を得た。尚、水相は、5mMリン酸緩衝物質を含むpH7に調整した緩衝液を用いて作製した(水相成分として水を含む)。油相として油相成分:硬化ヤシ油のみを使用した。全組成物中の油相成分の含率が30重量%となるように、前記の水相10.5重量部と油相成分4.5重量部とをそれぞれ容器に分取し、60℃に加温し、ホモジナイザー(IKA T25 digital ULTRA TURRAX)を用いて10000rpmにて10分間撹拌する
ことで、乳化組成物Kを得た。
(乳化組成物L)
固体粒子としてα-シクロデキストリン(シクロケム社製)を使用した。油相成分とし
て硬化ヤシ油を用いて、油相中のα-シクロデキストリン濃度が8.54重量%となるよ
うに調製した。尚、水相は、5mMリン酸緩衝物質を含むpH7に調整した緩衝液を用いて作製した(水相成分として水を含む)。秤量に際して、硬化ヤシ油は60℃に加温した。全組成物中の硬化ヤシ油濃度が30重量%となるように、水と油相をそれぞれ容器に分取し、60℃に加温し、ホモジナイザー(IKA T25 digital ULTRA
TURRAX)を用いて17000rpmにて40秒間撹拌して、乳化組成物Lを得た
Figure 0007155542000001
<水中油型乳化組成物の耐熱性の評価>
(評価例1)
それぞれ実施例1、2、3、4に係る水中油型乳化組成物A、B、C、Dをマイクロチューブに1ml分取し、マイクロチューブの蓋を開けて、開口部をアルミ箔で覆った状態で株式会社トミー製オートクレーブBS-325にて121℃30分の加熱を実施した。121℃加熱前後の乳化組成物A、B、C、Dに対して、Nikon社製偏光顕微鏡 ECLIPSELV100NPOL及びNikon社製画像統合ソフトウェアNIS-El
ementsVer3.2を用いて顕微鏡観察を行った。観察画像から油滴径を20点以上計測し、その平均値及び標準偏差を算出した結果を表2に示す。
表2から明らかなように、121℃加熱前後で油滴の平均粒子径に変化はみられず、所望の濡れ性を有する固体粒子を用いて乳化物を調製することで、加熱殺菌処理においても油滴の合一は促進されず、高温加圧処理に耐える耐熱性が付与されることがわかった。
Figure 0007155542000002
加熱前の乳化組成物Cについて顕微鏡観察した結果を図4に示す。エマルション表層にシリカ粒子の存在を確認することができた。そのため、微粒子が水相-油相界面に存在する構造を有していることがわかった。水相-油相の界面に吸着している固体粒子の直径を50点測定したところ、その平均値は0.69μm、標準偏差は0.07であった。
121℃30分加熱後の乳化組成物Cについて顕微鏡観察した結果を図5に示す。水で希釈した後に顕微鏡観察したが、エマルション表層(水相-油相の界面)にシリカ粒子の存在を確認することができ、耐熱性及び希釈安定性を持っていることが明らかとなった。水相-油相の界面に吸着している固体粒子の直径を30点計測したところ、その平均値は0.74μm、標準偏差は0.14であった。
また、加熱前後で乳化組成物A、B、C、Dにおいて、油滴の浮上(クリーミング)は観察されなかった。固体粒子の水-油界面への油滴自体のみかけ比重の調整効果が働き、油滴同士の接近や衝突確率の増加に起因して乳化不安定化につながるクリーミングを抑制する効果も付与されることがわかった。
そのため、所定の濡れ性を有するシリカ粒子を用いて水中油型乳化組成物を作製した場合には、加熱と希釈の有無に関わらず固体粒子が水相-油相界面に存在する構造を有していることがわかった。
(評価例2)
比較例2に係る乳化組成物Fを室温で保持したところ、5分後に油相の分離が確認され、乳化安定性は低いことが明らかとなった。水相成分の接触角は90.0度以下であるが、油相成分の接触角が8.0度未満である固体粒子を用いて作製した比較例2に係る乳化組成物Fは、室温放置ですでに分離するために、高温殺菌工程を経る場合には、油滴の運動性が高くなるために分離は促進されることが容易にわかる。
(評価例3)
実施例6、7、8、9に係る水中油型乳化組成物H、I、I’、Kを所望の条件で加温し、油相分離の有無を容器の横方向から目視確認した。結果を表3に示す。油相分離が無い場合には〇と記載した。また、未評価の場合には―と記載した。
Figure 0007155542000003
(評価例4)
60℃で乳化した実施例7、8及び9に係る水中油型乳化組成物I、I’及びK、乳化組成物L(実施例10)を水浴に浸漬することで室温まで降温させた。その後、容器を反転させて、容器に振動を与え、水中油型乳化組成物I、I’、K及びLの流動性の有無を目視確認した。さらに4℃設定の冷蔵庫で冷却し、その後、容器を反転させて、容器に振動を与え、水中油型乳化組成物I、I’、K及びLの流動性の有無を目視確認した。乳化物の流動性がある場合は〇とし、未評価の場合には―として、結果を表4に示す。
Figure 0007155542000004
(評価例5)
実施例6、8、9及び10に係る乳化組成物H、I’、K及びL、乳化組成物J(比較例3)、の室温への降温物について堀場製作所製レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置LA-920を用いてフロー式測定法にて粒子径分布測定を実施した。相対屈折率は1.20を使用し、体積換算で得られた測定結果を表5に示す。乳化組成物H及びI’は、65℃30分の殺菌処理を行った後に室温まで降温した。
尚、乳化組成物Hと同様の組成比率で室温にてホモジナイザーによる撹拌(17000rpm2分)を実施した場合にも水中油型乳化物の形成が確認され、その油滴の平均粒子径は92.4μm、メジアン径は76.5μmであった。測定は、表5と同様の方法で行った。
また、油相成分の含有量が同等である乳化組成物H、I’及びJを室温まで降温した後に冷蔵保管したものを、研究開発に従事する5名の研究員をパネルとし、3つの乳化組成物を組成は非開示(ブラインド)として、各自、室温で飲み比べ、油感の強弱を比較評価し、その後5名で議論し、合意が得られた結果を表5に記載する。乳化組成物H及びI’は、65℃30分の殺菌処理を行った後に室温まで降温した。
Figure 0007155542000005
また、実施例6に係る乳化組成物Hに対して、Nikon社製偏光顕微鏡 ECLIPSELV100NPOL及びNikon社製画像統合ソフトウェアNIS-ElementsVer3.2を用いて顕微鏡観察を行った。結果を図6に示す。図6から油-水界面に固体粒子の存在が確認された。
(評価例6)
実施例8及び比較例3に係る乳化組成物I’及び乳化組成物Jを約7.5ヶ月間冷蔵保管した(4℃)。乳化組成物I’は、保存後も流動性を保持していた。また、乳化組成物I’のメジアン径および平均粒子径を(評価例5)の項と同様にして測定したところ、それぞれ14.07μm、15.71μmであった。一方、組成物Jは、4℃約7.5か月保存後には流動性を有していなかった。
所定の濡れ性を有する固体粒子を用いて水中油型乳化組成物を作製した場合には、保存安定性に優れていることがわかった。

Claims (21)

  1. 固体粒子、油相成分、及び水相成分を有し、
    前記固体粒子に対する前記水相成分の接触角が90.0度以下であり、
    前記固体粒子に対する前記油相成分の接触角が8.0度以上30.5度以下であり、
    乳化組成物中の油相の平均径が100μm以下であり、
    前記油相成分と前記水相成分との界面に前記固体粒子が存在する、
    水中油型乳化組成物。
  2. 固体粒子が、澱粉を主たる固体粒子として含有しないことを特徴とする、請求項1に記載の水中油型乳化組成物。
  3. 前記固体粒子の色の明度を示すL値が31以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の水中油型乳化組成物。
  4. 前記固体粒子の平均粒子径が0.01μm以上10μm以下である、請求項1から3のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物。
  5. 前記固体粒子の平均粒子径が0.2μm以上1μm未満である、請求項1から4のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物。
  6. 水相と油相の界面に存在する固体粒子の平均粒子径が0.01μm以上5μm以下である、請求項1からのいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物。
  7. 水相と油相の界面に存在する固体粒子の平均粒子径が0.5μm以上1μm以下である、請求項1から6のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物。
  8. 121℃加熱前後における水中油型乳化組成物のメジアン径(D50)の変化が、加熱
    前の水中油型乳化組成物のメジアン径(D50)を100%として、加熱後のメジアン径(D50)が±30%以下である、請求項1からのいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物。
  9. 前記乳化組成物中の油相に、中鎖脂肪酸、色素、香料のうちの少なくとも1種を含む請求項1からのいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物。
  10. 前記油相成分が食用油脂を含む請求項1からのいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物。
  11. 前記食用油脂の主成分であるトリグリセリド分子に結合している全脂肪酸に占める不飽和脂肪酸の割合が50質量%以下である、請求項10に記載の水中油型乳化組成物。
  12. 前記食用油脂の主成分であるトリグリセリド分子に結合している全脂肪酸に占める、炭素数が12以下の脂肪酸の割合が1質量%以上である、請求項10又は11に記載の水中油型乳化組成物。
  13. 前記食用油脂の沃素価が通常60.0以下である、請求項10から12のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物。
  14. 前記食用油脂の上昇融点が10℃以上である、請求項10から13のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物。
  15. 前記食用油脂の10℃におけるSFC(固形脂含量)が20質量%以上である、請求項10から14のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物。
  16. 前記食用油脂がパーム核油、ヤシ油、乳脂、硬化ヤシ油、硬化パーム核油及び中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)から選択される少なくとも1種を含む、請求項10から15のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物。
  17. 経口摂取用であることを特徴とする請求項1から16のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物。
  18. 食品用であることを特徴とする請求項1から17のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物。
  19. 水相成分に固体粒子を分散し、水相を得る第1ステップ、第1ステップで得られた水相と、油相成分と、を混合し、得られた混合物を撹拌する第2ステップ、を含むことを特徴とする請求項1から18のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物の製造方法。
  20. 油相成分に固体粒子を分散し、油相を得る第1’ステップ、第1’ステップで得られた油相と、水相成分と、を混合し、得られた混合物を撹拌する第2’ステップ、を含むことを特徴とする請求項1から18のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物の製造方法。
  21. 水相成分及び油相成分のそれぞれに、固体粒子を分散し、水相及び油相を得る第1”ステップ、第1”ステップで得られた水相と油相とを混合し、得られた混合物を攪拌する第2”ステップ、を含むことを特徴とする請求項1から18のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物の製造方法。
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