以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、各図において同一または対応する構成には同一の符号を付けて説明を適宜省略する。
図1は、本発明の一実施形態に係る軌道車両監視システム10の概略構成例を示す模式図である。図1に示す軌道車両監視システム10は、処理装置1と、複数の携帯端末2-1および2-2を備える。携帯端末2-1および2-2(以下、総称して携帯端末2ともいう)は、利用者100-1および100-2が携帯する情報処理端末であり、例えば、スマートフォン、携帯電話機、ウェアラブル端末、スマートウォッチ等のスマートデバイスである。図1に示す例では、A駅5-1からB駅5-2へ向かって軌道4上を走行中の列車30-1の車両3-1に利用者100-1が乗車し、列車30-1の車両3-2に利用者100-2が乗車している。なお、以下、列車30-1と他の列車を総称する場合に列車30という。また、以下、利用者100-1および100-2を総称して利用者100ともいう。
携帯端末2は、携帯端末の識別情報と時刻情報に対応づけて、位置情報、加速度情報、姿勢角情報等を、通信網6を介して処理装置1へ送信する。列車30-1は、車両3-1に速度センサ8を備え、車両の識別情報と時刻情報に対応づけて、速度センサ8が計測した車両3-1の走行速度を示す速度情報を通信網6を介して処理装置1へ送信する。なお、携帯端末2と列車30は、上記情報を直接、処理装置1へ送信してもよいし、例えば通信網6に接続されている記憶装置7を介して上記情報を処理装置1へ送信してもよい。通信網6は、移動体通信網、インターネット、構内通信網等を含んで構成され、処理装置1、記憶装置7、携帯端末2、列車30間で所定の情報を送受信する。
図2は、図1に示す携帯端末2の構成例を示すブロック図である。図2に示す構成例では、携帯端末2は、コンピュータとその周辺装置等から構成され、コンピュータおよびその周辺装置等のハードウェアと、コンピュータが実行するプログラム等のソフトウェアとの組み合わせで構成される機能的構成要素として、通信部21と、表示入力部22と、時刻取得部23と、位置情報取得部24と、加速度検知部25と、姿勢角検知部26と、点灯状態検知部27と、アプリ実行部28と、記憶部29を備える。
通信部21は、移動体通信網、無線LAN(構内通信網)、近距離通信等の1または複数種類の通信規格に対応する無線通信を行い、例えば処理装置1との間で所定の情報を送受信する。表示入力部22は、液晶表示パネルや有機エレクトロルミネッセンス表示パネルと、タッチセンサの組み合わせから構成され、画像を表示したり、入力操作を受け付けたりする。時刻取得部23は、例えば携帯端末2が有する時計回路から日時を示す情報(時刻情報)を取得する。位置情報取得部24は、衛星測位システム用の受信機等を有し、衛星測位システムを利用して携帯端末2の位置情報を取得する。あるいは、位置情報取得部24は、通信部21を用いて、移動体通信網の基地局から得られる情報や無線LANのアクセスポイントから得られる情報に基づいて携帯端末2の位置情報を取得する。加速度検知部25は、加速度センサを有し、携帯端末2の加速度の3軸成分(加速度情報)を検知する。姿勢角検知部26は、加速度検知部25や、携帯端末2が有するジャイロセンサ、地磁気センサ等を用いて、携帯端末2の姿勢角(本実施形態では鉛直方向からの傾斜角)(姿勢角情報)を検知する。点灯状態検知部27は、表示入力部22の表示が点灯状態なのか消灯状態なのか(画面点灯情報)を検知する。アプリ実行部28は、所定のOS(オペレーティングシステム)上で所定のアプリケーションプログラム等を実行する。記憶部29は、例えば、時刻情報に対応づけて位置情報、加速度情報、姿勢角情報、画面点灯情報等を記憶する。
本実施形態において携帯端末2は、例えば列車30の運行情報を取得するためのアプリケーションプログラムがアプリ実行部28によって実行されている場合に、所定の周期で、携帯端末識別情報と時刻情報に対応づけて、位置情報、加速度情報、姿勢角情報および画面点灯情報のうちの、一部または全部を、通信部21から通信網6を介して処理装置1へ送信する。その際、加速度情報は例えば、10ミリ秒毎に加速度検知部25によって検知されて記憶部29に記憶され、位置情報、姿勢角情報および画面点灯情報は10ミリ秒と異なる周期で、位置情報取得部24、姿勢角検知部26および点灯状態検知部27によって取得されて記憶部29に記憶される。
また、携帯端末2は、記憶部29に記憶した各情報を、例えば、A駅5-1からB駅5-2への移動中に所定の時間間隔で随時、通信部21から通信網6を介して処理装置1へ送信したり、あるいはA駅5-1からB駅5-2への移動中に取得した各情報をB駅5-2に到着した後に例えば一括して通信部21から通信網6を介して処理装置1へ送信したりする。なお、携帯端末識別情報は、例えば、加入者番号等の識別情報や、アプリケーションプログラムを用いて処理装置1等にユーザ登録等を行った場合のユーザ識別情報等とすることができる。
次に、図3を参照して、図1示す処理装置1の構成例について説明する。図3は、図1に示す処理装置1の構成例を示すブロック図である。処理装置1は、サーバ等のコンピュータとその周辺装置等から構成され、コンピュータおよびその周辺装置等のハードウェアと、コンピュータが実行するプログラム等のソフトウェアの組み合わせで構成される機能的構成要素として、処理部11と記憶部12と通信部14を備える。なお、処理装置1は、本発明の加速度推定装置の一構成例である。
記憶部12は、駅位置情報121、軌道情報122、時刻表情報123、運行情報124、車両-時刻-速度情報125、携帯端末-時刻-位置-加速度-姿勢角-画面点灯情報126、携帯端末-利用車両情報127、および算出結果情報128を記憶する。
駅位置情報121は、例えば図1に示すA駅5-1、B駅5-2等の駅の位置情報である。軌道情報122は、例えば図1に示すA駅5-1とB駅5-2間の軌道4等の軌道の位置情報、軌道の勾配の情報、軌道のカントの情報、軌道の曲率半径の情報等を含む情報である。時刻表情報123は、列車30-1等の各列車30のA駅5-1、B駅5-2等の各駅での発着予定時刻を示す情報、各列車30の座席に関する情報(指定席の座席の向きや定員数、自由席の座席の向きや定員数、全席指定であるか否か等を示す情報)を含む。運行情報124は、列車30-1等の各列車30のA駅5-1、B駅5-2等の各駅での実際の発着時刻を示す情報を含む。
車両-時刻-速度情報125は、列車30-1等の各列車30の実際の走行速度の時系列データを含む。携帯端末-時刻-位置-加速度-姿勢角-画面点灯情報126は、携帯端末2-1、2-2等の各携帯端末2で計測された時系列の位置情報、加速度情報、姿勢角情報、画面点灯情報等の各情報を、携帯端末識別情報と時刻情報に対応づけた情報を含む。携帯端末-利用車両情報127は、携帯端末2-1、2-2等の各携帯端末2(あるいは各携帯端末2を携帯する各利用者100)の列車30-1等の各列車30の利用履歴を表す情報を含む。そして、算出結果情報128は、処理部11が過去に算出した各種算出結果を表す情報を含む。
通信部14は、例えば処理装置1、記憶装置7、車両3等との間で通信網6を介して所定の情報を送受信する。
処理部11は、機能的構成要素として、データ蓄積部111、データ抽出部112、車両加速度算出部113、加速度成分演算部114、伝達特性算出部115、車両加速度推定部116、対象限定部117および異常検出部118を備える。
データ蓄積部111は、車両3から受信した速度情報を車両-時刻-速度情報125として記憶部12に記憶したり、携帯端末2から受信した各情報を携帯端末-時刻-位置-加速度-姿勢角-画面点灯情報126として記憶部12に記憶したりする。
データ抽出部112は、処理部11が、軌道4の特定の区間や特定の列車30、特定の車両3について加速推定や異常検出を行う場合に、処理の対象とする情報を記憶部12から抽出する。例えば、処理装置1が、ある日時にA駅5-1からB駅5-2へ運転された列車30-1について、各車両30-1および30-2の異常とA駅5-1からB駅5-2までの軌道4の異常を検出する場合、データ抽出部112は、次の情報を抽出(あるいは特定)する。すなわち、データ抽出部112は、当該列車30-1がA駅5-1からB駅5-2まで走行したときに速度センサ8で計測された時系列の速度情報を、車両-時刻-速度情報125から抽出する。また、データ抽出部112は、当該列車30-1のA駅5-1からB駅5-2までの走行位置と所定の誤差範囲内で位置情報が一致する各携帯端末2について、時系列の位置情報、加速度情報、姿勢角情報、画面点灯情報等の各情報を、携帯端末-時刻-位置-加速度-姿勢角-画面点灯情報126から抽出する。
車両加速度算出部113は、データ抽出部112が抽出した各情報に基づいて、車両3の速度を時間微分して車両3の前後方向の加速度を算出する。ここで、図7を参照して、本実施形態における車両3の前後、左右、および上下方向について説明する。図7は、図1に示す処理装置1の処理における車両3の前後、左右、および上下方向の定義を説明するための模式図である。図7(a)に示すように、車両3の床面を基準面3aとして、車両3の進行方向を車両3の前後方向(Xc軸方向)とし、車両3の前後方向に対して基準面3a上で垂直な方向を車両3の左右方向(Yc軸方向)とし、基準面3aに対して上下の方向を車両3の上下方向(Zc軸方向)とする。なお、図7(a)に示すように軌道4が水平である場合、車両3の上下方向(Zc軸方向)は鉛直方向(重力の方向)と一致するが、図7(b)に示すように軌道4が勾配を有する場合や、図7(c)に示すように軌道4がカント(片勾配)を有する場合、車両3の上下方向(Zc軸方向)は、鉛直方向(Zc1軸方向)と定義してもよいし、基準面3aに垂直な方向(Zc2軸方向)と定義してもよい。なお、鉛直方向(Zc1軸方向)の座標と基準面3aに垂直な方向(Zc2軸方向)との座標の対応関係は、軌道情報122が含む軌道の勾配の情報、軌道のカントの情報、軌道の曲率半径の情報と、車両3の速度情報等に基づいて求めることができる。
車両加速度算出部113は、例えば、図9(a)に示す車両3の速度(Vc-Xc(Xc軸方向の速度))を時間微分して、図9(b)に示す車両3の前後方向(Xc軸方向)の加速度(Ac-Xc)を算出する。なお、図9は、図1に示す処理装置1の動作例を説明するための模式図であり、図9(a)は、A駅5-1からB駅5-2までの区間の車両3の速度(Vc-Xc)の時間変化の例を示す模式図であり、図9(b)は図9(a)に示す速度を時間微分して算出した車両3の前後方向(Xc軸方向)の加速度(Ac-Xc)の時間変化の例を示す模式図である。
なお、車両加速度算出部113は、車速センサ8が計測した速度の時系列を時間微分して車両3の前後方向の加速度を算出してもよいし、携帯端末2の位置情報の時系列を微分して求めた車両3の速度の時系列をさらに時間微分して車両3の前後方向の加速度を算出してもよい。
図3に示す加速度成分演算部114は、車両3で移動中の携帯端末2で計測された加速度の3軸成分に基づき、携帯端末2の加速度の車両3の前後方向(Xc軸方向)の成分を求める。その際、加速度成分演算部114は、例えば、車両3で移動中の携帯端末2で計測された加速度の3軸成分に基づき、車両加速度算出部113が算出した車両3の前後方向の加速度との相関係数が比較的高い成分(あるいは相関係数が所定の閾値より高い成分)を、携帯端末2の加速度の車両3の前後方向の成分とすることができる。また、加速度成分演算部114は、例えば、車両3で移動中の携帯端末2で計測された加速度の3軸成分に基づき、携帯端末2の姿勢角情報に基づいて携帯端末2の加速度の車両3の上下方向の成分を求め、携帯端末2の加速度の車両3の上下方向の成分と垂直で、車両加速度算出部113が算出した車両3の前後方向の加速度との相関係数が比較的高い成分(あるいは相関係数が所定の閾値より高い成分)を、携帯端末2の加速度の車両3の前後方向の成分とする。
図8~図10を参照して、加速度成分演算部114の動作例について説明する。図8~図10は、図1に示す処理装置1の動作例を説明するための模式図である。図8(a)は、本実施形態において図2に示す加速度検知部25が検知する加速度の3軸方向の例を示す模式図である。図8(a)に示す例において、加速度検知部25が検知する加速度の3軸方向は、図2に示す表示入力部22の表示画面22aに垂直なzs軸方向と、表示画面22aの縦方向(長手方向)のxs軸方向と、表示画面22aの横方向のys軸方向である。この場合、図2に示す加速度検知部25は、例えば、図8(b)に示すように、携帯端末2の加速度Asを、xs軸方向の成分As-xsと、ys軸方向の成分As-ysと、zs軸方向の成分As-zsとで検知する。図8(a)は、利用者100がある姿勢角で携帯端末2を持っている状態を示す。
図8(c)に示すように、加速度成分演算部114は、携帯端末2が検知した加速度Asの3軸成分(As-xs、As-ysと、As-zs)から、携帯端末2の加速度Asの車両3の前後方向(Xc軸方向)の成分As-Xcを求めることを目的とする。図8(c)は、携帯端末2が検知した加速度Asを、車両3の前後方向(Xc軸方向)の成分As-Xcと、車両3の左右方向(Yc軸方向)の成分As-Ycと、車両3の上下方向(Zc軸方向)の成分As-Zcで表した例を示す。図8(b)に示す姿勢角が分かる場合、加速度成分演算部114は、加速度Asの3軸成分(As-xs、As-ysと、As-zs)から、図8(c)に示す車両3の上下方向(Zc軸方向)の成分As-Zcを一意に算出することができる。ただし、姿勢角が分かる場合でも、車両3の前後方向(Xc軸方向)の成分As-Xcと車両3の左右方向(Yc軸方向)の成分As-Ycは、上下方向(Zc軸方向)に垂直な平面に沿った方向の成分であって、互いに垂直な方向の成分であるということが分かるだけ、方向は一意に決まらない。
そこで、加速度成分演算部114は、例えば、携帯端末2の加速度Asの車両3の上下方向(Zc軸方向)の成分As-Zcと垂直で、車両加速度算出部113が算出した車両3の前後方向(Xc軸方向)の加速度Ac-Xcとの相関係数が比較的高い成分(あるいは相関係数が所定の閾値より高い成分)を、携帯端末2の加速度の車両3の前後方向(Xc軸方向)の成分As-Xcとする。例えば、加速度成分演算部114は、携帯端末2で計測された加速度の3軸成分に基づき、携帯端末2の姿勢角情報に基づいて携帯端末2の加速度の車両3の上下方向の成分As-Zcを求め、携帯端末2の加速度の車両3の上下方向の成分As-Zcと垂直で、車両加速度算出部113が算出した車両3の前後方向の加速度Ac-Xcとの相関係数が比較的高い成分(あるいは相関係数が所定の閾値より高い成分)を、携帯端末2の加速度の車両3の前後方向の成分As-Xcとする。
加速度成分演算部114は、例えば、図8(d)に示すように、車両3の上下方向(Zc軸方向)と垂直な平面Sxy上に仮のX軸Xc1とY軸Yc1を定義する。そして、加速度成分演算部114は、携帯端末2の加速度Asの車両3の上下方向(Zc軸方向)の成分As-Zcを基準として、加速度AsのXc1軸方向の成分As-Xc1と、加速度AsのYc1軸方向の成分As-Yc1を算出する。そして、加速度成分演算部114は、車両加速度算出部113が算出した車両3の前後方向の加速度Ac-Xcと携帯端末2の加速度AsのXc1軸方向の成分As-Xc1の相関係数を算出する。すなわち、加速度成分演算部114は、例えば、図10(a)に示すような車両3の前後方向の加速度Ac-Xcの時間変化と、図10(b)に示すような携帯端末2の加速度AsのXc1軸方向の成分As-Xc1の時間変化との時刻毎の図10(d)に示すような対応関係から、車両3の前後方向の加速度Ac-Xcと携帯端末2の加速度AsのXc1軸方向の成分As-Xc1の相関係数を算出する。相関係数は、例えば、二つの変量の共分散を各変量の各標準偏差の積で割った値で求められ、一般に1または-1に近ければ強い相関があり、0に近ければほとんど相関がないことを表す。
次に、加速度成分演算部114は、図8(d)に示すように、平面Sxy上でX軸Xc1とY軸Yc1を所定角度分回転させた新たな仮のX軸Xc2とY軸Yc2を定義し、携帯端末2の加速度Asの車両3の上下方向(Zc軸方向)の成分As-Zcを基準として、加速度AsのXc2軸方向の成分As-Xc2と、加速度AsのYc2軸方向の成分As-Yc2を算出する。そして、加速度成分演算部114は、例えば、図10(a)に示すような車両3の前後方向の加速度Ac-Xcの時間変化と、図10(c)に示すような携帯端末2の加速度AsのXc2軸方向の成分As-Xc2の時間変化との時刻毎の図10(e)に示すような対応関係から、車両3の前後方向の加速度Ac-Xcと携帯端末2の加速度AsのXc2軸方向の成分As-Xc2の相関係数を算出する。
そして、加速度成分演算部114は、例えば、仮のX軸とY軸を90度分所定角度毎に回転させて、車両3の前後方向の加速度Ac-Xcと複数の携帯端末2の加速度Asの仮のX軸方向の成分との相関係数を求めて互いに比較し、相関係数が比較的高い成分を、携帯端末2の加速度の車両3の前後方向の成分とする。あるいは、加速度成分演算部114は、例えば、仮のX軸とY軸を回転させながら、車両3の前後方向の加速度Ac-Xcと、携帯端末2の加速度Asの仮のX軸方向の成分との相関係数を求めて、所定の閾値と比較し、相関係数が所定の閾値より高い成分を、携帯端末2の加速度の車両3の前後方向の成分とする。例えば、図10に示す例で、加速度成分演算部114は、車両3の前後方向の加速度Ac-Xcと携帯端末2の加速度AsのXc1軸方向の成分As-Xc1との相関係数が、Xc2軸方向の成分As-Xc2等の他の成分との相関係数より高ければ(1または-1により近ければ)、成分As-Xc1を携帯端末2の加速度の車両3の前後方向(Xc軸方向)の成分As-Xcとする。あるいは、加速度成分演算部114は、車両3の前後方向の加速度Ac-Xcと携帯端末2の加速度AsのXc1軸方向の成分As-Xc1の相関係数の絶対値が所定の閾値より高ければ、成分As-Xc1を携帯端末2の加速度の車両3の前後方向(Xc軸方向)の成分As-Xcとする。なお、この場合、成分As-Yc1が、携帯端末2の加速度の車両3の左右方向(Yc軸方向)の成分As-Ycとなる。
なお、加速度成分演算部114による、車両3で移動中の携帯端末2で計測された加速度の3軸成分に基づく、携帯端末2の加速度の車両3の前後方向(Xc軸方向)の成分の求め方は、上記に限定されない。例えば、列車30が全席指定である場合、携帯端末2が使用されているとき、携帯端末2の向きは座席の向きに対応していると推定される。この場合、加速度成分演算部114は、例えば、画面点灯情報に基づき、画面が点灯している携帯端末2については、姿勢角情報に基づいて、図8(b)に示す携帯端末2の加速度Asのxs軸方向の成分As-xsとys軸方向の成分As-ysとzs軸方向の成分As-zsを、幾何学的に、図8(c)に示す携帯端末2の加速度の車両3の前後方向(Xc軸方向)の成分As-Xcと左右方向(Yc軸方向)の成分As-Ycと上下方向(Zc軸方向)の成分As-Zcに変換することができる。
すなわち、本実施形態では、携帯端末2から出力される3方向の加速度のうち、どの成分が車両3の前後方向加速度を示すかを判定する方法として、例えば、車両3の前後方向加速度との相関係数が高い(波形の形状が近い)成分を車両の前後方向加速度として選定してもよい。あるいは、例えば座席の状態や画面点灯情報等に基づく携帯端末2の使用状況によっては、相関係数によらず、幾何学的に携帯端末2の向きを推定してもよい。
また、図3に示す伝達特性算出部115は、加速度成分演算部114が求めた携帯端末2の加速度の車両3の前後方向(Xc軸方向)の成分As-Xcと車両加速度算出部113が算出した車両3の前後方向(Xc軸方向)の加速度Ac-Xcとの間の伝達特性を算出する。伝達特性算出部115は、算出した伝達特性を、例えば利用者100(携帯端末2)と列車30とに対応づけて、算出結果情報128として記憶部12に記憶する。伝達特性は、制御要素や制御系の入力信号と出力信号の関係を表わす特性であり、例えば、時間領域での伝達特性を表す伝達関数や、周波数領域での伝達特性を表す周波数伝達関数によって表わすことができる。なお、本実施形態において、携帯端末2は、利用者100に所持されている。そのため、車両3と携帯端末2間の加速度の伝達特性は、利用者100の体格、体力や姿勢(座位なのか立位なのか、手摺りやつり革につかまっているのかいないのか、進行方向に対してどちらの方向を向いているのか等)、携帯端末2の所持の状態(手で持っているのか、カバンや衣服のポケット等に入れているのか等)等によって変化する。そのため、伝達特性は、利用者100毎に異なる。また、伝達特性は、同一の利用者100であっても、状況によって異なる。ただし、伝達特性は、時間的に近接している場合には、一定であるとしてもよい場合がある。なお、以下では、この伝達関数を、車両~人~携帯端末の伝達関数ともいう。
伝達特性算出部115は、車両~人~携帯端末の伝達関数を次の式で算出する。
(車両~人~携帯端末の伝達関数)=(車両速度から算出した車両前後方向の加速度の周波数特性)/(携帯端末から出力された車両前後方向の加速度の周波数特性)
伝達特性算出部115は、例えば、図9(a)に示すA駅5-1からB駅5-2までの車両3の速度Vc-Xcから算出された車両3の前後方向(Xc軸方向)の加速度Ac-Xc(図9(b))の周波数特性(図9(d))と、A駅5-1からB駅5-2までの携帯端末2の車両3の前後方向(Xc軸方向)の加速度As-Xc(図9(c))の周波数特性(図9(e))とに基づいて、車両3の前後方向(Xc軸方向)の車両~人~携帯端末の伝達関数T-Xc(図9(f))を算出する。
なお、図9(c)は、図9(a)および(b)と共通の時間軸で、携帯端末2の加速度Asの車両3の前後方向(Xc軸方向)の加速度成分As-Xcの時間変化を模式的に示す。なお、図9(c)、(e)、(f)において、実線は図1に示す利用者100-1が所持する携帯端末2-1の加速度または伝達関数を示し、破線は図1に示す利用者100-2が所持する携帯端末2-2の加速度または伝達関数を示す。図9(d)は、横軸を周波数軸として、車両3の前後方向(Xc軸方向)の加速度Ac-Xcの周波数特性を模式的に示す。図9(e)は、横軸を周波数軸として、携帯端末2の車両3の前後方向(Xc軸方向)の加速度成分As-Xcの周波数特性を模式的に示す。また、図9(f)は、横軸を周波数軸として、車両3の前後方向(Xc軸方向)の車両~人~携帯端末の伝達関数T-Xc(図9(f))を模式的に示す。
なお、伝達特性算出部115は、例えば、始発駅から乗車した利用者(人)100の携帯端末2の群と、途中駅から乗車した利用者(人)100の携帯端末2の群とに分けて、群毎に伝達特性を統計的に算出してもよい。この場合、始発駅から乗車した利用者100は姿勢が座位である場合が多く、当該各利用者100間で各伝達関数が一定の相関関係を有していると考えられ、例えば座位の群の伝達関数を利用者100毎の各伝達関数の平均値から求めることができる。また、途中駅から乗車した利用者100は姿勢が立位である場合が多く、当該各利用者100間で各伝達関数が一定の相関関係を有していると考えられ、例えば立位の群の伝達関数を利用者100毎の各伝達関数の平均値から求めることができる。すなわち、1台の携帯端末2のみではなく、複数のデータを利用することによって例えば立位/座位で異なる車両~人~携帯端末の伝達関数を、乗客個人ではなく、始発から乗る人は座位、車両が混雑している状態で途中駅から乗る人は立位である可能性が高いとして、それぞれの伝達関数を算出することができる。また、それぞれをグループ化した伝達関数とすることができる。
また、伝達特性算出部115は、後述するように対象限定部117が限定した同一の携帯端末2(あるいは利用者100)で過去に算出された伝達特性の複数の値を用いて、伝達特性を統計的に算出してもよい。
また、図3に示す車両加速度推定部116は、伝達特性算出部115が算出した伝達特性(車両3の前後方向(Xc軸方向)の車両~人~携帯端末の伝達関数)を用いて、携帯端末2で計測された加速度Asの3軸成分に基づき、車両3の左右方向(Yc軸方向)の加速度Ac-Ycまたは車両3の上下方向(Zc軸方向)の加速度Ac-Zcの少なくとも一方を推定する。車両加速度推定部116は、次式によって、車両3の左右方向(Yc軸方向)の加速度Ac-Ycと上下方向(Zc軸方向)の加速度Ac-Zcを求めることができる。
車両3の左右方向(Yc軸方向)の加速度Ac-Yc=(車両~人~携帯端末の伝達関数)×(携帯端末2から出力された車両左右方向の加速度As-Yc)
車両3の上下方向(Zc軸方向)の加速度Ac-Zc=(車両~人~携帯端末の伝達関数)×(携帯端末2から出力された車両上下方向の加速度As-Zc)
なお、携帯端末2から出力された車両左右方向の加速度As-Ycと、携帯端末2から出力された車両上下方向の加速度As-Zcは、例えば、加速度成分演算部114によって、上述したようにして、携帯端末2の加速度の車両3の前後方向(Xc軸方向)の成分As-Xcを求める際に算出される。
車両加速度推定部116は、例えば、図11(a)に示す利用者100毎の車両3の左右方向の加速度As-Ycに対し、利用者100毎の伝達関数を乗じて、利用者100毎に車両3の左右方向の加速度Ac-Ycを推定し、例えば全利用者100で平均化して図11(c)に示す車両3の左右方向の加速度Ac-Ycを推定する。また、車両加速度推定部116は、例えば、図11(b)に示す利用者100毎の車両3の上下方向の加速度As-Zcに対し、利用者100毎の伝達関数を乗じて、利用者100毎に車両3の上下方向の加速度Ac-Zcを推定し、例えば全利用者100で平均化して図11(d)に示す車両3の上下方向の加速度Ac-Zcを推定する。
なお、図11(a)は、携帯端末2の加速度Asの車両3の左右方向(Yc軸方向)の加速度成分As-Ycの時間変化を模式的に示す。図11(b)は、携帯端末2の加速度Asの車両3の上下方向(Zc軸方向)の加速度成分As-Zcの時間変化を模式的に示す。図11(c)は、車両3の加速度Acの車両3の左右方向(Yc軸方向)の加速度Ac-Ycの時間変化を模式的に示す。図11(d)は、車両3の加速度Acの車両3の上下方向(Zc軸方向)の加速度Ac-Zcの時間変化を模式的に示す。なお、図9(a)および(b)において、実線は図1に示す利用者100-1が所持する携帯端末2-1の加速度を示し、破線は図1に示す利用者100-2が所持する携帯端末2-2の加速度を示す。
また、図3に示す対象限定部117は、加速度の3軸成分を計測した携帯端末2を、所定期間に所定回数以上、同一の列車30(あるいは同一の車両3)を利用した利用者100の携帯端末2に限定する。例えば、対象限定部117によって、週にある決められた閾値の回数以上、同じ路線の車両に乗車する乗客等、対象とする軌道系交通に乗る頻度が高い乗客に対象を限定し、伝達特性算出部115によって乗客毎に伝達特性を平均化する等、伝達特性を統計的に算出することで、伝達特性の算出精度を高めることができる。
また、図3に示す異常検出部118は、車両3の左右方向の加速度Ac-Ycまたは車両3の上下方向の加速度Ac-Zcの少なくとも一方に基づいて、車両3または車両3が走行する軌道4の異常を検出する。例えば、異常検出部118は、他の車両3または列車30と比較して、車両3の左右方向の加速度Ac-Ycまたは車両3の上下方向の加速度Ac-Zcに特異な加速度が発生した場合、当該車両3または当該列車30に異常(特異な現象)が発生していると判断し、判断した結果を出力(記録、表示、電子メール送信等)する。また、例えば、異常検出部118は、複数の車両3または列車30で、軌道4上の同一の位置で、他の位置と比較して、車両3の左右方向の加速度Ac-Ycまたは車両3の上下方向の加速度Ac-Zcに特異な加速度が発生した場合、軌道4の当該位置で異常(特異な現象)が発生していると判断し、判断した結果を出力(記録、表示、電子メール送信等)する。あるいは、異常検出部118は、例えば、推定した上下、左右方向の加速度データが所定の閾値を超えた場合に車両3や軌道4で異常が発生していると判別してもよい。本実施形態では、取得した伝達関数と、携帯端末2から得られた上下加速度、左右加速度のデータから、車両3に発生している上下加速度、左右加速度の推定を行うことができるので、車両毎に加速度センサを設置しなくても、推定された上下加速度もしくは左右加速度が例えばある閾値以上と推定された場合に、異常が発生したと判別することができる。
次に、図4を参照して、処理装置1の動作例の概要について説明する。図4は、図1に示す処理装置1において、ある列車30を対象として車両3または軌道4に異常が発生しているか否かを検出する際の処理の概要の例を示すフローチャートである。なお、記憶部12は、携帯端末2や列車30から受信した処理対象のデータをすでに記憶しているものとする。
図4に示す動作例では、処理装置1において、まず、データ抽出部112が、記憶部12が記憶している複数の携帯端末2から収集したデータから、時刻情報と携帯端末2の位置情報と対象車両3の運行情報に基づき、処理対象のデータを抽出する(ステップS101)。
次に、車両加速度算出部113が、対象車両3の速度を時間微分して車両3の前後方向の加速度を算出する(ステップS102)。
次に、加速度成分演算部114が、対象車両3で移動中に携帯端末2で計測された加速度の3軸成分に基づき、携帯端末2の加速度の車両の前後方向の成分を求める(ステップS103)。
次に、伝達特性算出部115が、携帯端末2の加速度の車両の前後方向の成分と、車両3の前後方向の加速度との間の伝達特性を算出する(ステップS104)。
次に、車両加速度推定部116が、車両3の前後方向の伝達特性を用いて、携帯端末2で計測された加速度の3軸成分に基づき、車両3の左右方向の加速度または車両3の上下方向の加速度の少なくとも一方を推定する(ステップS105)。
次に、異常検出部118が、車両3の左右方向の加速度または車両3の上下方向の加速度の少なくとも一方に基づいて、対象車両3または車両3が走行する軌道4の異常を検出する(ステップS106)。
以上のように、本実施形態によれば、携帯端末2で計測された加速度から車両の加速度を推定することができるのでで、車両毎に加速度センサを設置することを不要とすることができる。
次に、図5を参照して、処理装置1の他の動作例の概要について説明する。図5は、図1に示す処理装置1において、ある列車30を対象として車両3または軌道4に異常が発生しているか否かを検出する際の処理の概要の他の例を示すフローチャートである。なお、記憶部12は、携帯端末2や列車30から受信した処理対象のデータをすでに記憶しているものとする。
図5に示す動作例では、処理装置1において、まず、データ抽出部112が、記憶部12が記憶している複数の携帯端末2から収集したデータから、時刻情報と携帯端末2の位置情報と対象車両3の運行情報に基づき、処理対象のデータを抽出する(ステップS201)。
次に、対象限定部117が、加速度の3軸成分を計測した携帯端末2を、所定期間に所定回数以上、対象の車両3を利用した利用者の携帯端末2に限定する(ステップS202)。
次に、車両加速度算出部113が、対象車両3の速度を時間微分して車両3の前後方向の加速度を算出する(ステップS203)。
次に、加速度成分演算部114が、対象車両3で移動中に携帯端末2で計測された加速度の3軸成分に基づき、携帯端末2の加速度の車両の前後方向の成分を求める(ステップS204)。
次に、伝達特性算出部115が、限定された携帯端末2で計測された加速度の3軸成分に基づき、携帯端末2の加速度の車両3の前後方向の成分と、車両3の前後方向の加速度との間の伝達特性を、過去の伝達特性も用いて統計的に算出する(ステップS205)。
次に、車両加速度推定部116が、車両3の前後方向の伝達特性を用いて、携帯端末2で計測された加速度の3軸成分に基づき、車両3の左右方向の加速度または車両3の上下方向の加速度の少なくとも一方を推定する(ステップS206)。
次に、異常検出部118が、車両3の左右方向の加速度または車両3の上下方向の加速度の少なくとも一方に基づいて、対象車両3または車両3が走行する軌道4の異常を検出する(ステップS207)。
次に、図6を参照して、処理装置1の他の動作例の概要について説明する。図6は、図1に示す処理装置1において、ある列車30を対象としあて車両3または軌道4に異常が発生しているか否かを検出する際の処理の概要の他の例を示すフローチャートである。なお、記憶部12は、携帯端末2や列車30から受信した処理対象のデータをすでに記憶しているものとする。
図6に示す動作例では、処理装置1において、まず、データ抽出部112が、記憶部12が記憶している複数の携帯端末2から収集したデータから、時刻情報と携帯端末2の位置情報と対象車両3の運行情報に基づき、処理対象のデータを抽出する(ステップS301)。
次に、車両加速度算出部113が、対象車両3の速度を時間微分して車両3の前後方向の加速度を算出する(ステップS302)。
次に、加速度成分演算部114が、対象車両3で移動中に携帯端末2で計測された加速度の3軸成分に基づき、携帯端末2の加速度の車両の前後方向の成分を求める(ステップS303)。
次に、伝達特性算出部115が、始発駅から乗車した利用者(人)100の携帯端末2の群と、途中駅から乗車した利用者(人)100の携帯端末2の群に分けて、携帯端末2の加速度の車両3の前後方向の成分と、車両3の前後方向の加速度との間の群毎に伝達特性を統計的に算出する(ステップS304)。
次に、車両加速度推定部116が、群毎に、車両3の前後方向の伝達特性を用いて、携帯端末2で計測された加速度の3軸成分に基づき、車両3の左右方向の加速度または車両3の上下方向の加速度の少なくとも一方を推定する(ステップS305)。
次に、異常検出部118が、群毎に、車両3の左右方向の加速度または車両3の上下方向の加速度の少なくとも一方に基づいて、対象車両3または車両3が走行する軌道4の異常を検出する(ステップS306)。
以上のように本実施形態によれば、乗客が使用している携帯端末で取得したデータについて、車両~人~携帯端末の間の伝達関数を導入して、データを集約/分析し、車両や軌道の異常をモニタリング(検出)することができる。乗客が使用している携帯端末で取得したデータを集約/分析し、車両や軌道の異常をモニタリングする場合の携帯端末がどのような状態で保持されているか不明であるが、車両~人~携帯端末の間の伝達関数を導入することで、携帯端末がどのような状態で保持されているかに関わらず、加速度データの分析/評価が可能となる。
また、伝達関数は区間ごとや乗客が登場する度に算出して平均値を取るなどにより、精度を向上させていくことができる。また、伝達関数は、例えば駅と駅の間の区間で、1つの値を算出してもよいし、駅と駅の間の区間をさらに細分化した区間毎あるいは所定の時間毎に複数の伝達関数を算出してもよい。また、上記処理装置1の動作例では記憶部12に処理対象のデータが記憶された後にデータを処理することとしたが、例えば、所定量あるいは所定時間分のデータが収集される度に、収集されたデータに基づいて、加速度の推定、異常検出等の処理を随時行うようにしてもよい。この場合、おおむねリアルタイムで異常検出を行うことができる。
なお、上記実施形態では、位置情報を取得する際に、車内の無線LAN信号もしくは衛星測位信号を利用することで、どの車両に乗車しているかを特定してもよい。
以上のように本実施形態によれば、車両速度データのみから把握が可能な車両前後方向加速度データから車体~人~携帯端末間の伝達関数特性を推定し、その伝達関数特性を用いて簡易的に車体に発生している上下方向、左右方向の加速度を推定することができる。
なお、上記実施形態では、車両速度からの加速度算出時は、そのまま車両速度の時間変化を計算した場合、高周波数成分が残ることから、計算した結果に適切なローパスフィルタ処理を行い、高周波数成分をカットするようにしてもよい。
また、推定した上下、左右方向の加速度データが閾値を超えたということのみで異常と判別する場合、対象の乗客が大きく携帯端末を動かしたのみで異常と判別してしまい、正しくモニタリングができない可能性がある。また、前後加速度データのみから伝達関数を推定しているため、伝達関数の精度自体が低い可能性がある。このような課題を解決するため、上記実施形態では、分析対象とする携帯端末数を複数台とし、ある閾値以上の割合の携帯端末で異常な加速度が発生したと推定された場合のみ、車両もしくは軌道に異常が発生したと判別するようにしてもよい。
なお、上記実施形態において姿勢角情報を用いる各処理では、姿勢角情報に代えて、例えば画面点灯情報、アプリ等の使用状態や入出力操作の状態等に応じて、携帯端末2が使用状態であると推定される場合に、姿勢角を所定の固定値として、各処理を行うようにしてもよい。この場合、姿勢角情報の収集を省略することができる。
なお、携帯端末2の加速度と車両3の前後方向の加速度との比較の際、比較対象とするデータは、A駅5-1出発時の加速(力行)からB駅5-2停車時の減速(回生)までの一連の加速度データ全てを使うのが好ましい。これは、惰行運転中だけだと車両自体の加速度の変化が乏しく、相関性の評価の精度が悪くなることが想定されるためである。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して説明してきたが、具体的な構成は上記実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
〈コンピュータ構成〉
図12は、上記実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
コンピュータ90は、プロセッサ91、メインメモリ92、ストレージ93、インタフェース94を備える。
上述の処理装置1、携帯端末2、記憶装置7等は、コンピュータ90に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ93に記憶されている。プロセッサ91は、プログラムをストレージ93から読み出してメインメモリ92に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、プロセッサ91は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域をメインメモリ92に確保する。
プログラムは、コンピュータ90に発揮させる機能の一部を実現するためのものであってもよい。例えば、プログラムは、ストレージに既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせ、または他の装置に実装された他のプログラムとの組み合わせによって機能を発揮させるものであってもよい。なお、他の実施形態においては、コンピュータは、上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。この場合、プロセッサによって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてよい。
ストレージ93の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ93は、コンピュータ90のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース94または通信回線を介してコンピュータ90に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ90に配信される場合、配信を受けたコンピュータ90が当該プログラムをメインメモリ92に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、ストレージ93は、一時的でない有形の記憶媒体である。