JP7121223B1 - 金属酸化物中空粒子を用いたブルーライトカット用樹脂組成物及びその用途 - Google Patents
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Abstract
Description
中空粒子の中でも、シリカ、酸化チタン、酸化ジルコニウム等の金属酸化物の中空粒子は、構造安定性、化学的安定性にすぐれていることから、工業的に有用である。特に、酸化チタンを含有する中空粒子は、高屈折率であること、触媒活性を有すること等の理由から、光散乱材料や触媒材料として有用とされている。
即ち、本発明は、以下1)~10)に関するものである。
1)
(A)金属酸化物中空粒子、及び(B)透明樹脂を含有するブルーライトカット用樹脂組成物であって、
前記(A)について中空径をA(nm)、粒子径をB(nm)としたときに、A及びBが下記式(1)及び(2)を満たす、ブルーライトカット用樹脂組成物。
0.65 ≦ A/B ≦ 0.9・・・(1)
100nm ≦ B ≦ 250nm・・・(2)
2)
膜厚5μmのフィルムとして測定したときの、波長400nm~500nmにおける極小透過率をX(%)、600nmにおける透過率をY(%)としたときに、X及びYが下記式(3)及び(4)を満たす、上記1)に記載のブルーライトカット用樹脂組成物。
0% ≦ X ≦ 60%・・・(3)
0.25 ≦ X/Y ≦ 0.8・・・(4)
3)
前記(A)金属酸化物中空粒子が(A-1)ルチル型酸化チタンを含む中空粒子である、上記1)または2)に記載のブルーライトカット用樹脂組成物。
4)
前記(A)金属酸化物中空粒子が、(A-1)ルチル型酸化チタンと(A-2)シリカを含む中空粒子である、請求項1から3のいずれか一項に記載のブルーライトカット用樹脂組成物。
5)
前記(A)中の(A-2)シリカの含有率が0.5質量%以上30質量%以下である、上記4)に記載のブルーライトカット用樹脂組成物。
6)
前記(B)透明樹脂が硬化性樹脂である、上記1)から5)のいずれか一項に記載のブルーライトカット用樹脂組成物。
7)
上記1)から6)のいずれか一項に記載のブルーライトカット用樹脂組成物を有するブルーライトカットフィルム。
8)
上記1)から6)のいずれか一項に記載のブルーライトカット用樹脂組成物を有するブルーライトカット層。
9)
上記7)に記載のブルーライトカットフィルム、又は上記8)に記載のブルーライトカット層を有する光学フィルター。
10)
上記7)に記載のブルーライトカットフィルム、又は上記8)に記載のブルーライトカット層を有するアイウェア。
[(A)金属酸化物中空粒子]
本発明の樹脂組成物は、成分(A)として、金属酸化物中空粒子を含有する。
金属酸化物とは、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄、およびシリカ等が挙げられ、これらを1種又は2種以上組み合せて用いることができる。これら微粒子金属酸化物の中でも、酸化亜鉛、酸化チタンが好ましく、酸化チタンがより好ましい。
これらの金属酸化物は、アルミニウムの酸化物及び/又は水酸化物や、シリカ、ケイ素酸化物及び/又は水酸化物で表面処理されていてもよい。または、これらの金属酸化物は、フッ素化合物、シリコーン化合物、金属石鹸、レシチン、水素添加レシチン、コラーゲン、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、ワックス、ロウ、界面活性剤等の1種又は2種以上を用いて表面処理を施してあってもよい。
また中空粒子とは、内部に空孔が形成され、殻が上記金属酸化物で形成されている球状、略球状、凹凸状、異形状等の粒子であり、球状又は略球状である場合が好ましく、球状である場合が更に好ましい。また中空粒子内部の空孔は、空孔を球と見なしたときに真円度が高いものが好ましい。
なお本明細書において金属酸化物中空粒子を単に中空粒子と、ルチル型酸化チタンを単に酸化チタンと記載する場合がある。
上記(A)金属酸化物中空粒子として最も好ましくは、酸化チタンであり、当該酸化チタンはルチル型であることが特に好ましい。
(A-1)ルチル型酸化チタンは、光触媒機能が低い、屈折率が高いので波長に対する反射率を制御できる点において優れる。酸化チタン中のルチル型酸化チタンの割合は、通常80質量%~100質量%、好ましくは85質量%~100質量%、より好ましくは90質量%~100質量%である。なお当該割合はX線回折ピークから算出される値である。
本実施形態に係る中空粒子を構成する酸化チタンが単結晶であることは、公知の方法で確認することができる。公知の方法としては、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)を使用して、単粒子の電子回折像を測定する方法が挙げられる。本明細書において「単結晶」とは、単粒子の電子回折像がスポット像であることを意味する。
本発明の樹脂組成物に用いられる(A)金属酸化物中空粒子は、その殻部分に、(A-2)シリカを含有することが好ましい。このシリカは結晶性であってもアモルファスであってもよいが、アモルファスであることが好ましい。シリカがアモルファスであることは、公知の方法で確認することができる。公知の方法としては、例えば、X線回折装置等を使用して、シリカ結晶(例えばα-SiO2)に由来する回折ピークを測定する方法が挙げられる。本明細書において「アモルファス」とは、結晶に由来する明確な回折ピークが現れないことを意味する。
また、(A-1)ルチル型酸化チタン中にシリカを有する場合、(A)金属酸化物中空粒子での酸化チタンの含有率が70.0質量%以上99.5質量%以下であることが好ましい。酸化チタンの含有率の上限としてより好ましい値は、順に98.5質量%、97.5質量%、96.5質量%、95.5質量%であり、特に好ましくは95.0質量%である。また下限としてより好ましい値は、75.0質量%、80.0質量%、85.0質量%、86.0質量%、87.0質量%、88.0質量%、89.0質量%であり、特に好ましくは90.0質量%である。従って、酸化チタンの含有率として最も好ましくは90.0質量%以上95.0質量%以下である。
また、本実施形態に係る中空粒子は、シリカの含有率が0.5質量%以上30.0質量%以下であることが好ましい。シリカの含有率の上限としてより好ましい値は、順に25.0質量%、20.0質量%、15.0質量%、14.0質量%、13.0質量%、12.0質量%、11.0質量%であり、特に好ましくは10.0質量%である。また下限としてより好ましい値は、1.5質量%、2.0質量%、2.2質量%、2.5質量%、3.5質量%、4.5質量%であり、特に好ましくは5.0質量%である。従って、シリカの含有率として最も好ましくは5.0質量%以上10.0質量%である。
中空粒子が含有する酸化チタン及びシリカの含有率は、中空粒子を製造する際の酸化チタン前駆体及びシリカ前駆体が、100%の変換率で酸化チタン及びシリカに変換されたものとして算出する。これらの含有率を算出するときは、小数点以下2桁目を四捨五入して、小数点以下1桁目までを記載する。
なお、この中空粒子は、中空構造を有する酸化チタン層とシリカ層の境界は複合酸化物となっていても良い。なおシリカがこの範囲であることにより、ブルーライトである波長400~500nmの光を効率的に遮蔽して透過率を下げることができる。
本発明の樹脂組成物に用いられる金属酸化物中空粒子は、中空粒子の中空径をA(nm)、中空粒子の粒子径をB(nm)としたとき、A/Bが上記式(1)を満たすことを特徴とする。すなわちA/Bの値は0.65~0.90である。A/Bの好ましい下限の値は順に0.68、0.70、0.75であり、特に好ましくは0.77である。また、上限の値は、好ましい順に0.88、0.85であり、特に好ましくは0.80である。すなわち、A/Bの最も好ましい範囲は0.77~0.80である。殻の厚みが薄過ぎる場合は混合時に中空構造が崩壊することがあり、殻の厚みが厚過ぎる場合は密度が高くなって沈殿することがあるので好ましくない。
なお、本実施形態に係る中空粒子としては、粒子の表面から内部の空孔へと通じる細孔を有さないものが好ましい。そのような細孔を有するか否かは、例えば、細孔分布測定装置(例えば、マイクロトラック・ベル株式会社製、BELSORP-mini II)を用いて、相対圧力に対する吸着量及び脱着量を測定することにより確認することができる。本明細書において「内部の空孔へと通じる細孔を有さない」とは、吸着量及び脱着量から作成される吸脱着等温線がIUPAC分類におけるIV型又はV型ではないことを意味する。IUPAC分類の中では、II型及びIII型が好ましく、II型がより好ましい。
中空粒子の中空径A及び中空粒子の1次粒子径Bは、透過型電子顕微鏡(TEM)で無作為に撮影した中空構造粒子10個の中空構造の中空径A、及び中空粒子の1次粒子径Bの算術平均値である。比A/Bの有効数字が小数点以下1桁のときは、小数点以下2桁目を四捨五入して算出する。また、比A/Bの有効数字が小数点以下2桁のときは、小数点以下3桁目を四捨五入して算出する。
なお本明細書において、中空粒子の中空径を内径と表現する場合がある。
本発明の樹脂組成物に用いられる金属酸化物中空粒子の1次粒子径は、B(nm)で表した場合、上記式(2)を満たすことを特徴とする。すなわち(A)金属酸化物中空粒子の1次粒子径は100nm以上250nm以下である。Bの上限としてさらに好ましい値は順に240nm、235nm、230nm、225nm、220nm、215nmであり、特に好ましくは210nmである。また下限としてさらに好ましい値は順に、120mn、140nm、150nm、160nm、170nm、180nmであり、特に好ましくは190nmである。すなわちBの範囲として最も好ましくは、190nm以上210nm以下である。
本発明の樹脂組成物を塗布し、膜厚5μmに成膜した膜(フィルム)の波長400nm~500nmにおける極小透過率をX(%)とすると、上記式(3)を満たすことが好ましい。透過率Xの好ましい上限値は順に、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、であり0%であっても良い。透過率が高すぎるとブルーライトを遮蔽できないので、当該波長において透過率が低いほど好ましい。
なお、成膜は、樹脂組成物の塗布、乾燥、硬化工程を経ることが通常である。塗布工程は、スピンコーター等によって塗布する工程であり、樹脂組成物中の溶剤濃度等から成膜後5μmの膜厚となる最適な条件で塗布を行う。乾燥工程はホットプレート等を用いて溶剤を乾燥する工程であり、溶剤の種類や量に基づく最適な条件で行う。なお、溶剤を含有しない樹脂組成物においては、乾燥工程は不要である。硬化工程は硬化性樹脂を硬化させる工程であり、樹脂の組成に対応して光硬化、熱硬化又はそれらを併用する。ただし樹脂組成物に用いられる樹脂が熱可塑性樹脂のみの場合には、硬化工程は不要である。成膜後5μmの膜厚となるように成膜を行うが、厳密に5μmである必要はなく、4.9μ~5.1μm程度でも、XやYに与える影響は軽微である。
透過率は分光光度計を用いて測定することができ、具体的には、分光光度計(株式会社島津製作所製、UV-3100)を用いて測定する。
本発明の樹脂組成物を塗布し、膜厚5μmに成膜した膜の波長600nmにおける透過率をY(%)とすると、上記式(4)を満たすことが好ましい。これはブルーライト領域の透過率が視感度が高い600nmと比較して、1/4から4/5に抑えられていることを意味している。X/Yの好ましい下限の値は順に0.26、0.28、0.30であり、好ましい上限の値は順に0.78、0.76、0.75、0.70、0.68、0.67、0.66、0.65、0.64、0.56、0.55、0.54、0.52、0.51、0.50、0.47、0.46であり、特に好ましくは0.45である。すなわちX/Yの最も好ましい範囲は0.30以上0.45以下である。
本発明の樹脂組成物に用いられる(A)金属酸化物中空粒子は1次粒子の変動係数が10%以下である場合が好ましい。
中空粒子の1次粒子径の変動係数は、以下の式から算出できる。
変動係数(%)=1次粒子径の標準偏差(nm)/算術平均粒子径(nm)
変動係数は小さい方が、均一な大きさの粒子が得られていることを示すため好ましい。変動係数は、通常10%以下、好ましくは8%以下、より好ましくは7%以下、さらに好ましくは5%以下である。下限は小さい方が好ましく、理想的には0%である。
本発明の樹脂組成物に用いられる(A)金属酸化物中空粒子は、真球度が0.5以上1.0以下である場合が好ましい。
真球度は、透過型電子顕微鏡(TEM)によって測定することができる。つまり、無作為に撮影した中空粒子10個の長軸と面積から以下の式を用いて算出した算術平均値である。真球度の有効数字が小数点以下1桁のときは、小数点以下2桁目を四捨五入して算出する。また、真球度の有効数字が小数点以下2桁のときは、小数点3桁目を四捨五入して算出する。
真球度=(4×粒子面積(nm2))/(π×(長軸(nm))2)
また、真球度は画像解析ソフトImage Jを用いて算出しても良い。
真球度が上記範囲であることによって、分散性が向上し、また波長における反射率制御に優れる。
本発明の樹脂組成物に用いられる(A)金属酸化物中空粒子は、金属酸化物の他に、上記シリカ、更には、例えば、Sn、Cd、Fe、Ni、Zn、Mn、Co、Cr、Cu、K、Na、Li、P、S等から選択される元素を含有しても良い。これらの元素は、1種類であっても2種類以上であってもよい。
本発明の樹脂組成物に用いられる金属酸化物中空粒子は、例えば、Xiong Wen(David)Lou,Lynden A.Archer and Zichao Yang,Adv.Mater.,2008,20,3987-4019等に記載されている公知の方法に準じて製造することができる。ただしこの製造方法に限定されるものではない。なお以下は金属酸化物を酸化チタンとした場合の例として記載する。
第1工程としては、テンプレート粒子と酸化チタン前駆体及びシリカ前駆体とを、有機溶媒中で塩基の存在下に反応させる工程が挙げられる。シリカ前駆体は、酸化チタン前駆体の添加後に添加してもよく、酸化チタン前駆体と同時に添加してもよい。第1工程により、コアとなるテンプレート粒子の表面に酸化チタン前駆体及びシリカ前駆体を含有するシェルが形成されたコア/シェル粒子を得ることができる。
なお、本明細書において「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートの両方を意味し、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸の両方を意味する。
第1工程の反応温度は、通常-30℃~80℃、好ましくは0℃~50℃である。
第1工程の反応時間は、反応温度、シェルの厚さ等によって変わるため、一概に決めることは困難である。その目安としては、通常0.1時間~10時間、好ましくは0.5時間~7時間程度である。
すなわち、上記の表面電位と反対符号を有する有機ポリマー(例えば、ポリエチレンイミン等)をテンプレート粒子の表面に吸着させる。次いで、酸化チタンの微粒子を有機ポリマーの表面に堆積又は吸着させ、必要に応じて酸化チタン前駆体を加えることにより、コア/シェル粒子を形成することができる。酸化チタンの微粒子として、例えばルチル型の酸化チタンを用いることにより、酸化チタン前駆体から生成する酸化チタンの結晶型をルチル型にすることができる。
第2工程としては、テンプレート粒子を溶剤により溶解して除去する工程が挙げられる。そのような溶剤としては、シェル粒子を溶解又は破壊しない溶剤が好ましい。テンプレート粒子がポリマー粒子の場合、第2工程で使用する溶剤としては、メチルエチルケトン、トルエン、テトラヒドロフラン、クロロホルム等の有機溶剤が挙げられる。また、テンプレート粒子が無機粒子の場合、第2工程で使用する溶剤としては、希塩酸、希硝酸、希硫酸等の酸の水溶液が挙げられる。
第3工程としては、第2工程で得られたシェル粒子を焼成することにより、中空粒子を得る工程が挙げられる。通常、焼成は、空気、窒素、アルゴン、水素、アンモニア等の1種類以上から選択されるガスの雰囲気下で行うことができるが、単結晶の酸化チタンを得るためには、空気雰囲気下で焼成するのが好ましい。なお、本明細書において「空気」とは、地球の大気圏の最下層を構成している気体であり、人類が生活する通常の環境で得られる気体を意味する。
第3工程の焼成時間は、焼成温度等によって変わるため、一概に決めることは困難である。その目安としては、通常0.5時間~数十時間、好ましくは1時間~10時間程度である。
本発明の樹脂組成物は、(A)金属酸化物中空粒子、及び(B)透明樹脂を含有する。
本明細書において、透明樹脂とは、アイウェアとして使用できる程度の透過度を有する樹脂を意味し、具体的には380nm~780nmの波長における可視透過率が20%以上である樹脂を意味する。尚、可視光透過率はJIS R 3106/ISO 9050に準拠した方法で算出した値である。
また、透明樹脂は熱可塑性樹脂であっても、(光及び/又は熱による)硬化性樹脂であっても良いが、硬化性樹脂であると好ましく、特に光硬化性樹脂である場合が好ましい。
熱可塑性樹脂としては、高密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、超低密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブタジエン樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリスチレン樹脂、エチレン酢酸ビニルコポリマー、アイオノマー樹脂、エチレンビニルアルコール共重合樹脂、エチレンアクリル酸エチル共重合体、アクリロニトリル・スチレン樹脂、アクリロニトリル・塩素化ポリスチレン・スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル・アクリルゴム・スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル・EPDM・スチレン共重合樹脂、シリコーンゴム・アクリロニトリル・スチレン共重合樹脂、セルロース・アセテート・ブチレート樹脂、酢酸セルロース樹脂、メタクリル樹脂、エチレン・メチルメタクリレートコポリマー樹脂、エチレン・エチルアクリレート樹脂、塩化ビニル樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ4フッ化エチレン樹脂、4フッ化エチレン・6フッ化プロピレン共重合樹脂、4フッ化エチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂、4フッ化エチレン・エチレン共重合樹脂、ポリ3フッ化塩化エチレン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ナイロン4,6、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,10、ナイロン6,12、ナイロン12、ナイロン6,T、ナイロン9,T、芳香族ナイロン樹脂、ポリアセタール樹脂、超高分子量ポリエチレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、非晶性コポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、液晶ポリマー、ポリテトラフロロエチレン樹脂、ポリフロロアルコキシ樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリケトン樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、生分解樹脂、バイオマス樹脂が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらの樹脂2種以上を混合させたものであっても良い。
本発明において用いられうる硬化性樹脂は、光及び/又は熱硬化性樹脂である場合が好ましい。なお、本明細書においては、樹脂としての性状を有さない、例えば低分子単官能アクリルモノマーのような硬化性化合物も硬化性樹脂として記載する。
本発明に用いられ得る(B-2)硬化性樹脂とは、例えば(B-2-1)熱硬化性樹脂や(B-2-2)光硬化性樹脂を挙げることができる。
<(B-2-1)熱硬化性樹脂>
熱硬化性樹脂とは、例えばエポキシ基、オキセタニル基等の環状エーテルを有する硬化性樹脂が挙げられる。
上記環状エーテルを有する熱硬化性樹脂としては特に限定されず、例えば、エポキシ樹脂(脂環式エポキシ樹脂を含む脂肪族エポキシ樹脂または芳香族エポキシ樹脂)、オキセタン樹脂、フラン樹脂等が挙げられる。なかでも、反応速度や汎用性の観点からエポキシ樹脂(脂肪族環、例えば炭素数3~12の脂肪族環を含んでいても良い)、オキセタン樹脂が好適である。上記エポキシ樹脂としては特に限定されず、例えば、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、ビフェニルノボラック型、トリスフェノールノボラック型、ジシクロペンタジエンノボラック型等のノボラック型;ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、2,2’-ジアリルビスフェノールA型、水添ビスフェノール型、ポリオキシプロピレンビスフェノールA型等のビスフェノール型等が挙げられる。また、その他にグリシジルアミン等も挙げられる。
上記エポキシ樹脂の市販品としては、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、エピクロン(登録商標)N-740、N-770、N-775(以上、いずれも大日本インキ化学工業株式会社製)、エピコート(登録商標)152、エピコート(登録商標)154(以上、いずれもジャパンエポキシレジン株式会社製)等が挙げられる。クレゾールノボラック型としては、例えば、エピクロン(登録商標)N-660、N-665、N-670、N-673、N-680、N-695、N-665-EXP、N-672-EXP(以上、いずれも大日本インキ化学工業株式会社製);ビフェニルノボラック型としては、例えば、NC-3000P(日本化薬社製);トリスフェノールノボラック型としては、例えば、EP1032S50、EP1032H60(以上、いずれもジャパンエポキシレジン株式会社製);ジシクロペンタジエンノボラック型としては、例えば、XD-1000-L(日本化薬株式会社製)、HP-7200(大日本インキ化学工業株式会社製);ビスフェノールA型エポキシ化合物としては、例えば、エピコート(登録商標)828、エピコート(登録商標)834、エピコート1001、エピコート(登録商標)1004(以上、いずれもジャパンエポキシレジン株式会社製)、エピクロン(登録商標)850、エピクロン(登録商標)860、エピクロン(登録商標)4055(以上、いずれも大日本インキ化学工業株式会社製);ビスフェノールF型エポキシ化合物の市販品としては、例えば、エピコート(登録商標)807(ジャパンエポキシレジン株式会社製)、エピクロン(登録商標)830(大日本インキ化学工業株式会社製);2,2’-ジアリルビスフェノールA型としては、例えば、RE-810NM(日本化薬株式会社製);水添ビスフェノール型としては、例えば、ST-5080(東都化成株式会社製);ポリオキシプロピレンビスフェノールA型としては、例えば、EP-4000、EP-4005(以上、いずれも旭電化工業株式会社製)等が挙げられる。
上記オキセタン化合物の市販品として、例えば、エタナコール(登録商標)EHO、エタナコール(登録商標)OXBP、エタナコール(登録商標)OXTP、エタナコール(登録商標)OXMA(以上、いずれも宇部興産株式会社製)等が挙げられる。また、上記脂環式エポキシ化合物としては特に限定されず、例えば、セロキサイド(登録商標)2021、セロキサイド(登録商標)2080、セロキサイド(登録商標)3000(以上、いずれもダイセル・ユーシービー株式会社製)等が挙げられる。これらの環状エーテル基を有する硬化性樹脂は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
光硬化性樹脂とは、例えば、ビニル基、ビニルエーテル基、アリル基、マレイミド基、(メタ)アクリロイル基等を有する樹脂が挙げられる。なかでも反応性や汎用性の面より(メタ)アクリロイル基を有する樹脂、例えば(メタ)アクリレート化合物、が好ましい。なお、本明細書において、「(メタ)アクリロイル」等の用語は、「アクリロイル」又は「メタクリロイル」を意味し、例えば「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」又は「メタクリレート」を意味する。
(メタ)アクリロイル基を有する樹脂としては例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、カルビトール(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、水酸基含有(メタ)アクリレートと多カルボン酸化合物の酸無水物の反応物であるハーフエステル,ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、グリセリンポリプロポキシトリ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのε-カプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリレート(例えば、日本化薬株式会社製、KAYARAD(登録商標)HX-220、HX-620等)、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールとε-カプロラクトンの反応物のポリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート(例えば日本化薬(株)製、KAYARAD(登録商標)DPHA等)、モノ又はポリグリシジル化合物と(メタ)アクリル酸の反応物であるエポキシ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート化合物を挙げることができる。
モノ又はポリグリシジル化合物と(メタ)アクリル酸の反応物であるエポキシ(メタ)アクリレートに用いられるグリシジル化合物としては、特に制限はなく、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4,4’-ビフェニルフェノール、テトラメチルビスフェノールA、ジメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、ジメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールS、ジメチルビスフェノールS、テトラメチル-4,4’-ビフェノール、ジメチル-4,4’-ビフェニルフェノール、1-(4-ヒドロキシフェニル)-2-[4-(1,1-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)エチル)フェニル]プロパン、2,2’-メチレン-ビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、トリスヒドロキシフェニルメタン、レゾルシノール、ハイドロキノン、ピロガロール、ジイソプロピリデン骨格を有するフェノール類、1,1-ジ-4-ヒドロキシフェニルフルオレン等のフルオレン骨格を有するフェノール類、フェノール化ポリブタジエン、ブロム化ビスフェノールA、ブロム化ビスフェノールF、ブロム化ビスフェノールS、ブロム化フェノールノボラック、ブロム化クレゾールノボラック、クロル化ビスフェノールS、クロル化ビスフェノールA等のポリフェノール類のグリシジルエーテル化物が挙げられる。
これらモノ又はポリグリシジル化合物と(メタ)アクリル酸の反応物であるエポキシ(メタ)アクリレートは、そのエポキシ基に当量の(メタ)アクリル酸をエステル化反応させる事によって得ることができる。この合成反応は一般的に知られている方法により行うことができる。例えば、レゾルシンジグリシジルエーテルにその当量の(メタ)アクリル酸を、触媒(例えば、ベンジルジメチルアミン、トリエチルアミン、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、トリフェニルホスフィン、トリフェニルスチビン等)及び重合防止剤(例えば、メトキノン、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、フェノチアジン、ジブチルヒドロキシトルエン等)と共に添加して、例えば80~110℃でエステル化反応を行う。こうして得られた(メタ)アクリル化レゾルシンジグリシジルエーテルは、ラジカル重合性の(メタ)アクリロイル基を有する樹脂である。
また、分子内に3以上の(メタ)アクリロイル基を併せ持つ光硬化性樹脂である場合が特に好ましい。
分子内に3以上の(メタ)クリロイル基と極性官能基を併せ持つ光硬化性樹脂としては、例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレート(KAYARAD PET-30 日本化薬製)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(KAYARAD DPHA 日本化薬製)、2-ヒドロキシ-3-アクリロイロキシプロピルメタクリレート(701A 新中村化学製)、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート(A-9300 新中村化学製)、ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート(A-9300-1CL 新中村化学)等の(メタ)アクリレートモノマー化合物、ビスフェノールA型エポキシアクリレート(R-115F、R-130、R-381等 日本化薬製)、ビスフェノールF型エポキシアクリレート(ZFA-266H 日本化薬製)、酸変性エポキシアクリレート(ZARシリーズ、ZCRシリーズ 日本化薬製)等のエポキシアクリレート樹脂、ポリエステル系ウレタンアクリレート(UX3204、UX-4101、UXT-6100 日本化薬製)、混合系ウレタンアクリレート(UX-6101、UX-8101 日本化薬製)、ポリエーテル系ウレタンアクリレート(UX-937、UXF-4001-M35 日本化薬製)、エステル系ウレタンアクリレート(DPHA-40H、UX-5000、UX-5102D-M20、UX-5103D、UX-5005 日本化薬製)等のウレタンアクリレート樹脂を挙げることができる。
分子内に3以上の(メタ)アクリロイル基を持つ光硬化性樹脂としては、より好ましくは3以上10以下の(メタ)クリロイル基を持つ場合であり、更に好ましくは4以上8以下の(メタ)アクリロイル基をもつ場合である。
本発明の樹脂組成物の総質量に対して、(B)硬化性樹脂の含有量は0.5~70質量%、好ましくは5~40質量%である。
本発明の樹脂組成物には、(C)として硬化剤を含有する場合が好ましい。特に(B)透明樹脂として(B-2)硬化性樹脂を用いる場合には、(C)硬化剤が併用される方が好ましい。なお硬化剤と開始剤が区別される場合もあるが、本明細書においては双方を含めて(C)硬化剤として記載する。
(C-1)熱硬化剤としては、非共有電子対や分子内のアニオンによって、求核的に反応するものであって、例えばアミン系硬化剤(以下アミン類とも言う)、ヒドラジド系硬化剤(以下ヒドラジド類とも言う)、イミダゾール系硬化剤(以下イミダゾール類とも言う)、ポリアミド樹脂、ジシアンジアミド、イソシアネート、チオール系硬化剤(チオール類)、フェノール系硬化剤(フェノール類)等を挙げることができる。ただしこれらに限定されるものではない。
アミン類としては、脂肪族鎖状アミン、脂肪族環状アミン、芳香族アミン、変性アミン(アミンアダクト、ケチミン等)等を挙げることができる。また1級アミン、2級アミン、3級アミン、4級アミンのいずれであっても良いが、反応性の見地からは1級又は2級アミンが好ましい。
アミン類として具体的には、例えばジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメチルジフェニルメタン、ジアミノジフェニルエーテル、ジエチルメチルベンゼンジアミン、2-メチル-4,6-ビス(メチルチオ)-1,3-ベンゼンジアミン、ビスアニリン、ジエチルトルエンジアミンを、ジエチルチオトルエンジアミン、N,N’-ビス(sec-ブチルアミノ)ジフェニルメタン等の芳香族アミン、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノルボルナンジアミン、ポリエーテルアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等の脂肪族アミン、変性アミン等が挙げられる。特に好ましくは、ジエチルメチルベンゼンジアミン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメチルジフェニルメタン、ジエチルトルエンジアミンを挙げることができる。
ヒドラジド類としては、有機酸ヒドラジド化合物が特に好適に用いられる。例えば、芳香族ヒドラジドであるサリチル酸ヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、2,6-ナフトエ酸ジヒドラジド、2,6-ピリジンジヒドラジド、1,2,4-ベンゼントリヒドラジド、1,4,5,8-ナフトエ酸テトラヒドラジド、ピロメリット酸テトラヒドラジド等をあげることができる。また、脂肪族ヒドラジド化合物であれば、例えば、ホルムヒドラジド、アセトヒドラジド、プロピオン酸ヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、1,4-シクロヘキサンジヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、イミノジ酢酸ジヒドラジド、N,N’-ヘキサメチレンビスセミカルバジド、クエン酸トリヒドラジド、ニトリロ酢酸トリヒドラジド、シクロヘキサントリカルボン酸トリヒドラジド、1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントイン等のヒダントイン骨格、好ましくはバリンヒダントイン骨格(ヒダントイン環の炭素原子がイソプロピル基で置換された骨格)を有するジヒドラジド化合物、トリス(1-ヒドラジノカルボニルメチル)イソシアヌレート、トリス(2-ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート、トリス(1-ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート、トリス(3-ヒドラジノカルボニルプロピル)イソシアヌレート、ビス(2-ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート等をあげることができる。硬化反応性と潜在性のバランスから好ましくは、イソフタル酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、トリス(ヒドラジノカルボニルメチル)イソシアヌレート、トリス(1-ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート、トリス(2-ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート、トリス(3-ヒドラジノカルボニルプロピル)イソシアヌレートであり、特に好ましくはトリス(2-ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレートである。
イミダゾール類としては、例えば2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、2,4-ジアミノ-6(2’-メチルイミダゾール(1’))エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6(2’-ウンデシルイミダゾール(1’))エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6(2’-エチル,4-メチルイミダゾール(1’))エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6(2’-メチルイミダゾール(1’))エチル-s-トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2-メチルイミダゾールイソシアヌル酸の2:3付加物、2-フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-3,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-ヒドロキシメチル-5-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニル-3,5-ジシアノエトキシメチルイミダゾールの各種イミダゾール類、及び、それらイミダゾール類とフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、マレイン酸、蓚酸等の多価カルボン酸との塩類が挙げられる。
チオール類としては、カレンズMT PE1、BD1、NR1、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、トリメチロールエタントリス(3-メルカプトブチレート)(いずれも昭和電工(株)製)等を挙げることができる。なお、チオール系硬化剤とは、分子内に少なくとも1つのチオール基(SH)を有する硬化剤である。
フェノール類としては、フェノール(各種置換基を有しても良い)にホルマリンを酸触媒下で縮合反応させて得られるフェノールノボラック類やビスフェノールA、ビスフェノールS等を例示することができる。
本発明の樹脂組成物に(C-1)熱硬化剤が用いられる場合、熱硬化性樹脂に対する官能基当量として、0.4官能基当量以上4.0官能基当量以下が好ましく、さらに好ましくは0.6官能基当量以上3.0官能基当量であり、特に好ましくは0.8官能基当量以上2.0官能基当量以下である。
有機酸としては、有機カルボン酸や有機リン酸等が挙げられるが、有機カルボン酸である場合が好ましい。具体的には、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、フランジカルボン酸等の芳香族カルボン酸、コハク酸、アジピン酸、ドデカン二酸、セバシン酸、チオジプロピオン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、トリス(2-カルボキシメチル)イソシアヌレート、トリス(2-カルボキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2-カルボキシプロピル)イソシアヌレート、ビス(2-カルボキシエチル)イソシアヌレート等を挙げることができる。
ホスフィン類としてはトリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート等を挙げることができる。
イミダゾール類としては、2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、2,4-ジアミノ-6(2’-メチルイミダゾール(1’))エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6(2’-ウンデシルイミダゾール(1’))エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6(2’-エチル-4-メチルイミダゾール(1’))エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6(2’-メチルイミダゾール(1’))エチル-s-トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2-メチルイミダゾールイソシアヌル酸の2:3付加物、2-フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-3,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-ヒドロキシメチル-5-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニル-3,5-ジシアノエトキシメチルイミダゾール等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物に熱硬化促進剤が用いられる場合、透明樹脂の総量に対して、0.0001質量%以上5.0質量%以下が好ましく、更に好ましくは0.001質量%以上3.0質量%以下であり、特に好ましくは0.1質量%以上1.0質量%以下である。
上記(B-2)硬化性樹脂として、(B-2-2)光硬化性樹脂が用いられる場合には、成分(C)として(C-2)光開始剤が併用される場合が好ましい。ただし、(B-2-2)光硬化性樹脂は二重結合等のラジカルによって連鎖重合反応する官能基を有するものである為、例えば熱によってラジカルを発生する熱ラジカル開始剤の使用が除外されるものではない。
(C-2)光開始剤とは、光ラジカル重合開始剤が好ましい。これは紫外線や可視光の照射によって、ラジカルを発生し、連鎖重合反応を開始させる化合物であれば特に限定されないが、例えばベンジルジメチルケタール、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ジエチルチオキサントン、ベンゾフェノン、2-エチルアンスラキノン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、2-メチル-〔4-(メチルチオ)フェニル〕-2-モルフォリノ-1-プロパン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスヒンオキサイド、カンファーキノン、9-フルオレノン、ジフェニルジスルヒド等を挙げることができる。具体的には、IRGACURERTM 651、184、2959、127、907、369、379EG、819、784、754、500、OXE01、OXE02、DAROCURERTM1173、LUCIRINRTM TPO(いずれもBASF社製)、セイクオールRTMZ、BZ、BEE、BIP、BBI(いずれも精工化学株式会社製)等を挙げることができる。
また、365nmにおけるモル吸光係数(ε)が50以上10000(mL/g・cm)以下である場合が好ましく、100以上8000(mL/g・cm)以下である場合がさらに好ましく、1000以上7500(mL/g・cm)以下である場合が特にに好ましい。なお、モル吸光係数は、メタノール又はアセトニトリルを溶剤として測定したものである。
365nmにおけるモル吸光係数(ε)が100以上10000(mL/g・cm)以下である光重合開始剤とは、IRGACURERTM 651(メタノール中ε=360mL/g・cm)、IRGACURERTM 907(メタノール中ε=4700mL/g・cm)、IRGACURERTM 369(メタノール中ε=7900mL/g・cm)、IRGACURERTM 379(メタノール中ε=7900mL/g・cm)、IRGACURERTM 819(メタノール中ε=2300mL/g・cm)、IRGACURERTM TPO(アセトニトリル中ε=4700mL/g・cm)、IRGACURERTM OXE-01(アセトニトリル中ε=7000mL/g・cm)、IRGACURERTM OXE-02(アセトニトリル中ε=7700mL/g・cm)等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
光ラジカル重合開始剤が用いられる場合、その含有量はバインダー樹脂の総量100質量部に対して0.01質量部以上10質量部以下が好ましい。
この含有量の好ましい上限としては、7質量部、更に好ましくは5質量部、特に好ましくは4質量部、最も好ましくは3質量部である。
また好ましい下限としては、0.01質量部、更に好ましくは0.1質量部、特に好ましくは1質量部、最も好ましくは1.5質量部である。
(B-2-2)光硬化性樹脂に対して、熱ラジカル重合開始剤を用いる場合、当該熱ラジカル重合開始剤は、加熱によりラジカルを生じ、連鎖重合反応を開始させる化合物であれば特に限定されないが、有機過酸化物、アゾ化合物、ベンゾイン化合物、ベンゾインエーテル化合物、アセトフェノン化合物、ベンゾピナコール等が挙げられ、ベンゾピナコールが好適に用いられる。例えば、有機過酸化物としては、カヤメック(登録商標)A、M、R、L、LH、SP-30C、パーカドックスCH-50L、BC-FF、カドックスB-40ES、パーカドックス14、トリゴノックスRTM22-70E、23-C70、121、121-50E、121-LS50E、21-LS50E、42、42LS、カヤエステルRTMP-70、TMPO-70、CND-C70、OO-50E、AN、カヤブチルRTMB、パーカドックス16、カヤカルボン(登録商標)BIC-75、AIC-75(化薬アクゾ株式会社製)、パーメック(登録商標)N、H、S、F、D、G、パーヘキサ(登録商標)H、HC、TMH、C、V、22、MC、パーキュアー(登録商標)AH、AL、HB、パーブチル(登録商標)H、C、ND、L、パークミル(登録商標)H、D、パーロイル(登録商標)IB、IPP、パーオクタ(登録商標)ND(日油株式会社製)などが市販品として入手可能である。また、アゾ化合物としては、VA-044、V-070、VPE-0201、VSP-1001(和光純薬工業株式会社製)等が市販品として入手可能である。
熱ラジカル重合開始剤が用いられる場合、その含有量はバインダー樹脂の総量100質量部に対して0.01質量部以上10質量部以下が好ましい。
この含有量の好ましい上限としては、7質量部、更に好ましくは5質量部、特に好ましくは4質量部、最も好ましくは3質量部である。
また好ましい下限としては、0.01質量部、更に好ましくは0.1質量部、特に好ましくは1質量部、最も好ましくは1.5質量部である。
樹脂組成物中の含有量として最も好ましい範囲は1.5質量部以上3質量部以下である。
本発明の樹脂組成物は、上記成分(A)~(C)以外に溶剤、分散剤、界面活性剤、粉体、水溶性高分子、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、アミノ酸、高分子エマルジョン、pH調整剤、酸化防止剤、酸化防止助剤等を必要に応じて適宜含有することができる。
本発明の樹脂組成物には、溶剤を含有しても良い。
用いられ得る溶剤としては、水溶性であっても非水溶性であっても良い。
非水溶性溶剤としては、例えば、炭化水素系溶媒(トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、n-ヘプタン等)、ケトン系溶媒(メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセチルアセトン等)、エステル系溶媒(酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸セロソルブ、酢酸アミル等)、エーテル系溶媒(イソプロピルエーテル、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、1、4-ジオキサン等)、グリコールエーテル系溶媒(ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等)、グリコールエステル系溶媒(エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等)、グライム系溶媒(モノグライム、ジグライム等)、ハロゲン系溶媒(ジクロロメタン、クロロホルム等)、テトラヒドロフランが挙げられる。
水溶性溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール等のC1-C6アルコール;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等のカルボン酸アミド;2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、N-メチルピロリジン-2-オン等のラクタム;1,3-ジメチルイミダゾリジン-2-オン、1,3-ジメチルヘキサヒドロピリミド-2-オン等の環式尿素類;アセトン、2-メチル-2-ヒドロキシペンタン-4-オン、エチレンカーボネート等のケトン又はケトアルコール;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル;エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、分子量400、800、1540、又はそれ以上のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール等のC2-C6ジオール、又はC2-C6アルキレン単位を有するモノ、オリゴ、若しくはポリアルキレングリコール若しくはチオグリコール;グリセリン、ジグリセリン、ヘキサン-1,2,6-トリオール、トリメチロールプロパン等のポリオール(トリオール);ジメチルスルホキシド;プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノブチルエーテルプロピオネート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノメチルエーテルブチレート、エチレングリコールモノエチルエーテルブチレート、エチレングリコールモノブチルエーテルブチレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルブチレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルブチレート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルブチレート、プロピレングリコールモノメチルエーテルブチレート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルブチレート等のグリコールエーテル類又はグリコールエーテルアセテート類;などが挙げられる。
本発明の樹脂組成物の総質量に対して、溶剤の含有量は1~90質量%である場合が好ましい。なお、上記(A)金属酸化物中空粒子を用いた樹脂組成物において、(B)透明樹脂、(C)硬化剤やその他成分を適切な配合量で使用し、残部がある場合には、その残部は溶剤で良い。
含有率の上限としては、80質量%がより好ましく、60質量%が更に好ましく、40質量%が特に好ましい。また下限としては、10質量%がより好ましく、20質量%が更に好ましく、30質量%が特に好ましい。従って、溶剤の最も好ましい含有率は30質量%以上40質量%以下である。
分散剤としては、脂肪酸塩(石けん)、α-スルホ脂肪酸エステル塩(MES)、アルキルベンゼンスルホン酸塩(ABS)、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)、アルキル硫酸塩(AS)、アルキルエーテル硫酸エステル塩(AES)、アルキル硫酸トリエタノールといった低分子陰イオン性(アニオン性)化合物、脂肪酸エタノールアミド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(AE)、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(APE)、ソルビトール、ソルビタンといった低分子非イオン系化合物、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド、アルキルピリジニウムクロリド、といった低分子陽イオン性(カチオン性)化合物、アルキルカルボキシルベタイン、スルホベタイン、レシチンといった低分子両性系化合物や、ナフタレンスルホン酸塩のホルマリン縮合物、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリアクリル酸塩、ビニル化合物とカルボン酸系単量体の共重合体塩、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコールなどに代表される高分子水系分散剤、ポリアクリル酸部分アルキルエステル、ポリアルキレンポリアミンといった高分子非水系分散剤、ポリエチレンイミン、アミノアルキルメタクリレート共重合体といった高分子カチオン系分散剤が代表的なものであるが、本発明の樹脂組成物に好適に適用されるものであれば、ここに例示したような形態のもの以外の構造を有するものを排除しない。
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、親油性非イオン界面活性剤、親水性非イオン界面活性剤等を挙げることができる。なお、本発明の樹脂組成物の総質量に対して、界面活性剤の含有量は0~20質量%、好ましくは5~15質量%である。
(アニオン性界面活性剤)
アニオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸セッケン(例えば、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等);高級アルキル硫酸エステル塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等);アルキルエーテル硫酸エステル塩(例えば、POE-ラウリル硫酸トリエタノールアミン、POE-ラウリル硫酸ナトリウム等);N-アシルサルコシン酸(例えば、ラウロイルサルコシンナトリウム等);高級脂肪酸アミドスルホン酸塩(例えば、N‐ステアロイルーNーメチルタウリンナトリウム、N-ミリストイル-N-メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリッドナトリウム、ラウリルメチルタウリッドナトリウム等);リン酸エステル塩(POE-オレイルエーテルリン酸ナトリウム、POE-ステアリルエーテルリン酸等);スルホコハク酸塩(例えば、ジ-2-エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等);アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えば、リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸等);高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩(例えば、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等);N-アシルグルタミン酸塩(例えば、N-ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N-ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N-ミリストイル-L-グルタミン酸モノナトリウム等);硫酸化油(例えば、ロート油等);POE-アルキルエーテルカルボン酸;POE-アルキルアリルエーテルカルボン酸塩;α-オレフィンスルホン酸塩;高級脂肪酸エステルスルホン酸塩;二級アルコール硫酸エステル塩;高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩;ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム;N-パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン;カゼインナトリウム等を使用することができる。
(カチオン性界面活性剤)
カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩(例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等);アルキルピリジニウム塩(例えば、塩化セチルピリジニウム等);塩化ジステアリルジメチルアンモニウムジアルキルジメチルアンモニウム塩;塩化ポリ(N,N’-ジメチル-3,5-メチレンピペリジニウム);アルキル四級アンモニウム塩;アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩;アルキルイソキノリニウム塩;ジアルキルモリホニウム塩;POE-アルキルアミン;アルキルアミン塩;ポリアミン脂肪酸誘導体;アミルアルコール脂肪酸誘導体;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。
(両性界面活性剤)
シル-N,N,N-(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)-2-イミダゾリンナトリウム、2-ココイル-2-イミダゾリニウムヒドロキサイド-1-カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等);ベタイン系界面活性剤(例えば、2-ヘプタデシル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)等が挙げられる。
(親油性非イオン界面活性剤)
親油性非イオン界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等);グリセリンポリグリセリン脂肪酸(例えば、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α’-オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等);プロピレングリコール脂肪酸エステル(例えば、モノステアリン酸プロピレングリコール等);硬化ヒマシ油誘導体;グリセリンアルキルエーテル等が挙げられる。
(親水性非イオン界面活性剤)
親水性非イオン界面活性剤としては、例えば、POE-ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、POE-ソルビタンモノオレエート、POE-ソルビタンモノステアレート、POE-ソルビタンモノオレエート、POE-ソルビタンテトラオレエート等);POE-ソルビット脂肪酸エステル(例えば、POE-ソルビットモノラウレート、POE-ソルビットモノオレエート、POE-ソルビットペンタオレエート、POE-ソルビットモノステアレート等);POE-グリセリン脂肪酸エステル(例えば、POE-グリセリンモノステアレート、POE-グリセリンモノイソステアレート、POE-グリセリントリイソステアレート等のPOE-モノオレエート等);POE-脂肪酸エステル(例えば、POE-ジステアレート、POE-モノジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等);POE-アルキルエーテル(例えば、POE-ラウリルエーテル、POE-オレイルエーテル、POE-ステアリルエーテル、POE-ベヘニルエーテル、POE-2-オクチルドデシルエーテル、POE-コレスタノールエーテル等);プルロニック(登録商標)型(例えば、プルロニック(登録商標)等);POE・POP-アルキルエーテル(例えば、POE・POP-セチルエーテル、POE・POP-2-デシルテトラデシルエーテル、POE・POP-モノブチルエーテル、POE・POP-水添ラノリン、POE・POP-グリセリンエーテル等);テトラPOE・テトラPOP-エチレンジアミン縮合物(例えば、テトロニック等);POE-ヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体(例えば、POE-ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE-硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE-硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE-硬化ヒマシ油マレイン酸等);POE-ミツロウ・ラノリン誘導体(例えば、POE-ソルビットミツロウ等);アルカノールアミド(例えば、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等);POE-プロピレングリコール脂肪酸エステル;POE-アルキルアミン;POE-脂肪酸アミド;ショ糖脂肪酸エステル;アルキルエトキシジメチルアミンオキシド;トリオレイルリン酸等が挙げられる。
本発明の分散液の総質量に対して、界面活性剤の含有量は0~20質量%、好ましくは5~15質量%である。
粉体としては成分(A)金属酸化物中空粒子とは別に通常の樹脂組成物に使用されるものであればその形状(球状、針状、板状、等)や粒子径(煙霧状、微粒子、顔料級等)、粒子構造(多孔質、無孔質等)を問わず、使用することができるが、例えば以下に挙げるもののうち1種又は2種以上を使用することができる。無機粉体として、例えば酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、合成雲母、マイカ、カオリン、セリサイト、白雲母、合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、ヒドロキシアパタイト、バーミキュライト、ハイジライト、モンモリロナイト、ゼオライト、セラミックスパウダー、第二リン酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、窒化ホウ素、窒化ボロン等;有機粉体として、例えばポリアミドパウダー、ポリエステルパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリプロピレンパウダー、ポリスチレンパウダー、ポリウレタンパウダー、ベンゾグアナミンパウダー、ポリメチルベンゾグアナミンパウダー、テトラフルオロエチレンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、セルロースパウダー、シルクパウダー、ナイロンパウダー、12ナイロンパウダー、6ナイロンパウダー、スチレン・アクリル酸共重合体パウダー、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体パウダー、ビニル樹脂パウダー、尿素樹脂パウダー、フェノール樹脂パウダー、フッ素樹脂パウダー、ケイ素樹脂パウダー、アクリル樹脂パウダー、メラミン樹脂パウダー、エポキシ樹脂パウダー、ポリカーボネイト樹脂パウダー、微結晶繊維パウダー、ラウロイルリジン等;有色顔料として、例えば酸化鉄、水酸化鉄、チタン酸鉄の無機赤色顔料、γ-酸化鉄等の無機褐色系顔料、黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料、黒酸化鉄、カーボンブラック等の無機黒色顔料、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色顔料、水酸化クロム、酸化クロム、酸化コバルト、チタン酸コバルト等の無機緑色顔料、紺青、群青等の無機青色系顔料、タール系色素をレーキ化したもの、天然色素をレーキ化したもの、及びこれらの粉体を複合化した複合粉体等;パール顔料として、例えば酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆マイカ、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、魚鱗箔、酸化チタン被覆着色雲母等;金属粉末顔料として、例えばアルミニウムパウダー、カッパーパウダー、ステンレスパウダー等;タール色素として、例えば赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色204号、黄色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色404号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色206号、橙色207号等;天然色素として、例えばカルミン酸、ラッカイン酸、カルサミン、ブラジリン、クロシン等が挙げられる。なお、これらの粉体を複合化したり、油剤やシリコーン、又はフッ素化合物等で表面処理を行った粉体を用いても良い。
水溶性高分子としては、天然、合成のいずれであっても用いることができ、また併用することも可能である。
天然の水溶性高分子としては、例えば、植物系高分子(例えば、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸);微生物系高分子(例えば、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、ブルラン等);動物系高分子(例えば、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等)等が挙げられる。
合成の水溶性高分子としては、例えば、デンプン系高分子(例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等);セルロース系高分子(メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース末等);アルギン酸系高分子(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等)、ビニル系高分子(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等);ポリオキシエチレン系高分子(例えば、ポリエチレングリコール20,000、40,000、60,0000のポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体等);アクリル系高分子(例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等);ポリエチレンイミン;カチオンポリマー等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、安息香酸系紫外線吸収剤(例えば、パラアミノ安息香酸(以下、PABAと略す)、PABAモノグリセリンエステル、N,N-ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N-ジエトキシPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAブチルエステル、N,N-ジメチルPABAエチルエステル等);アントラニル酸系紫外線吸収剤(例えば、ホモメンチル-N-アセチルアントラニレート等);サリチル酸系紫外線吸収剤(例えば、アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p-イソプロパノールフェニルサリシレート等);桂皮酸系紫外線吸収剤(例えば、オクチルメトキシシンナメート、エチル-4-イソプロピルシンナメート、メチル-2,5-ジイソプロピルシンナメート、エチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、メチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、プロピル-p-メトキシシンナメート、イソプロピル-p-メトキシシンナメート、イソアミル-p-メトキシシンナメート、オクチル-p-メトキシシンナメート(2-エチルヘキシル-p-メトキシシンナメート)、2-エトキシエチル-p-メトキシシンナメート、シクロヘキシル-p-メトキシシンナメート、エチル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、2-エチルヘキシル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、グリセリルモノ-2-エチルヘキサノイル-ジパラメトキシシンナメート等);ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4’-メチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸塩、4-フェニルベンゾフェノン、2-エチルヘキシル-4’-フェニル-ベンゾフェノン-2-カルボキシレート、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、4-ヒドロキシ-3-カルボキシベンゾフェノン等);3-(4’-メチルベンジリデン)-d,l-カンファー、3-ベンジリデン-d,l-カンファー;2-フェニル-5-メチルベンゾキサゾール;2,2’-ヒドロキシ-5-メチルフェニルベンゾトリアゾール;2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール;2-(2’-ヒドロキシ-5-メチルフェニルベンゾトリアゾール;ジベンザラジン;ジアニソイルメタン;4-メトキシ-4’-t-ブチルジベンゾイルメタン;5-(3,3-ジメチル-2-ノルボルニリデン)-3-ペンタン-2-オン、ジモルホリノピリダジノ;2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート;2,4-ビス-{[4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ]-フェニル}-6-(4-メトキシフェニル)-(1,3,5)-トリアジン等が挙げられる。
金属イオン封鎖剤としては、例えば、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸四ナトリウム塩、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、エデト酸、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸3ナトリウム等が挙げられる。
アミノ酸としては、例えば、中性アミノ酸(例えば、スレオニン、システイン等);塩基性アミノ酸(例えば、ヒドロキシリジン等)等が挙げられる。また、アミノ酸誘導体として、例えば、アシルサルコシンナトリウム(ラウロイルサルコシンナトリウム)、アシルグルタミン酸塩、アシルβ-アラニンナトリウム、グルタチオン、ピロリドンカルボン酸等が挙げられる。
有機アミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール等が挙げられる。
高分子エマルジョンとしては、例えば、アクリル樹脂エマルジョン、ポリアクリル酸エチルエマルジョン、アクリルレジン液、ポリアクリルアルキルエステルエマルジョン、ポリ酢酸ビニル樹脂エマルジョン、天然ゴムラテックス等が挙げられる。
pH調整剤としては、例えば、乳酸-乳酸ナトリウム、クエン酸-クエン酸ナトリウム、コハク酸-コハク酸ナトリウム等の緩衝剤等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、トコフェロール類、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸エステル類等が挙げられる。
酸化防止助剤としては、例えば、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、ケファリン、ヘキサメタフォスフェイト、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、450nm付近の波長を有するブルーライトを効率的にカットしながら、その他の波長の透過性に優れるという特徴を有する。従って例えばアイウェア用途として非常に有用である。特にアイウェア用途の中でも、パソコンやスマートフォン、タブレット等の電子機器、通信機器から発せられるブルーライトをカットし、目の負担を軽減する用途や、また白内障手術後の保護メガネ用途として効果的に用いられる。
例えば、発光装置用部材としては、本発明の樹脂組成物を硬化した硬化膜は、中空構造粒子の粒子径と中空径を調整することで特に青色を選択的に散乱できるので、効率的な発光装置用部材となる。特に液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の表示装置用途として好適に用いられる。
光散乱用膜は、本発明の樹脂組成物中の金属酸化物中空粒子が、形状と粒子径において均一である為、均一な散乱光を発生させる層を形成することができ有用である。
量子ドットカラーレジストは、本発明の樹脂組成物中の中空粒子が、光源から出た光を多重散乱させることで量子ドットへ光を効率的に誘導し、発光強度を高めることができ、且つ通常の酸化チタン粒子よりも沈降安定性に優れる為有用である。
遮光レジストは、本発明の樹脂組成物中の中空粒子による多重散乱によって、効率的に遮光するので、マイクロLED等の遮光隔壁剤として有用である。
上記用途のうち、フィルム(膜)として使用する用途においては、本発明の樹脂組成物を硬化してなる硬化膜が非常に有用である。この硬化膜の製造方法としては、コンマコーター、スプレーコーター、ロールコーター、ナイフコーター、バーコーター、スピンコーター、ダイコーター、マイクログラビアコーター、スクリーン印刷、ディスペンサー、カーテンコーター、ディップコーター、インクジェット、ラミネート等の転写法等で塗工した後、紫外線照射機により100~10000mJ/cm2、より好ましくは1000~6000mJ/cm2程度の紫外線を照射させて光硬化させ、または50~200℃、より好ましくは80~130℃程度で、0.1時間~5時間、より好ましくは0.5~2時間程度熱硬化させ、または上記光硬化と熱硬化を併用することで製造できる。
なお評価においては5μmの硬化フィルムを作成するが、ブルーライトカットフィルムとして使用する場合には、1μm~300μm程度である場合が好ましい。より好ましくは2μm~200μm程度であり、更に好ましくは3μm~100μm程度であり、特に好ましくは4μm~50μm程度である。
本発明の樹脂組成物を得る方法の一例としては、次に示す方法がある。まず必要に応じて用いる(B)成分、その他成分を混合溶解する。必要であれば加熱溶解しても良い。次いで(A)成分、必要に応じて(C)成分を添加し、公知の混合装置、例えば3本ロール、サンドミル、ボールミル、ビーズミル等により均一に混合し、金属メッシュにて濾過することにより本発明の樹脂組成物を製造することができる。
実施例又は比較例において、1回の合成操作等で目的とする物質の量が得られなかったときは、目的とする物質の量が得られるまで、その合成操作等を繰り返し行った。
中空構造粒子の1次粒子径、及びその中空構造の内径、中空構造粒子作製後の崩壊状態は、透過型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、JEM-2800)を用いて測定した。
また、ルチル型酸化チタンの含有率は、粉末X線回析装置(スペクトリス株式会社製、X’Pert PRO)を用い、下記式(5)に従って算出した。
作製したブルーライトカットフィルムの分光測定は、分光光度計(島津製作所社製 UV-3100)を用いて、波長380nm~780nmにおける透過率を測定した。
FR:ルチル型酸化チタンの含有率(質量%)
IA(101):粉末X線回折装置で測定したアナターゼ型結晶の(101)面の強度
IR(110):粉末X線回折装置で測定したルチル型結晶の(110)面の強度
蒸留水600gにスチレン15g、メタクリル酸2.4g、及び過硫酸カリウム0.05gを加え、80℃で乳化重合を行い、スチレン-メタクリル酸ポリマー粒子(テンプレート粒子)を含有する水分散液を得た。得られたテンプレート粒子の1次粒子径は180nmであった。テンプレート粒子の水分散液をエバポレータで濃縮しながらエタノールを加え、水をエタノールで置換することにより、分散液1を調製した。分散液1中のテンプレート粒子の含有率は9質量%であった。
合成例1で使用したスチレン15gを20gに変更した以外は合成例1と同様にして、分散液2を調製した。得られたテンプレート粒子の1次粒子径は230nmであった。また、分散液2中のテンプレート粒子の含有量は10質量%であった。
合成例1で使用したスチレン15gを10gに、合成温度80℃を92℃に変更した以外は合成例1と同様にして、分散液3を調製した。得られたテンプレート粒子の1次粒子径は120nmであった。また、分散液3中のテンプレート粒子の含有量は7質量%であった。
合成例1で使用した過硫酸カリウム0.05gを0.1gに変更した以外は合成例1と同様にして、分散液4を調製した。得られたテンプレート粒子の1次粒子径は150nmであった。また、分散液4中のテンプレート粒子の含有量は9質量%であった。
(工程1:第1のコア/シェル粒子を得る工程)
エタノール20g、アセトニトリル8g、及び分散液1(5g)を10℃に冷却して液を得た。この液に、チタニウムテトラブトキシド1.5g及び2%アンモニア水1gを3回に分けて0.5時間おきに加え、10℃で4時間反応させることにより、第1のコア/シェル粒子を含有する液を得た。得られた液は、単離及び精製することなく、次の工程2で使用した。
工程1で得られた液に、オルトケイ酸テトラエチル0.03g及び蒸留水7gを25℃で加え、25℃で10時間反応させて液を得た。得られた液を15000rpmで25分間、遠心分離して上澄み液を除去し、残渣を60℃に加熱した減圧乾燥機で乾燥させることにより、目的とする第2のコア/シェル粒子1.0gを得た。
工程2で得られた第2のコア/シェル粒子1.0gをセラミックボードに載せて焼成炉にセットし、空気雰囲気1000℃で1時間焼成することにより、酸化チタン及びシリカを含有する実施例1の中空構造粒子0.5gを得た。図1に当該中空構造粒子のSEM画像とEDSデータを示す。
工程3で作製した中空構造粒子1.92g、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD DPHA)7g、光反応開始剤として1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製、Irgacure 184)0.5g、分散剤としてDISPERBYK-168(ビックケミー・ジャパン株式会社製)0.2g、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 10gを混合し、分散機(プライミクス株式会社製、フィルミックス)を用いて本発明のブルーライトカット用樹脂組成物1を作製した。
工程4で作製したブルーライトカット組成物1を1日間静置した後、100μmPET基板(コスモシャインA4360、東洋紡株式会社製)上にスピンコーターを用いて、加熱処理後の膜厚が5μmとなるように塗布し、ホットプレートを用いて100℃で2分間乾燥させた。次いでUV照射することで膜厚5μmの本発明のブルーライトカットフィルム1を作製した。
実施例1で使用した分散液1を分散液2に、チタニウムテトラブトキシド1.5gを1.0gに、オルトケイ酸テトラエチル0.03gを0.02gに変更した以外は実施例1と同様にしてブルーライトカット用樹脂組成物2及びブルーライトカットフィルム2を作製した。
実施例1で使用した分散液1を分散液3に、チタニウムテトラブトキシド1.5gを4.0gに、オルトケイ酸テトラエチル0.03gを0.08gに変更した以外は実施例1と同様にしてブルーライトカット用樹脂組成物3及びブルーライトカットフィルム3を作製した。
実施例1で使用した分散液1を分散液2に、オルトケイ酸テトラエチル0.03gを0.14gに変更した以外は実施例1と同様にしてブルーライトカット用樹脂組成物4及びブルーライトカットフィルム4を作製した。
実施例1で使用したチタニウムテトラブトキシド1.5gを0.7gに、オルトケイ酸テトラエチル0.03gを0.065gに変更した以外は実施例1と同様にしてブルーライトカット用樹脂組成物5及びブルーライトカットフィルム5を作製した。
実施例1で使用した中空構造粒子1.78gを5.36gに、分散剤としてDISPERBYK-168(ビックケミー・ジャパン株式会社製)0.2gを0.5gに変更した以外は実施例1と同様にしてブルーライトカット用樹脂組成物6及びブルーライトカットフィルム6を作製した。
実施例1で使用したチタニウムテトラブトキシド1.5gを6.0gに、オルトケイ酸テトラエチル0.03gを0.11gに変更した以外は実施例1と同様にしてブルーライトカット用樹脂組成物7及びブルーライトカットフィルム7を作製した。
実施例1で使用した分散液1を分散液4に、チタニウムテトラブトキシド1.5gを1.2gに、オルトケイ酸テトラエチル0.03gを1.25gに、空気雰囲気1000℃で1時間焼成を水素雰囲気下、800℃で1時間焼成した後、水素雰囲気を空気雰囲気に置換し、1000℃でさらに1時間焼成変更した以外は実施例1と同様にしてブルーライトカット用樹脂組成物8及びブルーライトカットフィルム8を作製した。
実施例1で使用した分散液1をエタノール5gに、チタニウムテトラブトキシド1.5gを3.0gに、オルトケイ酸テトラエチル0.03gを0.06gに、2%アンモニア水1gを1%アンモニア水に変更した以外は実施例1と同様にして比較ブルーライトカット用樹脂組成物1及び比較ブルーライトカットフィルム1を作製した。
実施例1で使用したチタニウムテトラブトキシド1.5gを7.0gに、オルトケイ酸テトラエチル0.03gを0.14gに変更した以外は実施例1と同様にして比較ブルーライトカット用樹脂組成物2及び比較ブルーライトカットフィルム2を作製した。
一方比較例1又は2は400nmの透過光と600nmの透過光を共に遮蔽しているので、視界が不明瞭となることが確認できる。
なお、本願は、2021年3月1日付で出願された日本国特許出願(特願2021-31653)に基づいており、その全体が引用により援用される。また、ここに引用されるすべての参照は全体として取り込まれる。
Claims (8)
- (A)金属酸化物中空粒子、及び(B)透明樹脂を含有するブルーライトカット用樹脂組成物であって、
前記(A)金属酸化物中空粒子が、(A-1)ルチル型酸化チタンと(A-2)シリカを含む中空粒子であり、
前記(A)について中空径をA(nm)、粒子径をB(nm)としたときに、A及びBが下記式(1)及び(2)を満たす、ブルーライトカット用樹脂組成物。
0.65 ≦ A/B ≦ 0.9・・・(1)
100nm ≦ B ≦ 250nm・・・(2)
- 膜厚5μmのフィルムとして測定したときの、波長400nm~500nmにおける極小透過率をX(%)、600nmにおける透過率をY(%)としたときに、X及びYが下記式(3)及び(4)を満たす、請求項1に記載のブルーライトカット用樹脂組成物。
0% ≦ X ≦ 60%・・・(3)
0.25 ≦X/Y ≦ 0.8・・・(4)
- 前記(A)中の(A-2)シリカの含有率が0.5質量%以上30質量%以下である、請求項1または2に記載のブルーライトカット用樹脂組成物。
- 前記(B)透明樹脂が硬化性樹脂である、請求項1から3のいずれか一項に記載のブルーライトカット用樹脂組成物。
- 請求項1から4のいずれか一項に記載のブルーライトカット用樹脂組成物を有するブルーライトカットフィルム。
- 請求項1から4のいずれか一項に記載のブルーライトカット用樹脂組成物を有するブルーライトカット層。
- 請求項5に記載のブルーライトカットフィルム、又は請求項6に記載のブルーライトカット層を有する光学フィルター。
- 請求項5に記載のブルーライトカットフィルム、又は請求項6に記載のブルーライトカット層を有するアイウェア。
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