JP7133832B2 - 蛍光性官能基を有する分子インプリントナノ粒子 - Google Patents

蛍光性官能基を有する分子インプリントナノ粒子 Download PDF

Info

Publication number
JP7133832B2
JP7133832B2 JP2018024771A JP2018024771A JP7133832B2 JP 7133832 B2 JP7133832 B2 JP 7133832B2 JP 2018024771 A JP2018024771 A JP 2018024771A JP 2018024771 A JP2018024771 A JP 2018024771A JP 7133832 B2 JP7133832 B2 JP 7133832B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
substance
measured
nanoparticles
monomer
fluorescent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018024771A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018132527A (ja
Inventor
靖男 吉見
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shibaura Institute of Technology
Original Assignee
Shibaura Institute of Technology
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shibaura Institute of Technology filed Critical Shibaura Institute of Technology
Publication of JP2018132527A publication Critical patent/JP2018132527A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7133832B2 publication Critical patent/JP7133832B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Investigating, Analyzing Materials By Fluorescence Or Luminescence (AREA)

Description

本発明は、測定物質を認識して蛍光強度が増大する分子インプリントナノ粒子、及び前記分子インプリントナノ粒子を用いた測定方法に関する。
分子インプリント高分子(MIP)は、認識対象物質(鋳型)の存在下で、それに対して親和性を持つモノマー(機能性モノマー)と架橋性モノマーとを共重合した後に、認識対象物質(鋳型)を抜き出すことにより得られる分子である。MIPは、認識対象物質(鋳型)に対する特異結合サイトを持った高分子であり、簡便かつ経済的なプロセスで、任意の対象物質に対してテーラーメイド的に調製できる分子認識素子である。
本発明者はこれまでに、表面にMIPをグラフトした電極における酸化還元電流は、鋳型の濃度に依存することを見出した。これは鋳型とMIPの特異的相互作用によって、レドックス種の基盤電極へのアクセシビリティの変化(ゲート効果)が生じるためと考えられる。この電流を測定することで鋳型を簡便かつ迅速にセンシングできる。この知見に基づいて、特許文献1には、分子インプリント高分子を固定化した基板から構成される抗凝固薬測定用センサが記載されている。また、特許文献2には、分子インプリント高分子を表面上に直接固定化した基板から構成されるセンサであって、レドックス種が、前記分子インプリント高分子及び/又は前記基板に固定化されている前記センサが記載されている。
また、非特許文献1には、蛍光性官能基を導入したMIPは、消光性のある鋳型と特異結合すると、蛍光強度の減少から特異結合量を計測できることが記載されているが、この手法は、消光性のある鋳型にしか利用できないという欠点がある。
国際公開WO2012/124800号公報 国際公開WO2016/140337号公報
Gao, L., et al., Molecularly imprinted polymer microspheres for optical measurementof ultra trace nonfluorescent cyhalothrin in honey, Food Chem., 156, 1-6, 2014 Poma, A. et al, Solid-Phase Synthesis of Molecularly Imprinted Polymer Nanoparticles with a Reusable Template-"Plastic Antibodies", Advanced Functional Materials, 23, 2821-2827, 2013
神経伝達物質は、神経細胞間の信号伝達を担う重要な生体関連物質である。ヒトを含む動物の行動や疾病において、各種伝達物質がどの場所でどのようなタイミングで分泌されるかは、情動や記憶、学習、判断などの脳神経機能やその障害のメカニズムを理解する上で重要である。しかし、現状においては、神経伝達物質をモニタリングする技術が存在しない。
従来の神経伝達物質を検出する方法としては、脳内に中空糸透析膜を穿刺し、中空糸内部に拡散する伝達を回収して、液体クロマトグラフィーなどで分析するマイクロダイアリシス法が一般的である。しかし、マイクロダイアリシス法は、回収に分単位の時間が必要であるため、リアルタイムモニタリングには適さない。また神経組織に対して著しく侵襲的であるため、自然な分泌を反映しているかが問題となる。
神経伝達物質に特異的に反応して蛍光強度が変化するプローブがあれば、顕微鏡観察によってリアルタイムに分泌を検出できるだけでなく、分泌箇所も特定でき、しかも組織に対して侵襲性が低いという利点もあり、神経伝達物質の分泌、神経活動及び神経疾病の分析を著しく進めることができる。しかし、各々の神経伝達物質に対応したプローブを分子設計して合成することは困難である。MIPは任意の対象物質に特異的に結合する分子を簡単に作製できる手法であるが、特異結合を光信号に変換する方法は確立していない。
本発明は、測定物質を認識して蛍光強度が増大するようなナノ粒子を提供することを解決すべき課題とする。
A. Pomaらは、測定物質(鋳型)をガラスビーズ表面に固定して、その周辺で機能性モノマーと架橋性モノマーとを共重合させた後、ガラスビーズから高分子を脱離させると、鋳型に対して特異的結合能を示すMIPナノ粒子を合成できることを見出した(非特許文献2)。本発明者らは、このMIPのナノ粒子が鋳型と特異結合することによって、粒径が変化することを見出した(吉見ら「電極におけるヘパリンインプリント高分子層の形成に関する考察」化学工学会79年会, 岐阜)。そこで本発明者らは、MIPナノ粒子に蛍光物質を導入することにより、鋳型との特異結合により蛍光強度が増大するプローブを提供することに成功した。本発明は、上記の知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明の態様は以下に関する。
(1) 蛍光性官能基を有する分子インプリント高分子からなるナノ粒子であって、測定物質が存在しない状態では自己消光し、測定物質が存在する状態では蛍光強度が増大する、ナノ粒子。
(2) ナノ粒子の平均粒径が、10nm~1000nmである、(1)に記載のナノ粒子。
(3) ナノ粒子が、機能性モノマーと架橋性モノマーと蛍光性モノマーと開始剤と測定物質とを混合して重合させることにより製造される、(1)又は(2)に記載のナノ粒子。
(4) 機能性モノマーが、メタクリル酸である、(3)に記載のナノ粒子。
(5) 架橋性モノマーが、エチレングリコールジメタクリレートである、(3)又は(4)に記載のナノ粒子。
(6) 蛍光性モノマーが、アリル基(CH=CH-CH-)を有する蛍光分子である、(3)から(5)の何れか一に記載のナノ粒子。
(7) 蛍光性モノマーが、アリルフルオレセインである、(3)から(6)の何れか一に記載のナノ粒子。
(8) 測定物質が、担体に固定されている測定物質である、(3)から(7)の何れか一に記載のナノ粒子。
(9) 測定物質が、ビースに固定されている測定物質である、(3)から(8)の何れか一に記載のナノ粒子。
(10) 測定物質が、ホルモン、神経伝達物質、がん細胞分泌物、抗菌剤、または抗凝固薬である、(1)から(9)の何れか一に記載のナノ粒子。
(11) 測定物質が、セロトニンである、(1)から(10)の何れか一に記載のナノ粒子。
(12) (1)から(11)の何れか一に記載のナノ粒子に、測定物質を含有する試料を接触させ、蛍光強度の変化を検出することを含む、測定物質の測定方法。
本発明のナノ粒子は、測定物質を認識することにより蛍光強度が増大することから、測定物質をモニタリングするためのプローブとして有用である。
図1は、MIPナノ粒子の粒径に与える鋳型の影響を示す。 図2は、MIPの蛍光スペクトルと添加されたセロトニン(5-HT)とトリプトファン(Trp)との関係を示す。 図3は、MIPからの蛍光スペクトルのセロトニンおよびL-トリプトファンの濃度依存性を示す。 図4は、本発明のナノ粒子において推定される分子認識による蛍光強度増大のメカニズムを示す。 図5は、染色をしていない脳神経節の蛍光強度変化(Brank)を示す。光学測定条件:時間分解能3.70ms,画像分解能184×124,接眼レンズ倍率3.2,対物レンズ倍率6.4,フレーム数10920 図6は、24時間染色後の脳神経節の蛍光強度変化を示す。光学測定条件:時間分解能3.70 ms,画像分解能184×124,接眼レンズ倍率3.2,対物レンズ倍率6.4,フレーム数10920
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明のナノ粒子は、蛍光性官能基を有する分子インプリント高分子からなるナノ粒子であって、測定物質が存在しない状態では自己消光し、測定物質が存在する状態では蛍光強度が増大する。
本発明のナノ粒子によれば、微小空間における任意の測定物質のセンシングが可能であり、生体における任意の測定物質の分泌をリアルタイムにイメージングでき、生体内の特定物質の分泌をリアルタイムにイメージングする診断技術を開発することが可能である。
本発明のナノ粒子の応用の一例としては、本発明による蛍光性官能基を有する分子インプリント高分子からなるナノ粒子を、神経細胞に付着させ、鋳型とした伝達物質を蛍光顕微鏡で観察しながら高速ビデオ撮影(ミリ秒単位)することにより、脳内の伝達物質の分泌のタイミングと位置を特定し、行動との関係を解析することが可能である。さらに別の例としては、がん細胞から分泌される物質を測定物質(鋳型)として、本発明による蛍光性官能基を有する分子インプリント高分子からなるナノ粒子を用いてがん患部を染色することにより、活発ながんや腫瘍を可視化でき、外科手術の効率化を図ることができる。
上記の通り、本発明のナノ粒子は、化学センサ・バイオセンサ、機能性高分子、医療用デバイス、再生医療及び細胞診断などの分野で利用可能である。
本発明のナノ粒子の平均粒径(測定物質(鋳型)が存在しない場合)は特に限定されないが、一般的には10nm~1000nmであり、好ましくは10nm~500nmであり、より好ましくは20nm~500nmであり、さらに好ましくは20nm~300nmである。本明細書における平均粒径は、動的光散乱法により測定された値で示すものとする。
特定の測定物質(鋳型)とそれに可逆的に結合する機能性モノマーが自己組織した状態で、機能性モノマーを架橋性モノマーと共重合させることで鋳型の分子構造を記憶し、それと特異的に再結合する分子インプリント高分子を合成することができる。この分子インプリント高分子は、生体高分子に比べると化学的かつ物理的安定性に富み、低コストかつ短時間に調製できる。
本発明のナノ粒子は、機能性モノマーと架橋性モノマーと蛍光性モノマーと開始剤と測定物質とを混合して重合させることにより製造することができる。
本発明で用いる機能性モノマーは、特に限定されず、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、ビニルフェニルボロン酸、アクリルアミドボロン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-(トリフルオロメチル)アクリル酸などを使用することができる。
また、ヘパリン等を測定する場合には、カチオン性モノマーを使用することもできる。ヘパリンは、スルホン酸基を多数含むため、カチオン性の機能性モノマーを使用することにより、ヘパリンと特異結合する分子インプリント高分子を合成することが可能になる。カチオン性モノマーとしては、1~3級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド、1~3級アミノ基含有(メタ)アクリレート、4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリルアミド、4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレート、ジアリルジアルキルアンモニウムハライド等のように、分子内にカチオン性基を有するものである。3級アミノ基含有(メタ)アクリルアミドとしては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。3級アミノ基含有(メタ)アクリレートとしては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、1~2級アミノ基含有(メタ)アクリルアミドとしては、アミノエチル(メタ)アクリルアミドなどの1級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド、或は、メチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、エチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、t-ブチルアミノエチル(メタ)アクリルアミドなどの2級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。1~2級アミノ基含有(メタ)アクリレートとしては、アミノエチル(メタ)アクリレートなどの1級アミノ基含有(メタ)アクリレート、或は、メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの2級アミノ基含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリルアミドおよび4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレートとしては、3級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド又は3級アミノ基含有(メタ)アクリレートを、塩化メチル、塩化ベンジル、硫酸メチル、エピクロルヒドリンなどの4級化剤で4級化したモノ4級塩基含有モノマーが挙げられる。具体的には、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、アクリルアミドプロピルベンジルジメチルアンモニウムクロリド、メタクリロイロキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、アクリロイロキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリエチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイロキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイロキシエチルトリエチルアンモニウムクロリドなどが挙げられる。上記の中でも、カチオン性モノマーの具体例としては、例えば、メタクリル酸エチルトリメチルアンモニウムクロリド、ビニルピリジン、ジエチルアミノエチルメタクリレートなどがある。これらを1種または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明で用いる架橋性モノマーとしては、例えば、メチレンビスアクリルアミド、1,4-ブチルジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ノナエチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、トリメチロールプルパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレートなどが挙げられる。上記の中でも特に好ましくは、例えば、メチレンビスアクリルアミド、ポリエチレングリコールジメタクリレートなどがある。これらを1種または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合の際には、架橋度調整用モノマーを使用することができる。架橋度調整用モノマーとしては、アクリルアミドなどを使用することができる。これらを1種または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明で用いる蛍光性モノマーは、特に限定されないが、アリル基(CH=CH-CH-)などの重合性基を有する蛍光分子であることが好ましい。
蛍光分子としては、フルオレセイン系化合物(フルオレセイン、FITC(フルオレセインイソチオシアネート)、6-FAM(6-カルボキシフルオレセイン)、TET(テトラクロロ-6-カルボキシフルオレセイン)、HEX(ヘキサクロロフルオレセイン)、6-JOE(6-カルボキシ-4’,5’-ジクロロ-2’,7’-ジメトキシフルオレセイン))、ローダミン系化合物(ローダミン、ROX(カルボキシ-6-ローダミン)、TAMRA((6-テトラメチルローダミン-5(6)-カルボキサミド)ヘキサノエート)など)、Alexa Fluor(登録商標)化合物(例、Alexa Fluor 532、Alexa Fluor 488、Alexa Fluor 555、Alexa Fluor 633、Alexa Fluor 647)、ATTO化合物(ATTO488、ATTO532、ATTO550、ATTORho6G、ATTO647N)、テキサスレッド、シアニン系化合物(Cy5、Cy3、Cy3.5など)などが挙げられる。
分子インプリント高分子を製造する際に使用する測定物質は、担体(好ましくは、ビーズ等)に固定されている測定物質であることが好ましい。
本発明のセンサを用いて測定する測定物質は特に限定されず、ホルモン・神経伝達物質(セロトニン、ドーパミン、アドレナリン、アセチルコリン、γ-アミノ酪酸など)、がん細胞分泌物(乳酸、増殖因子など)、微生物が分泌する物質(バイオフイルム、微生物間の情報伝達物質等を含む)、抗菌剤(バンコマイシン、テイコプラニンなど)、抗凝固薬、麻酔薬、農薬、抗がん剤(ゲフィチニブ、フルオロウラシル、メトトレキサートなど)など任意の物質を測定することができる。
抗凝固薬としては、ヘパリン、ヘパリン類似物質(低分子量ヘパリンなどを含む)、ワルファリン、アセノクマロール、フェニンジオンなどを挙げることができるが、特にこれらに限定されるものではない。
本発明によれば、上記したナノ粒子に、測定物質を含有する試料を接触させ、蛍光強度の変化(蛍光強度の増大)を検出することによって、測定物質を測定することができる。試料としては、全血または血液成分(例えば、血漿又は血清など)を使用することができる。あるいは、本発明によれば、上記したナノ粒子を生体に投与して、生体内における蛍光強度の変化(蛍光強度の増大)を検出することによって測定物質の存在や量などを分析することができる。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により特に限定されるものではない。
実施例1:蛍光性モノマーの合成
既報(Gao, L., et al., Molecularly imprinted polymer microspheres for optical measurementof ultra trace nonfluorescent cyhalothrin in honey, Food Chem., 156, 1-6, 2014)の方法に準じて、臭化アリルを蛍光色素フルオレセインのカルボキシル基とアルカリ条件下で結合させ、蛍光性モノマーであるアリルフルオレセインを合成した。
実施例2:セロトニンのガラスビーズの固定
既報(Poma, A. et al, Solid-Phase Synthesis of Molecularly Imprinted Polymer Nanoparticles with a Reusable Template-“Plastic Antibodies”, Advanced Functional Materials, 23, 2821-2827, 2013)に方法に準じて、粒径50μmのガラスビーズを3Mの硝酸中で煮沸して洗浄して、純水で洗浄して乾燥した。その後10%のアミノプロピルトリメトキシシラン水溶液に20分間浸漬して撹拌し、表面をアミノ化した。メタノールで洗浄した後、真空乾燥した。これを10%グルタルアルデヒド水溶液中にて撹拌し、表面にアルデヒド基を導入した。これをそしてガラスビーズを0.5mMセロトニン水溶液中(pH7.4のリン酸緩衝塩を含む)に加えてガラスビーズに鋳型物質であるセロトニンを固定した。
実施例3:セロトニンを鋳型とした分子インプリント高分子ナノ粒子(MIP NP)の合成
メタクリル酸360μL、エチレングリコールジメタクリレート1286mg及びアリルフルオレセイン0.01gをジエチルジオチルカルバメートベンジル(開始剤)0.15g、N,N-ジメチルホルムアミド6mLおよび蒸留水900μLの混合溶媒に溶かした重合溶液を調製した。上記の重合溶液に、セロトニンを固定したガラスビーズを浸した。次に重合溶液に窒素を流入し、ガラスビーズが流動した状態でキセノンランプを照射してMIP NPを合成した。そして処理したガラスビーズをジメチルホルムアミド、水で洗浄した後、60℃の1M NaCl溶液でガラスビーズからMIPを遊離させた。合成したMIP NP分散溶液を、セルロースチューブ膜の中に封入して、リン酸緩衝液中で透析し、MIP NP以外の溶質を除去した。
実施例4:動的光散乱法を用いたMIP NPの粒径測定
MIP NP分散溶液にセロトニンまたはトリプトファンを0-15μM添加し、MIP NPの平均粒径を動的光散乱分光器(DelsaMax Pro,Beckman Coulter)で測定した。
MIPの平均粒径の測定結果を図1に示す。MIPの粒径はセロトニンの存在によって、粒径が2倍以上増大したのに対し、L-トリプトファンによる変化は20%程度の増大のみであった。
実施例5:蛍光分光光度計を用いたMIP NPの蛍光評価
pH 7.4リン酸緩衝溶液にMIP NP分散を溶液の蛍光強度を蛍光分光器F750(日本分光)で測定した。またMIP NP分散溶液にセロトニンおよびL-トリプトファンを50μM添加した時の蛍光強度スペクトルを測定した。MIP NP分散溶液にセロトニンまたはトリプトファンを0-15μM添加し、ピーク蛍光強度と濃度の関係を観察した。
MIPからの蛍光スペクトルのセロトニンおよび構造類似物L-トリプトファンの添加(50μM)による変化を図2に示す。セロトニンの場合は約40%の強度増加が認められたが、L-トリプトファンの場合は約13%の増加であった。また、MIPからの蛍光スペクトルのセロトニンおよびL-トリプトファンの濃度依存性を図3に示す。
上記した結果から本発明のナノ粒子において推定される分子認識による蛍光強度増大のメカニズムを図4に示す。
本発明の分子インプリントナノ粒子にはフルオレセイン基等の蛍光性基が高密度に存在すると考えられる。そのため蛍光性基同士で消光し合う自己消光が起こっている可能性がある。MIPナノ粒子が鋳型との特異相互作用によって膨潤することにより、フルオレセイン基等の蛍光性基の密度が低下し、蛍光性基周囲の水による消光が減じられ、蛍光強度が増大したことが考えられる。
実施例6:分子インプリント高分子ナノ粒子(MIP NP)によるアメフラシ神経細胞の染色
(1)サンプルの作製
アメフラシから摘出した脳神経節を、シリコーン製のセルに固定ピンで固定した。脳神経節のニューロンを覆う神経上膜を微小ハサミで剥離し、ニューロンを露出させた。その後、MIPナノ粒子と人工海水(ASW)を1:1で混合した溶液2.5mLを、神経節固定チャンバー内に注ぎ、セル全体をアルミホイルで包んで遮光し、室温で60分間静置した。
(2)脳神経節の観察
脳神経節固定チャンバー内の溶液を、パスツールピペットを用いてASWと入れ換えた。
以上より作製した測定サンプルを、セルごと蛍光顕微鏡下に設置し、蛍光顕微鏡により観察した。
また、解剖後、MIPナノ粒子による染色を行わなかった脳神経節をBrankとして、蛍光顕微鏡で観察した。
(3)結果・考察
図5に、Brankとして染色をしていない脳神経節の蛍光強度変化チャートを示し、図6にはMIPナノ粒子24時間染色後の脳神経節の蛍光強度変化を示した。
蛍光強度変化は図5では、最大0.1%見られた。細胞のみでも蛍光していることより、自家蛍光であることが考えられるが、その上蛍光強度変化が生じていることから、細胞内の蛍光物質の蛍光強度変化が測定されてしまった可能性がある。しかし、MIPナノ粒子による蛍光強度変化は理論上0.3%程度であると推測されているため、自家蛍光による強度変化が0.1%程度であるならば、判別は可能である。
図6では蛍光強度変化と見られる変化はなかった。細胞のみで蛍光強度変化が見られ、MIPナノ粒子では蛍光強度変化が見られないことから、自家蛍光による強度変化と、MIPナノ粒子による強度変化が互いに打ち消し合っている可能性が考えられる。
染色がされているか、されていないかの指標として蛍光顕微鏡のSaturation averageとSaturation max(飽和度)の値を記録し、表1に示した。この飽和度は青色レーザーの位置を調節している際に、最も値が大きくなり、安定したときの値を記録した。
Figure 0007133832000001
染色なしの場合でも飽和度は70%と高い値になっていたが、24時間染色後には飽和度は100%となり、平均値も55%と明確な蛍光強度の変化が見られた。このことから、MIPナノ粒子による神経節の染色はなされている可能性が高いことが判明した。

Claims (12)

  1. 蛍光性官能基を有する分子インプリント高分子からなるナノ粒子であって、測定物質が存在しない状態では自己消光し、測定物質が存在する状態では蛍光強度が増大する、ナノ粒子。
  2. ナノ粒子の平均粒径が、10nm~1000nmである、請求項1に記載のナノ粒子。
  3. 機能性モノマーと架橋性モノマーと蛍光性モノマーと開始剤と測定物質とを混合して重合させることを含む、請求項1又は2に記載のナノ粒子の製造方法。
  4. 機能性モノマーが、メタクリル酸である、請求項3に記載の製造方法
  5. 架橋性モノマーが、エチレングリコールジメタクリレートである、請求項3又は4に記載の製造方法
  6. 蛍光性モノマーが、アリル基(CH=CH-CH-)を有する蛍光分子である、請求項3から5の何れか一項に記載の製造方法
  7. 蛍光性モノマーが、アリルフルオレセインである、請求項3から6の何れか一項に記載の製造方法
  8. 請求項1又は2に記載のナノ粒子に、測定物質を含有する試料を接触させ、蛍光強度の変化を検出することを含む、測定物質の測定方法。
  9. 測定物質が、担体に固定されている測定物質である、請求項8に記載の測定方法
  10. 測定物質が、ビースに固定されている測定物質である、請求項8又は9に記載の測定方法
  11. 測定物質が、ホルモン、神経伝達物質、がん細胞分泌物、抗菌剤、または抗凝固薬である、請求項8から10の何れか一項に記載の測定方法
  12. 測定物質が、セロトニンである、請求項8から11の何れか一項に記載の測定方法。
JP2018024771A 2017-02-17 2018-02-15 蛍光性官能基を有する分子インプリントナノ粒子 Active JP7133832B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017027864 2017-02-17
JP2017027864 2017-02-17

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018132527A JP2018132527A (ja) 2018-08-23
JP7133832B2 true JP7133832B2 (ja) 2022-09-09

Family

ID=63248912

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018024771A Active JP7133832B2 (ja) 2017-02-17 2018-02-15 蛍光性官能基を有する分子インプリントナノ粒子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7133832B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115667932A (zh) * 2020-02-27 2023-01-31 提尔埃克斯奥股份有限公司 传感用纳米颗粒及其制造方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009047507A (ja) 2007-08-17 2009-03-05 Kobe Univ 分子インプリント微粒子を用いた試料中の標的分子検出方法
WO2016140337A1 (ja) 2015-03-04 2016-09-09 学校法人 芝浦工業大学 分子インプリント高分子薄膜を用いたセンサ
WO2016182494A1 (en) 2015-05-09 2016-11-17 Sellergren Börje Molecularly imprinted polymers
US20160377611A1 (en) 2015-06-29 2016-12-29 Polestar Technologies, Inc. Chemical sensor using molecularly-imprinted single layer graphene

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009047507A (ja) 2007-08-17 2009-03-05 Kobe Univ 分子インプリント微粒子を用いた試料中の標的分子検出方法
WO2016140337A1 (ja) 2015-03-04 2016-09-09 学校法人 芝浦工業大学 分子インプリント高分子薄膜を用いたセンサ
WO2016182494A1 (en) 2015-05-09 2016-11-17 Sellergren Börje Molecularly imprinted polymers
US20160377611A1 (en) 2015-06-29 2016-12-29 Polestar Technologies, Inc. Chemical sensor using molecularly-imprinted single layer graphene

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018132527A (ja) 2018-08-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Demir et al. Tracking hyaluronan: molecularly imprinted polymer coated carbon dots for cancer cell targeting and imaging
Wang et al. Surface-imprinted fluorescence microspheres as ultrasensitive sensor for rapid and effective detection of tetracycline in real biological samples
Vaneckova et al. Application of molecularly imprinted polymers as artificial receptors for imaging
CN104356323B (zh) 一种磁性分子印迹纳米颗粒及其制备方法和应用
KR101510488B1 (ko) 신체 조직 중 대사 물질 감지용 히드로겔 이식편
CN103370623B (zh) 水凝胶在具有提高的灵敏度的生物传感器中的用途
Rad et al. FRET-based acrylic nanoparticles with dual-color photoswitchable properties in DU145 human prostate cancer cell line labeling
EP2652500A1 (de) Kompetitiver biosensor mit erhöhter sensitivität
Vashist et al. Development of multifunctional biopolymeric auto-fluorescent micro-and nanogels as a platform for biomedical applications
Nwosu et al. Genipin Cross‐Linked Chitosan‐Polyvinylpyrrolidone Hydrogels: Influence of Composition and Postsynthesis Treatment on pH Responsive Behaviour
WO2017167633A1 (en) Sensor for the detection of biomolecules
CN108548798B (zh) 与细胞内胶体渗透压相关的生物大分子光学检测方法及其相关药物筛选方法的构建和应用
JP5513370B2 (ja) ヒドロゲル組成物
JP7133832B2 (ja) 蛍光性官能基を有する分子インプリントナノ粒子
Reville et al. Customizable molecular recognition: Advancements in design, synthesis, and application of molecularly imprinted polymers
CN113648942A (zh) 羧基化量子点编码荧光微球及其制备方法和应用
WO2017223315A1 (en) Macroporous chitosan-polyacrylamide hydrogel microspheres and preparation thereof
Romero et al. The role of polymers in analytical medical applications. A review
Hun et al. Anti-Her-2 monoclonal antibody conjugated polymer fluorescent nanoparticles probe for ovarian cancer imaging
CN106084110B (zh) 具有pH响应性和聚集诱导荧光增强性质的荧光纳米微球及其应用
Zhu et al. Double imprinting-based electrochemical detection of mimetic exosomes
DE102011054396B4 (de) Verwendung von breitbandig absorbierenden und emittierenden NIR-Fluorophoren mit großem Stokes-Shift als Farbstoffe in core-shell-Nanopartikeln für die Biomarkeranalytik und als Komponenten von FRET-Systemen sowie darauf beruhendes Verfahren
US10086091B2 (en) Method of preparation of biodegradable nanoparticles with recognition characteristics
Chen et al. A new method for microcapsule characterization: use of fluorogenic genipin to characterize polymeric microcapsule membranes
Mohebali et al. Isosorbide dinitrate template-based molecularly imprinted poly (methacrylic acid) nanoparticles: Effect of initiator concentration on morphology and physicochemical properties

Legal Events

Date Code Title Description
AA64 Notification of invalidation of claim of internal priority (with term)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A241764

Effective date: 20180327

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180328

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210129

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20211221

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20211228

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20220215

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220412

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220816

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220823

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7133832

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150