以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
<蒸気システム>
図1は、本実施形態に係る蒸気システム1の一例を模式的に示す図である。蒸気システム1は、工場のような産業施設に設けられる。
蒸気システム1は、それぞれが被動機2に接続された複数の蒸気モータ3からなる蒸気モータ群4と、蒸気モータ群4の運転台数を制御する台数制御装置5とを備える。
本実施形態において、蒸気モータ3は、第1の蒸気モータ3Aと、第2の蒸気モータ3Bと、第3の蒸気モータ3Cとを含む。被動機2は、蒸気モータ3Aに接続される被動機2Aと、蒸気モータ3Bに接続される被動機2Bと、蒸気モータ3Cに接続される被動機2Cとを含む。
本実施形態において、蒸気システム1は、複数の蒸気駆動エアコンプレッサ24を含む。被動機2は、コンプレッサである。以下の説明においては、被動機2(2A,2B,2C)を適宜、コンプレッサ2(2A,2B,2C)、と称する。
また、蒸気システム1は、ボイラ6から蒸気が供給される第1蒸気ヘッダ7と、第1蒸気ヘッダ7から蒸気モータ3に供給される蒸気が流れる供給流路8に配置され、蒸気モータ3への給蒸気量を調整する給蒸気弁9と、排出流路10を介して蒸気モータ3に接続され、蒸気モータ3から排出された蒸気が供給される第2蒸気ヘッダ11と、送気流路12を介してコンプレッサ2に接続され、コンプレッサ2から吐出された圧縮空気が供給される空気タンク13とを備える。
また、蒸気システム1は、第1蒸気ヘッダ7と第2蒸気ヘッダ11とを接続するバイパス流路14に配置され、第2蒸気ヘッダ11の蒸気圧力を調整するバイパス弁15を備える。
また、蒸気システム1は、第1蒸気ヘッダ7の蒸気圧力を検出する第1蒸気圧力センサ16と、第2蒸気ヘッダ11の蒸気圧力を検出する第2蒸気圧力センサ17と、空気タンク13の空気圧力を検出する空気圧力センサ18とを備える。
また、蒸気システム1は、第1蒸気ヘッダ7から蒸気モータ群4に供給される蒸気流量を検出する流量センサ19と、蒸気モータ3の回転数を検出する回転数センサ20と、蒸気モータ3の給蒸気圧力を検出する給蒸気圧力センサ21と、蒸気モータ3の排蒸気圧力を検出する排蒸気圧力センサ22とを備える。
蒸気駆動エアコンプレッサ24は、ボイラ6から供給される蒸気を利用して圧縮空気を生成する。蒸気駆動エアコンプレッサ24は、蒸気モータ3及びコンプレッサ2を有する。複数の蒸気モータ3のそれぞれは、コンプレッサ2に接続される。蒸気モータ群4は、複数の蒸気モータ3により構成される。蒸気モータ3は、ボイラ6から供給される蒸気により作動する。コンプレッサ2は、蒸気モータ3の駆動力により作動して圧縮空気を生成する。
本実施形態において、蒸気駆動エアコンプレッサ24は、蒸気モータ3A及びコンプレッサ2Aを有する蒸気駆動エアコンプレッサ24Aと、蒸気モータ3B及びコンプレッサ2Bを有する蒸気駆動エアコンプレッサ24Bと、蒸気モータ3C及びコンプレッサ2Cを有する蒸気駆動エアコンプレッサ24Cとを含む。
複数の蒸気駆動エアコンプレッサ24のそれぞれは、ローカル制御装置25により制御される。ローカル制御装置25は、蒸気駆動エアコンプレッサ24Aを制御するローカル制御装置25Aと、蒸気駆動エアコンプレッサ24Bを制御するローカル制御装置25Bと、蒸気駆動エアコンプレッサ24Cを制御するローカル制御装置25Cとを含む。
ボイラ6は、例えば小型貫流蒸気ボイラであり、ボイラ給水をバーナで加熱して蒸気を生成する。ボイラ6は、蒸気を生成可能な蒸気ボイラを含む。ボイラ6は、供給流路26を介して第1蒸気ヘッダ7に接続される。ボイラ6で生成された蒸気は、供給流路26を介して第1蒸気ヘッダ7に供給される。
第1蒸気ヘッダ7と複数の蒸気モータ3のそれぞれとは、供給流路8を介して接続される。供給流路8は、第1蒸気ヘッダ7に接続される供給流路8Mと、供給流路8Mから分岐する供給流路8A、供給流路8B、及び供給流路8Cとを含む。供給流路8Aは、蒸気モータ3Aに接続される。供給流路8Bは、蒸気モータ3Bに接続される。供給流路8Cは、蒸気モータ3Cに接続される。第1蒸気ヘッダ7の蒸気は、供給流路8を介して複数の蒸気モータ3のそれぞれに供給される。
なお、第1蒸気ヘッダ7の蒸気は、高圧の蒸気を使用する高圧蒸気使用機器(不図示)に供給される。
蒸気モータ3は、第1蒸気ヘッダ7から供給された蒸気により作動する。蒸気モータ3は、例えばスクリュー式蒸気モータである。スクリュー式蒸気モータは、互いにかみ合う一対のスクリューロータを含む。ロータの給気側に高圧の蒸気が供給されることにより、スクリューロータが回転する。スクリューロータが回転すると、高圧の蒸気は膨張して減圧され、ロータの排気側から低圧の蒸気が排出される。
蒸気モータ3は、第1蒸気ヘッダ7から供給された高圧の蒸気を減圧して、低圧の蒸気を排出する減圧装置として機能する。蒸気モータ3は、蒸気の減圧により発生する蒸気圧力差エネルギーを利用して回転する。
給蒸気弁9は、蒸気モータ3への給蒸気量を調整する。給蒸気弁9は、供給流路8Aに配置され蒸気モータ3Aへの給蒸気量を調整する給蒸気弁9Aと、供給流路8Bに配置され蒸気モータ3Bへの給蒸気量を調整する給蒸気弁9Bと、供給流路8Cに配置され蒸気モータ3Cへの給蒸気量を調整する給蒸気弁9Cとを含む。
蒸気モータ3の回転数は、給蒸気量に連動する。給蒸気弁9により給蒸気量が調整されることにより、蒸気モータ3の回転数が調整される。また、給蒸気弁9により蒸気の供給が停止されることにより、蒸気モータ3の回転が停止する。
蒸気モータ3は、排出流路10に接続される。複数の蒸気モータ3のそれぞれは、排出流路10を介して第2蒸気ヘッダ11に接続される。排出流路10は、蒸気モータ3Aに接続される排出流路10Aと、蒸気モータ3Bに接続される排出流路10Bと、蒸気モータ3Cに接続される排出流路10Cと、排出流路10A、排出流路10B、及び排出流路10Cのそれぞれと第2蒸気ヘッダ11とを接続する排出流路10Mとを含む。複数の蒸気モータ3のそれぞれから排出された低圧の蒸気は、排出流路10を介して第2蒸気ヘッダ11に供給される。
第2蒸気ヘッダ11の蒸気は、低圧の蒸気を使用する低圧蒸気使用機器(不図示)に供給される。
コンプレッサ2は、蒸気モータ3の駆動力により回転して、圧縮空気を生成する。コンプレッサ2は、例えばスクリュー式コンプレッサである。スクリュー式コンプレッサは、互いにかみ合う一対のスクリューロータを含む。一対のスクリューロータが回転することにより、ロータの吸気側から空気が吸入される。スクリューロータが回転すると、吸入された空気は圧縮され、ロータの吐出側から圧縮空気が吐出される。
コンプレッサ2は、送気流路12に接続される。複数のコンプレッサ2のそれぞれは、送気流路12を介して空気タンク13に接続される。コンプレッサ2で生成された圧縮空気は、送気流路12を介して空気タンク13に供給される。
空気タンク13の圧縮空気は、圧縮空気を使用する圧縮空気使用機器(不図示)に供給される。
第1蒸気ヘッダ7と第2蒸気ヘッダ11とは、バイパス流路14を介して接続される。バイパス流路14は、供給流路8Mと排出流路10Mとを接続する。
バイパス弁15は、バイパス流路14の中間部に配置される。バイパス弁15は、第2蒸気ヘッダ11の蒸気圧を規定値に維持する。バイパス弁15は、例えば自力式の減圧弁である。なお、バイパス弁15は、開閉弁でもよい。
第1蒸気圧力センサ16は、第1蒸気ヘッダ7の蒸気圧力を検出する。第1蒸気圧力センサ16の検出データは、台数制御装置5に出力される。
第2蒸気圧力センサ17は、第2蒸気ヘッダ11の蒸気圧力を検出する。第2蒸気圧力センサ17の検出データは、台数制御装置5に出力される。
空気圧力センサ18は、空気タンク13の空気圧力を検出する。空気圧力センサ18の検出データは、台数制御装置5に出力される。
流量センサ19は、第1蒸気ヘッダ7から送出され、供給流路8を流れる蒸気流量を検出する。流量センサ19は、供給流路8Mを流れる蒸気流量を検出して、蒸気モータ群4の運転に利用できる蒸気負荷量を検出する。流量センサ19の検出データは、台数制御装置5に出力される。
回転数センサ20は、蒸気モータ3の単位時間当たりの回転数を検出する。回転数センサ20は、複数の蒸気モータ3(3A,3B,3C)のそれぞれに設けられる。回転数センサ20は、蒸気モータ3Aの回転数、蒸気モータ3Bの回転数、及び蒸気モータ3Cの回転数のそれぞれを検出する。回転数センサ20の検出データは、ローカル制御装置25に出力される。
給蒸気圧力センサ21は、蒸気モータ3の給蒸気圧力を検出する。給蒸気圧力センサ21は、複数の供給流路8(8A,8B,8C)のそれぞれに設けられる。給蒸気圧力センサ21は、蒸気モータ3Aの給蒸気圧力、蒸気モータ3Bの給蒸気圧力、及び蒸気モータ3Cの給蒸気圧力のそれぞれを検出する。給蒸気圧力センサ21の検出データは、ローカル制御装置25に出力される。
排蒸気圧力センサ22は、蒸気モータ3の排蒸気圧力を検出する。排蒸気圧力センサ22は、複数の排出流路10(10A,10B,10C)のそれぞれに設けられる。排蒸気圧力センサ22は、蒸気モータ3Aの排蒸気圧力、蒸気モータ3Bの排蒸気圧力、及び蒸気モータ3Cの排蒸気圧力のそれぞれを検出する。排蒸気圧力センサ22の検出データは、ローカル制御装置25に出力される。
ローカル制御装置25は、給蒸気圧力センサ21の検出データ(給蒸気圧力P1)と排蒸気圧力センサ22の検出データ(排蒸気圧力P2)とに基づいて、給蒸気弁9を含む蒸気モータ3で生じる蒸気の圧力差ΔP(=P1-P2)を算出する。
ボイラ6のバーナの燃焼量は、第1蒸気圧力センサ16で検出された第1蒸気ヘッダ7の蒸気圧力に基づいて制御される。例えば高圧蒸気使用機器により蒸気が使用され、第1蒸気ヘッダ7の蒸気圧力が低くなると、バーナに供給される燃料が増やされ、燃焼量が大きくなる。第1蒸気ヘッダ7の蒸気圧力が高くなると、バーナに供給される燃料が減らされ、燃焼量が小さくなる。また、ボイラ6が複数台存在する場合、第1蒸気ヘッダ7の蒸気圧力が低くなると、ボイラ6の運転台数が増やされ、ボイラ6の燃焼量の総和を示す総燃焼量が大きくなる。第1蒸気ヘッダ7の蒸気圧力が高くなると、ボイラ6の運転台数が減らされ、総燃焼量が小さくなる。これにより、第1蒸気ヘッダ7の蒸気圧力は規定値に維持される。
台数制御装置5は、第2蒸気圧力センサ17の検出データに基づいて、低圧蒸気使用機器により使用された蒸気の使用量を示す蒸気負荷を算出する。蒸気が使用されない場合、第2蒸気圧力センサ17で検出される第2蒸気ヘッダ11の蒸気圧力は高い値を維持する。蒸気が使用された場合、第2蒸気圧力センサ17で検出される第2蒸気ヘッダ11の蒸気圧力は低下する。したがって、台数制御装置5は、第2蒸気圧力センサ17により検出される第2蒸気ヘッダ11の蒸気圧力に基づいて、蒸気負荷を算出することができる。
台数制御装置5は、空気圧力センサ18の検出データに基づいて、圧縮空気使用機器により使用された圧縮空気の使用量を示す空気負荷を算出する。圧縮空気が使用されない場合、空気圧力センサ18で検出される空気タンク13の空気圧力は高い値を維持する。圧縮空気が使用された場合、空気圧力センサ18で検出される空気タンク13の空気圧力は低下する。したがって、台数制御装置5は、空気圧力センサ18により検出される空気タンク13の空気圧力に基づいて、空気負荷を算出することができる。
ローカル制御装置25は、給蒸気弁9を制御する。ローカル制御装置25は、蒸気モータ3への給蒸気量を調整する流量指令を給蒸気弁9に出力する。
ローカル制御装置25から給蒸気弁9に出力される流量指令は、給蒸気弁9を全開にする開指令、給蒸気弁9を全閉にする閉指令、及び給蒸気弁9の開度を調整する開度調整指令を含む。給蒸気弁9の開度が大きくなることにより、蒸気モータ3への給蒸気量が多くなり、蒸気モータ3の回転数が高くなる。逆に、給蒸気弁9の開度が小さくなることにより、蒸気モータ3への給蒸気量が少なくなり、蒸気モータ3の回転数が低くなる。給蒸気弁9が閉じられることにより、蒸気の供給が停止され、蒸気モータ3の回転が停止する。
給蒸気弁9は、給蒸気量を調整する容量制御を実施可能な容量制御弁を含む。複数の蒸気モータ3のそれぞれは、運転時(回転時)に給蒸気弁9により給蒸気量を容量制御可能に構成される。
容量制御とは、部分負荷運転時において蒸気モータ3への給蒸気量を自動的に制御することをいう。本実施形態において、容量制御は、蒸気モータ3の排蒸気圧力を一定に保つように給蒸気弁9の開度を制御する排蒸気圧一定制御を含む。排蒸気圧一定制御を実施する場合、ローカル制御装置25は、排蒸気圧力センサ22の検出データに基づいて、蒸気モータ3の排蒸気圧力を一定に保つように、給蒸気弁9に開度調整指令を出力する。
なお、排蒸気圧一定制御を実施する場合、ローカル制御装置25は、第2蒸気圧力センサ17の検出データに基づいて、第2蒸気ヘッダ11の蒸気圧力を一定に保つように、給蒸気弁9に開度調整指令を出力してもよい。
ローカル制御装置25は、回転数センサ20の検出データに基づいて、蒸気モータ3の運転負荷率を算出する。蒸気モータ3の運転負荷率とは、蒸気モータ3が定格能力(設計上の100%能力)で作動したときの作動量を示す定格作動量に対する実際に作動したときの作動量を示す実作動量の割合をいう。蒸気モータ3の運転負荷率は、直接的には、蒸気モータ3の回転負荷率で表わすことができる。蒸気モータ3の回転負荷率とは、蒸気モータ3が定格能力で回転したときの回転数を示す定格回転数に対する実際に回転したときの回転数を示す実回転数の割合をいう。すなわち、蒸気モータ3の運転負荷率は、蒸気モータ3の回転数と相関がある。蒸気モータ3の回転数(実回転数)が高いほど、蒸気モータ3の運転負荷率は大きくなる。逆に、蒸気モータ3の回転数(実回転数)が低いほど、蒸気モータ3の運転負荷率は小さくなる。そのため、ローカル制御装置25は、回転数センサ20の検出データに基づいて、蒸気モータ3の運転負荷率を算出することができる。
なお、蒸気モータ3の運転負荷率は、間接的には、蒸気モータ3への給蒸気量、及び蒸気モータ3からの排蒸気量とも相関がある。そのため、ローカル制御装置25は、蒸気モータ3の給蒸気量及び排蒸気量の少なくとも一方に基づいて、蒸気モータ3の運転負荷率を算出してもよい。蒸気モータ3への給蒸気量は、給蒸気弁9の開度で調整される。そのため、ローカル制御装置25は、給蒸気弁9の開度フィードバック信号又は給蒸気弁9に出力する開度調整指令に基づいて、蒸気モータ3の運転負荷率を算出してもよい。
また、蒸気モータ3の運転負荷率は、間接的には、コンプレッサ2の運転負荷率とも相関がある。コンプレッサ2の運転負荷率とは、コンプレッサ2が定格能力(設計上の100%能力)で作動したときの吐出空気量を示す定格吐出空気量に対する実際に作動したときの吐出空気量を示す実吐出空気量の割合をいう。そのため、ローカル制御装置25は、コンプレッサ2の実吐出空気量に基づいて、蒸気モータ3の運転負荷率を算出してもよい。
また、蒸気モータ3の運転負荷率は、間接的には、第1蒸気ヘッダ7から蒸気モータ群4に供給される蒸気流量とも相関する。供給流路8を流れる蒸気流量が多いほど、蒸気モータ3の運転負荷率の平均値は大きくなる。逆に、供給流路8を流れる蒸気流量が少ないほど、蒸気モータ3の運転負荷率の平均値は小さくなる。そのため、ローカル制御装置25は、流量センサ19の検出データ及び蒸気モータ3の運転台数から計算した蒸気モータ3の1台当たりの平均蒸気流量に基づいて、蒸気モータ3の運転負荷率の平均値を算出してもよい。
本実施形態において、台数制御装置5は、蒸気モータ3の運転負荷率に基づいて、蒸気モータ3の運転台数を制御する。
<台数制御装置及びローカル制御装置>
図2は、本実施形態に係る台数制御装置5及びローカル制御装置25の一例を示す機能ブロック図である。図2に示すように、ローカル制御装置25は、運転負荷率算出部251と、圧力差算出部252と、給蒸気量制御部253と、通信部254とを有する。
運転負荷率算出部251は、回転数センサ20の検出データを取得する。運転負荷率算出部251は、回転数センサ20の検出データに基づいて、蒸気モータ3の運転負荷率を算出する。
圧力差算出部252は、給蒸気圧力センサ21の検出データ及び排蒸気圧力センサ22の検出データを取得する。圧力差算出部252は、給蒸気圧力センサ21の検出データ(給蒸気圧力P1)と排蒸気圧力センサ22の検出データ(排蒸気圧力P2)とに基づいて、給蒸気弁9を含む蒸気モータ3で生じる蒸気の圧力差ΔP(=P1-P2)を算出する。
なお、給蒸気弁9による容量制御として排蒸気圧一定制御が実施される場合、蒸気モータ3で生じる蒸気の圧力差は、直接的には、蒸気モータ3の一次側(すなわち、給蒸気弁9の二次側)と二次側との圧力差から算出可能である。また、間接的には、給蒸気弁9の開度または給蒸気弁9の一次側と二次側との圧力差とも相関するので、所定の換算式を利用するなどして蒸気モータ3で生じる蒸気の圧力差を算出可能である。例えば、給蒸気圧力P1が高いほど給蒸気弁9の開度が小さくなるように制御されることにより、給蒸気弁9及び蒸気モータ3でそれぞれ生じる蒸気の圧力差は大きくなる。一方、給蒸気圧力P1が低いほど給蒸気弁9の開度が大きくなるように制御されることにより、給蒸気弁9及び蒸気モータ3でそれぞれ生じる蒸気の圧力差は小さくなる。つまり、給蒸気弁9の開度が小さい場合や給蒸気弁9での圧力差が大きい場合、蒸気モータ3での圧力差が大きい側(充足側)であることが判別できる。逆に、給蒸気弁9の開度が大きい場合や給蒸気弁9での圧力差が小さい場合、蒸気モータ3での圧力差が小さい側(不足側)であることが判別できる。
給蒸気量制御部253は、排蒸気圧力センサ22の検出データを取得する。給蒸気量制御部253は、排蒸気圧力センサ22の検出データに基づいて、蒸気モータ3の排蒸気圧力を一定に保つように、給蒸気弁9の開度を制御する開度調整指令を出力する。また、給蒸気量制御部253は、給蒸気弁9を全開にする開指令、及び給蒸気弁9を全閉にする閉指令を出力することができる。
通信部254は、台数制御装置5と通信する。通信部254は、運転負荷率算出部251により算出された蒸気モータ3の運転負荷率を台数制御装置5に送信する。また、通信部254は、圧力差算出部252により算出された蒸気モータ3の圧力差ΔPを台数制御装置5に送信する。通信部254は、台数制御装置5からの指令を受信する。
台数制御装置5は、通信部51と、運転負荷率取得部52と、圧力差取得部53と、蒸気負荷量取得部54と、代表負荷率導出部55と、閾値記憶部56と、台数制御部57と、指令制限部58と、を有する。
通信部51は、複数のローカル制御装置25のそれぞれと通信する。通信部51は、蒸気モータ3の運転負荷率を複数のローカル制御装置25のそれぞれから受信する。また、通信部51は、蒸気モータ3の圧力差ΔPを複数のローカル制御装置25のそれぞれから受信する。通信部51は、複数のローカル制御装置25のそれぞれに指令を送信する。
運転負荷率取得部52は、通信部51を介して、容量制御中の蒸気モータ3の全ての運転負荷率を取得する。例えば蒸気モータ3A,3B,3Cの全てが容量制御中(給蒸気弁9A,9B,9Cが給蒸気量を調整中)である場合、運転負荷率取得部52は、ローカル制御装置25A,25B,25Cのそれぞれから、蒸気モータ3A,3B,3Cの運転負荷率を取得する。例えば蒸気モータ3A,3Bが容量制御中(給蒸気弁9A,9Bが給蒸気量を調整中)であり、蒸気モータ3Cが停止中である場合、運転負荷率取得部52は、ローカル制御装置25A,25Bのそれぞれから、蒸気モータ3A,3Bの運転負荷率を取得する。例えば蒸気モータ3Aが容量制御中(給蒸気弁9Aが給蒸気量を調整中)であり、蒸気モータ3B,3Cが停止中である場合、運転負荷率取得部52は、ローカル制御装置25Aから、蒸気モータ3Aの運転負荷率を取得する。なお、運転負荷率取得部52は、停止中の蒸気モータ3の運転負荷率を0%と認識する。
圧力差取得部53は、通信部51を介して、容量制御中の蒸気モータ3の全てについて、蒸気モータ3の給蒸気圧力P1と排蒸気圧力P2との圧力差ΔP(=P1-P2)を取得する。
蒸気負荷量取得部54は、蒸気モータ群4の運転に利用できる蒸気負荷量を取得する。蒸気負荷量は、第1蒸気ヘッダ7から蒸気モータ群4に供給される蒸気流量に連動する。蒸気負荷量取得部54は、流量センサ19の検出データを取得する。蒸気負荷量取得部54は、流量センサ19の検出データに基づいて、蒸気負荷量を算出する。
なお、蒸気負荷量は、ボイラ6の燃焼量に連動する。ボイラ6の燃焼量が大きくなると、ボイラ6から発生する蒸気量が増え、蒸気負荷量が増加する。逆に、ボイラ6の燃焼量が小さくなると、ボイラ6から発生する蒸気量が減り、蒸気負荷量が減少する。また、ボイラ6が複数台存在する場合、ボイラ6の運転台数が増え、ボイラ6の総燃焼量が大きくなると、ボイラ6から発生する総蒸気量が増え、蒸気負荷量が増加する。逆に、ボイラ6の運転台数が減り、ボイラ6の総燃焼量が小さくなると、ボイラ6から発生する総蒸気量が減り、蒸気負荷量が減少する。そのため、蒸気負荷量取得部54は、ボイラ6の燃焼量及び運転台数を含むボイラ6の運転データに基づいて、蒸気負荷量を算出してもよい。
また、蒸気負荷量は、第1蒸気ヘッダ7の蒸気圧力に連動する。上述のように、第1蒸気ヘッダ7の蒸気圧力が低くなると、ボイラ6の燃焼量を大きくする制御又はボイラ6の運転台数を増やす制御が実施される。そのため、第1蒸気ヘッダ7の蒸気圧力が低くなることは、ボイラ6の総燃焼量が増え、蒸気負荷量が増加することを意味する。逆に、第1蒸気ヘッダ7の蒸気圧力が高くなると、ボイラ6の燃焼量を小さくする制御又はボイラ6の運転台数を減らす制御が実施される。そのため、第1蒸気ヘッダ7の蒸気圧力が高くなることは、ボイラ6の総燃焼量が減り、蒸気負荷量が減少することを意味する。そのため、蒸気負荷量取得部54は、第1蒸気圧力センサ16の検出データに基づいて、蒸気負荷量を算出してもよい。
代表負荷率導出部55は、運転負荷率取得部52で取得された運転負荷率に所定の処理を行うことにより、容量制御中の蒸気モータ3の代表負荷率を導出する。代表負荷率とは、蒸気モータ3の運転台数の決定のために使用される蒸気モータ3の運転負荷率をいう。
本実施形態において、所定の処理は、容量制御中の複数の蒸気モータ3の運転負荷率の平均値を算出する処理を含む。代表負荷率は、容量制御中の複数の蒸気モータ3の運転負荷率の平均値を示す平均負荷率を含む。
閾値記憶部56は、蒸気モータ3の運転負荷率に係る運転負荷率閾値を記憶する。運転負荷率閾値は、蒸気モータ3の運転台数を増加させるときの判定に使用される台数増加閾値SHと、蒸気モータ3の運転台数を減少させるときの判定に使用される台数減少閾値SLとを含む。台数減少閾値SLは、台数増加閾値SHよりも小さい。
また、閾値記憶部56は、蒸気モータ3で生じる圧力差ΔPに係る圧力差閾値SPを記憶する。
また、閾値記憶部56は、蒸気モータ群4の運転に利用できる蒸気負荷量に係る蒸気負荷量閾値SFを記憶する。
台数制御部57は、蒸気モータ3の運転負荷率に基づいて、蒸気モータ群4の運転台数を調整する台数指令を出力する。台数指令は、停止中の蒸気モータ3を起動させる運転指令、及び運転中の蒸気モータ3を停止させる停止指令を含む。すなわち、台数制御部57は、蒸気モータ3の運転負荷率に基づいて、停止中の蒸気モータ3に運転指令を出力、又は運転中の蒸気モータ3に停止指令を出力する。
台数制御部57は、代表負荷率導出部55で導出された平均負荷率が閾値記憶部56に記憶されている台数増加閾値SHを上回る台数増加条件を満足する場合、停止中の蒸気モータ3の1台に運転指令を出力する。台数制御部57は、代表負荷率導出部55で導出された平均負荷率が閾値記憶部56に記憶されている台数減少閾値SLを下回る台数減少条件を満足する場合、運転中の蒸気モータ3の1台に停止指令を出力する。
台数増加条件は、蒸気モータ3の平均負荷率が台数増加閾値SHを上回る状態が規定時間継続することを含む。台数減少条件は、蒸気モータ3の平均負荷率が台数減少閾値SLを下回る状態が規定時間継続することを含む。
指令制限部58は、台数制御部57からの指令出力を制限する。指令制限部58は、蒸気システム1が特定の条件を満足する場合、台数制御部57からの指令出力を制限する。台数制御部57からの指令出力の制限は、台数制御部57が運転中の蒸気モータ3に停止指令を出力することの禁止、及び台数制御部57が停止中の蒸気モータ3に運転指令を出力することの禁止を含む。
本実施形態において、指令制限部58は、蒸気モータ3のいずれかで圧力差ΔPが圧力差閾値SPを下回る圧力差不足条件を満足する場合、台数制御部57が運転中の蒸気モータ3に停止指令を出力することを禁止する。また、指令制限部58は、蒸気モータ3の全てで圧力差ΔPが圧力差閾値SPを上回る圧力差充足条件を満足する場合、台数制御部57が停止中の蒸気モータ3に運転指令を出力することを許可するとともに、運転中の蒸気モータ3に停止指令を出力することを許可する。
また、指令制限部58は、圧力差不足条件を満足し、且つ、蒸気負荷量が蒸気負荷量閾値SFを下回る蒸気負荷量不足条件を満足する場合、台数制御部57が停止中の蒸気モータ3に運転指令を出力することを禁止する。また、指令制限部58は、圧力差不足条件を満足し、且つ、蒸気負荷量が蒸気負荷量閾値SFを上回る蒸気負荷量充足条件を満足する場合、台数制御部57が停止中の蒸気モータ3に運転指令を出力することを許可する。
<台数増加閾値及び台数減少閾値>
図3は、本実施形態に係る閾値記憶部56に記憶される台数増加閾値SH及び台数減少閾値SLの一例を示す図である。図3(A)を参照しながら台数増加閾値SHについて説明する。図3(A)に示すように、台数増加閾値SHは、一定値に設定される。図3(A)に示す例において、台数増加閾値SHは、90%に設定される。蒸気モータ3が容量制御中において、ローカル制御装置25の運転負荷率算出部251は、回転数センサ20の検出データに基づいて、蒸気モータ3の運転負荷率を算出する。運転負荷率算出部251で算出された蒸気モータ3の運転負荷率は、ローカル制御装置25から台数制御装置5に送信される。
例えば、容量制御中の蒸気モータ3が1台であり、蒸気モータ3の運転負荷率が増加し、容量制御中の蒸気モータ3の平均負荷率が90%を上回る台数増加条件を満足する場合、台数制御部57は、停止中の蒸気モータ3の1台に運転指令を出力する。台数制御装置5の台数制御部57から運転指令を受信したローカル制御装置25の給蒸気量制御部253は、給蒸気弁9に開指令を出力する。これにより、ボイラ6からの蒸気が供給される蒸気モータ3の運転台数は、1台から2台に増加する。蒸気モータ3の運転台数が2台に増加した直後の容量制御中の蒸気モータ3の平均負荷率は、45.0%である。
また、容量制御中の蒸気モータ3が2台であり、蒸気モータ3の運転負荷率が増加し、容量制御中の蒸気モータ3の平均負荷率が90%を上回る台数増加条件を満足する場合、台数制御部57は、停止中の蒸気モータ3の1台に運転指令を出力する。これにより、蒸気モータ3の運転台数は、2台から3台に増加する。蒸気モータ3の運転台数が3台に増加した直後の容量制御中の蒸気モータ3の平均負荷率は、60.0%である。
なお、図1及び図2に示した例においては、蒸気モータ群4の蒸気モータ3は3台であるが、容量制御中の蒸気モータ3が3台であり、停止中の蒸気モータ3が別に存在する場合において、容量制御中の蒸気モータ3の平均負荷率が90%を上回る台数増加条件を満足する場合、台数制御部57は、停止中の蒸気モータ3の1台に運転指令を出力する。これにより、蒸気モータ3の運転台数は、3台から4台に増加する。蒸気モータ3の運転台数が4台に増加した直後の容量制御中の蒸気モータ3の平均負荷率は、67.5%である。
また、容量制御中の蒸気モータ3が4台であり、蒸気モータ3の運転負荷率が増加し、容量制御中の蒸気モータ3の平均負荷率が90%を上回る台数増加条件を満足する場合、台数制御部57は、停止中の蒸気モータ3の1台に運転指令を出力する。これにより、蒸気モータ3の運転台数は、4台から5台に増加する。蒸気モータ3の運転台数が5台に増加した直後の容量制御中の蒸気モータ3の平均負荷率は、72.0%である。
次に、図3(B)を参照しながら台数減少閾値SLについて説明する。台数減少閾値SLは、容量制御中の蒸気モータ3の運転台数n、及び容量制御中の蒸気モータ3の1台を停止させた後の目標平均負荷率Rに基づいて設定される。目標平均負荷率Rは、一定値である。図3(B)に示す例において、目標平均負荷率Rは、50%に設定される。
本実施形態において、台数減少閾値SLは、演算[R×(n-1)/n]によって導出される。
例えば、容量制御中の蒸気モータ3が5台である場合(運転台数n=5)、台数減少閾値SLは、[50×(5-1)/5]より、40.0%である。容量制御中の蒸気モータ3が4台である場合(運転台数n=4)、台数減少閾値SLは、[50×(4-1)/4]より、37.5%である。容量制御中の蒸気モータ3が3台である場合(運転台数n=3)、台数減少閾値SLは、[50×(3-1)/3]より、33.3%である。容量制御中の蒸気モータ3が2台である場合(運転台数n=2)、台数減少閾値SLは、[50×(2-1)/2]より、25.0%である。
例えば、容量制御中の蒸気モータ3が5台であり、蒸気モータ3の運転負荷率が減少し、容量制御中の蒸気モータ3の平均負荷率が40.0%を下回る台数減少条件を満足する場合、台数制御部57は、運転中の蒸気モータ3の1台に停止指令を出力する。台数制御装置5の台数制御部57から停止指令を受信したローカル制御装置25の給蒸気量制御部253は、給蒸気弁9に閉指令を出力する。これにより、ボイラ6からの蒸気が供給される蒸気モータ3の運転台数は、5台から4台に減少する。蒸気モータ3の運転台数が4台に減少した直後の容量制御中の蒸気モータ3の平均負荷率は、50%である。
また、容量制御中の蒸気モータ3が4台であり、蒸気モータ3の運転負荷率が減少し、容量制御中の蒸気モータ3の平均負荷率が37.5%を下回る台数減少条件を満足する場合、台数制御部57は、運転中の蒸気モータ3の1台に停止指令を出力する。これにより、蒸気モータ3の運転台数は、4台から3台に減少する。蒸気モータ3の運転台数が3台に減少した直後の容量制御中の蒸気モータ3の平均負荷率は、50%である。
また、容量制御中の蒸気モータ3が3台であり、蒸気モータ3の運転負荷率が減少し、容量制御中の蒸気モータ3の平均負荷率が33.3%を下回る台数減少条件を満足する場合、台数制御部57は、運転中の蒸気モータ3の1台に停止指令を出力する。これにより、蒸気モータ3の運転台数は、3台から2台に減少する。蒸気モータ3の運転台数が2台に減少した直後の容量制御中の蒸気モータ3の平均負荷率は、50%である。
また、容量制御中の蒸気モータ3が2台であり、蒸気モータ3の運転負荷率が減少し、容量制御中の蒸気モータ3の平均負荷率が25.0%を下回る台数減少条件を満足する場合、台数制御部57は、運転中の蒸気モータ3の1台に停止指令を出力する。これにより、蒸気モータ3の運転台数は、2台から1台に減少する。蒸気モータ3の運転台数が1台に減少した直後の容量制御中の蒸気モータ3の平均負荷率は、50%である。
<ローカル制御方法>
次に、本実施形態に係るローカル制御装置25によるローカル制御方法について説明する。図4は、本実施形態に係るローカル制御方法を示すフローチャートである。図4に示す処理は、規定の周期で実施される。
ローカル制御装置25が起動すると、通信部254は、台数制御装置5から運転指令を受信したか否かを判定する(ステップSA10)。
ステップSA10において、運転指令を受信していないと判定された場合(ステップSA10:No)、ステップSA1の処理に戻り、給蒸気弁9が閉じた状態が維持される。
ステップSA10において、運転指令を受信したと判定された場合(ステップSA10:Yes)、給蒸気量制御部253は、蒸気モータ3の運転を開始するために、給蒸気弁9を全開にする開指令を出力する。給蒸気量制御部253は、給蒸気圧力センサ21の検出データに基づいて、供給流路8の給蒸気圧力が給蒸気圧力閾値以上であると判定した後、給蒸気弁9に開指令を出力する。給蒸気弁9が開くことにより、蒸気モータ3に蒸気が供給される。これにより、蒸気モータ3は運転(回転)を開始する。
給蒸気圧力センサ21は、蒸気モータ3の給蒸気圧力を検出し、排蒸気圧力センサ22は、蒸気モータ3の排蒸気圧力を検出する。給蒸気量制御部253は、排蒸気圧力センサ22の検出データを取得する。給蒸気量制御部253は、排蒸気圧力センサ22の検出データに基づいて、蒸気モータ3の排蒸気圧力を一定に保つように、給蒸気弁9に開度調整指令を出力する(ステップSA20)。この排蒸気圧一定制御は、速度型PIDアルゴリズムを利用したフィードバック制御であり、排蒸気圧力センサ22の検出データと目標圧力値との偏差がゼロになるように、給蒸気弁9の操作量を繰り返し演算する。
回転数センサ20は、蒸気モータ3の回転数を検出する。運転負荷率算出部251は、回転数センサ20の検出データを取得する。運転負荷率算出部251は、回転数センサ20の検出データに基づいて、蒸気モータ3の運転負荷率を算出する(ステップSA30)。
また、圧力差算出部252は、給蒸気圧力センサ21の検出データ及び排蒸気圧力センサ22の検出データを取得する。圧力差算出部252は、給蒸気圧力センサ21の検出データ(給蒸気圧力P1)及び排蒸気圧力センサ22の検出データ(排蒸気圧力P2)に基づいて、蒸気モータ3で生じる蒸気の圧力差ΔP(=P1-P2)を算出する(ステップSA40)。
通信部254は、運転負荷率算出部251により算出された蒸気モータ3の運転負荷率を台数制御装置5に送信する(ステップSA50)。
通信部254は、圧力差算出部252により算出された蒸気モータ3の圧力差ΔPを台数制御装置5に送信する(ステップSA60)。
通信部254は、台数制御装置5から停止指令を受信したか否かを判定する(ステップSA70)。
ステップSA70において、停止指令を受信していないと判定された場合(ステップSA70:No)、ステップSA20の処理に戻り、排蒸気圧一定制御が継続される。
ステップSA70において、停止指令を受信したと判定された場合(ステップSA70:Yes)、給蒸気量制御部253は、蒸気モータ3の運転を停止するために、給蒸気弁9を全閉にする閉指令を出力する。給蒸気弁9が閉じることにより、蒸気モータ3に蒸気が供給されなくなる。これにより、蒸気モータ3は停止する。
なお、図4に示す例において、ステップSA20の処理、ステップSA30の処理、ステップSA40の処理、ステップSA50の処理、及びステップSA60の順番は任意である。また、ステップSA20の処理とステップSA30の処理とステップSA40の処理とが同時に実施されてもよいし、ステップSA50の処理とステップSA60の処理とが同時に実施されてもよい。
<台数制御方法>
次に、本実施形態に係る台数制御装置5による台数制御方法について説明する。図5は、本実施形態に係る台数制御方法を示すフローチャートである。図5に示す処理は、規定の周期で実施される。
台数制御装置5の運転スイッチが操作され、台数制御装置5が起動すると、台数制御装置5は、ローカル制御装置25に運転指令を出力する。図4を参照して説明したように、運転指令を受信したローカル制御装置25の給蒸気量制御部253は、給蒸気圧力センサ21の検出データに基づいて、供給流路8の給蒸気圧力が給蒸気圧力閾値以上であることを確認した後、給蒸気弁9に開指令を出力する。給蒸気弁9が開くことにより、蒸気モータ3に蒸気が供給される。これにより、蒸気モータ3の運転が開始される。また、蒸気モータ3が運転を開始した後、給蒸気量制御部253は、排蒸気圧力センサ22の検出データに基づいて、蒸気モータ3の排蒸気圧力を一定に保つように、給蒸気弁9に開度調整指令を出力する。これにより、蒸気モータ3の容量制御が開始される。台数制御装置5の起動時においては、例えば1台の蒸気モータ3が容量制御を開始する。なお、台数制御装置5の起動時において、複数台の蒸気モータ3が容量制御を開始してもよい。
図4を参照して説明したように、容量制御中において、ローカル制御装置25は、蒸気モータ3の運転負荷率を算出し(ステップSA30)、蒸気モータ3の圧力差ΔPを算出し(ステップSA40)、算出した蒸気モータ3の運転負荷率を台数制御装置5に送信し(ステップSA50)、算出した蒸気モータ3の圧力差ΔPを台数制御装置5に送信する(ステップSA60)。
台数制御装置5の運転負荷率取得部52は、容量制御中の蒸気モータ3の運転負荷率をローカル制御装置25から取得する(ステップSB10)。
台数制御装置5の圧力差取得部53は、容量制御中の蒸気モータ3の圧力差ΔPをローカル制御装置25から取得する(ステップSB20)。
台数制御装置5の蒸気負荷量取得部54は、流量センサ19の検出データを取得する。蒸気負荷量取得部54は、流量センサ19の検出データに基づいて、蒸気モータ群4の運転に利用できる蒸気負荷量を取得する(ステップSB30)。
なお、ステップSB10の処理、ステップSB20の処理、及びステップSB30の処理の順番は任意である。また、ステップSB10の処理とステップSB20の処理とステップSB30の処理とが同時に実施されてもよい。
代表負荷率導出部55は、運転負荷率取得部52で取得された運転負荷率に基づいて、容量制御中の蒸気モータ3の代表負荷率である平均負荷率を導出する(ステップSB40)。
指令制限部58は、圧力差取得部53で取得された容量制御中の蒸気モータ3の全てで、圧力差ΔPが閾値記憶部56に記憶されている圧力差閾値SPを上回る圧力差充足条件を満足するか否かを判定する(ステップSB50)。
ステップSB50において、圧力差充足条件を満足すると判定した場合(ステップSB50:Yes)、指令制限部58は、台数制御部57が停止中の蒸気モータ3に運転指令を出力することを許可するとともに、運転中の蒸気モータ3に停止指令を出力することを許可する(ステップSB60)。
台数制御部57は、代表負荷率導出部55で算出された容量制御中の蒸気モータ3の平均負荷率が閾値記憶部56に記憶されている台数増加閾値SHを上回る台数増加条件を満足するか否かを判定する(ステップSB70)。
ステップSB70において、台数増加条件を満足すると判定した場合(ステップSB70:Yes)、台数制御部57は、停止中の蒸気モータ3の1台に運転指令を出力する(ステップSB80)。
台数制御装置5の台数制御部57から運転指令を受信したローカル制御装置25の給蒸気量制御部253は、給蒸気弁9に開指令を出力する。これにより、蒸気モータ3の運転台数が1台増加する。
ステップSB70において、台数増加条件を満足しないと判定した場合(ステップSB70:No)、台数制御部57は、代表負荷率導出部55で算出された容量制御中の蒸気モータ3の平均負荷率が閾値記憶部56に記憶されている台数減少閾値SLを下回る台数減少条件を満足するか否かを判定する(ステップSB90)。
ステップSB90において、台数減少条件を満足すると判定した場合(ステップSB90:Yes)、台数制御部57は、運転中の蒸気モータ3の1台に停止指令を出力する(ステップSB100)。
台数制御装置5の台数制御部57から停止指令を受信したローカル制御装置25の給蒸気量制御部253は、給蒸気弁9に閉指令を出力する。これにより、蒸気モータ3の運転台数が1台減少する。
ステップSB90において、台数減少条件を満足しないと判定した場合(ステップSB90:No)、すなわち、平均負荷率が台数増加閾値SHと台数減少閾値SLとの間の値であると判定した場合、台数制御部57は、蒸気モータ3の運転台数の変更を実施せず、ステップSB10の処理に戻る。
ステップSB50において、圧力差充足条件を満足しないと判定した場合(ステップSB50:No)、指令制限部58は、台数制御部57が運転中の蒸気モータ3に停止指令を出力することを禁止する(ステップSB110)。
本実施形態において、圧力差充足条件を満足しないことは、圧力差取得部53で取得された容量制御中の蒸気モータ3のいずれかで、圧力差ΔPが閾値記憶部56に記憶されている圧力差閾値SPを下回る圧力差不足条件を満足することを意味する。すなわち、ステップSB50において、圧力差不足条件を満足すると判定した場合、指令制限部58は、台数制御部57が運転中の蒸気モータ3に停止指令を出力することを禁止する。
指令制限部58は、蒸気負荷量取得部54により取得された蒸気負荷量が閾値記憶部56に記憶されている蒸気負荷量閾値SFを上回る蒸気負荷量充足条件を満足するか否かを判定する(ステップSB120)。
ステップSB120において、蒸気負荷量充足条件を満足すると判定した場合(ステップSB120:Yes)、すなわち、圧力差不足条件を満足し、且つ、蒸気負荷量充足条件を満足すると判定した場合、指令制限部58は、台数制御部57が停止中の蒸気モータ3に運転指令を出力することを許可する(ステップSB130)。
ステップSB130において、運転指令の出力が許可されたことにより、台数制御部57は、停止中の蒸気モータ3の1台に運転指令を出力する(ステップSB140)。
台数制御装置5の台数制御部57から運転指令を受信したローカル制御装置25の給蒸気量制御部253は、給蒸気弁9に開指令を出力する。これにより、蒸気モータ3の運転台数が1台増加する。
ステップSB120において、蒸気負荷量充足条件を満足しないと判定した場合(ステップSB120:No)、指令制限部58は、台数制御部57が停止中の蒸気モータ3に運転指令を出力することを禁止する(ステップSB150)。
本実施形態において、蒸気負荷量充足条件を満足しないことは、蒸気負荷量取得部54で取得された蒸気負荷量が閾値記憶部56に記憶されている蒸気負荷量閾値SFを下回る蒸気負荷量不足条件を満足することを意味する。すなわち、ステップSB120において、蒸気負荷量不足条件を満足すると判定した場合、指令制限部58は、台数制御部57が停止中の蒸気モータ3に運転指令を出力することを禁止する。
台数制御部57は、蒸気モータ3の運転台数の変更を実施せず、ステップSB10の処理に戻る。すなわち、ステップSB110において台数制御部57が停止指令を出力することを禁止され、ステップSB160において台数制御部57が運転指令を出力することを禁止されているため、台数増加条件及び台数減少条件を満足していても、蒸気モータ3の運転台数は変更されない。
<効果>
以上説明したように、本実施形態によれば、複数の蒸気モータ3からなる蒸気モータ群4を備える蒸気システム1において、台数制御部57は、容量制御中の蒸気モータ3の運転負荷率に基づいて、停止中の蒸気モータ3を起動又は運転中の蒸気モータ3に停止させる台数制御を実施する。本実施形態においては、蒸気システム1が特定の条件のとき、指令制限部58は、台数制御部57からの指令出力を制限する。そのため、蒸気モータ群4の台数制御時に、コンプレッサ群2A~2Cの総吐出空気量(すなわち、ユーティリティ出力)の低下が防止される。
特定の条件は、容量制御中の蒸気モータ3のいずれかで圧力差ΔPが圧力差閾値SPを下回る圧力差不足条件を満足することを含む。容量制御中の蒸気モータ3のいずれかの圧力差ΔPが適正値未満の状態で、蒸気モータ3の運転台数を減少させる停止指令が出力されても、運転を継続する蒸気モータ3の運転負荷率(回転負荷率)は目標の負荷率にならない可能性がある。例えば、2台の蒸気モータ3が、圧力差ΔPが適正値以上の状態にて平均負荷率25%で運転しているときに台数減少条件を満足し、1台の蒸気モータ3を停止させると、運転を継続する蒸気モータ3の平均負荷率は50%になる(図3(B)を参照)。しかし、圧力差ΔPが適正値未満の状態では、1台の蒸気モータ3を停止させると、運転を継続する蒸気モータ3の平均負荷率は50%に達しない。その結果、コンプレッサ群2A~2Cの総吐出空気量が減少し、圧縮空気のユースポイントで操業に支障が出てしまう。
本実施形態においては、圧力差不足条件を満足する場合、蒸気モータ3の運転台数の減少が禁止される。これにより、コンプレッサ群2A~2Cの総吐出空気量の低下が防止され、ユースポイントでの安定した操業を保障することができる。
また、特定の条件は、圧力差不足条件を満足し、且つ、蒸気負荷量が蒸気負荷量閾値SFを下回る蒸気負荷量不足条件を満足することを含む。容量制御中の蒸気モータ3のいずれかの圧力差ΔPが適正値未満の状態、且つ、蒸気負荷量が適正量未満の状態で、蒸気モータ3の運転台数を増加させる運転指令が出力されても、運転する蒸気モータ3の運転負荷率(回転負荷率)は目標の負荷率にならない可能性が高い。例えば、2台の蒸気モータ3が、圧力差ΔPが適正値以上、且つ蒸気負荷量が適正量以上の状態にて平均負荷率90%で運転しているときに台数増加条件を満足し、1台の蒸気モータ3を運転させると、運転中の蒸気モータ3の平均負荷率は60%になる(図3(A)を参照)。しかし、圧力差ΔPが適正値未満、且つ蒸気負荷量が適正量未満の状態では、1台の蒸気モータ3を運転させると、運転中の蒸気モータ3の平均負荷率は60%に達しない。その結果、コンプレッサ群2A~2Cの総吐出空気量が減少し、圧縮空気のユースポイントで操業に支障が出てしまう。
本実施形態においては、圧力差不足条件を満足し、且つ、蒸気負荷量不足条件を満足する場合、蒸気モータ3の運転台数の減少及び増加が禁止される。これにより、コンプレッサ群2A~2Cの総吐出空気量の低下が防止され、ユースポイントでの安定した操業を保障することができる。
一方、圧力差不足条件を満足し、且つ、蒸気負荷量が蒸気負荷量閾値SFを上回る蒸気負荷量充足条件を満足する場合、蒸気モータ3の運転台数の減少は禁止されるものの、蒸気モータ3の運転台数の増加は許可される。例えば、2台の蒸気モータ3が、圧力差ΔPが適正値以上、且つ蒸気負荷量が適正量以上の状態にて平均負荷率90%で運転しているときに台数増加条件を満足し、1台の蒸気モータ3を運転させると、運転中の蒸気モータ3の平均負荷率は60%になる(図3(A)を参照)。また、圧力差ΔPが適正値未満であっても、蒸気負荷量が適正量以上の状態であれば、1台の蒸気モータ3を運転させても増台後の蒸気モータ3のそれぞれにおいて50~60%程度の運転負荷率で作動させることが可能になる。その結果、蒸気モータ3の運転負荷率が上昇した際に、運転台数を増やして運転負荷率を適正範囲まで下げることができる。
本実施形態においては、圧力差不足条件を満足する場合でも、蒸気負荷量充足条件を満足する場合、蒸気モータ3の運転台数の増加が許可される。これにより、蒸気モータ3の運転負荷率が上昇した際に、運転台数を増やして運転負荷率を適正範囲まで下げることができる。
また、本実施形態においては、容量制御中の蒸気モータ3の全てで圧力差ΔPが圧力差閾値SPを上回る圧力差充足条件を満足する場合、台数制御部57からの運転指令の出力及び停止指令の出力の両方が許可される。台数制御部57は、容量制御中の蒸気モータ3の運転負荷率に基づいて、運転指令又は停止指令を出力して、停止中の蒸気モータ3を起動又は運転中の蒸気モータ3を停止させる台数制御を実施することができる。そのため、蒸気モータ3の回転数不足を起こすことなく、適正な運転負荷率で運転することができる。
図6は、蒸気モータ3の運転負荷率(給蒸気量)とコンプレッサ2から吐出される吐出空気量との関係を示す図である。図6に示すように、蒸気モータ3の運転負荷率が適正範囲においては、蒸気モータ3の給蒸気量とコンプレッサ2の吐出空気量とは比例関係にある。なお、蒸気モータ3の運転負荷率の適正範囲とは、0%と100%との間の中間値を含む所定範囲をいう。運転負荷率が適正範囲においては、蒸気モータ3の給蒸気量とコンプレッサ2の吐出空気量とは比例する。適正範囲の下限値を下回ると、低回転数で作動する蒸気モータ3及びコンプレッサ2のエネルギー損失が大きくなり、給蒸気量に対する吐出空気量の比率、すなわち蒸気駆動エアコンプレッサ24の運転効率が低下する。一方、適正範囲の上限値を上回ると、蒸気駆動エアコンプレッサ24の運転効率の低下はないものの、高回転数で作動する蒸気モータ3及びコンプレッサ2のロータ軸や軸受が過熱し、早期の破損を招くおそれがある。
蒸気モータ群4への蒸気流量が減少すると、運転中の蒸気モータ3の平均負荷率が低下する。蒸気モータ3への給蒸気量が過少になり、蒸気モータ3の運転負荷率が適正範囲の下限値を下回ると、蒸気駆動エアコンプレッサ24の運転効率が低下してしまう。また、蒸気モータ3の平均負荷率の低下により、作動中のコンプレッサ2からの吐出空気量が工場内での圧縮空気の需要量に対して不足する可能性がある。
また、蒸気駆動エアコンプレッサ24には、蒸気モータ3の失速による不具合を防止するため、蒸気モータ3運転負荷率が自動停止閾値(例えば、10%)を下回ったときに蒸気モータ3を自動停止させる自動停止制御が組み込まれることがある。蒸気モータ群4への蒸気流量が減少した際に自動停止制御により蒸気モータ3が停止されてしまうと、蒸気モータ3の再起動が可能になるまでの期間、工場内に圧縮空気の供給ができなくなってしまう。
また、蒸気モータ群4への蒸気流量が増加すると、運転中の蒸気モータ3の平均負荷率が上昇する。蒸気モータ3への給蒸気量が過多になり、蒸気モータ3の運転負荷率が適正範囲の上限値を上回ると、蒸気モータ3及びコンプレッサ2のロータ軸や軸受が過熱する可能性がある。
また、蒸気駆動エアコンプレッサ24には、蒸気モータ3の異常過速による駆動系の過熱を防止するため、蒸気モータ3の運転負荷率が緊急停止閾値(例えば、105%)を上回ったときに蒸気モータ3を緊急停止させる緊急停止制御が組み込まれることがある。蒸気モータ群4への蒸気流量が増加した際に緊急停止制御により蒸気モータ3が停止されてしまうと、蒸気モータ3の再起動が可能になるまでの期間、工場内に圧縮空気の供給ができなくなってしまう。
本実施形態においては、容量制御中の蒸気モータ3の全ての運転負荷率が監視され、蒸気モータ群4への蒸気流量が増減したとき、蒸気モータ3の運転負荷率が適正範囲から逸脱しないように、容量制御中の蒸気モータ3の運転負荷率に基づいて、停止中の蒸気モータ3を起動させる運転指令又は運転中の蒸気モータ3を停止させる停止指令が台数制御部55から出力される。これにより、蒸気駆動エアコンプレッサ24の運転効率が低下したり、コンプレッサ2からの吐出空気量が不足したり、蒸気モータ3及びコンプレッサ2のロータ軸や軸受が過熱されたり、蒸気モータ3が頻繁に自動停止又は緊急停止したりすることが回避される。そのため、蒸気システム1を高効率かつ安定して利用することができる。
また、本実施形態においては、容量制御中の蒸気モータ3の代表負荷率として、容量制御中の蒸気モータ3の平均負荷率が算出される。台数制御部55は、平均負荷率が台数増加閾値SHを上回る台数増加条件を満足する場合、停止中の蒸気モータ3の1台に運転指令を出力し、平均負荷率が台数減少閾値SLを下回る台数減少条件を満足する場合、運転中の蒸気モータ3の1台に停止指令を出力する。これにより、蒸気モータ3の平均負荷率が過大又は過小になる前に、停止中の蒸気モータ3を起動又は運転中の蒸気モータ3に停止させる台数制御を実施することができる。したがって、蒸気モータ群4への蒸気流量が増減したとき、蒸気モータ3の運転負荷率が適正範囲から逸脱することが回避される。
また、例えば2台の蒸気モータ3が容量制御中において、ボイラ6から蒸気モータ群4に供給される蒸気流量が増加した場合、蒸気モータ3の運転台数の増加が間に合わず、2台の蒸気モータ3の全ての運転負荷率が同時に過大になり、2台の蒸気モータ3の全てを緊急停止させる必要が生じる可能性がある。
本実施形態によれば、代表負荷率導出部55において2台の蒸気モータ3の平均負荷率が算出される。台数制御部57は、代表負荷率導出部55で算出された平均負荷率が3台の蒸気モータ3を適正範囲の運転負荷率で作動させるために十分な平均負荷率であると判定した場合、蒸気モータ3の運転負荷率が過大になる前に、蒸気モータ3の運転台数を増加させることができる。
また、例えば3台の蒸気モータ3が容量制御中において、ボイラ6から蒸気モータ群4に供給される蒸気流量が減少した場合、蒸気モータ3の運転台数の減少が間に合わず、3台の蒸気モータ3の全ての運転負荷率が同時に過小になり、3台の蒸気モータ3の全てを自動停止させる必要が生じる可能性がある。
本実施形態によれば、代表負荷率導出部55において3台の蒸気モータ3の平均負荷率が算出される。台数制御部57は、代表負荷率導出部55で算出された平均負荷率が2台の蒸気モータ3を適正範囲の運転負荷率で作動させるために十分な平均負荷率であると判定した場合、蒸気モータ3の運転負荷率が過小になる前に、蒸気モータ3の運転台数を減少させることができる。
なお、ボイラ6から蒸気モータ群4に供給される蒸気流量の変動(増加又は減少)の原因として、台数制御されるボイラ6の運転台数の増加又は減少に起因する蒸気流量の変動、ボイラ6の燃焼量の変動、及び低圧蒸気使用機器の蒸気使用量の変動の少なくとも一つが例示される。
本実施形態においては、図3(B)を参照して説明したように、台数減少閾値SLは、容量制御中の蒸気モータ3の運転台数n、及び容量制御中の蒸気モータ3の1台を停止させた後の目標平均負荷率Rに基づいて設定される。これにより、蒸気モータ3の運転台数を減少させたとき、運転台数を減少後の蒸気モータ3の運転負荷率を適正値にすることができる。
本実施形態においては、容量制御として、蒸気モータ3の排蒸気圧力を一定に保つように給蒸気弁9の開度を制御する排蒸気圧一定制御が実施される。ボイラ6から供給される蒸気の減圧エネルギーを積極的に利用して圧縮空気を製造することにより、工場内に併設されている電動エアコンプレッサの電力消費量の削減に貢献することができる。
排蒸気圧一定制御が実施される場合、コンプレッサ2から空気タンク13に供給される吐出空気量が工場内での圧縮空気の需要量に対して過多になり、空気タンク13の空気圧力が過度に高くなることがある。上述したように、本実施形態において、空気圧力センサ18の検出データが台数制御装置5に出力される。台数制御装置5は、空気圧力センサ18の検出データに基づいて、空気タンク13の空気圧力が空気圧力閾値を上回ったと判定した場合、蒸気モータ3の運転台数の増加を制限するリミット信号を出力してもよい。
なお、本実施形態において、台数増加閾値SHは、90%であることとした。台数増加閾値SHは、任意に設定可能であり、閾値記憶部56に記憶させることができる。台数増加閾値SHは、例えば80%でもよいし、70%でもよい。
なお、本実施形態において、目標平均負荷率Rは、50%であることとした。目標平均負荷率Rは、任意に設定可能であり、閾値記憶部56に記憶させることができる。なお、目標平均負荷率Rと台数増加閾値SHとの差は大きいことが好ましい。目標平均負荷率Rと台数増加閾値SHとの差が小さい場合、蒸気モータ3の運転台数を減少させたとき、運転台数を減少後の蒸気モータ3の運転負荷率が適正範囲から逸脱する可能性が高くなる。そのため、例えば上述の実施形態で説明したように、台数増加閾値SHを90%に設定した場合、目標平均負荷率Rは50%程度に設定することが好ましい。
なお、本実施形態においては、台数減少閾値SLは、演算[R×(n-1)/n]に基づいて設定されることとした。台数減少閾値SLは、一定値に設定されてもよい。
図7は、本実施形態に係る閾値記憶部56に記憶される台数減少閾値SLの一例を示す図である。図7に示す例において、台数減少閾値SLは、15%に設定される。例えば、容量制御中の蒸気モータ3が5台であり、容量制御中の蒸気モータ3の平均負荷率が15%を下回る台数減少条件を満足する場合、台数制御部57は、運転中の蒸気モータ3の1台に停止指令を出力する。蒸気モータ3の運転台数が5台から4台に減少した直後の容量制御中の蒸気モータ3の平均負荷率は、18.8%である。
容量制御中の蒸気モータ3が4台であり、容量制御中の蒸気モータ3の平均負荷率が15%を下回る台数減少条件を満足する場合、台数制御部57は、運転中の蒸気モータ3の1台に停止指令を出力する。蒸気モータ3の運転台数が4台から3台に減少した直後の容量制御中の蒸気モータ3の平均負荷率は、20.0%である。
容量制御中の蒸気モータ3が3台であり、容量制御中の蒸気モータ3の平均負荷率が15%を下回る台数減少条件を満足する場合、台数制御部57は、運転中の蒸気モータ3の1台に停止指令を出力する。蒸気モータ3の運転台数が3台から2台に減少した直後の容量制御中の蒸気モータ3の平均負荷率は、22.5%である。
容量制御中の蒸気モータ3が2台であり、容量制御中の蒸気モータ3の平均負荷率が15%を下回る台数減少条件を満足する場合、台数制御部57は、運転中の蒸気モータ3の1台に停止指令を出力する。蒸気モータ3の運転台数が2台から1台に減少した直後の容量制御中の蒸気モータ3の平均負荷率は、30.0%である。
<コンピュータシステム>
図8は、コンピュータシステム1000の一例を示すブロック図である。上述の台数制御装置5及びローカル制御装置25のそれぞれは、コンピュータシステム1000を含む。コンピュータシステム1000は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサ1001と、ROM(Read Only Memory)のような不揮発性メモリ及びRAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリを含むメインメモリ1002と、ストレージ1003と、入出力回路を含むインターフェース1004とを有する。上述の台数制御装置5の機能及びローカル制御装置25の機能は、プログラムとしてストレージ1003に記憶されている。プロセッサ1001は、プログラムをストレージ1003から読み出してメインメモリ1002に展開し、プログラムに従って上述の処理を実行する。なお、プログラムは、ネットワークを介してコンピュータシステム1000に配信されてもよい。
<他の実施形態>
なお、上述の実施形態において、代表負荷率導出部55により導出される代表負荷率は、容量制御中の蒸気モータ3の最大負荷率又は最小負荷率でもよい。容量制御中の蒸気モータ3の最大負荷率とは、複数の蒸気モータ3の運転負荷率のうち最も大きい運転負荷率をいう。容量制御中の蒸気モータ3の最小負荷率とは、複数の蒸気モータ3の運転負荷率のうち最も小さい運転負荷率をいう。代表負荷率導出部55は、運転負荷率取得部52で取得された運転負荷率に所定の処理を行うことにより、容量制御中の蒸気モータ3の最大負荷率又は最小負荷率を導出することができる。最大負荷率を導出するための所定の処理は、容量制御中の複数の蒸気モータ3の運転負荷率から最大負荷率を抽出する処理を含む。最小負荷率を導出するための所定の処理は、容量制御中の複数の蒸気モータ3の運転負荷率から最小負荷率を抽出する処理を含む。
なお、上述の実施形態においては、容量制御が蒸気モータ3の排蒸気圧力を一定に保つように給蒸気弁9の開度を制御する排蒸気圧一定制御であることとした。容量制御は、給蒸気圧一定制御でもよい。給蒸気圧一定制御とは、蒸気モータ3の給蒸気圧力を一定に保つように給蒸気弁9の開度を制御することをいう。給蒸気圧一定制御を実施する場合、ローカル制御装置25は、給蒸気圧力センサ21の検出データに基づいて、蒸気モータ3の給蒸気圧力が一定になるように、給蒸気弁9に開度調整指令を出力する。
上述の実施形態において、容量制御は、吐出空気圧一定制御でもよい。吐出空気圧一定制御とは、コンプレッサ2から吐出される空気圧力(ユーティリティ出力)を一定に保つように給蒸気弁9の開度を制御することをいう。吐出空気圧一定制御を実施する場合、ローカル制御装置25は、各コンプレッサ2の吐出側に設けられた吐出圧力センサ(不図示)、又は空気圧力センサ18の検出データに基づいて、コンプレッサ2から吐出される空気圧力が一定になるように、給蒸気弁9に開度調整指令を出力する。
なお、上述したように、1つのボイラ6から複数の蒸気駆動エアコンプレッサ24のそれぞれに蒸気が供給されてもよいし、複数のボイラ6で生成された蒸気が複数の蒸気駆動エアコンプレッサ24に供給されてもよい。例えば、複数のボイラ6のそれぞれで生成された蒸気が第1蒸気ヘッダ7に供給され、第1蒸気ヘッダ7の蒸気が複数の蒸気駆動エアコンプレッサ24のそれぞれに供給されてもよい。
なお、上述の実施形態においては、複数の蒸気モータ3のそれぞれから排出された低圧の蒸気は、1つの第2蒸気ヘッダ11に供給されることとした。複数の蒸気モータ3のそれぞれから排出された蒸気は、別々の第2蒸気ヘッダ11に供給されてもよい。また、蒸気モータ3から排出された蒸気は、第2蒸気ヘッダ11を介さずに、低圧蒸気使用機器に直接的に供給されてもよい。
なお、上述の実施形態においては、1つの蒸気モータ3が1つのコンプレッサ2を駆動することとした。複数の蒸気モータ3で共通のコンプレッサ2が駆動されてもよい。1つの蒸気モータ3で複数のコンプレッサ2が駆動されてもよい。
なお、上述の実施形態において、コンプレッサ2は、回転式(スクリュー式)であることとした。コンプレッサ2は、旋回式(スクロール式)や往復式(ピストン式)でもよい。
なお、上述の実施形態においては、蒸気駆動エアコンプレッサ24は、ボイラ6から供給される蒸気に基づいて作動することとした。蒸気供給源は、ボイラでなくてもよい。
なお、上述の実施形態においては、蒸気駆動エアコンプレッサ24は、蒸気モータ3を備えることとした。蒸気モータ3に代えて、複数の動翼を持つ蒸気タービンが配置されてもよい。ローカル制御装置25は、給蒸気弁9を制御して、蒸気タービンに対する蒸気の供給と供給停止とを切り換えることができ、蒸気タービンの回転数を制御することができる。
なお、上述の実施形態においては、被動機2が圧縮空気を吐出するコンプレッサ2であることとした。被動機2は、湯水を吐出するポンプでもよい。ポンプはユーティリティとして湯水を吐出する。被動機2がポンプである場合、ローカル制御装置25は、ポンプから吐出される湯水の吐出圧力(ユーティリティー出力)を一定に保つように給蒸気弁9の開度を制御することができる。また、被動機2は、発電機でもよい。発電機はユーティリティとして電気を出力する。被動機2が発電機である場合、ローカル制御装置25は、発電機から出力される電気の出力(ユーティリティー出力)を一定に保つように給蒸気弁9の開度を制御することができる。