ここで、電子写真方式を採用した画像形成装置を電子写真画像形成装置と呼ぶ。なお、電子写真方式とは感光体上に形成された静電像をトナーで現像する方式を指す。ここで、現像方式は1成分現像方式、2成分現像方式、乾式現像等の現像方式に関わらない。また、電子写真感光体ドラムとは電子写真方式の画像形成装置に用いるドラム形状のシリンダ表層に感光体を備える構成を指す。
ここで、感光ドラムに作用する画像形成に関わる帯電ローラや現像ローラ等をプロセス手段と呼ぶものとする。また、画像形成に関わる感光体又はプロセス手段(クリーニングブレード、現像ローラ等)を備えるカートリッジをプロセスカートリッジと呼ぶ。実施例では、感光ドラム、帯電ローラ、現像ローラ、クリーニングブレードを一体化したプロセスカートリッジを例に挙げて説明する。
実施例では、複合機、FAX、プリンタ等幅広い用途に使われる電子写真方式のうちレーザビームプリンタを例に挙げて説明する。なお、実施例中の符号は、図面を参照するためのものであって、構成を限定するものではない。また、実施例中の寸法等は関係を明瞭に説明するためのものであって、構成を限定するものではない。
実施例におけるプロセスカートリッジの長手方向とは、プロセスカートリッジを電子写真画像形成装置本体に着脱する方向と実質的に直交する方向である。また、プロセスカートリッジの長手方向とは電子写真感光体ドラムの回転軸線と平行(シート搬送方向と交差する方向)である。長手方向において、プロセスカートリッジの画像形成装置本体から感光ドラムが回転力を受ける側を駆動側(被駆動側)とし、その反対側を非駆動側とする。また、特段明記することなく上方(上側)と記載した場合には、画像形成装置を設置した際の重力方向上方側を上方とみなし、その反対方向(逆方向)を重力方向下方側(下側)とする。
以下に、本実施例におけるレーザビームプリンタについて図面を用いて説明する。本実施例におけるカートリッジは、感光体(像担持体・回転体)としての感光ドラムとプロセス手段としての現像ローラ、帯電ローラ、クリーニングブレードを一体化したプロセスカートリッジである。このカートリッジは装置本体に対して着脱可能(着脱自在)である。ここで、カートリッジ内には装置本体から回転力を受けて回転する回転体/回転部材は(ギア、感光ドラム、フランジ、現像ローラ)を備え、とりわけトナー像を担持搬送する部材を担持体と呼ぶ。
以下に、電子写真画像形成装置としてのレーザビームプリンタの構成と、画像形成プロセスについて図1、図2を用いて説明する。続けて、プロセスカートリッジの詳細な構成について図3、図4を用いて説明する。
§1(レーザビームプリンタと画像形成プロセスの説明)
図1は、電子写真画像形成装置であるレーザビームプリンタ装置本体A(以下、装置本体Aと記載する)及びプロセスカートリッジ(以下、カートリッジBと記載する)の断面図である。また、図2は、プロセスカートリッジBの断面図である。
なお、以下、装置本体Aとは、電子写真画像形成装置であるレーザビームプリンタのうち、着脱可能なプロセスカートリッジBを除いた部分を指すものとする。
まず、図1を用いて電子写真画像形成装置であるレーザビームプリンタの構成について説明する。
図1に示す電子写真画像形成装置は、プロセスカートリッジBを装置本体Aに着脱可能(装着可能かつ離脱可能)とした電子写真技術を利用したレーザビームプリンタである。プロセスカートリッジBが装置本体Aに装着されたとき、プロセスカートリッジBは露光手段(露光装置)としてのレーザスキャナユニット3の重力方向下方に配置される。
また、プロセスカートリッジBの重力方向下側に画像形成装置が画像を形成する対象(目的)である記録媒体(シート材)としてのシートシートPを収容したシートトレイ4が配置されている。
さらに、装置本体Aには、シートPの搬送方向X1に沿って上流側から順に、ピックアップローラ5a、給送ローラ対5b、搬送ローラ対5c、転写ガイド6、転写ローラ7、搬送ガイド8、定着装置9、排出ローラ対10、排出トレイ11が配置されている。なお、定着手段としての定着装置9は、加熱ローラ9a及び加圧ローラ9bにより構成されている。
次に、図1、図2を用いて画像形成プロセスの概略を説明する。
プリントスタート信号に基づいて、現像剤を担持して回転可能な回転体(感光体)である感光ドラム62(以下、ドラム62と記載する)は矢印R方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。
バイアス電圧が印加された帯電ローラ66は、ドラム62の外周面に接触し、ドラム62の外周面を一様均一に帯電する。
露光手段としてのレーザスキャナユニット3は、レーザープリンタへ入力される画像情報に応じたレーザ光Lを出力する。そのレーザ光LはプロセスカートリッジBの上面の露光窓部74を通り、ドラム62の外周面を走査露光する。これにより、帯電された感光体上の一部が除電され、感光ドラム表面に静電像(静電潜像)が形成される。
一方、図2に示すように、現像装置としての現像ユニット20において、トナー室29内の現像剤(以下、「トナーT」と称す)は、搬送部材としての搬送スクリュ43の回転によって撹拌、搬送され、トナー供給室28に送り出される。
現像剤としてのトナーTは、マグネットローラ34(固定磁石)の磁力により、現像手段(プロセス手段・回転体)としての現像ローラ32の表面に担持される。なお、現像ローラ32は感光体上に形成された静電像を現像すべく現像剤を現像領域へと担持、搬送する回転体として機能する。現像領域へと搬送されるトナーTは、現像ブレード42現像ローラ32周面の層厚が規制される。なお、トナーTは現像ローラ32と現像ブレード42の間で摩擦帯電される。
トナーを表面に担持し搬送する回転体としての現像ローラがその表面に担持するトナーTにより、ドラム62上に形成された静電像はトナーにより現像(可視像化)される。すなわち、ドラム66はその表面に現像されたトナー(トナー像)を担持して、矢印R方向に回転する。
また、図1に示すように、レーザ光Lの出力タイミングとあわせて、ピックアップローラ5a、給送ローラ対5b、搬送ローラ対5cによって、装置本体Aの下部に収納されたシートPがシートトレイ4から給送される。
そして、そのシートPが転写ガイド6を経由して、ドラム62と転写ローラ7との間の転写位置(転写ニップ)へ供給される。この転写位置において、トナー像は像担持体としてのドラム62から記録媒体としてのシートPに順次転写されていく。
トナー像が転写されたシートPは、像担持体としてのドラム62から分離されて搬送ガイド8に沿って定着装置9に搬送される。そしてシートPは、定着装置9を構成する加熱ローラ9aと加圧ローラ9bとの定着ニップ部を通過する。この定着ニップ部では、シートP上の未定着トナー像は加圧されるとともに加熱されることでシートPへと定着される。その後、トナー像が定着されたシートPは、排出ローラ対10により搬送され、排出トレイ11に排出される。
一方、図2に示すように、トナーTをシートへ転写した後のドラム62の表面にはシートへ転写されずにドラム表面に残留する転写残トナーが付着している。この転写残トナーは、ドラム62の周面に当節するクリーニングブレード77により除去される。これにより、ドラム62上に残留していたトナーが清掃され、清掃されたドラム62は再び帯電され、画像形成プロセスに使用される。ドラム62から除去されたトナー(転写残トナー)はクリーニングユニット60の廃トナー室71bに貯蔵される。
上記において、帯電ローラ66、現像ローラ32、クリーニングブレード77は、いずれもドラム62に作用するプロセス手段として機能する。本実施例の画像形成装置はクリーニングブレードで転写残トナーを除去する方式を採用したが、電荷を調整した転写残トナーを現像装置で現像と同時に回収する方式(クリーナレス方式)を採用してもよい。なお、クリーナレス方式において、転写残トナーの電荷を調整するための補助帯電部材(補助帯電ブラシ等)もプロセス手段として機能する。
§2(プロセスカートリッジの構成説明)
次にプロセスカートリッジBの詳細な構成について図2、図3を用いて説明する。
図3は、カートリッジとしてのプロセスカートリッジBを分解した斜視図である。プロセスカートリッジの枠体は複数のユニットに分解可能である。本実施例のプロセスカートリッジBはクリーニングユニット60と現像ユニット20の2つのユニットが一体化されたものである。本実施例ではドラム62を保持する現像ユニット20とクリーニングユニット60は連結部材としての2本の連結ピン75で2体のユニットを連結する構成を用いて説明するが、3体以上に分かれていても良い。当然、複数のユニットがピン等の結合部材で結合されず、ユニットのうちの一部のみを交換可能な構成であってもよい。
クリーニングユニット60は、クリーニング枠体71、ドラム62、帯電ローラ66およびクリーニングブレード77等からなる。回転体としてのドラム(シリンダ)62は駆動側の端部には駆動力伝達部品としてのカップリング部材86(カップリング)が設けられている。なお、回転体としてのドラム62へはカップリング部材86(カップリング)を介して装置本体から駆動力が伝達される。そのため、駆動伝達部品としてのカップリング部材86(カップリング)はドラム62が装置本体Aにより駆動される側の端部(被駆動側端部)に設けられていると言い換えることができる。
図3に示すように、回転体としてのドラム62(感光ドラム)は、ドラム軸線(ドラム62の回転軸線)としての回転軸線L1(以下、軸線L1と記載する)を中心に回転可能である。また、駆動力伝達部材としてのカップリング部材86は、カップリング軸線(カップリングの回転軸線)としての回転軸線L2(以下、軸線L2と記載する)を中心に回転可能である。ここで、駆動伝達部材(駆動力伝達部品)としてのカップリング部材86は、ドラム62に対し傾斜(傾動)可能に構成されている。言い換えれば、軸線L2が軸線L1に対して傾斜可能である(詳細は後述する)。
一方、現像ユニット20は、トナー収納容器21、蓋22、現像容器23、第1サイド部材26L(駆動側)、第2サイド部材26R(非駆動側)、現像ブレード42、現像ローラ32、マグネットローラ34からなる。ここで、トナー収容容器21内にはトナーを搬送する搬送部材としての搬送スクリュ43(撹拌シート)、現像剤としてのトナーTを有する。また、現像ユニット20は現像ユニット20とクリーニングユニット60の間でユニットの姿勢を規制するために付勢力を与える付勢部材としてのバネ(本実施例では、つるまきバネ46(コイルスプリング)を用いている)を備える。さらに、連結部材としての連結ピン75(結合ピン・ピン)によりクリーニングユニット60と現像ユニット20は互いに回動可能に連結され、プロセスカートリッジBを構成する。
具体的には、現像ユニット20の長手方向(現像ローラ32の軸線方向)両端の現像容器23に形成したアーム部23aL、23aRの先端に回動穴23bL、23bRが設けられている。この回動穴23bL、23bRは現像ローラ32の軸線と平行に設けられている。
また、クリーニングユニット側の枠体(ケーシング)であるクリーニング枠体71の長手両端部のそれぞれには、連結ピン75を嵌入するための嵌入穴71aが形成されている。そして、アーム部23aL、23aRをクリーニング枠体71の所定の位置に合わせて、連結ピン75を回動穴23bL、23bRと嵌入穴71aに挿入する。これにより、クリーニングユニット60と現像ユニット20が連結部材としての連結ピン75を中心に回動可能に結合される。
このとき、アーム部23aL、23aRの根元に取り付けられた付勢部材としてのつるまきバネ46(コイルスプリング)がクリーニング枠体71に当たり、連結ピン75を回動中心として現像ユニット20をクリーニングユニット60へ付勢している。
これにより、プロセス手段としての現像ローラ32は回転体としてのドラム62の方向へ確実に押し付けられる。これにより、現像ローラ32の両端部に取り付けられたリング形状の間隔保持部材としてのスペーサ(不図示)によって、現像ローラ32はドラム62から所定の間隔を保たれる。
§3(プロセスカートリッジの着脱の説明)
上述の構成において、プロセスカートリッジBが装置本体Aに着脱される動作について図4、図5を用いて説明する。
図4は、装置本体AにプロセスカートリッジBを着脱する様子の説明図である。図4(a)は非駆動側から見た斜視図、図4(b)は駆動側から見た斜視図である。なお、駆動側とはプロセスカートリッジBのカップリング部材86が設けられた長手方向の端部を指す。
装置本体Aには開閉扉13が回動可能に取り付けられている。図4は、この開閉扉13が開かれた状態の装置本体を示した図である。
装置本体Aの内部には、本体側係合部としての駆動ヘッド14と、案内機構としてのガイド部材12を備える。ここで駆動ヘッド14は装置本体A側に設けられ装置に装着されるカートリッジへと駆動力を本体側の駆動伝達機構であり、本体側に設けられたカートリッジのカップリング部材86と係合する。係合後に駆動ヘッド14が回転することでカートリッジへ回転力を伝達することができる。なお、プロセスカートリッジBが備えるカップリングと係合し駆動を伝達するという点で、駆動ヘッド14は本体側のカップリングとみなすことができる。ここで、本体側係合部としての駆動ヘッド14は、回転可能に装置本体Aに支持されている。また、駆動ヘッド14は軸部としての駆動シャフト14aと、回転力を付与する付与部としての駆動ピン14bを備える(図5(b3)参照)。本実施例では、駆動ピン14bと記載したが、駆動シャフト14aの回転軸線から半径方向外側へと突出する突起部(凸部)を備え、その突起の表面からカートリッジ側へと駆動力を伝達する構成であってもよい。また、駆動ピン14aを駆動シャフト14aに設けられた穴に圧入後、溶着させても良い。図5(b1)から図5(b4)のハッチング部(網掛け部)は切断面を表している。なお、図5以降についても同様に、断面図に対してハッチング(網掛け処理)を行う。
また、案内機構としてのガイド部材12はプロセスカートリッジBを装置本体A内に案内する本体側ガイド部材である。ガイド部材12は板状の部材にガイド用の溝が設けられたものでも良いし、プロセスカートリッジBを下面から支えつつガイド(案内)するように設けられた部材でも良い。
続いて、図5を用いて、駆動力伝達部品としてのカップリング部材86が傾斜(傾動、揺動、旋回)する動作を伴いながら、装置本体AにプロセスカートリッジBが着脱される様子について説明する。
図5は、カップリング部材86が傾斜(傾動、揺動、旋回)する動作を伴いながら、装置本体AにプロセスカートリッジBを着脱する様子の説明図である。図5(a1)から図5(a4)はカップリング部材86近傍を駆動側から非駆動側に向かって見たときの拡大図である。また、図5(b1)は、図5(a1)に記載のS1-S1切断線で切断した断面図(S1断面図)である。同様に、図5(b2)は図5(a2)を、図5(b3)は図5(a3)を、図5(b4)は図5(a4)を図5(a1)と同じS1-S1切断線で切断した断面図(S1断面図)である。
なお、図5(a1)から図5(a4)の順にプロセスカートリッジBが装置本体Aへ装着されていく様子を示しており、図5(a4)はプロセスカートリッジBが装置本体Aに装着が完了された状態を示している。また、図5では、装置本体Aの部品としてガイド部材12と駆動ヘッド14の2つを描画し、それを以外の部品はプロセスカートリッジBの部品である。
ここで、図5における矢印X2及び矢印X3で示す方向は駆動ヘッド14の回転軸線L3と略直交する。以下、矢印X2で示す方向をX2方向、矢印X3で示す方向をX3方向と呼ぶ。なお、同様にX2方向及びX3方向はプロセスカートリッジのドラム62の軸線L1と略直交する。図5において、矢印X2で示す方向はプロセスカートリッジBを装置本体Aへ装着する方向である(カートリッジ装着方向下流)。また、矢印X3で示す方向はプロセスカートリッジBを装置本体から離脱する方向である(カートリッジ装着方向上流側)。また、矢印X2で示す方向と矢印X3で示す方向を合わせて着脱方向とみなすことができる。また、装着や離脱に方向の意味合いを含むとみなすこともできる。この場合、装着方向上流、装着方向下流、離脱方向上流、離脱方向下流等の表現を用いて説明する場合もある。
図5に示すように、プロセスカートリッジBは付勢部材(弾性部材)としてのバネを有する。本実施例では、このバネとしてのねじりバネ91(別称、トーションバネ、ねじりコイルバネ、キックバネ)を用いている。このねじりバネ91はカップリング部材の自由端部86aを駆動ヘッド14に近づく方向に向けて倒れるように付勢する。言い換えれば、プロセスカートリッジBの装着過程において、自由端部86aが駆動ヘッド14の回転軸線に直交する装着方向下流側を向くようにねじりバネ91はカップリング部材86を付勢する。カップリング部材86は自由端部86aが駆動ヘッド14を向いた姿勢(状態)を保ったまま、プロセスカートリッジBは装置本体Aへ挿入されていく(詳細は後述する)。
ここで、ドラム62の回転軸線を軸線L1、カップリング部材86の回転軸線を軸線L2、本体側係合部としての駆動ヘッド14の回転軸線を軸線L3とする。このとき、図5(b1)から図5(b3)に示すように、軸線L2が軸線L1及び軸線L3に対して傾斜した状態となる。なお、駆動ヘッド14の回転軸線は駆動シャフト14aの回転軸線と略同一となる。また、駆動側フランジ87はドラム62の端部に設けられ一体で回転するため、駆動側フランジ87の回転軸線はドラム62の回転軸線と略同一となる。
プロセスカートリッジBを図5(a3)及び図5(b3)に示す程度に挿入すると、カップリング部材86が駆動ヘッド14に当接する。図5(b3)では、回転力を付与する付与部としての駆動ピン14bがカップリング部材の待機部86k1と当接している例を示している。この当接によってカップリング部材86の位置(傾動)が規制され、軸線L2の軸線L1(軸線L3)に対する傾斜(傾動)量が徐々に小さくなる。
本実施例では、付与部としての駆動ピン14bがカップリング部材の待機部86k1と当接している例を示して説明した。しかし、カップリング部材86および駆動ヘッド14の回転方向の位相状態によっては、カップリング部材86と駆動ヘッド14が当接する部位が変化する。そのため、本実施例の当接位置に限るものではない。カップリング部材の自由端部86a(詳細は後述する)のいずれかの部位が、駆動ヘッド14のいずれかの部位と当接すればよい。
装着完了位置までプロセスカートリッジBを挿入すると、図5(a4)(b4)に示すように、軸線L2は軸線L1(軸線L3)と実質的に同一直線上に位置する。言い換えると、カップリング部材86と駆動ヘッド14と駆動側フランジ87との回転軸が略一直線となる。
このように、プロセスカートリッジBに設けられたカップリング部材86と本体側係合部としての駆動ヘッド14が係合することで、装置本体からカートリッジへと回転力が伝達可能となる。そして、装置本体AからプロセスカートリッジBを取り外す際は、図5(a4)、(b4)の状態から図5(a1)、(b1)の状態に遷移する。装着動作と同様にカップリング部材86が軸線L1に対して傾斜(傾動)することで、カップリング部材86は本体側係合部としての駆動ヘッド14から離脱する。すなわち、プロセスカートリッジBがX2方向とは反対のX3方向(駆動ヘッド14の回転軸線L3と略直交する)に移動し、カップリング部材86が駆動ヘッド14から離脱する。
なお、プロセスカートリッジBがX2方向またはX3方向に移動するのは、装着完了位置の近傍だけでよい。装着完了位置の近傍以外の場所では、プロセスカートリッジBがどのような方向に移動してもよい。すなわち、カップリング部材86が駆動ヘッド14に係合または離脱する直前のカートリッジの移動する軌跡が、駆動ヘッド14の回転軸線L3と略直交する所定方向に移動すればよい。
§4(カップリング部材の説明)
続いて、図6を用いてカップリング部材86について説明する。なお、回転の方向は時計の運針方向を基準に時計回り(Clockwise)、反時計回り(Counter Clockwise)あるいは、右回り、左回りと表現するものとする。図6の回転方向Rは、カートリッジの駆動側から非駆動側を見た場合、反時計回りとなる。
また、図面に記載した各要素の構成を説明するために、平面上に説明のために引いた線を仮想線、斜視図等に説明のため描いた面を仮想面と呼ぶものとする。また、多数の仮想線を用いて説明する必要がある場合には、第一仮想線、第二仮想線、第三仮想線等の表現を用いる。同様に、多数の仮想面を用いて説明する必要がある場合には、第一仮想面、第二仮想面、第三仮想面等の表現を用いる。なお、別途明記しない場合は、カートリッジ内側(カートリッジ内側方向)またはカートリッジ外側(カートリッジ外側方向)と表現した場合、枠体を基準に内部を内側(内側方向)、外部を外側(外側方向)とみなす。
図6(a)はカップリング部材86の側面図である。また、図6(b)は、カップリング部材86を図6(a)のS2-S2切断線で切断したS2断面図である。なお、図6(b)では、本体側係合部としての駆動ヘッド14を切断しない状態で表示している。
図6(c)はカップリング部材86と駆動ヘッド14が係合している状態を説明する図である。具体的には、カートリッジの駆動側の端部(端面)及び駆動ヘッド14の外側から図6(a)の矢印V1方向に、カップリング部材86と駆動ヘッド14を見た図である。また、図6(d)はカップリング部材86の斜視図である。図6(e)は自由端部86a(後述)近傍の説明図で、回転力を受ける受け部86e1、86e2に沿う方向(図6(c)におけるV2方向)に見た側視図である。
図6に示すように、カップリング部材86は主に3つの部分を有する。簡単に言えば、2つの端部とその間の中間部分からなる。
第一の部分は、本体側係合部としての駆動ヘッド14と係合して、駆動ヘッド14から回転力を受けるための自由端部86aである。また、自由端部86aは、駆動側に広がった開口部86mを有する。
第二の部分は、実質的に球形状である結合部86c(被収容部)である。この結合部86cは、被伝達部材である駆動側フランジ87によって傾動可能に保持(結合・連結)される。ドラム端部(シリンダ端部)のうち、ドラムの一端側には駆動側フランジ87が他端側には非駆動側フランジ64が取り付けられる。
なお、第一の部分はカップリング部材の一端側を含み、第二の部分はカップリング部材の他端側を含むとみなすことができる。また、第二の部分は駆動側フランジ87に保持された際にカップリング部材が回動(傾動)する際の回動中心を含むとみなすことができる。
第三の部分は、自由端部86aと結合部86cとをつなぐ繋ぎ部86gである。
ここで、繋ぎ部86gの最大回転直径φZ2は結合部86cの最大回転直径φZ3より小さく(φZ2<φZ3)、かつ、自由端部86aの最大回転直径φZ1より小さい(φZ2<φZ1)。他の表現を用いると、繋ぎ部86gの少なくとも一部の直径が結合部の直径のうち最大の部分よりも小さい。また、繋ぎ部86gの少なくとも一部の直径が自由端部86aの直径のうち最大の部分よりも小さい。この直径は、カップリング部材の回転軸線周りの最大回転直径であり、カップリング部材の回転軸線と直交する仮想平面上にカップリング部材の各断面が描く仮想円のうち最も直径が大きい部分を指している。
また、結合部86cの最大回転直径φZ3は自由端部86aの最大回転直径Z1よりも大きい(φZ3>φZ1)。これにより、カップリング部材86を自由端部86a側からφZ1以上かつφZ3以下の直径の穴に通すと、カップリング部材86はその穴にひっかかり通過しない。そのため、カップリング部材86を組み立てる場合や、組み立てた後からカップリング部材が組みつけられたユニットから脱落するのを抑制することが容易となる。本実施例では、自由端部86aの最大回転直径φZ1は、繋ぎ部86gの最大回転直径φZ2よりも大きく、結合部86cの最大回転直径φZ3よりも小さい(φZ3>φZ1>φZ2)。
なお、それぞれの最大回転直径φZ1、φZ2、φZ3は図6(a)に示したように測定することができる。具体的には、カップリング部材の回転軸を含む断面上でカップリング部材の各部の径方向の直径を測り、その部分毎の最も大きい直径となる。なお、カップリング部材が回転軸を中心に回転することにより形成される立体図形を基礎として考えてもよい。具体的には、カップリング部材を構成する各部のうち回転軸線から径方向に最も離れた位置に位置する点を特定する。そして、その特定した点がカップリング部材の回転軸線を中心に回転した際に描く軌跡を仮想円として取り扱い、その仮想円の直径を最大回転直径と表現してもよい。
図6(b)に示すように、開口部86mは、カップリング部材86が装置本体Aに装着された状態で、駆動ヘッド14側に向かって広がった拡開部(広がり部)としての円錐形状の受け面86fを有する。また、受け面86fは自由端部の外周面であり、受け面86fが外側へ向かって突出することで、自由端部内部の凹部86zを構成している。なお、凹部86zは、軸線L2方向において、ドラム62の設けられた側(シリンダ側)とは反対側に開口部86m(開口)を有する。
図6(a)、(c)に示すように、自由端部86aの先端側であって、軸線L2を中心とする円周上には、2個の爪部86d1、86d2が軸線L2に関して点対称の位置に配置されている。また、爪部86d1、86d2の間には、待機部86k1、86k2が設けられている。ここで、1対の突起を備える構成について述べたが、駆動力を伝達するためには1個の突起でも良い。この場合、突起の時計周り下流側の面と上流側の面の間が待機部とみなすことができる。ここで、待機部は、装置本体Aに設けられた駆動ヘッド14の駆動ピン14bが爪部86dと接触することなく待機する際に必要となる空間(スペース)である。この空間は回転力を付与する付与部としての駆動ピン14bの直径と比べて大きい。
この空間(スペース)は、カートリッジを装置本体Aに装着する際の遊びとして機能する。また、カップリング部材86の半径方向において、爪部86d1、86d2よりも内側に凹部86zが位置するように構成されている。爪部86dの径方向の幅は待機部の幅と略同等である。
図6(c)に示すように、カップリング部材86に駆動ヘッド14から回転力が伝達されるのを待機している際には、待機部86k1、86k2に回転力を付与する駆動ピン14bが位置する(準備位置・待機位置)。さらに、図6(d)において、爪部86d1、86d2のR方向に回転した際の上流側には、R方向と交差する回転力を受ける受け部86e1、86e2(図6(a)参照)がそれぞれ設けられている。なお、図中のR方向とは、画像形成時に装置本体の駆動ヘッド14から駆動力を受けて回転する方向である。
ここで、プロセスカートリッジBへ駆動を伝達する駆動ヘッド14と駆動ピン14bは伝達する駆動伝達機構を構成している。当然、駆動ヘッドの形状次第で複数の機能を一つの部材が担うことも考えられる。その際には、実際に他の部材と接触して駆動を伝達する部材の表面がその機能を果たす部分としてみなす。
カップリング部材86と駆動ヘッド14が係合し、駆動ヘッド14が回転している状態で本体側の駆動ピン14bの表面がカップリング部材86の受け部86e1、86e2の側面に接触する。これによって、本体側係合部としての駆動ヘッド14から駆動伝達部品としてのカップリング部材86に回転力が伝達される。
さらに、受け部86e1、86e2の根元には、待機部86k1、86k2よりも結合部86c側に凹んだ逃げ部86n1、86n2が設けられている。この逃げ部86n1、86n2について、図7を用いて詳細に説明する。図7(b)は図7(a)のS3断面である。
図7は、駆動ピン14bと受け部86e1、86e2とが当接した状態から、回転力を付与する駆動ピン14bに沿って、カップリング部材86が傾斜している様子を表している。図7に示すように、受け部86e1、86e2と駆動ピン14bとが当接した状態でカップリング部材86が傾斜した際に、待機部86k1、86k2と駆動ピン14bとの干渉を避けるために、逃げ部86n1、86n2が設けられている。したがって、待機部86k1、86k2全体をより結合部86c側まで削ったり、駆動ピン14bを短くしたりする等の場合は、設ける必要がない。しかし、本実施例では、待機部86k1、86k2を結合部86c側に削る場合は、カップリング部材86の剛性が低下する恐れがあるため、逃げ部86n1、86n2を設ける構成とした。
なお、図6(c)に示すように、カップリング部材86に伝達される回転トルクをできるだけ安定させるため、受け部86e1、86e2は軸線L2を中心とした点対称の位置に配置することが望ましい。これにより、回転力伝達半径が一定となり、カップリング部材86に伝達される回転トルクが安定する。また、回転力を受けたカップリング部材86の位置をできるだけ安定させるためには、受け部86e1と86e2を180°対向した位置に配置することが望ましい。とりわけ本実施例のように自由端部の受け部付近の外周部に鍔のように受け部と待機部の外周部を囲い込むような突起(鍔)がない構成においては、受け部の数が2個であることが好ましい。なお、受け部の外周部に円環状の鍔を備える構成であれば、受け部が回転軸線に沿って径方向外側から見た際に露出しない状態となる。そのため、カップリング部材の姿勢に関わらず、カートリッジ運搬時等に受け部が比較的保護し易い。しかし、カップリング部材の回転軸線に沿って外側から見た際に鍔によって受け部が見えないような構成では、鍔が係合部と干渉し易くなる。
さらに、図6(d)、(e)に示すように、回転力を受けたカップリング部材86の位置を安定させるため、受け部86e1、86e2を、先端側が軸線L2に対して近づくように、軸線L2に対して角度θ3をもって傾斜させることが望ましい。なぜなら、図6(b)に示すように、カップリング部材86に伝達される回転トルクによって、カップリング部材86が本体側係合部としての駆動ヘッド14側に引き寄せられるためである。これにより、円錐形状の受け面86fと駆動ヘッド14の球面部14cが当接し、カップリング部材86の位置がより安定しやすくなる。
また、爪部86d1、86d2の設置個数は本実施例では2個としたが、前述のように駆動ピン14bが待機部86k1、86k2に入り込むことができれば、適宜変更可能である。しかし、待機部に駆動ピン14bが入り込む必要があるため、爪部の設置個数を増やすことによって、爪部自体の幅(図6(c)における円周方向の幅)を小さくする必要が生じる場合がある。このような場合は、本実施例のように、突起部を2個(1対)とすることが好ましい。
さらに、受け部86e1、86e2は、受け面86fの径方向内側に配置されていても良い。或いは、受け部86e1、86e2は、軸線L2方向において、受け面86fから径方向外側へ突出した箇所に配置されていても良い。しかし、本実施例では前述のように受け面86fから回転軸線に沿ってドラム62から遠ざかる方向に向かって突出した爪部86d1、86d2の側面において、駆動ヘッド14から駆動力を受ける。そのため、装置本体から駆動力を受ける自由端部86aの爪部86d1、86d2は、その突起自体が露出している。これは、突起(爪)を囲むような円環状の鍔を設けると、カップリング部材86が傾斜した際に周囲の部品と干渉し、カップリング部材86の傾斜可能な角度を制限することになる。または、円環状の鍔を設けると周囲の部品を逃がして配置するなど、カートリッジBの大型化を伴う構成となってしまうためである。
なお、したがって、装置本体から駆動力を受ける箇所(本実施例では爪部86d1、86d2)以外の形状を設けないことで、カートリッジB(および装置本体A)の小型化を達成することができる。一方で突起を囲む鍔が設けられていないために、運送中に他の部品と接触する恐れが高まる。しかし、後述するようにカップリング部材86をバネにより付勢することによって、爪部86d1、86d2を軸受部材76の最外形部内に収めることができる。これにより、運送中に爪部86d1、86d2が破損する可能性を低減することができる。
ここで本実施例では、爪部86d1、86d2の待機部86k1、86k2からの突出量Z15を4mmとしている。これは、部品公差を考慮したうえでも待機部86k1、86k2が駆動ピン14bと干渉せず、かつ爪部86d1、86d2と駆動ピン14bとを確実に係合させるのに好適な量であるが、部品精度によっては変更可能である。しかしながら、待機部86k1、86k2を必要以上に駆動ピン14bから逃がすと、カップリング部材86に駆動が伝達される際の変形を増大させる恐れがある。一方で爪部86d1、86d2の突出量を大きくすれば、カートリッジBや装置本体Aの大型化となる。したがって突出量Z15は3mm以上5mm以下の範囲が好ましい。
なお、本実施例においては、軸線L1方向における自由端部86aの長さは約6mmである。従って、自由端部86aの基部(爪部86d1、86d2以外の部分)の長さは約2mmであり、結果として、軸線L1方向において、爪部86d1、86d2の長さは、前記基部(爪部86d1、86d2以外の部分)の長さよりも長い。
なお、受け部86e1、86e2の内径φZ4は、繋ぎ部86gの最大回転直径φZ2よりも大きく設けられている。本実施例ではφZ4はφZ2よりも2mm大きい。
図6に示すように、結合部86cは、実質的に軸線L2上に傾動中心としての中心Cを有する実質的な球形状86c1、円弧面部86q1、86q2、穴部86bから構成される。
結合部86cの最大回転直径φZ3は、自由端部86aの最大回転直径φZ1よりも大きく構成される。本実施例ではφZ3はφZ1よりも1mm大きい。なお、球形部については実質的な直径を比較すればよく、成形の都合で一部肉抜きをして形状である場合は、仮想球の直径を比較しても良い。また、円弧面部86q1、86q2は繋ぎ部86gと同径の円弧形状を軸線L2に沿って延ばした円弧面である。貫通穴である穴部86bは、軸線L2に対して直交する直交方向に貫通している。この貫通穴である穴部86bは、軸線L2に対して直交する第一傾斜被規制部86p1、86p2、軸線L2に対し平行な伝達部86b1、86b2から構成される。
ここで、第一傾斜被規制部86p1、86p2は球形状86c1の中心Cから互いに等距離にある平面形状である(Z9=Z9)。また、伝達部86b1、86b2も、球形状86c1の中心Cから互いに等距離にある平面形状である(Z8=Z8)。なお、穴部86bを通りカップリング部材86を傾動可能に支持するピン88の直径は2mmである。そのため、Z9が1mmを超えればカップリング部材86は傾斜可能となる。また、Z8は1mmのとき、ピン88は穴部を通過可能となり、Z8が1mmを超えれば、カップリング部材86は軸線L1周りに一定量回転可能になるような自由度を持つ。
また、第一傾斜被規制部86p1、86p2の、穴部86bのうち、軸線L2と直交する方向の端部は、円弧面部86q1、86q2の外縁まで到達している。また、伝達部86b1、86b2のうち、穴部86bの軸線L2と直交する方向の端部は球形状86c1の外縁まで到達している。
また、図6に示すように、繋ぎ部86gは、自由端部86aと結合部86cとを繋ぐ円筒形状であって、実質的に軸線L2に沿った円柱形状(または円筒形状)の軸部である。
本実施例のカップリング部材86の材質は、ポリアセタール、ポリカーボネート、PPS、液晶ポリマー等の樹脂を用いてもよい。また、これらの樹脂にガラス繊維、カーボン繊維等を配合すること、または、前記樹脂中に金属をインサートすることにより、剛性を上げても良い。また、カップリング部材86全体を金属等で製作しても良い。本実施例ではカップリングを小型化するに最良な金属を採用した。具体的には、亜鉛ダイカスト合金を採用した。結合部86cの自由端側86aの球形部には繋ぎ部86gに近い側の球面の一部を抉るように構成した。加えて、カップリング部材の形状を工夫することにより第一部から第三部を含む全長が約21mm以下となるように構成した。また、傾動中心Cから本体駆動ピンと係合する自由端の端部までの長手方向の長さが15mm以下となる。なお、カップリング部材が傾動する中心から距離が短くなればなるほど、カップリングが同一角度傾斜した際に駆動ピンから退避する距離が少なくなる。言い換えると、カートリッジの小型化等のために、カップリング部材を短くすると駆動ピンを回避するために必要な傾動可能な角度(傾動角度)を大きくする等の工夫が必要となる。また、自由端部86a、結合部86c,及び、繋ぎ部86gは,一体成形されていても、或いは、各々別体に形成されたものが一体に結合されても良い。なお、カートリッジから感光ドラムとカップリング部材が取り付けられたフランジの3体を取りだした際、カップリング部材はどの傾斜方向へも傾斜可能(傾斜自在)となるように取り付けられている。
§5(ドラムユニットの構成説明)
図8及び図9を用いて、感光ドラムユニットU1(以下、ドラムユニットU1と記載する)の構成について説明する。
図8はドラムユニットU1の構成の説明図であり、図8(a)は駆動側から見た斜視図、図8(b)は非駆動側から見た斜視図、図8(c)は分解した斜視図である。図9は、ドラムユニットU1をクリーニングユニット60に組み込む様子の説明図である。
図8に示すように、ドラムユニットU1は、ドラム62、カップリング部材から回転力が伝達される駆動側フランジユニットU2、及び、非駆動側フランジ64、アース板65で構成されている。回転体としてのドラム62は、表面に感光層を被覆したアルミ等の導電性の部材である。なお、ドラム62は、内部が中空であっても、或いは、内部が中実でも構わない。
カップリング部材から回転力が伝達される被伝達部材としての駆動側フランジユニットU2は、ドラム62の駆動側の端部に配置されている。具体的には、図8(c)に示すように、駆動側フランジユニットU2は、被伝達部材である駆動側フランジ87の被固定部87bがドラム62の端部の開口部62a1に嵌合し、接着やカシメ等でドラム62に固定される。そして、駆動側フランジ87が回転すると、ドラム62が一体的に回転する。ここで、駆動側フランジ87のフランジ軸線としての回転軸線は、ドラム62の軸線L1とが実質的に同軸(同一直線上)になるように、駆動側フランジ87はドラム62に固定される。
なお、「実質的に同軸(同一直線上)」とは、完全に一致した同軸(同一直線上)の場合に加え、部品寸法のばらつき等によって同軸(同一直線上)から多少ずれている場合も含む。以下説明においても、同様である。
同様に、非駆動側フランジ64は、ドラム62と実質的に同軸上で、ドラム62の非駆動側の端部に配置されている。本実施例で非駆動側フランジ64は樹脂製である。また、図8(c)に示すように、非駆動側フランジ64はドラム62の長手端部の開口部62a2に、接着やカシメ等でドラム62に固定される。また、非駆動側フランジ64には、導電性(主に金属)のアース板65が配置されている。アース板65は、ドラム62の内周面に接し、装置本体Aと電気的に接続されている。
図9に示すように、ドラムユニットU1はクリーニングユニット60に支持される。
ドラムユニットU1の非駆動側において、非駆動側フランジ64の軸受部64a(図8(b)参照)がドラム軸78によって回転可能に支持される。なお、ドラム軸78はクリーニング枠体71の非駆動側に設けられた支持部71bに圧入固定されている。
一方、図9に示すように、ドラムユニットU1の駆動側において、フランジユニットU2と接触して支持する軸受部材76が設けられている。この軸受部材76の基部(被固定部)としての壁面(板状部)76hがビス90によってクリーニング枠体71に固定されている。具体的には軸受部材76はクリーニング枠体71にビス止めされている。そして、駆動側フランジ87が軸受部材76を介して、クリーニング枠体71に支持されている(軸受部材76については詳細を後述する)。なお、軸受部材76の板状部76hを基準面とした場合、この支持部材はカートリッジ内部と外部にそれぞれ突起を有する。支持部材である軸受部材76はカートリッジの枠体であるため、軸受部材76から突出する突起を枠体突起(凸部)とみなすことができる。同様に、装置本体から付勢力を受ける突起(第一突起)やバネを取り付けるための突起(第二突起)についても、軸受部材76はカートリッジ枠体本体に取り付けられるため、枠体から伸びた突起とみなすことができる。なお、軸受部材76及びカートリッジの枠体に、本実施例で明示した部位以外の個所に樹脂成型時の引けや強度を確保するために、リブ、溝、肉抜きが設けてあってもよい。
本実施例ではクリーニング枠体71に軸受部材76をビス90によって固定する構成としたが、接着によって固定する構成や、溶融した樹脂により接合する構成でもよい。また、クリーニング枠体71と軸受部材76を一体化してもよい。
§6(駆動側フランジユニットの説明)
図10、図11、図12を用いて、駆動側フランジユニットU2の構成について説明する。
図10は駆動側フランジユニットU2を分解した斜視図であり、図10(a)は駆動側から、図10(b)は非駆動側から見た図である。図11は駆動側フランジユニットU2の構成の説明図であり、図11(a)は駆動側フランジユニットU2の斜視図、図11(b)は図11(a)のS4-S4切断面で切断した断面図、図11(c)は図11(a)のS5-S5切断面で切断した断面図である。図12は駆動側フランジユニットU2の組立方法の説明図である。
図10、図11に示すように、駆動側フランジユニットU2は、カップリング部材86、軸部(シャフト)であるピン88、駆動側フランジ87、規制部材としての蓋部材89を有する。ここで、カップリング部材86は駆動ヘッド14と係合し回転力を受ける。そして、ピン88は、実質的に円柱形状(または円筒形状)であって、軸線L1に対し略直交する方向に延びている。ここで、ピン88は、カップリング部材86から回転力を受け、その回転力を駆動側フランジ87に伝達する。この際、軸部としてのピン88はカップリング部材の貫通穴と当接して回転力を伝えるために、貫通穴の一部と当接してカップリング部材の回転方向の回転を規制する回転規制部を備える。また、軸部としてのピン88カップリング部材86の傾動を規制するために貫通軸のいつ部と当接してカップリング部材の傾動を規制する傾動規制部を備える。
また、駆動側フランジ87はピン88から回転力を受け、その回転力をドラム62に伝達する。規制部材としての蓋部材89は、駆動側フランジ87からカップリング部材86とピン88が脱落しないように規制する。これにより、カップリング部材86は駆動側フランジ87に対して、さまざまな姿勢を取りうる。言い換えると、カップリング部材86は第一姿勢、第一姿勢とは異なる第二勢姿勢など回動中心を支点として傾動自在に保持されている。なお、カップリング部材の自由端部に着目すればさまざまな位置(第一位置、第一位置とは異なる第二位置)を取りうる。
なお、上述のように駆動側フランジユニットU2は複数の部材から成り、第一部材としての駆動側フランジ87と第二部材としての蓋部材89が一体化することでフランジとしての役割を果たしている。駆動側フランジ87はピン88から駆動を受ける部分と、ドラム62へ駆動を伝達する両方の機能を果たしている。逆に、蓋部材89は実質的にドラムの内部と接触することなく、ピン88を駆動側フランジ87と共に保持している。
続いて、図10を用いて各構成部品について説明する。
カップリング部材86には、前述のように自由端部86a、結合部86c(被収容部)が設けられている。結合部86cには、貫通穴としての穴部86bが設けられている。この穴部86bの内側(内壁)に、回転力をピン88に伝達する伝達部86b1、86b2がある。また、この穴部86bの内側(内壁)にカップリング部材86の傾斜量を規制するためにピン88と当接する傾斜被規制部としての第一傾斜被規制部86p1、86p2がある(図15(b2)も参照)。ここで、軸部としてのピン88の周面の一部が傾斜規制部(第一傾斜規制部)として機能する。
駆動側フランジ87は、被固定部87b、第一円筒部87j、円環状溝部87p、第二円筒部87hを有する。ここで、被固定部87bはドラム62のシリンダの内面と接触して駆動力を伝達すべくドラム62に固定される部分である。また、第二円筒部87hは、第一円筒部87jの径方向内側に設けられ、円環状溝部87pは、第一円筒部87jと第二円筒部87hの間に設けられている。第一円筒部87jは、径方向外側にギア部(はず歯ギア)87c、径方向内側(円環状溝部87p側)に被支持部87dを有する。ギア部(歯車)87cの歯形状としては、駆動伝達性の点からはす歯ギアが特に望ましいが、平歯ギア等の歯車を用いても良い。また、駆動側フランジ87の第二円筒部87hは中空形状をしており、内部に収納部(空洞部)87iを有している。ここで、収納部(空洞部)87iは、その内部にカップリング部材86の結合部86cを収納する部分である。また、この収納部87iの駆動側には結合部86cと当接して、カップリング部材86が駆動側へ脱落するのを防止(規制)する脱落防止部(オーバーハング部・脱落規制部)としての円錐部87kが設けられている。具体的には、円錐部87kは、カップリング部材86の結合部86cの外周と当接して、カップリング部材の脱落を規制する。さらに具体的には、円錐部87kは、結合部86cの略球形状の部分と当接して、カップリング部材86の脱落を規制する。つまり、円錐部87kの最小内径は収納部87iの内径よりも小さい。つまり、円錐部87kは収納部87iの内面からカップリング部材の軸線中心(空洞部側)に向かって張り出し(迫り出し、オーバーハングし)、結合部86cの周面と当接して脱落を規制することができる。
本実施例では円錐部87kを、軸線L1を中心軸とする円錐形状としているが、例えば球面や軸線L1と交差する平面であってもよい。円錐部87kの駆動側には、カップリング部材86の自由端部86aを突出させるための開口部87mが、その直径(φZ10)が自由端部86aの最大回転直径φZ1よりも大きくなるように設けられている。開口部87mのさらに駆動側には、カップリング部材86が傾斜(傾動)した際にカップリング部材86の外周と当接するその他の傾斜規制部としての第二傾斜規制部87nが設けられている。具体的には、第二傾斜規制部87nは、カップリング部材86が傾斜した際に第二傾斜被規制部としての繋ぎ部86gと当接する。また、ギア部87cは、現像ローラ32に回転力を伝達する部分である。さらに、被支持部87dは、軸受部材76(支持部材)の支持部76aに支持される部分で、ギア87cの肉厚裏側に設けられている。これらは、ドラム62の軸線L1と同軸線上に配置されている。
ここで、カップリング部材86が第一傾斜規制部に当接した場合、第二傾斜規制部に当接する場合と比べて傾斜角度が小さくなるように構成されている(詳細は後述する)。
また、第二円筒部87hの内部に設けられる収納部87iには、軸線L1を中心に互いに180°位相のずれた位置に、軸線L1と平行に配置される一対の溝部87e(凹部)を有する。溝部87eは駆動側フランジ87の軸線L1方向において被固定部87b側に開口し、径方向において空洞部87iと連結している。また、溝部87eの底部には、軸線L1と直交する直交面である抜け止め部87fを有する。さらに、凹部87eは後述するピン88から回転力を受ける一対の被伝達部87gを有する。ここで、溝部87e(の少なくとも一部)と円環状溝部87p(の少なくとも一部)は、軸線L1方向においてオーバーラップしている(図12(b)参照)。その為、駆動側フランジ87の小型化が達成できる。
また、規制部材としての蓋部材89は、円錐形状である基部89a、基部89aに設けられる穴部89c、基部89aから軸線L1と略平行に突出し、基部の軸線周りに約180°位相のずれた一対の突出部89bが設けられている。突出部89bは軸線L1方向先端に長手規制部89b1を有する。
なお、本実施例では駆動側フランジ87は射出成形で成形された樹脂製であり、その材質は、ポリアセタール、ポリカーボネート等である。但し、ドラム62を回転するための負荷トルクに応じて、駆動側フランジ87を金属製にしてもよい。また、本実施例では駆動側フランジ87は、現像ローラ32に回転力を伝達するギア部87cを有する。しかし、現像ローラ32の回転は、特に駆動側フランジ87を介さなくとも良い。その場合には、ギア部87cは無くすことができる。しかし、本実施例のように、駆動側フランジ87にギア部87cを配置する場合には、ギア部87cを駆動側フランジ87と一体成形することが好ましい。
次に、図13、図14を用いて軸受部材76について詳細に説明する。図13はクリーニングユニットU1のうち、軸受部材76周辺のみを表示した説明図である。図13(a)は駆動側から見た側視図である。また、図13(b)は図13(a)のS61-S61切断線で切断した断面図、図13(c)、図13(d)は斜視図である。また、図13(e)は図13(a)のS62-S62切断線で切断した断面図である。図14は、軸受部材76の斜視図で、図14(a)は駆動側から見た図、図14(b)は非駆動側から見た図に、説明のため駆動側フランジ87を付加している。図14(c)は図14(b)のS71平面で切断した断面図である。
図14に示すように、軸受部材76は主に板状部76h、板状部76hから一方(駆動側)に突出する第一突出部76j、板状部76hから他方(非駆動側)に突出する第二突出部としての支持部76aから構成される。さらに、軸受部材76は板状部76hから支持部76aの突出方向(非駆動側)に凹む退避部(被進入部)としての切欠き部76kを有する。この退避部(被進入部)としての切欠き部76kは軸受部材76の基準面から見て凹部であり、本実施例ではカートリッジ装着方向下流側に向けて幅な溝部である。この凹みは軸受部材76の剛性を確保するために溝形状であることが好ましいがこの形状に限定するものではない。ここで、基準面からの凹みを退避部と呼ぶのは、カップリングと本体側の駆動ピンが取り付け時に干渉するのを避けるために、カップリング部材が傾斜し退避することができる空間であるためである。見方を変えれば、基準面からの凹みを被進入部と呼ぶことができる。これは、この凹んだ部分へ傾斜するカップリング部材が進入するためである。また、後述する本体側のカップリングガイドもこの凹みへと進入可能である。なお、カップリング部材やカップリングガイドはそれらの少なくとも一部が前述の凹部へと進入すれば良く、それらすべてが進入しきる必要はない。そのため、このカートリッジ枠体の枠体に設けられた凹みは見方によってはカップリングのための退避スペースであり、カップリング部材等が進入する被進入部と呼ぶことができる。
具体的には、カートリッジ装着方向下方に向けて傾斜するカップリング部材の傾斜角度を他の方向に傾斜するよりも大きく傾斜(退避)できるように構成されていれば良く、放射線状に幅が広がる形状であってもよい。この退避部(被進入部)の形状は溝に限らず、フランジの回転軸よりもカートリッジ装着方向下流側へと向かう凹部であれば良く、溝形状に限るものではない。第一突出部76jは径方向内側に、カップリング部材86を収容する空洞部76iを有し、空洞部76iは第一突出部76jの一部に設けられる切欠き部76j1を介して、切欠き部76kと空間的に連結されている。また、この退避部としての切欠き部76kは空洞部76iから見て、プロセスカートリッジBの装着方向(X2)側に設けられている。これにより、カップリング部材86が装着方向(X2)側に傾斜(傾動)可能になるように構成されている(図13参照)。これにより、カップリング部材86はカートリッジが装置本体に装着される際に、退避部としての切り可き部76kの内部へ退避可能(大きく傾動可能)となる。
加えて、軸受部材76は、円筒形状の支持部76aが駆動側フランジ87の円環状溝部87pに進入し、被支持部87dを回転可能に支持している。
さらに、第一突出部76jは、プロセスカートリッジBを装置本体Aに装着する際の被ガイド部および第一被位置決め部として機能する円筒部76d、およびバネ受け部76eを有している。また、切欠き部76kの装着方向(X2)方向先端側には、第二被位置決め部として機能する装着先端部76fが設けられている。ここで円筒部76d、装着先端部76fは、板状部76hおよび切欠き部76kを挟んで軸線L1方向で異なる位置に設けられ、互いに同心で直径が異なる円弧形状になっている。
本実施例では、第一円筒部87j、円環状溝部87p、第二円筒部87h、溝部87eが軸線L1方向でオーバーラップしている。このため、円環状溝部87pに進入する軸受部材76の支持部76a、ピン88、カップリング部材86の球形状86c1、ギア部87cが軸線L1方向でオーバーラップした位置に配置される。さらに、前述したように、軸受部材76には板状部76hよりも非駆動側に凹んだ切欠き部76kが設けられ、カップリング部材86が傾斜(傾動)した際に、カップリング部材86の一部が切欠き部76kに収容されるようになっている。このようにカップリング部材86周辺の部品を構成することにより、軸受部材76やカップリング部材86がギア部87cの位置に対して駆動側に突出する量を低減しつつ、カップリング部材86の傾斜(傾動)量を大きく確保することができる。なお、所定の立体を切断した断面図上の各部を仮想直線に対して正射影した際に、互いの部分が少なくとも一部重なる際にオーバーラップすると考える。言い換えれば、基準となる仮想面を決め、各部材を同一平面上へ投影した際に重なりが生じれば、その仮想平面上でオーバーラップすると取り扱う。
さらに、図13(e)に示すように、第一突出部76jは、カップリング部材86が切欠き部76kに向かって傾斜した際に、軸線L1方向での最外形がカップリング部材86(の爪部86d1、86d2)よりも外側に位置するように構成されている。これにより、カップリング部材86の爪部86d1、86d2が、運送中などにおいて不意に障害物と衝突したりするリスクを低減している。
また、本実施例では前述したように、現像ローラ32がドラム62を矢印X7方向へ押している。すなわち、ドラムユニットU1が切欠き部76k側へ押圧されている。このドラムユニットU1(の駆動側フランジ87)を支持する支持部76aのうち、切欠き部側支持部76aRには切欠き部76kがある。そのため、切欠き部76kが無い反対側支持部76aLは、切欠き部側支持部76aRに比べて相対的に剛性が高い構成になっている。そのため、本実施例では、被支持部87dをギア部87cの肉厚裏側に設けて、駆動側フランジ87を内周受けする構成とした。これにより、ドラムユニットU1を実質的に支持するのは、反対側支持部76aLとなる。これにより、剛性の劣る切欠き部側支持部76aRには負荷がかかりにくく、支持部76aが変形しにくい構成になっている。
図13に示すように、付勢手段(付勢部材)としてのねじりバネ91は駆動側フランジ87の軸線L1よりもカップリング部材86の着脱方向において離脱側、かつ重力方向(上下方向)下側に設けられている。ねじりバネ91は円筒状のコイル部91cとコイル部91cから延びた第一の腕91a、第二の腕91b(第一端部、第二端部)から成る。そして、コイル部91cがバネ掛け部76gに軸支(係止)されることによって、軸受部材76に取り付けられる。バネ掛け部76gはコイル部91cよりも円筒部の高さ(長さ)を高くしてあり、ねじりバネ91がバネ掛け部76gから脱落することを抑制している。バネかけ部76gは断面が円の一部に直線部を備える略D字形状であり、この突起がコイル部91cの中を通ることでねじりバネ91はカートリッジに取り付けられている。なお、ねじりバネ91が取り付けられた状態で、コイル部91の直径がバネかけ部76gの直径よりも大きい。なお、バネかけ部76gとBはカートリッジ枠体の長手方向端部の同一面から、駆動側フランジの回転軸線方向に沿ってカートリッジ外側に向かう方向に突出している。
ねじりバネ91は第一の腕91aが軸受部材76のバネ受部76nと当接し、第二の腕91bがカップリング部材86のつなぎ86gあるいはバネ受け部86hと当接している。これにより、ねじりバネ91はカップリング部材86を、付勢力F1によって、自由端部86aが切欠き部76k側に向くように付勢している。また、切欠き部76kの幅Z11は、カップリング部材86の先端部86aの直径φZ1よりも広くなっているため、先端部86aは装着方向X2に対して上下に移動できる自由度を持っている。ねじりバネ91は、コイル部91cが軸線L1よりも下側に設けられているため、カップリング部材86は付勢力F1や重力によって先端部86aが下向きに下がるように付勢されている。これにより、カップリング部材86の軸線L2は、軸線L1に対して切欠き部76k側に傾斜するとともに、先端部86aが下面76k1に当接するように傾斜する。本実施例では、ねじりバネ91の付勢力F1によって、自由端部86aが軸線L1に対して下側に位置するように構成している。しかし、これは図23において後述するように、自由端部86aが軸線L1よりも下側に位置するようにカップリング部材86を傾斜させるためである。
以上のように、ねじりバネ91によってカップリング部材86の自由端部86aが駆動ヘッド14に近づく方向を向くように構成した。しかし、装着方向X2と重力方向やカップリング部材86の重量等の条件によっては、カップリング部材の自重によりカップリング部材86の自由端部86aがX2方向を向く。この場合は付勢手段(付勢部材)としてねじりバネ91を設けることなく、重力を利用してカップリング部材86を所望の方向へ向けても良い。本実施例のカップリング部材86はねじりバネ91により付勢されており、溝形状の切欠き部76kの重力方向下側の側面と当接する。これにより、ねじりバネと溝の下側の側面によりカップリング部材が挟まれて、カップリング部材の姿勢が安定する。当然、ねじりバネ91の配置等を工夫することで、カップリング部材が溝形状の切欠き部76kの重力方向上方の側面と当接させることができる。しかし、重力に抗してバネによる付勢力でカップリングの姿勢を安定させる場合よりも重力に逆らうことなくカップリング姿勢を安定させる方が安定性が高い。
図11を用いて各構成部品の支持方法と連結方法について説明する。
ピン88は、抜け止め部87fと長手規制部89b1によってドラム62の長手方向(軸線L1)の位置が規制され、被伝達部87gによってドラム62の回転方向(R方向)の位置が規制される。そして、ピン88が、カップリング部材86の貫通穴としての穴部86bを貫通している。この穴部86bとピン88との遊びは、カップリング部材86の傾動を許容する程度に設定されている。このように構成したことにより、カップリング部材86は、駆動側フランジ87に対し、いずれの方向にも傾斜(傾動、揺動、旋回)できる。
カップリング部材86は、結合部86cが収納部87iに当接することによって駆動側フランジ87の半径方向への移動が規制される。また、結合部86cが蓋部材89の基部89aに当接することにより駆動側から非駆動側への移動が規制される。さらに、球形状86c1と駆動側フランジ87の円錐部87kとが当接することにより、カップリング部材86の非駆動側から駆動側への移動が規制される。そして、伝達部86b1、86b2とピン88とが当接することにより、カップリング部材86の回転方向(R方向)への移動が規制される。これによりカップリング部材86は駆動側フランジ87とピン88に連結される。
なおこのとき、図11(d)に示すように穴部86bの幅Z12は、ピン88の直径φZ13よりも大きく設けられている。これによりカップリング部材86とピン88は、ドラム62の回転方向(R方向)に遊びをもって連結されるため、カップリング部材86は軸線L2周りにも一定量回転することができるようになっている。
また、前述のように、カップリング部材86は基部89aあるいは円錐部87kと当接して軸線L1方向の位置が規制されるが、部品公差上、カップリング部材86が軸線L1方向に少量移動可能となるように構成されている。
図12を用いて駆動側フランジユニットU2の組立方法について説明する。
まず図12(a)に示すように、ピン88をカップリング部材86の貫通穴である穴部86bに挿入する。
次に図12(a)に示すように、ピン88と駆動側フランジ87の一対の溝部87eの位相が合うようにして、カップリング部材86とともに収納部87iに(軸線L1に沿って)挿入する。
そして、図12(b)に示すように、一対の溝部87eに規制部材としての蓋部材89の一対の突出部89bを挿入し、この状態のまま、蓋部材89を駆動側フランジ87に溶着や接着によって固定する。
本実施例では、カップリング部材86の自由端部86aの直径φZ1が、開口部87mの直径φZ10よりも小さく設けられている。これにより、カップリング部材86、ピン88、蓋部材89を全て駆動側フランジ87の収納部87i側から組むことができ、組立を容易にすることができる。また、結合部86cの直径φZ3が、開口部87mの直径よりも小さく設けられていることで、球面部86c1と円錐部87kとを当接させることができる。これにより、カップリング部材86の駆動側への脱落を規制するとともに、高精度にカップリング部材86を保持することができる。したがって、直径φZ1(<直径φZ10)<直径φZ3としたことで、駆動側フランジユニットU2を容易に組み立て、かつ、カップリング部材86の位置を高精度に保持することができる。
§7(カップリング部材の傾斜(傾動)動作の説明)
図15を用いて、カップリング部材86の傾斜(傾動)動作について説明する。
図15は、カップリング部材86(軸線L2を含む)が軸線L1に対して傾斜(傾動)する様子の説明図である。図15(a1)(a2)は、カップリング部材86が傾斜(傾動)した状態におけるプロセスカートリッジBの斜視図である。また、図15(b1)は図15(a1)のS7-S7切断線で切断した断面図である。また、図15(b2)は図15(a2)のS8-S8切断線で切断した断面図である。
図15を用いて、カップリング部材86が結合部86cの球中心を中心として傾斜(傾動)する様子について説明する。
図15(a1)(b1)に示すように、カップリング部材86は軸線L1に対して、結合部86cの球中心を中心としてピン88の軸線周りに傾斜可能である。具体的には、駆動側フランジ87の第二傾斜規制部87nと第二傾斜被規制部(繋ぎ部86gの一部)とが当接するまでカップリング部材86は傾斜可能(傾動可能)である。ここで、この時の軸線L1に対する傾斜(傾動)角度を第ニ傾斜角度θ2(第ニ傾斜量、第二角度)とする。カップリング部材86がピン88の軸線周りに傾斜する際、カップリング部材86が傾斜する方向(矢印X7方向)前方に爪部86d1又は爪部86d2のいずれかが位置するように、穴部86bと爪部86d1、86d2の位相関係を設定した。具体的には、爪部86d1の先端86d11が穴部86bの中心を貫通する仮想線に対して59°以上77°以下(図11(e)におけるθ6およびθ7)という条件を満たすように穴部86bと爪部86d1、86d2を配置した。なお、θ6およびθ7は上述の範囲に限定されず、約55°以上約125°以下の範囲内にあることが好ましい。このように構成することによって、爪部86d1、86d2のいずれかがカップリング部材86の傾斜する方向の前方に位置するときに、ピン88はカップリング部材86の傾斜する方向に対して大きい角度(約55°以上約125°以下)をとることになる。すると、このときのカップリング部材86は第二傾斜量あるいはこれに近い量の傾斜が可能になり、第一傾斜量(後述)と比べて大きく傾斜することができる。これにより先端86d11を軸線L1方向に大きく退避させることができる。
また、図15(a2)(b2)に示すように、カップリング部材86は軸線L1に対して、結合部86cの球中心を中心としてピン88の軸線と直交する軸周りに、第一傾斜被規制部86p1、86p2とピン88とが当接するまで傾斜(傾動)可能である。上述した穴部86b(ピン88)と爪部86d1、86d2との位相関係によれば、カップリング部材86がピン88の軸線と直交する周りに傾斜(傾動)する。この時に、カップリング部材86が傾斜する方向(矢印X8方向)を挟んで互いに対向する位置に爪部86d1、86d2が位置する。ここで、この時の軸線L1に対する傾斜(傾動)角度を第一傾斜角度θ1(第一傾斜量、第一角度)とする。本実施例では、第一傾斜角度θ1<第二傾斜角度θ2となるようにカップリング部材86、駆動側フランジ87、ピン88を構成している(その理由については図25を用いて後述する)。
さらに、ピン88の軸線周りの傾斜(傾動)とピン88の軸線と直交する軸周りの傾斜(傾動)を合成することで、上述で説明した傾斜(傾動)方向と異なる方向にもカップリング部材86は傾斜(傾動)可能である。ここで、全ての方向への傾斜(傾動)は上述した傾斜(傾動)の合成で表されるため、いずれの方向への傾斜(傾動)角度も第一傾斜角度θ1以上かつ第ニ傾斜角度θ2以下となる。言い換えると、第一傾斜角度θ1(第一傾動角度)と第二傾斜角度(第二傾動角度)以上傾動可能といえる。
このように、カップリング部材86は、軸線L1に対して実質的に全方向にわたって傾斜(傾動)可能である。即ち、カップリング部材86は、軸線L1に対してどのような方向にも傾斜(傾動)可能である。さらには、カップリング部材86は、軸線L1に対してどのような方向にも揺動可能である。さらには、カップリング部材86は、軸線L1に対して実質的に全方向にわたって旋回可能である。ここで、カップリング部材86の旋回とは、傾斜(傾動)した軸線L2が軸線L1周りに回転することである。
また、上述したように円弧面部86q1、86q2は第一傾斜規角度θ1を規定する面であり、繋ぎ部86gは第ニ傾斜角度θ2を決定する寸法の一つである。したがって、本実施例では繋ぎ部86gと円弧面部86q1、86q2を同径の円弧形状としたが、必要に応じて変えても良い。
§8(装置本体の駆動部の説明)
図16から図18を用いて、装置本体Aのカートリッジ駆動部の構成について説明する。
図16は装置本体Aの駆動部(図4(a)の駆動ヘッド14近傍)の斜視図で、装置本体Aを内側かつ、プロセスカートリッジBの装着方向(X2方向)上流側から見た図である。図17は駆動部の分解斜視図、図18(a)は駆動部の一部拡大図、図18(b)は図18(a)に示すS9-S9切断面で切断した断面図である。
カートリッジ駆動部は、本体側係合部としての駆動ヘッド14、第一側板350、ホルダ300、駆動ギア355等で構成されている。
図18(b)に示すように、本体側係合部としての駆動ヘッド14の駆動軸14aは駆動ギア355に対して不図示の手段で回転不能に固定されている。そのため、駆動ギア355が回転すると、本体側係合部としての駆動ヘッド14も回転する。また、駆動軸14aはその両端部をホルダ300の支持部300aと、軸受354で回転自在に支持されている。
図17、図18(b)に示すように、駆動源としてのモータ352は第二側板351に取りつけられ、その回転軸にはピニオンギア353が設けられている。ピニオンギア353は駆動ギア355にかみ合っている。そのため、モータ352が回転すると、駆動ギア355が回転し、本体側係合部としての駆動ヘッド14も回転する。第二側板351とホルダ300はそれぞれ第一側板350に固定されている。
また、図16、図17に示すように、案内機構としてのガイド部材12には、プロセスカートリッジBの装着をガイドする第一ガイド部材12aおよび第二ガイド部材12bを構成している。また、第一ガイド部材12aの、カートリッジ装着方向(X2方向)終端には、X2方向と直交する装着終端部12cが設けられている。このガイド部材12も第一側板350に固定されている。
図17、図18に示すように、ホルダ300は、本体側係合部としての駆動ヘッド14の駆動軸14aを回転可能に支持する支持部300a、カップリングガイド300bを備えている。カップリングガイド300bは、支持部300aよりもプロセスカートリッジBの装着方向(X2方向)下流側(装置本体の奥側)に位置し、繋ぎ部300b1およびガイド部300b2から構成される。ここで、繋ぎ部300b1は軸線L3を中心とする直径φZ5の円弧形状であり、直径φZ5はカップリング部材86の自由端部86aの最大回転直径φZ2よりも大きく設定されている。また、ガイド部300b2の先端は軸線L3を中心とした直径φZ6の円弧形状である。この直径φZ6は、カップリング部材86の繋ぎ部86gに対して、所定の隙間Sを持つように設けられている。ここで、所定の隙間Sとは、プロセスカートリッジBを回転駆動する際に、部品公差等によって繋ぎ部86gとガイド部300b2とが干渉しないための隙間である(詳細は後述、図22参照)。
§9(プロセスカートリッジの装置本体への装着の説明)
図19から図22を用いて、プロセスカートリッジBの装置本体Aへの装着について説明する。なお、図19および図20では装着動作を説明するための部品以外を省略して図示してある。
図19、図20、図21(a)は装置本体Aを駆動側外側から見た図であり、プロセスカートリッジBが装置本体Aに装着される様子を順に示している。図21(b)は図21(a)の状態の斜視図である。図22は、プロセスカートリッジBが装置本体Aに装着完了された際の、カップリング部材86近傍の詳細説明図である。図22において、装置本体Aについては本体側係合部としての駆動ヘッド14、ホルダ300のカップリングガイド300b、ガイド部材12を示しており、その他はプロセスカートリッジBの部品を示している。
図22(a1)はプロセスカートリッジBが装着完了位置にあり、かつカップリング部材86が傾斜(傾動)している様子を示している。図22(a2)はプロセスカートリッジBが装着完了位置にあり、かつカップリング部材86の軸線L2が、本体側係合部としての駆動ヘッド14の軸線L3と略一致している様子を示している。図22(a3)はカップリング部材86が傾斜(傾動)している際の、カップリングガイド300bとの関係を説明する説明図である。そして、図22(b1)から(b3)は、それぞれ図22(a1)から(a3)のS10-S10切断線で切断した断面図である。
図19に示すように、装置本体Aの案内機構としてのガイド部材12には、付勢部材(弾性部材)としての引込みバネ356が設けられている。引込みバネ356はガイド部材12の回動軸320cに回動可能に支持されており、ストッパ12d、12eで位置が規制されている。このとき、引込みバネ356の作用部356aは図19中の矢印Jの方向に付勢されている。
図19に示すように、プロセスカートリッジBを装置本体Aに装着する際は、第一ガイド部材12aにプロセスカートリッジBの第一円弧部76dを、第二ガイド部材12bにプロセスカートリッジBの回転止めボス71cを沿わせるように挿入する。つまり、プロセスカートリッジ第一円弧部76dは本体側のガイド溝に当接してこのとき、カップリング部材86は、付勢部材(弾性部材)としてのねじりバネ91によって、装着方向(X2方向)に傾斜している。ここで、カップリング部材86は軸受部材76の第一円弧部76dによっておおわれた状態になっている。これにより、カップリング部材86はプロセスカートリッジBの挿入経路においていずれの装置本体Aの部品とも干渉することなく、この状態のままプロセスカートリッジBを、装着完了位置近くまで挿入し続けることができる。
さらに、プロセスカートリッジBを図中矢印X2方向に挿入していくと、図20に示すように、プロセスカートリッジBのバネ受部76eと、引込みバネ356の作用部356aが当接する。これにより、作用部356aは図中矢印H方向に弾性変形する。
その後、プロセスカートリッジBは所定の位置(装着完了位置)に装着される(図21参照)。このとき、プロセスカートリッジBの第一円弧部76dがガイド部材12の第一ガイド部材12aに、装着先端部76fが装着終端部12cに当接する。同様にプロセスカートリッジBの回転止めボス71cが案内機構としてのガイド部材12の位置決め面12hに接触する。このようにして、装置本体Aに対してプロセスカートリッジBの位置が決まる。
このとき、引込みバネ356の作用部356aは、プロセスカートリッジBのバネ受部76eを図中矢印J方向に押圧しており、第一円弧部76dと第一ガイド部材12aの当接、および装着先端部76fと装着終端部12cとの当接が確実に行われる。これにより、プロセスカートリッジBは装置本体Aに対して正確に位置が決められる。
また、プロセスカートリッジBが装置本体Aに装着されるに際には、前述したように、カップリング部材86と本体側係合部としての駆動ヘッド14とが係合し(図5参照)、プロセスカートリッジBの装着本体Aへの装着が完了される。
ここで、図22(a1)、(b1)に示すように、プロセスカートリッジBの装着が完了しても、カップリング部材86はねじりバネ91によって装着方向(X2方向)に傾斜(傾動)し続けようとする。言い換えると、装着完了時にも、ねじりバネ91はカップリング部材86へ付勢力(カートリッジ装着方向下流側と略一致する方向へ)を付与し続ける。このとき、繋ぎ部86gがカップリングガイド300bのガイド部300b2と当接し、カップリング部材86の傾斜(傾動)が規制される。こうしてカップリング部材86の傾斜量を規制することで、一対の爪部86d1、86d2と駆動ヘッド14の駆動ピン14bとが、同時に当接するようになっている。より詳しく説明すると、一対の爪部はカップリング部材の回転中心を中心に略点対称となるように配置されている。この状態でカップリング部材86に回転力が伝達されると、図22(a2)、(b2)に示すように、偶力および球面部14cと円錐部86fとの当接によって、駆動ヘッド14の軸線L3とカップリング部材86の軸線L2とが略一致する。そして、繋ぎ部86gとガイド部300b2との間に前述の隙間Sが生じ、カップリング部材86が安定して回転できるようになる。
ここで、カップリング部材86の傾斜(傾動)が規制されない場合は、一対の爪部86d1、86d2のうちのいずれかが、駆動ピン14bと当接しなくなる場合がある。この場合、上述した偶力が働かずに、カップリング部材86の軸線L2と駆動ヘッド14の軸線L3とを一致させることができなくなる。
カップリングガイド300b1は、プロセスカートリッジBの着脱過程においてカップリング部材86が傾斜(傾動)した状態でも、カップリング部材86と干渉しない。そのために、カップリングガイド300bは自由端部86aよりも非駆動側に位置している(図22(a3)(b3)参照)。また、軸受部材76の切欠き部76kは、ガイド部300b2と干渉しないよう、ガイド部300b2よりもさらに非駆動側まで凹んだ形状となっている。加えて、軸受部材76の切り欠き部76kのS10-S10断面線に直交する方向の幅Z11は、カップリングガイド300bの幅Z14よりも広い。これにより、カップリングガイドとカートリッジの干渉を抑制しつつもカートリッジのサイズを低減することができる。
また、本実施例ではカップリング部材86がねじりバネ91による傾斜(傾動)をカップリングガイド300bによって規制した。しかし、前述のようにカップリング部材86の傾斜(傾動)はねじりバネ91によるものには制限されない。例えば、自重によりカップリング部材86が傾斜する場合、カップリングガイド300bを重力方向下側に設ければよい。このように、カップリングガイド300bは、プロセスカートリッジBの装着時にカップリング部材86が傾斜(傾動)するのを制限する位置に設ければよい。
§10(プロセスカートリッジ離脱時のカップリングの係合解除動作の説明)
続いて、図24を用いて、プロセスカートリッジBの装着完了位置から、カップリング部材86と本体側係合部としての駆動ヘッド14との係合を解除しつつ、プロセスカートリッジBを装置本体Aから離脱する様子を説明する。
本実施例では一例として、図24に示すように、カップリング部材86の爪部86d1、86d2が離脱方向(X3方向)の上流側と下流側にそれぞれ位置する状態について説明する。本実施例ではこの状態において、前述したようにピン88の軸線が離脱方向(X3方向)と略直交するように、ピン88が貫通する穴部86bと、爪部86d1、86d2の位相関係が決められている。図24(a1)は、プロセスカートリッジBの装置本体Aからの離脱に際してカップリング部材86と装置本体Aとの係合が解除される状態の説明図である。図24(a1)から(a4)は駆動側外側から見た側視図、図24(b1)から(b4)はそれぞれ図24(a1)から(a4)のS12-S12切断線で切断した断面図である。また、図24では、図22と同様に、装置本体Aについて本体側係合部としての駆動ヘッド14、ホルダ300のカップリングガイド300b、ガイド部材320を示し、その他はプロセスカートリッジBの部品を示している。
まず、図24(a1)(b1)に示した状態(カップリング部材86と駆動ヘッド14とが係合した状態)から、プロセスカートリッジBを離脱方向(X3方向)に移動させる。すると、図24(a2)、(b2)に示すように、カップリング部材86(の軸線L2)が軸線L1および軸線L3に対して傾斜(傾動)して、プロセスカートリッジBが離脱方向(X3方向)に移動する。このときのカップリング部材86の傾斜(傾動)量は、自由端部86aが駆動ヘッド14の各部(駆動シャフト14a、駆動ピン14b、球面部14c、先端部14d)、と当接することによって決められる。
プロセスカートリッジBをさらに離脱方向(X3方向)に移動させると、図24(a3)、(b3)に示すように、カップリング部材86と本体側係合部としての駆動ヘッド14との当接が解除される。そして、付勢手段(付勢部材)としてのねじりバネ91によって付勢されることで、カップリング部材86はさらに傾斜(傾動)する。ここで、付勢部材にとしてのねじりバネによって付勢されたカップリング部材86の傾斜角度は付勢された方向以外の方向へ傾斜する際の傾斜角度よりも大きくなる。
そして、第二傾斜規制部87nと繋ぎ部86gとが当接することでカップリング部材86の傾斜(傾動)が規制される。このとき、離脱方向上流側の爪部86d1が、駆動ヘッド14の先端部14dよりも非駆動側に位置するまでカップリング部材86が傾斜(傾動)できるように、繋ぎ部86gの最大回転直径φZ2や第二傾斜角度θ2を決めている。これにより、図24(a4)、(b4)に示すように、カップリング部材86と本体側係合部としての駆動ヘッド14との係合を解除して、プロセスカートリッジBを装置本体Aから離脱することができる。
爪部86d1、86d2が前述した以外の位相にあるときでも同様に、カップリング部材86が傾斜(傾動)や前述の旋回動作、またはそれらの組み合わせによって、本体側係合部としての駆動ヘッド14の各部をよける。このようによけることで、カップリング部材86と本体側係合部としての駆動ヘッド14との係合を解除することができる。図23(a1)、(b1)に示すように、駆動ピン14bの軸線方向と離脱方向(X3方向)とが略直交する場合、自由端部86bが離脱方向と反対側(X2方向)を向くように傾斜して、爪部86d1が駆動ピン14bを非駆動側方向に避ける。あるいは、図23(a2)、(b2)に示すように、爪部86d1、86d2が、離脱方向(X3方向)を挟んで互いに対向する位置にある場合、自由端部86aが駆動ピン14bの軸線方向と平行な方向(X6方向)に沿って移動するように傾斜(傾動)する。これにより、爪部86d1が駆動ピン14bを矢印X6方向によけることもできる。このような場合に、自由端部86aは軸線L3や軸線L1よりも下側に移動する必要があるため、前述したように、軸受部材76の下面76k1の位置を設定し、またねじりバネ91の付勢力の方向を、自由端部86aが下側を向きやすいように設定している。ここで表す下側とは、必ずしも重力方向に限定されるものではない。すなわち、自由端部86aは装着方向に対して下流側(抜脱方向上流側)にある爪部86d1が駆動ピン14bを避けていくために移動するのに必要な方向に移動可能であればよい。したがって、ドラム62の回転方向Rが本実施例と逆向きになるような場合には、装着方向下流側にある爪部は上側に位置するため、自由端部86aが移動すべき方向も上側となる。したがって、カップリング部材86の装着方向X2を挟んで上下に爪部86d1、86d2が位置する場合に、駆動ピン14bから受ける回転力の方向が装着方向と同じ向きになる爪部側に、自由端部86aが移動可能となることが好ましい。なお、図23に示すような2つの例の場合は、カップリング部材86と本体側係合部としての駆動ヘッド14との係合解除に必要な傾斜(傾動)角度が図24に示す第二傾斜角度θ2よりも小さくて良い。本実施例では、図23(a2)、(b2)に示す場合に傾斜(傾動)角度が第一傾斜角度θ1となるように、カップリング部材86の穴部86bと爪部86d1、86d2の位相関係を決めている。なお、図23(b1)は図23(a1)のS11断面図である。また、図23(b2)は図23(a2)のS11断面図である。
続いて、本実施例の各部に関する寸法について例示する。
図6に示すように、自由端部86aの直径をφZ1、繋ぎ部86gの直径をφZ2、略球形状の結合部86cの球径をφZ3、爪部86d1、d2の回転直径をφZ4とする。また、本体側の係合部としての駆動ヘッド14先端の球形状の直径をSφZ7、駆動ピン14bの長さをZ5とする。さらに、図15(b1)(b2)に示すように、カップリング部材86の、ピン88の軸線周りの傾斜(傾動)可能量(第二傾斜角度)をθ2、ピン88の軸線と直交する軸周りの傾斜(傾動)可能量(第一傾斜角度)をθ1とする。そして、図22(b2)に示すように、軸線L2と軸線L3とが略一致した時の、繋ぎ部86gとガイド部300b2との隙間をSとする。
このとき、本実施例では、φZ1=10mm、φZ2=5mm、φZ3=11mm、φZ4=7mm、Z5=8.6mm、SφZ7=6mm、θ1=30°θ2=40°、S=0.15mmとした。
上記寸法は一例であり、その他寸法でも同様の動作が可能であり上記寸法に限定するものでない。具体的には、θ1とθ2が共に約20°以上傾動可能であり、約20°以上約60°以下の間にあればよい。より、好ましくは共に25°以上45°以下が良い。また、θ1<θ2を満たしつつも、θ1は約20°以上約35°以下、θ2は約30°以上約60°以下が好ましい。また、θ1とθ2の差は約3°以上約20°以下の範囲であれば良く、約5°以上約15°以下の範囲内が望ましい。なお、図25に示すように、カートリッジBを装着する際に、装着先端部(後述する)が駆動ヘッド14の先端部14dよりも非駆動側に位置し、ガイド部300b2よりも駆動側に位置するように、θ1およびθ2を設計することが考えられる。このように設計することで、カップリング86を駆動ヘッド14に対して正常に係合させることができる。ここで装着先端部とは、カップリング部材86の傾斜が第ニ傾斜角度θ2となる場合は爪部86d1の先端部86d11となり、第一傾斜角度θ1となる場合は待機部86k1となる。待機部86k1は先端部86d11よりも回転中心Cから近い位置にあるため、第一傾斜角度θ1<第二傾斜角度θ2とすることで、カップリング部材86が傾斜した時の装着先端部の、軸線L1方向の位置を同じような位置にすることができる。これにより、駆動ヘッド14とガイド部300b2との隙間を必要以上に広げる必要がなくなり、装置本体AやカートリッジBの小型化に寄与することができる。
また、φZ1<φZ3とすることで、本実施例のように簡易に組立がきるようになる。さらに、脱落防止部(オーバーハング部・脱落規制部)としての円錐部87kの最小径φZ10も含めてφZ1<φZ10<φZ3とすることで、カップリング部材86の駆動側フランジユニットU2内での位置を高精度に決めることができる。
本実施例によれば、本体側係合部の回転軸線と実質的に直交する所定方向に移動した後に、装置本体の外側に取り外し可能な従来のカートリッジを発展することができた。