JP7143984B2 - 直流電流開閉装置 - Google Patents
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Description
すなわち、直流回路に通常の金属接点を備えた機械式スイッチを適用した場合、スイッチの開閉動作に伴ってその接点間に発生した直流アークが消弧しにくいことから、従来から様々なアーク消弧方式が提案されている。
その一つに、機械式スイッチの接点間に半導体スイッチを並列接続し、機械式スイッチの開極時に電流を半導体スイッチに転流させて機械式接点間にアークを発生させない、又は生じたアークを素早く消滅させ、その後にこの半導体スイッチをオフして電流を遮断するようにした接点間のアーク消去装置(例えば、特許文献1の図2参照)が知られている。
そして、機械式スイッチ21をオンした状態では、半導体スイッチはオフとなっており、これにより、電流は機械式スイッチ21の接点を通じて負荷26に供給される。
一方、電流を遮断する時には、まず半導体スイッチ22をオンした上で、続いて機械式スイッチ21の接点を開極させる。すると、機械式スイッチ21の接点に今まで流れていた電流は、接点の開極と同時に半導体スイッチ22へ転流して、機械式スイッチ21の接点間に生じていたアークが消滅する。その後、半導体スイッチ21をオフすることにより、半導体スイッチ21に流れていた電流も遮断されて回路の電流が完全に遮断される。
しかし、かかるハイブリッドスイッチは、もっぱら半導体スイッチの欠点である電流導通損を無くすために、通常時の導通は金属接点を有する機械式スイッチとする方式であり、開状態では半導体の耐電圧がスイッチの耐電圧であった。半導体スイッチにおいては、一般に高耐電圧と低オン電圧は相反する性能である。また、半導体スイッチにも欠点があり、遮断状態でのリーク電流が無視できず、ゲート制御の誤動作も考慮すると、絶縁の面においては、金属接点の信頼性は半導体スイッチよりも高い状態がまだまだ続いている。
なお、「開極時」とは、ここでは、開極と同時の他、開極の直後(10ms以内)又は開極の直前の一連の動作も含む概念である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1において、参照符号3で示すものは直流電源であり、直流負荷4との間に、金属接点(以下、単に「接点」という。)1と半導体スイッチ2が接続されている。接点1の負荷側には、ゲート制御部5が設けられ、主として半導体スイッチ2のゲート(G)を駆動する電力を、接点1が閉極した後に得るための機能と、接点1が離れてアーク電圧を生じると発生するアーク電圧ドロップを検出する2つの機能がある。このゲート制御部5は、後述のような専用の回路でもいいし、プログラム可能なマイクロコンピュータ等を利用してもよい。
接点1が閉極すると、直流電源3からの電力でゲート制御部5が半導体スイッチ2をオン状態にする。そのため、接点1が閉極した後、半導体スイッチ2のゲートがオンになるまでの間、接点1には大きな負荷電流が流れることは無い。導通時、半導体スイッチ2には連続通電の発熱に耐え得るだけの冷却設備が備えられている。
図3は、本発明の第1実施形態の直流電流開閉装置の回路図である。第1実施形態では、接点1の負荷側に抵抗とコンデンサを介してそれぞれ絶縁してMOSFETなど絶縁ゲートを駆動するゲート制御部5の実施例を示す。参照符号6で示すのは、フォトカプラの一種でフォトボル出力フォトカプラと呼ばれる光結合の電圧発生装置であり、入力側に約10mAの電流で、内部のLED(赤外発光ダイオード)を発光させて、出力部の太陽電池、フォトダイオードアレイに、絶縁された出力最大7V程度の開放電圧を発生させるもので、東芝デバイス&ストレージ株式会社製のTLP3905などがある。
接点1が閉極すると、直流電源3の電圧がフォトボル出力フォトカプラ6のLEDを発光させて、その起電力で半導体スイッチ2のMOSFETをオン状態にする。
すなわち、接点1は、閉極する瞬間はフォトボル出力フォトカプラ6の電流を通電するのみで、負荷電流は、フォトダイオードアレイの電圧が発生してから、この場合約1ms以下遅れて導通する。
なお、フォトカプラ7は、一般的に発光素子には発光ダイオード、受光素子にはフォトトランジスタが用いられることが多い。例えば、東芝デバイス&ストレージ株式会社製のTLP385などがある。
図4は、本発明に係る直流電流開閉装置の第2実施形態を示す回路図であり、直流電源3が双方向の直流電流を出力可能な直流の電力源の場合であっても対応可能なものである。
この第2実施形態では、MOSFET2を逆直列接続して、双方向の直流電流をオン/オフできるようにし、ゲート制御部5では、フォトカプラ7とフォトボル出力フォトカプラ6の前にダイオードブリッジ8をそれぞれ挿入して、フォトカプラ7とフォトボル出力フォトカプラ6に入力される双方向の電圧を一方向の電圧に変換する必要がある。この方法は交流電源の場合にも適用可能である。
図5は、本発明の第3実施形態の直流電流開閉装置の回路図である。図5は、第1実施形態の回路構成において、半導体スイッチ2のオフのタイミングを接点1の補助接点9により得る方法である。電気的に独立している補助接点9は、ゲートへの電力を発生するフォトボル出力フォトカプラ6への入力電流を制御して半導体スイッチ2をオン/オフにすることが出来る。そのタイミングは、接点1が開極する前に半導体スイッチ2がオフするとよい。すなわち、補助接点9は、接点1が閉極するときよりも遅く閉極して、接点1が開極するときよりも早く開極するように、連動機構を設けるとよい。
なお、図5では、連動する2回路の単投接点を想定しているが、機械的な動作上の問題で補助接点9が多少遅れて開極しても、その短時間、接点1がアークに耐え得る交流用2回路の単投接点であれば、アーク通電に耐えるのでそのまま流用可能である。この場合、フォトボル出力フォトカプラ6がゲート電圧を停止するまでの間、アーク通電が持続するので、フォトボル出力フォトカプラ6が東芝デバイス&ストレージ株式会社製の高速型TLP3906であればオフも1ms以下なので好ましい。
図6は、本発明に係る直流電流開閉装置の第4実施形態を示す回路図であり、双方向の直流電流に対応可能なものである。第3実施形態を双方向の直流電流の場合に拡張したものである。
また、補助接点9の役割は、第3実施形態の場合とは異なり、電気的に独立した補助接点9でMOSFET2のゲート-ソース間を短絡してゲート電圧をゼロにすることである。このとき、補助接点9は、接点1が開極するとき、それに先立って閉極するような連動機構にする必要がある。
これにより、接点1が開極する前に半導体スイッチ2がオフするので、回路の電流が遮断された状態で接点1が開極するため、接点1にはアークが発生しない。
図7は本発明の第5実施形態の直流電流開閉装置の回路図である。ここでは接点1の前後(直流電源3と接点1の間、あるいは接点1と半導体スイッチ2の間)に、過電流で溶断するヒューズ10を設置したものである。
過電流によって、または経年変化などでヒューズ10が溶断、破断した場合でも、接点1の開極時と同様にアークが発生するが、その急峻なアーク電圧分の電圧低下によってゲート制御部5が半導体スイッチ2をオフ状態にする。
アーク電圧によってフォトカプラ7を駆動して、ゲート電圧を短絡することにより半導体スイッチ2をオフにして電流を遮断する。ヒューズ10は、直列の半導体スイッチ2で電流を遮断させれば、溶断したヒューズは急速に絶縁回復し、遮断状態を維持する。
また、直流配線のターミナル部、コネクタの接触不良も同様で、アークで導通持続するので、アークの熱でターミナル部が溶断して地絡警報が出るまで検出することができない。ターミナル部でアークが発生すれば、その電圧変化で本発明の直流電流開閉装置の働きにより、自動で遮断する、断線と接触不良の保護装置とすることが出来る。
このように半導体スイッチと(機械式)接点のハイブリッド開閉器は、開状態時に高い絶縁抵抗と耐電圧を持ち、遮断時アークによる溶融、欠損がないので開閉器の開閉寿命を延ばし電源開閉装置の信頼性を上げることができる。
電子回路の電源スイッチは、単に電源のオン・オフばかりでなく、開極時、外来サージ電圧を阻止する効果も期待されている。半導体スイッチのみの停止状態では、瞬間の外来サージ(落雷や誘導雷、高空、宇宙からの電磁現象などが予想されている)によって破壊される可能性がある。接点は、直流電流の遮断能力はほとんど無いが開極時の耐電圧は接点の開極距離1mmでDC3kVを期待することができる。そこで半導体スイッチを直列に接続したハイブリッドスイッチで電流のオン・オフを行なえば、接点スイッチを使って直流電流を開閉することができる耐サージ電圧数kVに耐えるハイブリッドスイッチとなる。
本発明による半導体スイッチと接点との直列接続によるハイブリッドスイッチは、直流電流開閉装置の種々な問題を解決して、耐久性、信頼性が上がるので、直流電力の応用がさらに進展すると考えられる。
2:半導体スイッチ
3:直流電源
4:負荷
5:ゲート制御部
6:フォトボル出力フォトカプラ
7:トランジスタ出力フォトカプラ
8:ダイオードブリッジ
9:補助接点
10:過電流ヒューズ
Claims (4)
- 直流電源と負荷との間に挿入される直流電流開閉装置であって、前記直流電流開閉装置は、
金属接点と、
前記金属接点と直列に接続され、前記金属接点の電流を導通・遮断するMOSFETと、
前記MOSFETのオン/オフを制御するゲート制御部を備えるともに、
前記ゲート制御部は、
フォトボル出力フォトカプラとトランジスタ出力フォトカプラ(以下単に「フォトカプラ」という。)を備え、
前記金属接点が閉極されると、前記直流電源から供給される電圧により前記フォトボル出力フォトカプラの出力側に発生する電圧によって前記MOSFETのゲート-ソース間電圧を上昇させて前記MOSFETをオン状態にし、
前記金属接点が開極されると、前記金属接点に発生するアーク電圧による電圧降下によって前記フォトカプラの出力側をオンさせて前記MOSFETのゲート-ソース間を短絡することにより前記MOSFETをオフ状態にするように制御することを特徴とする直流電流開閉装置。 - 前記直流電源が双方向の直流電流を出力可能な直流の電力源であって、
前記MOSFETを、逆直列接続された二つのMOSFETで置き換えるとともに、
前記ゲート制御部への双方向の入力電圧を一方向の電圧に変換するダイオードブリッジをさらに備え、前記ダイオードブリッジの出力電圧によって前記フォトボル出力フォトカプラとフォトカプラを駆動することを特徴とする請求項1に記載の直流電流開閉装置。 - 前記フォトカプラを補助接点で置き換えるとともに、
前記補助接点は、前記金属接点が開極する時は、それに先立って閉極するように連動機構が設けられるとともに、
前記補助接点は、前記補助接点が閉極すると前記MOSFETがオフするように前記MOSFETのゲート-ソース間に設置され、
前記金属接点が開極される時に、それに先立って前記補助接点が閉極されることにより、前記MOSFETをオフ状態にすることを特徴とする請求項2に記載の直流電流開閉装置。 - 直流電源と負荷との間に挿入される直流電流開閉装置であって、前記直流電流開閉装置は、
金属接点と、
前記金属接点と直列に接続され、前記金属接点の電流を導通・遮断する半導体スイッチと、
前記半導体スイッチのオン/オフを制御するゲート制御部を備えるともに、
前記ゲート制御部が、前記金属接点の閉極後に前記半導体スイッチをオン状態にし、開極後に前記半導体スイッチをオフ状態にするものであり、さらに、
前記直流電源と前記金属接点の間、又は前記金属接点と前記半導体スイッチの間にヒューズを配設し、前記金属接点が閉極中に過電流等によって前記ヒューズが溶断した際に発生するアーク電圧によって前記半導体スイッチをオフ状態にすることを特徴とする直流電流開閉装置。
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WO2017199665A1 (ja) | 2016-05-19 | 2017-11-23 | ソニー株式会社 | スイッチング装置、移動体及び電力供給システム |
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