次に、本発明の実施の形態を、実施例を用いて説明する。以下では、遊技に用いる遊技媒体が遊技球とされ、当該遊技球を遊技盤面に向けて発射することで遊技を進行させることが可能なパチンコ遊技機(弾球遊技機)に本発明を適用した例について説明する。
なお、以下に例示するパチンコ遊技機は、始動口への遊技球の入球に基づいて特別図柄の変動表示を行い、当該変動表示の終了に伴い大当り図柄が停止表示されると、遊技者に所定量の遊技利益(例えば賞球)が付与され得る大当り遊技(特別遊技)が実行可能となる所謂「デジパチタイプ(1種タイプ)」の遊技機である。
また、以下の説明において、単に前側(前方)とは、遊技機を正面視した場合の表面側(手前側)であって、遊技時に遊技者が位置する側のことである。また、単に後側(後方)とは、遊技機を正面視した場合の背面側のことである。さらに、単に上側(上方)、下側(下方)、左側(左方)、右側(右方)とは、遊技機を正面視した場合の上・下・左・右の各方向のことであり、例えば、図1や図3における上側、下側、左側、右側を指す。
図1~図3に示すように、実施例1のパチンコ遊技機1は、大別すると、遊技機枠50と、遊技機枠50内に取り付けられた遊技盤2と、を備えている。遊技盤2は遊技機枠50から着脱自在に構成されている。図3は、遊技盤2を遊技機枠50から取り外した状態のものを示す。
遊技機枠50は、装飾面を有する前面枠51と、遊技盤2等を取り付ける本体枠52と、パチンコ遊技機1をホールの島設備に取り付けるための外枠53と、を有して構成されており、前面枠51、本体枠52及び外枠53は、一側端側で軸支され夫々開閉可能に構成されている。
前面枠51には、遊技者の操作量(回転角度)に応じた発射強度で遊技球を発射する(打ち出す)ための発射ハンドル60、遊技球を貯留し貯留した遊技球を発射装置側に供給可能な打球供給皿(上皿)61、及び、打球供給皿61に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿(下皿)62が設けられている。
また前面枠51には、遊技の進行に伴って実行される遊技演出の実行中等に遊技者が操作することが可能な操作手段として、第1演出ボタン63a及び第2演出ボタン63b(これら2個の演出ボタンを総称して単に「演出ボタン63」ともいう。)が設けられている。演出ボタン63は、遊技演出の種類に応じて使用する演出ボタンを使い分けることができる。
第1演出ボタン63aは上下動可能に構成されている。第2演出ボタン63bは前後動及び左右方向への回転が可能に構成されている。なお、演出ボタン63の構成は本実施例の態様に限らず、遊技者からの入力を検知できるものであればたり、遊技者が直接ボタン部に接触して入力を行う手段(例えば、出没式、タッチセンサ式等)であってもよいし、遊技者の身体の一部が近接したことを検知して入力を行う非接触式の入力手段(光電式等)であってもよい。
なお、図示は省略するが、上皿61の上面(天面)には、遊技者が操作可能な操作手段として、少なくとも前後・左右方向への傾倒操作が可能な操作レバーが設けられている。
また前面枠51には、装飾用の枠ランプ66及びスピーカ67が設けられている。枠ランプ66は複数のLEDにより構成されるものであり、前面枠51の裏面側から表面側に向かって光が発せられるようにして、LEDを実装した基板(LED基板)が所定の装飾箇所に配置される。枠ランプ66のことを「枠装飾用LED」ともいう。
遊技盤2は、透明樹脂製の板材を用いて構成される透明遊技盤である。遊技盤2の表面には、発射ハンドル60の操作により発射された遊技球が流下する遊技領域3がレール部材4で囲まれて形成されている。遊技盤2の表面のうち、少なくとも遊技球が流下する箇所を指して遊技領域という。なお、レール部材4(外レール)で囲まれた箇所(レール部材4の内側)を指して遊技領域ということもできる。
レール部材4の先端には、球戻り防止片6が設けられている。球戻り防止片6は、一旦遊技領域へ誘導された遊技球が発射装置側へ戻るのを防止するための部品である。
遊技盤2の裏面側には、遊技領域3(盤面)を装飾する盤面ランプ5(図5を参照)が設けられている。盤面ランプ5は複数のLEDにより構成されるものであり、遊技盤2(透明遊技盤)の裏面側から表面側に向かって光が発せられるようにして、LEDを実装した基板(LED基板)が所定の装飾箇所に配置される。なお、盤面ランプ5(「盤装飾用LED」ともいう。)は、遊技盤2の裏面側の他、後述のセンター装飾体10や装飾部材13、可動装飾部材14、大入賞装置等、遊技盤2に設けられる各種部品(「盤部品」ともいう。)にも設けられる。
また、遊技盤2(遊技領域3)の表面には、遊技球を誘導する複数の遊技釘16が突設されており、遊技盤2の中央付近(遊技領域内)には、各種演出を表示する演出表示手段としての画像表示装置7が設けられている。
画像表示装置7は、液晶表示器により構成されるもので、その表示画面7aが遊技盤2(遊技領域3)の略中央に設けられた開口を臨むようにして、遊技盤2の裏面側に設けられる。表示画面7aは、その開口を介して遊技盤2の表面側から視認可能とされる。
なお、演出表示手段は、画像表示装置(液晶表示器)に限定されるものではなく、例えば、ドット式の表示器やドラム(リール)式の表示器等、画像以外の要素により演出を表示するものであってもよい。
画像表示装置7の表示画面7aには、演出図柄8L,8C,8R(単に「演出図柄8」ともいう。)が表示される演出図柄表示領域7b(「演出図柄表示部」ともいう。)が設けられている。演出図柄8は、後述の第1特別図柄の変動表示及び第2特別図柄の変動表示に同期して変動表示を行う。変動表示の態様としては、例えば上下、左右、斜め方向等にスクロール表示する態様があり、本実施例では、原則、上から下へスクロール表示する。演出図柄表示領域7bは、例えば「左」「中」「右」の3つの図柄表示エリアからなり、左の図柄表示エリアには左演出図柄8Lが表示され、中の図柄表示エリアには中演出図柄8Cが表示され、右の図柄表示エリアには右演出図柄8Rが表示される。
本実施例の演出図柄8L,8C,8Rは、それぞれ「1」~「9」までの数字を表した複数の図柄(識別情報)からなり、原則、「1」→「2」・・・「8」→「9」の順(昇順)で変動表示(スクロール表示)され、「9」まで到達すると「1」に戻り、停止表示まで変動表示が続けられる。演出図柄表示領域7bに停止表示される左、中、右の演出図柄の組合せ(停止表示態様)によって、後述の第1特別図柄表示器41a(「第1特別図柄表示部」ともいう。)に表示される第1特別図柄の変動表示の表示結果や、第2特別図柄表示器41b(「第2特別図柄表示部」ともいう。)に表示される第2特別図柄の変動表示の表示結果、つまり、特別図柄当否判定(単に「当否判定」ともいう。)の結果を遊技者が認識し易いように表示する。本実施例では、変動表示している演出図柄8L,8C,8Rの停止順序を、原則、「左→右→中」としている。
例えば、特別図柄当否判定の結果が大当りとなった場合には、「777」などの3桁同一のゾロ目(「大当り演出図柄」ともいう。)や「135」などの予め設定したチャンス図柄や「3★3」などの専用図柄(「特殊図柄」ともいう。)で演出図柄を停止表示することが可能である。また、外れとなった場合には「637」や「373」などの3つの図柄のうち少なくとも1つの図柄が異なるバラケ目図柄(「外れ演出図柄」ともいう。)で演出図柄を停止表示することが可能である。これにより、遊技者は停止表示した演出図柄を見ることで、当否判定等の遊技進行状況を容易に把握することが可能となる。つまり遊技者は、一般的には特別図柄当否判定の結果を第1特別図柄表示器41aや第2特別図柄表示器41bに表示される特別図柄を見て直接的に把握するのではなく、演出図柄表示領域7bに表示される演出図柄を見て把握する。
なお、左・中・右の図柄表示エリアの位置は夫々区別して設ける必要はなく、左・中・右の演出図柄の表示エリアをそれぞれ図柄表示エリア(演出図柄表示領域7b)の全体としてもよい。また本実施例では、左・中・右の演出図柄8を表示するものとしているが、例えば、表示画面上に3行3列のマトリックス状の図柄表示エリアを設けて9つの演出図柄を表示し、各図柄が変動表示を経て停止表示したときの縦一列、横一列、斜め一列の各列の並び(図柄組合せ)により演出図柄の停止態様(停止図柄)を表示したり、図柄表示エリア(演出図柄表示領域)を複数(例えば4つ)の領域に分割して各領域で3つの演出図柄の変動表示及び停止表示を行ったりする等、演出図柄の数や図柄表示エリアの態様は特に問わない。
ここで、第1特別図柄、第2特別図柄、演出図柄のいずれか又は全部を指して単に「図柄」や「識別情報」ともいう。また、普通図柄を「普図」、特別図柄を「特図」、第1特別図柄を「特図1」や「第1特図」、第2特別図柄を「特図2」や「第2特図」ともいう。さらに、第1特別図柄及び第2特別図柄の何れか一方又は両方を指して「特別図柄(特図)」ともいう。また、特別図柄当否判定の結果のうち「大当り」のことを「特定結果」ともいい、「外れ」のことを「非特定結果」ともいう。さらに、識別情報の停止表示態様のうち、特別図柄当否判定の結果が「大当り」の場合に対応する停止表示態様のことを「大当り態様」や「特定表示態様」、「特定表示結果」等ということがあり、特別図柄当否判定の結果が「外れ」の場合に対応する停止表示態様のことを「外れ態様」や「非特定表示態様」、「非特定表示結果」等ということがある。
画像表示装置7の表示画面7aには、前述のような演出図柄を用いた遊技演出(「演出図柄遊技演出」ともいう。)のほか、大当り遊技に伴って実行される大当り遊技演出(「特別遊技演出」ともいう。)、客待ち用のデモ演出等が表示される。これらの演出では、数字等の演出図柄のほか、背景画像やキャラクタ画像などの演出図柄以外の演出画像も表示される。なお、演出図柄遊技演出のことを「変動演出」ともいう。
また、画像表示装置7の表示画面7aには、後述の第1特図保留の記憶数に応じて第1演出保留9aを表示する第1演出保留表示領域9c(第1演出保留表示部)と、後述の第2特図保留の記憶数に応じて第2演出保留9bを表示する第2演出保留表示領域9d(第2演出保留表示部)が設けられている。第1演出保留及び第2演出保留の表示態様(表示数)により、後述の第1特図保留表示器43aにて表示される第1特図保留の記憶数及び第2特図保留表示器43bにて表示される第2特図保留の記憶数を、遊技者にわかりやすく示すことができる。
遊技盤2(遊技領域3)の中央付近であって画像表示装置7の前方には、表示画面7a(演出図柄表示領域7b)を取り囲むセンター装飾体10が設けられている。センター装飾体10の下部には、遊技球が転動可能な遊技球転動面を有するステージ部11が設けられており、センター装飾体10の左部には、中空状のワープ部12が設けられている。
ワープ部12は、ワープ入口とワープ出口とを含んで構成され、遊技領域3を流下する遊技球をワープ入口から受け入れて当該遊技球をワープ出口から排出してステージ部11へと誘導する誘導路である。ステージ部11の転動面に誘導された遊技球は、ステージ部11に誘導されない遊技球に比して高い可能性で後述の第1始動口20に入球可能とされている。
また、センター装飾体10の上部には、文字や図形等を象った装飾部材13が設けられている。装飾部材13は、LED等の電飾部材を含んで構成され、遊技状態に応じて点灯可能とされている。
また、センター装飾体10の上部であって装飾部材13の後方には、遊技演出に伴って作動可能な可動装飾部材14が設けられている。図3では、可動装飾部材14の一部分のみが視認可能となっているが、例えば、比較的大当りの可能性の高い遊技演出の実行に伴って可動装飾部材14が下方に落下し、当該可動装飾部材14が表示画面7aの前面を覆うことで、その大部分が視認可能となる。これにより、遊技者は大当りへの期待感を高めることとなる。
遊技領域3における画像表示装置7の下方(ステージ部11の下方)には、遊技球の入球し易さ(入球可能性)が変化しない非可変式の第1始動口20を備える固定入賞装置19が設けられている。第1始動口20への遊技球の入球に基づいて特別図柄当否判定用乱数等が取得され、予め定められた所定条件が成立すると、第1特別図柄に係る当否判定(「第1特別図柄当否判定」ともいう。)が実行されると共に第1特別図柄が変動表示され、第1特別図柄当否判定の結果に基づいて停止表示される。つまり、第1特別図柄の変動表示(第1特別図柄当否判定)は、第1始動口20への遊技球の入球に基づいて実行される。
遊技領域3における画像表示装置7の右方(ステージ部11の右方)には、遊技球の入球し易さ(入球可能性)が変化する可変式の第2始動口21を備える可変入賞装置22(「可変式始動口」ともいう。)が設けられている。第2始動口21への遊技球の入球に基づいて特別図柄当否判定用乱数等が取得され、予め定められた所定条件が成立すると、第2特別図柄に係る当否判定(「第2特別図柄当否判定」ともいう。)が実行されると共に第2特別図柄が変動表示され、第2特別図柄当否判定の結果に基づいて停止表示される。つまり、第2特別図柄の変動表示(第2特別図柄当否判定)は、第2始動口21への遊技球の入球に基づいて実行される。
なお、第1始動口20のことを「第1判定入球口」ともいい、第2始動口21のことを「第2判定入球口」ともいう。また、第1特別図柄当否判定のことを「第1判定」ともいい、第2特別図柄当否判定のことを「第2判定」ともいう。
可変入賞装置22は、開閉部材(羽根部材)23を備え、開閉部材23の作動によって第2始動口21を開閉するものである。この開閉によって、第2始動口21は、第1の態様(閉状態)から当該第1の態様よりも遊技球の入球可能性が高い第2の態様(開状態)へと変化可能である。開閉部材23は、第2始動口ソレノイド24(図5を参照)により駆動される。本実施例では、第2始動口21は、開閉部材23が開状態にあるときだけ遊技球が入球可能とされ、開閉部材23が閉状態にあるときには遊技球が入球不能となっている。なお、第2始動口21は、開閉部材23が閉状態にあるときは開状態にあるときよりも遊技球が入球困難となるものであれば、開閉部材23が閉状態にあるときに完全に入球不能となるものでなくてもよい。
遊技領域3における第1始動口20の右方には、遊技球の入球し易さ(入球可能性)が変化する可変式の第1大入賞口30を備えた第1大入賞装置31と、遊技球の入球し易さ(入球可能性)が変化する可変式の第2大入賞口35を備えた第2大入賞装置36と、が設けられている。本実施例では、第1大入賞装置31(第1大入賞口30)の真上に第2大入賞装置36(第2大入賞口35)が配置されている。
なお、第1大入賞口30のことを「第1可変入球口」又は「第1特別入球口」ともいい、第2大入賞口35のことを「第2可変入球口」又は「第2特別入球口」ともいう。また、第1大入賞口30及び第2大入賞口35の何れか一方又は両方を指して「大入賞口」、「可変入球口」又は「特別入球口」ともいう。さらに、第1大入賞装置31及び第2大入賞装置36の何れか一方又は両方を指して「大入賞装置」、「可変入球装置」又は「特別入球装置」ともいう。
第1大入賞装置31は、開閉部材32を備え、開閉部材32の作動により第1大入賞口30を開閉するものである。開閉部材32は、正面視で横長の矩形板状とされており、第1大入賞口ソレノイド33(図5を参照)により駆動されることで、下辺を軸にして、起立した状態と前方(手前側)へ傾倒した状態との間で(前後方向へ)回動可能とされている。開閉部材32が起立した状態にあるときは第1大入賞口30が閉状態となり、開閉部材32が前方へ傾倒した状態にあるときは第1大入賞口30が開状態となる。第1大入賞口30が開状態になると、遊技球が第1大入賞口30に入球し得る。
すなわち、第1大入賞口30は、開閉部材32の作動により、遊技球の入球が不能な入球不能状態(閉状態、第1状態)と、遊技球の入球が可能な入球可能状態(開状態、第2状態)とに変化可能な可変入球口として構成される。
第2大入賞装置36は、開閉部材37を備え、開閉部材37の作動により第2大入賞口35を開閉するものである。開閉部材37は、正面視で横長の矩形板状とされており、第2大入賞口ソレノイド38(図5を参照)により駆動されることで、下辺を軸にして、起立した状態と前方(手前側)へ傾倒した状態との間で(前後方向へ)回動可能とされている。開閉部材37が起立した状態にあるときは第2大入賞口35が閉状態となり、開閉部材37が前方へ傾倒した状態にあるときは第2大入賞口35が開状態となる。第2大入賞口35が開状態になると、遊技球が第2大入賞口35に入球し得る。
すなわち、第2大入賞口35は、開閉部材37の作動により、遊技球の入球が不能な入球不能状態(閉状態、第1状態)と、遊技球の入球が可能な入球可能状態(開状態、第2状態)とに変化可能な可変入球口として構成される。
なお、図3では、第1大入賞口30及び第2大入賞口35がそれぞれ入球可能状態(開閉部材32及び開閉部材37がそれぞれ前方へ傾倒した状態)となっている様子を示しているが、実際には、第1大入賞口30及び第2大入賞口35が同時期に入球可能状態となることは無く、大当り遊技中に大入賞口が入球可能状態となる場合には、何れか一方の大入賞口が入球可能状態となり他方は入球不能状態となる。また、大当り遊技中でないときと、大当り遊技中のラウンド間のインターバル中は、第1大入賞口30及び第2大入賞口35の双方が入球不能状態となる。
また、第2大入賞装置36は、第2大入賞口35(特別入球口)に入球した遊技球が通過可能な特定領域39(「V領域」又は「第1領域」ともいう。)及び非特定領域49(「非V領域」又は「第2領域」ともいう。)と、第2大入賞口35(特別入球口)に入球した遊技球を特定領域39又は非特定領域49に誘導する(振り分ける)ための可動片150を含んで構成されている。可動片150のことを「振分部材」又は「振分手段」ともいう。
可動片150は、後述の第2大入賞口センサ35aにより検知された遊技球の数に基づいて作動するもので、可動片ソレノイド151(図5を参照)により駆動される。可動片ソレノイド151がOFFのとき、すなわち可動片150が作動していないとき(非作動状態、第2振分状態)、第2大入賞口35に入球した遊技球は非特定領域49(特定領域以外の領域)に誘導され(振り分けられ)て、特定領域39を通過することが不可能となる。普段、可動片150は非作動状態(第2振分状態)にある。
一方、可動片ソレノイド151がONのとき、すなわち可動片150が作動しているとき(作動状態、第1振分状態)、第2大入賞口35に入球した遊技球は特定領域39に誘導され(振り分けられ)て、特定領域39を通過すること(これを「V通過」ともいう。)が可能となる。
本パチンコ遊技機1では、第2大入賞口35に入球した遊技球の少なくとも1個が特定領域39を通過(V通過)したことに基づいて、後述の高確率状態を発生(生起)させる。つまり、特定領域39は確変作動口(確変領域)となっている。このような特定領域39は、第1大入賞装置31には設けられていない。特定領域39を備える第2大入賞装置36や第2大入賞口35のことを「Vアタッカー」ともいう。
このように、特定領域39への遊技球の通過有無(V通過の有無)に基づいて高確率状態を発生させるか否かを決定する本実施例のパチンコ遊技機1は、所謂「V確機」と呼ばれるものである。なお、高確率状態は、特別遊技とは別に遊技者に付与される遊技上の特典の一つである。
ここで、第2大入賞装置36の構成について説明する。図48は、第2大入賞装置36を示す模式図である。第2大入賞口35に入球した遊技球は、第2大入賞装置内の所定の遊技球誘導通路を通って、全て第2大入賞口センサ35a(「入球検知手段」又は「入球検知センサ」ともいう。)を通過する。したがって、第2大入賞口35に入球した遊技球は必ず第2大入賞口センサ35aにより検知される。
第2大入賞口センサ35aは、第2大入賞口35に遊技球が入球したこと(第2大入賞口35への遊技球の入球)を検知するためのセンサである。この第2大入賞口センサ35aの検知に基づいて第2大入賞口35への入球数を計数することが可能となる。すなわち、遊技球が第2大入賞口センサ35aで検知されると、その検知数(つまり、入球数)が後述する主制御部80のRAMに設けられた入球数計数手段(図示せず)によりラウンド単位で計数される。この計数結果(計数値)はラウンド終了によりクリアされる。
また、第2大入賞口センサ35aにより検知された遊技球は、その後、所定の遊技球誘導通路を通って特定領域39(第1領域)又は非特定領域49(第2領域)を通過し、その後、機外(本遊技機1の裏面側)に排出される。特定領域39は、可動片150が作動中(作動状態、第1振分状態)のときにだけ、換言すると、特定領域39が開放中のときにだけ、遊技球が通過可能となる(図48(b)を参照)。
特定領域39には特定領域センサ39a(「第1通過検知手段」又は「第1通過検知センサ」ともいう。)が設けられており、特定領域39を通過する遊技球は特定領域センサ39aにより検知される。特定領域センサ39aは、遊技球が特定領域39(第1領域)を通過したこと(特定領域39への遊技球の通過)を検知するためのセンサである。
非特定領域49には非特定領域センサ49a(「第2通過検知手段」又は「第2通過検知センサ」ともいう。)が設けられており、非特定領域49を通過する遊技球は非特定領域センサ49aにより検知される。非特定領域センサ49aは、遊技球が非特定領域49(第2領域)を通過したこと(非特定領域49への遊技球の通過)を検知するためのセンサである。
特定領域センサ39a及び非特定領域検知センサ49aは、第2大入賞口35からの遊技球の排出を検知するためのセンサ(「排出検知手段」又は「排出検知センサ」ともいう。)でもあり、特定領域センサ39a及び非特定領域検知センサ49aの検知に基づいて第2大入賞口35からの排出数を計数することが可能となる。遊技球が特定領域センサ39a又は非特定領域検知センサ49aで検知されると、その検知数(つまり、排出数)が後述する主制御部80のRAMに設けられた排出数計数手段(図示せず)によりラウンド単位で計数される。この計数結果(計数値)はラウンド終了によりクリアされる。
また、特定領域センサ39aにより検知された遊技球の数は、後述する主制御部80のRAMに設けられた特定領域通過計数手段(図示せず)により特定領域通過数として計数され、非特定領域センサ49aにより検知された遊技球の数は、後述する主制御部80のRAMに設けられた非特定領域通過計数手段(図示せず)により非特定領域通過数として計数される。これらの計数もラウンド単位で行われ、計数結果(計数値)はラウンド終了によりクリアされる。
本実施例では、主制御部80の制御プログラムによって、第2大入賞口35に係る遊技球の入球数および排出数の計数結果を基に、第2大入賞口35の入球数と排出数とを比較判定することが可能となっている(比較判定手段)。そして、比較判定の結果、入球数と排出数とが一致しない場合には、所定のエラー処理を実行するように構成されている(エラー処理手段)。この比較判定(一致・不一致判定)により、特定領域39を有する第2大入賞装置36(第2大入賞口35)への入球に係る異常や不正等の発生の有無が監視される。
例えば、第2大入賞装置36(第2大入賞口35)の内部では、特定領域39を開閉するための可動片150を作動させるため、可動片150に遊技球が噛む等して、第2大入賞装置36(第2大入賞口35)内(特定領域39及び非特定領域49の上流側)に遊技球が詰まってしまう虞がある。このような球詰まりが発生した場合、第2大入賞口35に入球した遊技球が排出されないため、入球数と排出数とが一致しないこととなる。このように入球数と排出数とを監視することで、球詰まりの有無を確認することが可能となる。また、いわゆる糸吊りゴトや電波ゴト等の不正行為により遊技球を特定領域センサ39aに検知させた場合にも入球数と排出数とが一致しないため、このことに基づいて不正行為の有無を監視して、不測の損害が発生するのを未然に防止することも可能となる。
本実施例では、こうした球詰まりや不正行為が疑われる事象が発生した場合、第2大入賞口35の入排出数不一致に係るエラーが発生したものとして所定のエラー処理を実行することとしている。入球数と排出数との比較判定及び入球数と排出数とが一致しない場合のエラー処理についての詳細は後述する。
また本実施例では、主制御部80の制御プログラムによって、特定領域39への遊技球の通過に関するエラー(異常)の発生を判定することが可能となっている。具体的には、第2大入賞口35が開放して入球可能な状態(第2状態)にあるときに、特定領域センサ39aによる遊技球の検知(特定領域39への遊技球の通過)を有効なものとして扱う特定領域有効期間が設定され、その特定領域有効期間を除いた期間(特定領域有効期間以外の期間)において遊技球が特定領域センサ39aにより検知された場合(特定領域センサ39aによる検知がなされた場合)には、特定領域39に関するエラーが発生したものとして、その検知を無効なものとして扱うものとしている。また、特定領域センサ39aの接続不良等により当該センサの信号(特定領域通過信号)に異常が発生した場合にも、特定領域39に関するエラーの発生とすることが可能となっている。こうした特定領域有効期間や特定領域センサ39aの接続不良等に基づくエラーの判定によっても、不正行為や機器の故障・破損等の有無を監視することが可能であり、これにより不測の損害が発生するのを未然に防止することが可能となる。
遊技領域3におけるセンター装飾体10の右側領域には、遊技球が通過可能なゲート28(遊技球通過口)が設けられている。ゲート28への遊技球の通過に基づいて、普通図柄当否判定用乱数等が取得され、予め定められた所定条件が成立すると、第2始動口21を開状態とするか否かを判定する普通図柄当否判定(「普図当否判定」ともいう。)が実行されると共に普通図柄が変動表示され、普通図柄当否判定の結果に基づいて停止表示される。当り普通図柄が停止表示すると第2始動口21は開状態となる。
さらに、遊技領域3の下部には、複数の一般入賞口27が設けられている。本実施例では、一般入賞口27が4個設けられており、そのうちの3個を第1始動口20の左方に設けられた左一般入賞口とし、1個を第1大入賞口30の右方に設けられた右一般入賞口としている。
第1始動口20、第2始動口21、第1大入賞口30、第2大入賞口35及び一般入賞口27は、それぞれ賞球の払い出し契機となる入球口であり、各入球口に遊技球が入球した場合には、夫々の入球口において予め定められた数の遊技球(「賞球」ともいう。)が払い出される。本実施例では、第1始動口20の賞球数を「4」、第2始動口21の賞球数を「1」、一般入賞口27の賞球数を「10」、第1大入賞口20及び第2大入賞口35の賞球数を「15」としている。なお、賞球数はこれに限定されるものではなく、任意に定めることが可能である。
このように複数の入球口(第1始動口20、第2始動口21、第1大入賞口30、第2大入賞口35、一般入賞口27及びゲート28)等が設けられた遊技領域3は、左右方向の中央より左側の左遊技領域3Aと右側の右遊技領域3Bとに分けることができる。左遊技領域3Aを遊技球が流下するように遊技球を発射することを「左打ち」ともいい、右遊技領域3Bを遊技球が流下するように遊技球を発射することを「右打ち」ともいう。また、左遊技領域3Aのことを「第1遊技領域」ともいい、右遊技領域3Bのことを「第2遊技領域」ともいい、左遊技領域3A及び右遊技領域3Bの何れか一方のことを「特定の領域」ともいう。
遊技領域3に設けられた複数の入球口のうち、第1始動口20および3個の左一般入賞口27は、遊技領域3のうち左遊技領域3Aを流下する遊技球が入球可能となるように設けられており、第2始動口21、第1大入賞口30、第2大入賞口35、右一般入賞口27およびゲート28は、遊技領域3のうち右遊技領域3Bを流下する遊技球が入球可能となるように設けられている。
本パチンコ遊技機1では、遊技開始の際には、原則、左打ちにより第1始動口20への入球を狙う。一方、第1始動口20への入球に基づく当否判定において大当りとなり遊技状態が変化した際には、原則、右打ちによりゲート28、第2始動口21、第1大入賞口30および第2大入賞口35への入球を狙うこととなる。
図3に示すように、遊技領域3の外側(遊技領域外)であって遊技盤2の右下部には主表示器40が設けられている。図4に示すように、主表示器40は、第1特別図柄を変動表示および停止表示する第1特別図柄表示器41a(第1特別図柄表示部)と、第2特別図柄を変動表示および停止表示する第2特別図柄表示器41b(第2特別図柄表示部)と、普通図柄を変動表示および停止表示する普通図柄表示器42(普通図柄表示部)と、第1特別図柄に係る当否判定情報(第1特図保留)の記憶数を表示する第1特図保留表示器43aと、第2特別図柄に係る当否判定情報(第2特図保留)の記憶数を表示する第2特図保留表示器43bと、普通図柄表示器42の作動保留(普図保留)の記憶数を表示する普図保留表示器44と、当否判定の結果が大当り(特定結果)となった場合に実行される大当り遊技のラウンド数を示すラウンド表示器45と、確率変動機能が作動することを示す遊技状態表示器46と、遊技球の発射方向(左打ちすべき状態か右打ちすべき状態か)を示す発射方向表示器47と、大当り遊技が実行された場合の当該大当り遊技の実行契機が第1特別図柄当否判定と第2特別図柄当否判定の何れであるのかを示す(報知する)当り表示器48と、を含んで構成される。これら主表示器40を構成する各種表示器は、後述の主制御部によって表示制御される。
なお、第1特別図柄表示器41a及び第2特別図柄表示器41bの何れか一方又は両方を指して「特別図柄表示部」ともいい、第1特図保留表示器43a及び第2特図保留表示器43bの何れか一方又は両方を指して「特図保留表示部」ともいう。
特別図柄表示部では、特別図柄(識別情報)が所定時間変動表示した後に停止表示し、この停止表示された特別図柄(停止図柄)によって第1始動口20又は第2始動口21への入球に基づく抽選(特別図柄当否判定、大当り抽選)の結果が報知される。変動表示後に表示(停止表示)される特別図柄は、特別図柄当否判定の結果に基づいて複数種類の特別図柄の中から選択された一つの特別図柄である。停止表示された特別図柄が、予め定められた大当り図柄や小当り図柄等の当り図柄(特定表示態様、特定表示結果)である場合には、その表示された当り図柄の種類に応じた開放パターンで第1大入賞口30又は第2大入賞口35を開放させる特別遊技(大当り遊技)が行われる。すなわち、特別図柄の変動表示の表示結果として特定表示結果が導出されたことに基づいて、特別遊技(大当り遊技)が実可能となる。特別遊技における大入賞口(第1大入賞口30、第2大入賞口35)の開放パターンについては後述する。
図4に示すように、第1特別図柄表示器41aは「i~p」で示す8個のLEDで構成されており、第1特別図柄当否判定の結果に応じた特別図柄を表示する。本実施例では、第1特別図柄当否判定の結果が「大当り」(特定結果)である場合の大当り種別として、「7R第1大当り」、「7R第2大当り」及び「15R第3大当り」の3種類が設けられている(図6、図8を参照)。第1特別図柄表示器41aのLEDは、それら3種類の大当りの各々に応じた表示態様(「特定表示態様」又は「特定表示結果」ともいう。)を採ることが可能となっている。
例えば、第1特別図柄当否判定の結果が「7R第1大当り」となった場合には「ijn」の3個のLEDを点灯させて残りを消灯させるものとし(7R第1大当り図柄)、「7R第2大当り」となった場合には「imn」の3個のLEDを点灯させて残りを消灯させるものとし(7R第2大当り図柄)、「15R第3大当り」となった場合には「jln」の3個のLEDを点灯させて残りを消灯させるものとする(15R第3大当り図柄)。また、第1特別図柄当否判定の結果が「外れ」(非特定結果)である場合には「n」の1個のLEDを点灯させて残りを消灯させるものとする(外れ図柄)。
一方、第2特別図柄表示器41bは「a~h」で示す8個のLEDで構成されており、第2特別図柄当否判定の結果に応じた特別図柄を表示する。本実施例では、第2特別図柄当否判定の結果が「大当り」(特定結果)である場合の大当り種別として「15R第4大当り」及び「15R第5大当り」の2種類が設けられている(図6、図8を参照)。第2特別図柄表示器41bのLEDは、それら2種類の大当りの各々に応じた表示態様(「特定表示態様」又は「特定表示結果」ともいう。)を採ることが可能となっている。
例えば、第2特別図柄当否判定の結果が「15R第4大当り」となった場合には「acde」の4個のLEDを点灯させて残りを消灯させるものとし(15R第4大当り図柄)、「15R第5大当り」となった場合には「bfgh」の4個のLEDを点灯させて残りを消灯させるものとする(15R第5大当り図柄)。また、第2特別図柄当否判定の結果が「外れ」(非特定結果)である場合には「g」の1個のLEDを点灯させて残りを消灯させるものとする(外れ図柄)。
特別図柄が停止表示される前には、予め定められた所定の変動時間にわたって特別図柄の変動表示が実行される。この変動表示の態様は、例えば、時計回り方向や反時計回り方向など、予め定められた順序で光が繰り返し流れるように各LEDが点灯する態様とすることができる。また、第1特別図柄表示器41aに停止表示された第1特別図柄は、次の第1特別図柄の変動表示が開始されるまで、その停止表示態様が維持される。同様に、第2特別図柄表示器41bに停止表示された第2特別図柄は、次の第2特別図柄の変動表示が開始されるまで、その停止表示態様が維持される。
本パチンコ遊技機1では、第1始動口20又は第2始動口21への遊技球の入球があると、その入球に基づいて特別図柄当否判定用乱数等の各種情報(「取得情報」ともいう)が取得され、取得された各種情報は、主制御部のRAMに形成される特図保留記憶部(図示せず)に一旦記憶される。具体的には、第1始動口20への入球であれば第1特図保留として第1特図保留記憶部(図示せず)に記憶され、第2始動口21への入球であれば第2特図保留として第2特図保留記憶部(図示せず)に記憶される。各々の特図保留記憶部に記憶可能な特図保留の数には上限が設定されており、本実施例における上限値はそれぞれ「4」となっている。これら第1特図保留記憶部および第2特図保留記憶部のことを、夫々「第1取得情報記憶手段」および「第2取得情報記憶手段」ともいい、総じて「取得情報記憶手段」ともいう。
特図保留記憶部に記憶された特図保留は、その特図保留に基づく特別図柄の変動表示が可能となったときに消化される。特図保留の消化とは、その特図保留に対応する特別図柄当否判定用乱数等を判定して、その判定結果を示すための特別図柄の変動表示を実行することをいう。従って、本パチンコ遊技機1では、第1始動口20又は第2始動口21への遊技球の入球に基づく特別図柄の変動表示(当否判定)がその入球に応じて直ちに実行できない場合、すなわち、特別図柄の変動表示の実行中や特別遊技の実行中である場合、その入球に対する特別図柄当否判定の権利を、所定個数を上限として留保することができるようになっている。
特図保留記憶部に記憶された特図保留の数は、第1特図保留表示器43aおよび第2特図保留表示器43bに表示される。具体的には、第1特図保留表示器43aは「uv」の2個のLEDで構成されており、第1特図保留の数に応じてLEDを表示制御することにより、第1特図保留の数を表示するものとなっている。例えば、保留数が「0」の場合は「u□v□」(例えば、□:消灯、●:赤点灯、▲:緑点灯とする)というように両LEDを消灯する表示態様とし、保留数が「1」の場合は「u□v●」というように「u」のLEDを消灯し「v」のLEDを赤色で点灯させる表示態様とし、保留数が「2」の場合は「u●v□」というように「u」のLEDを赤色で点灯させ「v」のLEDを消灯する表示態様とし、保留数が「3」の場合は「u●v●」というように両方のLEDを赤色で点灯させる表示態様とし、保留数が「4(上限数)」の場合は「u▲v▲」というように両方のLEDを緑色で点灯させ表示態様とすることができる。
また、第2特図保留表示器43bは「wx」の2個のLEDで構成されており、第2特図保留の数に応じてLEDを表示制御することにより、第2特図保留の数を表示するものである。例えば、保留数が「0」の場合は「w□x□」(例えば、□:消灯、●:赤点灯、▲:緑点灯とする)というように両LEDを消灯する表示態様とし、保留数「1」~「4」についても第1特図保留表示器43aと同様に定められている。
普通図柄の変動表示は、ゲート28への遊技球の通過を契機として行われる。普通図柄表示器42では、普通図柄を変動表示した後に停止表示し、停止表示された普通図柄(停止図柄)によって、ゲート28への遊技球の通過に基づく普通図柄当否判定の結果を報知する。停止表示される普通図柄は、普通図柄当否判定に基づいて複数種類の普通図柄の中から選択された一つの普通図柄である。停止表示された普通図柄が予め定めた特定普通図柄(当り普通図柄)である場合には、現在の遊技状態に応じた開放パターンで第2始動口21を開放させる補助遊技が行われる。第2始動口21の開放パターンについては後述する。
図4に示すように、普通図柄表示器42は「st」の2個のLEDから構成されており、その点灯態様によって普通図柄当否判定の結果に応じた普通図柄を表示する。例えば、判定結果が当りである場合には、「s■t■」(例えば、■:点灯、□:消灯とする)というように両LEDが点灯した当り普通図柄を停止表示する。また判定結果が外れである場合には、「s□t■」というように「t」のLEDのみが点灯した態様の外れ普通図柄を表示する。なお、外れ普通図柄は、特定普通図柄ではない。
普通図柄が停止表示される前には、予め定められた所定の変動時間にわたって普通図柄の変動表示が実行されるが、その変動表示の態様は、例えば、両LEDが交互に点灯・消滅を繰り返す態様である。また、普通図柄表示器42に停止表示された普通図柄は、次の普通図柄の変動表示が開始されるまで、その停止表示態様が維持される。
本パチンコ遊技機1では、ゲート28への遊技球の通過があると、その通過に基づいて普通図柄当否判定用乱数等の各種情報(「取得情報」ともいう)を取得し、取得した各種情報は主制御部のRAMに形成される普図保留記憶部86に普図保留として一旦記憶される。普図保留記憶部86に記憶可能な普図保留の数には上限が設定されており、本実施例における上限値は「4」となっている。
普図保留記憶部に記憶された普図保留は、その普図保留に基づく普通図柄の変動表示が可能となったときに消化される。普図保留の消化とは、その普図保留に対応する普通図柄当否判定用乱数を判定して、その判定結果を示すための普通図柄の変動表示を実行することをいう。従って本パチンコ遊技機1では、ゲート28への遊技球の通過に基づく普通図柄の変動表示がその通過に応じて直ちに実行できない場合、すなわち普通図柄の変動表示の実行中や補助遊技の実行中である場合、その通過に対する普通図柄当否判定の権利を、所定個数を上限として留保することができるようになっている。
普図保留記憶部に記憶された普図保留の数は、普図保留表示器44に表示される。具体的には、普図保留表示器44は「qr」の2個のLEDで構成されており、普図保留の数に応じてLEDを点灯させることにより普図保留の数を表示するものである。例えば、保留数が「0」の場合は「q□r□」(例えば、□:消灯、●:赤点灯、▲:緑点灯とする)というように両LEDを消灯する表示態様とし、保留数が「1」の場合は「q□r●」というように「q」のLEDを消灯し「r」のLEDを赤色で点灯させる表示態様とすることができる。また、保留数「2」~「4」についても第1特図保留表示器43aと同様に定められている。
図4に示すように、ラウンド表示器45は、7R用ランプと15R用ランプの2個のLEDで構成されている。このラウンド表示器45では、例えば、7R第1大当り又は7R第2大当りが発生すると、対応する大当り図柄が確定表示するタイミングで、7R用ランプが点灯表示される。具体的には「7R▲15R△」の様な表示態様(例えば、△:消灯、▲:点灯)となる。また、15R第3~第5大当りの何れかが発生すると、対応する大当り図柄が確定表示するタイミングで、15R用ランプが点灯表示される。具体的には、「7R△15R▲」の様な表示態様(例えば、△:消灯、▲:点灯)となる。
図4に示すように、当り表示器48は「b1~b3」で示す3個のLEDを含んで構成される。本実施例では、特別図柄表示部(第1特別図柄表示器41a又は第2特別図柄表示器41b)に前述の大当り図柄(特定表示態様)が停止表示されてから(つまり、大当りが発生してから)、当該大当りに係る大当り遊技が終了するまでの間に、所定の点灯条件が成立すると、「b1~b3」の3個のLEDを所定の態様で点灯させて、その大当り(大当り遊技)が第1特別図柄当否判定と第2特別図柄当否判定の何れによるものなのかを表示(報知)するものとしている。
ここで、本実施例の大当りには、特定領域39への遊技球の通過が予定される「V通過予定大当り」と、特定領域39への遊技球の通過が予定されない「V非通過予定大当り」と、が設けられている。本実施例では、V非通過予定大当りが「7R第2大当り」及び「15R第5大当り」の2種類であり、V通過予定大当りが「7R第1大当り」、「15R第3大当り」及び「15R第4大当り」の3種類である(図6を参照)。
そして、V非通過予定大当りに係る大当り遊技でV通過したり、V通過予定大当りに係る大当り遊技でV通過しなかったりするといった、V通過に関するイレギュラー(変則的)な事象が発生した場合に、当り表示器48を所定の態様で点灯させる。すなわち、当り表示器48(「b1~b3」の3個のLED)の点灯条件として、(1)V非通過予定大当りに係る大当り遊技中にV通過したこと、(2)V通過予定大当りに係る大当り遊技中にV通過せずに当該大当り遊技が終了したこと、の2つの条件が設けられている。
なお、V通過予定大当りに係る大当り遊技中にV通過したこと(正常なV通過)を「ノーマルV通過」ともいい、V非通過予定大当りに係る大当り遊技中にV通過したことを「イレギュラーV通過」ともいい、V通過予定大当りに係る大当り遊技でV通過しなかったことを「イレギュラーV非通過」ともいう。
具体的には、V非通過予定大当りに係る大当り遊技中に遊技球が特定領域39を通過した場合(イレギュラーV通過が発生した場合)、その大当り遊技が、第1特別図柄当否判定の結果が大当りとなったことに基づくものであれば、「b1■b2□b3■」(例えば、■:点灯、□:消灯とする。以下同じ。)のように、「b1」及び「b3」のLEDを点灯させて「b2」のLEDを消灯させ、第2特別図柄当否判定の結果が大当りとなったことに基づくものであれば、「b1□b2■b3■」のように、「b2」及び「b3」のLEDを点灯させて「b1」のLEDを消灯させる。
また、V通過予定大当りに係る大当り遊技中に遊技球が特定領域39を通過せずに当該大当り遊技が終了した場合(イレギュラーV非通過が発生した場合)、その大当り遊技が、第1特別図柄当否判定の結果が大当りとなったことに基づくものであれば、イレギュラーV通過の場合と同様に、「b1」及び「b3」のLEDを点灯させて「b2」のLEDを消灯させ、第2特別図柄当否判定の結果が大当りとなったことに基づくものであれば、イレギュラーV通過の場合と同様に、「b2」及び「b3」のLEDを点灯させて「b1」のLEDを消灯させる。
また本実施例では、大当り遊技中にイレギュラーV通過やイレギュラーV非通過といったイレギュラーな事象が発生することなく当該大当り遊技が終了したことも、当り表示器48(「b1~b3」の3個のLED)の点灯条件としている(3つ目の点灯条件)。
具体的には、V通過予定大当りに係る大当り遊技中に遊技球が特定領域39を通過して当該大当り遊技が終了したり、V非通過予定大当りに係る大当り遊技中に遊技球が特定領域39を通過することなく当該大当り遊技が終了したりした場合、その大当り遊技が、第1特別図柄当否判定の結果が大当りとなったことに基づくものであれば、「b1■b2□b3□」のように、「b1」のLEDを点灯させて「b2」及び「b3」のLEDを消灯させ、第2特別図柄当否判定の結果が大当りとなったことに基づくものであれば、「b1□b2■b3□」のように、「b2」のLEDを点灯させて「b1」及び「b3」のLEDを消灯させる。
このように当り表示器48は、「b1~b3」の3個のLEDの点灯態様によって、「イレギュラーな事象が発生した大当り遊技」や「イレギュラーな事象が発生しなかった大当り遊技」の実行契機が、第1特別図柄当否判定と第2特別図柄当否判定の何れであるのかを報知することが可能となっている。こうした当り表示器48による報知のことを「判定報知」ともいい、判定報知を行う当り表示器48のことを「判定報知手段」ともいい、当り表示器48の表示制御を行う主制御部80のことを「判定報知実行手段」ともいう。
イレギュラーV通過が発生した場合の当り表示器48による判定報知は、イレギュラーV通過の発生後(発生時以降)の所定期間において実行される。この場合の所定期間(判定報知実行期間)は、例えば、イレギュラーV通過が発生した大当り遊技の終了から次回大当り遊技の開始までとすることができる。この場合、イレギュラーV通過が発生した大当り遊技の終了に基づいて判定報知が開始され、次回大当り遊技の開始に基づいて判定報知が終了する。あるいは、大当り遊技中のイレギュラーV通過の発生から当該大当り遊技後の次回大当り遊技の開始までとすることができる。この場合、イレギュラーV通過の発生に基づいて判定報知が開始され、次回大当り遊技の開始に基づいて判定報知が終了する。
また、イレギュラーV非通過が発生した場合の当り表示器48による判定報知は、イレギュラーV非通過の発生後(発生時以降)の所定期間において実行される。この場合の所定期間(判定報知実行期間)は、例えば、イレギュラーV非通過が発生した大当り遊技の終了から次回大当り遊技の開始までとすることができる。この場合、イレギュラーV非通過が発生した大当り遊技の終了に基づいて判定報知が開始され、次回大当り遊技の開始に基づいて判定報知が終了する。あるいは、大当り遊技中のイレギュラーV非通過の確定から当該大当り遊技後の次回大当り遊技の開始までとすることができる。この場合、イレギュラーV非通過の確定(例えば、後述のVラウンドの終了)に基づいて判定報知が開始され、次回大当り遊技の開始に基づいて判定報知が終了する。
さらに、大当り遊技中にイレギュラーな事象が発生することなく当該大当り遊技が終了した場合(正常に大当り遊技が終了した場合)の当り表示器48による判定報知は、当該大当り遊技の終了後(終了時以降)の所定期間において実行される。この場合の所定期間(判定報知実行期間)は、例えば、大当り遊技の終了から次回大当り遊技の開始までとすることができる。この場合、大当り遊技の終了に基づいて判定報知が開始され、次回大当り遊技の開始に基づいて判定報知が終了する。あるいは、大当り遊技終了後の遊技状態(例えば、高確高ベース状態や低確高ベース状態)に移行してから次回大当り遊技の開始までとすることができる。この場合、大当り遊技終了後の遊技状態(例えば、高確高ベース状態や低確高ベース状態)の開始に基づいて判定報知が開始され、次回大当り遊技の開始に基づいて判定報知が終了する。
このように、大当り遊技中のイレギュラーV通過又はイレギュラーV非通過の発生(確定)から当該大当り遊技終了後の次回大当り遊技開始までの間の所定期間(所定時期)を、イレギュラーな事象が発生した場合の判定報知実行期間とすることができる。また、先の大当り遊技終了から次回大当り遊技開始までの間の所定期間(所定時期)を、イレギュラーな事象が発生することなく大当り遊技が終了した場合の判定報知実行期間とすることができる。
なお、何れの場合においても、判定報知の実行中にパチンコ遊技機1の電源を落として(OFFにして)再度投入(ON)することで、判定報知を終了(「b1~b3」の3個のLEDをすべて消灯)させることができるようにしてもよい。こうすれば、遊技ホールの管理者や店員(以下「遊技ホール関係者」ともいう。)等がパチンコ遊技機1の電源スイッチを操作することで判定報知を任意のタイミングで終了させることができる。
また、判定報知の終了条件は前述の例(次回大当り遊技の開始やパチンコ遊技機1の電源断)に限られず、例えば、大当り遊技の終了後に後述する高確率状態や時短状態(高ベース状態)等の遊技者にとって相対的に有利な遊技状態(「特定遊技状態」ともいう。)に移行する場合の特定遊技状態の終了に基づいて判定報知を終了させたり、判定報知の開始から所定時間(判定報知時間)の経過に基づいて判定報知を終了させたりすることもできる。
次に、図2及び図5に基づいて、本パチンコ遊技機1の電気的な構成を説明する。本実施例のパチンコ遊技機1は、特別図柄当否判定や普通図柄当否判定、遊技状態の移行等、遊技進行や遊技利益に関する制御を行う主制御基板80(「主制御部」ともいい「遊技制御部」ともいう。)と、遊技の進行に伴う演出に関する制御を行う副制御基板90(「副制御部」や「サブ制御部」や「演出制御部」ともいう。)と、遊技球の払い出しに関する制御を行う払出制御基板110(「払出制御部」ともいう)と、画像表示装置7、演出表示器102、演出第1特図保留表示器103a及び演出第2特図保留表示器103b等の表示制御を行う画像制御基板100(「画像制御部」ともいう。)と、を備えている。
図2に示すように、パチンコ遊技機1の後面側(裏面側)の略中央部には主制御基板80を収納した主制御基板収納ケースが設けられ、この主制御基板ケースの上方には、音声制御基板106、ランプ制御基板107及び画像制御基板100を収納した画像制御基板等収納ケースが設けられ、その画像制御基板等収納ケース上には副制御基板90を収納した副制御基板収納ケースが設けられている。また、主制御基板ケースの下方左側には、払出制御基板を収納する払出制御基板ケースが設けられ、その右側には、電源基板109を収納する電源基板ケースが設けられている。電源基板109は、外部からの供給電力を受けて本パチンコ遊技機1に電力を供給する電力供給手段として機能する。具体的には、本パチンコ遊技機1に設けられた各種の基板類や装置・機器類、センサ、スイッチ、モータ、ソレノイドなど、本パチンコ遊技機1の作動に必要となる様々な電気部品に電力を供給する。電源基板109には、電源基板ケースの外部に露出した状態で電源スイッチ(図示せず)が設けられており、電源スイッチをONにすることで電力の供給が開始され、OFFにすることで電力の供給が停止される。
さらに、パチンコ遊技機1の裏面右上部には、本遊技機1の作動状況を示す種々の信号(「遊技に関する情報」又は「外部情報」ともいう。)を遊技機の外部に出力するための外部端子板118が設けられている。外部端子板118は主制御基板80の情報出力回路(図示せず)と接続されており、外部端子板118が備える端子に外部機器(例えばホールコンピュータ等)の配線を接続することで、主制御基板80(情報出力回路)からの各種信号(外部情報)を外部機器に出力することが可能とされている。
出力可能な信号(外部情報)には、例えば、各種入賞口やゲートへの遊技球の入球(通過)検知(遊技球検知手段による検知)があったことを特定可能な入球信号、特別図柄の変動開始(変動中)及び変動停止を特定可能な特別図柄信号、大入賞装置が作動中(大当り遊技中)であること特定可能な大当り信号、確率変動機能が作動中(高確率状態中)であることを特定可能な確率変動信号、変動時間短縮機能が作動中(時短状態中)であることを特定可能な時短信号、開放時間延長機能が作動中(高ベース状態中)であることを特定可能な開放延長信号等がある。
これらの各種信号は主制御基板80(主制御部)により生成され、主制御基板80の情報出力回路(図示せず)から外部端子板118を介してホールコンピュータ等の外部機器に出力される。このような信号出力に係る処理を実行する主制御基板80(主制御部)のことを「情報出力手段」ともいう。
主制御基板80には、所定のプログラムに従ってパチンコ遊技機1の遊技の進行を制御する遊技制御用ワンチップマイコン81(「遊技制御用マイコン」ともいう。)が実装されている。遊技制御用マイコン81には、遊技の進行を制御するためのプログラム等を記憶したROM、ワークメモリとして使用されるRAM、ROMに記憶された遊技制御プログラム等を実行するCPUが含まれている。遊技制御用マイコン81を備える主制御基板80(主制御部)は、遊技の進行を制御する遊技制御手段として機能するものである。
遊技制御用マイコン81は、入出力回路87(I/Oポート部)を介して他の基板等とデータ(情報)の送受信を行う。入出力回路87は、遊技制御用マイコン81に内蔵されていてもよい。また、ROMは外付けであってもよい。遊技制御用マイコン81のRAMには、上述した特図保留記憶部(第1特図保留記憶部及び第2特図保留記憶部)と普図保留記憶部86とが設けられている。
主制御基板80には、中継基板88を介して各種センサやソレノイド等が接続されている。そのため、主制御基板80には各センサから信号が入力され、各ソレノイドには主制御基板80から信号が出力される。具体的には、センサ類として、第1始動口センサ20a、第2始動口センサ21a、ゲートセンサ28a、第1大入賞口センサ30a、第2大入賞口センサ35a、特定領域センサ39a、非特定領域センサ49aおよび一般入賞口センサ27aが接続されている。これら各種センサを「遊技球検知手段」ともいう。
第1始動口センサ20aは、第1始動口20内に設けられて第1始動口20に入球した遊技球(第1始動口20への入球)を検知するものである。第2始動口センサ21aは、第2始動口21内に設けられて第2始動口21に入球した遊技球(第2始動口21への入球)を検知するものである。ゲートセンサ28aは、ゲート28内に設けられてゲート28を通過した遊技球(ゲート通過)を検知するものである。第1大入賞口センサ30aは、第1大入賞口30内に設けられて第1大入賞口30に入球した遊技球(第1大入賞口30への入球)を検知するものである。第2大入賞口センサ35aは、第2大入賞口35内に設けられて第2大入賞口35に入球した遊技球(第2大入賞口35への入球)を検知するものである。特定領域センサ39aは、第2大入賞口35内の特定領域39に設けられており、第2大入賞口35に入球した遊技球のうち特定領域39を通過した遊技球(特定領域通過)を検知するものである。非特定領域センサ49aは、第2大入賞口35内の非特定領域49に設けられており、第2大入賞口35に入球した遊技球のうち非特定領域49を通過した遊技球(非特定領域通過)を検知するものである。一般入賞口センサ27aは、各一般入賞口27内にそれぞれ設けられて一般入賞口27に入球した遊技球(一般入賞口27への入球)を検知するものである。
遊技制御用マイコン81(主制御部80)のRAMには、それらの各種センサ(遊技球検知手段)による遊技球の検知数を計数し記憶するための領域が設けられており、遊技制御用マイコン81の制御(プログラム)により、各センサによる検知数を計数することが可能となっている(計数手段)。
またソレノイド類として、第2始動口ソレノイド24、第1大入賞口ソレノイド33、第2大入賞口ソレノイド38及び可動片ソレノイド151が接続されている。これら各種ソレノイドのことを「電気的駆動源」や「駆動手段」ともいう。
第2始動口ソレノイド24は、可変入賞装置22の開閉部材23を駆動するためのものであり、第1大入賞口ソレノイド33は、第1大入賞装置31の開閉部材32を駆動するためのものである。
また、第2大入賞口ソレノイド38は、第2大入賞装置36の開閉部材37を駆動するためのものであり、可動片ソレノイド151は、第2大入賞装置36の可動片150を駆動するものである。
さらに主制御基板80には、第1特別図柄表示器41a、第2特別図柄表示器41b、普通図柄表示器42、第1特図保留表示器43a、第2特図保留表示器43b、普図保留表示器44、ラウンド表示器45、遊技状態表示器46、発射方向表示器47及び当り表示器48が接続されている。すなわち、これらの主表示器40の表示制御は、遊技制御用マイコン81によりなされる。
主制御基板80は、払出制御基板110に各種コマンドを送信するとともに、払い出し監視のために払出制御基板110から信号を受信する。払出制御基板110には、賞球や貸球を払い出す払出装置120、及びカードユニット135が接続されているとともに、発射制御基板111(「発射制御部」ともいう。)を介して発射装置112が接続されている。発射装置112には発射ハンドル60(図1を参照)が含まれる。なお、カードユニット135は、パチンコ遊技機1に隣接して設置され、挿入されたプリペイドカード(遊技価値記憶媒体)等に記憶されている情報に基づいて球貸しを可能にするための遊技球貸出処理装置である。
払出制御基板110は、所定のプログラムに従ってパチンコ遊技機1の遊技球の払い出しを制御する払出制御用ワンチップマイコン116(「払出制御用マイコン」ともいう。)が実装されている。払出制御用マイコン116には、遊技球の払い出しを制御するためのプログラム等を記憶したROM、ワークメモリとして使用されるRAM、ROMに記憶されたプログラム等を実行するCPUが含まれている。
払出制御用マイコン116は、入出力回路117を介し、遊技制御用マイコン81からの信号や、パチンコ遊技機1に接続されたカードユニット135からの信号に基づいて、払出装置120の払出モータ121を駆動して賞球の払い出しを行ったり、貸球の払い出しを行ったりする。払い出される遊技球は、その計数のため払出センサ122、123により検知される。
遊技者による発射装置112のハンドル60(図1を参照)の操作があった場合には、タッチセンサ114が発射ハンドル60への遊技者の接触を検知するとともに、発射ボリューム115が発射ハンドル60の回転量を検知し、これらの検知信号が発射制御基板111に入力される。そして、発射ボリューム115の検知信号の大きさに応じた強さで遊技球が発射されるように発射モータ113が駆動制御される。
また主制御基板80は、副制御基板90に対し各種コマンドを送信する。主制御基板80と副制御基板90との接続は、主制御基板80から副制御基板90への信号の送信のみが可能な単方向通信接続となっている。すなわち、主制御基板80と副制御基板90との間には、通信方向規制手段としての図示しない単方向性回路(例えばダイオードを用いた回路)が介在している。
図5に示すように、副制御基板90には、所定のプログラムに従ってパチンコ遊技機1の演出を制御する演出制御用ワンチップマイコン91(「演出制御用マイコン」ともいう。)が実装されている。演出制御用マイコン91には、遊技の進行に伴って遊技演出を制御するためのプログラム等を記憶したROM、ワークメモリとして使用されるRAM、ROMに記憶されたプログラム等を実行するCPUが含まれている。
演出制御用マイコン91は、入出力回路95を介して他の基板等とデータの送受信を行う。入出力回路95は、演出制御用マイコン91に内蔵されていてもよい。また、ROMは外付けであってもよい。
副制御基板90には、画像制御基板100、音声制御基板106及びランプ制御基板107が接続されている。なお、副制御基板90(副制御部)、画像制御基板100(画像制御部)、音声制御基板106(音声制御部)及びランプ制御基板107(ランプ制御部)は、遊技の状況に応じて表示演出や音演出、ランプ演出(光演出)等の各種演出を、対応する演出用の装置や部材等(演出手段)に実行させる制御を行う演出制御手段(「演出実行手段」ともいう。)として機能するものである。
副制御基板90の演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、画像制御基板100の画像制御用ワンチップマイコン101(「画像制御用マイコン」ともいう。)のCPUに、画像表示装置7、演出表示器102、演出第1特図保留表示器103aおよび演出第2保留表示器103bの表示制御を行わせる。画像制御基板100のRAMは、画像データを展開するためのメモリである。画像制御基板100のROMには、画像表示装置7に表示される静止画データや動画データ、具体的にはキャラクタ、アイテム、図形、文字、数字及び記号等(演出図柄、保留図柄等を含む)や背景画像等の画像データが格納されている。画像制御用マイコン101は、演出制御用マイコン91からの指令に基づいてROMから画像データを読み出す。そして、読み出した画像データに基づいて表示制御を実行する。
演出表示器102は、2個のLEDからなり、演出図柄8の変動表示及び停止表示に同期してLEDの点滅(変動表示)及び点灯か消灯(停止表示)を行い、2個のLEDの点灯・消灯又は色の組合せにより、演出図柄8の表示結果(特別図柄当否判定の結果)を示す表示態様で表示制御される。また、演出第1特図保留表示器103a及び演出第2保留表示器103bも同様に2個のLEDからなる。そして、演出第1特図保留表示器103aは、2個のLEDの点灯・消灯又は色の組合せにより、第1演出保留表示領域9c及び第1特図保留表示器43aに表示される保留個数と同じ保留個数を示す表示態様で表示制御される。同様に、演出第2特図保留表示器103bは、2個のLEDの点灯・消灯又は色の組合せにより、第2演出保留表示領域9d及び第2特図保留表示器43bに表示される保留個数と同じ保留個数を示す表示態様で表示制御される。この様な演出表示器102や保留表示器103a,103bが設けられているのは、表示画面7a(演出図柄表示部)の略全体にキャラクタ図柄を表示したり、可動装飾部材14を作動させて表示画面7aの演出図柄表示領域7b(演出図柄表示部)の略全体を被覆したりすることで、演出図柄8や第1演出保留9a、第2演出保留9b等、表示画面7aに表示される各種画像の一部又は全部が視認できない状態になることがあり得るからである。なお、画像制御基板100の画像制御用ワンチップマイコン101の他、VDP(Video Display Processor)を設けてもよい。
また演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、音声制御基板106を介してスピーカ67から音声、楽曲、効果音等を出力する。スピーカ67から出力する音声等の音響データは、副制御基板90のROMに格納されている。なお、音声制御基板106にCPUを実装してもよく、その場合、そのCPUに音声制御を実行させてもよい。さらにこの場合、音声制御基板106にROMを実装してもよく、そのROMに音響データを格納してもよい。また、スピーカ67を画像制御基板100に接続し、画像制御基板100のCPUに音声制御を実行させてもよい。さらにこの場合、画像制御基板100のROMに音響データを格納してもよい。
また演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、枠ランプ66や盤面ランプ5等のランプの発光態様を決める発光パターンデータ(点灯/消灯や発光色等を決めるデータ、ランプデータともいう)を、ROMに格納されているデータから決定し、ランプ制御基板107を介して枠ランプ66や盤面ランプ5等のランプ(LED)の点灯制御を行う。
さらに演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、ランプ制御基板107に中継基板108を介して接続された可動装飾部材14を作動させる。可動装飾部材14は、センター装飾体10に設けられた可動式のいわゆるギミックのことである。演出制御用マイコン91は、可動装飾部材14を所定の作動態様で作動させるための作動パターンデータ(「駆動データ」ともいう。)を、副制御基板90のROMに格納されているデータから決定し、決定した作動パターンデータに基づいて可動装飾部材14の作動を制御する。
なお、ランプ制御基板107にCPUを実装してもよく、その場合、そのCPUにランプの点灯制御や可動装飾部材14の作動制御を実行させてもよい。さらにこの場合、ランプ制御基板107にROMを実装してもよく、そのROMに発光パターンや作動パターンに関するデータを格納してもよい。
また副制御基板90には、第1演出ボタン63a又は第2演出ボタン63b(図1を参照)が操作(押す、回転、引く等)されたことを検知する第1演出ボタン検知スイッチ63c及び第2演出ボタン検知スイッチ63dが接続されている。従って、第1演出ボタン63a又は第2演出ボタン63bに対して遊技者が所定の入力操作を行うと、対応する演出ボタン検知スイッチから副制御基板90に対して操作信号が出力される。なお、第1演出ボタン検知スイッチ63cおよび第2演出ボタン検知スイッチ63dの何れか一方又は両方を指して「演出ボタン検知スイッチ」ともいう。
次に、第1始動口20又は第2始動口21への入球(第1始動口センサ20a又は第2始動口センサ21aによる遊技球検知)に基づく判定に関連する事項について説明する。本実施例では、特別図柄当否判定の結果として「大当り」と「外れ」がある。特別図柄当否判定の結果が「大当り」の場合には、特別図柄表示部に「大当り図柄」が表示され、「外れ」の場合には、特別図柄表示部に「外れ図柄」が表示される。
特別図柄当否判定の結果が大当りである場合、当該当否判定の結果(大当り)に基づいて変動表示後に停止表示された特別図柄(大当り図柄)の種類に応じた開放パターンで、第1大入賞口30又は第2大入賞口35が開放する「特別遊技」が実行される。大当りとなって実行される特別遊技を「大当り遊技」ともいう。
大当りには複数の種別がある。図6に示すように大当りの種別としては、「7R(ラウンド)第1大当り」、「7R第2大当り」、「15R第3大当り」、「15R第4大当り」及び「15R第5大当り」の計5種類がある。
「7R第1大当り」及び「7R第2大当り」は、大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)の開放回数(ラウンド数)が7回の大当りであり、「15R第3大当り」、「15R第4大当り」及び「15R第5大当り」は、大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)の開放回数(ラウンド数)が15回の大当りである。ラウンド数が7回の大当りのことを「7R大当り」ともいい、ラウンド数が15回の大当りのことを「15R大当り」ともいう。
なお、本実施例では、大当り遊技を構成するラウンド遊技(単に「ラウンド」ともいう。)の実行回数(ラウンド数)を7R又は15Rとしているが、ラウンド数は、予め定められた上限ラウンド数(例えば16ラウンド)の範囲内で、遊技性や出球性能(スペック)等を考慮して任意に設定することができる。
本実施例の大当りに係る大当り遊技の各ラウンドでは、第1大入賞口30及び第2大入賞口35のうち一方が開放した状態(入球可能状態、第2状態)となり、他方は閉鎖した状態(入球不能状態、第1状態)となる。すなわち、2つの大入賞口30,35が同時に開放することはなく、何れか一方が開放する。
具体的には、1ラウンド目では第1大入賞口30(下大入賞口)が閉鎖して第2大入賞口35(上大入賞口)が開放し、2ラウンド目では第1大入賞口30(下大入賞口)が開放して第2大入賞口35(上大入賞口)が閉鎖し、3ラウンド目では1ラウンド目と同様に第1大入賞口30(下大入賞口)が閉鎖して第2大入賞口35(上大入賞口)が開放し、4ラウンド目では2ラウンド目と同様に第1大入賞口30(下大入賞口)が開放して第2大入賞口35(上大入賞口)が閉鎖する。以後、5ラウンド目、6ラウンド目とラウンドが進む毎に、第1大入賞口30(下大入賞口)の閉鎖および第2大入賞口35(上大入賞口)の開放と、第1大入賞口30(下大入賞口)の開放および第2大入賞口35(上大入賞口)の閉鎖とが、交互に発生する。
つまり、本実施例の大当り遊技は、奇数ラウンドで第2大入賞口35(上大入賞口)が開放し、偶数ラウンドで第1大入賞口30(下大入賞口)が開放するものとなっており、第1大入賞口30(下大入賞口)と第2大入賞口35(上大入賞口)とが、第2大入賞口35(上大入賞口)の開放を先として交互に開放する。また、各ラウンド間には所定のインターバル時間(閉鎖時間)が設定される。本実施例では、7ラウンド目と8ラウンド目との間のインターバル時間を2000ms(2秒)とし、その他の各ラウンド間のインターバル期間を500ms(0.5秒)としている。
ここで、大当り遊技中の大入賞口開放パターンについて説明する。本実施例では、第1大入賞口30と第2大入賞口35の開放パターンを同様としている。すなわち、大当り遊技中の奇数ラウンドでは、第2大入賞口35をラウンド開始から25000ms(25秒)が経過するまで開放させ、25000ms(25秒)の経過により閉鎖させて、ラウンドを終了させる。つまり、開放時間25000ms、開放回数1回の開放パターンで第2大入賞口35の開放を行う。この開放パターンで開放する第2大入賞口30には、右打ちを行うことで遊技球を容易に入球させることが可能となる。
一方、大当り遊技中の偶数ラウンドでは、第1大入賞口30をラウンド開始から25000ms(25秒)が経過するまで開放させた後、25000ms(25秒)の経過により閉鎖させて、ラウンドを終了させる。つまり、開放時間25000ms、開放回数1回の開放パターンで、第1大入賞口30の開放を行う。この開放パターンで開放する第1大入賞口30には、右打ちを行うことで遊技球を容易に入球させることが可能となる。
また、大当り遊技中の7ラウンド目では、第2大入賞口35を開放させるが、これに加えて、当該第2大入賞口35に入球した遊技球の数(入球数)に基づいて可動片150を作動させるものとしている。すなわち、第2大入賞口35に遊技球が入球すると、その入球した遊技球は第2大入賞口センサ35aにより検知され、その検知された遊技球の数(つまり、第2大入賞口35への入球数)が、主制御部80のRAMに設けられた入球数計数手段(図示せず)によって計数される。そして、入球数計数手段による計数値が所定値になると、これを契機に可動片150が作動する。この所定値(計数値)によって、可動片150の作動タイミングが規定されるものとなっている。
可動片150の作動には、非作動状態(第2振分状態)にある可動片150を作動状態(第1振分状態)とする「第1作動」と、作動状態(第1振分状態)にある可動片150を非作動状態(第2振分状態)とする「第2作動」とがある。作動状態(第1振分状態)は、第2大入賞口35に入球した遊技球を特定領域39(第1領域)へ振り分ける状態であり、非作動状態(第2振分状態)は、第2大入賞口35に入球した遊技球を非特定領域49(第2領域)へ振り分ける状態である。
可動片150の作動契機となる所定値(計数値)は、1回のラウンド中に第2大入賞口35への入球が許容される遊技球の数(「規定数」ともいう。)を超えない値とされる。本実施例では、その値として、第1所定値(第1計数値)C1と、第1所定値C1よりも大きな値である第2所定値(第2計数値)C2と、第2所定値C2よりも大きな値である第3所定値(第3計数値)C3との、3つの所定値を設けている。そのうち、第1所定値C1と第2所定値C2は第1作動(第2振分状態→第1振分状態)の実行契機となる値(「第1の値」ともいう。)であり、第3所定値C3は第2作動(第1振分状態→第2振分状態)の実行契機となる値(「第2の値」ともいう。)である。本実施例では、大入賞口の規定数が「9」であり、この規定数の範囲で、第1所定値C1を「1」、第2所定値C2を「2」、第3所定値C3を「9」としている。
ここで、前述したように、本実施例の大当りには「V通過予定大当り」と「V非通過予定大当り」とが設けられている。V通過予定大当りは、大当り遊技後の遊技状態が後述の高確率状態となることを前提とする大当りであり、実質的には「確変大当り」である。一方、V非通過予定大当りは、大当り遊技後の遊技状態が後述の高確率状態とならないことを前提とする大当りであり、実質的には「非確変大当り」(「通常大当り」ともいう。)である。
本実施例において、V非通過予定大当りは「7R第2大当り」及び「15R第5大当り」の2種類であり、V通過予定大当りは「7R第1大当り」、「15R第3大当り」及び「15R第4大当り」の3種類であるところ(図6を参照)、これらの大当り種別に応じて可動片150の作動契機となる所定値が設定されるものとなっており、その大当り種別と所定値との対応関係が、主制御部80のROMに予め記憶されている(値記憶手段)。その対応関係を図49に示す。
同図に示すように、可動片150の作動契機となる第1所定値C1~第3所定値C3のうち、第1所定値C1はV非通過予定大当りとV通過予定大当りの両方(全ての大当り種別)に対して設定され、第2所定値C2及び第3所定値C3はV通過予定大当りだけ(特定の大当り種別)に対して設定される。具体的に、第1所定値C1は、7R第1大当り~15R第5大当りのすべて(5種類)に対して設定される。一方、第2所定値C2及び第3所定値C3は、7R第2大当り及び15R第5大当りに対しては設定されず、7R第1大当り、15R第3大当り及び15R第4大当りに対して設定される。こうした大当り種別と可動片150の作動契機となる所定値との対応関係のもと、大当り遊技の7ラウンド目で可動片150の作動制御が実行される。
すなわち、大当り遊技の7ラウンド目において、入球数計数手段による計数値(第2大入賞口35への入球数)が第1所定値C1となって可動片150の第1作動が実行される場合、その実行後、所定の第1作動時間の経過により第2作動が実行される。一方、入球数計数手段による計数値が第2所定値C2となって可動片150の第1作動が実行される場合、その実行後、入球数計数手段による計数値が第3所定値C3となることにより第2作動が実行される。また、入球数計数手段による計数値が第2所定値C2となって可動片150の第1作動が実行される場合であって、入球数計数手段による計数値が第3所定値C3となる前に前述の第1作動時間よりも長い第2作動時間が経過した場合、その第2作動時間の経過により第2作動が実行される。こうした可動片150の作動制御が、V非通過予定大当りに係る大当り遊技の7ラウンド目と、V通過予定大当りに係る大当り遊技の7ラウンド目に実行されるのである。
可動片150の作動と、第2大入賞口35に入球した遊技球との関係は次のようになる。図50に示すように、前述の入球数計数手段による計数値(入球カウント数)が第1所定値C1(本例では「1」)になると、可動片150は作動状態(可動片ソレノイド151がON)となり、その後80ms(第1作動時間)が経過すると、可動片150は非作動状態(可動片ソレノイド151がOFF)となる。すなわち、第2大入賞口35への1個目の入球が検知されると、特定領域39が80ms(0.08秒)だけ開放状態(V開放)となる。つまり、作動時間(開放時間)80ms、作動回数(開放回数)1回の作動パターンで可動片150の作動が行われる。この場合、可動片150の作動は80msという極短時間(一瞬)だけ行われるので、当該作動(「短時間第1作動」ともいう。)の契機となった遊技球(第2大入賞口35への1個目(最初)の入球に該当する遊技球)が第2大入賞口センサ35aを通過して可動片150の配設部位に到達する頃には、可動片150の作動が終了している(非作動状態となっている)可能性が極めて高い(図48(a)を参照)。よって、当該遊技球が特定領域39を通過する可能性は極めて低いものとなる。この短時間第1作動は、V非通過予定大当りとV通過予定大当りの両方で実行される。
また、V通過予定大当りの場合、前述の入球数計数手段による計数値が第2所定値C2(本例では「2」)になると、可動片150は作動状態(可動片ソレノイド151がON)となり、その後、入球数計数手段による計数値が第3所定値C3(本例では「9」)になるか、第3所定値C3になる前にラウンド実行時間(本例では23000ms:第2作動時間)が経過すると、可動片150は非作動状態(可動片ソレノイド151がOFF)となる。すなわち、第2大入賞口35への2個目の入球が検知されると、その後、9個目の入球が検知されるまで、又は、9個目の入球検知前にラウンド実行時間(第2大入賞口の規定開放時間)が経過するまで、特定領域39が開放状態(V開放)となる。
ここで、大当り遊技中、遊技球が正常に発射(右打ち)されて遊技領域3(右遊技領域3B)を滞りなく流下する限り、1回のラウンド(ラウンド遊技)において、ラウンド実行時間の経過前に規定数の遊技球が大入賞口に入球するのが通常である。このため本実施例では、第2大入賞口35への2個目の入球が検知されて(計数値が第2所定値C2になって)可動片150が作動状態となった後、非作動状態に戻るのは、9個目の入球が検知される(計数値が第3所定値C3になる)ことによるのが通常である。したがって、入球数計数手段による計数値が第2所定値C2になることを契機とする可動片150の作動では、原則として、その計数値が第3所定値C3になるまで可動片150を作動状態(第1振分状態)とする作動パターンで可動片150の作動が行われる。この場合の可動片150の作動は、実質的にはラウンド終了までという比較的長めの時間で行われるので、当該作動(「長時間第1作動」ともいう。)の契機となった遊技球(第2大入賞口35への2個目の入球に該当する遊技球)が第2大入賞口センサ35aを通過して可動片150の配設部位に到達する頃には、可動片150の作動は未だ終了していない(作動状態となっている)可能性が極めて高い(図48(b)を参照)。よって、当該遊技球及びこれに続く後続の遊技球が特定領域39を通過する可能性は極めて高いものとなる。
このように、可動片150は、入球数計数手段による計数値が第1所定値となった場合、特定領域39を極短時間(80ms)開放させる短開放パターン(「第1作動態様」ともいう。)で作動し、入球数計数手段による計数値が第2所定値となった場合、特定領域39を短開放パターンより長い時間開放させる長開放パターン(「第2作動態様」ともいう。)で作動するものとなっている。つまり、可動片150の作動態様には、第1作動態様(短時間第1作動)と、第1作動態様よりも遊技球が特定領域39に振り分けられやすい(特定領域39を通過する可能性が高い)第2作動態様(長時間第1作動)とが存在するものとなっている。
そして、V非通過予定大当りでは、7ラウンド目に可動片150が短開放パターンで作動するものの、その後に長開放パターンで作動することはなく、V通過予定大当りでは、7ラウンド目に可動片150が短開放パターンで作動した後、長開放パターンで作動することが可能となっている。つまり、V非通過予定大当りに係る大当り遊技では、当該大当り遊技中(特別遊技中)に可動片150(振分手段)が第2作動態様で作動せず第1作動態様で作動し、V通過予定大当りに係る大当り遊技では、当該大当り遊技中(特別遊技中)に可動片150(振分手段)が第2作動態様で作動するものとなっている。
このため、V非通過予定大当りは、7ラウンド目に遊技球が第2大入賞口35に入球しても当該ラウンド中に遊技球が特定領域39を通過する可能性は極めて低いことから、大当り遊技終了後の遊技状態が後述の高確率状態となる可能性が低い大当り、換言すると、後述の通常状態(低確率状態)となる可能性が高い大当りとなる。
一方、V通過予定大当りは、7ラウンド目に遊技球が第2大入賞口35に2個以上入球すれば、当該ラウンド中に遊技球が特定領域39を通過する可能性は極めて高いことから、大当り遊技終了後の遊技状態が後述の高確率状態となる可能性が高い大当りとなる。
このように本実施例では、大当り遊技の7ラウンド目を、特定領域39への遊技球の通過有無に基づいて大当り遊技終了後の遊技状態を高確率状態とするか否かを決定するVラウンドとしている。このようなVラウンドのことを「特典決定遊技」や「特定ラウンド遊技」ともいい、Vラウンド以外のラウンドのことを「非Vラウンド」や「通常ラウンド遊技」ともいう。また、V非通過予定大当りに係る大当り遊技(特別遊技)のことを「第1特別遊技」ともいい、V通過予定大当りに係る大当り遊技(特別遊技)のことを「第2特別遊技」ともいう。
以上のように、Vラウンドでの第2大入賞口35(Vアタッカー)への入球数に基づいて可動片150の作動を制御することで、V通過予定大当りとV非通過予定大当りとでVラウンドにおける第2大入賞口35(Vアタッカー)の開放パターンを同じとすることができ、その結果、第2大入賞口35(Vアタッカー)の開放パターンに依らずに遊技球を特定領域39又は非特定領域49に振り分けることが可能となる。このため、遊技者にとっては、第2大入賞口35(Vアタッカー)の動き(開放パターン)を注視しても、遊技球が特定領域39を通過しやすいか否かを外見から判別するのが困難となる。これにより、VラウンドやV通過有無(V通過予定・非通過予定)に関連する演出(例えば、Vラウンドのラウンド演出や、V通過・非通過に係る報知演出等)による演出効果が損なわれにくくなる。
なお、大入賞口の規定数及び可動片150の作動契機となる所定値は、本実施例で示す数(値)に限られるものではない。例えば、大入賞口の規定数は「10」や「8」等であってもよい。また、可動片150の作動契機となる第1~第3所定値は、大入賞口の規定数を越えない値であって「第1所定値<第2所定値<第3所定値」の関係を満たす値であればよい。但し、V非通過予定大当りに係る大当り遊技ではV通過が発生し難くなり(実質的に発生しなくなり)、V通過予定大当りに係る大当り遊技ではV通過が発生し易くなる(実質的に発生する)、といった大当り遊技の遊技性(仕様)を損なわないようにする観点から、第1所定値は「1」とし、第2所定値は「2」又は「3」とするのが好ましく、また第3所定値は、第2所定値との差が3以上となる値とするのが好ましく、特に大入賞口の規定数と同数の値とするのが好ましい。第3所定値を大入賞口の規定数より少ない(小さい)値とした場合、ラウンド終了前に可動片150の第2作動が行われ、可動片150が非作動状態(第2振分状態)となる。
また本実施例では、第1~第3所定値をそれぞれ固定の値としているが、第2所定値及び第3所定値の何れか一方又は両方を、例えば大当り種別(大当り図柄の種類)に応じて変動する(異なる)値としてもよい。例えば、V通過予定大当りである7R第1大当り、15R第3大当り及び15R第4大当りに関し、第2所定値C2をそれぞれ「2」、「3」、「4」として第3所定値C3をすべて「9」としたり、第2所定値C2をすべて「2」として第3所定値C3をそれぞれ「8」、「6」、「5」としたり、第2所定値C2をそれぞれ「2」、「3」、「4」として第3所定値C3をそれぞれ「5」、「6」、「8」としたりすることが可能である。この場合、非作動状態にある可動片150が作動状態になるタイミングや、作動状態にある可動片150が非作動状態になるタイミングにバラツキを持たせて、Vラウンド中のV通過の発生時期やV通過可能期間(可動片150が作動状態とされる期間)に変化をつけることが可能となる。これにより、Vラウンドの遊技内容(遊技性)を多様にして興趣の向上を図ることが可能となる。また、大当り種別を本実施例よりも多くして、大当り種別と第2所定値及び第3所定値との関係を様々に設定することで、より多様にすることが可能となる。
また、大入賞口開放パターンは本実施例に限定されるものではなく、第1大入賞口30と第2大入賞口35とで開放パターンを異ならせてもよい。また本実施例では、大当りの種別によってラウンド数が異なる(7Rまたは15R)だけで、大入賞口開放パターンは同様となっているが、大当りの種別によって大入賞口開放パターンを異ならせてもよい。さらに、可動片150の作動パターン(第1作動態様、第2作動態様)についても本実施例に限定されるものではない。
第1特別図柄(特図1)の当否判定における各大当りの振分確率は、7R第1大当りが45%、7R第2大当りが50%、15R第3大当りが5%となっており、V通過予定大当りとV非通過予定大当りに分けると、V通過予定大当りが50%、V非通過予定大当りが50%となっている(図6、図8を参照)。一方、第2特別図柄(特図2)の当否判定における各大当りの振分確率は、15R第4大当りが80%、15R第5大当りが20%となっており、V通過予定大当りとV非通過予定大当りに分けると、V通過予定大当りが80%、V非通過予定大当りが20%となっている(図6、図8を参照)。
このため、後述の開放延長機能の作動(高ベース状態の発生)により入球容易となった第2始動口21への入球に基づく第2特別図柄の当否判定で大当りとなった場合には、第1始動口20への入球に基づく第1特別図柄の当否判定で大当りとなった場合に比べ、V通過予定大当りとなる可能性が高くなる。また、第2始動口21への入球に基づく第2特別図柄の当否判定で大当りとなった場合には、第1始動口20への入球に基づく第1特別図柄の当否判定で大当りとなった場合に比べ、15R大当りとなる可能性が高くなる。
このように本パチンコ遊技機1では、第1始動口20に遊技球が入球して行われる当否判定(第1特別図柄当否判定、第1判定)で大当りとなるよりも、第2始動口21に遊技球が入球して行われる当否判定(第2特別図柄当否判定、第2判定)で大当りとなる方が、遊技者にとって有利となる可能性が高くなるように設定されている。したがって、遊技者は、第2始動口21への入球を期待して遊技を行う。特に第2始動口21への入球頻度が高まる開放延長機能の作動中においては顕著である。
本実施例では、大当りであるか外れであるかの判定は特別図柄当否判定用乱数(「当否判定用情報」ともいう。)に基づいて行われ、大当りである場合の大当りの種別の判定は大当り種別決定用乱数(「図柄決定用乱数」や「図柄決定用情報」ともいう。)に基づいて行われる。図7(A)に示すように、特別図柄当否判定用乱数は「0~629」までの範囲で値をとり、大当り種別決定用乱数は「0~99」までの範囲で値をとる。
また、第1始動口20や第2始動口21への入球に基づいて取得される乱数(取得情報)には、特別図柄当否判定用乱数および大当り種別決定用乱数の他に変動パターン乱数(「変動パターン情報」ともいう。)がある。変動パターン乱数は、変動時間を含む変動パターンを決めるための乱数であり、「0~198」までの範囲で値をとる。
また、ゲート28の通過に基づいて取得される乱数には、図7(B)に示す普通図柄当否判定用乱数がある。普通図柄当否判定用乱数は、第2始動口21を開放させる補助遊技を行うか否かの判定(普通図柄抽選)のための乱数であり、「0~240」までの範囲で値をとる。
次に、本実施例のパチンコ遊技機1の遊技状態について説明する。本実施例のパチンコ遊技機1は、特別図柄及び普通図柄に対する確率変動機能、変動時間短縮機能、及び、開放延長機能の各機能が作動状態又は非作動状態となる組合せにより、複数の遊技状態を有している。特別図柄について確率変動機能が作動している状態を「高確率状態」といい、作動していない状態を「通常状態」や「低確率状態」という。また、「低確率状態(通常状態)」のことを「第1遊技状態」ともいい、「高確率状態」のことを「第2遊技状態」ともいう。
高確率状態では、特別図柄当否判定で大当りと判定される確率(大当り確率、特定結果が導出される確率)が通常状態よりも高くなっている。すなわち、通常状態では、大当り確率が所定確率(本実施例では1/315)とされる通常状態用の大当り判定テーブルを用いて当否判定を行い、高確率状態では、大当り確率が所定確率よりも高い確率(本実施例では1/63)とされた高確率状態用の大当り判定テーブルを用いて当否判定を行う(図8(A)を参照)。このため、特別図柄の確率変動機能が作動すると、作動していないときに比して、特別図柄の変動表示の表示結果として特定表示結果が導出される確率(停止図柄が大当り図柄となる確率)が高くなる。
また、特別図柄について変動時間短縮機能が作動している状態を「時短状態」といい、作動していない状態を「非時短状態」という。時短状態では、特別図柄の変動時間(変動表示の開始時から確定表示時までの時間)の平均が、非時短状態における特別図柄の変動時間の平均よりも短くなっている。すなわち、時短状態では、相対的に変動時間の短い変動パターンが選択されることが非時短状態よりも多くなるように定められた変動パターンテーブルを用いて、変動パターンの判定を行う(図9を参照)。その結果、時短状態では、特図保留の消化のペースが速くなり、始動口への有効な入球(特図保留として記憶され得る入球)が発生しやすくなる。そのため、スムーズな遊技の進行のもとで大当りを狙うことができる。なお、特別図柄の変動時間短縮機能は、第1特別図柄と第2特別図柄の両方について作動することもあれば、第1特別図柄と第2特別図柄の何れか一方について作動することもある。
特別図柄についての確率変動機能と変動時間短縮機能とは、同時に作動することもあるし、片方のみが作動することもある。そして、普通図柄についての確率変動機能及び変動時間短縮機能は、特別図柄の変動時間短縮機能に同期して作動するようになっている。すなわち、普通図柄の確率変動機能及び変動時間短縮機能は、特別図柄の時短状態において作動し、非時短状態において作動しないものとなっている。このため、時短状態では、普通図柄当否判定における当り確率が非時短状態よりも高くなる。
具体的に、時短状態では、当りと判定される普通図柄乱数(当り乱数)の値が非時短状態で用いる普通図柄当り判定テーブルよりも多い普通図柄当り判定テーブルを用いて、普通図柄当否判定(普通図柄の判定)を行う(図8(C)を参照)。つまり、普通図柄についての確率変動機能が作動すると、作動していないときに比して、普通図柄の変動表示の表示結果が当りとなる(停止図柄が普通当り図柄となる)確率が高くなる。
また時短状態では、普通図柄の変動時間が非時短状態よりも短くなっている。本実施例では、普通図柄の変動時間は非時短状態では30秒であるが、時短状態では1秒である(図8(D)を参照)。さらに時短状態では、可変入賞装置22(第2始動口21)の開放時間延長機能が作動し、補助遊技における第2始動口21の開放時間が、非時短状態よりも長くなっている。加えて時短状態では、可変入賞装置22の開放回数増加機能が作動し、補助遊技における第2始動口21の開放回数が非時短状態よりも多くなっている。
具体的には、非時短状態において普通図柄当否判定の結果が当りになると、可変入賞装置22の開閉部材23が第2始動口21を0.2秒開放させる短開放を1回行い、時短状態において普通図柄当否判定の結果が当りになると、可変入賞装置22の開閉部材23が第2始動口21を2.0秒開放させる長開放を3回行うものとなっている。
普通図柄についての確率変動機能及び変動時間短縮機能、並びに、可変入賞装置22の開放時間延長機能及び開放回数増加機能が作動している状況下では、これらの機能が作動していない場合に比して、第2始動口21が頻繁に開放され、第2始動口21へ遊技球の入球頻度が高くなる(「高頻度状態」ともいう。)。その結果、発射球数に対する賞球数の割合であるベースが高くなる。従って、これらの機能が作動している状態を「高ベース状態」や「電サポ状態」ともいい、作動していない状態を「低ベース状態」や「非電サポ状態」ともいう。高ベース状態(高頻度状態)では、手持ちの遊技球を大きく減らすことなく大当りを狙うことができる。
なお、高ベース状態は、上記した全ての機能が作動するものでなくてもよい。すなわち、普通図柄の確率変動機能及び変動時間短縮機能、並びに、可変入賞装置22の開放時間延長機能及び開放回数増加機能のうち少なくとも一つの機能の作動によって、その機能が作動していないときに比べ第2始動口21が開放され易く(入球頻度が高く)なっていればよい。また、高ベース状態は、特別図柄の時短状態に付随せずに独立して制御されるようにしてもよい。この様な高ベース状態を発生させる機能を「高ベース発生機能」ということもできる。
本実施例のパチンコ遊技機1では、7R第1大当り、15R第3大当り又は15R第4大当りになった場合、大当り遊技後の遊技状態は、その大当り遊技中に遊技球が特定領域39を通過する可能性が極めて高いことから、特定領域39への遊技球の通過に基づいて特別図柄の高確率状態になるとともに、特別図柄の時短状態かつ高ベース状態となる(図6を参照)。この遊技状態のことを「高確高ベース状態」ともいう。
高確高ベース状態は、大当りとなることなく所定回数(例えば100回)の特別図柄の変動表示が実行されるか、特別図柄の変動表示の実行回数(変動回数)が所定回数(例えば100回)になる前に大当りとなって大当り遊技が実行(開始)されることにより終了する。この高確高ベース状態は、遊技者にとってはいわゆる「確変遊技状態」となる。なお、特定領域39への遊技球の通過がなされていなければ、特別図柄の通常状態かつ特別図柄の時短状態かつ高ベース状態(低確高ベース状態)となる。
また、7R第2大当り又は15R第5大当りになった場合、大当り遊技後の遊技状態は、その大当り遊技中に遊技球が特定領域39を通過する可能性が極めて低いことから、特別図柄の低確率状態(通常状態)になるとともに、特別図柄の時短状態かつ高ベース状態となる(図6を参照)。この遊技状態のことを「低確高ベース状態」ともいう。
低確高ベース状態は、大当りとなることなく所定回数(例えば100回)の特別図柄の変動表示が実行されるか、特別図柄の変動表示の実行回数(変動回数)が所定回数(例えば100回)になる前に大当りとなって大当り遊技が実行(開始)されることにより終了する。この低確高ベース状態は、遊技者にとってはいわゆる「時短遊技状態」となる。なお、可能性は限りなく低いが、7R第2大当り又は15R第5大当りに係る大当り遊技で、仮に遊技球が特定領域39を通過した場合には「高確高ベース状態」となる。
また、遊技状態が「高確高ベース状態」になった場合と「低確高ベース状態」になった場合とにおいて、大当り遊技の終了後、確率変動機能が作動しているか否か、すなわち、大当り遊技後の遊技状態が高確率状態なのか低確率状態なのかを、遊技者にとって判別し難いものとなるようにすることも可能である。このように、高確率状態なのか低確率状態なのかを判別し難い状態を「確率非報知状態」ともいう。確率非報知状態では、遊技の進行に伴って行われる演出等、パチンコ遊技機1の外観(見かけ)を通じて高確率状態か否かを判別することが遊技者にとって難しいもの(実質的に不可能)とされる。この「確率非報知状態」は、例えば「低確高ベース状態」の終了条件である所定回数(例えば100回)の特別図柄の変動表示が行われるまで発生させることが可能である。
高確高ベース状態や低確高ベース状態等の高ベース状態では、右打ちにより右遊技領域3Bへ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。高ベース状態では、低ベース状態と比べて第2始動口21が開放されやすくなっており、第1始動口20への入球よりも第2始動口21への入球の方が容易となっているからである。そのため、普通図柄当否判定の契機となるゲート28へ遊技球を通過させつつ、第2始動口21へ遊技球を入球させるべく右打ちを行う。これにより、左打ちを行う場合に比べ、多数の始動入球(特別図柄当否判定の機会)を得ることができる。この状態のとき、発射方向表示器47が所定の態様で点灯制御され、右遊技領域3Bを狙って遊技球を発射すべきことを報知する(右打ち指示報知)。なお、高ベース状態のことを「右打ち遊技状態」ともいう。
これに対して、低ベース状態では、左打ちにより左遊技領域3Aへ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。低ベース状態では、高ベース状態と比べて第2始動口21が開放されにくくなっており、第2始動口21への入球よりも第1始動口20への入球の方が容易となっているからである。そのため、第1始動口20へ遊技球を入球させるべく左打ちを行う。これにより、右打ちを行う場合に比べ、多数の始動入球(特別図柄当否判定の機会)を得ることができる。この状態のとき、発射方向表示器47が所定の態様で点灯制御(表示制御)され、左遊技領域3Aを狙って遊技球を発射すべきことを報知する(左打ち指示報知)。なお、低ベース状態のことを「左打ち遊技状態」ともいう。
具体的には、発射方向表示器47は「yz」の2個のLEDで構成されており、そのLEDの表示態様(点灯態様)により発射方向を示すものである。例えば、低ベース状態では、「y□z□」(例えば、□:消灯、■:点灯とする)というように両LEDを消灯する表示態様として左遊技領域へ発射すべきことを報知することができる。また、高ベース状態では、「y■z■」(例えば、□:消灯、■:点灯とする)というように両LEDを点灯する表示態様として右遊技領域へ発射すべきことを報知することができる。さらに、発射方向表示器47による指示報知とは別に、大当り遊技中や高ベース状態中には、遊技者に右打ちを指示する右打ち指示画像が画像表示装置7の表示画面7aに表示される。また、高ベース状態から低ベース状態に移行した際に、遊技者に左打ちを指示する左打ち指示画像が画像表示装置7の表示画面7aに表示される。これらの指示画像の表示に係る制御は、副制御基板90及び画像制御基板100(演出実行手段)が実行する。
以上のように、本実施例のパチンコ遊技機1では、確率変動機能及び変動時間短縮機能が作動していない「低確低ベース状態」を基準とすると、この低確低ベース状態を「通常遊技状態」又は「通常状態」として捉えることができ、当該状態にて特別図柄を変動表示させる遊技を「通常遊技」として捉えることができる。そして、低確低ベース状態(通常遊技状態)よりも遊技者にとって有利な遊技状態(特定遊技状態)として「低確高ベース状態」や「高確高ベース状態」が設定可能とされている。
また、大当り遊技は、特別図柄を変動表示させて大当り図柄が停止表示されることで実行され得る遊技であって、遊技者にとっては大入賞口への遊技球の入球により多量の賞球を得ることが可能な有利な遊技であることから、大当り遊技を「特別遊技」として捉えることができ、当該大当り遊技が行われる遊技状態(大当り遊技状態)を「特別遊技状態」として捉えることができる。
また、低確低ベース状態(通常遊技状態)及び低確高ベース状態(時短遊技状態、電サポ遊技状態)は「第1遊技状態」に属する遊技状態であり、低確低ベース状態及び低確高ベース状態よりも遊技者にとって有利な高確高ベース状態(確変遊技状態)は「第2遊技状態」に属する遊技状態である。但し、低確高ベース状態は、低確低ベース状態よりも遊技者にとって遊技な遊技状態であることから、低確低ベース状態を「第1遊技状態」に属する遊技状態として捉え、低確高ベース状態を「第2遊技状態」に属する遊技状態として捉えることもできる。つまり、低ベース状態を「第1遊技状態」とし、高ベース状態を「第2遊技状態」としてもよい。
また、本実施例のパチンコ遊技機1では、遊技状態として「低確低ベース状態」、「低確高ベース状態」、「高確高ベース状態」の3つの遊技状態を設定可能としているが、これに加え、特別図柄の高確率状態かつ特別図柄の非時短状態かつ低ベース状態、すなわち「高確低ベース状態」を設定可能としてもよい。
[主制御メイン処理]
次に、図10~図39に基づいて遊技制御用マイコン81の処理内容(主制御部80による制御処理)について説明する。なお、遊技制御用マイコン81の処理内容の説明にて登場するカウンタ、フラグ、ステータス、バッファ等は、主制御基板80のRAMに設けられている。
主制御基板80に備えられた遊技制御用マイコン81は、パチンコ遊技機1の電源がオンされると、図10に示す主制御メイン処理のプログラムを主制御基板80のROMから読み出して実行する。同図に示すように、主制御メイン処理では、まず初期設定を行う(S101)。初期設定では例えば、スタックの設定、定数設定、割り込み時間の設定、主制御基板80のCPUの設定、SIO、PIO、CTC(割り込み時間用コントローラ)の設定や、各種のフラグ、ステータス及びカウンタのリセット等を行う。フラグの初期値は「0」つまり「OFF」であり、ステータスの初期値は「1」であり、カウンタの初期値は「0」である。なお、初期設定(S101)は、電源投入後に一度だけ実行され、それ以降は実行されない。
初期設定(S101)に次いで、割り込みを禁止し(S102)、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)を実行する。この普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)では、図7に示した種々の乱数カウンタの値を1加算する更新を行う。各乱数カウンタの値は上限値に至ると「0」に戻って再び加算される。なお各乱数カウンタの初期値は「0」以外の値であってもよく、ランダムに変更されるものであってもよい。更新された乱数カウンタ値は主制御基板80のRAMの所定の更新値記憶領域(図示せず)に逐次記憶される。
普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)が終了すると、割り込みを許可する(S104)。割り込み許可中は、割り込み処理(S105)の実行が可能となる。この割り込み処理(S105)は、例えば4ms周期で主制御基板80のCPUに繰り返し入力される割り込みパルスに基づいて実行される。そして、割り込み処理(S105)が終了してから、次に割り込み処理(S105)が開始されるまでの間に、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)による各種カウンタ値の更新処理が繰り返し実行される。なお、割り込み禁止状態のときにCPUに割り込みパルスが入力された場合は、割り込み処理(S105)はすぐには開始されず、割り込み許可(S104)がされてから開始される。
[割り込み処理]
次に、割り込み処理(S105)について説明する。図11に示すように、割り込み処理(S105)では、まず出力処理(S201)を実行する。出力処理(S201)では、以下に説明する各処理において主制御基板80のRAMに設けられた出力バッファにセットされたコマンド(制御信号)等を、副制御基板90や払出制御基板110等に出力する。出力するコマンド等には、遊技状態、特別図柄当否判定の結果、大当り種別としての図柄(大当り図柄)、変動パターン等に関する情報等が含まれる。なお、コマンドは、例えば2バイトの情報からなる。この場合、上位1バイトは、コマンドの種類に関する情報であり、下位1バイトはコマンドの内容に関する情報である。
出力処理(S201)に次いで行われる入力処理(S202)では、主にパチンコ遊技機1に取り付けられている各種センサ(第1始動口センサ20a、第2始動口センサ21a、第1大入賞口センサ30a、第2大入賞口センサ35a、特定領域センサ39a、非特定領域センサ49等(図5を参照))が検知した検知信号を読み込み、その検知信号が賞球払出の契機となるセンサによるものである場合、賞球情報としてRAMの出力バッファに記憶する。また、下皿62の満杯を検知する下皿満杯検知センサからの検知信号も取り込み、下皿満杯データとしてRAMの出力バッファに記憶する。
次に行われる普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S203)は、図10の主制御メイン処理で行う普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)と同じである。即ち、図7に示した各種乱数カウンタ値(普通図柄乱数カウンタ値も含む)の更新処理は、タイマ割り込み処理(S105)の実行期間と、それ以外の期間(割り込み処理(S105)の終了後、次の割り込み処理(S105)が開始されるまでの期間)との両方で行われている。
普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S203)に次いで、後述する始動口センサ検知処理(S204)、普図動作処理(S205)、特図動作処理(S206)、特定領域センサ検知処理(S207)、始動入球時処理(S209)および電源断監視処理(S210)を実行する。その後、本発明に深く関連しないその他の処理(S211)を実行して、割り込み処理(S105)を終了する。そして、次に主制御基板80のCPUに割り込みパルスが入力されるまで主制御メイン処理のS102~S104の処理が繰り返し実行され(図10を参照)、割り込みパルスが入力されると(約4ms後)、再び割り込み処理(S105)が実行される。再び実行された割り込み処理(S105)の出力処理(S201)においては、前回の割り込み処理(S105)にてRAMの出力バッファにセットされたコマンド等が出力される。
[始動口センサ検知処理]
図12に示すように、始動口センサ検知処理(S204)ではまず、遊技球がゲート28を通過したか否か、即ち、ゲートセンサ28aによって遊技球が検知されたか否かを判定する(S301)。遊技球がゲート28を通過していなければ(S301でNO)、S305に進み、ゲート28を通過していれば(S301でYES)、普通図柄保留球数(普図保留の数、具体的にはRAMに設けた普図保留の数をカウントするカウンタの値)が4未満であるか否か判定する(S302)。
普通図柄保留球数が4未満でなければ(S302でNO)、S305に進む。一方、普通図柄保留球数が4未満であれば(S302でYES)、普通図柄保留球数に「1」を加算し(S303)、普通図柄乱数取得処理(S304)を行う。普通図柄乱数取得処理(S304)では、RAMの更新値記憶領域(図示せず)に記憶されている普通図柄当否判定用乱数カウンタの値(ラベル-TRND-H、図7(B))を取得し、その取得乱数値(取得情報)を、主制御基板80のRAMに設けられた普図保留記憶部のうち現在の普通図柄保留球数に応じたアドレス空間に格納する。
S305では、第2始動口21に遊技球が入球したか否か、即ち、第2始動口センサ21aによって遊技球が検知されたか否かを判定する(S305)。第2始動口21に遊技球が入球していない場合(S305でNO)にはS309に進む。一方、第2始動口21に遊技球が入球した場合には(S305でYES)、特図2保留球数(第2特図保留の数、具体的には主制御部80のRAMに設けた第2特図保留の数をカウントするカウンタの数値)が4(上限数)未満であるか否か判定する(S306)。そして、特図2保留球数が4未満でない場合(S306でNO)にはS309に進み、特図2保留球数が4未満である場合には(S306でYES)、特図2保留球数に「1」を加算する(S307)。
S307の処理に次いで、特図2関係乱数取得処理(S308)を行う。特図2関係乱数取得処理(S308)では、RAMの更新値記憶領域(図示せず)に記憶されている特別図柄当否判定用乱数カウンタの値(ラベル-TRND-A)、大当り種別決定用乱数カウンタの値(ラベル-TRND-AS)及び変動パターン乱数カウンタの値(ラベル-TRND-T1)を取得し(つまり図7(A)に示す乱数の値を取得し)、それら取得乱数値(取得情報)を第2特図保留記憶部のうち現在の特図2保留球数に応じたアドレス空間に格納する。
次いでS309では、第1始動口20に遊技球が入球したか否か、即ち、第1始動口センサ20aによって遊技球が検知されたか否かを判定する(S309)。第1始動口20に遊技球が入球していない場合(S309でNO)には処理を終え、第1始動口20に遊技球が入球した場合には(S309でYES)、特図1保留球数(第1特図保留の数、具体的には主制御部80のRAMに設けた第1特図保留の数をカウントするカウンタの数値)が4(上限数)未満であるか否か判定する(S310)。そして、特図1保留球数が4未満でない場合(S310でNO)には処理を終え、特図1保留球数が4未満である場合には(S310でYES)、特図1保留球数に「1」を加算する(S311)。
S311の処理に次いで、特図1関係乱数取得処理(S312)を行う。特図1関係乱数取得処理(S312)では、特図2関係乱数取得処理(S308)と同様に、RAMの更新値記憶領域(図示せず)に記憶されている特別図柄当否判定用カウンタの値(ラベル-TRND-A)、大当り種別決定用乱数カウンタの値(ラベル-TRND-AS)及び変動パターン乱数カウンタの値(ラベル-TRND-T1)を取得し(つまり図7(A)に示す乱数値を取得し)、それら取得乱数値を第1特図保留記憶部のうち現在の特図1保留球数に応じたアドレス空間に格納する。
[普図動作処理]
遊技制御用マイコン81は、始動口センサ検知処理(S204)に次いで、図13に示す普図動作処理(S205)を行う。普図動作処理(S205)では、普通図柄表示器42及び可変入賞装置22に関する処理を4つの段階に分け、それらの各段階に「普図動作ステータス1、2、3、4」を割り当てている。そして、「普図動作ステータス」が「1」である場合には(S401でYES)、普通図柄待機処理(S402)を行い、「普図動作ステータス」が「2」である場合には(S401でNO、S403でYES)、普通図柄変動中処理(S404)を行い、「普図動作ステータス」が「3」である場合には(S401、S403で共にNO、S405でYES)、普通図柄確定処理(S406)を行い、「普図動作ステータス」が「4」である場合には(S401、S403、S405の全てがNO)、普通電動役物処理(S407)を行う。なお、普図動作ステータスは、初期設定では「1」である。
[普通図柄待機処理]
図14に示すように、普通図柄待機処理(S402)ではまず、普通図柄の保留球数が「0」であるか否かを判定し(S501)、「0」であれば(S501でYES)、S502~S505の処理を行うことなく本処理を終える。一方「0」でなければ(S501でNO)、後述の普通図柄当否判定処理を行い(S502)、次いで、普通図柄変動パターン選択処理を行う(S503)。普通図柄変動パターン選択処理(S503)では、図8(D)に示す普通図柄変動パターン選択テーブルを参照して、遊技状態が時短状態であれば、普通図柄の変動時間が1秒の普通図柄変動パターンを選択する。一方、遊技状態が非時短状態であれば、普通図柄の変動時間が30秒の普通図柄変動パターンを選択する。
普通図柄変動パターン選択処理(S503)に次いで、後述の普通図柄乱数シフト処理(S504)を行った後、普通図柄変動開始処理(S505)を行い、処理を終える。普通図柄変動開始処理(S505)では、S503で選択した普通図柄変動パターンに基づいて普通図柄の変動表示を開始するとともに、普通動作ステータスを「2」にセットする。また普通図柄変動開始処理(S505)では、副制御基板90に普通図柄の変動開始を知らせるため、普通図柄変動開始コマンドをセットする。
[普通図柄当否判定処理]
図15に示すように、普通図柄当否判定処理(S502)ではまず、普図保留記憶部に格納されている普通図柄当否判定用乱数カウンタの値(ラベル-TRND-H)を読み出す(S601)。次いで、時短フラグがONか否か(すなわち遊技状態が時短状態であるか否か)を判定する(S602)。S602で、時短フラグがONである、すなわち時短状態であると判定した場合(S602でYES)、図8(C)に示す普通図柄当り判定テーブルのうち時短状態用のテーブル(当り判定値が「0」~「239」)に基づく高確率普図当否判定により、当りか否かを判定し(S604)、S605の処理に移行する。すなわち、読み出した普通図柄当否判定用乱数カウンタの値(ラベル-TRND-H)が当り判定値の何れかと一致するか否かを判定する。一方、S602で時短フラグがONでない、すなわち、非時短状態であると判定した場合(S602でNO)、図8(C)に示す普通図柄当り判定テーブルのうち非時短状態用のテーブル(当り判定値が「0」、「1」)に基づく低確率普図当否判定により、当りであるか否かを判定し(S603)、S605の処理に移行する。そして、S605で、普図当否判定(S603、S604)の結果が当り(普図当り)であるか否かを判定し(S605)、当りでない(外れである)と判定した場合(S605でNO)、停止表示する外れ普通図柄(普図外れ図柄)を決定し(S606)、処理を終える。一方、S605で当り(普図当り)であると判定した場合(S605でYES)、停止表示する当り普通図柄(普図当り図柄)を決定し(S607)、普図当りフラグをONにして(S608)、処理を終える。
[普通図柄乱数シフト処理]
図16に示すように、普通図柄乱数シフト処理(S504)ではまず、普通図柄保留球数を1ディクリメントする(S701)。次いで、普図保留記憶部における各普図保留の格納場所を、現在の位置から読み出される側に一つシフトする(S702)。そして、普図保留記憶部における最上位の保留記憶の格納場所であるアドレス空間を空(「0」)にして、即ち普図保留の4個目に対応するRAM領域をゼロクリアして(S703)、処理を終える。このようにして、普図保留が保留順に消化されるようにしている。
[普通図柄変動中処理]
図17に示すように、普通図柄変動中処理(S404)ではまず、普通図柄の変動時間が経過したか否か判定し(S801)、経過していなければ(S801でNO)、そのまま処理を終える。一方、変動時間が経過していれば(S801でYES)、普通図柄変動停止コマンドをセットするとともに(S802)、普図動作ステータスを「3」にセットする(S803)。そして、普通図柄の変動表示を、普通図柄当否判定用乱数の判定結果に応じた表示結果(当り普通図柄又は外れ普通図柄)で停止させる等のその他の処理を行ってから(S804)、この処理を終える。
[普通図柄確定処理]
図18に示すように、普通図柄確定処理(S406)ではまず、普図当りフラグがONであるか否かを判定する(S901)。普図当りフラグがONでなければ(S901でNO)、普図動作ステータスを「1」にセットして(S905)、この処理を終える。一方、普図当りフラグがONであれば(S901でYES)、時短フラグがONであるか否か、すなわち時短状態中であるか否かを判定する(S902)。そして時短状態中であれば(S902でYES)、可変入賞装置22(第2始動口21)の開放パターンとして時短状態中の開放パターンをセットする(S903)。時短状態中の開放パターンとは、前述の通り、2.0秒の開放を3回繰り返す開放パターンである。従って、第2始動口21の開放回数をカウントする第2始動口開放カウンタに「3」をセットする。
これに対して、非時短状態中であれば(S902でNO)、可変入賞装置22(第2始動口21)の開放パターンとして非時短状態中の開放パターンをセットする(S906)。非時短状態中の開放パターンとは、前述の通り、0.2秒の開放を1回行う開放パターンである。従って、第2始動口開放カウンタに「1」をセットする。そして、開放パターンのセット(S903、S906)に続いて、普図動作ステータスを「4」にセットし(S904)、この処理を終える。
[普通電動役物処理]
図19に示すように、普通電動役物処理(S407)ではまず、普図当り終了フラグがONであるか否かを判定する(S1001)。普図当り終了フラグは、当りとなって実行された補助遊技において、第2始動口21の開放が終了したことを示すフラグである。
普図当り終了フラグがONでなければ(S1001でNO)、第2始動口21の開放中であるか否かを判定する(S1002)。開放中でなければ(S1002でNO)、第2始動口21を開放させる時期(開放タイミング)に至ったか否かを判定し(S1003)、至っていなければ(S1003でNO)処理を終え、至っていれば第2始動口21を開放させ(S1004)、処理を終える。一方、第2始動口21の開放中であれば(S1002でYES)、第2始動口21を閉鎖させる時期(閉鎖タイミング)に至ったか否か(すなわち第2始動口21を開放してから予め定められた開放時間が経過したか否か)を判定し(S1005)、至っていなければ(S1005でNO)処理を終え、至っていれば(S1005でYES)、第2始動口21を閉状態(閉鎖)とする(S1006)。
第2始動口21の閉鎖処理(S1006)に次いで、第2始動口開放カウンタの値を1ディクリメントし(S1007)、第2始動口開放カウンタの値が「0」であるか否か判定する(S1008)。「0」でなければ(S1008でNO)、再び第2始動口21を開放させるためにそのまま処理を終える。一方「0」であれば(S1008でYES)、補助遊技を終了させる普図当り終了処理を行うとともに(S1009)、普図当り終了フラグをセットして(S1010)、本処理を終える。なお、第2始動口開放カウンタは、時短状態中であれば第2始動口21の開放(開閉部材23の開放動作)が3回なされると「0」になり、非時短状態中であれば第2始動口21の開放が1回なされると「0」になる。
これに対してS1001において普図当り終了フラグがONであると判定した場合(S1001でYES)、S903又はS906にてセットされた回数の第2始動口21の開放(補助遊技)は終了しているので、普図当り終了フラグをOFFするとともに(S1011)、普図当りフラグをOFFし(S1012)、普図動作ステータスを「1」にセットして(S1013)処理を終える。これにより、次回の割り込み処理において、普図動作処理(S205)として再び普通図柄待機処理(S402)が実行されることになる(図11、図13を参照)。
[特図動作処理]
図11に示すように遊技制御用マイコン81は、普図動作処理(S205)に次いで特図動作処理(S206)を行う。特図動作処理(S206)では、図20に示すように、特別図柄表示部(第1特別図柄表示器41a及び第2特別図柄表示器41b)と大入賞装置(第1大入賞装置31及び第2大入賞装置36)に関する処理を4つの段階に分け、それらの各段階に「特図動作ステータス1、2、3、4」を割り当てている。そして、特図動作ステータスが「1」である場合には(S1101でYES)、特別図柄待機処理(S1102)を行い、特図動作ステータスが「2」である場合には(S1101でNO、S1103でYES)、特別図柄変動中処理(S1104)を行い、特図動作ステータスが「3」である場合には(S1101、S1103で共にNO、S1105でYES)、特別図柄確定処理(S1106)を行い、特図動作ステータスが「4」である場合には(S1101、S1103、S1105で共にNO)、大当り遊技としての特別電動役物処理(S1107)を行う。なお、特図動作ステータスは、初期設定では「1」である。
[特別図柄待機処理]
図21に示すように、特別図柄待機処理(S1102)ではまず、第2始動口21の保留球数(即ち特図2保留球数)が「0」であるか否かを判定する(S1201)。特図2保留球数が「0」である場合(S1201でYES)、即ち、第2始動口21への入球に起因して取得した乱数カウンタ値の記憶がない場合には、第1始動口20の保留球数(即ち特図1保留球数)が「0」であるか否かを判定する(S1206)。そして、特図1保留球数も「0」である場合(S1206でYES)、即ち、第1始動口20への入球に起因して取得した乱数カウンタ値の記憶もない場合には、画像表示装置7の表示画面7aを待機画面とする処理中(客待ち用のデモ画面の実行中)であるか否かを判定し(S1211)、処理中であれば(S1211でYES)、そのまま本処理を終え、処理中でなければ(S1211でNO)、待機画面を表示するために待機画面設定処理を実行する(S1212)。
S1201において特図2保留球数が「0」でないと判定した場合(S1201でNO)、即ち、第2始動口21への入球に起因して取得した乱数カウンタ値の記憶が1つ以上ある場合には、後述の特図2当否判定処理(S1202)、特図2変動パターン選択処理(S1203)、特図2乱数シフト処理(S1204)、特図2変動開始処理(S1205)をこの順に行う。
また、特図2保留球数が「0」であるが特図1保留球数が「0」でない場合(S1201でYES、S1206でNO)、即ち、第2始動口21に係る乱数カウンタ値の記憶はないが、第1始動口20への入球に起因して取得した乱数カウンタ値の記憶が1つ以上ある場合には、後述の特図1当否判定処理(S1207)、特図1変動パターン選択処理(S1208)、特図1乱数シフト処理(S1209)、特図1変動開始処理(S1210)をこの順に行う。
このように本実施例では、第1特図保留に基づく第1特別図柄の変動表示は、第2特図保留が「0」の場合(S1201でYESの場合)に限って行われる。すなわち、第2特図保留の消化(第2特別図柄の変動表示)は、第1特図保留の消化(第1特別図柄の変動表示)に優先して実行される。そして本実施例では、第2特図保留に基づく当否判定の方が、第1特図保留に基づく当否判定よりも、遊技者にとって利益の大きい大当りになり易いものとなっている(図8(B)を参照)。
[特図2当否判定処理]
図22に示すように、特図2当否判定処理(S1202)ではまず、判定値として、RAMの第2特図保留記憶部の最下位の領域(即ち第2特図保留の1個目に対応するRAM領域)に記憶されている(最も古い記憶の)特別図柄当否判定用乱数カウンタの値(ラベル-TRND-A)を読み出す(S1301)。
次いで、確変フラグがONか否か、すなわち高確率状態であるか否かを判定する(S1302)。そして、高確率状態でなければ(S1302でNO)、すなわち通常状態であれば、大当り判定テーブル(図8(A))のうち通常状態用の大当り判定テーブル(大当り判定値が「3」及び「397」)に基づいて当否判定を行う(S1303)。一方、高確率状態であれば(S1302でYES)、大当り判定テーブル(図8(A))のうち高確率状態用の大当り判定テーブルに基づいて当否判定を行う(S1304)。高確率状態用の大当り判定テーブルでは、大当り判定値は、「3」、「53」、「113」、「173」、「227」、「281」、「337」、「397」、「449」、「503」とされている。
次いでS1305では、当否判定(S1303、S1304)の結果が「大当り」であるか否かを判定する(S1305)。その結果、大当りであると判定した場合(S1305でYES)、大当り種別決定用乱数カウンタの値(ラベル-TRND-AS)を読み出して、図8(B)に示す大当り種別判定テーブルに基づいて大当り種別を判定し(S1307)、当該大当り種別決定用乱数の値に基づいて大当り図柄を決定し(S1308)、大当りフラグをONにして(S1309)、処理を終える。一方、当否判定(S1303、S1304)の結果が「大当り」でない(「外れ」である)と判定した場合(S1305でNO)、外れ図柄を決定し(S1306)、処理を終える。第2特別図柄に係る当否判定(S1303、S1304)を実行する主制御部80(遊技制御用マイコン81)は「第2当否判定手段」として機能するものである。
ここで、大当り種別を判定するにあたり、第1特別図柄に係る当否判定の場合は、第1特別図柄用の大当り種別判定テーブルを用いて大当り種別を判定し、第2特別図柄に係る当否判定の場合は、第2特別図柄用の大当り種別判定テーブルを用いて大当り種別を判定する。なお、特別図柄当否判定や大当り種別決定判定を夫々「判定」といってもよいし、大当り判定を行い何れの大当り図柄となるかを含めて「判定」といってもよい。
[特図2変動パターン選択処理]
図21に示すように、特別図柄待機処理(S1102)では、特図2当否判定処理(S1202)に次いで、特図2変動パターン選択処理を行う(S1203)。図23及び図24に示すように、特図2変動パターン選択処理(S1203)ではまず、遊技状態が時短状態であるか否か(時短フラグがONであるか否か)を判定する(S1401)。S1401で、時短状態でないと判定した場合(S1401でNO)、すなわち非時短状態であれば、次いで、大当りフラグがONであるか否かを判定する(S1402)。
S1402で、大当りフラグがONであると判定した場合(S1402でYES)、非時短状態大当り用テーブル(図9に示す変動パターンテーブルのうち非時短状態かつ大当りに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値(ラベル-TRND-T1)に基づいて変動パターンを選択する(S1403)。本実施例では、変動パターンP1~P3の何れかが選択される。なお、本実施例では、変動パターンが決まれば変動時間も決まるものとされている。次いで、S1404の処理に移行する。
一方、S1402で大当りフラグがONでないと判定した場合(S1402でNO)、第2特別図柄の保留数が「1」又は「2」の何れかであるかを判定する(S1405)。ここでいう保留数とは、本処理により変動パターンを決定している情報も含めた記憶数であるので、保留記憶の数は「1」~「4」の何れかの値とされる。
そして、S1405で、保留数が「1」又は「2」の何れかであると判定した場合(S1405でYES)、第1保留数外れ用テーブル(図9に示す変動パターンテーブルのうち非時短状態かつ外れかつ保留球数「1、2」に該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値(ラベル-TRND-T1)に基づいて変動パターンを選択する(S1406)。本実施例では、変動パターンP4~P7の何れかが選択される。
一方、S1405で保留数が「1」又は「2」の何れでもない、すなわち「3」又は「4」の何れかであると判定した場合(S1405でNO)、第2保留数外れ用テーブル(図9に示す変動パターンテーブルのうち非時短状態かつ外れかつ保留球数「3、4」に該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値(ラベル-TRND-T1)に基づいて変動パターンを選択する(S1407)。本実施例では、変動パターンP8~P11の何れかが選択される。また、第1保留数外れ用テーブルは、第2保留数外れ用テーブルよりも、比較的長時間の変動時間の変動パターンを選択する可能性が高く設定されている。また、選択可能な最も短時間の変動時間(12000ms)も、第2保留数外れ用テーブルのもの(4000ms)よりも長い時間とされている。
また、S1401で時短状態であると判定した場合(S1401でYES)、大当りフラグがONであるか否かを判定する(S1408)。その結果、大当りフラグがONであると判定した場合(S1408でYES)、時短状態大当り用テーブル(図9に示す変動パターンテーブルのうち時短状態かつ大当りに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値(ラベル-TRND-T1)に基づいて変動パターンを選択する(S1409)。本実施例では、変動パターンP12~P14の何れかが選択される。
一方、S1408で大当りフラグがONでないと判定した場合(S1408でNO)、保留数が「1」であるか否かを判定する(S1410)。ここでいう保留数も前述と同様であり、保留数は「1」~「4」の何れかの値とされている。
S1410で、保留数が「1」であると判定した場合(S1410でYES)、第3保留数外れ用テーブル(図9に示す変動パターンテーブルのうち時短状態かつ外れかつ保留球数「1」に該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値(ラベル-TRND-T1)に基づいて変動パターンを選択する(S1411)。本実施例では、変動パターンP15~P18の何れかが選択される。
また、S1410で保留数が「1」でない、すなわち、保留数が「2」~「4」のうちの何れかであると判定した場合(S1410でNO)、第4保留数外れ用テーブル(図9に示す変動パターンテーブルのうち時短状態かつ外れかつ保留球数「2~4」に該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値(ラベル-TRND-T1)に基づいて変動パターンを選択する(S1412)。本実施例では、変動パターンP19~P22の何れかが選択される。
ここで、時短状態での当否判定の結果が外れの場合に選択される変動パターンは、非時短状態での当否判定の結果が外れの場合に選択される変動パターンと比較して、短い変動パターンが選択される可能性が高くされている。これは、時短状態において変動時間の短い変動パターンがより多く選択されようにすることで、特図保留の消化スピードを早める(時短中の遊技を迅速に進行させる)ためである。
以上のようにして変動パターンの選択を行った後は、図23に示すその他の処理を行い(S1404)、処理を終える。その他の処理(S1404)では、選択した変動パターンに応じた変動パターン指定コマンドをRAMの出力バッファにセットする等の処理を行う。この処理でセットされた変動パターン指定コマンドは、後述の変動開始コマンドに含められて、出力処理(S201)により副制御基板90に送信される。
[特図2乱数シフト処理]
図25に示すように、特図2乱数シフト処理(S1204)ではまず、特図2保留球数を1ディクリメントする(S1501)。次いで、第2特図保留記憶部における各種カウンタ値の格納場所を、1つ下位側(例えば第2特図保留記憶部がアドレス「0000」~「0003」に対応するアドレス空間からなる場合、アドレス「0000」側)にシフトする(S1502)。そして、第2特図保留記憶部の最上位のアドレス空間に「0」をセットして、即ち、(上限数まで記憶されていた場合)第2特図保留の4個目に対応するRAM領域をゼロクリアして(S1503)、この処理を終える。
特図2乱数シフト処理(S1204)を実行した後は、図21に示すように、特図2変動開始処理(S1205)を実行する。特図2変動開始処理(S1205)では、特図動作ステータスを「2」にセットすると共に、変動開始コマンドをRAMの出力バッファにセットして、第2特別図柄の変動表示を開始する。
次に、特別図柄待機処理(S1102)において、特図2保留球数が「0」であり、かつ、特図1保留球数が「0」でない場合(S1201でYES、S1206でNO)には、特図1当否判定処理(S1207)、特図1変動パターン選択処理(S1208)、特図1乱数シフト処理(S1209)、特図1変動開始処理(S1210)をこの順に行う。
[特図1当否判定処理]
図26に示すように、特図1当否判定処理(S1207)では、図22に示した特図2当否判定処理(S1202)と同様の流れで処理(S1601~S1609)を行う。従って、本処理の詳細な説明は省略する。但し、本処理は特図1に関する処理であるので、S1601では、RAMの第1特図保留記憶部の最下位の領域(即ち第1特図保留の1個目に対応するRAM領域)に記憶されている特別図柄当否判定用乱数カウンタ値(ラベル-TRND-A)を読み出して処理を行う。第1特別図柄に係る当否判定(S1603、S1604)を実行する主制御部80(遊技制御用マイコン81)は「第1当否判定手段」として機能するものである。
なお、第1当否判定手段及び前述の第2当否判定手段の何れか一方又は両方を指して「当否判定手段」又は「判定手段」ともいう。
[特図1変動パターン選択処理]
図27及び図28に示すように、特図1変動パターン選択処理(S1208)では、図23及び図24に示した特図2変動パターン選択処理(S1403)と同様の流れで処理(S1701~S1712)を行う。従って本処理の詳細な説明は割愛する。
[特図1乱数シフト処理]
図29に示すように、特図1乱数シフト処理(S1209)ではまず、特図1保留球数を1ディクリメントする(S1801)。次いで、第1特図保留記憶部における各種カウンタ値の格納場所を、1つ下位側にシフトする(S1802)。そして、第1特図保留記憶部の最上位のアドレス空間に「0」をセットして、即ち、(上限数まで記憶されていた場合)第1特図保留の4個目に対応するRAM領域をゼロクリアして(S1803)、この処理を終える。
特図1乱数シフト処理(S1209)を実行した後は、図21の特図1変動開始処理(S1210)を実行する。特図1変動開始処理(S1210)では、特図動作ステータスを「2」にセットすると共に、変動開始コマンドをRAMの出力バッファにセットして、第1特別図柄の変動表示を開始する。
[特別図柄変動中処理]
図30に示すように、特別図柄変動中処理(S1104)ではまず、特別図柄の変動時間(S1203又はS1208で選択された変動パターンに応じて決まる変動時間。図9を参照。)が経過したか否かを判定する(S1901)。変動時間が経過していないと判定した場合(S1901でNO)、処理を終える。これにより特別図柄の変動表示が継続される。
一方、変動時間が経過したと判定した場合(S1901でYES)、変動停止コマンドをセットする(S1902)。次いで、確変フラグがONであるか否か判定し(S1903)、ONであれば(S1903でYES)、確変カウンタを1減算し(S1904)、確変カウンタの値が「0」であるか否かを判定する(S1905)。確変カウンタが「0」であると判定した場合(S1905でYES)、確変フラグをOFFにして(S1906)、S1907の処理に移行する。一方、確変フラグがONでないと判定した場合と(S1903でNO)、確変カウンタが「0」でないと判定した場合には(S1905でNO)、そのままS1907の処理に移行する。
S1907では、時短フラグがONであるか否かを判定する(S1907)。そして、時短フラグがONであると判定した場合(S1907でYES)、時短状態中に実行した特別図柄の変動表示回数をカウントする時短カウンタの値を1減算し(S1908)、時短カウンタの値が「0」であるか否かを判定する(S1909)。時短カウンタの値が「0」であれば(S1909でYES)、時短フラグをOFFにして(S1910)、S1911の処理に進む。一方、時短フラグがONでないと判定した場合と(S1907でNO)、時短カウンタの値が「0」でないと判定した場合には(S1909でNO)、そのままS1911の処理に進む。
S1911では、特図動作ステータスを「3」にセットする(S1911)。そして、特別図柄の変動表示を、特別図柄当否判定乱数及び大当り種別決定用乱数の判定結果に応じた結果で停止させる等のその他の処理を行い(S1912)、本処理を終える。
[特別図柄確定処理]
図31に示すように、特別図柄確定処理(S1106)ではまず、大当りフラグがONであるか否かを判定する(S2001)。大当りフラグがONであれば(S2001でYES)、今回の大当りの種別が15R大当りであるか否かを判定する(S2002)。その結果、15R大当りであると判定した場合(S2002でYES)、大当り遊技中に実行するラウンドの回数をカウントするラウンドカウンタの値に「15」をセットし(S2003)、S2006の処理に移行する。一方、今回の大当りの種別が15R大当りでないと判定した場合(S2002でNO)、大当り種別は7R大当りであるため、ラウンドカウンタの値に「7」をセットし(S2005)、S2006の処理に移行する。
S2006では、ラウンド表示器45の表示態様(点灯態様)を決める点灯パターンデータをセットし(S2006)、S2007の処理に移行する。具体的に、前述のS2002の判定結果、すなわち、今回の大当りの種別(ラウンド数)に応じて、ラウンド表示器45を構成する2個のLED(7R用ランプ、15R用ランプ)の点灯パターンデータをセットする(S2006)。このセットした点灯パターンデータが出力処理(S201)により出力されると、その点灯パターンデータにしたがってラウンド表示器45のLED(ラウンドランプ)が点灯する。
次いでS2007では、判定種別フラグをセットする(S2007)。判定種別フラグは、今回の大当りの契機となった特別図柄当否判定が、第1特別図柄当否判定と第2特別図柄当否判定の何れであるのかを示すものである。すなわち、第1特別図柄当否判定で大当りとなったのか、第2特別図柄当否判定で大当りとなったのかを特定可能とするフラグである。本実施例では、判定種別フラグとして、今回の大当りの契機となった特別図柄当否判定が第1特別図柄当否判定であることを示す第1判定フラグと、第2特別図柄当否判定であることを示す第2判定フラグと、の2つのフラグが設けられている。
本実施例のパチンコ遊技機1は、大当りとして「7R大当り」(7R第1,第2大当り)と「15R大当り」(15R第3~第5大当り)を備えている。そのうち、7R第1,第2大当り及び15R第3大当りは、第1特別図柄当否判定で大当りとなった場合の大当り種別であり、15R第4,第5大当りは、第2特別図柄当否判定で大当りとなった場合の大当り種別である(図6を参照)。
そこで、本実施例では、今回の大当り種別に基づいて、判定種別フラグをセットする(S2007)。すなわち、今回の大当りの種別が7R第1大当り、7R第2大当り及び15R第3大当りの何れかである場合、今回の大当りは第1特別図柄当否判定によるもの(「特図1大当り」ともいう。)であるため、第1判定フラグをONにする(S2007)。一方、今回の大当りの種別が15R第4大当り又は15R第5大当りである場合、今回の大当りは第2特別図柄当否判定によるもの(「特図2大当り」ともいう。)であるため、第2判定フラグをONにする(S2007)。なお、判定種別フラグは、今回の大当りに係る大当り遊技(特別遊技状態)が終了する際にOFF(初期化)される。
次いでS2008では、大当りの種別(種類)に応じた大入賞口開放パターンをセットし(S2008)、S2009の処理に移行する。ここで、前述したように、大入賞口の開放パターンは大当りの種別に応じて定められている(図6を参照)。具体的には、7R第1,第2大当りの何れかであれば、それぞれの大当りに対応した7R大当り用の開放パターンをセットし、15R第3~第5大当りの何れかであれば、それぞれの大当りに対応した15R大当り用の開放パターンをセットする。そして、夫々の大当り遊技において対応する大当り用開放パターンを実行するものとされる。
S2009では、大当りの種別に応じた可動片作動タイミングをセットし、S2010の処理に移行する。ここで、前述したように、Vラウンド(本実施例では7ラウンド目)での可動片150の作動は、第2大入賞口35(Vアタッカー)への遊技球の入球数に基づいて行われるものとなっており、その作動契機となる入球数が、大当りの種別に応じて定められている(図49を参照)。具体的には、大当りの種別に応じて予め定められた第1所定値C1、第2所定値C2、第3所定値C3をセットする(所定値設定手段)。このS2009でセットした値と、Vラウンド(7ラウンド目)での入球数計数手段による計数値(Vアタッカーへの入球数)とに基づいて、可動片150の作動制御が行われこととなる。なお、第2所定値C2及び第3所定値C3は、大当りの種別が「V非通過予定大当り」である場合にはセットせず、「V通過予定大当り」である場合にのみセットする。
次いでS2010では、大当り遊技を開始すべく大当りのオープニングコマンドをセットする(S2010)。オープニングコマンドは、大当りの種別に応じて設けられている。具体的には、7R第1大当り用オープニングコマンド、7R第2大当り用オープニングコマンド、15R第3大当り用オープニングコマンド、15R第4大当り用オープニングコマンド及び15R第5大当り用オープニングコマンドのように、各大当りに対応して夫々設けられている。
S2010でセットしたオープニングコマンドは、出力処理(S201)により副制御部90に対して送信される。当該オープニングコマンドを受信した副制御部90では、オープニング期間に対応した所定の遊技演出(例えばオープニング演出)の実行に係る処理が行われる。
次いでS2111では、S2010でセットしたオープニングコマンドに対応するオープニング期間を開始する(S2111)。オープニング期間は、大当り図柄の停止表示(確定表示)後、大当り遊技の1ラウンド目が開始されるまでの期間である。
次いでS2012では、特図動作ステータスを「4」にセットし(S2012)、処理を終える。一方、前述のS2001において大当りフラグがONでないと判定した場合(S2001でNO)、特図動作ステータスを「1」にセットし(S2013)、そのまま処理を終える。
[特別電動役物処理(大当り遊技)]
図32に示すように、特別電動役物処理(S1108)ではまず、確変フラグがONであるか否かを判定し(S2101)、確変フラグがONであると判定した場合(S2101でYES)、確変フラグをOFFし(S2102)、次いで、時短フラグがONであるか否かを判定する(S2103)。S2103で、時短フラグがONであると判定した場合(S2103でYES)、時短フラグをOFFし(S2104)、S2105の処理に移行する。なお、S2101でNOと判定された場合、確変フラグをOFFにすることなくS2103の処理に移行し、S2103でNOと判定された場合、時短フラグをOFFにすることなくS2105の処理に移行する。つまり、大当り遊技の実行中は、低確率状態かつ非時短状態に制御される。本実施例では非時短状態中は常に低ベース状態であるので、大当り遊技の実行中は低ベース状態に制御されることにもなる。
次に、大当り終了フラグがONであるか否かを判定する(S2105)。大当り終了フラグは、大当り遊技において大入賞装置(第1大入賞装置31及び第2大入賞装置36)の開放処理が全て終了(大当り遊技が終了)したことを示すフラグである。すなわち、大当り遊技を構成する全てのラウンドが終了したことを示すフラグである。この大当り終了フラグは後述のS2121でONとなる。
S2105で大当り終了フラグがONでないと判定した場合(S2105でNO)、次いでラウンドの開始時期であるか否かを判定する(S2106)。これは、前述した大当り種別毎に設定した大入賞口開放パターンに基づいて判定する。例えば、1ラウンド目の開始前であれば、オープニング期間が終了して1ラウンド目の最初の開放処理を実行するタイミングであるか否かによって判定する。また、既に1ラウンド目を開始した後であれば、前のラウンドが終了し、かつ、後述の大入賞口閉鎖処理が終了したか否かによって判定する。
S2106でラウンド開始時期であると判定した場合(S2106でYES)、対応するラウンドのラウンド開始コマンドをセットし(S2107)、大入賞口開放処理を行って(S2108)、処理を終える。これにより、大入賞口が開放状態となり所定のラウンドが開始することとなる。なお、S2107では、1ラウンド目の開始であれば「1R開始コマンド」、2ラウンド目の開始であれば「2R開始コマンド」のように、開始するラウンド(開始ラウンド)を特定可能なラウンド開始コマンドがセットされる。セットされたラウンド開始コマンドは、S201の出力処理により副制御基板90に送信される。また、S2108の大入賞口開放処理では、実行される大当りの種別に応じて定められた大入賞口開放パターンであって、開始されるラウンドに定められた開放パターンが開始される。
一方、S2106でラウンド開始時期でないと判定した場合(S2106でNO)、S2111の処理に移行する。ここで、ラウンド開始時期でないと判定する場合としては、例えば、1ラウンド開始前のオープニング期間中、ラウンド実行中(ラウンド遊技中)、ラウンド終了後のインターバル期間中等が挙げられる。
S2111では、ラウンドの実行中であるか否か、すなわち、S2108で開始した所定の開放パターンに基づいて大入賞口が開放中であるか否かを判定する(S2111)。その結果、ラウンド実行中(大入賞口が開放中)であると判定した場合(S2111でYES)、次いで、実行中のラウンドがVラウンドであるか否かを判定する(S2112)。前述したように、本実施例では大当り遊技の7ラウンド目をVラウンドとしていることから、ここでは7ラウンド目であるか否かを判定する。そして、実行中のラウンドがVラウンド(7ラウンド目)であれば(S2112でYES)、後述するVラウンド処理を行い(S2113)、Vラウンドでなければ(7ラウンド目以外のラウンドであれば)、Vラウンド処理(S2113)を行うことなくS2114の処理に移行する。
S2114では、実行中のラウンドのラウンド終了条件が成立したか否かを判定する(S2114)。ここで、本実施例のラウンド終了条件として、(1)実行中のラウンドに定められたラウンド実行時間(本実施例では「25秒」)が経過したこと(又は、実行中のラウンドに定められた開放パターンを終了したこと)、(2)実行中のラウンドにおいて当該実行中のラウンドに定められた規定数(本実施例では「9個」)の遊技球が入球したこと、の2つの条件が定められている。そして、何れか一方の条件が成立すると、当該先に成立した条件に基づいてラウンド終了条件が成立となる。大当り遊技中において、遊技球が正常に発射(右打ち)されて遊技領域3(右遊技領域3B)を滞りなく流下する限り、通常、(2)の条件がラウンド終了条件として成立する。これに対し、S2114でラウンド終了条件が成立していないと判定した場合(S2114でNO)、処理を終える。
一方、S2114でラウンド終了条件が成立したと判定した場合(S2114でYES)、対応するラウンドのラウンド終了コマンドをセットし(S2115)、S2116の処理に移行する。S2115では、1ラウンド目の終了であれば「1R終了コマンド」、2ラウンド目の終了であれば「2R終了コマンド」のように、終了するラウンド(終了ラウンド)を特定可能なラウンド終了コマンドがセットされる。セットされたラウンド終了コマンドは、S201の出力処理により副制御基板90に送信される。
S2116では後述の大入賞口閉鎖処理を行い、次いで、大入賞口閉鎖処理が終了したか否かを判定する(S2117)。詳細には後述するが、大入賞口閉鎖処理(S2116)では、主に、ラウンド終了に伴う大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)の閉鎖処理、インターバル期間設定処理、VラウンドにおけるVアタッカーへの入球数と排出数との比較判定処理、比較判定の結果に基づくリトライ処理及びエラー処理等が実行される。これらの処理が終了すると、S2117にて大入賞口閉鎖処理が終了(完了)したと判定される(S2117でYES)。大入賞口閉鎖処理の実行中は後述の閉鎖処理フラグがONにされており、大入賞口閉鎖処理が終了(完了)すると、閉鎖処理フラグがOFFにされる。従って、S2117の判定は、閉鎖処理フラグのON/OFFに基づいて行われる。なお、大入賞口閉鎖処理において実行可能とされるインターバル期間設定処理、比較判定処理、リトライ処理及びエラー処理の夫々を個別に「確認処理」ともいい、これらの処理を総じて確認処理ともいう。
S2117で大入賞口閉鎖処理が終了していない(閉鎖処理フラグがONである)と判定した場合(S2117でNO)、そのまま処理を終える。一方、S2117で大入賞口閉鎖処理が終了した(閉鎖処理フラグがOFFである)と判定した場合(S2117でYES)、ラウンドカウンタの値を1ディクリメントし(S2118)、ラウンドカウンタの値が「0」であるか否かを判定する(S2119)。そして、ラウンドカウンタの値が「0」でないと判定した場合(S2119でNO)、そのまま処理を終える。一方、ラウンドカウンタの値が「0」であると判定した場合(S2119でYES)、大当り終了処理を行い(S2120)、次いで大当り終了フラグをONにして(S2121)、処理を終える。なお、ラウンドカウンタの値は、実行する大当りにおける全てのラウンドが終了すると「0」になる。
S2120における大当り終了処理では、大当りのエンディングコマンドをセットするとともに大当りのエンディング期間を開始する処理を行う。エンディングコマンドは、大当りとなったときの遊技状態、大当りの種別情報及びVフラグのON/OFFに基づいて、複数のエンディングコマンドの中から選択されてセットされる。セットされるエンディングコマンドの種類によって、実行される(設定される)エンディング期間が異なるものとなっている。
例えば、第1特別図柄に係る大当り遊技の終了に際して設定(セット)されるエンディング期間(エンディング時間)は10秒、第2特別図柄に係る大当り遊技の終了に際して設定(セット)されるエンディング期間(エンディング時間)は5秒、といったように、特別図柄の種類に応じて異なるものとすることが可能である。これは、第2特別図柄は主として高ベース状態(右打ち遊技状態)で変動表示されるものであり、いわゆる初当りに続く次の大当り(いわゆる「連荘」)を狙う遊技状態なので、第1特別図柄に係るエンディング時間よりも第2特別図柄に係るエンディング時間を短くすることで、高ベース状態での遊技をスピーディー(円滑)に進行させることができるからである。あるいは、V通過予定大当りに係る大当り遊技の終了に際して設定(セット)されるエンディング期間(エンディング時間)は2秒、V非通過予定大当りに係る大当り遊技の終了に際して設定(セット)されるエンディング期間(エンディング時間)は10秒、といったように、大当りの種類に応じて異なるものとすることが可能である。これも、V通過予定大当りに係る大当り遊技の終了後は、原則、高確高ベース状態(高確率状態)となるので、連荘が発生し得る遊技状態となり、こうした遊技状態での遊技をスピーディーに進行させることができるからである。なお、エンディング期間(エンディング時間)は、特別図柄や大当り等の種類に関係なく同じとすることも可能である。
ここで、エンディング期間は、大当り遊技における大入賞口(第1大入賞口30及び第2大入賞口35)の全ての開放動作を終了した後であって、特別図柄(演出図柄)の変動表示を実行可能とする前に設定される期間であり「終了期間」ともいう。エンディング期間(終了期間)中、大入賞口は閉鎖状態とされる。この「終了期間」に実行する演出を「終了演出(エンディング演出)」ともいう。また、オープニング期間は、大当り遊技における大入賞口の最初(1ラウンド目)の開放動作を開始する前であって、特別図柄(演出図柄)の変動表示を実行不能とした後に設定される期間であり、「開始期間」ともいう。また、この「開始期間」に実行する演出を「開始演出(オープニング演出)」ともいう。
前述のS2105において、大当り終了フラグがONであると判定した場合(S2105でYES)、大当り遊技における最終ラウンドが終了しているので、大当りのエンディング演出の実行時間(エンディング時間)が経過したかどうかを判定し(S2122)、エンディング時間が経過していないと判定した場合(S2122でNO)、処理を終える。一方、エンディング時間が経過したと判定した場合(S2122でYES)、大当り終了フラグをOFFにし(S2123)、後述する遊技状態等設定処理(S2124)を行う。
次いでS2125では、大当りフラグをOFFにし(S2125)、特図動作ステータスを「1」にセットし(S2126)、処理を終える。これにより、次回の割り込み処理において、特図動作処理(S206)として再び特別図柄待機処理(S1102)が実行されることになる。
以上の特別電動役物処理(S1108)を実行する主制御部80(遊技制御用マイコン81)は「特別遊技実行手段」として機能するものである。
[Vラウンド処理]
図33に示すように、Vラウンド処理(S2113)では、まず、Vアタッカー(第2大入賞口35)に設けられた可動片150が非作動状態(第2振分状態)にあるか否かを判定する(S2701)。その結果、作動状態(第1振分状態)にあると判定した場合(S2701でNO)、後述のS2709の処理に移行し、非作動状態にあると判定した場合(S2701でYES)、Vラウンド中のVアタッカーへの遊技球の入球数、すなわち、前述の入球数計数手段による計数値を判定する(S2702)。
前述したように、Vラウンドでは、Vアタッカーへの遊技球の入球数に基づいて可動片150が作動するものとなっており、その作動契機となる入球数を定める所定値(第1所定値C1~第3所定値C3。図49を参照。)が、前述のS2009でセットされる。
S2702では、今回のVラウンドでの入球数計数手段による計数値が、S2009でセットした第1所定値C1であるか否かを判定する(S2702)。本実施例では第1所定値C1を「1」としているので、S2702では、入球数計数手段による計数値が「1」であるか否かを判定する。その結果、計数値(Vアタッカーへの入球数)が「1」であれば(S2702でYES)、S2703及びS2704の処理を行い、「1」でなければ(S2702でNO)、S2703及びS2704の処理を行うことなくS2705の処理に移行する。
S2703では、可動片150の第1作動を行う(S2703)。これにより、非作動状態(第2振分状態)にあった可動片150が作動状態(第1振分状態)となる。なお、このときの第1作動は、短開放パターン(第1作動態様)に基づく短時間第1作動である。
次いでS2704では、特定領域有効期間を開始(設定)する(S2704)。特定領域有効期間(「V有効期間」ともいう。)は、特定領域センサ39aによる遊技球の検知(特定領域39への遊技球の通過)を有効とする期間のことであり、可動片150が作動する(作動状態になる)ことに伴って開始(設定)される。これとは逆に、特定領域有効期間以外の期間は、特定領域センサ39aによる遊技球の検知を無効とする期間(「特定領域無効期間」又は「V無効期間」ともいう。)である。可動片150が非作動状態にあるときには特定領域無効期間(特定領域有効期間外)となり、当該無効期間中に遊技球が特定領域センサ39aにより検知されると、当該検知は無効とされ、特定領域39への遊技球の通過に関するエラーの一種である「特定領域異常通過(特定領域エラー)」が発生したと判定される(エラー判定手段)。
ここで、特定領域センサ39aによって遊技球が検知されてVフラグがONになった(すなわち、V有効期間に特定領域センサ39aが遊技球を検知した)ことに基づいて、遊技状態表示器46を所定の表示態様とすることで、大当り遊技終了後の遊技状態が高確率状態となることを報知することが可能である。具体的には、例えば、「a1a2a3」の3個のLEDで構成される遊技状態表示器46が、通常状態(低確率状態)において「a1□a2□a3□」(例えば、□:消灯、■:点灯)の表示態様とされる場合、大当り遊技中に特定領域センサ39aによって遊技球が検知され、VフラグがONになったタイミングで「a1■a2■a3■」の表示態様とする。そして、大当り遊技が終了し、遊技状態が高確率状態に設定されると「a1□a2□a3□」の表示態様とする。なお、遊技状態表示器46の点灯制御タイミングはこのようなタイミングに限定されず、大当り遊技中は、遊技球が特定領域を通過しても「a1□a2□a3□」の表示態様のままとし、大当り遊技終了後の高確率状態へ移行するタイミングで「a1■a2■a3■」とし、高確率状態から低確率状態に移行するタイミングで「a1□a2□a3□」の表示態様としてもよい。
なお、VフラグがONである場合には、確変フラグがONされる。すなわち、大当り遊技後の遊技状態が高確率状態に設定される(後述のS2124を参照)。そして、後述の特定領域センサ検知処理(S207)では、特定領域有効期間中にV通過を検知した場合にのみVフラグをONし、特定領域有効期間外(V無効期間中)にV通過を検知した場合にはVフラグをONしないこととしている。このようにすることで、不正行為によるV通過に基づいてVフラグがONされることのないように、すなわち不正に高確率状態に設定されることのないようにしている。
次いでS2705では、実行中のVラウンド(大当り遊技)がV通過予定大当りに係るものであるか否かを判定する(S2705)。V通過予定大当りの場合、Vラウンド中に可動片150の1回目の作動(短開放パターン)が行われた後、その後のVアタッカーへの遊技球の入球に基づいて作動し得る構成となっている。そこで、S2705では、実行中のVラウンドがV通過予定大当りに係るものであるか否かを判定し、V通過予定大当りでないと判定した場合(S2705でNO)、すなわち、実行中のVラウンドがV非通過予定大当りに係るものである場合、S2705~S2708の処理を行うことなく本処理を終える。
一方、実行中のVラウンドがV通過予定大当りに係るものであると判定した場合(S2705でYES)、Vアタッカーへの遊技球の入球数(入球数計数手段による計数値)を判定する(S2706)。ここでは、当該Vラウンドでの入球数計数手段による計数値が、S2009でセットした第2所定値C2であるか否かを判定する(S2706)。本実施例では第2所定値C2を「2」としているので(図49を参照)、S2706では、入球数計数手段による計数値が「2」であるか否かを判定する。その結果、計数値(Vアタッカーへの入球数)が「2」であれば(S2706でYES)、S2707及びS2708の処理を行い、「2」でなければ(S2706でNO)、S2707及びS2708の処理を行うことなく本処理を終える。
S2707及びS2708の処理は、前述のS2703及びS2704の処理と同様にして行われる。すなわち、可動片150の第1作動が、長開放パターン(第2作動態様)に基づく長時間第1作動として行われ(S2707)、この長時間第1作動に伴って特定領域有効期間が開始(設定)される(S2708)。
以上までが非作動状態にある可動片150を作動状態に変化させる場合の処理である。これに対し、前述のS2701にて可動片150が非作動状態にないと判定した場合(S2701でNO)、すなわち、可動片150が作動状態にあると判定した場合、可動片150の作動時間が経過したか否かを判定する(S2709)。
前述のように、入球数計数手段による計数値が第1所定値C1(本例では「1」)となって可動片150の第1作動が実行された場合(S2702でYES、S2703)、その後、第1作動時間(本例では「80ms」)が経過すると可動片150の第2作動が実行される。一方、入球数計数手段による計数値が第2所定値C2(本例では「2」)となって可動片150の第1作動が実行された場合(S2706でYES、S2707)、その後、入球数計数手段による計数値が第3所定値C3(本例では「9」)となる前に第2作動時間(本例では「23000ms」)が経過すると可動片150の第2作動が実行される。したがってS2709では、可動片150の作動状態が、入球数計数手段による計数値が第1所定値C1となったこと(Vアタッカーへの1個目の入球)に基づく1回目の作動によるものであれば、可動片150の作動時間として第1作動時間が経過したか否かを判定し、入球数計数手段による計数値が第2所定値C2となったこと(Vアタッカーへの2個目の入球)に基づく2回目の作動によるものであれば、可動片150の作動時間として第2作動時間が経過したか否かを判定する。
なお、1回目の作動であるか2回目の作動であるかの判別は、例えば、可動片150の第1作動を実行する際(S2703、S2707)、その作動契機が第1所定値C1(1個目の入球)なのか第2所定値C2(2個目の入球)なのかを示すフラグをセット(ON)することとし、そのフラグを参照することにより行うことができる。
S2709にて可動片150の作動時間が経過したと判定した場合(S2709でYES)、可動片150の第2作動を行う(S2710)。これにより、作動状態(第1振分状態)にあった可動片150が非作動状態(第2振分状態)となる。
次いでS2711では、特定領域有効期間終了タイマに所定の計測時間(所定時間)を設定し、当該タイマによる計時を開始させる(S2711)。本実施例では、前述のS2704及びS2708で開始される特定領域有効期間の終期を、可動片150の作動終了後、所定時間が経過したタイミングとしている。すなわち、Vラウンドでの可動片150の作動開始から、当該作動終了後の所定時間(本例では1.5秒)が経過するまでの間を、特定領域有効期間(V有効期間)としている。S2711では、その特定領域有効期間の終期を定める所定時間を計測時間として設定する。このように可動片150の作動終了後も特定領域有効期間を継続させるのは、可動片150の作動終了間際に遊技球が特定領域39を通過して当該遊技球が特定領域39aにより検知された場合、その検知を有効なものとして扱うためである。
なお、特定領域有効期間のうち、可動片150の作動終了後の期間(本例では1.5秒間)のことを「特別有効期間」ともいう。この特別有効期間が経過した後にV無効期間となる。また、後述する可動片150のリトライ処理の実行期間中は、可動片150が作動するもののV有効期間が設定されることはなく、V無効期間となる。
一方、S2709にて可動片150の作動時間が経過していないと判定した場合(S2709でNO)、実行中のVラウンド(大当り遊技)がV通過予定大当りに係るものであるか否かを判定する(S2712)。その結果、V通過予定大当りでない(V非通過予定大当りである)と判定した場合(S2712でNO)、そのまま本処理を終える。
これに対し、V通過予定大当りであると判定した場合(S2712でYES)、Vアタッカーへの遊技球の入球数(入球数計数手段による計数値)を判定する(S2713)。ここでは、当該Vラウンドでの入球数計数手段による計数値が、S2009でセットした第3所定値C3であるか否かを判定する(S2713)。本実施例では、第3所定値C3を「9」としているので(図49を参照)、S2713では、入球数計数手段による計数値が「9」であるか否かを判定する。その結果、計数値(Vアタッカーへの入球数)が「9」でなければ(S2713でNO)、そのまま本処理を終え、「9」であれば、前述したS2710及びS2711の処理を行い、本処理を終える。
ここで、前述したように、V通過予定大当りに係るVラウンドにおいて、2回目の第1作動(長時間第1作動)により作動状態となった可動片150が非作動状態になるのは、Vアタッカーへの9個目の入球が検知される(入球数検知手段による計数値が第3所定値C3になる)ことに基づくのが通常である。したがって、V通過予定大当りに係るVラウンドにて可動片150が2回目の第1作動を行った後、S2709にて作動時間が経過したと判定されることは稀であり、ほとんどの場合、S2713にてVアタッカーへの入球数(入球数検知手段による計数値)が第3所定値C3であると判定されて、可動片150が非作動状態になる。本実施例では、その可動片150が非作動状態となる契機である第3所定値C3をVアタッカーの規定数と同数の値である「9」としているため、Vラウンド終了とともに可動片150が非作動状態になる。したがって、2回目の第1作動により作動状態となった可動片150が非作動状態に変化する条件が成立するまでは、Vラウンドが終了しないこととなる。換言すると、Vラウンドにて可動片150が2回目の第1作動を行って作動状態(第1振分状態)となった後、Vラウンドが終了するまでその作動状態が保たれることとなる。
以上のVラウンド処理(S2113)により可動片150の作動制御を実行する主制御部80(遊技制御用マイコン81)は「振分作動制御手段」として機能するものである。また、Vラウンド処理(S2113)におけるS2708及びS2711の処理を実行する主制御部80(遊技制御用マイコン81)は「有効期間設定手段」として機能するものである。
[大入賞口閉鎖処理]
図34に示すように、大入賞口閉鎖処理(S2116)では、まず、閉鎖処理フラグがONであるか否かを判定する(S2801)。閉鎖処理フラグは、大入賞口閉鎖処理の実行状況を示すフラグであり、大入賞口閉鎖処理の実行中をONで示し、非実行中をOFFで示す。
S2801にて閉鎖処理フラグがONであると判定した場合(S2801でYES)、後述のS2804の処理に移行し、閉鎖処理フラグがONでない(OFFである)と判定した場合(S2801でNO)、閉鎖処理フラグをONにして(S2802)、インターバル期間を開始する(S2803)。S2803では、ラウンド終了後のインターバル時間(500ms又は2000ms)をセットして当該時間の計測を開始する。インターバル時間(インターバル期間)は終了するラウンド(非Vラウンド又はVラウンド)に応じてセットされる。
次いでS2804では、先のラウンド終了条件の成立(S2114でYES)により終了したラウンドがVラウンドであるか否かを判定する(S2804)。その結果、終了したのがVラウンドである場合(S2804でYES)、後述の比較判定処理(S2805)を行ってS2806の処理に移行し、終了したのがVラウンドでない(非Vラウンド)である場合(S2804でNO)、比較判定処理(S2805)を行うことなくS2806の処理に移行する。
ここで、Vラウンドでは、Vアタッカー内の特定領域39を開閉するための可動片150の作動に際して、可動片150に遊技球が噛む等して、アタッカー内に遊技球が詰まってしまう虞がある。そこで、後述の比較判定処理(S2805)によりVアタッカーの入球数と排出数とを比較(管理)して、球詰まりが発生しているか否かを確認するのである。また、糸吊りゴトや電波ゴト等の不正行為によりV通過(特定領域検知スイッチ39aによる遊技球検知)を意図的に発生(誤検知)させた場合には、入球数と排出数とが一致しないことがあるため、こうした入球数と排出数との比較により不正行為を発見し、不測の損害が発生するのを未然に防止することも可能となる。
次いでS2805では、インターバル期間が終了(インターバル時間が経過)したか否かを判定する(S2805)。その結果、インターバル期間が終了していないと判定した場合、すなわち、インターバル時間の計測中であると判定した場合(S2805でNO)、そのまま本処理を終える。一方、インターバル期間が終了したと判定した場合(S2804でYES)、閉鎖処理フラグをOFFにして(S2807)、本処理を終える。
[比較判定処理]
図35に示すように、比較判定処理(S2805)では、まず、VラウンドにてVアタッカー(第2大入賞口35)に入球した遊技球の数(入球数)と、Vアタッカーから排出された遊技球の数(排出数)とを比較判定する(S2901)。この比較判定は、入球数と排出数とを比較して両者が一致するか否かを判定するものである。
ここで、前述したように、VラウンドにてVアタッカーに入球した遊技球は第2大入賞口センサ35aにより検知され、その検知数(入球数)が入球数計数手段により計数される。また、第2大入賞口センサ35aにより検知された遊技球は、その後、特定領域センサ39a又は非特定領域センサ49aにより検知され(特定領域39又は非特定領域49を通過し)、その検知数(排出数)が排出数計数手段により計数される。
S2901では、その入球数計数手段による計数値(入球数)と排出数計数手段による計数値(排出数)とを比較判定する。すなわち、第2大入賞口センサ35a(入球検知手段)、特定領域センサ39a(第1通過検知手段)及び非特定領域センサ49a(第2通過検知手段)の検知結果に基づいて、Vアタッカーへの入球数と排出数とを比較判定する。このS2901の処理を実行する主制御部80(遊技制御用マイコン81)は「比較判定手段」として機能するものである。
次いでS2902では、S2901における比較判定の結果、Vラウンド中のVアタッカーへの入球数と排出数とが一致したか否かを判定する(S2902)。その結果、入球数と排出数とが一致した場合(S2902でYES)、S2903以降の処理を行うことなく本処理を終える。入球数と排出数とが一致した場合、Vアタッカーへの遊技球の入球及び排出が正常に行われていると判断できるため、S2903以降の処理を行うことなく本処理を終えるのである。
一方、S2902でVアタッカーへの入球数と排出数とが一致しない(不一致)と判定した場合(S2902でNO)、リトライ処理の実行時期(開始時期)であるか否かを判定する(S2903)。本実施例では、Vラウンド終了から1600ms(1.6秒)が経過したタイミングをリトライ処理の実行時期としており、その間、Vアタッカーへの入球数と排出数との比較判定(S2901)が実行可能となっている。そして、入球数と排出数とが不一致のままVラウンド終了から1600msが経過すると、リトライ処理の実行時期となる(S2903でYES)。したがって、S2903では、Vラウンド終了から1600msが経過したか否かを判定する。
S2903でリトライ処理の実行時期(開始時期)でないと判定した場合(S2903でNO)、S2906の処理に移行する。一方、リトライ処理の実行時期であると判定した場合(S2903でYES)、不一致となっている入球数と排出数に関し、排出数が入球数よりも少ないか否かを判定する(S2904)。その結果、排出数が入球数よりも多い場合(S2904でNO)、S2906の処理に移行し、排出数が入球数よりも少ない場合(S2904でYES)、リトライ処理を実行して(S2905)、本処理を終える。
ここで、リトライ処理とは、可動片150の作動・停止(可動片ソレノイド151のON/OFF)を所定回数繰り返し行う(複数回実行する)処理である。Vアタッカーへの入球数が排出数を超えている場合、Vアタッカーに入球した遊技球が未だ特定領域39又は非特定領域49を通過していない(特定領域センサ39a又は非特定領域センサ49aにより検知されていない)こととなる。この原因として、特定領域センサ39a又は非特定領域センサ49aに向かう経路(遊技球通路)上での球詰まりや可動片150による球噛み等が考えられる。そこで、可動片150による球噛み等の解消を図るべくリトライ処理を実行するのである。
本実施例では、リトライ処理の実行時間(実行期間)を280msとしている。そして、Vラウンド終了からリトライ処理の実行時期が到来するまでの期間(1600ms)及びリトライ処理の実行期間(280ms)が経過するまでの間(1880ms)、Vアタッカーへの入球数と排出数との比較判定(S2901)が所定の割り込み周期(例えば4ms周期)で実行される。このため、Vラウンドの終了に伴って1回目の比較判定が実行された後、リトライ処理の実行時期が到来するまでに、当該1回目の比較判定を含めて複数回の比較判定が実行される。また、リトライ処理が実行された場合、その実行期間中も複数回の比較判定が実行され得る。
Vラウンド終了後、リトライ処理の実行時期が到来するまでの1又は複数回の比較判定の結果、入球数と排出数とが一致すると判定されると(S2902でYES)、リトライ処理や後述のエラー処理を行うことなく、比較判定処理(S2805)が終了することとなる。また、リトライ処理の実行開始後、当該リトライ処理の実行期間中における1又は複数回の比較判定の結果、入球数と排出数とが一致すると判定されると(S2902でYES)、後述のエラー処理を行うことなく、比較判定処理(S2805)が終了する。この場合、球噛み等がリトライ処理によって解消されたということになる。
なお、本実施例では、Vアタッカーの排出数が入球数よりも少ない(Vアタッカーへの入球数が排出数よりも多い)場合に限りリトライ処理を実行するものとしている(S2904でYES、S2905)。つまり、排出数が入球数よりも多い場合(S2904でNO)、リトライ処理は実行されない。これは、排出数が入球数よりも多い(入球数が排出数よりも少ない)ということは、Vアタッカー内の特定領域センサ39aや非特定領域センサ49aの上流側で球詰まりや球噛み等が発生しているとは考え難く、リトライ処理を実行したところで排出数が入球数よりも多い状況の解消に繋がることはまず無いからである。したがって本実施例は、無駄なリトライ処理(可動片150の作動)を実行するのを回避(排除)した構成となっている。
次いでS2906では、エラー処理の実行時期(開始時期)であるか否かを判定する(S2906)。本実施例では、Vラウンド終了から1880ms(1600ms+280ms)が経過したタイミングをエラー処理の実行時期としている。このため、Vラウンド終了後、Vアタッカーへの入球数と排出数とが不一致のまま1880msが経過すると、エラー処理の実行時期となり(S2906でYES)、これに応じて所定のエラー処理を実行して(S2907)、本処理を終える。一方、S2906でエラー処理の実行時期でないと判定した場合(S2906でNO)、エラー処理を実行することなく本処理を終える。
S2907で実行するエラー処理は、不一致となっている入球数と排出数との関係、すなわち、不一致の状況に応じて、処理内容が異なるものとなっている。
具体的に、Vアタッカーの排出数が入球数よりも少ない場合、(A1)画像表示装置7の表示画面7aに「Vアタッカー不一致エラー」のメッセージ(第1エラー文字画像)を表示、(A2)枠ランプ66を赤色点灯、(A3)スピーカ67からエラー報知音を出力、(A4)特別図柄表示部(第1特別図柄表示器41a及び第2特別図柄表示器41b)の作動を停止、(A5)大入賞装置(第1大入賞装置31及び第2大入賞装置36)の作動を停止、の5つの処理をエラー処理として実行する。排出数が入球数よりも少ない場合に実行するエラー処理(本例では(A1)~(A5)の5つの処理)のことを「第1エラー処理」ともいう。また、画像表示装置7、枠ランプ66及びスピーカ67を用いて行う(A1)~(A3)のエラー処理は、Vアタッカーの排出数が入球数よりも少ない異常(「第1エラー」ともいう。)の発生を外部に報知するものであり、当該報知のことを「第1エラー報知」ともいう。
一方、Vアタッカーの排出数が入球数よりも多い場合、(B1)画像表示装置7の表示画面7aに「Vアタッカー異常排出エラー」のメッセージ(第2エラー文字画像)を表示、(B2)枠ランプ66を青色点灯、の2つの処理をエラー処理として実行する。排出数が入球数よりも多い場合に実行するエラー処理(本例では(B1)及び(B2)の2つの処理)のことを「第2エラー処理」ともいう。また、画像表示装置7及び枠ランプ66を用いて行う(B1)及び(B2)のエラー処理は、Vアタッカーの排出数が入球数よりも多い異常(「第2エラー」ともいう。)の発生を外部に報知するものであり、当該報知のことを「第2エラー報知」ともいう。
本実施例では、第1エラー処理において、第1エラー報知に加え特別図柄表示部及び大入賞装置の作動を停止させる一方、第2エラー処理では特別図柄表示部及び大入賞装置の作動を停止させずに第2エラー報知を行うものとしている。このような構成を採用したのは次の理由による。すなわち、第1エラー(排出数<入球数)が発生した場合、球詰まりや球噛み等によりVアタッカー内に遊技球が残存している可能性があり、このままの状況で大当り遊技(ラウンド遊技)を実行することはVアタッカー(第2大入賞装置36)の破損や故障を招く虞があり、延いては大当り遊技(ラウンド遊技)を正常に進行させることができなくなる虞がある。また、V通過予定大当りに係る大当り遊技中のVラウンドで球詰まりや球噛み等が発生して、V通過する筈の遊技球がV通過できない状況となった場合、このまま遊技を進めてしまうと、本来、遊技者が獲得できたはずの特典(高確率状態)を獲得できないまま遊技が進行することになるため、遊技者にとっては不利益となり、そのことが原因で遊技者と遊技ホールとのトラブルに発展する虞もある。こうした観点から、第1エラー(排出数<入球数)が発生した場合には、以後、特別図柄表示部及び大入賞装置の作動を停止させて、遊技の進行を停止させることとしている。なお、特別図柄表示部の作動を停止させるとは、特別図柄の変動表示を実行不能にすることである。また、大入賞装置の作動を停止させるとは、第1大入賞口30及び第2大入賞口35(Vアタッカー)を閉鎖した状態(第2状態)に維持して(開放不能として)、ラウンド遊技を実行不能(大当り遊技を進行不能)にすることである。
これに対し、第2エラー(排出数>入球数)が発生した場合、Vアタッカー(特定領域39、特定領域センサ39a)に対する糸吊りゴトや電波ゴト等の不正行為が原因で第2エラーが発生したと考えられる。この場合、第1エラーのときのような、Vアタッカー(第2大入賞装置36)の破損や故障等を招いたり、遊技者が本来獲得できたはずの特典(高確率状態)を獲得することができないといった不利益が生じたりすることはまず起きないため、遊技の進行を停止させる必要性は低い。その一方で、不正行為の可能性があることから、第2エラーの発生を外部に報知することは必要である。こうした観点から、第2エラー(排出数>入球数)が発生した場合には、特別図柄表示部及び大入賞装置の作動を停止させることなく、エラー報知(第2エラー報知)だけ行うこととしている。なお、第2エラーが発生した場合においても、特別図柄表示部及び大入賞装置の作動を停止させるようにすることも可能である。
このように本実施例では、第1エラー処理と第2エラー処理とで処理内容を異ならせており、第1エラー処理の方が第2エラー処理に比べ処理数が多いものとなっている。このため、第1エラーは第2エラーよりも重度のエラーとして捉えることができる。なお、エラー処理の内容や処理数は本実施例で示すものに限定されるものではない。
S2907では、第1エラー処理を実行する場合、特別図柄表示部の作動を停止させるための特別図柄変動禁止フラグ及び大入賞装置の作動を停止させるための大入賞装置作動禁止フラグを、それぞれONにする。特別図柄変動禁止フラグがONとなっている場合、遊技制御用マイコン81は特別図柄の変動表示を新たに開始しない構成となっている。また、大入賞装置作動禁止フラグがONとなっている場合、遊技制御用マイコン81はラウンド遊技を新たに開始しない構成となっている。
またS2907では、第1エラー処理を実行する場合、「Vアタッカー不一致エラー」のメッセージ表示、枠ランプ66の赤色点灯、及び、スピーカ67からのエラー報知音出力を指示する第1エラー報知コマンドをRAMの出力バッファにセットする。セットされた第1エラー報知コマンドは、S201の出力処理により副制御基板90に送信される。副制御基板90の演出制御用マイコン91は、送信されてきた第1エラー報知コマンドに基づいて、「Vアタッカー不一致エラー」のメッセージ表示、枠ランプ66の赤色点灯、及び、スピーカ67からのエラー報知音出力を実行する。
さらにS2907では、第2エラー処理を実行する場合、「Vアタッカー異常排出エラー」のメッセージ表示、及び、枠ランプ66の青色点灯を指示する第2エラー報知コマンドをRAMの出力バッファにセットする。セットされた第2エラー報知コマンドは、S201の出力処理により副制御基板90に送信される。副制御基板90の演出制御用マイコン91は、送信されてきた第2エラー報知コマンドに基づいて、「Vアタッカー異常排出エラー」のメッセージ表示、及び、枠ランプ66の青色点灯を実行する。
第1エラーが発生して第1エラー処理が実行された場合、Vアタッカー内の球詰まりや球噛みを解除した後、RAMクリアの実行を指示するRAMクリアスイッチ(図示せず)を押下した状態で本パチンコ遊技機1の電源を再投入することで、第1エラー処理が終了して第1エラーが解除される。つまり、第1エラー報知が終了するとともに、特別図柄変動禁止フラグ及び大入賞装置作動禁止フラグがOFFになる。
第2エラーが発生して第2エラー処理が実行された場合、RAMクリアの実行を指示するRAMクリアスイッチ(図示せず)を押下した状態で本パチンコ遊技機1の電源を再投入することで、第2エラー処理が終了して第2エラーが解除される。つまり、第2エラー報知が終了する。但し、第2エラーの発生後(第2エラー処理の実行後)、所定時間(例えば5分)が経過した時点で第2エラー報知が終了する(第2エラーが解除される)。不正行為の可能性があることをエラー報知により遊技ホール関係者等に認識させることができれば足るからである。
なお、S2905の処理を実行する主制御部80(遊技制御用マイコン81)は「リトライ処理手段」として機能するものである。また、S2907の処理を実行する主制御部80(遊技制御用マイコン81)は「エラー処理手段」として機能するものである。
本実施例では、以上の比較判定処理(S2805)が、Vラウンドが終了した後のインターバル期間(所定期間)において実行される。ここで、7R大当りに係る大当り遊技(「7R大当り遊技」ともいう。)が実行され、当該7R大当り遊技のVラウンドが終了した場合、7ラウンド目がVラウンドであるため、Vラウンドの終了をもって当該7R大当り遊技が終了する。そして、Vラウンド終了後のインターバル期間の後に続いてエンディング期間が設定される(S2120)。この場合、Vラウンド終了後のインターバル期間開始からエンディング期間終了までの一連の期間を一のエンディング期間(終了期間)として捉えることができる。つまり、7R大当り遊技のVラウンドが終了して比較判定処理(S2805)が実行される場合、当該比較判定処理は、Vラウンドとしての最終ラウンドが終了した後のエンディング期間(終了期間)において実行されるともいえる。
[遊技状態等設定処理]
図36に示すように、特別遊技状態の終了に際して実行される遊技状態等設定処理(S2124)ではまず、VフラグがONであるか否かを判定する(S2201)。Vフラグは、後述の特定領域センサ検知処理(S207)においてONにされるフラグである。
S2201にてVフラグがONであると判定した場合(S2201でYES)、確変フラグをONにすると共に(S2202)、確変カウンタに「100」をセットし(S2203)、VフラグをOFFにする(S2204)。そして、時短フラグをONにすると共に(S2206)、時短カウンタに「100」をセットし(S2207)、S2212の処理に進む。すなわち、本実施例のパチンコ遊技機1では、この遊技状態等設定処理においてVフラグがONになっているか否かに基づいて、大当り遊技後の遊技状態を高確率状態に設定するか否かを決めている。
ここで、VフラグがONの場合に、確変カウンタにセットする値は、高確率における特別図柄当否判定を実行可能な回数である。本実施例では、確変カウンタに「100」をセットすることから、100回の特別図柄の変動表示(特別図柄当否判定)が実行されるまで高確率状態は継続されることとなる。但し、100回の間に大当りとなった場合には、その大当り遊技の実行に際して高確率状態は終了する。また、確変フラグがONの場合には、時短カウンタにも同様に「100」がセットされるため、高確率状態が設定されている間、時短状態(開放延長状態)も設定され、高確率状態の終了とともに時短状態も終了することとなる。
一方、S2201でVフラグがOFFであると判定した場合(S2201でNO)、確変フラグをONにすることなく、時短フラグをONにすると共に(S2209)、時短カウンタに「100」をセットし(S2210)、S2212の処理に進む。これにより、今回の大当り遊技後の遊技状態が低確率状態かつ時短状態かつ高ベース状態(すなわち低確高ベース状態)となる。
また、7R第1大当り等のV通過予定大当りに係る大当り遊技にて、遊技球の発射がない等の何らかの事情でVラウンド中のV通過がなかった場合にも(VフラグがOFF)、当該大当り遊技後の遊技状態が高確率状態に設定されることなく、時短状態(低確高ベース状態)となる。
低確高ベース状態は、特別図柄の変動表示が100回行われること(特別図柄当否判定が100回行われること)、及び次の大当りが発生すること、の何れかの条件の成立により終了する。時短カウンタ及び確変カウンタは、第1特別図柄の変動表示回数と第2特別図柄の変動表示回数とを合算した回数を計数するものである。なお、時短カウンタ及び確変カウンタにセットする値は本実施例に限定されるものではなく、遊技性や出球率等を考慮して値を定めることが可能である。
以上のS2201~S2210の処理を実行する主制御部80(遊技制御用マイコン81)は「遊技状態制御手段」として機能するものである。
次いでS2212では、判定種別フラグを参照して、今回の大当り遊技の実行契機となった特別図柄当否判定の種類(判定種別)を特定する(S2212)。前述したように、判定種別フラグは、第1特別図柄当否判定であることを示す第1判定フラグと、第2特別図柄当否判定であることを示す第2判定フラグとからなり、第1判定フラグ及び第2判定フラグの何れかが、前述の特別図柄確定処理(S1106)のS2007でONされる。このONとなっている判定フラグをもとに、今回の大当り遊技の実行契機となった特別図柄当否判定の種類(判定種別)を特定するのである。
次いでS2213では、イレギュラーフラグがONであるか否かを判定する(S2213)。イレギュラーフラグは、イレギュラーV通過又はイレギュラーV非通過が発生した場合に、後述の特定領域センサ検知処理(S207)でセット(ON)されるフラグである。本実施例では、イレギュラーフラグとして、イレギュラーV通過が発生したことを示すイレギュラーV通過フラグと、イレギュラーV非通過が発生したことを示すイレギュラーV非通過フラグと、が設けられており、イレギュラーV通過が発生した場合にはイレギュラーV通過フラグがONとなり、イレギュラーV非通過が発生した場合にはイレギュラーV非通過フラグがONとなる。なお、イレギュラーV通過及びイレギュラーV非通過の何れも発生しなかった場合には、イレギュラーV通過フラグ及びイレギュラーV非通過フラグは何れもOFFである。
S2113で、イレギュラーV通過フラグ又はイレギュラーV非通過フラグがONであると判定した場合(S2213でYES)、当り表示器48の表示態様(点灯態様)を定める点灯パターンデータとして、S2212で特定した判定種別に応じたイレギュラー点灯パターンデータをセットする(S2214)。一方、イレギュラーV通過フラグ及びイレギュラーV非通過フラグが両方ともONでない(OFFである)と判定した場合(S2213でNO)、当り表示器48の表示態様(点灯態様)を定める点灯パターンデータとして、S2212で特定した判定種別に応じたノーマル点灯パターンデータをセットする(S2215)。
前述したように、当り表示器48は、「b1~b3」の3個のLED(図4を参照)の点灯態様によって、「イレギュラーな事象が発生した大当り遊技」や「イレギュラーな事象が発生しなかった大当り遊技」の実行契機が、第1特別図柄当否判定と第2特別図柄当否判定の何れであるのかを報知すること(判定報知)が可能とされている。この判定報知を行うべく、当り表示器48を構成する3個のLEDの点灯パターンデータをセットするのである。このセットした点灯パターンデータが出力処理(S201)により出力されると、その点灯パターンデータにしたがって、当り表示器48を構成する3個のLEDが点灯する。
イレギュラー点灯パターンデータは、イレギュラーV通過又はイレギュラーV非通過が発生した場合に対応する点灯パターンデータであり、ノーマル点灯パターンデータは、イレギュラーV通過及びイレギュラーV非通過の何れも発生しなかった場合(正常に大当り遊技が終了した場合)に対応する点灯パターンデータである。判定報知を行うにあたっての当り表示器48(3個のLED)の点灯態様および判定報知実行期間は前述のとおりである。
S2214又はS2215で当り表示器48の点灯パターンデータをセットしたら、判定種別フラグ及びイレギュラーフラグをOFFにして(S2216)、本処理を終える。
以上のS2212~S2215の処理を実行する主制御部80(遊技制御用マイコン81)は「判定報知実行手段」として機能するものである。
[特定領域センサ検知処理]
図11に示すように遊技制御用マイコン81は、特図動作処理(S206)に次いで特定領域センサ検知処理(S207)を行う。図37に示すように、特定領域センサ検知処理(S207)ではまず、特定領域39への遊技球の通過(V通過)があったことを示すVフラグがOFFであるか否かを判定する(S2400)。その結果、VフラグがOFFでない、すなわちONであると判定した場合(S2400でNO)、S2401以降の処理を行うことなく本処理を終える。VフラグがONである場合、すでにV通過が発生して後述のS2404の処理を実行済だからである。
一方、S2400にてVフラグがOFFであると判定した場合(S2400でNO)、特定領域センサ39aによる遊技球の検知があったか否かを判定する(S2401)。その結果、特定領域センサ39aによる検知があったと判定した場合(S2401でYES)、その検知時が特定領域有効期間中(V有効期間中)であるか否かを判定する(S2402)。
S2402にて特定領域有効期間中でない(V無効期間である)と判定した場合(S2402でNO)、VフラグをONにすることなく、無効期間通過コマンドをRAMの出力バッファにセットし(S2403)、本処理を終える。すなわち、特定領域有効期間以外の期間(V無効期間)に遊技球が特定領域39を通過した場合(特定領域センサ39aにより検知された場合)、当該通過は特定領域異常通過(特定領域エラー)であり、そのことを示す無効期間通過コマンドがセットされる。この無効期間通過コマンドが出力処理(S201)により副制御基板90に送信されると、演出制御用マイコン91は、受信した無効期間通過コマンドに基づいて、画像表示装置7(表示画面7a)や枠ランプ66、盤面ランプ5、スピーカ67等を用いて所定のエラー報知を行う。
一方、S2402にて特定領域有効期間中であると判定した場合(S2402でYES)、VフラグをONにする(S2404)。つまり、Vラウンド(7ラウンド目)で第2大入賞口35に入球した遊技球が特定領域有効期間中に特定領域39を通過すると(特定領域センサ39aにより検知されると)、これを契機にVフラグがONとなる。
次いでS2405では、今回のV通過(VフラグON)の契機となった大当りがV通過予定大当りであるか否かを判定する(S2405)。そして、V通過予定大当りであると判定した場合(S2405でYES)、特定領域通過コマンドをRAMの出力バッファにセットするとともに(S2406)、ノーマルV通過指定コマンドをRAMの出力バッファにセットして(S2407)、本処理を終える。
なお、遊技制御用マイコン81は、ノーマルV通過指定コマンドをセットする場合、すなわち、ノーマルV通過が発生した場合、外部情報としてノーマルV通過信号を情報出力回路(図示せず)から出力する。
S2406でセットされた特定領域通過コマンドが出力処理(S201)により副制御基板90に送信されると、演出制御用マイコン91は、受信した特定領域通過コマンドに基づいて、画像表示装置7(表示画面7a)やスピーカ67等を用いてV通過発生を報知する演出(「V通過報知演出」ともいう。)を実行する。特定領域通過コマンドのセット(送信)は、Vラウンド中(特定領域有効期間中)の1個目の特定領域通過(最初のV通過)に基づいて実行されるものであり、2個目以降のV通過については実行されない。
また、S2407でセットされたノーマルV通過指定コマンドが出力処理(S201)により副制御基板90に送信されると、演出制御用マイコン91は、受信したノーマルV通過指定コマンドに基づいて、今回のV通過が正常なV通過(ノーマルV通過)であることを特定し、ノーマルV通過が発生したことを大当り履歴情報として、副制御基板90のRAMの所定領域に記憶する。つまり、ノーマルV通過指定コマンドは、V通過予定大当りに係る大当り遊技のVラウンドでV通過が発生したこと(Vラウンドが正常に消化されたこと)を、副制御部側で特定可能とするコマンドである。なお、大当り履歴情報が記憶されるRAMの所定領域のことを「履歴情報記憶領域」ともいう。
ここで、大当り履歴情報は、過去に実行された大当り遊技に関する情報であり、大当り種別に関する情報(「大当り種別情報」ともいう。)やV通過に関する情報(「V通過情報」ともいう。)等を含ものである。詳細は後述するが、副制御部90(演出制御用マイコン91)は、直近に実行された所定回数分(例えば直近10回分)の大当り遊技に関する情報を大当り履歴情報として記憶し、その大当り履歴情報に基づいて、実行済の大当り遊技に関する情報の報知を行うことが可能とされている。
これに対しS2405で、今回のV通過(VフラグON)の契機となった大当りがV通過予定大当りでないと判定した場合(S2405でNO)、すなわち、今回のV通過(VフラグON)の契機となった大当りがV非通過予定大当りである場合、イレギュラーV通過指定コマンドをRAMの出力バッファにセットするとともに(S2408)、イレギュラーV通過フラグをONにして(S2409)、本処理を終える。
なお、遊技制御用マイコン81は、イレギュラーV通過指定コマンドをセットする場合、すなわち、イレギュラーV通過が発生した場合、外部情報としてイレギュラーV通過信号を情報出力回路(図示せず)から出力する。
S2408でセットされたイレギュラーV通過指定コマンドが出力処理(S201)により副制御基板90に送信されると、演出制御用マイコン91は、受信したイレギュラーV通過指定コマンドに基づいて、今回のV通過が正常でないV通過(イレギュラーV通過)であることを特定し、イレギュラーV通過が発生したことを大当り履歴情報として、副制御基板90のRAMの所定領域(履歴情報記憶領域)に記憶する。つまり、イレギュラーV通過指定コマンドは、V非通過予定大当りに係る大当り遊技のVラウンドで、通常であれば発生しない筈のV通過が発生したこと(イレギュラーV通過の発生)を、副制御部側で特定可能とするコマンドである。
なお、V通過予定大当りに係る大当り遊技のVラウンドでV通過した場合、当該V通過に基づいて特定領域通過コマンドが送信されるところ(S2046)、V非通過予定大当りに係る大当り遊技のVラウンドでV通過(イレギュラーV通過)が発生した場合、当該V通過に基づいて特定領域通過コマンドが送信されることはない。このため、イレギュラーV通過についてはV通過報知演出が実行されない(イレギュラーV通過に基づくV通過報知演出は実行不能である)。これにより、イレギュラーV通過の発生が演出されることはない。
以上まではVラウンドでのV有効期間中にV通過(イレギュラー含む)が発生した場合の処理である。これに対し、S2401にて特定領域センサがONでない(OFFである)と判定した場合(S2401でNO)、すなわち、V通過が発生していない場合、Vラウンドが終了したか否かを判定し(S2410)、終了していないと判定した場合(S2410でNO)、S2411以降の処理を行うことなく本処理を終える。
一方、Vラウンドが終了したと判定した場合(S2410でYES)、そのVラウンドがV通過予定大当りによるものであるか否かを判定する(S2411)。そして、V通過予定大当りによるものでないと判定した場合(S2411でNO)、すなわち、終了したVラウンドがV非通過予定大当りによるものである場合、ノーマルV非通過指定コマンドをRAMの出力バッファにセットして(S2412)、本処理を終える。ここで、ノーマルV非通過とは、V非通過予定大当りに係る大当り遊技のVラウンドで遊技球が特定領域39を通過しなかったこと、すなわち、大当りの仕様(設計)どおりにV通過が発生しなかったことを意味する。
なお、遊技制御用マイコン81は、ノーマルV非通過指定コマンドをセットする場合、すなわち、ノーマルV非通過が発生した場合、外部情報としてノーマルV非通過信号を情報出力回路(図示せず)から出力する。
S2412でセットされたノーマルV非通過指定コマンドが出力処理(S201)により副制御基板90に送信されると、演出制御用マイコン91は、受信したノーマルV非通過指定コマンドに基づいて、今回のV非通過が正常なV非通過(ノーマルV非通過)であることを特定し、ノーマルV非通過が発生したことを大当り履歴情報として、副制御基板90のRAMの所定領域(履歴情報記憶領域)に記憶する。つまり、ノーマルV非通過指定コマンドは、V非通過予定大当りに係る大当り遊技のVラウンドでV通過が発生しなかった(Vラウンドが正常に消化された)ことを、副制御部側で特定可能とするコマンドである。
これに対しS2411で、終了したVラウンドがV通過予定大当りによるものであると判定した場合(S2411でYES)、イレギュラーV非通過指定コマンドをRAMの出力バッファにセットするとともに(S2413)、イレギュラーV非通過フラグをONにして(S2414)、本処理を終える。
なお、遊技制御用マイコン81は、イレギュラーV非通過指定コマンドをセットする場合、すなわち、イレギュラーV非通過が発生した場合、外部情報としてイレギュラーV非通過信号を情報出力回路(図示せず)から出力する。
S2413でセットされたイレギュラーV非通過指定コマンドが出力処理(S201)により副制御基板90に送信されると、演出制御用マイコン91は、受信したイレギュラーV非通過指定コマンドに基づいて、今回のV非通過が正常でないV非通過(イレギュラーV非通過)であることを特定し、イレギュラーV非通過が発生したことを大当り履歴情報として、副制御基板90のRAMの所定領域(履歴情報記憶領域)に記憶する。つまり、イレギュラーV非通過指定コマンドは、V通過予定大当りに係る大当り遊技のVラウンドで、通常であれば発生する筈のV通過が発生しなかった(イレギュラーV非通過が発生した)ことを、副制御部側で特定可能とするコマンドである。
ここで、イレギュラーV通過のことを「第1通過状況」ともいい、ノーマルV通過のことを「第2通過状況」ともいい、イレギュラーV非通過のことを「第3通過状況」ともいい、ノーマルV非通過のことを「第4通過状況」ともいう。また、イレギュラーV通過指定コマンドのことを「第1通過状況指定コマンド」ともいい、ノーマルV通過指定コマンドのことを「第2通過状況指定コマンド」ともいい、イレギュラーV非通過指定コマンドのことを「第3通過状況指定コマンド」ともいい、ノーマルV非通過指定コマンドのことを「第4通過状況指定コマンド」ともいい、これらV通過・非通過に係る4種類の指定コマンドのことを総じて「通過状況指定コマンド」ともいう。
[始動入球時処理]
図11に示すように遊技制御用マイコン81は、特定領域センサ検知処理(S207)に次いで始動入球時処理(S209)を行う。図38に示すように、始動入球時処理(S209)ではまず、主制御基板80のRAMに記憶されている特図1保留球数、特図2保留球数及び普通図柄保留球数を読み出す(S2501)。次いで、特図2保留球数が「1」増加したか否かを判定する(S2502)。その結果、特図2保留球数が増加していないと判定した場合(S2502でNO)、S2506の処理に移行する。一方、特図2保留球数が「1」増加したと判定した場合(S2502でYES)、S2503の処理に移行する。これは、第2始動口に遊技球が入球したことに基づいて、始動口センサ検知処理(S204)におけるS307で特図2保留球数に「1」を加算した場合が該当する。
S2503では、直前の始動口センサ検知処理(S204)における特図2関係乱数取得処理(S308)で取得して第2特図保留記憶部に記憶した最新の取得乱数値(取得情報)を読み出す(S2503)。次いでS2504では、読み出した第2特別図柄に係る取得乱数値を判定する(S2504)。具体的に、始動口への入球時に取得した特別図柄当否判定用乱数カウンタの値(特別図柄当否判定用乱数値)が、現在の遊技状態(低確率状態か、高確率状態か)に応じて、大当りか、外れかを判定する。また、判定結果(事前判定結果)が大当りである場合には、大当りの種別を判定する。これは、特図2保留についての当否判定(大当りか否かの判定)を、特図2当否判定処理(S1202)における当否判定(S1303、S1304)に先立って行う事前判定(所謂「保留先読み」)に相当するものである。
なお、事前判定は、大当り判定テーブル(図8(A)を参照)、すなわち、高確率状態であれば高確率状態用の大当り判定テーブル、通常状態(低確率状態)であれば通常状態用の大当り判定テーブル、に基づいて、大当り判定値と一致するか否かを判定することが可能である。また、他の事前判定態様として、変動パターン情報を判定可能な変動パターン情報判定テーブルとして、通常状態用(低確率状態用)の変動パターン情報判定テーブルと、高確率状態用(高確率状態用)の変動パターン情報判定テーブルと、を有するものとする。そして、事前判定においては、取得乱数値(特別図柄当否判定用乱数カウンタの値等)と、遊技状態に応じた変動パターン情報判定テーブルと、に基づいて、所定の変動パターン情報を選択するものとすることが可能である。そして、この選択した変動パターン情報から、大当りかどうかや、大当り種別や、大当り信頼度の高い遊技演出が実行されるかどうか等を識別可能とすることができる。
次いでS2505では、S2501で読み出した第2特別図柄に係る保留球数データと、S2504で事前判定した情報(事前判定情報)と、を少なくとも含む遊技情報を、特図2始動入球コマンドとして生成し、RAMの出力バッファにセットする(S2505)。なお、特図2始動入球コマンドとして、S2503で読み出した特図2取得乱数の値の一部又は全部を、そのまま副制御基板に送信するようにしてもよいし、特図2取得乱数の値はそのまま送信せず、特図2取得乱数の値に基づいて取得した遊技情報(例えば、前述の変動パターン情報等)を送信するようにしてもよい。
また、主制御部80から送信した特図2始動入球コマンドを副制御部90で解析することで、大当りに係る情報であるかどうか、第2特別図柄の保留球数はいくつか、大当り種別は何れか等を、副制御部90が識別できるものとされている。また、本実施例では、これに加えて、特図2始動入球コマンドを解析することで、取得した特図2取得乱数が高確率状態で判定した場合に大当りとなるかどうか、及び低確率状態で判定した場合に大当りとなるかどうか、を特定可能とされている。これにより、副制御部90は、受信した特図2始動入球コマンドを保留(演出保留情報)として記憶し、特定のタイミングで当該演出保留情報を事前判定し、低確率状態で当否判定した場合に大当りと判定される演出保留情報が記憶されているかどうかを判定することが可能となる。
なお、不正防止の観点から、S2503で読み出した取得乱数値のうち特別図柄当否判定用乱数値を、そのまま副制御部に送信することはせず、その他の大当り種別決定用乱数カウンタの値(大当り種別決定用乱数値)と変動パターン乱数カウンタの値(変動パターン乱数値)を示す情報と、事前判定の結果を示す情報とを含むコマンドデータを特図2始動入球コマンドとして生成し、セットすることが可能である。
次いでS2506では、前述の特図2に係る処理と同様に、特図1保留球数が「1」増加したか否かを判定する(S2506)。その結果、特図1保留球数が増加していないと判定した場合(S2506でNO)、そのまま処理を終える。一方、特図1保留球数が「1」増加したと判定した場合(S2506でYES)、S2507の処理に移行する。これは、第1始動口20に遊技球が入球したことに基づいて、始動口センサ検知処理(S204)におけるS311で特図1保留球数に「1」を加算した場合が該当する。
S2507では、時短フラグがONであるか否かを判定し(S2507)、時短フラグがONである、すなわち高ベース状態であると判定した場合(S2507でYES)、そのまま処理を終える。一方、S2507で、時短フラグがOFFである、すなわち低ベース状態であると判定した場合(S2507でNO)、S2508以降の事前判定に係る処理に進む。ここで、時短フラグがONである場合、すなわち現在の遊技状態が高ベース状態である場合、第2始動口21への入球頻度が高まる開放延長機能が作動しており、特図2の当否判定(図8(B)を参照)が行われやすい状態となっている。また、本実施例では、後述するように特図2保留の消化(第2特別図柄の変動表示)を特図1保留の消化(第1特別図柄の変動表示)に優先して実行するもの(所謂特図2優先変動機)としている。このような構成において、例えば特図1の事前判定を行い、その結果を予告等の演出により遊技者に報知し、その事前判定の結果が大当りであることが明示された場合、遊技者は、特図2保留消化の優先を利用して、任意のタイミングで特図2保留を意図的に無くして(「0」にして)、事前判定の結果が示された特図1に係る大当りを意図的に発生させるといった技術介入が可能となる。このような大当りの発生タイミングを遊技者が調整できることは、遊技の公平性の観点から好ましくない。このため、現在の遊技状態が低ベース状態でなく高ベース状態である場合(S2507でYES)、S2508以降の特図1の事前判定に係る処理を行わず、本処理を終えることとしている。
S2508~S2510の処理は、前述したS2503~S2505と同様の処理を特図1について行うものである。すなわち、始動口センサ検知処理(S204)における特図1関係乱数取得処理(S312)で取得して第1特図保留記憶部に記憶した最新の取得乱数値(取得情報)を読み出し(S2508)、読み出した取得乱数値について事前判定を行い(S2509)、S2501で読み出した第1特別図柄に係る保留球数データと、S2509で事前判定した情報(事前判定情報)と、を少なくとも含む遊技情報を、特図1始動入球コマンドとして生成し、RAMの出力バッファにセットする(S2510)。なお、S2509の事前判定(保留先読み)は、後述の特図1当否判定処理(S1207)における当否判定(S1603、S1604)に先立って行うものである。
[電源断監視処理]
図11に示すように遊技制御用マイコン81は、始動入球時処理(S209)に次いで電源断監視処理(S210)を行う。図39に示すように、電源断監視処理(S210)ではまず、電源断信号の入力の有無を判定する(S2601)。そして、電源断信号の入力がなければ(S2601でNO)、処理を終了する。一方、電源断信号の入力があれば(S2601でYES)、現在の遊技機の状態(確変かどうか、大当り遊技中かどうか、保留球数はいくつか、確変・時短の残り変動回数はいくつか等)に関するデータをRAMに記憶(バックアップ)するとともに(S2602)、電源断フラグをONにする(S2603)。その後は割り込み処理(S105)に戻ることなくループ処理を行う。S2602では、現在の遊技機の状態に関するデータの他にも、バックアップの対象として予め定めた任意のデータを記憶(バックアップ)することが可能である。
[サブ制御メイン処理]
次に、図40~図47に基づいて演出制御用マイコン91の処理内容(副制御部90による制御処理)について説明する。なお、演出制御用マイコン91の処理内容の説明にて登場するカウンタ、フラグ、ステータス、バッファ等は、副制御基板90(副制御部)のRAMに設けられている。
副制御基板90に備えられた演出制御用マイコン91は、パチンコ遊技機1の電源がオンされると(電源基板109による電力の供給が開始されると)、図40に示すサブ制御メイン処理のプログラムを副制御基板90のROMから読み出して実行する。同図に示すように、サブ制御メイン処理では、まずCPU初期化処理を行う(S4001)。CPU初期化処理(S4001)では、スタックの設定、定数設定、CPUの設定、SIO、PIO、CTC(割り込み時間用コントローラ)等の設定や各種のフラグ、ステータス及びカウンタのリセット等を行う。
次いでS4002では、電源断信号がONでかつ副制御基板90のRAMの内容が正常であるか否かを判定する(S4002)。電源断信号は、本パチンコ遊技機1の電源を投入すると、電源基板109から副制御基板90に出力される。そして、S4002の判定結果がNOであれば(S4002でNO)、副制御基板90のRAMの初期化をし(S4003)、S4004の処理に移行する。一方、S4002の判定結果がYESであれば(S4002でYES)、副制御基板90のRAMを初期化することなくS4004の処理に移行する。すなわち、電源断信号がONでない場合又は電源断信号がONであってもRAMの内容が正常でない場合には(S4002でNO)、副制御基板90のRAMを初期化するが、電源断信号がONであってRAMの内容が正常に保たれている場合には(S4002でYES)、RAMを初期化しない。RAMを初期化すれば、各種のフラグ、ステータス及びカウンタの値はリセットされる。なお、このS4001~S4003は、電源投入後に(電源投入に際して)一度だけ実行され、それ以降は実行されない。このことから、S4001~S4003の処理のことを「電源投入時処理」ともいう。
ここで、演出制御用マイコン91は、電源投入時処理(S4001~S4003)を実行する場合、その電源投入時処理が終了するまでの間、電源投入時処理の実行中である旨の報知(電源投入時報知)を実行する。具体的には、電源投入時処理の実行中である旨を示すメッセージを画像表示装置7の表示画面7aに表示するとともに、その旨を示す報知音をスピーカ67から出力する。
前述したように、電源投入に際しては、少なくともCPU初期化処理(S4001)が実行され、S4002の判定が否定判定の場合(S4002でNO)にはRAMの初期化(S4003)も実行されるが、CPU初期化処理(S4001)を実行してRAMの初期化(S4003)を実行しない場合には「電源復旧中」のメッセージを表示し、CPU初期化処理(S4001)とRAMの初期化(S4003)の両方を実行する場合には「ラムクリア中」のメッセージを表示する。これらメッセージの表示は、副制御基板90から画像制御基板100に向けてコマンド(電源投入時コマンド)を送信し、当該コマンドを受信した画像制御基板100のCPU(画像制御用マイコン101)の処理によって実行される。「電源復旧中」と「ラムクリア中」の何れのメッセージを表示するかは、副制御基板90から画像制御基板100へ送信されるコマンドの内容(種類)によって定まる。また、本実施例では電源投入時処理の報知音を1種類としており、音声制御基板106を介してスピーカ67から出力される。
S4004では、割り込みを禁止する。次いで、乱数シード更新処理を実行する(S4005)。乱数シード更新処理(S4005)では、種々の演出決定用乱数カウンタの値を更新する。更新された乱数カウンタ値は副制御基板90のRAMの所定の更新値記憶領域(図示せず)に逐次記憶される。なお、演出決定用乱数には、予告演出を決定する予告演出決定用乱数や、演出図柄を決定する演出図柄決定用乱数がある。乱数の更新方法は、前述の主制御基板80が行う乱数更新処理と同様の方法をとることができる。更新に際して乱数値を1ずつ加算するのではなく、2ずつ加算するなどしてもよい。演出決定用乱数は、予め定められたタイミングで取得される。このタイミングとしては、例えば主制御基板80から始動入球があった旨を通知する制御信号(始動入球コマンド)が送信されてきたときや、主制御基板80から変動開始を通知する制御信号(変動開始コマンド)が送信されてきたときや、後述の変動演出パターンを決定するとき等とすることができる。取得した演出決定用乱数の格納場所は、副制御基板90のRAMの所定の乱数カウンタ値記憶領域(図示せず)である。
乱数シード更新処理(S4005)に次いで、コマンド送信処理を実行する(S4006)。コマンド送信処理では、副制御基板90のRAMの出力バッファに格納されている各種のコマンド(制御信号)を、画像制御基板100、音声制御基板106、及びランプ制御基板107に送信する。コマンドを受信した各制御基板(各制御部)は、受信したコマンドに従って各種の演出装置(画像表示装置7、スピーカ67、盤面ランプ5、枠ランプ66及び可動装飾部材14等)を用いて各種の演出(演出図柄遊技演出や、大当り遊技に係る特別遊技演出等)を実行する。
コマンド送信処理(S4006)に次いで、割り込みを許可する(S4007)。以降、S4004~S4007をループさせる。割り込み許可中においては、受信割り込み処理(S4008)、2msタイマ割り込み処理(S4009)、及び10msタイマ割り込み処理(S4010)の実行が可能となる。これらの制御処理を実行することで、画像表示装置7の表示画面7a(演出図柄表示領域7b)上で実行される演出図柄等の表示制御や、各種ランプの点灯制御や、可動装飾部材の作動制御や、スピーカからの音声出力制御等を行うことが可能となる。
[受信割り込み処理]
図41に示すように、受信割り込み処理(S4008)ではまず、ストローブ信号(STB信号)がONであるか否か、すなわち、主制御基板80から送られたストローブ信号が演出制御用マイコン91の外部INT入力部に入力されたか否かを判定する(S4101)。そして、ストローブ信号がONでないと判定した場合(S4101でNO)、そのまま処理を終える。
一方、S4101でストローブ信号がONであると判定した場合(S4101でYES)、主制御基板80から送信されてきた各種のコマンドを副制御基板90のRAMに格納し(S4102)、処理を終える。この受信割り込み処理(S4008)は、他の割り込み処理(S4009、S4010)に優先して実行される処理である。
[2msタイマ割り込み処理]
2msタイマ割り込み処理(S4009)は、副制御基板90に2msec周期の割り込みパルスが入力する度に実行する処理である。図42に示すように、2msタイマ割り込み処理(S4009)ではまず、演出ボタン検知スイッチ63c、63dからの検知信号に基づいてスイッチデータ(エッジデータ及びレベルデータ)を作成する入力処理を行う(S4201)。
次いでS4202では、盤面ランプ5や枠ランプ66等の装飾用のランプ類(LED等)を駆動するためのランプデータを出力するランプデータ出力処理を行う(S4202)。ランプデータは後述の10msタイマ割り込み処理で作成される。
次いでS4203では、可動装飾部材14やスピーカ67を駆動するための駆動データを出力する駆動データ出力処理を行う(S4203)。この駆動データも、後述の10msタイマ割り込み処理で作成される。そして、ウォッチドッグタイマのリセット処理を行うウォッチドッグタイマ処理を行い(S4204)、本処理を終える。
[10msタイマ割り込み処理]
10msタイマ割り込み処理(S4010)は、副制御基板90に10msec周期の割り込みパルスが入力する度に実行する処理である。図43に示すように、10msタイマ割り込み処理(S4010)ではまず、後述する受信コマンド解析処理(S4302)を行う。
次いで、2msタイマ割り込み処理で作成したスイッチデータを10msタイマ割り込み処理用のスイッチデータとして副制御基板90のRAMに格納するスイッチ状態取得処理を行い(S4303)、当該スイッチ状態取得処理により格納したスイッチデータに基づいて表示画面7aの表示内容等を設定するスイッチ処理を行う(S4304)。
次いで、後述する大当り履歴情報処理(S4305)を行う。その後、その他の処理を行い(S4306)、本処理を終える。その他の処理(S4306)には、ランプデータ(盤面ランプ5や枠ランプ66等の発光を制御するデータ)を作成したり、駆動データ(可動装飾部材14やスピーカ67等の作動を制御するデータ)を作成したり、演出決定用乱数を更新したりする等の各種処理が含まれる。
[受信コマンド解析処理]
図44に示すように、受信コマンド解析処理(S4302)ではまず、主制御基板80から始動入球コマンドを受信したか否かを判定し(S4395)、始動入球コマンドを受信していないと判定した場合(S4395でNO)、S4401の処理に移行し、始動入球コマンドを受信したと判定した場合(S4395でYES)、演出保留情報記憶処理(S4400)を行って、S4401の処理に移行する。
演出保留情報記憶処理(S4400)は、S4395で受信した始動入球コマンド(特図1始動入球コマンド又は特図2始動入球コマンド)に含まれる各種情報(事前判定結果、大当り種別決定用乱数値、変動パターン乱数値等の遊技情報)を、特別図柄の種類(第1特別図柄、第2特別図柄)及び始動入球コマンドの送受信時(コマンド生成時)の特図保留球数に応じて、シフトメモリ形式で副制御基板90のRAMの所定の演出保留情報記憶領域に記憶する。
例えば、受信した始動入球コマンドが特図1の保留球数「4」に対応する特図1始動入球コマンドである場合、その特図1始動入球コマンドに含まれる事前判定結果や当り種別等の情報を、特図1演出保留情報記憶領域のうち保留数4に対応する領域に、特図1演出保留情報として記憶する。こうして記憶される演出保留情報は、後述する変動演出や予告演出、演出モード等の各種演出の実行に用いられる。副制御基板90における演出保留情報記憶領域の記憶内容(演出保留情報)は、前述の主制御基板(主制御部)80における特図保留記憶部(第1特図保留記憶部、第2特図保留記憶部)の記憶内容(取得情報)と一致するものである。このことから、副制御基板90の演出保留情報記憶領域も「取得情報記憶手段」といえる。
S4401では、主制御基板80から変動開始コマンドを受信したか否かを判定し(S4401)、変動開始コマンドを受信したと判定した場合(S4401でYES)、後述する変動演出開始処理(S4402)を行って、S4406の処理に移行し、変動開始コマンドを受信していないと判定した場合(S4401でNO)、変動演出開始処理を行うことなく、S4406の処理に移行する。
S4406では、主制御基板80から変動停止コマンドを受信したか否かを判定し(S4406)、変動停止コマンドを受信したと判定した場合(S4406でYES)、演出図柄を停止表示して変動演出(演出図柄遊技演出)を終了させる変動演出終了処理を行う(S4407)。
変動演出終了処理(S4407)では、演出図柄8を停止表示して変動演出を終了させるための変動演出終了コマンドを副制御基板90のRAMの出力バッファにセットする。セットした変動演出終了コマンドがコマンド送信処理(S4006)により画像制御基板100に送信されると、画像制御用マイコン101は、画像表示装置7の表示画面7a上で変動表示していた演出図柄8を停止表示して、変動演出を終了させる。
一方、S4406にて、変動停止コマンドを受信していないと判定した場合(S4406でNO)、変動演出終了処理を行うことなく、S4408の処理に移行する。なお、変動演出には、特別図柄の変動表示に合わせて行われる種々の演出が含まれる。
次いでS4408では、主制御基板80からオープニングコマンドを受信したか否かを判定し(S4408)、オープニングコマンドを受信したと判定した場合(S4408でYES)、特別遊技(大当り遊技)の際に実行する特別遊技演出のパターン(演出態様)を選択する特別遊技演出選択処理を行う(S4409)。特別遊技演出には、少なくとも、特別遊技開始に伴う大入賞口開放前(1ラウンド目開始前)のオープニング期間中に実行するオープニング演出と、特別遊技中(大当り遊技中)のラウンド遊技(大入賞口入球遊技)の進行に合わせて実行するラウンド演出(大当り遊技演出)と、が含まれる。
本実施例では、大当りの種別に応じたオープニングコマンドが主制御基板80から送信されるものとなっており、そのオープニングコマンドによって、今回開始される大当りの種別に応じたオープニング期間の長さ(オープニング時間)やオープニング演出、ラウンド演出等が特定される。
特別遊技演出選択処理(S4409)では、選択した特別遊技演出(オープニング演出、ラウンド演出等)の演出パターンや、受信したオープニングコマンドに基づく情報(オープニングコマンドの種類、オープニング時間、開始タイミングにある大当り遊技に係る大当り種別等)を特定可能な特別遊技開始時コマンドを副制御基板90のRAMの出力バッファにセットする。このセットした特別遊技開始時コマンドがコマンド送信処理(S4006)により画像制御基板100に送信されると、画像制御用マイコン101は、大当り遊技の進行状況に合わせて特別遊技演出を画像表示装置7の表示画面7a上で実行する。
例えば、今回開始される大当りの種別が7R第1大当りの場合には、V通過予定大当りに係る大当り遊技、すなわち、高確率状態を発生させることが前提の大当り遊技の開始を示すオープニング演出を画像表示装置7の表示画面7a上で行う。この場合のオープニング演出は、賞球獲得とともに高確高ベース状態への移行を前提とする大当り遊技の開始を印象付ける演出とされ、例えば、画像表示装置7の表示画面7a上に「超大当り」や「V大当り」等の文字画像を表示したりこれに対応する演出音を出力したりする。そして、オープニング演出に続いて、7R大当りに対応するラウンド演出が、ラウンドの進行に合わせて(後述するS4418でのラウンド開始コマンド受信に基づいて)画像表示装置7の表示画面7a上で展開される。
また、今回開始される大当りの種別が7R第2大当りの場合には、「V非通過予定大当り」に係る大当り遊技、すなわち、高確率状態を発生させないことが前提の大当り遊技の開始を示すオープニング演出を画像表示装置7の表示画面7a上で行う。この場合のオープニング演出は、賞球獲得とともに時短状態(高ベース状態)への移行を前提とする大当り遊技の開始を印象付ける演出とされ、例えば、画像表示装置7の表示画面7a上に「大当り」や「チャンス大当り」等の文字画像を表示したりこれに対応する演出音を出力したりする。そして、オープニング演出に続いて、7R大当りに対応するラウンド演出が、ラウンドの進行に合わせて(後述するS4418でのラウンド開始コマンド受信に基づいて)画像表示装置7の表示画面7a上で展開される。この他、15R大当りについても同様にして、15R大当りに対応するオープニング演出が実行可能となっている。
次いでS4410では、主制御基板80からエンディングコマンドを受信したか否かを判定する(S4410)。そして、エンディングコマンドを受信したと判定した場合(S4410でYES)、特別遊技終了時演出(エンディング演出)の実行パターンや特別遊技終了後の演出モードの種類等を選択するエンディング演出選択処理を行い(S4411)、S4412の処理(図45)に進む。
本実施例では、大当りの種別と、大当り遊技中(7ラウンド目)における特定領域39への遊技球の通過有無とに応じたエンディングコマンドが主制御基板80から送信されるものとなっており、そのエンディングコマンドによってエンディング期間の長さ(エンディング時間)が特定される。そして、エンディング演出選択処理(S4411)では、選択したエンディング演出の演出パターンや、受信したエンディングコマンドに基づく情報(エンディングコマンドの種類、エンディング時間、終了した大当り遊技に係る大当りの種別、大当り遊技後の演出モード等)を特定可能な特別遊技終了時コマンドを副制御基板90のRAMの出力バッファにセットする。このセットした特別遊技終了時コマンドがコマンド送信処理(S4006)により画像制御基板100に送信されると、画像制御用マイコン101は、大当り遊技の終了に係る演出を画像表示装置7の表示画面7a上で実行する。
一方、S4408にてオープニングコマンドを受信していないと判定した場合(S4408でNO)、S4409の処理を行うことなくS4410の処理に移行し、S4410でエンディングコマンドを受信していないと判定した場合(S4410でNO)、S4411の処理を行うことなくS4412の処理に移行する。
S4412では、主制御基板80から特定領域通過コマンドを受信したか否かを判定する(S4412)。そして、特定領域通過コマンドを受信していなければ(S4412でNO)、S4418の処理に移行し、受信していれば(S4412でYES)、V通過報知コマンドを副制御基板90のRAMの出力バッファにセットする(S4415)。
S4415でセットしたV通過報知コマンドがコマンド送信処理(S4006)により画像制御基板100に送信されると、画像制御用マイコン101は、V通過(ノーマルV通過)が発生したことを報知するための画像データを画像制御基板100のROMから読み出して、該読み出した画像データによるV通過報知演出を画像表示装置7の表示画面7a上で実行する。V通過報知演出としては、例えば「V」の文字画像を表示画面7aの略中央に大きく表示したり、V通過を表す効果音を出力したりすることが挙げられる。V通過報知演出のことを「通過演出」ともいい、V通過報知演出の実行に係る制御を行う副制御部90(演出制御マイコン91)及び画像制御部100のことを「通過演出実行手段」ともいう。
なお、本実施例では、V通過予定大当りに係る大当り遊技のVラウンドでV通過が発生した場合、すなわち、ノーマルV通過が発生した場合に限り、V通過報知演出が実行される。つまり、V非通過予定大当りに係る大当り遊技のVラウンドでV通過が発生した場合、すなわち、イレギュラーV通過が発生した場合には、V通過報知演出が実行されない(実行不能である)。V通過予定大当りに係る大当り遊技のVラウンドでV通過(ノーマルV通過)が発生した場合に限り、主制御基板80から副制御基板90へ特定領域通過コマンドが送信されるからである(S2406を参照)。
ここで、V通過報知演出の実行中に、停電等の不測の事態が発生したり本パチンコ遊技機1(電源基板109)の電源スイッチをOFFにしたりすることで、電源基板109から各種の基板類や装置・機器類等(図5を参照)への電力の供給が停止して、その後に電源スイッチをONにして電源を投入したとする。この場合、電源投入に際しては、前述のように電源投入時処理(S4001~S4003)が実行され、その間、電源投入時報知(メッセージ表示、報知音出力)が実行されるが(電源投入時報知手段)、このとき、電源断発生前に実行中であったV通過報知演出は実行されないものとなっている。これは、本実施例では、V通過報知演出を電源断発生に伴うバックアップの対象としておらず、V通過報知演出の実行中に電源断が発生して電源基板109による電力の供給が停止した場合には、その時点でV通過報知演出の実行に係るデータはクリアされるからである。
次いでS4418では、主制御基板80からラウンド開始コマンドを受信したか否かを判定する(S4418)。ラウンド開始コマンドを受信していないと判定した場合(S4418でNO)、S4419の処理を行うことなくS4420の処理に移行し、ラウンド開始コマンドを受信したと判定した場合(S4418でYES)、受信したラウンド開始コマンドに対応するラウンド指定コマンドを副制御基板90のRAMの出力バッファにセットし(S4419)、S4420の処理に移行する。
主制御基板80から送信されるラウンド開始コマンドには、開始するラウンド(開始ラウンド)が何ラウンド目なのかを特定することが可能な情報が含まれており、副制御基板90の演出制御用マイコン91は、受信したラウンド開始コマンドに基づいて開始ラウンドのラウンド数を特定し、当該ラウンド数を示すラウンド指定コマンドを出力バッファにセットする。ラウンド指定コマンドがコマンド送信処理(S4006)により画像制御基板100に送信されると、画像制御用マイコン101は、ラウンド指定コマンドに基づき特定されるラウンド数に応じて、実行中の大当り遊技に即したラウンド演出を画像表示装置7の表示画面7a上で実行する。
S4420では、その他の演出制御に係る処理を行い、本処理を終える。S4420で行うその他の処理には、前述のコマンド以外の受信コマンド(例えば、普通図柄変動開始コマンドや普通図柄変動停止コマンド等)に基づく処理が含まれる。具体的には、例えば、主制御基板80から無効期間通過コマンド(S2403を参照)を受信したか否かを判定し、無効期間通過コマンドを受信した場合、特定領域エラー報知処理を行う。
特定領域エラー報知処理としては、まず、特定領域異常通過(特定領域エラー)が発生した旨の表示の実行を指定する特定領域異常通過報知コマンドを、副制御基板90のRAMの出力バッファにセットする。このセットした特定領域異常通過報知コマンドがコマンド送信処理(S4006)により画像制御基板100に送信されると、画像制御用マイコン101は、特定領域異常通過(特定領域エラー)が発生したことを報知するための画像データを画像制御基板100のROMから読み出して、該読み出した画像データによる特定領域異常通過報知(「特定領域エラー報知」ともいう。)を画像表示装置7の表示画面7a上で実行する。特定領域エラー報知は、例えば、「エラー/V領域異常通過」のメッセージ(文字画像)を画像表示装置7の表示画面7aに表示することにより行われる。このメッセージ表示は、特定領域異常通過の発生(メッセージ表示開始)から所定の表示時間(例えば30秒)が経過するまで行うものとしており、その表示時間の経過により終了する。なお、特定領域エラー報知としてのメッセージ表示の表示時間や内容等の表示パターンは本実施例で示したものに限られず、他の文字(メッセージ)を表示したり、文字の他に図形や記号等を表示したり、効果音を出力したりする等、遊技者や遊技ホール関係者の視覚や聴覚に訴える様々な態様を採ることが可能である。
また、演出制御用マイコン91は、特定領域エラー報知処理として、枠ランプ66(枠LED)を赤色で点灯させるランプデータを作成する。この作成したランプデータがランプデータ出力処理(S4202)により出力されると、ランプ制御基板107がそのランプデータにしたがって枠ランプ66を制御し、これにより枠ランプ66が赤色で点灯する。つまり、枠ランプ66による特定領域エラー報知として、枠ランプ66を赤色で点灯させる。この枠ランプ66の赤色点灯は、特定領域異常通過の発生から所定の点灯時間(例えば5分)が経過するまで行うものとしており、その点灯時間の経過により終了する。なお、特定領域エラー報知としての枠ランプ66の点灯時間や点灯色等の点灯(発光)パターンは本実施例に限定されるものでなく、他の点灯時間や点灯色を採用することが可能であり、また点灯に換えて点滅とすることも可能である。
ここで、本実施例では、画像表示装置7による特定領域異常通過の報知時間(メッセージ表示時間)を、枠ランプ66による特定領域異常通過の報知時間(枠ランプ点灯時間)よりも短いものとし、前者が後者よりも先に終了するものとしている。これは、特定領域異常通過が発生しても遊技の進行は可能であり、表示画面7a上では大当り遊技演出や変動演出等の遊技演出に係る演出表示が実行されることから、その演出表示の視認が特定領域エラー報知(メッセージ表示)により長時間に亘って妨げられるのを避けるためである。一方、枠ランプ66による特定領域エラー報知は、そうした遊技演出に係る演出表示に与える影響が小さいことから、画像表示装置7による特定領域エラー報知よりも長い時間で行うこととして、特定領域異常通過の発生を第三者(遊技ホール関係者等)が容易に認識できるようにするためである。
またS4420では、主制御基板80から第1エラー報知コマンドを受信したか否かを判定し、第1エラー報知コマンドを受信した場合、前述の第1エラー報知(画像表示装置7による「Vアタッカー不一致エラー」のメッセージ表示、枠ランプ66の赤色点灯、スピーカ67からのエラー報知音出力)を実行する。「Vアタッカー不一致エラー」のメッセージ表示は、当該メッセージの文字画像(第1エラー文字画像)の表示を指定するコマンド(第1エラーメッセージ表示コマンド)が副制御基板90から画像制御基板100に送信されることで、画像制御用マイコン101の表示制御により実行される。枠ランプ66の赤色点灯は、枠ランプ66(枠LED)を赤色で点灯させるランプデータがランプデータ出力処理(S4202)により出力されることで、ランプ制御基板107の点灯制御により実行される。スピーカ67からのエラー報知音出力は、そのエラー報知音の音データ(スピーカ67の駆動データ)が駆動データ出力処理(S4203)により出力されることで、音声制御基板106の音出力制御により実行される。なお、第1エラー報知として表示するメッセージの内容やランプの点灯パターン等、第1エラー報知の態様は本実施例に限定されるものではなく、第1エラーの発生を遊技者や遊技ホール関係者等に視覚や聴覚等を通じて認識させることができるものであれば、その態様は問わない。
またS4420では、主制御基板80から第2エラー報知コマンドを受信したか否かを判定し、第2エラー報知コマンドを受信した場合、前述の第2エラー報知(画像表示装置7による「Vアタッカー異常排出エラー」のメッセージ表示、枠ランプ66の青色点灯)を実行する。「Vアタッカー異常排出エラー」のメッセージ表示は、当該メッセージの文字画像(第2エラー文字画像)の表示を指定するコマンド(第2エラーメッセージ表示コマンド)が副制御基板90から画像制御基板100に送信されることで、画像制御用マイコン101の表示制御により実行される。枠ランプ66の青色点灯は、枠ランプ66(枠LED)を青色で点灯させるランプデータがランプデータ出力処理(S4202)により出力されることで、ランプ制御基板107の点灯制御により実行される。なお、第2エラー報知として表示するメッセージの内容やランプの点灯パターン等、第2エラー報知の態様は本実施例に限定されるものではなく、第2エラーの発生を遊技者や遊技ホール関係者等に視覚や聴覚等を通じて認識させることができるものであれば、その態様は問わない。
[変動演出開始処理]
次に、受信コマンド解析処理(S4302)の中で変動開始コマンドの受信に基づいて行われる変動演出開始処理(S4402)について説明する。
図46に示すように、変動演出開始処理(S4402)ではまず、S4501で、演出制御用マイコン91が変動演出決定用乱数や予告演出決定用乱数、演出図柄決定用乱数、特定演出決定用乱数等の各種演出決定用乱数を取得する演出決定用乱数処理を行う(S4501)。本実施例では、主制御部80から変動開始コマンドを受信したタイミングで、S4501の処理を行い、夫々の乱数から所定の値(取得情報)を取得する。この取得した値に基づいて、実行する演出図柄遊技演出の態様や予告演出、停止表示する演出図柄等を決定する。
次いでS4502では、演出制御用マイコン91により変動開始コマンドを解析する(S4502)。変動開始コマンドには、第1特別図柄または第2特別図柄の変動パターン選択処理で選択された変動パターンを指定する変動パターン指定コマンド(変動パターンを指定する情報)が含まれている。そして、変動パターンを指定する情報には、図9に示す変動パターン情報(P1~P22)や、現在の遊技状態を指定する遊技状態情報や、第1特別図柄当否判定または第2特別図柄当否判定の判定結果や、大当り種別を指定する図柄情報等が含まれている(図8を参照)。また、変動パターン指定コマンドには、第1特別図柄に対応するものと第2特別図柄に対応するものとが存在することから、変動パターン指定コマンドを解析することで、今回開始する演出図柄遊技演出(演出図柄の変動表示)が特図1に係るものなのか特図2に係るものなのかを判別することが可能となる。なお、これらの変動パターン情報や遊技状態情報や図柄情報等は、これ以降に実行する変動演出開始処理以外の他の処理においても利用可能である。
次いでS4503では、演出制御用マイコン91が現在のモードステータスを参照する(S4503)。モードステータスは、実行する演出モードを決めるためのものである。本実施例のモードステータスは「1」~「4」までの何れかの値とされ、各値は演出モードA~Dに対して割り当てられている。具体的には、モードステータス「1」が演出モードAに対応し、モードステータス「2」が演出モードBに対応し、モードステータス「3」が演出モードCに対応し、モードステータス「4」が演出モードDに対応する。現在のモードステータスを参照することで、現在の演出モードを特定することが可能である。
ここで演出モードとは、変動演出(特別図柄の変動表示に伴う演出)が実行される場合の演出の形式であり、主に画像表示装置7における演出の態様を定めるものである。演出モードが異なると、予告演出やリーチ演出等の遊技演出の演出態様の一部又は全部が異なるものとされる。具体的に、登場するキャラクタ、アイテム、背景画像が異なる等、画像表示装置7に表示される画像が異なり、演出図柄遊技演出も演出モードに応じた態様で実行されるものとすることができる。また、複数の遊技演出(予告演出やリーチ演出等)を設ける場合に、演出モードによって異なる遊技演出を実行可能としてもよい。
本実施例では、演出モードA(モードステータス「1」)および演出モードB(モードステータス「2」)は低確低ベース状態に制御されているときに実行され、演出モードC(モードステータス「3」)は低確高ベース状態(時短遊技状態)に制御されているときに実行され、演出モードD(モードステータス「4」)は高確高ベース状態(確変遊技状態)に制御されているときに実行される。従って、演出モードがA~Dのいずれであるかを確認することで、遊技者は現在の遊技状態を判別することができる。
なお、演出モードA~Dの他に、大当り遊技後の遊技状態が低確高ベース状態に制御されているときと高確高ベース状態に制御されているときの何れにおいても実行可能な演出モードを設けてもよい。このような低確高ベース状態と高確高ベース状態とで実行され得る演出モードは、遊技者が演出を通じて現在の遊技状態を判別するのが困難(不可能)な演出モードである。このような演出モードのことを「状態非報知モード」ともいう。状態非報知モードでは、高確率状態であるか否かが演出上(見かけ上)わからないため、現在の遊技状態が高確率状態であるか否かの推測を遊技者に促すことが可能であり、これにより。興趣を高めることが可能である。
次いでS4504では、画像表示装置7、盤面ランプ5、可動装飾部材14等を用いて行う変動演出の実行パターン(変動演出パターン)を決めるための図示しない変動演出パターン決定テーブルをセットする(S4504)。具体的には、S4503で参照したモードステータス(現在の演出モード)と主制御部80から受信した変動パターン指定コマンドに基づいて、使用する変動演出パターン決定テーブルをセットする。
例えば、受信した変動パターン指定コマンドが指定する変動パターン情報が「P1(変動パターンP1)」(図9を参照)である場合、変動演出パターン決定テーブルとして、現在の演出モードに対応した大当り変動演出パターン決定テーブルがセットされる。本実施例では、演出モード(モードステータス)に対応した複数の変動演出パターン決定テーブルが副制御基板90のROMに予め格納されているので、S4504では、それらの変動演出パターン決定テーブルの中から、S4503で参照したモードステータス(現在の演出モード)に対応するテーブルが選択されてセットされる。変動演出パターン決定テーブルは、主に、演出図柄遊技演出の実行態様(演出図柄の変動態様等)を決定するためのもので、複数の変動演出パターン決定テーブルが副制御基板90のROMに予め格納されている。S4504では、それら複数の変動演出パターン決定テーブルのうちの何れかをセットする。
次いでS4505では、S4501で取得した変動演出決定用乱数及びS4504でセットした変動演出パターン決定テーブルに基づいて、指定された変動パターンに適合した変動演出パターンを選択し、これを設定する(S4505)。変動演出パターンとしては、演出図柄表示領域7bで表示される演出図柄8の変動態様(演出図柄遊技演出の実行態様)が設定される。これにより、演出図柄遊技演出において、リーチ演出を実行する場合(リーチあり演出図柄遊技演出)と、特定のキャラクタを用いて行うキャラクタ演出を実行する場合(キャラクタ演出図柄遊技演出)と、リーチ演出やキャラクタ演出を実行しない場合(リーチなし演出図柄遊技演出)とが決定される。
なお、リーチ演出とは、例えば、特別図柄当否判定の結果が大当りであることを示す場合の演出図柄8の表示態様として、3個の演出図柄8L、8C、8Rがすべて同一(ゾロ目)となる態様(大当り態様、特定表示態様)を設けている場合において、3個の演出図柄8L、8C、8Rのうちの2個が大当り態様を構成する図柄で停止表示(仮停止)され、残り1個が変動表示を続けている状態で、残り1個の演出図柄が大当り態様を完成させる図柄で停止表示されるか否かを示す演出のことをいう。
またS4505では、S4501において取得した演出図柄決定用乱数及び図示しない停止図柄決定テーブルに基づいて、停止表示する演出図柄8(「停止演出図柄」ともいう)を決定し、これを設定する。演出図柄遊技演出の結果として停止表示される演出図柄8は、大当りに対応する大当り演出図柄と外れに対応する外れ演出図柄とに大別される。そのうち、大当り演出図柄は、例えば、特別図柄当否判定の結果が7R第1大当り、15R第3大当り及び15R第4大当り(すなわちV通過予定大当り)の場合には「777」等の奇数図柄のゾロ目(大当り態様、特定表示態様)とされ、7R第2大当り及び15R第5大当りの場合(すなわちV非通過予定大当り)には「666」等の偶数図柄のゾロ目(大当り態様、特定表示態様)とされる。また、外れ演出図柄は、例えば、リーチあり外れの場合には「787」等の3個の演出図柄8L、8C、8Rのうち1個の演出図柄が他の演出図柄と異なるバラケ目(リーチ外れ目)とされ、リーチなし外れのときは「635」等の3個の演出図柄8L、8C、8Rのうち少なくとも1個の演出図柄が他の演出図柄が異なるバラケ目とされる。なお、これらの演出図柄8の停止表示態様は一例であり、大当りとなったときに停止演出図柄として何を停止表示するかは適宜変更可能である。
ここで、V非通過予定大当りの場合に表示(停止表示)される特別図柄の大当り図柄や演出図柄8の大当り演出図柄のことを、「V非通過予定大当り図柄」、「第1特定表示態様」又は「第1特定表示結果」ともいい、V通過予定大当りの場合に表示(停止表示)される特別図柄の大当り図柄や演出図柄8の大当り演出図柄のことを、「V通過予定大当り図柄」、「第2特定表示態様」又は「第2特定表示結果」ともいう。
本実施例のパチンコ遊技機1には、演出図柄8の変動態様(変動演出パターン)として、リーチA、リーチB、リーチC、スーパーリーチ(「SPリーチ」ともいう)A、スーパーリーチB、スーパーリーチC、キャラクタ演出等が設定されている。S4505では、それらのうち何れの演出を行うか、又はそれらの演出を行わない(これを「ノーマル変動」ともいう)かが、変動演出パターン決定テーブルに基づいて決定される。そして、リーチあり変動演出が実行される場合には、変動パターン指定コマンド及び変動演出パターン決定テーブルに基づいて、何れかのリーチ演出が設定される。ここで、変動演出としてスーパーリーチ演出が実行される場合には、ノーマルリーチ演出(リーチA~C)が実行される場合と比較して、大当りとなる可能性が高くなるように設定されている。すなわち、スーパーリーチ演出はノーマルリーチ演出と比較して大当り信頼度(大当りとなる可能性)の高い遊技演出であるといえる。なお、リーチ演出は、主として、変動時間が30000ms以上の変動パターン(図9を参照)を指定する変動パターン指定コマンドを受信した場合に設定(実行)され得る。S4505では、こうしたリーチ演出等を含む様々な変動演出の何れかに対応する変動演出パターンがS4501~S4504の処理の結果を受けて設定される。
次いでS4506では、S4505において設定した変動演出パターンに基づいて演出図柄遊技演出等を開始するための変動演出開始コマンドを副制御基板90のRAMの出力バッファにセットする(S4506)。当該S4506の処理をもって変動演出開始処理が終了する。
S4506でセットされた変動演出開始コマンドが、コマンド送信処理(S4006)により画像制御基板100に送信されると、画像制御用マイコン101は、変動演出開始コマンドに基づき特定される変動演出パターン、すなわちS4505で設定された変動演出パターンに対応する所定の画像データを画像制御基板100のROMから読み出して、該読み出した画像データによる変動演出等を画像表示装置7の表示画面7a上で実行する。
[大当り履歴情報処理]
次に、10msタイマ割り込み処理(S4010)で実行される大当り履歴情報処理(S4305)について説明する。
図47に示すように、大当り履歴情報処理(S4305)ではまず、主制御基板80からオープニングコマンドを受信したか否かを判定する(S4601)。前述したように、オープニングコマンドは、大当り遊技の開始に際して主制御基板80から送信されるコマンドであり、7R第1大当り用オープニングコマンドや7R第2大当り用オープニングコマンド等、大当りの種別に対応して設けられている。
S4601でオープニングコマンドを受信していないと判定した場合(S4601でNO)、後述のS4603の処理に移行し、オープニングコマンドを受信したと判定した場合(S4601でYES)、受信したオープニングコマンドに基づいて、新たに発生した大当りの種別を特定し、当該大当り種別に基づく情報(大当り種別情報)を含む大当り履歴情報を、履歴情報記憶領域に記憶する(S4602)。
履歴情報記憶領域には、大当りが発生する(開始される)ごとに、その大当り遊技に関する情報(大当り履歴情報)が、所定回数分の大当りを上限として記憶される。例えば、10回分の大当りを上限とする場合、直近10回分の大当り遊技に関する情報が記憶される。そして、所定回数分(例えば10回分)の大当り遊技に関する情報(大当り履歴情報)が履歴情報記憶領域に記憶されている状態で、新たに大当りが発生した場合(オープニングコマンドを受信した場合)、履歴情報記憶領域に記憶されている大当り履歴情報のうち最も古い情報が消去(削除)され、新たに発生した大当りに対応する大当り履歴情報が記憶される。
次いでS4603では、主制御基板80から通過状況指定コマンドを受信したか否かを判定する(S4603)。前述したように、通過状況指定コマンドには、イレギュラーV通過指定コマンド(第1通過状況指定コマンド)と、ノーマルV通過指定コマンド(第2通過状況指定コマンド)と、イレギュラーV非通過指定コマンド(第3通過状況指定コマンド)と、ノーマルV非通過指定コマンド(第4通過状況指定コマンド)との計4種類が存在する。S4603では、それら4種類のコマンドの何れかを受信したか否かを判定する。
S4603で通過状況指定コマンドを受信していないと判定した場合(S4603でNO)、後述のS4605の処理に移行し、通過状況指定コマンドを受信したと判定した場合(S4603でYES)、受信した通過状況指定コマンドに基づいて、今回のV通過又はV非通過の発生状況(「V通過状況」ともいう。)を特定し、当該V通過状況に基づく情報(V通過情報)を、先のS4602で記憶した大当り履歴情報に追加するかたちで、履歴情報記憶領域に記憶する(S4604)。つまり、履歴情報記憶領域に記憶されている大当り履歴情報のうち記憶順が最も新しい大当り履歴情報の内容を更新(ここではV通過情報を追加)する(S4604)。
ここで、オープニングコマンドは、大当り遊技の開始に際して主制御基板80から送信され、通過状況指定コマンドは、VラウンドでV通過が発生したこと又はV通過が発生せずにVラウンドが終了したことに基づいて送信されるところ、オープニングコマンド及び通過状況指定コマンドの送信は何れも一の大当り遊技につき1回しか行われず、オープニングコマンドと通過状況指定コマンドの送信順はオープニングコマンドが先で通過状況指定コマンドが後である。つまり、S4601で受信したと判定されるオープンコマンドの送信契機となる大当り遊技と、S4603で受信したと判定される通過状況指定コマンドの送信契機となる大当り遊技とは同一である。このため、S4604では、先のS4602で記憶した大当り履歴情報にV通過情報を追加するかたちで、履歴情報記憶領域に記憶されている大当り履歴情報のうち記憶順が最新の大当り履歴情報を更新するのである。
次いでS4605では、大当り履歴情報を画像表示装置7の表示画面7aに表示させる旨の指示入力(「履歴表示指示入力」ともいう。)があるか否かを判定する(S4605)。履歴表示指示入力は、遊技ホール関係者が演出ボタン63等の操作手段を操作することにより行われるもので、履歴表示指示入力に相当する操作手段の操作態様(履歴表示指示入力のやり方)は、遊技者が知り得ない態様とされる。本実施例の大当り履歴情報は、原則、遊技ホール関係者からの指示に基づいて提示される情報だからである。このため、履歴表示指示入力を遊技者が行うことは基本的に不可能である。
なお、履歴表示指示入力の操作態様は、例えば、特別図柄(演出図柄)の変動表示が行われていない状態(「待機状態」ともいう。)で、第1演出ボタン63aを押下したまま操作レバーを第1所定方向(例えば左方向)へ所定回数(例えば2回)傾倒させた後に第2所定方向(例えば下方向)へ所定回数(例えば5回)傾倒させる操作や、第1演出ボタン63aを所定回数(例えば5回)押下した後に第2演出ボタン63bを左方向及び右方向にそれぞれ所定回数(例えば2回)回転させる操作等、遊技者が推測することが難しい態様とすることができる。
S4605で履歴表示指示入力がないと判定した場合(S4605でNO)、そのまま本処理を終え、履歴表示指示入力があると判定した場合(S4605でYES)、履歴情報記憶領域に記憶されている大当り履歴情報に基づいて履歴表示用データを生成し、当該履歴表示用データの表示を指示する履歴表示コマンドを、副制御基板90のRAMの出力バッファにセットする(S4606)。セットした履歴表示コマンドがコマンド送信処理(S4006)により画像制御基板100に送信されると、画像制御用マイコン101は、履歴表示コマンドに基づき特定される履歴表示用データに基づく履歴画面を画像表示装置7の表示画面7aに表示する。履歴画面の一例を図51に示す。なお、以下では、10回分の大当りを上限として大当り履歴情報が記憶可能とされる場合を例に説明する。
図51に示すように、履歴画面700は、直近10回分の大当り遊技について、大当り種別及びV通過状況に関する情報を一覧形式で表示する画面構成となっている。同図では、大当り10回分の大当り履歴情報(10個の大当り履歴情報)が履歴情報記憶領域に記憶されている場合を示している。
履歴画面700における「No.1~No.10」のうち、No.10が最新の大当り履歴情報に対応し、以下、No.9、No.8・・・の順で古くなり、No.1が最古の大当り履歴情報に対応する。
履歴画面700における「大当り種別」のうち、「確変」はV通過予定大当りであることを示し、「非確変」はV非通過予定大当りであることを示す。前述したように、V通過予定大当りは実質的に確変大当りであり、V非通過予定大当りは実質的に非確変大当り(通常大当り)であることから、大当り種別を「確変」又は「非確変」で示すこととしている。
履歴画面700における「V通過状況」のうち、「OK」はVラウンドでイレギュラーな事象(イレギュラーV通過又はイレギュラーV非通過)が発生しなかったこと(Vラウンドが正常に消化されたこと、すなわち、大当り遊技が正常に行われたこと)を示し、「NG」はVラウンドでイレギュラーな事象(イレギュラーV通過又はイレギュラーV非通過)が発生したこと(Vラウンドで異常が発生したこと、すなわち、大当り遊技が正常に行われなかったこと)を示す。
例えば、履歴画面700中のNo.1のように、大当り種別が「確変」でV通過状況が「OK」である場合(「確変+OK」の表示)、V通過予定大当りに係る大当り遊技のVラウンドでV通過が発生し(ノーマルV通過)、Vラウンドが正常に消化されたことを意味する。
また、履歴画面700中のNo.3のように、大当り種別が「非確変」でV通過状況が「OK」である場合(「非確変+OK」の表示)、V非通過予定大当りに係る大当り遊技のVラウンドでV通過が発生せず(ノーマルV非通過)、Vラウンドが正常に消化されたことを意味する。
また、履歴画面700中のNo.4のように、大当り種別が「確変」でV通過状況が「NG」である場合(「確変+NG」の表示)、V通過予定大当りに係る大当り遊技のVラウンドでV通過が発生せず(イレギュラーV非通過)、Vラウンドが正常に消化されなかった(Vラウンドで異常が発生した)ことを意味する。
また、履歴画面700中のNo.8のように、大当り種別が「非確変」でV通過状況が「NG」である場合(「非確変+NG」の表示)、V非通過予定大当りに係る大当り遊技のVラウンドでV通過が発生し(イレギュラーV通過)、Vラウンドが正常に消化されなかった(Vラウンドで異常が発生した)ことを意味する。
このように、画像表示装置7の表示画面7aに履歴画面700を表示することで、実行済の大当り遊技(Vラウンド)でイレギュラーな事象が発生したか否か(V通過状況)や、イレギュラーな事象が発生した場合のイレギュラーの種類(イレギュラーV通過又はイレギュラーV非通過)を報知することが可能となる。このため、遊技ホール関係者は、パチンコ遊技機1の表示画面7aに表示された履歴画面700を通じて、当該パチンコ遊技機1の大当り遊技(Vラウンド)の実施状況(V通過状況)を事後的に確認することが可能となる。なお、履歴画面700を表示する際に遊技者がパチンコ遊技機1の前に居る場合、遊技ホール関係者と一緒に遊技者も大当り遊技(Vラウンド)の実施状況(V通過状況)を確認することができる。
例えば、図51に示す履歴画面700のうちNo.8~No.10のように、「非確変」と「NG」の組合せが連続している場合、連続する3回の大当り遊技でイレギュラーV通過が立て続けに発生していることとなり、これは、V通過(特定領域検知スイッチ39aによる遊技球検知)を意図的に発生(誤検知)させる不正行為の可能性があると判断することができる。また例えば、No.4のように「確変」と「NG」の組合せがある場合、特定領域検知スイッチ39aや発射装置112に何らかの不具合が発生した可能性があると判断することができる。このように、履歴画面700を通じて大当り遊技の実行状況(V通過状況)を事後的に確認可能とすることで、不正行為や遊技機1の不具合等の早期発見を図ることが可能となる。
また、図51に示すようにNo.1~No.10がすべて埋まっている(10個の大当り履歴情報が記憶されている)場合、これ以降、大当りが発生するごとに、No.1に対応する情報が消去されるとともに、No.2~No.10に対応する情報がそれぞれ1つ繰り下がり、新たに発生した大当りに対応する情報がNo.10に表示される。このため、一の大当り遊技が実行された後、10回の大当り遊技が実行されるまでの間、当該一の大当り遊技(Vラウンド)でイレギュラーな事象が発生したか否か(V通過状況)を報知することが可能となる。
ここで、履歴画面700におけるV通過状況の表示を「V通過状況報知」又は「所定報知」ともいい、履歴画面700における大当り種別「非確変」とV通過状況「NG」の組合せ表示(「非確変+NG」の表示)を「イレギュラーV通過発生報知」又は「第1所定報知」ともいい、履歴画面700における大当り種別「確変」とV通過状況「OK」の組合せ表示(「確変+OK」の表示)を「ノーマルV通過発生報知」又は「第2所定報知」ともいい、履歴画面700における大当り種別「確変」とV通過状況「NG」の組合せ表示(「確変+NG」の表示)を「イレギュラーV非通過発生報知」又は「第3所定報知」ともいい、履歴画面700における大当り種別「非確変」とV通過状況「OK」の組合せ表示(「非確変+OK」の表示)を「ノーマルV非通過発生報知」又は「第4所定報知」ともいう。また、履歴画面700の表示に係る制御を行う副制御部90(演出制御マイコン91)及び画像制御部100のことを「所定報知実行手段」ともいう。
[実施例1の作用効果]
以上に説明した実施例1のパチンコ遊技機1では、V非通過予定大当りに係る大当り遊技のVラウンドで(特別入球口への遊技球の入球が可能となる特別遊技中に)、可動片150(振分手段)が第2作動態様で作動せず第1作動態様で作動し且つ遊技球が特定領域39を通過するイレギュラーV通過(第1通過状況)が発生した場合、当該イレギュラーV通過が発生した後の所定期間、当該イレギュラーV通過の発生を報知するイレギュラーV通過発生報知(第1所定報知)が実行可能となっている。具体的には、イレギュラーV通過が発生した大当り遊技の終了後、さらに所定回数(例えば10回)の大当り遊技が実行されるまでの間、履歴表示指示入力に基づく履歴画面700の表示により、イレギュラーV通過発生報知を行うことが可能となっている。
また、V通過予定大当りに係る大当り遊技のVラウンドで(特別入球口への遊技球の入球が可能となる特別遊技中に)、可動片150(振分手段)が第2作動態様で作動し且つ遊技球が特定領域39を通過するノーマルV通過(第2通過状況)が発生した場合、当該ノーマルV通過が発生した後の所定期間、当該ノーマルV通過の発生を報知するノーマルV通過発生報知(第2所定報知)が実行可能となっている。具体的には、ノーマルV通過が発生した大当り遊技の終了後、さらに所定回数(例えば10回)の大当り遊技が実行されるまでの間、履歴表示指示入力に基づく履歴画面700の表示により、ノーマルV通過発生報知を行うことが可能となっている。
このため、イレギュラーV通過(第1通過状況)又はノーマルV通過(第2通過状況)が発生した後の所定期間において、遊技ホール関係者等は、履歴画面700を通じて、イレギュラーV通過又はノーマルV通過の発生を確認することが可能となる。ここで、イレギュラーV通過は、遊技球が特定領域39に振り分けられる可能性が相対的に低いVラウンドで遊技球が特定領域39を通過する状況であり、正常なV通過状況でないといえる。一方、ノーマルV通過は、遊技球が特定領域39に振り分けられる可能性が相対的に高いVラウンドで遊技球が特定領域39を通過する状況であり、正常なV通過状況であるといえる。これにより、実行済の大当り遊技で遊技球が特定領域39を通過した場合の当該通過が正常なV通過であるか否かを、履歴画面700を通じて確認することが可能となる。
特に本実施例では、履歴画面700により表示される大当り履歴の内容が「大当り種別」と「V通過状況」とに大別され、何れも「確変」、「非確変」、「OK」、「NG」といったように、その内容を文字により直接的に表すものとなっている。また、複数回分の大当り遊技について大当り種別及びV通過状況を一覧形式で表示するものとなっている。このため、実行済の大当り遊技の状況が理解しやすいものとなる。
また実施例1のパチンコ遊技機1では、イレギュラーV通過(第1通過状況)及びノーマルV通過(第2通過状況)だけでなく、イレギュラーV非通過(第3通過状況)及びノーマルV通過(第4通過状況)についても、履歴画面700の表示により報知することが可能となっている。これにより、実行済の大当り遊技に係るV通過状況を、履歴画面700を通じてより詳しく確認することが可能である。
ここで、実施例1のパチンコ遊技機1は、Vラウンドでの第2大入賞口35(Vアタッカー)への入球数に基づいて可動片150の作動を制御し、V通過予定大当りとV非通過予定大当りとでVラウンドにおける第2大入賞口35(Vアタッカー)の開放パターンを同じとしているため、第2大入賞口35(Vアタッカー)の動き(開放パターン)から大当りの種別(V通過予定大当り又はV非通過予定大当り)を判別するのは困難となっている。この点、本実施例のように、実行済の大当り遊技に係るV通過状況を、履歴画面700を通じて事後的に確認可能とすることは、発生した大当りの種別を事後的に確認可能とすることにもなるので、第2大入賞口35(Vアタッカー)への入球数に基づいて可動片150の作動制御を行うタイプの遊技機にとって有益である。
また実施例1のパチンコ遊技機1では、第1始動口20(第1判定入球口)への遊技球の入球検知に基づいて実行される第1特別図柄当否判定(第1判定)の結果または第2始動口21(第2判定入球口)への遊技球の入球検知に基づいて実行される第2特別図柄当否判定(第2判定)の結果が大当り(特定結果)である場合に大当り遊技(特別遊技)が実行されるところ、大当り遊技の実行契機が第1特別図柄当否判定と第2特別図柄当否判定の何れであるのかを当り表示器48により報知する判定報知が、少なくとも、イレギュラーV通過(第1通過状況)が発生した後の所定期間に実行可能となっている。
このため、正常なV通過状況でないイレギュラーV通過が発生した場合、遊技ホール関係者等は、そのイレギュラーV通過(第1通過状況)が発生したときの大当り遊技が第1特別図柄当否判定と第2特別図柄当否判定の何れによるものであるのかを、当り表示器48を通じて事後的に確認することが可能となる。これにより、イレギュラーV通過の発生したときの遊技の状況をより詳しく確認することが可能となる。
また実施例1のパチンコ遊技機1では、イレギュラーV通過(第1通過状況)だけでなく、ノーマルV通過(第2通過状況)、イレギュラーV非通過(第3通過状況)及びノーマルV通過(第4通過状況)の何れが発生した場合にも、その発生後の所定期間において、当り表示器48による判定報知が実行可能となっている。このため、イレギュラーな事象が発生した大当り遊技や、イレギュラーな事象が発生しなかった大当り遊技の実行契機が、第1特別図柄当否判定と第2特別図柄当否判定の何れであるのかを、当り表示器48を通じて事後的に確認することが可能となる。これにより、各通過状況が発生したときの遊技の状況をより詳しく確認することが可能となる。
また実施例1のパチンコ遊技機1では、大当り遊技中(Vラウンド中)に遊技球が特定領域39を通過したことに基づいてV通過報知演出(通過演出)が実行可能であるところ、イレギュラーV通過(第1通過状況)が発生した場合には、当該イレギュラーV通過に基づくV通過報知演出は実行されず、ノーマルV通過(第2通過状況)が発生した場合には、当該ノーマルV通過に基づくV通過報知演出が実行されるものとなっている。このため、正常なV通過状況でないイレギュラーV通過(第1通過状況)については、特定領域39への遊技球通過の発生をアピールしないようにする一方、正常なV通過状況である第ノーマルV通過(第2通過状況)については、特定領域39への遊技球通過の発生をアピールすることが可能となる。これにより、特定領域39への遊技球通過(V通過)を適切に演出することが可能となる。
なお、実施例1では、待機状態における演出ボタン等を用いた履歴表示指示入力に基づいて履歴画面700を画像表示装置7(表示画面7a)に表示することによりV通過状況を報知するものとしていたが、当該報知のタイミング(V通過状況報知時期)は本実施例に限定されるものではなく、また、履歴表示指示入力のような外部からの指示入力によらずにV通過状況を報知することも可能である。
例えば、V非通過予定大当りに係る大当り遊技中にV通過が発生した場合(つまり、イレギュラーV通過が発生した場合)、そのV通過発生後の所定期間において、当該大当り遊技でのイレギュラーV通過の発生を報知する文字(メッセージ)等を表示画面7aに自動的(強制的)に表示することにより、イレギュラーV通過発生報知を行うようにしてもよい。また、V通過予定大当りに係る大当り遊技中にV通過が発生した場合(つまり、ノーマルV通過が発生した場合)、そのV通過発生後の所定期間において、当該大当り遊技でのノーマルV通過の発生を報知する文字(メッセージ)等を表示画面7aに自動的(強制的)に表示することにより、ノーマルV通過発生報知を行うようにしてもよい。
このように、外部からの指示入力によらずにV通過状況の報知を行う場合の当該報知は、直近1回分の大当りについて行うものとし、大当り遊技の実行(大当りの発生)ごとに、報知の内容が大当り遊技の実施状況(大当り種別、V通過状況)に応じて切り替わる(変更される)ように構成する。画像表示装置7(表示画面7a)で実行される変動演出等の演出表示の妨げにならないようにするためである。
また、外部からの指示入力によらずにV通過状況の報知を行う場合の当該報知の実行期間(所定期間)は、例えば、イレギュラーV通過発生時から次回大当りが発生するまでの期間としたり、ノーマルV通過発生時から次回大当りが発生するまでの期間としたり、高確率状態移行時(当該大当り遊技終了後)から次回大当りが発生するまでの期間としたり、高確率状態移行時(当該大当り遊技終了後)から所定回数(例えば100回)の特別図柄の変動表示の実行により高確率状態が終了するまでの期間としたりすることができる。
以上のような別例に係る構成では、履歴表示指示入力のような外部からの指示入力がなくても、イレギュラーV通過発生報知やノーマルV通過発生報知が所定期間に亘って表示画面7a上で行われるため、所定期間中はいつでもイレギュラーV通過又ノーマルV通過の発生を確認することが可能となる。なお、イレギュラーV非通過やノーマルV非通過についても同様である。
また、実施例1のV通過状況の報知に係る構成は、特別図柄当否判定の結果が小当りとなった場合に入球可能となる大入賞口内に特定領域(V領域)を備え、小当り遊技の際にその大入賞口に入球した遊技球が特定領域を通過(V通過)した場合に大当りとなって大当り遊技が実行されるタイプのパチンコ遊技機(所謂「1種2種混合機」)にも適用可能である。
次に、実施例3のパチンコ遊技機1について説明する。本実施例は、遊技領域3に設けられた複数の入球口のうち特定の入球口を対象として行う演出に特徴を有するものである。以下、本実施例の構成について前述の実施例1,2と異なる部分を中心に説明し、実施例1,2と共通する部分(構成、作用効果等)については説明を省略する。
本実施例は、前述の実施例の第1大入賞装置31及び第2大入賞装置36(図3、図48等を参照)に換えて、図56~図58に示す第1大入賞装置310及び第2大入賞装置360を備えている。本実施例では、第1大入賞装置310(第1大入賞口300)の下方に第2大入賞装置360(第2大入賞口35)が設けられており、第2大入賞装置360(第2大入賞口35)は、第1大入賞装置310(第1大入賞口300)よりも小型とされている。
第1大入賞装置310は、開閉部材320を備え、開閉部材320の作動により第1大入賞口300を開閉するものである。開閉部材320は、平面視で横長の矩形板状とされており、第1大入賞口ソレノイドにより駆動されることで、遊技盤2の表面(遊技領域3)より手前側(遊技盤表面側)へ突出した状態と奥側(遊技盤裏面側)へ引っ込んだ状態との間で(前後方向へ)水平移動可能とされている。
図56及び図58は、開閉部材320が手前側へ突出した状態を示しており、この状態では第1大入賞口300が閉状態(第1状態)となる。開閉部材320が手前側へ突出した状態(第1大入賞口300が閉状態)にあるとき、右遊技領域3Bを流下して第1大入賞装置310(第1大入賞口300)の配置箇所に到達した遊技球は、第1大入賞口300に入球することなく、開閉部材320の上面をその傾斜(本実施例では右から左への下り傾斜)に沿って転動する。
これに対し、図57は、開閉部材320が奥側へ引っ込んだ状態を示しており(図57中の破線で表した部分を参照)、この状態では第1大入賞口300が開状態(第2状態)となる。開閉部材320が奥側へ引っ込んだ状態(第1大入賞口300が開状態)にあるとき、右遊技領域3Bを流下して第1大入賞装置310(第1大入賞口300)の配置箇所に到達した遊技球は、第1大入賞口300に入球する。
このように、第1大入賞口300は、開閉部材320の作動(前後方向への水平移動)により、遊技球の入球が不能な入球不能状態(閉状態、第1状態)と、遊技球の入球が可能な入球可能状態(開状態、第2状態)とに変化可能な可変入球口として構成される。
第2大入賞装置360は、開閉部材370を備え、開閉部材370の作動により第2大入賞口350を開閉するものである。開閉部材370は、平面視で横長の矩形板状とされており、第2大入賞口ソレノイドにより駆動されることで、遊技盤2の表面(遊技領域3)より手前側(遊技盤表面側)へ突出した状態と奥側(遊技盤裏面側)へ引っ込んだ状態との間で(前後方向へ)水平移動可能とされている。なお、本実施例の開閉部材370は、開閉部材320よりも左右方向の寸法(横寸法)が短いものとなっている。
図56及び図57は、開閉部材370が手前側へ突出した状態を示しており、この状態では第2大入賞口350が閉状態(第1状態)となる。開閉部材370が手前側へ突出した状態(第2大入賞口350が閉状態)にあるとき、右遊技領域3Bを流下して第2大入賞装置360(第2大入賞口350)の配置箇所に到達した遊技球は、第2大入賞口350に入球することなく、開閉部材370の上面をその傾斜(本実施例では右から左への下り傾斜)に沿って転動する。
これに対し、図58は、開閉部材370が奥側へ引っ込んだ状態を示しており(図58中の破線で表した部分を参照)、この状態では第2大入賞口350が開状態(第2状態)となる。開閉部材370が奥側へ引っ込んだ状態(第2大入賞口350が開状態)にあるとき、右遊技領域3Bを流下して第2大入賞装置360(第2大入賞口350)の配置箇所に到達した遊技球は、第2大入賞口350に入球する。
このように、第2大入賞口350は、開閉部材370の作動(前後方向への水平移動)により、遊技球の入球が不能な入球不能状態(閉状態、第1状態)と、遊技球の入球が可能な入球可能状態(開状態、第2状態)とに変化可能な可変入球口として構成される。
第2大入賞装置360には、確変作動口(確変領域)として機能する特定領域が設けられている一方、第1大入賞装置310には、そのような特定領域は設けられていない。つまり、第2大入賞装置360(第2大入賞口350)はVアタッカーとして機能するものである。第2大入賞口350に入球した遊技球の特定領域又は非特定領域への振り分けは、前述の実施例1,2と同様に、第2大入賞口350への入球数に基づく可動片(振分手段)の作動により行われるものであり、第2大入賞装置360の構成(内部構造)は、図48を用いて説明した第2大入賞装置36と同様である。
本実施例では、大当り遊技中のVラウンド(7R)のみで第2大入賞口350が開状態となり、Vラウンド以外のラウンド(非Vラウンド)では第1大入賞口300が開状態となる。
図56~図58に示すように、第1大入賞装置310の内部と、遊技盤2の裏面側であって第1大入賞装置310の近傍には、第1大入賞口300の周辺(近傍)を照らすことが可能な第1装飾LED5aが複数設けられている。本実施例では、第1大入賞装置310の内部に2個、第1大入賞装置310の上方に1個、第1大入賞装置310の下方に1個の、計4個の第1装飾LED5aが設けられている。第1装飾LED5aは、遊技領域3(盤面)を装飾する盤面ランプ5の一種でもある。
同様に、図56~図58に示すように、第2大入賞装置360の内部と、遊技盤2の裏面側であって第2大入賞装置360の近傍には、第2大入賞口350の周辺(近傍)を照らすことが可能な第2装飾LED5bが複数設けられている。本実施例では、第2大入賞装置360の内部に1個、第2大入賞装置360の左上、左下、右下にそれぞれ1個の、計4個の第2装飾LED5bが設けられている。第2装飾LED5bは、遊技領域3(盤面)を装飾する盤面ランプ5の一種でもある。
前述の実施例1で説明したように、遊技盤2は透明遊技盤として構成されており、装飾LEDが発する光を外部(遊技盤表面側)から視認可能となっている。また、第1大入賞装置310及び第2大入賞装置360は、それぞれ内部に設けられた第1装飾LED5a及び第2装飾LED5bが発する光を外部(遊技盤表面側)から視認可能となるように、透光性を有する部材を用いて構成されている。
なお、第1装飾LED5a及び第2装飾LED5bの数は本実施例に限定されるものではなく、それぞれ3個以下又は5個以上とすることが可能であり、第1装飾LED5aと第2装飾LED5bとで数を異ならせることも可能である。また、第1装飾LED5a及び第2装飾LED5bを設ける箇所も本実施例に限定されるものではなく、例えば、大入賞装置の内部に設けることなく遊技盤の裏面側だけにLEDを設けたり、大入賞装置の手前側を覆うようにして設けられる装飾部材(図示せず)にLEDを設けたりすることが可能である。要するに、大入賞口(大入賞装置)の周辺(近傍)を照らすことができるのであれば、そのLEDの数や配置箇所は問わない。
ここで、第1装飾LED5aのことを「第1発光体」ともいい、第2装飾LED5bのことを「第2発光体」ともいい、第1装飾LED5a及び第2装飾LED5bの何れか一方又は両方を指して「装飾LED」又は「発光体」ともいう。
また、本実施例において、第1大入賞口300のことを「第1可変入球口」又は「第1特別入球口」ともいい、第2大入賞口350のことを「第2可変入球口」又は「第2特別入球口」ともいう。さらに、第1大入賞口300及び第2大入賞口350の何れか一方又は両方を指して「大入賞口」、「可変入球口」、「特別入球口」又は「特定の入球口」ともいい、第1大入賞装置310及び第2大入賞装置360の何れか一方又は両方を指して「大入賞装置」、「可変入球装置」、「特別入球装置」又は「特定入球装置」ともいう。
本実施例では、実施例1と同様に、主制御部80(遊技制御用マイコン81、遊技制御手段)による制御のもと、大入賞口に遊技球を入球させる大当り遊技が実行可能となっている(特別電動役物処理(S1108)等を参照)。本実施例において、大当り遊技及び/又はラウンド遊技のことを「特定遊技」ともいう。
本実施例では、特定遊技の実行に際し、副制御部90(演出制御用マイコン91、演出制御手段)による制御のもと、装飾LED5a,5bの発光等による演出(「入球口発光演出」ともいう。)が実行可能となっている。以下、本実施例の入球口発光演出について説明する。
[入球口発光演出]
入球口発光演出は、装飾LEDの発光(光演出)と、当該発光と関連付けた演出画像(「発光関連画像」ともいう。)の表示(表示演出)を主たる演出要素として構成され、大当り遊技(大当り遊技状態)の開始やラウンド遊技の開始に合わせて実行される。
演出制御用マイコン91は、大当り図柄の停止表示を経て大当り遊技が開始されるときと、当該大当り遊技を構成する各ラウンド遊技が開始されるときに、入球口発光演出を実行するための処理(「入球口発光演出処理」ともいう。)を行う。
具体的には、演出制御用マイコン91は、入球口発光演出処理として、第1装飾LED5aや第2装飾LED5bを発光させるランプデータを作成し、この作成したランプデータをランプデータ出力処理(S4202)により出力する。また、発光関連画像の表示パターン(表示態様)を指定するコマンド(「発光関連画像表示コマンド」ともいう。)を副制御基板90のRAMの出力バッファにセットし、このセットしたコマンドをコマンド送信処理(S4006)により画像制御基板100に送信する。
入球口発光演出処理(ランプデータの作成・出力及び発光関連画像表示コマンドのセット・送信)は、主制御基板80からのオープニングコマンドを副制御基板90(演出制御用マイコン91)が受信したことに基づいて行われる場合と、主制御基板80からのラウンド開始コマンド又はラウンド終了コマンドを副制御基板90(演出制御用マイコン91)が受信したことに基づいて行われる場合と、がある。前者は、大当り遊技(大当り遊技状態)が開始(実行)される場合の入球口発光演出(「第1入球口発光演出」ともいう。)に対応し、後者の場合は、ラウンド遊技が開始(実行)される場合の入球口発光演出(「第2入球口発光演出」ともいう。)に対応する。
なお、ラウンド開始コマンドの受信に基づいて入球口発光演出処理が行われる場合、当該入球口発光演出処理は、受信したラウンド開始コマンドに基づき特定される開始ラウンドに対応する処理となり、ラウンド終了コマンドの受信に基づいて入球口発光演出処理が行われる場合、当該入球口発光演出処理は、受信したラウンド終了コマンドに基づき特定される終了ラウンドの次のラウンド(次の開始ラウンド)に対応する処理となる。
入球口発光演出処理で作成したランプデータがランプデータ出力処理(S4202)により出力されると、ランプ制御基板107がそのランプデータにしたがって第1装飾LED5a及び/又は第2装飾LED5bを制御し、これにより発光対象の装飾LEDが所定の色で発光する。このときの発光(発光パターン)は、例えば、全部又は一部の装飾LEDの点灯、点滅、輝度(明るさ)の増減等により実現される。本実施例では、入球口発光演出での装飾LEDの発光色を白色としている。
また、入球口発光演出処理でセットした発光関連画像表示コマンドがコマンド送信処理(S4006)により画像制御基板100に送信されると、画像制御用マイコン101は、受信した発光関連画像表示コマンドに基づき特定される表示パターンに対応する発光関連画像の画像データを画像制御基板100のROMから読み出して、該読み出した画像データによる演出表示(「発光関連演出表示」ともいう。)を画像表示装置7の表示画面7aに表示する。
発光関連画像は、例えば、装飾LEDの発光を強調する画像(強調画像)、装飾LEDの発光に同期した発光を表す画像(発光画像)など、第1装飾LED5a及び第2装飾LED5bの何れか一方又は両方の発光と関連性のある画像とすることができる。また、発光関連画像は所定の色を主たる表示色として含むものであり、本実施例ではその表示色を白色としている。つまり、装飾LEDの発光色と同色としている。こうすれば、装飾LEDの発光と発光関連画像の表示との一体感を高めて(醸成して)、入球口発光演出の視覚的効果を高めることが可能となる。
なお、本実施例では、装飾LEDの発光色と発光関連画像の表示色をともに白色としているが、その色は、例えば、青色や赤色等の白以外の色であってもよい。また、装飾LEDの発光色と発光関連画像の表示色を異ならせてもよい。
次に、大当り遊技(大当り遊技状態)の開始に際して実行される第1入球口発光演出について、図56を参照しながら説明する。同図は、大当り図柄が停止表示された後、大当り遊技の1ラウンド目が開始される前(つまり、オープニング期間中)の遊技盤面(遊技領域3)の要部を示す。
ここで、装飾LEDの発光パターン(発光態様)として、第1発光パターン、第2発光パターン及び第3発光パターンの3種類が設けられている。また、発光関連画像(発光関連演出表示)の表示パターン(表示態様)として、第1表示パターン、第2表示パターン及び第3表示パターンの3種類が設けられている。
第1入球口発光演出では、装飾LEDが第1発光パターンで発光するとともに、発光関連画像が第1表示パターンで表示される。具体的には、図56に示すように、第1大入賞口300(第1大入賞装置310)の周辺に設けられた第1装飾LED5aと、第2大入賞口350(第2大入賞装置360)の周辺に設けられた第2装飾LED5bのすべてが発光(点灯)する(第1発光パターン)。また、その発光とともに、表示画面7a(表示領域)のうち右下の領域(大入賞口に近い側)であって、第1大入賞口300(第1大入賞装置350)及び第2大入賞口350(第2大入賞装置360)の夫々の上方に位置する箇所に、発光関連画像750が表示される(第1表示パターン)。第1表示パターンの発光関連画像750は、第1装飾LED5a及び第2装飾LED5b(第1大入賞口300及び第2大入賞口350)からの光が拡散される様子を描いたエフェクト画像である。
第1入球口発光演出が実行されると、遊技領域3(右遊技領域3B)のうち大入賞口周辺が装飾LEDの白色光で照らされて明るくなり、その装飾LEDによる照明の効果が発光関連演出表示(発光関連画像750)によって引き立てられる。これにより、大入賞口(大入賞装置)の周辺がひと際目立つようになり、これから開始される大当り遊技に向けて遊技者の気持ちを高揚させることが可能となる。また、大入賞口(大入賞装置)の位置をはっきりさせることが可能となる。
また、オープニング期間中は、第1入球口発光演出とともに、右遊技領域3B(特定の領域)に向けて遊技球を発射すること(右打ち)を遊技者に指示する右打ち指示演出が実行される。
具体的には、演出制御用マイコン91は、主制御基板80からのオープニングコマンドを受信すると、右打ち指示演出の実行を指示するコマンド(「右打ち指示演出コマンド」ともいう。)を副制御基板90のRAMの出力バッファにセットし、このセットしたコマンドを、コマンド送信処理(S4006)により画像制御基板100に送信する。
画像制御用マイコン101は、受信した右打ち指示演出コマンドに対応する右打ち指示画像の画像データを画像制御基板100のROMから読み出して、該読み出した画像データによる右打ち指示演出を画像表示装置7の表示画面7aに表示する。
右打ち指示画像は、例えば、右打ちの文字や右矢印その他右打ちを連想させる画像とすることができる。本実施例では、図56に示すように、「右を狙え!」の文字の下に「右斜め下を指さす手」のイラストを配してなる画像を右打ち指示画像751とし、これを発光関連画像750の上方に表示するものとしている。この右打ち指示画像751の表示(右打ち指示演出)は、オープニング期間が終了するまで行われる。第1入球口発光演出とともに実行される右打ち指示演出のことを「第1右打ち指示演出」ともいう。
なお、図56に示すオープニング期間中の表示画面7aには、発光関連画像750及び右打ち指示画像751の他、図示しないオープニング演出の演出画像が表示される。
次に、ラウンド遊技の開始に際して実行される第2入球口発光演出について、図57及び図58を参照しながら説明する。図57は、大当り遊技の1ラウンド目(非Vラウンド)のラウンド遊技が開始されたときの遊技盤面(遊技領域3)の要部を示し、図58は、大当り遊技の7ラウンド目(Vラウンド)のラウンド遊技が開始されたときの遊技盤面(遊技領域3)の要部を示す。
第2入球口発光演出は、Vラウンド以外のラウンド(非Vラウンド)の開始に際して実行されるものと、Vラウンドの開始に際して実行されるものとがある。以下、非Vラウンドの開始に際して実行される第2入球口発光演出を「第2入球口発光演出A」と称し、Vラウンドの開始に際して実行される第2入球口発光演出を「第2入球口発光演出B」と称する。
第2入球口発光演出Aでは、装飾LEDが第2発光パターンで発光するとともに、発光関連画像が第2表示パターンで表示される。具体的には、図57に示すように、第1装飾LED5aと第2装飾LED5bのうち第1装飾LED5aだけが発光(点灯)する(第2発光パターン)。つまり、第2装飾LED5bは発光しない。また、第1装飾LED5aの発光とともに、表示画面7a(表示領域)のうち右下の領域(大入賞口に近い側)であって、第1大入賞口300(第1大入賞装置350)の上方に位置する箇所に、発光関連画像750が表示される(第2表示パターン)。第2表示パターンの発光関連画像750は、第1装飾LED5a(第1大入賞口300)からの光が拡散される様子を描いたエフェクト画像である。
図57では、大当り遊技の1ラウンド目の開始(第1大入賞口300の開放)に際して第2入球口発光演出Aが実行され、その後、1ラウンド目のラウンド遊技中(第1大入賞口300の開放中)も第2入球口発光演出Aが継続して実行される様子を示している。1ラウンド目以外の第1大入賞口300が開放するラウンド遊技(通常ラウンド遊技)についても同様に第2入球口発光演出Aが実行される。
第2入球口発光演出Aが実行されると、遊技領域3(右遊技領域3B)のうち第1大入賞口300(第1大入賞装置310)の周辺が第1装飾LED5aの白色光で照らされて明るくなり、その第1装飾LED5aによる照明の効果が発光関連演出表示(発光関連画像750)によって引き立てられる。これにより、第1大入賞口300(第1大入賞装置310)の周辺がひと際目立つようになり、第1大入賞口300の位置や第1大入賞口300が開放する(開状態となる)のをはっきりさせることが可能となる。
一方、第2入球口発光演出Bでは、装飾LEDが第3発光パターンで発光するとともに、発光関連画像が第3表示パターンで表示される。具体的には、図58に示すように、第1装飾LED5aと第2装飾LED5bのうち第2装飾LED5bだけが発光(点灯)する(第3発光パターン)。つまり、第1装飾LED5aは発光しない。また、第2装飾LED5bの発光とともに、表示画面7a(表示領域)のうち右下の領域(大入賞口に近い側)であって、第2大入賞口350(第2大入賞装置360)の上方に位置する箇所に、発光関連画像750が表示される(第3表示パターン)。第3表示パターンの発光関連画像750は、第2装飾LED5b(第2大入賞口350)からの光が拡散される様子を描いたエフェクト画像である。
図58では、大当り遊技の7ラウンド目(Vラウンド)の開始(第2大入賞口350の開放)に際して第2入球口発光演出Bが実行され、その後、7ラウンド目のラウンド遊技中(第2大入賞口350の開放中)も第2入球口発光演出Bが継続して実行される様子を示している。第2入球口発光演出Bが実行されるのは、7ラウンド目(Vラウンド)だけである。
第2入球口発光演出Bが実行されると、遊技領域3(右遊技領域3B)のうち第2大入賞口350(第2大入賞装置360)の周辺が第2装飾LED5bの白色光で照らされて明るくなり、その第2装飾LED5bによる照明の効果が発光関連演出表示(発光関連画像750)によって引き立てられる。これにより、第2大入賞口350(第2大入賞装置350)の周辺がひと際目立つようになり、第2大入賞口300の位置や第2大入賞口300が開放する(開状態となる)のをはっきりさせることが可能となる。
特に、第2大入賞口350は、大当り遊技後の高確率状態の発生有無の決定に関与するVアタッカーであり、遊技者にとっては、V通過予定大当りに係るVラウンドで遊技球を第2大入賞口350に必ず入球させる必要がある。この点、第2入球口発光演出Bの実行により、第2大入賞口350(Vアタッカー)への入球を逃す等、遊技者にとって不利な状況が発生するのを極力防ぐことが可能となる。
また、第2入球口発光演出(第2入球口発光演出A、第2入球口発光演出B)が実行されるラウンドでは、第2入球口発光演出とともに、右遊技領域3B(特定の領域)に向けて遊技球を発射すること(右打ち)を遊技者に指示する右打ち指示演出が実行される。
具体的には、演出制御用マイコン91は、主制御基板80からの1ラウンド目のラウンド開始コマンド(1R開始コマンド)を受信すると、1ラウンド目の開始前(オープニング期間)に行われていた第1右打ち指示演出に替わる右打ち指示演出(「第2右打ち指示演出」ともいう。)の実行を指示するコマンド(「第2右打ち指示演出コマンド」ともいう。)を副制御基板90のRAMの出力バッファにセットし、このセットしたコマンドをコマンド送信処理(S4006)により画像制御基板100に送信する。
画像制御用マイコン101は、受信した第2右打ち指示演出コマンドに対応する右打ち指示画像(「第2右打ち指示画像」ともいう。)の画像データを画像制御基板100のROMから読み出して、該読み出した画像データによる第2右打ち指示演出を画像表示装置7の表示画面7aに表示する。
第2右打ち指示画像は、例えば、右打ちの文字や右矢印その他右打ちを連想させる画像とすることができる。本実施例では、図57及び図58に示すように、「右打ち!」の文字の下に「右矢印」の図形を配してなる画像を第2右打ち指示画像752とし、これを表示画面7aの所定部位(本実施例では右上部)に表示するものとしている。この第2右打ち指示画像752の表示(第2右打ち指示演出)は、少なくとも大当り遊技が終了するまで行われる。
ここで、少なくとも大当り遊技が終了するまで継続的に表示される第2右打ち指示画像752は、表示位置が表示画面7aの外周寄りとされ、サイズ(大きさ)も第1右打ち指示画像751に比して小さいものとされている。これは、他の演出の妨げになることや、第1右打ち指示画像751の表示(第1右打ち指示演出)により右打ちを行うことを理解している遊技者に対し過度に右打ちの指示を行うことを回避するためである。逆に、第1右打ち指示画像751が第2右打ち指示画像752に比して目立つようにしているのは、これから右打ちを開始することを遊技者にアピールするためである。
また、図57及び図58に示すように、第2入球口発光演出(第2入球口発光演出A、第2入球口発光演出B)が実行されるラウンドでは、ラウンド遊技毎にラウンド数を示すラウンド数画像753が表示画面7aの所定部位(本実施例では左上部)に表示される。さらに第2入球口発光演出(第2入球口発光演出A、第2入球口発光演出B)が実行されるラウンドでは、発光関連画像750、右打ち指示画像752及びラウンド数画像753の他、図示しないラウンド演出の演出画像が表示される。
[実施例3の作用効果]
以上に説明した実施例3のパチンコ遊技機1では、大入賞口(特定の入球口)に遊技球を入球させる大当り遊技やラウンド遊技(特定遊技)の実行に際して、大入賞口の周辺を照らす装飾LED(発光体)が所定の発光態様で発光するとともに該発光と関連付けた発光関連画像が表示画面7aに表示される入球口発光演出が実行される。このため、遊技者は、特定遊技が実行される際、入球口発光演出を視認することで、遊技球を入球させるべき大入賞口(大入賞装置)の位置を確認することが可能となる。これにより、大当り遊技やラウンド遊技の実行(開始)に合わせて大入賞口の位置を分かりやすくすることが可能となる。
特に本実施例では、大入賞口300,350を開閉する開閉部材320,370が、盤面に対して垂直な前後方向に水平移動するものとなっている。このような前後方向に水平移動する開閉部材320,370は、前述の実施例1,2で示した前後方向へ回動する(起立状態と傾倒状態とに変化する)開閉部材32,37に比して、遊技盤面を一見しただけではその存在が分かり難く、遊技者によっては大入賞口(大入賞装置)の位置を把握しづらいといった欠点がある。遊技盤を正面視した場合において、前後方向に水平移動する開閉部材は、前後方向へ回動する開閉部材に比して厚みが薄いからである(図3、図56等を参照)。この点、実施例3のような入球口発光演出を実行することで、そうした欠点を補うことが可能となる。
また実施例3のパチンコ遊技機1では、大当り遊技中のラウンド遊技において、2つの大入賞口300,350の何れか一方が開放するのに合わせて、対応する入球口発光演出(第2入球口発光演出A又はB)が実行される。このため、開放対象の大入賞口(ラウンド)に応じた入球口発光演出を実行することが可能となる。これにより、2つの大入賞口を備えた遊技機の大当り遊技(ラウンド遊技)を効果的に演出することが可能となる。
また実施例3のパチンコ遊技機1では、入球口発光演出において、装飾LED(発光体)が白色で発光するとともに、発光関連画像が、装飾LEDからの白色の光が拡散される様子を描いたものとなっている。すなわち、装飾LEDの発光色と発光関連画像に含まれる色(表示色)とが同じ色(本実施例では白色)とされる。これにより、入球口発光演出を構成する装飾LEDの発光と発光関連画像の表示とに一体感を持たせ、入球口発光演出の視覚的効果を高めることが可能となる。
また実施例3のパチンコ遊技機1では、大当り遊技(ラウンド遊技)で大入賞口(特定の入球口)が閉状態(第1状態)から開状態(第2状態)に変化する際に、入球口発光演出が実行される。このため、大入賞口への遊技球の入球が可能となるタイミングに合わせて入球口発光演出を実行することが可能となる。これにより、閉状態(第1状態)と開状態(第2状態)とに変化可能な大入賞口への入球の確実性を増すことが可能となる。特に、その大入賞口がVアタッカーである場合、Vアタッカーへの入球の確実性が増すことは、遊技者にとって不利な状況が発生するのを防ぐことが可能となり、特に有益である。
また実施例3のパチンコ遊技機1では、遊技領域3のうち右遊技領域3B(特定の領域)を流下する遊技球が入球可能となる位置に大入賞口(特定の入球口)が設けられている。そして、入球口発光演出が実行される場合、右遊技領域3Bに向けて遊技球を発射することを指示する右打ち指示演出(第1右打ち指示演出、第2右打ち指示演出)が実行される。これにより、入球口発光演出の実行に合わせて遊技球の適切な発射を遊技者に促すことが可能となる。
なお、実施例3のパチンコ遊技機1は、第1装飾LED5a及び第2装飾LED5bの他にも、センター装飾体10等の盤部品に設けられた盤装飾用LED(盤面ランプ5)や前面枠51に設けられた枠装飾用LED(枠ランプ66)を備えている(図1、図5等を参照)。盤装飾用LED及び枠装飾用LEDの何れか一方又は両方を指して「他の装飾LED」又は「他の発光体」ともいう。そして、演出制御用マイコン91は、他の装飾LEDに係るランプデータを作成したり出力したりする等、他の装飾LEDについてもその駆動(発光)を制御することが可能である(S4202等を参照)。
これに関連し、実施例3において、第1装飾LED5a及び/又は第2装飾LED5bによる入球口発光演出を実行する場合、他の装飾LEDによるランプ演出(光演出)を通常に比して控え目としたり、他の装飾LEDによるランプ演出(光演出)の一部又は全部を停止したりする等、演出制御用マイコン91が他の装飾LEDの発光を抑制するように構成してもよい。
具体的には、例えば、入球口発光演出の実行中は、盤装飾用LEDの一部又は全部を消灯したり、盤装飾用LEDの一部又は全部の輝度を下げたりする等、入球口発光演出の非実行時に比して盤装飾用LEDの発光を抑制する制御を演出制御用マイコン91が行うように構成することができる。このような構成によれば、入球口発光演出が実行される間、盤装飾用LEDの発光が抑制されることで、遊技領域3の大入賞口周辺(近傍)における第1装飾LED5a及び/又は第2装飾LED5bの発光がより一層目立つようになり、入球口発光演出を際立たせることが可能となる。
また、入球口発光演出の実行中は、盤装飾用LEDに加えて、枠装飾用LEDの一部又は全部を消灯したり、枠装飾用LEDの一部又は全部の輝度を下げたりする等、入球口発光演出の非実行時に比して盤装飾用LEDの発光を抑制する制御を演出制御用マイコン91が行うように構成することもできる。このようにすれば、盤装飾用LEDだけでなく枠装飾用LEDの発光も抑制されるため、入球口発光演出をより一層際立たせることが可能となる。
なお、入球口発光演出が実行される場合の他の装飾LEDの発光抑制は、少なくとも盤装飾用LEDを対象に行えばよく、枠装飾用LEDは対象としてもしなくてもどちらでもよい。入球口発光演出は、少なくとも遊技盤2(遊技領域3)において展開される演出であり、盤装飾用LEDの発光を抑制すれば、第1装飾LED5aや第2装飾LED5bの発光を目立たせることは可能だからである。
また実施例3では、大入賞口が開放する大当り遊技やラウンド遊技の実行に際して入球口発光演出を実行するものとしていたが、大入賞口以外の入球口を対象として入球口発光演出を実行することも可能である。例えば、当り普通図柄の停止表示に基づいて第2始動口21(可変式始動口)が開放する補助遊技(普図当り遊技)の実行に際して入球口発光演出を実行するように構成してもよい。このような構成によれば、補助遊技(普図当り遊技)で開放する第2始動口21の位置を分かりやすくすることが可能となる。なお、この場合、補助遊技(普図当り遊技)が「特定遊技」の一例に相当する。
また、入球口発光演出の対象となる入球口(特定の入球口)は、大入賞口等の可変式の入球口の他、第1始動口20や一般入賞口27等の非可変式の入球口とすることも可能である。例えば、第1始動口20の周辺(近傍)を照らす装飾LEDを設け、この装飾LEDを発光させる入球口発光演出を、遊技状態が高ベース状態(右打ち遊技状態)から低ベース状態(左打ち遊技状態)へ移行する際に実行するようにしてもよい。こうすれば、遊技者が遊技球の発射態様(発射ハンドルの操作態様)を左打ちに戻して第1始動口20への入球を狙う際、その狙いどころとなる第1始動口20の位置を分かりやすくすることが可能となり、また、左打ち遊技状態に移行する際(左打ちに戻す際)の演出効果を高めることが可能となる。
また実施例3では、第2入球口発光演出(第2入球口発光演出A,B)において、第1装飾LED5aと第2装飾LED5bのうち一方が発光(点灯)し他方が発光しない(消灯する)ものとしていたが、第1装飾LED5aと第2装飾LED5bのうち一方が他方よりも明るくなる(又は一方が他方よりも暗くなる)ように、第1装飾LED5aと第2装飾LED5bの両方を発光させるようにしてもよい。これによっても、2つの大入賞口300,350のうち開放する大入賞口に対応する装飾LEDの発光を目立たせることが可能である。
また実施例3の入球口発光演出は、V確機の他、図柄確変機にも適用可能であり、V確機や図柄確変機で小当り遊技を備えたタイプのパチンコ遊技機にも適用可能である。V確機や図柄確変機で小当り遊技を備える場合、小当り遊技で開放する大入賞口(小当り用アタッカー)を対象として入球口発光演出を実行することも可能である。さらに入球口発光演出は、1種2種混合機にも適用可能である。
以上、本発明の実施の形態として実施例1~3を説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することが可能である。
例えば、前述の実施例では、大当り遊技の7ラウンド目をVラウンド(特定ラウンド遊技)としていたが、Vラウンドを実行するラウンドはどのラウンドでもよく、また、実行回数も2回以上としてもよい。
また前述の実施例では、V通過予定大当りに係る大当り遊技のVラウンドにおいて、可動片150が第1作動を実行(開始)する都度、V有効期間を開始(設定)するものとしていた(S2704、S2708)。これに対し、V通過予定大当りに係る大当り遊技のVラウンドでは、可動片150の第1作動を2回行うことが前提であることから、1回目の第1作動を契機にV有効期間を開始(設定)した後、可動片150が第2作動を実行するまで(非作動状態になるまで)、V有効期間を維持するようにしてもよい。こうすれば、V有効期間の開始(設定)を1回だけ行えばよいので、Vラウンドの実行制御の簡略化が図れるようになる。
また前述の実施例では、Vラウンドでの可動片150の作動パターンとして、特定領域39を80ms開放させる短開放パターン(特定領域39への遊技球の通過可能性が相対的に低い作動パターン)と、特定領域39を最大23000ms作動させる長開放パターン(特定領域39への遊技球の通過可能性が相対的に高くなる作動パターン)との2種類を備えていたが、これより多くの作動パターンを備えるものとしてもよい。例えば、特定領域39を500ms開放させるパターン、特定領域39を1000ms開放させるパターン、特定領域39を2000ms開放させるパターン、特定領域39を5000ms開放させるパターンなど、特定領域39への遊技球の通過可能性が更に細かく変化し得る種々の作動パターンを設けることも可能である。つまり、作動状態にある可動片150の第2作動の実行契機となるVアタッカーへの入球数(第3所定値C3)を、それら特定領域39の開放時間を考慮して細かく(複数)設定することも可能である。こうすれば、VラウンドでのV通過可能性を多様に設定することが可能となり、これによりVラウンドの興趣の向上を図ることが可能となる。
また前述の実施例では、V通過予定大当りとV非通過予定大当りの双方のVラウンドにおいて、Vアタッカーへの入球数(入球数計数手段による計数値)が「1」となった場合に、可動片150の1回目の第1作動を短開放パターンで行うものとしていたが、V通過予定大当りについては、短開放パターンによる可動片150の第1作動を設けなくてもよい。V通過予定大当りは、VラウンドでのV通過を前提とする大当りだからである。
また、前述の実施例では、Vラウンド中のVアタッカー(第2大入賞口35)への入球数に基づいて可動片150の作動制御を行い、可動片150の作動パターン(短開放パターン又は長開放パターン)によってV通過可能性を異ならせる(V通過容易又はV通過困難とする)ものとしていた。これに対し、Vアタッカー開放パターンとして、Vアタッカーへの入球が困難となる短開放パターンと、Vアタッカーへの入球が容易となる長開放パターンを設けることも可能であり、このような構成を備えた遊技機にも本発明は適用可能である。
また前述の実施例では、大当り遊技のラウンド数として「7R」と「15R」の2種類を有するものとしていたが、ラウンド数はこれに限定されるものではなく、また、ラウンド数の種類(つまり、大当りの種類)も3種類以上としたり、あるいは、1種類だけとしたりすることが可能である。さらに、第1大入賞口30および第2大入賞口35(Vアタッカー)の開放パターンも前述の実施例に限定されるものではなく、例えば、1ラウンドあたりの開放時間や開放回数、各ラウンドで開放させる大入賞口の種類、開放順序等は、種々の態様を採ることが可能である。
また前述の実施例では、大当り遊技中のVラウンドで遊技球が特定領域39を通過したことに基づいて、高確率状態を発生させるという遊技上の特典を遊技者に付与するものを例示したが、本発明でいう特典は高確率状態の発生に限られるものではない。例えば、始動口への遊技球の入球頻度を高くする高ベース状態や、識別情報の変動時間を通常より短くする変動時間短縮状態(時短状態)等、遊技者に何らかの利益を付与するものであれば、その特典の内容(種類)は問わない。また、遊技球が特定領域を通過したことに基づいて、一の特典を付与するものであっても複数の特典を付与するものであってもよい。
また前述の実施例では、遊技球が特定領域を通過したことに基づいて確変カウンタにセットする値を「100」とし、高確率状態での特別図柄当否判定の実行回数が「100」になると、次回以降の特別図柄当否判定が低確率状態で行われることとなる仕様、すなわち、次回大当り発生まで高確率状態が保証されるとは限らない仕様の遊技機(所謂「V確ST機」)としていたが、確変カウンタにセットする値は、遊技機の仕様(スペック)に応じて適宜設定することが可能である。
例えば、遊技球が特定領域を通過したことに基づいて高確率状態を発生させるにあたり、確変カウンタに「10000」をセットして、特別図柄当否判定の実行回数が10,000回になるまで(実質的に次回の大当りが発生するまで)高確率状態が保証される仕様の遊技機(所謂「V確ループ機」)にも本発明は適用可能である。あるいは、確変カウンタの他に、例えば、高確率状態での大当りの発生回数を計数するカウンタ(大当りカウンタ)を設け、大当り発生回数(大当りカウンタのカウント値)が所定回数(例えば「5」)になると、その所定回数目(例えば「5回目」)の大当りに係る大当り遊技の終了後は必ず(強制的に)低確率状態になる仕様の遊技機(所謂「V確セット機」)にも本発明は適用可能である。
また、前述の実施例では、第2特図保留の消化(第2特別図柄の変動表示)を第1特図保留の消化(第1特別図柄の変動表示)に優先して行う構成(いわゆる「優先消化」、「優先変動」)としていたが、これに限定されるものではない。例えば、第1特図保留の消化(第1特別図柄の変動表示)と第2特図保留の消化(第2特別図柄の変動表示)を始動入球順に行う構成や、第1特図保留の消化と第2特図保留の消化とを並行して行う構成(いわゆる「同時消化」、「同時変動」)としてもよい。また、第1特図保留の消化(第1特別図柄の変動表示)を第2特図保留の消化(第2特別図柄の変動表示)に優先して行う構成としてもよい。
また前述した実施例では、確率変動機能の非作動・作動により、大当り確率を低確率(第1確率)または高確率(第2確率)に設定可能としていたが、大当り確率の種類(数)はこれに限定されるものではなく、例えば、低確率(第1確率)よりも高く高確率(第2確率)よりも低い中確率(第3確率)等、3種類以上の確率を設定可能としてもよい。さらに、第1低確率と第1高確率(第1確率条件)、第2低確率と第2高確率(第2確率条件)、第3低確率と第3高確率(第3確率条件)など、低確率と高確率との関係を定めた複数種の確率条件を設け、当該複数種の確率条件のうちの何れかを、例えば、遊技機の電源投入時に任意に設定可能(選択可能)としてもよい。
[その他]
以下、本明細書で開示した実施形態(実施例)に関連する発明を参考発明として開示しておく。
(参考発明1)
従来、大当り判定において大当りと判定されたことに基づいて実行される大当り遊技中に遊技球がVアタッカー内の特定領域を通過すると、大当りと判定される確率が通常よりも高くなる確率変動状態を生起させる遊技機が知られている。この種の遊技機は、Vアタッカーに入球した遊技球を特定領域又は非特定領域に振り分ける機構を備える。具体的には、例えば、Vアタッカーの内部に特定領域を開閉する蓋部材が設けられ、蓋部材が開放位置に移動すると、特定領域が開放状態となって特定領域への遊技球の通過が可能となり、蓋部材が閉鎖位置に戻ると、特定領域が閉鎖状態となって特定領域への遊技球の通過が不能となる。そして、特定領域が開放状態となる時間(開放時間)の長短により、特定領域への遊技球の通過可能性(通過率)が高くなったり低くなったりする(例えば、特開2012-245172号公報を参照)。
上述のような特定領域を備えた遊技機では、特定領域が開放状態となる際の開放時間が相対的に長い場合に遊技球が特定領域を通過するのは当然であるところ、その開放時間が相対的に短い場合にも、遊技球が特定領域を通過することが起こり得る。つまり、特定領域への遊技球の通過には、正常な通過とそうでない通過とが存在する。このため、遊技球が特定領域を通過した場合、その通過が正常な通過であるか否かを確認できるようにすることが望ましい。
本参考発明1は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、遊技球が特定領域を通過した場合の当該通過が正常な通過であるか否かを確認可能な遊技機を提供することにある。
参考発明1-1の遊技機は、
遊技球検知に基づいて判定を実行可能な判定手段と、
前記判定が実行されるときの遊技状態を制御可能な遊技状態制御手段と、
前記判定の結果が特定結果である場合に、遊技者に所定の遊技利益が付与され得る特別遊技を実行可能な特別遊技実行手段と、
前記特別遊技中に遊技球の入球が可能となる特別入球口と、
前記特別入球口に入球した遊技球を特定領域又は特定領域以外の領域に振り分ける振分手段と、
前記振分手段の作動を制御可能な振分作動制御手段と、
前記特定領域への遊技球の通過に関する所定報知を実行可能な所定報知実行手段と、を備え、
前記遊技状態には、第1遊技状態と、前記第1遊技状態よりも有利な第2遊技状態と、があり、
前記遊技状態制御手段は、
前記特別遊技にて前記特別入球口に入球した遊技球が前記特定領域を通過しなかった場合、当該特別遊技後の遊技状態を前記第1遊技状態とし、
前記特別遊技にて前記特別入球口に入球した遊技球が前記特定領域を通過した場合、当該特別遊技後の遊技状態を前記第2遊技状態とし、
前記振分手段の作動態様には、第1作動態様と、前記第1作動態様よりも遊技球が前記特定領域に振り分けられやすい第2作動態様とがあり、
前記振分作動制御手段は、前記特別遊技中に前記振分手段を前記第1作動態様で作動させる場合と前記第2作動態様で作動させる場合とがあり、
前記所定報知実行手段は、
前記特別遊技中に前記振分手段が前記第2作動態様で作動せず前記第1作動態様で作動し且つ遊技球が前記特定領域を通過する第1通過状況が発生した場合、当該第1通過状況が発生した後の所定期間、当該第1通過状況の発生を報知する第1所定報知を実行可能であり、
前記特別遊技中に前記振分手段が前記第2作動態様で作動し且つ遊技球が前記特定領域を通過する第2通過状況が発生した場合、当該第2通過状況が発生した後の所定期間、当該第2通過状況の発生を報知する第2所定報知を実行可能である
ことを特徴とするものである。
このような遊技機によれば、特別入球口への遊技球の入球が可能となる特別遊技中に、振分手段が第2作動態様で作動せず第1作動態様で作動し且つ遊技球が特定領域を通過する第1通過状況が発生した場合、当該第1通過状況が発生した後の所定期間、当該第1通過状況の発生を報知する第1所定報知が実行可能となっている。また、特別遊技中に振分手段が第2作動態様で作動し且つ遊技球が特定領域を通過する第2通過状況が発生した場合、当該第2通過状況が発生した後の所定期間、当該第2通過状況の発生を報知する第2所定報知が実行可能となっている。このため、第1通過状況又は第2通過状況が発生した後の所定期間において、遊技者や遊技ホール関係者等は、第1通過状況又は第2通過状況の発生を確認することが可能となる。ここで、第1通過状況は、遊技球が特定領域に振り分けられる可能性が相対的に低いにもかかわらず、遊技球が特定領域を通過する状況であり、正常な通過状況でないといえる。一方、第2通過状況は、遊技球が特定領域に振り分けられる可能性が相対的に高いなかで遊技球が特定領域を通過する状況であり、正常な通過状況であるといえる。これにより、遊技球が特定領域を通過した場合の当該通過が正常な通過であるか否かを、第1所定報知又は第2所定報知を通じて確認することが可能となる。
参考発明1-2の遊技機は、前述した参考発明1-1の遊技機において、
前記判定には、所定の第1判定入球口に入球した遊技球の検知に基づいて実行される第1判定と、所定の第2判定入球口に入球した遊技球の検知に基づいて実行される第2判定とがあり、
前記特別遊技実行手段は、前記第1判定又は前記第2判定の結果が前記特定結果である場合に前記特別遊技を実行可能であり、
前記特別遊技が実行された場合の当該特別遊技の実行契機が前記第1判定と前記第2判定の何れであるのかを報知する判定報知を実行可能な判定報知実行手段を備え、
前記判定報知実行手段は、少なくとも、前記第1通過状況が発生した後の所定期間、前記判定報知を実行可能である
ことを特徴とするものである。
このような遊技機によれば、第1判定入球口に入球した遊技球の検知(第1判定入球口への入球検知)に基づいて実行される第1判定の結果または第2判定入球口に入球した遊技球の検知(第2判定入球口への入球検知)に基づいて実行される第2判定の結果が特定結果である場合に特別遊技が実行される。そして、特別遊技が実行された場合の当該特別遊技の実行契機が第1判定と第2判定の何れであるのかを報知する判定報知が、少なくとも、第1通過状況が発生した後の所定期間に実行可能となっている。このため、正常な通過状況でない第1通過状況(換言すると、正常でない通過状況)が発生した場合、遊技者や遊技ホール関係者等は、その第1通過状況が発生したときの特別遊技が第1判定と第2判定の何れによるものであるのかを確認することが可能となる。これにより、第1通過状況が発生したときの遊技の状況をより詳しく確認することが可能となる。
参考発明1-3の遊技機は、前述した参考発明1-1又は1-2の遊技機において、
前記特別遊技中に遊技球が前記特定領域を通過したことに基づいて通過演出を実行可能な通過演出実行手段を備え、
前記通過演出実行手段は、
前記特別遊技中に前記振分手段が前記第2作動態様で作動せず前記第1作動態様で作動して遊技球が前記特定領域を通過した場合、当該通過に基づく前記通過演出を実行不能であり、
前記特別遊技中に前記振分手段が前記第2作動態様で作動して遊技球が前記特定領域を通過した場合、当該通過に基づく前記通過演出を実行可能である
ことを特徴とするものである。
このような遊技機によれば、特別遊技中に遊技球が特定領域を通過したことに基づいて通過演出が実行可能となっている。そして、特別遊技中に振分手段が第2作動態様で作動せず第1作動態様で作動したにもかかわらず遊技球が特定領域を通過した場合(つまり、第1通過状況が発生した場合)、当該通過に基づく通過演出は実行されない。一方、特別遊技中に振分手段が第2作動態様で作動して遊技球が特定領域を通過した場合(つまり、第2通過状況が発生した場合)、当該通過に基づく通過演出が実行される。このため、正常な通過状況でない第1通過状況については、特定領域への遊技球通過の発生をアピールしないようにする一方、正常な通過状況である第2通過状況については、特定領域への遊技球通過の発生をアピールすることが可能となる。これにより、特定領域への遊技球通過を適切に演出することが可能となる。
以上の本参考発明1によれば、遊技球が特定領域を通過した場合の当該通過が正常な通過であるか否かを確認可能な遊技機を提供することが可能である。
(参考発明2)
従来、図柄変動ゲーム(当り抽選)で大当りに当選したことに基づく大当り遊技の終了後、大当りの当選確率を低確率から高確率に変動させる確変状態を生起させることが可能な遊技機において、確率状態である可能性があることを遊技者に報知する潜伏演出モードを含む演出モードを設定可能としたものが知られている(例えば特許文献1を参照)。潜伏演出モードは、確率状態であるか否かを遊技者に判別させ難くして確変状態を潜伏させるゲーム性を作り出すことを可能にする演出モードである。また、特許文献1に記載の遊技機では、確率状態であることを遊技者に報知する確変演出モードも設定可能である。(例えば、特開2013-9841号公報を参照)。
しかしながら、潜伏演出モードのように確変状態を潜伏させるゲーム性は既に多くの遊技機で採用されており、遊技興趣を向上させるには更なる改善の余地がある。
本参考発明2は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、遊技興趣を向上させた遊技機を提供することにある。
参考発明2-1の遊技機は、
識別情報の変動表示の表示結果として特定表示結果が導出されたことに基づいて、遊技者に所定の遊技利益を付与する特別遊技が実行可能となる遊技機であって、
前記変動表示が実行される遊技状態を制御可能な遊技状態制御手段と、
前記変動表示に伴う演出が実行される演出モードを制御可能な演出モード制御手段と、を備え、
前記特定表示結果には、第1特定表示結果と第2特定表示結果とがあり、
前記遊技状態には、前記特定表示結果が導出される確率が所定確率とされる第1遊技状態と、前記確率が前記所定確率よりも高い確率とされる第2遊技状態とがあり、
前記第1遊技状態に対応する演出モードには、少なくとも第1演出モードがあり、
前記遊技状態制御手段は、
前記第1特定表示結果が導出されたことに基づく前記特別遊技後の前記遊技状態として前記第1遊技状態を設定し、
前記第2特定表示結果が導出されたことに基づく前記特別遊技後の前記遊技状態として前記第2遊技状態を設定し、
前記演出モード制御手段は、前記特別遊技後の前記演出モードとして、
前記第1遊技状態且つ前記第1演出モードで前記第1特定表示結果が導出されてこれに基づく前記特別遊技後の前記遊技状態が前記第1遊技状態に設定される場合、前記第1演出モードと異なる第2演出モードを設定し、
前記第1遊技状態且つ前記第1演出モードで前記第2特定表示結果が導出されてこれに基づく前記特別遊技後の前記遊技状態が前記第2遊技状態に設定される場合、前記第1演出モード及び前記第2演出モードと異なる第3演出モードを設定し、
前記第2遊技状態且つ前記第3演出モードで前記第1特定表示結果が導出されてこれに基づく前記特別遊技後の前記遊技状態が前記第1遊技状態に設定される場合、前記第3演出モードを設定し、
前記第2遊技状態且つ前記第3演出モードで前記第2特定表示結果が導出されてこれに基づく前記特別遊技後の前記遊技状態が前記第2遊技状態に設定される場合、前記第3演出モードを設定する
ことを特徴とするものである。
このような遊技機によれば、遊技状態が第1遊技状態であり演出モードが第1演出モードであるとき(第1遊技状態且つ第1演出モード)に、変動表示の表示結果として第1特定表示結果が導出されると、これを契機に特別遊技後の遊技状態が第1遊技状態になるとともに演出モードが第2演出モードになる(第1遊技状態且つ第2演出モード)。また、第1遊技状態且つ第1演出モードにおいて、変動表示の表示結果として第2特定表示結果が導出されると、これを契機に特別遊技後の遊技状態が第2遊技状態になるとともに演出モードが第3演出モードになる(第2遊技状態且つ第3演出モード)。つまり、第1遊技状態且つ第1演出モードで特定表示結果が導出された場合、その特定表示結果が第2特定表示結果である場合(換言すると、遊技状態が第1遊技状態から第2遊技状態に移行する場合)に限り、第3演出モードに移行する。この場合の第3演出モードは、第2遊技状態であることが確定する演出モードである。
一方、遊技状態が第2遊技状態であり且つ演出モードが第3演出モードであるとき(第2遊技状態且つ第3演出モード)に、変動表示の表示結果として第1特定表示結果が導出されると、これを契機に特別遊技後の遊技状態が第1遊技状態になるとともに演出モードが第3演出モードになる(第1遊技状態且つ第3演出モード)。また、第2遊技状態且つ第3演出モードにおいて、変動表示の表示結果として第2特定表示結果が導出されると、これを契機に特別遊技後の遊技状態が第2遊技状態になるとともに演出モードが第3演出モードになる(第2遊技状態且つ第3演出モード)。つまり、第3演出モードで特定表示結果が導出された場合、その特定表示結果の種類(換言すると、特別遊技後の遊技状態の種類)にかかわらず、第3演出モードが維持される。この場合の第3演出モードは、第2遊技状態であることが不確定な(第2遊技状態であるか否かが分からない)演出モードである。
このように、同じ第3演出モードであっても、第3演出モードの設定契機となる特定表示結果が導出されたときの遊技状態及び演出モードに応じて、第3演出モードの持つ意味合いが異なるものとなる。これにより、同じ演出モード(第3演出モード)を利用して、第2遊技状態であることが確定する安心感と、第2遊技状態であるか否かが分からないドキドキ感を遊技者に与えることが可能となり、延いては、遊技興趣を向上させることが可能となる。
参考発明2-2の遊技機は、前述した参考発明2-1の遊技機において、
前記演出モード制御手段は、前記特別遊技後の前記演出モードとして、
前記第1遊技状態且つ前記第3演出モードで前記第1特定表示結果が導出されてこれに基づく前記特別遊技後の前記遊技状態が前記第1遊技状態に設定される場合、前記第3演出モードを設定し、
前記第1遊技状態且つ前記第3演出モードで前記第2特定表示結果が導出されてこれに基づく前記特別遊技後の前記遊技状態が前記第2遊技状態に設定される場合、前記第3演出モードを設定する
ことを特徴とするものである。
このような遊技機によれば、第1遊技状態且つ第3演出モードにおいて、変動表示の表示結果として第1特定表示結果が導出されると、これを契機に特別遊技後の遊技状態が第1遊技状態になるとともに演出モードが第3演出モードになる(第1遊技状態且つ第3演出モード)。また、第1遊技状態且つ第3演出モードにおいて、変動表示の表示結果として第2特定表示結果が導出されると、これを契機に特別遊技後の遊技状態が第2遊技状態になるとともに演出モードが第3演出モードになる(第2遊技状態且つ第3演出モード)。つまり、第1遊技状態且つ第3演出モードで特定表示結果が導出された場合、その特定表示結果の種類(換言すると、特別遊技後の遊技状態の種類)にかかわらず、第3演出モードが維持される。この場合の第3演出モードは、第2遊技状態であることが不確定な(第2遊技状態であるか否かが分からない)演出モードである。
このため、一度第3演出モードとなった後、第3演出モードで特定表示結果の導出が繰り返される(所謂「連荘」する)限り、遊技者は、第2遊技状態であるか否かが分からない状況下で遊技を進めることとなる。これにより、第3演出モードとなってからの遊技興趣をより一層向上させることが可能となる。
参考発明2-3の遊技機は、前述した参考発明2-1又は2-2の遊技機において、
前記演出モード制御手段は、前記特別遊技後の前記演出モードとして、
前記第1遊技状態且つ前記第2演出モードで前記第1特定表示結果が導出されてこれに基づく前記特別遊技後の前記遊技状態が前記第1遊技状態に設定される場合、前記第2演出モードを設定し、
前記第1遊技状態且つ前記第2演出モードで前記第2特定表示結果が導出されてこれに基づく前記特別遊技後の前記遊技状態が前記第2遊技状態に設定される場合、前記第3演出モードを設定する
ことを特徴とするものである。
このような遊技機によれば、第1遊技状態且つ第2演出モードにおいて、変動表示の表示結果として第1特定表示結果が導出されると、これを契機に特別遊技後の遊技状態が第1遊技状態になるとともに演出モードが第2演出モードになる(第1遊技状態且つ第2演出モード)。また、第1遊技状態且つ第2演出モードにおいて、変動表示の表示結果として第2特定表示結果が導出されると、これを契機に特別遊技後の遊技状態が第2遊技状態になるとともに演出モードが第3演出モードになる(第2遊技状態且つ第3演出モード)。つまり、第1遊技状態且つ第2演出モードで特定表示結果が導出された場合、その特定表示結果が第2特定表示結果である場合(遊技状態が第1遊技状態から第2遊技状態に移行する場合)に限り、第3演出モードに移行する。このため、第2演出モードから第3演出モードに移行した場合も、その第3演出モードは、第2遊技状態であることが確定する演出モードとなる。これにより、第2演出モードから第3演出モードに移行した場合に第2遊技状態であることが確定する安心感を遊技者に与えることが可能となる。
参考発明2-4の遊技機は、前述した参考発明2-1から2-3の何れか一つの遊技機において、
前記演出モード制御手段は、
前記第1遊技状態且つ前記第3演出モードで前記特定表示結果が導出されることなく所定回数の前記変動表示が実行されると、前記第3演出モードを終えて前記第1演出モードを設定する
ことを特徴とするものである。
このような遊技機によれば、第1遊技状態且つ第3演出モードにおいて、変動表示の表示結果として特定表示結果が導出されることなく所定回数の変動表示が実行されると、当該所定回数目の変動表示の実行を契機として第3演出モードが終了し、第1演出モードに移行する。つまり、第1遊技状態且つ第1演出モードに戻る。このため、第3演出モードの終期を明確にすることが可能となる。これにより、第3演出モードでの遊技が徒に続くことのないようにして、遊技にメリハリを持たせることが可能となる。
以上の本参考発明2によれば、遊技興趣を向上させた遊技機を提供することが可能である。
(参考発明3)
従来、遊技盤の表面に形成された遊技領域を流下する遊技球が入球可能な複数の入球口を備え、遊技状態に応じて遊技球を遊技領域の左右に打ち分けるように構成された遊技機が知られている(例えば特許文献1を参照)。この種の遊技機が備える複数の入球口には、例えば、特許文献1に記載の第2始動入賞口や特別入賞口等のように、特定条件が成立した場合に遊技球を入球させる入球口(「特定の入球口」ともいう。)が含まれる。
昨今の遊技機は、遊技盤の略中央に位置する表示画面の大型化や盤面装飾の多様化等の影響により、前述のような特定の入球口の位置が分かり難いものがある。このため、遊技者によっては特定入球口を見つけることが難しいこともあり、特定の入球口に遊技球を速やかに入球させることができない等、遊技者に不利益をもたらす虞がある。
本参考発明3は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、特定の入球口の位置を分かりやすくした遊技機を提供することにある。
参考発明3-1の遊技機は、
遊技盤に向けて遊技球を発射して遊技を行う遊技機であって、
前記遊技盤の表面側から視認可能な表示画面と、
前記遊技盤の表面に形成された遊技領域を流下する遊技球が入球可能な複数の入球口と、
前記複数の入球口のうち特定の入球口の周辺を照らすことが可能な発光体と、
遊技の進行を制御する遊技制御手段と、
遊技に伴う演出を制御可能な演出制御手段と、を備え、
前記遊技制御手段は、前記特定の入球口に遊技球を入球させる特定遊技を実行可能であり、
前記演出制御手段は、前記特定遊技の実行に際し、前記発光体を所定の発光態様で発光させるとともに該発光と関連付けた発光関連画像を前記表示画面に表示させる入球口発光演出を実行可能である
ことを特徴とするものである。
このような遊技機によれば、特定の入球口に遊技球を入球させる特定遊技の実行に際して入球口発光演出が実行される。入球口発光演出は、特定の入球口の周辺を照らす発光体が所定の発光態様で発光するとともに該発光と関連付けた発光関連画像が表示画面に表示される演出である。このため、遊技者は、特定遊技が実行される際、入球口発光演出を視認することで、特定遊技で遊技球を入球させるべき入球口(特定の入球口)の位置を確認することが可能となる。これにより、特定遊技の実行に合わせて特定の入球口の位置を分かりやすくすることが可能となる。
参考発明3-2の遊技機は、前述した参考発明3-1の遊技機において、
前記所定の発光態様は、前記発光体を所定の色で発光させる態様を含み、
前記発光関連画像は、前記発光体の発光色と同じ色を含む
ことを特徴とするものである。
このような遊技機によれば、入球口発光演出において、発光体の発光色と発光関連画像に含まれる色(表示色)とが同じ色とされる。これにより、入球口発光演出を構成する発光体の発光と発光関連画像の表示とに一体感を持たせ、入球口発光演出の視覚的効果を高めることが可能となる。
参考発明3-3の遊技機は、前述した参考発明3-1又は3-2の遊技機において、
前記特定の入球口は、遊技球の入球が不能な第1状態と遊技球の入球が可能な第2状態とに変化可能であって、前記特定遊技の実行により前記第2状態となるものであり、
前記演出制御手段は、前記特定の入球口が前記第2状態となる際に前記入球口発光演出を実行可能である
ことを特徴とするものである。
このような遊技機によれば、特定遊技で遊技球を入球させる特定の入球口は、遊技球の入球が不能な第1状態と遊技球の入球が可能な第2状態とに変化可能な入球口(可変入球口)として構成される。そして、特定遊技の実行により特定の入球口が第1状態から第2状態に変化する際に、入球口発光演出が実行される。このため、特定の入球口への遊技球の入球が可能となるタイミングに合わせて入球口発光演出を実行することが可能となる。これにより、第1状態と第2状態とに変化可能な特定の入球口(可変入球口)への入球の確実性を増すことが可能となる。
参考発明3-4の遊技機は、前述した参考発明3-1から3-3の何れか一つの遊技機において、
前記特定の入球口は、前記遊技領域のうち特定の領域を流下する遊技球が入球可能となる位置に設けられており、
前記演出制御手段は、前記入球口発光演出を実行する場合、前記特定の領域に向けて遊技球を発射することを指示する指示演出を実行可能である
ことを特徴とするものである。
このような遊技機によれば、遊技領域のうち特定の領域を流下する遊技球が入球可能となる位置に特定の入球口が設けられる。そして、入球口発光演出が実行される場合、特定の領域に向けて遊技球を発射することを指示する指示演出が実行される。これにより、入球口発光演出の実行に合わせて遊技球の適切な発射を促すことが可能となる。
参考発明3-5の遊技機は、前述した参考発明3-1から3-4の何れか一つの遊技機において、
前記発光体とは別に装飾用の他の発光体を備え、
前記演出制御手段は、前記入球口発光演出を実行する場合、前記他の発光体の発光を抑制可能である
ことを特徴とするものである。
このような遊技機によれば、入球口発光演出が実行される場合、特定の入球口周辺を照らす発光体とは別に設けられた装飾用の発光体(他の発光体)の発光が抑制されるようになる。これにより、入球口発光演出を際立たせることが可能となり、延いては、特定の入球口の位置をより分かりやすくすることが可能となる。
以上の参考発明3によれば、特定の入球口の位置を分かりやすくした遊技機を提供することが可能である。