以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態において、先行する実施形態で説明した事項と同一もしくは均等である部分には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する場合がある。また、実施形態において、構成要素の一部だけを説明している場合、構成要素の他の部分に関しては、先行する実施形態において説明した構成要素を適用することができる。以下の実施形態は、特に組み合わせに支障が生じない範囲であれば、特に明示していない場合であっても、各実施形態同士を部分的に組み合わせることができる。
(第1実施形態)
本実施形態について、図1~図7を参照して説明する。本実施形態の車載用冷凍装置1は、図1に示すように、動力を発生するエンジン10、エンジン10で発生した動力を電力に変換する発電機12、発電機12で発電した電力を蓄電するバッテリ20、荷を収納する冷凍庫3などを有する冷凍車2に搭載される。冷凍車2は、エンジンルーム内にエンジン10、発電機12、圧縮機31などが設置され、架台の上に冷凍庫3が設置される。
車載用冷凍装置1は、図2に示すように、エンジン10の動力を変換した電力およびバッテリ20に蓄電された電力のいずれかの電力により冷凍機30を動作させることで冷凍庫3内の空気が冷却される。車載用冷凍装置1は、エンジン10などを制御する車両ECU11および冷凍機30を構成する機器などを制御する冷凍制御部5を有する。
エンジン10は、冷凍車2を駆動させるための動力を発生する内燃機関であって、エンジン10で発生した動力によってエンジン10内の図示しないエンジンシャフトを回転させ、冷凍車2を駆動させる構成になっている。エンジン10は、車両ECU11に接続されており、車両ECU11によってエンジン10の回転が制御される。また、エンジン10の回転数の情報は、図示しない回転検出センサにより車両ECU11に出力される。エンジン10は、エンジン10のプーリおよび発電機12のプーリがベルト掛けされることによって発電機12に連結されている。
発電機12は、エンジン10の動力を利用して、車載用冷凍装置1の構成機器を動作させるための電力を発生させることが可能に構成されている。エンジン10の回転運動の動力は、発電機12によって交流の電力に変換される。発電機12によって発電された交流の電力は、高圧コンバータ13に出力される。
高圧コンバータ13は、平滑コンデンサを含む平滑回路によって構成されており、発電機12から入力された交流の電力を220Vなどの高電圧の直流の電力に変換するAC/DCコンバータである。高圧コンバータ13の出力側には、バッテリ20、低圧コンバータ21、後述する冷凍機30が接続されており、変換した高電圧の電力をバッテリ20、低圧コンバータ21、冷凍機30に出力可能に構成されている。
バッテリ20は、高圧コンバータ13から出力される高電圧の電力を充電および放電が可能な二次電池(例えば、リチウムイオンバッテリ)で構成されており、冷凍車2の架台の床下に設置されている。バッテリ20は、高圧コンバータ13と同様に、低圧コンバータ21および冷凍機30が接続されており、蓄電した高電圧の電力を低圧コンバータ21および冷凍機30に出力可能に構成されている。また、バッテリ20の出力部には、後述するバッテリ検出部23が接続されている。なお、バッテリ20は、ニッケル水素電池で構成されていてもよい。
低圧コンバータ21は、高圧コンバータ13およびバッテリ20に接続されており、高圧コンバータ13およびバッテリ20のいずれかから入力される高電圧の電圧を高電圧より低い電圧である低電圧の電圧に変換するDC/DCコンバータである。低圧コンバータ21の出力側には、冷凍制御部5、車両ECU11、後述する室外ファン35、室内ファン39などの車載機器が接続されており、これらの車載機器が高圧コンバータ13およびバッテリ20のいずれかから入力される電力によって動作する。
バッテリ検出部23は、バッテリ20の出力部に接続されており、バッテリ20の出力電圧を検出するものである。バッテリ検出部23は、車両ECU11に接続されており、検出した電圧情報を車両ECU11に出力可能に構成されている。なお、バッテリ検出部23は、バッテリ20の出力電流を検出可能に構成されていてもよい。
車両ECU11は、バッテリ検出部23から入力されるバッテリ20の出力電圧に基づいて、バッテリ20に蓄電された電力量を算出可能に構成されている。また、車両ECU11は、回転検出センサから入力されるエンジン10の回転情報に基づいて、エンジン10の動作のオンオフを検出可能に構成されている。以下、バッテリ20に蓄電された電力量をバッテリ20の蓄電量とも呼ぶ。
車両ECU11は、冷凍制御部5に接続されており、バッテリ20の蓄電量情報を冷凍制御部5に出力する。また、車両ECU11は、エンジン10の動作のオンオフに基づいて、バッテリ20の電力による冷凍機30の動作開始信号を冷凍制御部5に出力する。
冷凍機30は、入力側が高圧コンバータ13およびバッテリ20に接続されており、高圧コンバータ13で変換されたエンジン10の動力およびバッテリ20に蓄電された電力のいずれかにより動作可能に構成されている。冷凍機30は、エンジン10が回転している場合、エンジン10の動力により動作する。一方、冷凍機30は、エンジン10が回転していない場合であって、車両ECU11から動作開始信号を受信した場合、バッテリ20に蓄電された電力により動作する。
冷凍機30は、蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置によって構成されており、冷凍庫3内の温度である庫内温度を制御温度になるように調整することで、冷凍庫3内の空気を冷却する冷却機能を発揮する。ここで、制御温度は、庫内温度の目標温度である。冷凍機30は、後述する運転モードを切り替え可能に構成されており、冷凍機30に接続された冷凍制御部5によって、運転モードが切り替えられる。
冷凍機30は、冷媒を圧縮する圧縮機31、圧縮された冷媒を放熱させる室外熱交換器34、室外熱交換器34から流出した冷媒を減圧する減圧機器37、減圧された冷媒を蒸発させる室内熱交換器38を含んで構成されている。
圧縮機31は、吐出容量が固定された固定容量型の圧縮機構、圧縮機構を駆動するモータ33、モータ33に供給する電力を調整するインバータ32を有する電動圧縮機で構成されている。圧縮機31は、インバータ32によって制御されるモータ33の回転に伴い、圧縮機構が駆動することで冷媒を圧縮可能に構成されている。インバータ32の入力側は、高圧コンバータ13およびバッテリ20に接続されており、高圧コンバータ13およびバッテリ20のいずれかから直流の電力が供給される。
インバータ32は、スイッチング素子を有するスイッチング回路によって構成されており、高圧コンバータ13およびバッテリ20のいずれかから入力された直流の電力を交流の電力に変換するDC/ACインバータである。インバータ32は、入力された直流の電力をスイッチング素子によって繰り返しオン、オフさせることで、所望の電圧および所望の周波数の交流に変換する。
インバータ32は、冷凍制御部5に接続されており、冷凍制御部5から入力される信号によって、出力する交流の電圧および周波数が変更可能に構成されている。インバータ32の出力側には、モータ33が接続されており、インバータ32によって変換された交流の電力がモータ33に出力される。
モータ33は、インバータ32から入力される交流の電力によって回転する。モータ33は、インバータ32から入力される交流の電圧および周波数によってモータ33の回転数が調整可能に構成されている。圧縮機31は、モータ33の回転数が調整されることで、圧縮機31が吐出する冷媒の圧力および温度が調整される。
圧縮機31の冷媒吐出側には、室外熱交換器34が接続されており、圧縮機31によって圧縮された冷媒が収納ケース45内に設置された室外熱交換器34に吐出される。
収納ケース45は、冷凍庫3の外部の前方上部に設置されており、内部が収納ケース45の前方部である前収納部46および収納ケース45の後方部である後収納部47に分かれている。前収納部46は、内部に室外熱交換器34および室外ファン35が収納されており、前収納部46および冷凍庫3外の間を空気が出入り可能に構成されている。後収納部47は、室内熱交換器38および室内ファン39が収納されており、後収納部47および冷凍庫3内の間を空気が出入り可能に構成されている。
室外熱交換器34は、圧縮機31から吐出された高温高圧の冷媒を室外熱交換器34の内部に流すことで、冷媒および冷凍庫3外の空気が熱交換可能に構成されている。室外熱交換器34には、室外ファン35が併設されている。
室外ファン35は、室外熱交換器34に冷凍庫3外の空気を送風し、また冷媒によって加熱された空気を収納ケース45の外部に排出可能に配置されている。室外ファン35は、室外ファンモータ36を有しており、低圧コンバータ21を介して高圧コンバータ13およびバッテリ20のいずれかから室外ファンモータ36に電力が供給されることで室外ファン35が回転する。室外ファンモータ36は、冷凍制御部5に接続されており、冷凍制御部5から入力される制御信号によって室外ファンモータ36の回転が制御される。室外熱交換器34の冷媒出口側には、減圧機器37が接続されている。
減圧機器37は、流入される冷媒の温度によって絞り量が変化する機械式の膨張弁であって、室外熱交換器34から流入された冷媒を減圧膨張可能に構成されている。なお、減圧機器37は、冷凍制御部5から入力される制御信号によって絞り量が調整可能な電気式の膨張弁であってもよい。
室内熱交換器38は、減圧機器37から流入された低温低圧の冷媒を蒸発させることで室内熱交換器38を通過する空気を冷却可能に構成されている。室内熱交換器38の冷媒出口側には、圧縮機31が接続されている。また、室内熱交換器38には、室内ファン39が併設されている。
室内ファン39は、室内熱交換器38の空気流れ下流側に設置されており、室内ファン39が回転することで、冷凍庫3内の空気が室内熱交換器38を通過するように構成されている。また、室内ファン39は、冷却された空気を冷凍庫3の前上方から後上方に向けて送風し、冷凍庫3内の空気を冷凍庫3の前上方→後上方→後下方→前下方→室内熱交換器38と循環するように攪拌することで、冷凍庫3内の全体の空気温度を均一にする。
室内ファン39は、室内ファンモータ40を有しており、低圧コンバータ21を介して高圧コンバータ13およびバッテリ20のいずれかから室内ファンモータ40に電力が供給されることで室内ファン39が回転する。室内ファンモータ40は、冷凍制御部5に接続されており、冷凍制御部5から入力される制御信号によって室内ファンモータ40の回転が制御される。室内ファン39によって均一にされた庫内温度は、冷凍庫3内に設置された温度センサ41によって検出される。
温度センサ41は、室内熱交換器38の空気流れ上流側に設置されており、室内熱交換器38に導入される空気の温度を測定することで庫内温度を測定可能に配置されている。温度センサ41は、冷凍制御部5に接続されており、検出した温度情報を冷凍制御部5に送信可能に構成されている。
また、冷凍機30は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルによって冷凍庫3内の空気を加熱する加熱機能も有する。この場合、例えば、冷凍サイクル装置は、冷媒の流れを変更可能なバイパス通路が設けられており、圧縮機31によって圧縮された冷媒が室内熱交換器38に吐出可能に構成されている。つまり、冷凍機30は、圧縮機31によって圧縮された冷媒を室内熱交換器38で放熱させることで冷凍庫3内の空気を加熱することが可能になっている。
冷凍機30は、制御温度と外気温度との関係に応じて冷却動作および加熱動作が切り替え可能になっている。例えば、制御温度が外気温度より低い場合、冷凍機30は、冷却動作を行う。一方、制御温度が外気温度より高い場合、冷凍機30は、加熱動作を行う。冷凍機30の設定温度、庫内温度等は、冷凍車2の運転席に設置されたコントローラ7によって、ユーザが確認可能に構成されている。
コントローラ7は、ユーザが設定する冷凍機30の後述する設定温度、省エネ温度、バッテリ20に蓄電された電力量、庫内温度等が表示される表示部を有する動作表示器である。コントローラ7は、設定温度などの各種情報を表示することで、車載用冷凍装置1の動作状況などをユーザに通知可能に構成されている。
また、コントローラ7は、設定温度等を設定するための操作部を有している。コントローラ7は、操作部に配置されたボタンをユーザが操作することによって、設定温度の変更、冷凍機30の起動、冷凍機30の動作停止などが可能に構成されている。コントローラ7は、冷凍制御部5に接続されており、ユーザの操作によって設定された設定温度情報などが冷凍制御部5に送信可能に構成されている。
続いて、冷凍制御部5について説明する。冷凍制御部5は、CPU、ROM、RAMを含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路で構成され、ROM等に記憶された制御プログラムおよび入力される情報に基づいて、車載用冷凍装置1の構成機器の動作を制御する。
具体的には、冷凍制御部5は、車両ECU11から送信されるバッテリ20の蓄電量情報に基づいて、冷凍機30の運転モードを、制御温度が設定温度である通常運転および制御温度が省エネ温度である省エネ運転に切り替える。
通常運転は、庫内温度が設定温度になるように冷凍制御部5が冷凍機30を制御する運転モードである。具体的には、冷凍制御部5は、圧縮機31内のモータ33が接続されたインバータ32を制御することで、庫内温度が設定温度に近づくように圧縮機31の動作を制御する。
設定温度は、ユーザによって設定されることで予め冷凍制御部5に記憶される温度であって、設定温度に基づいて通常運転時における冷凍機30の制御温度が定められる。
設定温度は、冷凍庫3に積まれる荷によって異なる温度で設定され、例えば、荷が冷凍食品などの場合、設定温度が-20℃などで設定され、荷が生鮮食品などの場合、設定温度が5℃などで設定される。また、例えば、荷が弁当などで冷凍機30が冷凍庫3内を加熱する場合、設定温度は、25℃などで設定される。
一方、省エネ運転は、冷凍機30の動作による電力エネルギの消費が通常運転と比較して抑制される運転であって、庫内温度が省エネ温度になるように冷凍制御部5が冷凍機30を制御する運転モードである。具体的には、圧縮機31内のモータ33が接続されたインバータ32を制御することで、庫内温度が省エネ温度に近づくように圧縮機31の動作を制御する。
省エネ温度は、設定温度に比べて外気温度が高い場合、設定温度より高い温度で設定され、設定温度に比べて外気温度が低い場合、設定温度より低い温度で設定される温度であって、省エネ温度に基づいて省エネ運転時における冷凍機30の制御温度が定められる。
省エネ温度は、具体的には、設定温度に比べて外気温度が高い場合であって、庫内空気が冷凍庫3内外の温度差による熱の侵入により加熱される場合、すなわち、冷凍機30によって庫内空気からの吸熱が必要な場合、設定温度よりも高い温度で設定される。一方、設定温度に比べて外気温度が高い場合であって、庫内空気が冷凍庫3内外の温度差による熱の放出により冷却される場合、すなわち、冷凍機30によって庫内空気に放熱が必要な場合、省エネ温度は、設定温度よりも低い温度で設定される。
また、省エネ温度は、設定温度および所定のオフセット温度Δtに基づいて定められる温度であって、例えば、冷凍庫3に積まれる荷に対して許容される温度の上限または下限となる温度範囲内に設定される。
オフセット温度Δtは、設定温度および省エネ温度の温度差であって、庫内空気からの吸熱が必要な場合、すなわち冷凍機30が冷却動作を行う場合、設定温度にオフセット温度Δtを加えることで設定温度より高い温度になるように冷凍制御部5に設定される。また、オフセット温度Δtは、庫内空気に放熱が必要な場合、すなわち冷凍機30が加熱動作を行う場合、設定温度にオフセット温度Δtを加えることで省エネ温度が設定温度より低い温度になるように冷凍制御部5に設定される。オフセット温度Δtは、例えば、冷却動作の場合、3℃などで設定され、加熱動作の場合、-5℃などで設定される。オフセット温度Δtは、冷却動作の場合に制御温度が外気温度を上回らない温度に設定され、加熱動作の場合に制御温度が外気温度を下回らない温度に設定されることはいうまでもない。
なお、省エネ温度およびオフセット温度Δtは、コントローラ7に配置された温度変更ボタンをユーザが操作することによって設定可能であってもよい。コントローラ7は、温度変更ボタンの操作によって設定された温度情報を冷凍制御部5に送信する。なお、コントローラ7には、異なる複数の省エネ温度およびオフセット温度Δtを記憶させるためのメモリボタンが配置されていてもよい。メモリボタンは、ユーザによって操作されることで、記憶された複数の省エネ温度およびオフセット温度Δtのうちいずれかの温度を呼び出し可能に構成されていてもよい。
通常運転において、冷凍機30は、庫内温度がユーザによって設定された設定温度に近づくように動作するため、冷凍機30の動作の目標温度である制御温度および設定温度が等しい温度となる。一方、省エネ運転において、冷凍機30は、庫内温度が設定温度とは異なる省エネ温度になるように動作するため、制御温度および設定温度が異なる温度になる。
また、冷凍制御部5は、温度センサ41から送信される冷凍庫3内の温度情報などに基づいて、圧縮機31、室外ファン35、室内ファン39などを制御する。例えば、冷凍制御部5は、制御温度を基準に設定されたオフ判定温度Toffおよびオン判定温度Tonを用いて、庫内温度が制御温度に近づくように圧縮機31を断続的に動作させる。すなわち、本実施形態の冷凍制御部5は、庫内温度がオフ判定温度Toffまで低下すると、圧縮機31の動作を停止し、庫内温度がオン判定温度Tonまで上昇すると、圧縮機31の動作を再開させる。なお、オフ判定温度Toffは、制御温度よりも低い温度に設定される。オン判定温度Tonは、オフ判定温度Toffに所定のヒステリシス幅(例えば、1℃)を加えた温度であって、制御温度よりも高い温度に設定される。なお、圧縮機31の動作が停止中であっても、冷凍制御部5は、室内ファン39を動作させることで庫内温度を均一にする。
続いて、車載用冷凍装置1の作動について説明する。
車載用冷凍装置1は、図示しないエンジンキースイッチがオンされると、低圧コンバータ21を介してバッテリ20から車両ECU11および冷凍制御部5に電力が供給されることで車両ECU11および冷凍制御部5が起動する。車載用冷凍装置1は、車両ECU11が起動すると、車両ECU11からエンジン10に向けて回転運転の開始信号を送信し、エンジン10を回転させる。
この際、エンジン10に連結された発電機12は、エンジン10の回転に伴って回転する。発電機12は、エンジン10から動力を受けてプーリが回転することで三相交流の電力を発電し、高圧コンバータ13に出力する。発電機12が発電する電力は、例えば、三相220Vの交流電圧であって、エンジン10の回転数に比例して高い電圧となる。
エンジン10の回転情報は、車両ECU11を経由して冷凍制御部5に送信される。冷凍制御部5は、車両ECU11から送信されるエンジン10の回転のオンオフ情報に基づいてエンジン10の回転の有無を判定する。
高圧コンバータ13は、発電機12から入力される交流の電力を直流の電力に変換して、圧縮機31内のインバータ32へ出力する。また、高圧コンバータ13は、変換後の直流の電力をバッテリ20にも出力することで、バッテリ20が充電される。高圧コンバータ13から出力される電力は、例えば、220Vなどの直流の高電圧である。
ここで、冷凍車2は、アイドリング運転時の排気ガスを抑えるため、エンジンキースイッチがオンされている状態でエンジン10の回転を停止することがある(すなわちアイドリングストップ)。冷凍車2がアイドリングストップ状態になると、エンジン10からの動力の供給が停止されるため、高圧コンバータ13は、バッテリ20、低圧コンバータ21、インバータ32への電力の出力を停止する。また、冷凍車2がアイドリングストップ状態になると、バッテリ20は、蓄電した高電圧の電力を低圧コンバータ21およびインバータ32に出力する。
車両ECU11は、低圧コンバータ21を介してバッテリ20から電力が供給されるとともに、エンジン10からエンジン10の動作停止情報を受信すると、冷凍制御部5に冷凍機30の動作開始信号を出力する。冷凍制御部5は、車両ECU11から冷凍機30の動作開始信号を受信すると、インバータ32に、インバータ32から出力する交流の電力の周波数情報および電圧情報の信号を出力する。
冷凍制御部5は、車両ECU11からエンジン10の回転のオン情報を受信するか、冷凍機30の動作開始信号を受信すると、インバータ32に、インバータ32から出力する交流の電力の周波数情報および電圧情報の信号を出力する。
インバータ32は、高圧コンバータ13およびバッテリ20のいずれかから入力される直流の電力を冷凍制御部5から入力される信号によって所望の周波数および電圧の交流の電力に変換してモータ33に出力する。モータ33は、交流の電力が入力されることで、周波数および電圧に応じた回転数で回転する。
圧縮機31は、モータ33が回転することで、圧縮機構が駆動され、低温低圧の冷媒を吸入後、圧縮して高温高圧の冷媒を吐出する。圧縮機31から吐出された高温高圧の冷媒は、室外熱交換器34に流れることで冷凍庫3外の空気と熱交換を行うことで放熱される。室外熱交換器34によって放熱された冷媒は、減圧機器37に流れることで減圧膨張されて室内熱交換器38に流れる。室内熱交換器38に流れた冷媒は、冷凍庫3内の空気から吸熱して蒸発した後、再び圧縮機31に吸入される。室内熱交換器38を通過する空気は、冷媒の蒸発潜熱によって冷却される。
室内ファン39は、室内熱交換器38によって冷却された空気を冷凍庫3内に送風することで冷凍庫3内の全体の空気を冷却しつつ、冷凍庫3内の全体の温度が均一になるように空気を攪拌する。室内ファン39によって均一化された庫内温度は、温度センサ41によって検出され、温度センサ41が庫内温度の温度情報を冷凍制御部5に送信する。
冷凍制御部5は、温度センサ41から送信される冷凍庫3内の温度情報に基づいて、庫内温度が制御温度に近づくように圧縮機31を断続的にオンオフさせる。
車載用冷凍装置1は、冷凍車2が走行中やアイドリング状態の場合であって、エンジン10が回転している場合、発電機12を介してエンジン10の動力によって冷凍機30を動作させる。また、車載用冷凍装置1は、冷凍車2がアイドリングストップ状態の場合、バッテリ20に蓄電された電力によって冷凍機30を動作させる。
なお、バッテリ20の電圧は、バッテリ20に接続されたバッテリ検出部23によって検出され、バッテリ検出部23が検出した電圧情報を車両ECU11に送信する。車両ECU11は、バッテリ検出部23から送信される電圧情報に基づいてバッテリ20の蓄電量を算出し、算出したバッテリ20の蓄電量を冷凍制御部5に送信する。冷凍制御部5は、車両ECU11から送信されるバッテリ20の蓄電量情報に基づいて、蓄電量に応じて運転モードを通常運転および省エネ運転のいずれかに切り替える。
次に、冷凍制御部5が実行する本実施形態の冷凍機30の動作処理の一例を図3に示すフローチャートを参照して説明する。図3に示す制御処理は、エンジンキースイッチがオンされると冷凍制御部5によって周期的に実行され、エンジンキースイッチがオフされたとき、または冷凍機30の動作が停止されたときに終了する。
図3に示すように、ステップS10にて、冷凍制御部5は、バッテリ20の電力によって冷凍機30が動作しているか否かを判定する。ステップS10の判定処理の結果、バッテリ20の電力によって冷凍機30が動作していない場合、つまりエンジン10の動力によって冷凍機30が動作している場合、ステップS11にて、冷凍制御部5は、運転モードを通常運転に切り替える。一方、ステップS10の判定処理の結果、バッテリ20の電力によって冷凍機30が動作している場合、ステップS12にて、冷凍制御部5は、バッテリ20の蓄電量が所定量以上であるか否かを判定する。
ここで、所定量は、バッテリ20が満充電時の蓄電量(すなわち、蓄電量=100%)と完全放電時の蓄電量(すなわち、蓄電量=0%)との中間量(すなわち、蓄電量=50%)に設定されている。なお、所定量は、満充電時の蓄電量から完全放電時の蓄電量までの範囲(すなわち、0%より大きく、100%よりも小さい範囲)であれば、中間量よりも小さい蓄電量(例えば、30%)や、中間量よりも大きい蓄電量(例えば、70%)に設定されていてもよい。
ステップS12の判定処理の結果、バッテリ20の蓄電量が所定量以上の場合、ステップS13にて、冷凍制御部5は、運転モードを通常運転に切り替える。一方、ステップS12の判定処理の結果、バッテリ20の蓄電量が所定量未満の場合、ステップS14にて、冷凍制御部5は、運転モードを省エネ運転に切り替える。
冷凍制御部5によって運転モードが切り替えられると、冷凍機30の制御温度が変更される。運転モードが変更される場合における制御温度の変更および圧縮機31の動作の流れについて図4に示すフローチャートを参照して説明する。図4に示す処理は、冷凍制御部5によって周期的に実行される。
なお、本実施形態において、例えば、設定温度は、5℃に設定され、ヒステリシス幅が1℃で設定される。この場合、例えば、通常運転時における制御温度を基準に設定されるオフ判定温度Toffは、4.5℃となり、オン判定温度Tonが5.5℃となる。また、本実施形態において、例えば、オフセット温度Δtは3℃で設定される。この場合、省エネ温度である制御温度は、設定温度の5℃にオフセット温度Δtの3℃を加えた8℃である。また、省エネ運転時における制御温度を基準に設定されるオフ判定温度Toffは7.5℃となり、オン判定温度Tonが8.5℃となる。
図4に示すように、ステップS20にて、冷凍制御部5は、冷凍機30の運転モードが省エネ運転であるか否かを判定する。ステップS20の判定処理の結果、冷凍機30の運転モードが省エネ運転でない(すなわち通常運転)と判定した場合、ステップS21にて、冷凍制御部5は、制御温度を設定温度(本実施形態において5℃)に設定する。
一方、ステップS20の判定処理の結果、冷凍機30の運転モードが省エネ運転であると判定した場合、ステップS22にて、冷凍制御部5は、制御温度を省エネ温度(本実施形態において8℃)に設定する。
続いて、冷凍制御部5は、ステップS23にて、庫内温度がオフ判定温度Toff以上であるか否かを判定する。つまり、冷凍制御部5は、ステップS23にて、運転モードが通常運転の場合、庫内温度が4.5℃以上であるか否かを判定し、運転モードが省エネ運転の場合、庫内温度が7.5℃以上であるか否かを判定する。庫内温度がオフ判定温度Toff以上である場合、冷凍制御部5は、ステップS24、ステップS25をスキップし、ステップS26にて、圧縮機31の動作を開始する。
一方、ステップS23の判定処理の結果、庫内温度がオフ判定温度Toff未満であると判定されると、冷凍制御部5は、ステップS24にて、圧縮機31の動作を停止する。
圧縮機31の動作を停止することで、冷凍庫3内の温度は上昇する。そして、冷凍制御部5は、ステップS25にて、庫内温度がオン判定温度Ton以上であるか否かを判定する。つまり、冷凍制御部5は、ステップS25にて、運転モードが通常運転の場合、庫内温度が5.5℃以上であるか否かを判定し、運転モードが省エネ運転の場合、庫内温度が8.5℃以上であるか否かを判定する。
庫内温度がオン判定温度Ton未満である場合、冷凍制御部5は、庫内温度がオン判定温度Ton以上になるまで圧縮機31の動作停止を維持する。一方、ステップS25にて、庫内温度がオン判定温度Ton以上であると判定されると、冷凍制御部5は、ステップS26にて、圧縮機31の動作を再開する。
このように、冷凍制御部5は、運転モードを通常運転に切り替えた場合、冷凍機30の制御温度を設定温度に変更し、または、運転モードを省エネ運転に切り替えた場合、冷凍機30の制御温度を省エネ温度に変更する。そして、冷凍制御部5は、庫内温度がそれぞれの制御温度に近づくように圧縮機31を断続的にオンオフさせる。
次に、本実施形態において、冷凍制御部5が運転モードを通常運転で維持する場合および冷凍制御部5が運転モードを運転途中で通常運転から省エネ運転に切り替える場合の庫内温度の変化を図5に示すグラフを参照して説明する。図5に示すグラフにおける線は、破線が運転モードを通常運転で維持する場合の庫内温度の変化を示し、実線が運転モードを運転途中に通常運転から省エネ運転に切り替える場合の庫内温度の変化を示す。
エンジン10の動力により冷凍機30が動作している場合、およびバッテリ20の電力により冷凍機30が動作している場合であってバッテリ20の蓄電量が所定量以上の場合、冷凍制御部5は、冷凍機30を通常運転で動作させる。運転モードが通常運転で維持される場合、冷凍制御部5は、庫内温度が設定温度に近づくように圧縮機31を断続的にオンオフさせる。このため、図5に示すように、庫内温度は、通常運転時のオフ判定温度Toffから通常運転時のオン判定温度Tonの範囲で保持される。
一方、冷凍制御部5が冷凍機30の運転モードを通常運転から省エネ運転に切り替えると、冷凍機30の制御温度は、省エネ温度に設定される。図5に示すように、省エネ運転時のオフ判定温度Toffは、通常運転時のオン判定温度Tonよりも高い温度であるため、庫内温度が省エネ運転時のオン判定温度Tonになるまで圧縮機31の動作が停止され、庫内温度が上昇する。
庫内温度が省エネ運転時のオン判定温度Tonまで上昇後、冷凍制御部5は、庫内温度が省エネ温度に近づくように圧縮機31を断続的にオンオフさせる。このため、庫内温度は、省エネ運転時のオフ判定温度Toffから省エネ運転時のオン判定温度Tonの範囲で保持される。
次に、本実施形態において、バッテリ20の電力により冷凍機30が動作する場合において、冷凍制御部5が運転モードを通常運転から省エネ運転に切り替えた場合のバッテリ20の蓄電量および庫内温度の時間変化を図6のグラフを参照して説明する。図6の2つのグラフは、上のグラフがバッテリ20の蓄電量の変化および所定量を示し、下グラフが庫内温度の変化、設定温度、省エネ温度を示す。
図6に示すように、バッテリ20の蓄電量が所定量以上である場合、冷凍機30が通常運転で動作するため、冷凍制御部5は、庫内温度が設定温度に近づくように圧縮機31を断続的にオンオフさせる。このため、庫内温度は、圧縮機31が動作している間で下降し、圧縮機31が動作を停止している間で上昇する。
また、冷凍機30が通常運転で動作している間、バッテリ20に蓄電された電力によって圧縮機31は、断続的に動作し、室内ファン39が常時動作する。このため、バッテリ20の蓄電量は、圧縮機31および室内ファン39が動作している間で減少し、圧縮機31が動作していない間であっても、室内ファン39の動作が維持されるため、圧縮機31が動作している場合に比べ緩やかに減少する。
バッテリ20の蓄電量が所定量未満になると、冷凍制御部5は、運転モードを省エネ運転に切り替える。これにより、冷凍機30の制御温度は、省エネ温度に設定される。省エネ運転時のオフ判定温度Toffは、通常運転時のオン判定温度Tonよりも高い温度であるため、冷凍制御部5は、庫内温度が省エネ運転時のオン判定温度Tonになるまで圧縮機31の動作を停止し、庫内温度が上昇する。なお、圧縮機31の動作が停止している場合であっても、バッテリ20の電力によって室内ファン39の動作が維持されるため、バッテリ20の蓄電量は、減少を続ける。
圧縮機31の動作停止によって庫内温度が省エネ運転時のオン判定温度Tonになると、冷凍制御部5は、圧縮機31の動作を再開させ、庫内温度が省エネ温度に近づくように圧縮機31を断続的にオンオフさせる。このため、庫内温度は、圧縮機31が動作している間で庫内温度が下降し、圧縮機31が動作を停止している間で庫内温度が上昇する。また、バッテリ20の蓄電量は、圧縮機31および室内ファン39が動作している間で減少し、圧縮機31が動作していない間であっても、室内ファン39の動作によって、圧縮機31が動作している場合に比べ緩やかに減少する。
なお、制御温度は、通常運転時に比べて省エネ運転時のほうが高いため、省エネ運転の電力消費量が通常運転の電力消費量に比べて少ない。
冷凍機30の動作が省エネ運転で維持され、バッテリ20の蓄電量が冷凍機30を動作させるために必要な電力量を下回ると、冷凍機30は、動作を停止する。
次に、本実施形態において、通常運転および省エネ運転を維持することで、バッテリ20の蓄電量が減少した場合における庫内温度を図7のグラフを参照して説明する。図7に示すグラフにおける2つの線のうち、破線は、バッテリ20の蓄電量が冷凍機30を動作させるために必要な電力量を下回るまで通常運転に維持した場合の庫内温度の変化を示す。実線は、運転モードを運転途中で通常運転から省エネ運転に切り替えた後に、バッテリ20の蓄電量が冷凍機30を動作させるために必要な電力量を下回るまで省エネ運転に維持した場合の庫内温度の変化を示す。以下、冷凍機30を動作させるために必要なバッテリ20の電力量を最低動作電力量、バッテリ20の蓄電量が最低動作電力量になることにより冷凍機30が停止する時間を動作停止時間とも呼ぶ。
図7に示すように、冷凍制御部5が運転モードを通常運転で維持している場合、庫内温度が設定温度に近づくように圧縮機31が断続的にオンオフされるため、庫内温度は、通常運転時のオフ判定温度Toffからオン判定温度Tonの間で調整される。また、運転モードが通常運転で維持されると、バッテリ20の蓄電量は、圧縮機31、室内ファン39等の動作によって減少を続ける。
バッテリ20の蓄電量が最低動作電力量を下回ると、冷凍機30は、運転を停止し、圧縮機31等の動作が停止する。圧縮機31が動作を停止することで、冷凍庫3内の空気は、冷凍庫3内外の温度差による熱の侵入により、庫内温度が外気温に近づくように上昇する。
一方、バッテリ20の蓄電量が所定量となると、冷凍制御部5は、運転モードを通常運転から省エネ運転に切り替え、制御温度を省エネ温度に変更すると、庫内温度が省エネ運転時のオン判定温度Tonになる時刻まで圧縮機31の動作が停止する。以下、本実施形態において、バッテリ20の蓄電量が所定量となる時刻を時刻T1、運転モードを通常運転から省エネ運転に切り替え後、庫内温度が省エネ運転時のオン判定温度Tonとなる時刻をT2とする。
庫内温度が省エネ運転時のオン判定温度Tonになると、冷凍制御部5は、圧縮機31の動作を再開する。冷凍制御部5は、庫内温度が省エネ温度に近づくように圧縮機31を断続的にオンオフさせるため、庫内温度が省エネ運転時のオフ判定温度Toffからオン判定温度Tonの間で調整される。また、運転モードが省エネ運転で維持されると、バッテリ20の蓄電量は、圧縮機31、室内ファン39等の動作によって減少を続ける。
バッテリ20の蓄電量が最低動作電力量を下回ると、冷凍機30は、運転を停止し、圧縮機31等の動作が停止する。圧縮機31が動作を停止することで、冷凍庫3内の空気は、冷凍庫3内外の温度差による熱の侵入により、庫内温度が外気温に近づくように上昇する。
ここで、通常運転を維持した場合における時刻T1から動作停止時間までの時間(通常運転の動作可能時間Ta)および時刻T2から動作停止時間までの時間(省エネ運転の動作可能時間Tb)を比較する。省エネ運転の電力消費量は、通常運転の電力消費量に比べて少ないため、省エネ運転の動作可能時間Tbは、通常運転の動作可能時間Taに比べて長い。このため、省エネ運転時の動作停止時間における通常運転停止後の庫内温度は、省エネ運転時の動作停止時間における省エネ運転停止後の庫内温度に比べて設定温度から乖離している。
また、通常運転における動作停止時間後の庫内温度および省エネ運転における電力定時時間後の庫内温度は、冷凍機30の動作が停止するため、外気温より低い範囲において外気温に近づくように同様に上昇し続ける。よって、省エネ運転の動作停止時間以降における庫内温度を比較すると、通常運転によって最低動作電力量になった後の庫内温度に比べて省エネ運転によって最低動作電力量になった後の庫内温度のほうが設定温度に近い。
以上説明した本実施形態の車載用冷凍装置1によれば、バッテリ20の電力により冷凍機30を動作させる場合において、バッテリ20の蓄電量が所定量以上の場合、冷凍制御部5は、運転モードを通常運転に切り替える。これにより、庫内温度は、設定温度から乖離することなく、ユーザが設定した最適な温度で調整される。
また、バッテリ20の蓄電量が所定量未満の場合、冷凍制御部5は、運転モードを省エネ運転に切り替える。これにより、バッテリ20の蓄電量が少ない場合であっても、車載用冷凍装置1は、バッテリ20の電力消費量を抑制することで、バッテリ20の容量を大きくすることなく、冷凍機30の動作可能時間を延長することができる。また、バッテリ20の蓄電量に応じて運転モードを省エネ運転に切り替えることで、庫内温度が設定温度から乖離する時間は、運転モードを一律に省エネ運転に切り替える場合に比べて短くすることができる。
また、冷凍機30の動作可能時間が延長されることで、車載用冷凍装置1は、バッテリ20の蓄電量の不足により冷凍機30の動作が停止される時間を遅らせることができる。このため、バッテリ20の蓄電量が最低動作電力量になった後の同時刻における庫内温度は、通常運転によって最低動作電力量になった後の庫内温度に比べて省エネ運転によって最低動作電力量になった後の庫内温度のほうが設定温度に近い。
さらに、庫内温度が省エネ温度よりも低い温度である状態であって、運転モードを通常運転から省エネ運転に切り替える場合、冷凍制御部5は、庫内温度が省エネ運転時のオン判定温度Tonになるまで圧縮機31の動作を停止する。このため、車載用冷凍装置1は、圧縮機31の動作が停止している間、室内ファン39の動作により発生する熱を抑制することで、室内ファン39から発生する熱による庫内温度の上昇を抑制できる。
(第1実施形態の変形例)
上述の第1実施形態では、冷凍機30について、室内熱交換器38が1つである例について説明したが、これに限定されない。例えば、冷凍機30は、室内熱交換器38を2つ以上含んで構成されていてもよい。この場合、室内熱交換器38は、例えば、断熱材などによって分けられた冷凍庫3内の複数の室内にそれぞれ配置されており、冷凍機30が複数の室内の温度をそれぞれ異なる温度で制御可能に構成される。
また、上述の第1実施形態では、バッテリ20の所定量について、バッテリ20が満充電時を100%とした場合の所定の割合で算出する例について説明したが、これに限定されない。例えば、所定量は、バッテリ20の蓄電量が2kWなど、電力量で算出されるものであってもよい。
また、上述の第1実施形態では、オフ判定温度Toffおよびオン判定温度Tonについて、制御温度を中心とした温度である例について説明したが、これに限定されない。例えば、制御温度がオン判定温度Tonと同じ温度であって、オフ判定温度Toffは、オン判定温度Tonに所定のヒステリシス幅を減らした温度であってもよい。また、制御温度がオフ判定温度Toffと同じ温度であって、オン判定温度Tonは、オフ判定温度Toffに所定のヒステリシス幅を加えた温度であってもよい。
また、上述の第1実施形態では、オフ判定温度Toffおよびオン判定温度Tonの温度差であるヒステリシス幅が1℃である例について説明したが、これに限定されない。例えば、ヒステリシス幅は、0.5℃など、1℃に比べて小さい値であってもよい。また、例えば、ヒステリシス幅は、2℃など、1℃に比べて大きい値であってもよい。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、図8に示すフローチャートおよび図9に示すグラフを参照して説明する。本実施形態では、バッテリ20の蓄電量が所定量未満の場合、冷凍制御部5は、所定条件が成立するまでに限定して運転モードを省エネ運転に切り替える点が第1実施形態と相違している。本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について主に説明し、第1実施形態と同様の部分について説明を省略することがある。
ステップS30からステップS33の処理は、第1実施形態で説明したステップS10からステップS13と同様のため、その説明を省略する。
図8に示すように、ステップS32の判定処理の結果、バッテリ20の蓄電量が所定量未満の場合、ステップS34にて、冷凍制御部5は、運転モードを省エネ運転に切り替える。なお、所定量は、第1実施形態で説明したものと同様である。
続いて、ステップS35にて、冷凍制御部5は、所定条件が成立したか否かを判定する。ステップS35の判定処理の結果、所定条件が成立していない場合、冷凍制御部5は、所定条件が成立するまで運転モードを省エネ運転で維持する。一方、所定条件が成立している場合、冷凍制御部5は、ステップS36にて運転モードを通常運転に切り替える。
ここで、所定条件とは、例えば、運転モードが通常運転から省エネ運転に切り替わり、制御温度が設定温度から省エネ温度に変更されることにより、庫内温度が省エネ温度のオン判定温度Tonになると成立する条件である。すなわち、所定条件は、冷凍機30の起動後における初回の省エネ運転時に庫内温度が省エネ運転時のオン判定温度Tonまで上昇すると成立する条件である。
本実施形態において、バッテリ20の電力によって冷凍機30が動作する場合の具体的なバッテリ20の蓄電量および庫内温度の時間変化について、図9に示すグラフを参照して説明する。図9の2つのグラフは、上のグラフがバッテリ20の蓄電量の変化および所定量を示し、下のグラフが庫内温度の変化、設定温度、省エネ温度を示す。また、下のグラフにおける2つの線のうち、破線は、運転モードを通常運転で維持した場合の庫内温度の変化を示す。実線は、バッテリ20の蓄電量が所定量未満になった後に運転モードを通常運転から省エネ運転に切り替え、所定条件成立後に省エネ運転から通常運転に切り替えた場合の庫内温度の変化を示す。
冷凍機30が通常運転で動作した結果、バッテリ20の蓄電量が所定量未満になると、冷凍制御部5によって運転モードが通常運転から省エネ運転に切り替えられ、制御温度が省エネ温度に設定される。図9に示すように、省エネ運転時のオフ判定温度Toffは、通常運転時のオン判定温度Tonよりも高い温度であるため、庫内温度が省エネ運転時のオン判定温度Tonになるまで、圧縮機31の動作が停止され、庫内温度が上昇する。
圧縮機31の動作停止によって庫内温度が省エネ運転時のオン判定温度Tonに達すると、圧縮機31の動作が再開される。この際、上述の所定条件が成立することから、冷凍制御部5は、運転モードを省エネ運転から通常運転に切り替える。すなわち、制御温度は、省エネ温度から設定温度に再設定される。これにより、庫内温度が省エネ運転時のオン判定温度Tonに達した後は、庫内温度が設定温度時のオフ判定温度Toffになるまで低下する。
以上説明した本実施形態の車載用冷凍装置1によれば、バッテリ20の電力により冷凍機30を動作させる場合において、バッテリ20の蓄電量が所定量未満の場合、冷凍制御部5は、所定条件が成立するまで、運転モードを省エネ運転に切り替える。これにより、車載用冷凍装置1は、冷凍機30が省エネ運転で運転している間、電力消費量が抑制され、冷凍機30の動作可能時間を延長することができる。また、所定条件成立後、冷凍制御部5が運転モードを省エネ運転から通常運転に切り替えることで、その後の庫内温度は、設定温度に近づくように調整されるため、庫内温度が設定温度から乖離する時間を抑制することができる。
(第2実施形態の変形例)
上述の第2実施形態では、所定条件について、冷凍機30の起動後における初回の省エネ運転時に庫内温度が省エネ運転時のオン判定温度Tonになる場合に成立する例について説明したが、これに限定されない。例えば、所定条件は、冷凍機30の起動後における初回の省エネ運転時に所定時間を経過すると成立するものであってもよい。この場合、ステップS34にて、冷凍制御部5が運転モードを省エネ運転に切り替え後、ステップS35にて、冷凍制御部5は、所定時間が経過するまで運転モードを省エネ運転で行い、所定時間経過後、ステップS36にて運転モードを通常運転に切り替える。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について、図10に示すフローチャートおよび図11に示すグラフを参照して説明する。本実施形態では、バッテリ20の蓄電量が所定量未満になった場合、所定量未満となる状態が検出されてから所定時間を経過後に、省エネ運転に切り替える点が第1実施形態と相違している。本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について主に説明し、第1実施形態と同様の部分について説明を省略することがある。
ステップS40からステップS43の処理は、第1実施形態で説明したステップS10からステップS13と同様のため、その説明を省略する。
ステップS42の判定処理の結果、バッテリ20の蓄電量が所定量未満の場合、ステップS44にて、冷凍制御部5は、冷凍制御部5によってバッテリ20の蓄電量が所定量未満となる状態が検出されてからの経過時間が所定時間を経過したか否かを判定する。ステップS45の判定処理の結果、所定時間が経過した場合、冷凍制御部5は、運転モードを省エネ運転に切り替える。
ここで、所定時間は、バッテリ20の蓄電量が所定量の場合における冷凍機30の動作可能時間の半分の時間で設定される。例えば、バッテリ20の蓄電量が所定量の場合において、バッテリ20の電力によって冷凍機30が動作できる時間が10分の場合、所定時間は、5分に設定される。なお、所定時間は、運転モードの切替時間よりも長い時間であって、バッテリ20の蓄電量が所定量の場合における冷凍機30の動作可能時間よりも短い時間であれば、動作可能時間の半分よりも長い時間や、動作可能時間の半分よりも短い時間であってもよい。
本実施形態において、バッテリ20の電力によって冷凍機30が動作する場合の具体的なバッテリ20の蓄電量および庫内温度の時間変化について、図11のグラフを参照して説明する。図11の2つのグラフは、上のグラフがバッテリ20の蓄電量の変化および所定量を示し、下のグラフが庫内温度の変化、設定温度、省エネ温度を示す。
図11に示すように、バッテリ20の蓄電量が所定量以上である場合、冷凍制御部5は、冷凍機30を通常運転で動作させるため、庫内温度が設定温度に近づくように圧縮機31を断続的にオンオフさせる。また、冷凍機30が通常運転で動作している間、圧縮機31、室内ファン39などは、バッテリ20に蓄電された電力によって動作するため、圧縮機31、室内ファン39などの動作によって、バッテリ20の蓄電量が減少する。
バッテリ20の蓄電量が所定量未満になると、冷凍制御部5は、バッテリ20の蓄電量が所定量未満状態を検出する。そして、冷凍制御部5がバッテリ20の蓄電量の所定量未満状態を検出してから所定時間、冷凍制御部5は、運転モードを通常運転で維持する。運転モードが通常運転で維持している時間において、冷凍制御部5は、庫内温度が設定温度に近づくように圧縮機31を断続的にオンオフさせ、バッテリ20の蓄電量が圧縮機31、室内ファン39などの動作によって減少する。
冷凍制御部5がバッテリ20の蓄電量の所定量未満状態を検出してから所定時間を経過後、冷凍制御部5は、運転モードを省エネ運転に切り替える。
運転モードを省エネ運転に切り替え後の冷凍機30の動作は、第1実施形態と同様のため、その説明を省略する。
以上説明した本実施形態の車載用冷凍装置1によれば、バッテリ20の電力により冷凍機30を動作させた後、蓄電量が所定量未満になった場合、運転モードを省エネ運転に切り替える必要性が低い場合、冷凍制御部5は、運転モードを通常運転に維持する。そして、冷凍制御部5は、バッテリ20の蓄電量が所定量未満となる状態を検出してから所定時間を経過後に、省エネ運転に切り替える。
ここで運転モードを省エネ運転に切り替える必要性が低い場合とは、例えば、冷凍機30の動作見込み時間がバッテリ20の所定量における冷凍機30の動作可能時間に対して短い時間であって、バッテリ20の電力消費量を抑制する必要が低い場合である。また、運転モードを省エネ運転に切り替える必要性が低い場合は、例えば、交差点などで一時的に停車する場合など、バッテリ20の電力により冷凍機30の動作する時間が限られている場合である。
これにより、蓄電量が所定量未満状態でバッテリ20の電力により冷凍機30を動作させる場合であっても、車載用冷凍装置1は、庫内温度が設定温度から乖離する時間を抑制し、庫内温度を設定温度に近い温度で調整することができる。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について、図12に示すフローチャートおよび図13に示すグラフを参照して説明する。本実施形態では、冷凍機30が省エネ運転で動作する場合、バッテリ20の蓄電量に応じて冷凍制御部5が制御温度を変更する点が第1実施形態と相違している。本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について主に説明し、第1実施形態と同様の部分について説明を省略することがある。
本実施形態において、冷凍制御部5が冷凍機30を省エネ運転で動作させる場合、冷凍制御部5は、バッテリ20の蓄電量に応じて、例えば、制御温度を3つの省エネ温度に変更する。
3つの省エネ温度は、設定温度に対してそれぞれ異なるオフセット温度Δt1、Δt2、Δt3を設定した温度である。冷却動作において、オフセット温度Δt1、Δt2、Δt3は、オフセット温度Δt1<Δt2<Δt3の関係が成立する範囲で設定される。オフセット温度Δt1、Δt2、Δt3は、例えば、設定温度が5℃、オフセット温度Δt1が2℃に設定されている場合、第1省エネ温度は、設定温度より高い温度となる7℃で設定される。また、例えば、オフセット温度Δt2が4℃、オフセット温度Δt3が6℃で設定されている場合、第2省エネ温度は、第1省エネ温度より高い温度となる9℃で設定され、第3省エネ温度が第2省エネ温度より高い温度となる11℃で設定される。
冷凍制御部5が冷凍機30を省エネ運転で動作させる場合において、冷凍制御部5がバッテリ20の蓄電量に応じて変更する制御温度の変更処理の一例を図12に示すフローチャートを参照して説明する。
図12に示すように、ステップS50にて、冷凍制御部5は、バッテリ20の蓄電量が第1所定量以上であるか否かを判定する。ステップS50の判定処理の結果、バッテリ20の蓄電量が第1所定量以上の場合、ステップS51にて、冷凍制御部5は、制御温度を設定温度に変更する。
一方、ステップS50の判定処理の結果、バッテリ20の蓄電量が第1所定量未満の場合、ステップS52にて、冷凍制御部5は、バッテリ20の蓄電量が第2所定量以上であるか否かを判定する。ステップS52の判定処理の結果、バッテリ20の蓄電量が第1所定量未満かつ第2所定量以上の場合、ステップS53にて、冷凍制御部5は、制御温度を第1省エネ温度に変更する。
一方、ステップS52の判定処理の結果、バッテリ20の蓄電量が第2所定量未満の場合、ステップS54にて、バッテリ20の蓄電量が第3所定量以上であるか否かを判定する。ステップS54の判定処理の結果、バッテリ20の蓄電量が第2所定量未満かつ第3所定量以上の場合、ステップS55にて、冷凍制御部5は、制御温度を第2省エネ温度に変更する。
一方、ステップS54の判定処理の結果、バッテリ20の蓄電量が第3所定量未満の場合、ステップS56にて、冷凍制御部5は、制御温度を第3省エネ温度に変更する。
ここで、第1所定量、第2所定量、第3所定量は、バッテリ20が満充電時の蓄電量と完全放電時の蓄電量との範囲内で設定されており、第1所定量>第2所定量>第3所定量の関係が成立する。第1所定量は、例えば、バッテリ20の満充電時の蓄電量の80%に設定され、第2所定量が第1所定量より少ない50%、第3所定量が第1所定量および第2所定量より少ない30%で設定される。
なお、第1所定量>第2所定量>第3所定量の関係が成立する範囲であれば、第1所定量、第2所定量、第3所定量は、上述のものとは異なる蓄電量に設定されていてもよい。
このように、冷凍制御部5がバッテリ20の蓄電量に応じて、冷凍機30の制御温度を設定温度およびそれぞれの省エネ温度のいずれかの温度に変更後、冷凍制御部5は、庫内温度がそれぞれの制御温度に近づくように圧縮機31を断続的に動作させる。
次に、本実施形態において、バッテリ20の電力により冷凍機30が動作する場合のバッテリ20の蓄電量および庫内温度の時間変化を図13のグラフを参照して説明する。図13の2つのグラフは、上のグラフがバッテリ20の蓄電量の変化および所定量を示し、下グラフが庫内温度の変化、設定温度、それぞれの省エネ温度を示す。
図13に示すように、バッテリ20の蓄電量が第1所定量以上である場合、冷凍制御部5は、冷凍機30を通常運転で動作させるため、庫内温度が設定温度に近づくように圧縮機31を断続的にオンオフさせる。また、冷凍機30が通常運転で動作している間、圧縮機31、室内ファン39などは、バッテリ20に蓄電された電力によって動作するため、圧縮機31、室内ファン39などの動作によって、バッテリ20の蓄電量が減少する。
バッテリ20の蓄電量が第1所定量未満になると、冷凍制御部5は、運転モードを省エネ運転に切り替え、制御温度を第1省エネ温度である7℃に変更する。制御温度が第1省エネ温度である省エネ運転時のオフ判定温度Toffは、通常運転時のオン判定温度Tonよりも高い温度である。このため、庫内温度が、制御温度が第1省エネ温度である省エネ運転時のオン判定温度Tonになるまで圧縮機31の動作が停止され、庫内温度が上昇する。圧縮機31の動作停止によって庫内温度が、制御温度が第1省エネ温度である省エネ運転時のオン判定温度Tonになると、冷凍制御部5は、圧縮機31の動作を再開させ、庫内温度が第1省エネ温度に近づくように圧縮機31を断続的にオンオフさせる。また、バッテリ20の蓄電量は、圧縮機31、室内ファン39などの動作によって、減少する。
運転モードが省エネ運転で維持され、バッテリ20の蓄電量が第2所定量未満になると、冷凍制御部5は、制御温度を第2省エネ温度である9℃に変更する。制御温度が第2省エネ温度である省エネ運転時のオフ判定温度Toffは、制御温度が第1省エネ温度である省エネ運転時のオン判定温度Tonよりも高い温度である。このため、庫内温度が、制御温度が第2省エネ温度である省エネ運転時のオン判定温度Tonになるまで圧縮機31の動作が停止される。圧縮機31の動作停止によって庫内温度が、制御温度が第2省エネ温度である省エネ運転時のオン判定温度Tonになると、冷凍制御部5は、圧縮機31の動作を再開させ、庫内温度が第2省エネ温度に近づくように圧縮機31を断続的にオンオフさせる。また、バッテリ20の蓄電量は、圧縮機31、室内ファン39などの動作によって、減少する。
運転モードが省エネ運転で維持され、バッテリ20の蓄電量が第3所定量未満になると、冷凍制御部5は、制御温度を第3省エネ温度である11℃に変更する。制御温度が第3省エネ温度である省エネ運転時のオフ判定温度Toffは、制御温度が第2省エネ温度である省エネ運転時のオン判定温度Tonよりも高い温度である。このため、庫内温度が、制御温度が第3省エネ温度である省エネ運転時のオン判定温度Tonになるまで圧縮機31の動作が停止される。圧縮機31の動作停止によって庫内温度が、制御温度が第3省エネ温度である省エネ運転時のオン判定温度Tonになると、冷凍制御部5は、圧縮機31の動作を再開させ、庫内温度が第3省エネ温度に近づくように圧縮機31を断続的にオンオフさせる。また、バッテリ20の蓄電量は、圧縮機31、室内ファン39などの動作によって、減少する。
なお、設定温度およびそれぞれの省エネ温度での電力消費量は、制御温度が高くなるにつれて小さいくなるため、制御温度が高くなるにつれてバッテリ20の蓄電量の減少量が緩やかになる。
以上説明した本実施形態の車載用冷凍装置1によれば、冷凍制御部5は、バッテリ20の蓄電量に応じて、制御温度を変更することができる。
このため、車載用冷凍装置1は、バッテリ20の蓄電量に応じて省エネ運転の制御温度が切り替わることで、バッテリ20の電力消費量を抑制し、冷凍機30の動作可能時間を延長することができる。また、冷凍制御部5が制御温度を複数の省エネ温度に切り替えることで、庫内温度が段階的に変化し、庫内温度は、設定温度から乖離する温度差を抑制することができる。
(第4実施形態の変形例)
上述の第4実施形態では、省エネ運転での動作時にオフセット温度Δt1が2℃、Δt2が4℃、Δt3が6℃である場合について説明したが、これに限定されない。例えば、冷却動作の場合、それぞれのオフセット温度Δt1、Δt2、Δt3は、Δt1<Δt2<Δt3の範囲であれば、2℃、4℃、6℃よりも低い温度や、2℃、4℃、6℃よりも高い温度であってもよい。
また、上述の第4実施形態では、省エネ運転での動作時に、冷凍制御部5が予め設定された3つの省エネ温度に基づいて制御温度を変更する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、省エネ運転での動作時において、冷凍制御部5は、2つや4つなどの予め設定された省エネ温度に基づいて制御温度を変更するように構成されていてもよい。また、例えば、冷凍制御部5は、予め設定された複数の省エネ温度に基づいて断続的に制御温度を変更するのではなく、バッテリ20の蓄電量に応じて連続的に制御温度を変更するように構成されていてもよい。
(他の実施形態)
以上、本開示の代表的な実施形態について説明したが、本開示は、上述の実施形態に限定されることなく、例えば、以下のように種々変形可能である。
上述の実施形態では、バッテリ20が発電機12を介してエンジン10の動力によって充電される構成例について説明したが、これに限定されない。例えば、バッテリ20は、外部の商用電源に接続可能に構成されており、商用電源によってバッテリ20を充電可能に構成されていてもよい。
また、上述の実施形態では、圧縮機31が、高圧コンバータ13およびバッテリ20のいずれかから供給される電力により動作する電動圧縮機で構成されている例について説明したが、これに限定されない。例えば、車載用冷凍装置1は、電動圧縮機に加えて、エンジン10の回転によって動作する機械式圧縮機で備える構成であってもよい。機械式圧縮機は、エンジン10にベルト掛けされて接続されており、エンジン10の回転に伴い、機械式圧縮機が動作する。これにより、車載用冷凍装置1は、車両走行時などエンジン10が回転している場合、エンジン10の動力により機械式圧縮機が動作し、アイドリングストップ状態において、エンジン10が回転していない場合、バッテリ20の電力により電動圧縮機が動作する。
また、上述の実施形態では、車載用冷凍装置1がエンジン10の動力およびバッテリ20の電力により冷凍機30を動作する構成例について説明したが、これに限定されない。例えば、車載用冷凍装置1は、発電機12およびバッテリ20に加えて、外部の商用電源の電力により、冷凍機30を動作させるように構成されていてもよい。
また、上述の実施形態では、冷凍制御部5が車両ECU11からエンジン10の回転のオンオフ情報を受信することで、冷凍機30がバッテリ20によって動作する構成例について説明したが、これに限定されない。例えば、冷凍制御部5は、冷凍車2の速度を検出する車速センサ、冷凍車2の位置を検出する位置センサ等から冷凍車2の移動の有無の情報を受信することでエンジン10の停止情報を検出し、冷凍機30がバッテリ20によって動作可能に構成されていてもよい。
また、上述の実施形態では、庫内温度が制御温度に近づくように冷凍制御部5がインバータ32の動作を制御することで、圧縮機31を断続的に動作させる例について説明したが、これに限定されない。例えば、冷凍制御部5は、インバータ32を制御することで庫内温度が制御温度に近づくように圧縮機31が連続的に動作可能に構成されていてもよい。
また、上述の実施形態では、冷凍制御部5がバッテリ20の蓄電量に応じて運転モードを切り替える例について説明したが、これに限定されない。例えば、バッテリ20の蓄電量の情報に加えて、実際に消費されている電力消費量の情報を検出することで、その時のバッテリ20の蓄電量における、冷凍機30が動作できる時間を算出可能なように構成されていてもよい。
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
これにより、例えば、バッテリ20の電力により冷凍機30を動作させる時間が決まっている場合、冷凍機30の動作可能時間に対して予定している動作時間が短い場合、冷凍制御部5は、運転モードを通常運転で維持する。また、冷凍機30の動作可能時間に対して予定している動作時間が長い場合、冷凍制御部5は、運転モードを省エネ運転に切り替えることができる。このため、バッテリ20の蓄電量が少ない場合であっても、一律に運転モードの切り替えを行わず、冷凍機30の動作可能時間に対して予定している動作時間が長い場合に限定して運転モードを切り替えることで、庫内温度が設定温度から乖離する時間を短くできる。
また、上述の実施形態では、車載用冷凍装置1がユーザの操作によって省エネ温度を設定可能なコントローラ7を備える例について説明したが、これに限定されない。例えば、車載用冷凍装置1は、ユーザの操作によって省エネ温度を設定可能なコントローラ7を備えておらず、省エネ温度が予め設定された温度から変更できないように構成されていてもよい。
また、上述の実施形態では、冷凍機30が冷却機能および加熱機能を有する例について説明したが、これに限定されない。例えば、冷凍機30は、冷却機能および加熱機能のいずれかの機能のみを有するように構成されていてもよい。
また、上述の実施形態では、冷凍機30が蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置を含んで構成されている例について説明したが、これに限定されない。例えば、冷凍機30は、蒸気圧縮式以外の冷凍サイクル装置を含んで構成されていてもよい。また、冷凍機30は、冷凍サイクル装置以外のもので構成されていてもよい。
上述の実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
上述の実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されない。
上述の実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されない。
(まとめ)
上述の実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、発電機、バッテリ、冷凍庫を有する車両に搭載される車載用冷凍装置は、冷凍庫内の温度である庫内温度を調整する冷凍機と、冷凍機の運転モードを切り替える冷凍制御部と、を備える。運転モードは、庫内温度がユーザによって設定された設定温度になるように冷凍機を制御する通常運転および庫内温度が省エネ温度になるように冷凍機を制御する省エネ運転を含む。省エネ温度は、設定温度に比べて外気温度が高い場合、設定温度より高く、設定温度に比べて外気温度が低い場合、設定温度より低い温度である。冷凍制御部は、エンジンの動力を利用して冷凍機が動作する場合、運転モードを通常運転に切り替る。また、冷凍制御部は、バッテリの電力により冷凍機が動作する場合において、バッテリの蓄電量が所定量以上の場合、運転モードを通常運転に切り替え、バッテリの蓄電量が所定量未満の場合、運転モードを省エネ運転に切り替える。
第2の観点によれば、冷凍制御部は、バッテリの電力により冷凍機が動作する場合において、バッテリの蓄電量が所定量未満の場合、所定条件が成立するまで運転モードをエネ運転に切り替える。そして、冷凍制御部は、所定条件の成立後に運転モードを通常運転に切り替える。
これによると、車載用冷凍装置は、冷凍機が省エネ運転で動作している間、電力消費量が抑制され、冷凍機の動作可能時間を延長することができる。また、所定条件成立後、冷凍制御部は、運転モードを省エネ運転から通常運転に切り替えることで、庫内温度が設定温度に近づくように調整されるため、庫内温度が設定温度から乖離する時間を抑制することができる。
第3の観点によれば、冷凍制御部は、バッテリの電力により冷凍機が動作する場合において、バッテリの蓄電量が所定量未満の場合、所定量未満となる状態が検出されてからの経過時間が所定時間を経過後に運転モードを前記省エネ運転に切り替える。
これによると、蓄電量が所定量未満状態でバッテリの電力により冷凍機を動作させる場合、バッテリ20の電力消費量の抑制の必要性が少なければ、車載用冷凍装置は、庫内温度を設定温度から乖離することはなく、設定温度に近い温度で調整することができる。
第4の観点によれば、冷凍制御部は、冷凍機を省エネ運転で運転させる場合において、バッテリの蓄電量に応じて省エネ温度を変更する
これによると、車載用冷凍装置は、バッテリの蓄電量に応じて省エネ運転の制御温度が切り替わることで、バッテリの電力消費量を抑制し、冷凍機の動作可能時間を延長することができる。また、例えば、冷凍制御部が複数の省エネ温度に切り替える場合、庫内温度が段階的に変化され、庫内温度は、設定温度から乖離する温度差を抑制することができる。
第5の観点によれば、車載用冷凍装置は、省エネ温度の温度情報を冷凍制御部に送信可能なコントローラを備え、コントローラが、ユーザが省エネ温度の設定を変更可能に構成されている。
これにより、ユーザは、環境、荷物、設定温度などに応じて、所望のタイミングで所望の省エネ温度に設定することができる。
第6の観点によれば、車載用冷凍装置は、冷凍庫内の空気を冷却する冷却機能と、冷凍庫内の空気を加熱する加熱機能とを有する。
これにより、車載用冷凍装置は、冷凍庫内に冷却が必要な荷が積まれている場合に当該荷を適温に冷却することができる。また、車載用冷凍装置は、冷凍庫内に加熱が必要な荷が積まれている場合に当該荷を適温に加熱することができる。
第7の観点によれば、車載用冷凍装置は、冷凍庫内に設置された室内熱交換器を有する蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置を含み、室内熱交換器で冷媒を蒸発させることで冷却機能を発揮するように構成されている。また、車載用冷凍装置は、室内熱交換器で冷媒を放熱させることで加熱機能を発揮するように構成されている。
これにより、車載用冷凍装置は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルによって冷媒を循環させることで、冷凍庫内の空気を冷却または加熱することができる。