JP7131191B2 - 飲料 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明は、下記の〔1〕~〔2〕である。
食用油脂(A)の含有量は3~16質量%であり、澱粉分解物(B)の含有量は40~60質量%であり、
食用油脂(A)は、総脂肪酸組成中におけるカプリル酸とカプリン酸の総和が50質量%以上であり、
澱粉分解物(B)は、デキストロース当量が10~20である、飲料。
〔2〕水中油型乳化液の油滴のメディアン径は、1μm以下である、請求項1に記載の飲料。
[2.0kcal/g以上である飲料]
本発明の2.0kcal/g以上である飲料は、運動時のエネルギー補給を目的とした飲料である(以下、「エネルギー補給用飲料」という。)。2.0kcal/g以上とすることにより、少量の摂取で高カロリーを得ることができるため、運動時に携帯することが可能となる。一般的なスポーツ飲料は運動時に発汗などによって失われる水分、電解質、ミネラル、エネルギーを効率的に補給することを可能にした飲料であるが、本発明のエネルギー補給用飲料はエネルギー補給に重点をおいた飲料であり、一般のスポーツ飲料とは摂取の目的が全く異なる。なお、「運動時」とは、「運動中」又は「運動前」を示し、「運動前」とは、運動開始より約1時間以内である。本発明のエネルギー補給用飲料は、「運動時」のエネルギーを確保するという観点から、運動中又は運動開始より1時間以内に飲用することが特に好ましい。
なお、油滴のメディアン径の測定方法は、(株)堀場製作所レーザー回折式粒度分布計LA-950を用いて測定する。
なお、粘度の測定方法は、ブルックフィールドエンジニアリングラボラトリーズ社製B型粘度計を使用し、25℃における粘度を測定する。
<食用油脂(A)>
本発明に用いる食用油脂(A)は、カプリル酸あるいはカプリン酸を含み、総脂肪酸組成中におけるカプリル酸とカプリン酸の総和が50質量%以上である油脂組成物である。カプリル酸およびカプリン酸を多く含む油脂組成物は、融点および粘度が低く油性感が少ないため、運動時のエネルギー補給に適している。カプリル酸とカプリン酸の総和の下限値としては、好ましくは80質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上であり、特に好ましくは95質量%以上である。50質量%未満である場合には、エネルギー補給用飲料の粘度や油っぽさが増幅してしまい、運動時に摂取するには好ましくない。
中鎖脂肪を構成するカプリル酸とカプリン酸の割合について特に制限されないが、中鎖脂肪として一般的に用いられる組成のものであればよく、カプリル酸55~85質量%、カプリン酸15~45質量%のものが好ましく用いることができる。
本発明に用いる澱粉分解物(B)は、素早く吸収されエネルギーとして利用可能なデキストロース当量(以下、「DE」という。)が10~20である澱粉分解物である。また、該澱粉分解物と上記の食用油脂を併用することで、甘さが強くなりすぎずに運動時でも飲用することができるエネルギー補給用飲料が得られる。DEとは、還元糖をグルコースとして測定し、その還元糖の全固形分に対する割合であり、澱粉の分解度を表す指標であり、値が高いほど加水分解が進んでいることを示す。DEが小さい場合、粘度が高くなりやすく、DEが大きい場合、甘味が強くなりやすい。澱粉分解物のDEは、エネルギー補給用飲料での適度な甘味と粘度という観点から、好ましくは10~18である。
乳化剤の種類は、特に制限されないが、モノグリセライド、レシチン、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルを含有することが好ましい。これらの乳化剤を用いることにより、食用油脂の油滴の粒子径をより微細化することができる。更には、乳化安定性にも優れ、食用油脂の油滴の粒子径を長期間維持することができる。
本発明のエネルギー補給用飲料には、必要に応じて、酸味料、甘味料、無機塩、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、有機酸塩、香料、果汁、栄養強化剤、着色料、保存料、抗酸化剤等を添加することができる。
酸味料としては、例えば、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、フマル酸、グルコン酸、コハク酸、リン酸等が挙げられる。
甘味料としては、ブドウ糖、ショ糖、果糖、スクラロース、ステビア、アスパルテーム等が挙げられる。
無機塩としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、リン酸三カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム等が挙げられる。
アミノ酸としては、例えば、L-アスパラギン酸ナトリウム、DL-アラニン、L-イソロイシン、L-グリシン、L-グルタミン、L-グルタミン酸、L-グルタミン酸ナトリウム、L-グルタミン酸カリウム、L-テアニン、L-トレオニン、L-バリン、L-フェニルアラニン、L-メチオニン、L-リシン塩酸塩、L-アスパラギン、L-アスパラギン酸、L-アルギニン、L-シスチン、L-セリン、L-チロシン、L-ヒスチジン、L-プロリン、L-ロイシン等が挙げられる。
ペプチドとしては、例えば、ホエイペプチド、カゼインペプチド、コラーゲンペプチド、大豆ペプチド、魚肉ペプチド、卵白ペプチド、イミダゾールペプチド等が挙げられる。
タンパク質としては、例えば、カゼイン、ホエイタンパク、ゼラチン、コラーゲン、大豆タンパク等が挙げられる。
有機酸塩としては、例えば、クエン酸一カリウム、クエン酸三カリウム、クエン酸三ナトリウム、グルコン酸カリウム、グルコン酸ナトリウム、コハク酸一ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、酢酸ナトリウム、L-酒石酸水素カリウム、L-酒石酸ナトリウム、乳酸カリウム、乳酸ナトリウム、フマル酸一ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム等が挙げられる。
香料としては、例えば、グレープフルーツ香料、レモン香料、マスカット香料、グレープ香料、オレンジ香料、みかん香料、梨香料、アップル香料、ストロベリー香料、メロン香料、パイナップル香料、ピーチ香料、ヨーグルト香料、ミント香料等が挙げられる。
果汁としては、例えば、グレープフルーツ果汁、レモン果汁、マスカット果汁、グレープ果汁、オレンジ果汁、みかん果汁、梨果汁、アップル果汁、ストロベリー果汁、メロン果汁、パイナップル果汁、ピーチ果汁等が挙げられる。
栄養強化剤としては、水溶性ビタミン、脂溶性ビタミン、ミネラル成分の他、カルニチン、タウリン、ヒアルロン酸、セサミン、ポリフェノール、グルコサミン、コンドロイチン、牡蠣エキス、シジミエキス、すっぽんエキス、大麦若葉エキス、ケールエキス、ブルーベリーエキス、クランベリーエキス、カシスエキス、バラの花エキス、ノコギリ椰子エキス等が挙げられる。
水溶性ビタミンとしては、例えば、ビタミンB1(チアミン塩酸塩、チアミン硝酸塩)、ビタミンB2(リボフラビン、リボフラビン酪酸エステル、リボフラビン5’-リン酸エステルナトリウム)、ビタミンB6(ピリドキシン塩酸塩)、ビタミンB12(シアノコバラミン)、葉酸、ナイアシン、パントテン酸ナトリウム、パントテン酸カルシウム、ビタミンC(アスコルビン酸)等が挙げられる。
脂溶性ビタミンとしては、例えば、ビタミンA(レチノール、レチナール、レチノイン酸)、ビタミンD(エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール)、ビタミンE(トコフェロール、トコトリエノール)等が挙げられる。なお、脂溶性ビタミンは、単独で乳化して添加しても、食用油脂に溶解して添加してもよい。
ミネラル成分としては、例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、クエン酸カルシウム、クエン酸鉄、グルコン酸亜鉛、グルコン酸カルシウム、グルコン酸第一鉄、グルコン酸銅、酢酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、乳酸カルシウム、乳酸鉄、リン酸三カルシウム、リン酸三マグネシウム、骨焼成カルシウム、乳清焼成カルシウム、卵殻カルシウム等が挙げられる。
(実施例1~4、比較例1~6)
[エネルギー補給用飲料の調製]
表1に示す配合に従い、加温した水に処方原料を適宜添加、攪拌、乳化、殺菌し、エネルギー補給用飲料を調製した。なお、各成分に使用した原料は以下のとおりである。
・中鎖脂肪:パナセート810(日油(株)製、カプリル酸85質量%、カプリン酸15質量%)
・ナタネ油:日清オイリオ(株)製、カプリル酸とカプリン酸の総和0質量%
・澱粉分解物(DE:9):マックス1000(松谷化学工業(株))
・澱粉分解物(DE:18):TK-16(松谷化学工業(株))
・澱粉分解物(DE:24):サンデック♯250(三和澱粉工業(株))
・フルクトース:純果糖(加藤化学(株))
・乳化剤:サンソフトQ-17S(太陽化学(株))
・香料:レモンフレーバー(高砂香料(株))
(エネルギー密度)
エネルギー密度は、エネルギー換算係数として、脂質(A成分+乳化剤)9kcal/g、炭水化物(B成分)4kcal/gとして算出した。
(粘度の測定)
ブルックフィールドエンジニアリングラボラトリーズ社製B型粘度計を使用し、25℃における粘度を測定した。その結果を表1に示す。
(飲みやすさの評価)
平地で6km/hの速さでランニングをし、走りながら上記のエネルギー補給用飲料(500kcal相当量)を飲用し、飲みやすさを評価した。飲みやすさの評価は、4名のパネラーにおける官能評価により行った。官能評価の評価項目は、「甘さ」、「油っぽさ」、「べたつき」、「飲みやすさ」の4項目とし、以下の基準にて評価した。そして4名のパネラーの評価について、◎を5点、〇を4点、△を3点、×を2点として、平均点を算出した。そして、平均点が3.5点以上の場合を「良好」と評価した。結果を表2に示す。
<甘さ>
◎:程よい甘さである。
〇:甘さを感じるが、気にならない程度の甘さである。
△:甘さを感じ、やや気になる。
×:甘すぎる。
<油っぽさ>
◎:油っぽくない。
〇:油っぽさを感じるが、気にならない。
△:油っぽさを感じ、やや気になる。
×:油っぽさを強く感じ、飲用に抵抗がある。
<べたつき>
◎:口内がべたつかない。
〇:口内が少しべたつくが、気にならない。
△:口内のべたつきがやや気になる。
×:口内がべたつき、飲用に水を要する。
<飲みやすさ>
◎:すっきりとして飲みやすい。
〇:飲みやすく、飲用に特に問題はない。
△:やや飲みにくさを感じる。
×:飲みにくく、飲用に適さない。
一方、食用油脂(A)を含まない飲料(比較例1)は甘味とべたつきが強く、飲用しにくいものであった。食用油脂(A)を特定量よりも多く含む飲料(比較例2)では、油分が多いため口内で油っぽさを感じ、運動中の飲用には適していなかった。DEが小さい澱粉分解物を含む飲料(比較例3)では、粘度が非常に高く、極めて飲みにくかった。DEが大きい澱粉分解物や単糖であるフルクトースを含む飲料(比較例4、5)では、食用油脂(A)を含んでいても甘さが強く飲用しにくいものであった。食用油脂(A)の総脂肪酸組成中、カプリル酸とカプリン酸の総和が50質量%より小さい飲料(比較例6、7)では、食用油脂を少量しか含まないにも関わらず油脂のコク味や油っぽさを強く感じ、運動時の飲用には適していなかった。
[エネルギー補給用飲料の製造]
(1)乳化組成物の配合
油相部:
中鎖脂肪 30.0質量%
レシチン 2.0質量%
水相部:
ポリグリセリン脂肪酸エステル(※1) 4.0質量%
ショ糖脂肪酸エステル(※2) 2.0質量%
澱粉分解物(※3) 40.0質量%
水 22.0質量%
(※1)デカグリセリンモノオレート、HLB19
(※2)構成脂肪酸:ステアリン酸、HLB9
(※3)DE:18
a)水相部、油相部をそれぞれ75~80℃に加熱・撹拌して、各成分を溶解した。
b)該水相部をプロペラ撹拌器で撹拌しながら油相部を徐々に加え、更に75~80℃で20分間撹拌し、粗乳化液を得た。
c)該粗乳化液を、高圧ホモジナイザー(商品名:マイクロフルイダイザー(みずほ工業(株)製))を用いて均質化し(処理圧:150MPa)、乳化組成物1を得た。該乳化組成物の油滴の粒子径は、0.12μm(メディアン径)であった。
上記乳化組成物を用いて、エネルギー密度を2.7kcal/gとなるようにエネルギー補給用飲料Xを以下の配合割合で配合し調製した。
(エネルギー補給用飲料X)
乳化組成物 30.0質量%
澱粉分解物(DE:18) 30.0質量%
クエン酸 0.5質量%
クエン酸ナトリウム 0.1質量%
香料 0.3質量%
水 39.1質量%
上記、エネルギー補給用飲料Xを用い、クロスオーバー法による吸収性評価および運動パフォーマンス評価を実施した。対照飲料として、澱粉分解物(デキストロース当量:18)と水の量でエネルギー密度を2.7kcal/gに揃えたエネルギー補給用飲料Cを用いた。
(エネルギー補給用飲料C)
澱粉分解物(DE:18) 67.5質量%
クエン酸 0.5質量%
クエン酸ナトリウム 0.1質量%
香料 0.3質量%
水 31.6質量%
Claims (2)
- 食用油脂(A)、澱粉分解物(B)を含む水中油型乳化液であり、食用油脂(A)、澱粉分解物(B)及び乳化剤のエネルギー値の総和からなるエネルギー密度が飲料1gあたり2.7kcal以上である飲料であって、
食用油脂(A)の含有量は3~16質量%であり、澱粉分解物(B)の含有量は40~60質量%であり、
食用油脂(A)は、総脂肪酸組成中におけるカプリル酸とカプリン酸の総和が50質量%以上であり、
澱粉分解物(B)は、デキストロース当量が10~20である、運動時のエネルギー補給用飲料。 - 水中油型乳化液の油滴のメディアン径は、1μm以下である、請求項1に記載の運動時のエネルギー補給用飲料。
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