JP7122647B2 - 距離測定装置、距離測定システムおよび距離測定方法 - Google Patents

距離測定装置、距離測定システムおよび距離測定方法 Download PDF

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Description

本発明は、応答側の装置との間で測距信号を送受信することにより、前記応答側の装置と自装置との間の距離を測定する距離測定装置、距離測定システムおよび距離測定方法に関するものである。
近年、GPS(Global Positioning System)など衛星測位システムを利用して位置を測定する技術が広く普及しているが、この衛星測位システムを利用できない場合がある。例えば、宇宙探査で地球以外の天体では、既存の衛星測位システムがそもそもない。また、地球上でも森林、地下空間、深海などでは、衛星電波が届かないため、衛星測位システムを利用できない。しかしながら、このような衛星測位システムを利用できない場所でも、人物や車両などの移動体や建造物の位置を測定したいという要望は多い。
このような要望に対して、衛星測位システムを利用することなく、測位を行うには、3台の基準点となる装置との間の距離を測定して、3点測量法により、自装置の位置を測定すればよい。また、2つの装置の間の距離を測定するには、2つの装置の間での電波伝搬時間を測定して、その電波伝搬時間に電波伝搬速度(光速)を乗算することで、2つの装置の間の距離を算出することができる。
ここで、2つの装置の間での電波伝搬時間を取得するには、距離測定装置と応答側の装置との間で、パルス状の測距信号を送受信して、その測距信号の往復に要する時間を測定すればよい。このとき、利用する周波数帯の帯域幅が狭いと、パルスの波形に鈍りが発生するため、電波伝搬時間の精度が低下する。このため、連続した広い帯域幅の周波数帯を利用して多数の周波数を含む信号を送信することが望まれる。
しかしながら、現状は無線通信に適した周波数帯は既に様々な用途に割り振られているため、連続した広い帯域幅の周波数を使用するには、UWB(超広帯域無線:Ultra Wide Band)のように、単位周波数あたりの電力密度を極度に小さくするか、数十GHz以上の高周波数帯を使用するしかない。ところが、電力密度を小さくすると、電波伝送距離が小さくなり、また、高周波数帯も、距離減衰が大きいため電波伝送距離が小さくなり、いずれも測定可能な距離が短くなるという問題がある。
一方、周波数が比較的低い領域でも、帯域幅が狭いものでよければ、利用可能な周波数帯が離散的に存在し、地域や時間を限定すれば更に多くの利用可能な周波数帯が存在する。そこで、このような狭い帯域幅の周波数帯を複数利用することが考えられる。これにより、連続した広い帯域幅の周波数帯を利用した場合と同程度の精度を確保できることが期待される。また、周波数が比較的低いため、距離減衰が小さくなり、測定可能な距離が短くなるという問題も解消することができる。
このような複数の異なる周波数帯を利用する技術として、複数の周波数の信号の位相差を検出して、その位相差から距離を測定する技術が知られている(特許文献1,2参照)。
国際公開第2008/029812号 特許第5407856号公報
しかしながら、前記従来の技術では、複数の周波数を利用しているが、単一の周波数の信号を複数送信して、その位相差を検出しているだけであり、連続した広い帯域幅の周波数帯を利用して多数の周波数を含む信号を送信する場合と同等の精度を確保することができないという問題があった。
そこで、本発明は、離散した複数の狭い周波数帯を利用して測距信号を送信する場合でも、連続した広い帯域幅の周波数帯を利用した場合と同等の測定精度を確保することができる距離測定装置、距離測定システムおよび距離測定方法を提供することを主な目的とする。
本発明の距離測定装置は、応答側の装置との間で測距信号を送受信することにより、前記応答側の装置と自装置との間の距離を測定する距離測定装置であって、自発の測距信号を送信する送信部と、前記応答側の装置から送信される応答の測距信号を受信する受信部と、前記自発の測距信号および前記応答の測距信号のタイミングに基づいて、前記距離を測定する制御部と、を備え、前記送信部は、前記自発の測距信号として、周波数帯が異なり且つ複数の周波数を含む狭帯域信号を複数送信し、前記受信部は、前記応答の測距信号として、周波数帯が異なり且つ複数の周波数を含む狭帯域信号を複数受信し、前記制御部は、各周波数帯の前記狭帯域信号に含まれる周波数ごとに、送信した前記狭帯域信号と受信した前記狭帯域信号との間の位相変化量を取得し、各周波数帯の前記狭帯域信号に含まれる各周波数での位相変化量に基づいて、周波数帯ごとの位相変化特性を取得し、前記周波数帯ごとの位相変化特性を統合して、全体的な位相変化特性を取得し、前記全体的な位相変化特性に基づいて、送信した前記狭帯域信号に対する受信した前記狭帯域信号の遅延時間を取得し、前記遅延時間に基づいて、前記距離を取得する構成とする。
また、本発明の距離測定システムは、距離測定装置と応答側の装置との間で測距信号を送受信することにより、前記距離測定装置と前記応答側の装置との間の距離を測定する距離測定システムであって、前記距離測定装置は、自発の測距信号を送信する送信部と、前記応答側の装置から送信される応答の測距信号を受信する受信部と、前記自発の測距信号および前記応答の測距信号のタイミングに基づいて、前記距離を測定する制御部と、を備え、前記送信部は、前記自発の測距信号として、周波数帯が異なり且つ複数の周波数を含む狭帯域信号を複数送信し、前記受信部は、前記応答の測距信号として、周波数帯が異なり且つ複数の周波数を含む狭帯域信号を複数受信し、前記制御部は、各周波数帯の前記狭帯域信号に含まれる周波数ごとに、送信した前記狭帯域信号と受信した前記狭帯域信号との間の位相変化量を取得し、各周波数帯の前記狭帯域信号に含まれる各周波数での位相変化量に基づいて、周波数帯ごとの位相変化特性を取得し、前記周波数帯ごとの位相変化特性を統合して、全体的な位相変化特性を取得し、前記全体的な位相変化特性に基づいて、送信した前記狭帯域信号に対する受信した前記狭帯域信号の遅延時間を取得し、前記遅延時間に基づいて、前記距離を取得する構成とする。
また、本発明の距離測定方法は、距離測定装置において、応答側の装置との間で測距信号を送受信することにより、前記応答側の装置と自装置との間の距離を測定する距離測定方法であって、自装置から、自発の測距信号として、周波数帯が異なり且つ複数の周波数を含む狭帯域信号を複数送信し、前記応答側の装置から、応答の測距信号として、周波数帯が異なり且つ複数の周波数を含む狭帯域信号を複数受信し、各周波数帯の前記狭帯域信号に含まれる周波数ごとに、送信した前記狭帯域信号と受信した前記狭帯域信号との間の位相変化量を取得し、各周波数帯の前記狭帯域信号に含まれる各周波数での位相変化量に基づいて、周波数帯ごとの位相変化特性を取得し、前記周波数帯ごとの位相変化特性を統合して、全体的な位相変化特性を取得し、前記全体的な位相変化特性に基づいて、送信した前記狭帯域信号に対する受信した前記狭帯域信号の遅延時間を取得し、前記遅延時間に基づいて、前記距離を取得する構成とする。
本発明によれば、狭い周波数帯を利用した場合、すなわち、狭帯域信号が少数の周波数しか含まない場合でも、離散した周波数帯が異なる複数の狭帯域信号を送受信して、周波数帯ごとの位相変化特性を取得して、その周波数帯ごとの位相変化特性を統合して、全体的な位相変化特性を取得することで、1つの連続した広い周波数帯を利用した場合、すなわち、狭帯域信号が多数の周波数を含む場合と同等の測定精度を確保することができる。
第1実施形態に係る測位システムの全体構成図 第1実施形態に係るアンカー1の動作手順を示すシーケンス図 第1実施形態に係る距離測定の概要を示す説明図 第1実施形態に係る測距信号を構成する狭帯域信号を示す説明図 第1実施形態に係るアンカー1の概略構成を示すブロック図 第1実施形態に係る位相変化特性取得部32で行われる処理の概要を示す説明図 第1実施形態に係るタイミング検出部22の動作手順を示すフロー図 第2実施形態に係る位相変化特性取得部32で行われる処理の概要を示す説明図 第2実施形態に係る位相変化特性取得部32で行われるデータ点のシフト処理の詳細を示す説明図 第2実施形態に係るタイミング検出部22の動作手順を示すフロー図 第2実施形態の変形例に係るタイミング検出部22の動作手順を示すフロー図 位相の折り返しが発生していない場合および位相の折り返しが発生した場合のデータ点の状況の一例を示す説明図 第3実施形態に係る位相変化特性取得部32で行われるシフト処理の概要を示す説明図 第3実施形態に係るタイミング検出部22の動作手順を示すフロー図 第3実施形態の第1変形例に係る位相変化特性取得部32で行われるシフト処理の概要を示す説明図 第3実施形態の第2変形例に係る信号切り出し部31で行われる切り出し位置調整の概要、および位相変化特性の改善状況を示す説明図 第3実施形態の第2変形例に係るタイミング検出部22の動作手順を示すフロー図 第4実施形態に係る測距信号を構成する狭帯域信号を示す説明図 第4実施形態に係る位相変化特性取得部32で行われる処理の概要を示す説明図 第4実施形態に係る位相変化特性取得部32で行われる処理の概要を示す説明図
前記課題を解決するためになされた第1の発明は、応答側の装置との間で測距信号を送受信することにより、前記応答側の装置と自装置との間の距離を測定する距離測定装置であって、自発の測距信号を送信する送信部と、前記応答側の装置から送信される応答の測距信号を受信する受信部と、前記自発の測距信号および前記応答の測距信号のタイミングに基づいて、前記距離を測定する制御部と、を備え、前記送信部は、前記自発の測距信号として、周波数帯が異なり且つ複数の周波数を含む狭帯域信号を複数送信し、前記受信部は、前記応答の測距信号として、周波数帯が異なり且つ複数の周波数を含む狭帯域信号を複数受信し、前記制御部は、各周波数帯の前記狭帯域信号に含まれる周波数ごとに、送信した前記狭帯域信号と受信した前記狭帯域信号との間の位相変化量を取得し、各周波数帯の前記狭帯域信号に含まれる各周波数での位相変化量に基づいて、周波数帯ごとの位相変化特性を取得し、前記周波数帯ごとの位相変化特性を統合して、全体的な位相変化特性を取得し、前記全体的な位相変化特性に基づいて、送信した前記狭帯域信号に対する受信した前記狭帯域信号の遅延時間を取得し、前記遅延時間に基づいて、前記距離を取得する構成とする。
これによると、狭い周波数帯を利用した場合、すなわち、狭帯域信号が少数の周波数しか含まない場合でも、離散した周波数帯が異なる複数の狭帯域信号を送受信して、周波数帯ごとの位相変化特性を取得して、その周波数帯ごとの位相変化特性を統合して、全体的な位相変化特性を取得することで、1つの連続した広い周波数帯を利用した場合、すなわち、狭帯域信号が多数の周波数を含む場合と同等の測定精度を確保することができる。
また、第2の発明は、前記制御部は、前記周波数帯ごとの位相変化特性として、前記狭帯域信号に含まれる各周波数と位相変化量との関係を表す位相変化特性関数の傾きを取得する構成とする。
これによると、位相変化特性関数の傾きから遅延時間を簡単に取得することができる。
また、第3の発明は、前記制御部は、前記周波数帯ごとの位相変化特性に対して平均化を行って、前記全体的な位相変化特性を取得する構成とする。
これによると、周波数帯ごとの位相変化特性から全体的な位相変化特性を簡単に取得することができる。
また、第4の発明は、前記制御部は、前記周波数帯ごとの位相変化特性に対して、各周波数帯の帯域幅で重み付けした平均化を行う構成とする。
これによると、帯域幅が広い周波数帯の方が、データ点の数が多くなり、位相変化特性の精度が高くなるため、帯域幅が広い周波数帯の位相変化特性を重く評価することで、全体的な位相変化特性の精度を向上させることができる。
また、第5の発明は、前記制御部は、前記周波数帯ごとの位相変化特性に対して、各周波数帯の距離減衰特性で重み付けした平均化を行う構成とする。
これによると、周波数が低い周波数帯の方が、距離減衰が小さくなり、位相変化特性の精度が高くなるため、周波数が低い周波数帯の位相変化特性を重く評価することで、全体的な位相変化特性の精度を向上させることができる。
また、第6の発明は、前記制御部は、前記狭帯域信号に含まれる各周波数での位相変化量を表すデータ点を周波数帯ごとに取得し、周波数帯ごとの前記データ点が互いに隣接するように、各周波数帯の前記データ点をシフトし、シフトした状態の前記データ点を対象にして、前記全体的な位相変化特性を取得する構成とする。
これによると、複数の離散した周波数帯の狭帯域信号ごとのデータ点が、互いに隣接することで、1つの連続した広い周波数帯を利用した場合と同等の状態となるため、1つの連続した広い周波数帯を利用した場合と同等の精度を得ることができる。
また、第7の発明は、前記制御部は、初期の前記全体的な位相変化特性に基づいて、前記データ点のシフト量を取得し、そのシフト量に基づいて、前記データ点をシフトし、シフトした状態の前記データ点を対象にして、新たな全体的な位相変化特性を取得する構成とする。
これによると、データ点を適切にシフトすることができる。
また、第8の発明は、前記制御部は、前記新たな全体的な位相変化特性と前記データ点との間の誤差を取得する処理を、前記周波数帯ごとの位相変化特性を統合して取得した初期の前記全体的な位相変化特性の場合と、その初期の全体的な位相変化特性を所定幅だけ変化させた補正後の全体的な位相変化特性の場合とで行い、前記初期の全体的な位相変化特性の場合の誤差と、前記補正後の全体的な位相変化特性の場合の誤差とを比較して、補正の妥当性を判定し、補正が妥当でない場合には、前記初期の全体的な位相変化特性を採用し、補正が妥当である場合には、前記補正後の全体的な位相変化特性を初期の全体的な位相変化特性に置き換えて、前記誤差を取得する処理を繰り返す構成とする。
これによると、全体的な位相変化特性を適切に取得することができる。
また、第9の発明は、前記制御部は、前記狭帯域信号に含まれる各周波数での位相変化量を表すデータ点を周波数帯ごとに取得し、前記データ点に位相の折り返しが発生している場合には、その位相の折り返しが解消されるように、前記データ点の位相変化量を補正する構成とする。
これによると、データ点の位相の折り返しを解消することができるため、位相変化特性を適切に取得することができる。
また、第10の発明は、前記制御部は、周波数が最も低い前記データ点の位相変化量が0になるように、全ての前記データ点の位相変化量を均一に補正する構成とする。
これによると、データ点の位相の折り返しを簡単に解消することができる。
また、第11の発明は、前記制御部は、周波数が低い前記データ点を所定数選択して、そのデータ点に基づいて、暫定的な位相変化特性を取得し、その暫定的な位相変化特性に基づいて、位相の折り返しが発生しているデータ点を選択し、そのデータ点の位相変化量を2πだけ補正する構成とする。
これによると、データ点の位相の折り返しを簡単に解消することができる。
また、第12の発明は、前記制御部は、受信した前記狭帯域信号に対して受信タイミングを推定し、前記受信タイミングに基づいて、遅延量が短くなるように信号切り出し位置を調整して、前記狭帯域信号を切り出し、切り出した前記狭帯域信号に基づいて、前記位相変化特性を取得する構成とする。
これによると、遅延量が短くなるため、位相の折り返しを確実に解消することができる。
また、第13の発明は、応答側の装置との間で測距信号を送受信することにより、前記応答側の装置と自装置との間の距離を測定する距離測定装置であって、自発の測距信号を送信する送信部と、前記応答側の装置から送信される応答の測距信号を受信する受信部と、前記自発の測距信号および前記応答の測距信号のタイミングに基づいて、前記距離を測定する制御部と、を備え、前記送信部は、前記自発の測距信号として、周波数帯が同一で且つ複数の周波数を含む狭帯域信号を複数回送信し、前記受信部は、前記応答の測距信号として、周波数帯が同一で且つ複数の周波数を含む狭帯域信号を複数回受信し、前記制御部は、各回の前記狭帯域信号に含まれる周波数ごとに、送信した前記狭帯域信号と受信した前記狭帯域信号との間の位相変化量を取得し、各回の前記狭帯域信号に含まれる各周波数での位相変化量に基づいて、各回の位相変化特性を取得し、前記各回の位相変化特性を統合して、全体的な位相変化特性を取得し、前記全体的な位相変化特性に基づいて、送信した前記狭帯域信号に対する受信した前記狭帯域信号の遅延時間を取得し、前記遅延時間に基づいて、前記距離を取得する構成とする。
これによると、狭い周波数帯を利用した場合、すなわち、狭帯域信号が少数の周波数しか含まない場合でも、周波数帯が同じ狭帯域信号を複数回送受信して、各回の位相変化特性を取得して、その各回の位相変化特性を統合して、全体的な位相変化特性を取得することで、1つの連続した広い周波数帯を利用した場合、すなわち、狭帯域信号が多数の周波数を含む場合と同等の測定精度を確保することができる。
また、第14の発明は、前記自発の測距信号の変調方式として、マルチキャリア信号を用いる構成とする。
これによると、各サブキャリアの位相を求めるだけでよく、且つ各周波数成分の信号レベルを等レベルとすることができる。また、マルチキャリアの数を増減することで、簡単に周波数帯域幅を調整することができる。
また、第15の発明は、前記マルチキャリア信号として、OFDM信号を用いる構成とする。
これによると、サブキャリアの信号が干渉しにくくなるため、サブキャリアの数(狭帯域信号に含まれる周波数の数)を効率よく増減することができる。
また、第16の発明は、前記制御部は、前記遅延時間から、前記応答側の装置において前記自発の測距信号を受信してから前記応答の測距信号を送信するまでの信号処理に要する時間である信号処理時間を減算して、往復の電波伝搬時間を算出し、その往復の電波伝搬時間の半分を片道の電波伝搬時間とし、その片道の電波伝搬時間に伝搬速度を乗算することで距離を算出する構成とする。
これによると、応答側の装置と自装置との間の距離を精度よく測定することができる。
また、第17の発明は、距離測定装置と応答側の装置との間で測距信号を送受信することにより、前記距離測定装置と前記応答側の装置との間の距離を測定する距離測定システムであって、前記距離測定装置は、自発の測距信号を送信する送信部と、前記応答側の装置から送信される応答の測距信号を受信する受信部と、前記自発の測距信号および前記応答の測距信号のタイミングに基づいて、前記距離を測定する制御部と、を備え、前記送信部は、前記自発の測距信号として、周波数帯が異なり且つ複数の周波数を含む狭帯域信号を複数送信し、前記受信部は、前記応答の測距信号として、周波数帯が異なり且つ複数の周波数を含む狭帯域信号を複数受信し、前記制御部は、各周波数帯の前記狭帯域信号に含まれる周波数ごとに、送信した前記狭帯域信号と受信した前記狭帯域信号との間の位相変化量を取得し、各周波数帯の前記狭帯域信号に含まれる各周波数での位相変化量に基づいて、周波数帯ごとの位相変化特性を取得し、前記周波数帯ごとの位相変化特性を統合して、全体的な位相変化特性を取得し、前記全体的な位相変化特性に基づいて、送信した前記狭帯域信号に対する受信した前記狭帯域信号の遅延時間を取得し、前記遅延時間に基づいて、前記距離を取得する構成とする。
これによると、第1の発明と同様に、連続した広い帯域幅の周波数帯を利用した場合と同等の測定精度を確保することができる。
また、第18の発明は、距離測定装置と応答側の装置との間で測距信号を送受信することにより、前記距離測定装置と前記応答側の装置との間の距離を測定する距離測定システムであって、前記距離測定装置は、自発の測距信号を送信する送信部と、前記応答側の装置から送信される応答の測距信号を受信する受信部と、前記自発の測距信号および前記応答の測距信号のタイミングに基づいて、前記距離を測定する制御部と、を備え、前記送信部は、前記自発の測距信号として、周波数帯が同一で且つ複数の周波数を含む狭帯域信号を複数回送信し、前記受信部は、前記応答の測距信号として、周波数帯が同一で且つ複数の周波数を含む狭帯域信号を複数回受信し、前記制御部は、各回の前記狭帯域信号に含まれる周波数ごとに、送信した前記狭帯域信号と受信した前記狭帯域信号との間の位相変化量を取得し、各回の前記狭帯域信号に含まれる各周波数での位相変化量に基づいて、各回の位相変化特性を取得し、前記各回の位相変化特性を統合して、全体的な位相変化特性を取得し、前記全体的な位相変化特性に基づいて、送信した前記狭帯域信号に対する受信した前記狭帯域信号の遅延時間を取得し、前記遅延時間に基づいて、前記距離を取得する構成とする。
これによると、第13の発明と同様に、連続した広い帯域幅の周波数帯を利用した場合と同等の測定精度を確保することができる。
また、第19の発明は、前記応答側の装置は、前記距離測定装置から送信される前記自発の測距信号を受信する受信部と、前記応答の測距信号を送信する送信部と、前記自発の測距信号の受信タイミングから所定の信号処理時間が経過したタイミングで前記応答の測距信号を前記送信部から送信する制御部と、を備え、前記制御部は、前記狭帯域信号に含まれる周波数ごとに、受信した前記狭帯域信号と送信した前記狭帯域信号との間の位相変化量を取得し、前記狭帯域信号に含まれる各周波数での位相変化量に基づいて、位相変化特性を取得し、前記位相変化特性に基づいて、受信した前記狭帯域信号に対する送信した前記狭帯域信号の遅延時間を取得し、前記遅延時間に基づいて、前記自発の測距信号の受信タイミングを取得する構成とする。
これによると、応答側の装置が、距離測定装置と同様に高精度なタイミング検出を行うため、高精度な距離測定を行うことができる。
また、第20の発明は、距離測定装置において、応答側の装置との間で測距信号を送受信することにより、前記応答側の装置と自装置との間の距離を測定する距離測定方法であって、自装置から、自発の測距信号として、周波数帯が異なり且つ複数の周波数を含む狭帯域信号を複数送信し、前記応答側の装置から、応答の測距信号として、周波数帯が異なり且つ複数の周波数を含む狭帯域信号を複数受信し、各周波数帯の前記狭帯域信号に含まれる周波数ごとに、送信した前記狭帯域信号と受信した前記狭帯域信号との間の位相変化量を取得し、各周波数帯の前記狭帯域信号に含まれる各周波数での位相変化量に基づいて、周波数帯ごとの位相変化特性を取得し、前記周波数帯ごとの位相変化特性を統合して、全体的な位相変化特性を取得し、前記全体的な位相変化特性に基づいて、送信した前記狭帯域信号に対する受信した前記狭帯域信号の遅延時間を取得し、前記遅延時間に基づいて、前記距離を取得する構成とする。
これによると、第1の発明と同様に、連続した広い帯域幅の周波数帯を利用した場合と同等の測定精度を確保することができる。
また、第21の発明は、距離測定装置において、応答側の装置との間で測距信号を送受信することにより、前記応答側の装置と自装置との間の距離を測定する距離測定方法であって、自装置から、自発の測距信号として、周波数帯が同一で且つ複数の周波数を含む狭帯域信号を複数回送信し、前記応答側の装置から、応答の測距信号として、周波数帯が同一で且つ複数の周波数を含む狭帯域信号を複数回受信し、各回の前記狭帯域信号に含まれる周波数ごとに、送信した前記狭帯域信号と受信した前記狭帯域信号との間の位相変化量を取得し、各回の前記狭帯域信号に含まれる各周波数での位相変化量に基づいて、各回の位相変化特性を取得し、前記各回の位相変化特性を統合して、全体的な位相変化特性を取得し、前記全体的な位相変化特性に基づいて、送信した前記狭帯域信号に対する受信した前記狭帯域信号の遅延時間を取得し、前記遅延時間に基づいて、前記距離を取得する構成とする。
これによると、第13の発明と同様に、連続した広い帯域幅の周波数帯を利用した場合と同等の測定精度を確保することができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る測位システムの全体構成図である。
この測位システムは、GPSなど衛星測位システムを利用できない場所に新規に構築されるものであり、ビーコン信号(測位信号)を送信する複数のアンカー1(距離測定装置、応答側の装置)を備えており、移動体2(人物、車両など)に設けられた測位装置(図示せず)が、複数のアンカー1のビーコン信号を受信することで、その受信強度などに基づいて移動体2の位置を測定する。
アンカー1は、車両で運搬されて、対象エリア内の適当な位置に設置される。本実施形態では、まず、適宜な位置(例えば宇宙船の着陸地点の近傍)に、3台の基本基準点となるアンカー1を設置して、その基本基準点となるアンカー1で自分の位置を確定する。次に、基本基準点となるアンカー1の周辺に位置する一般基準点となるアンカー1で、3点測量法により、3台の基本基準点となるアンカー1を基準にして、自分の位置を測定する。そして、基本基準点となるアンカー1から離れた一般基準点となるアンカー1で、測位済みの3台の一般基準点となるアンカー1を基準にして、自分の位置を測定する。これにより、全てのアンカー1で自分の位置を確定することができる。また、各アンカー1では、自分の位置が確定すると、ビーコン信号の送信を開始する。
なお、本実施形態では、移動体2で測位を行う際の基準点となるアンカー1が自装置の位置を測定するようにしたが、このような構成に限定されるものではなく、単に2点間の距離を測定するために、各点に距離測定装置を設置するようにしてもよい。この場合、測定結果としての2点間の距離をモニタなどの出力装置に出力して、作業者が測定結果を確認できるようにしてもよい。
次に、第1実施形態に係るアンカー1の動作について説明する。図2は、アンカー1の動作手順を示すシーケンス図である。
本実施形態では、まず、測定側のアンカー1において、自発の測距信号を生成して、その自発の測距信号を送信する。この自発の測距信号には、タイミング検出用のプリアンブルと、自装置のアンカーIDとが含まれる。また、この自発の測距信号は、宛先を指定せず、ブロードキャストで送信される。
測定側のアンカー1の周辺に存在する別(応答側)のアンカー1では、測定側のアンカー1からの自発の測距信号を受信すると、その自発の測距信号の受信タイミングを検出する。そして、応答の測距信号を生成して、その応答の測距信号を送信する。このとき、自発の測距信号の受信タイミングから所定の信号処理時間が経過したタイミング(以下「信号処理時間」)で、応答の測距信号を送信する。この応答の測距信号には、タイミング検出用のプリアンブルと、自装置のアンカーIDと、応答先のアンカーIDと、自装置の位置情報と、信号処理時間とが含まれる。なお、信号処理時間が一定で、且つ測定側のアンカー1でその時間を記憶している場合には、応答の測距信号に載せる信号から信号処理時間を割愛してもよい。また、測位ではなく単に2点間の距離を測定するだけの場合は、応答の測距信号に載せる信号から自装置の位置情報を割愛してもよい。
測定側のアンカー1では、応答側のアンカー1からの応答の測距信号を受信すると、その応答の測距信号の受信タイミングを検出する。次に、自発の測距信号の送信タイミングと、応答の測距信号の受信タイミングと、応答側のアンカー1での信号処理時間とに基づいて、自装置と応答側のアンカー1との間の距離を測定する。そして、3台のアンカー1と自装置との間の距離に基づいて、3点測量法により、自装置の位置を算出する。
なお、本実施形態では、自発の測距信号および応答の測距信号にタイミング計測用のプリアンブルを付加して送信し、そのタイミング計測用のプリアンブルを検出したタイミングが受信タイミングとなる。
また、応答側のアンカー1が、応答の測距信号に自装置の位置を付加して送信することで、測定側のアンカー1が、基準となるアンカー1の位置を取得して、その位置と距離とに基づいて、自装置の位置を算出する。
次に、第1実施形態に係る距離測定について説明する。図3は、距離測定の概要を示す説明図である。
本実施形態では、2つのアンカー1の間で測距信号を送受信して、その測距信号の往復に要する時間(信号往復時間)から、2つのアンカー1の間の距離を測定して、その距離に基づいてアンカー1の位置を算出する。
特に本実施形態では、自発の測距信号に対して応答の測距信号が遅延している時間(遅延時間)を取得する。この遅延時間は、自発の測距信号の送信タイミングから応答の測距信号の受信タイミングまでの信号往復時間となる。
次に、遅延時間(信号往復時間)と、応答側のアンカー1での信号処理時間とに基づいて、自装置と応答側のアンカー1との間の距離を測定する。すなわち、測定側のアンカー1で観測される遅延時間(信号往復時間)には、往路の電波伝搬時間と復路の電波伝搬時間だけでなく、応答側アンカーの信号処理時間も含まれてしまうため、正しい電波の往復時間を求めるには、測定側アンカーで観測される遅延時間(信号往復時間)から信号処理時間を減算する必要があり、更にその往復の電波伝搬時間の半分が片道の電波伝搬時間となり、その片道の電波伝搬時間に電波伝搬速度を乗算することで距離が算出される。
なお、信号処理時間は、自発の測距信号を受信してから応答の測距信号を送信するまでの応答側アンカー1が信号処理に要する時間に基づいて設定された時間であり、それが固定であればアンカー1に予め記憶しておけばよいが、可変である場合には応答側のアンカー1が応答の測距信号を送信する際に、測距信号に信号処理時間の情報を載せて測定側のアンカー1へ通知する必要がある。
次に、第1実施形態に係る測距信号について説明する。図4は、測距信号を構成する狭帯域信号を示す説明図である。
本実施形態では、測定側のアンカー1から自発の測距信号を送信し、応答側のアンカー1から応答の測距信号を送信するが、この測距信号に、連続した広い帯域幅の周波数帯を利用できない場合には、狭い帯域幅の周波数帯を利用するしかないが、このように測距信号で利用可能な周波数帯の帯域幅が狭いと、波形のなまりが顕著になり、受信タイミングの検出精度が低下する。
そこで、本実施形態では、他の通信に利用されていない狭い帯域幅の複数の周波数帯を測距信号に利用し、測距信号として、周波数帯が異なる複数の狭帯域信号を送信する。図4に示す例では、測距信号が、#0から#N-1のN個の狭帯域信号で構成される。
なお、利用可能な周波数帯は地域や時間によって異なる。また、宇宙探査の場合でも、宇宙船に搭載された通信機器が利用する周波数帯があるので、それを除いた周波数帯だけが利用可能となる。
次に、第1実施形態に係るアンカー1の概略構成について説明する。図5は、アンカー1の概略構成を示すブロック図である。
アンカー1は、アンカー間通信部11(送信部、受信部)と、ビーコン発信部12と、制御部13と、記憶部14と、を備えている。
アンカー間通信部11は、他のアンカー1との間で測距信号を送受信する。本実施形態では、測距信号として、複数の異なる周波数帯ごとの狭帯域信号を送受信する。この狭帯域信号には複数の周波数が含まれる。
ビーコン発信部12は、ビーコン信号を発信する。なお、ビーコン発信部12とビーコン制御部25は、アンカー1の位置情報を用いて移動体2が測位をする場合に用いるためにあるが、2地点間の距離を測定するだけであれば不要である。また、移動体2がビーコン信号を用いて測位をする場合においては、アンカー1の位置があらかじめ決まっている場合には、測位をする移動体2に各アンカー1のIDと位置情報の対応テーブルを記憶させておくことで、ビーコン信号にはアンカー1のIDのみを載せることでよいが、アンカー1の位置があらかじめ決まっていない場合には、ビーコン信号にはアンカー1のIDとともにアンカー1の位置情報も載せる必要がある。
記憶部14は、制御部13を構成するプロセッサで実行されるプログラムを記憶する。また、記憶部14は、自装置のアンカーIDや、自装置の位置座標などを記憶する。
制御部13は、測距信号制御部21と、タイミング検出部22と、距離算出部23と、位置算出部24と、ビーコン制御部25と、を備えている。この制御部13は、プロセッサで構成され、制御部13の各部は、記憶部14に記憶されたプログラムをプロセッサで実行することで実現される。
測距信号制御部21は、測距信号を生成して、その測距信号をアンカー間通信部11から送信する。本実施形態では、自装置が測位を実施する場合には、自発の測距信号を送信する。一方、他のアンカー1からの自発の測距信号を受信した場合には、応答の測距信号を送信する。自発の測距信号には、タイミング検出用のプリアンブルと、自装置のアンカーIDとが含まれる。また、応答の測距信号には、タイミング検出用のプリアンブルと、自装置のアンカーIDと、応答先のアンカーIDと、自装置の位置と、信号処理時間とが含まれる。
また、本実施形態では、測距信号として、複数の異なる周波数帯ごとの狭帯域信号を生成して、その狭帯域信号をアンカー間通信部11から送信する。
タイミング検出部22は、他のアンカー1から送信される測距信号の受信タイミングを検出する。本実施形態では、測距信号にタイミング計測用のプリアンブルを付加して送信し、そのタイミング計測用のプリアンブルを検出したタイミングが受信タイミングとなる。
また、本実施形態では、受信タイミングとして、自発の測距信号の送信タイミングに対して、応答の測距信号の受信タイミングが遅延している遅延時間(信号往復時間)を取得する。このタイミング検出部22は、信号切り出し部31と、位相変化特性取得部32と、遅延時間取得部33と、を備えている。
信号切り出し部31は、アンカー間通信部11で受信した狭帯域信号を、送信した狭帯域信号に同期したタイミングで切り出す処理を行う。
位相変化特性取得部32は、信号切り出し部31で切り出した各周波数帯の狭帯域信号の位相を検出して、周波数帯ごとに、送信した狭帯域信号と受信した狭帯域信号との間の位相変化特性を取得して、その周波数帯ごとの位相変化特性を統合して、全体的な位相変化特性を取得する。
具体的には、送信した狭帯域信号と受信した狭帯域信号とを比較して、両者の位相のずれ(位相変化量)を取得して、各周波数帯の狭帯域信号における各周波数での位相変化量を表すデータ点を対象にした最小二乗法により、周波数帯ごとの位相変化特性として、狭帯域信号に含まれる各周波数と位相変化量との関係を表す位相変化特性関数(直線近似式)の傾きを取得して、この周波数帯ごと位相変化特性関数の傾きを平均化して、全体的な位相変化特性としての平均傾きを取得する。
遅延時間取得部33は、位相変化特性取得部32で取得した位相変化特性関数(直線近似式)の傾きに基づいて、遅延時間(信号往復時間)を取得する。
距離算出部23は、遅延時間(信号往復時間)と、応答側のアンカー1での信号処理時間とに基づいて、電波伝搬時間を算出し、この電波伝搬時間に基づいて、応答側のアンカー1と自装置との間の距離を算出する。
位置算出部24は、3台以上の基準点となるアンカー1と自装置との間の距離に基づいて、3点測量法により、自装置の位置を算出する。
ビーコン制御部25は、ビーコン発信部12によるビーコン信号の発信を制御する。本実施形態では、自装置の位置が確定すると、ビーコン信号の発信を開始する。また、定期的に行われる測位が正常にできなかった場合には、ビーコン信号の発信を停止する。
次に、第1実施形態に係る位相変化特性取得部32で行われる処理について説明する。図6は、位相変化特性取得部32で行われる処理の概要を示す説明図である。
位相変化特性取得部32では、受信した各周波数帯の狭帯域信号の位相を検出し、送信した狭帯域信号と受信した狭帯域信号とを比較して、両者の位相のずれ(位相変化量)を取得する。これにより、各周波数帯の狭帯域信号について、図6に示すように、周波数ごとの位相(位相変化量)を表す複数のデータ点が得られる。図6では、横軸(X軸)が、狭帯域信号の周波数を表し、縦軸(Y軸)が、送信した狭帯域信号と受信した狭帯域信号との位相のずれ(位相変化量)を表している。
ここで、周波数ごとの位相を求めるためには、送受間で送信信号が既知でさえあれば、受信後に得られる信号の周波数特性と、遅延のない送信信号の周波数特性を比較すればよいが、例えば測距信号の変調方式としてOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)などのマルチキャリア信号を用いれば、各サブキャリアの位相を求めるだけでよく、且つ各周波数成分の信号レベルを等レベルとすることができるので、効果が大きい。また、マルチキャリア信号はマルチキャリアの数を調節することで、簡単に周波数帯域幅を調整できるという利点もある。
図6に示す例は、#0、#1、#2の3つの周波数帯が異なる狭帯域信号を送受信した場合であり、#0の狭帯域信号では、利用する周波数が6つあり、データ点の数nは6となる。#1の狭帯域信号では、利用する周波数が3つあり、データ点の数nは3となる。#2の狭帯域信号では、利用する周波数が4つあり、データ点の数nは4となる。
ここで、各周波数帯の狭帯域信号において、周波数ごとの位相(位相変化量)を表す複数のデータ点を対象にして、最小二乗法により、次式のように、周波数Xと位相Yとの関係を表す位相変化特性関数(直線近似式)を求めることができる。
Y=a0+a1×X
この位相変化特性関数の傾きa1および切片a0は、次式により算出される。
a0=(Σ(X )ΣY-Σ(X)ΣX)/(nΣ(X )-(ΣX
a1=(nΣ(X)-ΣXΣY)/(nΣ(X )-(ΣX
ここで、Σは、kを0からn-1までの各値とした場合の総和を表す。
本実施形態では、各周波数帯の狭帯域信号ごとに、最小二乗法により位相変化特性関数の傾きa1を取得して、その各周波数帯の狭帯域信号ごとの位相変化特性関数の傾きを平均化して、平均傾きを取得する。
このようにして位相変化特性取得部32で平均傾きを取得すると、遅延時間取得部33において、平均傾きに基づいて、遅延時間(信号往復時間)を取得する。具体的には、次式により、傾きa1(rad)から遅延時間t(秒)を算出する。
t=a1/(Fs×2π)
ここで、Fs(Hz)は、隣り合う2つデータ点(周波数)の間隔である。
ところで、位相変化特性取得部32では、次式のように、単純平均により平均傾きa1aveを求めることができる。
a1ave=Σa1(i)/M
ここで、a1(i)は、#i(i=0~M-1)の狭帯域信号における位相変化特性関数の傾きである。Mは、周波数帯が異なる狭帯域信号の総数である。Σは、#0から#M-1の各狭帯域信号における位相変化特性関数の傾きの総和を表す。
このような単純平均は、各狭帯域信号の帯域幅の差がほぼ等しい場合に有効である。
また、各狭帯域信号の帯域幅bを重みとして、次式のように、重みづけ平均により平均傾きa1aveを求めるようにしてもよい。
a1ave=Σ(a1(i)×b(i))/Σb(i)
ここで、b(i)は、#i(i=0~M-1)の狭帯域信号の帯域幅である。
このような重みづけ平均は、各狭帯域信号の帯域幅b(i)の差が大きく異なる場合に有効である。各狭帯域信号のデータ点(周波数)の間隔Fsを一定とすると、帯域幅が広い狭帯域信号(周波数帯)の方が、データ点の数が多くなり、位相変化特性関数の傾きの精度が高くなる。このため、狭帯域信号の帯域幅bを重みとして重みづけ平均を行うことで、帯域幅が広い狭帯域信号に関する位相変化特性関数の傾きが重く評価され、平均傾きa1aveの精度を向上させることができる。
また、各狭帯域信号の帯域幅bに加えて距離減衰の逆数cを重みとして、次式のように、重みづけ平均により平均傾きa1aveを求めるようにしてもよい。
a1ave=Σ(a1(i)×b(i)×c(i))/Σ(b(i)×c(i))
ここで、c(i)は、#i(i=0~M-1)の狭帯域信号における距離減衰の逆数である。
このような重みづけ平均は、各狭帯域信号の帯域幅b(i)の差が大きく異なる場合に有効である。周波数の高低に応じて距離減衰特性が異なり、周波数が高いと、距離減衰が大きいため、距離減衰の逆数cを重みとして重みづけ平均を行うことで、周波数が低い狭帯域信号に関する位相変化特性関数の傾きが重く評価され、平均傾きa1aveの精度を向上させることができる。
次に、第1実施形態に係るタイミング検出部22の動作手順について説明する。図7は、タイミング検出部22の動作手順を示すフロー図である。
タイミング検出部22では、まず、信号切り出し部31において、アンカー間通信部11で受信した狭帯域信号を、送信した狭帯域信号に同期したタイミングで切り出す処理を行う(ST101)。
次に、位相変化特性取得部32において、信号切り出し部31で切り出された狭帯域信号に対してFFT(高速フーリエ変換:fast Fourier transform)の処理を実施して、狭帯域信号の位相を検出する(ST102)。
次に、最小二乗法により、各周波数帯の狭帯域信号ごとの位相変化特性関数(直線近似式)の傾きを取得する(ST103)。
次に、各周波数帯の狭帯域信号ごとの位相変化特性関数の傾きa1(i)を平均化して、平均傾きa1aveを取得する(ST104)。
次に、遅延時間取得部33において、平均傾きに基づいて、遅延時間tを取得する(ST105)。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。図8は、第2実施形態に係る位相変化特性取得部32で行われる処理の概要を示す説明図である。
第1実施形態では、周波数帯ごとの位相変化特性関数の傾きを平均化した全体的な位相変化特性関数の傾き(平均傾き)に基づいて、遅延時間を取得するようにしたが、本実施形態では、全体的な位相変化特性関数の傾きに基づいて、各周波数帯の狭帯域信号のデータ点が、1つの連続した広い周波数帯を利用した場合と同様の状態となるように、各周波数帯の狭帯域信号のデータ点をシフトした上で、新たに全体的な位相変化特性関数の傾きを取得して、その新たな全体的な位相変化特性関数の傾きに基づいて、遅延時間を取得する。
図8に示す例は、#0、#1、#2の3つの周波数帯が異なる狭帯域信号を送受信した場合である。この場合、まず、図8(A)に示すように、第1実施形態と同様に、各周波数帯の狭帯域信号ごとの位相変化特性関数の傾きを平均化して平均傾きを取得する。
次に、図8(B)に示すように、各周波数帯の狭帯域信号のデータ点をシフトする。このとき、#1の狭帯域信号のデータ点は、#0の狭帯域信号のデータ点に隣接する位置にシフトする。#2の狭帯域信号のデータ点は、シフト済みの#1の狭帯域信号のデータ点に隣接する位置にシフトする。これにより、各周波数帯の狭帯域信号のデータ点が、一定の間隔で並んだ状態、すなわち、1つの連続した広い周波数帯を利用した場合と同等の状態となる。
次に、シフトした状態の全てのデータ点を対象にして、最小二乗法により位相変化特性関数の傾きを求める。
次に、第2実施形態に係る位相変化特性取得部32で行われるデータ点のシフト処理の詳細について説明する。図9は、位相変化特性取得部32で行われるデータ点のシフト処理の詳細を示す説明図である。
本実施形態では、各周波数帯の狭帯域信号の最小周波数s(0),s(1),...,s(N-1)を基準にして、#iの狭帯域信号のデータ点に関する周波数シフト量Δx(i)を求める。また、第1実施形態と同様の方法により、平均傾きa1aveを求め、この平均傾きa1aveに基づいて、#iの狭帯域信号に関する位相シフト量Δy(i)を求める。そして、各周波数帯の狭帯域信号のデータ点を、周波数シフト量Δx(i)だけX方向にシフトするとともに、位相シフト量Δy(i)だけY方向にシフトする。
図9(A)は、#1の狭帯域信号のデータ点をシフトする状況を示す。#1の狭帯域信号のデータ点は、#0の狭帯域信号のデータ点に隣接する位置にシフトする。このときの周波数シフト量Δx(i)および位相シフト量Δy(i)は、次式により算出される。
Δx(1)=S(1)-S(0)-(W(0)+Fs)
Δy(1)=Δx(1)×a1ave
=(S(1)-S(0)-(W(0)+Fs))×a1ave
ここで、S(0)は、#0の狭帯域信号の最小周波数であり、S(1)は、#1の狭帯域信号の最小周波数である。W(0)は、#0の狭帯域信号の帯域幅である。Fs(Hz)は、隣り合う2つデータ点(周波数)の間隔である。
図9(B)は、#2の狭帯域信号のデータ点をシフトする状況を示す。#2の狭帯域信号のデータ点は、シフト済みの#1の狭帯域信号のデータ点に隣接する位置にシフトする。このときの周波数シフト量Δx(i)および位相シフト量Δy(i)は、次式により算出される。
Δx(2)=S(2)-S(0)-(W(0)+W(1)+Fs×2)
Δy(2)=Δx(2)×a1ave
=(S(2)-S(0)-(W(0)+W(1)+Fs×2))×a1ave
ここで、S(2)は、#2の狭帯域信号の最小周波数である。W(1)は、#1の狭帯域信号の帯域幅である。
したがって、#iの狭帯域信号に関する周波数シフト量Δx(i)および位相シフト量Δy(i)は、次式により算出される。
Δx(i)=S(i)-S(0)-(ΣW(j)+Fs×i)
Δy(i)=Δx(i)×a1ave
=(S(i)-S(0)-(ΣW(j)+Fs×i))×a1ave
ここで、S(i)は、#iの狭帯域信号の最小周波数である。W(i)は、#iの狭帯域信号の帯域幅である。ΣW(j)は、#0(j=0)から#i-1(j=i-1)の各周波数帯の帯域幅W(j)の総和である。
次に、第2実施形態に係るタイミング検出部22の動作手順について説明する。図10は、タイミング検出部22の動作手順を示すフロー図である。
タイミング検出部22では、まず、第1実施形態(図7参照)と同様に、ST101~ST104の各処理を行う。
次に、位相変化特性取得部32において、平均傾きa1aveに基づいて、各周波数帯のデータ点に関する周波数シフト量Δx(i)および位相シフト量Δy(i)を取得する(ST111)。
次に、周波数シフト量Δx(i)および位相シフト量Δy(i)に基づいて、各周波数帯のデータ点をシフトする(ST112)。
次に、シフトした状態の全てのデータ点を対象にして、最小二乗法により、全体的な位相変化特性関数の傾きを取得する(ST113)。
次に、遅延時間取得部33において、全体的な位相変化特性関数の傾きに基づいて、遅延時間tを取得する(ST105)。
(第2実施形態の変形例)
次に、第2実施形態の変形例について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。
第2実施形態では、各周波数帯の狭帯域信号のデータ点から求めた位相変化特性関数の傾きを平均化した平均傾きでシフト量を算出して、そのシフト量でデータ点をシフトするようにしたが、各周波数帯の狭帯域信号ごとに位相変化特性関数の傾きが異なるため、データ点をシフトした状態で最終的に求められる全体的な位相変化特性関数の傾きと、データ点をシフトする際の前提となる全体的な位相変化特性関数の傾き(平均傾き)とが一致しないため、最終的に求められる全体的な位相変化特性関数の傾きには誤差が残ったままである。
そこで、本変形例では、平均傾きを初期の傾きとして、この初期の傾きを所定の補正幅だけ変化させる補正を行い、補正後の傾きでシフト量を算出して、そのシフト量でデータ点をシフトした場合の誤差を取得する。そして、傾きを補正した場合の誤差と、初期の傾きで算出されたシフト量でデータ点をシフトした場合の誤差とを比較して、補正が妥当であるか否かを判定する。ここで、補正が妥当である場合、すなわち、傾きを補正した方が誤差が小さくなる場合には、補正後の傾きを新たな初期の傾きとして、前記の処理を繰り返す。一方、補正が妥当でない場合、すなわち、傾きを補正しても誤差が改善されない場合には、そのときの初期の傾きを最終的の傾きとして採用する。これにより、誤差が最も小さくなる傾きを取得することができる。
また、本変形例では、誤差を評価する指標として、二乗誤差和を算出する。この二乗誤差和は、次式のように、各周波数Xのデータ点の位相Yと位相変化特性関数の位相(a0+a1×X)との差分を二乗した値の総和である。
Σ(Y-a0-a1×X
ここで、Σは、kを0からn×M-1までの各値とした場合の総和である。
次に、第2実施形態の変形例に係るタイミング検出部22の動作手順について説明する。図11は、タイミング検出部22の動作手順を示すフロー図である。
タイミング検出部22では、まず、第2実施形態(図10参照)と同様に、ST101~ST104、ST111、ST112の各処理を行う。
次に、位相変化特性取得部32において、シフトした状態のデータ点を対象にして、最小二乗法により、平均傾きa1aveの場合の二乗誤差和E0を取得する(ST121)。
次に、次式により、平均傾きa1aveを補正幅Δa1だけ+側および-側に補正した補正傾きa1,a1を算出する(ST122)。
a1=a1ave+Δa1
a1=a1ave-Δa1
次に、次式により、補正傾きa1の場合の位相シフト量Δy(i)を算出する(ST123)。なお、周波数シフト量Δx(i)は平均傾きa1aveの場合と同様である。
Δy(i)=(S(i)-S(0)-(ΣW(j)+Fs×i))×a1
次に、周波数シフト量Δx(i)および位相シフト量Δy(i)に基づいて、各周波数帯のデータ点をシフトする(ST124)。
次に、シフトした状態の全てのデータ点を対象にして、最小二乗法により、補正傾きa1の場合の二乗誤差和E+を算出する(ST125)。
また、次式により、補正傾きa1の場合の位相シフト量Δy(i)を算出する(ST126)。なお、周波数シフト量Δx(i)は平均傾きa1aveの場合と同様である。
Δy(i)=(S(i)-S(0)-(ΣW(j)+Fs×i))×a1
次に、周波数シフト量Δx(i)および位相シフト量Δy(i)に基づいて、各周波数帯のデータ点をシフトする(ST127)。
次に、シフトした状態の全てのデータ点を対象にして、最小二乗法により、補正傾きa1の場合の二乗誤差和E-を算出する(ST128)。
次に、補正傾きa1の場合の二乗誤差和E+と、平均傾きa1aveの場合の二乗誤差和E0と、補正傾きa1の場合の二乗誤差和E-とを比較して、二乗誤差和E+,E0,E-のいずれが最小となるかを判定する(ST129)。
ここで、補正傾きa1の場合の二乗誤差和E+が最小となる場合には(ST129で「E+が最小」)、補正傾きa1を新たな平均傾きa1aveに設定して(ST130)、ST111に戻り、同様の処理を繰り返す。
また、補正傾きa1の場合の二乗誤差和E-が最小となる場合には(ST129で「E-が最小」)、補正傾きa1を新たな平均傾きa1aveに設定して(ST131)、ST111に戻り、同様の処理を繰り返す。
一方、平均傾きa1aveの場合の二乗誤差和E0が最小となる場合には(ST129で「E0が最小」)、次に、シフトした状態の全てのデータ点を対象にして、最小二乗法により、全体的な位相変化特性関数の傾きを取得する(ST113)。
次に、遅延時間取得部33において、全体的な位相変化特性関数の傾きに基づいて、遅延時間tを取得する(ST105)。
なお、処理を繰り返す度に補正幅Δa1を小さくしていくようにしてもよい。これにより、収束しやすくなる、すなわち、誤差が最も小さくなる傾きを取得するまでの繰り返し回数を少なくすることができる。この場合、補正傾きa1の場合の二乗誤差和E+が最小となる場合や、補正傾きa1の場合の二乗誤差和E-が最小となる場合に、補正幅Δa1を小さくして、処理を進めるようにすればよい。また、平均傾きa1aveの場合の二乗誤差和E0が最小となる場合に、繰り返し処理を終了せずに、補正幅Δa1を小さくして、同様の処理を繰り返すようにしてもよい。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。図12は、位相の折り返しが発生していない場合および位相の折り返しが発生した場合のデータ点の状況の一例を示す説明図である。
位相変化特性取得部32では、受信した狭帯域信号の位相を検出する際に、arctan演算を行い、位相が-πから+πの範囲で検出されるが、位相が-πからπの範囲を超えることで、位相の折り返し、すなわち、他のデータ点から2πだけ位相がずれる現象が発生する場合がある。
図12(A)に示す例は、全てのデータ点の位相が-πからπの範囲内にあり、位相の折り返しが発生していない場合である。図12(B)に示す例は、送受信間のシンセサイザの位相差となる初期位相、すなわち、最小周波数の位相が2πに近いため、位相の折り返しが発生している。図12(C)に示す例は、遅延量(遅延時間)が大きいために、周波数の順に並んだデータ点が途中から、位相が-πからπの範囲を超える状態となることで、位相の折り返しが発生している。
このように位相の折り返しが発生している場合には、そのままの状態で、最小二乗法により位相変化特性関数の傾きを取得しても、適切な傾きを取得することができない。
次に、第3実施形態に係る位相変化特性取得部32で行われるシフト処理について説明する。図13は、位相変化特性取得部32で行われるシフト処理の概要を示す説明図である。
本実施形態は、図12(B)に示したように、狭帯域信号の初期位相、すなわち、最小周波数の位相が2πに近いために、位相の折り返しが発生する場合の対策である。
本実施形態では、位相変化特性取得部32において、位相変化特性関数の傾きを取得する前に、データ点をシフトして位相の折り返しを解消する。特に、狭帯域信号の初期位相、すなわち、最小周波数のデータ点の位相が0になるように、各データ点を均一にシフトする。具体的には、初期位相が0になる位相シフト幅を求め、この位相シフト幅で、狭帯域信号の全てのデータ点をシフトする。これにより、位相の折り返しを解消することができる。このとき、傾きが明らかに正方向(すなわちa1が正の数)と思われる場合は、初期位相は0ではなく-πに近い数値に、逆に傾きが明らかに負方向(すなわちa1が負の数)と思われる場合は、初期位相は0ではなくπに近い数値にすることで、更に折り返しを生じにくくすることができる。
次に、第3実施形態に係るタイミング検出部22の動作手順について説明する。図14は、タイミング検出部22の動作手順を示すフロー図である。
タイミング検出部22では、まず、第1実施形態(図7参照)と同様に、ST101,ST102の各処理を行う。
次に、位相変化特性取得部32において、初期位相が0になる位相シフト幅を求めて、この位相シフト幅で、狭帯域信号の全てのデータ点をシフトする(ST141)。
次に、シフト済みのデータ点を対象にして、最小二乗法により、各周波数帯の狭帯域信号ごとの位相変化特性関数(直線近似式)の傾きを取得する(ST103)。
以降は、第1実施形態(図7参照)と同様である。
(第3実施形態の第1変形例)
次に、第3実施形態の第1変形例について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。図15は、第3実施形態の第1変形例に係る位相変化特性取得部32で行われるシフト処理の概要を示す説明図である。
本変形例は、図12(C)に示したように、遅延量が大きいために折り返しが発生している場合の対策である。
本変形例では、基準となるデータ点として、周波数が低い方から所定数のデータ点を選択して、その基準となるデータ点に基づいて、暫定的な位相変化特性関数を取得し、その暫定的な位相変化特性関数に基づいて、位相の折り返しが発生しているデータ点を選択して、そのデータ点の位相変化量を2πだけ補正する。これにより、位相の折り返しを解消することができる。
(第3実施形態の第2変形例)
次に、第3実施形態の第2変形例について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。図16は、第3実施形態の第2変形例に係る信号切り出し部31で行われる切り出し位置調整の概要、および位相変化特性の改善状況を示す説明図である。
本変形例は、図12(C)に示したように、遅延量が大きいために折り返しが発生している場合の対策である。
本変形例では、受信した狭帯域信号に対して簡易なタイミング推定を行い、この簡易なタイミング推定で推定した受信タイミングに基づいて、遅延量(遅延時間)が小さくなるように、狭帯域信号の切り出し位置を調整する。なお、簡易なタイミング推定としては、パルスの立ち上がりを検出して、そのタイミングを受信タイミングとすればよい。
図16(A-1)に示すように、切り出し位置調整を行わない場合には、遅延量が大きいために、図16(A-2)に示すように、周波数の順に並んだデータ点が途中から、位相が-πからπの範囲を超える状態となることで、位相の折り返しが発生している。
一方、図16(B-1)に示すように、切り出し位置調整を行うと、遅延量が小さくなり、図16(B-2)に示すように、周波数の順に並んだデータ点が途中から、位相が-πからπの範囲を超える状態とならないため、位相の折り返しが解消される。
次に、第3実施形態の第2変形例に係るタイミング検出部22の動作手順について説明する。図17は、タイミング検出部22の動作手順を示すフロー図である。
タイミング検出部22では、まず、信号切り出し部31において、アンカー間通信部11で受信した狭帯域信号に対して、時間領域における簡易なタイミング推定を行う(ST151)。
このとき、送信される測定信号がパルス波形であれば、そのままタイミング推定を行う。また、OFDMであれば、まず、FFTの処理を実施して、狭帯域信号の各周波数の位相を修正した上で、IFFT(逆高速フーリエ変換)の処理を実施して、時間波形に戻してパルス化する。
次に、切り出し位置(信号切り出し範囲)を調整する(ST152)。
次に、調整済みの切り出し位置に基づいて、受信した狭帯域信号を切り出す(ST101)。
以降は、第1実施形態(図7参照)と同様である。
なお、本変形例では、信号切り出し位置を調整した分だけ、取得した遅延時間が実際の時間より短くなるため、信号切り出し位置を調整した量に応じて遅延時間を補正する。
また、本変形例は、第3実施形態、および第3実施形態の第1変形例とのいずれか一方あるいは両方と組み合わせることができる。この場合、本変形例による狭帯域信号の切り出し位置調整を行った上で、第3実施形態による全てのデータ点のシフト処理を行うようにするとよい。さらに、必要に応じて第1変形例による一部のデータ点のシフト処理を行うようにしてもよい。
また、切り出し位置調整では、特定の1つの狭帯域信号を対象にして実施するようにしてもよい。また、帯域幅が最も広い狭帯域信号を対象にして実施するようにしてもよい。また、複数の狭帯域信号ごとに検出した受信タイミングを平均化した上で切り出し位置を設定するようにしてもよい。また、複数の狭帯域信号の電力和(受信電力を加算した値)に基づいて、切り出し位置を設定するようにしてもよい。また、切り出し位置の平均化や、電力和の算出では、帯域幅や距離減衰に応じた重み付けを行うようにしてもよい。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。図18は、第4実施形態に係る測距信号を構成する狭帯域信号を示す説明図である。
前記の実施形態では、複数の周波数帯が異なる狭帯域信号を送信するようにしたが、本実施形態では、同一の周波数帯の狭帯域信号を複数回繰り返して送信する。これにより、複数の周波数帯が異なる狭帯域信号を送信する場合と同様に、受信タイミングの検出精度を向上させることができる。
図18に示す例では、同じ周波数帯の狭帯域信号D1,D2,D3を、時間T1,T2をおいて送信するようにしている。
次に、第4実施形態に係る位相変化特性取得部32で行われる処理について説明する。図19、図20は、位相変化特性取得部32で行われる処理の概要を示す説明図である。
本実施形態では、図19に示すように、受信した狭帯域信号D1,D2,D3ごとに、位相変化特性関数の傾きを取得して、その狭帯域信号D1,D2,D3ごとの傾きを平均化して、平均傾きを取得する。
また、複数回送信される狭帯域信号が同じ周波数であるため、図20に示すように、受信した狭帯域信号を同期加算するようにしてもよい。すなわち、受信した狭帯域信号D1,D2,D3を同期加算した狭帯域信号から、位相変化特性関数の傾きを取得する。この場合、同期加算により、雑音を低減する効果も得られる。
なお、本実施形態は、前記の実施形態およびその変形例と組み合わせることができる。例えば、本実施形態と第1実施形態とを組み合わせて、周波数帯が異なる複数の狭帯域信号を複数回送受信するようにしてもよい。また、本実施形態と第3実施形態とを組み合わせて、同一の周波数帯の狭帯域信号を複数回送受信する場合に、位相の折り返しを解消するシフト処理を行うようにしてもよい。
ところで、以上の実施形態の説明では、主に測定側のアンカー1のタイミング検出について記載したが、応答側のアンカー1のタイミング検出は、測定側のアンカー1と同様である。ただし、自発の測距信号はどのようなタイミングで測定側のアンカー1から送信されるかが応答側のアンカー1で把握できないため、第3実施形態の変形例(図16参照)で説明した簡易なタイミング検出を行って信号を切り出して、自発の測距信号の受信タイミングを取得するようにすればよい。
具体的には、応答側のアンカー1では、受信電力がある一定の大きさになるなどをトリガとして、受信信号をメモリにため込んでおき、まず、簡易なタイミング検出により、自発の測距信号の受信タイミングを取得した上で、その受信タイミングから所定の信号処理時間が経過したタイミングで応答の測距信号を送信する。
次に、応答側のアンカー1では、メモリにため込んでおいたデータを、そのメモリの簡易なタイミング検出によって決めた低精度のタイミングに相当する番地から読み出し、それを使って位相変化特性に基づく高精度なタイミング検出を行う。すなわち、狭帯域信号に含まれる周波数ごとに、受信した狭帯域信号と送信した狭帯域信号との間の位相変化量を取得し、その各周波数での位相変化量に基づいて、位相変化特性(位相変化特性関数の傾き)を取得し、その位相変化特性に基づいて、受信した狭帯域信号に対する送信した狭帯域信号の遅延時間を取得し、その遅延時間に基づいて、自発の測距信号の受信タイミングを取得する。
そして、高精度なタイミング検出により取得した自発の測距信号の受信タイミングから所定の信号処理時間が経過したタイミングで応答の測距信号を再度送信する。これにより、測定側のアンカー1では、位相変化特性に基づく高精度なタイミング検出を行うことができる。
このように応答側のアンカー1では、測定側のアンカー1と同様の動作で高精度なタイミング検出を行い、このような高精度なタイミング検出を測定側のアンカー1と応答側のアンカー1との双方で行うことで、高精度な距離測定を行うことができる。
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施形態にも適用できる。また、上記の実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施形態とすることも可能である。
本発明に係る距離測定装置、距離測定システムおよび距離測定方法は、離散した複数の狭い周波数帯を利用して測距信号を送信する場合でも、連続した広い帯域幅の周波数帯を利用した場合と同等の測定精度を確保することができる効果を有し、応答側の装置との間で測距信号を送受信することにより、前記応答側の装置と自装置との間の距離を測定する距離測定装置、距離測定システムおよび距離測定方法などとして有用である。
1 アンカー(距離測定装置、応答側の装置)
2 移動体
11 アンカー間通信部(送信部、受信部)
12 ビーコン発信部
13 制御部
14 記憶部
21 測距信号制御部
22 タイミング検出部
23 距離算出部
24 位置算出部
25 ビーコン制御部
31 信号切り出し部
32 位相変化特性取得
32 位相変化特性取得部
33 遅延時間取得部

Claims (21)

  1. 応答側の装置との間で測距信号を送受信することにより、前記応答側の装置と自装置との間の距離を測定する距離測定装置であって、
    自発の測距信号を送信する送信部と、
    前記応答側の装置から送信される応答の測距信号を受信する受信部と、
    前記自発の測距信号および前記応答の測距信号のタイミングに基づいて、前記距離を測定する制御部と、
    を備え、
    前記送信部は、
    前記自発の測距信号として、周波数帯が異なり且つ複数の周波数を含む狭帯域信号を複数送信し、
    前記受信部は、
    前記応答の測距信号として、周波数帯が異なり且つ複数の周波数を含む狭帯域信号を複数受信し、
    前記制御部は、
    各周波数帯の前記狭帯域信号に含まれる周波数ごとに、送信した前記狭帯域信号と受信した前記狭帯域信号との間の位相変化量を取得し、
    各周波数帯の前記狭帯域信号に含まれる各周波数での位相変化量に基づいて、周波数帯ごとの位相変化特性を取得し、
    前記周波数帯ごとの位相変化特性を統合して、全体的な位相変化特性を取得し、
    前記全体的な位相変化特性に基づいて、送信した前記狭帯域信号に対する受信した前記狭帯域信号の遅延時間を取得し、
    前記遅延時間に基づいて、前記距離を取得することを特徴とする距離測定装置。
  2. 前記制御部は、
    前記周波数帯ごとの位相変化特性として、前記狭帯域信号に含まれる各周波数と位相変化量との関係を表す位相変化特性関数の傾きを取得することを特徴とする請求項1に記載の距離測定装置。
  3. 前記制御部は、
    前記周波数帯ごとの位相変化特性に対して平均化を行って、前記全体的な位相変化特性を取得することを特徴とする請求項1に記載の距離測定装置。
  4. 前記制御部は、
    前記周波数帯ごとの位相変化特性に対して、各周波数帯の帯域幅で重み付けした平均化を行うことを特徴とする請求項3に記載の距離測定装置。
  5. 前記制御部は、
    前記周波数帯ごとの位相変化特性に対して、各周波数帯の距離減衰特性で重み付けした平均化を行うことを特徴とする請求項3に記載の距離測定装置。
  6. 前記制御部は、
    前記狭帯域信号に含まれる各周波数での位相変化量を表すデータ点を周波数帯ごとに取得し、
    周波数帯ごとの前記データ点が互いに隣接するように、各周波数帯の前記データ点をシフトし、
    シフトした状態の前記データ点を対象にして、前記全体的な位相変化特性を取得することを特徴とする請求項1に記載の距離測定装置。
  7. 前記制御部は、
    初期の前記全体的な位相変化特性に基づいて、前記データ点のシフト量を取得し、
    そのシフト量に基づいて、前記データ点をシフトし、
    シフトした状態の前記データ点を対象にして、新たな全体的な位相変化特性を取得することを特徴とする請求項6に記載の距離測定装置。
  8. 前記制御部は、
    前記新たな全体的な位相変化特性と前記データ点との間の誤差を取得する処理を、前記周波数帯ごとの位相変化特性を統合して取得した初期の前記全体的な位相変化特性の場合と、その初期の全体的な位相変化特性を所定幅だけ変化させた補正後の全体的な位相変化特性の場合とで行い、
    前記初期の全体的な位相変化特性の場合の誤差と、前記補正後の全体的な位相変化特性の場合の誤差とを比較して、補正の妥当性を判定し、
    補正が妥当でない場合には、前記初期の全体的な位相変化特性を採用し、
    補正が妥当である場合には、前記補正後の全体的な位相変化特性を初期の全体的な位相変化特性に置き換えて、前記誤差を取得する処理を繰り返すことを特徴とする請求項7に記載の距離測定装置。
  9. 前記制御部は、
    前記狭帯域信号に含まれる各周波数での位相変化量を表すデータ点を周波数帯ごとに取得し、
    前記データ点に位相の折り返しが発生している場合には、その位相の折り返しが解消されるように、前記データ点の位相変化量を補正することを特徴とする請求項1に記載の距離測定装置。
  10. 前記制御部は、
    周波数が最も低い前記データ点の位相変化量が0になるように、全ての前記データ点の位相変化量を均一に補正することを特徴とする請求項9に記載の距離測定装置。
  11. 前記制御部は、
    周波数が低い前記データ点を所定数選択して、そのデータ点に基づいて、暫定的な位相変化特性を取得し、その暫定的な位相変化特性に基づいて、位相の折り返しが発生しているデータ点を選択し、そのデータ点の位相変化量を2πだけ補正することを特徴とする請求項9に記載の距離測定装置。
  12. 前記制御部は、
    受信した前記狭帯域信号に対して受信タイミングを推定し、
    前記受信タイミングに基づいて、遅延量が短くなるように信号切り出し位置を調整して、前記狭帯域信号を切り出し、
    切り出した前記狭帯域信号に基づいて、前記位相変化特性を取得することを特徴とする請求項9に記載の距離測定装置。
  13. 応答側の装置との間で測距信号を送受信することにより、前記応答側の装置と自装置との間の距離を測定する距離測定装置であって、
    自発の測距信号を送信する送信部と、
    前記応答側の装置から送信される応答の測距信号を受信する受信部と、
    前記自発の測距信号および前記応答の測距信号のタイミングに基づいて、前記距離を測定する制御部と、
    を備え、
    前記送信部は、
    前記自発の測距信号として、周波数帯が同一で且つ複数の周波数を含む狭帯域信号を複数回送信し、
    前記受信部は、
    前記応答の測距信号として、周波数帯が同一で且つ複数の周波数を含む狭帯域信号を複数回受信し、
    前記制御部は、
    各回の前記狭帯域信号に含まれる周波数ごとに、送信した前記狭帯域信号と受信した前記狭帯域信号との間の位相変化量を取得し、
    各回の前記狭帯域信号に含まれる各周波数での位相変化量に基づいて、各回の位相変化特性を取得し、
    前記各回の位相変化特性を統合して、全体的な位相変化特性を取得し、
    前記全体的な位相変化特性に基づいて、送信した前記狭帯域信号に対する受信した前記狭帯域信号の遅延時間を取得し、
    前記遅延時間に基づいて、前記距離を取得することを特徴とする距離測定装置。
  14. 前記自発の測距信号の変調方式として、マルチキャリア信号を用いることを特徴とする請求項1から請求項13のいずれかに記載の距離測定装置。
  15. 前記マルチキャリア信号として、OFDM信号を用いることを特徴とする請求項14に記載の距離測定装置。
  16. 前記制御部は、
    前記遅延時間から、前記応答側の装置において前記自発の測距信号を受信してから前記応答の測距信号を送信するまでの信号処理に要する時間である信号処理時間を減算して、往復の電波伝搬時間を算出し、その往復の電波伝搬時間の半分を片道の電波伝搬時間とし、その片道の電波伝搬時間に伝搬速度を乗算することで距離を算出することを特徴とする請求項1から請求項15のいずれかに記載の距離測定装置。
  17. 距離測定装置と応答側の装置との間で測距信号を送受信することにより、前記距離測定装置と前記応答側の装置との間の距離を測定する距離測定システムであって、
    前記距離測定装置は、
    自発の測距信号を送信する送信部と、
    前記応答側の装置から送信される応答の測距信号を受信する受信部と、
    前記自発の測距信号および前記応答の測距信号のタイミングに基づいて、前記距離を測定する制御部と、
    を備え、
    前記送信部は、
    前記自発の測距信号として、周波数帯が異なり且つ複数の周波数を含む狭帯域信号を複数送信し、
    前記受信部は、
    前記応答の測距信号として、周波数帯が異なり且つ複数の周波数を含む狭帯域信号を複数受信し、
    前記制御部は、
    各周波数帯の前記狭帯域信号に含まれる周波数ごとに、送信した前記狭帯域信号と受信した前記狭帯域信号との間の位相変化量を取得し、
    各周波数帯の前記狭帯域信号に含まれる各周波数での位相変化量に基づいて、周波数帯ごとの位相変化特性を取得し、
    前記周波数帯ごとの位相変化特性を統合して、全体的な位相変化特性を取得し、
    前記全体的な位相変化特性に基づいて、送信した前記狭帯域信号に対する受信した前記狭帯域信号の遅延時間を取得し、
    前記遅延時間に基づいて、前記距離を取得することを特徴とする距離測定システム。
  18. 距離測定装置と応答側の装置との間で測距信号を送受信することにより、前記距離測定装置と前記応答側の装置との間の距離を測定する距離測定システムであって、
    前記距離測定装置は、
    自発の測距信号を送信する送信部と、
    前記応答側の装置から送信される応答の測距信号を受信する受信部と、
    前記自発の測距信号および前記応答の測距信号のタイミングに基づいて、前記距離を測定する制御部と、
    を備え、
    前記送信部は、
    前記自発の測距信号として、周波数帯が同一で且つ複数の周波数を含む狭帯域信号を複数回送信し、
    前記受信部は、
    前記応答の測距信号として、周波数帯が同一で且つ複数の周波数を含む狭帯域信号を複数回受信し、
    前記制御部は、
    各回の前記狭帯域信号に含まれる周波数ごとに、送信した前記狭帯域信号と受信した前記狭帯域信号との間の位相変化量を取得し、
    各回の前記狭帯域信号に含まれる各周波数での位相変化量に基づいて、各回の位相変化特性を取得し、
    前記各回の位相変化特性を統合して、全体的な位相変化特性を取得し、
    前記全体的な位相変化特性に基づいて、送信した前記狭帯域信号に対する受信した前記狭帯域信号の遅延時間を取得し、
    前記遅延時間に基づいて、前記距離を取得することを特徴とする距離測定システム。
  19. 前記応答側の装置は、
    前記距離測定装置から送信される前記自発の測距信号を受信する受信部と、
    前記応答の測距信号を送信する送信部と、
    前記自発の測距信号の受信タイミングから所定の信号処理時間が経過したタイミングで前記応答の測距信号を前記送信部から送信する制御部と、
    を備え、
    前記制御部は、
    前記狭帯域信号に含まれる周波数ごとに、受信した前記狭帯域信号と送信した前記狭帯域信号との間の位相変化量を取得し、
    前記狭帯域信号に含まれる各周波数での位相変化量に基づいて、位相変化特性を取得し、
    前記位相変化特性に基づいて、受信した前記狭帯域信号に対する送信した前記狭帯域信号の遅延時間を取得し、
    前記遅延時間に基づいて、前記自発の測距信号の受信タイミングを取得することを特徴とする請求項17または請求項18に記載の距離測定システム。
  20. 距離測定装置において、応答側の装置との間で測距信号を送受信することにより、前記応答側の装置と自装置との間の距離を測定する距離測定方法であって、
    自装置から、自発の測距信号として、周波数帯が異なり且つ複数の周波数を含む狭帯域信号を複数送信し、
    前記応答側の装置から、応答の測距信号として、周波数帯が異なり且つ複数の周波数を含む狭帯域信号を複数受信し、
    各周波数帯の前記狭帯域信号に含まれる周波数ごとに、送信した前記狭帯域信号と受信した前記狭帯域信号との間の位相変化量を取得し、
    各周波数帯の前記狭帯域信号に含まれる各周波数での位相変化量に基づいて、周波数帯ごとの位相変化特性を取得し、
    前記周波数帯ごとの位相変化特性を統合して、全体的な位相変化特性を取得し、
    前記全体的な位相変化特性に基づいて、送信した前記狭帯域信号に対する受信した前記狭帯域信号の遅延時間を取得し、
    前記遅延時間に基づいて、前記距離を取得することを特徴とする距離測定方法。
  21. 距離測定装置において、応答側の装置との間で測距信号を送受信することにより、前記応答側の装置と自装置との間の距離を測定する距離測定方法であって、
    自装置から、自発の測距信号として、周波数帯が同一で且つ複数の周波数を含む狭帯域信号を複数回送信し、
    前記応答側の装置から、応答の測距信号として、周波数帯が同一で且つ複数の周波数を含む狭帯域信号を複数回受信し、
    各回の前記狭帯域信号に含まれる周波数ごとに、送信した前記狭帯域信号と受信した前記狭帯域信号との間の位相変化量を取得し、
    各回の前記狭帯域信号に含まれる各周波数での位相変化量に基づいて、各回の位相変化特性を取得し、
    前記各回の位相変化特性を統合して、全体的な位相変化特性を取得し、
    前記全体的な位相変化特性に基づいて、送信した前記狭帯域信号に対する受信した前記狭帯域信号の遅延時間を取得し、
    前記遅延時間に基づいて、前記距離を取得することを特徴とする距離測定方法。
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