JP7120896B2 - 開口合成処理装置、開口合成処理方法、及びそのプログラム - Google Patents

開口合成処理装置、開口合成処理方法、及びそのプログラム Download PDF

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Description

本開示は、超音波探傷に関する。
超音波探傷(UT:Ultrasonic Testing)は、金属中の欠陥を発見するのに有効な方法の一つであり、発電プラントなど様々な場所で実用化されている。超音波探傷では、探傷器を金属に接触させて超音波の短パルス信号を送波し、その反射波(エコー信号)を受信・分析することで、金属中の欠陥の位置を推定する。超音波探傷では、反射波の生波形に含まれる欠陥エコーのレベルが高く、信号対雑音比(SNR:Signal to Noise Ratio)が良いことが適切な推定精度を得るために必要である。よって、観測雑音の度合が大きい場合や欠陥サイズが小さくエコーレベルが低い場合にはSNRが小さくなるので、欠陥位置の推定精度が低下する虞がある。
SNRが悪い場合でも精度良い欠陥位置の推定を可能とする先行手法として、開口合成とよばれる信号処理技術が存在する。開口合成処理では、探傷器を移動させるなどしながら複数の送信位置から送信した超音波の反射源からの反射波を、各送信位置に応じて定めた受信位置でそれぞれ計測(観測)する。そして、このような各受信位置での計測により得られる複数の反射波の生波形を、位相を揃えて合成(加算)することにより、信号処理後のSNRを向上させることが可能となる。
特開2011-229708号公報 特開2006-105657号公報 特開2003-107164号公報 特開昭63-173959号公報 特開2011-237346号公報
従来の開口合成では検査対象となる金属中での音速(超音波の伝搬速度)は一定・均一と仮定している(特許文献3~5参照)。しかし、金属中の結晶方位が揃うなどして金属が音響異方性を有する場合には、金属の内部を伝搬する超音波の伝搬速度(音速)はその伝搬方向によって異なる。よって、このように結晶方位などの影響により検査対象の内部で音速が変化する場合には、開口合成を行うにあたって音速が一定・均一と仮定したのでは、正しく欠陥位置を推定できない場合がある。
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、検査対象が音響異方性を有する場合であっても精度良く開口合成を行うことが可能な開口合成処理装置を提供することを目的とする。
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る開口合成処理装置は、
超音波の送信位置、および前記送信位置に対して定められた受信位置が互いに異なる組合せの各々についての、前記送信位置から検査対象への前記超音波の送信後に前記受信位置で測定される前記超音波の信号値の時系列データを含む測定結果を取得するよう構成された取得部と、
前記検査対象の内部に設定された内部位置の各々について、少なくとも一部の前記組合せ毎に、前記送信位置から送信した前記超音波が前記内部位置で反射して前記受信位置で受信された場合の伝搬経路における前記超音波の伝搬速度を、前記検査対象の結晶方位に基づいて算出するよう構成された速度算出部と、
算出された前記伝搬速度、および取得された前記時系列データを用いて開口合成処理を実行するよう構成された開口合成部と、を備える。
従来の開口合成では、検査対象の内部を伝搬する超音波の伝搬速度は伝搬方向によらず一定と仮定しているが、この仮定が成立しない場合には、検査対象の内部の探傷精度(内部欠陥の位置の推定精度)が劣化する可能性がある。例えば、検査対象が音響異方性をもつ場合には、超音波の伝搬速度は伝搬方向に依存する。
上記(1)の構成によれば、検査対象における複数の測定位置の各々毎に、各送信位置と、検査対象の内部に設定(仮定)した内部位置と、各送信位置に対応する受信位置とを結ぶ伝搬経路における超音波の伝搬速度を、結晶方位を考慮して算出すると共に、その算出した伝搬速度を用いて開口合成処理を実行する。これによって、検査対象の音響異方性を考慮した開口合成を行うことができ、内部欠陥の位置の推定精度を向上することができる。
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記速度算出部は、
前記検査対象の内部の前記結晶方位を取得し、
前記内部位置、前記結晶方位、および前記送信位置に基づく、前記送信位置から送信した前記超音波が前記内部位置に入射する、前記結晶方位に対する入射角を算出し、
予め定められた前記入射角と前記伝搬速度との対応関係に基づいて、取得した前記結晶方位、および前記入射角から前記伝搬速度を決定するよう構成されている。
上記(2)の構成によれば、結晶方位が揃うなどにより音響異方性をもつ検査対象の複数の内部位置の各々について、複数の測定位置の各々毎にその内部位置への入射角(伝搬角度)を求めると共に、予め定められた伝搬角度と伝搬速度との対応関係を用いて、求めた伝搬角度から伝搬速度を求める。このように、検査対象の音響異方性を結晶方位に対する伝搬角度に対応付けると共に、伝搬角度から伝搬速度を求めることにより、上述した超音波の伝搬速度を求めることができる。
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)~(2)の構成において、
前記速度算出部は、
前記検査対象の内部の前記結晶方位を取得し、
前記内部位置、前記結晶方位、および前記受信位置に基づく、前記内部位置から反射される前記超音波の前記結晶方位に対する反射角を算出し、
予め定められた前記反射角と前記伝搬速度との対応関係に基づいて、取得した前記結晶方位、および前記反射角から前記伝搬速度を決定するよう構成されている。
上記(3)の構成によれば、複数の測定位置の各々毎にその内部位置からの反射角(伝搬角度)について、上記(2)と同様の効果を奏する。
(4)幾つかの実施形態では、上記(2)~(3)の構成において、
前記速度算出部は、前記結晶方位の複数の候補方位を取得し、前記複数の候補方位の各々毎に前記伝搬速度を算出し、
前記開口合成部は、複数の前記伝搬速度の各々毎に前記開口合成処理を実行することにより、複数の開口合成処理結果を出力し、
所定の選択処理により、前記複数の開口合成処理結果のうちから1つの前記開口合成処理結果を選択するよう構成された選択部を、さらに備える。
上記(4)の構成によれば、検査対象の結晶方位が不明である場合であっても、検査対象の内部欠陥の位置の推定を精度良く行うことができる。すなわち、検査対象の結晶方位が不明である場合には、上述した超音波の伝搬速度を算出することができないことになる。しかし、上記のように、実際の結晶方位が含まれるような複数の結晶方位の候補(候補方位)を準備し、その各々毎に、超音波の伝搬速度を求めて開口合成処理を実行することで、複数の音響画像(開口合成処理結果の画像表示)などの複数の開口合成処理の結果(開口合成処理結果)を得ると共に、その中から現実の結晶方位に基づいた結果と判断されるような適切な開口合成処理結果を選択するようにすれば、選択した開口合成処理の結果に基づいて、検査対象の内部欠陥の位置の推定を行うことが可能となる。
(5)幾つかの実施形態では、上記(4)の構成において、
前記所定の選択処理は、
前記複数の開口合成処理結果の各々について、前記開口合成処理結果に含まれる複数の前記内部位置の各々の前記信号値の合成値を、規定の閾値に基づいて、第1値と、前記第1値よりも小さい第2値にそれぞれ変換すると共に、
前記複数の開口合成処理結果のうちの、前記第1値の数が最も少ない、あるいは、前記第2値が最も多い前記開口合成処理結果を選択する処理である。
本発明者らは、開口合成処理結果を画像で示した音響画像における欠陥位置の拡がりを評価指標とすることで、複数の開口合成処理結果のうちから、実際の結晶方位に対応した1つの開口合成処理結果を選択することが可能と考えた。すなわち、音響画像における欠陥位置の拡がりは、結晶方位の候補(候補方位)が結晶方位の真値に近いほど小さく、理想的には欠陥位置近傍にのみピーク値が形成される。一方、音響画像は、結晶方位の候補(候補方位)が結晶方位の真値から乖離しているほど欠陥位置があいまいな画像となり、音響画像中の欠陥位置の拡がりは大きくなる。
上記(5)の構成によれば、開口合成処理結果に含まれる各内部位置の合成値を、規定の閾値に基づいて、例えば1と0などの2値に2値化すると共に、2値化された合成値の数に基づいて、複数の開口合成処理結果から1つの開口合成処理結果を選択する。これによって、2値化の各値の数により欠陥位置の拡がりを数値として表現できるので、例えば、大きい方の第1値の数が最も少ない開口合成処理結果が、尤もらしい(結晶方位の真値に最も近い)結晶方位の候補に基づくものと判断できる。また、このように判断された音響画像などの開口合成処理結果から正確な欠陥位置を推定することができる。
(6)幾つかの実施形態では、上記(4)の構成において、
前記所定の選択処理は、
前記複数の開口合成処理結果の各々について、前記開口合成処理結果に含まれる複数の前記内部位置の各々の前記信号値の合成値の最大値を求めると共に、
前記複数の開口合成処理結果のうちの、前記最大値が最も大きい前記開口合成処理結果を選択する処理である。
本発明者らは、内部欠陥が存在する場合には、受信位置で受信される信号値のレベルは大きくなり、理想的には欠陥位置近傍にのみピーク値が形成されることから、合成値の最大値を評価指標とすることで、複数の開口合成処理結果のうちから、実際の結晶方位に対応した1つの開口合成処理結果を選択することが可能と考えた。
上記(6)の構成によれば、複数の開口合成処理結果のうち、最も大きい合成値を有するものを選択する。これによって、尤もらしい(結晶方位の真値に最も近い)結晶方位の候補に基づいて得られた開口合成処理結果を選択することができる。
(7)幾つかの実施形態では、上記(3)~(6)の構成において、
前記組合せにおける前記送信位置と前記受信位置とは、同じ位置であり、
前記速度算出部は、前記内部位置から反射される前記超音波の前記結晶方位に対する入射角、または前記内部位置から反射される前記超音波の前記結晶方位に対する反射角のいずれか一方の角度を算出し、算出された前記角度から前記伝搬速度を決定する。
上記(7)の構成によれば、送信位置および受信位置が同じ位置の場合には、上述した入射角および反射角は同じであり、入射角または反射角のいずれか一方を用いることで、伝搬経路の伝搬速度を求めることができる。よって、検査対象における同じ位置から超音波を送受信した場合に得られる時系列データを用いて、検査対象の音響異方性を考慮した開口合成処理を適切に行うことができる。
(8)幾つかの実施形態では、上記(3)~(6)の構成において、
前記送信位置と、前記送信位置に対応する前記受信位置とは、異なる位置であり、
前記速度算出部は、前記内部位置から反射される前記超音波の前記結晶方位に対する入射角、および前記内部位置から反射される前記超音波の前記結晶方位に対する反射角の両方を算出し、算出された前記入射角を用いて前記伝搬経路における前記送信位置と前記内部位置との間の前記伝搬速度を決定すると共に、算出された前記反射角を用いて前記伝搬経路における前記受信位置と前記内部位置との間の前記伝搬速度を決定する。
上記(8)の構成によれば、送信位置および受信位置が異なる位置の場合には、上述した入射角および反射角は異なる場合があり、伝搬経路における送信位置と内部位置との間(往路)における伝搬速度を、入射角を用いて求めると共に、内部位置と受信位置との間(復路)における伝搬速度を、反射角を用いて求める。これによって、より正確な伝搬速度を求めることができる。よって、検査対象における互いに異なる位置で超音波を送受信した場合に得られる時系列データを用いて、検査対象の音響異方性を考慮した開口合成処理を適切に行うことができる。
(9)幾つかの実施形態では、上記(1)~(8)の構成において、
複数の前記内部位置は、前記検査対象の内部に設定された全ての前記内部位置の一部であり、
前記開口合成部から出力される前記開口合成処理の結果から、前記全ての内部位置を対象に前記開口合成処理を実行する場合にえられる音響画像に対応する復元画像を復元するよう構成された復元部を、さらに備える。
上記(9)の構成によれば、復元部は、例えば圧縮センシング技術を用いて、複数の離散的な内部位置およびその合成値から、音響画像に対応する復元画像の生成を行う。このように、復元技術を用いることで、より高速な音響画像の生成を実現することができる。
(10)本発明の少なくとも一実施形態に係る開口合成処理方法は、
超音波の送信位置、および前記送信位置に対して定められた受信位置が互いに異なる組合せの各々についての、前記送信位置から検査対象への前記超音波の送信後に前記受信位置で測定される前記超音波の信号値の時系列データを含む測定結果を取得するステップと、
前記検査対象の内部に設定された内部位置の各々について、少なくとも一部の前記組合せ毎に、前記送信位置から送信した前記超音波が前記内部位置で反射して前記受信位置で受信された場合の伝搬経路における前記超音波の伝搬速度を、前記検査対象の結晶方位に基づいて算出するステップと、
算出された前記伝搬速度、および取得された前記時系列データを用いて開口合成処理を実行するステップと、を備える。
上記(10)の構成によれば、上記(1)と同様の効果を奏する。
(11)本発明の少なくとも一実施形態に係る開口合成処理プログラムは、
コンピュータに、
超音波の送信位置、および前記送信位置に対して定められた受信位置が互いに異なる組合せの各々についての、前記送信位置から検査対象への前記超音波の送信後に前記受信位置で測定される前記超音波の信号値の時系列データを含む測定結果を取得するよう構成された取得部と、
前記検査対象の内部に設定された内部位置の各々について、少なくとも一部の前記組合せ毎に、前記送信位置から送信した前記超音波が前記内部位置で反射して前記受信位置で受信された場合の伝搬経路における前記超音波の伝搬速度を、前記検査対象の結晶方位に基づいて算出するよう構成された速度算出部と、
算出された前記伝搬速度、および取得された前記時系列データを用いて開口合成処理を実行するよう構成された開口合成部と、を実現させるためのプログラムである。
上記(11)の構成によれば、上記(1)と同様の効果を奏する。
本発明の少なくとも一実施形態によれば、検査対象が音響異方性を有する場合であっても精度良く開口合成を行うことが可能な開口合成処理装置が提供される。
本発明の一実施形態に係る超音波探傷システムの構成を概略的に示す図である。 本発明の一実施形態に係る超音波探傷システムで測定された複数の信号データ(時系列データ)のイメージ図である。 本発明の一実施形態に係る開口合成処理装置の機能を示すブロック図である。 本発明の一実施形態に係る開口合成処理方法を示すフロー図である。 本発明の一実施形態に係る送信位置と受信位置が同じ場合の入射角または反射角の算出方法を説明するための図である。 本発明の一実施形態に係る送信位置と受信位置が同じ場合の入射角および反射角の算出方法を説明するための図である。 本発明の一実施形態に係る(a)音響画像および(b)二値化画像を示す図であり、欠陥位置の拡がりが相対的に小さい場合を示す。 本発明の一実施形態に係る(a)音響画像および(b)二値化画像を示す図であり、欠陥位置の拡がりが相対的に大きい場合を示す。 本発明の一実施形態に係る結晶方位の推定に基づく開口合成処理の処理結果の生成方法を示すフロー図であり、処理結果を2値化する場合を示す。 本発明の一実施形態に係る結晶方位の推定に基づく開口合成処理の処理結果の生成方法を示すフロー図であり、処理結果の最大値を求める場合を示す。 本発明の一実施形態に係る復元部による(a)復元前と(b)復元後の音響画像を示す図である。 本発明の一実施形態に係る開口合成処理方法を示すフロー図であり、音響画像を復元する場合を示す。
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
図1は、本発明の一実施形態に係る超音波探傷システム8の構成を概略的に示す図である。図2は、本発明の一実施形態に係る超音波探傷システム8で測定された複数の信号データs(時系列データ)のイメージ図である。
超音波探傷システム8は、開口合成により、検査対象物が有する任意の金属部分といった検査対象9における内部欠陥を探傷(内部欠陥の位置を推定)するためのシステムであり、探傷のための超音波を送信する送信器81sおよび超音波を受信する受信器81rを有する探傷器81と、測定装置82と、開口合成処理装置1と、を備える。この超音波探傷システム8において測定装置82は、探傷器81に接続されることにより、探傷器81の受信器81rで受信された超音波の信号レベル(信号値)を測定するように構成される。
具体的には、測定装置82は、送信器81sから超音波(超音波パルス)を送信した後に、受信器81rを用いて超音波の信号レベルを測定することにより、送信器81sからの超音波の送信時から所定期間の間の信号レベルの時間推移を含む信号データs(t)(時系列データ。以下、適宜、s)を生成する。また、このような測定を、検査対象9の複数(M個)の測定位置p(m=1、2、・・・、M。以下同様。)の各々への探傷器81の設置(移動)を通して、これらの測定位置p毎に行うことで、図2に示すような、M個の信号データsを得る。なお、上記のtは、例えば、超音波の送信時からの経過時間である。
図2の例示は、検査対象9に内部欠陥が存在する場合を示しており、送信器81sから送信された超音波がその内部欠陥で反射され、その反射波を受信器81rで受信しているため、信号レベルの変化が大きい箇所(欠陥エコー)が存在している。また、各信号データsは互いに異なる測定位置で測定されているため、各信号データsにおける欠陥エコーの位置にはずれが生じている。
なお、探傷器81において、送信器81sと受信器81rとは、検査対象9における同じ位置に設置されても良いし(後述する図5参照)、異なる位置に設置されても良い(後述する図6参照)。上記の同じ位置とは、送信器81sと任意の内部位置qlとの間を伝搬する超音波の往路の伝搬経路、および受信器81rとその同じ内部位置qlとの間を伝搬する超音波の復路の伝搬経路が、誤差の範囲にあるなど、同じとみなせる場合を意味する。送信器81sと受信器81rとが同じ位置に設置される場合には、送信器81sの位置(以下、送信位置ps)と、受信器81rの位置(以下、受信位置pr)と同じとみなせるので、開口合成処理(後述)における各種の計算において往路又は復路の一方のもの計算すれば、両方の計算結果が実質的に求められる。
他方、異なる位置とは、同じ位置ではない場合である。この場合には、精度良い開口合成を行うためには、往路および復路の両方を別々に計算する必要がある。
図1の超音波探傷システム8では、検査対象9の表面に接触させて設置した探傷器81を、その表面に沿って設定されたx方向に沿って、予め定めた各測定位置pに順番に移動させると共に、各測定位置pにおいて上述した測定を行うようになっている。各測定位置pにおいて、送信器81sは、検査対象9の深さ方向に沿って設定されたz方向に向けて超音波を送信するようになっている(x-z平面は検査対象9の断面)。これによって、超音波は検査対象9の内部をz方向に伝搬されるが、内部欠陥などの反射源が有る場合には反射源で反射されて、受信器81rで欠陥エコーとして観測されることになる。
また、図1に示す実施形態では、超音波探傷システム8は、探傷器81は送信器81sおよび受信器81rを1台ずつ有する1台の探傷器81を備えており、1台の送信器81sで送信した反射波を1台の受信器81rで受信するように構成されている。この探傷器81における送信器81sおよび受信器81rの相対的な位置関係は固定されており、探傷器81を移動させた分だけ、送信器81sおよび受信器81rも一緒に移動するようになっている。つまり、測定位置pに対して、送信器81sおよび受信器81rの各々の位置は定まるようになっている。
なお、図1に示す実施形態では、探傷器81をx方向などの一方向に移動させているが、x、y方向などの二方向や、x、y、zなどの3方向に移動させても良い。また、測定装置82は、送信器81sおよび受信器81rの移動を制御する機能部を備えていても良く、探傷器81の測定位置pへの移動およびその測定位置pの座標の取得をより正確に行うことが可能となる。
ただし、本実施形態に本発明は限定されない。図1に示す実施形態では、探傷器81の数は1台であり、1台の送信器81sと1台の受信器81rとが組み合わされているが、他の幾つかの実施形態では、探傷器81の数は例えばM以下などの複数であっても良く、複数の測定位置に同時に設置されても良い。また、探傷器81は、1つの送信器81sと、複数の受信器81rが組み合わされたものであっても良い。
そして、開口合成処理装置1は、上述した複数の測定位置pの各々での超音波を用いた測定を通して得られた複数の信号データsを取得し、後述するような開口合成処理を実行するよう構成される。また、こうした開口合成処理により得られる結果(以下、処理結果Rp)を画像(音響画像D)で表示などすることにより、検査対象9の内部欠陥の位置や大きさなどの推定結果を容易に把握することが可能となる。図1に示す実施形態では、開口合成処理装置1は、ディスプレイなどの表示装置83に接続されており、処理結果Rpを示す画像(音響画像D)を生成するなどして、表示装置83に出力するようになっている。
ここで、開口合成処理について説明する。開口合成では、例えば検査対象9の断面をメッシュ状に仮想的に区切るなどして、内部欠陥の有無を判別すべき複数(L個)の内部位置q(l=1、2、・・・、L)を設定する。そして、複数の内部位置qの各々について、内部位置qlに反射源が存在し、その反射源で超音波が反射されたと仮定した場合の信号レベル(合成値)を、複数(例えばM個)の信号データsの信号レベルを合成することにより求める。具体的には、複数の信号データsの各々について、算出対象の内部位置qからの反射波が受信される時間τをそれぞれ求めると共に、求めた時間τを信号データs(t)に代入することにより、算出対象の内部位置qからの反射波の信号レベルを算出する。こうして求めた内部位置q毎の複数の信号レベルを加算することにより、内部位置q毎の信号レベルの総和Sを算出する。この時、複数の内部位置qのうち、実際に内部欠陥の位置が一致するものは、全ての反射波に含まれる欠陥エコーが重なり合うことで、高いSNRの処理結果が得られるため合成値が大きくなり、合成値が大きい内部位置qに実際の内部欠陥が存在すると推定されることになる。
上述の内容を、数式を用いて説明する。
各位置をx、y座標を用いて表すことで、複数の内部位置q(l=1、2、・・・、L)をq=(X、Y)、探傷器81の測定位置p(m=1、2、・・・、M)をp=(x、y)とする。この時、送信位置psと受信位置prとが同じ位置である場合には、m番目の測定位置pとl番目の内部位置qとの間の距離rmlは、幾何学的な関係(ピタゴラスの定理)から、下記の式(1)で算出される。なお、図1に示す実施形態では、y=0である。
ml=√[(x-X+(y-Y] ・・・(1)
また、送信器81sと内部位置qとの間を超音波が伝搬する往路の伝搬時間τsmlと、受信器81rと内部位置qとの間を超音波が伝搬する復路の伝搬時間τrmlとの合計をτmlとし、超音波の伝搬速度であるvのうち、往路での伝搬速度をvs、復路での伝搬速度をvrとする。この時、往路および復路の伝搬時間の合計時間であるτmlは、下記の式(2)で計算できるので、l番目の内部位置qにおける信号レベルの総和Sは、下記の式(3)で計算できる。
τml=2×rml÷v、vは、vsまたはvr・・・(2)
=Σs(τml) ・・・(3)
他方、送信位置psと受信位置prとが異なる位置である場合には、往路と復路とで距離が異なる。よって、送信位置ps(xs、ys)と内部位置qとの間となる往路の距離をrsml、受信位置(xr、yr)と内部位置qとの間となる復路の距離をrrmlとすると、同様に幾何学的な関係から、下記の式(4)~(5)で算出される。
rsml=√[(xs-X+(ys-Y] ・・・(4)
rrml=√[(xr-X+(yr-Y] ・・・(5)
この時の往路および復路の伝搬時間の合計時間であるτmlは、超音波の往路での伝搬速度をvs、復路での伝搬速度をvrとすると、下記の式(6)で算出されるので、l番目の内部位置qにおける信号レベルの総和Sは、下記の式(7)で算出される。
τml=rsml÷vs+rrml÷vr ・・・(6)
=Σs(τml) ・・・(7)
こうして、検査対象9に設定した複数の内部位置qと、その各々の合成値(信号レベルの総和S)のセットが処理結果Rpとして得られる。そして、例えば、複数の内部位置qを、その座標に従って2次元的に配置すると共に、各内部位置qlの位置を、算出した合成値の値に応じて定められた色で示すことにより、図1に示すような音響画像Dが得られる。
以下、本発明の開口合成処理装置1(開口合成処理装置)について、図3~図10を用いて詳細に説明する。図3は、本発明の一実施形態に係る開口合成処理装置1の機能を示すブロック図である。図4は、本発明の一実施形態に係る開口合成処理方法を示すフロー図である。
図3に示すように、本発明の開口合成処理装置1は、測定結果取得部2と、速度算出部3と、開口合成部4と、を備える。開口合成処理装置1は、例えばコンピュータで構成されており、図示しないCPU(プロセッサ)や、ROMやRAMといったメモリ、外部記憶装置などの記憶装置Hを備えている。そして、主記憶装置にロードされたプログラム(開口合成処理プログラム)の命令に従ってCPUが動作(データの演算など)することで、開口合成処理装置1の各機能部を実現する。
上記の開口合成処理装置1が備える構成についてそれぞれ説明する。
測定結果取得部2は、上述したような、超音波探傷のための超音波の送信位置ps、および送信位置psに対して定められた受信位置prが互いに異なる複数の組合せの各々についての、送信位置psから検査対象9への超音波の送信後に受信位置prで測定される超音波の信号値(信号レベル)の時系列データ(上記の信号データs(t))を含む測定結果を取得するよう構成された機能部である。つまり、測定結果取得部2は、複数の信号データs、およびその各々の信号データsを測定した際の測定位置p(座標)を含む測定結果を取得する。幾つかの実施形態では、測定結果取得部2は、測定装置82に有線または無線の少なくとも一方を介して接続されることにより、測定装置82の測定結果を通信により取得しても良く、取得した測定結果は記憶装置Hに記憶される。他の幾つかの実施形態では、測定結果取得部2は、測定装置82の測定結果を記憶したUSBメモリなどの持ち運び可能な記憶媒体から取得しても良い。
速度算出部3は、検査対象9の内部に設定された上述した複数の内部位置qの各々について、上述した送信位置psおよび受信位置prの複数の組合せのうちの少なくとも一部となる2以上(複数)の組合せの各々毎に、送信位置psから送信した超音波が内部位置qで反射して受信位置prで受信された場合の伝搬経路における超音波の伝搬速度vmlを、検査対象9の結晶方位θcに基づいて算出するよう構成された機能部である。一般に、金属のような多結晶体を伝搬する超音波の伝搬速度vmlは、各結晶の向きがランダムである場合には伝搬方向によらず一定とみなせるが、結晶方位θcが揃うと伝搬方向によって伝搬速度vmlが異なってくる。よって、金属の結晶方位θcなどの検査対象9の有する音響異方性を考慮して、超音波の伝搬速度vmlをより正確に算出した上で、開口合成を行うことにより、検査対象9の内部の探傷精度を向上させることが可能となる。このため、速度算出部3は、上述した式(2)や式(6)のvsおよびvrを、結晶方位θcを用いて算出する。
例えば、超音波の結晶方位θcに対する入射角θaや反射角θbなどの伝搬角度θmlから伝搬速度vmlを求めても良い。この場合、速度算出部3は、複数の内部位置qから順番に1つの内部位置qを選択し、その選択した内部位置qと、複数の測定位置pの各々の情報に基づいて、幾何学的に伝搬角度θmlを求める。そして、伝搬角度θmlと伝搬速度vmlとの対応関係(v(θ))に基づいて、複数の測定位置p毎に、伝搬角度θmlから伝搬速度vmlを求める。これによって、内部位置q、測定位置pに応じた複数の伝搬速度vmlが得られる。なお、詳細については後述する。
開口合成部4は、上述した速度算出部3によって算出された伝搬速度伝搬速度vml、および、測定結果取得部2によって取得された複数の信号データs(時系列データ)を用いて、上述した開口合成処理を実行するよう構成された機能部である。開口合成処理については、既に説明しているため、ここでは省略する。
図3に示す実施形態では、速度算出部3は、測定結果取得部2に接続されており、測定結果取得部2により取得された測定結果(q、s(t))、および記憶装置Hなどから複数の内部位置q、v(θ)、結晶方位θc(既知の場合)などを取得し、これらの情報に基づいて、内部位置qおよび測定位置pの組合せ毎の伝搬速度vmlを算出する。また、開口合成部4は、測定結果取得部2および速度算出部3にそれぞれ接続されている。測定結果取得部2により取得された測定結果、複数の内部位置q、および、速度算出部3によって算出された複数の伝搬速度vmlを取得し、上述したように開口合成処理を実行するようになっている。
上述した構成を備える開口合成処理装置1の処理フローを、図4を用いて説明する。なお、複数の内部位置qは、それぞれ、検査対象9の内部がメッシュ状に仮想的に区切られた場合の交点の座標(以下、メッシュ位置)のうちの少なくとも一部であるL個に対応しており、相互に異なるメッシュ位置に対して1~LのL個の番号が割り当てられているものとする。同様に、探傷器81が設置される位置であるM個の測定位置pに対しても、1~MのM個の番号が割り当てられているものとする。
図4のステップS1において、測定装置82による測定結果、および複数の内部位置qなどを読み込む(取得する)と共に、内部変数としてのm、lを例えば1などに初期化する。ステップS2において、既に選定されている複数の内部位置qのうちから、着目するメッシュ位置を選定する。つまり、第l番目の内部位置qを選択する。ステップS3において、選定したメッシュ位置(q)と、複数の測定位置pの各々との距離rmlを、それぞれ計算する。つまり、各メッシュ位置(q)に対してM個の距離rmlが得られる。ステップS4において、M個の距離rmlの各々に対応する伝搬経路に応じた超音波の伝搬速度vmlを、検査対象9の結晶方位θcに基づいてそれぞれ算出する。これによって、M個の伝搬速度vmlが得られる。なお、本ステップS4の詳細(S41~S42)については後述する。
その後、ステップS5において、M個の伝搬経路の距離rml、および、各距離rmlに対応する伝搬速度vmlに基づいて、M個の伝搬経路の各々を超音波が往復するのに要する時間であるτmlをそれぞれ計算する。ステップS6において、第l番目のメッシュ位置における信号レベルの総和Sを計算する。そして、ステップS7において内部変数のlをインクリメント(l=l+1)し、ステップS8においてl≦Lの場合には、ステップS2に戻り、内部変数のmのみを1などに初期化して、ステップS2~S7を繰り返す。逆に、ステップS8においてl>Lの場合には、開口合成処理を終了する。
上記の構成によれば、検査対象9における複数の測定位置pの各々毎に、各送信位置psと、検査対象9の内部に設定(仮定)した内部位置qと、各送信位置psに対応する受信位置prとを結ぶ伝搬経路における超音波の伝搬速度vmlを、結晶方位θcを考慮して算出すると共に、その算出した伝搬速度vmlを用いて開口合成処理を実行する。これによって、検査対象9の音響異方性を考慮した開口合成を行うことができ、内部欠陥の位置の推定精度を向上することができる。
次に、伝搬速度vmlの算出方法に関する幾つかの実施形態について、図5~図6を用いて説明する。
図5は、本発明の一実施形態に係る送信位置psと受信位置prが同じ場合の入射角θamlまたは反射角θbmlの算出方法を説明するための図である。図6は、本発明の一実施形態に係る送信位置psと受信位置prが同じ場合の入射角θamlおよび反射角θbmlの算出方法を説明するための図である。
幾つかの実施形態では、上記の伝搬速度vmlを、超音波が検査対象9の各内部位置qlに入射する入射角θamlまたは反射角θbmlの少なくとも一方に基づいて算出しても良い。これは、物理事象として、伝搬速度(音速)は、内部欠陥に対する入射角θamlや反射角θbmlに依存するためである。つまり、伝搬速度vmlは、入射角θamlまたはθbmlである伝搬角度θmlの関数であり、これをv(θml)と表現する。なお、結晶方位θcは、検査対象9の金属に固有のパラメータであり、探傷器81の測定位置pに依存して変化するものではないものとする。一方、伝搬角度θmlは、探傷器81の測定位置p、内部位置q、結晶方位θcに依存して変化するため、これらの位置関係や結晶方位θcに応じた伝搬角度θmlを算出する必要がある。
このため、幾つかの実施形態では、図3に示すように、速度算出部3は、結晶方位取得部31と、伝搬角算出部32と、速度決定部33と、を有する。
結晶方位取得部31は、検査対象9の内部の結晶方位θcを取得するよう構成された機能部である。結晶方位取得部31は、測定などを通して得られた実際の結晶方位θcを取得しても良いし、結晶方位θcの推定値や候補値(後述する候補方位θ)を取得しても良い。また、結晶方位θcは外部のデータベースに蓄積されていても良く、結晶方位取得部31は、このようなデータベースから結晶方位θcを取得しても良い。
伝搬角算出部32は、複数の内部位置qの各々について、少なくとも一部の複数の組合せの各々毎に、内部位置q、結晶方位θc、および送信位置psに基づく、送信位置psから送信した超音波が内部位置qに入射する際の結晶方位θcに対する角度(入射角θaml)の算出、または、内部位置q、結晶方位θc、および受信位置prに基づく、内部位置qから反射される超音波の結晶方位θcに対する角度(反射角θbml)の算出のうちの少なくとも一方を実行するよう構成された機能部である。
ここで、図5~図6に示すように、上記の結晶方位θcを、各内部位置qから検査対象9の表面に下した垂線Lvに対する角度として定義する。また、任意の測定位置pから任意の内部位置qに入射する超音波の結晶方位θcに対する伝搬角度θmlを、測定位置pと内部位置qとを通る直線Lmlと上記の垂線Lvとのなす角(角度φml)と、上記の結晶方位θcとを加算した角度と定義すると、下記の式(8)で表現できる。
θml=θc+φml ・・・(8)
なお、より具体的には、入射角θamlは、測定位置pにおける送信位置psと内部位置qとを通る直線Lmlと上記の垂線Lvとのなす角(角度φml)と、結晶方位θcとを加算した角度となる。反射角θbmlは、測定位置pにおける受信位置prと内部位置qとを通る直線Lmlと上記の垂線Lvとのなす角(角度φml)と、結晶方位θcとを加算した角度となる。送信位置psと受信位置prとが同じ位置の場合には、θaml=θbmlとなり、異なる場合には、θaml≠θbmlとなる。
この時、式(8)における角度φmlは、幾何学的に求めることで、下記の式(9)で表現できる。よって、検査対象9の表面と伝搬距離rmlとがなす角をψmlとすると、伝搬角度θmlは、式(8)および式(9)により、結晶方位θcを用いて、下記の式(10)で求めることができる(atanは、逆正接関数)。
φml=π/2-ψml
=π/2-atan[(Y-y)/(X-x)] ・・・(9)
θml=π/2-atan[(Y-y)/(X-x)]+θc・・・(10)
なお、図6には、送信位置psと受信位置prとが異なる場合を示している。具体的には、図6は、上述した測定位置p=(x、y)から、x方向でΔxずつ反対方向に離れた位置に送信位置psと受信位置prがある場合を示している。つまり、送信位置ps(xs、ys)=(x-Δx、y)、受信位置pr(xr、yr)=(x+Δx、y)となっている。よって、この場合の入射角θamlは下記の式(11)となり、反射角θbmlは下記の(12)となる。
θaml=π/2-atan[(Y-y)/(X-(x-Δ)]+θc
・・・(11)
θbml=π/2-atan[(Y-y)/(X-(x+Δ))+θc
・・・(12)
速度決定部33は、予め定められた角度θ(入射角θamlまたは反射角θbml)と伝搬速度との対応関係(v(θ))に基づいて、取得した結晶方位θc、および入射角θamlまたは反射角θbmlの少なくとも一方から伝搬速度を決定するよう構成された機能部である。つまり、入射角θamlや反射角θbmlなどの角度θと超音波の伝搬速度との関係は実験などを通して得られるので、そのような角度θと超音波の伝搬速度とを対応付けるテーブルなどを予め作成して、記憶装置Hなどに記憶しておく。そして、このようなテーブルなどを用いて、上述したように求めた角度θ(入射角θaml、反射角θbml)から伝搬速度vmlを決定する。
上述した速度決定部33を開口合成処理装置1が備える場合には、図4のステップS4は、次のようになる。送信位置psと受信位置prとが同じ位置の場合を例に説明すると、ステップS41において、l番目のメッシュ位置(q)に対する1~M番目までの各測定位置pからの入射角θamlをそれぞれ求める。つまり、ステップS41によって、M個の入射角θamlが算出される。そして、次のステップS42において、M個の伝搬経路における超音波の伝搬速度vmlを、上記のテーブルなどを用いて、各測定位置pに対応する入射角θamlから計算する。その後、図4のステップS5以降を実行していく。なお、送信位置psと受信位置prとが異なる位置の場合に、反射角θbmlを求める場合には、上記の図4のフロー中のθamlをθbmlに置き換えたものを、別途実行する。
上記の構成によれば、結晶方位θcが揃うなどにより音響異方性をもつ検査対象9の複数の内部位置qの各々について、複数の測定位置pの各々毎にその内部位置qへの入射角または反射角の少なくとも一方の角度(伝搬角度θml)を求めると共に、予め定められた伝搬角度θmlと伝搬速度との対応関係(v(θml))を用いて、求めた伝搬角度から伝搬速度を求める。このように、検査対象9の音響異方性を結晶方位θcに対する伝搬角度θmlに対応付けると共に、伝搬角度θmlから伝搬速度vmlを求めることにより、上述した超音波の伝搬速度vmlを求めることができる。
次に、上述した結晶方位θcが既知でない場合に関する幾つかの実施形態ついて、図7~図10を用いて説明する。
図7は、本発明の一実施形態に係る(a)音響画像Dおよび(b)二値化画像Dbを示す図であり、欠陥位置の拡がりが相対的に小さい場合を示す。図8は、本発明の一実施形態に係る(a)音響画像Dおよび(b)二値化画像Dbを示す図であり、欠陥位置の拡がりが相対的に大きい場合を示す。図9は、本発明の一実施形態に係る結晶方位θcの推定に基づく開口合成処理の処理結果Rpの生成方法を示すフロー図であり、処理結果Rpを2値化する場合を示す。図10は、本発明の一実施形態に係る結晶方位θcの推定に基づく開口合成処理の処理結果Rpの生成方法を示すフロー図であり、処理結果Rpの最大値を求める場合を示す。
幾つかの実施形態では、開口合成処理装置1は、結晶方位θcが既知でない場合においては、結晶方位θcの推定を通して伝搬速度vを算出しても良い。結晶方位θcは角度であるため、上記の結晶方位θcの定義によると、その真値は必ず-π/2~π/2の範囲に存在する。そこで、まずは、これらの範囲で結晶方位θcの候補となる角度である候補方位θを複数個(N個。n=1、2、・・・、N)用意する。例えば、-π/2からπ/2までを1度間隔で区切ると合計で181個の角度があるが、上記の候補方位θの総数(N)は、その181であっても良い。あるいは、上記の候補方位θの総数(N)は、上記角度範囲を2度などの1度以上の角度で区切ることにより得られる数であっても良いし、0.5度などの1度以下の角度で区切ることにより得られる数であっても良い。候補方位θの総数(N)が多いほど処理時間はかかるが、より高い精度が望める。
続いて、この複数(N個)の候補方位θの各々に基づいて、それぞれ、上述したように伝搬角度θmlの算出、この算出した伝搬角度θmlに基づく伝搬速度vmlの算出、および、算出した伝搬速度vmlに基づく開口合成処理を実行する。その開口合成処理の結果として、N個の処理結果Rpが得られるので、これらの複数(N個)の処理結果Rpのうちから、尤もらしい結晶方位θcに基づいて得られた特定の処理結果Rpを選択しても良い。
すなわち、幾つかの実施形態では、速度算出部3は、結晶方位θcの候補である複数の候補方位θnを取得し、その複数の候補方位θの各々毎に伝搬速度vmlを算出する。また、開口合成部4は、速度算出部3によって算出された複数の伝搬速度vmlの各々毎に、上述した開口合成処理を実行することにより、複数の処理結果Rpを出力する。そして、開口合成処理装置1は、所定の選択処理により、複数の処理結果Rpのうちから1つの処理結果Rpを選択するよう構成された選択部5を、さらに備える。なお、速度算出部3は、結晶方位θcの真値がどこかに含まれることになる-π/2からπ/2までの範囲を例えば1度などの所定の間隔で区切ることにより、複数の候補方位θを生成しても良い。あるいは、記憶装置Hなどに予め定められた複数の候補方位θのリストが記憶されており、そのリストを読み込むことで、複数の候補方位θを取得しても良い。
具体的には、上記の所定の選択処理は、幾つかの実施形態では、図7(b)、図8(b)に示すように、複数の処理結果Rp(図7~図8では、処理結果Rpの音響画像D)の各々を2値化し、2値化した一方の値の数に基づいて、複数の処理結果Rpのうちから特定の処理結果Rpを選択しても良い。すなわち、上記の所定の選択処理は、上述したように複数の候補位置θに基づいて得られた複数の処理結果Rpの各々毎に、処理結果Rpに含まれる複数の内部位置qの各々の信号値の合成値(信号レベルの総和S)を、規定の閾値Gに基づいて、第1値V1と、第1値V1よりも小さい第2値V2(V1>V2)にそれぞれ変換すると共に、複数の処理結果Rpのうちの、第1値V1の数が最も少ない、あるいは、第2値V2が最も多い処理結果Rpを選択する処理であっても良い。
本発明者らは、処理結果Rpを画像で示した音響画像Dにおける欠陥位置の拡がりを評価指標とすることで、複数の処理結果Rpのうちから、実際の結晶方位θcに対応した特定の処理結果Rpを選択することが可能と考えた。すなわち、図7に示すように、音響画像Dにおける欠陥位置の拡がりは、候補方位θが結晶方位θcの真値に近いほど小さく、理想的には欠陥位置近傍にのみピーク値が形成される。一方、音響画像Dは、候補方位θが結晶方位θcの真値から乖離しているほど欠陥位置があいまいな画像となり、図8に示すように、音響画像D中の欠陥位置の拡がりは大きくなる。
そこで、本実施形態では、欠陥位置の拡がり度合を求めるために、開口合成処理の処理結果Rpの2値化を行う。例えば、上記の第1値V1が1で、第2値V2が0であっても良い。そして、各処理結果Rpに含まれる複数の内部位置qのうち、内部位置qlの合成値が上記の規定の閾値Gを上回るものの合成値を1に変更し、内部位置qlの合成値が上記の規定の閾値G以下のものの合成値を0に変更する。このようにすれば、各処理結果Rpについて、第1値V1または第2値V2の数をカウントすることにより、欠陥位置の拡がりを数値として表現できる。つまり、第1値V1(例えば1)の数が最も小さい処理結果Rpの算出に用いた候補方位θpが、尤もらしい(結晶方位θcの真値に最も近い)と判断ができ、そのような処理結果Rpから正確な欠陥位置の推定が可能となる。なお、図7(b)~図8(b)のように、音響画像Dを2値化した二値化画像Dbを生成しても良いし、その生成をしなくても良い。
他の幾つかの実施形態では、上記の所定の選択処理は、図7(a)、図8(a)に示すように、複数の処理結果Rpの各々の合成値の最大値(ピーク値Vmax)を求め、それらの最大値に基づいて、複数の処理結果Rpのうちから特定の処理結果Rpを選択しても良い。すなわち、上記の所定の選択処理は、複数の処理結果Rpの各々毎に、処理結果Rpに含まれる複数の内部位置qの各々の信号値の合成値の最大値を求めると共に、複数の処理結果のうちの、上記の最大値が最も大きい処理結果Rpを選択する処理である。
本発明者らは、内部欠陥が存在する場合には、受信位置prで受信される信号値のレベルは大きくなり、理想的には欠陥位置近傍にのみピーク値Vmaxが形成されることから、合成値の最大値を評価指標とすることで、複数の処理結果Rpのうちから、実際の結晶方位θcに対応した1つの処理結果Rpを選択することが可能と考えた。例えば、図7(a)、図8(a)における2つの線の交差した位置が、音響画像Dにおける合成値が最大となった内部位置qの位置を示している。
これによって、尤もらしい(結晶方位θcの真値に最も近い)候補方位θに基づいて得られた処理結果Rpを選択することが可能となる。上述した2値化を行う選択処理では、上記の閾値Gが不適切だと、欠陥位置の拡がりの度合いを適切に推定できない場合が想定されるが、この方法によれば、事前に調整が必要となる、上記の閾値Gのようなパラメータがなく、実装が容易となる。
本実施形態に対応する開口合成処理装置1の処理フローを、図9~図10を用いて説明する。
図9~図10のステップS01において、複数の候補方位θや上記の閾値G(図9のみ)など、必要な情報を記憶装置Hから読み込むと共に、内部変数としてのnを例えば1などに初期化する。なお、複数の候補方位θnは、記憶装置Hから取得するのではなく、生成しても良い。ステップS02において、複数の候補方位θのうちから使用する候補方位θを選定する。具体的には、第n番目の候補方位θを選択する。そして、S03において、求めた候補方位θに基づいて、開口合成処理(図4参照)を実行する。
次のステップS04において、ステップS03の実行により得られる開口合成処理の処理結果Rpの評価指標を算出する。具体的には、図9に示す実施形態では、ステップS04aにおいて、第n番目の処理結果Rpに含まれる各内部位置qの合成値の2値化を行った後、ステップS04bにおいて、2値化処理を経た処理結果Rpにおける第1値V1または第2値V2(本実施形態では、第1値V1)の一方をカウントし、記憶する。他方、図10に示す実施形態では、ステップS04において第n番目の処理結果Rpに含まれる各内部位置qの合成値の最大値を求める。
その後、ステップS05において、内部変数のnをインクリメント(n=n+1)し、S06においてn≦Nの場合には、S02に戻り、S02~S05を繰り返す。逆に、S06においてn>Nの場合には、ステップS07において、複数の処理結果Rpから特定の処理結果Rpを選択する。図9に示す実施形態では、ステップS04を複数回実行することで得られた処理結果Rp毎のカウント値同士を比較し、その比較結果に基づいて特定の処理結果Rpを選択する。具体的には、ステップS04では各処理結果Rpの第1値V1の数をカウントしているので、本ステップS07では、複数の処理結果Rpのうちから、そのカウント値が最小である処理結果Rpを選択するようになっている。図10に示す実施形態では、ステップS04を複数回実行することで得られた処理結果Rp毎の最大値同士を比較し、その最大値が最大である特定の処理結果Rpを選択する。そして、ステップS07の実行後、フローを終了する。
上記の構成によれば、検査対象9の結晶方位θcが不明である場合であっても、検査対象9の内部欠陥の位置の推定を精度良く行うことができる。すなわち、検査対象9の結晶方位θcが不明である場合には、上述した超音波の伝搬速度vmlを算出することができないことになる。しかし、上記のように、実際の結晶方位θcが含まれるような複数の結晶方位θcの候補(候補方位θ)を準備し、その各々毎に、超音波の伝搬速度vmlを求めて開口合成処理を実行することで、複数の開口合成処理の結果(処理結果Rp)を得ると共に、その中から現実の結晶方位θcに基づいた結果と判断されるような適切な処理結果Rpを選択するようにすれば、選択した開口合成処理の結果に基づいて、検査対象9の内部欠陥の位置の推定を行うことが可能となる。
次に、処理の高速化に関する幾つかの実施形態について、図11~図12を用いて説明する。
図11は、本発明の一実施形態に係る復元部6による(a)復元前と(b)復元後の音響画像Dを示す図である。図12は、本発明の一実施形態に係る開口合成処理方法を示すフロー図であり、音響画像Dを復元する場合を示す。
幾つかの実施形態では、音響画像Dの生成に、圧縮センシング技術などの復元技術を用いても良い。すなわち、幾つかの実施形態では、図3に示すように、開口合成処理装置1は、複数の内部位置qは、検査対象9の内部に例えばメッシュ状などに設定された全て(複数)の内部位置qの一部であり、開口合成部4から出力される開口合成処理の処理結果Rpから、全ての内部位置qを対象に開口合成処理を実行する場合にえられる音響画像Dに対応する復元画像Drを復元するよう構成された復元部6を、さらに備えても良い。図3に示す実施形態では、復元部6は、開口合成部4に接続されており、その処理結果Rpに基づいて、復元を行う。なお、図3に示す実施形態では、上述した選択部5が復元部6の後段となるように接続されているが、これらは必須ではなく、また、開口合成処理装置1は、復元部6または選択部5の少なくとも一方を備えれば良い。
検査対象9の内部を区切るメッシュが細かくなるなど、内部位置qの数が多くなるにつれて開口合成処理に要する時間が増大する。そこで、例えば、検査対象9の内部を区切ったメッシュの全てのメッシュ位置(座標)に対して合成値を計算するのではなく、全てのメッシュ位置からランダムに少数だけ選定し、選定した複数のメッシュ位置に対してのみ合成値を計算する。これによって、計算時間が短縮されるが、合成値が計算された内部位置qは全ての内部位置qのうちの一部なので、これらから得られる音響画像Dはまばらであり(図11(a)参照)、このままでは、内部欠陥の位置を正しく推定することができない。そこで、少数のデータからスパースベクトル(要素の大半が0となるベクトル)を推定する技術である圧縮センシング技術などを適用して、例えば全てのメッシュ位置に対して合成値を計算することで得られる音響画像Dなどとなる原画像(図1参照)を復元する。これによって、処理時間を大幅に短縮し、高速に原画像と同等と言えるような、復元画像Drを生成することが可能となる。例えば全てのメッシュ位置のうち規定割合(例えば10%)に相当する数だけランダムに内部位置q選定して合成値を計算すると、開口合成処理の計算時間を約1/10に削減することが可能となる。
具体的には、まずは、合成値を計算する内部位置qを、検査対象9の内部に設定された全ての内部位置qからランダムに複数選定する。例えば、ランダムサンプリングでも良いし、音響画像Dの中心から放射状にサンプリングしても良い。このような、原画像から一部の内部位置qのデータだけ抜き取る行列をS∈RK×Lとおく。ここで、Kはサンプリングする内部位置qの数を表し、K≪Lである。例えば、原画像のメッシュ数がLであり、10%ランダムサンプリングを行った場合は、K=0.1×Lとなる。
続いて、上述したようにまばらにサンプリングすることにより得た複数の内部位置qの各々の合成値(S)を有する画像(図11(a))に対応するベクトルをw∈RK×1とおく。よって、wの要素は、全ての内部位置qの一部である。これを周波数領域の画像に対応するベクトルであるとみなし、実空間での未知画像(復元画像Dr)をベクトル化したものu∈RL×1はスパースであると仮定する。そして、2次元DFT(離散フーリエ変換)によりベクトルuとwを、下記の式(13)のように関連付ける。
w=SDu ・・・(13)
ここで、D、DはDFT行列ある。D∈CL×LとD∈CL×Lは、それぞれ列方向と行方向のDFT行列をベクトルに適用できるよう変換したものである。なお、Cは複素数を表しており、例えばD∈CL×Lは、Dのサイズが縦横ともにLの複素行列であることを意味している。この式(13)に示す連立方程式に対して圧縮センシングの復元技術(例えば、OMPアルゴリズム:Orthogonal Matching Pursuitなど)を適用し、スパースベクトルuを推定する。
本実施形態に対応する例の適用結果例を図11に示す。図11(a)は、メッシュ座標のうち10%だけランダムに選定して合成値を計算し、合成値が計算されたメッシュ位置に対して、合成値に応じて色付けした図である。また、図1に示した音響画像Dが、図11(a)に対応する原画像であり、全メッシュ位置の合成値を計算したものである。図11(a)は、原画像の一部(10%)をランダムサンプリングし、そうして得た複数の内部位置qの合成値のみ計算したものなので、計算時間は原画像に対して約1/10と高速になっている。ただし、サンプリングした位置のみしか合成値を算出していないため、図11(a)を見ても欠陥位置は判別できない。そして、図11(b)は、図11(a)を圧縮センシングにより復元した復元画像Drである。図1の音響画像Dと図11(b)の復元画像Drとはよく一致しており、全メッシュ位置に対して合成値を計算せずとも、図11(a)から原画像を復元できることが分かる。
本実施形態に対応するフローを、図12を用いて説明する。図12のステップ121において、内部変数の初期化や必要なデータの読込を行う。次のステップ122において、全ての内部位置qの内の一部であるK個の内部位置qをランダムにサンプリングし、サンプリングしたK個の内部位置qを対象に図4に示す処理を実行する。ステップ123において、ステップ122で得られた結果に対して、上述した圧縮センシング技術などの復元技術を適用して、復元画像Drを得る。
上記の構成によれば、復元部6は、例えば圧縮センシング技術を用いて、複数の離散的な内部位置qおよびその合成値から、音響画像Dに対応する復元画像Drの生成を行う。このように、復元技術を用いることで、より高速な音響画像Dの生成を実現することができる。
以下、上述した構成を有する開口合成処理装置1が実行する処理に対応した開口合成処理方法を説明する。既に説明した図4に示すように、本発明の開口合成処理方法は、測定結果取得ステップと、速度算出ステップと、開口合成ステップと、を備える。これらのステップについてそれぞれ説明する。なお、本発明の開口合成処理方法は、開口合成処理装置1や開口合成処理プログラムが実行しても良いし、上述した測定装置82を用いて測定した測定結果およびコンピュータなどを用いて、人手で行っても良い。
測定結果取得ステップは、上述した送信位置psおよび受信位置prが互いに異なる複数の組合せの各々についての上述した信号データs(t)(時系列データ)を含む測定結果を取得するステップである。測定結果取得ステップは、既に説明した測定結果取得部2が実行する処理内容と同様であるため、詳細は省略する。なお、本ステップは、図4に示すステップS1に相当する。
速度算出ステップは、検査対象9の内部に設定された複数の内部位置qの各々について、少なくとも一部の複数の組合せの各々毎に、その伝搬経路における超音波の伝搬速度vmlを、検査対象9の結晶方位θcに基づいて算出するステップである。速度算出ステップは、既に説明した速度算出部3が実行する処理内容と同様であるため、詳細は省略する。なお、本ステップは、図4に示すステップS4に相当する。
この速度算出ステップは、幾つかの実施形態では、検査対象9の内部の結晶方位θcを取得する結晶方位取得ステップと、複数の内部位置qの各々について、少なくとも一部の複数の組合せの各々毎に、上述した入射角θamlの算出、または、反射角θbmlの算出のうちの少なくとも一方を実行する伝搬角度算出ステップと、予め定められた角度θ(入射角θamlまたは反射角θbml)と伝搬速度vmlとの対応関係(v(θ))に基づいて、取得した結晶方位θc、および入射角θamlまたは反射角θbmlの少なくとも一方から伝搬速度vmlを決定する速度決定ステップと、を有していても良い。これらの結晶方位取得ステップ、伝搬角度算出ステップ、および速度決定ステップは、それぞれ、既に説明した結晶方位取得部31、伝搬角算出部32、および速度決定部33が実行する処理内容と同様であるため、詳細は省略する。なお、結晶方位取得ステップおよび伝搬角度算出ステップは、図4に示すステップS41に相当し、速度決定ステップは、図4に示すステップS42に相当する。
開口合成ステップは、算出された伝搬速度vml、および取得された複数の信号データs(t)(時系列データ)を用いて開口合成処理を実行するステップである。開口合成ステップは、既に説明した開口合成部4が実行する処理内容と同様であるため、詳細は省略する。なお、本ステップは、図4に示すステップS2~S8に相当するが、伝搬速度vmlについては、速度算出ステップ(ステップS4)で算出されたものを取得する。
幾つかの実施形態では、開口合成処理方法は、上述した選択部5に対応する選択ステップを、さらに備えても良い。この選択ステップは、図9~図10のステップS07に相当する。
また、幾つかの実施形態では、開口合成処理方法は、上述した復元部6に対応する復元ステップを、さらに備えても良い。この復元ステップは、図12のステップ123に相当する。
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
なお、上記の測定結果取得部2は第1取得部の一例であり、上記の結晶方位取得部31は第2取得部の一例である。
また、上記の開口合成処理プログラムは、コンピュータに後述する各機能部を実現させるためのソフトウェアであり、コンピュータによる読み込みが可能な記憶媒体に記憶されても良い。
1 開口合成処理装置
2 測定結果取得部(第1取得部)
3 速度算出部
31 結晶方位取得部(第2取得部)
32 伝搬角算出部
33 速度決定部
4 開口合成部
5 選択部
6 復元部
8 超音波探傷システム
81 探傷器
81r 受信器
81s 送信器
82 測定装置
83 表示装置
9 検査対象
測定位置
pr 受信位置
ps 送信位置
内部位置
信号データ
θc 結晶方位
θ 候補方位
θaml 入射角
θbml 反射角
θml 伝搬角度(入射角または反射角)
Lv 垂線(各内部位置から検査対象の表面に下した垂線)
ml 直線(m番目の測定位置とl番目の内部位置とを通る直線)
ml 伝搬速度(m番目の測定位置とl番目の内部位置間の速度)
ml 伝搬距離(m番目の測定位置とl番目の内部位置間の距離)
rsml 往路の距離(送信位置と内部位置との間の距離)
rrml 復路の距離(受信位置と内部位置との間の距離)
Δx 測定位置と、送信位置または受信位置との間の距離
τml 伝搬時間(m番目の測定位置とl番目の内部位置間の往復時間)
v(θ) 伝搬角度と伝搬速度との対応関係
合成値(l番目の内部位置の合成値)

D 音響画像
Db 二値化画像
Dr 復元画像
G 閾値
Lv 垂線
Rp 開口合成処理の処理結果
総和(合成値)
V1 第1値(2値化の一方の値)
V2 第2値(2値化の他方の値)
Vmax ピーク値
H 記憶装置
L 内部位置の最大数
M 測定位置の最大数
N 候補位置の最大数
K 内部位置のサンプリング数の最大数

Claims (13)

  1. 超音波の送信位置、および前記送信位置に対して定められた受信位置が互いに異なる組合せの各々についての、前記送信位置から検査対象への前記超音波の送信後に前記受信位置で測定される前記超音波の信号値の時系列データを含む測定結果を取得するよう構成された取得部と、
    前記検査対象の内部に設定された内部位置の各々について、少なくとも一部の前記組合せ毎に、前記送信位置から送信した前記超音波が前記内部位置で反射して前記受信位置で受信された場合の伝搬経路における前記超音波の伝搬速度を、前記検査対象の結晶方位に基づいて算出するよう構成された速度算出部と、
    算出された前記伝搬速度、および取得された前記時系列データを用いて開口合成処理を実行するよう構成された開口合成部と、を備え
    前記速度算出部は、
    前記検査対象の内部の前記結晶方位を取得し、
    前記内部位置、前記結晶方位、および前記送信位置に基づく、前記送信位置から送信した前記超音波が前記内部位置に入射する、前記結晶方位に対する入射角を算出し、
    予め定められた前記入射角と前記伝搬速度との対応関係に基づいて、取得した前記結晶方位、および前記入射角から前記伝搬速度を決定するよう構成され、
    前記速度算出部は、前記結晶方位の複数の候補方位を取得し、前記複数の候補方位の各々毎に前記伝搬速度を算出し、
    前記開口合成部は、複数の前記伝搬速度の各々毎に前記開口合成処理を実行することにより、複数の開口合成処理結果を出力し、
    所定の選択処理により、前記複数の開口合成処理結果のうちから1つの前記開口合成処理結果を選択するよう構成された選択部を、さらに備える
    ことを特徴とする開口合成処理装置。
  2. 超音波の送信位置、および前記送信位置に対して定められた受信位置が互いに異なる組合せの各々についての、前記送信位置から検査対象への前記超音波の送信後に前記受信位置で測定される前記超音波の信号値の時系列データを含む測定結果を取得するよう構成された取得部と、
    前記検査対象の内部に設定された内部位置の各々について、少なくとも一部の前記組合せ毎に、前記送信位置から送信した前記超音波が前記内部位置で反射して前記受信位置で受信された場合の伝搬経路における前記超音波の伝搬速度を、前記検査対象の結晶方位に基づいて算出するよう構成された速度算出部と、
    算出された前記伝搬速度、および取得された前記時系列データを用いて開口合成処理を実行するよう構成された開口合成部と、を備え、
    前記速度算出部は、
    前記検査対象の内部の前記結晶方位を取得し、
    前記内部位置、前記結晶方位、および前記受信位置に基づく、前記内部位置から反射される前記超音波の前記結晶方位に対する反射角を算出し、
    予め定められた前記反射角と前記伝搬速度との対応関係に基づいて、取得した前記結晶方位、および前記反射角から前記伝搬速度を決定するよう構成され、
    前記速度算出部は、前記結晶方位の複数の候補方位を取得し、前記複数の候補方位の各々毎に前記伝搬速度を算出し、
    前記開口合成部は、複数の前記伝搬速度の各々毎に前記開口合成処理を実行することにより、複数の開口合成処理結果を出力し、
    所定の選択処理により、前記複数の開口合成処理結果のうちから1つの前記開口合成処理結果を選択するよう構成された選択部を、さらに備える
    ことを特徴とする開口合成処理装置。
  3. 前記所定の選択処理は、
    前記複数の開口合成処理結果の各々について、前記開口合成処理結果に含まれる複数の前記内部位置の各々の前記信号値の合成値を、規定の閾値に基づいて、第1値と、前記第1値よりも小さい第2値にそれぞれ変換すると共に、
    前記複数の開口合成処理結果のうちの、前記第1値の数が最も少ない、あるいは、前記第2値が最も多い前記開口合成処理結果を選択する処理であることを特徴とする請求項1又は2に記載の開口合成処理装置。
  4. 前記所定の選択処理は、
    前記複数の開口合成処理結果の各々について、前記開口合成処理結果に含まれる複数の前記内部位置の各々の前記信号値の合成値の最大値を求めると共に、
    前記複数の開口合成処理結果のうちの、前記最大値が最も大きい前記開口合成処理結果を選択する処理であることを特徴とする請求項1又は2に記載の開口合成処理装置。
  5. 前記組合せにおける前記送信位置と前記受信位置とは、同じ位置であり、
    前記速度算出部は、前記内部位置から反射される前記超音波の前記結晶方位に対する入射角、または前記内部位置から反射される前記超音波の前記結晶方位に対する反射角のいずれか一方の角度を算出し、算出された前記角度から前記伝搬速度を決定することを特徴とする請求項に記載の開口合成処理装置。
  6. 前記送信位置と、前記送信位置に対応する前記受信位置とは、異なる位置であり、
    前記速度算出部は、前記内部位置から反射される前記超音波の前記結晶方位に対する入射角、および前記内部位置から反射される前記超音波の前記結晶方位に対する反射角の両方を算出し、算出された前記入射角を用いて前記伝搬経路における前記送信位置と前記内部位置との間の前記伝搬速度を決定すると共に、算出された前記反射角を用いて前記伝搬経路における前記受信位置と前記内部位置との間の前記伝搬速度を決定することを特徴とする請求項に記載の開口合成処理装置。
  7. 超音波の送信位置、および前記送信位置に対して定められた受信位置が互いに異なる組合せの各々についての、前記送信位置から検査対象への前記超音波の送信後に前記受信位置で測定される前記超音波の信号値の時系列データを含む測定結果を取得するよう構成された取得部と、
    前記検査対象の内部に設定された内部位置の各々について、少なくとも一部の前記組合せ毎に、前記送信位置から送信した前記超音波が前記内部位置で反射して前記受信位置で受信された場合の伝搬経路における前記超音波の伝搬速度を、前記検査対象の結晶方位に基づいて算出するよう構成された速度算出部と、
    算出された前記伝搬速度、および取得された前記時系列データを用いて開口合成処理を実行するよう構成された開口合成部と、を備え、
    複数の前記内部位置は、前記検査対象の内部に設定された全ての前記内部位置の一部であり、
    前記開口合成部から出力される前記開口合成処理の結果から、前記全ての内部位置を対象に前記開口合成処理を実行する場合にえられる音響画像に対応する復元画像を復元するよう構成された復元部を、さらに備えることを特徴とす
    開口合成処理装置。
  8. 超音波の送信位置、および前記送信位置に対して定められた受信位置が互いに異なる組合せの各々についての、前記送信位置から検査対象への前記超音波の送信後に前記受信位置で測定される前記超音波の信号値の時系列データを含む測定結果を取得するステップと、
    前記検査対象の内部に設定された内部位置の各々について、少なくとも一部の前記組合せ毎に、前記送信位置から送信した前記超音波が前記内部位置で反射して前記受信位置で受信された場合の伝搬経路における前記超音波の伝搬速度を、前記検査対象の結晶方位に基づいて算出するステップと、
    算出された前記伝搬速度、および取得された前記時系列データを用いて開口合成処理を実行するステップと、を備え
    前記伝搬速度を算出するステップは、
    前記検査対象の内部の前記結晶方位を取得し、
    前記内部位置、前記結晶方位、および前記送信位置に基づく、前記送信位置から送信した前記超音波が前記内部位置に入射する、前記結晶方位に対する入射角を算出し、
    予め定められた前記入射角と前記伝搬速度との対応関係に基づいて、取得した前記結晶方位、および前記入射角から前記伝搬速度を決定し、
    前記伝搬速度を算出するステップは、前記結晶方位の複数の候補方位を取得し、前記複数の候補方位の各々毎に前記伝搬速度を算出し、
    前記開口合成処理を実行するステップは、複数の前記伝搬速度の各々毎に前記開口合成処理を実行することにより、複数の開口合成処理結果を出力し、
    所定の選択処理により、前記複数の開口合成処理結果のうちから1つの前記開口合成処理結果を選択するステップを、さらに備える
    ことを特徴とする開口合成処理方法。
  9. 超音波の送信位置、および前記送信位置に対して定められた受信位置が互いに異なる組合せの各々についての、前記送信位置から検査対象への前記超音波の送信後に前記受信位置で測定される前記超音波の信号値の時系列データを含む測定結果を取得するステップと、
    前記検査対象の内部に設定された内部位置の各々について、少なくとも一部の前記組合せ毎に、前記送信位置から送信した前記超音波が前記内部位置で反射して前記受信位置で受信された場合の伝搬経路における前記超音波の伝搬速度を、前記検査対象の結晶方位に基づいて算出するステップと、
    算出された前記伝搬速度、および取得された前記時系列データを用いて開口合成処理を実行するステップと、を備え、
    前記伝搬速度を算出するステップは、
    前記検査対象の内部の前記結晶方位を取得し、
    前記内部位置、前記結晶方位、および前記受信位置に基づく、前記内部位置から反射される前記超音波の前記結晶方位に対する反射角を算出し、
    予め定められた前記反射角と前記伝搬速度との対応関係に基づいて、取得した前記結晶方位、および前記反射角から前記伝搬速度を決定し、
    前記伝搬速度を算出するステップは、前記結晶方位の複数の候補方位を取得し、前記複数の候補方位の各々毎に前記伝搬速度を算出し、
    前記開口合成処理を実行するステップは、複数の前記伝搬速度の各々毎に前記開口合成処理を実行することにより、複数の開口合成処理結果を出力し、
    所定の選択処理により、前記複数の開口合成処理結果のうちから1つの前記開口合成処理結果を選択するステップを、さらに備える
    ことを特徴とする開口合成処理方法。
  10. 超音波の送信位置、および前記送信位置に対して定められた受信位置が互いに異なる組合せの各々についての、前記送信位置から検査対象への前記超音波の送信後に前記受信位置で測定される前記超音波の信号値の時系列データを含む測定結果を取得するステップと、
    前記検査対象の内部に設定された内部位置の各々について、少なくとも一部の前記組合せ毎に、前記送信位置から送信した前記超音波が前記内部位置で反射して前記受信位置で受信された場合の伝搬経路における前記超音波の伝搬速度を、前記検査対象の結晶方位に基づいて算出するステップと、
    算出された前記伝搬速度、および取得された前記時系列データを用いて開口合成処理を実行するステップと、を備え、
    複数の前記内部位置は、前記検査対象の内部に設定された全ての前記内部位置の一部であり、
    前記開口合成処理を実行するステップにおいて出力される前記開口合成処理の結果から、前記全ての内部位置を対象に前記開口合成処理を実行する場合にえられる音響画像に対応する復元画像を復元するステップを、さらに備える
    ことを特徴とする開口合成処理方法。
  11. コンピュータに、
    超音波の送信位置、および前記送信位置に対して定められた受信位置が互いに異なる組合せの各々についての、前記送信位置から検査対象への前記超音波の送信後に前記受信位置で測定される前記超音波の信号値の時系列データを含む測定結果を取得するよう構成された取得部と、
    前記検査対象の内部に設定された内部位置の各々について、少なくとも一部の前記組合せ毎に、前記送信位置から送信した前記超音波が前記内部位置で反射して前記受信位置で受信された場合の伝搬経路における前記超音波の伝搬速度を、前記検査対象の結晶方位に基づいて算出するよう構成された速度算出部と、
    算出された前記伝搬速度、および取得された前記時系列データを用いて開口合成処理を実行するよう構成された開口合成部と、を実現させるための開口合成処理プログラムであって、
    前記速度算出部は、
    前記検査対象の内部の前記結晶方位を取得し、
    前記内部位置、前記結晶方位、および前記送信位置に基づく、前記送信位置から送信した前記超音波が前記内部位置に入射する、前記結晶方位に対する入射角を算出し、
    予め定められた前記入射角と前記伝搬速度との対応関係に基づいて、取得した前記結晶方位、および前記入射角から前記伝搬速度を決定するよう構成され、
    前記速度算出部は、前記結晶方位の複数の候補方位を取得し、前記複数の候補方位の各々毎に前記伝搬速度を算出し、
    前記開口合成部は、複数の前記伝搬速度の各々毎に前記開口合成処理を実行することにより、複数の開口合成処理結果を出力し、
    前記コンピュータに、
    所定の選択処理により、前記複数の開口合成処理結果のうちから1つの前記開口合成処理結果を選択するよう構成された選択部を、
    さらに実現させるための開口合成処理プログラム。
  12. コンピュータに、
    超音波の送信位置、および前記送信位置に対して定められた受信位置が互いに異なる組合せの各々についての、前記送信位置から検査対象への前記超音波の送信後に前記受信位置で測定される前記超音波の信号値の時系列データを含む測定結果を取得するよう構成された取得部と、
    前記検査対象の内部に設定された内部位置の各々について、少なくとも一部の前記組合せ毎に、前記送信位置から送信した前記超音波が前記内部位置で反射して前記受信位置で受信された場合の伝搬経路における前記超音波の伝搬速度を、前記検査対象の結晶方位に基づいて算出するよう構成された速度算出部と、
    算出された前記伝搬速度、および取得された前記時系列データを用いて開口合成処理を実行するよう構成された開口合成部と、を実現させるための開口合成処理プログラムであって、
    前記速度算出部は、
    前記検査対象の内部の前記結晶方位を取得し、
    前記内部位置、前記結晶方位、および前記受信位置に基づく、前記内部位置から反射される前記超音波の前記結晶方位に対する反射角を算出し、
    予め定められた前記反射角と前記伝搬速度との対応関係に基づいて、取得した前記結晶方位、および前記反射角から前記伝搬速度を決定するよう構成され、
    前記速度算出部は、前記結晶方位の複数の候補方位を取得し、前記複数の候補方位の各々毎に前記伝搬速度を算出し、
    前記開口合成部は、複数の前記伝搬速度の各々毎に前記開口合成処理を実行することにより、複数の開口合成処理結果を出力し、
    前記コンピュータに、
    所定の選択処理により、前記複数の開口合成処理結果のうちから1つの前記開口合成処理結果を選択するよう構成された選択部を、
    さらに実現させるための開口合成処理プログラム。
  13. コンピュータに、
    超音波の送信位置、および前記送信位置に対して定められた受信位置が互いに異なる組合せの各々についての、前記送信位置から検査対象への前記超音波の送信後に前記受信位置で測定される前記超音波の信号値の時系列データを含む測定結果を取得するよう構成された取得部と、
    前記検査対象の内部に設定された内部位置の各々について、少なくとも一部の前記組合せ毎に、前記送信位置から送信した前記超音波が前記内部位置で反射して前記受信位置で受信された場合の伝搬経路における前記超音波の伝搬速度を、前記検査対象の結晶方位に基づいて算出するよう構成された速度算出部と、
    算出された前記伝搬速度、および取得された前記時系列データを用いて開口合成処理を実行するよう構成された開口合成部と、を実現させるための開口合成処理プログラムであって、
    複数の前記内部位置は、前記検査対象の内部に設定された全ての前記内部位置の一部であり、
    前記コンピュータに、
    前記開口合成部から出力される前記開口合成処理の結果から、前記全ての内部位置を対象に前記開口合成処理を実行する場合にえられる音響画像に対応する復元画像を復元するよう構成された復元部を、
    さらに実現させるための開口合成処理プログラム。
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