JP7143036B2 - 追従走行制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、自車両を先行車両に追従して走行させる追従走行制御装置に関する。
最近の車両には、自車両を先行車両に追従して走行させる機能、いわゆるアダプティブクルーズコントロール(ACC:Adaptive Cruise Control)機能が搭載されてきている。
アダプティブクルーズコントロール機能による制御では、ユーザによって設定される設定車速を車速の上限として、自車両とその前方の先行車両との車間距離が目標車間距離に保持されるように自車両が加減速される。前方に先行車両が存在しない場合(先行車両がレーンチェンジなどで前方から消失した場合)、自車両が設定車速で定速走行するように、エンジンの出力が制御される。
特開2007-186097号公報
ところが、従来の制御では、先行車両の車速に対して設定車速が大きい場合、自車両が先行車両との車間距離を詰めるために加速するときに、自車両と先行車両との相対速度が大きくなりすぎて、ユーザ(自車両のドライバ)に不安感を与えてしまう。
本発明の目的は、自車両が先行車両に接近する際にユーザに不安感を与えることを抑制できる、追従走行制御装置を提供することである。
前記の目的を達成するため、本発明の一の局面に係る追従走行制御装置は、設定車速を自車両の上限車速として、前記自車両とその前方の先行車両との車間距離が目標車間距離に保持されるように、前記自車両を目標加速度で加減速させて、前記自車両を前記先行車両に追従して走行させる追従走行制御装置であって、前記設定車速を設定する設定手段と、前記設定手段により設定された前記設定車速が前記先行車両の車速を基準に当該車速よりも大きい値に設定される抑制車速を超えている場合に、前記上限車速を前記設定車速から前記抑制車速に変更する設定車速変更手段とを含む。
この構成によれば、自車両を先行車両に追従して走行させるため、自車両とその前方の先行車両との車間距離が目標車間距離に保持される。車間距離が目標車間距離よりも開いている場合、自車両が車間距離を詰めるために加速される。このとき、設定車速が先行車両の車速を基準に当該車速よりも大きい値に設定される抑制車速を超えている場合には、自車両の上限車速が設定車速から抑制車速に変更される。そのため、自車両は、設定車速まで加速されず、その車速が抑制車速以下で先行車両に接近する。その結果、自車両と先行車両との相対速度が小さい状態で車間距離を詰めることができ、自車両のドライバであるユーザに不安感を与えることを抑制できる。
本発明の他の局面に係る追従走行制御装置は、設定車速を自車両の上限車速として、前記自車両とその前方の先行車両との車間距離が目標車間距離に保持されるように、前記自車両を目標加速度で加減速させて、前記自車両を前記先行車両に追従して走行させる追従走行制御装置であって、前記設定車速を設定する設定手段と、前記設定手段により設定された前記設定車速が前記先行車両の車速を基準に当該車速よりも大きい値に設定される抑制車速を超えている場合に、前記目標加速度を一定以下に抑制する加速度抑制手段とを含む。
この構成によれば、自車両を先行車両に追従して走行させるため、自車両とその前方の先行車両との車間距離が目標車間距離に保持される。車間距離が目標車間距離よりも開いている場合、自車両が車間距離を詰めるために加速される。このとき、設定車速が先行車両の車速を基準に当該車速よりも大きい値に設定される抑制車速を超えている場合には、自車両の目標加速度が一定以下に抑制される。そのため、自車両は、一定以下の目標加速度で先行車両に接近する。その結果、自車両が先行車両に接近する際に、自車両のドライバであるユーザに不安感を与えることを抑制できる。
本発明によれば、追従走行制御により自車両が先行車両に接近する際にユーザに不安感を与えることを抑制できる。
本発明の一実施形態に係る追従走行制御装置が搭載された車両の要部の構成を示すブロック図である。 アダプティブクルーズコントロール機能に係る構成を示すブロック図である。 上限車速変更処理の流れを示すフローチャートである。 アダプティブクルーズコントロール機能(追従走行制御)に係る構成の他の形態を示すブロック図である。 上限車速変更処理の他の例を示すフローチャートである。
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
<車両の電気的構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る追従走行制御装置が搭載された車両1の要部の構成を示すブロック図である。
車両1は、エンジン2を駆動源とする自動車である。エンジン2の動力は、変速機を介して、左右の駆動輪に伝達される。変速機は、無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)であってもよいし、有段式の自動変速機(AT:Automatic Transmission)であってもよいし、手動変速機(MT:Manual Transmission)であってもよい。
エンジン2は、たとえば、ガソリンエンジンであり、エンジン2の燃焼室への吸入空気量を調整するための電子スロットルバルブ、燃料を吸入空気に噴射するインジェクタ(燃料噴射装置)および燃焼室内に電気放電を生じさせる点火プラグなどが設けられている。また、エンジン2には、その始動のためのスタータが付随して設けられている。
車両1の車室内には、ブレーキペダル(図示せず)が設けられている。ブレーキペダルが踏まれると、そのブレーキペダルに入力された踏力がブレーキブースタに伝達される。ブレーキブースタに伝達された踏力は、ブレーキブースタの負圧によって増幅(倍力)され、ブレーキブースタからマスタシリンダに入力される。マスタシリンダでは、ブレーキブースタから入力される力に応じた油圧が発生する。マスタシリンダの発生油圧は、ブレーキアクチュエータ3に伝達される。そして、ブレーキアクチュエータ3の機能により、各車輪に設けられたブレーキのホイールシリンダに油圧が分配され、その油圧により各ブレーキから駆動輪を含む車輪に制動力が付与される。
車両1には、マイコン(マイクロコントローラユニット)を含む構成のECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)4が備えられている。マイコンには、たとえば、CPU、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリおよびDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性メモリが内蔵されている。図1には、1つのECU4のみが示されているが、車両1には、各部を制御するため、ECU4と同様の構成を有する複数のECUが搭載されている。ECU4を含む複数のECUは、CAN(Controller Area Network)通信プロトコルによる双方向通信が可能に接続されている。
ECU4には、制御に必要な各種センサが接続されている。各種センサには、たとえば、車速センサ5および先行車両検出センサ6が含まれる。
車速センサ5は、たとえば、車両1の走行に伴って回転する磁性体からなるロータと、ロータと非接触に設けられた電磁ピックアップとを備え、ロータが一定角度回転する度に電磁ピックアップから出力されるパルス信号を出力する。このパルス信号の周波数は、車両1の実車速に対応している。ECU4では、車速センサ5から入力される信号の周波数が求められて、その周波数が車速に換算される。
先行車両検出センサ6は、車両1の前方の先行車両を検出するセンサであり、たとえば、レーダである。レーダは、車両1の前部に設置されており、車両1の前方の所定の探索範囲の状況を探知するためのセンサである。レーダは、探索範囲にレーダ波を照射し、探索範囲内に存在する物体からの反射波を受信して、その反射波に応じた検出信号を出力する。レーダは、ミリ波帯の電波をレーダ波に用いるミリ波レーダであってもよいし、レーザをレーダ波に用いるレーザレーダであってもよい。また、先行車両検出センサ6には、超音波センサまたはステレオカメラが採用されてもよい。
ECU4には、エンジン制御ロジックおよびブレーキ制御ロジックが組み込まれている。エンジン制御ロジックにより、各種センサから入力される検出信号や他のECUから入力される情報に基づいて、エンジン2の始動、停止および出力などを調整するため、電子スロットルバルブ、インジェクタおよび点火プラグなどが制御される。ブレーキ制御ロジックにより、各種センサから入力される検出信号や他のECUから入力される情報に基づいて、車両1の車速および姿勢などを調整するため、ブレーキアクチュエータ3などが制御される。
<追従走行制御装置>
図2は、アダプティブクルーズコントロール機能に係る構成を示すブロック図である。
車両1には、アダプティブクルーズコントロール(ACC:Adaptive Cruise Control)機能が搭載されている。アダプティブクルーズコントロール機能は、車両1をその前方の先行車両に追従して走行させる機能である。たとえば、ステアリングホイールには、アダプティブクルーズコントロール機能に関する操作スイッチが設けられている。操作スイッチには、アダプティブクルーズコントロール機能をオン/オフするACCメインスイッチ、現在の車両1の車速を設定車速としてセットするセットスイッチ、車両1と先行車両との車間距離の長短を切り替える設定車間切替スイッチ、アダプティブクルーズコントロール機能の作動を解除するキャンセルスイッチおよび前回の設定車速でアダプティブクルーズコントロール機能を再作動させるレジュームスイッチが含まれる。
アダプティブクルーズコントロール機能が使用される際には、ACCメインスイッチの押操作により、アダプティブクルーズコントロール機能がオンにされた後、セットスイッチが押操作されると、現在の車両1の車速(以下、「自車速」という。)が設定車速にセットされる。設定車速は、レジュームスイッチまたはセットスイッチの押操作により変更可能である。すなわち、レジュームスイッチの押操作により、設定車速を上げることができ、セットスイッチの押操作により、設定車速を下げることができる。また、設定車間切替スイッチの押操作により、たとえば、車間距離を長めにとるか、短めにとるか、または、その中間にするかを切り替えることができる。
設定車速がセットされると、ECU4により、車両1をその前方の先行車両に追従して走行させる追従走行制御が開始される。追従走行制御では、先行車両の有無に応じて、スイッチ操作により設定された設定車速を上限車速とする先行車両への追従走行と、その設定車速での定速走行とが自動的に切り替えられる。
ECU4は、追従走行制御のための機能処理部として、目標車間距離設定部11、車間距離偏差算出部12、補正値設定部13、ゲイン設定部14、車間距離補正部15および目標加速度設定部16を備えている。これらの機能処理部は、プログラム処理によってソフトウエア的に実現されるか、または、論理回路などのハードウェアにより実現される。
追従走行時には、車速センサ5の検出信号から車速が求められる。そして、目標車間距離設定部11では、車両1と先行車両との車間距離の目標である目標車間距離が自車速に応じて設定される。目標車間距離は、自車速が大きいほど大きい値に設定され、たとえば、自車速に所定の係数を乗じた値に設定されてもよいし、車両1の制動距離が自車速の2乗に比例することから、自車速の2乗値に所定の係数を乗じた値に設定されてもよい。その設定には、自車速と目標車間距離との関係を定めたマップが使用されてもよいし、自車速と目標車間距離との関係を表す演算式に従った演算が都度行われてもよい。
また、追従走行時には、先行車両検出センサ6の検出信号に基づいて、車両1と先行車両との車間距離の実値である実車間距離が求められる。また、その実車間距離の微分により車両1と先行車両との相対速度が求められる。さらに、自車速と相対速度との加算により先行車両の車速が求められ、その車速の微分により先行車両の加速度が求められる。
車間距離偏差算出部12では、実車間距離から目標車間距離が減算されることにより、目標車間距離と実車間距離との偏差が算出される。
補正値設定部13では、先行車両の加速度に所定のゲインKを乗算することにより補正値が設定される。
ゲイン設定部14では、自車速に応じたゲインKが設定される。具体的には、自車速が補正制限車速(たとえば、15km/h)を超える場合、ゲインKが所定値(たとえば、4)に設定される。自車速が補正禁止車速以上かつ補正制限車速以下の車速域(たとえば、10~15km/h)に含まれる値である場合、ゲインKが所定値から0までの範囲で自車速が低いほど小さい値に設定される。この場合、ゲインKは、自車速が低いほど段階的に小さくされてもよいし、自車速が低いほど連続的に小さくされてもよい。自車速が補正禁止車速(たとえば、10km/h)よりも低い場合、ゲインKが0に設定される。
車間距離補正部15では、目標車間距離と実車間距離との偏差に対して、補正値設定部13により設定された補正値が加算されることにより、目標車間距離と実車間距離との偏差が先行車両の加速度に応じて補正される。目標車間距離から補正値を減算した値と実車間距離との偏差は、目標車間距離と実車間距離との偏差に補正値を加算した値と同値になるので、車間距離補正部15での補正は、目標車間距離を先行車両の加速度に応じて補正したことと等価であるといえる。
目標加速度設定部16では、車間距離補正部15から出力される値、つまり目標車間距離と実車間距離との偏差に補正値を加算した値および車両1と先行車両との相対速度に応じた車両1の目標加速度が設定される。
そして、目標加速度設定部16によって設定された目標加速度で車両1が加減速するように、ECU4により、エンジン2の電子スロットルバルブが制御され、また、必要に応じてブレーキアクチュエータ3が制御される。
アダプティブクルーズコントロール機能による追従走行中に、たとえば、車両1と先行車両との実車間距離が目標車間距離とほぼ一致する状態から、先行車両が減速して、実車間距離が縮まると、自車速に応じた目標車間距離と実車間距離との偏差が負の方向に増大する。先行車両が減速しているので、先行車両の加速度は負の値となる。そのため、先行車両の加速度(減速度)に所定のゲインKを乗じて設定される補正値は、負の値となり、この負の補正値が負の偏差に加算されることにより、負の偏差が拡大する方向、つまり目標車間距離が長くなる方向に補正される。その結果、目標加速度が負の方向に大きく増加し、先行車両の減速に対して良好な応答性で車両1が減速する。
ところが、車両1が低車速域の車速で走行している場合、先行車両の減速に応じて目標加速度が負の方向に大きく増加すると、車速が0km/hまで減速し、車両1が先行車両から目標車間距離よりも大きい距離を空けた位置で停止してしまう。そのため、自車速が補正禁止車速よりも低い車速域に含まれる値である場合、ゲインKが0に設定される。また、自車速が補正禁止車速以上かつ補正制限車速以下の車速域に含まれる値である場合、ゲインKが所定値から0までの範囲で自車速が低いほど小さい値に設定される。これにより、車両1が先行車両から目標車間距離を空けた位置よりも手前の位置で停止することが抑制される。
なお、先行車両の停止に応じて車両1が停止した場合には、車両1をその前方の先行車両に追従して走行させる追従走行制御が中止されて、停止保持制御に移行する。停止保持制御では、ECU4により、ブレーキアクチュエータ3が制御されて、車両1の停止状態が保持される。その後は、レジュームスイッチが押操作されるか、アクセルペダルが踏まれると、ECU4により、停止保持制御が終了されて、追従走行制御が再開される。
一方、実車間距離が目標車間距離とほぼ一致する状態から、先行車両が加速して、実車間距離が開くと、自車速に応じた目標車間距離と実車間距離との偏差が正の方向に増大する。先行車両が加速しているので、先行車両の加速度は正の値となる。そのため、先行車両の加速度に所定のゲインKを乗じて設定される補正値は、正の値となり、この正の補正値が正の偏差に加算されることにより、正の偏差が拡大する方向、つまり目標車間距離が短くなる方向に補正される。その結果、目標加速度が正の方向に大きく増加し、先行車両の加速に対して良好な応答性で車両1が加速する。
ところが、先行車両の車速が設定車速よりも低く、それらの差が大きい場合、車両1が加速する際の先行車両との相対速度が大きくなりすぎて、ユーザ(車両1のドライバ)に不安感を与えてしまう。そのため、車両1が先行車両に接近するために加速する場合、ECU4により、次に述べる処理が実行される。
図3は、上限車速変更処理の流れを示すフローチャートである。
アダプティブクルーズコントロール機能による車両1の追従走行中に、目標加速度設定部16で正の目標加速度が設定されて、車両1が先行車両に接近すべく加速される際、ECU4により、先行車の車速に所定値αを加えた値を抑制車速として、設定車速がその抑制車速を超えているか否かが判断される(ステップS11)。
設定車速が抑制車速以下である場合(ステップS11のNO)、ECU4により、先行車両への追従走行時の上限車速が設定車速のまま維持される。
一方、設定車速が抑制車速を超えている場合(ステップS11のYES)、ECU4により、先行車両への追従走行時の上限車速が設定車速から抑制車速、つまり先行車の車速に所定値αを加えた値に変更される(ステップS12)。これにより、車両1と先行車両との相対速度が小さい状態で、車両1が先行車両に接近する。
車両1が先行車両への接近中に、自車速が上限車速まで上昇した場合、ECU4により、車両1が上限車速で定速走行するように、エンジン2の電子スロットルバルブが制御される。また、先行車両のレーンチェンジなどにより、車両1の前方の所定範囲内から先行車両が消失した場合、車両1が設定車速で定速走行するように、エンジン2の電子スロットルバルブが制御される。
車両1の定速走行中に、車両1と先行車両との実車間距離が目標車間距離以下に縮まるか、または、車両1から目標車間距離の範囲に別の先行車両が現れた場合、設定車速を上限車速とする車両1の先行車両への追従走行が再開される。
<作用効果>
以上のように、車両1を先行車両に追従して走行させるため、車両1とその前方の先行車両との実車間距離を目標車間距離に保持する制御が行われる。車両1と先行車両との実車間距離は、先行車両の加減速による車速の変化に対して遅れて変化するので、目標車間距離は、車両1の車速に応じて設定され、先行車両の加速度(減速度)に応じて補正される。これにより、先行車両に対する車両1の追従応答性の向上を図ることができる。
目標車間距離の補正は、先行車両の加速度に所定のゲインKを乗じた値を目標車間距離から減算することにより行われる。自車速が補正禁止車速以上かつ補正制限車速以下の車速域に含まれる場合、ゲインKが所定値から0までの範囲で自車速が低いほど小さい値に設定される。また、自車速が補正禁止車速よりも低い車速域に低下すると、ゲインKが0に設定される。これにより、先行車両が減速して停止する場合に、車両1が減速しすぎることを抑制でき、車両1が先行車両から目標車間距離を空けた位置よりも手前の位置で停止することを抑制できる。
また、車間距離が目標車間距離よりも開いている場合、車両1が車間距離を詰めるために加速される。このとき、設定車速が先行車両の車速に所定値αを加えて設定される抑制車速を超えている場合には、車両1の上限車速が設定車速から抑制車速に変更される。そのため、車両1は、設定車速まで加速されず、その車速が抑制車速以下で先行車両に接近する。その結果、車両1と先行車両との相対速度が小さい状態で車間距離を詰めることができ、車両1のドライバであるユーザに不安感を与えることを抑制できる。
<追従走行制御装置の他の構成>
図4は、アダプティブクルーズコントロール機能(追従走行制御)に係る構成の他の形態を示すブロック図である。
ECU4は、図2に示される構成に代えて、図4に示される構成を備えていてもよい。図4に示される構成では、ECU4は、追従走行制御のための機能処理部として、第1目標車間距離設定部21、第2目標車間距離設定部22、目標車間距離選択部23、車間距離偏差算出部24および目標加速度設定部25を備えている。これらの機能処理部は、プログラム処理によってソフトウエア的に実現されるか、または、論理回路などのハードウェアにより実現される。
第1目標車間距離設定部21は、図2に示される目標車間距離設定部11と同様の機能を有している。すなわち、第1目標車間距離設定部21では、車両1と先行車両との車間距離の目標である目標車間距離が自車速に応じて設定される。目標車間距離は、自車速が大きいほど大きい値に設定され、たとえば、自車速に所定の係数を乗じた値に設定されてもよいし、車両1の制動距離が自車速の2乗に比例することから、自車速の2乗値に所定の係数を乗じた値に設定されてもよい。その設定には、自車速と目標車間距離との関係を定めたマップが使用されてもよいし、自車速と目標車間距離との関係を表す演算式に従った演算が都度行われてもよい。
第2目標車間距離設定部22では、車両1と先行車両との目標車間距離が自車速および先行車両の加速度に応じて設定される。第2目標車間距離設定部22で設定される目標車間距離は、たとえば、第1目標車間距離設定部21で設定される目標車間距離から先行車両の加速度に所定のゲインKを乗じた値を減算して得られる値と同値となる。ゲインKは、自車速が補正制限車速を超える場合、所定値(たとえば、4)に設定される。自車速が補正禁止車速以上かつ補正制限車速以下の車速域に含まれる値である場合、ゲインKは、所定値から0までの範囲で自車速が低いほど小さい値に設定される。
目標車間距離選択部23では、自車速に基づいて、第1目標車間距離設定部21により設定される目標車間距離および第2目標車間距離設定部22により設定される目標車間距離の一方が選択される。具体的には、自車速が補正禁止車速以上である場合には、第2目標車間距離設定部22により設定される目標車間距離が選択され、自車速が補正禁止車速未満である場合には、第1目標車間距離設定部21により設定される目標車間距離が選択される。
車間距離偏差算出部24では、車両1と先行車両との実車間距離から目標車間距離選択部23で選択された目標車間距離が減算されることにより、目標車間距離と実車間距離との偏差が算出される。
目標加速度設定部25では、目標車間距離と実車間距離との偏差および車両1と先行車両との相対速度に応じた車両1の目標加速度が設定される。
そして、目標加速度設定部25によって設定された目標加速度で車両1が加減速するように、ECU4により、エンジン2の電子スロットルバルブが制御され、また、必要に応じてブレーキアクチュエータ3が制御される。
この図4に示される構成によっても、図2に示される構成と同様の作用効果を奏することができる。
<上限車速変更処理の他の例>
図5は、上限車速変更処理の他の例を示すフローチャートである。
アダプティブクルーズコントロール機能による車両1の追従走行中に、正の目標加速度が設定されて、車両1が先行車両に接近すべく加速される際、ECU4により、先行車の車速に所定値αを加えた値を抑制車速として、設定車速がその抑制車速を超えているか否かが判断される(ステップS21)。
設定車速が抑制車速以下である場合(ステップS21のNO)、ECU4により、目標加速度が変更されずにそのまま維持される。
一方、設定車速が抑制車速を超えている場合(ステップS21のYES)、ECU4により、目標加速度が一定以下に抑制される(ステップS22)。これにより、車両1は、一定以下の目標加速度で先行車両に接近する。その結果、車両1が先行車両に接近する際に、車両1ドライバであるユーザに不安感を与えることを抑制できる。
<変形例>
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、本発明は、さらに他の形態で実施することもできる。
たとえば、前述の実施形態では、補正制限車速の一例が15km/hであり、補正禁止車速の一例が10km/hであるとしたが、その具体的な数値には限定されず、補正制限車速が20km/hであり、補正禁止車速が15km/hであってもよい。すなわち、ゲインKが第1値に設定される車速域、ゲインKが第1値と第2値との間の値に設定される車速域およびゲインKが第2値に設定される車速域は、車種に応じて適宜変更されるとよい。
抑制車速は、設定車速に所定値αを加算した値に設定されるとしたが、これに限らず、たとえば、設定車速に所定値βを乗じた値に設定されてもよい。
設定車速は、セットスイッチおよびレジュームスイッチの押操作により設定されるとしたが、たとえば、車両1に前方を撮影するカメラが搭載されて、公知のテンプレートマッチングの手法により、カメラが撮影する画像から速度制限標識(最高速度標識)が認識されて、その速度制限標識に表示されている速度が設定速度に設定されてもよい。
また、前述の実施形態では、ECU4にエンジン制御ロジックおよびブレーキ制御ロジックが組み込まれているとしたが、エンジン2を制御するエンジンECUと、ブレーキアクチュエータ3を制御するブレーキECUとが別々に設けられて、エンジンECUおよびブレーキECUの協働により、ECU4の機能が実現されてもよい。
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
1:車両(自車両)
4:ECU(追従走行制御装置、設定手段、設定車速変更手段、加速度抑制手

Claims (2)

  1. 設定車速を自車両の上限車速として、前記自車両とその前方の先行車両との車間距離が目標車間距離に保持されるように、前記自車両を目標加速度で加減速させて、前記自車両を前記先行車両に追従して走行させる追従走行制御装置であって、
    前記設定車速を設定
    前記自車両が前記先行車両に追従して走行する追従走行中に、前記先行車両の車速に所定値を加えた値を抑制車速として、前記設定車速が前記抑制車速を超えているか否かを判断し、
    前記設定車速が前記抑制車速以下であると判断した場合、前記上限車速を前記設定車速のまま維持し、
    前記設定車速が前記抑制車速を超えていると判断した場合、前記上限車速を前記設定車速から前記抑制車速に変更し、
    前記自車両が前記先行車両への接近中に、前記自車両の車速が前記上限車速まで上昇した場合、前記自車両を前記上限車速で定速走行させる、追従走行制御装置。
  2. 前記自車両の定速走行中に、前記自車両と前記先行車両との車間距離が前記目標車間距離以下に縮まるか、または、前記自車両から前方の前記目標車間距離の範囲に前記先行車両とは別の先行車両が現れた場合、前記設定車速を前記上限車速とする前記自車両の追従走行を再開させる請求項1に記載の追従走行制御装置。
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