JP7137887B1 - 建物内部への水の浸入箇所の特定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡易な道具で、短時間で精度よく建物内部への水の浸入箇所を特定する。【解決手段】漏水被害状況に基づいて建物内部への水の浸入経路を推定した後、水分計を用いて、前記水の浸入経路を含む第1のエリアを測定する第1の測定を実施する。前記第1の測定の結果に基づいて、前記水の被疑浸入箇所を絞り込み、前記水の被疑浸入箇所に、検出用の水を注入する。所定時間経過後に、前記水分計を用いて、前記建物内部の水の滲出箇所を含む第2のエリアを測定する第2の測定を実施し、前記第2の測定の結果に基づいて、前記水の浸入箇所を特定する。【選択図】図3

Description

本発明は、建物内部への水の浸入箇所の特定方法に関する。
雨漏りや老朽配管の劣化等により、建物内部への水の浸入が発生することがある(以下、雨漏りや配管等からの建物内部への水の浸入を特に区別しない場合、これらを総称して「漏水」とも言う。)。これらの漏水が発生し、又は、その発生が疑われる場合、目視調査、散水調査、ガス注入調査、赤外線サーモグラフィ調査、電気を使った調査等が行われている。なお、水の浸入について、水が滲み入るような形態を特に「滲入」と記載することもあるが、本明細書では、「水の滲入」を含む、水が建物内部に入り込む状態全般を指す語として、「水の浸入」の語を用いるものとする。
特許文献1には、上記目視調査、散水調査や赤外線サーモグラフィ調査に代わる方法として、冷風発生器からの高圧の冷却風を、ビル屋内側のクラックに注入するとともに、赤外線サーモグラフィを用いて屋外(屋上面)の温度分布を調査することにより、雨漏り浸入箇所を特定できるという方法が開示されている。
特許文献2には、家屋の外壁におけるひび割れを目視にて確認した後、ひび割れに注入器をあてて一定量の水を注入することで、雨漏りの原因となる箇所を特定する方法が開示されている。
特許文献3には、上記ガス注入調査等に代わる方法として、1又は複数個所に、着色調査液を注入し、着色調査液を、漏水個所において、着色された結晶体として析出させるようにした雨水の浸入経路特定方法が開示されている。
特開2006-30101号公報 特開2016-217774号公報 特開2002-277343号公報
上記した特許文献1~3の方法では、事前に目視調査などにて、クラックやひび割れの位置を特定する必要がある。しかしながら、コンクリート構造物の漏水は、表面に表れたクラックやひび割れの箇所から発生するとは限らないという問題点がある。加えて、特許文献1の方法では、高圧の冷却風を送出可能な冷風発生器やその駆動電源が必要となるという問題点がある。
また、特許文献3の方法は、耐水管を設置し、調査液を一定量貯留させた後、その減少量を測定し、又は、結晶体の析出を待つ方法を採っているため、浸入経路の特定に時間がかかってしまうという問題点がある。当然ながら、その間、降雨等が起きると調査は中止となってしまう。
本発明は、簡易な道具で、短時間で精度よく建物内部への水の浸入箇所を特定できる方法を提供することを目的とする。
第1の視点によれば、漏水被害状況に基づいて建物内部への水の浸入経路を推定し、水分計を用いて、前記水の浸入経路を含む第1のエリアを測定する第1の測定を実施し、前記第1の測定の結果に基づいて、前記水の被疑浸入箇所を絞り込み、前記水の被疑浸入箇所に、検出用の水を注入し、所定時間経過後に、前記水分計を用いて、前記建物内部の水の滲出箇所を含む第2のエリアを測定する第2の測定を実施し、前記第2の測定の結果に基づいて、前記水の浸入箇所を特定する、水の浸入箇所の特定方法が提供される。
本発明によれば、簡易な道具で、短時間で精度よく建物内部への水の浸入箇所を特定することができる。
本発明の第1の実施形態の建物内部への水の浸入箇所の特定方法を説明するための図である。 雨漏りの被害状況に基づいて推定した建物内部への水の浸入経路の例を説明するための図である。 建物内部への水の浸入経路に沿って水分計による第1の測定を行う工程を説明するための図である。 水分計による第1の測定に基づいて選定した箇所への注水工程を説明するための図である。 注水後の水分計による第2の測定を行う工程を説明するための図である。 本発明の第2の実施形態の建物内部への水の浸入箇所の特定方法を説明するための図である。 本発明を用いて配管系の漏水箇所を特定した手順を説明するための図である。 漏水の浸入経路に沿って水分計による第1の測定を行う工程を説明するための図である。 水分計による第1の測定に基づいて選定した箇所への注水工程を説明するための図である。 本発明を用いて雨漏りと配管系の漏水との双方の漏水箇所を特定した手順を説明するための図である。 漏水の浸入経路に沿って水分計による第1の測定を行う工程を説明するための図である。
[第1の実施形態]
続いて、RC(Reinforced Concrete)造やSRC(Steel Reinforced Concrete)造と呼ばれるコンクリート造の建物の雨漏りの調査を行う本発明の第1の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態の建物内部への水の浸入箇所の特定方法を説明するための図である。図1を参照すると、コンクリート造の躯体11を有る建物10が示されている。この建物10の屋上には防水層21が形成されている。また、室内の天井側には、躯体11から天井ボード12が吊られ、足下側の躯体11の上には、床13が張られている。
このようなコンクリート造の建物10においても、防水層21や目地の劣化、サッシ部14の傷みのほか、これらと特定方向からの風雨等の条件が重なること等により、ごく稀に雨漏りLが生ずることがある。
本発明の建物内部への水の浸入箇所の特定方法は、以下の工程によって構成される。
(1)建物内部への水の浸入経路の推定
(2)水分計による第1の測定
(3)水の被疑浸入箇所の絞り込み
(4)注水
(5)水分計による第2の測定
(6)水の浸入箇所の特定
以下、上記工程について順番に説明する。
(1)建物内部への水の浸入経路の推定
まず現地調査や住人への聞き取りを行い、漏水被害状況に基づいて建物内部への水の浸入経路を推定する。図2の符号R1~R4は、建物10の断面方向からみた雨水の浸入経路として推定された経路を示す。実際の雨漏り調査や漏水調査では、図の奥行方向も加わるため、水の浸入経路として推定された経路は、これよりも多く存在しうるが、以下、説明を簡単にするため、図2の経路R1~R4の4つの浸入経路を推定したものとして説明する。なお、漏水被害状況に加えて、目視調査の結果や赤外線サーモグラフィの画像等を用いて、経路R1~R4をより少数に絞り込むこともできる。
(2)水分計による第1の測定
次に、水分計(「含水率計」とも言う。)による第1の測定を実施する。この第1の測定は、水分計30を用いて、(1)の工程で推定した水の浸入経路を含む第1のエリアの測定を行うことで実施される。この第1のエリアには、(1)の工程で推定した水の浸入経路のほか、その周囲を含めても良い。また、この第1のエリアは、図3に示したように、屋上と室内というように複数の箇所に跨がる場合がある。また、この第1の測定に用いる水分計としては、例えば、プローブ針を持たず測定対象に接触又は近づけた状態で、測定対象の深部の水分率(含水率)を測定できる高周波水分計(「電気容量式水分計」とも言う)を用いることができる。また、水分計には、測定対象の素材を選択できるものがある。この場合、適切な素材(コンクリート、モルタル等)を選択して測定を行うことで、より精度を高めることができる。
(3)水の被疑浸入箇所の絞り込み
図3は、第1の測定における水分計30による測定箇所の例と、その結果を示した図である。図3において、「X」印が付されている箇所は、水分計30による測定の結果、水分率が所定値(判定しきい値)より低かった箇所を示す。一方、「!」印が付されている箇所は、水分計30による測定の結果、水分率が所定値以上であった箇所を示す。例えば、経路R1、R4は、全域に亘って水分率が所定値より低かったため、水の浸入経路から除外される。一方、経路R2、R3は、少なくともその一部において水分率が所定値以上であったため、雨漏りLを引き起こした水の浸入経路の候補として選択される。この浸入経路の起点が、雨漏りLによる水の被疑浸入箇所の候補となる。なお、水分計による判定を行うための所定値は、建物10の躯体11や防水層21の材質や築年数によって変動するが、典型的なコンクリート造の建物で通常雨にかからない場所の場合、前記所定値を「3%」を目安に設定することができる。もちろん、屋内と屋外で前記所定値を変えてもよい(例えば、屋内の所定値(判定しきい値)を3%とし、屋外の所定値(判定しきい値)を5%とする。)。
(4)注水
次に、第1の測定で絞り込んだ水の被疑浸入箇所に対して、1か所ずつ注水を行う。例えば、水の浸入経路R2、R3が選択された場合、図4に示すように、被疑浸入箇所P2、P3のいずれか1つを選択して、注水用容器40を用いて、検出用の水を用いた注水を行う。注水用容器40としては、図示したような丸形洗浄瓶と呼ばれる容器や、ノズルを取り付けたPETボトルなどを好適に用いることができる。また、その際の注水量は、水分計30の測定結果に反応が表れる程度の少量に抑えることができる。典型的な雨漏り箇所の特定の場合、1か所/1回あたり、500ml以下の所定量で十分な結果が得られる。また、より注水量を減らしたい場合、1か所/1回あたりの注水量を、250ml以下に抑え、十分に時間を置いてから第2の測定を行うようにしてもよい。
なお、この検出用の水としては、通常の水道水を用いてもよいが、目視での判断をより容易にする観点で、絵の具や顔料などで注水箇所毎に異なる色を付けた水を用いてもよい。
(5)水分計による第2の測定
前記工程(4)の注水から所定時間経過後、水分計30による第2の測定を実施する。この第2の測定は、水分計30を用いて、前記建物10内部の水の滲出箇所を含む第2のエリアの測定を行うことで実施される。この第2のエリアには、建物10内部の水の滲出箇所(図5の楕円のハッチング領域)、滲出箇所と注水箇所との中間経路のほか、その周囲を含めても良い。また、この第2のエリアは、図5に示したように、屋上と室内というように複数の箇所に跨がる場合がある。また、前記所定時間は、浸水箇所の状況や建物10の躯体11の材質や築年数等によって決定される。典型的な雨漏り調査では、例えば、注水から30分程度で十分に第2の測定を実施することができる。前述のとおり、注水用容器40による注水量が少量であっても、被疑浸入箇所が正しければ、水分計30は躯体11内部の水分量を測定するため、確実に反応する。
(6)水の浸入箇所の特定
図5は、第2の測定における水分計30による測定箇所と、その結果を示した図である。図5の例では、最初に被疑浸入箇所P2に注水して第2の測定を行ったが、水分率の上昇は観測されなかった。その後、被疑浸入箇所P3に注水して第2の測定を行ったところ、水分率の上昇が観測された。この場合、被疑浸入箇所P3が、雨漏りLの原因箇所として特定される。なお、図5に示したように、第2の測定時に、前記建物10内部の水の滲出箇所のほか、その上流に位置する水の浸入経路上の位置も第2の測定の対象とすることが望ましい。このようにすることで、追加の注水や時間経過を待つか否かをより的確に判断することが可能になる。
なお、推定した水の浸入経路が正しかった場合、一般的には、水の浸入経路の全域に亘って、第2の測定における水分率が、第1の測定時における水分率より高くなる。しかしながら、被疑浸入箇所P3の注水後の水分率の上昇が一様ではない場合もある。この場合、水の浸入箇所が複数存在する可能性がある。その場合、被疑浸入箇所を追加で探し出し、追加の注水と第2の測定を行って、水の浸入箇所をより詳細に特定してもよい。
また、躯体11のクラックやひび割れが小さい場合や、注水用容器40による注水では、雨漏り発生時の風雨の状況を再現できていない場合、1回目の第2の測定では水分率が有意に上がらない場合もある。必要に応じて、さらに所定時間経過後に、必要回数の第2の測定を実施しても良い。もちろん水分計30による測定結果に加えて、赤外線サーモグラフィによる測定結果や、エフロレッセンス現象を利用した電気を用いた検査結果を用いて総合的な判断を行ってもよい。
図5の例では、被疑浸入箇所P3が雨漏りの原因箇所として特定される。これにより応急措置としてブルーシートの設置や恒久措置として、防水層21の補修や再施工等が行われることになる。
以上、説明したとおり、本実施形態によれば、目に見えるクラックやひび割れに頼らずに、水分計30という携行が容易な機器を用いて、比較的短時間で、雨漏りの原因箇所を特定することが可能となる。その理由は、水の被疑浸入箇所の絞り込みを行うための第1の測定と、水の浸入経路の特定、検証を行うための第2の測定とを段階的に行う構成を採用したことにある。
また、工程(4)で説明したとおり、本発明における注水用容器40による注水量は、水分計30の測定結果に反応が表れる程度で足り、雨漏りの原因箇所を特定できれば、以降の注水を中止することもできる。このため、大量の水を持ち込み散水し、また、その排水の処理をする必要もない。したがって、本発明にかかる方法は、浸水被害のさらなる悪化を惹起すること等がないという利点もある。
[第2の実施形態]
続いて、上記した第1の実施形態との比較において調査時間をより短縮することができるように変更した第2の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図6は、本発明の第2の実施形態の建物内部への水の浸入箇所の特定方法を説明するための図である。
第1の実施形態の調査対象となる建物10との相違点は、建物10の雨漏り被害箇所の部屋がサッシ部14や壁によって仕切られている点と、その部屋内に換気扇50が設置されている点である。なお、換気扇50は、厨房等に設置されている換気扇でもよいが、各部屋に設置されている24時間換気システムの換気扇でもよい。また、部屋内にこれらの換気扇等がない場合、後付けの送風装置やサーキュレーター等を用いて、部屋内の空気を排出するようにしてもよい。
第1の実施形態の水の浸入箇所の特定方法との相違点は、工程(4)の注水後、換気扇50を作動させ、部屋内の気圧を下げ、所定期間、負圧を維持する点である。なお、部屋内の気圧は、市販の気圧計等により測定することができる。
前記部屋内の気圧を下げ、負圧を維持することで、注水した水の浸透が促進される。換言すると、水の被疑浸入箇所の下流側となる区画から強制的に排気を行うことで、前記検出用の水の浸入を促すことができる。また、これにより、注水後の待機時間をより短縮することができる。なお、前記部屋内の気圧をより効率よく下げるため、部屋内に、給気扇、空気調和装置や通風孔等がある場合、これらを目張り(閉塞)することも望ましい。
[第3の実施形態]
上記した第1、第2の実施形態では、雨漏りの原因箇所を特定するために、本発明を用いた例を挙げて説明したが、本発明によれば、リフォーム後の配管トラブル等による漏水や経年劣化による漏水の原因箇所も精度よく特定することができる。
図7は、本発明を用いて配管系の漏水箇所を特定した手順を説明するための図である。図7の例では、マンション等の建物10aの下階の部屋の洗面台60付近の壁に、雨漏り状の漏水が発生している(楕円のハッチング領域)。また、図7の例では、上階の部屋は、床の上張り工事により、新築時の床16-1の上に、改修時の床16-2が張られている。このような状況では、サッシ部14を介して雨水が部屋内に浸入し、改修前の床16-1を伝って、下階に流れている経路R11と、洗面台60の内部の配管61の異常により排水が下階に落ちている経路R12との2つの経路が考えられる。
この場合も上記工程(2)~工程(5)を実施することで、漏水の原因箇所を特定することが可能となる。例えば、図8に示すように、(2)第1の測定を実施することで、経路R11と経路R12のいずれが下階の漏水をもたらしているかを簡易的に判定することができる。
さらに、経路R11~R12のいずれが下階の漏水をもたらしているかを検証するための注水と、第2の測定を実施する。具体的には、図9に示すように、前記(4)の注水を行った後、前記(5)の第2の測定を行うことで、漏水箇所を正確に特定することが可能となる。例えば、前記第2の測定で、サッシ部14を起点とする経路R11への注水後に水分率の上昇が観測された場合、サッシ部14を介して雨水が入り込み、床16-1、16-2を伝った水が、躯体11のクラックを介して、下階の漏水をもたらしていると判定することができる。同様に、洗面台60内部の配管61を起点とする経路R12への注水後に、水分率の上昇が観測された場合、洗面台60内部の配管61を介して、排水が床16-1、16-2を伝った水に落ち、躯体11のクラックを介して、下階の漏水をもたらしていると判定することができる。
以上、説明したとおり、本発明によれば、リフォーム後の配管トラブル等による漏水や経年劣化による漏水の原因箇所も精度よく特定することができる。また、図7~図9に示した第3の実施形態においても、第2の実施形態と同様に、下階の部屋に換気扇等を利用した調査をすることもできる。具体的には、注水後、下階の部屋内の気圧を下げ、負圧を維持することで、注水した水の浸透を促進させ、調査時間をより短縮することができる。
[第4の実施形態]
続いて、漏水被害箇所から雨漏りが疑われたが、本発明を用いた調査の結果、雨漏りと配管系の漏水との双方が原因であることを特定できた第4の実施形態について説明する。
図10は、本発明を用いて雨漏りと配管系の漏水との漏水箇所を特定した手順を説明するための図である。図10の例では、マンション等の建物10bのルーフバルコニーの下階の部屋の天井ボード15に、雨漏り状の漏水が発生している(楕円のハッチング領域)。また、図10の建物10bのルーフバルコニーには臭気筒70が設置され、その配管が躯体11を貫通した後、下階の部屋の天井ボード15の裏側の配管に接続されている。このような状況では、ルーフバルコニーの防水層21、躯体11のクラック・ひび割れ、臭気筒70とルーフバルコニーとの接合部等を介した複数の経路R21~R24が考えられる。
この場合も上記工程(2)~工程(5)を実施することで、漏水の原因箇所を特定することが可能となる。例えば、図11に示すように、(2)第1の測定を実施することで、経路R21~R24のいずれが下階の漏水をもたらしているかを簡易的に判定することができる。
さらに、経路R21~R24のいずれが下階の漏水をもたらしているかを検証するための注水と、第2の測定を実施する。具体的には、第3の実施形態と同様に(4)注水を行った後、(5)第2の測定を行うことで、漏水箇所を正確に特定することが可能となる。例えば、ルーフバルコニーの防水層21の部屋側端部や手すり側端部への注水後、経路R21、R24の水分率の上昇が観測された場合、防水層21と躯体11の継ぎ目の目地の劣化箇所から雨水が入り込み、躯体11のクラックを介して、下階の漏水をもたらしていると判定することができる。同様に、ルーフバルコニーの防水層21の中央部への注水後、経路R22の水分率の上昇が観測された場合、防水層21の中央の劣化箇所から雨水が入り込み、躯体11のクラックを介して、下階の漏水をもたらしていると判定することができる。同様に、ルーフバルコニーの臭気筒70と防水層との接続部の注水後に、経路R23の水分率の上昇が観測された場合、防水層21と臭気筒70の接続箇所から配管内に雨水が入り、配管内に水が貯留し、配管の接続箇所を介して、下階の漏水をもたらしていると判定することができる。
以上、説明したとおり、本発明によれば、雨漏りと配管系の漏水との双方が原因であるケースにおいてもその原因箇所を精度よく特定することができる。また、図10~図11の例においても、第2の実施形態と同様に、下階の部屋に換気扇等を利用した調査をすることもできる。具体的には、注水後、下階の部屋内の気圧を下げ、負圧を維持することで、注水した水の浸透を促進させ、調査時間をより短縮することができる。
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明は、上記した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の基本的技術的思想を逸脱しない範囲で、更なる変形・置換・調整を加えることができる。例えば、上記した各実施形態では、主として水分計の測定値を用いて、水の被疑浸入箇所を絞り込み、又は、水の浸入箇所を特定するものとして説明したが、赤外線サーモグラフィ調査、電気を用いる調査その他を併用してもよい。
また上記した各実施形態では、コンクリート造の躯体11を持つ建物10、10a、10bの漏水箇所の調査を行う例を挙げて説明したが、本発明は、コンクリート造の躯体11を持つ建物以外の建物や構造物にも適用することができる。
また、本発明の工程中の(1)建物内部への水の浸入経路の推定、(3)水の被疑浸入箇所の絞り込み、(6)水の浸入箇所の特定に当たり、以下の道具を用いることもできる。
・水準器/水平器・・・水の浸入箇所や建物内部で水の流れる方向の確認に用いる。
・温度計・・・注水前後の建物表面の温度の変化により漏水箇所の絞り込みを行う。赤外線などを用いた非接触式の温度計のほか、スティックタイプのプローブが付いた接触式の温度計を場所により使い分ける。
・方位磁石、気象データ・・・特定の風向や気象条件下でのみ発生する雨漏り等の浸入経路の割り出しに用いる。
・超音波測定器・・・コンクリート表面に現れたクラックやひび割れの深さを推定するために用いる。
・聴診器・・・調査対象のコンクリート面に聴診器を当てて、反響音に基づいて、クラックやひび割れの有無や程度を確かめる。
また、本発明を適用して漏水箇所を特定した事例を収集し、データとして利活用してもよい。例えば、建物の高さや形態や類似する建物をグループ化し、漏水が発生しやすい箇所や、水の浸入経路を記録することで、建物の形態別の漏水発生箇所や浸水経路を示したヒートマップや散布図を作成することができる。これらのヒートマップや散布図を用いて、調査経験の少ない調査担当者に対し、水の浸入経路や第1の測定を行うべき箇所の示唆を与える情報システムを構築してもよい。また、前記記録したデータを教師データとして機械学習を行うことで、建物のデータが入力されると、漏水が発生しやすい箇所や、水の浸入経路を提示するAIシステムを構築することもできる。
さらに、上記した実施形態では、主として人間が水分計を用いて第1、第2の測定を行うものとして説明したが、高所や狭い場所では、水分計を搭載したロボットやドローン(UAV、Unmanned Aerial Vehicle)に、第1、第2の測定を行わせ、その結果を無線等により送信させてもよい。
なお、上記の特許文献の各開示は、本書に引用をもって繰り込み記載されているものとし、必要に応じて本発明の基礎ないし一部として用いることが出来るものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし選択(部分的削除を含む)が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。特に、本書に記載した数値や数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が、別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。さらに、上記引用した文献の各開示事項は、必要に応じ、本発明の趣旨に則り、本発明の開示の一部として、その一部又は全部を、本書の記載事項と組み合わせて用いることも、本願の開示事項に含まれるものと、みなされる。
10、10a、10b 建物
11 躯体
12、15 天井ボード
13、16-1、16-2 床
14 サッシ部
21 防水層
30 水分計
40 注水用容器
50 換気扇
60 洗面台
61 配管
70 臭気筒
L 雨漏り
R1~R4、R11~R12、F24~R24 建物内部への水の浸入経路
P2、P3 被疑浸入箇所

Claims (3)

  1. 漏水被害状況に基づいて建物内部への水の浸入経路を推定し、
    非接触式の水分計を用いて、前記水の浸入経路を含む第1のエリアを測定する第1の測定を実施し、
    前記第1の測定の結果に基づいて、前記水の被疑浸入箇所を絞り込み、
    前記水の被疑浸入箇所に、検出用の水を注入し、
    所定時間経過後に、前記非接触式の水分計を用いて、前記建物内部の水の滲出箇所を含む第2のエリアを測定する第2の測定を実施し、
    前記第2の測定の結果に基づいて、前記水の浸入箇所を特定する、
    水の浸入箇所の特定方法において、
    前記検出用の水の注入後、前記水の浸入箇所の下流側となる区画から強制的に排気を行うことで、前記検出用の水の浸入を促す、
    漏水の浸入箇所の特定方法。
  2. 前記強制的に排気を行う手段として、前記建物内部に備えられた換気扇を用いる、
    請求項の漏水の浸入箇所の特定方法。
  3. 前記水の被疑浸入箇所1か所あたりに注入する水の量を、1回あたり500ml以下の所定量に制限して前記第2の測定を実施する、
    請求項1又は2の漏水の浸入箇所の特定方法。
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"散水調査時に水分計は有効に使えるのか?松戸市胡録台",雨漏り診断士・建築士・塗装技能士・施工管理技士の高松洋平ブログ,2019年04月10日,http://takamatsu-kogyo.com/blog/2017/04/10/%e6%95%a3%e6%b0%b4%e8%aa%bf%e6%9f%bb%e6%99%82%e3%81%ab%e6%b0%b4%e5%88%86%e8%a8%88%e3%81%af%e6%9c%89%e5%8a%b9%e3%81%ab%e4%bd%bf%e3%81%88%e3%82%8b%e3%81%ae%e3%81%8b%ef%bc%9f-%e6%9d%be%e6%88%b8%e5%b8%82/,[2022年07月19日検索]
"雨漏り調査に水分計は有効に使えるのか?松戸市胡録台",雨漏り診断士・建築士・塗装技能士・施工管理技士の高松洋平ブログ,2019年04月07日,http://takamatsu-kogyo.com/blog/2017/04/07/%E9%9B%A8%E6%BC%8F%E3%82%8A%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E3%81%AB%E6%B0%B4%E5%88%86%E8%A8%88%E3%81%AF%E6%9C%89%E5%8A%B9%E3%81%AB%E4%BD%BF%E3%81%88%E3%82%8B%E3%81%AE%E3%81%8B%EF%BC%9F%E3%80%80%E6%9D%BE%E6%88%B8/,[2022年07月19日検索]

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