JP7145118B2 - 設計支援システム、設計検証方法及び設計検証プログラム - Google Patents

設計支援システム、設計検証方法及び設計検証プログラム Download PDF

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Description

本発明は、設計支援システム、設計検証方法及び設計検証プログラムに関する。
製品設計において、3次元CAD(Computer Aided Design)が普及している。3次元CAD(以下、3DCADと表記する)は、設計者が設計する部品、部材等を3次元空間での立体モデルとして設計するツールであり、多くの企業の設計部門にて使用されるようになっている。しかし、3DCADにおいては計算機上で自由に仮想の立体モデルを作成できる一方、設計者は多数存在するルールを遵守しながら、部品形状を設計しなければならない。例えば、材料が樹脂である板状部品の場合、3DCAD上では板状部品の厚みを自由に設定可能であるとしても、厚すぎると成型工程において均一に冷却されず、製造工程で不具合が生じやすい。このため製品設計においては、例えば「樹脂設計においてはその厚みをある一定以内で作成しなければならない」といったルールが存在している。このように設計者が守るべきルールをここでは設計要件と呼ぶ。
このような設計要件を正しく理解しないまま設計図面を作成し、製造工程で不具合が発覚するようなことがあると、修正のための再設計が発生し、製品化遅延の原因になる。非特許文献1及び非特許文献2は、過去の製品設計上の知見を設計の初期段階から設計者に気づかせるための支援システムを開示する。3DCADデータは、設計した部品等の形状情報(立体モデル)しか有しない場合も多い。一方、設計要件は特徴形状(例えば、モールド加工品におけるリブやボス、板金加工における打抜き穴や曲げ等)のサイズや配置として規定されている。このため、非特許文献1及び非特許文献2には、3DCADの立体モデルから形状認識により3DCADデータから設計要件に該当する箇所を自動的に特定し、設計要件と自動照合するシステムが開示されている。
針谷昌幸他「設計気づき支援システムの開発」日本機械学会 第22回設計工学・システム部門講演会講演論文集(2012.9.26-28) HARIYA, M. et al., "Technique for Checking Design Rules for Three-Dimensional CAD Data", Proc. IEEE Conf. Computer Science and Information Technology (ICCSIT), pp. 296-300, 2010
3DCADを用いて設計するのみならず、3DCADデータの設計検証をコンピュータ上で用いて行うことができれば、3DCADを用いた設計の品質を高めることができる。ここで、設計対象に適用される設計要件を正しく反映させることの重要性は明らかであるが、一般に、設計現場でこのような設計要件はかならずしも体系的にまとめられ、管理されているわけではなかった。さらに、設計対象が航空機や自動車のような複雑な形状の部品、部材であるような場合、数千~数十万件もの設計要件が存在することもある。また、設計要件は品質向上活動や法律等による規制の改変等により随時見直しが発生する。
このため、仮に、設計要件に応じて1つ1つ検証プログラムを作成するとすれば、設計検証システムを構築し、かつアップデートしていくことは困難である。設計要件を熟知した設計者がプログラミングについて十分な知識や経験を有しているとは限らない点もボトルネックとなる。
製造段階から設計段階への手戻りをなくすためには、設計対象に対する重要な設計要件が網羅され、チェックされることを担保されており、また設計要件の変更に応じてメンテナンス容易な設計支援システム、環境を構築する必要がある。
本発明は、これら課題を鑑みてなされたものであり、膨大な設計要件への対応、設計要件の変更に対応しつつ、3DCADによる設計をコンピュータにより検証可能とする設計支援システムを提案する。
本発明の一態様である設計支援システムは、3DCADデータが設計要件を満たしているかを検証する設計支援システムであって、3DCADデータまたは3DCADデータから抽出された特徴量に対する処理を行う共通モジュールを複数格納する共通モジュールデータベースと、共通モジュールデータベースに格納された共通モジュールを用いて、3DCADデータから設計要件を検証するための検証特徴量を求める手順、及び当該検証特徴量に基づき当該設計要件の違反有無を判定する違反情報を定義するルールファイルを複数格納するルールファイルデータベースと、設計支援装置と、を有し、ルールファイルデータベースのルールファイルは、少なくとも当該ルールファイルに対応する設計要件が定められている工程による分類がなされており、設計支援装置は、所定の3DCADデータに対して検証したい設計要件に対応する第1のルールファイルがルールファイルデータベースから分類にしたがって選択されると、第1のルールファイルに定義された手順にしたがって共通モジュールデータベースに格納された共通モジュールを呼び出して所定の3DCADデータに対して実行し、第1のルールファイルに定義された違反情報と手順にしたがって求められた検証特徴量とに基づき、第1のルールファイルに対応する設計要件の違反有無を判定する。
膨大な設計要件への対応、設計要件の変更に対応しつつ、3DCADによる設計をコンピュータにより検証可能とする設計支援システムを実現する。
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
ルールファイル作成フローである。 CAD形状の一例である。 ルールファイル作成画面である。 ルールファイル作成画面である。 ルールファイル作成画面である。 共通モジュールリスト画面である。 ルールファイル作成画面である。 ルールファイル作成画面である。 ルールファイル作成画面である。 設計支援装置が使用される設計環境の一例である。 設計支援装置のハードウェア構成例である。 設計検証フローである。 設計検証画面である。 設計検証画面である。
図10に本実施例による設計支援装置が使用される設計環境の一例を示す。設計システム500は3DCADを用いて部品や部材の3次元形状を設計する設計装置501を有する。3DCADデータベース502には設計装置501により設計された設計対象の形状情報(立体モデル)である3DCADデータが格納されている。また、3DCAD属性データベース503には設計対象の名称や属性情報が格納されている。DB502に格納される3DCADデータは、設計対象を面、線、点により表現した形状情報だけであるので、3DCADデータに紐づけて、形状情報以外の属性情報がDB503に格納される。
設計支援システム520は、設計装置501が3DCADにより設計した3DCADデータが当該設計対象に適用される設計要件を満たしているかどうかを検証する設計支援装置521を有する。設計要件データベース522は設計部門あるいは設計者が設計対象に対して遵守するよう求めている設計要件が格納されている。設計要件は、設計対象個別に定められているものであっても、多数の設計対象に共通に定められているものであってもよい。また、ここでは電子ファイルとしてデータベース化されている例を示しているが、ルールファイル化される設計要件は紙媒体により、あるいはノウハウとして保持されている設計要件であってもよい。設計要件がどのような媒体で保持されているかは問わず、本実施例の設計支援装置521は、設計要件をルールファイルデータベース524に格納されるルールファイル(定義書)に落とし込み、ルールファイルに定められた手順にしたがって3DCADデータを検証することにより、設計した立体モデルが設計要件に対して違反していないかどうかをチェックする。詳細は後述するが、本実施例では、共通モジュールデータベース523に格納された共通モジュール(プログラム)をルールファイルにしたがって適用することにより3DCADデータを検証する。
設計システム500と設計支援システム520とはネットワーク510で接続されていることが望ましい。
図11に、設計支援装置521のハードウェア構成例を示す。設計支援装置521は、プロセッサ601、主記憶602、補助記憶603、入出力インタフェース604、表示インタフェース605、ネットワークインタフェース606、入出力(I/O)ポート607を含み、これらはバス608により結合されている。入出力インタフェース604は、キーボードやマウス等の入力装置610と接続され、表示インタフェース605は、ディスプレイ609に接続され、GUI(Graphical User Interface)を実現する。ネットワークインタフェース606はネットワーク510と接続するためのインタフェースである。補助記憶603は通常、HDDやROM、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリで構成され、設計支援装置521が実行するプログラムやプログラムが処理対象とするデータ等を記憶する。主記憶602はRAMで構成され、プロセッサ601の命令により、プログラムやプログラムの実行に必要なデータ等を一時的に記憶する。プロセッサ601は、補助記憶603から主記憶602にロードしたプログラムを実行する。設計支援装置521は例えば、PC(Personal Computer)やサーバにより実現できる。
補助記憶603には、ルールファイル作成プログラム621及び設計検証プログラム622が記憶されている。これらのプログラムは、I/Oポート607に接続された光学ドライブを介してCDやDVDなどの光学的記録媒体に記憶された、あるいは外付けのHDDを介して磁気記録媒体に格納されたプログラムを補助記憶603に格納してもよいし、ネットワーク510を介して補助記憶603に格納してもよい。補助記憶603には、ルールファイル作成プログラム621あるいは設計検証プログラム622が使用するデータまたはプログラムとして、検証対象とする設計対象の3DCADデータ624や設計要件の検証手順を定義するルールファイル623、共通モジュール625が格納されている。3DCADデータ624は、3DCADDB502から呼び出されて格納され、ルールファイル623はルールファイルDB524から呼び出されて、共通モジュール625は共通モジュールDB523から呼び出されて格納される。なお、本実施例では設計支援装置521の機能は、補助記憶603に格納されたプログラムがプロセッサ601によって実行されることで、定められた処理を他のハードウェアと協働して実現される。コンピュータなどが実行するプログラム、その機能、あるいはその機能を実現する手段を、「機能」、「部」、「モジュール」等と呼ぶ場合がある。
以下、設計要件をルールファイルに落とし込むルールファイル作成プロセス、及びルールファイル及び共通モジュールを用いて3DCADで設計された立体モデルが設計要件を満たしているか検証する設計検証プロセスについて、それぞれ説明する。
(1)ルールファイル作成プロセス
本実施例では、ルールファイル作成プロセスは、設計支援装置521がルールファイル作成プログラム621を実行することによって実現される。上述のように設計部門において様々な媒体に保持されている設計要件から、ルールファイル作成プロセスでは、3DCADの形状情報を検証する手順を定義するルールファイルを生成する。一般に、設計要件には設計対象(部品、部材)が遵守すべき内容が記載されているのみであり、形状情報から違反箇所を特定するには、3DCADデータからチェック箇所を抽出するロジックや、違反か否かを判定する判定基準を手順として定義する必要がある。これにより、設計者は3DCADデータについて、多様な媒体上の膨大な設計要件を設計支援システム520上で検証することが可能になる。
ルールファイル作成プログラム621は、基本情報設定部631、ロジック設定部632、違反情報設定部633、形式チェック部634を有している。
図1に、3DCADの設計対象(部品、部材等)に対して適用される設計要件が遵守されているか検証するためのルールファイルを作成するフローを示す。ルール基本情報、ルール実行処理手順情報、モジュール入出力設定情報、違反通知情報、違反判定情報の5種類の情報を、図1のフローに沿って順次設定していくことで、ルールファイルが作成される。
以下、板金部品に設けられている穴のピッチについて、ルールファイルを作成する例を説明する。図2は部品(板金部品)100のCAD形状の一例であり、図2に示されるように、部品100には複数の穴101~104が設けられている。板金加工においては、穴を互いに近接させて設けると板金加工時に穴の周辺に歪みを生じるおそれがある。そのため、板金部品に対して複数の穴を設ける場合には、穴のピッチを一定以上の大きさとすることが設計要件とされている。
図3にルールファイル作成画面201を示す。ルールファイル作成画面201には複数の情報設定ボタン202~206が設けられている。情報設定ボタン202~206はそれぞれ図1の作成フローのステップS101~S105に対応している。情報設定ボタンをクリックすることにより、情報を設定するためのボックスが開かれ、設計者はボックスに必要な情報を設定することにより、ルールファイルを作成することができる。なお、本実施例のGUIは一例であって、画面構成は任意に変更可能である。例えば、図3の作成画面例ではルールファイルに定義する5種類の情報の種類が情報設定ボタン202~206により一覧に表示されているが、情報設定ボタンは1つとし、1つの情報設定ボタンに対して設計者が定義する情報の種類を選択するように構成してもよい。あるいは、図1のフローチャートの順に情報の種類を設定するためのボックスが順次現れるようにしてもよい。
設計者が情報設定ボタン202をクリックすると、基本情報設定部631はルール基本情報を設定する(S101)ための基本情報ボックス301~304を開く。この状態でのルールファイル作成画面201を図4に示す。基本情報ボックス301~304はそれぞれルール名、ルール分類、ルール部品、ルール説明文を入力するための入力ボックスである。ルール名301は、作成するルールファイルを一意に特定するための名称であり、ルールの内容を設計者が理解しやすい名称とすることが望ましい。ルールの詳細な内容はルール説明文304として記述する。また、作成されるルールファイルを体系化するため、ルール分類302、ルール部品303のボックスが設けられている。この例では、ルール分類302には当該ルールファイルに対応する設計要件が定められている工程による分類、ルール部品303には設計対象を設定する。なお、以上は例示であり、ルール基本情報として設定する内容は、上述した項目に限定されるものではない。設計部門において3DCADの設計対象(部品、部材等)に適用する設計要件を体系化し、体系化された設計要件を3DCADのルールファイルにも反映させることが望ましい。したがって、ルール基本情報として設定する項目は、体系化された内容に応じてルールファイルが分類できるよう、体系化の軸(項目)に応じた入力ボックスを設けることが望ましい。
設計者が情報設定ボタン203をクリックすると、ロジック設定部632はルール実行処理手順情報を設定する(S102)ための手順ボックス311を開く。この状態でのルールファイル作成画面201を図5に示す。本実施例において、ルールファイルは、設計要件を検証するための手順をあらかじめ登録されている共通モジュールの組み合わせとして定義する。設計要件ごとにプログラムを作成すると、適用される設計要件が多くなるほど、設計要件が変更された場合や新規追加する場合のメンテナンスが大変である。これに対して、共通モジュール(プログラム)の組み合わせとすることで、メンテナンスを容易とすることができる。例えば、「穴のピッチを一定以上の大きさとする」という設計要件について、形状情報しか有しない3DCADの立体モデルから該当する特徴形状を抽出する手順は、「穴を特定する」、「穴の中心位置を特定する」、「間隔を測定する」といった手順に分解できる。この分解された手順は異なる設計対象や設計要件においても実行される手順であり、そのような手順を共通モジュールとしてあらかじめ登録しておく。
ステップS102においては、設計者は、設計要件に係る検証箇所(特徴形状)を3DCADデータから抽出する手順を、共通モジュールを用いた手順に落とし込む。なお、必要に応じて手順追加ボタン312をクリックすることにより、手順ボックス311が追加で開かれ、設定する手順を増やすことができる。共通モジュールリスト呼び出しボタン310をクリックすると、登録されている共通モジュールのリストが表示される。
共通モジュールリスト画面320の例を図6に示す。共通モジュールリスト画面320にはカテゴリ321~323ごとに、モジュールボタン324~326が表示されている。また、モジュールボタンのそれぞれには、共通モジュールを指定するためのID327と共通モジュールの内容を表示する共通モジュール名称328とが表示されている。共通モジュールリスト画面320はルールファイル作成画面201上に表示され、表示されたモジュールボタン324~326のいずれかをクリックすることにより、手順ボックス311に共通モジュールを指定するIDがクリック順に入力される。ルールファイル作成画面201の手順ボックス311a~d(手順1~4)は、共通モジュールが実行される順序に対応している(図5参照)。
図6の共通モジュールリスト画面320に例示された共通モジュールについて説明する。共通モジュールは、幾何形状探索カテゴリ321、特徴量演算カテゴリ322、数値演算カテゴリ323に分類して表示されている。幾何形状探索カテゴリ321には、面、線、点で構成されている3DCADデータ(立体モデル)から、設計要件に規定される特徴形状に応じた幾何形状を探索するための共通モジュールが含まれている。特徴量演算カテゴリ322には、特徴形状に関する距離、大きさ、角度など、特徴形状を特徴づける特徴量を演算するための共通モジュールが含まれている。数値演算カテゴリ323には、数値演算を行う共通モジュールが含まれている。設計者は、特徴形状を抽出する手順を、共通モジュールを用いてルールファイルに定義する。図5の例では、「穴のピッチを一定以上の大きさとする」という設計要件を検証するため、その特徴形状を抽出するロジックを、「AF:属性取得」「AC:穴」「09:円弧中心」「01:点点距離」という共通モジュールを順に実行させることで設定している。
ところで、共通モジュールとする手順の内容は、幅広い立体モデルに適用可能とするために汎用性を、また設計者にある程度のまとまりをもった処理として認識できる程度の具体性を持たせることが望ましい。また、前段の共通モジュールの処理結果を入力として、次段の共通モジュールの処理を行うことも多い。このため、本実施例の共通モジュールはそれぞれ入出力パラメータを有しており、各共通モジュールの入出力パラメータを設計要件の内容に即して設定する必要がある。
設計者が情報設定ボタン204をクリックすると、ロジック設定部632は、モジュール入出力情報を設定する(S103)ための設定ボックス330を開く。この状態でのルールファイル作成画面201を図7に示す。設定ボックス330は、ステップS102において設定された共通モジュールに対してそれぞれ設定しなければならない入力パラメータ331及び出力パラメータ332が表示されている。この例では、縦軸に設定した共通モジュール、横軸に入出力パラメータをとっている。共通モジュールによって入出力パラメータの数が異なるため、この例では、共通モジュールごとに、設定が必要な入力パラメータ及び出力される出力パラメータに応じて入力欄が設定されている(「-」表示されている欄は、当該入出力パラメータが存在しないことを意味する。)。設計者はこの入力欄に、共通モジュールが参照する引数を指定する。この引数は、前段の共通モジュールの出力パラメータである場合もある。
例えば、手順1「AF:属性取得」では、4つの入力パラメータを指定することによって、3DCADデータに紐づけられた属性情報を蓄積したデータベース503を参照し、特徴形状を絞り込むための情報を2つの出力パラメータで出力する。手順2「AC:穴」では、手順1からの2つの入力パラメータを利用し、立体モデルに含まれる穴の情報を1つの出力パラメータで出力する。手順3「09:円弧中心」では、3つの入力パラメータにより穴を指定し、穴の中心を3つの出力パラメータで出力する。手順3の入力パラメータには手順2の出力パラメータを含む。手順4「01:点点距離」では、2つの入力パラメータにより距離を計測する2点を指定し、指定された点間の距離と距離形状とを2つの出力パラメータで出力する。手順4の入力パラメータには手順3の出力パラメータを含む。
なお、前段の共通モジュールの出力パラメータの数と次段の共通モジュールの入力パラメータの数とは必ずしも一致しないが、処理対象の指定以外にも指定しなければならない情報があったり、前段の共通モジュールの出力の一部だけが次段の共通モジュールの入力とされたりすることがあるためである。このように、各共通モジュールの入出力パラメータを繋げていくことにより、設計要件に応じて3DCADの立体モデルから特徴形状や特徴量を抽出し、最終的に設計要件を検証するための検証特徴量を求めるロジックを作成することができる。なお、ここでは単純な例として手順がシリアルに実行される例を示したが、分岐したり、ループしたりする手順を含んでいてもよい。
ロジック設定部632がステップS102、S103を実行することにより、設計要件に応じた検証特徴量を求めるロジックがルールファイルに定義されるので、以降のステップでは設計要件に応じたルールチェック処理手順を設定する。設計者が情報設定ボタン205をクリックすると、違反情報設定部633は、違反通知情報を設定する(S104)ための違反通知ボックス341~342を開く。この状態でのルールファイル作成画面201を図8に示す。違反通知情報は、3DCADデータに設計要件違反が検出された場合に、設計者に表示する情報である。違反種類341は、その重大性に応じて「警告」や「情報提示」等違反のレベルを定義する。設計部門であらかじめ定めた違反レベルを選択的に入力可能としておくことが望ましい。違反説明文342は設計要件違反が検出された場合に、ポップアップ画面にて表示するメッセージである。
設計者が情報設定ボタン206をクリックすると、違反情報設定部633は違反判定情報を設定する(S105)ための違反判定ボックス351~353を開く。この状態でのルールファイル作成画面201を図9に示す。違反判定ボックス351には、プログラムが検証対象とする特徴形状を設定する。この例では、板金部品に設けられた穴となるので、共通モジュールACの出力する、立体モデルに含まれる穴を示す出力パラメータ(ここでは「OUT_aaa」)を指定する。違反判定ボックス352には、プログラムが設計要件違反か否かを判定する特徴量を設定する。この例では、穴と穴との距離となるので、共通モジュール01の出力する点(ここでは、穴の中心)間の距離を示す出力パラメータ(ここでは「OUT_bbb」)を指定する。なお、この例では「OUT_bbb」が検証特徴量となる。この違反判定ボックス353には、プログラムが設計要件違反か否かを判定するしきい値を設定する。この例では、穴と穴との距離が狭すぎる場合(例えば、6.0mm未満)を設計要件違反とするので、検証特徴量につき違反か否かを判定するしきい値(ここでは「<6.0mm」)を設定する。なお、後述するように、立体モデルに設計要件違反があった場合、設計者が容易に違反箇所を特定できるよう、設計要件違反となる形状については強調表示する対象とする。
全ての情報の入力が完了すると、設計者はルールファイル作成ボタン207をクリックする。これにより、作成したルールファイルはルールファイルDB524に格納される(S106)。ルールファイルは基本情報、検証特徴量抽出ロジック、違反情報を含む。それぞれ図1に示したフローのS101で設定した情報、S102~S103で設定した情報(共通モジュールを使用する順序、使用される共通モジュールの入出力パラメータ)、S104~S105で設定した情報(検証特徴量に基づく違反有無判断要件、アラーム表示情報)である。ルールファイルを格納するにあたり、形式チェック部634により、ルールファイルの形式エラーチェックを実施することが望ましい。少なくとも、例えば、必須入力項目(例えば部品名や違反判定のしきい値など)が未入力であるものや文法エラーチェック(全角/半角チェック、禁則文字チェックなど)はこの段階で行い、エラーがあった場合には設計者に再入力を促すことで、ルールファイルの確実性を高めることができる。
(2)設計検証プロセス
本実施例では、設計検証プロセスは、設計支援装置521が設計検証プログラム622を実行することによって実現される。図12に、3DCADで設計された形状情報(3DCADデータ)が設計要件を満たしているか検証するフローを示す。設計検証プログラム622は3DCADデータ呼び出し部641、ルールファイル読み込み部642、共通モジュール呼び出し部643、共通モジュール実行部644、設計要件違反判定部645、違反情報表示部646を有している(図11参照)。
まず、3DCADデータ呼び出し部641は、設計検証する3DCADデータ(立体モデル(形状情報))を3DCADDB502から呼び出す(S201)。このとき、3DCADの形状情報を解釈し、立体モデルとして成立しているかどうかをチェックすることが望ましい。例えば、同一部品内で面と面が離れていて隙間ができてしまっているような立体モデルは形状として成立せず、設計要件を満たすか検証する意味がない。この場合は、設計エラーであることを設計者に警告し、設計検証プロセスは終了する。
S201で呼び出した形状情報に対して、検証したい設計要件に対応するルールファイルを選択する(S202)。図13に設計検証画面701の例を示す。ルールファイル読み込み部642は、設計検証画面701に、検証対象とする設計対象の3DCAD図面702とルール選択画面703とを表示する。この例では、ルール選択画面703には、ルールファイルに設定した基本情報にしたがい、ルール分類704とルール名705とが表示されるようになっている。ルール分類704には、ルールファイル作成プロセスにおいて設定したルール分類が表示され、ルール名705には選択したルール分類704に属するルールファイルのルール名が表示されるようになっている。設計者は、ルール名705に表示されたルール名を選択する(ここでは、網掛け706で指定する)ことにより、検証する設計要件に対応するルールファイルを選択する。なお、ここで、ルール名705に含まれる「ALL」を選択することにより、ルール分類「生技要件」に含まれるルールファイルはまとめてルールチェックを実行することが可能となる。多数の設計要件について検証を要する場合に、選択を容易にすることができる。
ルールファイル読み込み部642は、選択されたルールファイルをルールファイルDB524から呼び出す。このとき、ルールファイル読み込み部642が形式チェック部634と同等のチェック機能を備え、ルールファイルに対して必須入力項目未入力エラーチェックや文法エラーチェックを行うようにしてもよい。以上により、検証対象とする3DCADデータ624とルールファイル623とが設計支援装置521に読み込まれるので、以下、ルールファイルに定義された手順にしたがって設計検証を実行する(S203)。
共通モジュール呼び出し部643は、ルールファイル623の特徴形状抽出ロジックを読取り、必要な共通モジュールを呼び出す(S203a)。ルールファイル623には、特徴形状の抽出に使用する共通モジュールの情報が記載されているので、IDあるいは共通モジュール名称に基づき、共通モジュールDB523を検索し、共通モジュール625として格納する。
共通モジュール実行部644は、ルールファイル623の特徴形状抽出ロジックを読取り、ルールファイル623に定義された入出力パラメータを共通モジュール625に設定し、実行する(S203b)。同時に、共通モジュール実行部644はルールファイルの特徴形状抽出ロジックの確実性をもチェックする。例えば、共通モジュール01(点点距離)では、入力パラメータとして2つの点形状を定義する必要がある。ここで、ルールファイルにおいて点形状を1つしか指定されていなかったならば、ロジックが不確実としてエラーを出力する。
共通モジュールの呼び出し(S203a)と共通モジュールの実行(S203b)とはルールファイルの特徴形状抽出ロジックに定義されている共通モジュールの数だけ実行が繰り返され、設計要件の遵守/違反を判定するための検証特徴量が抽出される。設計要件違反判定部645は、特徴形状抽出ロジックによる抽出された検証特徴量とルールファイル623の違反情報とを照合し、設計要件違反の有無を判定する(S203c)。例えば、ルールファイル623の特徴形状抽出ロジックにしたがって抽出された検証特徴量(点間距離)がルールファイルに記載されている判定条件により違反と判定された場合には、該当箇所を違反形状として抽出する。
違反情報表示部646は、設計要件違反判定部645によって抽出された違反形状についてアラームを表示する(S204)。図14にアラームを表示した設計検証画面701の例を示す。ルールファイル623の違反情報に基づき、警告がアラーム画面801に表示され、3DCAD図面702には特徴形状が表示されるとともに、違反箇所は強調して(例えば、CAD形状とは異なる色に着色する等)、表示している。さらに、表示するのみでなく、違反形状に関わる数値(この場合であれば、CADデータにおける点間距離、設計要件における点間距離等)を必要に応じてリスト化して表示することが望ましい。設計者が強調表示された箇所802を選択することで、違反形状リストを表示され、判定しきい値を確認し、違反箇所を修正することができる。さらに違反形状リストに対応する設計要件DB522の設計要件にリンク付けがされていれば、設計者は改めて設計要件の確認をすることが可能になる。
以上、本発明を実施の態様に沿って説明したが、本発明は上記記載の内容に限定されるものではない。例えば、設計環境として設計装置501と設計支援装置521と別々のコンピュータで実現している例を示しているが、同じコンピュータで実現してもよい。この場合、例えば、設計検証プログラムを3DCAD設計ソフトのプラグインプログラムとすることにより、設計者は3DCADの設計ごとに、要件チェックを行うことが容易になる。また、本実施例の設計支援プログラム(ルールファイル作成プログラム、設計検証プログラム)をクラウド上に実現してもよく、プログラムの実装形態には限定されるものではない。
100:部品、101~104:穴、201:ルールファイル作成画面、202~206:情報設定ボタン、207:ルールファイル作成ボタン、301~304:基本情報ボックス、310:共通モジュールリスト呼び出しボタン、311:手順ボックス、312:手順追加ボタン、320:共通モジュールリスト画面、321~323:カテゴリ、324~326:モジュールボタン、327:ID、328:共通モジュール名称、330:設定ボックス、331:入力パラメータ、332:出力パラメータ、341~342:違反通知ボックス、351~353:違反判定ボックス、500:設計システム、501:設計装置、502:3DCADデータベース、503:3DCAD属性データベース、510:ネットワーク、520:設計支援システム、521:設計支援装置、522:設計要件データベース、523:共通モジュールデータベース、524:ルールファイルデータベース、601:プロセッサ、602:主記憶、603:補助記憶、604:入出力インタフェース、605:表示インタフェース、606:ネットワークインタフェース、607:入出力ポート、608:バス、609:ディスプレイ、610:入力装置、
621:ルールファイル作成プログラム、622:設計検証プログラム、623:ルールファイル、624:3DCADデータ、625:共通モジュール、631:基本情報設定部、632:ロジック設定部、633:違反情報設定部、634:形式チェック部、641:3DCADデータ呼び出し部、642:ルールファイル読み込み部、643:共通モジュール呼び出し部、644:共通モジュール実行部、645:設計要件違反判定部、646:違反情報表示部、701:設計検証画面、702:3DCAD画面、703:ルール選択画面、704:ルール分類、705:ルール名、706:網掛け、801:アラーム画面、802:強調表示された箇所。

Claims (10)

  1. 3DCADデータが設計要件を満たしているかを検証する設計支援システムであって、
    3DCADデータまたは3DCADデータから抽出された特徴量に対する処理を行う共通モジュールを複数格納する共通モジュールデータベースと、
    前記共通モジュールデータベースに格納された共通モジュールを用いて、3DCADデータから設計要件を検証するための検証特徴量を求める手順、及び当該検証特徴量に基づき当該設計要件の違反有無を判定する違反情報を定義するルールファイルを複数格納するルールファイルデータベースと、
    設計支援装置と、を有し、
    前記ルールファイルデータベースのルールファイルは、少なくとも当該ルールファイルに対応する設計要件が定められている工程による分類がなされており、
    前記設計支援装置は、所定の3DCADデータに対して検証したい設計要件に対応する第1のルールファイルが前記ルールファイルデータベースから前記分類にしたがって選択されると、前記第1のルールファイルに定義された前記手順にしたがって前記共通モジュールデータベースに格納された共通モジュールを呼び出して前記所定の3DCADデータに対して実行し、前記第1のルールファイルに定義された前記違反情報と前記手順にしたがって求められた検証特徴量とに基づき、前記第1のルールファイルに対応する設計要件の違反有無を判定する設計支援システム。
  2. 請求項1において、
    前記設計支援装置は、前記第1のルールファイルに対応する設計要件の違反有と判定した場合には、前記所定の3DCADデータの形状を示す3DCAD画面において、違反有と判定された箇所を強調表示する設計支援システム。
  3. 請求項1において、
    前記共通モジュールデータベースに格納される共通モジュールは複数のカテゴリを有し、
    前記複数のカテゴリには、所定の幾何形状を探索する幾何形状探索カテゴリ、所定の形状を特徴づける特徴量を演算する特徴量演算カテゴリ、数値演算を行う数値演算カテゴリを含む設計支援システム。
  4. 請求項1において、
    前記ルールファイルデータベースに格納されるルールファイルには、3DCADデータから設計要件を検証するための検証特徴量を求める手順として、前記共通モジュールデータベースに格納された共通モジュールを使用する順序、及び使用される共通モジュールの入出力パラメータが設定されている設計支援システム。
  5. 3DCADデータまたは3DCADデータから抽出された特徴量に対する処理を行う共通モジュールを複数格納する共通モジュールデータベースと設計支援装置とを用いて、所定の3DCADデータが所定の設計要件を満たしているかを検証する設計検証方法であって、
    前記設計支援装置は、前記共通モジュールデータベースに格納された共通モジュールを用いて、3DCADデータから前記所定の設計要件を検証するための検証特徴量を求める手順、及び当該検証特徴量に基づき前記所定の設計要件の違反有無を判定する違反情報を定義するルールファイルを読み込み、
    前記設計支援装置は、前記ルールファイルに定義された前記手順にしたがって前記共通モジュールデータベースに格納された共通モジュールを呼び出して前記所定の3DCADデータに対して実行し、
    前記設計支援装置は、前記ルールファイルに定義された前記違反情報と前記手順にしたがって求められた検証特徴量とに基づき、前記所定の設計要件の違反有無を判定し、
    前記ルールファイルは、少なくとも当該ルールファイルに対応する設計要件が定められている工程による分類がされてルールファイルデータベースに格納されており、前記設計支援装置により読み込まれるルールファイルは、前記分類にしたがって前記ルールファイルデータベースから選択されたルールファイルである設計検証方法。
  6. 請求項5において、
    前記設計支援装置は、前記所定の設計要件の違反有と判定した場合には、前記所定の3DCADデータの形状を示す3DCAD画面において、違反有と判定された箇所を強調表示する設計検証方法。
  7. 請求項5において、
    前記共通モジュールデータベースに格納される共通モジュールは複数のカテゴリを有し、
    前記複数のカテゴリには、所定の幾何形状を探索する幾何形状探索カテゴリ、所定の形状を特徴づける特徴量を演算する特徴量演算カテゴリ、数値演算を行う数値演算カテゴリを含む設計検証方法。
  8. 請求項5において、
    前記ルールファイルには、3DCADデータから前記所定の設計要件を検証するための検証特徴量を求める手順として、前記共通モジュールデータベースに格納された共通モジュールを使用する順序、及び使用される共通モジュールの入出力パラメータが設定されている設計検証方法。
  9. 3DCADデータまたは3DCADデータから抽出された特徴量に対する処理を行う共通モジュールを複数格納する共通モジュールデータベースを用いて、所定の3DCADデータが所定の設計要件を満たしているかを検証する設計検証プログラムであって、
    前記共通モジュールデータベースに格納された共通モジュールを用いて、3DCADデータから前記所定の設計要件を検証するための検証特徴量を求める手順、及び当該検証特徴量に基づき前記所定の設計要件の違反有無を判定する違反情報を定義するルールファイルを読み込む第1のステップと、
    前記ルールファイルに定義された前記手順にしたがって前記共通モジュールデータベースに格納された共通モジュールを呼び出して前記所定の3DCADデータに対して実行する第2のステップと、
    前記ルールファイルに定義された前記違反情報と前記手順にしたがって求められた検証特徴量とに基づき、前記所定の設計要件の違反有無を判定する第3のステップと、
    をコンピュータにより実行可能であり、
    前記ルールファイルは、少なくとも当該ルールファイルに対応する設計要件が定められている工程による分類がされてルールファイルデータベースに格納されており、前記第1のステップで読み込まれるルールファイルは、前記分類にしたがって前記ルールファイルデータベースから選択されたルールファイルである設計検証プログラム。
  10. 請求項9において、
    前記所定の設計要件の違反有と判定した場合には、前記所定の3DCADデータの形状を示す3DCAD画面において、違反有と判定された箇所を強調表示する第4のステップをさらに前記コンピュータにより実行可能な設計検証プログラム。
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