JP7144497B2 - 上澄水排水装置及び上澄水排水方法 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、回分式汚水処理装置の上澄水排出(排水)方法が開示されている。この上澄水排出方法は、上澄水の排水の際に、上澄水の吸水口を有する吸込部を、上澄水の水位変化に追従して可動(昇降)させる。
また、特許文献2には、図9に示すような上澄水排水装置(上澄水排水装置)が開示されている。この上澄水排水装置について説明すると、図9に示すように、原水900Wが流入する回分処理槽901(回分槽、曝気装置903及びブロワー904を有する)内には、排水管922が、ガイドパイプ921及び振れ止め金具924に支持されて回分処理槽901内に垂直に固定されている。排水管922の上下位置は、レベル調整固定部923によって調整可能である。排水管922の下端には吸入部925が設けられている。吸入部925は、水位の下限レベルBWLの下部であって沈降活性汚泥層(沈殿汚泥902)の界面900Mの上部位置に配置されている。上澄水は、ポンプ900Pにより吸入部925から吸引され排水管922を通して外部に排水される。排水の進行にしたがって上澄水の水位が下降し下限レベルBWLに達すると(なお、符号HWLは上限レベル)、レベルスイッチ906がこれを検知してポンプ900Pの稼働(運転)を停止し、排水工程が完了する。
また、上記特許文献2の開示技術は、上澄水の水位変化に追従するための可動部が無く、追従運動に伴う配水管等の損傷を回避して耐久性及び信頼性を向上させる点で優れている。しかし、上澄水を陸上型のポンプPによって排水させるためには、ポンプPは停止時にもポンプ内部を充水しておく上から、逆止弁その他を装備する必要がある等の難点があり、ポンプの起動に伴って逆流等が生じた場合は、沈殿した汚泥層を乱す危険性もある。
そこで、本発明は、上澄水の排水の際に、上澄水の水位変化に追従するための可動部を無くして可動部に起因する耐久性及び信頼性を更に向上させるとともに、上澄水の排水とポンプの排水とを分離することで、沈殿汚泥がポンプの排水の影響を直接的に受けずに排水できる上澄水排水装置及び上澄水排水方法を提供することを目的とする。
なお、[1]の上澄水排水装置に対する[2]~[6]のそれぞれの特徴を、上澄水排水方法において適用可能なそれぞれの特徴に置き換えたものは、上記[7]の上澄水排水方法においても好ましい特徴となる。
また、回分槽内の上澄水は、固定排水管の取水口から取水された後、集水チャンバーに一旦取水され、取水された集水チャンバー内の上澄水が排水ポンプによって吸水されて、ポンプ排水管から排水される。集水チャンバーによって、上澄水の排水(取水)と、集水チャンバー内の水を排水する排水ポンプの排水とが分離されるため、沈殿汚泥が排水ポンプの排水の影響を直接的に受けずに排水できる。換言すると、集水チャンバーが回分槽と排水ポンプ間の言わばバッファー的な存在となるため、排水ポンプの吸引力が、直接、回分槽内の上澄水に伝わることが無くなり、沈殿汚泥が巻き上げられて排水されることを抑制できる。
本発明の上澄水排水方法も、上記した本発明の上澄水排水装置の効果と同様の効果を有する。
図1~図4を用いて、実施形態1に係る上澄水排水装置30A(デカンターともいう)について説明する。
図1は、実施形態1に係る上澄水排水装置30Aの説明図である。図2は、実施形態1に係る上澄水排水装置30Aの断面模式図である。図1及び図2は、汚水81が浄化処理された後、上澄水82と沈殿汚泥83(沈殿活性汚泥)とに分離した状態を示している。図2は、図1のx-x’、y-y’面の断面模式図である。
実施形態1では、集水チャンバー33は、回分槽10A(回分式汚水処理装置1A内に設置した回分槽)内に配設されている。
ここで、回分式汚水処理装置1Aは、図1及び図2に示すように、回分槽10A、原水80を貯留する原水槽91から回分槽10Aに原水80を流入させる流入ポンプ20、回分槽10A内の汚水81に散気する散気装置61、汚水81を撹拌する撹拌装置62、浄化処理された処理済の上澄水82を排水する上澄水排水装置30A、回分槽10A内の汚水81の水位81h(汚水水位)を計測する汚水水位計測装置51、を備えるものを基準とする(流入ポンプ20については不要な場合もある)が、その他にも、沈殿汚泥83の汚泥界面位置83h(沈殿汚泥83と上澄水82との境界面位置、汚泥界面高さ位置)を計測する汚泥界面計測装置52(汚泥界面位置計測装置)、上澄水排水装置30A等を制御する回分法制御装置40、回分法制御装置40への制御指令等を入力するためのキーボード、マウス等の入力装置71、回分槽10A内での、散気装置61等諸装置の動作状況等、処理状況を表示したり、印刷したりする出力装置72(表示装置、印刷装置)等を備えてもよい。
図2は、図1に示す回分式汚水処理装置1AのX-X’、Y-Y’面の断面図である。(なお、本明細書においては、「○○工程」、「○○(工程)」、「○○処理」、「○○(処理)」、「○○処理工程」、「○○(処理工程)」及び「○○」の語を原則同義語として使用している。また、「数字」「数字・英大文字」の関係は、「数字」が総括的符号で「数字・英大文字」が実施形態に対応する符号である。例えば、符号「30」は、諸実施形態の上澄水排水装置を総括的に示す符号であり、符号「30A」は、実施形態1に係る上澄水排水装置を示す符号である。)
「回分槽10(10A)」は、「回分式活性汚泥法」で使用する槽であり、コンクリート(RCコンクリートを含む)、鋼板等で作られている。実施形態1の回分槽10Aは原水80が間欠的に流入する間欠流入式の回分槽である。「回分式活性汚泥法」では、同一のタンク(回分槽)を用いて、微生物の働きを利用して汚水中の有機物分解やアンモニア性窒素の酸化などの汚水処理をおこなうとともに、微生物を含む活性汚泥(沈殿汚泥83)と水(上澄水82)とを分離する固液分離をおこなう。
「沈殿処理工程」とは、回分槽10(10A)にある浄化処理後の汚水81を、上澄水82と沈殿汚泥83とに分離(固液分離)する処理工程をいう。
「上澄水排水処理工程」とは、沈殿処理された上澄水82を排水する処理工程をいう。「排水工程」ともいう。なお、全ての上澄水82を排水する訳ではない。全ての上澄水82を排水すると、回分槽10Aにある沈殿汚泥83が巻き上げられて排水中に混入するリスクがあるためである。
「排泥処理工程」とは、上澄水排水処理工程後に沈殿汚泥83を排泥する処理工程をいう。なお、全ての沈殿汚泥83を排泥する訳ではない。処理に伴い増加する汚泥に対し適切量を保持するため、余剰量を引き抜く必要があるからである。
上澄水排水装置30(30A)は、回分槽10A内の上澄水82を排水する装置である。
図3は、実施形態1に係る上澄水排水装置30Aの排水操作説明図である。図4は、実施形態1に係る上澄水排水装置30Aの上澄水排水処理工程のフローチャート例である。
なお、本明細書においては、排水ポンプ36に付帯して用いる、後述のフリクト型水位計を使用する場合、フリクト型水位計の水位計測部(水位計測機構、水位計測機能)は、集水チャンバー水位計測装置37に含まれ、水位に応じて内蔵スイッチが開閉してそれに伴い排水ポンプ36の動作(稼働又は停止)を制御する制御部(制御機構、制御機能)は回分法制御装置40に含まれるものとして扱う。
上澄水排水装置30(30A)を構成する各要素について説明すると、図2に示すように、固定排水管32(32a)の取水口31は開口しており、固定排水管32と集水チャンバー33とが連通している。固定排水管32は前記上澄水82中(上澄水の層中)にあると、排水ポンプ36が稼働して集水チャンバー33内の水位33hが下がると、回分槽10A内の水位81hとの水位差により、上澄水82が固定排水管32の取水口31から取水され、集水チャンバー33内に取水されるように構成されている。
固定排水管32の断面は、楕円形であるが、円形、楕円形、矩形、ひし形等であってもよい。取水口31は楕円形断面の固定排水管32の下部に形成されている。「下部」とは、固定排水管32を平面的に見たときに、上から見えない下側をいう。取水口31を固定排水管32の下部に形成するのは、上澄水82上に浮かんだスカム等が取水口31から固定排水管32の内部に混入することを抑制するためである。
固定排水管32は、集水チャンバー33の下(即ち、回分槽10Aの底)から所定の固定した高さ位置に設置される。
この設置高さ位置は、回分槽10aで回分式活性汚泥法による通常の浄化処理等の処理がされる場合の、汚泥界面位置83hより上で、水位81hより下であり、固定排水管32が上澄水82の層内に置かれる設置高さ位置である。
実施形態1では、固定排水管32は、同じ設置高さ位置の、第1固定排水管32aと第2固定排水管32bとから構成されている。第1固定排水管32aの取水口31から取水された上澄水82は、第1固定排水管32a及び第2固定排水管32bを通って、集水チャンバー33に取水される。
なお、上記の固定排水管32、分岐排水管35及び集水チャンバー33は、例えば、塩化ビニール、ポリカーボネート等のプラスチック、又はステンレス等の金属で構成することができる。
集水チャンバー33内(実施形態1では集水チャンバー33の底)には、排水ポンプ36が設置される。なお、排水ポンプ36として水中ポンプ型排水ポンプを用いることができる。排水ポンプ36は、上澄水82が取水される集水チャンバー33内に設置され得ることから、水中ポンプ型排水ポンプが有用である。集水チャンバー33内における吸水口36aの高さ位置は、固定排水管32より低くなるように構成されている。また排水口36bは、ポンプ排水管34に接続される。ポンプ排水管34は集水チャンバー33の内側、外側のどちらに設置してもよい。しかしながら、ポンプ排水管34を、図2のように、集水チャンバー33の内側に設置すると、構造をシンプルにすることができる。
回分法制御装置40は、上澄水排水装置30Aの制御をする。この明細書では、回分法制御装置40は、上澄水排水装置30Aの制御をするのに加えて、回分式汚水処理装置1A全体の制御もする装置として説明する。
なお、上述したように、フリクト型水位計を使用する場合、水位に応じて内蔵スイッチが開閉してそれに伴い排水ポンプ36の動作(稼働又は停止)を制御する制御部は回分法制御装置40に含まれるものとして扱う。
図1に示す回分法制御装置40は、CPU(Central Prosessing Unit、中央処理装置)41、ROM(Read Only Memory、読出専用メモリー)42、RAM(Random Access Memory)43と、これらを接続するバス44、バス44と回分法制御装置40の外部装置との間に設けられたインターフェース45等を有する。
汚水水位計測装置51は、例えば、汚水81の水面より上に固定設置して、超音波を鉛直方向下方に発射し水面からの反射波を受信してその強度から汚水水位計測装置51・水面間の距離を測定する。そして予め測定した汚水水位計測装置51・回分槽10A底面間の距離から、汚水水位計測装置512・水面間の距離を差し引いて、その値を回分槽10A底面・汚水81水面間の距離、即ち、汚水81の水位81hとする。この差し引き演算は、汚水水位計測装置51自身がおこなってもよいし、回分法制御装置40がおこなってもよい。
図2に図示するように、上澄水排水装置30Aは、集水チャンバー33内の水位を計測する集水チャンバー水位計測装置37を備えている。
ここで、集水チャンバー水位計測装置37は、上述した汚水水位計測装置51と同様なものであってもよいが、上述したように、後述のフリクト型水位計を使用する場合、フリクト型水位計の水位計測部は、集水チャンバー水位計測装置37に含まれるものとして扱う。図2に図示するのは、集水チャンバー水位計測装置37として、フリクト型水位計の水位計測部を使用する場合である。フリクト型水位計(集水チャンバー水位計測装置37)は、レベルスイッチが内蔵された第1フロート37aと、第2フロート37bと、それらが取り付けられる支柱37c等とを有する。フリクト型水位計については後述する。
回分法制御装置40が、排水ポンプ36を稼働(運転)させると、集水チャンバー33内の上澄水82は、図2に示すように、ポンプ排水管34から排水される。その後、集水チャンバー33内の水位が低下して固定排水管32の位置より低くなると、排水ポンプ36は集水チャンバー33に取水された上澄水を吸水して排水するが、その吸水力が、直接、固定排水管32の取水口31外側の上澄水82(回分槽10A内の上澄水82)に伝わることがない。そのため、排水ポンプ36が稼働することにより、沈殿汚泥83が巻き上げられて上澄水に混入されることが抑制される。
図3(a)は、原水流入処理工程における上澄水排水装置30A等の様子を示す図である。この工程においては、回分法制御装置40は排水ポンプ36を停止させている。この処理工程で、回分法制御装置40は流入ポンプ20を稼働させ、回分槽10Aに原水80を流入させる。上澄水排水装置30Aは、固定排水管32(32a、32b)と集水チャンバー33とが連通しており、排水ポンプ36の停止状態では、原水80の一部が流入し、集水チャンバー33の水位が回分槽10Aの水位と最終的に均衡するように構成されている。
そして、原水80の流入で回分槽10A内の水位81hは上昇していき、それに伴って集水チャンバー33の水位も自ずと最終的に均衡するように上昇する。
図3(b)は、浄化処理工程(反応処理工程)における上澄水排水装置30A等の様子を示す図である。この処理工程においては、回分法制御装置40は流入ポンプ20と排水ポンプ36とを停止させている。
回分法制御装置40は、撹拌装置62を稼働(運転)させることにより、回分槽10Aに流入した原水80中に沈殿汚泥83を混ぜ合わせたり、散気を撹拌させたりして浄化処理を活発化させたり、浄化処理が汚水81中で極力均一になるようにする。
一方、集水チャンバー33は、取水口31を有する固定排水管32と連通している。そのため、原水80の流入で回分槽10A内の水位81hが上昇していくと、それに伴って集水チャンバー33の水位33hは、水位81hと最終的に均衡するように上昇する。しかし、回分槽10Aと集水チャンバー33とは、基本的には別の容物であり、取水口31等を介して連通されているにすぎない。そのため、回分槽10A内、あるいは固定排水管32の汚水81の一部が、集水チャンバー33内に入ることはあっても、集水チャンバー33では回分槽10A内でおこなわれるのと同様な浄化処理はおこなわれない。浄化処理工程中であっても、集水チャンバー33内の汚水は、その中の固形分は沈殿し、上側は固形分の少ない状態に分離する(図3(a)に示す原水流入処理工程中も同様である)。なお、集水チャンバー33内に堆積した浄化処理が不完全な処理水は、後述する初期返水処理工程により、原水系統側に返水処理される。
図3(c)は、沈殿処理工程における上澄水排水装置30A等の様子を示す図である。沈殿処理を開始した直後の様子を示す。
沈殿処理工程においては、回分法制御装置40は、流入ポンプ20を停止させ、回分槽10Aへの原水80の流入を停止させる。また、散気装置61及び撹拌装置62を停止させる。排水ポンプ36も停止させる。
沈殿処理工程開始直後においては、図3(c)に示すように、回分槽10A内の汚水81は、活性汚泥がほぼ均一に混ざり合った状態となっているが、沈殿処理工程の終了時においては、回分槽10A内の汚水81は、上澄水82と、沈殿汚泥83とに分離する(図3(d)参照)。
一方、集水チャンバー33内部は静置状態が維持されるため、沈殿分離状況が続いており、集水チャンバー33内に流入した汚泥等は沈降分離が進むこととなる。
上澄水82の上澄水排水処理工程は、初期返水処理工程と、その後の上澄水排水工程とを有する。図3(d)は初期返水処理工程における上澄水排水装置30A等の様子を示し、図3(e)は初期返水後の上澄水排水処理工程における上澄水排水装置30A等の様子を示す。
回分法制御装置40は、汚水81の水位81hと、汚泥界面位置83hとから、図3(c)に示す沈殿処理工程の進行状況を監視しており、それらから、上澄水排水処理工程を開始してよいと判断すると、上澄水排水処理工程に移行する。
上澄水排水処理工程においては、回分法制御装置40は、まず、初期返水処理工程を実施する(図3(d)参照)。
初期返水処理工程では、回分法制御装置40は、信号V1zにより、原水槽91につながる第1分岐排水管35aの第1電磁バルブV1を開き、信号V2zにより、排水路92につながる第2分岐排水管35bの第2電磁バルブV2を閉じる。そして、回分法制御装置40は、排水ポンプ36をON(稼働)させる。この初期返水処理により、集水チャンバー33の汚水は、第1分岐排水管35aを介して原水槽91(原水系統)に返水される。
これにより、前回の運転サイクルから、当該運転サイクルの上澄水排水処理工程までの間に、集水チャンバー33の底や、固定排水管32の底に沈殿、沈着等された汚泥(沈殿汚泥)が集水チャンバー33から除去される。
初期返水処理工程が終了すると、回分法制御装置40は、次に、排水系統への上澄水排水処理工程を実施する(図3(e)参照)。
排水系統への上澄水排水処理工程では、回分法制御装置40は、信号V1zにより、原水槽91につながる第1分岐排水管35aの第1電磁バルブV1を閉じ、信号V2zにより、排水路92につながる第2分岐排水管35bの第2電磁バルブV2を開く。そして、回分法制御装置40は、排水ポンプ36を稼働させる。これらにより、集水チャンバー33の上澄水82は、第2分岐排水管35bを介して排水路92(排水系統)に排水される。
その際、回分法制御装置40は、集水チャンバー水位計測装置37で計測された集水チャンバー33の水位33hに基づいて排水ポンプ36を稼働又は停止させる。
その具体的な方法としては、例えば、2つあり、1つは、回分法制御装置40が、集水チャンバー水位計測装置37を汚水水位計測装置51と同様に構成し、当該集水チャンバー水位計測装置37で計測された集水チャンバー33内の水位33h計測信号51zを受信して、水位33hに基づいて、排水ポンプ36を稼働又は停止させるやり方である。
集水チャンバー33内には、フリクト型水位計が設置されている。上述したように、フリクト型水位計(集水チャンバー水位計測装置37)は、レベルスイッチを内蔵した第1フロート37a、第2フロート37b、及びそれらを取り付ける支柱37cを有する(支柱37cは必須ではない)。第1フロート37aと第2フロート37bとは支柱に取り付ける高さ位置が異なり、第1フロート37aの方が高い高さ位置に取り付けられている。第1フロート37a及び第2フロート37bは、水位によって姿勢が変わり、それによって(フリクト型水位計の水位計測部によって計測された水位によって)内蔵レベルスイッチがオン又はオフする。水位の関係は、水位33h1>33h2>33h3>33h4である。レベルスイッチは排水ポンプ36に接続されており、レベルスイッチのオン又はオフに基づき、排水ポンプ36を起動又は停止させる(フリクト型水位計の制御部が、排水ポンプ36を起動又は停止させるように制御する)。図2の右下に図示するように、第1フロート37aのレベルスイッチは、集水チャンバー33内の水位33hが33h1以上になるとオンし、33h2以下になるとオフし、それに基づき排水ポンプ36を起動又は停止させる。第2フロート37bのレベルスイッチは、水位33hが33h4以下になるとオフし、33h3以上になるとオンし、それに基づき排水ポンプ36を停止又は起動させる。
なお、レベルスイッチオンで排水ポンプ36を起動させ、レベルスイッチオフで排水ポンプ36を停止させるように構成してもよいが、その逆に、レベルスイッチオンで排水ポンプ36を停止させ、レベルスイッチオフで排水ポンプ36を起動させるように構成してよい。
まず、排水ポンプ36起動の場合、排水ポンプ36を起動させるか否かの分岐制御がおこなわれる(ステップ21、以下「S21」と記載する。他のステップでも同様)。その場合、集水チャンバー33内の水位33hが33h1以上であるか否かに基づき、排水ポンプ36を起動するか否かに分岐制御される。
水位が33h1未満の場合、第1フロート37aの内蔵レベルスイッチはオフのままであり(第2フロート37bの内蔵レベルスイッチもオン)、排水ポンプ36起動NOで、処理工程がS21に戻る。
水位が33h1以上の場合、第1フロート37aの内蔵レベルスイッチはオンとなり(第2フロート37bの内蔵レベルスイッチもオン)、排水ポンプ36起動YESとなり、排水ポンプ36を起動させる(S23)。
排水ポンプ36を起動させると、集水チャンバー33内の水位33hは低下する(S25)。
水位が33h4を超える場合、第2フロート37bの内蔵レベルスイッチはオンのままであり(第1フロート37aの内蔵レベルスイッチはオフ)、排水ポンプ36停止NOであり、処理工程がS25に戻る。
水位が33h4以下の場合、第2フロート37bの内蔵レベルスイッチはオフとなり(第1フロート37aの内蔵レベルスイッチもオフ)、排水ポンプ36停止YESとなり、排水ポンプ36を停止させる(S29)。
排水ポンプ36を停止させると、集水チャンバー33内の水位33hが上昇する(S31)。
そして、処理工程はS21に戻る。
一方、上澄水排水処理工程で、回分法制御装置40は、汚水水位計測装置51で計測する回分槽10A内の汚水81の水位81h(または更に汚泥界面計測装置52で計測する汚泥界面位置83h)をチェックしており、水位81hが所定水位以下になると、集水チャンバー水位計測装置37による集水チャンバー33の水位検出結果に関係なく、排水ポンプ36を停止させる。汚水81の水位81hが所定水位以下に低下することにより、汚水81の水面が取水口31に近づき、水面のスカム、ゴミ等が取り込まれ、排水系統(排水路92等)に排水されるリスクを低減させるためである。このようにして上澄水排水処理工程が終了する。
上澄水排水処理工程の後、回分法制御装置40は、処理工程を、沈殿汚泥83の排泥処理工程に進める。
排泥処理工程が終了すると、1運転サイクルが終了する。回分法制御装置40は、次の運転サイクルを開始させる。
上記実施形態1に係る上澄水排水装置30Aによれば、上澄水排水装置30Aは、固定排水管32と、集水チャンバー33と、排水ポンプ36と、ポンプ排水管34と、を備え、これらにより上澄水排水がおこなわれるように構成されているため、上澄水82の水位変化に追従させるための可動部が不要であり、また、固定排水管32と集水チャンバー33との間に弁を設けることも不要であることから、可動部に起因する装置の耐久性及び信頼性に優れる。
また、集水チャンバー33によって、上澄水82の排水(取水)と、集水チャンバー33内の水を排水する排水ポンプ36の排水とが分離されるため、沈殿汚泥83が排水ポンプ36の排水の影響を直接的に受けずに排水でき、沈殿汚泥83が巻き上げられて排水されることを抑制できる。
なお、排水ポンプ36としては維持管理が容易で安価な汎用の水中ポンプ型排水ポンプを用いることができるため、水中ポンプ型排水ポンプを用いた長期にわたる無人運転も可能となる。
また、集水チャンバー33を回分槽10A内に配設する場合、中小規模の排水処理施設(汚水処理装置)に対しても上澄水排水装置30Aを簡単に設置できる。排水するために、回分槽10Aの槽壁を貫通する排水管を設けることが不要であり、地中に埋設された既存の水槽にも簡単に設置できることから、そのような処理槽を回分槽として再活用することも可能となる。
一方、集水チャンバー33を回分槽10Bの槽外に配設する場合、回分槽10Bの容積は、集水チャンバー33設置によって減少することがない。
図5は、実施形態2に係る上澄水排水装置30Bの説明図である。
実施形態2に係る上澄水排水装置30Bは、基本的には、実施形態1に係る上澄水排水装置30Aと同じ構成を有するが、集水チャンバー33が、実施形態1では回分槽10Aの槽内に配設されているのに対し、実施形態2では、回分槽10Bの槽外に配設されている点が異なる。
即ち、実施形態2に係る上澄水排水装置30Bでは、図5に示すように、集水チャンバー33は、回分槽10B(回分式汚水処理装置1B内の回分槽)の槽外に配設されている。そして、固定排水管32は集水チャンバー33から回分槽10B槽壁に設けられた穴を通って回分槽10B槽内に水平方向に伸びている。
なお、実施形態2に係る上澄水排水装置30Bは、回分槽10Bの槽外に配設されている以外の点については、実施形態1に係る上澄水排水装置30Aと同様であり、実施形態1で述べた上澄水排水装置30A(上澄水排水方法)が有する効果のうち該当する効果を有する。
図6は、実施形態3に係る上澄水排水装置30Cの説明図である。
実施形態2に係る上澄水排水装置30Cは、基本的には、実施形態1に係る上澄水排水装置30Aと同じ構成を有するが、上澄水82を取水する対象の回分槽が、実施形態1では間欠流入式の回分槽10Aであるのに対し、実施形態3では連続流入式の回分槽10Cである点が異なる。
固定排水管32は浄化処理部12に配設され、処理済の上澄水82を取水する。
なお、図5と同様に、集水チャンバー33を回分槽10Cの槽外に配設し、固定排水管32を回分槽10C槽壁に設けた穴を通して浄化処理部12内に水平方向に伸びるように構成してもよい。
以上、本発明を上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。その趣旨を逸脱しない範囲において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
変形例に係る上澄水排水装置30Dは、図7(A)及び(B)に示すように、集水チャンバー33を中心に、複数(図面上では4つ)の第1固定排水管32aを略均等角度で放射状に設けている。そして、集水チャンバー33は、図7(A)に示す内面の平面形状が略正方形の回分槽10D1の場合でも、図7(B)に示す内面の平面形状が略円形の回分槽10D2でも、それらの略中央部に配設している。
このように構成すると、回分槽(10D1、10D2)の中央部を中心に回分槽全体から上澄水82を取水することが、より一層容易になる。
このようにすると、回分槽10Eの内面積が広くても、複数の上澄水排水装置30Aを用いることにより、槽全体から上澄水82を取水することが、より一層容易になる。
なお、複数の上澄水排水装置を使用する場合、その数は2つに限られない。3つ以上でもよい。また、複数の上澄水排水装置は、同じ上澄水排水装置又は異なる上澄水排水装置のいずれであってもよい。
例えば、一対の光学素子(発光素子と受光素子)、一対の電極、一対の超音波素子(超音波発射素子、超音波受信素子)等の汚泥濃度センサーを、一定高さ位置毎、回分槽10A内に固定設置し、当該汚泥濃度センサーの汚泥濃度検出信号と、予め設定した汚泥濃度設定信号とを比較することにより、汚泥界面を計測するものであってもよい。
あるいは、上記の汚泥濃度センサーを繰出繰入するケーブルの先端に設置し、当該汚泥濃度センサーの汚泥濃度検出信号が、予め設定した汚泥濃度信号の信号レベルと一致するように、ケーブルを繰上繰入することにより、汚泥界面を計測するもの、換言すると、汚泥界面に追従するように、汚泥濃度センサーの高さ位置を変えることにより、泥界面を計測するもの、であってもよい。
このようにすると、水位81hあるいは汚泥界面位置83hが変化しても、その変化に対応して上澄水82を排水することが、より一層容易になる。
例えば、集水チャンバー33内に混入する汚泥堆積量が微量(所定量未満)である場合には、原水系統への返水は不要であるため、回分法制御装置40が、排水ポンプ36からの排水を、排水系統に排水するように制御する。その場合、第1分岐排水管35a及び第1電磁バルブV1は不要となり、更に第2電磁バルブV2も不要となる。このようにすると、上澄水排水装置の構造をシンプルにすることが可能となる。
Claims (7)
- 好気処理工程及び無酸素処理工程を含む浄化処理工程、沈殿処理工程、上澄水排水処理工程、並びに排泥処理工程を含む運転サイクルを繰り返す回分式汚水処理装置内に設置した回分槽の処理済の上澄水を排水する上澄水排水装置であって、
前記上澄水の取水口が下部に形成され、設置高さ位置が、通常の処理がされる場合の汚泥界面位置より上で水位より下である、水平方向に伸びる固定排水管と、
前記回分槽内又は前記回分槽外に配設され、前記固定排水管と連通する集水チャンバーと、
前記集水チャンバー内に設置され、前記固定排水管の前記設置高さ位置より低い高さ位置に吸水口を有する排水ポンプと、
前記排水ポンプの排水口に接続されたポンプ排水管と、
を備えることを特徴とする上澄水排水装置。 - 請求項1に記載の上澄水排水装置において、
前記上澄水排水装置は、前記排水ポンプの停止状態が継続したときには、自ずと前記集水チャンバーの水位が前記回分槽の水位と最終的に均衡するように構成されている
ことを特徴とする上澄水排水装置。 - 請求項1又は2のいずれかに記載の上澄水排水装置において、
前記排水ポンプの稼働により前記集水チャンバーの水位が前記固定排水管の設置高さ位置より低くなった場合には、前記回分槽の前記上澄水が、前記固定排水管から前記集水チャンバーに自然に流下するように構成されている
ことを特徴とする上澄水排水装置。 - 請求項1~3のいずれか1項に記載の上澄水排水装置において、
更に、前記排水ポンプからの排水を制御する回分法制御装置を備え、
前記回分法制御装置は、
前記上澄水排水処理工程においては、前記排水ポンプからの排水を、原水系統に返水した後、排水系統に排水するように制御する
ことを特徴とする上澄水排水装置。 - 請求項4に記載の上澄水排水装置において、
更に、前記ポンプ排水管と前記原水系統との間に設けられた第1分岐排水管、及び前記ポンプ排水管と前記排水系統との間に設けられた第2分岐排水管、並びに、前記第1分岐排水管及び前記第2分岐排水管の開閉をする第1電磁バルブ及び第2電磁バルブを備え、
前記回分法制御装置は、前記排水ポンプの排水を原水系統に返水する場合には、前記第1電磁バルブを開いて前記第2電磁バルブを閉じ、前記排水系統に排水する場合には、前記第1電磁バルブを閉じて前記第2電磁バルブを開くように制御する
ことを特徴とする上澄水排水装置。 - 請求項4又は5のいずれかに記載の上澄水排水装置において、
更に、前記集水チャンバーの水位を計測する集水チャンバー水位計測装置を備え、
前記回分法制御装置は、
前記上澄水排水処理工程においては、前記集水チャンバー水位計測装置で計測された前記集水チャンバーの水位に基づいて前記排水ポンプを稼働又は停止させる
ことを特徴とする上澄水排水装置。 - 好気処理工程及び無酸素処理工程を含む浄化処理工程、沈殿処理工程、上澄水排水処理工程、並びに排泥処理工程を含む運転サイクルを繰り返す回分式汚水処理装置内に設置した回分槽の処理済の上澄水を排水する上澄水排水方法であって、
設置高さ位置が、通常の処理がされる場合の汚泥界面位置より上で水位より下である、水平方向に伸びる固定排水管の、下部に形成された取水口から上澄水を取水する工程と、
前記回分槽内又は前記回分槽外に配設され、前記固定排水管と連通する集水チャンバーに前記固定排水管の上澄水を集水する工程と、
前記集水チャンバー内に設置され、前記固定排水管の設置高さ位置より低い高さ位置に吸水口を有する排水ポンプを稼働する工程と、
前記排水ポンプの排水口に接続されたポンプ排水管から上澄水を排水する工程と、
を含むことを特徴とする上澄水排水方法。
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