JP7130537B2 - 嫌気処理システム - Google Patents

嫌気処理システム Download PDF

Info

Publication number
JP7130537B2
JP7130537B2 JP2018226085A JP2018226085A JP7130537B2 JP 7130537 B2 JP7130537 B2 JP 7130537B2 JP 2018226085 A JP2018226085 A JP 2018226085A JP 2018226085 A JP2018226085 A JP 2018226085A JP 7130537 B2 JP7130537 B2 JP 7130537B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
anaerobic treatment
treatment tank
oil
oils
fats
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018226085A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020082045A (ja
Inventor
達則 清川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Heavy Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Heavy Industries Ltd filed Critical Sumitomo Heavy Industries Ltd
Priority to JP2018226085A priority Critical patent/JP7130537B2/ja
Publication of JP2020082045A publication Critical patent/JP2020082045A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7130537B2 publication Critical patent/JP7130537B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02WCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
    • Y02W10/00Technologies for wastewater treatment
    • Y02W10/10Biological treatment of water, waste water, or sewage

Landscapes

  • Physical Water Treatments (AREA)
  • Purification Treatments By Anaerobic Or Anaerobic And Aerobic Bacteria Or Animals (AREA)

Description

本発明は、油脂含有排水を処理する嫌気処理システムに関するものである。
一般に、有機物を含む排水を処理する方法として、種々の微生物を利用した生物処理が知られている。特に、嫌気的な環境下での生物処理(以下、「嫌気処理」と呼ぶ)は、曝気動力が不要で、余剰汚泥がほとんど発生しないことなど、導入のメリットが高いことから広く用いられている。
一方、油脂含有排水の生物処理においては、油脂のような水難溶性物質は微生物で分解され難く、反応が進行しにくい。また、反応の過程で生成する高級脂肪酸等の遊離脂肪酸は、微生物の代謝を阻害することが知られている。したがって、油脂含有排水の生物処理においては、排水中の油脂を低減させることが必要となる。
特許文献1には、油脂含有排水を油脂混合物と分離水に分離し、油脂混合物は高温消化工程で嫌気処理を行うとともに、分離水は中温消化工程で嫌気処理を行い、高温消化工程の流出液をさらに中温消化工程で嫌気処理する方法が記載されている。また、油脂含有排水の分離方法としては、浮上分離、常圧浮上、加圧浮上、遠心分離、膜分離など、公知の分離技術を利用することができる旨が記載されている。
特開2001-17990号公報
特許文献1に記載されたような方法で油脂含有排水を油脂混合物と分離水に分離し、それぞれに対して嫌気処理を行う場合、処理温度の異なる生物処理槽を複数設けることに加え、油脂分離処理を行う分離装置が必要となり、処理システムとしての規模が大きくなるという問題がある。
一方、油脂含有排水の処理においては、特許文献1に記載されたような油脂含有排水を分離する方法によらず、直接嫌気処理槽にて生物処理を行うことも行われている。
しかしながら、油脂含有排水を直接嫌気処理槽にて生物処理する場合、微生物による油脂の分解速度が遅いため、十分な油脂分解が行われずに、未処理の油脂は浮上して嫌気処理槽の上部に蓄積してしまうことがある。嫌気処理槽の上部に蓄積した油脂は、嫌気処理槽内の被処理水中に存在する油脂分解菌との接触が起こらないため、分解が進まない。また、浮上した油脂が嫌気処理槽に設けられた配管内部で固まり、閉塞を引き起こすおそれがある。したがって、嫌気処理槽内において油脂の分解・可溶化を促進する技術が求められている。
本発明の課題は、油脂含有排水の嫌気処理において、嫌気処理槽における油脂の分解・可溶化を促進させることができる嫌気処理システムを提供することである。
本発明者は、上記の課題について鋭意検討した結果、嫌気処理を行う油脂含有排水に対して紫外線照射を行うことで、嫌気処理槽における油脂の分解・可溶化が促進できることを見出して、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の嫌気処理システムである。
上記課題を解決するための本発明の嫌気処理システムは、油脂含有排水を嫌気処理する嫌気処理システムにおいて、油脂含有排水に対して紫外線を照射する照射部を備えるという特徴を有する。
本発明の嫌気処理システムによれば、油脂含有排水に対して、紫外線を照射することで、油脂の分解・可溶化を促進することができる。また、分解・可溶化した油脂は、微生物の作用によってバイオガスを生成する際のバイオガス炭素源として利用することが可能となるという効果も奏する。
また、本発明の嫌気処理システムの一実施態様としては、照射部は、嫌気処理槽内に設けられるという特徴を有する。
この特徴によれば、油脂含有排水に対する紫外線照射を嫌気処理槽内で行うことができる。これにより、嫌気処理槽内での油脂の分解・可溶化を可能とし、別途油脂分離装置を設ける必要がなくなる。また、嫌気処理槽から油脂を移送する必要がなくなるため、配管の閉塞も抑制することが可能となる。
また、本発明の嫌気処理システムの一実施態様としては、嫌気処理槽内の油脂を検知する検知部を有し、検知部により油脂が検知された際に、照射部を運転するという特徴を有する。
この特徴によれば、照射部の運転を油脂の蓄積状態に応じた制御とすることができ、紫外線の照射による嫌気処理槽内の微生物への影響を最小限に抑え、かつ油脂の分解・可溶化を行うことが可能となる。
また、本発明の嫌気処理システムの一実施態様としては、嫌気処理槽内には、照射部によって紫外線が照射される紫外線照射領域と、嫌気処理が行われる嫌気処理領域との間に、紫外線照射領域と嫌気処理領域を仕切る仕切り領域が設けられているという特徴を有する。
この特徴によれば、紫外線照射領域と嫌気処理領域を区画することで、紫外線の照射による嫌気処理槽内の微生物への影響を最小限に抑え、かつ油脂の分解・可溶化を行うことが可能となる。
また、本発明の嫌気処理システムの一実施態様としては、嫌気処理槽に油脂含有排水を導入する導入配管に対して紫外線を照射するように設けられるという特徴を有する。
この特徴によれば、嫌気処理前に油脂含有排水に紫外線を照射することで、油脂の分解・可溶化を進行させた状態で嫌気処理を行うことが可能となる。また、嫌気処理槽内での紫外線の照射量を低減させることができるため、嫌気処理槽内の微生物への影響を最小限に抑えることが可能となる。
本発明によると、油脂含有排水の嫌気処理において、嫌気処理槽における油脂の分解・可溶化を促進させることができる嫌気処理システムを提供することができる。
本発明の第1の実施態様に係る嫌気処理システムの概略説明図である。 本発明の第2の実施態様に係る嫌気処理システムの概略説明図である。 本発明の第3の実施態様に係る嫌気処理システムの概略説明図である。 本発明の第3の実施態様に係る嫌気処理システムの別の一態様を示す概略説明図である。 本発明の第4の実施態様に係る嫌気処理システムの概略説明図である。 本発明の第5の実施態様に係る嫌気処理システムの概略説明図である。 本発明の第6の実施態様に係る嫌気処理システムの概略説明図である。 本発明の第7の実施態様に係る嫌気処理システムの概略説明図である。 本発明の第8の実施態様に係る嫌気処理システムの概略説明図である。 本発明の第8の実施態様に係る嫌気処理システムの別の一態様を示す概略説明図である。
本発明の嫌気処理システムは、油脂含有排水の嫌気処理において好適に利用されるものである。
処理対象である油脂含有排水とは、水中に油脂分を含有する有機性の排水を示し、主に惣菜加工工場排水、菓子類製造工場排水、食用油製造工場排水等が挙げられる。また、油分を含有する有機性の排水であればよく、下水排水、牛や豚の畜舎排水等で油分を含有する汚泥も含まれる。
また、排水中に含まれる油脂は水に難溶性の物質であり、具体例としては、動物性油脂、植物性油脂、脂肪酸、炭化水素、芳香油、高級アルコール、界面活性剤等が挙げられる。これらの油脂は、水中にSS(Suspended Solid)として固体状態で存在してもよく、または水中に乳化分散した液体状態や水と分離した状態で存在するものであってもよい。
油脂含有排水の嫌気処理としては、例えば、酸生成菌及びメタン生成菌によるメタン発酵や、脱窒菌により硝酸・亜硝酸の還元を行う脱窒処理や、硫酸還元菌により硫酸の還元を行う硫酸還元処理等が挙げられる。処理コストや生成ガスの有用性の観点から、嫌気処理としてはメタンを生成するメタン発酵が特に好ましい。
以下、図面を参照しつつ本発明に係る嫌気処理システムの実施態様を詳細に説明する。なお、実施態様に記載する嫌気処理システムについては、本発明に係る嫌気処理システムを説明するために例示したにすぎず、これに限定されるものではない。
[第1の実施態様]
図1は、本発明の第1の実施態様の嫌気処理システムの概略説明図である。
本発明に係る嫌気処理システム1aは、図1に示すように、油脂含有排水WOを導入して嫌気処理を行う嫌気処理槽2と、紫外線を照射する照射部3を備えるものである。また、嫌気処理槽2に対して油脂含有排水WOを導入するための導入配管であるラインL1と、嫌気処理槽2から排出される処理水W1を系外に排出するための排出配管であるラインL2を有している。なお、図1の矢印は水の流れを示すものである。
嫌気処理槽2は、油脂含有排水WOを嫌気処理するための反応槽である。図1に示すように、ラインL1を介して油脂含有排水WOが嫌気処理槽2に供給される。嫌気処理槽2では、内部に収容する微生物により、油脂含有排水WO中に含まれる成分の分解あるいは還元が行われる。嫌気処理後の処理水W1は、ラインL2を介して嫌気処理槽2から排出される。なお、嫌気処理槽2は、嫌気的条件の維持のために、天井を有し、閉じた空間を形成していることが好ましい。
嫌気処理槽2における嫌気処理としてメタン発酵を行う場合について説明する。
嫌気処理槽2でメタン発酵を行う場合、嫌気処理槽2内部に収容する酸生成菌により、油脂含有排水WO中の糖、蛋白質及び油分などの固体や高分子有機物を分解して、単糖類、アミノ酸、低級脂肪酸及び酢酸を生成する酸生成工程と、嫌気処理槽2内部に収容するメタン生成菌により、油脂含有排水WO中の単糖類、アミノ酸、低級脂肪酸及び酢酸等からメタンを生成するメタン生成工程により、メタン発酵が進行する。
なお、本実施態様における嫌気処理槽2は、嫌気処理を行う反応槽であればよい。したがって、嫌気処理槽2は、酸生成工程とメタン生成工程を1つの槽内で行う反応槽であってもよく、酸生成工程とメタン生成工程を別々の槽で行う複数の反応槽からなるものであってもよい。さらに、酸生成工程またはメタン生成工程のいずれか1つを行う反応槽であってもよい。
嫌気処理槽2は、さらに付帯する各種設備を設けることができる。例えば、嫌気処理槽2に、内部の水温調整手段、pH調整剤の投入手段、微生物が必要とする栄養源である窒素、リン、コバルト及びニッケル等の金属類を添加する手段を備えたものとしてもよい。特に、嫌気処理として酸生成菌及びメタン生成菌によるメタン発酵を行う場合、嫌気処理槽2に付帯する設備として、メタンガスの回収、精製及び貯留を行う手段を備えるものとすることが好ましい。
なお、本実施態様において、嫌気処理として酸生成菌及びメタン生成菌によるメタン発酵について説明したが、これに限定されるものではなく、他の微生物による嫌気処理を行うものとしてもよい。
照射部3は、油脂含有排水WOに紫外線を照射するためのものである。照射部3は、嫌気処理に供される油脂含有排水WOに紫外線を照射することができれば、どの位置に設置してもよい。例えば、照射部3を嫌気処理槽2内に設けてもよく、嫌気処理槽2の前段に設けるものとしてもよい。また、嫌気処理槽2が複数の反応槽から構成される場合には、照射部3をそれぞれの反応槽に設けるものとしてもよく、いずれか1つの反応槽に設けるものとしてもよい。さらに、照射部3は油脂含有排水WOの外側に設けるものであってもよく、油脂含有排水WO中に設けるものとしてもよい。また、油脂含有排水WO中及び外側の両方に設けるものであってもよい。
本実施態様においては、図1に示すように、嫌気処理槽2内に照射部3を設置した場合について説明する。
照射部3は、図1に示すように、嫌気処理槽2内の水面に向けて紫外線を照射するものである。なお、図1においては、照射部3は、嫌気処理槽2の天井側に設けられ、天井側から水面に向けて紫外線を照射するように設けられているが、これに限定されない。例えば、嫌気処理槽2内の水中に照射部3を設け、水中から水面に向けて紫外線を照射するように設けるものであってもよい。
また、照射部3を嫌気処理槽2の天井側に設ける場合、嫌気処理槽2の天井側から水面に向けて紫外線を効率的に照射するように、例えば、枠体などのように、紫外線の照射方向を制限するための構造を設けるものとしてもよい。
照射部3は、電源と光照射ランプを有する紫外線照射装置31を備えるものである。また、紫外線照射装置31は、400nm以下の波長域の光線を照射できるものであればよい。例えば、光照射ランプとしては、UV-LED、殺菌灯、低圧水銀灯、高圧水銀灯、ハロゲンランプ、キセノンランプ、エキシマレーザーなどを用いることができる。また、複数波長の光照射ランプを組み合わせるものとしてもよい。
紫外線照射装置31により照射する紫外線の波長については、油脂分解能や、装置の入手及び取り扱いに係る容易性を鑑み、波長の下限を200nm、波長の上限を400nmとした近紫外線の範囲とすることが好ましい。また、紫外線は嫌気処理を行う微生物に対しては悪影響を与えるため、微生物に対する影響の大きい波長である240nmから280nmの範囲を除く波長とするものとしてもよい。このとき、特定の波長の光照射ランプを用いるものとしてもよく、広範囲の波長の光照射ランプに対しフィルターなどにより特定の波長をカットして用いるものとしてもよい。これにより、微生物に対する紫外線の影響を抑制した状態で、油脂分解を行うことが可能となる。
紫外線照射装置31によって、嫌気処理槽2中の油脂含有排水WOに紫外線を照射することで、油脂含有排水WOに含まれる油脂成分が分解・可溶化される。したがって、嫌気処理槽2の前後で油脂含有排水WOの油脂成分を分離することなく、嫌気処理槽2内で油脂成分の分解・可溶化が可能となる。なお、本発明者らは、紫外線照射装置31として15Wの水銀灯を用い、脂肪酸塩含有溶液に対して24時間照射を行うことで、油脂濃度が8割減少することを確認している。
以上のように、嫌気処理槽2内で油脂含有排水WO中の油脂成分の分解・可溶化を進めることで、油脂分離装置を別途設けることなく嫌気処理を行うことが可能となる。また、嫌気処理槽2から油脂を移送する必要もないため、嫌気処理槽2の配管の閉塞を抑制することが可能となる。
また、特に嫌気処理としてメタン発酵を行う場合、嫌気処理槽2内で分解・可溶化された油脂成分を、そのままメタンの炭素源としても利用することが可能となる。これにより、嫌気処理の効率を向上させることとともに、有用なバイオガスであるメタンガスの回収効率も向上させることができるという効果を奏する。
[第2の実施態様]
図2は、本発明の第2の実施態様の嫌気処理システム1bの概略説明図である。
本実施態様に係る嫌気処理システム1bは、図2に示すように、第1の実施態様の嫌気処理システム1aに加えて、油脂を検知する検知部4を備えるものである。また、第1の実施態様における照射部3に、紫外線照射装置31の運転制御を行う運転制御部32をさらに設け、検知部4の検知結果に応じた紫外線照射装置31の運転制御を可能とするものである。なお、図2中の一点鎖線の矢印は、制御可能に接続されていることを示している。
なお、本実施態様における嫌気処理システム1bの構成のうち、第1の実施態様の嫌気処理システム1aの構成と同じものについては、説明を省略する。
検知部4は、嫌気処理槽2内の油脂を検知するためのものである。特に、嫌気処理槽2内の上部(水面)に蓄積した余剰油脂の発生を検知するためのものである。なお、余剰油脂の詳細については後述する。
検知部4は、主として嫌気処理槽2内の上部(水面)に蓄積した油脂を検知するものである。また、検知部4は、計測器41と判断部42を備えている。
計測器41は、嫌気処理槽2内の水面に対する計測を行うように設けられている。また、判断部42は、計測器41の計測結果から、嫌気処理槽2内の水面に蓄積物(油脂)があることを判断するものである。
計測器41は、嫌気処理槽2内の水面に接触して計測する場合、油脂の付着により計測精度の低下が生じ、定期的な清掃が必要となる。したがって、計測器41としては嫌気処理槽2内の水面に対して非接触で計測が可能なものを用いることが好ましい。これにより、計測器41のメンテナンスが容易であるとともに、計測器41の誤作動を低減させた状態で計測を行うことが可能となる。
計測器41の具体的な例としては、例えば、超音波センサ、光センサ、カメラなどが挙げられる。
超音波センサを用いた場合、図2に示すように、センサから本来の水面までの距離H1がセンサから蓄積した油脂までの距離H2へ変動することを検知するように設けるものとする。この際、嫌気処理槽2内の水面に対して非接触で計測が可能である。また、超音波センサを用いる場合、嫌気処理槽2の天井側から水面に向かって測定するものを設けるだけでは嫌気処理槽2内の水面変動による影響を受ける。したがって、嫌気処理槽2内の水中にも超音波センサを設け、センサから水面までの距離H3を計測する。そして、判断部42においてそれぞれの超音波センサによる計測距離の和の変動、すなわち油脂の蓄積がない場合の値(距離H1+距離H3)と、油脂の蓄積がある場合の値(距離H2+距離H3)の変動に基づく判断を行い、油脂を検知するものとしてもよい。特に、超音波センサは嫌気処理槽2内の水質(色、油脂の分散等)による計測への影響が少ないため、2カ所(嫌気処理槽2の天井側及び水中)に設け、油脂を検知することが好ましい。
また、光センサを用いた場合、嫌気処理槽2の上下方向に光を通し、蓄積した油脂による光の遮断を検知するように設けるものとする。この際、水面変動の影響を受けない計測が可能であるとともに、操作が容易であるという利点がある。
また、カメラを用いた場合、嫌気処理槽2内の水面における画像の変化を検知するように設けるものとする。この際、嫌気処理槽2内の水面に係る2次元データを取得可能であり、油脂の蓄積状態の詳細に係る情報が得られるという利点がある。
照射部3に設けられた運転制御部32は、紫外線照射装置31の運転制御を行うものであって、検知部4の油脂の検知結果に基づき、紫外線照射装置31を運転させるものである。これにより、紫外線照射装置31の運転を油脂の蓄積状態に応じた制御とすることができ、紫外線の照射による嫌気処理槽2内の微生物への影響を最小限に抑え、かつ油脂の分解・可溶化を行うことが可能となる。
なお、運転制御部32による運転制御の内容については特に限定されない。紫外線照射装置31の運転のオンオフ操作であってもよく、紫外線照射装置31による紫外線の照射強度、照射波長を制御するものであってもよい。
検知部4により検知する余剰油脂について説明する。
嫌気処理槽2において、油脂含有排水WO中の油脂に対しては、油脂分解能を有する油脂分解菌が収容されることで油脂分解が進行する。しかし、油脂分解菌による油脂分解及び油脂分解菌の増殖自体が遅いことから、分解し切れない余剰油脂SOが生じることがある。
余剰油脂SOは、油脂成分そのものや、油脂成分と他の成分が反応した反応生成物の形で生じる。反応生成物としては、例えば、油脂成分である脂肪酸と、他の成分である金属イオンが反応し、脂肪酸塩の形で生じるものなどが挙げられる。
余剰油脂SOのうち、固形成分として析出したものは、水よりも比重が小さいため、嫌気処理槽2内を浮上する。また、余剰油脂SOは、嫌気処理槽2内での生物処理に伴って発生する気体(ガス)が付着することで、さらに浮力が増して、嫌気処理槽2内を浮上し、嫌気処理槽2の上部(水面)に蓄積する。このように嫌気処理槽2の上部に蓄積した余剰油脂SOには、油脂分解菌などの微生物が接触できず、油脂分解が進まなくなる。
この余剰油脂SOの蓄積を検知部4により検知したときに、照射部3の運転制御部32により、紫外線照射装置31を運転して、主に余剰油脂SOに対して紫外線を照射する。これにより、紫外線の照射による嫌気処理槽2内の微生物への影響を最小限に抑え、かつ油脂の分解・可溶化を行うことが可能となる。
なお、検知部4は、嫌気処理槽2内の水面に蓄積した油脂以外にも、嫌気処理槽2内の油脂含有排水WO中に分散している油脂を検知するものであってもよい。このとき、所定量以上の油脂を検出した場合に、照射部3を運転させるものとすることで、油脂の分解・可溶化を特に必要とする場合に限り、紫外線を照射することができる。
以上のように、本実施態様における嫌気処理システム1bにより、照射部3の運転を油脂の蓄積状態に応じた制御とすることができ、紫外線の照射による嫌気処理槽2内の微生物への影響を最小限に抑え、かつ油脂の分解・可溶化を行うことが可能となる
[第3の実施態様]
図3は、本発明の第3の実施態様の嫌気処理システム1cの概略説明図である。
本実施態様に係る嫌気処理システム1cは、図3に示すように、第1の実施態様の嫌気処理システム1aに加えて、紫外線が照射される紫外線照射領域A1と、嫌気処理が行われる嫌気処理領域A2の間に、仕切り領域5を備えるものである。
なお、本実施態様における嫌気処理システム1cの構成のうち、第1の実施態様の嫌気処理システム1aの構成と同じものについては、説明を省略する。
本実施態様における仕切り領域5は、嫌気処理を行う微生物に対する紫外線の照射を低減させるためのものであって、紫外線が照射される紫外線照射領域A1と、嫌気処理が行われる嫌気処理領域A2の間に設けられる。具体的には、仕切り領域5は、嫌気処理槽2内に設けられた仕切り板51aにより区画された領域からなる。
仕切り板51aは、紫外線が透過しにくい材質及び構造からなるものとすることが好ましい。なお、紫外線が透過しにくいものとしては、紫外線を遮蔽するものの他に、紫外線を反射あるいは吸収するものも含まれる。また、仕切り板51aの表面に対して紫外線を反射あるいは吸収する材料を別途塗布するものであってもよい。
また、本実施態様における仕切り領域5は、仕切り領域5を境として微生物に対する紫外線の影響を低減させることができればよい。したがって、仕切り板51aは紫外線を完全に遮蔽、反射又は吸収するものでなくてもよい。
仕切り領域5を形成する仕切り板51aの具体的な配置の一例としては、図3に示すように、複数枚の板からなる仕切り板51aを、嫌気処理槽2内を上下方向に区画するように配設することが挙げられる。これにより、仕切り板51aの上部を紫外線照射領域A1とし、仕切り板51aの下部を嫌気処理領域A2とすることができる。
ここで、紫外線照射領域A1では、紫外線による油脂の分解・可溶化が進行し、嫌気処理領域A2は、微生物が紫外線の影響を受けることなく嫌気処理を進行することができる。
なお、仕切り板51aに油脂が付着した場合であっても、紫外線照射領域A1側においては紫外線照射による油脂の分解・可溶化が進行し、嫌気処理領域A2側においては嫌気処理槽2内に存在する油脂分解菌による油脂の分解が進行するため、清掃等のメンテナンス頻度を少なくすることが可能である。
仕切り板51aは、嫌気処理槽2の底部に対して平行に設けるものであってもよく、傾斜して設けるものであってもよい。また、仕切り板51aは、平板、曲板、波状、角波状、三角波状、矩形状など、いずれの形状であってもよい。さらに、仕切り板51aは、嫌気処理槽2内で上下方向に複数の段を形成するように設けられるものであってもよい。また、仕切り板51aは、複数枚の平板や曲板を嫌気処理槽2の底面に対して斜め方向に配置するものとしてもよい。
本実施態様における仕切り領域5は、嫌気処理を行う微生物に対する紫外線の照射を低減させることができるものであればよく、図3のように嫌気処理槽2内において仕切り板51aによって紫外線照射領域A1と嫌気処理領域A2と区画するものに限定されない。
図4は、本実施態様における嫌気処理システムにおける仕切り領域の他の態様を示す概略説明図である。例えば、図4(A)に示すように、仕切り領域5として、嫌気処理槽2を左右に分けるとともに、水中に設けられた部分の途中から傾斜するように形成された仕切り板51bと、嫌気性処理槽2の壁面から上方に傾斜して設けられる仕切り板51cを備えるものとし、仕切り板51b及び仕切り板51cの傾斜面により浮上した油脂を仕切り板51bの片側に集積するようにするものとしてもよい。このとき、油脂が集積する側に照射部3を設けるものとする。これにより、図4(A)中の左側が紫外線照射領域A1となり、右側が嫌気処理領域A2となる。また、図4(B)に示すように、紫外線照射装置31を水中に設ける場合、仕切り領域5として、紫外線照射装置31に近接して嫌気処理槽2の水中に仕切り板51dを設けたものとしてもよい。これにより、仕切り板51dの周辺が紫外線照射領域A1となり、それ以外が嫌気処理領域A2となる。
本実施態様における嫌気処理システム1cにより、紫外線照射領域と嫌気処理領域を区画することで、紫外線の照射による嫌気処理槽2内の微生物への影響を最小限に抑え、かつ油脂の分解・可溶化を行うことが可能となる。
[第4の実施態様]
図5は、本発明の第4の実施態様の嫌気処理システム1dの概略説明図である。
本実施態様に係る嫌気処理システム1dは、図5に示すように、第3の実施態様の嫌気処理システム1cにおける仕切り領域5として、仕切り板51a~51dに代えて油脂吸着層52を備えるものである。また、照射部3は、油脂吸着層52の近傍に設けるものとする。
なお、本実施態様における嫌気処理システム1dの構成のうち、第3の実施態様の嫌気処理システム1cの構成と同じものについては、説明を省略する。
油脂吸着層52としては、油脂を吸着保持可能であるものであれば、材質、構造などは特に限定されない。具体的な材質としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-プロピレン-ジエン三元共重合体、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸アルキル、ポリメタクリル酸アルキル、ポリエステル、ポリウレタン等のポリマー材料、ガラス、珪藻土、シラス、活性炭、木炭、天然セルロース等の油脂吸着能を有する吸着剤を用いることが挙げられる。
また、油脂吸着層52の形状についても特に限定されないが、シート状又は糸状、あるいは、球状、ペレット状、ハニカム状、小円筒状、チューブ状、立方体、直方体等の担体が挙げられる。シート状の油脂吸着層は、取り扱いが容易であり、部品交換等の作業が効率的に行える点で好ましい。また、糸状あるいは担体からなる油脂吸着層は、油脂含有排水WOとの接触面積が大きくなり、油脂を吸着しやすい点で好ましい。
シート状の油脂吸着層とは、シートの表面に吸着剤を備えた構成であり、ポリマーの繊維を絡み合わせた不織布などのシート、ポリマーを板状に成型したシート、金属等の板状の支持部材表面にポリマー等の吸着剤を固定させたシートでもよい。シート状の吸着剤の表面には、油脂が吸着し易いように微細な凹凸が形成されていることが好ましい。吸着剤のシートの内部を油脂含有排水が通過できるように、小さな格子状やヘチマ状(スポンジ状の不規則な立体網目形状)のシートとしてもよい。
糸状の油脂吸着層とは、糸の表面に吸着剤を備えた構成であり、ポリマー繊維の糸や、糸状の支持部材に吸着剤をコーティングした糸でもよい。また、糸状の吸着剤を絡めて紐状としたようなものも糸状の概念に含まれる。また、吸着剤の糸は、油脂が吸着しやすいように、分岐するように形成することが好ましい。分岐した糸は、つなぎ合わせて網状としてもよいが、この場合はシート状の概念に含まれる。糸の表面は、油脂が吸着しやすいように微細な凹凸を形成することが好ましい。
担体の油脂吸着層とは、粒状物、塊状物の表面に吸着剤を備えた構成であり、形状としては、球状、ペレット状、ハニカム状、小円筒状、チューブ状、立方体状、直方体状等が挙げられる。担体の表面は、油脂が吸着し易いように微細な凹凸を形成することが好ましく、波板状、格子状、ヘチマ状の部材で構成することが好ましい。具体的には、複数枚の小さい平板を組み合わせたような複雑な形状を有する球状体や立方体、ポリマー発泡材料(スポンジ片)の球状体や立方体、表面が波板状の小円筒体、ハニカム体等のポリマー成型物や、活性炭粒子、ガラス粒子、珪藻土粒子、天然セルロース粒子等が挙げられる。また、比重の大きい粒子表面にポリマーを被覆して、ポリマー粒子の比重を調整してもよい。
本実施態様における仕切り領域5として油脂吸着層52を用い、油脂吸着層52に対して照射部3からの紫外線を照射するようにすることで、油脂吸着層52の近傍が紫外線照射領域A1となり、それ以外の領域が嫌気処理領域A2となる。
また、油脂吸着層52は微生物の担体としても機能するものであってもよい。このとき、油脂吸着層52の一例としては、活性炭などの多孔性物質からなる吸着剤を用いることが好ましい。これにより、油脂吸着層52において微生物による油脂分解も同時に進行する。
なお、本実施態様においては油脂吸着層52に対して紫外線を照射するものであるが、油脂吸着層52には直接紫外線が照射される範囲と、紫外線が照射されないか、あるいは紫外線の照射量が弱い範囲が存在するため、油脂吸着層52に保持された全ての微生物に対して紫外線照射による影響があるものではないと考えられる。また、照射部3から照射される紫外線の波長を特定の波長とすることで、微生物に対する影響を低減させるものとしてもよい。
本実施態様における嫌気処理システム1dにより、紫外線の照射による嫌気処理槽2内の微生物への影響を最小限に抑え、かつ油脂の分解・可溶化を行うことが可能となる。また、仕切り領域5として油脂吸着層52を用いることで、油脂含有排水WO中の油脂を分離濃縮し、かつ分解・可溶化までに係る一連の処理を嫌気処理槽2内のみで行うことが可能となる。
[第5の実施態様]
図6は、本発明の第5の実施態様の嫌気処理システム1eの概略説明図である。
本実施態様に係る嫌気処理システム1eは、図6に示すように、嫌気処理槽2内の縦方向の距離を延伸した構造とすることで、仕切り領域5として、紫外線の照射強度が異なる空間領域53を形成するものである。これにより、第3の実施態様の嫌気処理システム1cや第4の実施態様における嫌気処理システム1dにおける仕切り板51a~51dや油脂吸着層52などのように、仕切り領域5を形成するための構造物を設ける必要がなくなる。また、照射部3は、嫌気処理槽2の天井側に設けるものとする。
なお、本実施態様における嫌気処理システム1eの構成のうち、第3の実施態様の嫌気処理システム1cの構成と同じものについては、説明を省略する。
本実施態様における仕切り領域5として、嫌気処理槽2内の距離に基づく空間領域53とすることで、照射部3を設けた側である嫌気処理槽2の上部が紫外線照射領域A1となり、下部の領域が嫌気処理領域A2となる。
本実施態様における嫌気処理システム1eは、嫌気処理槽2内に紫外線強度を計測する機構を有し、嫌気処理槽2の底部側において所定の紫外線強度を上回らないように、嫌気処理槽2内の水位を上昇させることや、照射部3からの紫外線強度を低減することで、紫外線照射領域A1と嫌気処理領域A2を仕切る空間領域53を形成するものとしてもよい。なお、紫外線強度を計測する機構としては、紫外線強度計や、紫外線強度によって色が変化するフォトクロミック色素を用いるものなどが挙げられる。
本実施態様における仕切り領域5は、構造物を必要としないため、仕切り領域5に関するメンテナンスが不要であるという利点がある。また、嫌気処理槽2を縦方向に延伸する構造とすることで、従来の嫌気処理システムで必要とされている処理容量を維持したまま、嫌気処理システムの設置面積を縮減することが可能となるという利点がある。
本実施態様における嫌気処理システム1eにより、紫外線の照射による嫌気処理槽2内の微生物への影響を最小限に抑え、かつ油脂の分解・可溶化を行うことが可能となる。また、嫌気処理システムのメンテナンスを容易にするとともに、嫌気処理システムの設置面積の縮減が可能となるという効果も得られる。
[第6の実施態様]
図7は、本発明の第6の実施態様の嫌気処理システム1fの概略説明図である。
本実施態様に係る嫌気処理システム1fは、図7に示すように、第3の実施態様の嫌気処理システム1cにおける仕切り領域5として、嫌気処理槽2に設けられた循環流路54により形成される領域からなる。また、照射部3は、嫌気処理槽2の天井側に設けるものとする。
なお、本実施態様における嫌気処理システム1fの構成のうち、第3の実施態様の嫌気処理システム1cの構成と同じものについては、説明を省略する。
循環流路54は、図7に示すように、嫌気処理槽2に設けられ、ラインL1に循環するように接続されたラインL3と、循環流路用ポンプ54aとからなり、嫌気処理槽2の下部において水流を形成するものである。これにより、嫌気処理槽2の下部では、嫌気処理が行われる嫌気処理領域A2が形成されるとともに、微生物を含む油脂含有排水WOが素早く交換されることで、紫外線照射によりダメージを受ける微生物を低減させることが可能となる。なお、循環流路により形成される水流(仕切り領域5)を外れ、浮上した油脂成分は、紫外線照射領域A1において照射部3により分解・可溶化される。
本実施態様における嫌気処理システム1fにより、紫外線の照射による嫌気処理槽2内の微生物への影響を最小限に抑え、かつ油脂の分解・可溶化を行うことが可能となる。
[第7の実施態様]
図8は、本発明の第7の実施態様の嫌気処理システム1gの概略説明図である。
本実施態様に係る嫌気処理システム1gは、図8に示すように、第1の実施態様の嫌気処理システム1aにおける照射部3を、嫌気処理槽2に油脂含有排水WOを導入する導入配管であるラインL1上に設けるものである。
なお、本実施態様における嫌気処理システム1gの構成のうち、第1の実施態様の嫌気処理システム1aの構成と同じものについては、説明を省略する。
ラインL1内では油脂含有排水WO中の油脂は溶液中に分散した状態にある。したがって、照射部3をラインL1上に設けることにより、紫外線照射による油脂の分解・可溶化効率が高まり、嫌気処理槽2には、油脂の分解・可溶化が一定程度進んだ状態の油脂含有排水WOを導入することが可能となる。
なお、本実施態様においては、図8に示すように、ラインL1上のみに照射部3を設けるものに限定されない。例えば、ラインL1上及び嫌気処理槽2内の両方に照射部3を設けるものとしてもよい。これにより、油脂含有排水WO中の油脂の分解・可溶化を一層促進させることが可能となる。
照射部3の配置は、ラインL1中の油脂含有排水WOに紫外線を照射できるように配置するものであればよく、特に限定されない。例えば、ラインL1の内部に設けるものであってもよい。また、ラインL1を紫外線が透過する材質で形成し、ラインL1の外側から紫外線を照射するように設けるものとしてもよい。
また、図8に示すように、ラインL1を紫外線が透過する材質で形成し、一定面積内で湾曲させるように設け、ラインL1で形成された面に対して紫外線を照射するようにしてもよい。これにより、ラインL1内の油脂含有排水WOに対する紫外線照射量が増加し、油脂の分解・可溶化の効率を向上させることが可能となる。
本実施態様における嫌気処理システム1gにより、嫌気処理前に油脂含有排水WOに紫外線を照射することで、油脂の分解・可溶化を進行させた状態で嫌気処理を行うことが可能となる。また、嫌気処理槽2内での紫外線の照射量を低減させることができるため、嫌気処理槽2内の微生物への影響を最小限に抑えることが可能となる。
[第8の実施態様]
図9は、本発明の第8の実施態様の嫌気処理システム1hの概略説明図である。
本実施態様に係る嫌気処理システム1hは、図9に示すように、第1の実施態様の嫌気処理システム1aに加えて、嫌気処理槽2内に凝集剤61を添加する凝集剤添加部6と微細気泡供給部7を備えるものである。また、照射部3は、嫌気処理槽2の天井側に設けるものとする。
本実施態様における嫌気処理システム1hでは、凝集剤61を添加することで油脂含有排水WOの油脂を含むフロックFを形成させ、微細気泡供給部7よりフロックFを嫌気処理槽2内の水面に浮上させる。また、照射部3により嫌気処理槽2内の水面に浮上したフロックFに対して紫外線を照射することで、油脂の分解・可溶化を促進するものである。
なお、本実施態様における嫌気処理システム1hの構成のうち、第1の実施態様の嫌気処理システム1aの構成と同じものについては、説明を省略する。
凝集剤添加部6は、嫌気処理槽2における油脂含有排水WOに対して凝集剤61を添加するためのものである。図9では、凝集剤添加部6は、ラインL1を介して嫌気処理槽2に凝集剤61を添加する例を示しているが、ラインL1上に油脂含有排水WOの貯留槽を設け、貯留槽に対して凝集剤61を添加するものとしてもよい。
なお、嫌気処理槽2もしくは貯留槽に凝集剤61を添加する場合、油脂含有排水WOと凝集剤61の混合のために撹拌機構を設けるものとしてもよい(不図示)。撹拌機構の具体例としては、例えば、ラインL1に設置したインラインミキサーや、貯留槽内に設けられる撹拌機等が挙げられる。
凝集剤61としては、特に制限されず、無機凝集剤、高分子凝集剤のいずれでもよい。無機凝集剤としては、例えば、ポリ硫酸第二鉄、塩化第二鉄、ポリシリカ鉄、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム等が挙げられ、高分子凝集剤としては、ポリアミノアルキルメタクリレート、ポリエチレンイミン、ハロゲン化ポリジアリルアンモニウム、キトサン、尿素-ホルマリン樹脂等のカチオン性高分子凝集剤、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド部分加水分解物、部分スルホメチル化ポリアクリルアミド、ポリ(2-アクリルアミド)-2-メチルプロパン硫酸塩等のアニオン性高分子凝集剤、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド等のノニオン性高分子凝集剤、アクリルアミドとアミノアルキルメタクリレートとアクリル酸ナトリウムの共重合体等の両性高分子凝集剤が挙げられる。凝集状態を良好に維持することができることから、無機凝集剤を使用することが好ましい。また、排水中の成分や凝集状態に応じて、無機凝集剤と高分子凝集剤を併用してもよい。
微細気泡供給部7は、凝集剤添加部6により形成したフロックFを嫌気処理槽2内で浮上分離するためのものであり、図9に示すように、嫌気処理槽2の底部から微細気泡を供給するものである。微細気泡供給部7の具体例としては、気体を含んだ加圧水を供給し、嫌気処理槽2内で大気圧となることで微細気泡を発生させる加圧水供給装置や、マイクロバブル、ナノバブルを直接供給する気泡供給装置等が挙げられる。微細気泡を供給すると、フロックFに微細気泡が付着する。これにより、フロックFが嫌気処理槽2内の水面に浮上し、嫌気処理槽2の天井側に設けた照射部3により、フロックFに対して効率的に紫外線照射を行うことができる。
微細気泡供給部7から微細気泡として供給される気体は、不活性ガスであれば、どのような気体でもよく、例えば、窒素、二酸化炭素等が挙げられる。また、嫌気処理槽で発生したガスを利用してもよい。
本実施態様における嫌気処理システム1hにより、油脂含有排水WOに凝集剤61を添加して形成したフロックFを、微細気泡供給部7により嫌気処理槽2内の水面に浮上させることで、照射部3近傍にフロックF(油脂)を集積することができ、フロックFに対して効果的に紫外線の照射を行うことが可能となる。これにより、紫外線の照射による嫌気処理槽2内の微生物への影響を最小限に抑え、かつ油脂の分解・可溶化を行うことが可能となる。
また、本実施態様における嫌気処理システム1hは、油脂含有排水WOにおける油脂成分量が比較的少なく、余剰油脂が生じない場合においても、油脂の分解・可溶化を効率的に行うことが可能となる。
さらに、本実施態様における嫌気処理システム1hにおいて、第3の実施態様の嫌気処理システムに示した仕切り板51aを設け、仕切り板51aがフロックFを保持する保持領域を兼ねるものとして用いるようにしてもよい。これにより、仕切り板51aに保持されたフロックFに対しては、嫌気処理槽2内に存在する油脂分解菌により油脂の分解が進行する。また、このとき、凝集剤61以外にも油脂分解能を有する油脂分解菌を添加し、油脂と油脂分解菌が一体化したフロックFを形成するものとしてもよい。
図10は、本実施態様における嫌気処理システムにおける他の態様を示す概略説明図である。図10に示すように、本実施態様における嫌気処理システム1hにおいて、凝集剤添加部6から凝集剤61と油脂分解菌を添加し、嫌気処理槽2内に仕切り板51aを設けるものとする。なお、油脂分解菌の添加については、嫌気処理槽2の前段で添加するものであればよく、凝集剤61に対する添加の順番は問わない。
ここで、仕切り板51aとして、波状、矩形状、角波状、三角波状など、繰り返し構造を有する形状とすることにより、それぞれの形状における繰り返し構造により形成される空間にフロックFを保持することができる。例えば、図10に示すように、三角波状の繰り返し構造にフロックFを保持することができる。また、本実施態様においては、仕切り板51aによって一部のフロックFの浮上が抑止されればよく、仕切り板51aとして平板、曲板などを用いるものとしてもよい。また、複数枚の平板や曲板を嫌気処理槽2の底面に対して斜め方向に配置するものとしてもよい。なお、仕切り板51aは、同一形状を用いてもよく、複数の形状を組み合わせることとしてもよい。
これにより、嫌気処理槽2内の水面に浮上したフロックFは照射部3により分解・可溶化され、仕切り板51aにより保持されたフロックFは嫌気処理槽2内に維持されることで油脂分解菌による油脂分解が進行する。
以上のように、本実施態様における嫌気処理システム1hにより、嫌気処理槽2の水面にフロックF(油脂)を集積することができ、フロックFに対して効果的に紫外線の照射を行うことが可能となる。これにより、紫外線の照射による嫌気処理槽2内の微生物への影響を最小限に抑え、かつ油脂の分解・可溶化を行うことが可能となる。
また、本実施態様における嫌気処理システム1hにおいて、紫外線照射領域A1と嫌気処理領域A2を区画する仕切り領域5(仕切り板51a)を形成することで、フロックFを仕切り領域5に保持することを可能とする。これにより、嫌気処理槽2の水面に浮上したフロックFは照射部3により油脂の分解・可溶化が促進し、仕切り領域5に保持されたフロックFは嫌気処理槽2内の油脂分解菌による油脂の分解を進行させることができる。さらに、凝集剤61とともに油脂分解菌を添加することでフロックFと油脂分解菌を一体化させ、仕切り領域5に保持されたフロックFに対し油脂分解菌による油脂の分解をより一層促進させることが可能となる。
なお、上述した実施態様は嫌気処理システムの一例を示すものである。本発明に係る嫌気処理システムは、上述した実施態様に限られるものではなく、請求項に記載した要旨を変更しない範囲で、上述した実施態様に係る嫌気処理システムを変形してもよい。
本発明の嫌気処理システムは、実施態様において例示した嫌気処理システムを組み合わせてなるものとしてもよい。
例えば、第2の実施態様の嫌気処理システムにおける検知部を第3~8の実施態様の嫌気処理システムに組み合わせるものとしてもよい。これにより、分解・可溶化すべき油脂が存在するときにのみ照射部を運転することができ、微生物に対する影響を最小限に抑えることができるようになる。
また、例えば、第3~6の実施態様の嫌気処理システムに示した仕切り領域を複数組み合わせるものとしてもよい。これにより、紫外線照射領域と嫌気処理領域を確実に区画し、紫外線の照射による微生物に対する影響をより一層抑制することが可能となる。
本発明の嫌気処理システムは、油脂を含む排水の嫌気処理に利用される。特に、本発明の嫌気処理システムは、油脂を含む排水の嫌気処理において、バイオガスを生成及び回収する嫌気処理に対して好適に利用される。
1a,1b,1c,1d,1e,1f,1g,1h 嫌気処理システム、2 嫌気処理槽、3 照射部、31 紫外線照射装置、32 運転制御部、4 検知部、41 計測器、42 判断部、5 仕切り領域、51a,51b,51c,51d 仕切り板、52 油脂吸着層、53 空間領域、54 循環流路、54a 循環流路用ポンプ、6 凝集剤添加部、61 凝集剤、7 微細気泡供給部、L1~L3 ライン、A1 紫外線照射領域、A2 嫌気処理領域、F フロック、SO 余剰油脂、WO 油脂含有排水、W1 処理水

Claims (5)

  1. 油脂含有排水を嫌気処理する嫌気処理システムにおいて、
    前記油脂含有排水に対して紫外線を照射する照射部と、
    前記嫌気処理槽内の油脂を検知する検知部と、を備え
    前記検知部により油脂が検知された際に、前記照射部を運転することを特徴とする、嫌気処理システム。
  2. 前記照射部は、嫌気処理槽内に設けられることを特徴とする、請求項1に記載の嫌気処理システム。
  3. 前記嫌気処理槽内には、前記照射部によって紫外線が照射される紫外線照射領域と、嫌気処理が行われる嫌気処理領域との間に、前記紫外線照射領域と前記嫌気処理領域を仕切る仕切り領域が設けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の嫌気処理システム。
  4. 前記照射部は、前記嫌気処理槽に前記油脂含有排水を導入する導入配管に対して紫外線を照射するように設けられることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の嫌気処理システム。
  5. 油脂含有排水を嫌気処理する嫌気処理システムにおいて、
    前記油脂含有排水に対して紫外線を照射する照射部を備え、
    前記照射部は、嫌気処理槽内に設けられ、
    前記嫌気処理槽内には、水中に設けられた部分の途中から傾斜するように形成された第1の仕切り板と、前記嫌気処理槽の壁面から上方に傾斜するように形成された第2の仕切り板を備えることを特徴とする、嫌気処理システム。
JP2018226085A 2018-11-30 2018-11-30 嫌気処理システム Active JP7130537B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018226085A JP7130537B2 (ja) 2018-11-30 2018-11-30 嫌気処理システム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018226085A JP7130537B2 (ja) 2018-11-30 2018-11-30 嫌気処理システム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020082045A JP2020082045A (ja) 2020-06-04
JP7130537B2 true JP7130537B2 (ja) 2022-09-05

Family

ID=70905349

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018226085A Active JP7130537B2 (ja) 2018-11-30 2018-11-30 嫌気処理システム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7130537B2 (ja)

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004058047A (ja) 2002-06-05 2004-02-26 Mitsubishi Electric Corp 有機性廃液の処理方法および処理装置
JP2005152815A (ja) 2003-11-26 2005-06-16 Fuji Clean Kogyo Kk 汚水処理装置
JP2009213990A (ja) 2008-03-10 2009-09-24 Fuji Electric Holdings Co Ltd メタン発酵処理方法及びメタン発酵処理装置
WO2016158673A1 (ja) 2015-03-27 2016-10-06 株式会社クボタ 水処理装置および水処理方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US532357A (en) * 1895-01-08 George erick boostrom
JPH02214592A (ja) * 1989-02-15 1990-08-27 Nec Corp 汚水浄化装置
JPH0550060A (ja) * 1991-06-10 1993-03-02 Katsuji Yamazaki 含油水処理装置

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004058047A (ja) 2002-06-05 2004-02-26 Mitsubishi Electric Corp 有機性廃液の処理方法および処理装置
JP2005152815A (ja) 2003-11-26 2005-06-16 Fuji Clean Kogyo Kk 汚水処理装置
JP2009213990A (ja) 2008-03-10 2009-09-24 Fuji Electric Holdings Co Ltd メタン発酵処理方法及びメタン発酵処理装置
WO2016158673A1 (ja) 2015-03-27 2016-10-06 株式会社クボタ 水処理装置および水処理方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020082045A (ja) 2020-06-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Debik et al. Use of the Static Granular Bed Reactor (SGBR) with anaerobic sludge to treat poultry slaughterhouse wastewater and kinetic modeling
US5895576A (en) Method and apparatus for wastewater treatment by chemical reaction of reactive filler and propagated microorganisms
CN101549939B (zh) 一种制革综合废水处理方法
JP6723920B2 (ja) 膜水処理設備、および吸着性粉末材料への吸着を組み込む方法、および膜の摩耗を制限する手段
Tabassum et al. Efficient nitrification treatment of comprehensive industrial wastewater by using Novel Mass Bio System
JP3434438B2 (ja) 排水処理方法および排水処理装置
JP5685902B2 (ja) 有機性排水の処理方法
KR20180116806A (ko) 하수 처리용 생물반응조 및 이를 포함하는 하수 처리 시스템
KR101603540B1 (ko) 혐기성화 인터배리어 및 유동상 담체를 구비한 고농도의 질소 제거 및 슬러지 저감형 하수처리 시스템
Fulazzaky et al. Mass transfer kinetics of phosphorus biosorption by aerobic granules
JP6104145B2 (ja) 油脂含有排水の嫌気性処理装置及び嫌気性処理方法
AU732808B2 (en) Treatment of water
CN209493455U (zh) 高浓度含油废水深度处理系统
JP2000015287A (ja) 排水処理方法および排水処理装置
JP7130537B2 (ja) 嫌気処理システム
JP4082859B2 (ja) 中和装置
WO2008037429A1 (en) A method and apparatus for the treatment of organic slurry
CN109231486A (zh) 一种光反应-mbr一体化脱氮除磷设备
JP6216253B2 (ja) 油脂含有排水の処理方法および処理装置
US20140346125A1 (en) Desalting Salty Sludge System and Method
KR101037888B1 (ko) 침전, 생물학적 분해, 여과, 인제거, 자외선소독 일체형 하이브리드 하폐수 처리장치
KR102496233B1 (ko) 복합여과 방식의 하수고도처리장치
JP7284598B2 (ja) 嫌気処理システム及び嫌気処理システムの制御方法
JP7306837B2 (ja) 嫌気処理システム及び嫌気処理方法
JP2019155220A (ja) 油含有排水処理システム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210519

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220131

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220201

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220404

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220802

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220824

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7130537

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150